JP2004300086A - 釉薬用抗菌剤及び抗菌窯業製品の製造方法 - Google Patents

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親一郎 石田
Haruhisa Ushida
晴久 牛田
Haruyuki Mizuno
治幸 水野
Shungo Tokushima
俊吾 徳島
Keiji Kawagoe
啓次 川越
Shigeo Imai
茂雄 今井
Noriyuki Sugiyama
紀幸 杉山
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Abstract

【課題】表面性状に優れた抗菌窯業製品を容易に製造可能にする。
【解決手段】粉末状の銀と、Pを含むフリットとが混合されてなる釉薬用抗菌剤を調製する。この釉薬用抗菌剤を他の釉薬原料と湿式混合粉砕し、泥漿の抗菌釉薬を得る。次いで、抗菌釉薬を素地に施釉して施釉品とし、施釉品を焼成することにより抗菌窯業製品を得る。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は釉薬用抗菌剤及び抗菌窯業製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、非特許文献1に銀等が抗菌作用を発揮する抗菌金属であることが開示されている。そして、特許文献1や非特許文献2には、装飾を目的として銀を含有する化合物を含む釉薬を用いて窯業製品を製造する製造方法が開示されている。すなわち、その製造方法では、まず、銀を含有する化合物を他の釉薬原料とともに湿式混合粉砕し、泥漿状をなす釉薬を得る。そして、その釉薬を素地に施釉して施釉品とし、施釉品を焼成することにより窯業製品を得る。こうして製造された窯業製品においては、釉薬がガラス化してなるガラス層の表面において銀が細菌に作用し、抗菌性が発揮されていたものと認められる。
【0003】
一方、特許文献2〜5等には、抗菌金属をイオン交換によってゼオライトやシリカゲル等の無機担体に担持させてなる抗菌剤が開示されている。また、特許文献6〜9にはリン酸を含有する抗菌剤が開示されている。さらに、特許文献10には、無機系酸化物を主成分とするセラミックス用原料粉末と銀粉末とからなるセラミックス用抗菌性組成物が開示されている。これらは、抗菌金属が抗菌作用を発揮することが知られていたことから、表面装飾と抗菌性の付与とを兼ねるために窯業製品の釉薬中にも用いられ得る。特に、リン酸を含有する抗菌剤は、抗菌金属の抗菌作用をリン酸が高めると考えられ、優れた抗菌性を発揮する。
【0004】
【非特許文献1】
堀口博著「防菌防黴の化学」三共出版、1986年2月25日、P.46−47、50−51
【非特許文献1】
素木洋一著「現代陶磁の装飾技法」修学館、1988年2月25日、P.54−64、163−183
【0005】
【特許文献1】
特公昭31−8136号公報
【特許文献2】
特開平1−283204号公報
【特許文献3】
特開平2−292201号公報
【特許文献4】
特開平3−161409号公報
【特許文献5】
特開平5−58691号公報
【特許文献6】
特開平3−38504号公報
【特許文献7】
特開平3−218765号公報
【特許文献8】
特開平4−234303号公報
【特許文献9】
特開平4−273803号公報
【特許文献10】
特開平2−180742号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の抗菌剤等は、抗菌金属以外に無機担体等を含有することから、ガラス層の表面が平滑になり難く、表面性状に優れた抗菌窯業製品を製造し難い。
【0007】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、表面性状に優れた抗菌窯業製品を容易に製造可能にすることを解決すべき課題としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
発明者らは上記課題解決のために鋭意研究することにより、粉末状の銀と、Pを含むフリットとが混合されてなる釉薬用抗菌剤を用いれば、上記課題を解決できることを発見し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、第1発明の釉薬用抗菌剤は、粉末状の銀と、Pを含むフリットとが混合されてなることを特徴とする。
