JPH0920578A - セラミックスパネル及びその製造方法 - Google Patents

セラミックスパネル及びその製造方法

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JPH0920578A
JPH0920578A JP17118095A JP17118095A JPH0920578A JP H0920578 A JPH0920578 A JP H0920578A JP 17118095 A JP17118095 A JP 17118095A JP 17118095 A JP17118095 A JP 17118095A JP H0920578 A JPH0920578 A JP H0920578A
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JP
Japan
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glaze
intermediate layer
thermal expansion
ceramic panel
weight
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JP17118095A
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English (en)
Inventor
Morikatsu Hasegawa
守克 長谷川
Hidemi Ishikawa
秀美 石川
Shishiyou Hayashi
志翔 林
Hideo Ogawa
秀夫 小川
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Toto Ltd
Chichibu Onoda Cement Corp
Original Assignee
Toto Ltd
Chichibu Onoda Cement Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐薬品性、耐候性、耐凍害性、耐ひび割れ性
等に優れた、建築物の内装材、外装材、床材、天板等に
用いられるセラミックスパネル及びその製造方法を提供
する。 【解決手段】 水硬性セメント、耐熱性骨材、溶融材及
び補強繊維の水性混練物の成形・焼成体の表面に熱膨張
率が該成形・焼成体より小さい中間層が形成され、中間
層の表面に熱膨張率が中間層より小さい釉薬層が形成さ
れているセラミックスパネルであり、その製造方法は、
水硬性セメント、耐熱性骨材、溶融材及び補強繊維の水
性混練物を成形して成形体を作り、成形体の表面に成形
・焼成体より熱膨張率の小さい中間層を形成する中間層
形成物質を塗布し、その上に中間層より熱膨張率の小さ
い釉薬層を形成する釉薬を塗布し、焼成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、建築物の内装材、外装
材、床材、天板等に用いられるセラミックスパネル及び
その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】建築物の内装材、外装材あるいは床材等
には、従来からタイル、陶板及び結晶化ガラス建材等が
用いられており、建材等に対する多様化、高級化志向の
高まりとともに、その種類もますます増大している状況
である。なかでもセメント組成物に施釉・焼成して施釉
セメント製品を得る技術が種々提案されているが、焼成
後の成形体の強度劣化を招かないようにするため、ある
いは、強度劣化した成形体を水中に浸漬させ再水和を図
りこれにより強度の回復を図るため等の理由から、成形
体は、800°C以下の低温域で焼成されているものが
殆どである(特開昭56ー50183号、特公平3ー2
829号、特公平3ー36791号参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】前記の焼成では焼成温
度が低いため、セメント組成物の焼結度が小さいので、
得られた製品は耐凍害性、耐ひび割れ性等の耐久性が劣
り、また、800°C以下の低温域の焼成に用いられる
釉薬は、焼成後のガラス化した状態において、釉薬層自
体の表面も耐薬品性、耐候性等の耐久性が劣るため、製
品の使用箇所が限定される等の問題点があるのが実情で
ある。
【0004】そこで、本発明は、従来技術の問題点を解
決するために、高温焼成において強度劣化を起こさず、
