JP2002211992A - ガラス層をもつ製品及びその製造方法 - Google Patents

ガラス層をもつ製品及びその製造方法

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JP2002211992A
JP2002211992A JP2001313386A JP2001313386A JP2002211992A JP 2002211992 A JP2002211992 A JP 2002211992A JP 2001313386 A JP2001313386 A JP 2001313386A JP 2001313386 A JP2001313386 A JP 2001313386A JP 2002211992 A JP2002211992 A JP 2002211992A
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glaze
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glass
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JP2001313386A
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Arata Matsumoto
新 松本
Shinji Ito
慎二 伊藤
Takahiro Morita
隆博 森田
Yuichiro Aihara
祐一郎 相原
Rui Yamashita
塁 山下
Haruyuki Mizuno
治幸 水野
Shigeo Imai
茂雄 今井
Noriyuki Sugiyama
紀幸 杉山
Shungo Tokushima
俊吾 徳島
Shinichiro Ishida
親一郎 石田
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Inax Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】表面にキズがつき難く、ひいては優れた防汚性
を確実に発揮できるガラス層をもつ製品を提供する。 【解決手段】ガラス層は、第1釉薬2からなる第1ガラ
ス層4と、第1ガラス層4より外面側に形成され、第1
ガラス層より線熱膨張係数が小さい第2釉薬3からなる
第2ガラス層5とを有する。第2ガラス層3の表面には
硬質微粒子3aが分散されている。第2ガラス層5の表
面には撥水層7もある。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はガラス層をもつ製品
及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、飲食器、台所用品、装飾品、タ
イル類、衛生用品、電気用品、理化学用品、工業用品、
建築用瓦、屋根瓦、陶管等のような製品としての陶磁器
は、基体としての陶磁器本体と、この陶磁器本体の表面
に形成されたガラス層とからなる。また、琺瑯製品は、
基体としての金属本体と、この金属本体の表面に形成さ
れたガラス層とからなる。さらに、ガラス製品の一部に
は、基体としてのガラス本体と、このガラス本体の表面
に形成されたガラス層とからなるものもある。
【0003】以上のようなガラス層をもつ製品のうち、
例えば、陶磁器は、およそ以下のように製造される。ま
ず、準備工程として、陶磁器本体を形成し得る素地と、
その陶磁器本体の表面にガラス層を形成し得る釉薬とを
用意する。そして、施釉工程として、素地の表面に釉薬
からなる釉薬層を形成する。この後、焼成工程として、
素地及び釉薬層を焼成し、陶磁器本体とガラス層とから
なる陶磁器を得る。こうしてガラス層をもつ製品が製造
される。その製品では、ガラス層が表面を滑らかで美し
く仕上げるとともに、表面にキズをつき難くし、さらに
は防水性等も付与する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来のガラス
層をもつ製品は、ガラス層が単一層であったため、未だ
表面にキズがつきやすく、表面硬度が十分でない。この
ため、衝撃が与えられた場合、キズに起因してガラス層
等にクラックが発生しやすいという不具合があった。ま
た、キズに汚れが付着しやすいという不具合があった。
このため、複数層のガラス層を採用することも考えられ
る。しかしながら、単に複数層のガラス層を採用した製
品においても、未だ表面にキズがつきやすく、表面硬度
が十分でないことが判明した。このため、未だ防汚性に
欠けるという不具合があった。
【0005】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされ
たものであり、表面にキズがつき難く、ひいては優れた
防汚性を確実に発揮できるガラス層をもつ製品を提供す
ることを解決すべき課題としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明のガラス層をもつ
製品は、基体と、該基体の表面に形成されたガラス層と
からなるガラス層をもつ製品において、
【0007】前記ガラス層は、第1釉薬からなる第1ガ
ラス層と、該第1ガラス層より外面側に形成され、該第
1ガラス層より線熱膨張係数が小さい第2釉薬からなる
第2ガラス層とを有し、該第2ガラス層の表面には硬質
