JP4011156B2 - 塗料組成物および塗膜並びに塗装品 - Google Patents

塗料組成物および塗膜並びに塗装品 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防錆、防食に用いられる塗料組成物および塗膜並びに塗装品に関するものであり、さらに詳しくは、コンクリート基材、金属基材等の基材に対する密着性に優れると共に、優れた防錆性や防食性を有する塗膜を得ることができる塗料組成物、および、該塗料組成物からなる塗膜、並びに、該塗料組成物を、基材表面に塗装してなる塗装品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、コンクリート基材や、配管等の鋼材等の金属基材表面を、種々の化学的侵食による損傷から保護するために、これらコンクリート基材や金属基材に対する各種表面処理が行われている。
【0003】
例えば、コンクリート基材は、大気中にさらされることが多い。このため、大気中の硫黄酸化物、窒素酸化物等を含む酸性雨等からコンクリート基材の損傷を防止するためには、コンクリート基材に、耐水性、耐酸性を付与する必要がある。そこで、酸性雨等によるコンクリート基材の損傷を防止すべく、合成樹脂等からなる塗料組成物がコンクリート基材表面にコーティングされている(例えば特開平5−1244号公報、特開平1−279981号公報、特開昭58−32666号公報)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
コンクリート基材や金属基材等の基材の表面を塗料組成物でコーティングする上で重要なことは、これらコンクリート基材や金属基材等の露出面を、ピンホールが全く残らないように完全に被覆することである。しかしながら、これら基材の露出面をピンホールが全く残らないように完全に被覆することは容易ではない。
【0005】
さらに、これら基材に塗料組成物をコーティングして基材に防錆性や防食性を付与することで防錆性や防食性に優れる塗装品を得る場合には、該塗料組成物としては、塗装時には充分な流動性を有し、塗装した場合にも垂れ下がりが発生しない等の作業性能を有し、かつ温度変化による膨張、収縮においても基材への優れた密着性を有するものであることが要求される。
【0006】
従って、塗料組成物を用いてコーティングにより基材表面を保護し、防錆や防食を行うためには、コーティングを行う際に、基材表面への塗料組成物の密着性を向上させる必要がある。加えて、酸性雨等による基材の損傷を防止するためには、上記塗料組成物としては、耐水性や耐酸性に優れた塗膜を形成できるものであることが要求される。
【0007】
しかしながら、上記従来の塗料組成物からなる塗膜は、耐水性、耐酸性が充分ではなく、防錆性や防食性に優れているとは言い難い。しかも、上記従来の塗料組成物からなる塗膜は、基材への密着性についても充分に優れているとは言い難い。このため、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性、防食性に優れた塗膜や塗装品が嘱望されていると共に、上記の性能を有する塗膜や塗装品を得ることができる塗料組成物が嘱望されている。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性、防食性に優れる塗膜や塗装品を得ることができる塗料組成物を提供することにある。また、本発明の他の目的は、基材への密着性に優れると共に、防錆性、防食性に優れる塗膜を提供することにある。そして、本発明のさらに他の目的は、基材と塗膜との密着性に優れると共に、防錆性、防食性に優れる塗装品を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明者等は、上記従来の問題を解決すべく鋭意検討した結果、水酸基およびカルボニル基を含有し、ラクトン環を形成してなる特定の構造単位および/または上記のラクトン環が開環してなる特定の構造単位を有する重合体を含む塗料組成物が、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性、防食性に優れる塗膜や塗装品を得ることができることを見い出して、本発明を完成させるに至った。
【0010】
即ち、請求項1記載の発明の塗料組成物は、上記の課題を解決するために、一般式(1)
【0011】
【化4】
Figure 0004011156
【0012】
(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表し、R3 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)
で表される構造単位および/または一般式(2)
【0013】
【化5】
Figure 0004011156
【0014】
(式中、R4 は水素原子または有機残基を表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、ヒドロキシアルキル基、または有機アミン基を表し、mは0、1または2の整数を表す)
で表される構造単位を有する重合体を含むことを特徴としている。
【0015】
請求項2記載の発明の塗料組成物は、上記の課題を解決するために、請求項1記載の塗料組成物において、上記重合体が、一般式(3)
【0016】
【化6】
Figure 0004011156
【0017】
(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表す)
で表される構造単位を有する重合体であることを特徴としている。
【0018】
