JP2012131052A - 耐シガレット性を有するポリマー部材、耐シガレット性物品、および耐シガレット化方法 - Google Patents

耐シガレット性を有するポリマー部材、耐シガレット性物品、および耐シガレット化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高度の難燃性を有するとともに、透明性、フレキシブル性に優れており、各種の被着体に貼り合わされることにより、各種被着体に耐シガレット性を付与することができる部材を提供する。
【解決手段】本発明のポリマー部材は、耐シガレット性を有し、無機基材の少なくとも一方の面にポリマー層を有するポリマー部材であって、該ポリマー層は、ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を含有し、該ポリマー(X)が架橋ポリマーを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、耐シガレット性を有するポリマー部材に関する。本発明のポリマー部材は、高度の難燃性を有するとともに、透明性、フレキシブル性に優れており、各種の被着体に貼り合わされることにより、各種被着体に耐シガレット性を付与することができる。また、各種の被着体に貼り合わすことにより、耐シガレット性が付与された物品を提供することができる。
我々の身の回りには、タバコの火による接近や接触によって表面の焦げや穴あきというトラブルが生じる恐れがある部材が数多く存在する。このようなトラブルを防止するために、上記のような部材に耐シガレット性を付与することが行なわれている。
耐シガレット性を有する部材として、架橋性の塩化ビニル樹脂を架橋させた架橋塩化ビニルシート(特許文献1)、金属中間層を有する化粧板(特許文献2−4)などが報告されている。
しかし、従来の耐シガレット性を有する部材は、次のような問題がある。まず、従来の耐シガレット性は十分なフレキシブル性を確保できていないため、使用範囲が限定されるという問題がある。また、従来の耐シガレット性を有する部材は透明性に劣っており、意匠性を発現できないという問題がある。さらに、従来の耐シガレット性を有する部材は、各種の層を組み合わせることが多く、製造方法が複雑になるという問題がある。加えて、従来の耐シガレット性を有する部材は、十分な難燃性を有さないという問題がある。
特開2009−114324号公報 特開2007−030405号公報 特開2006−315221号公報 特開2006−142496号公報
本発明は、高度の難燃性を有するとともに、透明性、フレキシブル性に優れており、各種の被着体に貼り合わされることにより、各種被着体に耐シガレット性を付与することができる部材を提供することを目的とする。
また、本発明は、上記部材を各種の被着体に貼り合わせた耐シガレット性物品を提供することを目的とする。さらには、上記部材を各種被着体に貼り合わせる、被着体の耐シガレット化方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の問題を解決するために鋭意検討した結果、下記の部材によって、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに到った。
本発明のポリマー部材は、耐シガレット性を有し、
無機基材の少なくとも一方の面にポリマー層を有するポリマー部材であって、
該ポリマー層は、ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を含有し、
該ポリマー(X)が架橋ポリマーを含む。
好ましい実施形態においては、上記無機基材が繊維状無機基材である。
好ましい実施形態においては、上記繊維状無機基材がガラスクロスである。
好ましい実施形態においては、本発明のポリマー部材は、該ポリマー部材を上記ポリマー層が上面となるように水平に設置し、該ポリマー部材の上面に火のついたタバコを30秒間寝かせて置き、その後、該タバコを取り除き、該上面を拭き取ったときの該上面の焦げと穴あきの有無を調べる、耐シガレット性試験において、耐シガレット性を有する。
好ましい実施形態においては、上記架橋ポリマーは、多官能性モノマーを含む重合性モノマーを重合して得られる。
好ましい実施形態においては、上記重合性モノマー中の多官能性モノマーの含有割合が5〜100重量%である。
好ましい実施形態においては、上記ポリマー層が、多官能性モノマーを含む重合性モノマー(m)と層状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)から形成されるシロップ状の重合性組成物層(a)の重合を行うことにより得られる。
本発明の別の実施形態においては、耐シガレット性物品が提供される。本発明の耐シガレット性物品は、本発明のポリマー部材が、被着体に貼り合わされている。
好ましい実施形態においては、上記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である。
本発明の別の実施形態においては、被着体の耐シガレット化方法が提供される。本発明の被着体の耐シガレット化方法は、本発明のポリマー部材を被着体に貼り合わせることで該被着体を耐シガレット化させる。
好ましい実施形態においては、上記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である。
本発明のポリマー部材は、ポリマー層中のポリマー(X)が架橋ポリマーを含むことにより、優れた耐シガレット性を発現できる。特に、架橋ポリマーを構築するための重合性モノマー中に多官能性モノマーが5〜100重量%含有されていると、より優れた耐シガレット性を発現できる。
本発明のポリマー部材は、ポリマー層において、ポリマー(X)中の層状無機系化合物(f)の割合を比較的に少なく制御することができるので、透明性の点で優れている。特に、本発明のポリマー部材におけるポリマー層中の灰分の含有割合が70重量%未満という少ない含有割合の場合にも、耐シガレット性を発揮することができる。本発明のポリマー部材は、透明性に非常に優れているので、被着体の意匠性を確保しながら、被着体を耐シガレット化することができる。
本発明のポリマー部材は、無機基材を有しているので、高度の難燃性を発現できる。特に、無機基材が繊維状無機基材の場合は一層高度の難燃性を発現でき、該繊維状無機基材がガラスクロスの場合は非常に高度の難燃性を発現できる。
本発明のポリマー部材は、ポリマー層中にポリマー(X)を有しているので、フレキシブル性を良好に維持することができ、適用の範囲が広く各種の用途に応用できる。
本発明のポリマー部材においては、ハロゲン系樹脂を含有させる必要がない。
本発明のポリマー部材は、その製造にあたり、重合性組成物(α)に含まれる揮発性成分(例えば、有機溶剤や有機化合物など)の蒸発除去を必要としないため、環境への負荷を低減でき、環境面で有利である。
本発明のポリマー部材の概略断面図の一例である。 本発明のポリマー部材の概略断面図の一例である。
≪≪1.耐シガレット性を有するポリマー部材≫≫
本発明のポリマー部材は、耐シガレット性を有し、無機基材の少なくとも一方の面にポリマー層を有するポリマー部材である。すなわち、本発明のポリマー部材は、無機基材の片面にポリマー層を有するものであっても良いし、無機基材の両面にポリマー層を有するものであっても良い。ポリマー層は、ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を含有し、ポリマー(X)が架橋ポリマーを含む。本発明のポリマー部材の概略図を図1、図2に示す。図1は、無機基材の片面にポリマー層を有する場合を表し、図2は、無機基材の両面にポリマー層を有する場合を表す。なお、無機基材の空隙部分には、ポリマー層の構成成分や、ポリマー層の形成材料成分など、任意の適切な成分が含有されていても良い。
