JP2000072573A - セラミック部材 - Google Patents

セラミック部材

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JP2000072573A
JP2000072573A JP24411898A JP24411898A JP2000072573A JP 2000072573 A JP2000072573 A JP 2000072573A JP 24411898 A JP24411898 A JP 24411898A JP 24411898 A JP24411898 A JP 24411898A JP 2000072573 A JP2000072573 A JP 2000072573A
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Yoichiro Yoshihara
洋一郎 芳原
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KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
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KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERA
KAGOSHIMA PREFECTURE FINE CERAMIC SEIHIN KAIHATSU KYOKAI
Kyocera Corp
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/009After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone characterised by the material treated
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C04CEMENTS; CONCRETE; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES
    • C04BLIME, MAGNESIA; SLAG; CEMENTS; COMPOSITIONS THEREOF, e.g. MORTARS, CONCRETE OR LIKE BUILDING MATERIALS; ARTIFICIAL STONE; CERAMICS; REFRACTORIES; TREATMENT OF NATURAL STONE
    • C04B41/00After-treatment of mortars, concrete, artificial stone or ceramics; Treatment of natural stone
    • C04B41/45Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements
    • C04B41/50Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials
    • C04B41/5022Coating or impregnating, e.g. injection in masonry, partial coating of green or fired ceramics, organic coating compositions for adhering together two concrete elements with inorganic materials with vitreous materials

Abstract

(57)【要約】 【課題】 胎を焼物によって形成した陶胎七宝は、七宝
を厚く施して奥行と濃淡を強調し、通常の陶磁器には見
られない七宝特有の強い輝きを持った美しいものである
が、七宝に貫入(ひび)が入っているので、ひびの部分
に水や汚れがしみ込み七宝器物の美しさを損ねてしま
う。また、貫入はひび割れであるから器物強度を低下さ
せ、陶胎七宝が実用器物に用いられない一因ともなって
いる。 【解決手段】 フォルステライト(2MgO・Si
2 )が主構成相であるセラミックを七宝の胎として用
いることで、七宝が貫入を生じたり剥離したりせず、実
用強度を持った器物を作ることができた。これによって
従来、陶胎七宝を部材として使えなかった分野にも用い
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はセラミック部材に関
し、特に七宝焼きのような外観を呈するセラミック部材
