JP2019218241A - 衛生陶器用の中間層組成物、衛生陶器、及び衛生陶器の製造方法 - Google Patents

衛生陶器用の中間層組成物、衛生陶器、及び衛生陶器の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】衛生陶器の「深み」をより向上できる中間層組成物。【解決手段】陶器素地と前記陶器素地の表面に位置する上釉層との間に位置する中間層を形成する中間層組成物において、釉原料を含む中間層原料が水に分散されたスラリーであり、下記測定方法Iで測定される第二溶融温度が1090〜1230℃である、衛生陶器用の中間層組成物。<測定方法I>アルミナ粉末を基準物質とし、衛生陶器用の中間層組成物の乾燥物を試料粉末としてDTA曲線を求め、前記DTA曲線の700℃超の領域において、前記試料粉末の温度から前記基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第一溶融温度とし、前記第一溶融温度よりも高温側の領域において、前記電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第二溶融温度とする。【選択図】なし

Description

本発明は、衛生陶器用の中間層組成物、衛生陶器、及び衛生陶器の製造方法に関する。
従来、便器、洗面器等の衛生陶器には、汚れの付着を抑制し、又は外観の意匠性を良好にするために、上釉層(釉薬層)が最表面に形成されている。
近年、衛生陶器の設置されるトイレ空間、洗面空間には、衛生性だけではなく、高級感や品位を求めるニーズがある。品位は、色彩や形状といった意匠性だけではない部分で感じ取られるものである。
品位を表す指標の一つに写像性が挙げられる。写像性とは、衛生陶器の表面に映り込んだ像の鮮明さを表現するものであり、映り込んだ像が鮮明であるほど写像性が高いと判断される。写像性が高い衛生陶器は、高品位の印象を与える。
例えば、特許文献1には、陶器素地表面に、写像性を高めた釉薬層が形成された衛生陶器が提案されている。
特開2012−72609号公報
品位を表す指標の一つに「深み」が挙げられる。「深み」とは、衛生陶器の表面の上釉層における奥行の深さの表現であり、人間の視覚で認められる。「深み」が認められる衛生陶器は、高品位の印象を与える。
しかしながら、特許文献1の発明では、衛生陶器の「深み」について考慮されていなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、衛生陶器の「深み」をより向上できる中間層組成物を目的とする。
一般に、写像性が高い衛生陶器は、衛生陶器の表面に映り込んだ像が鮮明であり、高品位の印象を与えやすい。しかし、本発明者等が鋭意検討した結果、写像性が高い衛生陶器は、奥行の深さが感じられるとは限らず、「深み」との相関性は見出せなかった。本発明は、写像性とは異なる観点から衛生陶器の高級感や品位を求めるものである。
上記目的を達成するため、本発明は、以下の態様を有する。
[1]陶器素地と前記陶器素地の表面に位置する上釉層との間に位置する中間層を形成する中間層組成物において、釉原料を含む中間層原料が水に分散されたスラリーであり、下記測定方法Iで測定される第二溶融温度が1090〜1230℃である、衛生陶器用の中間層組成物。
<測定方法I>
アルミナ粉末を基準物質とし、衛生陶器用の中間層組成物の乾燥物を試料粉末としてDTA曲線を求め、前記DTA曲線の700℃超の領域において、前記試料粉末の温度から前記基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第一溶融温度とし、前記第一溶融温度よりも高温側の領域において、前記電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第二溶融温度とする。
[2]前記第一溶融温度が850〜960℃である、[1]に記載の衛生陶器用の中間層組成物。
[3]顔料を含有する、[1]又は[2]に記載の衛生陶器用の中間層組成物。
[4]陶器素地と、前記陶器素地の表面に位置する上釉層と、前記陶器素地と前記上釉層との間に位置する中間層とを備え、下記測定方法IIで測定される前記中間層の第二溶融温度が1090〜1230℃である、衛生陶器。
<測定方法II>
アルミナ粉末を基準物質とし、前記中間層の粉末を試料粉末としてDTA曲線を求め、前記DTA曲線の700℃超の領域において、前記試料粉末の温度から前記基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第一溶融温度とし、前記第一溶融温度よりも高温側の領域において、前記電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第二溶融温度とする。
[5]前記中間層の前記第一溶融温度が850〜960℃である、[4]に記載の衛生陶器。
[6]前記中間層の厚さが200μm以上である、[4]又は[5]に記載の衛生陶器。
[7]前記上釉層の厚さが100μm以上である、[4]〜[6]のいずれかに記載の衛生陶器。
[8]前記中間層を形成する中間層組成物を前記陶器素地の表面に、浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのいずれかにより塗布し、乾燥し、次いで、前記中間層組成物を塗布した面に、前記上釉層を形成する上釉層組成物を塗布する、[4]〜[7]のいずれかに記載の衛生陶器の製造方法。
[9]前記中間層を形成する中間層組成物を前記陶器素地の表面に、浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのいずれかにより塗布した後焼成して一次焼成体を得、前記一次焼成体に前記上釉層を形成する上釉層組成物を塗布して焼成する、[4]〜[7]のいずれかに記載の衛生陶器の製造方法。
本発明の衛生陶器用の中間層組成物によれば、衛生陶器の「深み」をより向上できる。
本発明の一実施形態による衛生陶器の断面図である。 本発明の一実施形態による衛生陶器の中間層のDTA曲線の一例である。
[衛生陶器]
以下、本発明の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1に示す衛生陶器1は、陶器素地10と、陶器素地10の表面に位置する上釉層30と、陶器素地10と上釉層30との間に位置する中間層20とを備える。
本明細書において「衛生陶器」とは、トイレ及び洗面所周りで用いられる陶器製品を意味する。衛生陶器1としては、例えば、小便器、大便器、便器タンク、洗面台の洗面器、手洗い器等が挙げられる。
本明細書において「陶器」とは、原料に長石、陶石、カオリン、粘土を用い、表面に釉薬を塗布して焼成したものを意味する。
衛生陶器1の厚さTは、特に限定されないが、例えば、1〜50mmが好ましく、2〜30mmがより好ましく、3〜20mmがさらに好ましい。厚さTが上記下限値以上であると、衛生陶器1の強度が高められやすい。厚さTが上記上限値以下であると、衛生陶器1を軽量にでき、取り扱いが容易になる。
衛生陶器1の厚さTは、例えば、ノギスを用いて測定できる。
衛生陶器1の写像性は、80以上が好ましく、85以上がより好ましく、90以上がさらに好ましい。衛生陶器1の写像性が上記下限値以上であると、高品位の印象を与えやすい。衛生陶器1の写像性の上限値は、特に限定されないが、実質的には99以下である。
なお、本明細書において、写像性は、ウェーブスキャンDOI測定装置(BYK Gardner社製、Wave−ScanDOI)により測定されるDOI値を意味する。