≪1−1.ポリマー層≫
ポリマー層は、ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を含有し、ポリマー(X)が架橋ポリマーを含む。ポリマー層の全体の厚さは、薄すぎると、十分な耐シガレット性を示さない場合があり、厚すぎると、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、好ましくは10〜1000μmであり、より好ましくは15〜800μmであり、さらに好ましくは20〜600μmである。
<1−1−1.ポリマー(X)>
ポリマー(X)は、ポリマー層を構成するポリマー成分であり、1種のポリマーであっても良いし、2種以上のポリマーであっても良い。また、ポリマー(X)には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。
ポリマー(X)中の架橋ポリマーの含有割合は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは70〜100重量%、さらに好ましくは90〜100重量%、特に好ましくは95〜100重量%、最も好ましくは実質的に100重量%である。ポリマー(X)中の架橋ポリマーの含有割合が上記範囲内にあることによって、本発明のポリマー部材は、優れた耐シガレット性を発現し得る。
ポリマー(X)中の架橋ポリマーは、好ましくは、多官能性モノマーを含む重合性モノマーを重合して得られる。架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマー中の多官能性モノマーの含有割合は、好ましくは5〜100重量%であり、より好ましくは10〜100重量%であり、さらに好ましくは15〜100重量%であり、特に好ましくは20〜100重量%であり、最も好ましくは25〜100重量%である。架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマー中の多官能性モノマーの含有割合が上記範囲内にあることによって、本発明のポリマー部材は、より優れた耐シガレット性を発現できる。
ポリマー(X)中の架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマー(多官能性モノマーを含む)は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。また、ポリマー(X)中の架橋ポリマーを得るために用い得る多官能性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
多官能性モノマーとしては、例えば、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビニル(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレートなどが挙げられる。これらの中でも、反応性が高く、優れた耐シガレット性を発現し得る点で、好ましくはアクリレート系の多官能性モノマーであり、より好ましくは、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレートである。
ポリマー(X)中の架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマーは、多官能性モノマー以外に、単官能性モノマーを含んでいても良い。ここで、単官能性モノマーとは、重合性基を1つのみ有する重合性モノマーである。単官能性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
単官能性モノマーとしては、任意の適切な単官能性モノマーを採用し得る。好ましくは、アクリル系モノマーである。アクリル系モノマーとしては、好ましくは、アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが挙げられる。アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。なお、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を表す。
アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル、環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。なお、ここでいう(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、単官能(メタ)アクリル酸アルキルエステルを意味する。
直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸s−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸イソペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘプチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸ウンデシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリル酸ペンタデシル、(メタ)アクリル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸ヘプタデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸ノナデシル、(メタ)アクリル酸エイコシルなどの、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキルエステルなどが挙げられる。これらの中でも、好ましくは、アルキル基の炭素数が2〜14の(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、より好ましくは、アルキル基の炭素数が2〜10の(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
環状のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
ポリマー(X)中の架橋ポリマーを得るために用い得る重合性モノマーは、多官能性モノマーや単官能性モノマー以外に、極性基含有モノマーやその他の共重合性モノマーを含んでいても良い。これらのモノマーを含むことにより、ポリマー(X)の凝集力が向上可能となったり、本発明のポリマー部材の被着体への接着力が向上可能となったりする。極性基含有モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。その他の共重合性モノマーは、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
