JP5654403B2 - 防錆塗料用水性樹脂組成物 - Google Patents

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本発明は、防錆塗料用水性樹脂組成物に関する。より詳しくは、錆の発生を防ぐ必要のある各種構造体に使用される防錆塗料の原料として有用な防錆塗料用水性樹脂組成物に関する。
防錆塗料は、鋼材料の機械、建築材料等に塗布され、錆の発生を防いで各種構造体の劣化を防止するものであり、それによって、形成される塗膜による保護作用、錆の発生を防ぐ作用を発揮するものである。このような防錆塗料は、船舶、鉄道車両、自動車や建築構造物等、屋外の腐食環境下で使用されるものの他、水道管や工場の製造プラントの配管等にも使用されており、これらの金属部品の錆を防止して耐久性を高めるうえで重要な役割を担っている。また、このような防錆塗料としては、高い防錆性だけでなく、塗料としての外観にも優れたものが求められる。
防錆塗料は、有機溶剤系防錆塗料と水系防錆塗料とに大別される。有機溶剤系防錆塗料は、防錆性、密着性、耐水性等に優れるが、溶剤による中毒や火災等の危険性や、大気汚染等の環境への影響が問題であった。そこで近年は、作業時の安全性の向上や環境負荷の軽減の観点から、優れた性能を発揮する水系防錆塗料の開発が望まれており、研究が盛んに行われている。
水系防錆塗料組成物としては、例えば、特許文献1〜3に開示されるように、多段重合によるいわゆるコア・シェル構造を有するポリマーのエマルションを用いたものが知られている。特許文献1には、厚膜塗装性、塗膜強度、防錆性を向上させることを目的として、内部架橋されたポリマー粒子を含有するポリマーエマルションと無機顔料とを含み、コア部とシェル部との重量比やガラス転移温度を特定した防錆塗料組成物が記載されている。また、特許文献2には、ジルコニウム化合物及びシランカップリング剤を添加することにより防錆性、耐アルカリ性、貯蔵安定性に優れるとする鋼板塗装用水分散性樹脂組成物が開示されている。更に、特許文献3には、特定のエチレン性不飽和単量体による乳化共重合体を用い、各重合体層のガラス転移温度及びその差を特定した水性樹脂組成物が開示されており、これにより耐ブロッキング性、防食性、金属付着性等に優れた塗膜を形成できると記載されている。
また特許文献4及び5に開示されるように、変性エポキシ樹脂の水分散体を用いた組成物も知られている。特許文献4には、特定の変性エポキシ樹脂とそれ以外の水分散性樹脂とを含有することにより貯蔵安定性等が良好になるとする常温乾燥型水性組成物が記載され、特許文献5には、アクリル変性エポキシエステルとヒドラジン誘導体とを含有する水性樹脂組成物が記載され、この組成物は、貯蔵安定性及び塗膜の性能に優れると記載されている。
特開2000−17198号公報(第1−2頁) 特開2006−342221号公報(第1−2頁) 特開2004−217782号公報(第1−2頁) 特開平09−263625号公報(第1−2頁) 特開平09−296023号公報(第1−2頁)
上記のように、防錆塗料用の水性組成物として様々な構成のものが提案されているが、これらの組成物はいずれも、未だ性能が充分でないか、あるいは、更なる改良の余地を残すものである。例えば、一般に、塗装面が高温多湿な条件下で長期間使用されると、塗膜の白化現象を招きやすく、それが塗装面の外観を損なう大きな要因の1つとなっていた。塗料を車両や船舶、建築構造物等、特に屋外での使用を前提とした用途に用いる場合には、長期間にわたって防錆性と塗装面の優れた外観とを維持できることが要求される。この点において、従来の技術には、上述した白化現象をはじめとする外観低下の要因の発生を防止するための充分な耐水性を有しつつ、高い防錆性も維持できる塗膜を形成可能な防錆塗料用組成物について更に検討する工夫の余地があった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、高い防錆性を発揮するとともに、過酷な使用環境下でも白化等を抑制し優れた外観を維持できる耐水性に優れた塗膜を形成することが可能な防錆塗料用水性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、過酷な使用環境下でも高い防錆性と優れた外観とを維持できる塗膜を形成可能な防錆塗料用水性樹脂組成物について検討し、水性樹脂と、該水性樹脂とは異なる水分散性樹脂形成成分及び/又は該水分散性樹脂形成成分からなる水分散性樹脂とを含む組成物に着目した。そして、酸化重合を促進させるいわゆる金属ドライヤーの組成物中の含有量が特定の範囲内にあると、塗膜が高い耐水性を有し白化しにくく外観に優れたものとなる上に、密着性等にも優れたものとなることを見出した。本発明者は更に、上記水分散性樹脂形成成分が特定の成分を必須とするものであると、塗膜の応力緩和能が高まり、衝撃に対する塗膜性能が向上することも見出した。そして、上記のような各構成に起因する作用効果が相まって、得られる塗膜が外観と防錆性の両方に優れたものとなることを見出し、上記課題をみごとに解決することができることに想到し、本発明に到達したものである。
すなわち本発明は、水性樹脂を含む防錆塗料用水性樹脂組成物であって、上記水性樹脂組成物は、更に、上記水性樹脂とは異なる水分散性樹脂の形成成分、及び/又は、上記水分散性樹脂の形成成分からなる水分散性樹脂を含み、上記水分散性樹脂の形成成分は、エポキシ樹脂、不飽和脂肪酸及び(メタ)アクリル系単量体を必須とし、上記水性樹脂組成物は、金属ドライヤーの含有量が、水性樹脂、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の総量100質量%に対して0.6質量%以下であることを特徴とする防錆塗料用水性樹脂組成物である。