請求項3記載の発明の塗膜は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の塗料組成物からなることを特徴としている。
【0019】
請求項4記載の発明の塗装品は、上記の課題を解決するために、請求項1または2記載の塗料組成物を、基材表面に塗装してなることを特徴としている。
【0020】
上記の構成によれば、一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とは、pHの変化に応じた可逆性を有している。つまり、上記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体は、優れたpH応答性を有し、pHの変化に伴って素早くラクトン環の開環または閉環が起こる。該重合体が一般式(2)で表される構造単位を有する場合、該重合体を含む塗料組成物は、ラクトン環が開環した状態にあり、希釈剤等に対する溶解性や分散性に優れている。従って、作業性や均一性が高い。また、該塗料組成物からなる塗膜や塗装品が酸性雨等の酸性条件下に曝されると、上記の重合体は、ラクトン環化して際立った耐水性および耐酸性効果を発揮する。つまり、本発明において、上記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含む塗料組成物を用いれば、耐水性および耐酸性に特に優れる塗膜や塗装品を得ることができる。従って、上記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体を含む塗料組成物を用いれば、塗膜や塗装品の形成時における作業性が高く、また、防錆性、防食性に優れた塗膜や塗装品を得ることができる。また、上記の塗料組成物からなる塗膜は、基板に対する密着性にも優れている。従って、本発明によれば、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性や防食性に優れる塗膜や塗装品を提供することができると共に、該塗膜や塗装品に好適な塗料組成物を提供することができる。
【0021】
また、上記の塗料組成物からなる塗膜並びに塗装品は、耐水性および耐酸性に優れることで、耐エッチング効果を有している。しかも、上記の塗料組成物からなる塗膜並びに塗装品は、ラクトン環を形成することで、耐熱性にも優れている。従って、上記の塗料組成物は、コンクリート基材や、配管等の鋼材等の金属基材に対する腐食防止用塗料として用いられる以外にも、例えば自動車の塗装剤等、耐水性、耐酸性が必要とされる種々の用途に好適に用いられる。
【0022】
以下に本発明を詳しく説明する。
本発明にかかる塗料組成物は、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体を含んでなる。
【0023】
本発明にかかる前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体は、R1 で示される置換基が、−CHR1 −基毎に独立して水素原子または有機残基で構成され、R2 で示される置換基が水素原子または有機残基で構成され、R3 で示される置換基が水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基で構成され、nで示される繰り返し単位が、0、1または2の整数であり、R4 で示される置換基が、−CHR4 −基毎に独立して水素原子または有機残基で構成され、R5 で示される置換基が水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、ヒドロキシアルキル基、または有機アミン基で構成され、mで示される繰り返し単位が、0、1または2の整数である重合体である。
【0024】
上記R1 、R2 、R3 、R4 で示される置換基のうち、有機残基としては、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基等の、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖を含むアルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフタレン基、ベンジル基等の、炭素数6〜12の無置換あるいは置換アリール基;ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等の、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基;有機アミン基;複素環基等が挙げられる。ここで、有機アミン基とは、置換アミノ基を示し、具体的には、エチレンジアミン、N−アルキル置換ポリアミン、ポリエチレンポリアミン、アルカノールアミン等の有機アミン類から、窒素原子に結合した水素原子が一つ脱離した基を示す。また、複素環基としては、具体的には、オキセタン、オキソラン、オキサン、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、ピリミジン、ピロリン、ピロリジン、ピペリジン、モルホリン等の複素環式化合物から水素原子が一つ脱離した基を示す。
【0025】
また、上記R3 、R5 で示される置換基のうち、1価金属イオンとしては、具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。2価金属イオンとしては、具体的には、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等の、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。有機アミン基としては、エチレンジアミン、N−アルキル置換ポリアミン、ポリエチレンポリアミン、アルカノールアミン等の有機アミン類から、窒素原子に結合した水素原子が一つ脱離した基が挙げられる。
