以下に添付図面を参照して、本発明に係るドアロック装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の実施の形態1であるドアロック装置を示したものである。ここで例示するドアロック装置は、四輪自動車の前席右側に配置された前方ヒンジのサイドドア(右ハンドル車においては運転席側のドアD)においてアウトサイドハンドル1とラッチ機構20との間に設けられるもので、主ケース2および副ケース3を備えている。これら主ケース2および副ケース3は、例えば、それぞれを合成樹脂によって成形したもので、互いに接合した後、ネジ等の締結手段(図示せず)によって相互に締結することによりハウジング10を構成する。なお、主ケース2と副ケース3との接合面には、O−リング(図示せず)を介在させてあり、所望の水密性が確保してある。
これら主ケース2および副ケース3によって構成されるハウジング10は、ドアDの左右方向に沿って延在するラッチ機構収容部11と、このラッチ機構収容部11の室内側に位置する端部からドアDの前後方向に沿って延在するロック機構収容部12とを備え、上方から見た場合にほぼL字状を呈している。
ラッチ機構収容部11は、その高さ方向のほぼ中央となる位置に、室内側から室外側に向けて略水平に延在する水平切欠溝13を有したもので、上述したラッチ機構20を内部に収容している。
ラッチ機構20は、従前のものと同様に、四輪自動車の車両本体側に設けたストライカSを噛合保持するためのもので、図3に示すように、ラッチ21とラチェット22とを備えて構成してある。
ラッチ21は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも上方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラッチ軸23を介して回転可能に配設したもので、噛合溝21a、フック部21bおよび係止部21cを有している。
噛合溝21aは、ラッチ21の外周面からラッチ軸23に向けて形成したもので、ストライカSを収容することのできる幅に形成してある。
フック部21bは、噛合溝21aを下方に向けて開口させた場合に該噛合溝21aよりも室内側に位置する部分である。このフック部21bは、図3−3に示すように、ラッチ21を反時計回りに回転させた場合にラッチ機構収容部11の水平切欠溝13を横切る位置で停止する(ラッチ位置)一方、図3−1に示すように、ラッチ21を時計回りに回転させた場合に水平切欠溝13を開放する位置で停止する(開放位置)ように構成してある。
係止部21cは、噛合溝21aを下方に向けて開口させた場合に該噛合溝21aよりも室外側に位置する部分である。この係止部21cは、図3−1に示すように、ラッチ21を時計回りに回転させた場合に水平切欠溝13を横切り、かつ、この水平切欠溝13の奥方(室外側)に向けて漸次上方に傾斜する状態で停止するように構成してある。なお、図には明示していないが、ラッチ21とラッチ機構収容部11との間には、図3においてラッチ21を常時時計回りに向けて付勢するラッチバネが設けてある。
ラチェット22は、ラッチ機構収容部11の水平切欠溝13よりも下方、かつラッチ軸23よりも室内側となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するラチェット軸24を介して回転可能に配設したもので、係合部22aおよび作用部22bを有している。
係合部22aは、ラチェット軸24から室外側に向けて径外方向に延在する部分であり、ラチェット22が図3において反時計回りに回転した場合にその突出端面を介して上述したラッチ21のフック部21bおよび係止部21cに係合することが可能である。
作用部22bは、ラチェット軸24から室内側に向けて径外方向に延在する部分である。このラチェット22には、車両前側となる位置に当該ラチェット22と一体となってラチェット軸24の軸心回りに回転するラチェットレバー25が設けてある。ラチェットレバー25は、ラチェット軸24からラチェット22の作用部22bと同一方向に向けて延在した当接部25aを有したもので、連結ピン26によってラチェット22と連結してある。また、図には明示していないが、ラチェット22とラッチ機構収容部11との間には、図3においてラチェット22を常時反時計回りに向けて付勢するラチェットバネが設けてある。
上記のように構成したラッチ機構20では、ドアDが車両本体に対して開成状態にある場合、図3−1に示すように、ラッチ21が開放位置に配置されることになる(開放状態)。この状態からドアDを閉動作させると、車体本体側に設けたストライカSがラッチ機構収容部11の水平切欠溝13に進入し、やがてストライカSがラッチ21の係止部21cに当接することになる。この結果、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性力に抗して図3において反時計回りに回転する。この間、ラチェット22は、ラチェットバネ(図示せず)の弾性力によって係合部22aの突出端面がラッチ21の外周面に摺接することになり、該ラッチ21の外周面形状に応じて適宜ラチェット軸24の軸心回りに回転する。
上述した状態からさらにドアDを閉動作すると、水平切欠溝13に対するストライカSの進入量が漸次増大するため、ラッチ21が反時計回りにさらに回転するようになり、図3−2に示すように、やがてラチェット22の係合部22aがラッチ21の噛合溝21aに至る。この状態においては、ラッチ21の係止部21cがラチェット22の係合部22aに当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ21の時計回りの回転が阻止されることになる。しかも、ラッチ21のフック部21bが水平切欠溝13を横切るように配置されるため、該フック部21bによってストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動する事態、つまりドアDの車両本体に対する開動作が阻止されるようになる(半ラッチ状態)。
上述した半ラッチ状態からドアDをさらに閉動作させると、水平切欠溝13を進入するストライカSにより、係止部21cを介してラッチ21が反時計回りにさらに回転し、ストライカSが水平切欠溝13の奥方(室外側)に至る。この間、ラチェット22は、係合部22aの上面にラッチ21のフック部21bが当接することによりラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗して図3において時計回りに回転し、ラッチ21のフック部21bが通過した時点でラチェットバネ(図示せず)の弾性復元力により直ちに反時計回りに回転するようになる。この結果、図3−3に示すように、ラッチ21のフック部21bがラチェット22の係合部22aに当接することになるため、ラッチバネ(図示せず)の弾性復元力に抗して当該ラッチ21の時計回りの回転が阻止されることになる。この状態においても、ラッチ21のフック部21bが水平切欠溝13を横切るように配置されるため、該フック部21bによってストライカSが水平切欠溝13の奥方(室外側)から離脱する方向に移動する事態が阻止されるようになり、結局、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に維持される(フルラッチ状態)。
さらに、上述したフルラッチ状態からラチェットバネ(図示せず)の弾性力に抗してラチェット22の作用部22b、もしくはラチェットレバー25の当接部25aを図3において上方に回転させると、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ラッチ21がラッチバネ(図示せず)の弾性復元力により図3において時計回りに回転する。この結果、図3−1に示すように、水平切欠溝13が開放され、ストライカSが水平切欠溝13から離脱する方向に移動可能となり、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
一方、ハウジング10のロック機構収容部12には、図1および図2に示すように、オープンレバー30、インナーハンドルレバー(図示せず)およびロック機構500が収容してある。
オープンレバー30は、ラッチ機構20のラチェット22よりもさらに下方となる位置に、車両本体の前後方向に沿って略水平に延在するオープンレバー軸31を介して回転可能に配設したもので、非操作位置から操作位置に変位可能となっている。オープンレバー30は、オープン作用端部30a、オープン動作端部30bおよび受圧部30cを有している。
オープン作用端部30aは、オープンレバー軸31から室外側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部がハウジング10の外部に突出している。このオープン作用端部30aにおいてハウジング10の外部に突出する部分には、ドアDに設けたアウトサイドハンドル1との間を連係するリンケージやワイヤ等のアウトサイドハンドル連係手段32を接続してある。より詳細には、アウトサイドハンドル1を開ドア操作した場合に、オープンレバー30が図1において反時計回りに回転動作することにより、オープンレバー30が非操作位置から操作位置に移動するようにアウトサイドハンドル連係手段32を接続してある。
オープン動作端部30bは、オープンレバー軸31から室内側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部がハウジング10の内部においてラチェットレバー25における当接部25aの下方域に位置している。
受圧部30cは、オープン動作端部30bとオープンレバー軸31との間においてオープンレバー30の下縁部から前方に向けて屈曲した部分である。なお、図には明示していないが、オープンレバー30とロック機構収容部12との間には、図1においてオープンレバー30を常時時計回りに向けて付勢するオープンレバーバネが設けてある。
インナーハンドルレバー(図示せず)は、オープンレバー30の下方域に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するインナーレバー軸(図示せず)を介して揺動可能に配設したもので、インナー作用端部(図示せず)および押圧部(図示せず)を有している。
インナー作用端部(図示せず)は、インナーレバー軸(図示せず)から車両前方側に向けて下方に傾斜延在する部分であり、その延在端部がハウジング10の外部に突出している。このインナー作用端部(図示せず)においてハウジング10の外部に突出する部分には、ドアDの室内側に設けたインサイドハンドル(図示せず)との間を連係するリンケージやワイヤ等のインサイドハンドル連係手段(図示せず)を接続してある。より詳細には、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合に、インナーハンドルレバー(図示せず)が揺動するようにインサイドハンドル連係手段(図示せず)を接続してある。
