JP2000232948A - 防汚処理された水回り衛生器 - Google Patents

防汚処理された水回り衛生器

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JP2000232948A
JP2000232948A JP11040603A JP4060399A JP2000232948A JP 2000232948 A JP2000232948 A JP 2000232948A JP 11040603 A JP11040603 A JP 11040603A JP 4060399 A JP4060399 A JP 4060399A JP 2000232948 A JP2000232948 A JP 2000232948A
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Haruyuki Mizuno
治幸 水野
Hiroyuki Miyamoto
博幸 宮本
Takeshi Nishikawa
武 西川
Shigeo Imai
茂雄 今井
Kazuyoshi Isou
一義 異相
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Inax Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】発生メカニズム及び種類の異なる種々の汚れが
発生固着する便器において、その汚れを効果的に防止し
得る防汚処理された便器を提供する。 【解決手段】表面に水酸基を有する窯業製品としての洋
風便器10の水濡れと乾燥とを繰り返す内表面32に水
酸基と反応して化学結合する撥水剤40を塗布処理して
内表面32に撥水剤40の膜を形成し、水酸基をシール
ドする一方、外側表面42に対しては撥水剤40を非塗
布とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は便器,洗面器等の
水回り衛生器に関し、詳しくは防汚処理に特徴を有する
水回り衛生器に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】便器や
洗面器等の水回り衛生器は常にこれを清浄に保つことが
衛生上望ましい。そこで従来この種水回り衛生器におい
ては、表面に防汚処理を施して汚れが付きにくくし、ま
た汚れが付いても容易にこれを清掃除去できるようにし
ている。
【0003】その防汚処理として、従来、撥水剤を衛生
器表面に塗布処理し、衛生器表面に撥水剤の膜を形成す
るといったことが行われている。しかしながら従来の防
汚処理は便器等衛生器の全表面に撥水剤等防汚剤を塗布
処理するものであって、以下の理由により十分な防汚機
能を有するとは言えないものであった。
【0004】便器等衛生器にあっては、汚れのメカニズ
ムが各部で異なっており、従って一様に撥水剤等の防汚
剤の塗布処理を施しても、便器全体に亘って十分な防汚
機能を持たせることができない。
【0005】例えば窯業製品としての陶磁器製の洋風便
器の場合、図4に示しているように鉢の下部に溜水部が
あり、その溜水面200の周縁に沿って鉢内面202に
顕著な環状の汚れ204が発生固着する。その汚れの発
生固着のメカニズムは以下のようなものである。
【0006】鉢内面202の溜水面200の位置する部
分は、溜水面200の上下変動によって水濡れと乾燥と
を繰り返す。この水の中には珪素,カルシウム,鉄等の
成分が微量に含まれており、上記のように鉢内面202
が水濡れと乾燥とを繰り返すと、その微量成分が鉢内面
202に付着し、更に乾湿を繰り返す過程で鉢内面20
2の水酸基と化学反応を起こして次第に鉢内面202に
析出堆積し、所謂珪酸スケールと称される汚れを生成さ
せる。
【0007】この珪酸スケールは鉢内面202に化学反
応により不可逆的に固着し、通常の清掃作業では洗い落
とすことのできない頑固な汚れである。この珪酸スケー
ルの中には鉄分が取り込まれており、その鉄分によって
黄ばんだ環状の顕著な汚れ204が鉢内面202の溜水
面200が位置する部分に発生するのである。
【0008】図5はこの汚れの発生固着のメカニズムを
模式的に表したもので、(A)(I)は汚れのもととなる水
の中の微量成分が陶磁器表面に付着した状態を、(A)(I