陶器素地10としては、長石、陶石、カオリン、粘土等を原料として含む陶器素地組成物(陶器素地泥漿)を石膏型あるいは樹脂型を用いて所定の形状に成形し、1100〜1300℃で焼成した素地が挙げられる。
陶器素地組成物は、水を含有する。陶器素地組成物の総質量に対する水の含有量は、30〜50質量%が好ましく、30〜40質量%がより好ましい。
陶器素地10の厚さT10は、特に限定されないが、例えば、1〜50mmが好ましく、2〜30mmがより好ましく、3〜20mmがさらに好ましい。厚さT10が上記下限値以上であると、陶器素地10の強度が高められやすい。厚さT10が上記上限値以下であると、陶器素地10を軽量にでき、取り扱いが容易になる。
陶器素地10の厚さT10は、例えば、ノギスを用いて測定できる。
中間層20は、本発明の衛生陶器用の中間層組成物(以下、単に「中間層組成物」ともいう。)の焼成物である。中間層20は、陶器素地10と上釉層30との間に位置する釉を含む層である。中間層組成物は、中間層20を形成する原料(中間層原料)が水に分散されたスラリー(泥漿)である。
中間層組成物の総質量に対する水の含有量は、40〜60質量%が好ましく、40〜50質量%がより好ましい。
中間層組成物に含まれる固形分の平均粒子径は、10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。中間層組成物に含まれる固形分の平均粒子径が上記上限値以下であると、中間層組成物に含まれる固形分の溶融開始温度を低くしやすい。
中間層組成物に含まれる固形分の平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.05μm以上である。
中間層組成物に含まれる固形分の平均粒子径は、例えば、中間層原料を粉砕することにより調整できる。中間層原料を粉砕する道具としては、例えば、ボールミルが挙げられる。
本明細書において、「平均粒子径」とは、50%平均粒子径(D50)を意味する。D50は、個数基準でのメジアン径であり、累積分布における50%の平均粒子径を意味する。粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定器(日機装(株)製、「MT3300EX(型番)」)を用いて測定できる。
なお、中間層組成物に含まれる固形分は、中間層組成物の乾燥物である。
中間層組成物としては、中間層組成物に含まれる固形分の総質量に対して、二酸化ケイ素(SiO)を50〜80質量%、酸化アルミニウム(Al)を5〜40質量%、酸化ナトリウム(NaO)と酸化カリウム(KO)と酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)と酸化亜鉛(ZnO)と酸化ストロンチウム(SrO)と酸化バリウム(BaO)と酸化ホウ素(B)との合計を5〜30質量%含有する組成物が挙げられる。
なお、中間層組成物に含まれる固形分の各成分の含有量の合計は、中間層組成物に含まれる固形分の総質量に対して、100質量%を超えないものとする。
中間層組成物の組成としては、NaOとKOとCaOとMgOとZnOとの合計のモル数を1としたときのモル比で、SiOを2〜16モル、Alを0〜5モル含有する組成が好ましい。
中間層組成物は、フリットを含有してもよい。
フリットは、フリット原料を1300℃以上で溶融した後冷却し、非晶質のガラスとしたものである。中間層組成物がフリットを含有することで、中間層組成物の溶融開始温度を低くしやすい。加えて、中間層組成物がフリットを含有することで、中間層組成物をより均一に溶融しやすい。
フリット原料としては、フリット原料の総質量に対して、SiOを40〜70質量%、Alを5〜15質量%、NaOとKOとCaOとMgOとZnOと酸化ストロンチウム(SrO)と酸化バリウム(BaO)と酸化ホウ素(B)との合計を10〜50質量%含有する組成物が挙げられる。
なお、フリット原料の各成分の含有量の合計は、フリット原料の総質量に対して100質量%を超えないものとする。
フリットの含有量は、中間層組成物に含まれる固形分の総質量に対して、0〜30質量%が好ましく、0〜20質量%がより好ましい。
中間層組成物の乾燥物(以下、中間層原料ともいう。)は、陶器素地組成物の乾燥物(以下、陶器素地原料ともいう。)と後述する上釉層組成物の乾燥物(以下、釉原料ともいう。)との混合物であってもよい。
中間層原料が陶器素地原料と釉原料との混合物である場合、陶器素地原料/釉原料で表される質量比(以下、「素地/釉薬比」ともいう。)は、20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましく、40/60〜60/40がさらに好ましい。素地/釉薬比が上記下限値以上であると、陶器素地10と中間層20との結着性を高めやすい。素地/釉薬比が上記上限値以下であると、中間層20と上釉層30との界面を平坦にしやすい。
衛生陶器1の「深み」をより向上する観点から、中間層原料は、陶器素地原料と釉原料との混合物が好ましい。
また、中間層組成物は、陶器素地組成物と上釉層組成物とを上記素地/釉薬比となるように混合した混合物であってもよい。
中間層組成物は、顔料を含有することが好ましい。中間層組成物が顔料を含有することで、中間層20を着色できる。中間層20を着色することで、陶器素地10の色を隠蔽できる。陶器素地10の色を隠蔽することで、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。
顔料としては、ケイ酸ジルコニウム、酸化アルミニウム等が挙げられる。
中間層組成物が顔料を含有する場合、顔料の含有量は、中間層組成物に含まれる固形分の総質量に対して、3〜15質量%が好ましく、6〜15質量%がより好ましい。
中間層組成物の溶融開始温度は、第一溶融温度で規定できる。
第一溶融温度は、下記測定方法Iにより測定される。
<測定方法I>
アルミナ粉末を基準物質とし、衛生陶器用の中間層組成物の乾燥物を試料粉末としてDTA測定を行い、DTA曲線を求める。得られたDTA曲線の700℃超の領域において、試料粉末の温度から基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点における基準物質の温度を第一溶融温度とする。第一溶融温度よりも高温側の領域において、電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における基準物質の温度を第二溶融温度とする。
DTA曲線は、示差熱分析(DTA)装置を用いて、DTA測定を行うことにより求められる。DTA測定は、TG−DTA測定(熱重量示差熱分析測定)であってもよい。DTA測定は、アルミナ粉末を基準物質とし、中間層組成物の乾燥物を試料粉末とする。中間層組成物の乾燥物は、例えば、中間層組成物を20〜110℃に加熱して、水分を蒸発させることにより得られる。中間層組成物の乾燥物の総質量に対する水分量は、例えば、0〜1質量%である。
DTA測定においては、試料粉末の温度及び基準物質の温度を一定のプログラムによって変化させながら、試料粉末の温度から基準物質の温度を減じた値ΔT((試料粉末の温度)−(基準物質の温度))を示す電位差ΔVを温度の関数として測定する。DTA曲線において、基準物質の温度が700℃超の領域で現れる変曲点のうち、電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点を第一変曲点とする。第一変曲点における基準物質の温度を第一溶融温度とする。第一溶融温度よりも高温側の領域で現れる変曲点のうち、電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点を第二変曲点とする。第二変曲点における基準物質の温度を第二溶融温度とする。