以下に本発明を詳述する。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物は、水性樹脂と、該水性樹脂とは異なる水分散性樹脂の形成成分及び/又は該水分散性樹脂の形成成分からなる水分散性樹脂とを含有するものであるが、これらの成分を必須とする限り、更に他の成分を含んでいてもよく、各成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記防錆塗料用水性樹脂組成物は、水性樹脂を含むものである。水性樹脂としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、SBR(スチレンブタジエンゴム)樹脂、ABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)樹脂、ポリオレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂等の水溶性又は水分散性の樹脂の1種又は2種以上を用いることができる。また、例えばスチレン−アクリル樹脂のように、上述した樹脂の形成成分のうち任意の複数種類を含んでなる樹脂であってもよい。
上記水性樹脂として上述した樹脂の2種以上を用いる場合には、その2種以上の樹脂が混合された混合物であってもよく、例えばコア・シェル構造を有する重合体のように、多段重合により得られる重合体であってもよい。中でも、水性樹脂の粒子がコア・シェル構造を有することが好ましい。
また、上記防錆塗料用水性樹脂組成物において、水性樹脂は、例えばエマルションのように、媒体中に均一に分散された形態で存在することが好ましい。
上記媒体としては、水性媒体であることが好ましく、例えば、水や、水と混じりあう溶媒と水との混合溶媒等が挙げられる。中でも、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水性媒体100質量%中、水が50質量%以上であることが好適である。より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは100質量%、すなわち水を媒体として用いることである。
上記水性樹脂を媒体中に分散させて用いる場合、予め水性樹脂を水性媒体中に分散して組成物に混合してもよいし、水性樹脂を未分散状態で混合後、最終的に組成物中で水性媒体中に分散されるようにしてもよい。
上記水性樹脂の製造に用いることができる単量体としては、本発明の作用効果を発揮することができる限り特に限定されるものではないが、不飽和カルボン酸単量体を含んでなるものであることが好ましい。より好ましくは、不飽和カルボン酸単量体及び不飽和カルボン酸単量体と共重合可能な他の単量体とを含んでなるものである。
水性樹脂がコア・シェル構造を有する形態においては、不飽和カルボン酸単量体及びその他の共重合可能な不飽和単量体は、水性樹脂のコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
上記不飽和カルボン酸単量体としては、分子中に不飽和結合とカルボキシル基とを有する化合物であれば特に限定されるものではないが、エチレン系不飽和カルボン酸単量体を含むことが好ましい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマイエート、モノエチルマイエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸又はその塩(以下、「(メタ)アクリル酸系単量体」とも称する。)が好適である。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好適である。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適であり、また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
本発明においては、上記水性樹脂を形成する単量体成分全体100質量%に対してエチレン系不飽和カルボン酸単量体の含有量が0.5〜2.0質量%であることが好ましい。エチレン系不飽和カルボン酸単量体の含有量がこのような範囲にあると、上記水性樹脂の分散体(エマルション)の安定化と塗料化時の顔料混和性の向上に有効である。
上記共重合可能な他の単量体としては、上記不飽和カルボン酸単量体と共重合可能なものであれば特に限定されないが、例えば、上記(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体(以下、「(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体」ともいう。)、芳香環を有する不飽和単量体、窒素原子を有する不飽和単量体、ホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度が0℃以下の重合性単量体、官能基を有する不飽和単量体等が好ましく挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、少なくとも(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体を用いることが好ましい。
上記(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体としては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルアクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、イソブチルメタクリレート、tert−ブチルアクリレート、tert−ブチルメタクリレート、ペンチルアクリレート、ペンチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、イソアミルメタクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、オクチルアクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルアクリレート、イソオクチルメタクリレート、ノニルアクリレート、ノニルメタクリレート、イソノニルアクリレート、イソノニルメタクリレート、デシルアクリレート、デシルメタクリレート、ドデシルアクリレート、ドデシルメタクリレート、トリデシルアクリレート、トリデシルメタクリレート、ヘキサデシルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、オクタデシルアクリレート、オクタデシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、アリルアクリレート、アリルメタアクリレート等の他、これらの塩やエステル化物等が挙げられる。