微粒子が分散されていることを特徴とする。
【0008】本発明のガラス層をもつ製品では、第2ガ
ラス層の線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よ
りも小さいため、焼成工程における第1、2釉薬層の溶
融過程及び第1、2ガラス層の冷却過程において、第2
ガラス層は第1ガラス層の収縮により圧縮応力を受け
る。このため、第2ガラス層は緻密化して表面硬度が高
くなり、ガラス層の表面にキズがつき難くなる。また、
キズに起因してガラス層等にクラックが発生し難い。こ
のため、本発明の製品は、キズやクラックに起因する汚
れも付着し難く、優れた防汚性を発揮できる。
【0009】特に、本発明の製品では、第2ガラス層の
表面にキズをつけるような外的な因子がある場合、表面
に存在する硬質微粒子が第2ガラス層の表面とその因子
との摺動を阻止する。このため、その第2ガラス層の表
面にその因子が摺動するとしても、その時間は短く、大
きなキズがつき難い。このため、本発明の製品は、汚れ
が付着し難く、さらに優れた防汚性を発揮する。
【0010】また、本発明の製品では、第2ガラス層の
線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よりも小さ
いため、第2ガラス層はピンホールを生じ難くなってい
る。このため、この製品は、より高い平滑性を有し、優
れた防汚性を実現できる。
【0011】なお、本発明のガラス層をもつ製品は、基
体上に三層以上のガラス層を有し得る。例えば、三層の
ガラス層を有する場合、中層は第1ガラス層に相当し、
上層は第2ガラス層に相当する。
【0012】本発明のガラス層をもつ製品に用いられる
硬質微粒子としては、金属微粒子の他、窒化珪素微粒子
等の無機材料微粒子を採用することができる。この硬質
微粒子の平均粒径は、0.8〜20μmが好ましい。こ
うであれば、上記の耐キズ付き性の発揮とともに、ガラ
ス層をもつ製品の美的概観を保持することができる。
【0013】発明者らの試験結果によれば、ジルコン微
粒子を採用することが好ましい。ジルコン微粒子は、上
述の第2ガラス層の表面にキズをつけるといった因子よ
り硬い性質を有する。このような因子としては、汚れを
落とすために用いられるブラシや研磨剤が考えられる。
そのような因子は、ジルコン微粒子に引っ掛かることと
なるので、その因子が第2ガラス層に対して、キズがつ
き難くなる。
【0014】ジルコン微粒子は、上記のように耐キズ付
き性の発揮を行う一方、第2ガラス層中に含まれる割合
により、却って第2ガラス層の表面の平滑性を損なった
り、第2ガラス層の呈色性に影響を与えたりする。この
ため、ジルコン微粒子が第2ガラス層に含まれる割合と
しては、0.5〜2重量%が好ましい。
【0015】本発明のガラス層をもつ製品では、基体が
第1ガラス層より線熱膨張係数が大きいことが好まし
い。こうであれば、焼成工程における基体の焼結過程、
釉薬層の溶融過程並びに基体及びガラス層の冷却過程に
おいて、第2ガラス層が第1ガラス層から圧縮応力を受
けるのみならず、第1ガラス層も基体から圧縮応力を受
けることとなり、第2ガラス層のみならず第1ガラス層
も緻密化する。このため、本発明のガラス層をもつ製品
はガラス層等に生じるクラックが進行し難い。
【0016】また、本発明のガラス層をもつ製品は、第
1ガラス層と第2ガラス層とが線熱膨張係数に1×10
-7〜1×10-6/°Cの差を有することが好ましい。第
1ガラス層と第2ガラス層の線熱膨張係数の差がこの範
囲よりも小さい場合は所望の表面硬度が得られず、ま
た、逆に大きい場合は第2ガラス層が第1ガラス層から
受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第2ガラス層が破
壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試
験結果によれば、第1ガラス層と第2ガラス層とが線熱
膨張係数に2×10-7〜5×10-7/°Cの差を有する
ことが実用的である。
【0017】この場合、第1ガラス層と第2ガラス層と
は、厚みに10:1〜30:1の差を有することが好ま
しい。こうであれば、例え第2ガラス層にAg等の抗菌
金属を含有させたために第2ガラス層の美観が良くない
場合であっても、第1ガラス層のみを形成した場合と外
観上ほとんど変わらない表面となるため、意匠的に優れ
た外観の表面を有するガラス層をもつ製品とすることが
できる。
【0018】なお、第2ガラス層の組成及び厚みによっ
ては、第1ガラス層との界面による光の干渉を生じ難く
することができ、これにより光彩を防止することもでき
る。また、第2ガラス層の組成によっては、第2ガラス
層を結晶化ガラス質とし、不透明なものとすることもで
きる。
【0019】また、基体と第1ガラス層とは線熱膨張係
数に1×10-7〜1×10-6/°Cの差を有することが
望ましい。基体と第1ガラス層との線熱膨張係数の差が
この範囲よりも小さい場合は所望の強度を得ることがで
きず、また、逆に大きい場合は第1ガラス層が基体から
受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第1ガラス層が破
壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試
