JP2000178088A - 抗菌釉薬層付焼成体とその製造方法、及びそれに使用する抗菌金属成分入り釉薬粉末 - Google Patents

抗菌釉薬層付焼成体とその製造方法、及びそれに使用する抗菌金属成分入り釉薬粉末

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Kanji Irie
寛治 入江
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 抗菌金属成分の凝集が生じにくく、しかも比
較的少量の抗菌金属成分により優れた抗菌効果を発揮す
る抗菌釉薬層付焼成体とその製造方法を提供する。 【解決手段】 Ag等の抗菌金属成分をジルコン粒子の
表面に担持させて釉薬粉末中に配合する。これを素地表
面に塗布し釉焼して得られる抗菌釉薬層には、抗菌金属
濃化層がZr濃化層とともに釉薬層の表層部にいわば局
在化した形で形成され、抗菌性発現への寄与があまり期
待できない釉薬層内部においては、抗菌金属成分が少な
くなる。従って、全体としての抗菌金属成分の含有量を
減じつつ、釉薬層の表面においては、上記抗菌金属濃化
層の存在により十分な抗菌効果を発揮できる。また、釉
薬層表層付近の抗菌金属成分の濃度を高めても、抗菌性
に寄与しない層内部の抗菌金属成分の濃度は高くならな
いので経済的であり、釉薬層の色調や強度等にも悪影響
が及ぶ心配がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、抗菌釉薬層付焼
成体とその製造方法、及びそれに使用する抗菌金属成分
入り釉薬粉末に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、タイルや衛生陶器製品などの
セラミック製品や、あるいは琺瑯製品などの釉薬層中に
抗菌剤を配合して、雑菌やかびの繁殖を抑制し、汚れ防
止や衛生性の向上を図ることが盛んに行われており、製
品の売上も近年急速に延びている。釉薬中に配合する抗
菌剤としては、AgやCu、Zn等の抗菌金属成分が使
用されることが多く、中でもAgやCuは優れた抗菌効
果を示すとともに、比較的高融点で、釉焼時に蒸発しに
くいことから広く使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、釉薬中に抗
菌金属成分を配合する方法としては、抗菌金属の微粒子
を釉薬泥漿中に分散させ、これをセラミックや金属の素
地上に塗布して釉焼する方法が一般的である。しかしな
がら、この方法では抗菌金属の微粒子が凝集しやすく、
釉焼後の抗菌金属成分の分布に偏りを生じやすい欠点が
ある。
【0004】他方、例えば酸化銀や酸化銅等を釉薬粉末
中に配合し、それらに含まれる抗菌金属成分を、釉焼の
際に他のガラス形成成分とともに溶融・分散させること
も考えられるが、この方法では、抗菌金属成分が釉薬層
の全体に一様に拡がってしまう形になる。この場合、釉
薬層中の抗菌金属成分のうち抗菌効果発現に寄与するの
は表面付近のものだけであり、層内部に含有されている
抗菌金属成分は実質的に無駄になってしまう欠点があ
る。また、一定以上の抗菌効果を得るためには、表層付
近の抗菌金属成分の濃度を高める必要があるが、この場
合、抗菌性に何ら寄与しない層内部の抗菌金属成分の濃
度も抱き合わせで高くしなければならず、不経済である
ばかりか、釉薬層の色調や強度等にも悪影響を及ぼす場
合がある。
【0005】本発明の課題は、抗菌金属成分の凝集が生
じにくく、しかも比較的少量の抗菌金属成分により優れ
た抗菌効果を発揮する抗菌釉薬層付焼成体とその製造方
法、及びそれに使用する抗菌金属成分入り釉薬粉末を提
供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】上記の課
題を解決するために、本発明の抗菌釉薬層付焼成体は、
セラミック又は金属で構成された素地の表面の少なくと
も一部が、Ag及びCuの少なくとも一方を抗菌金属成
分として含有する抗菌釉薬層(以下、単に釉薬層ともい
う)により覆われており、その釉薬層の表層部には、釉
薬層全体における平均Zr濃度レベルよりも高濃度にて
Zr成分が検出されるZr濃化層と、釉薬層全体におけ
る平均抗菌金属成分濃度レベルよりも高濃度にて抗菌金
属成分が検出される抗菌金属濃化層とが形成されている
ことを特徴とする。
【0007】また、上記のような本発明の抗菌釉薬層付
焼成体を得るための、本発明の焼成体の製造方法は、ジ
ルコン粒子の表面にAg及びCuの少なくとも一方を抗
菌金属成分として担持させた抗菌金属成分担持ジルコン
粒子を釉薬粉末中に配合し、セラミック又は金属で構成