極性基含有モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イソクロトン酸などのカルボキシル基含有モノマーまたはその無水物(無水マレイン酸など);(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシブチル等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、ビニルアルコール、アリルアルコールなどの水酸基含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t−ブチルアミノエチルなどのアミノ基含有モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジルなどのグリシジル基含有モノマー;アクリロニトリルやメタクリロニトリルなどのシアノ基含有モノマー;N−ビニル−2−ピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリンの他、N−ビニルピリジン、N−ビニルピペリドン、N−ビニルピリミジン、N−ビニルピペラジン、N−ビニルピロール、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルオキサゾール等の複素環含有ビニル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルフォスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;などが挙げられる。極性基含有モノマーとしては、好ましくは、カルボキシル基含有モノマーまたはその無水物であり、より好ましくは、アクリル酸である。
その他の共重合性モノマーとしては、例えば、フェニル(メタ)アクリレート等の芳香族炭化水素基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類;スチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;エチレン、ブタジエン、イソプレン、イソブチレンなどのオレフィン又はジエン類;ビニルアルキルエーテルなどのビニルエーテル類;塩化ビニル;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;ビニルスルホン酸ナトリウムなどのスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどのリン酸基含有モノマー;シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミドなどのイミド基含有モノマー;2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマー;フッ素原子含有(メタ)アクリレート;ケイ素原子含有(メタ)アクリレート;などが挙げられる。
ポリマー(X)には、これらを形成するポリマー材料の選択により粘着性を付与することができる。例えば、アクリル系樹脂、エポキシ樹脂、オキセタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂は、それぞれ、アクリル系感圧性接着剤(粘着剤)のベースポリマー、エポキシ系感圧性接着剤のベースポリマー、オキセタン系感圧性接着剤のベースポリマー、ビニルエーテル系感圧性接着剤のベースポリマー、ウレタン系感圧性接着剤のベースポリマー、ポリエステル系感圧性接着剤のベースポリマー等として機能する。
ポリマー(X)としては、その製造のために用いる重合性モノマーとしてアクリル系モノマーが好ましく採用され得る。したがって、ポリマー(X)は、好ましくは、アクリル系ポリマーである。
<1−1−2.層状無機系化合物(f)>
ポリマー(X)中に含有される層状無機系化合物(f)としては、例えば、層状無機物およびその有機処理物が挙げられる。層状無機系化合物(f)は、固体であってもよいし、流動性を有していてもよい。層状無機系化合物は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
層状無機物を形成できる無機物としては、例えば、ケイ酸塩、粘土鉱物などが挙げられる。中でも、層状無機物としては、層状粘土鉱物が好ましい。
層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクトライト、サポナイト、ノントロナイト、スチーブンサイト等のスメクタイト;バーミキュライト;ベントナイト;カネマイト、ケニアナイト、マカナイト等の層状ケイ酸ナトリウム;などが挙げられる。このような層状粘土鉱物は、天然の鉱物として産するものであっても良いし、化学合成法によって製造されたものであっても良い。
層状無機物の有機処理物は、層状無機物を有機化合物により処理したものである。有機化合物としては、例えば、有機カチオン性化合物が挙げられる。有機カチオン性化合物としては、例えば、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩などのカチオン基を有するカチオン性界面活性剤が挙げられる。カチオン性界面活性剤は、プロピレンオキサイド骨格、エチレンオキサイド骨格、アルキル骨格などに、4級アンモニウム塩や4級ホスホニウム塩等のカチオン基を有する。このようなカチオン基は、ハロゲン化物イオン(例えば、塩化物イオンなど)などにより4級塩を形成している。
4級アンモニウム塩を有するカチオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリルトリメチルアンモニウム塩、ステアリルトリメチルアンモニウム塩、トリオクチルアンモニウム塩、ジステアリルジメチルアンモニウム塩、ジステアリルジベンジルアンモニウム塩などや、メチルジエチルプロピレンオキサイド骨格を有するアンモニウム塩などが挙げられる。
4級ホスホニウム塩を有するカチオン性界面活性剤としては、例えば、ドデシルトリフェニルホスホニウム塩、メチルトリフェニルホスホニウム塩、ラウリルトリメチルホスホニウム塩、ステアリルトリメチルホスホニウム塩、ジステアリルシジメチルホスホニウム塩、ジステアリルベンジルホスホニウム塩などが挙げられる。
層状粘土鉱物等の層状無機物は、有機カチオン性化合物により処理されて、層間の陽イオンが4級塩等のカチオン基とイオン交換される。粘土鉱物の陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオンやカルシウムイオンなどの金属カチオンである。有機カチオン性化合物により処理された層状粘土鉱物は、上記ポリマーや重合性モノマーに膨潤、分散しやすくなる。有機カチオン性化合物により処理された層状粘土鉱物としては、例えば、ルーセンタイトシリーズ(コープケミカル社製)が挙げられ、より具体的には、ルーセンタイトSPN、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSTNなどが挙げられる。
また、層状無機物の有機処理物としては、層状無機物の表面に、各種有機化合物による表面処理(例えば、シリコーン系化合物やフッ素系化合物等による低表面張力化処理など)が施されたものが挙げられる。
層状無機物の有機処理物において、層状無機物に対する有機化合物の割合は、層状無機物のカチオン交換容量(「CEC」)による。CECは、層状無機系化合物(f)のイオン交換容量、または、層状無機物表面上に吸着されうる正電荷の全量に関連し、それは、コロイド粒子単位質量あたりの正電荷、すなわちSI単位で「単位質量当たりのクーロン」によって表現される。それは、グラム当たりのミリ当量(meq/g)、または100グラム当たりのミリ当量(meq/100g)でも測定してよい。1meq/gのCECは、SI単位で96.5C/gに相当する。代表的な粘土鉱物に関する幾つかのCEC値は次の通りである。モンモリロナイトは70〜150meq/100gの範囲であり、ハロサイトは40〜50meq/100gの範囲であり、カオリンは1〜10meq/100gの範囲である。