耐薬品性、耐候性等に優れた表面品位を有するセラミッ
クスパネルを得ることを可能としたものであり、また、
高温域で焼成して焼結度を高めることができ、耐凍害
性、耐ひび割れ性等の耐久性にも優れたセラミックスパ
ネルを提供するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、水硬性セメン
ト、耐熱性骨材、溶融材及び補強繊維の水性混練物の成
形・焼成体の表面に熱膨張率が該成形・焼成体より小さ
い中間層が形成され、中間層の表面に熱膨張率が中間層
より小さい釉薬層が形成されていることを特徴とするセ
ラミックスパネルであり、その製造方法は、水硬性セメ
ント、耐熱性骨材、溶融材及び補強繊維の水性混練物を
成形し、成形体の表面に成形・焼成体より熱膨張率の小
さい中間層を形成する中間層形成物質を塗布し、その上
に中間層形成物質より熱膨張率の小さい釉薬層を形成す
る釉薬を塗布し、焼成することを特徴とする。
【0006】本発明において用いる成形体の原料は、水
硬性セメント10〜35重量部、最大粒径が0.1〜
2.0mmの耐熱性骨材30〜60重量部、粒度がメジ
アン径で20〜60μmの溶融材10〜35重量部、補
強繊維10〜30重量部からなるものであり、この原料
は適量の水、場合によっては減水剤、AE剤、流動化剤
等の混和剤を加えて常温硬化させることができるもので
ある。
【0007】水硬性セメントは、目的とした種々の形状
に容易に対応できる成形性を得るとともに、必要なハン
ドリング強度を得るために用いられるものであり、ポル
トランドセメント、白色セメント等の各種のセメントを
挙げることができる。その使用量は、10重量部未満で
あると成形性が低下し、また、ハンドリング強度も得ら
れず、35重量部を超えると、熱衝撃や膨張・収縮によ
る応力によりクラックが発生しやすく、成形体が強度低
下を来たす危険性が高くなる。さらには、セメント配合
量を増すと、セメントそのものあるいはセメント水和物
が系全体として過剰となり、結果としてセメント粒子や
セメント水和反応脱水物が焼成過程で溶融材と反応しき
れずに未反応状態で残留してしまい、施釉不良を引き起
こして釉薬剥離、ピンホール等の原因ともなる。また、
未反応物は不安定なために再水和し、白華発生の原因や
膨張あるいは収縮等によるクラック発生の原因にもなり
良好な製品が得られない。
【0008】耐熱性骨材は、耐熱性を有する骨材であれ
ば、特に限定されるものではないが、結晶水等を有し高
温で水蒸気を発生したり、焼成過程で極端に膨張・収縮
するような鉱物等をできるだけ含まないものが好ましい
ことはいうまでもない。一般的には抗火石、珪砂、火山
灰、セルベン、スラグ及び軽量骨材の1種又は2種以上
からなるものが使用可能である。使用される耐熱性骨材
は、最大粒径0.1〜2.0mmを用いるのが好まし
く、0.6〜1.2mmのものを用いるのがより好まし
い。最大粒径が0.1mmより細かくなると混練時の単
位水量が増加し、充分なハンドリング強度が得られなか
ったり、収縮が大きくなりクラック発生のおそれがあ
り、2.0mmを超えるとセメントマトリックスと骨材
との熱膨張差あるいは収縮等の違いによりマトリックス
と骨材の界面に貫入が発生するおそれがある。次に、耐
熱性骨材の使用量は、30重量部より少ないと乾燥収縮
が大きくなるばかりでなく、焼成過程において骨材とセ
メントペースト部の膨張・収縮のバランスが取れなくな
ることにより、形状安定性に欠け、クラックを生じる危
険性がある。また、60重量部を超えると成形体のハン
ドリング強度及び焼成後の強度が不足することによりク
ラックを生じやすくなる。
【0009】溶融材は、溶融温度・軟化溶融特性等の面
から、その組成が重量%で、SiO2:30〜50%、
Al23:3〜8%、CaO:5〜15%、B23:2
0〜30%並びにK2O及び/又はNa2O:15〜25
%含有させたものが望ましい。その他の成分として、例
えばBaO、MgO、ZrO2、ZnO、Fe23又は
TiO2等を10%以下の範囲で含んでもよい。溶融材
の粒径は、メジアン径が20〜60μmのものが好まし
く、より好ましくは30〜50μmのものがよい。メジ
アン径が20μm未満のものを用いると、溶融材の比表
面積が大きくなるため、焼成時の昇温過程において溶融
速度や反応速度が高まり過ぎてしまい、結果として、成
形体全体及びマトリックス部分が急激に収縮するため、
焼成過程での強度との兼ね合いによりクラックが発生す
る。また、60μmを超える粗粒子のものを用いると溶
融相の占める割合が低下することによりセメント粒子や