【0026】
そして、これらの重合体のなかでも、n、mで示される繰り返し単位が1である重合体が好ましく、nで示される繰り返し単位が1であり、かつ、R3 で示される置換基が水素原子である重合体、即ち、前記一般式(3)
で表される構造単位を有する重合体が、pHに対する応答感度に優れ、特に優れたpH応答性を示すことから好ましい。
【0027】
上記の重合体の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されるものではないが、500〜500,000の範囲内であることが好ましく、5,000〜300,000の範囲内であることがより好ましく、10,000〜200,000の範囲内であることが特に好ましい。上記の重量平均分子量が上記の範囲内であれば、基材とのより一層顕著な密着性および耐酸性を示すと共に、取り扱い易いので有用である。
【0028】
尚、上記の重合体中における前記一般式(1)で表される構造単位および一般式(2)で表される構造単位以外の構造単位は、特に限定されるものではない。
【0029】
本発明において、前記一般式(2)で表される構造単位を有する重合体、即ち、ポリカルボン酸類は、例えば、一般式(4)
【0030】
【化7】
Figure 0004011156
【0031】
(式中、R4 、R6 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表し、mは0、1または2の整数を表す)
で表される水酸基含有単量体を、単独で、あるいは、該水酸基含有単量体と共重合可能な単量体と(共)重合させた後、得られた(共)重合体(以下、ポリカルボン酸類前駆体と記す)を、アルカリ性物質にて加水分解することにより容易に製造される。
【0032】
上記一般式(4)で表される水酸基含有単量体としては、具体的には、例えば、α−(ヒドロキシメチル)アクリレート類、α−(ヒドロキシエチル)アクリレート類、α−(ヒドロキシブチル)アクリレート類、α−(1−ヒドロキシヘキシル)アクリレート類、α−(1−ヒドロキシベンジル)アクリレート類等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0033】
上記一般式(4)で表される水酸基含有単量体は、従来公知の方法、例えば、相当するビニル化合物とアルデヒド系化合物とを、触媒として、三級アミン化合物および水の存在下で反応させる方法(特開平7−285906号公報)により、容易に得ることができる。従って、上記一般式(4)において、R6 で示される置換基は、例えばアルデヒド系化合物に由来する置換基であり、具体的には、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数6〜12のアリール基、ヒドロキシアルキル基、有機アミン基、または複素環基を示す。また、R4 で示される置換基のうち、有機残基としては、例えば、前述の置換基が挙げられる。
【0034】
また、上記水酸基含有単量体と共重合可能な単量体(以下、その他の単量体と記す)としては、例えば、一般式(5)
【0035】
【化8】
Figure 0004011156
【0036】
(式中、R7 は水素原子または有機残基を表し、R8 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表す)
で表される化合物等が挙げられる。
【0037】
上記R8 で表される置換基のうち、1価金属イオンとしては、具体的には、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン等が挙げられる。また、2価金属イオンとしては、具体的には、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、バリウムイオン等が挙げられる。さらに、有機アミン基とは、置換アミノ基を示し、具体的には、エチレンジアミン、N−アルキル置換ポリアミン、ポリエチレンポリアミン、アルカノールアミン等の有機アミン類から、窒素原子に結合した水素原子が一つ脱離した基を示す。
【0038】
また、上記R7 、R8 で表される置換基のうち、有機残基としては、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、ラウリル基、ステアリル基等の、炭素数1〜18の直鎖または分岐鎖を含むアルキル基;フェニル基、トルイル基、キシリル基、ナフタレン基、ベンジル基等の、炭素数6〜12の無置換あるいは置換アリール基;ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−ヒドロキシプロピル基、3−ヒドロキシプロピル基、4−ヒドロキシブチル基、6−ヒドロキシヘキシル基等の、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基等が挙げられる。
【0039】
また、上記一般式(5)以外のその他の単量体としては、例えば、無水マレイン酸、マレイン酸およびその塩、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、イタコン酸およびその塩、イタコン酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、アリルアルコール、エチレン、プロピレン、塩化ビニル等が挙げられるが、特に限定されるものではない。
【0040】
