JP4555848B2 - ドアロック装置 - Google Patents

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Description

本発明は、車両に用いられるドアロック装置に関するもので、より詳細には、インサイドロックボタンを操作することにより、アンロック状態からロック状態に切り換えるドアロック装置の改良に関するものである。
従来、四輪自動車等の車両においては、ドアに設けたアウトサイドハンドルとラッチ機構との間にドアロック装置を設けてあるのが一般的である。ラッチ機構は、通常、ラッチとラチェットとを備えており、車両本体に対してドアを閉めた場合に、ラッチによって車両本体側のストライカを噛合保持し、さらにラチェットによってラッチとストライカとの噛合状態を保持することにより、車両本体に対してドアを閉状態に維持するように構成してある。ドアロック装置は、ドアの室外側に設けたキーシリンダのキー操作、あるいはドアの室内側に設けたインサイドロックボタンの操作によってアンロック状態とロック状態とに切り換わるロック機構を備えたもので、該ロック機構とキーシリンダとの間、並びにロック機構とインサイドロックボタンとの間が、それぞれワイヤケーブルによって互いに連係してある(例えば、特許文献1参照)。
このドアロック装置は、アンロック状態にある場合、アウトサイドハンドルによる開ドア操作を有効化してラチェットに伝達し、該ラチェットがラッチに係合している場合にはこのラッチに対するラチェットの係合状態を解除するように機能する。この結果、ラッチとストライカとの噛合状態も解除されることになり、車両本体に対してドアを開動作させることができるようになる。
一方、上記ドアロック装置は、ロック状態にある場合、アウトサイドハンドルによる開ドア操作を無効化してラチェットに伝達しない。この結果、アウトサイドハンドルを操作した場合にもラッチとストライカとが噛合状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
他方、上記ドアロック装置は、ロック状態にある場合、インサイドハンドルにより開ドア操作すると、ロック状態を解除してインサイドハンドルによる開ドア操作を有効化してラチェットに伝達し、該ラチェットがラッチに係合している場合にはこのラッチに対するラチェットの係合状態を解除するように機能する。この結果、ラッチとストライカとの噛合状態も解除されることになり、車両本体に対してドアを開動作させることができるようになる。
特開2001−262905号公報
ところで、上記のドアロック装置によれば、インサイドロックボタンを施錠操作すると、ワイヤケーブルのアウターチューブからワイヤケーブルのインナーワイヤが押し出されて、ロック機構はアンロック状態からロック状態に移行する。また、インサイドロックボタンを解錠操作すると、ワイヤケーブルのアウターチューブにワイヤケーブルのインナーワイヤが引き込まれて、ロック機構はロック状態からアンロック状態に移行する。
しかしながら、上記ドアロック装置にあっては、ワイヤケーブルのインナーワイヤを引き込みさえすれば、ロック機構がロック状態からアンロック状態に移行するので、何らかの手段によってドアの外部からアウターチューブごとワイヤケーブルを引っ張るか、押し込むかして、ワイヤケーブルのインナーワイヤに引っ張り作用を与えれば、ロック機構はロック状態からアンロック状態に移行する。このため、防盗性の観点からは好ましくはない。
本発明は、上記実情に鑑みて、何らかの手段によってドアの外部からアウターチューブごとワイヤケーブルを引っ張るか、押し込むかして、ワイヤケーブルのインナーワイヤに引っ張り作用を与えても、ロック機構がロック状態からアンロック状態へと移行しない、防盗性に優れたドアロック装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1に係るドアロック装置は、ラッチと当接係合状態にあるラチェットと連動し、当接係合状態を解除するラチェットレバーと、アウトサイドハンドルによる開ドア操作を前記ラチェットレバーに伝達可能とするアンロック位置と、アウトサイドハンドルによる開ドア操作を前記ラチェットレバーに伝達不能とするロック位置とに変位するリンクレバーと、リンクレバーと連係し、施錠操作するとリンクレバーをアンロック位置からロック位置に変位させることによりアンロック状態からロック状態に移行させる一方、解錠操作するとリンクレバーをロック位置からアンロック位置に変位させることによりロック状態からアンロック状態に移行させるロックレバーと、ワイヤケーブルのインナーワイヤに接続され、ロックレバーと連係するインサイドロックボタンとを備え、インサイドロックボタンを施錠操作すると、ワイヤケーブルのインナーワイヤがワイヤケーブルのアウターチューブに引き込まれて、ロックレバーがアンロック状態からロック状態に移行させる一方、インサイドロックボタンを解錠操作すると、ワイヤケーブルのアウターチューブからワイヤケーブルのインナーワイヤが押し出されて、ロックレバーがロック状態からアンロック状態に移行させるドアロック装置であって、前記リンクレバーは、開ドア状態でラチェットレバーと干渉することによりアンロック位置からロック位置への変位を阻止する一方、開ドア状態で開ドア操作した場合にラチェットレバーを回避することによりアンロック位置からロック位置への変位を許容するロック防止部を有したことを特徴とする。
本発明にかかるドアロック装置は、インサイドロックボタンを施錠操作すると、ワイヤケーブルのインナーワイヤがワイヤケーブルのアウターチューブに引き込まれて、ロックレバーがアンロック状態からロック状態に移行させる一方、インサイドロックボタンを解錠操作すると、ワイヤケーブルのアウターチューブからワイヤケーブルのインナーワイヤが押し出されて、ロックレバーがロック状態からアンロック状態に移行させるので、何らかの手段によってドアの外部からアウターチューブごとワイヤケーブルを引っ張るか、押し込むかして、ワイヤケーブルのインナーワイヤに引っ張り作用を与えても、ロック機構がロック状態からアンロック状態へと移行しない。この結果、防盗性に優れたドアロック装置とすることができるという効果を奏する。