水和物との不釣り合いが生じ、水和物を含むセメント粒
子との反応に効率よく活用されなくなるため、結果とし
て、成形体の焼結度が低下し、強度不足によりクラック
が発生する。また、使用量は10重量部未満であると充
分な焼結度を得ることができず、焼成後の強度が不足す
るためクラックが生じやすくなり、35重量部より多く
なると溶融相の占める割合が多くなり、焼成中の形状安
定性が悪くなることにより、焼成過程で変形を生じやす
く良好なセラミックスパネルが得られにくい。
【0010】補強繊維は、耐熱性を有するものであれば
特に限定されるものではないが、一般的には、セラミッ
ク繊維やワラストナイト繊維等の無機繊維が好ましい。
繊維の性状も特に限定されるものではないが、補強効果
の面からは一般的に繊維径が小さく繊維長さが長いもの
が良好であるが、長すぎると成形体の混合混練性等を含
め、繊維を均一に分散しにくく成形体の性状にも悪影響
を及ぼす。したがって、適性な繊維性状については、混
合混練条件等によってある程度左右される。例えば、補
強繊維としてワラストナイト繊維を用いる場合は、長さ
300μm程度でアスペクト比10〜20程度のものを
用いるのが望ましい。また、補強繊維の使用量は、10
重量部未満であると、焼成時の昇温過程における成形体
の強度劣化や収縮が多くなり、寸法安定性が低下すると
ともに、クラックや反りの原因となる。一方、30重量
部を超えると焼結度を上げるために溶融材を更に多く必
要とするというように系全体としてバランスを取りにく
くなったり、繊維が均一に分散しにくくなることから、
混練時に材料分離を生じてしまう等の問題が発生する。
【0011】補強繊維は、焼成過程において成形体中の
セメント水和物の脱水分解による強度低下を補うことに
より、クラック発生を抑制するとともに、高温で溶融材
が溶融して、その粘性が下がることによって生じる収縮
を繊維の突っ張り効果あるいは架橋効果により抑制す
る。さらに、焼成後には、溶融材によって接合された繊
維は、微視的には網状の3次元構造をしており、結果と
して、寸法安定性、強度、耐凍害性等の物性向上に寄与
する。
【0012】本発明において、成形体の製造方法は、特
に限定されるものではなく、一般的に用いられている流
し込み法、押出し法、加圧法等が適用できる。また、養
生法に関しても、成形方法との関連で最も適した方法を
採用すればよく、例えば、流し込み法の場合、流し込み
成形後、引続き気中養生あるいは蒸気養生等の促進養生
を行なってもよい。また、加圧法の場合には、即時脱型
可能であり、そのまま次工程へ進めてよい場合もある。
したがって、生産効率などを考慮して目的とする製品の
製造に適した方法を採用すればよい。
【0013】成形体の吸水性が高いため、仮に釉薬を用
いて焼成しても焼成時に釉薬を吸収してしまうこと、あ
るいは成形体の焼成による水蒸気の発生及び成形体と釉
薬層の熱膨張率の違いから焼成後に表面にピンホール、
凹凸あるいは貫入等の欠陥が発生してしまい、美観を呈
することが困難となる。
【0014】そこで、本発明においては、そのような外
観欠点を防止するために、釉薬層と成形体との間に特殊
な中間層を設けることにより、表面を平滑にするととも
に上層の釉薬が成形体へ吸収されるのを防止し、また、
成形体から発生する水蒸気を中間層で封じ込めることで
良好な外観品位を得ることを可能としている。
【0015】中間層形成物質は、組成面からセメント組
成物の性状に適するように軟化・溶融温度及び溶融時の
粘性を調整したものであり、その組成が重量%でSiO
2:55〜60%、Al23:8〜12%、CaO:2
〜6%、MgO:3〜13%、BaO:1〜5%、Zr
2:1〜5%、ZnO:1〜5%、B23:3〜15
%並びにK2O及び/又はNa2O:3〜8%含有するこ
とを特徴とするものであり、前記成分以外の成分を0.
1〜3%含んでもよい。その組成比率を調整することに
より目的とする軟化・溶融温度及び溶融時の粘性を得る
ことができる。中間層形成物質は、600〜800°C
の軟化温度及び1100〜1200°Cの溶融温度を有
し、粒径が10μm以下のものを40〜70重量%有す
るものがよく、好ましくは50〜60重量%のものであ
る。
【0016】粒径10μm以下のものの割合が40重量
%未満であると軟化不足となり、成形体との融着力が低
下し、釉剥離等が発生する。また、70重量%を超える
と釉切れ・剥離が発生しやすくなる。
【0017】また、中間層の熱膨張率は、上層の釉薬層
より大きく、成形・焼成体より小さい中間の熱膨張率を