層状無機物の有機処理物において、層状無機物に対する有機化合物の割合は、層状無機物100重量部に対して、有機化合物が、好ましくは1000重量部以下であり、より好ましくは3〜700重量部であり、さらに好ましくは5〜500重量部である。
層状無機系化合物(f)の粒子径(平均粒子径)としては、優れた耐シガレット性を得る観点から、ポリマー(X)中になるべく緻密に詰まっている方が好ましく、例えば、層状無機系化合物(f)を希薄溶液中に分散させたときの一次粒子径の平均値としては、レーザー散乱法や動的光散乱法におけるメジアン径で、好ましくは5nm〜10μmであり、より好ましくは6nm〜5μmであり、さらに好ましくは7nm〜1μmである。なお、粒子は、粒径の異なる粒子を2種以上組み合わせてもよい。
層状無機系化合物(f)の粒子の形状は、真球状や楕円球状などの球状、不定形状、針状、棒状、平板状、薄片状、中空管状などのいずれの形状であってもよい。粒子の形状は、好ましくは平板状、薄片状である。また、粒子は、その表面に、孔や突起などを有していてもよい。
また、層状粘土鉱物の粒子径は大きくなるにつれて透明性に問題を生じる恐れがあることから、最大一次粒子径の平均値は、好ましくは5μm以下であり、より好ましくは5nm〜5μmである。
なお、上記ルーセンタイトSPN(コープケミカル社製)は、4級アンモニウム塩を有する有機化合物で層状粘土鉱物が有機化処理されたものであり、有機化合物の割合が62重量%である。粒子径は、25%平均一次粒子径19nm、50%平均一次粒子径30nm、99%一次粒子径100nmで、厚みは1nmであり、アスペクト比は約30である。
層状無機系化合物(f)として粒子を用いた場合は、該層状無機系化合物(f)は、ポリマー層の表面において、例えば、該粒子による表面凹凸の形成に寄与できることがある。
層状無機系化合物(f)として層状粘土鉱物の有機カチオン性化合物による処理物を用いた場合、本発明のポリマー部材の表面抵抗値を好ましくは1×1014(Ω/□)以下にすることができ、本発明のポリマー部材に帯電防止性を付与することができる。帯電防止性は、層状無機系化合物(f)の種類、形状、大きさ、含有量等、ポリマー部材中のポリマー成分(ポリマーX)の組成等を制御することにより、所望の帯電防止性に制御することができる。
ポリマー層においては、層状無機系化合物(f)とポリマー成分(ポリマーX)とが混在しているため、ポリマー成分に基づく特性を発揮することができるとともに、層状無機系化合物(f)が元来有する特性を発揮することができる。ポリマー層中における灰分の含有割合(ポリマー層の形成材料の全量に対する層状無機系化合物(f)の含有割合:但し、層状無機系化合物(f)が層状無機物の有機処理物の場合には、有機処理されていない層状無機物の含有割合)は、層状無機系化合物(f)の種類に応じて適宜に設定することができる。上記含有割合は、好ましくは3重量%以上70重量%未満である。上記含有割合が70重量%以上であると、層状無機系化合物(f)が良好に分散しない場合があり、ダマが発生しやすくなり、層状無機系化合物(f)が均一に分散したポリマー層を作製することが困難となる場合がある。また、上記含有割合が70重量%を超えると、ポリマー層の透明性、フレキシブル性が低下するおそれがある。一方、上記含有割合が3重量%未満であると、本発明のポリマー部材が耐シガレット性を有さない場合がある。ポリマー層中における灰分の含有割合は、好ましくは3〜60重量%であり、さらに好ましくは5〜50重量%である。
<1−1−3.添加剤>
ポリマー(X)中には、任意の適切な添加剤が含まれていても良い。このような添加剤としては、例えば、界面活性剤(例えば、イオン性界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤など)、架橋剤(例えば、ポリイソシアネート系架橋剤、シリコーン系架橋剤、エポキシ系架橋剤、アルキルエーテル化メラミン系架橋剤など)、可塑剤、充填剤、老化防止剤、酸化防止剤、着色剤(顔料や染料など)、溶剤(有機溶剤)などが挙げられる。
ポリマー(X)中には、例えば、意匠性、光学特性等の観点から、顔料(着色顔料)が含まれていても良い。黒色が望まれる場合には、着色顔料として、カーボンブラックを用いることができる。顔料(着色顔料)の使用量としては、着色度合いを阻害しない観点から、例えば、ポリマー(X)100重量部に対して、好ましくは0.15重量部以下であり、より好ましくは0.001〜0.15重量部であり、さらには好ましくは0.02〜0.1重量部である。
≪1−2.無機基材≫
無機基材は、任意の適切な無機基材を採用し得る。このような無機基材としては、例えば、繊維状無機基材、網目状無機基材など、空隙を有する無機基材が挙げられる。なお、無機基材の空隙部分には、ポリマー層の構成成分や、ポリマー層の形成材料成分など、任意の適切な成分が含有されていても良い。
繊維状無機基材の形態としては、例えば、織布、不織布などが挙げられる。
繊維状無機基材としては、具体的には、例えば、ガラスクロス、石綿、カーボンファイバー、繊維状金属酸化物などが挙げられる。繊維状無機基材としては、好ましくは、ガラスクロスである。
網目状無機基材としては、具体的には、例えば、金属網などが挙げられる。
無機基材の厚みは、その種類によって任意の適切な厚みを採用し得る。例えば、好ましくは1〜500μmである。
本発明のポリマー部材は、無機基材を有しているので、高度の難燃性を発現できる。特に、無機基材が繊維状無機基材の場合は一層高度の難燃性を発現でき、該繊維状無機基材がガラスクロスの場合は非常に高度の難燃性を発現できる。
≪1−3.ポリマー部材≫
本発明のポリマー部材の全体の厚さは、薄すぎると、十分な耐シガレット性を示さない場合があり、厚すぎると、シート形状として巻取りにくく、取り扱い性が悪い場合がある点から、好ましくは10〜5000μmであり、より好ましくは20〜4000μmであり、さらに好ましくは30〜3000μmである。
<1−3−1.耐シガレット性>
本発明のポリマー部材は、好ましくは、下記の耐シガレット性を満足するものである。すなわち、本発明のポリマー部材は、該ポリマー部材をポリマー層が上面となるように水平に設置し、該ポリマー部材の上面に火のついたタバコを30秒間寝かせて置き、その後、該タバコを取り除き、該上面を拭き取ったときの該上面の焦げと穴あきの有無を調べる、耐シガレット性試験において、耐シガレット性を有するものである。上記耐シガレット性試験において、焦げが少ないほど耐シガレット性に優れたものであり、穴あきが少ないほど耐シガレット性に優れたものである。
<1−3−2.難燃性>
本発明のポリマー部材は、高度の難燃性を有する。すなわち、本発明のポリマー部材は、例えば、コーンカロリーメーター法に準拠して測定する発熱性試験において、好ましくは、総発熱量が小さく、ポリマー部材の外観を観察した際に熱による破れがない。
<1−3−3.透明性>
本発明のポリマー部材は、実質的に透明であり、全光線透過率が、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上であり、さらに好ましくは80%以上であり、特に好ましくは90%以上である。また、ヘイズは、好ましくは20%以下であり、より好ましくは15%以下であり、さらに好ましくは10%以下である。
<1−3−4.フレキシブル性>