なお、上記塩としては、上述した(メタ)アクリル酸系単量体の塩と同様の形態であることが好ましい。
上記単量体成分としては、上述したように、(メタ)アクリル酸系単量体や(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体のような、(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体((メタ)アクリル系単量体)を含むことが好適である。すなわち、上記単量体成分の少なくとも1種が、C(R )=CH−COOR、又は、C(R )=C(CH)−COOR(R、R、R及びRは、同一又は異なって、水素原子、金属原子、アンモニウム基、有機アミン基を表す。)で表される単量体であることが好適である。中でも、(メタ)アクリル酸系単量体を必須とすることが好ましく、(メタ)アクリル酸系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体との両方を含むことがより好ましい。
なお、上記単量体成分中の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体((メタ)アクリル系単量体)、すなわち上述した(メタ)アクリル酸系単量体や(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体の含有量としては、これらの合計量が、全単量体成分100質量%中、20質量%以上となることが好適である。より好ましくは30質量%以上である。
上記芳香環を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン等が挙げられる。中でも、スチレンが好適である。
上記芳香環を有する不飽和単量体の割合としては、全単量体成分100質量%中、0〜80質量%であることが好適である。より好ましくは10〜75質量%である。
上記窒素原子を有する不飽和単量体としては、例えば、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
上記窒素原子を有する不飽和単量体としては、更に、下記一般式(1):
Figure 0005654403
(式中、R、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。Rは、直接結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、−O−R−で表される基、又は、−N−R−で表される基を表す。R、R10は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、−R−O−Rで表される基、又は、−R−OHで表される基を表す。RとR10とは、環構造を形成してもよい。なお、R及びRは炭素数1〜20の炭化水素基を表す。)で表される化合物も好適に用いることができる。このような化合物を用いて水性樹脂を形成すると、得られる塗膜の応力緩和能を高めることができ、塗膜と基材との密着性が向上するため、結果として塗膜の防錆性能を向上させることができる。このように、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物が含む水性樹脂が、上記一般式(1)で表される単量体を含む単量体成分を用いて形成されるものであることは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記一般式(1)におけるR、R、Rは、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
上記炭素数1〜20の炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、これらのうち複数種類の構造を有する基であってもよい。また、置換基を有していてもよい。なかでも、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜3の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜2の飽和アルキル基又は不飽和アルキル基である。
炭素数1〜20の炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等の、炭素数1〜20の脂肪族又は脂環式アルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の、炭素数6〜20のアリール基;o−,m−又はp−トリル基、2,3−又は2,4−キシリル基、メシチル基等の、アルキル基で置換されたアリール基;ビフェニリル基等の、(アルキル)フェニル基で置換されたアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等の、アリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
上述したもののうち、R、R、Rとしては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
上記一般式(1)におけるRは、直接結合、炭素数1〜20の2価の炭化水素基、−O−R−で表される基、又は、−N−R−で表される基を表す。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、これらのうち複数種類の構造を有する基であってもよい。また、置換基を有していてもよい。
なかでも、炭素数1〜10の2価の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキレン基である。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基として具体的には、メチレン基(−CH−)、エチレン基(−CHCH−)、トリメチレン基(−CHCHCH−)、テトラメチレン基(−CHCHCHCH−)、ペンタメチレン基、へキサメチレン基等の、直鎖のアルキレン基;エチリデン基[−CH(CH)−]、プロピレン基[−CH(CH)CH−]、プロピリデン基[−CH(CHCH)−]、イソプロピリデン基[−C(CH−]、等の分岐鎖のアルキレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基が好ましく、特にメチレン基であることが好ましい。