また、リンクレバーは、開ドア状態でラチェットレバーと干渉することによりアンロック位置からロック位置への変位を阻止する一方、開ドア状態で開ドア操作した場合にラチェットレバーを回避することによりアンロック位置からロック位置への変位を許容するロック防止部を有したので、錯誤による施錠操作(キーの閉じこめ)を回避することができるという効果を奏する。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るドアロック装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1〜図3は、本発明の実施例であるドアロック装置を示したものである。ここで例示するドアロック装置は、四輪自動車の前席右側に配置された前方ヒンジのサイドドア(右ハンドル車においては運転席側のドアD)においてアウトサイドハンドル1とラッチ機構20との間に設けられるもので、主ケース2および副ケース3を備えている。これら主ケース2および副ケース3は、例えばそれぞれを合成樹脂によって成形したもので、互いに接合した後、ネジ等の締結手段4によって相互に締結することによりハウジング10を構成する。なお、主ケース2と副ケース3との接合面には、O−リング(図示せず)を介在させてあり、所望の水密性が確保してある。
これら主ケース2および副ケース3によって構成されるハウジング10は、ドアDの左右方向に沿って延在するラッチ機構収容部11と、このラッチ機構収容部11の室内側に位置する端部からドアDの前後方向に沿って延在するロック機構収容部12とを備え、上方から見た場合にほぼL字状を呈している。
ラッチ機構収容部11は、その高さ方向のほぼ中央となる位置に、室内側から室外側に向けて略水平に延在する水平切欠溝13を有したもので、ラッチ機構20を内部に収容している。
ラッチ機構20は、従前のものと同様に、四輪自動車の車両本体側に設けたストライカSを噛合保持するためのもので、図4に示すように、ラッチ21とラチェット22とを備えて構成してある。
ラッチ21は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも上方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラッチ軸23を介して回転可能に配設したもので、噛合溝21a、フック部21bおよび係止部21cを有している。
噛合溝21aは、ラッチ21の外周面からラッチ軸23に向けて形成したもので、ストライカSを収容することのできる幅に形成してある。
フック部21bは、噛合溝21aを下方に向けて開口させた場合に該噛合溝21aよりも室内側に位置する部分である。このフック部21bは、図4−1に示すように、ラッチ21を時計回りに回転させた場合に水平切欠溝13を開放する位置(開放位置)で停止する一方、図4−3に示すように、ラッチ21を反時計回りに回転させた場合にラッチ機構収容部11の水平切欠溝13を横切る位置(ラッチ位置)で停止するように構成してある。
係止部21cは、噛合溝21aを下方に向けて開口させた場合に該噛合溝21aよりも室外側に位置する部分である。この係止部21cは、図4−1に示すように、ラッチ21を時計回りに回転させた場合に水平切欠溝13を横切り、かつこの水平切欠溝13の奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように構成してある。なお、図には明示していないが、ラッチ21とラッチ機構収容部11との間には、図4においてラッチ21を常時時計回りに向けて付勢するラッチバネ(図示せず)が設けてある。
ラチェット22は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも下方、かつラッチ軸23よりも室内側となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラチェット軸24を介して回転可能に配設したもので、係合部22aおよび作用部22bを有している。
係合部22aは、ラチェット軸24から室外側に向けて径外方向に延在する部分であり、ラチェット22が図4において反時計回りに回転した場合にその突出端面を介して上述したラッチ21のフック部21bおよび係止部21cに係合することが可能である。
作用部22bは、ラチェット軸24から室内側に向けて径外方向に延在する部分である。このラチェット22には、車両前側となる位置に当該ラチェット22とともに一体的となってラチェット軸24の軸心回りに回転するラチェットレバー25が設けてある。ラチェットレバー25は、ラチェット軸24からラチェット22の作用部22bと同一方向に向けて延在した後、車両前方側に屈曲させた当接部25aと、当接部25aからさらに車両前方側に延在した後、車両室内側に屈曲させた動作端部25bとを有したもので、連結ピン26によってラチェット22と連結してある。なお、当接部25aの下方域は車両室内側に屈曲させてある。また、ラチェット22とラッチ機構収容部11との間には、図4においてラチェット22を常時反時計回りに向けて付勢するラチェットバネ(図示せず)が設けてある。
また、ラッチ21の上方部には、ラッチ21の位置を検出するスイッチ27が配設してある。スイッチ27のアーマチュアは、ラッチ21の外周面に摺接し、ラッチ21の外周面から離反することによりラッチ21がラッチ位置にあることを検出し、ラッチ21がラッチ位置以外の位置(例えば、開放位置、半ラッチ位置)にあるときには車両の室内灯(図示せず)等を点灯させる。
上記のように構成したラッチ機構20では、ドアDが車両本体に対して開成状態にある場合、図4−1に示すように、ラッチ21が開放位置に配置されることになり、車両の室内灯は点灯している。この状態からドアDを閉操作させると、車体本体側に設けたストライカSがラッチ機構収容部11の水平切欠溝13に進入し、やがてストライカSがラッチ21の係止部21cに当接することになる。この結果、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性力に抗して図4において反時計回りに回転する。この間、ラチェット22は、ラチェットバネ(図示せず)の弾性力によって係合部22aの突出端面がラッチ21の外周面に摺接することになり、該ラッチ21の外周面形状に応じて適宜ラチェット軸24の軸心回りに回転する。
上述した状態からさらにドアDを閉操作すると、水平切欠溝13に対するストライカSの進入量が漸次増大するため、ラッチ21が反時計回りにさらに回転するようになり、図4−2に示すように、やがてラチェット22の係合部22aがラッチ21の噛合溝21aに至る。この状態においては、ラッチ21の係止部21cがラチェット22の係合部22aに当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ21の時計回りの回転が阻止されることになる。しかも、ラッチ21のフック部21bが水平切欠溝13を横切るように配置されるため、該フック部21bによってストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動する事態、つまりドアDの車両本体に対する開動作が阻止されるようになる(半ラッチ状態)。