された素地の表面の少なくとも一部に対し、その釉薬粉
末を泥漿の形にて塗布して釉薬粉末層を形成した後、こ
れを釉焼することを特徴とする。また、これに使用する
本発明の抗菌金属成分入り釉薬粉末は、Ag及びCuの
少なくとも一方からなる抗菌金属成分を、ジルコン粒子
の表面に担持させた形にて配合したことを特徴とする。
【0008】なお、ジルコン粒子の表面にAg及びCu
の少なくとも一方を抗菌金属成分として担持させた抗菌
金属成分担持ジルコン粒子を釉薬粉末中に配合し、この
釉薬粉末をそのまま焼成することにより、焼成体全体に
おける平均Zr濃度レベルよりも高濃度にてZr成分が
検出されるZr濃化層と、焼成体全体における平均抗菌
金属成分濃度レベルよりも高濃度にて抗菌金属成分が検
出される抗菌金属濃化層とが表層部に形成された釉薬焼
成物を得ることも可能である。
【0009】前記した通り、抗菌金属成分は、金属微粒
子の形で直接釉薬中に配合すると粒子凝集を起こしやす
く、抗菌金属成分の分布に極端な偏りが生じて、均一な
抗菌効果が得られなくなる。このような場合、抗菌金属
成分を、無機材料粒子(担体)表面に担持させた形で配
合することで、上記のような粒子凝集が効果的に抑制さ
れる。本発明者らは、そこからさらに検討を加えた結
果、無機材料粒子としてカチオンの主体がZrであるよ
うなZr系無機材料粒子、例えばジルコン(一般組成
式:ZrSiOあるいはZrO・SiO)粒子を
使用することにより、釉焼により得られる釉薬層の表層
部に抗菌金属濃化層が形成されることを見い出し、本発
明を完成するに至ったのである。
【0010】本発明の抗菌釉薬層付焼成体においては、
抗菌金属濃化層がZr濃化層とともに釉薬層の表層部に
いわば局在化した形で形成されており、抗菌性発現への
寄与があまり期待できない釉薬層内部においては、抗菌
金属成分が少なくなっている。従って、全体としての抗
菌金属成分の含有量を減じつつ、釉薬層の表面において
は、上記抗菌金属濃化層の存在により十分な抗菌効果を
発揮できる。また、釉薬層表層付近の抗菌金属成分の濃
度を高めても、抗菌性に寄与しない層内部の抗菌金属成
分の濃度は高くならないので経済的であり、釉薬層の色
調や強度等にも悪影響が及ぶ心配がない。
【0011】また、ジルコン粒子は、釉焼時においてガ
ラス質中に溶解しにくく、得られる釉薬層を乳濁させる
機能を果たす。従って、ジルコン粒子表面に抗菌金属成
分を担持させ、これを釉薬粉末中に配合して使用するこ
とにより、釉薬層中に上記の抗菌金属成分層を形成する
効果と、釉薬層を乳濁させる効果とが同時に達成され
る。
【0012】なお、上記の方法により得られる本発明の
抗菌釉薬層付焼成体では、抗菌金属成分は釉薬層の厚さ
方向には局在化しているが、釉薬層の面内においては比
較的一様な分布を示し、結果的に釉薬層の全面において
略均一な抗菌効果が発現する。抗菌金属微粒子を単独で
使用した場合は釉薬層中で抗菌金属成分が凝集し、面内
においても成分が局在化するので、均一な抗菌効果が発
現することにはならない。
【0013】上記本発明の製造方法により、抗菌金属成
分濃化層が形成される詳細なメカニズムについては不明
であるが、次のように推測している。釉薬粉末は、例え
ばアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩(石灰あるいは
マグネシアなど)、シリカ、アルミナ、アルミノケイ酸
塩等の混合粉末、あるいはそれらを予め溶融ガラス化し
て粉砕したフリットであり、釉焼により溶融して素地表
面にガラス質の釉薬層を形成する。図1(a)は、この
釉薬粉末に抗菌金属を担持させたジルコン粒子を配合し
て抗菌金属成分入り釉薬粉末となし、これを素地表面に
塗布した状態を模式的に示している。これを釉焼温度ま
で昇温すると、釉薬粉末層は溶融して抗菌釉薬層とな
る。
【0014】このとき、ジルコン粒子以外の釉薬粉末粒
子は溶融し、ガラス化するが、ジルコン粒子は、乳濁剤
として機能する事実からも明らかなように、通常の釉焼
温度では完全溶融せず、多くの部分が釉薬ガラス質中に
懸濁した形で残留する。図1(b)に示すように、この
ガラス中に懸濁したジルコン粒子の一部は、釉薬層の表
層部まで浮き上がり、Zr濃化層を形成するものと考え
られる。これが、ジルコン粒子の表面に担持された抗菌
金属微粒子の、釉薬層内での沈下あるいは拡散に対する
バリアとして機能し、結果として図2(a)に示すよう
に、Zr濃化層に対応する位置に抗菌金属成分が濃化し
て、抗菌金属濃化層が形成されるものと推測される。
【0015】図2(b)に示すように、抗菌金属濃化層
の表面側には、例えばZr濃化層を透過して滲み出した
ガラス分により、薄く多孔質なガラス質が存在している