I)は付着した微量成分が陶磁器表面の水酸基と化学反応
を起こして析出固着した状態を、また(B)はその微量
成分によって鉢内面202の、溜水面200が位置する
部分に環状の汚れ204が生成した状態をそれぞれ表し
ている。尚図4(B)中200は溜水面であり、202
は鉢内面を、また206は陶磁器製の鉢を表している。
【0009】以上鉢内面202の溜水面200が位置す
る部分の環状の汚れ204について説明したが、この部
分よりも上側の鉢内面202、即ち鉢206の上端から
溜水面200の位置する部分にかけての鉢内面202も
また水濡れと乾燥とが繰り返される。同内面は使用者が
便器を使用する度に洗浄水が流されて水濡れする部分で
あり、従ってこの部分の内面もまた水濡れと乾燥とを繰
り返すことで、上記と同様のメカニズムで同種の汚れが
発生固着する。
【0010】特に便器上端にリムを有し、その内部の通
水路を通じて送られた洗浄水が、リム下面の多数の射水
孔から下方に噴射されて便器洗浄が行われる形式のもの
(一般の洋風便器はそのようになっている)は、射水孔
から噴射された洗浄水の広がりに沿って珪酸スケールに
起因する汚れが筋状に生成する。この汚れもまた頑固な
汚れであって、通常の清掃では除去できない。
【0011】一方鉢内面202の内、溜水部の底部等溜
水面200より下側の部分及びこれに続く排水トラップ
の部分の汚れは上記とは異なったメカニズムで発生する
異種の汚れである。これらの部分は常時水没した状態に
あり(但し排水トラップの一部は除く)、上記のような
メカニズムによる汚れは殆ど発生しない。代わってこれ
らの部分では尿や糞便を栄養源として生成増殖する菌に
由来する汚れが主たるものである。即ちここでの汚れは
有機物に起因する汚れである。
【0012】他方、便器の外側表面は常時水没している
わけでもないし、水濡れと乾燥を頻繁に繰り返すわけで
もない。但しこの外側表面には有機物が付着することが
あり、そのような条件の下で菌が発生増殖する。
【0013】他方リムの側面と下面及び便器の上面は上
記とは異なった理由によって水濡れと乾燥とを繰り返す
場合がある。具体的には、例えば近年洋風便器にノズル
から洗浄水を噴射して人体局部を洗浄する洗浄装置が備
えられることが多いが、この場合ノズルからの跳ね水が
リムの側面や下面或いは便器の上面に飛散して、それら
の部分が水濡れと乾燥とを繰り返す。従ってこれらの面
もまた、鉢内面202と同様のメカニズムによって同種
の汚れ、即ち珪酸スケールに起因する頑固な汚れが生成
し、固着する。
【0014】このように一概に汚れとは言ってもその発
生のメカニズム及び汚れの種類は便器の各部で異なって
おり、従って単純に便器の全表面を撥水剤等の防汚剤を
塗布処理しても十分に汚れ防止することができないので
ある。
【0015】以上洋風便器を例として説明したが和風便
器や洗面器についても事情はほぼ同様であり、またその
他の窯業製品から成る水回り衛生器においても大なり小
なり同様の事情にある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本願の発明はこのような
課題を解決するためになされたものである。而して請求
項1の水回り衛生器は、表面に水酸基を有する窯業製品
としての便器等衛生器の水濡れと乾燥とを繰り返す内表
面に該水酸基と反応して化学結合する防汚剤を塗布処理
して該内表面に該防汚剤の膜を形成し、該水酸基をシー
ルドする一方、外側表面に対しては該防汚剤を非塗布と
したことを特徴とする。
【0017】請求項2の水回り衛生器は、請求項1に記
載の水回り衛生器において、前記防汚剤は前記水酸基と
反応して化学結合し膜形成する撥水剤であることを特徴
とする。
【0018】請求項3の水回り衛生器は、請求項1,2
の何れかに記載の水回り衛生器において、前記外側表面
には抗菌処理が施してあり、前記防汚剤の非塗布によっ
て該抗菌剤が露出させてあることを特徴とする。
【0019】請求項4の水回り衛生器は、請求項1〜3
の何れかに記載の水回り衛生器において、前記衛生器は
鉢の下部に溜水部を有するものであって、鉢内面の上端
から少なくとも設定溜水面にかけて前記防汚剤が塗布処
理してあることを特徴とする。
【0020】請求項5の水回り衛生器は、請求項4に記
載の水回り衛生器において、前記設定溜水面より更に所