が−O−R−で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物はエステル基とRで表される2価の炭化水素基とを有することになる。Rが−N−R−で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物はアミド基とRで表される2価の炭化水素基とを有することになる。Rで表される2価の炭化水素基としては、上述した炭素数1〜20の2価の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
上述したもののうち、Rとしては、直接結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、直接結合、メチレン基がより好ましく、直接結合が最も好ましい。
上記一般式(1)におけるR、R10は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、−R−O−Rで表される基、又は、−R−OHで表される基を表す。
炭素数1〜20の炭化水素基は、R、R、Rについて上述したものと同様である。
−R−O−Rで表される基は、構造中にエーテル基と炭化水素基とを有する基である。Rで表される2価の炭化水素基は、Rについて上述したものと同様である。また、Rで表される炭化水素基は、R、R、Rについて上述したものと同様である。−R−O−Rで表される基として具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、アリルオキシメチル基、メトキシエチル基等を挙げることができる。好ましくはメトキシメチル基である。
−R−OHで表される基は、構造中にアルコール末端(アルコール基、ヒドロキシル基)と炭化水素基とを有する基である。Rで表される炭化水素基は、Rについて上述したものと同様である。−R−OHで表される基として具体的には、ヒドロキシメチル基(メチロール基)、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。好ましくはヒドロキシメチル基(メチロール基)である。
、R10としては、一方が水素原子、他方がイソプロピル基である形態が特に好ましい。
また、R、R10は、窒素原子とともに環構造を形成してもよい。このような環構造として具体的には、窒素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造、窒素原子と酸素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造等を挙げることができる。
上記窒素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造としては、例えば、下記一般式(2−1)〜(2−5)で表される構造や、それらが有する水素原子の1又は2以上が他の基によって置換された構造を挙げることができる。
Figure 0005654403
(式中、Rは、上記一般式(1)におけるRと同様である。)
上記窒素原子と酸素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造としては、例えば、下記一般式(3−1)〜(3−5)で表される構造や、それらが有する水素原子の1又は2以上が他の基によって置換された構造を挙げることができる。
Figure 0005654403
(式中、Rは、上記一般式(1)におけるRと同様である。)
、R10が窒素原子とともに環構造を形成する形態において、上記環構造としては、窒素原子と酸素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造が好ましい。
上記一般式(1)で表される化合物の割合は、全単量体成分100質量%に対して、1〜50質量%であることが好ましい。上記一般式(1)で表される化合物の割合が多いほど塗膜の防錆性能は向上するが、多すぎると、塗膜の外観が充分に優れたものとならないおそれがある。より好ましくは、1〜30質量%、更に好ましくは、2〜10質量%である。
上記ホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度が0℃以下の重合性単量体は、1種以上用いることが好適である。多段重合により上記水性樹脂を得る場合は、その各工程において使用される単量体成分が、各々当該重合性単量体を1種以上含むことが好適である。
上記官能基を有する不飽和単量体において、官能基としては、上記水性樹脂を重合により得る際に架橋することができる官能基であればよい。具体的には、エポキシ基、オキサゾリン基、カルボジイミド基、アジリジニル基、イソシアネート基、メチロール基、ビニルエーテル基、シクロカーボネート基、アルコキシシラン基等が挙げられ、1分子中にこれらの1種又は2種以上を有していてもよい。
上記官能基を有する不飽和単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−i−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリテトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の多官能性不飽和単量体類;グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有不飽和単量体類等が挙げられる。中でも、官能基を2個以上有する不飽和単量体(多官能性不飽和単量体)を用いることが好ましい。
上記官能基を有する不飽和単量体の含有量は、全単量体成分100質量%に対して10質量%未満であることが好適であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。
上記水性樹脂はまた、ガラス転移温度(Tg)が0℃以上、45℃以下であることが好適である。これにより、幅広い温度領域下でより高い防錆性を発揮させることが可能になる。より好ましくは3℃以上、38℃以下であり、更に好ましくは5℃以上、35℃以下である。なお、全ての重合工程で用いた単量体組成から算出したTg(トータルTg)として上述した範囲となることが好適である。