上記水酸基含有単量体をその他の単量体と共重合させる場合に用いられる、上記水酸基含有単量体に対するその他の単量体の添加量は、特に限定されるものではないが、上記水酸基含有単量体100重合部に対して、その他の単量体20重合部〜500重合部の範囲内で用いることが好ましく、50重合部〜300重合部の範囲内で用いることがさらに好ましく、100重合部〜200重合部の範囲内で用いることが特に好ましい。上記その他の単量体を上記の範囲内で用いることにより、塗膜中のラクトン環数を調節し、耐エッチング能と塗膜の密着性とのバランスを保つことができる。また、上記その他の単量体を上記の範囲内で用いることは、アルカリ性雰囲気下での水酸基含有重合体の溶出を防止する上で非常に効果的である。一方、上記水酸基含有単量体と共重合可能な単量体の使用量が上記の範囲よりも多い場合には、得られる塗膜における前記一般式(1)で表される構造単位および/または(2)で表される構造単位の割合が少なくなりすぎるので、基材への密着性および耐酸性に優れた塗膜を得ることができなくなるので好ましくない。
【0041】
上記水酸基含有単量体を含む単量体成分の重合方法としては、例えば、ラジカル重合開始剤等の重合開始剤を用いる重合方法;イオン化放射線、電子線等の放射線や、紫外線を照射する重合方法;加熱による重合方法等、従来公知の種々の方法を採用することができる。上記の重合開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化tert−ブチル等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;過硫酸塩等が挙げられる。また、上記の(共)重合反応において、用いる重合開始剤の使用量や、(共)重合反応の反応条件等は、特に限定されるものではない。
【0042】
また、上記の(共)重合反応により得られたポリカルボン酸類前駆体は、該ポリカルボン酸類前駆体に、別途、塗膜の支持体となる樹脂の原料モノマー(反応性モノマー)を重合させるか、あるいは、上記塗膜の支持体となる樹脂の存在下で上記の(共)重合反応を行うことにより、上記支持体にグラフト化あるいはブロック化されたものであることが好ましい。
【0043】
上記塗膜の支持体となる樹脂の原料として用いられる反応性モノマーとしては、例えば、一般式(6)
【0044】
【化9】
Figure 0004011156
【0045】
(式中、R9 、R10は、各々独立して水素原子または有機残基を表す)
で表される化合物が挙げられる。具体的には、前記一般式(5)で表されるその他の単量体のうち、R8 で表される置換基が水素原子または有機残基である化合物が挙げられる。
【0046】
尚、上記のポリカルボン酸類前駆体と、塗膜の支持体としての上記の樹脂との割合は、特に限定されるものではない。
【0047】
また、上記のアルカリ性物質としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニアあるいはその水溶液が用いられる。
【0048】
本発明において、前記一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とは、pHによる可逆性を有し、酸性雰囲気下においてラクトン環化する一方、アルカリ性雰囲気下で該ラクトン環が開環する。つまり、本発明において、塗料組成物の原料として用いられる上記の重合体中に、一般式(1)で表される構造単位を導入するためには、一般式(2)で表される上記のポリカルボン酸類を、酸で処理することにより、ラクトン環化させればよい。
【0049】
上記のポリカルボン酸類を酸で処理する方法としては、具体的には、上記のポリカルボン酸類に酸を添加、混合し、必要に応じて加熱すればよい。
【0050】
上記ラクトン環化処理に用いられる酸としては、具体的には、塩酸、硫酸、リン酸、ポリリン酸等の鉱酸類;メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等の有機酸;リンタングステン酸、リンモリブデン酸等のヘテロポリ酸類;等が挙げられる。上記の酸は、一種類のみを用いてもよく、適宜二種類以上を用いてもよい。上記の酸のなかでも、塩酸、硫酸が特に好ましい。
【0051】
上記の酸は、水や不活性有機溶媒に溶解させてなる溶液として用いてもよく、水や不活性有機溶媒に懸濁させてなる懸濁液として用いてもよく、また、そのまま固形物として用いてもよい。
【0052】
酸を上記ポリカルボン酸類に添加する際には、上記ポリカルボン酸類を水溶液(ポリカルボン酸塩水溶液)とし、該水溶液中に酸を添加することが好ましい。上記の処理は、均一、或いは、水に不溶性の不活性有機溶媒を含む不均一系で実施してもよいが、均一水溶液系で用いることがより好ましい。また、酸は、一括添加してもよく、逐次添加してもよい。尚、上記ポリカルボン酸類と酸との混合に要する時間は、特に限定されるものではない。
【0053】
上記ポリカルボン酸類に酸を添加してラクトン環化させる際の処理温度としては、0℃〜150℃の範囲内が好ましく、20℃〜80℃の範囲内がさらに好ましい。処理温度が0℃よりも低ければ、ラクトン環化反応の進行が遅くなり、ラクトン環含有重合体を効率的に得ることができなくなるおそれがある。また、処理温度が150℃よりも高ければ、副反応として脱炭酸あるいはゲル化物の生成が起こり好ましくない。
【0054】
上記ポリカルボン酸類に対する酸の添加量としては、該ポリカルボン酸類を含む処理液が酸性を示す量であればよいが、好ましくは、上記処理液のpHが5以下、更に好ましくは3以下、特に好ましくは2以下となるように酸を添加することが望ましい。上記のポリカルボン酸類を含む処理液が酸性を示すように酸を添加することで、ポリカルボン酸類がラクトン環化し、前記一般式(1)で表される構造単位を有するラクトン環含有重合体を得ることができる。