有するものを用いる。中間層の熱膨張率が上層の釉薬層
のそれより小さいと、釉薬層と中間層の収縮量の差によ
り釉面に貫入が発生する。また、中間層の熱膨張率が成
形・焼成体のそれより大きいと、中間層と成形体の収縮
量の差により中間層に貫入が発生する。そこで、中間層
は室温〜700°Cの線熱膨張係数が50×10ー7〜7
0×10ー7/°C、さらに上層の釉薬層は室温〜700
°Cの線熱膨張係数が40×10-7〜60×10-7/°
Cの範囲とし、例えば、中間層の線熱膨張係数が50×
10ー7の場合、釉薬層は40×10-7、中間層の線熱膨
張係数が70×10ー7の場合、釉薬層は60×10-7
ものとすることにより貫入等の欠陥の発生を防止する。
【0018】中間層を得る方法としては一般的な施釉方
法が適用でき、スプレー、はけ塗り等が挙げられる。ま
た、上層の釉薬の施釉方法も中間層と同様であるが、施
釉のタイミングについては、中間層形成物質塗布層の水
分が成形体に吸収され、完全に固化した状態、あるいは
水分は吸収されていないが、表面がほぼ乾燥した状態に
おいて施釉を施す。施釉のタイミングを誤ると中間層と
成形体との密着性が低下し、乾燥後又は焼成後、中間層
が剥がれて釉剥離・切れ等が生じる。
【0019】上層に用いる釉薬は、その組成が重量%
で、SiO2:50〜58%、Al23:8〜12%、
CaO:4〜8%、BaO:5〜10%、B23:15
〜23%並びにK2O及び/又はNa2O:3〜9%含有
することを特徴とするものであり、その他成分を0.1
〜3%含んでもよい。これらの釉薬を加熱して溶融し、
急冷したフリット釉をそのまま用いてもよい。また、釉
薬の粒度は、10μm以下のものの割合が25〜60重
量%のものがよく、好ましくは30〜50重量%のもの
である。粒径10μm以下のものの割合が25%重量未
満であると溶融不足となり、釉切れ・剥離等が発生し、
60重量%を超えても釉切れ・剥離等が発生しやすくな
る。
【0020】焼成温度は、中間層が完全に軟化する温度
であるが、完全に溶融しない温度であって、且つ上層の
釉薬が完全に溶融する温度であり、釉薬層の耐薬品性、
耐候性等セラミックス成形体の耐凍害性、耐ひび割れ性
等の低下を防止するため、900〜1100°Cとする
のがよく、900〜1000°Cとするのが好ましい。
また、焼成保持時間は、10〜120分とするのが適当
である。
【0021】焼成温度が900°C未満であると、釉薬
層の耐薬品性、耐候性等が劣り、また、成形体の焼結度
が小さいため、耐凍害性、耐ひび割れ性等の耐久性も劣
る。1100°Cを超えると成形体が溶融変形を起こ
す。900〜1100°Cで焼成することにより、気孔
径が数十μmの範囲に収斂され、サブミクロン領域の微
細気孔が殆どなく、耐凍害性、耐ひび割れ性等に優れた
セラミックパネルを製造することができる。
【0022】中間層形成物質は、焼成時に完全には溶融
しないが、軟化し流動性を帯びるため、成形体表面の凹
凸を平滑にする。また、完全溶融しないため、上層の釉
薬が成形体へ吸収されるのを防止し、成形体から発生す
る水蒸気を封じ込め、ピンホール等の発生を抑制する。
これにより均質な表面品位のセラミックスパネルを得る
ことができる。
【0023】
【実施例】
実施例1 実施例1は、水硬性セメントとして、市販の普通ポルト
ランドセメント20重量部、メジアン径が48μmでS
iO2:34%、Al23:4%、CaO:14%、B2
3:25%、K2O:2%及びNa2O:21%含有す
る溶融材20重量部、骨材として最大粒径0.6mm以
下の抗火石40重量部、補強繊維としてワラストナイト
繊維20重量部を使用し、これに水30重量部を加え
て、パン型ミキサーで混練し、600×600mm型枠
に流し込み、卓上振動機で脱泡、成形した。得られた成
形体を65°Cで4時間蒸気養生後脱型し、110°C
で24時間乾燥した。
【0024】次いで、成形体にSiO2:56%、Al2
3:9%、CaO:5%、MgO:6%、BaO:3
%、ZrO2:3%、ZnO:2%、B23:10%、
2O:4%及びNa2O:2%含有する中間層形成物質
(粒径:10μm以下が50%、室温〜700°Cにお
ける中間層の線熱膨張係数:65×10ー7/°C)をス
プレーで塗布し、充分乾燥後、中間層の表面に、SiO
2:53%、Al23:10%、CaO:6%、Ba
O:6%、B23:20%、K2O:2%及びNa2O:
3%含有する釉薬(粒径:10μm以下が40%、室温
〜700°Cにおける釉薬層の線熱膨張係数:54×1
ー7/°C)をスプレーにより施釉し、950°C×6