験結果によれば、基体と第1ガラス層とが線熱膨張係数
に2×10-7〜5×10-7/°Cの差を有することが実
用的である。
【0020】発明者らの試験結果によれば、本発明のガ
ラス層をもつ製品では、第2ガラス層は、第1ガラス層
に比して、カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれ
ている。カリウムはナトリウムに比してイオン半径が大
きい。このため、本発明のガラス層をもつ製品に係るガ
ラス層を形成する際、第2ガラス層中のナトリウムイオ
ンが第1ガラス中のカリウムイオンとイオン交換され、
第2ガラス層に圧縮応力を生じ、第2ガラス層の強度が
増すと考察される。
【0021】本発明のガラス層をもつ製品は、第2ガラ
ス層に抗菌金属が含まれている場合に防汚効果が大き
い。特に、本発明のガラス層をもつ製品では、ガラス層
中の第2ガラス層にのみ抗菌金属を含むため、従来より
少ない量の抗菌金属を使用しても、表面側の抗菌金属の
濃度を高くすることができ、より高い抗菌機能の発揮が
実現できる。また、抗菌金属の無駄な消費を防止するこ
ともできる。
【0022】ここで、抗菌金属としてはAg、Cu、Z
n等を採用することができる。具体的には、有機銀・銅
化合物や銀・銅担持無機化合物であり、(1)銀、銅、
銀−銅合金、(2)リン酸銀、硝酸銀、塩化銀、硫化
銀、酸化銀、硫酸銀、クエン酸銀、乳酸銀、(3)リン
酸第一銅、リン酸第二銅、有機銅化合物、塩化第一銅、
塩化第二銅、硫化第一銅、酸化第一銅、酸化第二銅、硫
化第二銅、硫酸第一銅、硫酸第二銅、クエン酸銅、乳酸
銅等を採用することができる。また、亜鉛についても、
同様に、有機亜鉛化合物や亜鉛担持無機化合物であり、
亜鉛、酸化亜鉛、塩化亜鉛、硫化亜鉛、硫酸亜鉛、乳酸
亜鉛等を採用することができる。これらの抗菌金属は、
単体であってもよく、合金であってもよく、また化合物
であってもよい。
【0023】さらに、本発明のガラス層をもつ製品は、
第2ガラス層の表面側に撥水成分を含む撥水層が形成さ
れていることが好ましい。こうであれば、わずかでもキ
ズを生じた表面に汚れ成分を多く含んだ水分が使用され
たとしても、その撥水機能により汚れが残留しにくくな
り、優れた防汚効果を発揮する。
【0024】この場合において、撥水処理工程は、第2
ガラス層の表面に存在する水酸基と脱水反応又は脱水素
反応により結合するケイ素含有官能基を有する撥水処理
液からなる被膜を形成することにより行うことができ
る。この処理を行えば、ケイ素含有官能基がガラス層の
表面に存在する水酸基(−OH)と脱水反応又は脱水素
反応により結合してその水酸基をシールドする。このた
め、多くの溶性シリカ等の金属イオンを含む水を使用す
るとしても、その水酸基はもはや不能化されてそれら金
属イオンと結合せず、屎尿等の成分を結合しなくなる。
特に、金属イオンとして溶性シリカを含む水を使用して
も、網目構造をなすケイ酸として析出せず、又は析出し
にくく、汚れを取り込みにくい。こうして、撥水処理液
がこのケイ素含有官能基を有すれば、溶性シリカ等の金
属イオンを多く含む水を同時に使う製品にあって、屎尿
等の汚れがこびり付きにくく、その清掃が容易となる。
【0025】ここで、撥水処理液は、ケイ素含有官能基
同士では結合していないことができる。発明者らの試験
結果によれば、これにより耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚
れ、耐摩耗性及び耐アルカリ性に対して防汚効果を高め
ることができる。撥水処理液のケイ素含有官能基同士が
結合しておれば、ケイ素が多くなって被膜に網目構造を
なすケイ酸が析出し、そこに汚れが取り込まれやすいと
考えられるからである。
【0026】また、撥水処理液は、ケイ素含有官能基と
結合した末端のフッ化炭素基を有することができる。発
明者らの試験結果によれば、こうしてフッ化炭素基を有
すれば、フッ化炭素基の小さな臨界表面張力により撥水
効果が高く、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アル
カリ性に対して効果が大きいからである。
【0027】さらに、フッ化炭素基は−Cn2n+1(n
は1≦n≦12の自然数)であるとすることができる。
発明者らの試験結果によれば、これによりフッ素数が多
く、フルオロシランが嵩高くなるため、耐水アカ汚れ、
耐毛染め液汚れ、耐摩耗性及び耐アルカリ性に対して効
果が大きい。
【0028】また、撥水処理液は第1剤と第2剤とを混
合したものであり、第1剤はパーフロロアルキル基含有
有機ケイ素化合物と加水分解性基含有メチルポリシロキ
サン化合物との親水性溶媒中での共加水分解物であり、
第2剤はオルガノポリシロキサンと強酸との混合物であ
ることができる。ここで、第1剤はパーフロロアルキル
基含有有機ケイ素化合物と加水分解性基含有メチルポリ
シロキサン化合物との親水性溶媒中での共加水分解物で
ある。第1剤中に存在するパーフロロアルキル基含有有
機ケイ素化合物と加水分解性基含有メチルポリシロキサ
ン化合物は、ガラス層の表面に存在する水酸基と脱水反
応又は脱水素反応により結合してその水酸基をシールド
するためのケイ素含有官能基を有する成分として用意さ
れる。
【0029】パーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合