【0010】
窯業製品の釉薬にはフリットが用いられ得る。従来の窯業製品に用いられているフリットは、SiO、Al、NaO、CaO、B等を成分とするホウケイ酸フリットである。このホウケイ酸フリットは、窯業製品のガラス層を構成するSiO、Al、NaO、CaO等の一部をBとともに予め溶融、冷却してガラス質としたものである。このため、ホウケイ酸フリットを釉薬に含ませることにより、窯業製品のガラス層の原料となる珪砂、長石、粘土等から気泡が生じることを抑制し、ガラス層の表面を平滑にする。発明者らはそのフリットに着目し、一般的なホウケイ酸フリットではなく、Pを含むフリット(以下、「リン酸フリット」という。)を銀とともに釉薬に用いれば、銀による抗菌作用を発揮し、リン酸フリットのPによりその抗菌作用を高め、かつリン酸フリットによりガラス層の表面を平滑にすることができることを発見したものである。
【0011】
本発明の釉薬用抗菌剤は粉末状の銀とリン酸フリットとを混合してなるものである。銀が粉末状でなければ、窯業製品のガラス層において銀が目立ち易く、表面が平滑にならない。この意味において粉末状の銀の粒径は15μm以下であることが好ましい。リン酸フリットは、フレーク状のもの、バルク状のもの又はこれらを乾式粉砕した粉末状のものであれば足りる。釉薬用抗菌剤のリン酸フリットがフレーク状又はバルク状であっても、泥漿状をなす抗菌釉薬を得る釉薬製造工程において、そのリン酸フリットが他の釉薬原料とともに湿式混合粉砕されることから、リン酸フリットがガラス層中に偏在することがなく、銀の抗菌作用を好適に高めることができる。銀とリン酸フリットとがともに粉末状であれば、通常の釉薬に釉薬抗菌剤を混合するだけで抗菌釉薬を得ることができ、容易に抗菌窯業製品を製造することができる。
【0012】
したがって、第1発明の釉薬用抗菌剤を用いれば、表面性状に優れた抗菌窯業製品を容易に製造することができる。
【0013】
フリットはBを含むことが好ましい。発明者らはBを含むフリットを採用することにより、抗菌窯業製品が良好な抗菌性を発揮することを確認した。銀はイオン状態の方が金属状態よりも高い抗菌活性を示すことが報告されており、銀は釉薬中において通常は金属状態で存在するのであるが、釉薬中にBが存在する場合には、銀がBに引き寄せられて金属状態からイオン状態になり、抗菌活性が高くなるものと推察される。このBの作用は、ガラス層の表面にBが銀及びPと共存している場合に一層大きくなる。
【0014】
フリットはCaOを含むことも好ましい。発明者らはCaOを含むフリットを採用することにより、抗菌窯業製品が良好な抗菌性を発揮することも確認した。これはCaOにもBと同様の作用があるためと考えられる。このCaOの作用は、ガラス層の表面にCaOが銀及びPと共存している場合や銀、P及びBと共存している場合に大きい。
【0015】
第2発明の抗菌窯業製品の製造方法は、上記釉薬用抗菌剤を他の釉薬原料と湿式混合粉砕し、泥漿状をなす抗菌釉薬を得る釉薬製造工程と、該抗菌釉薬を素地に施釉して施釉品とする施釉工程と、該施釉品を焼成することにより抗菌窯業製品を得る焼成工程とを備えたことを特徴とする。この製造方法では、素地は焼結して陶磁器本体となり、抗菌釉薬はガラス化してガラス層となる。これにより、表面性状に優れた抗菌窯業製品を容易に製造することができる。
【0016】
釉薬製造工程では、泥漿状をなし、銀を含まない下層用釉薬を得、施釉工程では、下層用釉薬を素地に施釉して下層とした後、抗菌釉薬を下層上に施釉して上層とすることにより、施釉品とすることができる。この施釉品を焼成すれば、素地が焼結して陶磁器本体となり、下層がガラス化して第1ガラス層となり、上層がガラス化して第1ガラス層と一体の第2ガラス層となる。こうすることにより、抗菌性を維持しつつ高価な銀の使用量を抑えることができ、抗菌窯業製品の製造コストを低廉化することができる。また、下層用釉薬からなる下層と、より表面側に抗菌釉薬からなる上層とを形成し、下層用釉薬及び抗菌釉薬を溶融させて第1ガラス層及び第2ガラス層を形成することから、得られる抗菌窯業製品において、抗菌釉薬が下層に含浸し、第1ガラス層と第2ガラス層とが強固に密着するとともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止することができる。また、これにより、焼成工程を一度で終えることができ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0017】