0分焼成を行なった。表1に示すように良好な外観・耐
久性を有するセラミックスパネルが得られた。
【0025】実施例2〜9については、普通ポルトラン
ドセメント、溶融材などの成形体の原料配合比を変えた
ものについて実施例1と同様に実施し、外観及び耐久性
評価を行なった。
【0026】表1の実施例の結果が示すように、成形体
の原料配合比及び前記実施例1の製造方法によれば、建
築用内装材あるいは外装材等として使用可能な物性、耐
久性を有した貫入、ピンホール、釉切れ・剥離等の全く
ない外観を呈する優れたセラミックスパネルが得られ
る。
【0027】比較例1 ワラストナイト繊維の添加量を5重量%とし、前記実施
例と同様の製造方法でセラミックスパネルを製造した比
較例1のものは、焼成時の昇温過程における成形体の強
度劣化及び収縮を防止できず、形状安定性が悪くなり、
成形体に割れを生じた。
【0028】比較例2,3 溶融材の粒径をメジアン径15μm及び83μmのもの
を使用し、前記実施例1と同様の製造方法で製造したセ
ラミックスパネルの結果は、表1の比較例2及び3に示
すとおりである。結果から、成形体に割れ・切れ、又は
釉面に切れ・剥離が発生しており、このことから、溶融
材の粒径が20〜60μmが好ましいことが分かる。
【0029】比較例4 骨材の粒径が最大粒径2.5mmのものを使用した場合
は、表1の比較例4に示されるように表面に貫入が発生
している。なお、骨材の粒径を最大0.1mmのものを
使用し、前記実施例1と同様の製造方法でセラミックス
パネルを製造した結果、単位水量が増加し、充分なハン
ドリング強度が得られなかった。このことから、骨材の
粒径は、最大粒径0.6〜2.0μmが好ましいことが
分かる。 比較例5〜8 表1の比較例5〜8は、中間層形成物質の粒度10μm
以下30%及び80%のものを使用し、比較例7及び比
較例8は釉薬の粒度を10μm以下20%及び70%の
ものを使用し、前記実施例と同様の製造方法でセラミッ
クスパネルを製造したものである。比較例5のものは中
間層の軟化不足により、成形体と中間層が充分に融着せ
ず釉切れが発生し、比較例6のものは釉切れ・剥離が発
生している。また、比較例7のものは釉薬の溶融不足に
より釉剥離が発生し、比較例8のものは釉切れ・剥離が
発生している。このことから、中間層形成物質の粒度は
10μm以下40〜70重量%が好ましく、釉薬の粒度
は10μm以下25〜60重量%が好ましいことが分か
る。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】本発明は、次のとおり優れた効果を奏す
る。
【0032】(1) 原料に水硬性セメントを用いてい
るため、成形性が非常によいので、デザイン性の高いセ
ラミックスパネルが得られ、釉薬層と成形・焼成体との
間に特殊な中間層を設けているため、従来の施釉セメン
ト製品の欠点である表面の凹凸、ピンホール等が非常に
少ない表面美観を呈するセラミックスパネルが得られ
る。
【0033】また、釉薬層の圧縮強度は引っ張り強度に
比べて非常に大きいため、熱膨張率を成形体>中間層>
釉薬層の関係とすることにより、焼成後冷却して行く過
程で釉薬層に圧縮応力がかかり、貫入が発生しない。
【0034】さらに、冷却後はあらかじめ釉薬層に圧縮
応力がかかっているため、引っ張り破壊を生じるために
は、あらかじめ存在している圧縮応力と引っ張り応力を
加えた力が必要となり、釉薬層の強度はあらかじめ存在
している圧縮応力だけ強固となり、安定する。
【0035】(2) セラミックスパネルを構成する成
形体、中間層、釉薬層のそれぞれの熱膨張率を成形体>
中間層>釉薬層の関係とすることにより、焼成後冷却し
て行く過程で釉薬層に圧縮応力がかかり、貫入が発生し
ない。
【0036】(3) 成形体原料の水性混練物は成形性
がよく必要なハンドリング強度もあり、熱衝撃や膨張・
収縮による応力によってクラックが発生することもな
く、ピンホール等の外観欠点が生じない。
【0037】(4) 成形体に用いる耐熱性骨材は焼成
過程で極端に膨張・収縮しないため外観上の欠点を起こ
さない。
【0038】(5) 成形体は適度に焼結焼結すること
によって、充分な強度等を得ることができる。
【0039】(6) 中間層は、成形体の焼成時におい
て発生する水蒸気を封じ込めるので、ピンホール等がで
きず良好な外観品位を得ることができる。
【0040】(7) 中間層は、成形体との融着力があ
り、釉切れ、剥離が発生しない。
【0041】(8) 釉薬により、貫入が発生せず、ま