上記Tgは、水性樹脂を構成する各単量体のホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(Tgn)を用いて、下記Foxの式より計算することができる(単位:K、絶対温度)。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100
(式中、Wnは、全単量体成分に対する単量体nの質量分率(質量%)を表す。Tgnは、単量体nからなるホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。)
ここで、上記水性樹脂が2種以上の重合体を含む場合には、Tgが異なるものを用いることが好適である。すなわち、上記水性樹脂は、Tgが異なる2種以上の重合体から構成されるものであることが好適である。Tgに差を設けることにより、幅広い温度領域下でより高い防錆性を発現させることが可能となる。
なお、3種以上の重合体を含む場合には、このうちの少なくとも2種の重合体のTgが異なればよく、残りの1種以上については、当該2種の重合体のいずれかとTgが同じであってもよい。
上記水性樹脂は、重量平均分子量が200,000以上であることが好ましい。200,000未満であると、得られる防錆塗料用水性樹脂組成物を塗料配合した状態での耐水性が充分なものとはならないおそれがある。より好ましくは、300,000以上であり、更に好ましくは、400,000以上である。
なお、重量平均分子量は、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
上記水性樹脂は、平均粒子径が50〜450nmであることが好ましい。平均粒子径がこの範囲にある水性樹脂粒子を用いることにより、分散体(エマルション)が安定となり、造膜性が低下することがない。
水性樹脂粒子の平均粒子径は、より好ましくは、60〜350nmであり、更に好ましくは、70〜300nmである。最も好ましくは、80〜250nmである。
平均粒子径は、動的光散法により求めることが可能であり、NICOM P Model 380(粒度分布測定器、商品名、パーティクル サイジング システムズ[Particle Sizing Systems]社製)でウインドウズベースのソフトウェア(Windows(登録商標) Based Software)を用いて測定することにより求めることができる。解析は、ボリューム−ウエイテッド ガウシアン ディストリビューション アナリシス(VOLUME−Weighted GAUSSIAN DISTRIBUTION Analysis)(固体粒子[Solid Particle])により行うことができる。
上記水性樹脂は、上述したように、コア部とシェル部とを有するコア・シェル構造を有するものであることが好ましいが、このような形態においては、コア部とシェル部とが完全に相溶し、これらを区別できない均質構造のものであってもよく、これらが完全には相溶せずに不均質に形成されるコア・シェル複合構造やミクロドメイン構造であってもよい。中でも、分散体(エマルション)の特性を充分に引き出し、安定な分散体を作製するためには、コア・シェル複合構造であることが好ましい。
上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記コア部とシェル部とを有する水性樹脂の分散体は、後述する乳化重合法(多段重合)を用いて得ることができる。
上記水性樹脂がコア・シェル構造を有する場合、その最外層にあたるシェル層を形成する単量体は、エマルションを形成する全単量体成分100質量%に対して30質量%以上、80質量%以下であることが好適である。より好ましくは40質量%以上、75質量%以下である。
上記水性樹脂を媒体中に分散させて用いる場合、分散体のpHは、特に制限されないが、例えば、2〜10であることが好ましい。より好ましくは、6〜10である。分散体のpHは、分散体に、アンモニア水、水溶性アミン類、水酸化アルカリ水溶液等を添加することによって調整することができる。
pHは、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により測定することができる。
上記水性樹脂の分散体中の不揮発分、すなわち、乳化剤を用いて単量体成分を乳化重合してなる水性樹脂の粒子の含有割合としては、分散体の総量100質量%に対し、30質量%以上、70質量%以下であることが好適である。70質量%を超えると、分散体の粘度が高くなり過ぎて充分な分散安定性を保持することができないおそれがあり、凝集するおそれがある。30質量%未満であると、充分な防錆性を発揮しないおそれがある。より好ましくは35質量%以上、65質量%以下である。
上記防錆塗料用水性樹脂組成物中の上記水性樹脂の含有量としては、防錆塗料用水性樹脂組成物の不揮発分の総量100質量%に対して、45〜95質量%であることが好ましい。より好ましくは、50〜90質量%である。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物は、更に、上記水性樹脂とは異なる水分散性樹脂の形成成分、及び/又は、該水分散性樹脂の形成成分からなる水分散性樹脂を含み、該水分散性樹脂の形成成分は、エポキシ樹脂、不飽和脂肪酸及び(メタ)アクリル系単量体を必須とするものである。これにより、得られる塗膜の応力を低下させ、衝撃に対する塗膜性能を向上させることができる。
上記水分散性樹脂の形成成分は、エポキシ樹脂、不飽和脂肪酸及び(メタ)アクリル系単量体を必須とする限り、更に他の成分を含んでいてもよく、各成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
また、上記水分散性樹脂は、上記水性樹脂と異なるものであり、かつ、上述した形成成分を必須成分とする限り、更に他の成分を含んで形成されてもよく、各成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物は、上記水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂のうちいずれか一方のみを含んでいてもよく、それらの両方を含んでいてもよい。