に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】七宝
焼きは、通常は金属である素地に着色ガラスを粉砕した
フリットを塗布して模様を描き、700℃〜800℃の
温度で焼き付け、この工程を数回繰り返して仕上げた美
術工芸品である。
【0003】七宝焼きの素地(胎)には通常は金属が用
いられ、有線七宝、無線七宝、鎚起七宝、透胎七宝など
がある。有線七宝とは、金属地(金、銀、銅、丹銅)に
金属線(金、銀、銅、丹銅、真鍮)で区画して模様を形
成し、その中にガラス質の釉薬(或いはフリット)を入
れて焼き付ける方法によって作られたものであり、無線
七宝とは、金属線を省いて、釉薬だけで模様を描いて焼
き付ける方法によって作られたものであり、鎚起七宝と
は、金属地を打ち出して、模様の部分に釉薬を焼き付
け、釉薬のかけられていない部分の金属素地を磨くなど
の仕上げをして作られたものであり、透胎七宝とは、金
属地を打ち出したり彫刻した面に透明の釉薬を焼き付け
ることで下地の彫金に陰影を加味して立体感を作り出し
たものである。
【0004】以上はいずれも素地(胎)が金属で、その
上にガラス質の釉薬(或いはフリット)を焼き付ける方
法によって作られたものであるが、希に胎が金属でない
ものもある。このような七宝には、省胎七宝、陶胎七宝
などがある。省胎七宝とは、有線七宝や無線七宝と同じ
工程で作られた後に、金属素地を硝酸で溶かして釉薬部
分を残してガラス器のようにしたものであり、陶胎七宝
とは、焼物(陶磁器)の素地に七宝が施されたものであ
る。
【0005】七宝という名前が室町時代に仏典上の珍宝
を指したものであるように、我国で七宝は伝統的な工芸
品で、現在は装飾、工芸部材としてだけでなく、食器、
インテリア用品にも広く用いられている。
【0006】このなかで陶胎七宝は、吸水性を持った陶
器或いは固く焼き締めた磁器素地の上に焼き付けられた
着色或いは透明なガラス質によって模様が層状に形成さ
れ、それによって描写表現がなされた美術工芸品であ
る。
【0007】陶胎七宝の場合、釉薬を陶磁器にかけて焼
くと釉薬が熔けてガラス状の薄い皮膜となって陶磁器素
地の表面に密着する。温度が下がると次第に固まって幾
分収縮を伴うが、素地の収縮と一致しないときには貫入
(細かいひび割れ)を生じたり剥がれたりする。釉の膨
張或いは収縮が素地のそれより大きいとひび割れ(貫
入)を生じ、反対の場合は釉剥げ或いは器物破壊を生じ
る。
【0008】このような陶胎七宝も希に市販されている
が、その多くは小さな額に装着されている簡単なレリー
フを施した陶胎七宝板であり、インテリアとして作られ
たものである。これを観察すると、焼物によって形成さ
れた素地に透明度が高くて色が淡い七宝を厚く施して奥
行と濃淡を強調し、通常の陶磁器には見られない七宝特
有の強い輝きを持った美しいものであるが、七宝には貫
入(ひび)が入っている。
【0009】破壊して断面を観察すると、七宝の表面か
ら七宝の厚み分まで全てにわたる深さにまで貫入が入っ
ている。これを食器などの実用器物に用いた場合、ひび
の部分には水や汚れがしみ込みやすく、ひびの奥にしみ
込んだ汚れは拭っても洗っても除去することはできない
ので、七宝製器物の美しさを損ねてしまう。
【0010】また、貫入は例え微細ではあっても器物表
面のひび割れであるから器物の強度を低下させる。焼物
による胎(素地)を持つ陶胎七宝において表面のひび割
れは器物が割れやすいということを意味し、実用器物に
用いられない一因ともなっている。
【0011】一方、近年になって特殊磁器としてニュー
セラミックス或いはファインセラミックスが多種製作さ
れるようになり、その中にはさまざまな特性を持つもの
が見受けられる。代表的なセラミックであるアルミナセ
ラミックは、その熱膨張係数が7.8×10-6/℃(2
0℃〜500℃)である。通常の陶磁器の熱膨張係数は
6.7×10-6/℃(0℃〜600℃)で、市販の釉薬
組成物はこれに合うように作られている。
【0012】本発明者は陶胎七宝の胎として適した素材
を、広く磁器、ニューセラミックス、ファインセラミッ
クスを構成する鉱物(結晶体)について調査を行ない、
大きな熱膨張係数(8.3×10-6/℃(20℃〜50
0℃)、9.5×10-6/℃(20℃〜1000℃))
を有するフォルステライト(2MgO・SiO2 )に着
目した。
【0013】鉱物としてのフォルステライトは融点が1
900℃と高く、耐火性に優れていることから、製鉄製
鋼用の炉材(耐火物セラミック)として用いられてい
る。また、フォルステライトを焼結させた磁器はマイク
ロ波領域において優れた性能を有することから、高周波
絶縁物、ガラスや金属との封着部品、薄膜抵抗やIC基
板、ICパッケージなどの電子部品に利用されている。
