JP4061809B2 - 自動車用ドアロック装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車用ドアロック装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車用ドアロック装置の一形式として、特公平7−103735号公報にて提案されているように、自動車のボデー側に設けた掛止手段(ストライカ)とドア側に設けた被掛止手段(ラッチとポール等)とからなる掛止部の掛止状態を解除不能なロック状態と解除可能なアンロック状態とに選択的に構成する作動機構を備えた形式の自動車用ドアロック装置がある。
【0003】
また、当該形式のドアロック装置には、運転席側からのドアの開放操作を容易にするため、掛止部の掛止状態が解除不能なロック状態にある場合、ドアの車内側に設けたインサイドハンドルをドア開操作することにより、掛止部の掛止状態が解除可能なアンロック状態(ロック状態をキャンセルするキャンセル作動)に形成し、同時に掛止部の掛止状態を解除状態(ドアを開放し得るオープン作動)にし得る、所謂、ワンモーション機能を有する形式のドアロック装置がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記したワンモーション機能を有する形式のドアロック装置においては、一般に、インサイドハンドルの開操作によりキャンセル作動とオープン作動を同一の機能部材または複数の機能部材を関連させて略同時に行うように構成されていて、ワンモーション作動を行うには瞬間的に大きな操作力を必要とする。このため、当該ドアロック装置においては、ワンモーション作動を行うべきインサイドハンドルの開操作においても、開操作には瞬間的に大きな操作力が必要となる。
【0005】
従って、本発明の目的はかかる問題に対処することにあり、特に、キャンセル作動とオープン作動をそれぞれ異なる機能部材で、互いに関連を断った状態で順次行うことにより、インサイドハンドルの開操作において、瞬間的に大きな操作力が不要なドアロック装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は自動車用ドアロック装置に関し、特に、自動車のボデー側に設けた掛止手段とドア側に設けた被掛止手段からなる掛止部の掛止状態を解除不能なロック状態と解除可能なアンロック状態とに選択的に構成する作動機構を備えてなる形式の自動車用ドアロック装置を適用とするものである。
【0007】
しかして、本発明に係る自動車用ドアロック装置は上記した形式のドアロック装置であって、前記作動機構を、インサイドハンドルの開操作により回動動作するインサイドレバーと、このインサイドレバーから伝達される操作力により動作して前記掛止部の掛止状態をロック状態およびアンロック状態に選択的に形成するオープンリンクと、このオープンリンクを動作方向において係合可能に支持し前記インサイドレバーから伝達される操作力により回動動作して前記掛止部の掛止状態をロック状態に形成する動作位置にある前記オープンリンクをアンロック状態に形成する動作位置へ変更させるキャンセルレバーを備え、前記インサイドレバーからの操作力が先ず前記インサイドレバーから前記オープンリンクに向けて伝達されることなく前記インサイドレバーから前記キャンセルレバーに伝達され、次いで前記インサイドレバーから前記オープンリンクに伝達されるように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係る自動車用ドアロック装置においては、前記オープンリンクは、アンロック状態に形成する動作位置にあるとき、前記インサイドレバーから伝達される操作力により解除動作して前記掛止部の掛止状態を解除させるように構成されている。
【0009】
【発明の作用・効果】
本発明に係る自動車用ドアロック装置においては、ドア内側から入力される操作力を伝達するインサイドレバーからの操作力は、先ずインサイドレバーからオープンリンクに向けて伝達されることなくインサイドレバーからキャンセルレバーに伝達されてキャンセル作動がなされ、次いでインサイドレバーからオープンリンクに伝達されてオープン作動がなされる。このワンモーション作動は、キャンセル作動とオープン作動を、それぞれ異なる機能部材を利用して、両機能部材の関連を断った状態で順次行われるものであり、インサイドハンドルの開操作時の操作力はキャンセル作動とオープン作動の操作力としてそれぞれ異なる機能部材に伝達されることから、インサイドハンドルの開操作には、瞬間的に大きな操作力は不要となる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図面に基づいて説明すると、図1は本発明の一例に係る自動車用ドアロック装置を分解した斜視図、図2は図1の一部分を示す拡大斜視図、図3は図1の他の一部分を示す拡大斜視図、図4は同ドアロック装置の一部縦断正面図、図5は同ドアロック装置の図4の矢印5−5線方向における縦断面図、図6は同ドアロック装置の図4の矢印6−6線方向における横断面図、図7は同ドアロック装置のアンロック状態における一部の構成部材の動作状態を示す側面図、図8は同ドアロック装置のロック状態における一部の構成部材の動作状態を示す側面図である。なお、図1に示す各矢印方向は、自動車の車体を基準とする前後方向、上下方向、および内外方向を示している。