物を第1剤中の構成成分とした理由は、フッ化炭素基の
大きな臨界表面張力により防汚効果が撥水効果としても
現れ、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アルカリ性
に対して効果が高いからである。また、加水分解性基含
有メチルポリシロキサン化合物を第1剤中の構成成分と
した理由は、耐水アカ汚れ、耐毛染め液汚れ及び耐アル
カリ性に対して効果が大きいからである。
【0030】第2剤はオルガノポリシロキサンと強酸と
の混合物である。オルガノポリシロキサンを第2剤中の
構成成分とした理由は、アルキル基の小さな臨界表面張
力により、防汚効果が耐口紅汚れ、耐摩耗性としても現
れるからである。さらに、強酸を第2剤の構成成分とし
た理由は、本発明に係る方法より調整した防汚処理剤を
用いて防汚処理を行った場合、第1剤中の構成成分であ
るパーフロロアルキル基含有有機ケイ素化合物及び加水
分解性基含有メチルポリシロキサン化合物とガラス層の
表面の水酸基とが結合するための触媒として強酸が有効
に作用するからである。
【0031】第1剤と第2剤とは混合されると、共加水
分解物のシラノール基はオルガノポリシロキサン及び強
酸と反応して脱水反応によりシロキサン結合(Si−O
−Si)し、複数の分子が複雑に絡み合った付加化合物
になると考えられる。このため、第1剤と第2剤とを混
合してなる防汚処理剤は、パーフロロアルキル基含有有
機ケイ素化合物、加水分解性基含有メチルポリシロキサ
ン化合物、オルガノポリシロキサン等の1分子だけから
構成されているのではなく、これら複数の分子が複雑に
絡み合った付加化合物、一種のポリマーとして結合され
て構成されているとともに、その付加化合物と基体の表
面とが強固に化学結合されると考えられる。
【0032】本発明のガラス層をもつ製品は上述の基体
が陶磁器本体であり得る。この場合の製品は、便器、洗
面器等の陶磁器である。これらの陶磁器は、水とともに
研磨剤を含むような洗剤を用いてブラシによって洗浄さ
れることが多いことから、上述の効果を特に必要とする
からである。
【0033】本発明のガラス層をもつ製品の製造方法
は、基体と、該基体の表面にガラス層を形成し得る釉薬
とを用意する準備工程と、該基体の表面に該釉薬からな
る釉薬層を形成する施釉工程と、該基体及び該釉薬層を
焼成し、該基体と該ガラス層とからなる製品を得る焼成
工程とを有するガラス層をもつ製品の製造方法におい
て、前記釉薬は、前記基体側に形成され、第1ガラス層
をなす第1釉薬と、外面側に形成され、該第1ガラス層
より線熱膨張係数が小さく、表面に硬質微粒子が分散さ
れた第2ガラス層をなす第2釉薬とからなることを特徴
とする。本発明の製造方法により、上記本発明のガラス
層をもつ製品を製造することができる。
【0034】また、本発明のガラス層をもつ製品の製造
方法は、施釉工程において、第1釉薬からなる第1釉薬
層を形成した後、第1釉薬層上に第2釉薬からなる第2
釉薬層を形成することができる。こうして得られる本発
明のガラス層をもつ製品では、基体に第1釉薬を施釉し
て第1釉薬層を形成していることから、基体の表面側に
は第1釉薬が含浸しており、基体に含浸していた第1釉
薬も基体内で第1ガラス層を構成している。このため、
第1ガラス層は基体に強固に密着している。また、この
基体では、第1釉薬層上に第2釉薬を施釉して第2釉薬
層を形成しているため、第2釉薬が第1釉薬層に含浸
し、第1ガラス層と第2ガラス層とも強固に密着すると
ともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止
することができる。また、これにより、焼成工程を一度
で終えることができ、製造コストの低廉化を実現でき
る。
【0035】さらに、本発明のガラス層をもつ製品の製
造方法では、第1釉薬にカリウムが含まれ、第2釉薬に
ナトリウムが含まれていることが好ましい。カリウムは
ナトリウムに比してイオン半径が大きいため、これらの
第1、2釉薬を用いれば、第2釉薬中のナトリウムイオ
ンが第1釉薬中のカリウムイオンとイオン交換される。
このため、第1ガラス層に比して、カリウムが多く、ナ
トリウムが少なく含まれた第2ガラス層をもつ本発明の
ガラス層をもつ製品が得られる。
【0036】また、本発明のガラス層をもつ製品の製造
方法は、第2釉薬には抗菌金属が含まれていることがで
きる。こうであれば、抗菌機能を付与したガラス層をも
つ製品を製造することができる。
【0037】さらに、本発明のガラス層をもつ製品の製
造方法は、第2釉薬は第1釉薬より溶融時の粘性が高い
ことができる。こうであれば、第2ガラス層中に分散さ
せる硬質微粒子が凝集することを防止でき、硬質微粒子
を表面に好適に分散させた状態で存在させることができ
る。また、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、ガラス
層をもつ製品の火ぶくれを防ぐことができるとともに、
焼成時に抗菌金属が第2ガラス層から第1ガラス層中に
拡散する速度が遅くなり、表面における抗菌金属の濃度
を高いままに保ったガラス層をもつ製品を製造すること
ができる。
【0038】さらに、本発明のガラス層をもつ製品の製
造方法は、ガラス層の表面を撥水処理する撥水処理工程
を有することができる。こうであれば、汚れが残留しに
くいガラス層をもつ製品を製造することできる。
【0039】