【0014】電子部品用のフォルステライト磁器は比較
的安価に製造されていて、この原料として「合成フォル
ステライト」粉末が市販されている。フォルステライト
磁器の組成や製造方法については今までに多くの研究が
なされてきたが、その多くは例えば特開平5−2625
62や特開平5−345622のように絶縁性を高めて
高周波誘電体損失をより小さくするなど、電気特性の向
上を目指す研究や絶縁材料或いは耐火材としての研究開
発であって、フォルステライト磁器を伝統的な工芸品で
ある七宝の胎(素地)に用いた例はない。
【0015】本発明は陶胎七宝において、胎(素地)に
通常の陶磁器組成物に変えてセラミック組成物を用いる
ことで七宝の貫入を防ぎ、実用器物においても長期にわ
たって美観を損ねることが無く、器物としての実用強度
を持った陶胎七宝を提供しようとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明では、主構成相がフォルステライト結晶相
(2MgO・SiO2 )から成る素地を七宝釉薬で加飾
したセラミック部材が提供される。
【0017】前記セラミック部材では、その素地の焼結
助材として7.3〜9.6×10-6/℃の熱膨張係数を
有するフリットを用いることが望ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を詳細に
説明する。本発明では、七宝の胎(素地)に、組成がほ
ぼフォルステライト(2MgO・SiO2 )となるよう
に調合した粉末を主原料に焼結助剤を配合した原料を成
型して焼結した磁器、またはあらかじめ合成したフォル
ステライト粉末を主原料に焼結助剤を配合した原料を成
型して焼成した陶器(多孔質)若しくはこれを焼結させ
た磁器を用いる。
【0019】このようなフォルステライトセラミックス
を用いると、七宝釉との適合性が良く、七宝に貫入を生
じず、剥離もしない。また通常の陶磁器生産で用いる炉
によって製作できる。
【0020】また、フォルステライトセラミックの焼結
助剤としては、透明フリットを用いることが望ましい。
透明フリットを用いると、比較的低い焼成温度で磁器に
透光感を保ちながら焼結することができる。特に、おお
よそ7.3〜9.6×10-6/℃の熱膨張係数を持つフ
リットが低火度釉薬として好ましい。
【0021】ちなみにフォルステライト磁器素地に施釉
して異常が見られなかった9.6×10-6/℃の熱膨張
係数を持つフリットを通常の磁器素地(瀬戸磁器杯土を
1260℃で焼結させた素地)の釉薬として用いると、
釉薬全面に細かな貫入が入る。同じフリットを電子部品
用アルミナ基板(純度92%)に施釉すると荒く貫入が
入る。
【0022】このようにフォルステライト磁器素地に見
合った大きな熱膨張を持つフリットは概して1000℃
以下、通常900〜800℃程度の低火度焼成(低温焼
成)によって施釉することができる。
【0023】七宝用のフリットは七宝絵の具、七宝釉、
或いは単に七宝と呼ばれることもあり多くの種類が市販
されている。七宝用のフリットを大別すると、従来から
ある鉛を含んで輝きのある有鉛七宝釉と、最近は食器に
も使える無鉛の七宝釉があり、それぞれについて無色透
明釉、着色透明釉、半透明釉、不透明釉があり、これら
は用途と期待する効果を勘案して適宜使い分けられる。
釉薬の焼き付け温度は800℃程度のものが多いが、釉
薬毎に加熱溶融特性が多少違っているので、高級な製品
では何段階にも分けて高濃度用の釉薬から順次施釉と焼
き付けを行なう。
【0024】七宝絵の具の熱膨張係数は明らかではない
が、多くの場合に膨張係数が通常の陶磁器に比して大き
な銅(20×10-6/℃:0℃〜1000℃)や銅合金
を胎(素地)に用いて、その上に七宝絵の具を塗布して
おおよそ800℃で熔融させてガラス状の被覆(施釉)
を形成するが、貫入(割れ)などを生じないから、七宝
釉は通常の陶磁器やそれらの釉薬よりも大きな熱膨張係
数を持つことは明らかである。
【0025】本発明の陶胎七宝の製法は以下のとおりで
ある。まず陶胎を作る。きめの細かい合成フォルステラ
イトに焼結助材と分散剤とバインダーと水を加えて良く
分散させて、気泡を含まないスラリーにする。このスラ
リーを所定の鋳型で成型して乾燥した後に、仕上げをし
てから所定の温度条件で焼成して陶器(吸水性が残る素
地)或いは固く焼き締めて磁器化する。
【0026】次に、素地に七宝釉を施す(フリットを塗
布して乾燥した後に焼成して焼き付ける)。七宝用のフ
リットをガラス製の乳鉢に取り、水と少量の粘着剤(糊
料:CMCやふのりなど)を加えて攪拌して泥漿とな
す。これを毛筆やスパチラ(小さな箆)を用いて陶胎に
塗布する。或いは皿や板類を製造する場合には篩い掛け
という手法を用いる。これは陶胎素地の表面に糊を薄く
