JPH05262581A

JPH05262581A - 装飾窯業製品の製造方法

Info

Publication number: JPH05262581A
Application number: JP5847592A
Authority: JP
Inventors: Hideo Yura; 秀夫由良
Original assignee: Toto Ltd
Current assignee: Toto Ltd
Priority date: 1992-03-16
Filing date: 1992-03-16
Publication date: 1993-10-12

Abstract

(57)【要約】【目的】比較的簡単な方法で、窯業製品表面に透光性
及び表面光沢性に優れたガラス質層を得る。【構成】窯業製品の基材表面に、ガラス成分と金属酸
化物を溶融してガラス化させた後粉砕したイオン発色の
色ガラスフリット、またはこの色ガラスフリットを含有
する塗布材を塗布したのち焼成する。これによって、焼
成時に発泡することなくすぐれた透光性、光沢性を有
し、かつ均一にイオン発色した外観が良好で深みのある
表面の窯業製品が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、タイル，陶板、衛生陶
器等の装飾窯業製品の製造方法、特に基材表面に着色さ
れたガラス層を有する装飾窯業製品の製造方法に関す
る。

【０００２】

【従来技術】従来より、タイル等の窯業製品の表面に、
装飾性に優れた透光性のあるガラス質層を形成したもの
が知られており、この製造方法として、（１）フリット
もしくはフラックスに無機顔料を加えたものを塗布する
方法、（２）釉薬や鉛混合物に高温で発色するＣｕ，Ｃ
ｏ，Ｃｒ，Ｓｂ，Ａｕ，Ｓｅ，Ｃｄ等の金属酸化物を少
量添加したものを塗布する方法等がとられている。

【０００３】また、特公昭６２−４６３４３号公報に
は、このような窯業製品の製造効率を向上させたものと
して、ガラス粉及びバインダの混合物を加圧成形し、こ
の成形体をタイル素地に形成した凹部に載置し焼成する
方法が開示されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】ところが、上記（１）
の製造方法では、無機顔料による発色のため、ガラス層
の透光性，均色性のレベルが低く、また、（２）の方法
は、釉原料中のガス分あるいは酸化金属中の酸素が焼成
中に遊離して気泡が発生し、透光性が劣る。また釉薬が
ガラス化すると同時に酸化金属が溶けて発色するため、
部分的に凝集が生じやすく均一な透光性に優れたガラス
層を得ることは困難である。また上記公報に記載の方法
でも（１），（２）の製造方法と同様の欠陥が生じる。

【０００５】本発明は、かかる従来の問題点を解消する
もので、比較的簡単な方法で、窯業製品表面に透光性に
優れた色ガラス質層を得ることを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、窯業製品の基
材表面に塗布する塗布材として、ガラス成分と金属酸化
物を溶融してガラス化させた後粉砕してなるイオン発色
させた色ガラスフリット、またはこの色ガラスフリット
を含有する塗布材を用いることによって上記目的を達成
したものである。

【０００７】色ガラスフリットは、ガラス成分と任意の
色の金属酸化物を混合したものを、１２００°〜１４０
０°Ｃで溶融してガラス化し、これを平均粒径１〜１０
００μｍ、好ましくは５〜１００μｍ、最適には３０〜
８０μｍに粉砕して製造する。特にスクリーン印刷に供
する場合は、４０μｍ以下が良い。またこのフリット１
００重量部に対し、６０〜１００重量部のグリセリンを
混合攪拌しペースト状の塗布材として使用することもで
きる。

【０００８】これを、スプレー，印刷，筆書き，粉蒔き
などによって、基材表面に塗布する。塗膜の厚みとして
は、ガラス層の透光性を得、また焼成後の貫入あるいは
境界部の亀裂を避けるため、１０μｍ〜２ｍｍ、好まし
くは１０〜２００μｍ、最適には３０〜８０μｍとす
る。特にスクリーン印刷によれば、色ガラスペーストを
薄く、且つ均一に塗布できるため、ベースとなる基材や
釉薬との熱膨張率に大きな開きがあっても、クラック、
ピーリング等の接着不良が生じることもない。

【０００９】色ガラスフリットまたはこれを含む塗布材
は、素焼きした窯業製品の基材表面や、また施釉後の基
材表面に用いることができる。但し素焼き表面の場合、
クラック、ピーリング等を避けるため、塗布厚みは１０
０μｍ以下が好ましい。特にマット釉を施した基材表面
に、上記色ガラスフリット等の塗布材を塗布すれば、焼
成時にガラス質の馴染みがよくなり、窯業製品基材との
一体性をさらに増すことができる。