上述した半ラッチ状態からドアDをさらに閉操作させると、水平切欠溝13を進入するストライカSにより、係止部21cを介してラッチ21が反時計回りにさらに回転し、ストライカSが水平切欠溝13の奥方(室外側)に至る。この間、ラチェット22は、係合部22aの上面にラッチ21のフック部21bが当接することによりラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗して図4において時計回りに回転し、ラッチ21のフック部21bが通過した時点でラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力により直ちに反時計回りに回転するようになる。この結果、図4−3に示すように、ラッチ21のフック部21bがラチェット22の係合部22aに当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ21の時計回りの回転が阻止されることになる。この状態においても、ラッチ21のフック部21bが水平切欠溝13を横切るように配置されるため、該フック部21bによってストライカSが水平切欠溝13の奥方(室外側)から離脱する方向に移動する事態が阻止されるようになり、結局、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に維持され(フルラッチ状態)、車両の室内灯が消灯する。
さらに、上述したフルラッチ状態からラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗してラチェット22の作用部22b、もしくはラチェットレバー25の当接部25aを図4において時計回りに回転させると、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性復元力により図4において時計回りに回転する。この結果、図4−1に示すように、水平切欠溝13が開放され、ストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動可能となり、ドアDを車両本体に対して開操作させることができるようになり、車両の室内灯が点灯する。
一方、ハウジング10のロック機構収容部12には、図1〜図3に示すように、オープンレバー30、リンクレバー40(図6参照)、インナーハンドルレバー50およびロック機構600が収容してある。
オープンレバー30は、図5に示すように、ラッチ機構20のラチェット22よりもさらに下方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するオープンレバー軸31を介して回転可能に配設したもので、オープン作用端部30a、オープン動作端部30bおよび受圧部30cを有している。
オープン作用端部30aは、オープンレバー軸31から室外側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部がハウジング10の外部に突出している。このオープン作用端部30aにおいてハウジング10の外部に突出する部分には、ドアDに設けたアウトサイドハンドル1との間を連係するリンク等のアウトサイドハンドル連係手段32を接続してある。より詳細には、アウトサイドハンドル1を開ドア操作した場合に、オープンレバー30が図5において反時計回りに回動動作するようにアウトサイドハンドル連係手段32を接続してある。
オープン動作端部30bは、図5に示すように、オープンレバー軸31から室内側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部がハウジング10の内部においてラチェットレバー25における当接部25aの下方域に位置している。
受圧部30cは、オープン動作端部30bの下方に位置し、オープンレバー30の下縁部から前方に向けて屈曲した部分である。なお、オープンレバー30とロック機構収容部12との間には、図5においてオープンレバー30を常時時計回りに向けて付勢するオープンレバーバネ33が設けてある。
オープンレバー30のオープン動作端部30bには、リンクレバー40が装着してある。リンクレバー40は、図5および図6に示すように、その基端部に装着孔40aを有したもので、該装着孔40aにオープンレバー30のオープン動作端部30bを挿通させることにより、このオープン動作端部30bと共に上下動可能、かつ該オープン動作端部30bに対して車両本体の左右方向に沿った軸心回りに揺動可能に支承させてある。このリンクレバー40には、ラチェット駆動部40b、パニックレバー連結部40cおよびロック防止部40dが設けてある。
ラチェット駆動部40bは、装着孔40aの軸心からラチェットレバー25の当接部25aに向けて径外方向に延在する部分であり、リンクレバー40の上動により、ラチェットレバー25の当接部25aを押圧可能である。
パニックレバー連結部40cは、装着孔40aの軸心からラチェットレバー25の動作端部25bの側方に向けて径外方向に延在する部分であり、その延在端部には連結用溝孔40eが形成してある。
ロック防止部40dは、ラッチ21が開放位置にあるときに隣接するラチェットレバー25の動作端部25bと干渉し、リンクレバー40の揺動(アンロック位置からロック位置への変位)を阻止するものであり、パニックレバー連結部40cの側方から車両後側に延在する部分である。
インナーハンドルレバー50は、オープンレバー30の下方域に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するインナーレバー軸51を介して揺動可能に配設したもので、インナー作用部50aおよび動作端部50bを有している。
インナー作用部50aは、インナーレバー軸51から上方に延在する部分であり、その延在端部がハウジング10の外部に突出している。このインナー作用部50aにおいてハウジング10の外部に突出する部分には、ドアDの室内側に設けたインサイドハンドル5との間を連係するリンクやワイヤ等のインサイドハンドル連係手段52を接続してある。より詳細には、インサイドハンドル5を開ドア操作した場合に、インナーハンドルレバー50が図3において反時計回りに揺動するように、インサイドハンドル連係手段52を接続してある。
