JP4056877B2 - ガラス層をもつ製品 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明はガラス層をもつ製品に関する。
【0002】
【背景技術】
例えば、Ag、Cu、Zn等の抗菌金属は抗菌性を有することが知られている。このため、従来、抗菌機能をもつセラミックス製品やホウロウ製品等のガラス層をもつ製品を製造せんとする場合、ガラス成形体、セラミックス成形体、金属成形体等の基体の表面に抗菌機能を付与する抗菌処理工程を有する防汚処理方法が行われ得る。この防汚処理方法の抗菌処理工程は、抗菌金属を含むガラス層を形成し得る釉薬を用意する準備工程と、基体の表面にその釉薬からなる釉薬層を形成し、その釉薬層を溶融させてガラス層を形成するガラス化工程とからなる。
【0003】
この防汚処理方法により、ガラス層をもつ基体からなり、ガラス層がその釉薬からなる製品が得られる。こうして得られたガラス層をもつ製品では、ガラス層中の抗菌金属が細菌に作用し、これを死滅させ、或いはその繁殖を抑制することができる。
【0004】
また、一般的な陶磁器は、陶磁器本体と、この陶磁器本体の表面に形成されたガラス層とからなる。
【0005】
この陶磁器はおよそ以下のように製造される。まず、準備工程として、陶磁器本体を形成し得る素地と、その陶磁器本体の表面にガラス層を形成し得る釉薬とを用意する。そして、施釉工程として、素地の表面に釉薬からなる釉薬層を形成する。この後、焼成工程として、素地及び釉薬層を焼成し、陶磁器本体とガラス層とからなる陶磁器を得る。
【0006】
こうして得られた陶磁器では、ガラス層が表面を滑らかで美しく仕上げるとともに、表面にキズをつきにくくし、さらには防水性も付与する。
【0007】
さらに、例えば、飲食器、台所用品、装飾品、タイル類、衛生用品、電気用品、理化学用品、工業用品、建築用瓦、屋根瓦、陶管等のような製品としての陶磁器は、基体としての陶磁器本体と、この陶磁器本体の表面に形成されたガラス層とからなる。また、琺瑯製品は、基体としての金属本体と、この金属本体の表面に形成されたガラス層とからなる。さらに、ガラス製品の一部には、基体としてのガラス本体と、このガラス本体の表面に形成されたガラス層とからなるものもある。
【0008】
以上のようなガラス層をもつ製品のうち、例えば、陶磁器は、およそ以下のように製造される。まず、準備工程として、陶磁器本体を形成し得る素地と、その陶磁器本体の表面にガラス層を形成し得る釉薬とを用意する。そして、施釉工程として、素地の表面に釉薬からなる釉薬層を形成する。この後、焼成工程として、素地及び釉薬層を焼成し、陶磁器本体とガラス層とからなる陶磁器を得る。こうしてガラス層をもつ製品が製造される。その製品では、ガラス層が表面を滑らかで美しく仕上げるとともに、表面にキズをつき難くし、さらには防水性等も付与する。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記一般的な防汚処理方法では、基体の表面に単一のガラス層を形成しているに過ぎないため、本来的にはガラス層の表面の細菌に対して抗菌機能の発揮が望まれるのに対し、ガラス層中に抗菌金属が分散してしまう。そして、こうして得られるガラス層をもつ製品では、使用する抗菌金属の濃度を高くしなければ、その効果が低い。このため、この防汚処理方法では、優れた抗菌機能を発揮させるために大量の抗菌金属を消費することから、製造コストの高騰化を招来してしまう。
【0010】
また、従来の陶磁器は、ガラス層が単一のものであったため、未だ表面にキズがつきやすく、表面硬度が十分でない。このため、衝撃が与えられた場合、キズに起因してガラス層等にクラックが発生しやすいという不具合があった。特に、表面に抗菌機能を付与するため、ガラス層中にAg等の抗菌金属を炊き込んだ陶磁器においては、抗菌金属がクラックの進行を助長することが考えられるため、この傾向が大きいことが予想される。また、キズに汚れが付着しやすいという不具合があった。
【0011】
さらに、従来のガラス層をもつ製品は、ガラス層が単一層であったため、未だ表面にキズがつきやすく、表面硬度が十分でない。このため、衝撃が与えられた場合、キズに起因してガラス層等にクラックが発生しやすいという不具合があった。また、キズに汚れが付着しやすいという不具合があった。このため、複数層のガラス層を採用することも考えられる。しかしながら、単に複数層のガラス層を採用した製品においても、未だ表面にキズがつきやすく、表面硬度が十分でないことが判明した。このため、未だ防汚性に欠けるという不具合があった。
【0012】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、第1発明は、安価に製造可能であるとともに、優れた抗菌機能を発揮可能なガラス層をもつ製品を製造することを解決すべき課題とする。また、第2発明は、ガラス層の表面にキズがつき難い強化陶磁器を提供することを解決すべき課題としている。さらに、第3発明は、表面にキズがつき難く、ひいては優れた防汚性を確実に発揮できるガラス層をもつ製品を提供することを解決すべき課題としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1発明の防汚処理方法は、基体の表面に抗菌機能を付与する抗菌処理工程を有する防汚処理方法において、
前記抗菌処理工程は、前記基体と、該基体の表面に第1ガラス層を形成し得る第1釉薬と、該基体の表面に抗菌金属を含む第2ガラス層を形成し得る第2釉薬とを用意する準備工程と、
該基体の表面に、該第1釉薬からなる第1釉薬層と、より表面側に該第2釉薬からなる第2釉薬層とを形成し、該第1釉薬層及び該第2釉薬層を溶融させて該第1ガラス層及び該第2ガラス層を形成するガラス化工程とを有し、
該第2釉薬層は該第1釉薬層より溶融時の粘性が高いことを特徴とする。
【0014】
第1発明の防汚処理方法では、まず抗菌処理工程の準備工程として、基体と、基体の表面に第1ガラス層を形成し得る第1釉薬と、基体の表面に抗菌金属を含む第2ガラス層を形成し得る第2釉薬とを用意する。そして、抗菌処理工程のガラス化工程として、基体の表面に、第1釉薬からなる第1釉薬層と、より表面側に第2釉薬からなる第2釉薬層とを形成し、第1釉薬層及び第2釉薬層を溶融させて第1ガラス層及び第2ガラス層を形成する。
【0015】
ここで、第2釉薬層は第1釉薬層より溶融時の粘性が高いため、抗菌金属は表面側の第2ガラス層から第1ガラス層中に拡散し難く、ほとんどが第2ガラス層中に留まる。このため、この防汚処理方法では、大量の抗菌金属を消費しなくても、本来的に望まれる表面側の第2ガラス層中の抗菌金属が細菌に作用し、優れた抗菌機能を発揮することができる。
【0016】
また、第1発明の防汚処理方法は、第1釉薬からなる第1釉薬層と、より表面側に第2釉薬からなる第2釉薬層とを形成し、第1釉薬層及び第2釉薬層を溶融させて第1ガラス層及び第2ガラス層を形成することから、得られる製品では、第2釉薬が第1釉薬層に含浸し、第1ガラス層と第2ガラス層とが強固に密着するとともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止することができる。また、これにより、焼成工程を一度で終えることができ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0017】
したがって、この防汚処理方法によれば、安価に製造可能であるとともに、優れた抗菌機能を発揮可能なガラス層をもつ製品を製造することができる。
【0018】
こうして、第1発明のガラス層をもつ製品が得られる。第1発明のガラス層をもつ製品は、ガラス層をもつ基体からなり、該ガラス層は、第1釉薬からなる第1ガラス層と、該第1ガラス層より外面側に形成され、抗菌金属を含み、該第1釉薬とは異なる第2釉薬からなる第2ガラス層とからなる。
【0019】
基体としては、ガラス層をもつ製品としてガラス製品を製造する場合にはそのガラス成形体を採用することができ、衛生陶器、タイル等のセラミックス製品を製造する場合にはそれらのセラミックス成形体を採用することができ、ホウロウ製品を製造する場合にはその金属成形体を採用することができる。
【0020】
また、第2釉薬に含まれる抗菌金属としてはAg、Cu、Zn等を採用することができる。具体的には、有機銀・銅化合物や銀・銅担持無機化合物であり、(1)銀、銅、銀−銅合金、(2)リン酸銀、硝酸銀、塩化銀、硫化銀、酸化銀、硫酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、(3)リン酸第一銅、リン酸第二銅、有機銅化合物、塩化第一銅、塩化第二銅、硫化第一銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、クエン酸銅、乳酸銅等を採用することができる。また、亜鉛についても、同様に、有機亜鉛化合物や亜鉛担持無機化合物であり、亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛等を採用することができる。これらの抗菌金属は、単体であってもよく、合金であってもよく、また化合物であってもよい。