定距離下側の部位にかけてまで前記防汚剤が塗布処理し
てあることを特徴とする。
【0021】請求項6の水回り衛生器は、請求項4,5
の何れかに記載の水回り衛生器において、前記衛生器は
前記溜水部に続いて排水トラップを有しており、該排水
トラップ内面に対しては前記防汚剤を非塗布としてある
ことを特徴とする。
【0022】請求項7の水回り衛生器は、請求項6に記
載の水回り衛生器において、前記排水トラップ内面につ
いては抗菌処理が施してあり、前記防汚剤の非塗布によ
って該抗菌剤が露出させてあることを特徴とする。
【0023】請求項8の水回り衛生器は、請求項1〜7
の何れかに記載の水回り衛生器において、前記衛生器が
洋風便器であって前記鉢の上側の便器上端部にリムを有
しており、該リムの下面と側面及び便器上面に前記防汚
剤が塗布処理してあることを特徴とする。
【0024】請求項9の水回り衛生器は、請求項1〜7
の何れかに記載の水回り衛生器において、前記衛生器が
和風便器であって上端部にリムを有しており、該リムの
側面と上面に対しては前記防汚剤を非塗布としてあるこ
とを特徴とする。
【0025】請求項10の水回り衛生器は、請求項9に
記載の水回り衛生器において、前記リムの側面と上面と
には抗菌処理が施してあり、前記防汚剤の非塗布によっ
て該抗菌剤が露出させてあることを特徴とする。
【0026】
【作用及び発明の効果】上記のように請求項1の水回り
衛生器は、水濡れと乾燥とを繰り返す内表面に防汚剤の
膜を化学結合させて表面の水酸基をシールドする一方、
外側表面は防汚剤を非塗布としたもので、この水回り衛
生器の場合、従来水濡れと乾燥との繰返しによって発生
していた水中微量成分の析出固着による、即ち所謂珪酸
スケールに起因する内表面の汚れを効果的に防止するこ
とができる。
【0027】内表面の水酸基が、その水酸基と化学反応
して膜形成した防汚剤によってシールドされているた
め、水中微量成分が内表面の水酸基と化学反応できず、
従ってその微量成分の析出堆積が防止されるのである。
【0028】一方水濡れと乾燥とを繰返さず、従ってこ
れに起因する汚れを発生させることのない外側表面につ
いては、即ち防汚剤の塗布効果の期待できない外側表面
については、防汚剤を非塗布としてしており、防汚剤の
無駄な使用によるコストアップを避けることができると
ともに、防汚剤の塗布による弊害を回避することができ
る。
【0029】尚ここで防汚剤とは、衛生器表面の水酸基
と反応して化学結合し膜形成するものを意味し、水酸基
との反応性を有しないような抗菌剤等は含まない概念で
ある。
【0030】この防汚剤として、水酸基と反応して化学
結合し、膜形成する撥水剤を用いることができる(請求
項2)。防汚剤としてこのような撥水剤を用いれば、そ
の撥水剤の撥水効果により、水濡れと乾燥とを繰り返す
内表面への水膜の付着形成を効果的に防止することがで
き、撥水剤自身による内表面の水酸基のシールド効果と
相俟って水膜の形成,乾燥に起因する水中微量成分の析
出による汚れを効果的に防止することができる。
【0031】またこのような撥水剤の膜を形成すること
によって、他の汚れが付着した場合にも容易にこれを清
掃・除去することができる。加えてその撥水剤の膜は化
学結合により内表面に強固に固着されているため、撥水
剤の膜が内表面から長期に亘って剥れず、耐久寿命が長
い利点も得られる。
【0032】また本発明では衛生器の外側表面について
は防汚剤を非塗布としており、従って防汚剤としてこの
ような撥水剤を用いたとき、以下の利点も得られる。即
ち、衛生器の外側表面に撥水剤を塗布処理すると上記珪
酸スケール等に起因する汚れ防止の効果が期待できない
ばかりか、作業者が衛生器の外側表面を持って取扱作業
する際に手が滑り易くなって作業し辛いとともに、場合
によって衛生器を落してしまい、これを破損させてしま
う問題が生ずる。
【0033】また衛生器の外側表面に撥水剤を塗布する
と、元来の親水性が疎外され空気中の水分がその外側表
面全面に微細な水滴となって結露し易く、更にその結露
水は撥水剤の作用で外側表面を伝って流れ易く、従って
例えば衛生器を木製のフローリングの床上に設置してい
たような場合には、その外側表面を伝って流下した結露
水によってフローリングの床が腐り易くなるといった問
題を生ずる。
【0034】しかるにこのような撥水剤を衛生器の外側