【発明の実施の形態】以下、本発明を具体化した実施例
1〜7を比較例1〜4とともに説明する。
【0040】(実施例1) 「準備工程」まず、図1及び図2に示すように、50±
2mm角(厚さ10mm以内)の正方形に切断した下記
組成からなるタイル用基体としての素地1を用意する。
【0041】<素地1の調合割合(質量%)> 長石 :28.2 珪砂 :11.8 セリサイト:15.0 粘土 :45.0
【0042】また、下記組成からなる第1釉薬及び第2
釉薬を用意する。
【0043】<第1釉薬の調合割合(質量%)> 長石 :42.456 フリット : 1.617 石灰 :11.827 ドロマイト : 5.054 亜鉛華 : 1.516 蛙目 : 4.043 アルミナ : 1.769 珪砂 : 9.603 乳白剤 : 6.368 シャモット質耐火物:15.163 顔料 : 0.581 ここで、フリットは以下の組成(質量%)からなる。 SiO2 :49.3 Al23 :11.1 CaO : 0.2 Na2O :19.1 K2O :1.0 B23 :19.2
【0044】この第1釉薬には、K2Oが2質量%含ま
れている。
【0045】<第2釉薬の調合割合(質量%)> 珪砂 :31.0 石灰 : 6.0 粘土 :13.0 抗菌剤 :50.0 ここで、抗菌剤は以下の組成(質量%)からなる(以
下、同様である。)。 Ag2O :25.88 P25 : 4.98 CaO : 0.01 SiO2 :56.84 Al23 : 9.36 Fe23 : 0.10 K2O : 0.43 Na2O : 0.06 SrO : 0.01 Igloss: 2.34
【0046】以上の調合に、硬質微粒子として、平均粒
径が0.81μmのジルコン微粒子3aを外掛けで1質
量%含有させて第2釉薬とする。この第2釉薬には、N
2Oが2質量%含まれている。
【0047】「施釉工程」図1に示すように、素地1の
表面に第1釉薬を施釉して第1釉薬層2を形成した後、
図2に示すように、第1釉薬層2の表面側に第2釉薬を
施釉して第2釉薬層3を形成する。
【0048】「焼成工程」第1釉薬層2及び第2釉薬層
3をもつ素地1を1210°Cで焼成する。これによ
り、素地1を焼結するとともに、第1釉薬層2及び第2
釉薬層3を溶融させ、図3で示すように、陶磁器本体1
上に第1ガラス層4及び第2ガラス層5を形成する。こ
こで、第2ガラス層5の表面には、ジルコン微粒子3a
が分散された状態で存在している。
【0049】ここで、第2ガラス層5の線熱膨張係数は
第1ガラス層4の線熱膨張係数より小さく、その差は3
×10-7/°Cである。また、第1ガラス層4の線熱膨
張係数は陶磁器本体1の線熱膨張係数より小さく、その
差は4×10-7/°Cである。さらに、第1ガラス層4
と第2ガラス層5とは厚みに20:1の差を有してい
る。また、第2ガラス層5中には抗菌金属としての銀化
合物6が分散されている。
【0050】「撥水処理工程」そして、第2ガラス層5
の表面に以下に示す撥水処理処理を施した。
【0051】まず、パーフロロアルキル基含有有機ケイ
素化合物としての
【0052】C817CH2CH2Si(OCH33
【0053】と、加水分解性基含有メチルポリシロキサ
ン化合物としての
【0054】Si(CH3O)3CH2CH2−(Si(C
32O)10−Si(CH32CH 2CH2Si(OCH
33
【0055】とからなり、これらを0.1N塩酸水、t
−ブタノール及びヘキサンからなる親水性溶媒中で共加
水分解した第1剤を用意する。これらはそれぞれシラノ
ール(Si−OH)基を有するものである考えられる。
【0056】また、オルガノポリシロキサン(HO−
(Si(CH32O)30−Si(CH 32OH)と、強
酸としてのメタンスルホン酸との混合物を第2剤として
用意する。
【0057】そして、第1剤5mlに第2剤5mlを加
えて混合することにより撥水処理液とする。第1ガラス
層4と第2ガラス層5とをもつ陶磁器本体1の表面にこ
の撥水処理液を塗布した後、約10分間放置し、乾燥さ
せる。この後、表面をエタノールで洗浄し、乾燥させ
る。
【0058】以上により、図4及び図5に示すように、
陶磁器本体1と、この陶磁器本体1上に形成された第1
釉薬からなる第1ガラス層4と、第1ガラス層4より外
面側に形成され、抗菌金属を含み、第1釉薬とは異なる
第2釉薬からなる第2ガラス層5と、第2ガラス層5の
表面側に形成され、撥水成分を含む撥水層7とからな
り、第2ガラス層5から撥水層7の表面にも存在するジ
ルコン微粒子3aを含む試料を得る。
【0059】(実施例2)実施例1の準備工程におい
て、第2釉薬には実施例1のジルコン微粒子3aが外掛
けで2質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様
である。
【0060】(実施例3)実施例1の準備工程におい
て、第2釉薬には、硬質微粒子として平均粒径が1.5
5μmのジルコン微粒子3aが外掛けで1質量%含まれ
ている。他の条件は実施例1と同様である。
【0061】(実施例4)実施例1の準備工程におい
て、第2釉薬には実施例3のジルコン微粒子3aが外掛
けで2質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様
である。
【0062】(実施例5)実施例1の準備工程におい
て、第2釉薬には、硬質微粒子として平均粒径が20μ