また、インナー作用部50aの延在部分には、ワンモーションレバー連結孔50cが形成してあり、このワンモーションレバー連結孔50cにはワンモーションレバー53が取り付けてある。ワンモーションレバー53は、インナーレバー軸51を中心としてインナー作用部50aから車両前側に円弧状に延在して形成してあり、その基端部には軸部53aと当接部53bとが形成してある。軸部53aは、インナー作用部50aのワンモーションレバー連結孔50cに回動可能に取り付ける部分であり、当接部53bは、インナー作用部50aの側面と当接する部分である。なお、ワンモーションレバー53とインナー作用部50aとの間には、ワンモーションレバー53の当接部53bがインナー作用部50aの側面と当接するように付勢するワンモーションバネ54を介在させてある。
動作端部50bは、インナーレバー軸51から車両後側に向けて下方に傾斜延在する部分であり、リベット55によってワンモーションリンク56が上動可能に取り付けてある。なお、動作端部50bには、インナーハンドルレバー50を図6において反時計回りに揺動させた場合に、オープンレバー30の受圧部30cに当接してこれを押圧する押圧部50dが車両室外側に屈曲形成してある。
ワンモーションリンク56は、インナーハンドルレバー50を図6において反時計回りに揺動させた場合に、ラチェットレバー25の当接部25aに当接してこれを押圧するものであり、略L字形状を有している。すなわち、ワンモーションリンク56は、リベット55から車両後側に向かって径外方向に延在した後、ラチェットレバー25の当接部25aに向けて(上方に)延在している。
また、ワンモーションリンク56の基端部には、連結溝孔(図示せず)が形成してあり、リベット55に対して摺動可能となっている。さらに、ワンモーションリンク56のラチェットレバーの当接部に向けて延在する部分を案内するガイド3aが副ケース3に形成してある。
ロック機構600は、アウトサイドハンドル1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達するアンロック状態と、アウトサイドハンドル1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達しないロック状態とに切り換わるもので、主ケース2における副ケース3との対向面、つまり主ケース2において副ケース3によって覆われる面に、キーレバー610、キーサブレバー620、コネクトレバー630、セクタギア650、パニックレバー660およびウォームホイール670を備えている。
図7に示すように、キーレバー610はハウジング10の下方となる位置に回動可能に配設してある。キーレバー610は入力軸部(図示せず)、回動凹部611、レバー部612を有し、入力軸部(図示せず)を主ケースに形成した孔部(図示せず)に挿通し、回動凹部611を副ケース3に形成した凸部3bに嵌合することにより、回動可能となっている。
キーレバー610の入力軸部(図示せず)は、ドアDに設けたキーシリンダKCからの操作入力部となるもので、リンクあるいはケーブル等のキーシリンダ連係手段613(図1参照)を接続してある。より詳細には、キーシリンダKCを施錠操作した場合にキーレバー610が図7において反時計回りに回動動作し、キーシリンダKCを解錠操作した場合にキーレバー610が図7において時計回りに回動動作するようにキーシリンダ連係手段613を接続してある。
レバー部612は、入力軸部の径外方向に延在する部分であり、その先端部にはキーリンク連結孔614が形成してある。
キーレバー610の車両前側上方には、キーサブレバー620が回動可能に配設してある。キーサブレバー620は、回動孔621、キーリンク連結部622、ロック切換用突起623、アンロック切換用突起624、ロック操作認識用突起625およびアンロック操作認識用突起626を有している。回動孔621は主ケース2に形成した凸部2aを挿通してあり、キーサブレバー620を回動可能としている。キーリンク連結部622は回動孔621の軸心から径外方向に延在する部分であり、その先端にはキーリンク連結孔622a(図8参照)が形成してある。そして、キーレバー610のキーリンク連結孔614と、キーサブレバー620のキーリンク連結孔622aとはキーリンク627により連結してあり、キーレバー610の回動動作をキーサブレバー620に伝達可能である。
ロック切換用突起623およびアンロック切換用突起624は、ともに回動孔621の軸心から径外方向に延在して形成してあり、ロック切換用突起623によりロック機構600がアンロック状態からロック状態に切り換わり、アンロック切換用突起624によりロック機構600がロック状態からアンロック状態に切り換わる。
ロック操作認識用突起625およびアンロック操作認識用突起626もともに回動孔621の軸心から径外方向に延在して形成してあり、キーサブレバー620をアンロック状態からロック状態に切り換えたときにはロック操作認識用突起625がスイッチ628の検出片628aを時計回りに倒し、キーサブレバー620をロック状態からアンロック状態に切り換えたときには、アンロック操作認識用突起626がスイッチ628の検出片628aを反時計回りに倒して、キーシリンダKCの操作、つまり、施錠操作、解錠操作の別を識別する。
コネクトレバー630は、キーサブレバー620の回動孔621と同一軸心上に回動可能に取り付けてあり、切換用突起631、セクタギア連結部632、スイッチレバー633、ワンモーション用突起634、および回動軸部635を有している。
切換用突起631は、アンロック状態からロック状態に、ロック状態からアンロック状態にコネクトレバー630を切り換える突起であり、キーサブレバー620と対向する面に形成してある。より詳細には、切換用突起631はキーサブレバー620のロック切換用突起623およびアンロック切換用突起624と当接可能であって、切換用突起631がロック切換用突起623と当接し切換用突起631を押圧することによりコネクトレバー630がアンロック状態からロック状態に切り換わり、切換用突起631がアンロック切換用突起624と当接し切換用突起631を押圧することによりコネクトレバー630がロック状態からアンロック状態に切り換わる。
セクタギア連結部632は、コネクトレバー630の回動中心から径外方向に延在する部分であり、その先端部に連結用凸部636を備えている。なお、連結用凸部636は、セクタギア連結部632の先端部において室外側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に延在している。
スイッチレバー633は、コネクトレバー630の位置を検出するためのもので、コネクトレバー630がアンロック状態にある場合にスイッチ637をオフにし(図8−1参照)、ロック状態に切り換わった場合にスイッチ637をオンにする(図8−2参照)。