押圧部(図示せず)は、インナーハンドルレバー(図示せず)を時計回りに揺動させた場合にオープンレバー30の受圧部30cに当接してこれを押圧する部分である。なお、インナーハンドルレバー(図示せず)とロック機構収容部12との間には、インナーハンドルレバー(図示せず)を常時付勢するインナーレバーバネ(図示せず)が設けてある。
ロック機構500は、アウトサイドハンドル1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達するアンロック状態(図4参照)と、アウトサイドハンドル1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達しないロック状態(図5参照)とに切り換わるもので、主ケース2における副ケース3との対向面、つまり主ケース2において副ケース3によって覆われる面に、ロックレバー510、コネクトレバー520、パニックレバー530、ロック解除レバー540、オープンリンク550、キーサブレバー560およびキーレバー570を備えている。
図4〜図9に示すように、ロックレバー510は、オープンレバー30におけるオープン動作端部30bの側方域に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するロックレバー軸511を介して回動可能に配設したもので、コネクトレバー連結部512、ボタン連結部513、ドリブンギア部514およびパニックレバー押圧部515を有している。
コネクトレバー連結部512は、ロックレバー軸511から径外方向に延在する部分であり、コネクトレバー連結孔516が形成してある(図7参照)。コネクトレバー連結孔516は、コネクトレバー連結部512の先端部において該コネクトレバー連結部512の延在方向に沿って形成した長孔である。
ボタン連結部513は、ロックレバー軸511からコネクトレバー連結部512とは逆方向に向けて径外方向に延在する部分である。このボタン連結部513には、ドアDの室内側に設けたインサイドロックボタン(図示せず)との間を連係するリンケージやワイヤ等のロックボタン連係手段(図示せず)を接続してある。より詳細には、インサイドロックボタン(図示せず)をロック操作した場合に、ロックレバー510が図4において反時計回りに回転動作する一方、インサイドロックボタン(図示せず)をアンロック操作した場合に、ロックレバー510が図5において時計回りに回転動作するようにロックボタン連係手段(図示せず)を接続してある。
ドリブンギア部514は、図4に示すように、ロックレバー軸511を中心としてコネクトレバー連結部512およびボタン連結部513の間に扇形状に形成したもので、間欠歯車(図示せず)との間において一方向の動力伝達手段を構成している。
これらドリブンギア部514および間欠歯車(図示せず)による動力伝達手段では、ロックレバー510を図4に示す位置(以下、単にアンロック位置という)から図5に示す位置(以下、単にロック位置という)まで反時計回りに回転させた場合、ドリブンギア部514が間欠歯車(図示せず)に歯合しないため、間欠歯車(図示せず)を駆動する駆動モータ(図示せず)を回転させることはない。同様に、ロック位置からアンロック位置までロックレバー510を時計回りに回転させた場合にも、間欠歯車(図示せず)を駆動する駆動モータ(図示せず)が回転することはない。
これに対して、例えば間欠歯車(図示せず)を一方向に回転させた場合には、間欠歯車(図示せず)がドリブンギア部514を介してロックレバー510を反時計回りに回転させてロック位置に変位させることになる。なお、間欠歯車(図示せず)の回転によってロックレバー510をアンロック位置からロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車(図示せず)によってロックレバー510を回転させることができず、中立復帰バネ(図示せず)の弾性復元力により、ロックレバー510を回転させることなく間欠歯車(図示せず)が中立状態に復帰する。
同様に、間欠歯車(図示せず)を他方向に回転させた場合には、間欠歯車(図示せず)がドリブンギア部514を介してロックレバー510を時計回りに回転させてアンロック位置に変位させることになる。なお、間欠歯車(図示せず)の回転によってロックレバー510をロック位置からアンロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車(図示せず)によってロックレバー510を回転させることができず、中立復帰バネ(図示せず)の弾性復元力により、ロックレバー510を回転させることなく間欠歯車(図示せず)が中立状態に復帰する。
パニックレバー押圧部515は、コネクトレバー連結部512の基端部において室内側に位置する面に形成した段部であり、パニックレバー530を押圧する押圧面を有している。
コネクトレバー520は、図7に示すように、ロック機構収容部12の上部に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するコネクトレバー軸521を介して揺動可能に配設し、該コネクトレバー軸521から下方に向けて延在する部分である。このコネクトレバー520には、連結用凸部522および切換用受圧部523を設けてある。連結用凸部522は、コネクトレバー520の先端部において室内側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に突出した円柱状部分であり、上述したロックレバー510のコネクトレバー連結孔516に装着してある。切換用受圧部523は、コネクトレバー520の基端部において室外側に位置する面に形成した段部であり、コネクトレバー軸521を中心とした径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
パニックレバー530は、上述したロックレバー軸511を介して揺動可能に配設し、該ロックレバー軸511から車両後側上方に向けて延在する部分である。このパニックレバー530には、連結用凸部531および切換用受圧部532が設けてある。連結用凸部531は、パニックレバー530の先端部において室内側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。切換用受圧部532は、パニックレバー530の基端部に形成した部分である。
ロックレバー510とパニックレバー530との間には、図4〜図9においてパニックレバー530を常時時計回りに向けて付勢するパニックスプリング533が設けてある。パニックスプリング533は、ロックレバー軸511の周りに巻回したねじりコイルバネであって、一端がロックレバー510に係止してあり、他端がパニックレバー530に係止してある。
ロック解除レバー540は、上述したコネクトレバー軸521を介して揺動可能に配設し、該コネクトレバー軸521から下方に向けて延在する部分である。このロック解除レバー540には、連結用凸部541および切換用受圧部542が設けてある。この連結用凸部541は、ロック解除レバー540の先端部において室内側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。切換用受圧部542は、ロック解除レバー540の基端部において室外側に位置する面に形成した凸部であり、コネクトレバー軸521を中心として径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
オープンリンク550は、その基端部に装着孔551を有したもので、該装着孔551にオープンレバー30のオープン動作端部30bを挿通させることにより、このオープン動作端部30bと共に上下動可能、かつ、該オープン動作端部30bに対して車両本体の左右方向に沿った軸心回りに揺動可能に支承させてある。このオープンリンク550には、パニックレバー連結部552、ラチェット駆動部553およびロック解除レバー連結部554を設けてある。
パニックレバー連結部552は、装着孔551の軸心に対して径外方向に延在する部分であり、その延在端部に形成した連結用溝孔555にパニックレバー530の連結用凸部531を装着することにより、該パニックレバー530に連結してある。具体的には、上述したロックレバー510をアンロック位置に配置した場合、図4に示すように、オープンリンク550のパニックレバー連結部552がほぼ鉛直上方に沿って延在する一方、ロックレバー510をロック位置に配置した場合、オープンリンク550が反時計回りに揺動し、図5に示すように、そのパニックレバー連結部552が左斜め上方に向けて延在されるように連結してある。
ラチェット駆動部553は、図4に示すように、上述したロックレバー510をアンロック位置に配置した場合、ラチェットレバー25における当接部25aの下方域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に配置される一方、ロックレバー510をロック位置に配置した場合、図5に示すように、ラチェットレバー25における当接部25aの下方域から逸脱する位置(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達不能となる伝達不能位置)に配置される部分である。
ロック解除レバー連結部554は、パニックレバー連結部552と平行に延在した部分であり、連結用溝孔555と平行に形成した連結用溝孔556にロック解除レバー540の連結用凸部541を装着することにより、該ロック解除レバー540に連結してある。
キーサブレバー560は、上述したコネクトレバー軸521を介して揺動可能に配設し、該コネクトレバー軸521から上方に向けて延在する部分である。このキーサブレバー560には、キーレバー連結孔561、ロック位置切換用突起562およびアンロック位置切換用突起563を設けてある。キーレバー連結孔561は、キーサブレバー560の先端部において該キーサブレバー560の延在方向に沿って形成した長孔である。ロック位置切換用突起562およびアンロック位置切換用突起563は、それぞれキーサブレバー560の基端部においてコネクトレバー軸521の中心から径外方向に延在した部分である。これらロック位置切換用突起562およびアンロック位置切換用突起563は、互いの間に上述したコネクトレバー520の切換用受圧部523およびロック解除レバー540の切換用受圧部542を介在させた状態で設けてある。
キーレバー570は、ロック機構収容部12におけるキーサブレバー560の延在延長域となる位置に配設してある。キーレバー570は、ドアDに設けたキーシリンダKCからの操作入力部となるもので、キーレバー570は、入力軸部571と連結用凸部572とを有している。
入力軸部571は、キーシリンダKCから延在したキーロッドKRが係合するための部分であり、図2に示すように、その軸心部分にキーロッドKRを装着するための装着穴5711を有している。装着穴5711は、入力軸部571の先端面に開口した有底の穴であり、例えばキーロッドKRの先端部がマイナス(−)となるように形成してある場合、これに嵌合するべく横断面がマイナス(−)となるように形成してある。