塗布して、この上から篩いに入れたフリット(粉末)を
振りかけて塗布する。
【0027】これを乾燥した後に750〜800℃に加
熱して焼成して下地を形成する。これに着色したフリッ
トを泥漿にして筆で描画して乾燥した後に焼成する。こ
れにさらに適宜フリットを塗布して乾燥した後に焼成す
ることを、期待した効果が実現するまで数回にわたって
繰り返し行なって完成させる。
【0028】
【実施例】実験例1:市販の七宝絵の具を通常の磁器素
地、アルミナセラミック、フォルステライト磁器素地、
の3者に塗布して焼成し、施釉状態の比較を行なった。
【0029】通常の磁器はヤマカ陶料(株)の瀬戸磁器
土に水を加えて混練し、粘土化した杯土を伸ばして板状
に成形して1260℃で焼結させ、瀬戸磁器にして用い
た。アルミナセラミックとしては純度92%のものを用
いた。フォルステライト磁器素地は次のように製作し
た。
【0030】主原料に共立窯業(株)製の合成フォルス
テライトkyorixMSI−B(成分:MgO/Si
2 ;2.062、分析値(重量%):Al2 3
l.78、CaO;0.87、Fe2 O;0.10、
(Mg/Si;2.00とした場合のフォルステライト
純度96%))を94部、焼結助剤として日本フェロー
(株)製のフリット12−3945M(成分(重量%)
SiO2 ;40、Al2 3 ;2、B2 3 ;28、C
aO;20、MgO;1、KNaO;9)を6部配合し
た原料粉末100部に分散剤3部とバインダー2部と純
水およそ44部を加え、自動乳鉢を用いて1時間粉砕混
合して原料を水に良く分散させて濃厚な原料スラリーを
作った。次に、これを石膏製の鋳型に流し入れて成形
し、約3時間後に離型して板状の成形体を得た。これを
2日間自然乾燥した後、1240℃で焼結させて用い
た。
【0031】実験に七宝の胎として用いた磁器素地はい
ずれも3cm×3.5cmの角板あるいは楕円形の板で
ある。七宝絵の具は色のついたフリット粉末であるが、
日本七宝化学研究所製の有鉛絵の具と青木メタル製の無
鉛絵の具を用いた。七宝絵の具は乳鉢に入れて水とバイ
ンダー(糊料:CMC)を加えて乳棒で良く擦って分散
させ、スパーテル(耳掻き状の金箆)を用いて各磁器素
地に厚く塗布し、電気炉を用いて760℃で焼成した。
焼成後の七宝絵の具の厚みは2ミリ近い。
【0032】実験結果を表1に記す。
【0033】
【表1】
【0034】同じ胎であっても七宝絵の具の種類色合い
によって結果が異常なし〜粗い貫入〜微細な貫入〜剥離
と多様であるのは、七宝絵の具は種類色合いによってそ
の性質(膨張係数)に相当の差異があることを伺わせ
る。
【0035】胎が瀬戸磁器とアルミナセラミックの場
合、貫入にとどまらず素地から剥離する七宝絵の具が多
い。これに対して胎がフォルステライト磁器の場合、貫
入も少なく素地からの剥離がまったく無い。フォルステ
ライト磁器は他の磁器に比して七宝の胎として適してい
る。
【0036】実験例2:胎に用いるフォルステライト磁
器及び陶器は、主原料に共立窯業(株)製の合成フォル
ステライトkyorixMSI−Bを68部、焼結助剤
として日本フェロー(株)製のフリット12−3979
M(成分(重量%):SiO2 ;58、A12 3
6、B2 3 ;8、ZnO;3、CaO;7、KNa
O;5、ZrO2 ;2、BaO;11)を32部配合し
た原料粉末100部に、分散剤3部とバインダー2部と
純水およそ44部を加え、自動乳鉢を用いて1時間粉砕
混合して原料を水に良く分散させて濃厚な原料スラリー
を作った。これを石膏製の鋳型に流し入れて70ミリ角
×3ミリ厚の板に成形し、離型後2日間自然乾燥した。
【0037】この成型体は1100℃で焼成して軽くて
吸水性を持った陶器となり、1240℃で焼成すれば固
く緻密な磁器となる。
【0038】前述の成型体を1100℃で焼成して得た
62ミリ角のフォルステライト陶器板を胎に用いて七宝
装飾板を試作した。
【0039】七宝絵の具には日本七宝化学研究所と青木
メタル製の有鉛絵の具を用い、前述の実験と同様、七宝
絵の具をバインダーと共に水に分散させ、スパーテルを
用いて素地に塗布し、電気炉を用いて770℃で焼成し
て七宝装飾板を製作した。七宝は光沢が良く、欠点は見
られなかった。
【0040】1240℃で焼成して得た57ミリ角のフ
ォルステライト磁器板を胎に用いて前述と同様に七宝装
飾板を試作した。七宝は明るく光沢が良く、欠点は見ら
れなかった。この試作で、フォルステライト質の陶器と
フォルステライト磁器は七宝の胎に適していることが明
らかになった。
【0041】実験例3:胎に用いるフォルステライト磁
器は、主原料に共立窯業(株)製の合成フォルステライ
トkyorixMSI−Bを72部、焼結助剤として日
本フェロー(株)製のフリット12−3699M(成分