抗菌釉薬は、下層用釉薬より溶融時の粘性が高いものであることが好ましい。こうであれば、銀がガラス層の表面側から内部に拡散し難く、ほとんどが表面側に留まる。このため、大量の銀を消費しなくても、本来的に望まれる表面側の銀が細菌に作用し、優れた抗菌性を発揮することができる。また、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、抗菌窯業製品の火ぶくれを防ぐことができる。
【0018】
また、抗菌釉薬は、下層用釉薬より線熱膨張係数が小さいものであることが好ましい。こうであれば、焼成工程における下層及び上層の溶融過程並びに下層がガラス化してなる第1ガラス層及び上層がガラス化してなる第2ガラス層の冷却過程において、第2ガラス層は第1ガラス層の収縮により圧縮応力を受ける。このため、第2ガラス層は緻密化して表面硬度が高くなり、ガラス層の表面にキズがつき難くなる。このため、抗菌窯業製品は、キズに起因してガラス層等にクラックが発生し難い。また、キズがつき難いことから、キズに起因する汚れも付着し難い。
【0019】
下層がガラス化してなる第1ガラス層と上層がガラス化してなる第2ガラス層とは、線熱膨張係数に1×10−7〜1×10−6/°Cの差を有することが好ましい。第1ガラス層と第2ガラス層の線熱膨張係数の差がこの範囲よりも小さい場合は所望の表面硬度が得られず、また、逆に大きい場合は第2ガラス層が第1ガラス層から受ける圧縮応力が大きくなりすぎて、第2ガラス層が破壊されるおそれがあるからである。特に、発明者らの試験結果によれば、第1ガラス層と第2ガラス層とが線熱膨張係数に2×10−7〜5×10−7/°Cの差を有することが実用的である。
【0020】
抗菌釉薬には、硬質微粒子が分散されていることが好ましい。上層がガラス化してなる第2ガラス層の表面にキズをつけるような外的な因子がある場合、表面に存在する硬質微粒子が第2ガラス層の表面とその因子との摺動を阻止する。このため、その第2ガラス層の表面にその因子が摺動するとしても、その時間は短く、大きなキズがつき難い。このため、抗菌窯業製品は、汚れが付着し難く、さらに優れた防汚性を発揮する。
【0021】
硬質微粒子としては、金属微粒子の他、窒化珪素微粒子等の無機材料微粒子を採用することができる。この硬質微粒子の平均粒径は、0.8〜20μmが好ましい。こうであれば、上記の耐キズ付き性の発揮とともに、ガラス層をもつ製品の美的概観を保持することができる。発明者らの試験結果によれば、ジルコン微粒子を採用することが好ましい。ジルコン微粒子は、上述の第2ガラス層の表面にキズをつけるといった因子より硬い性質を有する。このような因子としては、汚れを落とすために用いられるブラシや研磨剤が考えられる。そのような因子は、ジルコン微粒子に引っ掛かることとなるので、その因子が第2ガラス層に対して、キズがつき難くなる。
【0022】
ジルコン微粒子は、上記のように耐キズ付き性の発揮を行う一方、第2ガラス層中に含まれる割合により、却って第2ガラス層の表面の平滑性を損なったり、第2ガラス層の呈色性に影響を与えたりする。このため、ジルコン微粒子が第2ガラス層に含まれる割合としては、0.5〜2重量%が好ましい。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を具体化した実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0024】
「釉薬製造工程」
まず、珪砂、長石、カオリン、ドロマイト、亜鉛華、炭酸カルシウム及びジルコン微粒子を用意し、これらを表1に示す割合で湿式ミル装置内に投入する。これら釉薬原料の固形分の成分を表2に示す。なお、固形分の成分はIg−lossを除いて算出した。これら固形分100質量部に対し、0.25質量部のCMCと100質量部の水とを同湿式ミル装置内に投入し、湿式混合粉砕する。これにより、泥漿状をなし、銀を含まない下層用釉薬を得る。この下層用釉薬がガラス化してなる第1ガラス層は55×10−7/°Cの線熱膨張係数を有する。
【0025】
【表1】
Figure 2004300086