【0012】
当該ドアロック装置はドアの内部に配設されるもので、ハウジング10内に第1作動機構20および第2作動機構30を収容して構成されている。ハウジング10は、ハウジング本体11と、第1カバー体12と、第2カバー体13からなるもので、ハウジング本体11は、内側に開口する皿状の第1ケース部11aおよび第1ケース部11aとは直交して後側に開口する皿状の第2ケース部11bを有し、第1ケース部11aの開口部側には第1カバー体12が取付けられ、かつ、第2ケース部11bの開口部側には第2カバー体13が取付けられている。これにより、第1ケース部11aの開口部は第1カバー体12にて閉塞され、かつ、第2ケース部11bの開口部は第2カバー体12にて閉塞されている。
【0013】
ハウジング10においては、ハウジング本体11の第1ケース部11aと第1カバー体12間の内部に、アクチュエータである後述する電動モータ25への給電用プレート14が配設されているとともに、第1作動機構20の各構成部材が配設されている。また、ハウジング本体11の第2ケース部11bと第2カバー体13間の内部に、サブベースプレート15が配設されているとともに、第2作動機構30の各構成部材が配設されている。第2カバー体13の後側の開口部側にはベースプレート16が取付けられて、ベースプレート16が同開口部を閉塞している。第2カバー体13とベースプレート16間の内部には、被掛止機構40の各構成部材が配設されている。
【0014】
第1作動機構20を構成する第1インサイドレバー21は、本発明における伝達手段に該当するもので、第1カバー体12の内面側に支持ピン21aを介して、上下方向かつ前後方向へ回動可能に取付けられている。また、第1カバー体12の外面側には、第2インサイドレバー51が同一の支持ピン21aを介して、上下方向かつ前後方向へ回動可能に取付けられている。第1インサイドレバー21は内側に向けて突出する係合突起部21bを備え、係合突起部21bは第1カバー体12の円弧状孔12aを貫通して第2インサイドレバー51の連結孔51aに係合して、第1インサイドレバー21を第2インサイドレバー51に一体的に連結している。
【0015】
また、第1インサイドレバー21は外側に向けて突出する係合突起部21cを備え、係合突起21cは図8の状態で第1インサイドレバー21が時計方向に回動した際にキャンセルレバー22と係合してキャンセルレバー22を時計方向へ回動させる。第2インサイドレバー51は、ドアの車内側に設けた図示しないインサイドハンドルに連結するインサイドケーブル52に連結されていて、インサイドハンドルの開方向への操作(開操作)により図1、図2及び図7の図示時計方向へ回動し、第1インサイドレバー21を同方向へ回動させる。
【0016】
キャンセルレバー22は、本発明における動作位置変更手段に該当するもので、第1カバー体12に一体的に形成した支持ピン22aを介して、第1カバー体12の内面側に回動可能に取付けられているもので、その外側に係合ピン22bを備えている。係合ピン22bは、キャンセルレバー22の外側に位置するオープンリンク23のくの字状に屈曲する第1係合溝23aに挿入されている。
【0017】
オープンリンク23は、本発明のおける操作手段に該当するものでキャンセルレバー22の外側に位置し、後述するアクティブレバー27の係合ピン27bが挿通する長孔状の第2係合溝23b、第1インサイドレバー21の先端部が当接して係合するL字状の係合片部23c、および、後述するオープンレバー31に連結されるための連結部23dを備えていて、キャンセルレバー22、アクティブレバー27、およびオープンレバー31にて支持されている。
【0018】
ロッキングレバー24は、ハウジング本体11に一体的に形成した支持ピン24c(図4参照)を介して、ハウジング本体11の第1ケース部11aの内面側に上下方向かつ前後方向へ回動可能に取付けられているもので、ロッキングケーブル53の取付孔24a、および、後述するアクティブレバー27の係合ピン27bが挿通する長孔状の係合溝24bを備えている。ロッキングケーブル53は、ドアの車内側に設けた図示しないロックノブに連結されているもので、ロックノブがロック操作された場合、その操作力をロッキングレバー24に伝達して、ロッキングレバー24を図1の図示時計方向へ回動させる。