図2は、衛生陶器1の中間層20を形成する中間層組成物のTG−DTA測定を行ったときに得られるTG−DTAのグラフである。TG−DTAのグラフにおいて、横軸は基準物質の温度(℃)を表す。縦軸の第一軸は、試料粉末の質量変化(質量%)を表す。縦軸の第二軸は、試料粉末の温度から基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔV(μV)を表す。
図2において、C1は、TG曲線を表す。C2は、DTA曲線を表す。C2は、基準物質の温度が700℃超の領域で、基準物質の温度の上昇とともに電位差ΔVが横ばいから徐々に小さくなり、その小さくなる度合いが大きくなる第一変曲点P1が現れる。第一変曲点P1では、中間層組成物が溶融を開始し、中間層組成物のガラス構造が緩み始めているものと考えられる。第一変曲点P1は、C2の傾き(ΔVの増加量/基準物質の温度の増加量)が大きく変化するときの変化前のC2に引いた接線と、変化後のC2に引いた接線との交点で与えられる。第一変曲点P1における基準物質の温度が第一溶融温度である。なお、第一溶融温度は、一般的なTG−DTAのグラフにおける補外溶融開始温度の求め方と同様にして求められる(JIS K7121−1987参照)。
C2は、第一変曲点P1が現れた後、ΔVがさらに減少し、次いでΔVが大きくなる第二変曲点P2を有する。第二変曲点P2では、中間層組成物が溶融し、中間層組成物のガラス構造が完全に緩んでいるものと考えられる。第二変曲点P2は、C2の傾きが最小となるときのC2に引いた接線と、C2の傾きが正となるときのC2に引いた接線との交点で与えられる。第二変曲点P2における基準物質の温度が第二溶融温度である。なお、第二溶融温度は、一般的なTG−DTAのグラフにおける溶融ピーク温度の求め方と同様にして求められる(JIS K7121−1987参照)。
DTA測定において、基準物質の質量は、例えば、5〜50mgが好ましい。
試料粉末の質量は、例えば、5〜50mgが好ましい。
中間層組成物の乾燥物を得る際の加熱温度は、例えば、20〜110℃が好ましい。
試料粉末を加熱する際の昇温速度は、例えば、2〜10℃/分が好ましい。
中間層組成物の第一溶融温度は、850〜960℃が好ましく、910〜950℃がより好ましく、930〜950℃がさらに好ましい。中間層組成物の第一溶融温度が上記下限値以上であると、中間層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。中間層組成物の第一溶融温度が上記上限値以下であると、上釉層30と中間層20との界面を平坦にしやすい。
中間層組成物の第二溶融温度は、上記測定方法Iにより測定される。
中間層組成物の第二溶融温度は、1090〜1230℃であり、1095〜1225℃が好ましく、1100〜1220℃がより好ましい。中間層組成物の第二溶融温度が上記下限値以上であると、中間層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。中間層組成物の第二溶融温度が上記上限値以下であると、上釉層30と中間層20との界面を平坦にしやすい。その結果、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制でき、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。
中間層組成物の第二溶融温度と第一溶融温度との差(中間層溶融温度差)は、50〜300℃が好ましく、100〜300℃がより好ましく、230〜300℃がさらに好ましい。中間層溶融温度差が上記下限値以上であると、中間層組成物を焼成するときに発生する気泡の平均気泡径を小さくしやすい。中間層溶融温度差が上記上限値以下であると、中間層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。
中間層溶融温度差は、中間層組成物の第二溶融温度から、中間層組成物の第一溶融温度を減じることにより求められる。
中間層組成物の第一溶融温度は、中間層原料の種類、中間層原料の配合割合、中間層組成物の固形分の平均粒子径、及びこれらの組合せにより調整できる。
中間層組成物の第二溶融温度は、中間層組成物の第一溶融温度と同様に調整できる。
中間層20を備える衛生陶器1から中間層20の溶融開始温度を求める場合、第一溶融温度、第二溶融温度は、下記測定方法IIにより測定される。
<測定方法II>
アルミナ粉末を基準物質とし、中間層20の粉末を試料粉末としてDTA測定を行い、DTA曲線を求める。得られたDTA曲線の700℃超の領域において、試料粉末の温度から基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔV(μV)が、小さくなる最初の変曲点における基準物質の温度を第一溶融温度とする。第一溶融温度よりも高温側の領域において、電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における基準物質の温度を第二溶融温度とする。
中間層20の粉末は、中間層20を適宜切り出し、研磨等することにより得られる。DTA測定の条件は、上記測定方法IにおけるDTA測定の条件と同様である。
中間層20の第一溶融温度は、中間層組成物の第一溶融温度と同様である。
中間層20の第二溶融温度は、中間層組成物の第二溶融温度と同様である。
中間層20の第二溶融温度と第一溶融温度との差は、中間層組成物の第二溶融温度と第一溶融温度との差(中間層溶融温度差)と同様である。
本明細書において、「気泡」とは、実際に上釉層30又は中間層20に含まれる気泡を意味する。気泡は、例えば、上釉層30、陶器素地10、中間層組成物に含まれる成分の酸化反応、分解反応、上釉層30、陶器素地10、中間層組成物に含まれる空隙等により発生する。気泡は、上釉層30の切断面をマイクロスコープ等により観察した画像において、画像処理ソフトを用いて画像の明るさを2値化し、相対的に暗い箇所を気泡として判断することにより計数される。計数する気泡の大きさは、切断面における気泡を真円換算し、直径2μm以上とする。
計数する気泡は、例えば、以下の手順で求められる。
衛生陶器1を中間層20の厚さ方向に小型試料切断機を用いて切断する。切断した切断面をマイクロスコープ(オリンパス(株)製、DSX510)により、倍率125倍で観察する。観察した画像において、画像処理ソフトを用いて画像の明るさを2値化し、相対的に暗い箇所のそれぞれの面積で、πμm(直径2μmの気泡相当面積)以上のものを気泡として検出する。
中間層20を厚さ方向に切断した切断面の面積に対する気泡の面積の割合(以下、「中間層20の気泡面積率」ともいう。)は、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、12%以下がさらに好ましい。中間層20の気泡面積率が上記上限値以下であると、上釉層30に入射する光が中間層20中の気泡で乱反射されることを抑制しやすい。その結果、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制でき、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。中間層20の気泡面積率の下限値は、特に限定されないが、通常、1.0%以上である。
