JP4013923B2 - エキシマランプ - Google Patents
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Description
これらエキシマランプは、放電容器の形状が全体円筒状であり、放電容器の少なくとも一部は誘電体材料を介在させる放電(誘電体バリア放電)を行う誘電体を兼ねており、この誘電体の少なくとも一部はエキシマ分子から放射される真空紫外光(波長200nm以下の光)に対して透光性であって、さらに、放電容器の外面には一方の電極として網状電極が設けられたものである。
エキシマランプ1は全体形状が円筒状であり合成石英ガラスから構成される。放電ランプ1は外側管51と内側管52が同軸に配置して二重円筒管を構成するとともに、両端を閉じたことから外側管51と内側管52の間に放電空間が形成される。放電空間には誘電体バリア放電によってエキシマ分子を形成するとともに、このエキシマ分子から真空紫外光を放射する放電用ガス、例えばキセノンガスが封入される。数値例をあげると、放電ランプ1は全長800mm、外径27mm、内側管52の外径は16mm、外側管51と内側管52の肉厚は1mmであり、400Wで点灯させる。
内側管52の内面に一方の電極である内側電極2が設けられ、外側管51の外面には他方の電極である網状外側電極3が設けられる。内側電極2はパイプ状のものであり、網状電極3はシームレスに構成され、全体として伸縮性を有することから外側管51の密着性を良くすることができる。
内側電極2、外側電極3の間には、図示略の交流電源が接続され、これにより放電空間にエキシマ分子が形成されて紫外光を発光する。放電用ガスとしてキセノンガスを使った場合は波長172nmの光を放射する。
第一に、内側管、外側管という2つの石英ガラス管を二重円筒型とするので放電容器全体が大きくなる。また、内側管は端部で溶着支持されているため重力の影響を受けて破損しやすい。
第二に、2つの石英ガラス管を両端部で接合させるための製造工程が必要となり、この製造工程は複雑、かつ煩雑である。
第三に、内側管は冷却可能な外側管に比べて高温となり、熱膨張による大きな負荷がかかり、特に、外側管との接合部に応力が集中して破損しやすく、ランプが長尺化するほどその影響は深刻である。
図12に上記従来例の構造を示す。この構造は放電容器60が1つの円筒体からなり、該放電容器60内の放電空間内には、内側電極61が軸方向に延在しており、前記放電容器60の外面には外側電極62が設けられている。
しかしながら、内側電極が放電空間内に露出しているため、内側電極に直接放電が生じて、内側電極が劣化しやすく、放電が不安定になる問題がある。さらに、劣化した電極成分が放電空間内に放出して放電容器にスパッタが生じて、早期に照度低下が起こるという問題もある。また、内側電極に直接放電するため、内側電極および放電用ガスの温度が上昇しやすく、その結果、発光効率も低下しやすい。
また、誘電体材料が一方の電極近傍にしか存在しないため、交流点灯させると正側と負側で放電のバランスが崩れる。
更には、電極への給電極性に留意しないとアーク状の放電が生成されてしまいエキシマ光が効率良く生成されず、一端、アーク状の放電が形成されると、その部分が赤熱して電極が焼き切れる、等の別の問題がある。
更には、前記内側管が支持部材により放電容器に支持されていることを特徴とする。
加えて、前記支持手段が内側管に取り付けられていて、放電容器には該支持部材の長手方向への移動を規制する固定手段が形成されていることを特徴とする。
更には、前記内側管が内側電極に支持されていることを特徴とする。
あるいは、前記内側管の一端部が放電空間内で開放され、他端部が放電容器と連結されていることを特徴とする。
あるいは、前記内側電極は、放電容器の両端で封止され、少なくともその一部分に長手方向に伸縮可能な弾性部が形成されていることを特徴とする。
加えて、内側管はその端部が放電空間内で開放されているので、長手方向への熱膨張が拘束されることなく自由に伸縮されるため、放電容器と両端部で接合した構造に基づく応力集中や熱歪みによる損傷・破損という問題が解消される。
また、内側管内の放電ガスがその開放端を介して放電空間内に流通できるので、内側管に覆われる内側電極の温度上昇を抑制し、その損耗を防止できるとともに、放電容器内の温度が平均化されて放電用ガスの温度上昇が抑えられて、光出力の低下が防止できる。
エキシマランプ1は、全体が管状の放電容器10から構成されており、放電用ガスが充填された発光部11と、その両端に発光部11を気密する封止部12が形成される。放電容器10の材質は誘電体バリア放電によって誘電体として機能するとともに、真空紫外光を良好透過する材料、例えば合成石英ガラスから構成される。
放電容器10の内部には、棒状の内側電極2が放電容器10の略中心を伸びるように配置して、放電容器10の外面には外側電極3が密着するように配置する。内側電極2の両端は、封止部12において、それぞれ金属箔13に接合されて、さらに金属箔13には外部リード14が接合している。