【0021】
第1発明のガラス層をもつ製品では、第1ガラス層と第2ガラス層とは厚みに10:1〜30:1の差を有することが好ましい。こうであれば、例え第2ガラス層にAg等の抗菌金属を含有させたために第2ガラス層の美観が良くない場合であっても、第1ガラス層のみを形成した場合と外観上ほとんど変わらない表面となるため、意匠的に優れた外観の表面を有する製品とすることができる。
【0022】
また、発明者らの試験結果によれば、第1発明のガラス層をもつ製品では、第2ガラス層は、第1ガラス層に比して、カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれている。カリウムはナトリウムに比してイオン半径が大きい。このため、第1発明の製品に係るガラス層を形成する際、第2ガラス層中のナトリウムイオンが第1ガラス中のカリウムイオンとイオン交換され、第2ガラス層に圧縮応力を生じ、第2ガラス層の強度が増すと考察される。
【0023】
さらに、第1発明の防汚処理方法では、第2釉薬に燐酸化合物が含まれていることが好ましい。こうして得られる第1発明のガラス層をもつ製品では、第2ガラス層中にP2O5等の燐酸化合物が存在し、抗菌金属による抗菌機能がより発揮されやすい。なお、第2釉薬に硼酸化合物を含めることも好ましい。こうであれば、第2ガラス層中にB2O3等の硼酸化合物が存在し、抗菌金属による抗菌機能がより発揮されやすい。
【0024】
また、第1発明の防汚処理方法は、第2ガラス層の表面を撥水処理する撥水処理工程を有することが好ましい。こうであれば、第2ガラス層の表面に抗菌機能及び撥水機能の両方が付与されることとなり、抗菌機能だけでは防汚効果が不充分となる程汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしても、その撥水機能により汚れが残留しにくくなり、防汚効果を十分発揮することができる。
【0025】
この場合において、撥水処理工程は、第2ガラス層の表面に存在する水酸基と脱水反応又は脱水素反応により結合するケイ素含有官能基を有する撥水処理液からなる被膜を形成することにより行うことができる。この処理を行えば、ケイ素含有官能基が第2ガラス層の表面に存在する水酸基(−OH)と脱水反応又は脱水素反応により結合してその水酸基をシールドする。このため、多くの溶性シリカ等の金属イオンを含む水を使用するとしても、その水酸基はもはや不能化されてそれら金属イオンと結合せず、屎尿等の成分を結合しなくなる。特に、金属イオンとして溶性シリカを含む水を使用しても、網目構造をなすケイ酸として析出せず、又は析出しにくく、汚れを取り込みにくい。こうして、撥水処理液がこのケイ素含有官能基を有すれば、溶性シリカ等の金属イオンを多く含む水を同時に使う製品にあって、屎尿等の汚れがこびり付きにくく、その清掃が容易となる。
【0026】
ここで、撥水処理液は、ケイ素含有官能基同士では結合していないものであることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、これにより耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ、耐摩耗性及び耐アルカリ性に対して防汚効果を高めることができる。撥水処理液のケイ素含有官能基同士が結合しておれば、ケイ素が多くなって被膜に網目構造をなすケイ酸が析出し、そこに汚れが取り込まれやすいと考えられる。
【0027】
また、撥水処理液は、ケイ素含有官能基と結合した末端のフッ化炭素基を有するものであることが好ましい。発明者らの試験結果によれば、こうしてフッ化炭素基を有すれば、フッ化炭素基の小さな臨界表面張力により撥水機能が発揮されやすく、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アルカリ性に対して効果が大きい。
【0028】
ここで、フッ化炭素基は−CnF2n+1(nは1≦n≦12の自然数)であることができる。発明者らの試験結果によれば、これによりフッ素数が多く、フルオロシランが嵩高くなるため、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ、耐摩耗性及び耐アルカリ性に対して効果が大きい。
【0029】
また、撥水処理液は第1剤と第2剤とを混合したものであり、第1剤はパーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物と加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物との親水性溶媒中での共加水分解物であり、第2剤はオルガノポリシロキサンと強酸との混合物であることができる。ここで、第1剤中に存在するパーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物と加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物は、ガラス層の表面に存在する水酸基と脱水反応又は脱水素反応により結合して、その水酸基をシールドするためのケイ素含有官能基を有する成分として用意される。
【0030】
パーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物を第1剤中の構成成分とした理由は、フッ化炭素基の大きな臨界表面張力により防汚効果が撥水機能としても現れ、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アルカリ性に対して効果が高いからである。また、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物を第1剤中の構成成分とした理由は、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アルカリ性に対して効果が大きいからである。
【0031】
第2剤はオルガノポリシロキサンと強酸との混合物である。オルガノポリシロキサンを第2剤中の構成成分とした理由は、アルキル基の小さな臨界表面張力により、防汚効果が耐口紅汚れ、耐摩耗性としても現れるからである。さらに、強酸を第2剤の構成成分とした理由は、第1発明に係る方法より調整した撥水処理液を用いて防汚処理を行った場合、第1剤中の構成成分であるパーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物及び加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物とガラス層の表面の水酸基とが結合するための触媒として強酸が有効に作用するからである。
【0032】
第1剤と第2剤とは混合されると、共加水分解物のシラノール基はオルガノポリシロキサン及び強酸と反応して脱水反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)し、複数の分子が複雑に絡み合った付加化合物になると考えられる。このため、第1剤と第2剤とを混合してなる撥水処理液は、パーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物、オルガノポリシロキサン等の1分子だけから構成されているのではなく、これら複数の分子が複雑に絡み合った付加化合物、一種のポリマーとして結合されて構成されているとともに、その付加化合物と基体の表面とが強固に化学結合されると考えられる。
【0033】
こうして、第2ガラス層の表面側に撥水成分を含む撥水層が形成された第1発明のガラス層をもつ製品が得られる。なお、撥水層の厚みは非常に薄く、かつ第2ガラス層の表面の水酸基部分にのみ撥水層が結合しているため、抗菌機能がこの排水層を透過すると考えられる。
【0034】
第2発明の強化陶磁器は、陶磁器本体と、該陶磁器本体の表面に形成されたガラス層とからなり、該ガラス層は、第1釉薬からなる第1ガラス層と、該第1ガラス層より外面側に形成され、該第1ガラス層より線熱膨張係数が小さい第2釉薬からなる第2ガラス層とを有することを特徴とする。
【0035】
第2発明の強化陶磁器では、第2ガラス層の線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よりも小さいため、焼成工程における第1、2釉薬層の溶融過程及び第1、2ガラス層の冷却過程において、第2ガラス層は第1ガラス層の収縮により圧縮応力を受ける。このため、第2ガラス層は緻密化して表面硬度が高くなり、ガラス層の表面にキズがつき難くなる。このため、第2発明の強化陶磁器は、キズに起因してガラス層等にクラックが発生し難い。また、キズがつき難いことから、キズに起因する汚れも付着し難い。
【0036】