ことがある。このようなガラス質の形成により、抗菌金
属濃化層の釉薬層に対する固定効果を高めることができ
る場合がある。
【0016】なお、釉薬層中のZr濃化層と抗菌金属濃
化層とは、例えば釉薬層の断面に対し、EPMA等によ
る微小元素分析を施すことにより特定することができ
る。本明細書においては、図4に模式的に示すように、
着目成分q(抗菌金属濃化層に複数の抗菌金属成分が含
まれる場合には、その合計量とする)に対しEPMA分
析等により、釉薬層の厚さ方向における濃度分布分析を
行ったときに、その着目成分の平均濃度レベルをNqと
して、1.1Nq以上の濃度が検出される領域を、その
着目成分qの濃化層として定義する。また、濃化層の厚
さtは、釉薬層の厚さ方向片側から上記濃度分布分析を
行ったときに、1.1Nq以上の濃度が検出される区間
の合計長さとして定義する。
【0017】抗菌金属濃化層の平均厚さは0.1〜10
μmの範囲となっているのがよい。抗菌金属濃化層の平
均厚さが0.1μm未満であると、抗菌効果やその持続
性が不足する場合がある。他方、抗菌金属濃化層の平均
厚さが10μmを超えると、釉薬層が望まざる色に着色
する等、外観上の不良を生じたり、あるいは釉薬層の強
度低下等を引き起こしたりする場合がある。一方、Zr
濃化層の厚さは1〜20μmの範囲となっているのがよ
い。Zr濃化層の厚さが1μm未満になると、抗菌金属
濃化層の形成が不十分となり、本発明の効果が達成され
なくなる場合がある。他方、Zr濃化層の厚さが20μ
mを超えると、釉薬層に外観上の不良を生じたり、ある
いは釉薬層の強度低下等を引き起こしたりする場合があ
る。
【0018】また、抗菌釉薬層にはZr成分が1.0〜
10.0重量%含有されているのがよい。Zr成分の含
有量が1.0重量%未満になると、形成されるZr濃化
層の厚さが不足し、抗菌金属濃化層の形成も不十分とな
って、本発明の効果が達成できなくなる場合がある。ま
た、Zr成分の含有量が10.0重量%を超えると、Z
r濃化層の厚さが大きくなり過ぎ、釉薬層に外観上の不
良を生じたり、あるいは釉薬層の強度低下等を引き起こ
したりする場合がある。
【0019】釉薬層中においてZr濃化層と抗菌金属濃
化層とは、図3(a)に示すように、釉薬層の厚さ方向
において互いに隣接して形成されていてもよいし、同図
(b)に示すように、厚さ方向において一部が重なり合
った形で形成されていても、また、場合によっては図3
(c)に示すように、略全体が重なり合った形で形成さ
れていてもいずれでもよい。例えば(d)に示すよう
に、ジルコン粒子が層状に結合して多孔質骨格構造のZ
r濃化層を形成する場合、その骨格の隙間に抗菌金属金
属成分が保持されると、(b)や(c)のような形態
で、Zr濃化層と抗菌金属濃化層とが見掛け上重なって
形成される。
【0020】Zr濃化層がジルコン粒子に由来するもの
である場合、結晶質のジルコンが比較的多く残留してい
れば、微小X線回折等の構造解析的な分析手法によりこ
れを特定できる。しかしながら、そのような方法によ
り、薄いZr濃化層中のジルコンの存在を直接特定する
ことは、一般には困難であることも多い。本明細書で
は、ジルコンの一般組成式からの類推により、例えばE
PMA(電子プローブ微小分析)等により微小元素分析
を行ったときに、Zr成分とともにSi成分とO成分と
が検出されれば、Zr濃化層は少なくとも部分的にジル
コン粒子に由来しているものとみなす。また、Zr成分
が、ジルコン等の化合物形態で存在していることは、例
えばZrイオンの価数を、X線光電子分光(XPS)や
オージェ電子分光(AES)等の公知の手法により分析
することにより特定できる。Zrがカチオン形態で存在
している場合は、その価数はプラスの値として測定され
ることとなる。
【0021】次に、抗菌金属成分としては、抗菌効果の
顕著性からAgを最も効果的に使用することができる
が、用途により他の金属成分、例えばCuを使用した
り、あるいはAgとCuとを併用したりすることも可能
である。また、抗菌金属成分の釉薬層中の含有量は、
0.05〜1.0重量%に設定するのがよい。0.05
重量%未満では抗菌性能が不十分となる場合があり、
1.0重量%を超えると、釉薬層が望まざる色に着色す
る等、外観上の不良を生じたり、あるいは釉薬層の強度
低下等を引き起こしたりする場合がある。なお、釉薬層
中の抗菌金属成分は、金属状態で含有されていても、酸
化物等のカチオン状態で含有されていてもいずれでもよ
い。
【0022】次に、上記釉薬層を形成するに当たって、
抗菌金属成分をZr系無機材料粒子表面に担持させる形
態としては、Zr系無機材料粒子の表面に抗菌金属を、