連結用凸部572は、キーサブレバー560のキーレバー連結孔561に装着することのできる外径を有した円柱状を成すもので、キーレバー570の先端部上面から突設してある。
このロック機構500においては、入力軸部571の装着穴5711にキーシリンダKCのキーロッドKRが装着してあり、キー操作によるキーシリンダKCの回転が入力軸部571の回転となって入力され、さらに、この入力軸部571の回転が、該入力軸部571の軸心を中心としたキーレバー570の揺動となってキーサブレバー560に伝達される。したがって、キー操作によってキーシリンダKCを所望の方向に回転させることにより、ロック機構500をアンロック状態とロック状態とに切り換えることが可能になる。
上記のように構成したドアロック装置によれば、ロック機構500、並びにこのロック機構500の操作入力部となるキーレバー570がハウジング10の内部に収容され、キーシリンダKCからキーレバー570およびロック機構500に至るまでの間に、自己の軸心回りに回転するキーロッドKRが外部に露出するだけであるため、防盗性の点できわめて有利となる。
上記のように構成したロック機構500では、図4に示すアンロック状態にある場合、上述したように、オープンリンク550のラチェット駆動部553がラチェットレバー25における当接部25aの下方域に配置される。
したがって、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー30を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部30bの上動に伴ってオープンリンク550のラチェット駆動部553がラチェットレバー25の当接部25aを上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
因に、ロック機構500がアンロック状態にある場合には、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によってもドアDを車両本体に対して開動作させることができる。すなわち、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合には、インナーハンドルレバー(図示せず)が揺動し、押圧部(図示せず)がオープンレバー30の受圧部30cを押圧することによって該オープンレバー30が図1において反時計回りに回転動作されることになり、上記と同様にラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態を解除することができる。
このアンロック状態から、図5に示すように、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー510を反時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のロック操作によってロックレバー510を反時計回りに回転動作させることにより、ロックレバー510をアンロック位置からロック位置に回転動作させれば、ロックレバー510の回転動作に伴ってロックレバー510のパニックレバー押圧部515がパニックレバー530の切換用受圧部532を押圧し、該パニックレバー530がオープンリンク550を反時計回りに回転動作し、ロック機構500が図5に示すロック状態となる。
このロック状態においては、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させた場合にも、図6に示すように、オープンリンク550のラチェット駆動部553とラチェットレバー25の当接部25aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
なお、本実施の形態で適用するロック機構500では、ロック状態にある場合、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によってもドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになる。しかしながら、ロック機構500としては、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作に伴ってインナーハンドルレバー(図示せず)が揺動した場合に、該インナーハンドルレバー(図示せず)の揺動によってアンロック状態に復帰させるようにした、いわゆるワンモーション機能を備えるものを適用しても構わない。このワンモーション機能を備えるロック機構を適用した場合には、ロック状態であっても、インナーハンドル(図示せず)を開ドア操作すれば、当該ロック機構がアンロック状態に復帰された後、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態を解除することができるようになる。
また、図4に示すアンロック状態から図5に示すロック状態への移行に関しては、必ずしも駆動モータ(図示せず)あるいはインサイドロックボタン(図示せず)のロック操作によるロックレバー510の回転動作に限らず、キーによるロック操作によってキーサブレバー560を回転動作させて行うことも可能である。
上述したロック状態から、図4に示すように、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー510を時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のアンロック操作によってロックレバー510を時計回りに回転動作させることにより、ロックレバー510をロック位置からアンロック位置に回転動作させれば、パニックスプリング533の弾性復元力によりパニックレバー530が反時計回りに回転動作することになり、さらにこのパニックレバー530の回転に伴ってオープンリンク550が時計回りに回転動作し、ロック機構500が図4に示すアンロック状態となる。
また、図5に示すロック状態から図4に示すアンロック状態への移行に関しては、必ずしも駆動モータ(図示せず)あるいはインサイドロックボタン(図示せず)のアンロック操作によるロックレバー510の回転動作に限らず、キーによるアンロック操作によってキーサブレバー560を回転動作させて行うことも可能である。
上述したロック状態から、図6に示すように、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させた後(オープンレバーは操作位置に移動する)、図7に示すように、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー510を時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のアンロック操作によってロックレバー510を時計回りに回転動作させると、ロックレバー510はロック位置からアンロック位置に回転動作する。ここで、オープンリンク550は、ラチェットレバー25の当接部25aと干渉することになり、パニックスプリング533の弾性力により、オープンリンク550がラチェットレバーにおける当接部25aの下方域から逸脱する位置(伝達不能位置)に留まることになる(パニック状態)。
その後、アウトサイドハンドル1の開ドア操作を中断し、オープンレバーを図1において時計回りに回転動作させると(オープンレバーは非操作位置に戻る)、パニックスプリング533の弾性復元力によりパニックレバー530が反時計回りに回転動作することになり、さらにこのパニックレバー530の回転に伴ってオープンリンク550が時計回りに回転動作し、オープンリンク550のラチェット駆動部553がラチェットレバー25における当接部25aの下方域(伝達可能位置)に移動することになる。
したがって、再び、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させれば、オープン動作端部30bの上動に伴ってオープンリンク550のラチェット駆動部553がラチェットレバー25の当接部25aを上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
ところで、衝突事故等により、パニックスプリング533が折損した場合には、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー510を時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のアンロック操作によってロックレバー510を時計回りに回転動作させることにより、ロックレバー510をロック位置からアンロック位置に回転動作させても、パニックスプリング533の弾性復元力が作用しないので、パニックレバー530が反時計回りに回転動作することがない。したがって、オープンリンク550が時計回りに回転動作し、ロック機構500がアンロック状態となることもない。このため、アウトサイドハンドル1あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させた場合にも、図8に示すように、オープンリンク550のラチェット駆動部553とラチェットレバー25の当接部25aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して保持されることになり、ドアDを開放することができない。
このようにパニックスプリング533が折損した場合において、図9に示すように、キーのアンロック操作によって、キーレバー570を時計回りに回転動作させると、キーレバー570の連結用凸部572およびキーレバー連結孔561を介して連結したキーサブレバー560が反時計回りに回転動作することになる。さらにキーサブレバー560の回転動作に伴ってキーサブレバー560のアンロック位置切換用突起563がロック解除レバー540の切換用受圧部542を押圧し、該ロック解除レバー540がオープンリンク550を時計回りに回転動作させ、ラチェットレバー25における当接部25aの下方域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に移動する。
したがって、この状態で、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー30を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部30bの上動に伴ってオープンリンク550のラチェット駆動部553がラチェットレバー25の当接部25aを上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