【0055】
また、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体は、さらに架橋剤により架橋されていることがより好ましい。前記一般式(1)および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体をさらに架橋剤により架橋することで、アルカリ性雰囲気下での塗膜の溶出をより厳密に防止することができる。
【0056】
上記の架橋剤としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;エポキシ樹脂等のオキシラン環含有化合物;無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物;等が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記架橋剤は、一種類のみを用いてもよいし、適宜二種類以上を混合して用いてもよい。また、上記の架橋剤の使用量は、塗膜の密着性を高く保持するために、水酸基含有単量体量の50重量%以下で用いることが好ましい。
【0057】
本発明において、上記の該架橋剤の添加時期としては、特に限定されるものではなく、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体の重合時でも、重合体形成後でも構わない。
【0058】
また、本発明にかかる塗料組成物は、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体以外に、必要に応じて、該重合体を希釈するための希釈剤を含んでいてもよい。上記希釈剤としては、上記の重合体を希釈することができるものであれば、特に限定されるものではない。上記の希釈剤としては、具体的には、例えば、水、汎用の有機溶剤、反応性モノマー等が挙げられる。
【0059】
上記の希釈剤として用いられる汎用の有機溶剤としては、一般に希釈剤として使用される有機溶剤であれば、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、ぺンタン、ヘキサン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類;イソプロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、シクロヘキサノール等のアルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール等のグリコール類;ホルムアルデヒド等のアルデヒド類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ジオキサン等のエーテル類等が挙げられる。
【0060】
また、反応性モノマーとしては、例えば、前述した一般式(6)で表される化合物等が挙げられる。
【0061】
尚、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体に対する希釈剤の添加量は、特に限定されるものではなく、用途に応じて、作業性が向上するように、適宜設定すればよい。
【0062】
また、本発明の塗料組成物は、上記以外に、一般的な塗料に用いられる各種添加剤をさらに含んでいてもよい。該添加剤としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、酸化防止剤、紫外線遮断剤、熱線吸収剤、赤外線遮断性物質等が挙げられる。
【0063】
上記酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤等が挙げられる。
【0064】
上記紫外線遮断剤としては、例えば、サリチル酸系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤等の、300〜400nm、特に320〜380nmの波長領域の紫外線の遮断機能を有する有機系紫外線吸収剤;酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム等の、紫外線を吸収および/または散乱することができる金属酸化物等が挙げられる。特に、上記紫外線遮断剤として微粒子状の金属酸化物を用いる場合には、可視光に対する透明性の観点から、0.1μm以下、より好ましくは0.05μm以下、特に好ましくは0.02μm以下の平均一次粒子径を有する金属酸化物を用いることが好ましい。
【0065】
上記の熱線吸収剤としては、シアニン系色素、ピリリウム色素、スクワリウム色素、ジチールニッケル錯体色素、アゾ色素、ナフトキノン系色素、アントラキノン系色素、トリフェニルメタン系色素、ジイモニウム色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素等の熱線吸収色素;2価の銅イオンが結合した、リン酸基を有するポリマー等が挙げられる。
【0066】
上記の赤外線遮断性物質としては、金属酸化物の微粒子が好ましく使用される。赤外線の遮断に用いられる金属酸化物としては、例えば、酸化インジウム系酸化物、酸化スズ系酸化物、酸化亜鉛系酸化物、スズ酸カドミウム等が挙げられる。
【0067】
尚、上記添加剤の添加量は、特に限定されるものではなく、添加剤の種類等に応じて、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体が有する物性を阻害しない範囲内で用いればよい。
【0068】