例えば金属粒子の形で分散付着させる形態を例示でき
る。Agを抗菌金属成分として採用する場合、Agを主
体とする金属粒子、例えばAg粒子の形でZr系無機材
料粒子に分散付着させることができる。このような金属
付着層の形成方法としては、各種公知の化学メッキ法が
採用できる。例えば、特開平8−99812号公報に記
載されているように、無機材料粒子を水性溶媒中に分散
させ、これをAg塩水溶液等の抗菌金属化合物の水溶液
と混合し、その後還元剤を添加して分散されている無機
材料粒子の表面に抗菌金属粒子を微細析出させる方法を
例示できる。この場合、析出させる抗菌金属系粒子の平
均粒径は、無機材料粒子の平均粒径の1〜20%程度の
範囲に設定することが望ましい。無機材料粒子の平均粒
径の1%未満の微粒子は、通常の化学メッキ法では調製
困難であり、20%を超えると、得られる釉薬層中に粗
大な金属粒子が混入し、抗菌金属成分の分布に偏りを生
じ、均質な抗菌性能が得られなくなる場合がある。
【0023】また、使用するZr系無機材料粒子の平均
粒径は、0.0005〜10μmの範囲で調整するのが
よい。Zr系無機材料粒子の平均粒径が0.0005μ
m未満になると、各粒子の表面に抗菌金属成分を均一に
担持することが困難となり、抗菌金属濃化層の形成が不
十分となる場合がある。また、微細な無機材料粒子は一
般に高価であり、製造コストの高騰につながる。他方、
Zr系無機材料粒子の平均粒径が10μmを超えると、
Zr濃化層の形成が不完全となり、ひいては抗菌金属濃
化層の形成が不十分となる場合がある。また、釉薬層に
外観上の不良を生じる場合がある。
【0024】釉薬粉末中のZr系無機材料粒子の配合量
は、ZrO換算にて1.0〜10.0重量%の範囲で
調整するのがよい。該配合量が1.0重量%未満になる
と、Zr濃化層ひいては抗菌金属濃化層の形成が不完全
となり、本発明の効果が十分に達成できなくなる場合が
ある。また、釉薬層に対する乳濁効果が不足し、得られ
る焼成体の外観上の不良を招来することにつながる場合
がある。他方、該配合量が10.0重量%を超えると、
Zr濃化層の厚さが大きくなり過ぎ、釉薬層に外観上の
不良を生じたり、あるいは釉薬層の強度低下等を引き起
こしたりする場合がある。
【0025】また、Zr系無機材料粒子に担持させる抗
菌金属成分の量は、Zr系無機材料粒子の合計重量に対
して、1.0〜20.0重量%の範囲で調整するのがよ
い。これが1.0重量%未満になると、必要な抗菌金属
成分量を確保しようとしたときに、Zr系無機材料粒子
の量が相対的に多くなり過ぎ、釉薬層に外観上の不良を
生じたり、あるいは釉薬層の強度低下等を引き起こした
りする場合がある。また、抗菌金属成分の量が20.0
重量%を超えると、逆に抗菌金属成分の量が過剰とな
り、また抗菌金属成分の分散性も低下するので望ましく
ない。
【0026】次に、抗菌釉薬層は、カチオン成分の主体
がSi成分であり、かつSi成分以外のカチオン成分
が、Al、Ca、K、Na及びZnから選ばれる1種又
は2種以上を主体とするガラス質により主に構成するこ
とができる。釉薬層を上記ガラス質により主に構成する
ことで、表層部にZr濃化層と抗菌金属濃化層とが形成
された、本発明特有の抗菌釉薬層を一層得やすくなる。
また、このような抗菌釉薬層は、釉薬粉末として、カチ
オン成分がSiを主体とし、Si以外の残余の部分が、
Al、Ca、K、Na及びZnから選ばれる1種又は2
種以上を主体とする酸化物粉末を使用することで、容易
に形成できる。
【0027】上記のような酸化物粉末は、例えば各カチ
オン源となる原料を所期の組成となるように配合してこ
れを溶融ガラス化し、微粉砕することにより得られる釉
薬フリット粉末の形で調製できる。原料は、各カチオン
成分の単体酸化物やガラス化時に酸化物化する単体無機
塩(例えば炭酸塩)等を使用してもよいが、安価に入手
できる観点から、少なくとも一部を鉱物原料の形で配合
することが望ましい。代表的な鉱物原料として、カリ長
石(KO・Al・6SiO)、ソーダ長石
(NaO・Al・6SiO)、石灰石(Ca
CO)、カオリナイト(Al・2SiO・2
O)、石英(SiO)等がある。
【0028】前記した抗菌金属成分担持ジルコン粒子
は、予め調製された上記酸化物粉末に対し後添加により
配合してもよいし、酸化物粉末の原料段階で配合してお
き、その溶融ガラス化時にガラスマトリックス中に分散
させ、さらにこれを粉砕して用いるようにしてもよい。
【0029】なお、抗菌金属成分を除いた部分の釉薬組
成の一例を以下に示す(カチオン成分を酸化物換算した
形により表示):SiO:64.0〜73.0重量
%;Al:6.7〜9.3重量%;ZnO:6.