中間層20の気泡面積率(%)は、上述したマイクロスコープ等を用いて観察される画像において検出される気泡の総面積(mm)を、観察される画像における視野面積(mm)で除することにより求められる。
中間層20を厚さ方向に切断した切断面における気泡の平均気泡径(以下、「中間層20の切断面における気泡の平均気泡径」ともいう。)は、25μm以下が好ましく、20μm以下がより好ましく、15μm以下がさらに好ましい。中間層20の切断面における気泡の平均気泡径が上記上限値以下であると、上釉層30に入射する光が中間層20中の気泡で乱反射されることを抑制しやすい。その結果、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制でき、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。中間層20の切断面における気泡の平均気泡径の下限値は、2μmとする。
中間層20の切断面における気泡の平均気泡径(μm)は、上述したマイクロスコープ等を用いて観察される画像において、気泡として検出された部分のそれぞれの面積より真円換算で気泡径(直径)を計算し、気泡径の合計を検出された気泡数で除した平均値である。
中間層20を厚さ方向に切断した切断面における気泡数(以下、「中間層20の切断面における気泡数」ともいう。)は、1mm当たり1000個以下が好ましく、700個以下がより好ましく、500個以下がさらに好ましい。中間層20の切断面における気泡数が上記上限値以下であると、上釉層30に入射する光が中間層20中の気泡で乱反射されることを抑制しやすい。その結果、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制でき、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。中間層20の切断面における気泡数の下限値は、特に限定されないが、通常、1個以上である。
中間層20の切断面における気泡数(個/mm)は、上述したマイクロスコープ等を用いて観察される画像において検出される気泡の数を、観察される画像における視野面積(mm)で除することにより求められる。
中間層20の厚さT20は、例えば、200μm以上が好ましく、200〜1000μmがより好ましく、250〜800μmがさらに好ましく、300〜600μmが特に好ましい。厚さT20が上記下限値以上であると、中間層20と上釉層30との界面を平坦にしやすい。厚さT20が上記上限値以下であると、中間層組成物中の気泡を中間層20の外部に放出しやすい。
中間層20の厚さT20は、例えば、以下の手順で求められる。
衛生陶器1を中間層20の厚さ方向に小型試料切断機を用いて切断する。切断した切断面をマイクロスコープ(オリンパス(株)製、DSX510)により、倍率125倍で観察する。観察した画像において、上釉層30と中間層20との境界線(上中境界線)と、中間層20と陶器素地10との境界線(中素境界線)との距離を任意の20か所について測定する。測定した距離の算術平均値を中間層20の厚さT20とする。
衛生陶器1を切断する部位は特に限定されず、人の目に触れやすい部位が好ましい。人の目に触れやすい部位としては、例えば、洗面器の鉢面、洗面器の天面、小便器の天面、便器のリム部分、便器の鉢面、便器の側面等が挙げられる。
中間層20の厚さT20の最大値T20MAXと、中間層20の厚さT20の最小値T20MINとの差T20Δは、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。差T20Δが上記上限値以下であると、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制しやすい。その結果、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。差T20Δの下限値は、特に限定されないが、通常、0.1μm以上である。
差T20Δの厚さT20に対する割合(以下、「T20Δ/T20比」ともいう。)は、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。T20Δ/T20比が上記上限値以下であると、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制しやすい。その結果、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。T20Δ/T20比の下限値は、特に限定されないが、通常、0.01%以上である。
厚さT20の最大値T20MAX厚さT20の最小値T20MINとは、例えば、以下の手順で求められる。
中間層20の厚さT20を求める手順と同様に、上中境界線と中素境界線との距離を任意の20か所について測定する。測定した20か所のうち、上中境界線と中素境界線との距離が最大となるものを最大値T20MAXとする。測定した20か所のうち、上中境界線と中素境界線との距離が最小となるものを最小値T20MINとする。
上釉層30は、上釉層組成物の焼成物である。上釉層30は、衛生陶器1の最表面に位置する層を形成するための釉(釉薬)からなる層である。上釉層組成物は、いわゆる釉薬である。上釉層組成物は、釉原料であるケイ砂、長石、石灰、粘土等が水に分散されたスラリー(泥漿)である。
上釉層組成物の総質量に対する水の含有量は、40〜80質量%が好ましく、40〜70質量%がより好ましい。
上釉層組成物に含まれる固形分の平均粒子径は、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましい。上釉層組成物に含まれる固形分の平均粒子径が上記上限値以下であると、上釉層組成物に含まれる固形分の溶融開始温度を低くしやすい。
上釉層組成物に含まれる固形分の平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.1μm以上である。
上釉層組成物に含まれる固形分の平均粒子径は、例えば、釉原料を粉砕することにより調整できる。釉原料を粉砕する道具としては、例えば、ボールミルが挙げられる。
上釉層組成物に含まれる固形分の平均粒子径は、中間層組成物に含まれる固形分の平均粒子径と同様の方法により測定できる。
なお、上釉層組成物に含まれる固形分は、上釉層組成物の乾燥物である。
上釉層組成物としては、ケイ砂5〜25質量部、長石20〜40質量部、石灰5〜15質量部、粘土1〜5質量部を含有する組成物が挙げられる。
上釉層組成物は、上記の他、フリットを含有することが好ましい。
上釉層組成物がフリットを含有する場合、フリットの含有量は、上釉層組成物に含まれる固形分の総質量に対して、50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましい。フリットの含有量が上記下限値以上であると、上釉層組成物の溶融開始温度を低くしやすい。なお、フリットの含有量は、上釉層組成物に含まれる固形分の総質量に対して100質量%を超えないものとする。
上釉層組成物の溶融開始温度は、第一溶融温度、第二溶融温度又は第三溶融温度のいずれかで規定できる。
上釉層組成物の第一溶融温度は、800〜1050℃が好ましく、820〜1000℃がより好ましく、840〜950℃がさらに好ましい。上釉層組成物の第一溶融温度が上記下限値以上であると、上釉層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。上釉層組成物の第一溶融温度が上記上限値以下であると、上釉層組成物を焼成するときに発生した気泡を大気中に拡散しやすい。