上記水分散性樹脂の形成成分を含む場合には、エポキシ樹脂、不飽和脂肪酸及び(メタ)アクリル系単量体の全てが未反応の状態であってもよいし、上記3成分のうちの一部又は全部が他の成分と反応した状態で含んでいてもよい。上記3成分のうちの一部又は全部が他の成分と反応した状態としては、上記3成分のうちの1〜3成分が上記3成分のうちの他の成分と反応した状態(例えば、エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸とが反応し、(メタ)アクリル系単量体は未反応である状態)や、上記3成分のうちの1〜3成分が上記3成分以外の他の成分と反応した状態が含まれる。
なお、上記水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂はいずれも、防錆塗料用水性樹脂組成物中で水等の水性媒体中に分散された状態で含まれていればよく、予め水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂を水性媒体中に分散して組成物に混合してもよいし、それらを未分散状態で混合後、最終的に組成物中で水性媒体中に分散されるようにしてもよい。
上記水分散性樹脂は、上述した形成成分を任意の順序で反応させて得られるアクリル変性エポキシエステルである。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等を用いることができるが、中でもビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。これにより、塗膜の防食性や耐薬品性、金属に対する密着性等を向上させることができる。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、1分子中に2個のエポキシ基を有する公知のエポキシ樹脂、例えば、ビスフェノールA型、テトラブロモビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型、ビスフェノールAD型等のエポキシ樹脂が挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用いることができる。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量は150〜3000であることが好ましく、分子量は300〜4000であることが好ましい。
上記不飽和脂肪酸としては、いわゆる乾性油由来の脂肪酸を用いることが好適である。これにより、塗膜に耐久性や柔軟性を与えたり、顔料の分散性を高めたりすることができる。
上記乾性油由来の脂肪酸としては、亜麻仁油、桐油、脱水ヒマシ油、大豆油、米油、紅花油、向日葵油、護謨種子油、重合油等の乾性油に由来する脂肪酸を挙げることができる。中でも、脱水ヒマシ油を用いることが好ましい。
また、上記不飽和脂肪酸とともに、上述した乾性油用いてもよい。上記不飽和脂肪酸及び乾性油は、2種以上を混合して用いてもよい。
上記(メタ)アクリル系単量体としては、(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体であれば特に限定されないが、ケト基又はアルデヒド基に由来する活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体を用いることが好ましい。
上記ケト基又はアルデヒド基に由来する活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体は、分子内にケト基又はアルデヒド基に由来する活性カルボニル基を1個以上有し、かつ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリレート、アセトニトリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートアセチルアセテート、ブタンジオール−1,4−(メタ)アクリレートアセチルアセテート、(メタ)アクリルオキシアルキルプロペナール等である。
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体は、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有し、かつ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びこれらの無水物・塩・モノエステル等が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
上記水分散性樹脂の形成成分は、上述した活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体及びカルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体以外の、共重合可能な単量体を含んでいてもよい。
上記共重合可能な単量体としては、スチレン等の芳香族系ビニル単量体(ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸等)、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等;(メタ)アクリロニトリル等;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルピリジン等の塩基性モノマー類等が挙げられる。
好ましくは、スチレンである。
上記水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂に含まれる各成分量としては、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の総量100質量%に対して、エポキシ樹脂は10〜60質量%であることが好ましい。より好ましくは、20〜50質量%である。また、不飽和脂肪酸は10〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜40質量%である。また、(メタ)アクリル系単量体は、10〜50質量%であることが好ましい。より好ましくは、10〜40質量%である。