【0019】
電動モータ25は、電動式アクチュエータであって、第1作動機構20に対する操作力を出力すべく機能する。電動モータ25は、第1カバー体12の内面側に取付けられている。電動モータ25はその出力軸にウォーム25aを備え、ウォーム25aにはホイールギヤ26が噛合している。
【0020】
ホイールギヤ26は、電動モータ25の出力部に該当するもので、その外側に前後一対の係合ピン26a,26bを備えていて、第1カバー体12の内面側(第1カバー体12に一体的に形成した支持ボス26c)に回転可能に支持されている。両係合ピン26a,26bは、ホイールギヤ26の回転中心を挟んで前後に所定間隔を保持して配置されている。ホイールギヤ26の各係合ピン26a,26bは、アクティブレバー27の係合凹所(カム凹所)27cに臨んでいる。
【0021】
アクティブレバー27は、ホイールギヤ26とオープンリンク23間に位置していて、第1カバー体12に一体的に形成した支持ボス27fを介して、第1カバー体12の内面側に回動可能に支持されている。アクティブレバー27のレバー本体27aには、その外側に突出する係合ピン27bを備えるとともに、その内面側に開口する係合凹所27cを備え、また、レバー本体27aの上端部にはバネ特性を有する突起部27dを備えるとともに、レバー本体27aの突起部27dとの境界部には緩衝ゴム27eを備えている。
【0022】
アクティブレバー27においては、係合ピン27bをオープンリンク23の第2係合溝23bおよびロッキングレバー24の係合溝24bを貫通させていて、係合凹所27cにはホイールギヤ26の各係合ピン26a,26bが臨んでいるとともに、突起部27dの先端が第1カバー体12の内側縁部の周面に弾撥的に当接している。アクティブレバー27の係合凹所27cは、ホイールギヤ26が正逆回転した際、前側ピン26aおよび後側ピン26bが選択的に係合して、アクティブレバー27を図示時計および反時計方向へ回動させる形状に形成されている。アクティブレバー27の突起部27dの先端は、アクティブレバー27が回動する際、第1カバー体12の内側縁部の周面を摺動して移動し、同周面上に前後に設けた係合凹所12b,12c(図7参照)に選択的に係合する。この際、緩衝ゴム27eはハウジング本体11の第1ケース部11aの内面側に設けた各ストッパ11c,11dに選択的に当接する。
【0023】
キーレバー28は、円柱状の柱状本体28aとそれに一体に設けたレバー部28bとからなるもので、ハウジング本体11の第1ケース部11aに一体的に形成した支持ボス28eと第1カバー体12に一体的に形成した支持ボス28fとにアイドルレバー29とともに回転自在に支持されており、柱状本体28aには図示しないキーシリンダから突出する突片の先端部が嵌合する嵌合溝28cを備えるとともに、レバー部28bの背面にはアイドルレバー29に設けた円弧状の係合溝29aに挿入される係合ピン28dを備えている。キーレバー28は、キーブレード(図示省略)によってキーシリンダを回動操作することにより回動し、係合ピン28dを介してアイドルレバー29を回動させ、アイドルレバー29に一体的に形成した連結ピン29bを介してアクティブレバー27を図示時計方向および反時計方向へ選択的に回動させる。
【0024】
第2作動機構30の各構成部材は、ハウジング本体11の第2ケース部11bと第2カバー体13間にてその内部に配設されている。第2作動機構30を構成するオープンレバー31は、第2ケース部11bとサブベースプレート15間にて、支持ピン31aおよびトーションスプリング31bを介して、第2ケース部11bとサブベースプレート15に上下方向かつ内外方向へ回動可能に支持されている。オープンレバー31の一方の回動端部31cには、ドアの車外側に設けた図示しないアウトサイドハンドルに連結するアウトサイドリンクが連結され、かつ、他方の回動端部31dには、オープンリンク23の連結部23dが嵌着されて連結されている。オープンレバー31は、アウトサイドハンドルの開方向への操作(開操作)により、トーションスプリング31bに抗して図4の反時計方向へ回動する。リフトレバー32は、第2カバー体13とブッシュ33を貫通して延びる後述するポール42の軸部42bの外周に一体回転可能に嵌合していて、その周縁部に設けた係合片32aがオープンリンク23の係合片部23cの上端縁の上方に臨んでいる。
【0025】