上釉層組成物の第一溶融温度は、中間層組成物の第一溶融温度と同様の方法で測定できる(測定方法1−1)。測定方法1−1では、上記測定方法Iで用いた中間層組成物の乾燥物の粉末試料に代えて、上釉層組成物の乾燥物の粉末試料が用いられる。
上釉層組成物の第一溶融温度と中間層組成物の第一溶融温度との温度差(第一温度差)は、10〜120℃が好ましく、30〜115℃がより好ましく、60〜110℃がさらに好ましい。第一温度差が上記数値範囲内であると、上釉層30と中間層20との界面を平坦にしやすい。その結果、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制しやすい。
上釉層組成物の第二溶融温度は、850〜1150℃が好ましく、870〜1100℃がより好ましく、900〜1050℃がさらに好ましい。上釉層組成物の第二溶融温度が上記下限値以上であると、上釉層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。上釉層組成物の第二溶融温度が上記上限値以下であると、上釉層組成物を焼成するときに発生した気泡を大気中に拡散しやすい。
上釉層組成物の第二溶融温度は、中間層組成物の第二溶融温度と同様の方法で測定できる。
上釉層組成物の第二溶融温度と中間層組成物の第二溶融温度との温度差(第二温度差)は、10〜330℃が好ましく、100〜325℃がより好ましく、200〜320℃がさらに好ましい。第二温度差が上記数値範囲内であると、上釉層30と中間層20との界面を平坦にしやすい。その結果、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制しやすい。
上釉層組成物の第二溶融温度と第一溶融温度との差(上釉層溶融温度差)は、50〜120℃が好ましく、60〜100℃がより好ましく、70〜90℃がさらに好ましい。上釉層溶融温度差が上記下限値以上であると、上釉層組成物を焼成するときに発生する気泡の平均気泡径を小さくしやすい。上釉層溶融温度差が上記上限値以下であると、上釉層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。
上釉層溶融温度差は、上釉層組成物の第二溶融温度から、上釉層組成物の第一溶融温度を減じることにより求められる。
上釉層組成物の第一溶融温度は、釉原料の種類、釉原料の配合割合、上釉層組成物の固形分の平均粒子径、及びこれらの組合せにより調整できる。
上釉層組成物の第二溶融温度は、上釉層組成物の第一溶融温度と同様に調整できる。
第三溶融温度は、下記測定方法1−2により測定される。
<測定方法1−2>
衛生陶器用の上釉層組成物の乾燥物を加圧成形して円柱状試料を得る。得られた円柱状試料を加熱しつつ、光を照射する。円柱状試料の表面が反射する反射光の光量を測定する。反射光の光量が、光り始めに検出した反射光の光量の10倍以上となる最初の温度を第三溶融温度とする。
測定方法1−2において、円柱状試料は、衛生陶器用の上釉層組成物の乾燥物を加圧成形することにより得られる。
円柱状試料の直径は、例えば、2〜10mmが好ましい。円柱状試料の高さは、例えば、5〜20mmが好ましい。円柱状試料の質量は、例えば、100〜500mgが好ましい。上釉層組成物の乾燥物を加圧成形する際の圧力は、例えば、10〜50MPaが好ましい。
反射光の光量は、望遠レンズ付きデジタルカメラで撮影し、画像処理システムによりピクセル数に換算される値とする。
円柱状試料を加熱する際の反射光の光量は、1℃ごとに測定される。「光り始め」は、円柱状試料の表面が反射する反射光の光量が0でなくなったときを意味する。
円柱状試料を加熱する際の昇温速度は、例えば、1〜10℃/分が好ましい。
円柱状試料に照射する光の光量は、例えば、500〜2000ルーメンが好ましい。
第三溶融温度では、上釉層組成物が溶融を開始し、上釉層組成物のガラス構造が完全に緩んでいるものと考えられる。
上釉層組成物の第三溶融温度は、850〜1150℃が好ましく、870〜1100℃がより好ましく、900〜1050℃がさらに好ましい。上釉層組成物の第三溶融温度が上記下限値以上であると、上釉層組成物を焼成するときの気泡の発生を抑制しやすい。上釉層組成物の第三溶融温度が上記上限値以下であると、上釉層組成物を焼成するときに発生した気泡を大気中に拡散しやすい。
上釉層組成物の第三溶融温度は、上釉層組成物の第一溶融温度と同様に調整できる。
上釉層30を備える衛生陶器1から上釉層30の溶融開始温度を求める場合、第一溶融温度、第二溶融温度は、上釉層30の粉末を粉末試料として、上記記測定方法IIと同様の方法により測定される。
上釉層30の粉末は、上釉層30を適宜切り出し、研磨等することにより得られる。
上釉層30の第一溶融温度は、上釉層組成物の第一溶融温度と同様である。
上釉層30の第二溶融温度は、上釉層組成物の第二溶融温度と同様である。
上釉層30の第二溶融温度と第一溶融温度との差は、上釉層組成物の第二溶融温度と第一溶融温度との差(上釉層溶融温度差)と同様である。
上釉層30を備える衛生陶器1から上釉層30の第三溶融温度を求める場合、下記測定方法2−2により測定される。
<測定方法2−2>
上釉層30の粉末を加圧成形して円柱状試料を得る。得られた円柱状試料を加熱しつつ、光を照射する。円柱状試料の表面が反射する反射光の光量を測定する。反射光の光量が、光り始めに検出した反射光の光量の10倍以上となる最初の温度を第三溶融温度とする。
上釉層30の粉末は、上釉層30を適宜切り出し、研磨等することにより得られる。円柱状試料を得る際の条件は、上記測定方法1−2における円柱状試料を得る際の条件と同様である。
上釉層30の第三溶融温度は、上釉層組成物の第三溶融温度と同様である。
上釉層30を厚さ方向に切断した切断面の面積に対する気泡の面積の割合(以下、「上釉層30の気泡面積率」ともいう。)は、3%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。上釉層30の気泡面積率が上記上限値以下であると、上釉層30に入射する光が上釉層30中の気泡で乱反射されることを抑制しやすい。このため、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。上釉層30の気泡面積率の下限値は、特に限定されないが、通常、0.01%以上である。
上釉層30の気泡面積率は、中間層20の気泡面積率と同様の方法により求められる。
上釉層30を厚さ方向に切断した切断面における気泡の平均気泡径(以下、「上釉層30の切断面における気泡の平均気泡径」ともいう。)は、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。上釉層30の切断面における気泡の平均気泡径が上記上限値以下であると、上釉層30に入射する光が上釉層30中の気泡で乱反射されることを抑制しやすい。このため、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。上釉層30の切断面における気泡の平均気泡径の下限値は、2μmとする。
上釉層30の切断面における気泡の平均気泡径は、中間層20の切断面における気泡の平均気泡径と同様の方法により求められる。