上記活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体及び共重合可能な単量体の含有量としては、活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体及び共重合可能な単量体の総量100質量%に対して、活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体が2.5〜30質量%、それら以外の共重合可能な単量体が70〜97.5質量%であることが好ましい。上記共重合可能な単量体としてスチレンを用いる場合には、活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体、カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体及び共重合可能な単量体の総量100質量%に対して、10〜70質量%であることが好ましい。
上記防錆塗料用水性樹脂組成物中の水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂の含有量としては、防錆塗料用水性樹脂組成物の不揮発分の総量100質量%に対して、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の合計で5〜55質量%であることが好ましい。より好ましくは、5〜40質量%である。
上記水性樹脂の粒子と、上記水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂(不揮発分)との質量比、すなわち、(水性樹脂粒子)/(水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の合計)は、45/55〜95/5であることが好ましい。より好ましくは、60/40〜90/10である。
上記防錆塗料用水性樹脂組成物はまた、金属ドライヤーの含有量が、水性樹脂、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の総量100質量%に対して0.6質量%以下である。金属ドライヤーの含有量が0.6質量%を超えると、得られる塗膜の耐水性が低下するおそれがある。好ましくは0.2質量%以下であり、最も好ましくは0質量%、すなわち金属ドライヤーを含まないことである。
上記金属ドライヤーは、酸化重合の促進作用を有する金属又は金属化合物であり、脂肪酸の金属塩、金属酸化物、単体金属等を用いることができる。
脂肪酸の金属塩としては、コバルト、マンガン、ジルコニウム、リチウム、バリウム、亜鉛、銅、鉄、カルシウム、マグネシウム、セリウム、アルミニウム、ストロンチウム等の金属と脂肪酸との塩の1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪酸としては、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグリノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸、ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、鯨油酸、エルシン酸、サメ油酸、リノール酸、ヒラゴ酸、エレオステアリン酸、ブニカ酸、トリコサン酸、リノレン酸、モロクチ酸、パリナリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ヒラガシラ酸、ニシン酸、大豆油脂肪酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。
脂肪酸の金属塩として好ましくは、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸マンガンである。
上記金属ドライヤーとしては、脂肪酸の金属塩以外に、上で例示した金属の単体や酸化物の1種又は2種以上を用いることもできる。
上記防錆塗料用水性樹脂組成物は、上述した水性樹脂、水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂、並びに、金属ドライヤー以外の他の成分を含んでいてもよい。このような他の成分としては、無機顔料を含むことが好ましい。防錆塗料用水性樹脂組成物が無機顔料を含むことにより、得られる塗膜がより防錆性に優れたものとなる。
なお、上記防錆塗料用水性樹脂組成物が金属ドライヤーを含む形態において無機顔料を用いる場合には、無機顔料として該金属ドライヤーとは異なるものを用いることが好ましい。
すなわち、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物が、更に、金属ドライヤーとは異なる無機顔料を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
上記無機顔料としては、防錆顔料、着色顔料、体質顔料、金属粉顔料、加工顔料等を用いることができる。好ましくは、防錆顔料、着色顔料、体質顔料である。
上記防錆顔料としては、酸化亜鉛、亜鉛末、亜鉛化鉛、四酸化三鉛、ジンク・クロメート、鉛酸カルシウム、ストロンチウム・クロメート、シアナミド鉛、塩基性クロム酸鉛、塩基性硫酸鉛、燐酸亜鉛、モリブデン酸亜鉛、MIO(雲母状酸化鉄)等を用いることができる。好ましくは、酸化亜鉛である。
上記着色顔料としては、酸化チタン、カーボン・ブラック、ランプ・ブラック、四三酸化鉄、モリブデート・オレンジ、べんがら(弁柄)、黄鉛、黄色酸化鉄、クロム・グリーン、酸化クロム・グリーン、群青、紺青、コバルト・ブルー、コバルト・バイオレット、マンガン・バイオレット等を用いることができる。好ましくは、カーボン・ブラック、酸化チタンである。
上記体質顔料としては、黄土、重質炭酸カルシウム、カオリン、クレー、けい藻土(珪藻土)、タルク、(沈降性)硫酸バリウム、珪砂、ウオラストナイト等を用いることができる。好ましくは、重質炭酸カルシウムである。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物が含む無機顔料は、各種無機顔料の中でも金属ドライヤーとしての作用を発揮しないものであることが好ましい。このような無機顔料を用いることで、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物の効果をより充分に発揮させることが可能となる。