発光部11の内部に形成される放電空間には、誘電体材料を介在する放電(誘電体バリア放電)によってエキシマ分子を形成するとともに、このエキシマ分子から真空紫外光を放射する放電用ガス、例えばキセノンガスが封入される。
前記内側電極2と内側管22は微小間隙を介して緩く密着していてもよいし、もっと大きな隙間が形成されていてもよい。また、前記コイル状弾性部21は必ずしも内側電極2の2箇所に設ける必要はなく、少なくとも一部に設けてあればよい。
そして、内側管22は、リング状の支持部材30により、放電容器10の内部に固定される。この支持部材30は、内側管22に嵌合されてその内側管22に溶着や接着により固定されている。
この場合、内側管22が長手方向に移動することを防止するために、内側電極2に形成したコイル状の弾性部21を内側管22の長手方向への移動規制部材として機能させることもできる。この場合には、弾性部21を内側管22の端部に隣接させて配置し、かつ、少なくともその内径よりも大径にするものである。
更には、内側管はその端部が放電空間内で開放される構造であるので、長手方向への熱膨張がなんら拘束されることがなく自由に伸縮されるため、放電容器と両端部で接合した従来構造に基づく損傷・破損という問題が解消される。また、内側管内の放電用ガスがその開放端を介して放電空間内に流通して内側電極の温度上昇を抑制し、その損耗を防止できるとともに、放電用ガスの温度が平均化されてその温度上昇が抑えられて、光出力の低下が防止できる。
図1に示すエキシマランプと相違する点は、内側電極2が棒状電極ではなくて全体がコイル形状の電極であること、および、外側電極3が網状電極ではなくて半円筒体状(樋状)の金属板より構成することである。
内側電極がコイル形状であることの利点は、細い径の金属ワイヤで構成されるため、棒状電極に比べ、重量を軽くできることである。重量が軽くなると、耐振動性、耐衝撃性の面で有利になる。また電極自体が弾性体であるため、棒状電極の場合のように、弾性部を別に設ける必要がなく、安価に製造できるという利点もある。
外側電極が半円筒体状金属板であることの利点は、網状電極に比べ組立作業性が良いことである。すなわち、網状電極の場合は、放電容器に通す、あるいは巻き付ける等の作業が必要であるが、半円筒体状電極の場合は、あらかじめ放電容器の外径に合わせて成型された部品をはめ込むだけで、組立作業が完了する。また、金属板が紫外線に対して反射性を持つ場合は、一方向の光出力を向上させることもできる。
内側電極2が内側管22で覆われている領域、逆に言えば、内側電極2が放電空間に露出する領域を規定するための説明図である。
図において、外側電極3の端部と内側管22の端部との距離Dは、少なくとも放電距離dの2倍より大きくなければならない(図は説明の便宜上、当該数値関係になっていない)。
すなわち、D>2dの関係を満たしていない場合は、内側電極2の露出部分と外側電極3において放電が強く発生する可能性があり、この放電は前記したように不安定な放電になりやすいからである。特に、交流点灯の場合は極性変換の度に、誘電体の位置で極性の関係が変化することから放電がアンバランスになりやすい。
なお、好ましくはD>4dの関係を満たすことであり、より好ましくはD>6dの関係を満たすことである。
内側管22は、該内側管22に溶着や接着などにより取り付けられた支持部材30によって放電容器10に対して支持される。該支持部材30によって、内側管22自身は勿論、内側電極2が重力によって垂下ることを防止されるものであり、当該垂下りによる内側管22の破損や、放電の位置的不均一を防止するためである。特に、放電容器10が長尺になると当該問題は顕著になり、一例をあげると、放電容器の長さ(放電空間の長さ)が500〜600mm以上になると支持部材の必要性は高まる。
また、(b)に示す2枚の板状支持部材30の場合には、これらの間に窪み100が係合している。
更に、(c)に示す板状支持部材30の場合には、該支持部材30の両側に2つの窪み100が形成されていて、内側管22の長手方向での移動を規制している。
そして、これらの窪み100は、例えばディンプル加工により作ることができる。
また、図4においては、放電容器10の一端の構造を示しているが、放電容器の中央部分や他端に複数の支持部材30を設けることもできる。
この場合、窪み100は全ての支持部材30において設ける必要は無く、少なくとも1ヶ所の支持部材に設けることで内側管22の長手方向での移動を規制することは可能である。
図7において、内側電極2は放電容器10の一端部、図においては右端部10aにおいてのみピンチシールなどにより封止されて外部に突出しており、放電容器10の左端部10bは閉じられた構造をしている。
この実施形態によれば、内側電極2は一端部でのみ放電容器10に封止されるので、熱膨張による該放電容器10への影響を更に減少することができる。