表面に非塗布としておくと、その親水性ゆえに空気中の
水分が外側表面に付着した場合にも微細な水滴とならな
いで薄い水膜となり、次第にその水膜は蒸発して失われ
て行く。従って衛生器を設置した床が常時濡れた状態と
なり、また腐り易くなるといった問題を生じない。
【0035】請求項3に記載の水回り衛生器は、上記外
側表面には抗菌処理が施してあって、防汚剤の非塗布に
よりその抗菌剤を露出させたもので、この水回り衛生器
においては、外側表面における有機物に起因する汚れを
その抗菌剤の作用によって効果的に防止することができ
る。
【0036】請求項4に記載の水回り衛生器は、鉢の下
部に溜水部を有するものであって、鉢内面の上端から少
なくとも設定溜水面にかけて防汚剤を塗布処理したもの
である。この部分は水濡れと乾燥とを常時繰り返す部分
であり、従ってこの部分に防汚剤を塗布処理して表面の
水酸基をシールドしておくことで、水中の微量成分の付
着及びこれに続く析出堆積、即ち所謂珪酸スケールに起
因する汚れを効果的に防止することができる。
【0037】尚ここで設定溜水面とは、鉢内部に水を流
し、排水路を通じ排出したときに生ずる溜水面であっ
て、この溜水面は乾燥によって水位が下がることがある
が、ここでは水を流した時点の、乾燥前の状態で生ずる
溜水面を意味する。
【0038】上記のようにこの溜水面は乾燥に伴って若
干変動する。ここにおいて請求項5では、上記設定溜水
面よりも更に所定距離下側の部位にかけでまで防汚剤を
塗布処理したもので、このようにしておけば、溜水面の
位置が変動することがあっても確実に上記溜水面近傍の
環状の顕著な汚れの発生固着を防止することができる。
ここで溜水面より所定距離下側とは、例えば設定溜水面
より3cm下側までを意味する。
【0039】請求項6に記載のものは、上記衛生器が溜
水部に続いて排水トラップを有するものであって、その
排水トラップ内面に対しては防汚剤を非塗布となしたも
のである。溜水部に続く排水トラップでの汚れは主とし
て有機物に起因する汚れであり、従ってこの部分につい
ては上記防汚剤による汚れ防止効果はそれ程期待できな
い。請求項6はこれに基づいてそのトラップ内面に対し
ては防汚剤を非塗布となしたものである。
【0040】この場合においてトラップ内面に抗菌処理
を施しておき、防汚剤の非塗布によってその抗菌剤を露
出させておくことができる(請求項7)。このようにし
ておけば、抗菌剤の抗菌作用で排水トラップ内面に有機
物に起因する汚れが発生するのを効果的に防止すること
ができる。
【0041】請求項8は、衛生器としての洋風便器の上
端部のリムの下面と側面及び便器上面に防汚剤を塗布処
理したもので、この便器の場合、例えば局部洗浄装置の
ノズルからの跳ね水がリム側面や下面或いは便器上面に
飛び散ることがあっても、防汚剤の作用で上記水濡れ及
び乾燥の繰返しによる水中成分の析出堆積による汚れを
防止することができる。
【0042】次に請求項9は、衛生器が和風便器である
場合において、リム側面と上面とには防汚剤を非塗布と
したものである。上記局部洗浄装置が備え付けられるの
は殆どが洋風便器であって、和風便器の場合にはこのよ
うな局部洗浄装置が備えられることはなく、そこで和風
便器においてはリムの側面と上面に対し防汚剤を非塗布
としたものである。
【0043】但し和風便器のリムの側面と上面には尿等
が付着して有機物に起因する汚れを生じる問題がある。
ここにおいて請求項10に従い、リムの側面と上面とに
抗菌処理を施してその抗菌剤の処理層を露出させておけ
ば、その有機物に起因する汚れも効果的に防止すること
ができる。
【0044】
【実施例】次に本発明を衛生器としての洋風便器に適用
した場合の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。図
1において、10は陶磁器製の洋風便器で12はその本
体部となる鉢である。鉢12の上側、つまり便器上端部
にはリム14が環状に形成されている。
【0045】リム14は、内部に洗浄水を通すための通
水路16を有しており、更にその下面34に沿って所定
間隔で多数の射水孔18を有しており、通水路16に導
かれた洗浄水がそれら多数の射水孔18から鉢12内面
に向けて勢い良く噴射され、以って鉢12内面が洗浄さ
れるようになっている。
【0046】20は鉢12の下部の溜水部で、この溜水