上述した実施の形態1に係るドアロック装置によれば、衝突事故等により、パニックスプリング533が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク550を伝達不能位置(ラチェットレバー25における当接部25aの下方域から逸脱する位置)から伝達可能位置(ラチェットレバー25における当接部25aの下方域)に移動させることができる。したがって、パニックスプリング533が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク550を伝達可能位置に移動させた状態で、アウトサイドハンドル1、あるいはインサイドハンドルを開ドア操作することにより、オープンレバー30を非操作位置から操作位置に移動すれば、ドアDを開放することができる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るドアロック装置は、ロック機構収容部12に収容されたロック機構を除いて、上述した実施の形態1に係るドアロック装置の主たる構成に異なる点はないので、ロック機構収容部12に収容されたロック機構600のみを詳説し、他の構成については説明を省略する。
ロック機構600は、上述した実施の形態1に係るドアロック装置と同様に、アウトサイドハンドル1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構20に伝達するアンロック状態(図10参照)と、アウトサイドハンドル1の開ドア操作によるオープンレバー30の回転動作をラッチ機構に伝達しないロック状態(図11参照)とに切り換わるもので、主ケース2における副ケース3との対向面、つまり主ケース2において副ケース3に覆われる面に、ロックレバー610、コネクトレバー620、ロック解除レバー630、パニックレバー640、オープンリンク650、キーサブレバー660およびキーレバー670を備えている。
図10〜図15に示すように、ロックレバー610は、オープンレバー30におけるオープン動作端部30bの側方域に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するロックレバー軸611を介して回動可能に配設したもので、コネクトレバー連結部612、ボタン連結部613、ドリブンギア部614およびパニックレバー押圧部615を有している。
コネクトレバー連結部612は、ロックレバー軸611から径外方向に延在する部分であり、コネクトレバー連結孔616が形成してある(図13参照)。コネクトレバー連結孔616は、コネクトレバー連結部612の先端部において該コネクトレバー連結部612の延在方向に沿って形成した長孔である。
ボタン連結部613は、ロックレバー軸611からコネクトレバー連結部612とは逆方向に向けて径外方向に延在する部分である。このボタン連結部613には、ドアDの室内側に設けたインサイドロックボタン連係手段(図示せず)を接続してある。より詳細には、インサイドロックボタン(図示せず)をロック操作した場合に、ロックレバー610が図10において反時計回りに回転動作する一方、インサイドロックボタン(図示せず)をアンロック操作した場合に、ロックレバー610が図11において時計回りに回転動作するようにロックボタン連係手段(図示せず)を接続してある。
ドリブンギア部614は、図13に示すように、ロックレバー軸611を中心としてコネクトレバー連結部612およびボタン連結部613との間に扇形状に形成したもので、間欠歯車(図示せず)との間において一方向の動力伝達手段を構成している。
これらドリブンギア部614および間欠歯車(図示せず)による動力伝達手段では、ロックレバー610を図10に示す位置(以下、単にアンロック位置という)から図11に示す位置(以下、単にロック位置という)まで反時計回りに回転させた場合、ドリブンギア部614が間欠歯車(図示せず)に歯合しないため、間欠歯車(図示せず)を駆動する駆動モータ(図示せず)を回転させることはない。同様に、ロック位置からアンロック位置までロックレバー610を時計回りに回転させた場合でも、間欠歯車(図示せず)を駆動する駆動モータ(図示せず)が回転することはない。
これに対して、例えば間欠歯車(図示せず)を一方向に回転させた場合には、間欠歯車(図示せず)がドリブンギア部614を介してロックレバー610を反時計回りに回転させてロック位置に変位させることになる。なお、間欠歯車(図示せず)の回転によってロックレバー610をアンロック位置からロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車(図示せず)によってロックレバー610を回転させることができず、中立復帰バネ(図示せず)の弾性復元力により、ロックレバー610を回転させることなく間欠歯車(図示せず)が中立状態に復帰する。
同様に、間欠歯車(図示せず)を他方向に回転させた場合には、間欠歯車(図示せず)がドリブンギア部614を介してロックレバー610を時計回りに回転させてアンロック位置に変位させることになる。なお、間欠歯車(図示せず)の回転によってロックレバー610をロック位置からアンロック位置に変位させた後においては、もはや間欠歯車(図示せず)によってロックレバー610を回転させることができず、中立復帰バネ(図示せず)の弾性復元力により、ロックレバー610を回転させることなく間欠歯車(図示せず)が中立状態に復帰する。
パニックレバー押圧部615は、コネクトレバー連結部612の基端部において室内側に位置する面に形成した段部であり、パニックレバー640を押圧する押圧面を有している。
コネクトレバー620は、ロック機構収容部12の上部に、車両本体の左右方向に沿って略水平に延在するコネクトレバー軸621を介して揺動可能に配設し、該コネクトレバー軸621から下方に延在する部分である。このコネクトレバー620には、連結用凸部622および切換用受圧部623を設けてある。この連結用凸部622は、コネクトレバー620の先端部において室内側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に突出した円柱状部分であり、上述したロックレバー610のコネクトレバー連結孔616に装着してある。切換用受圧部623は、コネクトレバー620の基端部において室内側に位置する面に形成した段部であり、コネクトレバー軸621を中心とした径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
ロック解除レバー630は、上述したコネクトレバー軸621を介して揺動可能に配設し、該コネクトレバー軸621から下方に延在する部分である。このロック解除レバー630には、連結用凸部631および切換用受圧部632が設けてある。連結用凸部631は、ロック解除レバー630の先端部において室内側に位置する面から車両本体の左右方向に沿って略水平に突出した円柱部分であり、切換用受圧部632は、ロック解除レバー630の基端部において室外側に位置する面に形成した凸部であり、コネクトレバー軸621を中心として径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
パニックレバー640は、上述したロックレバー軸611を介して揺動可能に配設したもので、ロック解除レバー連結部641および切換用受圧部642が設けてある。ロック解除レバー連結部641は、ロックレバー軸611から側方(車両本体の後方)に延在した後に上方に延在する部分であり、ロック解除レバー連結孔643が形成してある(図13参照)。ロック解除レバー連結孔643は、ロック解除レバー連結部641の先端部において該ロック解除レバー連結部641の延在方向に沿って形成した長孔であり、上述したロック解除レバー630の連結用凸部631が挿通してある。
切換用受圧部642は、ロックレバー軸611から側方(車両本体の後方)に延在したパニックレバー640の基端部となる部分であり、上述したロックレバー610に形成されたパニックレバー押圧部615により押圧可能となっている。
ロックレバー610とパニックレバー640との間には、図10〜図15においてパニックレバー640を常時時計回りに向けて付勢するパニックスプリング644が設けてある。パニックスプリング644は、ロックレバー軸611の回りに巻回したねじりコイルバネであって、一端がロックレバー610に係止してあり、他端がパニックレバー640に係止してある。
オープンリンク650は、その基端部に装着孔651を有したもので、該装着孔651にオープンレバー30のオープン動作端部30bを挿通させることにより、このオープン動作端部30bと共に上動可能、かつ、該オープン動作端部30bに対して車両本体の左右方向に沿った軸心回りに回動可能に支承させてある。このオープンリンク650には、ロック解除レバー連結部652およびラチェット駆動部653を設けてある。
ロック解除レバー連結部652は、装着孔651の軸心に対して径外方向に延在する部分であり、その延在端部に形成した連結用溝孔654に、パニックレバー640のロック解除レバー連結孔643を挿通したロック解除レバー630の連結用凸部631を装着することにより、ロック解除レバー630に連結してある。具体的には、上述したロックレバー610をアンロック位置に配置した場合、図10に示すように、オープンリンク650のロック解除レバー連結部652がほぼ鉛直上方に沿って延在する一方、ロックレバー610をロック位置に配置した場合、オープンリンク650が反時計回りに揺動し、図11に示すように、そのロック解除レバー連結部652が左斜め上方に向けて延在されるように連結してある。
ラチェット駆動部653は、図10に示すように、上述したロックレバー610をアンロック位置に配置した場合、ラチェットレバー25における当接部25aの下方域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に配置される一方、ロックレバー610をロック位置に配置した場合、図11に示すように、ラチェットレバー25における当接部25aの下方域から逸脱する位置(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達不能となる伝達不能位置)に配置される部分である。
キーサブレバー660は、上述したコネクトレバー軸621を介して揺動可能に配設し、該コネクトレバー軸621から上方に向けて延在する部分である。このキーサブレバー660には、キーレバー連結孔661、ロック位置切換用突起662およびアンロック位置切換用突起663を設けてある。キーレバー連結孔661は、キーサブレバー660の先端部において該キーサブレバー660の延在方向に沿って形成した長孔である。ロック位置切換用突起662およびアンロック位置切換用突起663は、それぞれキーサブレバー660の基端部においてコネクトレバー軸621の中心から径外方向に延在した部分である。これらロック位置切換用突起662およびアンロック位置切換用突起663は、互いの間に上述したコネクトレバー620の切換用受圧部623およびロック解除レバー630の切換用受圧部632を介在させた状態で設けてある。
キーレバー670は、ロック機構収容部12におけるキーサブレバー660の延在延長域となる位置に配置してある。キーレバー670はドアDに設けたキーシリンダKCからの操作入力部となるもので、キーレバー670は、入力軸部671と連結用凸部672とを有している。