本発明にかかる塗料組成物は、基材に塗装した後、常温で乾燥させるか、必要に応じて加熱乾燥させることにより硬化し、容易に塗膜を形成する。上記の塗料組成物からなる塗膜は、その表面に、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有すると共に、裏面において、基材に密着している。つまり、本発明にかかる塗装品は、上記塗料組成物を、基材表面に塗装することによって、容易に得ることができる。
【0069】
上記基材の材料としては、鉄、銅、アルミニウム等の金属;ガラス;コンクリート;プラスチック等が挙げられるが、特に限定されるものではない。また、上記塗料組成物を基材に塗装する方法としては、例えば、塗布あるいは噴霧等が挙げられる。より具体的には、上記塗装方法としては、はけ塗り、へら塗り、吹き付け等が挙げられるが、特に限定されるものではなく、従来公知の一般的な塗装方法を用いることができる。
【0070】
以上のように、本発明にかかる塗料組成物は、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体を含んでなる。そして、上記の重合体のなかでも、前記一般式(3)で表される構造単位を有する重合体を含むことが、pH応答性に優れ、耐酸性に特に優れた塗料組成物を得ることができるので、特に好ましい。また、本発明にかかる塗膜は、上記塗料組成物からなり、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有している。さらに、本発明にかかる塗装品は、上記の塗料組成物を、基材表面に塗装してなり、基材表面に、上記塗料組成物からなる塗膜を有している。従って、上記塗装品は、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を、該塗装品を構成する基材表面に有している。
【0071】
前記一般式(1)で表される構造単位と一般式(2)で表される構造単位とは、pHの変化に応じた可逆性を有している。つまり、前記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体は、優れたpH応答性を有し、pHの変化に伴って素早くラクトン環の開環または閉環が起こる。そして、該重合体が一般式(2)で表される構造単位を有する場合、該重合体を含む塗料組成物は、ラクトン環が開環した状態にあり、希釈剤等に対する溶解性や分散性に優れている。従って、作業性や均一性が高い。一方、該塗料組成物からなる塗膜や塗装品が酸性雨等の酸性条件下に曝されると、上記の重合体は、ラクトン環化して際立った耐水性および耐酸性効果を発揮する。つまり、本発明において、前記一般式(1)で表される構造単位を有する重合体を含む塗料組成物を用いれば、耐水性および耐酸性に特に優れる塗膜や塗装品を得ることができる。従って、本発明によれば、防錆性、防食性に優れた塗膜や塗装品を得ることができる。また、上記の塗料組成物からなる塗膜は、基板に対する密着性にも優れている。従って、本発明によれば、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性や防食性に優れる塗膜や塗装品を提供することができる。また、本発明によれば、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性や防食性に優れる塗膜や塗装品を得ることができる塗料組成物を提供することができる。
【0072】
また、上記の塗料組成物からなる塗膜並びに塗装品は、耐水性および耐酸性に優れることで、耐エッチング効果を有している。しかも、上記の塗料組成物からなる塗膜並びに塗装品は、ラクトン環を形成することで、耐熱性にも優れている。従って、上記の塗料組成物は、コンクリート基材や、配管等の鋼材等の金属基材に対する腐食防止用塗料として用いられる以外にも、例えば自動車の塗装剤等、耐水性、耐酸性が必要とされる種々の用途に好適に用いられる。
【0073】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。尚、実施例および比較例に記載の「部」は、「重量部」を示し、「%」は、「重量%」を示す。
【0074】
また、塗料組成物を用いて得られた塗膜、即ち、塗料組成物を基材表面に塗装してなる塗装品表面の塗膜の諸性能は、以下に示す方法により評価した。
【0075】
塗装仕上がり感は、60℃で塗料乾燥後の塗膜状態を目視評価した。◎は良好を表し、○は比較的良好を表す。
【0076】
密着性は、JIS K−5400に準じたいわゆる碁盤目試験により評価した。つまり、基材として鋼板を使用し、鋼板上の10mm四方の硬化塗膜に1mm間隔で切れ目を入れることにより、 100個の小片(枡目)に分割した。次いで、該小片にセロファンテープを圧着した後、このセロファンテープを勢いよく鋼板から剥離し、この剥離動作によって鋼板から剥離しなかった小片の個数/分割した小片の個数で密着性を評価した。◎は、上記小片の個数が、100/100 である(即ち、剥離した小片はない)ことを表し、○は80〜99/100であることを表し、△は60〜79/100であることを表し、×は59以下/100であることを表す。
【0077】
耐酸性(防食性)は、5%硫酸水溶液に1昼夜浸漬した後の塗膜の膨れや割れ、剥がれを目視で評価した。◎は、上記塗膜の膨れや割れ、剥がれが、100 %抑制されている(即ち、塗膜の膨れや割れ、剥がれはない)ことを表し、△は40%を越えて60%以下の範囲内で抑制されていることを表し、×は40%以下しか抑制されていないことを表す。
【0078】
防錆性は、JIS K−5400に準じた耐塩水噴霧試験により評価した。◎は錆幅が1mm以下であることを表し、△は錆幅が3mm以上あることを表し、×は基材の塗膜形成面全面に錆が生じたことを示す。