なお、第2発明の強化陶磁器は、陶磁器本体上に三層以上のガラス層を有し得る。例えば、三層のガラス層を有する場合、最も下層が第1ガラス層に相当し、中層は第2ガラス層に相当しつつ上層に対しては第1ガラス層に相当し、上層は第2ガラス層に相当する。
【0037】
第2発明の強化陶磁器では、陶磁器本体が第1ガラス層より線熱膨張係数が大きいことが好ましい。こうであれば、焼成工程における素地の焼結過程、釉薬層の溶融過程並びに陶磁器本体及びガラス層の冷却過程において、第2ガラス層が第1ガラス層から圧縮応力を受けるのみならず、第1ガラス層も陶磁器本体から圧縮応力を受けることとなり、第2ガラス層のみならず第1ガラス層も緻密化する。このため、第2発明の強化陶磁器はガラス層等に生じるクラックが進行し難い。
【0038】
また、第2発明の強化陶磁器は、第1ガラス層と第2ガラス層とが線熱膨張係数に1×10-7〜1×10-6/°Cの差を有することが好ましい。第1ガラス層と第2ガラス層の線熱膨張係数の差がこの範囲よりも小さい場合は所望の表面硬度が得られず、また、逆に大きい場合は第2ガラス層が第1ガラス層から受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第2ガラス層が破壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試験結果によれば、第1ガラス層と第2ガラス層とが線熱膨張係数に2×10-7〜5×10-7/°Cの差を有することが実用的である。
【0039】
この場合、第1ガラス層と第2ガラス層とは、厚みに10:1〜30:1の差を有することが好ましい。こうであれば、例え第2ガラス層にAg等の抗菌金属を含有させたために第2ガラス層の美観が良くない場合であっても、第1ガラス層のみを形成した場合と外観上ほとんど変わらない表面となるため、意匠的に優れた外観の表面を有する強化陶磁器とすることができる。
【0040】
なお、第2ガラス層の組成及び厚みによっては、第1ガラス層との界面による光の干渉を生じ難くすることができ、これにより光彩を防止することもできる。また、第2ガラス層の組成によっては、第2ガラス層を結晶化ガラス質とし、不透明なものとすることもできる。
【0041】
また、陶磁器本体と第1ガラス層とは線熱膨張係数に1×10-7〜1×10-6/°Cの差を有することが望ましい。陶磁器本体と第1ガラス層との線熱膨張係数の差がこの範囲よりも小さい場合は所望の強度を得ることができず、また、逆に大きい場合は第1ガラス層が陶磁器本体から受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第1ガラス層が破壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試験結果によれば、陶磁器本体と第1ガラス層とが線熱膨張係数に2×10-7〜5×10-7/°Cの差を有することが実用的である。
【0042】
発明者らの試験結果によれば、第2発明の強化陶磁器では、第2ガラス層は、第1ガラス層に比して、カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれている。カリウムはナトリウムに比してイオン半径が大きい。このため、第2発明の強化陶磁器に係るガラス層を形成する際、第2ガラス層中のナトリウムイオンが第1ガラス中のカリウムイオンとイオン交換され、第2ガラス層に圧縮応力を生じ、第2ガラス層の強度が増すと考察される。
【0043】
陶磁器に抗菌機能を付与するため、抗菌金属を単一のガラス層全体に分散させた場合は、抗菌金属がガラス質を隔絶しやすいことから、クラックが抗菌金属を介して進展しやすい。このため、第2発明の強化陶磁器は、第2ガラス層に抗菌金属が含まれている場合に効果が大きい。こうであれば、抗菌金属を含む第2ガラス層が緻密化しているため、第2ガラス層中の抗菌金属を介したクラックの進展を防止しやすいからである。また、第2発明の強化陶磁器では、ガラス層中の第2ガラス層にのみ抗菌金属を含むため、従来より少ない量の抗菌金属を使用しても、表面側の抗菌金属の濃度を高くすることができ、より高い抗菌機能の発揮が実現できる。また、抗菌金属の無駄な消費を防止することもできる。
【0044】
ここで、抗菌金属としては第1発明と同様のものを採用することができる。
【0045】
さらに、第2発明の強化陶磁器は、第2ガラス層の表面側に撥水成分を含む撥水層が形成されていることが好ましい。こうであれば、わずかでもキズを生じた表面に汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしても、その撥水機能により汚れが残留しにくくなり、優れた防汚効果を発揮する。
【0046】
この場合において、第1発明と同様の撥水処理工程を行なうことができる。
【0047】
第2発明の強化陶磁器の製造方法は、陶磁器本体を形成し得る素地と、該陶磁器本体の表面にガラス層を形成し得る釉薬とを用意する準備工程と、該素地の表面に該釉薬からなる釉薬層を形成する施釉工程と、該素地及び該釉薬層を焼成し、該陶磁器本体と該ガラス層とからなる陶磁器を得る焼成工程とを有する陶磁器の製造方法において、前記釉薬は、前記素地側に形成され、第1ガラス層をなす第1釉薬と、外面側に形成され、該第1ガラス層より線熱膨張係数が小さい第2ガラス層をなす第2釉薬とからなることを特徴とする。第2発明の製造方法により、上記第2発明の強化陶磁器を製造することができる。
【0048】
また、第2発明の強化磁器の製造方法は、施釉工程において、第1釉薬からなる第1釉薬層を形成した後、第1釉薬層上に第2釉薬からなる第2釉薬層を形成することができる。こうして得られる第2発明の強化陶磁器では、素地に第1釉薬を施釉して第1釉薬層を形成していることから、素地の表面側には第1釉薬が含浸しており、素地に含浸していた第1釉薬も素地からなる陶磁器本体内で第1ガラス層を構成している。このため、第1ガラス層は陶磁器本体に強固に密着している。また、この強化陶磁器では、第1釉薬層上に第2釉薬を施釉して第2釉薬層を形成しているため、第2釉薬が第1釉薬層に含浸し、第1ガラス層と第2ガラス層とも強固に密着するとともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止することができる。また、これにより、焼成工程を一度で終えることができ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0049】
さらに、第2発明の強化陶磁器の製造方法では、第1釉薬にカリウムが含まれ、第2釉薬にナトリウムが含まれていることが好ましい。カリウムはナトリウムに比してイオン半径が大きいため、これらの第1、2釉薬を用いれば、第2釉薬中のナトリウムイオンが第1釉薬中のカリウムイオンとイオン交換される。このため、第1ガラス層に比して、カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれた第2ガラス層をもつ第2発明の強化陶磁器が得られる。
【0050】
また、第2発明の強化磁器の製造方法は、第2釉薬には抗菌金属が含まれていることができる。こうであれば、抗菌機能を付与した強化陶磁器を製造することができる。
【0051】
さらに、第2発明の強化磁器の製造方法は、第2釉薬は第1釉薬より溶融時の粘性が高いこととすることができる。こうであれば、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、強化陶磁器の火ぶくれを防ぐことができるとともに、焼成時に抗菌金属が第2ガラス層から第1ガラス層中に拡散する速度が遅くなり、表面における抗菌金属の濃度を高いままに保った強化陶磁器を製造することができる。
【0052】
さらに、第2発明の強化陶磁器の製造方法は、ガラス層の表面を撥水処理する撥水処理工程を有することすることができる。こうであれば、汚れが残留しにくい強化陶磁器を製造することできる。
【0053】
第3発明のガラス層をもつ製品は、陶磁器本体と、該陶磁器本体の表面に形成されたガラス層とからなるガラス層をもつ製品において、
前記ガラス層は、第1釉薬からなる第1ガラス層と、該第1ガラス層より外面側に形成され、抗菌金属を含み、第2釉薬からなる第2ガラス層とを有し、該第2ガラス層の表面にはキズの進展を防止するジルコン微粒子が分散され、
該ジルコン微粒子の平均粒径は0.8μm以上であることを特徴とする。
【0054】
第2ガラス層の線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よりも小さい場合、焼成工程における第1、2釉薬層の溶融過程及び第1、2ガラス層の冷却過程において、第2ガラス層は第1ガラス層の収縮により圧縮応力を受ける。このため、第2ガラス層は緻密化して表面硬度が高くなり、ガラス層の表面にキズがつき難くなる。また、キズに起因してガラス層等にクラックが発生し難い。このため、第3発明の製品は、キズやクラックに起因する汚れも付着し難く、優れた防汚性を発揮できる。