部20に続いて、排水経路の一部をなすとともに封水を
保持して臭気の逆流を阻止する排水トラップ22が形成
されている。この排水トラップ22は、流出脚24の上
部にウェア部(溢れ部)26を有している。溜水部20
の底部25からこのウェア部26までの高さhが封水深
となる。従って通常は溜水面27の位置は、この底部2
5から高さhの位置に位置している。
【0047】尚、28は便器10の後部上面に載置され
て内部に洗浄水を貯える洗浄タンクであり、この洗浄タ
ンク28に貯えられた洗浄水がリム14内部の通水路1
6へと排出され、続いて多数の射水孔18から鉢12内
面に向けて射水される。
【0048】本例においては、鉢12の底部25近傍に
ジェット孔29が設けられている。このジェット孔29
は、洗浄水を排水トラップ22に向けて勢い良く噴射す
る。
【0049】本例においては実質的に便器10の全表
面、詳しくは内表面全体及び洗浄タンク28の載置部を
除いた便器10の上面38,更に便器10の外側表面
(外周表面)42全体に釉薬30の膜が素地31上に形
成されている。この釉薬30の膜内部には抗菌剤が分散
状に含有されている。即ち釉薬30の膜形成箇所におい
て便器10表面に抗菌処理が施されている。
【0050】ここで抗菌剤としては銀又は銀化合物,亜
鉛,銅又はそれらの化合物或いはそれらを所定の担体に
担持させて成るもの、その他を用いることができる。こ
れら抗菌剤を釉薬30中に含有させておき、その抗菌剤
含有の釉薬30を素地31の表面に塗布し焼成すること
で、抗菌剤含有の釉薬30の膜を素地31の表面に形成
することができる。
【0051】本例においては、鉢12の内面、詳しくは
鉢12の上端から溜水面(設定溜水面)27にかけての
鉢12の内面全面に防汚剤としての撥水剤40の膜が形
成されている。更にこの撥水剤40の膜は、続いて鉢1
2上側のリム14、即ち便器10上端部のリム14の下
面34及び側面36,更には便器10の上面38にも連
続して形成されている。但し洗浄タンク28の載置部分
には撥水剤40の膜は形成されていない。但しその部分
にも撥水剤40の膜を形成しておくことも可能である。
【0052】鉢12内面の撥水剤40の膜は、更に溜水
部20の一部まで延長形成されている。即ち溜水面27
の下側の距離dまでの部分にかけても撥水剤40の膜が
形成されている。ここで距離dは、本例では3cmとさ
れている。但しこの数値は変更することができる。
【0053】溜水面27の水位は、溜水部20の水の蒸
発によって下がったり上がったりする。但しその上下の
変動幅には限度があり、本例ではその変動の限度に応じ
て距離dが定められている。即ち溜水面27が最も下が
ったときにおいても撥水剤40の膜の下端が、その溜水
面27と同等若しくはその下側に位置するように距離d
が定められている。
【0054】本例において、撥水剤40は末端にフッ化
炭素基(−C−F基)を有し、また反対側の末端に便器
10の陶磁器表面の水酸基(この例では釉薬30の層表
面の水酸基)と化学反応性を有する化学反応基、例えば
−SiOH基,−SiCl基等を有するものが用いられ
ている。
【0055】この撥水剤40は便器10表面に塗布処理
されることによって表面の水酸基と反応して化学結合
し、その表面に撥水剤40の膜を形成している。そして
この撥水剤の40の膜形成によって、その撥水剤40の
膜形成部分において便器10表面の水酸基はシールドさ
れた状態となっている。またその化学反応に基づいて撥
水剤40の膜は便器10表面に強固に固着された状態と
なっている。
【0056】このような撥水剤40としては、下記
(イ)で示すパーフロロアルキル基含有有機珪素化合物
【化1】 と、下記(ロ)で示す加水分解性基含有メチルポリシロ
キサン化合物
【化2】 とを水と親水性溶媒とともに混合して共加水分解させた
A液と、下記(ハ)で示すオルガノポリシロキサン化合
【化3】 と強酸を混合したB液とを混ぜ合わせて得たものを例示
することができる。
【0057】尚この撥水剤40は特開平8−20911
8に開示された公知のもので、詳細な説明は省略する。
勿論本発明では陶磁器表面の水酸基と化学反応性を有す
る他の撥水剤を用いることもできる。
【0058】本例の便器10では、外側表面42につい
ては撥水剤40を非塗布としており、釉薬30の膜に含