本発明のポリマー部材は、プラスチック特有のフレキシブル性を有している。例えば、5cm×10cmのポリマー部材の5cm辺の両端を曲げて、山折、谷折で繰り返し50回くっ付けても傷やクラックを生じない場合には、良好なフレキシブル性を有すると判断できる。また、5cm×10cmのポリマー部材を直径1cmの棒に巻きつけ、その後、ポリマー部材を剥がしても、5cm×10cmのポリマー部材に傷やクラックが生じない場合には、良好なフレキシブル性を有すると判断できる。
≪≪2.ポリマー部材の製造≫≫
本発明のポリマー部材は、任意の適切な方法によって製造し得る。本発明のポリマー部材は、好ましくは、例えば、(1)無機基材の少なくとも一方の面上にポリマー層を形成させる材料を塗布して層を形成し、その後、必要に応じて硬化処理を行う方法、(2)ポリマー層を形成させる材料を適切な基材上に塗布して得られる層の上に無機基材を配置し、必要に応じて、さらにその無機基材の上にポリマー層を形成させる材料を塗布して層を形成し、その後、必要に応じて硬化処理を行う方法、などによって製造し得る。
ポリマー層は、好ましくは、多官能性モノマーを含む重合性モノマー(m)と層状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)から形成されるシロップ状の重合性組成物層(a)の重合を行うことにより得られる。この重合を行う工程を重合工程と称する。
すなわち、本発明のポリマー部材の好ましい製造方法としては、例えば、(1)無機基材の少なくとも一方の面上において、多官能性モノマーを含む重合性モノマー(m)と層状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)からシロップ状の重合性組成物層(a)を形成し、該重合性組成物層(a)の重合を行う方法、(2)多官能性モノマーを含む重合性モノマー(m)と層状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)を適切な基材上に塗布して得られるシロップ状の重合性組成物層(a)の上に無機基材を配置し、必要に応じて、さらにその無機基材の上に、多官能性モノマーを含む重合性モノマー(m)と層状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)を塗布してシロップ状の重合性組成物層(a)を形成し、その後、必要に応じて硬化処理を行う方法、などが挙げられる。
≪2−1.重合性組成物(α)≫
重合性組成物(α)は、重合可能な重合性モノマー(m)および層状無機系化合物(f)を少なくとも含んでいる。重合性組成物(α)は適宜に重合開始剤を含有し得る。重合性モノマー(m)を光硬化させる場合には、重合性組成物(α)は、重合開始剤として光重合開始剤を含有し得る。
重合性組成物(α)は、取り扱い性、塗工性等の点から、重合性モノマー(m)の一部分が重合した部分重合組成物であっても良い。
重合性モノマー(m)の具体的な説明としては、<1−1−1.ポリマー(X)>の項における重合性モノマーの説明を援用し得る。
層状無機系化合物(f)の具体的な説明としては、<1−1−2.層状無機系化合物(f)>の項における説明を援用し得る。
重合性組成物(α)は、任意の適切な添加剤を含んでいても良い。このような添加剤の具体的な説明としては、<1−1−3.添加剤>の項における説明を援用し得る。
重合開始剤は、必要に応じて用いることができる。重合開始剤としては、例えば、光重合開始剤、熱重合開始剤などが挙げられる。重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
光重合開始剤としては、任意の適切な光重合開始剤を採用し得る。光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、α−ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、ケタール系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤などを用いることができる。光重合開始剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。
ベンゾインエーテル系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えば、商品名「イルガキュア184」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など)、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−(t−ブチル)ジクロロアセトフェノンなどが挙げられる。α−ケトール系光重合開始剤としては、例えば、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−[4−(2−ヒドロキシエチル)フェニル]−2−メチルプロパン−1−オンなどが挙げられる。芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤としては、例えば、2−ナフタレンスルホニルクロライドなどが挙げられる。光活性オキシム系光重合開始剤としては、例えば、1−フェニル−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)−オキシムなどが挙げられる。ベンゾイン系光重合開始剤として、例えば、ベンゾインなどが挙げられる。ベンジル系光重合開始剤としては、例えば、ベンジルなどが挙げられる。ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3、3′−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、ポリビニルベンゾフェノン、α−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどが挙げられる。ケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(例えば、商品名「イルガキュア651」(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)など)等が挙げられる。チオキサントン系光重合開始剤として、例えば、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、ドデシルチオキサントンなどが挙げられる。アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤としては、例えば、商品名「ルシリンTPO」(BASF社製)などが挙げられる。
光重合開始剤の使用量としては、例えば、重合性組成物(α)中の重合性モノマー(m)100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.01〜5重量部であり、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
熱重合開始剤としては、任意の適切な熱重合開始剤を採用し得る。熱重合開始剤としては、例えば、アゾ系重合開始剤(例えば、2,2´−アゾビスイソブチロニトリル、2,2´−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、4,4´−アゾビス−4−シアノバレリアン酸、アゾビスイソバレロニトリル、2,2´−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2´−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2´−アゾビス(N,N´−ジメチレンイソブチルアミジン)ジヒドロクロライドなど)、過酸化物系重合開始剤(例えば、ジベンゾイルペルオキシド、tert−ブチルペルマレエートなど)、レドックス系重合開始剤(例えば、有機過酸化物/バナジウム化合物;有機過酸化物/ジメチルアニリン;ナフテン酸金属塩/ブチルアルデヒド、アニリンあるいはアセチルブチロラクトン;等の組み合わせなど)などが挙げられる。