【0055】
第3発明のガラス層をもつ製品では、第2ガラス層の表面にキズをつけるような外的な因子がある場合、表面に存在するジルコン微粒子が第2ガラス層の表面とその因子との摺動を阻止する。このため、その第2ガラス層の表面にその因子が摺動するとしても、その時間は短く、大きなキズがつき難い。このため、第3発明の製品は、汚れが付着し難く、さらに優れた防汚性を発揮する。
【0056】
また、第3発明の製品では、第2ガラス層の線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よりも小さい場合、第2ガラス層はピンホールを生じ難くなっている。このため、この製品は、より高い平滑性を有し、優れた防汚性を実現できる。
【0057】
なお、第3発明のガラス層をもつ製品は、陶磁器本体上に三層以上のガラス層を有し得る。例えば、三層のガラス層を有する場合、中層は第1ガラス層に相当し、上層は第2ガラス層に相当する。
【0058】
第3発明のガラス層をもつ製品に用いられるジルコン微粒子の平均粒径は、0.8〜20μmが好ましい。こうであれば、上記の耐キズ付き性の発揮とともに、ガラス層をもつ製品の美的概観を保持することができる。
【0059】
ジルコン微粒子は、上述の第2ガラス層の表面にキズをつけるといった因子より硬い性質を有する。このような因子としては、汚れを落とすために用いられるブラシや研磨剤が考えられる。そのような因子は、ジルコン微粒子に引っ掛かることとなるので、その因子が第2ガラス層に対して、キズがつき難くなる。
【0060】
ジルコン微粒子は、上記のように耐キズ付き性の発揮を行う一方、第2ガラス層中に含まれる割合により、却って第2ガラス層の表面の平滑性を損なったり、第2ガラス層の呈色性に影響を与えたりする。このため、ジルコン微粒子が第2ガラス層に含まれる割合としては、第2釉薬の外掛けで0.5〜2質量%が好ましい。
【0061】
第3発明のガラス層をもつ製品では、陶磁器本体が第1ガラス層より線熱膨張係数が大きいことが好ましい。こうであれば、焼成工程における陶磁器本体の焼結過程、釉薬層の溶融過程並びに基体及びガラス層の冷却過程において、第2ガラス層が第1ガラス層から圧縮応力を受けるのみならず、第1ガラス層も陶磁器本体から圧縮応力を受けることとなり、第2ガラス層のみならず第1ガラス層も緻密化する。このため、第3発明のガラス層をもつ製品はガラス層等に生じるクラックが進行し難い。
【0062】
また、第3発明のガラス層をもつ製品は、第1ガラス層と第2ガラス層とが線熱膨張係数に1×10-7〜1×10-6/°Cの差を有することが好ましい。第1ガラス層と第2ガラス層の線熱膨張係数の差がこの範囲よりも小さい場合は所望の表面硬度が得られず、また、逆に大きい場合は第2ガラス層が第1ガラス層から受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第2ガラス層が破壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試験結果によれば、第1ガラス層と第2ガラス層とが線熱膨張係数に2×10-7〜5×10-7/°Cの差を有することが実用的である。
【0063】
この場合、第1ガラス層と第2ガラス層とは、厚みに10:1〜30:1の差を有することが好ましい。こうであれば、例え第2ガラス層にAg等の抗菌金属を含有させたために第2ガラス層の美観が良くない場合であっても、第1ガラス層のみを形成した場合と外観上ほとんど変わらない表面となるため、意匠的に優れた外観の表面を有するガラス層をもつ製品とすることができる。
【0064】
なお、第2ガラス層の組成及び厚みによっては、第1ガラス層との界面による光の干渉を生じ難くすることができ、これにより光彩を防止することもできる。また、第2ガラス層の組成によっては、第2ガラス層を結晶化ガラス質とし、不透明なものとすることもできる。
【0065】
また、陶磁器本体と第1ガラス層とは線熱膨張係数に1×10-7〜1×10-6/°Cの差を有することが望ましい。陶磁器本体と第1ガラス層との線熱膨張係数の差がこの範囲よりも小さい場合は所望の強度を得ることができず、また、逆に大きい場合は第1ガラス層が陶磁器本体から受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第1ガラス層が破壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試験結果によれば、陶磁器本体と第1ガラス層とが線熱膨張係数に2×10-7〜5×10-7/°C差を有することが実用的である。
【0066】
発明者らの試験結果によれば、第3発明のガラス層をもつ製品では、第2ガラス層は、第1ガラス層に比して、カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれている。カリウムはナトリウムに比してイオン半径が大きい。このため、第3発明のガラス層をもつ製品に係るガラス層を形成する際、第2ガラス層中のナトリウムイオンが第1ガラス中のカリウムイオンとイオン交換され、第2ガラス層に圧縮応力を生じ、第2ガラス層の強度が増すと考察される。
【0067】
第3発明のガラス層をもつ製品は、第2ガラス層に抗菌金属が含まれている場合に防汚効果が大きい。特に、第3発明のガラス層をもつ製品では、ガラス層中の第2ガラス層にのみ抗菌金属を含むため、従来より少ない量の抗菌金属を使用しても、表面側の抗菌金属の濃度を高くすることができ、より高い抗菌機能の発揮が実現できる。また、抗菌金属の無駄な消費を防止することもできる。
【0068】
ここで、抗菌金属としては第1、2発明と同様のものを採用することができる。
【0069】
さらに、第3発明のガラス層をもつ製品は、第2ガラス層の表面側に撥水成分を含む撥水層が形成されていることが好ましい。こうであれば、わずかでもキズを生じた表面に汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしても、その撥水機能により汚れが残留しにくくなり、優れた防汚効果を発揮する。
【0070】
この場合において、第1、2発明と同様の撥水処理工程を行なうことができる。
【0071】
第3発明のガラス層をもつ製品は、便器、洗面器等の陶磁器である。これらの陶磁器は、水とともに研磨剤を含むような洗剤を用いてブラシによって洗浄されることが多いことから、上述の効果を特に必要とするからである。
【0072】
第3発明のガラス層をもつ製品の製造方法は、陶磁器本体と、該陶磁器本体の表面にガラス層を形成し得る釉薬とを用意する準備工程と、該陶磁器本体の表面に該釉薬からなる釉薬層を形成する施釉工程と、該陶磁器本体及び該釉薬層を焼成し、該陶磁器本体と該ガラス層とからなる製品を得る焼成工程とを有するガラス層をもつ製品の製造方法において、前記釉薬は、前記陶磁器本体側に形成され、第1ガラス層をなす第1釉薬と、外面側に形成され、該第1ガラス層より線熱膨張係数が小さく、表面にジルコン微粒子が分散された第2ガラス層をなす第2釉薬とからなることを特徴とする。
【0073】
第3発明の製造方法により、上記第3発明のガラス層をもつ製品を製造することができる。
【0074】
また、第3発明のガラス層をもつ製品の製造方法は、施釉工程において、第1釉薬からなる第1釉薬層を形成した後、第1釉薬層上に第2釉薬からなる第2釉薬層を形成することができる。こうして得られる第3発明のガラス層をもつ製品では、陶磁器本体に第1釉薬を施釉して第1釉薬層を形成していることから、陶磁器本体の表面側には第1釉薬が含浸しており、陶磁器本体に含浸していた第1釉薬も陶磁器本体内で第1ガラス層を構成している。このため、第1ガラス層は陶磁器本体に強固に密着している。また、この陶磁器本体では、第1釉薬層上に第2釉薬を施釉して第2釉薬層を形成しているため、第2釉薬が第1釉薬層に含浸し、第1ガラス層と第2ガラス層とも強固に密着するとともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止することができる。また、これにより、焼成工程を一度で終えることができ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0075】
さらに、第3発明のガラス層をもつ製品の製造方法では、第1釉薬にカリウムが含まれ、第2釉薬にナトリウムが含まれていることが好ましい。カリウムはナトリウムに比してイオン半径が大きいため、これらの第1、2釉薬を用いれば、第2釉薬中のナトリウムイオンが第1釉薬中のカリウムイオンとイオン交換される。このため、第1ガラス層に比して、カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれた第2ガラス層をもつ第3発明のガラス層をもつ製品が得られる。
【0076】