有させた抗菌剤をそのまま外部に露出させた状態として
いる。
【0059】本例の便器10の場合、鉢12の内面3
2、詳しくはその上端から溜水面27にかけての部分の
全面に撥水剤40の膜を形成していることから、洗浄水
が流れることによって水濡れと乾燥とを繰り返す鉢12
の内面32において、水中の微量成分の析出固着によ
る、即ち所謂珪酸スケールに起因する内面32の汚れを
効果的に防止することができる。
【0060】撥水剤40の膜が鉢12の内面(内表面)
の水酸基と反応してその内面に固着されているととも
に、その撥水剤40の膜が内面の水酸基をシールドして
いるため、その水酸基と水中の微量成分との反応が阻止
され、珪酸スケールに起因する汚れを発生させないので
ある。
【0061】またここでは防汚剤として撥水剤40を用
いていることから、その撥水効果によって鉢12内面へ
の水の付着を防止し、また珪酸スケール以外の汚れが例
え付着したとしても容易にその撥水剤40の膜の作用で
これを除去することができる。またその撥水剤40の膜
は化学結合で鉢12の内面に固着されているため、高耐
久性を有している。
【0062】本例では、溜水面27より所定距離d下側
まで鉢12の内面32に撥水剤40の膜を形成してお
り、従って溜水が蒸発することによって溜水面27の水
位が下がった場合においても、図4に示すような環状の
顕著な汚れが鉢12の内面32に生成固着するのを良好
に防止することができる。
【0063】因みに図2はこれを模式的に表したもので
ある。同図に示しているように溜水面27の位置する部
分及びその下側にかけて撥水剤40の膜が鉢12の内面
に形成されているため、同部分の内面が水濡れと乾燥と
を繰り返した場合にも、珪酸等を含む水中の微量成分4
6がその撥水剤40の膜によって陶磁器表面の水酸基と
反応するのが阻止され、従ってそれら微量成分46の析
出堆積に起因する、珪酸スケールによる汚れの発生が良
好に防止されるのである。
【0064】本例では、また、リム14の下面34と側
面36及び便器10の上面38にも撥水剤40の膜を形
成している。従って便器10に局部洗浄装置を装着し、
そのノズルから噴射された洗浄水の跳ね水が、それらリ
ム14の下面34や側面36或いは便器上面38に飛び
散った場合にも、即ちそれらリム14の下面34と側面
36及び便器上面38が水濡れと乾燥とを繰り返した場
合であっても、撥水剤40の膜によってそれらの部分に
汚れが付着し、固着するのを良好に防止することができ
る。
【0065】一方常に水没状態にある溜水部20の底部
25或いはこれに続く排水トラップ22については、撥
水剤40は非塗布とされている。これらの部分での汚れ
の主たるものは尿垢や糞便及びこれらを栄養源として発
生増殖する菌等の有機物による汚れが主たるものであ
る。
【0066】ここにおいて本例の便器10では、それら
の部分においては抗菌剤が外部に露出せしめられている
ため、その抗菌剤の作用によって上記有機物に起因する
汚れを良好に防止することができる。
【0067】本例では、便器10の外側表面42もまた
撥水剤40が非塗布とされており、同部分においては抗
菌剤が外部に露出せしめられている。この外側表面42
は実質的に常時乾いた状態にあり、上記水濡れと乾燥に
起因する珪酸スケール等の汚れは発生しない。但し有機
物の付着に起因する汚れが発生するのは避けられない。
【0068】しかるに本例ではこの外側表面42につい
ては抗菌剤が外部に露出しているため、その抗菌剤の作
用により有機物に起因する汚れを良好に防止することが
できる。
【0069】本例においては、外側表面42に撥水剤4
0の膜を形成していないことからその他に次のような利
点を有する。前述したように外側表面42にまで撥水剤
40の膜を形成してしまうと、そこに空気中の水分の凝
縮等による微細な水滴が全面に亘って生じ、そしてその
結露水が外側表面42を伝って流下し、便器10周りの
床44を濡らしてしまう。
【0070】これにより、例えばその床44が木製のフ
ローリングでできていたりすると同部分が腐り易くなる
問題があるが、本例では外側表面42に対し撥水剤40
が非塗布とされているため、そのような問題を生じない
のである。
【0071】また外側表面42は便器10を作業者が取
扱作業する際に手で持つ部分であり、従って同部分に撥
水剤40の膜が形成されていると同部分が滑り易い状態