上釉層30を厚さ方向に切断した切断面における気泡数(以下、「上釉層30の切断面における気泡数」ともいう。)は、1mm当たり120個以下が好ましく、100個以下がより好ましく、80個以下がさらに好ましい。上釉層30の切断面における気泡数が上記上限値以下であると、上釉層30に入射する光が上釉層30中の気泡で乱反射されることを抑制しやすい。このため、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。上釉層30の切断面における気泡数の下限値は、特に限定されないが、通常、1個以上である。
上釉層30の切断面における気泡数は、中間層20の切断面における気泡数と同様の方法により計数できる。
上釉層30の厚さT30は、例えば、100μm以上が好ましく、100〜1000μmがより好ましく、150〜800μmがさらに好ましく、200〜600μmが特に好ましい。厚さT30が上記下限値以上であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。厚さT30が上記上限値以下であると、上釉層組成物中の気泡を上釉層30の外部に放出しやすい。
上釉層30の厚さT30は、例えば、以下の手順で求められる。
衛生陶器1を上釉層30の厚さ方向に小型試料切断機を用いて切断する。切断した切断面をマイクロスコープ(オリンパス(株)製、DSX510)により、倍率125倍で観察する。観察した画像において、上釉層30の表面と、上釉層30と中間層20との境界線(上中境界線)との距離を任意の20か所について測定する。測定した距離の算術平均値を上釉層30の厚さT30とする。
上釉層30の厚さT30の最大値T30MAXと、上釉層30の厚さT30の最小値T30MINとの差T30Δは、50μm以下が好ましく、40μm以下がより好ましく、30μm以下がさらに好ましい。差T30Δが上記上限値以下であると、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制しやすい。差T30Δの下限値は、特に限定されないが、通常、0.1μm以上である。
差T30Δの厚さT30に対する割合(以下、「T30Δ/T30比」ともいう。)は、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。T30Δ/T30比が上記上限値以下であると、上釉層30と中間層20との界面における光の乱反射を抑制しやすい。T30Δ/T30比の下限値は、特に限定されないが、通常、0.01%以上である。
厚さT30の最大値T30MAX厚さT30の最小値T30MINとは、例えば、以下の手順で求められる。
上釉層30の厚さT30を求める手順と同様に、上釉層30の表面と上中境界線との距離を任意の20か所について測定する。測定した20か所のうち、上釉層30の表面と上中境界線との距離が最大となるものを最大値T30MAXとする。測定した20か所のうち、上釉層30の表面と上中境界線との距離が最小となるものを最小値T30MINとする。
差T30Δは、上釉層30と中間層20との界面を平坦に形成することにより制御できる。中間層組成物の溶融開始温度、中間層20を厚さ方向に切断した切断面における平均気泡径、中間層20を厚さ方向に切断した切断面の面積に対する気泡の面積の割合、及びこれらの組合せにより、上釉層30と中間層20との界面の平滑性を制御できる。
[衛生陶器の製造方法]
次に、本実施形態の衛生陶器1の製造方法について説明する。
まず、陶器素地10を用意する。陶器素地10は、陶器素地組成物を成形したもの以外に、焼成して成形したものでもよく、予め成形された、又は成形して焼成された市販品であってもよい。
陶器素地組成物を焼成する場合、焼成温度は、例えば、1100〜1300℃が好ましく、1150〜1250℃がより好ましい。焼成温度が上記下限値以上であると、陶器素地10の強度を高めやすい。焼成温度が上記上限値以下であると、陶器素地10の変形を抑制しやすい。
次に、中間層組成物を陶器素地10の表面に塗布する。中間層組成物を陶器素地10の表面に塗布する方法は、特に限定されず、浸し掛け、流し掛け、吹き掛け、塗り掛け等、一般的な方法を適宜選択できる。中間層20の厚さを確保する観点から、中間層組成物を陶器素地10の表面に塗布する方法は、浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのうちのいずれかが好ましい。中間層20の厚さを均一にしやすい観点から、中間層組成物を陶器素地10の表面に塗布する方法は、吹き掛けが好ましい。
浸し掛けとしては、ディップコーティング法が挙げられる。吹き掛けとしては、スプレーコーティング法が挙げられる。
中間層組成物の塗布量は、特に限定されず、焼成後の中間層20の厚さを200μm以上にできるように調整することが好ましい。中間層組成物の塗布量は、中間層組成物の水の含有量、中間層組成物の粘度、中間層組成物に含まれる固形分の平均粒子径等を適宜調整することにより調整できる。
中間層組成物を陶器素地10の表面に塗布することにより、一次塗布体が得られる。
一次塗布体を乾燥することにより、一次塗布体の表面に上釉層組成物を塗布しやすくなる。このため、一次塗布体は、乾燥することが好ましい。
一次塗布体を乾燥する際の温度は、20〜110℃が好ましく、30〜100℃がより好ましく、40〜90℃がさらに好ましい。一次塗布体を乾燥する際の温度が上記下限値以上であると、中間層組成物の水の含有量を低減しやすい。一次塗布体を乾燥する際の温度が上記上限値以下であると、中間層20の表面を平坦にしやすい。
一次塗布体を乾燥する時間は、0.5〜48時間が好ましい。一次塗布体を乾燥する時間が上記下限値以上であると、中間層組成物を充分に乾燥しやすい。一次塗布体を乾燥する時間が上記上限値以下であると、衛生陶器1の生産性を向上しやすい。
次に、一次塗布体の表面に上釉層組成物を塗布する。上釉層組成物を塗布する方法は、上釉層30の厚さを調整しやすくする観点から、吹き掛け(スプレー掛け)が好ましい。
上釉層組成物の塗布量は、特に限定されず、焼成後の上釉層30の厚さを100μm以上にできるように調整することが好ましい。上釉層組成物の塗布量は、上釉層組成物の水の含有量、上釉層組成物の粘度、上釉層組成物に含まれる固形分の平均粒子径等を適宜調整することにより調整できる。
上釉層組成物を一次塗布体の表面に塗布することにより、二次塗布体が得られる。
次に、二次塗布体を焼成する。二次塗布体を焼成する際の焼成温度としては、陶器素地10が焼結し、かつ、中間層組成物と上釉層組成物とが軟化する温度が好ましい。二次塗布体を焼成する際の焼成温度は、例えば、1100〜1300℃が好ましく、1150〜1250℃がより好ましい。二次塗布体を焼成する際の焼成温度が上記下限値以上であると、上釉層組成物を充分に溶融しやすい。加えて、二次塗布体を焼成する際の焼成温度が上記下限値以上であると、中間層組成物を充分に溶融しやすい。二次塗布体を焼成する際の焼成温度が上記上限値以下であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。加えて、二次塗布体を焼成する際の焼成温度が上記上限値以下であると、中間層20と上釉層30との界面を平坦にしやすい。
二次塗布体を焼成する焼成時間は、1〜168時間が好ましく、2〜72時間がより好ましく、3〜24時間がさらに好ましい。二次塗布体を焼成する焼成時間が上記下限値以上であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。加えて、二次塗布体を焼成する焼成時間が上記下限値以上であると、中間層20と上釉層30との界面を平坦にしやすい。二次塗布体を焼成する焼成時間が上記上限値以下であると、衛生陶器1の生産性を向上しやすい。