また、第3発明のガラス層をもつ製品の製造方法は、第2釉薬には抗菌金属が含まれていることができる。こうであれば、抗菌機能を付与したガラス層をもつ製品を製造することができる。
【0077】
さらに、第3発明のガラス層をもつ製品の製造方法は、第2釉薬は第1釉薬より溶融時の粘性が高いことができる。こうであれば、第2ガラス層中に分散させるジルコン微粒子が凝集することを防止でき、ジルコン微粒子を表面に好適に分散させた状態で存在させることができる。また、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、ガラス層をもつ製品の火ぶくれを防ぐことができるとともに、焼成時に抗菌金属が第2ガラス層から第1ガラス層中に拡散する速度が遅くなり、表面における抗菌金属の濃度を高いままに保ったガラス層をもつ製品を製造することができる。
【0078】
さらに、第3発明のガラス層をもつ製品の製造方法は、ガラス層の表面を撥水処理する撥水処理工程を有することができる。こうであれば、汚れが残留しにくいガラス層をもつ製品を製造することできる。
【0079】
【発明の実施の形態】
{第1発明}
以下、第1発明を具体化した実施例及び比較例1、2を図1〜5とともに説明する。
(実施例)
【0080】
「抗菌処理工程」の「準備工程」
まず、セラミックス成形体として下記組成からなるタイル用素地を用意し、このタイル用素地を50±2mm角(厚さ10mm以内)の正方形に切断し、図1及び図2に示す基体1とする。
【0081】
<タイル用素地の調合割合(質量%)>
長石 :28.2
珪砂 :11.8
セリサイト:15.0
粘土 :45.0
【0082】
また、下記組成からなる第1釉薬及び第2釉薬を用意する。
【0083】
<第1釉薬の調合割合(質量%)>
長石:35.0
珪砂:46.9
石灰:15.9
粘土: 2.2
【0084】
この第1釉薬には、K2Oが2質量%含まれている。
【0085】
<第2釉薬の調合割合(質量%)>
珪砂 :31.0
石灰 : 6.0
粘土 :13.0
抗菌剤 :50.0
ここで、抗菌剤は以下の組成(質量%)からなる。
Ag2O :25.88
P2O5 : 4.98
CaO : 0.01
SiO2 :56.84
Al2O3 : 9.36
Fe2O3 : 0.10
K2O : 0.43
Na2O : 0.06
SrO : 0.01
Igloss: 2.34
【0086】
この第2釉薬には、Na2Oが2質量%含まれている。
【0087】
「抗菌処理工程」の「ガラス化工程」
図1に示すように、基体1の表面に第1釉薬を施釉して第1釉薬層2を形成した後、図2に示すように、第1釉薬層2の表面側に第2釉薬を施釉して第2釉薬層3を形成する。
【0088】
第1釉薬層2及び第2釉薬層3をもつ基体1を1210°C焼成する。これにより、第1釉薬層2及び第2釉薬層3を溶融させ、図3で示すように、基体1上に第1ガラス層4及び第2ガラス層5を形成する。
【0089】
ここで、第2釉薬層3の方が第1釉薬層2よりも溶融時の粘性が高いため、第2釉薬中に添加した抗菌金属としての銀化合物6は、その大部分が第2ガラス層5中に留まる。さらに、第1ガラス層4と第2ガラス層5とは厚みに20:1の差を有している。
【0090】
「撥水処理工程」
この後、第2ガラス層5の表面に撥水処理工程を行う。
【0091】
まず、パーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物としての
【0092】
C8F17CH2CH2Si(OCH3)3
【0093】
と、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物としての
【0094】
Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(CH3)2O)10−Si(CH3)2CH2CH2Si(OCH3)3
【0095】
とからなり、これらを0.1N塩酸水、t−ブタノール及びヘキサンからなる親水性溶媒中で共加水分解した第1剤を用意する。これらはそれぞれシラノール(Si−OH)基を有するものである考えられる。
【0096】
また、オルガノポリシロキサン(HO−(Si(CH3)2O)30−Si(CH3)2OH)と、強酸としてのメタンスルホン酸との混合物を第2剤として用意する。
【0097】
そして、第1剤5mlに第2剤5mlを加えて混合することにより撥水処理液とする。この撥水処理液を第2ガラス層5の表面に塗布し、被膜を形成する。この後、約10分間これを放置し、乾燥させる。この後、表面をエタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0098】
以上により、図4に示すように、基体1と、この基体1上に形成された第1釉薬からなる第1ガラス層4と、第1ガラス層4より外面側に形成され、抗菌金属を含み、第1釉薬とは異なる第2釉薬からなる第2ガラス層5と、第2ガラス層5の表面側に形成され、撥水成分を含む撥水層7とからなる試料を得る。
【0099】
ここで、実施例の試料では、第1ガラス層4と第2ガラス層5とは、厚みに20:1の差を有するため、第2ガラス層5自身は銀化合物6を含有させたために美観が良くないにもかかわらず、第1ガラス層4のみを形成した場合と外観上ほとんど変わらない表面となり、意匠的に優れた外観の表面を有している。
(比較例1)
【0100】
図5に示すように、実施例と同種の基体1上に下記組成からなる釉薬を施釉し、釉薬層を形成する。
【0101】
<釉薬の調合割合(質量%)>
長石 :53.7
珪砂 : 9.8
石灰 :12.3
ドロマイト : 4.8
蛙目粘土 : 5.1
亜鉛華 : 2.0
ジルコン :10.1
ケイ酸系フリット: 2.2
以上の調合に外掛けで銀パウダー(純度99%以上、平均粒径10μm)を0.5質量%含有させて釉薬とする。
【0102】
釉薬層をもつ基体1を1210°C焼成する。これにより、釉薬層を溶融させ、図5で示すように、基体1上にガラス層8を形成する。こうして、基体1と、この基体1上に形成され、抗菌金属を含み、釉薬からなるガラス層8とからなる試料を得る。
(比較例2)
【0103】
釉薬中の銀パウダーの濃度を比較例1の10倍である5.0質量%とした釉薬を用いた。その他の防汚処理方法及び試料の構成は比較例1と同様である。
(評価)
【0104】
上記実施例及び比較例1、2の試料を各3個づつ用意し、フィルム法により抗菌性能試験を行った。結果を表1に示す。
【0105】
【表1】
【0106】
表1より、いずれの菌に対する抗菌機能についても、実施例では、栄養濃度を濃くしても、平均増減値差が2.0以上に保たれるのに対し、比較例1では、平均増減値差が2.0以上に保たれるのは1/500NB以下の場合であり、比較例2では1/200NB以下の場合であることがわかる。このため、実施例における銀パウダーの使用量が比較例1、2のそれよりも少ないにもかかわらず、実施例の方が比較例1、2より防汚効果に優れていることがわかる。
【0107】
以上より、実施例では銀化合物6が表面側の第2ガラス層5中に存在することから、比較例1、2のように抗菌金属をガラス層8全体に分散させた場合と比較し、同じ量の銀化合物6で表面の濃度がより高くなっており、優れた抗菌機能を示すとともに、抗菌金属の無駄な消費を防止できることがわかる。特に、実施例では、第2釉薬に燐酸化合物が含まれていたため、抗菌金属による抗菌機能がより発揮されやすい。また、実施例では、第2ガラス層5の表面に撥水層7が形成されているため、抗菌機能及び撥水機能の両方が付与されることとなり、抗菌機能だけでは防汚効果が不充分となる程汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしてもその撥水機能により汚れが残留しにくくなり、防汚効果を十分発揮することができる。
【0108】
したがって、実施例の防汚処理方法によれば、安価に製造可能であるとともに、優れた抗菌機能を発揮可能なガラス層をもつ製品を製造できることがわかる。
【0109】
また、実施例の防汚処理方法では、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、試料の火ぶくれを防ぐことができた。
{第2発明}
【0110】
以下、第2発明を具体化した実施例を比較例とともに説明する。
(実施例)
【0111】
「準備工程」
まず、50±2mm角(厚さ10mm以内)の正方形に切断した下記組成からなるタイル用素地1を用意する。
【0112】
<素地1の調合割合(質量%)>
長石 :28.2
珪砂 :11.8
セリサイト:15.0
粘土 :45.0
【0113】
また、下記組成からなる第1釉薬及び第2釉薬を用意する。
【0114】
<第1釉薬の調合割合(質量%)>
長石:35.0
珪砂:46.9
石灰:15.9
粘土: 2.2
この第1釉薬には、K2Oが2質量%含まれている。
【0115】
<第2釉薬の調合割合(質量%)>
珪砂 :31.0
石灰 : 6.0
粘土 :13.0
抗菌剤 :50.0