となって、便器10の取扱作業中にこれを落下させ、割
ってしまう恐れがある。
【0072】しかるに本例では外側表面42に対し撥水
剤40の膜を非塗布とすることで、更には同外側表面4
2が表面の平滑な滑りにくい釉薬30の膜にて形成され
ているため、便器10の取扱作業がし易い利点を有す
る。またこのように必要のない部分に撥水剤40を非塗
布としておくことで、撥水剤40の無駄な使用によるコ
ストアップを避けることができる。
【0073】図3は本発明を和風便器に適用した場合の
実施例を示している。この和風便器50においても、図
1の洋風便器10と基本的に同様の処理が施してある。
但しこの和風便器50の場合、図1の洋風便器10と異
なって局部洗浄装置が備え付けられることがなく、従っ
てリム52の側面36及び上面38にはノズルからの噴
射水の跳ね水が付着するといった問題は生じない。
【0074】そこでこの和風便器50においては、リム
52の側面36及び上面38については上記防汚剤とし
ての撥水剤40が非塗布としてあり、これらリム52の
側面36と上面38とは抗菌剤を含有した釉薬30が直
接外部に露出させてある。即ちリム52の側面36と上
面38とには抗菌剤の膜が形成してある。
【0075】尚鉢12の内面32については、その上端
から溜水部20より所定距離下側にかけての部分まで抗
菌剤含有の釉薬30の膜の上に防汚剤としての撥水剤4
0の膜が形成してあり、また排水トラップ22の内面に
ついては撥水剤40が非塗布としてあって釉薬30の膜
が直接外部に露出させてある点で、更に外側表面42に
ついては少なくとも床44より上側に露出する部分につ
いて抗菌剤含有の釉薬30の膜が形成してあるととも
に、同部分については撥水剤40が非塗布としてあり、
釉薬30の膜が外部に直接露出させてある点で上記実施
例と同様である。
【0076】尚、外側表面42は床44の上側に露出す
る部分だけに釉薬の膜を形成しても良いし床44の下側
に隠れる部分についても釉薬30の膜を形成しておいて
も良い。
【0077】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一例示であり、本発明は例えば防汚剤として上記
撥水剤40以外のもの、即ち便器表面の水酸基と化学反
応して膜形成し、便器表面の水酸基をシールドする機能
を有する他の防汚剤を用いることも可能であるし、また
本発明は上記の便器以外の洗面器その他の衛生器に適用
することも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱し
ない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である洋風便器を示す図であ
る。
【図2】図1の便器の作用を模式的に表す図である。
【図3】本発明の他の実施例である和風便器を示す図で
ある。
【図4】従来の便器において生じていた不具合の説明図
である。
【図5】図4の便器に生じる汚れの発生メカニズムを模
式的に表した図である。
【符号の説明】
10 洋風便器 12 鉢 14,52 リム 20 溜水部 22 排水トラップ 27 溜水面 30 釉薬 32 内面 34 下面 36 側面 38 上面 40 撥水剤 42 外側表面 50 和風便器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西川 武 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 今井 茂雄 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 (72)発明者 異相 一義 愛知県常滑市鯉江本町5丁目1番地 株式 会社イナックス内 Fターム(参考) 2D039 AA02 AD01 AD02 AD04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に水酸基を有する窯業製品としての
    便器等衛生器の水濡れと乾燥とを繰り返す内表面に該水
    酸基と反応して化学結合する防汚剤を塗布処理して該内
    表面に該防汚剤の膜を形成し、該水酸基をシールドする
    一方、外側表面に対しては該防汚剤を非塗布としたこと