図8において、内側管22は左端22aが放電空間内で開放されており、右端22bは放電容器10に溶着などにより連結されている。
なお、当該実施形態6においても、上記実施形態1において述べたように、内側管22に支持部材30が取り付けられて放電容器10に対して内側管22を支持する構造を示したが、この実施形態においては、内側管22が一端部22bで放電容器10に連結されるので、特に小型ランプの場合などでは、内側管22を支える支持部材30が不要となることもある。
こうすることにより、支持部材30部分で放電が形成されないとか、他の発光部からの光が遮られて外部に放射されない、という不具合が解消される。すなわち、支持部材30を設ける構造では、該支持部材30が存在するためにこの部分では内外電極2、3間に放電空間が存在せず、該部分に放電が形成されないとか、他の発光部からの斜め方向の光が該支持部材30に遮光されて放電容器10外部に放射されない、といった不具合があるが、切り欠き31により支持部材30の下方にも放電空間を形成することにより、これらの不具合を解消することができる。
また、内側電極を管状にすることもできる。この場合、断面において一部に切り欠きを有する断面C字状とすることで内側管との密着性を高めることもできる。
以上のように、内側管の支持部材は、放電容器もしくは内側管のどちらか一方に取り付けられる構造とすればよい。
支持部材30の幅は3mm〜7mmであって、例えば、5mmである。
単一波長の光は、放電容器内の封入ガスによって決まり、キセノンガス(Xe)の場合は波長172nmの光、アルゴンガス(Ar)と塩素ガス(CL)の場合は波長175nmの光、クリプトン(Kr)と沃素(I)の場合は波長191nmの光、アルゴン(Ar)とフッ素(F)の場合は波長193nmの光、クリプトン(Kr)と臭素(Br)の場合は波長207nmの光、クリプトン(Kr)と塩素(CL)の場合は波長222nmの光を放射する。さらに、必要に応じて瞬時(1秒以内)に点滅点灯できるという特徴も有する。
エキシマ照射装置40は金属ブロック41より全体が箱型に形成される。
金属ブロック41には溝が設けられて、エキシマランプ10(10a、10b、10c)が溝に適合するように配置される。金属ブロック41には冷却水を流す冷却水用貫通孔42(42a、42b)と、エキシマランプ1の放射光を検知するセンサ43(43a、43b、43c)が配置される。金属ブロック41は高い伝熱特性と加工の容易性、さらには真空紫外光の高い反射特性から、例えばアルミニウムが採用される。なお、図示略であるが、金属ブロック41には放電容器に対する温度検知センサが配置される。
照射装置40の外部には給電装置45が配置される。
処理物Wには、酸素ガス、シラン系ガス、水素ガス、アルゴンガスなどの処理用ガスが供給され、これら処理用ガスとエキシマランプ1からの放射光が反応することで処理を行なわれる。
しかしながら、ランプと処理物の間に両者を区切る透過部材を設けることを排除しているわけではない。透過部材を設けることで処理物からの浮遊物がランプやその近傍に付着するという問題を解決できるなどの利点を有している。
2 内側電極
3 外側電極
10 放電容器
11 発光部
12 封止部
21 弾性部
22 内側管
30 支持部材
100 窪み(固定手段)
Claims (7)
- 紫外線を透過させる材料から構成されて内部に放電用ガスが封入された放電容器と、この放電容器の内部を長手方向に伸びるとともに放電容器の端部において気密に封止された内側電極と、放電容器の外面に配置された外側電極からなるエキシマランプにおいて、
前記内側電極は、少なくとも外側電極との間で放電を行う部位の外表面の全体が、少なくとも一端が放電空間内で開放された誘電体材料からなる内側管によって覆われていることを特徴とするエキシマランプ。 - 前記内側管の両端部が放電空間内で開放されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
- 前記内側管が支持部材により放電容器に支持されていることを特徴とする請求項2に記載のエキシマランプ。
- 前記支持部材が内側管に取り付けられていて、前記放電容器には、該支持部材の長手方向への移動を規制する固定手段が形成されていることを特徴とする請求項3に記載のエキシマランプ。
- 前記内側管が内側電極に支持されていることを特徴とする請求項2に記載のエキシマランプ。
- 前記内側管の一端部が放電空間内で開放され、他端部が放電容器と連結されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
- 前記内側電極は、放電容器の両端で封止され、少なくともその一部分に長手方向に伸縮可能な弾性部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載のエキシマランプ。
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