入力軸部671は、キーシリンダKCから延在したキーロッドKRが係合するための部分であり、その軸心部分にキーロッドKRを装着するための装着穴を有している。装着穴は、入力軸部671の先端面に開口した有底の穴であり、例えばキーロッドKRの先端部がマイナス(−)となるように形成してある場合、これに嵌合するべく横断面がマイナス(−)となるように形成してある。
連結用凸部672は、キーサブレバー660のキーレバー連結孔661に装着することのできる外径を有した円柱状を成すもので、キーレバー670の先端部上面から突設してある。
このロック機構600においては、入力軸部671の装着穴にキーシリンダKCのキーロッドKRが装着してあり、キー操作によるキーシリンダKCの回転が入力軸部671の回転となって入力され、さらに、この入力軸部671の軸心を中心としたキーレバー670の揺動となってキーサブレバー660に伝達される。したがって、キー操作によってキーシリンダKCを所望の方向に回転させることにより、ロック機構600をアンロック状態とロック状態とに切り換えることが可能になる。
上記のように構成したドアロック装置によれば、ロック機構600、並びにこのロック機構600の操作入力部となるキーレバー670がハウジング10の内部に収容され、キーシリンダKCからキーレバー670およびロック機構600に至るまでの間に、自己の軸心回りに回転するキーロッドKRが外部に露出するだけであるため、防盗性の点できわめて有利となる。
上記のように構成したロック機構600では、図10に示すアンロック状態にある場合、上述したように、オープンリンク650のラチェット駆動部653がラチェットレバー25における当接部25aの下方域に配置される。
したがって、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー30を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部30bの上動に伴ってオープンリンク650のラチェット駆動部653がラチェットレバー25の当接部25aを上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
因に、ロック機構600がアンロック状態にある場合には、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によってもドアDを車両本体に対して開動作させることができる。すなわち、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合には、インナーハンドルレバー(図示せず)が揺動し、押圧部(図示せず)がオープンレバー30の受圧部30cを押圧することによって該オープンレバー30が図1において反時計回りに回転動作されることになり、上記と同様にラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態を解除することができる。
このアンロック状態から、図11に示すように、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー610を反時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のロック操作によってロックレバー610を回転動作することにより、ロックレバー610をアンロック位置からロック位置に回転動作させれば、ロックレバー610の回転動作に伴ってロックレバー610のパニックレバー押圧部615がパニックレバー640の切換用受圧部642を押圧し、ロックレバー610と共に反時計回りに回転動作する。このパニックレバー640の回転動作により、ロック解除レバー連結部641を介してロック解除レバー630は時計回りに回転すると共に、オープンリンク650を反時計回りに回転動作させ、ロック機構600が図11に示すロック状態となる。
このロック状態においては、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させた場合にも、図12に示すように、オープンリンク650のラチェット駆動部653とラチェットレバー25の当接部25aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
なお、本実施の形態で適用するロック機構600では、ロック状態にある場合、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によってもドアDが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになる。しかしながら、ロック機構としては、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作に伴ってインナーハンドルレバー(図示せず)が揺動した場合に、該インナーハンドルレバー(図示せず)の揺動によってアンロック状態に復帰させるようにした、いわゆるワンモーション機能を備えるものを適用しても構わない。このワンモーション機能を備えるロック機構を適用した場合には、ロック状態であっても、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作すれば、当該ロック機構がアンロック状態に復帰された後、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係止部21cとの当接係合状態を解除することができるようになる。
また、図10に示すアンロック状態から図11にロック状態への移行に関しては、必ずしも駆動モータ(図示せず)あるいはインサイドロックボタン(図示せず)のロック操作によるロックレバー610の回転動作に限らず、キーによるロック操作によってキーサブレバー660を回転動作させて行うことも可能である。
上述したロック状態から、図12に示すように、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させた後(オープンレバーは操作位置に移動する)、図13に示すように、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー610を時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のアンロック操作によってロックレバー610を時計回りに回転動作させると、ロックレバー610はロック位置からアンロック位置に回転動作する。ここで、オープンリンク650は、ラチェットレバー25の当接部25aと干渉することになり、パニックスプリング644の弾性力により、オープンリンク650がラチェットレバー25における当接部25aの下方域から逸脱する位置(伝達不能位置)に留まることになる(パニック状態)。
その後、アウトサイドハンドル1の開ドア操作を中断し、オープンレバー30を図1において時計回りに回転動作させると(オープンレバーは非操作位置に戻る)、パニックスプリング644の弾性復元力によりパニックレバー640が反時計回りに回転動作することになり、さらにこのパニックレバー640の回転に伴ってオープンリンク650が時計回りに回転動作し、オープンリンク650のラチェット駆動部653がラチェットレバー25における当接部25aの下方域(伝達可能位置)に移動することになる。
したがって、再び、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させれば、オープン動作端部30bの上動に伴ってオープンリンク650のラチェット駆動部653がラチェットレバー25の当接部25aを上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
ところで、衝突事故等により、パニックスプリング644が折損した場合には、駆動モータ(図示せず)によってロックレバー610を時計回りに回転動作させ、あるいは、インサイドロックボタン(図示せず)のアンロック操作によってロックレバー610をロック位置からアンロック位置に回転動作させても、パニックスプリング644の弾性復元力が作用しないので、パニックレバー640が反時計回りに回転動作することがない。したがって、オープンリンク650が時計回りに回転動作し、ロック機構600がアンロック状態となることもない。このため、アウトサイドハンドル1あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させた場合にも、図14に示すように、オープンリンク650のラチェット駆動部653とラチェットレバー25の当接部25aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して保持されることになり、ドアDを開放することができない。
このようにパニックスプリング644が折損した場合において、図15に示すように、キーのアンロック操作によって、キーレバー670を時計回りに回転動作させると、キーレバー670の連結用凸部672およびキーレバー連結孔661を介して連結したキーサブレバー660が反時計回りに回転動作することになる。さらにキーサブレバー660の回転動作に伴ってキーサブレバー660のアンロック位置切換用突起663がロック解除レバー630の切換用受圧部632を押圧し、該ロック解除レバー630がオープンリンク650を時計回りに回転動作させ、ラチェットレバー25における当接部25aの下方域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に移動する。
したがって、この状態で、アウトサイドハンドル1を開ドア操作し、オープンレバー30を図1において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー30を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部30bの上動に伴ってオープンリンク650のラチェット駆動部653がラチェットレバー25の当接部25aを上動させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開ドア操作させることができるようになる。