ここで、抗菌剤は以下の組成(質量%)からなる。
Ag2O :25.88
P2O5 : 4.98
CaO : 0.01
SiO2 :56.84
Al2O3 : 9.36
Fe2O3 : 0.10
K2O : 0.43
Na2O : 0.06
SrO : 0.01
Igloss: 2.34
【0116】
この第2釉薬には、Na2Oが2質量%含まれている。
【0117】
「施釉工程」
図6に示すように、素地1の表面に第1釉薬を施釉して第1釉薬層2を形成した後、図7に示すように、第1釉薬層2の表面側に第2釉薬を施釉して第2釉薬層3を形成する。
【0118】
「焼成工程」
第1釉薬層2及び第2釉薬層3をもつ素地1を1210°C焼成する。これにより、素地1を焼結するとともに、第1釉薬層2及び第2釉薬層3を溶融させ、図8で示すように、陶磁器本体1上に第1ガラス層4及び第2ガラス層5を形成する。
【0119】
ここで、第2ガラス層5の線熱膨張係数は第1ガラス層4の線熱膨張係数より小さく、その差は3×10-7/°Cである。また、第1ガラス層4の線熱膨張係数は陶磁器本体1の線熱膨張係数より小さく、その差は4×10-7/°Cである。さらに、第1ガラス層4と第2ガラス層5とは厚みに20:1の差を有している。また、第2ガラス層5中には抗菌金属としての銀化合物6が分散されている。
【0120】
「撥水処理工程」
そして、第2ガラス層5の表面に以下に示す撥水処理を施した。
【0121】
まず、パーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物としての
【0122】
C8F17CH2CH2Si(OCH3)3
【0123】
と、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物としての
【0124】
Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(CH3)2O)10−Si(CH3)2CH2CH2Si(OCH3)3
【0125】
とからなり、これらを0.1N塩酸水、t−ブタノール及びヘキサンからなる親水性溶媒中で共加水分解した第1剤を用意する。これらはそれぞれシラノール(Si−OH)基を有するものである考えられる。
【0126】
また、オルガノポリシロキサン(HO−(Si(CH3)2O)30−Si(CH3)2OH)と、強酸としてのメタンスルホン酸との混合物を第2剤として用意する。
【0127】
そして、第1剤5mlに第2剤5mlを加えて混合することにより撥水処理液とする。第1ガラス層4と第2ガラス層5とをもつ陶磁器本体1の表面にこの撥水処理液を塗布した後、約10分間放置し、乾燥させる。この後、表面をエタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0128】
以上により、図9に示すように、陶磁器本体1と、この陶磁器本体1上に形成された第1釉薬からなる第1ガラス層4と、第1ガラス層4より外面側に形成され、抗菌金属を含み、第1釉薬とは異なる第2釉薬からなる第2ガラス層5と、第2ガラス層5の表面側に形成され、撥水成分を含む撥水層7とからなる試料を得る。
(比較例)
【0129】
図10に示すように、実施例と同種の素地1上に下記組成からなる釉薬を施釉し、釉薬層を形成する。
【0130】
<釉薬の調合割合(質量%)>
長石 :10.0
カオリン : 5.0
ケイ酸系フリット:85.0
ここで、ケイ酸系フリットは以下の組成(質量%)からなる。
SiO2 :67.4
Al2O3 : 8.6
MgO : 2.7
CaO : 5.7
SrO : 3.2
Na2O : 2.3
K2O : 3.2
B2O3 : 3.5
ZnO : 2.3
MoO3 : 1.1
釉薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成する。これにより、釉薬層を溶融させ、図10で示すように、陶磁器本体1上にガラス層8を形成する。こうして、陶磁器本体1と、この陶磁器本体1上に形成され、抗菌金属を含み、釉薬からなるガラス層8とからなる試料を得る。
(評価)
【0131】
上記実施例及び比較例の試料を用意し、以下に示すブラッシング試験を行った。
【0132】
<ブラッシング試験>
市販の研磨剤を塗布した市販の歯ブラシを用意し、この歯ブラシにより試料の表面を一定加圧力の下で20回摺動する。これにより、4cm2当たりのキズの本数(本)及びキズの長さの計(mm)を求めた。
結果を表2に示す。
【0133】
【表2】
【0134】
表2より、実施例の試料では、第1ガラス層4、第2ガラス層5及び陶磁器本体1が比較例の試料よりキズがつき難いことがわかる。これは、以下の(1)〜(4)のような理由によるものと考えられる。
【0135】
(1)実施例では、第2ガラス層5の線熱膨張係数が第1ガラス層4の線熱膨張係数よりも小さいため、焼成工程における第1、2釉薬層2、3の溶融過程及び第1、2ガラス層4、5の冷却過程において、第2ガラス層5は第1ガラス層4の収縮により圧縮応力を受ける。このため、第2ガラス層5は緻密化して表面硬度が高くなるためである。このため、実施例の試料は、キズに起因してガラス層等にクラックが発生し難いとともに、キズに起因する汚れも付着し難いことがわかる。
【0136】
(2)また、陶磁器本体1は第1ガラス層4より線熱膨張係数が大きいため、第1ガラス層4は陶磁器本体1から圧縮応力を受けることとなり、第1ガラス層4も緻密化する。このため、実施例の試料はガラス層等に生じるクラックが進行し難い。
【0137】
(3)さらに、図11に示すように、実施例におけるカリウムのKα線のX線強度は、第1ガラス層4中では198cps〜331cpsと低い範囲であるのに対し、第2ガラス層5中では331cps〜463cpsと高い範囲となっていることがわかる。このため、実施例では、焼成過程において第2ガラス層5中に存在するイオン半径の小さいナトリウムイオンが第1ガラス層4中のイオン半径の大きなカリウムイオンとイオン交換され、第2ガラス層5中にカリウムイオンが拡散しているといえる。そして、第2ガラス層5は自身が圧縮応力を生ずることなり、第2ガラス層5が強化されることとなる。
【0138】
(4)また、実施例の試料では、素地1に第1釉薬を施釉して第1釉薬層2を形成していることから、素地1の表面側には第1釉薬が含浸しており、素地1に含浸していた第1釉薬も素地1からなる陶磁器本体1内で第1ガラス層4を構成している。このため、第1ガラス層4は陶磁器本体1に強固に密着している。また、この試料では、第1釉薬層2上に第2釉薬を施釉して第2釉薬層3を形成しているため、第2釉薬が第1釉薬層2に含浸し、第1ガラス層4と第2ガラス層5とも強固に密着するとともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止することができる。また、これにより、焼成工程を一度で終えることができ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0139】
また、第1ガラス層4と第2ガラス層5とは、厚みに20:1の差を有するため、第2ガラス層5自身は銀化合物6を含有させたために美観が良くないにもかかわらず、第1ガラス層4のみを形成した場合と外観上ほとんど変わらない表面となり、意匠的に優れた外観の表面を有している。
【0140】
さらに、実施例及び比較例の試料は、第2ガラス層5又はガラス層8中に抗菌金属である銀化合物6が含まれているため、抗菌機能を有している。ここで、実施例では、ガラス層中の第2ガラス層5にのみ銀化合物6を含むため、比較例より少ない量の銀化合物6を使用しても、表面側の銀化合物6の濃度を高くすることができ、より高い抗菌機能の発揮が実現できる。また、銀化合物6の無駄な消費を防止することもできる。また、実施例では、第2釉薬が第1釉薬より溶融時の粘性が高いため、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、試料の火ぶくれを防ぐことができるとともに、焼成時に銀化合物6が第2ガラス層5から第1ガラス層4中に拡散する速度が遅くなり、表面における銀化合物6の濃度を高いままに保った試料を製造することができる。
【0141】
また、実施例の試料では、第2ガラス層5の表面に撥水層7が形成されているため、わずかでもキズを生じた第2ガラス層5の表面に汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしてもその撥水機能により汚れが残留しにくくなり、優れた防汚効果を発揮する。特に、実施例では、第2釉薬に燐酸化合物が含まれていたため、銀化合物6による抗菌機能がより発揮されやすい。また、実施例では、第2ガラス層5の表面に撥水層7が形成されているため、抗菌機能及び撥水機能の両方が付与されることとなり、抗菌機能だけでは防汚効果が不充分となる程汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしてもその撥水機能により汚れが残留しにくくなり、防汚効果を十分発揮することができる。