熱重合開始剤の使用量としては、例えば、重合性組成物(α)中の重合性モノマー(m)100重量部に対して、好ましくは5重量部以下であり、より好ましくは0.01〜5重量部であり、さらに好ましくは0.05〜3重量部である。
熱重合開始剤としてレドックス系重合開始剤を用いれば、常温で重合させることが可能である。
あるポリマーに対してある物質が、非相溶性の物質であるか否かの判断は、目視、光学顕微鏡、走査型電子顕微鏡(SEM)、透過型電子顕微鏡(TEM)、X線回析などにより、一般的な方法(例えば、ある物質を重合性モノマーに溶解させ、重合性モノマーを重合してポリマー化して判断する方法;ポリマーをそのポリマーを溶解する溶媒に溶解し、そこへ物質を添加し、攪拌後溶媒を除去して判断する方法;ポリマーが熱可塑性ポリマーであればポリマーを加熱溶解して、そこへ物質を配合し、冷却後判断する方法;など)において、そのポリマー中の物質またはその集合体がどの程度の大きさで分散しているかにより判断することができる。その判断基準は、物質またはその集合体が、球や立方体、不定形状などの球体状に近似できる場合には5nm以上の直径を有すること、また、棒状や薄層状、直方体状などの柱体状に近似できる場合には最も長い辺の長さが10nm以上であることである。
物質をポリマー中に分散した際において、そのポリマー中の物質またはその集合体が、球や立方体、不定形状などの球体状に近似でき、該球体状の物質またはその集合体が5nm以上の直径を有する場合には、そのポリマーに対して非相溶であるとみなすことができる。また、ポリマー中の物質またはその集合体が、棒状や薄層状、直方体状などの柱体状に近似でき、該柱体状の物質又はその集合体の最も長い辺の長さが10nm以上である場合には、そのポリマーに対して非相溶であるとみなすことができる。
ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を分散させる方法としては、例えば、ポリマー(X)を構成する重合性モノマー(m)に、光重合開始剤、層状無機系化合物(f)を添加あるいは均一分散させた後、PETフィルム等の基材フィルム上に10〜500μm程度の厚さにコーティングして、窒素などの不活性ガス中あるいはカバーフィルムで酸素の影響を排除してブラックライトによる紫外線照射で重合させる方法;予めポリマー(X)を溶液重合や紫外線重合など任意の方法で作製しておき、該ポリマー(X)を溶剤に溶解させた溶媒系に、層状無機系化合物(f)を添加し、攪拌などにより均一分散して、PETフィルム等の基材フィルム上に塗布し、乾燥による溶剤除去後の厚さを10〜500μm程度とする方法;などが挙げられる。
重合性組成物(α)は、上記各成分を均一に混合・分散させることにより調製することができる。この重合性組成物(α)は、通常、基材上に塗布するなどしてシート状に成形するので、塗布作業に適した適度な粘度を持たせておくのがよい。重合性組成物(α)の粘度は、例えば、アクリルゴム、増粘性添加剤などの各種ポリマーを配合することや、重合性組成物(α)中の重合性モノマー(m)を光の照射や加熱などにより一部重合させることにより調製することができる。なお、望ましい粘度は、BH粘度計を用いて、ローター:No.5ローター、回転数10rpm、測定温度30℃の条件で設定された粘度として、好ましくは5〜50Pa・sであり、より好ましくは10〜40Pa・sである。粘度が5Pa・s未満であると、基材上に塗布したときに液が流れてしまうおそれがある。粘度が50Pa・sを超えると、粘度が高すぎて塗布が困難となるおそれがある。
≪2−2.重合性組成物層(a)≫
重合性組成物層(a)は、重合性組成物(α)により形成される層である。
重合性組成物層(a)の厚みとしては、例えば、好ましくは10〜1000μmであり、より好ましくは15〜800μmであり、さらに好ましくは20〜600μmである。重合性組成物層(a)の厚みが10μm未満であると、均一な塗工ができないおそれや、得られるポリマー部材が耐シガレット性を有さないおそれがある。重合性組成物層(a)の厚みが1000μmを超えると、得られるポリマー部材にうねりが発生し、平滑なポリマー部材が得られないおそれがある。
重合性組成物(α)は、重合性モノマー(m)および層状無機系化合物(f)を含有する。層状無機系化合物(f)の含有割合は、重合性モノマー(m)100重量部に対して、好ましくは5〜50重量部であり、より好ましくは10〜45重量部であり、さらに好ましくは15〜40重量部である。層状無機系化合物(f)の含有割合が重合性モノマー(m)100重量部に対して50重量部を超えると、本発明のポリマー部材の作製が困難となるおそれや、得られるポリマー部材において強度低下の問題が生じるおそれがある。層状無機系化合物(f)の含有割合が重合性モノマー(m)100重量部に対して5重量部未満であると、得られるポリマー部材が耐シガレット性を有さないおそれがある。
≪2−3.カバーフィルム≫
本発明のポリマー部材の作製にあたり、重合性組成物層(a)の支持体として、カバーフィルムを用いることができる。カバーフィルムは、剥離性を有していてもよいし、剥離性を有していなくてもよい。なお、重合工程において光重合法を用いる場合、空気中の酸素により反応が阻害されるため、重合工程ではカバーフィルムを用いて空気中の酸素を遮断することが好ましい。
カバーフィルムとしては、酸素を透過し難い薄葉体であれば、任意の適切なカバーフィルムを採用し得る。カバーフィルムとしては、光重合反応を用いる場合は透明なものが好ましく、例えば、任意の適切な剥離紙などが挙げられる。具体的には、カバーフィルムとしては、例えば、離型処理剤(剥離処理剤)による離型処理層(剥離処理層)を少なくとも一方の表面に有する基材の他、フッ素系ポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体、クロロフルオロエチレン・フッ化ビニリデン共重合体等)からなる低接着性基材や、無極性ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系樹脂など)からなる低接着性基材などが挙げられる。なお、低接着性基材では、両面を離型面として利用することができ、一方、離型処理層を有する基材では、離型処理層表面を離型面(離型処理面)として利用することができる。
カバーフィルムとしては、例えば、カバーフィルム用基材の少なくとも一方の面に離型処理層が形成されているカバーフィルム(離型処理層を有する基材)を用いてもよいし、カバーフィルム用基材をそのまま用いてもよい。
カバーフィルム用基材としては、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム等)、オレフィン系樹脂フィルム(ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等)、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロンフィルム)、レーヨンフィルムなどのプラスチック系基材フィルム(合成樹脂フィルム)や、紙類(上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙など)の他、これらを、ラミネートや共押し出しなどにより、複層化したもの(2〜3層の複合体)等が挙げられる。カバーフィルム用基材としては、透明性の高いプラスチック系基材フィルム(特に、ポリエチレンテレフタレートフィルム)が用いられたカバーフィルム用基材が特に好ましい。