被掛止機構40は、ラッチ41、ポール42、および、これらをそれぞれ付勢する一対のトーションスプリング43,44を備えているもので、第2カバー体13とベースプレート16間にてその内部に配設されている。ラッチ41は、本発明における被掛止手段に該当するもので、サブベースプレート15と第2カバー体13とベースプレート16を貫通してサブベースプレート15とベースプレート16によって支持された支持ピン41aを介して、第2カバー体13とベースプレート16間にて回転可能に支持されていて、支持ピン41aの外周に嵌合されたトーションスプリング43の一端が掛止されている。トーションスプリング43の他端は第2カバー体13側に掛止されていて、ラッチ41の回転を所定の力で規制し、ラッチ41が回転した際にはラッチ41を回転復帰すべく付勢する。ラッチ41は、トーションスプリング43の作用にて、その掛止溝41bの開口部がベースプレート16に設けた挿入溝16aの開口部に略一致するように保持されている。
【0026】
ポール42は、ブロック状のポール本体42aと、ポール本体42aに略直交して延びる軸部42bからなるもので、軸部42bは第2カバー体13とサブベースプレート15とブッシュ33を貫通してハウジング本体11の第2ケース部11b内に臨んだ状態で、ブッシュ33を介してサブベースプレート15に、かつ、ブッシュ34を介してベースプレート16に回転可能に支持されている。ポール42の軸部42bには、ポール本体42aとサブベースプレート15間の中間部位の外周にトーションスプリング44が嵌合し、かつ、その先端の部位にリフトレバー32が一体回転可能に嵌着(図5に示したように嵌合後にカシメ固定)されている。トーションスプリング44は、その一端をポール42側に掛止されかつ他端をサブベースプレート15側に掛止されていて、ポール42の回転を所定の力で規制するとともに、ポール42が回転した際にはポール42を回転復帰すべく付勢する。ポール42は、ポール本体42aをラッチ41の外周に当接させている。
【0027】
ラッチ41は、車体のボデー側に設けたストライカ45がベースプレート16の挿入溝16aを通して相対的に進入した際には、ストライカ45の押動作用にてトーションスプリング43に抗して回転しつつストライカ45を受け入れ、この間、ポール42はラッチ41の外周に摺接しつつ外周の掛止部41cに相対的に移行して、同掛止部41cに掛止される。これにより、ラッチ41は、ストライカ45を受け入れた回転状態でポール42により保持され、ストライカ45を掛止するとともにこの掛止状態を保持する。この状態では、ドアは閉止状態にある。
【0028】
ラッチ41は、この掛止状態では、トーションスプリング43にて復帰方向へ付勢されており、リフトレバー32が回動されてポール42が回転しラッチ41の掛止部41cから離脱した際には、トーションスプリング43の付勢力で回動復帰するとともに、掛止溝41bの開口部がベースプレート16に設けた挿入溝16aの開口部に一致する方向へ回転する。この状態では、ストライカ45はラッチ41の掛止溝41bおよびベースプレート16に設けた挿入溝16aから退出可能である。ドアは、この状態では開放可能である。ポール42は、ラッチ41とストライカ45とを掛止状態および非掛止状態を選択的に構成すべく機能するもので、トーションスプリング44に抗して回転操作されると、ラッチ41の掛止部41cから離脱してラッチ41とストライカ45との掛止状態を解除する。
【0029】
当該ドアロック装置においては、ラッチ41とストライカ45の掛止状態の解除が不能なロック状態を構成する作動、ラッチ41とストライカ45の掛止状態の解除が可能なアンロック状態を構成する作動、および、アンロック状態においてドアを開閉操作する場合の作動を、下記の8通りの例について説明する。
【0030】
第1の作動は、当該ドアロック装置が図7に示すアンロック状態にある場合、車内でのインサイドハンドル操作によりドアを開放可能とする作動である。当該ドアロック装置において、インサイドハンドルを開操作すると、インサイドケーブル52を介して第2インサイドレバー51が図1の時計方向に回動して第1インサイドレバー21を図7の時計方向へ回動させる。第1インサイドレバー21の図7の時計方向への回動時、その先端部がオープンリンク23の係合片部23cの下面に係合してオープンリング23を上方へ押し上げ、オープンリンク23は係合片部23cの上端縁部をリフトレバー32の係合片32aに係合させてリフトレバー32を回転させ、リフトレバー32はポール42を回転させてラッチ41の掛止部41cから離脱させる。
【0031】