    を特徴とする防汚処理された水回り衛生器。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の水回り衛生器におい
    て、前記防汚剤は前記水酸基と反応して化学結合し膜形
    成する撥水剤であることを特徴とする防汚処理された水
    回り衛生器。
  3. 【請求項3】 請求項1,2の何れかに記載の水回り衛
    生器において、前記外側表面には抗菌処理が施してあ
    り、前記防汚剤の非塗布によって該抗菌剤が露出させて
    あることを特徴とする防汚処理された水回り衛生器。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の何れかに記載の水回り衛
    生器において、前記衛生器は鉢の下部に溜水部を有する
    ものであって、鉢内面の上端から少なくとも設定溜水面
    にかけて前記防汚剤が塗布処理してあることを特徴とす
    る防汚処理された水回り衛生器。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の水回り衛生器におい
    て、前記設定溜水面より更に所定距離下側の部位にかけ
    てまで前記防汚剤が塗布処理してあることを特徴とする
    防汚処理された水回り衛生器。
  6. 【請求項6】 請求項4,5の何れかに記載の水回り衛
    生器において、前記衛生器は前記溜水部に続いて排水ト
    ラップを有しており、該排水トラップ内面に対しては前
    記防汚剤を非塗布としてあることを特徴とする防汚処理
    された水回り衛生器。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の水回り衛生器におい
    て、前記排水トラップ内面については抗菌処理が施して
    あり、前記防汚剤の非塗布によって該抗菌剤が露出させ
    てあることを特徴とする防汚処理された水回り衛生器。
  8. 【請求項8】 請求項1〜7の何れかに記載の水回り衛
    生器において、前記衛生器が洋風便器であって前記鉢の
    上側の便器上端部にリムを有しており、該リムの下面と
    側面及び便器上面に前記防汚剤が塗布処理してあること
    を特徴とする防汚処理された水回り衛生器。
  9. 【請求項9】 請求項1〜7の何れかに記載の水回り衛
    生器において、前記衛生器が和風便器であって上端部に
    リムを有しており、該リムの側面と上面に対しては前記
    防汚剤を非塗布としてあることを特徴とする防汚処理さ
    れた水回り衛生器。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の水回り衛生器におい
    て、前記リムの側面と上面とには抗菌処理が施してあ
    り、前記防汚剤の非塗布によって該抗菌剤が露出させて
    あることを特徴とする防汚処理された水回り衛生器。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6709751B1 (en) 1999-04-02 2004-03-23 Inax Corproation Ceramic product to be used around water and method of antifouling treatment therefor
US7488442B2 (en) 2000-10-19 2009-02-10 Inax Corporation Glass layered ceramic product

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US6709751B1 (en) 1999-04-02 2004-03-23 Inax Corproation Ceramic product to be used around water and method of antifouling treatment therefor
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Effective date: 20040316

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