{第3発明}
【0142】
以下、第3発明を具体化した実施例1〜7を比較例1〜4とともに説明する。
(実施例1)
【0143】
「準備工程」
まず、図12及び図13に示すように、50±2mm角(厚さ10mm以内)の正方形に切断した下記組成からなるタイル用基体としての素地1を用意する。
【0144】
<素地1の調合割合(質量%)>
長石 :28.2
珪砂 :11.8
セリサイト:15.0
粘土 :45.0
【0145】
また、下記組成からなる第1釉薬及び第2釉薬を用意する。
【0146】
<第1釉薬の調合割合(質量%)>
長石 :42.456
フリット : 1.617
石灰 :11.827
ドロマイト : 5.054
亜鉛華 : 1.516
蛙目 : 4.043
アルミナ : 1.769
珪砂 : 9.603
乳白剤 : 6.368
シャモット質耐火物:15.163
顔料 : 0.581
ここで、フリットは以下の組成(質量%)からなる。
SiO2 :49.3
Al2O3 :11.1
CaO : 0.2
Na2O :19.1
K2O :1.0
B2O3 :19.2
【0147】
この第1釉薬には、K2Oが2質量%含まれている。
【0148】
<第2釉薬の調合割合(質量%)>
珪砂 :31.0
石灰 : 6.0
粘土 :13.0
抗菌剤 :50.0
ここで、抗菌剤は以下の組成(質量%)からなる(以下、同様である。)。
Ag2O :25.88
P2O5 : 4.98
CaO : 0.01
SiO2 :56.84
Al2O3 : 9.36
Fe2O3 : 0.10
K2O : 0.43
Na2O : 0.06
SrO : 0.01
Igloss: 2.34
【0149】
以上の調合に、硬質微粒子として、平均粒径が0.81μmのジルコン微粒子3aを外掛けで1質量%含有させて第2釉薬とする。この第2釉薬には、Na2Oが2質量%含まれている。
【0150】
「施釉工程」
図12に示すように、素地1の表面に第1釉薬を施釉して第1釉薬層2を形成した後、図13に示すように、第1釉薬層2の表面側に第2釉薬を施釉して第2釉薬層3を形成する。
【0151】
「焼成工程」
第1釉薬層2及び第2釉薬層3をもつ素地1を1210°Cで焼成する。これにより、素地1を焼結するとともに、第1釉薬層2及び第2釉薬層3を溶融させ、図14で示すように、陶磁器本体1上に第1ガラス層4及び第2ガラス層5を形成する。ここで、第2ガラス層5の表面には、ジルコン微粒子3aが分散された状態で存在している。
【0152】
ここで、第2ガラス層5の線熱膨張係数は第1ガラス層4の線熱膨張係数より小さく、その差は3×10-7/°Cである。また、第1ガラス層4の線熱膨張係数は陶磁器本体1の線熱膨張係数より小さく、その差は4×10-7/°Cである。さらに、第1ガラス層4と第2ガラス層5とは厚みに20:1の差を有している。また、第2ガラス層5中には抗菌金属としての銀化合物6が分散されている。
【0153】
「撥水処理工程」
そして、第2ガラス層5の表面に以下に示す撥水処理を施した。
【0154】
まず、パーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物としての
【0155】
C8F17CH2CH2Si(OCH3)3
【0156】
と、加水分解性基含有メチルポリシロキサン化合物としての
【0157】
Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(CH3)2O)10−Si(CH3)2CH2CH2Si(OCH3)3
【0158】
とからなり、これらを0.1N塩酸水、t−ブタノール及びヘキサンからなる親水性溶媒中で共加水分解した第1剤を用意する。これらはそれぞれシラノール(Si−OH)基を有するものである考えられる。
【0159】
また、オルガノポリシロキサン(HO−(Si(CH3)2O)30−Si(CH3)2OH)と、強酸としてのメタンスルホン酸との混合物を第2剤として用意する。
【0160】
そして、第1剤5mlに第2剤5mlを加えて混合することにより撥水処理液とする。第1ガラス層4と第2ガラス層5とをもつ陶磁器本体1の表面にこの撥水処理液を塗布した後、約10分間放置し、乾燥させる。この後、表面をエタノールで洗浄し、乾燥させる。
【0161】
以上により、図15及び図16に示すように、陶磁器本体1と、この陶磁器本体1上に形成された第1釉薬からなる第1ガラス層4と、第1ガラス層4より外面側に形成され、抗菌金属を含み、第1釉薬とは異なる第2釉薬からなる第2ガラス層5と、第2ガラス層5の表面側に形成され、撥水成分を含む撥水層7とからなり、第2ガラス層5から撥水層7の表面にも存在するジルコン微粒子3aを含む試料を得る。
(実施例2)
【0162】
実施例1の準備工程において、第2釉薬には実施例1のジルコン微粒子3aが外掛けで2質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例3)
【0163】
実施例1の準備工程において、第2釉薬には、硬質微粒子として平均粒径が1.55μmのジルコン微粒子3aが外掛けで1質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例4)
【0164】
実施例1の準備工程において、第2釉薬には実施例3のジルコン微粒子3aが外掛けで2質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例5)
【0165】
実施例1の準備工程において、第2釉薬には、硬質微粒子として平均粒径が20μmのジルコン微粒子3aが外掛けで1質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例6)
【0166】
実施例1の準備工程において、第2釉薬には実施例5のジルコン微粒子3aが外掛けで2質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様である。
(実施例7)
【0167】
実施例1の準備工程において、第2釉薬には実施例5のジルコン微粒子3aが外掛けで4質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様である。
(比較例1)
【0168】
図17に示すように、実施例1と同種の素地1上に下記組成からなる釉薬を施釉し、釉薬層を形成する。
【0169】
<釉薬の調合割合(質量%)>
長石 :10.0
カオリン : 5.0
フリット :85.0
ここで、フリットは以下の組成(質量%)からなる。
SiO2 :67.4
Al2O3 : 8.6
MgO : 2.7
CaO : 5.7
SrO : 3.2
Na2O : 2.3
K2O : 3.2
B2O3 : 3.5
ZnO : 2.3
MoO3 : 1.1
【0170】
釉薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成する。これにより、釉薬層を溶融させ、陶磁器本体1上にガラス層8を形成する。こうして、陶磁器本体1と、この陶磁器本体1上に形成された釉薬からなるガラス層8とからなる試料を得る。
(比較例2)
【0171】
実施例1と同種の素地1上に下記組成からなる釉薬を施釉し、釉薬層を形成する。釉薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成し、図17に示す比較例1の試料と同様の試料を得る。
【0172】
<釉薬の調合割合(質量%)>
長石 :42.456
フリット : 1.617
石灰 :11.827
ドロマイト : 5.054
亜鉛華 : 1.516
蛙目 : 4.043
アルミナ : 1.769
珪砂 : 9.603
乳白剤 : 6.368
シャモット質耐火物:15.163
顔料 : 0.581
ここで、フリットは実施例1のものと同じものである。以上の調合に、平均粒径が1.55μmのジルコン微粒子を外掛けで6.3質量%含有させて釉薬とする。
(比較例3)
【0173】
実施例1と同種の素地1と、比較例2の釉薬からなる第1釉薬と、下記組成からなる第2釉薬とを用意する。第1釉薬層及び第2釉薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成し、試料を得る。こうして、図18に示すように、陶磁器本体1と、この陶磁器本体1上に形成され第1釉薬からなる第1ガラス層9と、このガラス層9上に形成され第2釉薬からなる第2ガラス層10を形成する。
【0174】
<第2釉薬の調合割合(質量%)>
珪砂 :31.0
石灰 : 2.3
粘土 :12.4
亜鉛華 : 3.9
フリット : 0.5
抗菌剤 :50.0
ここで、フリットは比較例1のものと同じものであり、抗菌剤は実施例1と同じものである。
(比較例4)
【0175】