mのジルコン微粒子3aが外掛けで1質量%含まれてい
る。他の条件は実施例1と同様である。
【0063】(実施例6)実施例1の準備工程におい
て、第2釉薬には実施例5のジルコン微粒子3aが外掛
けで2質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様
である。
【0064】(実施例7)実施例1の準備工程におい
て、第2釉薬には実施例5のジルコン微粒子3aが外掛
けで4質量%含まれている。他の条件は実施例1と同様
である。
【0065】(比較例1)図6に示すように、実施例1
と同種の素地1上に下記組成からなる釉薬を施釉し、釉
薬層を形成する。
【0066】<釉薬の調合割合(質量%)> 長石 :10.0 カオリン : 5.0 フリット :85.0 ここで、フリットは以下の組成(質量%)からなる。 SiO2 :67.4 Al23 : 8.6 MgO : 2.7 CaO : 5.7 SrO : 3.2 Na2O : 2.3 K2O : 3.2 B23 : 3.5 ZnO : 2.3 MoO3 : 1.1
【0067】釉薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成
する。これにより、釉薬層を溶融させ、陶磁器本体1上
にガラス層8を形成する。こうして、陶磁器本体1と、
この陶磁器本体1上に形成された釉薬からなるガラス層
8とからなる試料を得る。
【0068】(比較例2)実施例1と同種の素地1上に
下記組成からなる釉薬を施釉し、釉薬層を形成する。釉
薬層をもつ素地1を1210°Cで焼成し、図6に示す
比較例1の試料と同様の試料を得る。
【0069】<釉薬の調合割合(質量%)> 長石 :42.456 フリット : 1.617 石灰 :11.827 ドロマイト : 5.054 亜鉛華 : 1.516 蛙目 : 4.043 アルミナ : 1.769 珪砂 : 9.603 乳白剤 : 6.368 シャモット質耐火物:15.163 顔料 : 0.581 ここで、フリットは実施例1のものと同じものである。
以上の調合に、平均粒径が1.55μmのジルコン微粒
子を外掛けで6.3質量%含有させて釉薬とする。
【0070】(比較例3)実施例1と同種の素地1と、
比較例2の釉薬からなる第1釉薬と、下記組成からなる
第2釉薬とを用意する。第1釉薬層及び第2釉薬層をも
つ素地1を1210°Cで焼成し、試料を得る。こうし
て、図7に示すように、陶磁器本体1と、この陶磁器本
体1上に形成され第1釉薬からなる第1ガラス層9と、
このガラス層9上に形成され第2釉薬からなる第2ガラ
ス層10を形成する。
【0071】<第2釉薬の調合割合(質量%)> 珪砂 :31.0 石灰 : 2.3 粘土 :12.4 亜鉛華 : 3.9 フリット : 0.5 抗菌剤 :50.0 ここで、フリットは比較例1のものと同じものであり、
抗菌剤は実施例1と同じものである。
【0072】(比較例4)実施例1と同種の素地1と、
比較例2の釉薬からなる第1釉薬と、下記組成からなる
第2釉薬とを用意する。第1釉薬層及び第2釉薬層をも
つ素地1を1210°Cで焼成し、図7に示す比較例3
の試料と同様の試料を得る。
【0073】<第2釉薬の調合割合(質量%)> 珪砂 :33.0 石灰 : 8.5 アルミナ : 7.0 抗菌剤 :51.2 ここで、抗菌剤は実施例1と同じものである。
【0074】(評価)上記実施例1〜7及び比較例1〜
4の試料を用意し、デジタルマイクロスコープにより表
面のピンホールの確認を行い、平滑性について評価を行
った。表1に示す。表1では、平滑性が優れているもの
を○とし、平滑性に欠けているものを×としている。
【0075】
【表1】
【0076】表1より、実施例1〜7及び比較例3、4
の試料は、ほとんど表面にピンホールを有さず、優れた
平滑性を呈していることがわかる。他方、比較例1、2
の試料は、僅かではあるが表面にピンホールを有し、や
や平滑性が劣ることがわかる。これは、実施例1〜7及
び比較例3、4の試料のガラス層が第1ガラス層と第2
ガラス層とを有するため、素地1の影響から第1ガラス
層まではピンホールを生じ得るとしても、第2ガラス層
には素地1の影響が及び難く、第2ガラス層の表面にピ
ンホールを生じ難いからである。このため、実施例1〜
7及び比較例3、4の試料は、より高い平滑性を有し、
優れた防汚性を実現できることがわかる。
【0077】また、実施例1〜7の試料では、ジリコン
微粒子3aが第2ガラス層5の呈色に影響しない程度の
量しか含まれておらず、かつ第2ガラス層5の表面の平
滑性に影響しない程度に分散した状態で存在しているた
め、優れた美的外観を奏している。
【0078】さらに、実施例1〜7の試料は、第2ガラ
ス層5の表面側に撥水層7を有しているため、わずかで
もキズを生じた表面に汚れ成分を多く含んだ水分が使用
されたとしても、その撥水機能により汚れが残留しにく
く、優れた防汚効果を発揮していた。さらに、実施例1
〜7の試料は、第2ガラス層5中に抗菌金属である銀化
合物6が含まれているため、抗菌機能を有し、これによ
っても優れた防汚効果を発揮している。
【0079】また、実施例1〜7及び比較例1〜4の試
料について、以下に示すブラッシング試験を行った。
【0080】<ブラッシング試験>市販の研磨剤を塗布
した市販の歯ブラシを用意し、この歯ブラシにより試料
の表面を一定加圧力の下で20回摺動する。これによ