【0026】
【表2】
Figure 2004300086
【0027】
また、平均粒径が10〜15μm、最大粒径が15μmの粉末状の銀と、表3に成分を示すバルク状のリン酸フリットとを用意する。これらの銀及びリン酸フリットを表4に示す割合で乾式ミル装置内に投入し、乾式混合粉砕する。こうして釉薬用抗菌剤を調製する。
【0028】
【表3】
Figure 2004300086
【0029】
【表4】
Figure 2004300086
【0030】
そして、珪砂、長石、カオリン、ドロマイト、亜鉛華、炭酸カルシウム、ジルコン微粒子、上記釉薬用抗菌剤、上記粉末状の銀及び骨灰を用意する。ジルコン微粒子の平均粒径は0.8〜20μmである。これらを表5に示す割合で湿式ミル装置内に投入する。これら釉薬原料の固形分の成分を表6に示す。なお、固形分の成分はIg−lossを除いて算出した。これら固形分100質量部に対し、0.25質量部のCMCと100質量部の水とを同湿式ミル装置内に投入し、湿式混合粉砕する。これにより、泥漿状をなす実施例1〜4及び比較例の抗菌釉薬を得る。
【0031】
【表5】
Figure 2004300086
【0032】
【表6】
Figure 2004300086
【0033】
これらの抗菌釉薬は下層用釉薬より溶融時の粘性が高いものである。また、実施例1の抗菌釉薬がガラス化してなる第2ガラス層は48×10−7/°Cの線熱膨張係数を有し、実施例2の抗菌釉薬がガラス化してなる第2ガラス層は45×10−7/°Cの線熱膨張係数を有し、実施例3の抗菌釉薬がガラス化してなる第2ガラス層は52×10−7/°Cの線熱膨張係数を有し、実施例4の抗菌釉薬がガラス化してなる第2ガラス層は54×10−7/°Cの線熱膨張係数を有し、比較例の抗菌釉薬がガラス化してなる第2ガラス層は46×10−7/°Cの線熱膨張係数を有する。
【0034】
「施釉工程」
15cm×10cmの面を4面有するL字形状をなす衛生陶器用の素地を用意する。そして、上記下層用釉薬をこの素地に施釉して下層とする。次いで、上記抗菌釉薬を下層上に施釉して上層とする。こうして、施釉品とする。
【0035】
「焼成工程」
施釉品を乾燥させた後、最高温度1200°Cで8〜24時間焼成する。これにより、素地は焼結して陶磁器本体となる。また、陶磁器本体の表面において、下層が第1ガラス層となり、上層が第2ガラス層となる。第1ガラス層と第2ガラス層とは一体のガラス層を構成している。こうして実施例1〜4及び比較例の抗菌窯業製品が得られる。
【0036】
釉薬用抗菌剤を用いた実施例1〜4の抗菌窯業製品は、ガラス層が気泡による微細な凹凸を有さずに平滑であり、優れた表面性状を有していた。また、これらの抗菌窯業製品は、JIS Z2801によれば、非抗菌比較の抗菌活性値が3.02であり、優れた抗菌性を発揮することがわかる。銀によって抗菌作用が発揮され、リン酸フリットのPによりその抗菌作用が高められ、かつリン酸フリットによりガラス層の表面が平滑にされやすかったものと考察される。さらに、これらの抗菌窯業製品は耐薬品性を有していた。
【0037】
他方、釉薬用抗菌剤を用いず、粉末状の銀と骨灰とを用いた比較例の抗菌窯業製品は、耐薬品性の点では実施例1〜4の抗菌窯業製品と同様であるものの、ガラス層の表面が平滑になり難く、表面性状に劣るものとなってしまった。この表面性状を良好なものにするためには、比較例の抗菌釉薬の再調製及び焼成条件の見直しが不可欠である。また、この抗菌窯業製品は抗菌性の点でも十分なものではなかった。このことから、ガラス層の第2ガラス層中に同程度の粉末状の銀を含む場合でも、リン酸フリットを用いるか否かにより、銀の抗菌作用に差が生じることがわかる。
【0038】
したがって、実施例1〜4の製造方法によれば、表面性状に優れた抗菌窯業製品を容易に製造できることがわかる。このため、釉薬用抗菌剤を用いれば、抗菌金属以外に無機担体等を含有する他の抗菌剤を用いる必要がなく、他の抗菌剤が含む無機担体等を抗菌釉薬から排除することができることから、表面性状に優れた抗菌窯業製品を製造するための抗菌釉薬の調製が面倒でない。また、無機担体等を含有することにより高価であった他の抗菌剤を用いる必要がないことから、抗菌窯業製品の製造コストの低廉化を実現することができる。
【0039】