これにより、ラッチ41はポール42による回転規制を解除されてトーションスプリング43の付勢力により回動復帰し、ドアを開放させる力によりラッチ41がストライカ45から離間する方向へ移動すると、ラッチ41は回動復帰しつつストライカ45との掛止状態を解除してストライカ45から引き離される。すなわち、インサイドハンドルの開操作により、ラッチ41とストライカ45との掛止状態を解除してドアを開放させることができる。
【0032】
第2の作動は、当該ドアロック装置が図7に示すアンロック状態にある場合、車外でのアウトサイドハンドル操作によりドアを開放可能とする作動である。当該ドアロック装置において、アウトサイドハンドルを開操作すると、オープンレバー31がトーションスプリング31bに抗して回動してオープンリンク23を上方へ押し上げ、図9に示すように、オープンリンク23は係合片部23cの上端縁部をリフトレバー32の係合片32aに係合させてリフトレバー32を回転させ、リフトレバー32はポール42を回転させてラッチ41の掛止部41cから離脱させる。
【0033】
これにより、ラッチ41はポール42による回転規制を解除されてトーションスプリング43の付勢力により回動復帰し、ドアを開放させる力によりラッチ41がストライカ45から離間する方向へ移動すると、ラッチ41は回動復帰しつつストライカ45との掛止状態を解除してストライカ45から引き離される。すなわち、アウトサイドハンドルの開操作により、ラッチ41とストライカ45との掛止状態を解除してドアを開放させることができる。
【0034】
第3の作動は、車内でのロックノブ操作により、ラッチ41とストライカ45の掛止状態の解除が不能となるロック状態を構成する作動である。当該ドアロック装置が図7に示すアンロック状態にある場合、ロックノブのロック操作によりロッキングケーブル53が操作されるとロッキングレバー24が回動して、アクティブレバー27が図示反時計方向に回動してオープンリンク23をオープンレバー31との連結部を支点として、図7に示すアンロック位置(アンロック状態を形成する動作位置)から図8に示すロック位置(ロック状態を形成する動作位置)へ傾動(移動)させる。このため、インサイドハンドルやアウトサイドハンドルの開操作によってオープンリンク23を図10に示すように移動させても、オープンリンク23はリフトレバー32とは係合せず、リフトレバー32およびポール42は回転しない。この結果、インサイドハンドルやアウトサイドハンドルが開操作されても、ラッチ41とストライカ45との掛止状態が解除可能なアンロック状態は構成されず、ロック状態が保持されてドアが開放されることはない。
【0035】
第4の作動は、車外でのキーブレードによるキーシリンダの回動操作により、当該ドアロック装置をロック状態、およびアンロック状態に構成する作動である。当該ドアロック装置において、キーブレードによりキーシリンダを回動操作すると、キーレバー28が回動して、アイドルレバー29を介してアクティブレバー27を図7に示す位置と図8に示す位置とに選択的に回動させる。これにより、アクティブレバー27はオープンリンク23を、図7に示すアンロック位置と図8に示すロック位置とに選択的に移動させる。このため、キーブレードによるキーシリンダの回動操作により、ラッチ41とストライカ45との掛止状態を、アウトサイドハンドルの開操作によって解除可能なアンロック状態と、解除不能なロック状態とに選択的に構成することができる。
【0036】
第5の作動は、例えば、キーブレードに設けたロック・アンロックスイッチの車外でのリモコン操作等により、電動モータ25を駆動させて当該ドアロック装置をロック状態およびアンロック状態に構成する作動である。当該ドアロック装置において、キーブレードのロック・アンロックスイッチを操作すると、電動モータ25が回転してウォーム25aを介してホイールギヤ26を所定量回転させ、ホイールギヤ26は正逆回転時、係合ピン26a,26bのいずれかをアクティブレバー27の係合凹所27cの一部に選択的に係合させて、アクティブレバー27を図7に示す位置と図8に示す位置とに回動させる。これにより、アクティブレバー27はオープンリンク23を、図7に示すアンロック位置と図8に示すロック位置とに選択的に移動させる。このため、キーブレードのロック・アンロックスイッチの操作により、ラッチ41とストライカ45との掛止状態を、アウトサイドハンドルの開操作によって解除可能なアンロック状態と、解除不能なロック状態とに選択的に構成することができる。
【0037】