上述した実施の形態2に係るドアロック装置によれば、衝突事故等により、パニックスプリング644が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク650を伝達不能位置(ラチェットレバーにおける当接部の下方域から逸脱する位置)から伝達可能位置(ラチェットレバーにおける当接部の下方域)に移動させることができる。したがって、パニックスプリング644が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク650を伝達可能位置に移動させた状態で、アウトサイドハンドル1、あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作することにより、オープンレバー30を非操作位置から操作位置に移動すれば、ドアDを開放することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係るドアロック装置は、ボディ(図示せず)に形成されたラッチ機構収容部(図示せず)にラッチ機構(図示せず)を収容する一方、ボディ(図示せず)の車両本体前側となる面にロック機構700を構成したものであり、ラッチ機構(図示せず)は上述した実施の形態1および実施の形態2に示したドアロック装置のラッチ機構と異なるものではないので、ロック機構700を詳説し、ラッチ機構については同一の符号を用いて、説明を省略する。
実施の形態3に係るロック機構700は、ボディ(図示せず)の車両本体側となる面を覆うバックプレート40上に構成したものであって、バックプレート40には、ラチェットレバー41およびオープンレバー42が配設してある。
ラチェットレバー41は、バックプレート40を貫通したラチェットレバー軸43に支承してある。ラチェットレバー41は、ラチェットレバー軸43からラチェット(図示せず)の作用部と同一方向に向けて延在した当接部41aを有したもので、ラチェット(図示せず)と一体に回転するように構成してある。
オープンレバー42は、ラチェットレバー軸43よりも上方室外側となる位置に、車両前後方向に沿って略水平に延在するオープンレバー軸44を介して回転可能に配設したもので、非操作位置から操作位置に変位可能となっている。オープンレバー42は、オープン作用端部42aおよびオープン動作端部42bを有している。
オープン作用端部42aは、オープンレバー軸44から室内側に向けて径外方向に延在した部分であって、その延在端部は、側方に設けられたインナーレバー(図示せず)によって押圧可能となっている。このインナーレバー(図示せず)には、ドアに設けたインサイドハンドル(図示せず)との間を連係するリンケージやワイヤ等のインサイドハンドル連係手段(図示せず)が接続してある。より詳細には、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合に、オープンレバー42が図16において反時計回りに回転動作することにより、オープンレバー42が非操作位置から操作位置に移動するようにインサイドハンドル連係手段(図示せず)が接続してある。
オープン動作端部42bは、オープンレバー軸44から室外側に向けて径外方向に延在した部分であり、その延在端部の一部である矩形部分42b1が車両本体の前後方向に沿って延在するように折り曲げてある。この矩形部分42b1には、ドアに設けたアウトサイドハンドル(図示せず)との間を連係するリンケージ等のインサイドハンドル連係手段(図示せず)を接続してある。より詳細には、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合に、オープンレバー42が図16において反時計回りに回転動作することにより、オープンレバー42が非操作位置から操作位置に移動するようにアウトサイドハンドル連係手段(図示せず)が接続してある。なお、図には明示していないが、オープンレバーとバックプレートとの間には、図16および図17においてオープンレバー42を常時時計回りに向けて付勢するオープンレバーバネが設けてある。
ロック機構700は、アウトサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によるオープンレバー42の回転動作をラッチ機構に伝達するアンロック状態(図16参照)と、アウトサイドハンドルの開ドア操作によるオープンレバー42の回転動作をラッチ機構に伝達しないロック状態(図17参照)とに切り換わるもので、ボディの車両前側となる面に覆うバックプレート40の車両前側となる面に、ロックレバー710、パニックレバー720、オープンリンク730およびキーレバー740を備えている。
図16および図17に示すように、ロックレバー710は、オープンレバー42の下方域に車両本体の前後方向に略水平に延在するロックレバー軸711を介して回動可能に配設したもので、図16に示すアンロック位置から図17に示すアンロック位置との間を回転動作可能となっている。ロックレバー710は、図18に示すように、作用端部712、動作端部713および切換用受圧部714、回動規制部715を有している。
作用端部712は、ロックレバー軸711から径外方向室内側に延在する部分であり、この作用端部712には、アクチュエータ接続部716およびパニックスプリング装着部717が設けてある。アクチュエータ接続部716は、作用端部712の先端において車両前側に位置する面に立設した部分であり、アクチュエータ(図示せず)が接続してある。アクチュエータ(図示せず)は、ロックレバー710を図16に示すアンロック位置から図17に示すロック位置に、あるいはロック位置からアンロック位置に回転動作させる駆動モータ(図示せず)を有している。また、アクチュエータ(図示せず)は、リンケージ、ワイヤ等のロックボタン連係手段(図示せず)を介してインサイドロックボタン(図示せず)と接続してあり、駆動モータ(図示せず)によらなくても、ロックレバー710をアンロック位置からロック位置に、あるいはロック位置からアンロック位置に回転動作させることが可能である。パニックスプリング装着部717は、アクチュエータ接続部716の近傍において車両前側に位置する面から車両本体の前後方向に沿って突出した円柱状部分である。
図18に示すように、動作端部713は、ロックレバー軸711から径外方向室外側に延在する部分である。切換用受圧部714は、ロックレバー710の基端部において車両前側に位置する面に形成した段部であり、ロックレバー軸711を中心とした径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
回動規制部715は、ロックレバー710の下方に延在した部分において車両後側となる面に形成した段部であって、ロックレバー710の回動を規制する二つの受圧面を有している。この回動規制部715は、バックプレート40に形成された切欠(図中二点鎖線で示す)を回動可能であって、ロックレバー710がアンロック位置に回転動作した場合に切欠の右側縁部と当接し、ロックレバー710がロック位置に回転動作した場合に切欠の左側縁部と当接することにより、ロックレバー710が過回転しないように規制されている。
パニックレバー720は、上述したロックレバー軸711を介して揺動可能に配設したもので、図19に示すように、オープンリンク連結部721、パニックスプリング係止部722および切換用受圧部723が設けてある。オープンリンク連結部721は、ロックレバー軸711から室外側上方に延在する部分であり、このオープンリンク連結部721には、連結部724を設けてある。この連結部724は、オープンリンク連結部721の略中央において車両前側に位置する面から車両本体の前後方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。パニックスプリング係止部722は、ロックレバー軸711から室外側に延在する部分であり、このパニックスプリング係止部722には、パニックスプリング係止用凸部725を設けてある。このパニックスプリング係止用凸部725は、パニックスプリング係止部722の先端において車両後側に位置する面から車両本体の前後方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。切換用受圧部723は、パニックレバー720の基端部において車両前側に位置する面に形成した段部であり、ロックレバー軸711を中心とした径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
ロックレバー710とパニックレバー720との間には、図16および図17においてパニックレバー720を常時反時計回りに向けて付勢するパニックスプリング726が設けてある。パニックスプリング726は、ロックレバー710のパニックスプリング装着部717に装着したねじりコイルバネであって、一端がロックレバー710のアクチュエータ接続部716に係止してあり、他端がパニックレバー720のパニックスプリング係止用凸部725に係止してある。
オープンリンク730は、その基端部に装着孔731を有したもので、該装着孔731にオープンレバーのオープン動作端部42b(矩形部分42b1)を挿通させることにより、このオープン動作端部42bと共に、反時計回りに回転可能、かつ、該オープン動作端部42bに対して車両本体の前後方向に沿った軸心回りに揺動可能に支承させてある。このオープンリンク730には、ラチェット駆動部732およびパニックレバー連結部733を設けてある。
ラチェット駆動部732は、図16に示すように、上述したロックレバー710をアンロック位置に配置した場合、ラチェットレバー41における当接部41aの延在方向延長域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に配置される一方、図17に示すように、ロックレバー710をロック位置に配置した場合、ラチェットレバー41における当接部の延在方向延長域から逸脱する位置(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達不能となる伝達不能位置)に配置される部分である。
パニックレバー連結部733は、装着孔731の軸心に対して径外方向に延在する部分であり、その延在端部に形成した連結用溝孔734にパニックレバー720の連結部724を装着することにより、該パニックレバー720に連結してある。具体的には、上述したロックレバー710をアンロック位置に配設した場合、図16に示すように、オープンリンク730ラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧する方向にパニックレバー連結部733が移動し、図17に示すように、オープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを空振りする方向にパニックレバー連結部733が移動するように、連結用溝孔734が設けてある。
キーレバー740は、ロックレバー軸711を介して回動可能に配設したもので、図20に示すように、キーシリンダ連結部741およびロック切換用凹部742を備えている。キーシリンダ連結部741は、ロックレバー軸711から室外側に延在した部分であり、このキーシリンダ連結部741には、ドアに設けたキーシリンダ(図示せず)との間を連係するリンケージやワイヤ等のキーシリンダ連係手段(図示せず)を接続してある。より詳細には、キー操作によりキーシリンダ(図示せず)をロック操作した場合に、キーレバー740が図16において時計回りに回転動作する一方、キー操作によりキーシリンダ(図示せず)をアンロック操作した場合にキーレバー740が図17において反時計回りに回転動作するようにキーシリンダ連係手段(図示せず)を接続してある。