離型処理剤としては、任意の適切な離型処理剤を採用し得る。離型処理剤としては、例えば、シリコーン系離型処理剤、フッ素系離型処理剤、長鎖アルキル系離型処理剤などが挙げられる。離型処理剤は、1種のみであっても良いし、2種以上であっても良い。なお、離型処理剤により離型処理が施されたカバーフィルムは、例えば、任意の適切な形成方法により、形成され得る。
カバーフィルムの厚みとしては、任意の適切な厚みを採用し得る。カバーフィルムの厚みとしては、取り扱い易さと経済性の点から、例えば、好ましくは12〜250μmであり、より好ましくは20〜200μmである。
カバーフィルムは、単層、積層の何れの形態を有していてもよい。
≪2−4.重合工程≫
重合工程は、シロップ状の重合性組成物層(a)を重合する工程である。重合工程における重合方法は、重合性モノマーの重合を行うことができる方法であれば、任意の適切な方法を採用することができる。
重合工程における重合方法としては、例えば、光照射による重合方法が挙げられる。光照射における重合方法における、光源、照射エネルギー、照射方法、照射時間等については、任意の適切な装置や条件を採用し得る。
光照射に用いる活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、中性子線、電子線などの電離性放射線や、紫外線などが挙げられる。特に好ましくは紫外線である。なお、活性エネルギー線の照射エネルギー、照射方法、照射時間等については、任意の適切な装置や条件を採用し得る。
活性エネルギー線の照射としては、具体的には、例えば、ブラックライトランプ、ケミカルランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどによる紫外線の照射が挙げられる。
重合工程においては、加熱を施すことができる。加熱は、任意の適切な加熱方法を採用し得る。加熱方法としては、例えば、電熱ヒーターを用いた加熱方法、赤外線等の電磁波を用いた加熱方法などが挙げられる。
≪≪3.ポリマー部材の形態≫≫
本発明のポリマー部材の形態としては、任意の適切な形態を採用し得る。本発明のポリマー部材の形態としては、例えば、シート状やテープ状が挙げられる。本発明のポリマー部材は、シート状やテープ状のものがロール状に巻回された形態を有していてもよい。また、本発明のポリマー部材は、シート状やテープ状のものが積層された形態を有していてもよい。
本発明のポリマー部材は、ポリマー(X)に粘着性を付与することにより、粘着テープまたは粘着シートとして用いることができる。なお、「テープ」と「シート」を総称して単に「テープ」あるいは「シート」と称する場合がある。
本発明のポリマー部材に、任意の適切な粘着剤(例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、ビニルアルキルエーテル系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ポリアミド系粘着剤、ウレタン系粘着剤、フッ素系粘着剤、エポキシ系粘着剤など)により構成される粘着剤層をさらに設けることによって、本発明のポリマー部材を粘着テープまたは粘着シートとして用いることができる。
本発明のポリマー部材は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の層を有していてもよい。
本発明のポリマー部材の表面は、カバーフィルムで保護されていてもよい。本発明のポリマー部材を使用する際、カバーフィルムは、剥がされてもよいし、あるいは剥がされることなくそのままの状態を維持し、本発明のポリマー部材の一部を構成していてもよい。
≪≪4.耐シガレット性物品≫≫
耐シガレット性物品は、本発明のポリマー部材を、被着体に貼り合せたものであり、高度の難燃性を有するとともに、優れた耐シガレット性を有する。被着体としては、例えば、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材などを用いることができる。本発明のポリマー部材は被着体の少なくとも一部に貼り合せられる。なお、被着体はシートの少なくとも一方の面に図柄層が設けられた印刷物であってもよいし、意匠性を有するものであってもよい。
本発明のポリマー部材は、透明性に非常に優れているので、被着体の意匠性を確保しながら、被着体を耐シガレット化することができる。したがって、本発明のポリマー部材を用いると、被着体の意匠性を十分に発現することができ、意匠性に優れた耐シガレット性物品を提供し得る。
被着体の紙としては、例えば、上質紙、和紙、クラフト紙、グラシン紙、合成紙、トップコート紙などが挙げられる。
被着体の木材としては、例えば、樫、桐、欅、チーク、ローズウッドなどの広葉樹;杉、檜、松、ヒバなどの針葉樹;集成材;合板;などが挙げられる。
被着体のプラスチック材としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート等)、オレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等)、塩化ビニル樹脂、エポキシ樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、AS樹脂などが挙げられる。
本発明のポリマー部材と印刷物を積層する際は、任意の適切な粘着剤を、任意の適切な塗布方法によって塗布して貼り合わせても良いし、本発明のポリマー部材が粘着性を有する場合は、そのまま印刷物に張り合わせてもよい。本発明のポリマー部材と印刷物を張り合わせる方法としては、例えば、ラミネーターを用いて貼り合わせる方法が挙げられる。このようにして得られた耐シガレット化された印刷物は、本発明のポリマー部材が積層された面の反対面に貼着層を設けて、貼着層を介して、鉄道車両などの壁面やガラス面、また、住宅などの壁面や化粧板やガラス面などに貼着され得る。
本発明のポリマー部材は、例えば、建材として、在来軸組工法や枠組壁工法などの木造住宅、鉄筋コンクリート造住宅、軽量鉄骨造や重量鉄骨造の鉄骨造住宅、プレハブ工法住宅などの一般住宅や、超高層マンション、高層マンション、中低層マンション、アパートなどの集合住宅、喫茶店、レストラン、オフィスビル、デパート、スーパー、屋内駐車場、映画館、ホテル、各種スポーツ施設、体育館、コンサートホール、ドーム型の野球場やサッカー場、室内サッカー場、室内プール、工場建屋などの大型建造物や公共施設の外壁材、外壁仕上げ材、内壁材、内壁仕上げ材、壁断熱材、天井材、天井仕上げ材、屋根材、床材、床仕上げ材、間仕切り材、浴室の壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、キッチンの壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、トイレの壁材や床材や天井材やそれらの仕上げ材、柱材や柱保護材、トイレや室内や玄関や襖など各種の扉の内部材や表面仕上げ材、間仕切り材、カーテン、特にキッチンの壁材や天井材、クリーンルームの間仕切りなどに好適に用いることができる。また、排気ダクトや防火戸や防火シャッターなど防火設備の内部材あるいは表面仕上げ材、テーブルなど家具の表面仕上げ材、扉の表面仕上げ材、窓ガラスの表面仕上げ材、テーブルなど家具の表面仕上げ材、窓ガラス、鏡、タイルなどの飛散防止材や表面仕上げ材、また、看板や電子看板の表面仕上げ材、ロールスクリーンなどに用いることができる。また、船舶や航空機、自動車、鉄道車両のボディ保護材、内外の壁材、天井材、屋根材、床材、また、鉄道車両内外に貼着される印刷物の表面保護材、インクジェットメディア材の表面保護材、他にも太陽電池の外部保護材や内部保護材、リチウムイオンバッテリーなどの電池用保護材、電気機器内部のパーテーションなどの電気・電子機器部材に用いることができる。さらに、灰皿周辺具、ゴミ箱の表面仕上げ材、パチンコ台の前面パネルや筐体保護材としても用いることができる。さらに、透明性、耐シガレット性を有している点から、飲食店のカウンター、広告などの意匠物の保護にも用いることができる。