第6の作動は、ドアを開放した状態でロックノブの手動操作で当該ドアロック装置をロック状態に構成して、アウトサイドハンドル、インサイドハンドル等のドアハンドルを操作することなくドアを閉操作した場合の作動(キャンセル作動)である。当該ドアロック装置においては、ドアが閉じる際、ストライカ45によってラッチ41が回動されるのに伴ってポール42が回転して、リフトレバー32を図11の2点鎖線に示す位置から実線で示す位置に回動させ、キャンセルレバー22を図11の2点鎖線に示す位置から実線で示す位置に回動させる。このため、キャンセルレバー22は、係合ピン22bを介して、2点鎖線で示すロック位置にあるオープンリンク23を実線で示すアンロック位置に移動させる。これにより、ラッチ41とストライカ45との掛止状態が解除可能なアンロック状態となり、その後のアウトサイドハンドル、インサイドハンドル等のドアハンドルの開操作によってドアを開けることができる。
【0038】
第7の作動は、ドアを開放した状態でロックノブの手動操作で当該ドアロック装置をロック状態に構成し、かつ、アウトサイドハンドルを開操作した状態にてドアを閉操作した場合の作動(キーレスロック作動)である。当該ドアロック装置においては、ロック状態でアウトサイドハンドルが開操作されている状態では、図12に示すように、オープルレバー31が回動されてオープンリンク23が上方へ押されており、キャンセルレバー22の係合ピン22bがオープンリンク23における第1係合溝23aの下方部位にてフリーな状態にある。
【0039】
このため、この状態でドアを閉めると、ストライカ45によってラッチ41が回動されるのに伴ってポール42とリフトレバー32が回動して、キャンセルレバー22を図12の時計方向へ回動するが、キャンセルレバー22の係合ピン22bはオープンリンク23の第1係合溝23a内で空振りして、オープンリンク23をアンロック位置へ移動させることはなく、オープンリンク23はロック位置に保持される。従って、ドアを閉じた際には、当該ドアロック装置を、ラッチ41とストライカ45との掛止状態を解除不能なロック状態に構成することができる。なお、ドアを閉じた後にアウトサイドハンドルの開操作をやめると、図12に示した状態から図8に示した状態となってロック状態が維持される。
【0040】
第8の作動は、当該ドアロック装置がラッチ41とストライカ45との掛止状態が解除不能なロック状態にある場合、インサイドハンドルを開操作することにより、ロック状態のキャンセル作動とドアの開放作動が連続して行える作動(ワンモーション作動)である。当該ドアロック装置においては、インサドハンドルを開操作すると、第2インサイドレバー51および第1インサイドレバー21が一体に回動して、先ず、第1インサイドレバー21の係合突起21cがキャンセルレバー22を回動させて、図13の2点鎖線で示すロック位置にあるオープンリンク23を実線で示すアンロック位置に移動させるとともに、アクティブレバー27およびアイドルレバー28を図13の2点鎖線で示すロック位置から実線で示すアンロック位置に回動させ、その後、第1インサイドレバー21によりオープンリンク23が押し上げられてリフトレバー32を回動させて、ポール42を回転させる。これにより、ドアを開放することができる。
【0041】
このように、当該ドアロック装置においては、第1作動機構20および第2作動機構30の全ての構成部材を閉鎖状態にあるハウジング10内に収容していて、ハウジング10外へは露出させない構造として、作動機構20,30の各構成部材がドアの隙間を通して外部から操作されることがないようにし、かつ、各構成部材がドア内に侵入する水に曝されることがないようにしている。
【0042】
ところで、当該ドアロック装置においては、ラッチ41とストライカ45との掛止状態が解除不能なロック状態にある場合にインサイドハンドルを開操作するワンモーション作動では、インサイドハンドルの操作力を出力する第1インサイドレバー21は、先ずキャンセルレバー22を回動させてキャンセル作動(オープンリンク23の傾動)とアクティブレバー27およびアイドルレバー28の回動を行い、その後にアクティブレバー27およびアイドルレバー28とは自由状態でオープンリンク23を押し上げてオープン作動を行う。
【0043】
当該ワンモーション作動は、キャンセル作動とオープン作動を、キャンセルレバー22(キャンセル機能部材)、アクティブレバー27およびアイドルレバー28とオープンリンク23(オープン機能部材)というそれぞれ異なる機能部材を利用して、これらの機能部材の関連を断った状態で順次行われるものであり、インサイドハンドルの開操作時の操作力はキャンセル作動とオープン作動の操作力としてそれぞれ異なる機能部材に伝達されることから、インサイドハンドルの開操作には、瞬間的な大きな操作力は不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一例に係るドアロック装置の分解斜視図である。
【図2】図1の一部分を示す拡大斜視図である。
【図3】図1の他の一部分を示す拡大斜視図である。