ワンモーション用突起634は、上述したワンモーションレバー53と当接してロック状態にあるロック機構600をアンロック状態に切り換えるもので、ロック機構600がロック状態にある場合にワンモーションレバー53と当接可能な位置にあり、ロック機構600がアンロック状態にある場合にワンモーションレバー53と当接不能な位置あるようにコネクトレバー630の回動中心から径外方向に形成してある。
回動軸部635は、コネクトレバー630を副ケース3に対して回動可能に支承する部分であり、回動軸部635は副ケース3を貫通してハウジング10から突出している。この回動軸部635の突出端部には、ロックレバー640が固着してある。ロックレバー640はコネクトレバー630と一体に回転し、コネクトレバー630がロック状態からアンロック状態に移行するとロックレバー640はロック状態からアンロック状態に移行し、コネクトレバー630がアンロック状態からロック状態に移行するとロックレバー640はアンロック状態からロック状態に移行する。同様に、ロックレバー640をアンロック状態からロック状態に移行するとコネクトレバー630はアンロック状態からロック状態に移行し、ロックレバー640をロック状態からアンロック状態に移行するとコネクトレバー630はロック状態からアンロック状態に移行する。
このロックレバー640は、ボタン連結部641を有している。このボタン連結部641はコネクトレバーの回動軸部から径外方向に延在する部分であり、このボタン連結部641にはドアDの室内側に設けたインサイドロックボタン6との間を連係するワイヤケーブル642を接続してある。
ワイヤケーブル642は、アウターチューブ642aとインナーワイヤ642bとを有している。アウターチューブ642aの一端部は副ケース3に形成したワイヤケーブル取付部3cに取り付けてあり、他端部はインサイドロックボタン6の近傍に固定してある。そして、このアウターチューブ642a内をインナーワイヤ642bが挿通している。インナーワイヤ642bの一端部はロックレバー640のボタン連結部641に接続してあり、他端部はインサイドロックボタン6に接続してある。
したがって、インサイドロックボタン6を施錠操作(インサイドロックボタン6側において、アウターチューブ642aからインナーワイヤ642bを引き出す操作)した場合には、ロックレバー640側において、インナーワイヤ642bをアウターチューブ642aに引き込んで、ロックレバー640が図8−1において反時計回りに回動動作する。この結果、ロックレバー640はアンロック状態からロック状態に移行する(図8−2参照)。一方、インサイドロックボタン6を解錠操作(インサイドロックボタン6側において、アウターチューブ642aへインナーワイヤ642bを押し込む操作)した場合には、ロックレバー640側において、アウターチューブ642aからインナーワイヤ642bを押し出してロックレバー640が図8−2において時計回りに回転動作する。この結果、ロックレバー640はロック状態からアンロック状態に移行する(図8−1参照)。
セクタギア650は、ハウジング10の上部となる位置に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するギアシャフト651を介して揺動可能に配設してあり、コネクトレバー連結部652、状態維持用突起653、ドリブンギア部654およびパニックレバー当接部655を有している。
コネクトレバー連結部652は、ギアシャフト651の径外方向に延在して形成してあり、コネクトレバー連結部652には、連結用溝孔656が形成してある。この連結用溝孔656にはコネクトレバー630に形成した連結用凸部636が挿通しており、コネクトレバー630の反時計回りの揺動によってセクタギア650は時計回りに揺動し、コネクトレバー630の時計回りの揺動によってセクタギア650は反時計回りに揺動する。
状態維持用突起653はセクタギア650の回動位置を維持するためのもので、主ケースと対向する面に車両本体の左右方向に沿って略水平に延在している。そして、主ケースに取り付けたバネ657がこの状態維持用突起653を挟持することにより、アンロック状態(図8−1)またはロック状態(図8−2)を維持する。
ドリブンギア部654は、図8に示すように、ギアシャフト651を中心として扇形状に形成したもので、その外周面に一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dを有している。これら一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dは、ギアシャフト651の延在方向に沿って互いに高さが異なる三段階の位置に設けてある。一対の外側歯654a,654bは、ドリブンギア部654の両側に設けたものであり、最も室内側となる位置に配設してある。第1受動歯654cは、一対の外側歯654a,654bの相互間において一方の外側歯654aに近接する位置に設けたものであり、ギアシャフト651の延在方向に沿った中間位置に配設してある。第2受動歯654dは、他方の外側歯654bと第1受動歯654cとの間となる位置に設けたものであり、最も室外側となる位置に配設してある。
パニックレバー当接部655は、セクタギア650の車両後側縁部から室内側に凸設して形成してある。
パニックレバー660は、セクタギア650とリンクレバー40とを連結するものであり、ギアシャフト651に回動可能に取り付けてある。パニックレバー660は、ギアシャフト651から下方に向けて径外方向に延在して形成してあり、連結用凸部661およびセクタギア当接部662を設けてある。連結用凸部661は、パニックレバー660の先端部において室内側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に突出した円柱部分であり、上述したリンクレバー40の連結用溝孔40eに装着してある。セクタギア当接部662は、パニックレバー660の中程部において車両後方側に形成した段部分であり、セクタギア650のパニックレバー当接部655と当接し、連動可能である。なお、セクタギア650とパニックレバー660との間にはパニックスプリング663を介在させてあり、パニックレバー660のセクタギア当接部662がセクタギア650のパニックレバー当接部655と当接するように付勢してある。