【0079】
〔実施例1〕
温度計、撹拌機、還流冷却器および滴下ロートを備えた反応容器に、反応型乳化剤(商品名 アデカリアソープSE−10N;旭電化工業株式会社製)2.0部と水205.0部とを仕込んだ後、75℃に昇温した。
【0080】
一方、水244.5部に、上記と同じ反応型乳化剤2.0部を加えて溶解させた後、この溶液に、水酸基含有単量体としてのα−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル110.9部と、その他の単量体としてのスチレン357.8部およびメタアクリル酸グリシジル18.8部およびメタクリル酸12.5部とからなる不飽和単量体溶液を添加、混合した。その後、得られた混合液を、撹拌して乳化させた後、滴下ロートに仕込んだ。
【0081】
次いで、上記の反応容器内に、滴下ロートに仕込んだ混合液のうち5%を滴下し、重合開始剤としての過硫酸カリウム0.5部を添加して80℃に昇温した後、この反応容器内の反応溶液を該温度でさらに10分間保持した。その後、上記の反応溶液に、滴下ロートに仕込んだ残りの混合液と、3%過硫酸カリウム水溶液50.0部とを3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、80℃で1時間熟成反応を行った後、室温に冷却し、得られた重合体に、29重量%アンモニア水60部を加えて中和することにより、前記一般式(2)において、R4 で示される置換基が水素であり、R5 で表される置換基がアンモニウム基であり、mで示される繰り返し単位が1である構造単位を有する重合体を含む水分散性樹脂組成物を、本発明の塗料組成物として得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0082】
〔実施例2〕
実施例1において、水酸基含有単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、α−ヒドロキシメチルアクリル酸−n−ブチル160部を用いた以外は、実施例1と同様の乳化重合を行って、本発明の塗料組成物としての水分散性樹脂組成物を得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0083】
〔実施例3〕
実施例1において、水酸基含有単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、α−ヒドロキシメチルアクリル酸−2−エチルヘキシル220部を用いた以外は、実施例1と同様の乳化重合を行って、本発明の塗料組成物としての水分散性樹脂組成物を得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0084】
〔実施例4〕
実施例1と同様の反応・操作を行って得られた重合体に、水酸化ナトリウム40部を加えて加水分解した後、1重量%硫酸水溶液で処理することにより、前記一般式(1)において、R1 、R2 で示される置換基が水素であり、R3 で表される置換基が水素またはナトリウムであり、nで示される繰り返し単位が1である構造単位と、前記一般式(2)において、R4 で示される置換基が水素であり、R5 で表される置換基が水素またはナトリウムであり、mで示される繰り返し単位が1である構造単位とを有する重合体を含む水分散性樹脂組成物を、本発明の塗料組成物として得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0085】
〔実施例5〕
実施例4において、水酸基含有単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、α−ヒドロキシメチルアクリル酸−n−ブチル110.9部を用いて乳化重合を行うと共に、水酸化ナトリウムの添加量を40部から15部に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、前記一般式(1)において、R1 、R2 で示される置換基が水素であり、R3 で表される置換基が水素、ナトリウム、またはn−ブチル基であり、nで示される繰り返し単位が1である構造単位を有する重合体を含む水分散性樹脂組成物を、本発明の塗料組成物として得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0086】
〔実施例6〕
実施例4において、水酸基含有単量体として、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、α−ヒドロキシメチルアクリル酸−2−エチルヘキシル110.9部を用いて乳化重合を行うと共に、水酸化ナトリウムの添加量を40部から10部に変更した以外は、実施例1と同様の反応・操作を行って、前記一般式(1)において、R1 、R2 で示される置換基が水素であり、R3 で表される置換基が水素、ナトリウム、または2−エチルヘキシル基であり、nで示される繰り返し単位が1である構造単位を有する重合体を含む水分散性樹脂組成物を、本発明の塗料組成物として得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0087】
〔比較例1〕
実施例1において、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、アクリル酸メチル110.9部を用いた以外は、実施例1と同様の乳化重合を行って、比較用塗料組成物としての水分散性樹脂組成物を得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0088】
〔比較例2〕