(重量%):SiO2 ;57、A12 3 ;10、B2
3 ;1、ZnO;14、CaO;15、KNaO;
2、ZrO2 ;1)を28部配合したもので、1260
℃で焼成すれば厚みlmmあたりの光透過率が36%を
超える磁器になる。
【0042】この原料粉末100部にバインダーとし
て、ビオポリP1を4部とYB131Dを2部(いずれ
も粉末)添加し、良く混合してから水を少しずつ滴下し
て粉をまとめ、手で練り上げて可塑性を持つ杯土にし
た。杯土は丸めてラップをして一晩置いてから成型し
た。
【0043】成型は石膏板の上で杯土200gを手で伸
ばし一旦形を整えて、さらに木の棒で厚さ2.2mmに
まで延ばして約27cm×15cmの板にした。これを
2日間自然乾燥した後、電気炉を用いて830℃で焼成
して柔らかい素焼きの板にして彫刻を施した。
【0044】彫刻は素焼きの板に油性のニスで描いてブ
ラシで擦る方法に拠った。素焼き板は柔らかくブラシで
擦れば容易に摩耗するが、ニスで書いた部分は固くなり
ブラシの摩擦に耐える。これを電気炉で1260℃で焼
成して約21cm×10cm厚み2mmで凹刻した部分
は1.4mmで透光感を持つ磁器板を得た。
【0045】このフォルステライト磁器板を胎に用いて
七宝を施し装飾板を試作した。七宝絵の具は日本七宝化
学研究所と青木メタル製の有鉛絵の具の透光性のあるも
のを選んで用いた。絵の具は乳鉢に入れて水とアクリル
エマルジョン系のバインダーを加えて乳棒で軽く擦って
分散させる。この泥漿をスパーテルですくってフォルス
テライト磁器板の凹刻部に流し入れて塗布し、一晩乾燥
した後、電気炉を用いて790℃で焼成した。
【0046】七宝は光沢も良く欠点は見られなかった。
こうして比較的大きなフォルステライト磁器板を胎に用
いた。裏面から磁器と七宝の層を光が薄く透け、透光感
のある陶胎七宝を得た。
【0047】実験例4:実験例3で用いた杯土を手びね
りで直径約60mmの容器に成型した。4日間自然乾燥
後、電気炉を用いて950℃で素焼きし、これを彫刻刀
で削ってぐいのみの形状にした。この外周をけがき針を
用いて線刻を施し、電気炉で1280℃まで昇温して焼
結させ、直径約48mmのぐいのみを得た。
【0048】これを胎にして七宝を施した。七宝絵の具
には青木メタル製の無鉛絵の具を用いた。絵の具は乳鉢
に入れて水とアクリルエマルジョン系のバインダーを加
えて粉砕して分散させ、筆を用いて描画し、電気炉で7
70℃に昇温して焼成した。全体に薄く七宝がかかり、
絵の具を厚めに塗布した部分は流れ、線刻を施した部分
に絵の具が溜まって濃い色を呈し、変化に富んだ加飾表
現ができた。七宝は光沢も良く、欠点は見られなかっ
た。
【0049】この試作で、胎にフォルステライト磁器を
用いて無鉛の七宝絵の具が問題なく使えることがわかっ
た。このことは、フォルステライト磁器の上絵付けには
七宝絵の具を使うことができ、従来にない加飾表現がで
きることがわかった。
【0050】
【発明の効果】本発明による陶胎七宝は、七宝にひび割
れが無いので、実用器物を作った場合においても長期に
わたって美観を損ねることが無い。また、胎(素地)に
用いたフォルステライトセラミック本来の強度を損なう
ことも無いので、陶胎七宝による実用器物を作ることが
できる。
【0051】このフォルステライト陶磁器と七宝釉を組
み合わせたセラミック部材は、陶胎七宝のような装飾品
としてのみならず、広く工芸用部材として用いることが
できる。また、フォルステライト陶磁器による陶芸品と
して、インテリア部材、建築部材としても使うことがで
きる。建築部材においては内装部材としてのみならず、
釉薬に貫入(ひび)が無いので水や汚れが不浸透である
ことを生かして外装部材としても好適である。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G030 AA03 AA04 AA07 AA08 AA35 AA37 BA31

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主構成相がフォルステライト結晶相(2
    MgO・SiO2 )から成る素地を七宝釉薬で加飾した
    セラミック部材。
  2. 【請求項2】 前記素地の焼結助材として7.3〜9.
    6×10-6/℃の熱膨張係数を有するフリットを用いる
    ことを特徴とする請求項1に記載のセラミック部材。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005225728A (ja) * 2004-02-13 2005-08-25 Kenhiko Yamashita 蓄光陶磁器及びその製造方法

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