ロック切換用凹部742は、キーレバー740の基端部において車両後側に位置する面に形成した凹部であって、ロックレバー軸711の中心から径外方向に形成した部分である。このロック切換用凹部742は、上述したロックレバー710の切換用受圧部714およびパニックレバー720の切換用受圧部723を介在させるように設けてある。
上記のように構成したロック機構では、図16示すアンロック状態にある場合、上述したように、オープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41おける当接部41aの延在方向延長域に配置される。
したがって、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図16において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー42を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部42bの回転動作に伴ってオープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧することになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
因に、ロック機構700がアンロック状態にある場合には、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によってもドアを車両本体に対して開動作させることができる。すなわち、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合には、インナーレバー(図示せず)が揺動し、オープンレバー42のオープン作用端部42aを押圧することによって該オープンレバー42が図16において反時計回りに回転動作されることになり、上記と同様にラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態を解除することができる。
このアンロック状態から、図17に示すように、アクチュエータによってロックレバーを時計回りに回転動作させることにより、ロックレバー710をアンロック位置からロック位置に回転動作させれば、ロックレバー710の回転動作に伴ってロックレバー710の動作端部713がパニックレバー720のオープンリンク連結部721を押圧し、ロックレバー710と共に時計回りに回転動作する。このパニックレバー720の回転動作により、オープンリンク730を反時計回りに回転動作させ、ロック機構700は、図17に示すロック状態となる。
このロック状態においては、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図17において反時計回りに回転動作させた場合にも、図21に示すように、オープンリンク730のラチェット駆動部732とラチェットレバー41の当接部41aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
また、図16に示すアンロック状態から図17にロック状態への移行に関しては、必ずしもアクチュエータによるロックレバー710の回転動作に限らず、キーによるロック操作によってキーレバー740を回転動作させて行うことも可能である。
上述したロック状態から、図21に示すように、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を反時計回りに回転動作させた後(オープンレバーは操作位置に移動する)、図22に示すように、アクチュエータ(図示せず)によってロックレバー710を時計回りに回転動作させると、ロックレバー710はロック位置からアンロック位置に回転動作する。ここで、オープンリンク730のラチェット駆動部732は、ラチェットレバー41の当接部41aと干渉することになり、パニックスプリング726の弾性力により、オープンリンク730がラチェットレバー41における当接部41aの延在方向延長域から逸脱する位置(伝達不能位置)に留まることになる(パニック状態)。
その後、アウトサイドハンドルの開ドア操作を中断し、オープンレバー42を図22において時計回りに回転動作させると(オープンレバーは非操作位置に戻る)、パニックスプリング726の弾性復元力によりパニックレバー720が反時計回りに回転動作することになり、さらにこのパニックレバー720の回転に伴ってオープンリンク730が時計回りに回転動作し、オープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41における当接部41aの延在方向延長域(伝達可能位置)に移動することになる(図16参照)。
したがって、再び、アウトサイドハンドルを開ドア操作し、オープンレバー42を図16において反時計回りに回転動作させれば、オープン動作端部42bの回動に伴ってオープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
ところで、衝突事故等により、パニックスプリング726が折損した場合には、アクチュエータによってロックレバー710を反時計回りに回転動作させても、パニックスプリング726の弾性復元力が作用しないので、パニックレバー720が反時計回りに回転動作することがない。したがって、オープンリンク730が時計回りに回転動作し、ロック機構700がアンロック状態となることもない。このため、アウトサイドハンドル(図示せず)あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を反時計回りに回転動作させた場合にも、図23に示すように、オープンリンク730のラチェット駆動部732とラチェットレバー41の当接部41aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアDが車両本体に対して保持されることになり、ドアDを開放することができない。
このようにパニックスプリング726が折損した場合において、図24に示すように、キーのアンロック操作によって、キーレバー740を反時計回りに回転動作させると、キーレバー740のロック切換用凹部742がパニックレバー720の切換用受圧部723を押圧し、該パニックレバー720がオープンリンク730を反時計回りに回転動作させ、ラチェットレバー41における当接部41aの延在延長領域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に移動する。
したがって、この状態で、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図24において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー42を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部42bの回動に伴ってオープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧することになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開ドア操作させることができるようになる。
上述した実施の形態3に係るドアロック装置によれば、衝突事故等により、パニックスプリング726が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク730を伝達不能位置(ラチェットレバーにおける当接部の延在方向延長域から逸脱する位置)から伝達可能位置(ラチェットレバーにおける当接部の延在方向延長域)に移動させることができる。したがって、パニックスプリング726が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク730を伝達可能位置に移動させた状態で、アウトサイドハンドル(図示せず)、あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作することにより、オープンレバー42を非操作位置から操作位置に移動すれば、ドアを開放することができる。
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係るドアロック装置は、上述した実施の形態3に係るドアロック装置のパニックレバー720をパニックメインレバー820とパニックサブレバー830とに分割したものであるので、パニックメインレバー820とパニックサブレバー830とについて説明し、他の構成については説明を省略する。
図25に示すように、パニックメインレバー820は、上述したパニックレバー720と同様に、ロックレバー軸711を介して揺動可能に配設したもので、オープンリンク連結部821およびパニックスプリング係止部822が設けてある。オープンリンク連結部821は、ロックレバー軸711から室外側上方に延在する部分であり、このオープンリンク連結部821には、連結孔824が設けてある。パニックスプリング係止部822は、ロックレバー軸711から室外側に延在する部分であり、このパニックスプリング係止部822には、パニックスプリング係止用凸部825が設けてある。このパニックスプリング係止用凸部825は、パニックスプリング係止部822の先端において車両後側に位置する面から車両本体の前後方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。
図25に示すように、パニックサブレバー830は、ロックレバー軸711を介して揺動可能に配設したもので、上述したパニックレバー720と同様に、オープンリンク連結部831および切換用受圧部832が設けてある。オープンリンク連結部831は、パニックメインレバー820と同様に、ロックレバー軸711から室外側上方に延在する部分であり、このオープンリンク連結部831には、連結部833が設けてある。この連結部833は、オープンリンク連結部831の略中央において車両後側に位置する面と車両前側に位置する面とから車両本体の前後方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。切換用受圧部832は、パニックサブレバー830の基端部において車両前側に位置する面に形成した段部であり、ロックレバー軸711を中心とした径方向に沿って延在する二つの受圧面(押圧面)を有している。
上述したパニックメインレバー820とパニックサブレバー830とを、パニックメインレバー820の連結孔824にパニックサブレバー830の車両後側となる面に形成した連結部833を装着することにより、一体化すれば、上述した実施の形態3で示したパニックレバー720と同一の作用効果を奏することができる。
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係るドアロック装置は、上述した実施の形態3に係るドアロック装置のキーレバーにパニックレバーを一体に構成したものであるので、キーレバーについて説明し、他の構成については説明を省略する。