二次塗布体を焼成することにより、焼成品が得られる。焼成品は、冷却することにより、衛生陶器1となる。衛生陶器1は、焼成品を自然放冷することにより得てもよく、送風する等、冷却することにより得てもよい。
焼成品を冷却する際の温度域は、800〜1300℃が好ましく、900〜1250℃がより好ましい。焼成品を冷却する際の温度域が上記下限値以上であると、気泡を上釉層30の外部に放出しやすい。焼成品を冷却する際の温度域が上記上限値以下であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。
焼成品を冷却する際の降温速度は、30℃/分以下が好ましく、10℃/分以下がより好ましく、0.1℃/分以下がさらに好ましい。焼成品を冷却する際の降温速度が上記上限値以下であると、気泡を上釉層30の外部に放出しやすい。加えて、焼成品を冷却する際の降温速度が上記上限値以下であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。
衛生陶器1は、中間層組成物を陶器素地10の表面に、浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのいずれかにより塗布した後焼成して一次焼成体を得(第一焼成工程)、前記一次焼成体に上釉層組成物を塗布して焼成すること(第二焼成工程)によって得てもよい。
第一焼成工程の焼成温度は、800〜1000℃が好ましく、850〜950℃がより好ましい。第一焼成工程の焼成温度が上記下限値以上であると、中間層組成物を充分に溶融しやすい。加えて、陶器素地10、中間層20のガス抜きがされ、上釉層30への気泡の混入を抑制しやすい。第一焼成工程の焼成温度が上記上限値以下であると、中間層20の表面を平坦に形成しやすく、上釉層組成物との密着性を向上しやすい。
第一焼成工程の焼成時間は、1〜168時間が好ましく、2〜72時間がより好ましく、3〜24時間がさらに好ましい。第一焼成工程の焼成時間が上記下限値以上であると、中間層20の表面を平坦に形成しやすい。加えて、陶器素地10、中間層20のガス抜きがされ、上釉層30への気泡の混入を抑制しやすい。第一焼成工程の焼成時間が上記上限値以下であると、衛生陶器1の生産性を向上しやすい。
一次塗布体を焼成することにより一次焼成体が得られる。
一次焼成体は、上釉層組成物を塗布する前に冷却することが好ましい。一次焼成体を冷却する際の温度は、800〜1000℃が好ましく、850〜950℃がより好ましい。一次焼成体を冷却する際の温度が上記下限値以上であると、気泡を中間層20の外部に放出しやすい。一次焼成体を冷却する際の温度が上記上限値以下であると、中間層20の表面を平坦に形成しやすい。
一次焼成体を冷却する際の降温速度は、30℃/分以下が好ましく、10℃/分以下がより好ましい。一次焼成体を冷却する際の降温速度が上記上限値以下であると、気泡を中間層20の外部に放出しやすい。加えて、一次焼成体を冷却する際の降温速度が上記上限値以下であると、中間層20の表面を平坦に形成しやすい。
次に、一次焼成体の表面に上釉層組成物を塗布する。一次焼成体の表面に上釉層組成物を塗布する方法は、上釉層30の厚さを調整しやすくする観点から、吹き掛け(スプレー掛け)が好ましい。
一次焼成体の表面に上釉層組成物を塗布する際の塗布量は、一次塗布体の表面に上釉層組成物を塗布する際の塗布量と同様である。
上釉層組成物を一次焼成体の表面に塗布することにより、二次塗布体が得られる。
次に、二次塗布体を焼成する(第二焼成工程)。第二焼成工程の焼成温度は、1100〜1300℃が好ましく、1150〜1250℃がより好ましい。第二焼成工程の焼成温度が上記下限値以上であると、上釉層組成物を充分に溶融しやすい。第二焼成工程の焼成温度が上記上限値以下であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。
第二焼成工程の焼成時間は、1〜168時間が好ましく、2〜72時間がより好ましく、3〜24時間がさらに好ましい。第二焼成工程の焼成時間が上記下限値以上であると、上釉層30の表面を平坦に形成しやすい。第二焼成工程の焼成時間が上記上限値以下であると、衛生陶器1の生産性を向上しやすい。
第二焼成工程により焼成品が得られる。焼成品は、冷却することにより、衛生陶器1となる。焼成品を冷却する際の温度は、上述した焼成品を冷却する際の温度と同様である。焼成品を冷却する際の降温速度は、上述した焼成品を冷却する際の降温速度と同様である。
一次焼成体を経由して衛生陶器1を得ることにより、中間層20と上釉層30との界面をより平坦に形成しやすい。また、中間層20及び上釉層30に含まれる気泡の数を減らしやすい。このため、衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい。
衛生陶器1の「深み」をより向上しやすい観点から、本発明の衛生陶器の製造方法は、一次焼成体を経由して衛生陶器1を得ることが好ましい。
以上、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明したが、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、上記の実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
上述した実施形態では、衛生陶器1は、陶器素地10と中間層20と上釉層30とを備える。しかしながら、本発明は上述した実施形態に限定されず、例えば、衛生陶器は、上釉層30と中間層20の間に他の釉薬層を有していてもよく、釉薬層は、複数層になってもよい。すなわち、衛生陶器は、陶器素地の表面に、中間層、次いで、単層又は複層の釉薬層、さらにその上に、上釉層(釉薬層)を備える形態であってもよい。
衛生陶器の生産性の観点から、中間層と上釉層(釉薬層)の間に他の釉薬層を有しない方が好ましい。
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
本実施例において使用した原料は、下記の[使用原料]に示す通りである。
[使用原料]
<陶器素地原料>
A−1:陶石10質量部、長石40質量部、粘土50質量部(SiO70質量%、Al25質量%、NaOとKOとCaOとMgOとZnOとの合計5質量%)。
A−2:陶石30質量部、粘土70質量部(SiO65質量%、Al30質量%、NaOとKOとCaOとMgOとZnOとの合計5質量%)。
<釉原料>
B−1:SiO63質量%、Al10質量%、NaOとKOとCaOとMgOとZnOとSrOとBaOとBとの合計20質量%、その他7質量%。
B−2:SiO64質量%、Al12質量%、NaOとKOとCaOとMgOとZnOとSrOとBaOとBとの合計24質量%。
<中間層原料>
陶器素地原料A−2と、釉原料B−1とを表1に記載の質量比(素地/釉薬比)で混合した混合物。
<顔料>
D−1:ケイ酸ジルコニウム(ハクスイテック(株)製、品名「ミクロパックス」)。
[陶器素地の調製]
陶器素地原料A−1を1kg、水を0.4kg混合し、混合物を得た。その混合物をボールミルにより20時間粉砕し、陶器素地組成物を得た。
次に、長さ100mm、幅100mm、厚さ10mmの石膏型に前記陶器素地組成物を流し込み、陶器素地を得た。
[フリットの調製]
フリット原料として釉原料B−2を1500℃で溶融させてフリットF−1を得た。