実施例1と同種の素地1と、比較例2の釉薬からなる第1釉薬と、下記組成からなる第2釉薬とを用意する。第1釉薬層及び第2釉薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成し、図18に示す比較例3の試料と同様の試料を得る。
【0176】
<第2釉薬の調合割合(質量%)>
珪砂 :33.0
石灰 : 8.5
アルミナ : 7.0
抗菌剤 :51.2
ここで、抗菌剤は実施例1と同じものである。
(評価)
【0177】
上記実施例1〜7及び比較例1〜4の試料を用意し、デジタルマイクロスコープにより表面のピンホールの確認を行い、平滑性について評価を行った。表3に示す。表3では、平滑性が優れているものを○とし、平滑性に欠けているものを×としている。
【0178】
【表3】
【0179】
表3より、実施例1〜7及び比較例3、4の試料は、ほとんど表面にピンホールを有さず、優れた平滑性を呈していることがわかる。他方、比較例1、2の試料は、僅かではあるが表面にピンホールを有し、やや平滑性が劣ることがわかる。これは、実施例1〜7及び比較例3、4の試料のガラス層が第1ガラス層と第2ガラス層とを有するため、素地1の影響から第1ガラス層まではピンホールを生じ得るとしても、第2ガラス層には素地1の影響が及び難く、第2ガラス層の表面にピンホールを生じ難いからである。このため、実施例1〜7及び比較例3、4の試料は、より高い平滑性を有し、優れた防汚性を実現できることがわかる。
【0180】
また、実施例1〜7の試料では、ジリコン微粒子3aが第2ガラス層5の呈色に影響しない程度の量しか含まれておらず、かつ第2ガラス層5の表面の平滑性に影響しない程度に分散した状態で存在しているため、優れた美的外観を奏している。
【0181】
さらに、実施例1〜7の試料は、第2ガラス層5の表面側に撥水層7を有しているため、わずかでもキズを生じた表面に汚れ成分を多く含んだ水分が使用されたとしても、その撥水機能により汚れが残留しにくく、優れた防汚効果を発揮していた。さらに、実施例1〜7の試料は、第2ガラス層5中に抗菌金属である銀化合物6が含まれているため、抗菌機能を有し、これによっても優れた防汚効果を発揮している。
【0182】
また、実施例1〜7及び比較例1〜4の試料について、以下に示すブラッシング試験を行った。
【0183】
<ブラッシング試験>
市販の研磨剤を塗布した市販の歯ブラシを用意し、この歯ブラシにより試料の表面を一定加圧力の下で20回摺動する。これにより、4cm2当たりのキズの本数(本)及びキズの長さの計(mm)を求めた。この結果も表3に示す。
【0184】
表3より、実施例1〜7及び比較例2、4の試料は表面にキズがつき難いことがわかる。これは、実施例1〜7及び比較例4の試料では、第2ガラス層の線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よりも小さいため、第2ガラス層が第1ガラス層の収縮により圧縮応力を受けて緻密化し、表面硬度が高くなるからである。特に、実施例1〜7の試料では、撥水層7上に存在するジルコン微粒子3aが研磨剤の摺動を阻止するため、大きなキズを受けないからである。このため、実施例1〜7の試料は、キズやクラックに起因する汚れも付着し難く、優れた防汚性を発揮できることがわかる。
【0185】
さらに、図19に示すように、実施例1〜7の試料におけるカリウムのKα線のX線強度は、第1ガラス層4中では198cps〜331cpsと低い範囲であるのに対し、第2ガラス層5中では331cps〜463cpsと高い範囲となっていることがわかる。このため、実施例1〜7の試料では、焼成過程において第2ガラス層5中に存在するイオン半径の小さいナトリウムイオンが第1ガラス層4中のイオン半径の大きなカリウムイオンとイオン交換され、第2ガラス層5中にカリウムイオンが拡散しているといえる。そして、第2ガラス層5は自身が圧縮応力を生ずることとなり、第2ガラス層5が強化されることとなる。
【0186】
<抗菌試験>
上記実施例1〜7及び比較例1〜4の試料を各3個づつ用意し、フィルム法により抗菌性能試験を行なった。各栄養濃度における大腸菌(IFO3972)の平均増減値差を表4に示す。また、各栄養濃度における黄色ブドウ球菌(IFO12732)の平均増減値差を表5に示す。表4、5においては、平均増減値差が2.0未満では抗菌効果が認められない。
【0187】
【表4】
【0188】
【表5】
【0189】
表4、表5より、いずれの菌に対する抗菌機能についても、実施例1〜7の試料では、栄養濃度を濃くしても、平均増減値差が2.0以上に保たれるのに対し、比較例1、2の試料では、平均増減値差が2.0以上に保たれるのは1/500NB以下の場合であることがわかる。このため、実施例1〜7の試料が比較例1、2の試料より優れた防汚性を発揮していることがわかる。また、実施例1〜7の試料では、ガラス層中の第2ガラス層5にのみ抗菌金属である銀化合物6を含むため、従来より少ない量の抗菌剤を使用しても、表面側の銀化合物6の濃度を高くすることができ、より高い抗菌機能の発揮が実現できることがわかる。また、実施例1〜7の試料では、抗菌剤の無駄な消費を防止できることもわかる。
【0190】
また、実施例1〜7の試料は比較例3、4の試料と同じ程度の平均増減値差を示すことがわかる。このため、実施例1〜7の試料は、図15に示すように、第2ガラス層5から撥水層7の表面に存在するジルコン微粒子3aを有していても、比較例3、4の試料と同等の防汚性を発揮できることがわかる。
【0191】
したがって、実施例1〜7の試料は、表面の平滑性に優れるとともに表面にキズがつき難く、ひいては優れた防汚性を確実に発揮できることがわかる。
以上の実施例及び適用例は例示であり、第1〜3発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた態様で実施可能である。
【産業上の利用可能性】
【0192】
第1発明の防汚処理方法によれば、安価に製造可能であるとともに、優れた抗菌機能を発揮可能なガラス層をもつ製品を製造することができる。第2発明の強化陶磁器はガラス層の表面にキズがつき難い。第3発明のガラス層をもつ製品は表面にキズがつき難く、ひいては優れた防汚性を確実に発揮できる。
【図面の簡単な説明】
【0193】
【図1】第1発明の実施例に係る基体及び第1釉薬層の断面図である。
【図2】第1発明の実施例に係る基体、第1釉薬層及び第2釉薬層の断面図である。
【図3】第1発明の実施例に係る基体、第1ガラス層及び第2ガラス層の断面図である。
【図4】第1発明の実施例に係る基体、第1ガラス層、第2ガラス層及び撥水層の断面図である。
【図5】第1発明の比較例1、2に係る基体及びガラス層の断面図である。
【図6】第2発明の実施例に係る素地及び第1釉薬層の断面図である。
【図7】第2発明の実施例に係る素地、第1釉薬層及び第2釉薬層の断面図である。
【図8】第2発明の実施例に係る陶磁器本体、第1ガラス層及び第2ガラス層の断面図である。
【図9】第2発明の実施例に係る陶磁器本体、第1ガラス層、第2ガラス層及び撥水層の断面図である。
【図10】第2発明の比較例に係る陶磁器本体及びガラス層の断面図である。
【図11】第2発明の実施例の試料の断面のEPMAによるカリウムの面分析結果である。
【図12】第3発明の実施例1〜7に係る素地及び第1釉薬層の断面図である。
【図13】第3発明の実施例1〜7に係る素地、第1釉薬層及び第2釉薬層の断面図である。
【図14】第3発明の実施例1〜7に係る陶磁器本体、第1ガラス層及び第2ガラス層の断面図である。
【図15】第3発明の実施例1〜7に係る試料の断面図である。
【図16】第3発明の実施例1〜7に係る試料の上面図である。
【図17】第3発明の比較例1、2に係る試料の断面図である。
【図18】第3発明の比較例3、4に係る試料の断面図である。
【図19】第3発明の実施例1〜7の試料の断面のEPMAによるカリウムの面分析結果である。
【符号の説明】
1…基体(陶磁器本体、素地)
2…第1釉薬層
3…第2釉薬層
4…第1ガラス層
5…第2ガラス層
6…銀化合物(抗菌金属)
7…撥水層
3a…硬質微粒子(ジルコン微粒子)
Claims (3)
- 陶磁器本体と、該陶磁器本体の表面に形成されたガラス層とからなるガラス層をもつ製品において、
前記ガラス層は、第1釉薬からなる第1ガラス層と、該第1ガラス層より外面側に形成され、抗菌金属を含み、第2釉薬からなる第2ガラス層とを有し、該第2ガラス層の表面にはキズの進展を防止するジルコン微粒子が分散され、
該ジルコン微粒子の平均粒径は0.8μm以上であることを特徴とするガラス層をもつ製品。 - 前記第2ガラス層は、前記第1ガラス層より線熱膨張係数が小さい請求項1記載のガラス層をもつ製品。
- 前記第2釉薬には、前記ジルコン微粒子が外掛けで4質量%以下含まれている請求項1又は2記載のガラス層をもつ製品。
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