り、4cm2当たりのキズの本数(本)及びキズの長さ
の計(mm)を求めた。この結果も表1に示す。
【0081】表1より、実施例1〜7及び比較例2、4
の試料は表面にキズがつき難いことがわかる。これは、
実施例1〜7及び比較例4の試料では、第2ガラス層の
線熱膨張係数が第1ガラス層の線熱膨張係数よりも小さ
いため、第2ガラス層が第1ガラス層の収縮により圧縮
応力を受けて緻密化し、表面硬度が高くなるからであ
る。特に、実施例1〜7の試料では、撥水層7上に存在
するジルコン微粒子3aが研磨剤の摺動を阻止するた
め、大きなキズを受けないからである。このため、実施
例1〜7の試料は、キズやクラックに起因する汚れも付
着し難く、優れた防汚性を発揮できることがわかる。
【0082】さらに、図8に示すように、実施例1〜7
の試料におけるカリウムのKα線のX線強度は、第1ガ
ラス層4中では198cps〜331cpsと低い範囲
であるのに対し、第2ガラス層5中では331cps〜
463cpsと高い範囲となっていることがわかる。こ
のため、実施例1〜7の試料では、焼成過程において第
2ガラス層5中に存在するイオン半径の小さいナトリウ
ムイオンが第1ガラス層4中のイオン半径の大きなカリ
ウムイオンとイオン交換され、第2ガラス層5中にカリ
ウムイオンが拡散しているといえる。そして、第2ガラ
ス層5は自身が圧縮応力を生ずることとなり、第2ガラ
ス層5が強化されることとなる。
【0083】<抗菌試験>上記実施例1〜7及び比較例
1〜4の試料を各3個づつ用意し、フィルム法により抗
菌性能試験を行なった。各栄養濃度における大腸菌(I
FO3972)の平均増減値差を表2に示す。また、各
栄養濃度における黄色ブドウ球菌(IFO12732)
の平均増減値差を表3に示す。表2、3においては、平
均増減値差が2.0未満では抗菌効果が認められない。
【0084】
【表2】
【0085】
【表3】
【0086】表2、表3より、いずれの菌に対する抗菌
機能についても、実施例1〜7の試料では、栄養濃度を
濃くしても、平均増減値差が2.0以上に保たれるのに
対し、比較例1、2の試料では、平均増減値差が2.0
以上に保たれるのは1/500NB以下の場合であるこ
とがわかる。このため、実施例1〜7の試料が比較例
1、2の試料より優れた防汚性を発揮していることがわ
かる。また、実施例1〜7の試料では、ガラス層中の第
2ガラス層5にのみ抗菌金属である銀化合物6を含むた
め、従来より少ない量の抗菌剤を使用しても、表面側の
銀化合物6の濃度を高くすることができ、より高い抗菌
機能の発揮が実現できることがわかる。また、実施例1
〜7の試料では、抗菌剤の無駄な消費を防止できること
もわかる。
【0087】また、実施例1〜7の試料は比較例3、4
の試料と同じ程度の平均増減値差を示すことがわかる。
このため、実施例1〜7の試料は、図4に示すように、
第2ガラス層5から撥水層7の表面に存在するジルコン
微粒子3aを有していても、比較例3、4の試料と同等
の防汚性を発揮できることがわかる。
【0088】したがって、実施例1〜7の試料は、表面
の平滑性に優れるとともに表面にキズがつき難く、ひい
ては優れた防汚性を確実に発揮できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1〜7に係る素地及び第1釉薬層の断面
図である。
【図2】実施例1〜7に係る素地、第1釉薬層及び第2
釉薬層の断面図である。
【図3】実施例1〜7に係る陶磁器本体、第1ガラス層
及び第2ガラス層の断面図である。
【図4】実施例1〜7に係る試料の断面図である。
【図5】実施例1〜7に係る試料の上面図である。
【図6】比較例1、2に係る試料の断面図である。
【図7】比較例3、4に係る試料の断面図である。
【図8】実施例1〜7の試料の断面のEPMAによるカ
リウムの面分析結果である。
【符号の説明】
1…基体(陶磁器本体、素地) 2…第1釉薬層 3…第2釉薬層 4…第1ガラス層 5…第2ガラス層 6…銀化合物(抗菌金属) 7…撥水層 3a…硬質微粒子(ジルコン微粒子)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23D 5/00 C23D 5/00 J K // A47G 19/00 A47G 19/00 A 19/22 19/22 A (72)発明者 森田 隆博 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 相原 祐一郎 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 山下 塁 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 水野 治幸 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 今井 茂雄 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 杉山 紀幸 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 徳島 俊吾 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 石田 親一郎 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 Fターム(参考) 3B001 CC36 4F100 AA27D AB01B AB01C AD00B AD00C AD20A AG00B AG00C AH06 AK52 AR00E AT00A BA04 BA10A BA10D DE01D EH461 EH462 EJ481 EJ482 EJ643 GB08 GB71 JA02A JA02B JA02C JA06B JA06C JB06E JC00C JK09 JK12D JL06 YY00B YY00C