0〜8.5重量%;ZrO:2.2〜3.8重量%;
CaO:8.3〜11.4重量%;KNaO:2.2〜
3.8重量%。
【0030】次に、本発明においては、釉焼により得ら
れる抗菌釉薬層中に、前記した抗菌金属濃化層とZr濃
化層とをより確実に形成するために、次のような方法を
採用することも可能である。すなわち、表面に抗菌金属
成分を担持させない状態のジルコン粒子を配合した釉薬
粉末を、素地の表面に塗布することにより第一の釉薬粉
末層を形成し、さらに、その第一の釉薬粉末層の上に抗
菌金属成分を含有する粒子を配合した釉薬粉末を塗布し
て第二の釉薬粉末層を形成した後、釉焼を行う。この方
法によれば、第一の釉薬粉末層中のジルコン粒子により
形成されるZr濃化層が、それよりも表面側に位置する
第二の釉薬粉末層中の抗菌金属成分に対するバリアとし
て機能する結果、抗菌金属成分の分布を抗菌金属濃化層
により集中させることが可能となり、ひいては本発明の
効果をさらに高めることができる。
【0031】例えば、図8(a)及び(b)に示すよう
に、ジルコン粒子を配合した釉薬フリット粉末を素地上
に塗布して乾燥し、第一の釉薬粉末層を形成する。図8
(a)では、その上に、抗菌金属成分担持ジルコン粒子
を配合した釉薬フリット粉末を塗布して第二の釉薬粉末
層を形成する。これを焼成することにより、図8(c)
に示すように、Zr濃化層と抗菌金属濃化層とが形成さ
れた抗菌釉薬層が形成される。この場合、第一の釉薬粉
末層のジルコン粒子に加え、第二の釉薬粉末層中のジル
コン粒子もZr濃化層の形成に寄与する形となる。
【0032】他方、図8(b)では、ジルコン以外の無
機材料粒子を使用して第二の釉薬粉末層を形成する例を
示す。ここでは、釉薬ガラス質の形成に関与する無機材
料粒子、具体例として長石粒子の表面に抗菌金属成分を
担持させ、これを配合した釉薬フリット粉末を塗布して
第二の釉薬粉末層を形成している。これを焼成した場
合、Zr濃化層は第一の釉薬粉末層のジルコン粒子に基
づいて形成される。他方、長石粒子は大半が溶融して釉
薬ガラス質に取り込まれるが、抗菌金属成分はZr濃化
層をバリアとして濃化し、抗菌金属濃化層を形成する。
長石粒子は、例えば、抗菌金属の微粒子を表面に分散・
保持させることで、その凝集を防止する役割を果たす。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につき
図面に示す実施例を参照して説明する。図5及び図6
は、本発明の抗菌釉薬層付焼成体としての抗菌釉薬層付
タイルの製造方法の一例を示すものである。まず、図5
(a)に示すように、タイル素地の原料粉末をダイ及び
プレスパンチを用いた公知の乾式プレス法により成形
し、板状の成形体を作る。続いて同図(b)に示すよう
に、その成形体を焼成して未施釉焼成体を作り、これを
タイル素地とする。
【0034】次いで、図6に示すように、すでに説明し
た抗菌成分入り釉薬粉末を水等の溶媒に分散・懸濁させ
た釉薬泥漿を例えば噴霧ノズル等を用いて噴霧すること
により、タイル素地の片面に塗布する。これを所定の温
度にて釉焼することにより、釉薬粉末層が溶融して抗菌
釉薬層付タイルが得られる。抗菌釉薬層の構造と推測さ
れる形成過程とについては、図1及び図2を用いてすで
に説明した通りである。なお、釉焼温度については、釉
薬の種類や組成によっても異なるが、抗菌金属濃化層と
Zr濃化層とを有する本発明特有の釉薬層構造を得るた
めには、1150〜1200℃の範囲で調整するのがよ
い。
【0035】一方、図7は、大型の陶器製品、例えば衛
生陶器に本発明の適用を行う場合の製法の一例を示して
いる。まず、スリップキャスト等の公知の成形方法によ
り、所期の陶器形状が得られるよう素地原料粉末の成形
を行う。次いで、その成形体を未焼成の状態で釉薬スラ
リー中にディッピングし、釉薬粉末層を形成する。そし
て、この状態で成形体の焼成を行うことにより、素地の
焼成と釉薬粉末層の釉焼とが同時になされ、抗菌釉薬層
付衛生陶器が得られる。
【0036】なお、本発明は、上記のようなタイルや衛
生陶器のほか、浴槽や洗面ユニット等に使用される琺瑯
製品など、釉薬層付金属製品にも適用できる。
【0037】
【実施例】以下、本発明の効果を確認するために、下記
の実験を行った。 (実験例1)まず、各種タイルの試験品を以下のように
して作製した。タイル素地原料としては粘土、蝋石、長
石、珪石、石灰石、陶石を用い、これを乾式プレス後、