【図4】同ドアロック装置の一部縦断正面図である。
【図5】同ドアロック装置における図4の5−5線に沿う縦断面図である。
【図6】同ドアロック装置における図4の6−6線に沿う横断平面図である。
【図7】同ドアロック装置のアンロック状態における各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図8】同ドアロック装置のロック状態における各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図9】同ドアロック装置のアンロック状態におけるアウトサイドハンドル操作による各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図10】同ドアロック装置のロック状態におけるアウトサイドハンドル操作による各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図11】同ドアロック装置のキャンセル作動による各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図12】同ドアロック装置のキーレスロック作動による各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【図13】同ドアロック装置のワンモーション作動による各構成部材の動作状態を示す側面図である。
【符号の説明】
10…ハウジング、11…ハウジング本体、11a…第1ケース部、11b…第2ケース部、11c,11d…ストッパ、12…第1カバー体、12a…円弧状長孔、12b,12c…係合凹所、13…第2カバー体、13a…貫通孔、14…給電用プレート、15…サブベースプレート(取付基板)、16…ベースプレート、16a…挿入溝、20…第1の作動機構、21…第1インサイドレバー、21a…支持ピン、21b,21c…係合突起部、22…キャンセルレバー、22a…支持ピン、22b…係合ピン、23…オープンリンク、23a…第1係合溝、23b…第2係合溝、23c…係合片部、23d…連結部、24… ロッキングレバー、24a…取付孔、24b…係合溝、24c…、25…電動モータ、25a…ウォーム、26…ホイールギヤ、26a,26b…係合ピン、27…アクティブレバー、27a…レバー本体、27b…係合ピン、27c…係合凹所、27d…突起部、27e…緩衝ゴム、27f…支持ボス、28…キーレバー、28a…柱状本体、28b…レバー部、28c…嵌合溝、28d…係合ピン、28e,28f…支持ボス、29…アイドルレバー、29a…係合溝、29b…連結ピン、、30…第2作動機構、31…オープンレバー、31a…支持ピン、31b…トーションスプリング、31c,31d…回動端部、32…リフトレバー、32a…係合片、33,34…ブッシュ、40…被掛止機構、41…ラッチ、41a…支持ピン、41b…掛止溝、41c…掛止部、42…ポール、42a…ポール本体、42b…軸部、43,44…トーションスプリング、45…ストライカ、51…第2インサイドレバー、51a…連結孔、52…インサイドケーブル、53…ロッキングケーブル。
Claims (2)
- 自動車のボデー側に設けた掛止手段とドア側に設けた被掛止手段からなる掛止部の掛止状態を解除不能なロック状態と解除可能なアンロック状態とに選択的に構成する作動機構を備えてなる自動車用ドアロック装置であり、
前記作動機構は、インサイドハンドルの開操作により回動動作するインサイドレバーと、このインサイドレバーから伝達される操作力により動作して前記掛止部の掛止状態をロック状態およびアンロック状態に選択的に形成するオープンリンクと、このオープンリンクを動作方向において係合可能に支持し前記インサイドレバーから伝達される操作力により回動動作して前記掛止部の掛止状態をロック状態に形成する動作位置にある前記オープンリンクをアンロック状態に形成する動作位置へ変更させるキャンセルレバーを備え、前記インサイドレバーからの操作力が先ず前記インサイドレバーから前記オープンリンクに向けて伝達されることなく前記インサイドレバーから前記キャンセルレバーに伝達され、次いで前記インサイドレバーから前記オープンリンクに伝達されるように構成されていることを特徴とする自動車用ドアロック装置。 - 請求項1に記載の自動車用ドアロック装置において、前記オープンリンクは、アンロック状態に形成する動作位置にあるとき、前記インサイドレバーから伝達される操作力により解除動作して前記掛止部の掛止状態を解除させるように構成されていることを特徴とする自動車用ドアロック装置。
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