ウォームホイール670は、セクタギア650の上方域に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するウォーム軸671を介して回転可能に配設したもので、このウォームホイール670には、同一軸心上に間欠歯車672を固着してある。間欠歯車672は、基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cを有したもので、セクタギア650のドリブンギア部654に設けた一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dとの間において一方向の動力伝達手段を構成している。すなわち、間欠歯車672の基本歯672a、一対の第1駆動歯672bおよび一対の第2駆動歯672cは、ドリブンギア部654の一対の外側歯654a,654b、第1受動歯654cおよび第2受動歯654dと同様に、ウォーム軸671の延在方向に沿って互いに高さが異なる三段階の位置に設けてあり、基本歯672aが外側歯654a,654bにのみ歯合し、第1駆動歯672bが第1受動歯654cにのみ歯合し、第2駆動歯672cが第2受動歯654dにのみ歯合するように構成してある。なお、図には明示していないが、ウォームホイール670と主ケース2との間には、ウォームホイール670の間欠歯車672における基本歯672aがギアシャフト651の軸心に向かう状態(以下、単に中立状態という)に維持するための中立復帰バネが設けてある。
なお、セクタギア650を図9−1に示す位置(以下、単にアンロック位置という)から図9−2に示す位置(以下、単にロック位置という)まで時計回りに回転させた場合、セクタギア650のドリブンギア部654の各歯654a,654b,654c,654dが間欠歯車672のいずれの歯672a,672b,672cにも歯合しないため、ウォームホイール670を回転させることはない。
同様に、ロック位置からアンロック位置までセクタギア650を反時計回りに回転させた場合にも、ウォームホイール670が回転することはない。
図9に示すように、ウォームホイール670には、駆動モータ673の出力軸に固着したウォーム674に歯合している。
ウォームホイール670を図9−1に示す状態から反時計回りに回転させた場合には、基本歯672aが外側歯654aに歯合した後、第1駆動歯672bが第1受動歯654cに歯合し、さらに第2駆動歯672bが第2受動歯654dに歯合することになり、ドリブンギア部654を介してリンクレバー40を反時計回りに回動させてロック位置に変位させることになる(図9−2参照)。なお、ウォームホイール670の回転によってリンクレバー40をアンロック位置からロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車672によってリンクレバー40を回動させることができず、中立復帰バネ(図示せず)の弾性復元力により、リンクレバー40を回転させることなくウォームホイール670が中立状態に復帰する。
同様に、ウォームホイール670を図9−2に示す状態から時計回りに回転させた場合には、基本歯672aが外側歯654bに歯合した後、第2駆動歯672cが第2受動歯654dに歯合し、さらに第1駆動歯672bが第1受動歯654cに歯合することになり、ドリブンギア部654を介してリンクレバー40を時計回りに回動させてアンロック位置に変位させることになる(図9−1参照)。なお、ウォームホイール670の回転によってリンクレバー40をロック位置からアンロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車672によってリンクレバー40を回動させることができず、中立復帰バネ(図示せず)の弾性復元力により、リンクレバー40を回転させることなくウォームホイール670が中立状態に復帰する。
上記のように構成したロック機構600では、アンロック状態にある場合、図5−1および図6−1に示すように、リンクレバー40のラチェット駆動部40bがラチェットレバー25における当接部25aの下方域に配置される(アンロック位置)。
このアンロック状態において、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図5−1において反時計回りに回動動作させれば、図5−2に示すように、オープン動作端部30bの上動に伴ってリンクレバー40のラチェット駆動部40bがラチェットレバー25の当接部25aを押圧して上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
また、このアンロック状態において、インサイドハンドル5を開ドア操作し、インナーハンドルレバー50を図6−1において反時計回りに回動動作させれば、図6−2に示すように、ワンモーションリンク56が上動することによってラチェットレバー25の当接部25aを押圧して上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
また、ドアDの開放状態において、インサイドロックボタン6のみを施錠操作してドアロック装置を施錠することはできない。これは、ドアDの開放状態、すなわち、ラッチ21とラチェット22が当接係合状態にないときには、リンクレバー40のロック防止部40dが隣接するラチェットレバー25の動作端部25bと干渉し、ラチェットレバー25の動作端部25bがリンクレバー40の揺動(アンロック位置からロック位置への変位)を阻止するからである。
しかしながら、ドアDの開放状態において、アウトサイドハンドル1またはインサイドハンドル5を開ドア操作したままインサイドロックボタン6を施錠操作すれば、ドアロック装置を施錠することができる。これは、ドアDの開放状態であっても、アウトサイドハンドル1またはインサイドハンドル5の開ドア操作により、リンクレバー40が上動し、リンクレバー40のロック防止部40dがラチェットレバー25の動作端部25bを回避(隣接関係を解消)し、ラチェットレバー25の動作端部25bがリンクレバー40の揺動(アンロック位置からロック位置への変位)を許容するからである。
なお、ドアDの開放状態において、インサイドハンドル5を開ドア操作したままインサイドロックボタン6を施錠操作すると、コネクトレバー630の回動に伴ってワンモーション用突起634がワンモーションレバー53を押圧し、ワンモーションバネ54の付勢力に抗してワンモーションレバー連結孔50cを回動中心として反時計回りに回動する。その後、インサイドハンドル5の開ドア操作を中断すると、ドアロック装置がロック状態を維持したまま、ワンモーションレバー53はワンモーションバネ54の付勢力によってワンモーションレバー連結孔50cを回動中心として時計回りに回動し、元の位置に復帰する。