[中間層組成物の調製]
中間層原料1kgと、顔料(D−1)0.1kgと、水0.4kgとを混合し、混合物を得た。その混合物をボールミルにより20時間粉砕し、各例の中間層組成物を得た。なお、実施例5では、顔料D−1を添加しなかった。
[上釉層組成物の調製]
フリットF−1を1kg、水を0.6kg混合し、混合物を得た。その混合物をボールミルにより30時間粉砕し、粘性調整のため、カルボキシメチルセルロース等の粘性調整剤を添加し、上釉層組成物を得た。
[実施例1〜7、比較例1〜2]
[衛生陶器の調製]
上記陶器素地に各例の中間層組成物をスプレーコーティング法により塗布して、60℃で1時間乾燥させた後、上記上釉層組成物をスプレーコーティング法により塗布して二次塗布体を得た。二次塗布体を1220℃で20時間焼成し、直方体の衛生陶器の試料を得た。
<上釉層の厚さの測定>
小型試料切断機を用いて、各例の試料を試料の長さ方向の一辺の中点を通り試料の幅方向と平行な面で厚さ方向に切断した。切断した切断面をマイクロスコープ(オリンパス(株)製、DSX510)により、倍率125倍で観察した。観察した画像の幅方向の一端から他端までを幅方向に10等分して、それぞれ2か所の上釉層の表面と上中境界線との距離(L30)を測定した。一つの試料につき合計20か所の上記距離(L30)を測定し、上記距離(L30)の平均値を上釉層の厚さとした。結果を表1に示す。
<中間層の厚さの測定>
上釉層の厚さで観察した画像を用いて、観察した画像の幅方向の一端から他端までを幅方向に10等分して、それぞれ2か所の上中境界線と中素境界線との距離(L20)を測定した。一つの試料につき合計20か所の上記距離(L20)を測定し、平均値を求め、中間層の厚さとした。結果を表1に示す。
<第一溶融温度の測定>
各例で用いた中間層組成物を80℃で2時間乾燥させて各例の試料粉末を得た。DTA装置(株式会社リガク製、TG8121)を用い、常温(25℃)の空気を200mL/分の流量で通流しながら、アルミナ粉末(基準物質)30mgと各例の試料粉末30mgとを、昇温速度3℃/分で加熱してDTA測定を行った。得られたDTA曲線において、基準物質の温度が700℃超の領域で現れる試料粉末の温度から基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる第一変曲点を求め、第一変曲点における基準物質の温度を第一溶融温度とした。測定した第一溶融温度を表1に示す。
<第二溶融温度の測定>
上記DTA曲線において、第一溶融温度よりも高温側に現れ、試料粉末の温度から基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点(第二変曲点)を求め、第二変曲点における基準物質の温度を第二溶融温度とした。測定した第二溶融温度を表1に示す。
<隠蔽性の評価>
得られた各例の衛生陶器の試料のエッジ部(平面視正方形の各辺から5mmまでの部分)を目視で観察し、エッジ部の透けの有無を確認した。下記評価基準に基づいて陶器素地の隠蔽性を評価した。結果を表1に示す。
《評価基準》
○:陶器素地が透けて見えない。
×:陶器素地が透けて見える。
<写像性の測定>
各例の試料を準備し、ウェーブスキャンDOI測定装置(BYK Gardner社製、Wave−ScanDOI)によって、DOI値を測定した。結果を表1に示す。
<「深み」の評価>
各例の試料を準備し、室内で蛍光灯にかざし、「深み」として光の奥行感、表面の綺麗さを感じるか、という観点から、外観感応評価を実施した。外観感応評価は、被験者10人で実施し、下記評価基準に基づいて、「深み」を評価した。「◎」又は「○」を合格とした。結果を表1に示す。
《評価基準》
◎:「深み」を感じる被験者の数が8人以上。
○:「深み」を感じる被験者の数が6人以上。
△:「深み」を感じる被験者の数が5人以上。
×:「深み」を感じる被験者の数が4人以下。
Figure 2019218241
表1に示すように、本発明を適用した実施例1〜7は、「深み」の評価が「◎」又は「○」で、衛生陶器の「深み」をより向上できていることが分かった。
一方、中間層組成物の第二溶融温度が本発明の適用範囲外である比較例1〜2は、「深み」の評価が「△」だった。
本発明の中間層組成物によれば、衛生陶器の「深み」をより向上できることが分かった。
1 衛生陶器
10 陶器素地
20 中間層
30 上釉層
C1 TG曲線
C2 DTA曲線
P1 第一変曲点
P2 第二変曲点

Claims (9)

  1. 陶器素地と前記陶器素地の表面に位置する上釉層との間に位置する中間層を形成する中間層組成物において、
    釉原料を含む中間層原料が水に分散されたスラリーであり、下記測定方法Iで測定される第二溶融温度が1090〜1230℃である、衛生陶器用の中間層組成物。
    <測定方法I>
    アルミナ粉末を基準物質とし、衛生陶器用の中間層組成物の乾燥物を試料粉末としてDTA曲線を求め、前記DTA曲線の700℃超の領域において、前記試料粉末の温度から前記基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第一溶融温度とし、前記第一溶融温度よりも高温側の領域において、前記電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第二溶融温度とする。
  2. 前記第一溶融温度が850〜960℃である、請求項1に記載の衛生陶器用の中間層組成物。
  3. 顔料を含有する、請求項1又は2に記載の衛生陶器用の中間層組成物。
  4. 陶器素地と、前記陶器素地の表面に位置する上釉層と、前記陶器素地と前記上釉層との間に位置する中間層とを備え、下記測定方法IIで測定される前記中間層の第二溶融温度が1090〜1230℃である、衛生陶器。
    <測定方法II>
    アルミナ粉末を基準物質とし、前記中間層の粉末を試料粉末としてDTA曲線を求め、前記DTA曲線の700℃超の領域において、前記試料粉末の温度から前記基準物質の温度を減じた値ΔTを示す電位差ΔVが、小さくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第一溶融温度とし、前記第一溶融温度よりも高温側の領域において、前記電位差ΔVが、大きくなる最初の変曲点における前記基準物質の温度を第二溶融温度とする。
  5. 前記中間層の前記第一溶融温度が850〜960℃である、請求項4に記載の衛生陶器。
  6. 前記中間層の厚さが200μm以上である、請求項4又は5に記載の衛生陶器。
  7. 前記上釉層の厚さが100μm以上である、請求項4〜6のいずれか一項に記載の衛生陶器。
  8. 前記中間層を形成する中間層組成物を前記陶器素地の表面に、浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのいずれかにより塗布し、乾燥し、次いで、前記中間層組成物を塗布した面に、前記上釉層を形成する上釉層組成物を塗布する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造方法。
  9. 前記中間層を形成する中間層組成物を前記陶器素地の表面に、浸し掛け、流し掛け、塗り掛け、又は吹き掛けのいずれかにより塗布した後焼成して一次焼成体を得、前記一次焼成体に前記上釉層を形成する上釉層組成物を塗布して焼成する、請求項4〜7のいずれか一項に記載の衛生陶器の製造方法。
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