【００１０】

【作用】予めガラス成分と金属酸化物をフリット化しイ
オン発色させているため、ガラス成分と金属酸化物の発
色における凝集した濃色部分の発生が抑えられ、透光性
に優れた均一の発色を示し、また発色した色に著しい光
沢をもたらすことができる。またフリット化によりガラ
ス成分及び金属酸化物中の大部分のガス分を除いてしま
うため、焼成時に生じる気泡を完全に無くすことができ
る。

【００１１】

【実施例】以下本発明を、内装・外装床及び壁用のタイ
ルに適用した例について説明する。

【００１２】〔実施例１〕陶石５０重量部、石灰石２０
重量部、粘土３０重量部からなる原料粉を２００×２０
０×７ｍｍにプレス成形し、１１５０℃で２４時間トン
ネルキルンで焼成しタイル基材を調製した。この基材上
に、フリット９０重量部、タルク１０重量部、ジルコン
１０重量部、亜鉛華８重量部、長石２０重量部、ＣａＣ
Ｏ₃１０重量部からなるセミマット釉を０．４ｍｍ厚に
施し、この上に、ＰｂＯ５０重量部、ＳｉＯ₂２４重量
部、Ｂ₂Ｏ２０重量部、Ａｌ₂Ｏ₃２重量部、Ｎａ₂Ｏ
２．２重量部、Ｋ₂Ｏ１重量部、ＣｏＯ０．８重量部か
らなる平均粒径５μｍの色ガラスフリット１００重量部
に、グリセンリン８０重量部を混合したペースト状色ガ
ラスフリットをステンレススクリーン８０メッシュを使
用して塗膜厚６０μｍにスクリーン印刷し、ローラーハ
ースキルンで１１００℃において１時間焼成した。

【００１３】これによって、基材表面に、気泡が殆ど観
られない優れた透光性のある均一な濃青色のタイルを得
た。

【００１４】〔実施例２〕実施例１と同様の基材上に、
フリット５５重量部、粘土１５重量部、ジルコン１０重
量部、長石１５重量部、アルミナ５重量部からなるマッ
ト釉を０．４ｍｍ厚に施し、この上にＰｂＯ５５重量
部、ＳｉＯ₂２８重量部、Ａｌ₂Ｏ₃２．５重量部、Ｎ
ａ₂Ｏ２．５重量部、Ｋ₂Ｏ０．８重量部、ＣｕＯ１．
５重量部、Ｆｅ₂Ｏ₃０．３重量部、Ｓｂ₂Ｏ₃０．４
重量部、Ｌｉ₂Ｏ０．５重量部、Ｂ₂Ｏ２０重量部から
なる平均粒径１μｍの色ガラスフリットを、２％ＣＭＣ
（カルボキシメチルセルロース）水溶液を用いて塗膜厚
１００μｍにスプレー塗布し、ローラーハースキルンで
１１００℃において１時間焼成した。

【００１５】これによって、基材表面に、気泡がまった
くない優れた透光性のある均一な淡緑色のタイルを得
た。

【００１６】〔実施例３〕実施例２と同様に釉薬を施し
た基材上に、実施例２と同じ組成の色ガラスフリットで
平均粒径が１００μｍの粒を粉蒔きし、同様に１１００
°Ｃで焼成したところ、淡緑色の深みのある表面のタイ
ルが得られた。

【００１７】

【発明の効果】

（１）予めイオン発色させた色ガラスフリットもしくは
それを含有する塗布材を使用しているため、焼成時に発
泡することなく優れた透光性及び表面光沢性を有し、か
つ均一にイオン発色した、外観が良好で深みのある窯業
製品が得られる。

【００１８】（２）マット釉を施した基材表面に、色ガ
ラスフリットを塗布することにより、焼成時にガラス質
の馴染みがよくなり、基材との一体性を増すことができ
る。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】窯業製品の基材表面に、ガラス成分と金
属酸化物を溶融してガラス化させた後粉砕してなるイオ
ン発色させた色ガラスフリット、またはこの色ガラスフ
リットを含有する塗布材を塗布したのち、焼成すること
を特徴とする装飾窯業製品の製造方法。
【請求項２】マット釉を施した窯業製品の基材表面
に、ガラス成分と金属酸化物を溶融してガラス化させた
後粉砕してなるイオン発色させた色ガラスフリット、ま
たはこの色ガラスフリットを含有する塗布材を塗布した
のち、焼成することを特徴とする装飾窯業製品の製造方
法。