一方、ドアDの閉塞状態において、アンロック状態にあるインサイドロックボタン6を施錠操作すると、ロックレバー640の回動にともなってコネクトレバー630が反時計回りに揺動し、連結用凸部636および連結用溝孔656を介して連結したセクタギア650を時計回りに揺動させることになる。セクタギア650が時計回りに揺動すると、セクタギア650のパニックレバー当接部655がパニックレバー660のセクタギア当接部662を押圧し、パニックレバー660が時計回りに回動することになり、さらにこのパニックレバー660の回動に伴って、リンクレバー40が反時計方向に揺動し、ロック機構600が図8−2に示すロック状態となる。
このロック状態においては、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において時計回りに回動動作させても、リンクレバー40のラチェット駆動部40bとラチェットレバー25の当接部25aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
なお、図8−1に示すアンロック状態から図8−2に示すロック状態への移行に関しては、必ずしもインサイドロックボタン6の施錠操作に限らず、図9−2に示すように駆動モータ673によってウォームホイール670を反時計回りに回転させてセクタギア650を時計回りに回転させてもよく、あるいは図7−2に示すようにキーシリンダKCの操作によってキーサブレバー620を反時計回りに回転させてもよい。
上述したロック状態から、インサイドロックボタン6を解錠操作すると、ロックレバー640の回動にともなってコネクトレバー630が時計回りに揺動し、連結用凸部636および連結用溝孔656を介して連結したセクタギア650を反時計回りに揺動させることになる。セクタギア650が反時計回りに揺動すると、パニックスプリング663によって付勢したパニックレバー660がセクタギア650と連動して反時計回りに回動することになり、さらにこのパニックレバー660の回動に伴って、リンクレバー40が時計回りに揺動し、ロック機構600が図8−1に示すアンロック状態となる。
また、ロック状態において、インサイドハンドル5を開ドア操作すると、ロック状態をアンロック状態に切り換えてインサイドハンドル5の開ドア操作を有効なものとし、インサイドハンドル5の開ドア操作をラチェット22に伝達する。そして、ドアDが開放可能となる。
より詳細に説明する。図10−1に示すロック状態において、インサイドハンドル5を開ドア操作すると、インナーハンドルレバー50が反時計回りに揺動する。該インナーハンドルレバー50の揺動によってインナーハンドルレバー50と一体に回動するワンモーションレバー53はコネクトレバー630のワンモーション用突起634を押圧して、コネクトレバー630を時計回りに揺動させる。この揺動にともなって、セクタギア650が反時計回りに揺動し、パニックスプリング663によって付勢したパニックレバーがセクタギア650と連動して反時計回りに回動することになる。このパニックレバー660の回動に伴ってリンクレバー40が時計回り揺動しロック機構600を図10−2に示すアンロック状態に切り換える。一方、インナーハンドルレバー50の反時計回りの揺動によって、ワンモーションリンク56がラチェットレバー25の当接部25aを押圧し、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態を解除でき、開ドア操作が可能となる。
なお、図8−2に示すロック状態から図8−1に示すアンロック状態への移行に関しては、必ずしもインサイドロックボタン6の解錠操作またはインサイドハンドル5の操作に限らず、図9−1に示すように駆動モータ673によってウォームホイール670を時計回りに回転させたてセクタギア650を時計回りに回転させてもよく、あるいは図7−1に示すようにキーシリンダKCの操作によってキーサブレバー620を時計回りに回転させてもよい。
ここで、上記のように構成したドアロック装置によれば、インサイドハンドル5による開ドア操作によってインナーハンドルレバー50に取り付けたワンモーションレバー53がリンクレバー40をロック位置(図10−1参照)からアンロック位置(図10−2参照)に変位させる一方、インナーハンドルレバー50に取り付けたワンモーションリンク56がラチェットレバー25にインサイドハンドル5による開ドア操作を伝達するので、いわゆるワンモーション機能を実現できるという効果を奏する。また、インサイドハンドル5による開ドア操作がリンクレバー40に関係なくワンモーションリンク56を介してラチェットレバー25に伝達されるので、リンクレバー40がロック位置からアンロック位置に変位するタイミングと、インサイドハンドル5による開ドア操作をワンモーションリンク56がラチェットレバー25に伝達するタイミングとを任意に設定できる。このため、いわゆるワンモーション機能を有するドアロック装置であっても、操作感を考慮して、ロック解除タイミングとドア開放タイミングを設定できるという効果を奏する。
また、インサイドハンドル5による開ドア操作によってリンクレバー40を確実にロック位置からアンロック位置に変位させることができる一方、ワンモーションリンク56によって開ドア操作を確実にラチェットレバー25に伝達できるので、ロック機構600のロック状態を解除したが、インサイドハンドル5による開ドア操作がラチェットレバー25に伝達されないという事態が生じる虞れがない。
また、インサイドロックボタン6を施錠操作すると、ワイヤケーブル642のインナーワイヤ642bがワイヤケーブル642のアウターチューブ642aに引き込まれて、ロックレバー640がアンロック状態からロック状態に移行する一方、インサイドロックボタン6を解錠操作すると、ワイヤケーブル642のアウターチューブ642aからワイヤケーブル642のインナーワイヤ642bが押し出されて、ロックレバー640がロック状態からアンロック状態に移行するので、何らかの手段によってドアの外部からアウターチューブ642aごとワイヤケーブル642を引っ張るか、押し込むかして、ワイヤケーブル642のインナーワイヤ642bに引っ張り作用を与えても、ロック機構600がロック状態からアンロック状態へと移行しない。この結果、防盗性に優れたドアロック装置とすることができるという効果を奏する。
また、リンクレバー40は、開ドア状態でラチェットレバー25の動作端部25bと干渉することによりアンロック位置からロック位置への変位を阻止する一方、開ドア状態で開ドア操作した場合にラチェットレバー25の動作端部25bを回避することによりアンロック位置からロック位置への変位を許容するロック防止部40dを有しているので、錯誤による施錠操作(キーの閉じこめ)を回避することができるという効果を奏する。