温度1300℃にて焼成することで、縦横98mm、厚
さ4mmのタイル素地を作った。
【0038】他方、抗菌成分入り釉薬粉末を次のように
して調整した。まず、原料鉱石としてソーダ長石とカリ
長石とを等量配合し、これに、石灰石、石英、及びアル
ミナ粉末と酸化亜鉛粉末とを配合して溶融・ガラス化
し、さらにこれを粉砕して釉薬フリット粉末を得た。な
お、ICP分析により、釉薬フリット粉末を分析した結
果、その組成は下記の通りであった(カチオン成分を酸
化物換算した形にて表示):SiO:65.9重量
%;Al:7.3重量%;ZnO:4.4重量
%;CaO:2.9重量%;KNaO:1.4重量%。
【0039】また、ジルコン粒子は平均粒径0.9μm
のものを用意し、これに抗菌金属としてのAg粒子を以
下の方法により担持させた。まず、硝酸銀52.8gを
105mlの蒸留水に溶解した。これにアンモニア水6
6mlを加えて硝酸銀のアンミン錯体(硝酸ジアミン
銀)溶液を得た。次いで、この溶液にジルコン粒子11
0gを投入し、超音波により分散させた。この分散液
に、ブドウ糖66gを含むブドウ糖水溶液1000ml
を添加し、35℃(±2℃)にて6時間撹拌し、ジルコ
ン粒子の表面に金属Agを析出させた。これをデカンテ
ーションにより分離し、洗浄・乾燥して抗菌金属担持ジ
ルコン粒子を得た。得られた抗菌金属担持ジルコン粒子
中のAg含有量をICP分析したところ、約10重量%
であった。なお、比較例として、ジルコン粒子に代え
て、ほぼ同じ平均粒径のソーダ長石を用いて同様に作成
した抗菌金属担持長石粒子も用意した。
【0040】この抗菌金属担持ジルコン粒子を、前記し
た釉薬フリット粉末100重量部に対し2.6重量部の
割合で配合し、さらにバインダーとしてカルボキシメチ
ルセルロースを0.4重量部、溶媒としての水を100
重量部加えて混合することにより、釉薬泥漿(実施例)
とした。また、比較例1の釉薬泥漿として、上記抗菌金
属担持ジルコン粒子に代え、これと同量の抗菌金属担持
長石粒子及び同量のジルコン粒子(抗菌金属は非担持)
とを配合したもの、さらに比較例2の釉薬泥漿として、
上記抗菌金属担持ジルコン粒子に代え、これと同量のジ
ルコン粒子(抗菌金属は非担持)のみを配合したもの
も、それぞれ同様に調製した。
【0041】これら釉薬泥漿を、前記したタイル素地の
片面にスプレー噴霧して乾燥することにより、平均厚さ
約500μmの釉薬粉末層を形成し、これを温度120
0℃で釉焼することにより、平均厚さ約300μmの抗
菌釉薬層が形成されたタイルを得た。各タイルの抗菌釉
薬層の成分分析をSEMに付属するEPMAにより調べ
たところ、いずれの釉薬層も、表面近傍のAgの含有量
はそれぞれ0.2重量%程度であることがわかった。
【0042】図9は、EPMAによる、実施例のタイル
の抗菌釉薬層破断面の、Zr((a))、Ag
((b))及びSi((c))の各特性X線像(倍率:
約1000倍)である。図中、矢印で示した位置が釉薬
層表面位置であり、横方向が厚さ方向である。また、明
るい部分ほど、特性X線の強度(すなわち元素濃度)が
高いことを示している。他方、各特性X線像中には、元
素濃度の厚さ方向分布曲線を示している(縦軸が相対濃
度を表しており、曲線上の各点は、厚さ方向と直交する
向き(図中縦方向)における平均的な元素濃度レベルを
表している。
【0043】これを見てもわかるように、実施例の釉薬
泥漿を用いて形成した釉薬層の表層部には、Ag濃化層
(抗菌金属濃化層)と、Zr濃化層とが形成されている
ことがわかる。また、元素濃度レベルの分布曲線から前
記した定義により求めたAg濃化層の厚さは10μmで
あり、Zr濃化層の厚さは20μmであった。なお、Z
r濃化層の位置には、SiとO(図示せず)も検出さ
れ、Zrの主要な部分はジルコンの状態で存在している
ものと推測される。また、層中のZrの分布から、層の
内部にもジルコン粒子が分散しているものと思われる。
【0044】他方、図示はしていないが、比較例1の釉
薬泥漿を用いて形成した釉薬層の表層部も同様に分析し
たところ、明確なZr濃化層とAg濃化層とは形成され
ていなかった。また、Agは、釉薬層の全体にほぼ一様
に分散する形となっていた。
【0045】次に、実施例、比較例1及び比較例2の各
タイルの抗菌性テストを、以下のようにして行った。ま
ず、大腸菌(ATCC25922)及び黄色ブドウ球菌
(ATCC25923)を培養し、1/500に希釈し