また、実施例1〜4の製造方法では、銀を含まない下層用釉薬を素地に施釉して下層とし、抗菌釉薬を下層上に施釉して上層とすることにより、施釉品としているため、抗菌性を維持しつつ高価な銀の使用量を抑えることができ、抗菌窯業製品の製造コストを低廉化することができる。
【0040】
さらに、実施例1〜4の製造方法では、下層用釉薬からなる下層と、より表面側に抗菌釉薬からなる上層とを形成し、下層用釉薬及び抗菌釉薬を溶融させて第1ガラス層及び第2ガラス層を形成することから、得られる抗菌窯業製品において、抗菌釉薬が下層に含浸し、第1ガラス層と第2ガラス層とが強固に密着するとともに、それらの界面に進行するクラックの発生を防止することができる。また、これにより、焼成工程を一度で終えることができ、製造コストの低廉化を実現できる。
【0041】
特に、実施例1〜4の抗菌窯業製品は、抗菌釉薬の溶融時の粘性が下層用釉薬の溶融時の粘性より高いため、銀が第1ガラス層から内部に拡散し難く、ほとんどが第1ガラス層側に留まっている。このため、大量の銀を消費しなくても、本来的に望まれる表面側の銀が細菌に作用し、優れた抗菌性を発揮することができる。また、焼成時の脱ガスがスムーズに行われ、抗菌窯業製品の火ぶくれを防ぐことができる。
【0042】
また、実施例1〜4の抗菌窯業製品は、抗菌釉薬の線熱膨張係数が下層用釉薬の線熱膨張係数よりも小さいため、焼成工程における下層及び上層の溶融過程並びに第1ガラス層及び第2ガラス層の冷却過程において、第2ガラス層は第1ガラス層の収縮により圧縮応力を受けている。このため、第2ガラス層が緻密化して表面硬度が高くなり、ガラス層の表面にキズがつき難くなる。このため、抗菌窯業製品は、キズに起因してガラス層等にクラックが発生し難い。また、キズがつき難いことから、キズに起因する汚れも付着し難い。
【0043】
さらに、実施例1〜4の抗菌窯業製品は、抗菌釉薬にジルコン微粒子が分散されているため、大きなキズがつき難い。このため、汚れが付着し難く、さらに優れた防汚性を発揮する。
【0044】
なお、上記実施形態では、釉薬用抗菌剤が粉末状の銀とリン酸フリットとからなるものであるが、これらにさらにホウケイ酸フリット等、他の粉末状の釉薬原料を混合して釉薬用抗菌剤とすることも可能である。
【0045】
また、上記実施形態では、粉末状の銀とリン酸フリットとからなる釉薬用抗菌剤を予め調製し、これを他の釉薬原料とともに湿式混合粉砕して泥漿状の抗菌釉薬を得たが、予め釉薬用抗菌剤を調製することなく、釉薬用抗菌剤の調製と同時に抗菌釉薬を製造することも可能である。
【0046】
さらに、上記実施形態では素地上に下層と上層とを有する施釉品を焼成して抗菌窯業製品を製造したが、素地上に抗菌釉薬だけからなる施釉品を焼成して抗菌窯業製品を製造することも可能である。

Claims (8)

  1. 粉末状の銀と、Pを含むフリットとが混合されてなることを特徴とする釉薬用抗菌剤。
  2. 前記フリットはBを含むことを特徴とする請求項1記載の釉薬用抗菌剤。
  3. 前記フリットはCaOを含むことを特徴とする請求項1又は2記載の釉薬用抗菌剤。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項記載の釉薬用抗菌剤を他の釉薬原料と湿式混合粉砕し、泥漿状をなす抗菌釉薬を得る釉薬製造工程と、
    該抗菌釉薬を素地に施釉して施釉品とする施釉工程と、
    該施釉品を焼成することにより抗菌窯業製品を得る焼成工程とを備えたことを特徴とする抗菌窯業製品の製造方法。
  5. 前記釉薬製造工程では、泥漿状をなし、銀を含まない下層用釉薬を得、
    前記施釉工程では、該下層用釉薬を前記素地に施釉して下層とした後、前記抗菌釉薬を該下層上に施釉して上層とすることにより、前記施釉品とすることを特徴とする請求項4記載の抗菌窯業製品の製造方法。
  6. 前記抗菌釉薬は、前記下層用釉薬より溶融時の粘性が高いものであることを特徴とする請求項5記載の抗菌窯業製品の製造方法。
  7. 前記抗菌釉薬は、前記下層用釉薬より線熱膨張係数が小さいものであることを特徴とする請求項5又は6記載の抗菌窯業製品の製造方法。
  8. 前記抗菌釉薬には、硬質微粒子が分散されていることを特徴とする請求項5乃至7のいずれか1項記載の抗菌窯業製品の製造方法。
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