Claims (18)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体と、該基体の表面に形成されたガラス
    層とからなるガラス層をもつ製品において、 前記ガラス層は、第1釉薬からなる第1ガラス層と、該
    第1ガラス層より外面側に形成され、該第1ガラス層よ
    り線熱膨張係数が小さい第2釉薬からなる第2ガラス層
    とを有し、該第2ガラス層の表面には硬質微粒子が分散
    されていることを特徴とするガラス層をもつ製品。
  2. 【請求項2】硬質微粒子はジルコン微粒子であることを
    特徴とする請求項1記載のガラス層をもつ製品。
  3. 【請求項3】基体は第1ガラス層より線熱膨張係数が大
    きいことを特徴とする請求項1又は2記載のガラス層を
    もつ製品。
  4. 【請求項4】第1ガラス層と第2ガラス層とは線熱膨張
    係数に1×10-7〜1×10-6/°Cの差を有すること
    を特徴とする請求項1、2又は3記載のガラス層をもつ
    製品。
  5. 【請求項5】第1ガラス層と第2ガラス層とは線熱膨張
    係数に2×10-7〜5×10-7/°Cの差を有すること
    を特徴とする請求項4記載のガラス層をもつ製品。
  6. 【請求項6】第1ガラス層と第2ガラス層とは厚みに1
    0:1〜30:1の差を有することを特徴とする請求項
    1、2、3、4又は5記載のガラス層をもつ製品。
  7. 【請求項7】基体と第1ガラス層とは線熱膨張係数に1
    ×10-7〜1×10-6/°Cの差を有することを特徴と
    する請求項3記載のガラス層をもつ製品。
  8. 【請求項8】基体と第1ガラス層とは線熱膨張係数に2
    ×10-7〜5×10-7/°Cの差を有することを特徴と
    する請求項7記載のガラス層をもつ製品。
  9. 【請求項9】第2ガラス層は、第1ガラス層に比して、
    カリウムが多く、ナトリウムが少なく含まれていること
    を特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、7又は8
    記載のガラス層をもつ製品。
  10. 【請求項10】第2ガラス層には抗菌金属が含まれてい
    ることを特徴とする請求項1、2、3、4、5、6、
    7、8又は9記載のガラス層をもつ製品。
  11. 【請求項11】第2ガラス層の表面側には撥水成分を含
    む撥水層が形成されていることを特徴とする請求項1、
    2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載のガラス
    層をもつ製品。
  12. 【請求項12】基体は陶磁器本体であることを特徴とす
    る請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又
    は11記載のガラス層をもつ製品。
  13. 【請求項13】基体と、該基体の表面にガラス層を形成
    し得る釉薬とを用意する準備工程と、 該基体の表面に該釉薬からなる釉薬層を形成する施釉工
    程と、 該基体及び該釉薬層を焼成し、該基体と該ガラス層とか
    らなる製品を得る焼成工程とを有するガラス層をもつ製
    品の製造方法において、 前記釉薬は、前記基体側に形成され、第1ガラス層をな
    す第1釉薬と、外面側に形成され、該第1ガラス層より
    線熱膨張係数が小さく、表面に硬質微粒子が分散された
    第2ガラス層をなす第2釉薬とからなることを特徴とす
    るガラス層をもつ製品の製造方法。
  14. 【請求項14】施釉工程において、第1釉薬からなる第
    1釉薬層を形成した後、該第1釉薬層上に該第2釉薬か
    らなる第2釉薬層を形成することを特徴とする請求項1
    3記載のガラス層をもつ製品の製造方法。
  15. 【請求項15】第1釉薬にはカリウムが含まれ、第2釉
    薬にはナトリウムが含まれていることを特徴とする請求
    項13又は14記載のガラス層をもつ製品の製造方法。
  16. 【請求項16】第2釉薬には抗菌金属が含まれているこ
    とを特徴とする請求項13、14又は15記載のガラス
    層をもつ製品の製造方法。
  17. 【請求項17】第2釉薬は第1釉薬より溶融時の粘性が
    高いことを特徴とする請求項16記載のガラス層をもつ
    製品の製造方法。
  18. 【請求項18】ガラス層の表面を撥水処理する撥水処理
    工程を有することを特徴とする請求項13、14、1
    5、16又は17記載のガラス層をもつ製品の製造方
    法。
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