以上のように、本発明にかかるドアロック装置は、インサイドロックボタンの施錠操作によってロック機構をアンロック状態からロック状態に移行させるドアロック装置に有用であり、特に、防盗性に配慮したドアロック装置に適している。
本発明の実施例であるドアロック装置を車両後方側から見た図である。 図1に示したドアロック装置を室外側から見た図である。 図1に示したドアロック装置を室内側から見た図である。 開成状態のラッチ機構を示す概念図である。 半ラッチ状態のラッチ機構を示す概念図である。 フルラッチ状態のラッチ機構を示す概念図である。 初期状態におけるオープンレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。 アウトハンドルを開操作したときのオープンレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。 初期状態におけるインナーハンドルレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。 インサイドハンドルレバーを開操作した時のインナーハンドルレバーとリンクレバーとの関係を示す概念図である。 キー操作によってアンロック状態にした時のロック機構を示す概念図である。 キー操作によってロック状態にした時のロック機構を示す概念図である。 ロックレバーをアンロック状態にした時のロック機構を示す概念図である。 ロックレバーをロック状態にした時のロック機構を示す概念図である。 キーレスエントリによりアンロック状態にした時のロック機構を示す概念図である。 キーレスエントリによってロック状態にした時のロック機構示す概念図である。 インサイドハンドルの操作前のロック状態にあるロック機構を示す概念図である。 インサイドハンドルを開操作することによりアンロック状態にしたロック機構を示す概念図である。
符号の説明
1 アウトサイドハンドル
2 主ケース
2a 凸部
3 副ケース
3a ガイド
3b 凸部
3c ワイヤケーブル取付部
4 締結手段(ネジ)
5 インサイドハンドル
6 インサイドロックボタン
10 ハウジング
11 ラッチ機構収容部
12 ロック機構収容部
13 水平切欠溝
20 ラッチ機構
21 ラッチ
21a 噛合溝
21b フック部
21c 係止部
22 ラチェット
22a 係合部
22b 作用部
23 ラッチ軸
24 ラチェット軸
25 ラチェットレバー
25a 当接部
25b 動作端部
26 連結ピン
27 スイッチ
30 オープンレバー
30a オープン作用端部
30b オープン動作端部
30c 受圧部
31 オープンレバー軸
32 アウトサイドハンドル連係手段
33 オープンレバーバネ
40 リンクレバー
40a 装着孔
40b ラチェット駆動部
40c パニックレバー連結部
40d ロック防止部
40e 連結用溝孔
50 インナーハンドルレバー
50a インナー作用端部
50b 動作端部
50c ワンモーションレバー連結孔
50d 押圧部
51 インナーレバー軸
52 インサイドハンドル連係手段
53 ワンモーションレバー
53a 軸部
53b 当接部
54 ワンモーションバネ
55 リベット
56 ワンモーションリンク
600 ロック機構
610 キーレバー
611 回動凹部
612 レバー部
613 キーシリンダ連係手段
614 キーリンク連結孔
620 キーサブレバー
621 回動孔
622 キーリンク連結部
622a キーリンク連結孔
623 ロック切換用突起
624 アンロック切換用突起
625 ロック操作認識用突起
626 アンロック操作認識用突起
627 キーリンク
628 スイッチ
628a 検出片
630 コネクトレバー
631 切換用突起
632 セクタギア連結部
633 スイッチレバー
634 ワンモーション用突起
635 回動軸部
636 連結用凸部
637 スイッチ
640 ロックレバー
641 ボタン連結部
642 ワイヤケーブル
642a アウターチューブ
642b インナーワイヤ
650 セクタギア
651 ギアシャフト
652 コネクトレバー連結部
653 状態維持用突起
654 ドリブンギア部
654a,654b 外側歯
654c 第1受動歯
654d 第2受動歯
655 パニックレバー当接部
656 連結用溝孔
657 バネ
660 パニックレバー
661 連結用凸部
662 セクタギア当接部
663 パニックスプリング
670 ウォームホイール
671 ウォーム軸
672 間欠歯車
672a 基本歯
672b 第1駆動歯
672c 第2駆動歯
673 駆動モータ
674 ウォーム
D ドア
KC キーシリンダ
S ストライカ

Claims (1)

  1. ラッチと当接係合状態にあるラチェットと連動し、当接係合状態を解除するラチェットレバーと、
    アウトサイドハンドルによる開ドア操作を前記ラチェットレバーに伝達可能とするアンロック位置と、アウトサイドハンドルによる開ドア操作を前記ラチェットレバーに伝達不能とするロック位置とに変位するリンクレバーと、
    リンクレバーと連係し、施錠操作するとリンクレバーをアンロック位置からロック位置に変位させることによりアンロック状態からロック状態に移行させる一方、解錠操作するとリンクレバーをロック位置からアンロック位置に変位させることによりロック状態からアンロック状態に移行させるロックレバーと、
    ワイヤケーブルのインナーワイヤに接続され、ロックレバーと連係するインサイドロックボタンと
    を備え、
    インサイドロックボタンを施錠操作すると、ワイヤケーブルのインナーワイヤがワイヤケーブルのアウターチューブに引き込まれて、ロックレバーがアンロック状態からロック状態に移行させる一方、インサイドロックボタンを解錠操作すると、ワイヤケーブルのアウターチューブからワイヤケーブルのインナーワイヤが押し出されて、ロックレバーがロック状態からアンロック状態に移行させるドアロック装置であって、
    前記リンクレバーは、開ドア状態でラチェットレバーと干渉することによりアンロック位置からロック位置への変位を阻止する一方、開ドア状態で開ドア操作した場合にラチェットレバーを回避することによりアンロック位置からロック位置への変位を許容するロック防止部を有したことを特徴とするドアロック装置。
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