たNB培地(普通ブイヨン培地)中に均一に分散させ、
試験菌液とした。そして、煮沸滅菌済みの各タイルの釉
薬層上に試験菌液を0.5ml滴下し、5cm×5cm
の滅菌済みポリエチレンフィルムを静かに被せ、ガラス
フードにより覆いをした後、温度30℃、湿度90%R
H以上の恒温槽内にて保持した。そして、24時間後、
菌液のついたタイル及びポリエチレンフィルムをSCD
LP培地10mlで洗い出し、生菌数を測定した。その
結果、比較例2のタイルにおいては2×10個/ml
以上の生菌が観察された。他方、比較例1のタイルでも
生菌数は800個程度が観察された。これに対し、実施
例のタイルで観察された生菌数は200個以下であり、
優れた抗菌性能を有することがわかった。
【0046】(実験例2)まず、各種タイルの試験品を
以下のようにして作製した。まず、タイル素地は実験例
1と全く同様に用意した。また、釉薬フリット、ジルコ
ン粒子(抗菌金属は非担持)、抗菌金属担持ジルコン粒
子及び抗菌金属担持長石粒子も実験例1と同様に調製し
た。これらを用いて、次のような釉薬泥漿を調整した。
【0047】釉薬:釉薬フリット粉末100重量部に
対し2.6重量部の割合で配合し、さらにバインダーと
してカルボキシメチルセルロースを0.4重量部、溶媒
としての水を100重量部加えて混合する。 釉薬:実験例1の実施例の釉薬泥漿と同じである。 釉薬:釉薬フリット粉末100重量部に対し、抗菌金
属担持長石粒子を2.6重量部の割合で配合し、さらに
バインダーとしてカルボキシメチルセルロースを0.4
重量部、溶媒としての水を100重量部加えて混合す
る。
【0048】これら釉薬泥漿を用いて、次のタイル試験
品を作成した。 試験品A:タイル素地の片面に泥漿をスプレー噴霧し
て乾燥することにより、平均厚さ約250μmの第一の
釉薬粉末層を形成し、さらに泥漿をスプレー噴霧して
乾燥することにより、平均厚さ約50μmの第二の釉薬
粉末層を形成した。これを温度1200℃で釉焼し、平
均厚さ約300μmの抗菌釉薬層を有するタイルとし
た。 試験品B:タイル素地の片面に泥漿をスプレー噴霧し
て乾燥することにより、平均厚さ約250μmの第一の
釉薬粉末層を形成し、さらに泥漿をスプレー噴霧して
乾燥することにより、平均厚さ約50μmの第二の釉薬
粉末層を形成した。これを温度1200℃で釉焼し、平
均厚さ約300μmの抗菌釉薬層を有するタイルとし
た。 試験品C:タイル素地の片面に泥漿のみをスプレー噴
霧して乾燥することにより、平均厚さ約200μmの釉
薬粉末層を形成した。これを温度1200℃で釉焼し、
平均厚さ約120μmの抗菌釉薬層を有するタイルとし
た。各タイルの抗菌釉薬層のAg含有量をEPMAによ
り調べたところ、試験品Aは0.1重量%程度、試験品
Bは0.3重量%程度、試験品Cは0.1重量%程度で
あることがわかった。
【0049】そして、各タイルの抗菌性テストを、実験
例1と同様に行ったところ、いずれも生菌数は200個
以下となった。すなわち、釉薬粉末層を2層に分けて塗
布した試験品A及び試験品Bのタイルは、試験品Cのタ
イルよりも抗菌釉薬層中のAg含有量が少ないにも拘わ
らず、試験品Cとほぼ同等の抗菌性能を示すことがわか
った。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の抗菌釉薬層付焼成体において、抗菌釉
薬層中にZr濃化層と抗菌金属濃化層とが形成される過
程を示す説明図。
【図2】図1に続く説明図。
【図3】Zr濃化層と抗菌金属濃化層との形成態様をい
くつか例示して示す模式図。
【図4】Zr濃化層と抗菌金属濃化層との特定方法を説
明する図。
【図5】抗菌釉薬層付タイルの製造方法の一例を示す工
程説明図。
【図6】図5に続く説明図。
【図7】抗菌釉薬層付衛生陶器の製造方法の一例を示す
工程説明図。
【図8】釉薬粉末層を多層に形成する例を示す模式図。
【図9】EPMAによる、実施例のタイルの抗菌釉薬層
破断面の、Zr((a))、Ag((b))及びSi
((c))の各特性X線像。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック又は金属で構成された素地の
    表面の少なくとも一部が、Ag及びCuの少なくとも一
    方を抗菌金属成分として含有する抗菌釉薬層により覆わ
    れており、その釉薬層の表層部には、釉薬層全体におけ