実施例1において、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、アクリル酸−n−ブチル110.9部を用いた以外は、実施例1と同様の乳化重合を行って、比較用塗料組成物としての水分散性樹脂組成物を得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0089】
〔比較例3〕
実施例1において、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチルの代わりに、アクリル酸−2−エチルヘキシル110.9部を用いた以外は、実施例1と同様の乳化重合を行って、比較用塗料組成物としての水分散性樹脂組成物を得た。この水分散性樹脂組成物を用いて得られた塗膜の性能を、上述した方法により評価した。この結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
Figure 0004011156
【0091】
表1の結果から明らかなように、本実施例の水分散性樹脂組成物を用いてなる塗膜は、基材に対する密着性が良く、耐酸性、防錆性に優れている。従って、本発明によれば、基材と塗膜との密着性が良く、防食性、防錆性に優れ、酸性雨等による基材の損傷を防止することができる塗膜を得ることができる塗料組成物を提供することができる。
【0092】
【発明の効果】
本発明の請求項1記載の塗料組成物は、以上のように、一般式(1)
【0093】
【化10】
Figure 0004011156
【0094】
(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表し、R3 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)
で表される構造単位および/または一般式(2)
【0095】
【化11】
Figure 0004011156
【0096】
(式中、R4 は水素原子または有機残基を表し、R5 は水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、ヒドロキシアルキル基、または有機アミン基を表し、mは0、1または2の整数を表す)
で表される構造単位を有する重合体を含有する構成である。
【0097】
本発明の請求項2記載の塗料組成物は、以上のように、請求項1記載の塗料組成物において、上記重合体が、一般式(3)
【0098】
【化12】
Figure 0004011156
【0099】
(式中、R1 、R2 はそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表す)
で表される構造単位を有する重合体である構成である。
【0100】
本発明の請求項3記載の塗膜は、以上のように、請求項1または2記載の塗料組成物からなる構成である。
【0101】
本発明の請求項4記載の塗装品は、以上のように、請求項1または2記載の塗料組成物を、基材表面に塗装してなる構成である。
【0102】
上記の構成によれば、上記一般式(1)で表される構造単位および/または一般式(2)で表される構造単位を有する重合体は、優れたpH応答性を有し、酸性雰囲気下においてラクトン環を閉環し、水に不溶となる。また、上記の塗料組成物は、基材に対する密着性にも優れている。このため、該重合体を含む塗料組成物を塗装に用いれば、塗装品を構成する例えばコンクリート基材や金属基材等の基材の表面を、酸腐食等の化学的侵食による損傷から保護することができる。従って、本発明によれば、基材と塗膜との密着性に優れると共に、防錆性や防食性に優れる塗膜並びに塗装品を提供することができるという効果を奏する。また、本発明によれば、基材と塗膜との密着性、並びに、防錆性や防食性に優れる塗膜や塗装品を得ることができる塗料組成物を提供することができるという効果を奏する。
【0103】
上記の塗料組成物は、コンクリート基材や、配管等の鋼材等の金属基材に対する腐食防止用塗料、耐酸性塗料の他、例えば自動車の塗装剤等、耐水性、耐酸性が必要とされる種々の用途に好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 一般式(1)
    Figure 0004011156
    (式中、R、Rはそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表し、Rは水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、または有機残基を表し、nは0、1または2の整数を表す)
    で表される構造単位を有する重合体、または、
    上記一般式(1)で表される構造単位および一般式(2)
    Figure 0004011156
    (式中、Rは水素原子または有機残基を表し、Rは水素原子、1価金属イオン、2価金属イオン、アンモニウム基、ヒドロキシアルキル基、または有機アミン基を表し、mは0、1または2の整数を表す)
    で表される構造単位を有する重合体を含有することを特徴とする塗料組成物。
  2. 上記重合体が、一般式(3)
    Figure 0004011156
    (式中、R 、R はそれぞれ独立して水素原子または有機残基を表す)
    で表される構造単位を有する重合体であることを特徴とする請求項1記載の塗料組成物。
  3. 請求項2記載の塗料組成物からなることを特徴とする塗膜。
  4. 請求項2記載の塗料組成物を、基材表面に塗装してなることを特徴とする塗装品。
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