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
なお、以下の各例で用いた、カバーフィルム、基材フィルムは、いずれも、片面がシリコーン系離型処理された、厚さ38μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「MRN38」、三菱化学ポリエステルフィルム株式会社製)を用いた。
〔合成例1〕(層状無機系化合物を含むシロップ(a−1)の調製)
1,6−ヘキサンジオールジアクリレート:100重量部に、層状粘土鉱物(商品名「ルーセンタイトSPN」、コープケミカル社製、形状:平板状):30重量部を加え、室温(25℃)で24時間静置することによって、層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物(白濁)を得た。その後、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物に、超音波分散機(日本精機社製)により、500mWの照射強度で超音波を3分間照射して、層状無機系化合物を含むシロップ(a−1)を調製した。なお、該超音波処理により、該層状粘土鉱物を加えたモノマー混合物は透明になった。
〔実施例1〕
シロップ(a−1):100重量部に光重合開始剤(商品名「イルガキュア819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.5重量部を均一に混合したシロップ組成物を、ガラスクロス(商品名「E10T」、ユニチカ社製、厚み:100μm)の両面に、硬化後の厚さが50μmとなるように塗布し、シロップ組成物層を形成させた。そして、該層上に、離型処理された面が接する形態で上記カバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、該層を硬化させて、耐シガレット性ポリマーシート(1)を作製した。
〔比較例1〕
シロップ(a−1):100重量部に光重合開始剤(商品名「イルガキュア819」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製):0.5重量部を均一に混合したシロップ組成物を、上記基材フィルムの剥離処理された面に、硬化後の厚さが100μmとなるように塗布し、シロップ組成物層を形成させた。そして、該層上に、離型処理された面が接する形態で上記カバーフィルムを貼り合わせ、ブラックライトを用いて紫外線(照度:5mW/cm)を両面から同時に5分間照射し、該層を硬化させて、ポリマーシート(C1)を作製した。
実施例および比較例のポリマーシートについて下記評価を行なった。結果を表1に示す。
<透明性>
ポリマーシートの両面のカバーフィルムおよび基材フィルムを剥がして、ヘイズメーター(株式会社村上色彩技術研究所社製「HM‐150」)を用いて、JIS7361に準じて、全光線透過率、ヘイズ値(HAZE値)を測定した。
<耐シガレット性>
下部への熱伝導を防ぐため、4つ折りにしたケイドライ(日本製紙クレシア製)の上にコピー用紙であるホワイトエコノミー314−048(Biznet社製)(これを下地とする)を置き、その上に両面のカバーフィルムおよび基材フィルムを剥がしたポリマーシートをポリマー層が上面となるように置き、該ポリマーシート上に火のついたタバコを30秒程度寝かせておいた。その後、タバコの灰を水のついたケイドライで拭き取り、下記の基準にて評価を行なった。評価が○および△の場合を、本発明において「耐シガレット性あり」とした。
○:ポリマーシート表面に焦げ跡がなく、下地にも焦げが無い。
△:ポリマーシート表面に焦げ跡が目視で確認できるが、下地には焦げが無い。
×:ポリマーシートに穴があき、下地が焦げている。
<発熱性試験>
ISO 5660−1 コーンカロリーメーター法に準拠して、発熱性試験を行った。試験時の総発熱量、発熱速度200kW/m以上継続時間、試験後のポリマーシートの外観(目視)を評価した。試験後のポリマーシートの外観の評価基準は下記の通りとした。
○:破れなし。
×:破れあり。
Figure 2012131052
実施例1のポリマーシートは、高度の難燃性を有するとともに、透明性、フレキシブル性に優れており、各種の被着体に貼り合わされることにより、各種被着体に耐シガレット性を付与できることが分かる。
本発明のポリマー部材は、各種の被着体に貼り合わされることにより、各種被着体に耐シガレット性を付与することができる。
100 ポリマー部材
B ポリマー層
L 無機基材
X ポリマー
f 層状無機系化合物

Claims (11)

  1. 無機基材の少なくとも一方の面にポリマー層を有するポリマー部材であって、
    該ポリマー層は、ポリマー(X)中に層状無機系化合物(f)を含有し、
    該ポリマー(X)が架橋ポリマーを含む、
    耐シガレット性を有するポリマー部材。
  2. 前記無機基材が繊維状無機基材である、請求項1に記載のポリマー部材。
  3. 前記繊維状無機基材がガラスクロスである、請求項2に記載のポリマー部材。
  4. 前記ポリマー部材を前記ポリマー層が上面となるように水平に設置し、該ポリマー部材の上面に火のついたタバコを30秒間寝かせて置き、その後、該タバコを取り除き、該上面を拭き取ったときの該上面の焦げと穴あきの有無を調べる、耐シガレット性試験において、耐シガレット性を有する、請求項1から3までのいずれかに記載のポリマー部材。
  5. 前記架橋ポリマーは、多官能性モノマーを含む重合性モノマーを重合して得られる、請求項1から4までのいずれかに記載のポリマー部材。
  6. 前記重合性モノマー中の多官能性モノマーの含有割合が5〜100重量%である、請求項5に記載のポリマー部材。
  7. 前記ポリマー層が、多官能性モノマーを含む重合性モノマー(m)と層状無機系化合物(f)を含む重合性組成物(α)から形成されるシロップ状の重合性組成物層(a)の重合を行うことにより得られる、請求項1から6までのいずれかに記載のポリマー部材。
  8. 請求項1から7までのいずれかに記載のポリマー部材が、被着体に貼り合わされている、耐シガレット性物品。
  9. 前記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である、請求項8に記載の耐シガレット性物品。
  10. 請求項1から7までのいずれかに記載のポリマー部材を被着体に貼り合わせることで該被着体を耐シガレット化させる、被着体の耐シガレット化方法。
  11. 前記被着体が、紙、木材、プラスチック材、金属、石膏ボード、ガラス、またはこれらを含んでなる複合材である、請求項10に記載の被着体の耐シガレット化方法。
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