キーレバー940は、上述したロックレバー軸711を介して揺動可能に配設したもので、キーシリンダ連結部941、オープンリンク連結部942、パニックスプリング係止部943、ロック位置切換用突起944およびアンロック位置切換用突起945が設けてある。
キーシリンダ連結部941は、ロックレバー軸711から室外側に延在した部分であり、このキーシリンダ連結部941には、ドアに設けたキーシリンダ(図示せず)との間を連係するリンケージやワイヤ等のキーシリンダ連係手段946を接続する連係手段連結溝孔947が設けてある。より詳細には、キー操作によりキーシリンダ(図示せず)をロック操作した場合に、キーレバー940が図26において時計回りに回転動作する一方、キー操作によりキーシリンダ(図示せず)をアンロック操作した場合に、キーレバー940が図27において反時計回りに回転動作するようにキーシリンダ連係手段946が接続してある。
オープンリンク連結部942は、ロックレバー軸711から室外側上方に延在する部分であり、このオープンリンク連結部942には、連結部948を設けてある。この連結部948は、オープンリンク連結部942の略中央において車両前側に位置する面から車両本体の前後方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。
パニックスプリング係止部943は、ロックレバー軸711から室外側に延在する部分であり、このパニックスプリング係止部943には、パニックスプリング係止用凸部949が設けてある。このパニックスプリング係止用凸部949は、パニックスプリング係止部943の先端において車両後側に位置する面から車両本体の前後方向に沿って略水平に突出した円柱状部分である。
ロック位置切換用突起944およびアンロック位置切換用突起945は、それぞれキーレバー940の基端部においてロックレバー軸711の中心から径外方向に延在した部分である。これらロック位置切換用突起944およびアンロック位置切換用突起945は、互いの間にロックレバー710の切換用受圧部714を介在させた状態で設けてある。
ロックレバー710とキーレバー940との間には、実施の形態3と同様に、図26〜図31においてキーレバー940を常時反時計回りに向けて付勢するパニックスプリング726が設けてある。パニックスプリング726は、一端がロックレバー710のアクチュエータ接続部716に係止してあり、他端がキーレバー940のパニックスプリング係止用凸部949に係止してある。
上記のように構成したロック機構900では、図26示すアンロック状態にある場合、上述したように、オープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41おける当接部41aの延在方向延長域に配置される。
したがって、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図26において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー42を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部42bの回転動作に伴ってオープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧することになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
因に、ロック機構900がアンロック状態にある場合には、インサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作によってもドアを車両本体に対して開動作させることができる。すなわち、インサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作した場合には、インナーレバー(図示せず)が揺動し、オープンレバー42のオープン作用端部42aを押圧することによって該オープンレバー42が図26において反時計回りに回転動作されることになり、上記と同様にラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態を解除することができる。
このアンロック状態から、図27に示すように、アクチュエータによってロックレバー710を時計回りに回転動作させることにより、ロックレバー710をアンロック位置からロック位置に回転動作させれば、ロックレバー710の回転動作に伴ってロックレバー710の動作端部713がキーレバー940のオープンリンク連結部942を押圧し、ロックレバー710と共に時計回りに回転動作する。このキーレバー940の回転動作により、オープンリンク730を反時計回りに回転動作させ、ロック機構900が図27に示すロック状態となる。
このロック状態においては、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図27において反時計回りに回転動作させた場合にも、図28に示すように、オープンリンク730のラチェット駆動部732とラチェットレバー41の当接部41aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアが車両本体に対して閉じた状態に保持されることになり、車両を施錠することが可能になる。
また、図26に示すアンロック状態から図27にロック状態への移行に関しては、必ずしもアクチュエータによるロックレバー710の回転動作に限らず、キーによるロック操作によってキーレバー940を回転動作させて行うことも可能である。
上述したロック状態から、図28に示すように、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図28において反時計回りに回転動作させた後(オープンレバーは操作位置に移動する)、図29に示すように、アクチュエータ(図示せず)によってロックレバー710を反時計回りに回転動作させると、ロックレバー710はロック位置からアンロック位置に回転動作する。ここで、オープンリンク730のラチェット駆動部732は、ラチェットレバー41の当接部41aと干渉することになり、パニックスプリング726の弾性力により、オープンリンク730がラチェットレバー41における当接部41aの延在方向延長域から逸脱する位置(伝達不能位置)に留まることになる(パニック状態)。
その後、アウトサイドハンドル(図示せず)の開ドア操作を中断し、オープンレバー42を図29において時計回りに回転動作させると(オープンレバーは非操作位置に戻る)、パニックスプリング726の弾性復元力によりキーレバー940が反時計回りに回転動作することになり、さらにこのキーレバー940の回転に伴ってオープンリンク730が時計回りに回転動作し、オープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41における当接部41aの延在方向延長域(伝達可能位置)に移動することになる(図26参照)。
したがって、再び、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図26において反時計回りに回転動作させれば、オープン動作端部42bの回動に伴ってオープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧させることになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアを車両本体に対して開動作させることができるようになる。
ところで、衝突事故等により、パニックスプリング726が折損した場合には、アクチュエータによってロックレバー710を反時計回りに回転動作させても、パニックスプリング726の弾性復元力が作用しないので、キーレバー940が反時計回りに回転動作することがない。したがって、オープンリンク730が時計回りに回転動作し、ロック機構900がアンロック状態となることもない。このため、アウトサイドハンドル(図示せず)あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を反時計回りに回転動作させた場合にも、図30に示すように、オープンリンク730のラチェット駆動部732とラチェットレバー41の当接部41aとが互いに当接することがなく、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態も解除されない。この結果、ドアが車両本体に対して保持されることになり、ドアを開放することができない。
このようにパニックスプリング726が折損した場合において、図31に示すように、キーのアンロック操作によって、キーレバー940を反時計回りに回転動作させると、該キーレバー940がオープンリンク730を反時計回りに回転動作させ、ラチェットレバー41における当接部41aの延在延長領域(オープンレバーの操作力がラチェットに伝達可能となる伝達可能位置)に移動する。
したがって、この状態で、アウトサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作し、オープンレバー42を図31において反時計回りに回転動作させることにより、オープンレバー42を非操作位置から操作位置に移動させれば、オープン動作端部42bの回動に伴ってオープンリンク730のラチェット駆動部732がラチェットレバー41の当接部41aを押圧することになり、ラッチ21のフック部21bとラチェット22の係合部22aとの当接係合状態が解除され、ドアDを車両本体に対して開ドア操作させることができるようになる。
上述した実施の形態5に係るドアロック装置によれば、衝突事故等により、パニックスプリング726が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク730を伝達不能位置(ラチェットレバーにおける当接部の延在方向延長域から逸脱する位置)から伝達可能位置(ラチェットレバーにおける当接部の延在方向延長域)に移動させることができる。したがって、パニックスプリング726が折損した場合であっても、キーによるアンロック操作によりオープンリンク730を伝達可能位置に移動させた状態で、アウトサイドハンドル(図示せず)、あるいはインサイドハンドル(図示せず)を開ドア操作することにより、オープンレバー42を非操作位置から操作位置に移動すれば、ドアを開放することができる。
上述した実施の形態1〜5では、ドアロック装置の適用対象として四輪自動車のドアDを例示しているが、四輪自動車以外の車両に設けられるドアであってもよい。また、車両の横面に設けられるドアに限らず、バックドアにももちろん適用可能である。さらに、前方ヒンジである必要もなく、上方ヒンジのドア、後方ヒンジのドア、下方ヒンジのドア、スライドドア等々、その他の態様で開閉するドアに適用しても構わない。