た、質感のある美観を呈する外観品位を得ることができ
る。
【0042】(9) 適正な粒度分布の釉薬を用いるこ
とにより、溶融不足等による釉切れ、剥離が発生しな
い。
【0043】(10) 本発明のセラミックスパネル
は、耐薬品性、耐候性、耐凍害性、耐ひび割れ性等に優
れたものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石川 秀美 北九州市小倉北区中島2丁目1番1号 東 陶機器株式会社内 (72)発明者 林 志翔 埼玉県熊谷市月見町2−1−1 秩父小野 田株式会社中央研究所建材研究所内 (72)発明者 小川 秀夫 埼玉県熊谷市月見町2−1−1 秩父小野 田株式会社中央研究所建材研究所内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水硬性セメント、耐熱性骨材、溶融材及
    び補強繊維の水性混練物の成形・焼成体の表面に、熱膨
    張率が該成形・焼成体より小さい中間層が形成され、中
    間層の表面に熱膨張率が中間層より小さい釉薬層が形成
    されていることを特徴とするセラミックスパネル。
  2. 【請求項2】 水硬性セメント、耐熱性骨材、溶融材及
    び補強繊維の水性混練物を成形して成形体を作り、成形
    体の表面に成形・焼成体より熱膨張率の小さい中間層を
    形成する中間層形成物質を塗布し、その上に中間層形成
    物質より熱膨張率の小さい釉薬層を形成する釉薬を塗布
    し、焼成することを特徴とするセラミックスパネルの製
    造方法。
  3. 【請求項3】 水硬性セメント10〜35重量部、最大
    粒径が0.1〜2.0mmである耐熱性骨材30〜60
    重量部、粒度がメジアン径で20〜60μmである溶融
    材10〜35重量部、補強繊維10〜30重量部からな
    る原料に水を加えて混練成形して成形体を作り、成形体
    の表面に室温〜700°Cの線熱膨張係数が50×10
    ー7〜70×10ー7/°Cの中間層を形成する中間層形成
    物質を塗布し、その上に室温〜700°Cの線熱膨張係
    数が40×10-7〜60×10-7/°Cである釉薬層を
    形成する釉薬を塗布し、焼成することを特徴とする請求
    項2記載のセラミックスパネルの製造方法。
  4. 【請求項4】 耐熱性骨材が抗火石、珪砂、火山灰、セ
    ルベン、スラグ又は軽量骨材の1種又は2種以上からな
    ることを特徴とする請求項2又は3記載のセラミックス
    パネルの製造方法。
  5. 【請求項5】 溶融材は、その組成が重量%で、SiO
    2:30〜50%、Al23:3〜8%、CaO:5〜
    15%、B23:20〜30%並びにK2O及び/又は
    Na2O:15〜25%含有することを特徴とする請求
    項2、3又は4記載のセラミックスパネルの製造方法。
  6. 【請求項6】 中間層形成物質は、その組成が重量%
    で、SiO2:55〜60%、Al23:8〜12%、
    CaO:2〜6%、MgO:3〜13%、BaO:1〜
    5%、ZrO2:1〜5%、ZnO:1〜5%、B
    23:3〜15%並びにK2O及び/又はNa2O:3〜
    8%含有することを特徴とする請求項2、3、4又は5
    記載のセラミックスパネルの製造方法。
  7. 【請求項7】 中間層形成物質の粒径が10μm以下の
    ものが40〜70重量%であることを特徴とする請求項
    2、3、4、5又は6記載のセラミックスパネルの製造
    方法。
  8. 【請求項8】 釉薬は、その組成が重量%で、Si
    2:50〜58%、Al23:8〜12%、CaO:
    4〜8%、BaO:5〜10%、B23:15〜23%
    並びにK2O及び/又はNa2O:3〜9%含有すること
    を特徴とする請求項2、3、4、5、6又は7記載のセ
    ラミックスパネルの製造方法。
  9. 【請求項9】 釉薬の粒径が10μm以下のものが25
    〜60重量%であることを特徴とする請求項2、3、
    4、5、6、7又は8記載のセラミックスパネルの製造
    方法。
  10. 【請求項10】 焼成温度が900〜1100°Cであ
    ることを特徴とする請求項2、3、4、5、6、7、8
    又は9記載のセラミックスパネルの製造方法
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