    る平均Zr濃度レベルよりも高濃度にてZr成分が検出
    されるZr濃化層と、釉薬層全体における平均抗菌金属
    成分濃度レベルよりも高濃度にて抗菌金属成分が検出さ
    れる抗菌金属濃化層とが形成されていることを特徴とす
    る抗菌釉薬層付焼成体。
  2. 【請求項2】 前記釉薬層中において前記Zr濃化層と
    前記抗菌金属濃化層とは、前記釉薬層の厚さ方向におい
    て互いに隣接して、又は前記厚さ方向において少なくと
    も一部が重なり合った形で形成されている請求項1記載
    の抗菌釉薬層付焼成体。
  3. 【請求項3】 前記Zr濃化層において、前記Zr成分
    とともにSi成分とO成分とが検出される請求項1又は
    2に記載の抗菌釉薬層付焼成体。
  4. 【請求項4】 前記抗菌釉薬層は、カチオン成分の主体
    がSi成分であり、かつSi成分以外のカチオン成分
    が、Al、Ca、K、Na及びZnから選ばれる1種又
    は2種以上を主体とする酸化物ガラス質により主に構成
    されてなる請求項1ないし3のいずれかに記載の抗菌釉
    薬層付焼成体。
  5. 【請求項5】 ジルコン粒子の表面にAg及びCuの少
    なくとも一方を抗菌金属成分として担持させた抗菌金属
    成分担持ジルコン粒子を釉薬粉末中に配合し、セラミッ
    ク又は金属で構成された素地の表面の少なくとも一部に
    対し、その釉薬粉末を泥漿の形にて塗布して釉薬粉末層
    を形成した後、これを釉焼することにより、素地表面の
    少なくとも一部がAg及びCuの少なくとも一方を抗菌
    金属成分として含有する抗菌釉薬層により覆われ、か
    つ、その釉薬層の表層部に、釉薬層全体における平均Z
    r濃度レベルよりも高濃度にてZr成分が検出されるZ
    r濃化層と、釉薬層全体における平均抗菌金属成分濃度
    レベルよりも高濃度にて抗菌金属成分が検出される抗菌
    金属濃化層とが形成されている抗菌釉薬層付焼成体を得
    ることを特徴とする抗菌釉薬層付焼成体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記釉薬粉末として、カチオン成分がS
    iを主体とし、Si以外の残余の部分が、Al、Ca、
    K、Na及びZnから選ばれる1種又は2種以上を主体
    とする酸化物粉末が使用される請求項5記載の抗菌釉薬
    層付焼成体の製造方法。
  7. 【請求項7】 表面に前記抗菌金属成分を担持させない
    状態のジルコン粒子を配合した釉薬粉末を、前記素地の
    表面に塗布することにより第一の釉薬粉末層を形成し、
    さらに、その第一の釉薬粉末層の上に前記抗菌金属成分
    を含有する粒子を配合した釉薬粉末を塗布して第二の釉
    薬粉末層を形成した後、釉焼を行うことにより、素地表
    面の少なくとも一部がAg及びCuの少なくとも一方を
    抗菌金属成分として含有する抗菌釉薬層により覆われ、
    かつ、その釉薬層の表層部に、釉薬層全体における平均
    Zr濃度レベルよりも高濃度にてZr成分が検出される
    Zr濃化層と、釉薬層全体における平均抗菌金属成分濃
    度レベルよりも高濃度にて抗菌金属成分が検出される抗
    菌金属濃化層とが形成されている抗菌釉薬層付焼成体を
    得ることを特徴とする抗菌釉薬層付焼成体の製造方法。
  8. 【請求項8】 Ag及びCuの少なくとも一方からなる
    抗菌金属成分を、ジルコン粒子の表面に担持させた形に
    て配合したことを特徴とする抗菌金属成分入り釉薬粉
    末。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002032834A1 (fr) * 2000-10-19 2002-04-25 Inax Corporation Procede de traitement antitache et produit a couche de verre, poterie renforcee et procede d'elaboration, ainsi que produit a couche de verre et procede d'elaboration
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