金属ドライヤーとしての作用を発揮しない無機顔料としては、カーボン・ブラックが好ましい。
同様に、防錆塗料用水性樹脂組成物が無機顔料以外の他の成分を含む場合、他の成分としては、金属ドライヤーとしての作用を発揮しないものであることが好ましい。
上記無機顔料の含有量としては、上記水性樹脂、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の総量100質量%に対して、30質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以下である。
なお、複数種類の無機顔料を用いる場合には、全ての種類の無機顔料の合計量が上記範囲内にあることが好ましい。
以下においては、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物の製造方法について説明する。特に、上記水性樹脂がコア・シェル構造を有し、これが水中に分散されたエマルションを、重合段数が2である2段重合によって製造する場合の製造方法について述べる。
上記水性樹脂のエマルションの製造方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いてもよい。
また、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。
上記エマルションを製造する方法としては、水等の水性溶媒中にコア部を構成する単量体成分の一部を滴下してシード粒子を形成した後、残りの単量体成分を追加してコア部を形成し、その後、シェル部を構成する単量体成分を加えてシェル部を形成する方法が好ましい。エマルションの平均粒子径は、水性媒体中のシード粒子の数に影響されるため、シード粒子を形成するために水性媒体中に添加される単量体成分の量を適宜調整することにより、シード粒子の数を制御し、エマルションの平均粒子径を制御することができる。
シード粒子を形成させるため重合器に直接仕込む水・乳化剤・重合性単量体からなる単量体乳化物は、フィードするトータル量の0.5〜10質量%であることが好ましい。また、乳化剤水溶液のみを直接重合器に仕込む手法も好ましい手法の1つであり、トータルの重合性単量体に対し、乳化剤固形分に換算して0.05〜2.0質量%の量が好ましい。
なお、上記水性媒体の使用量は、得ようとするエマルションの所望の樹脂固形分を考慮して適宜設定すればよい。
2段重合では、1段目で投入した単量体成分の80%以上が重合した後に2段目の重合体のための新たな単量体成分を投入することが好ましい。単量体成分の重合が80%以上進行する前に新たな単量体を投入すると、1段目の単量体成分により製造される重合体の製造に、新たに投入した2段目の重合体のための単量体成分が使用されるおそれがある。より好ましくは、90%以上を重合させた後に投入することであり、更に好ましくは、95%以上を重合させた後に投入することである。
上記エマルションの製造に用いる乳化剤としては、アニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、両性乳化剤及び高分子乳化剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記アニオン性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。
上記アニオン性乳化剤の好ましい具体例としては、例えば、ラテムルWX、ラテムル118B、ペレックスSS−H、エマルゲン1118S、エマルゲンA−60、B−66(花王(株)社製)、ハイテノール18E、ハイテノールNF−08、ハイテノールNF−13(第一工業製薬(株)社製)、ニューコール707SF、ニューコール707SN、ニューコール714SF、ニューコール714SN(日本乳化剤(株)社製)、AB−26S、ABEX−2010、2020、2030、DSB(ローディア日華(株)社製)等が挙げられる。また、これらのノニオンタイプに相当する乳化剤も使用することができる。
上記アニオン性乳化剤としてはまた、反応性乳化剤として、ラテムルS−120、S−120A、S−180及びS−180A(いずれも商品名、花王(株)社製)、エレミノールJS−2(商品名、三洋化成工業(株)社製)、アデカリアソープSR−10、SR−20、SR−30(ADEKA(株)社製)等のスルホコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤;ラテムルASK(商品名、花王(株)社製)等のアルケニルコハク酸塩型反応性アニオン系界面活性剤等の1種又は2種以上を用いることができる。また、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルフォネート塩(例えば、三洋化成工業(株)社製「エレミノールRS−30」、日本乳化剤(株)社製「アントックスMS−60」等)、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルフォネー卜塩(例えば、第一工業製薬(株)社製「アクアロンKH−10」、「アクアロンKH−05」等)等のアリル基を有する硫酸エステル(塩)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸アンモニウム(例えば、花王(株)社製「ラテムルPD−104」等)等も用いることができる。
上記アニオン性乳化剤としては更に、反応性乳化剤として、炭素数3〜5の脂肪族不飽和カルボン酸のスルホアルキル(炭素数1〜4)エステル塩型界面活性剤を用いることができる。このような界面活性剤として具体的には、例えば、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム塩、3−スルホプロピル(メタ)アクリレートアンモニウム塩等の(メタ)アクリル酸スルホアルキルエステル塩型界面活性剤;スルホプロピルマレイン酸アルキルエステルナトリウム塩、スルホプロピルマレイン酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩、スルホエチルフマル酸ポリオキシエチレンアルキルエステルアンモニウム塩等の脂肪族不飽和ジカルボン酸アルキルスルホアルキルジエステル塩型界面活性剤等が挙げられる。
上記ノニオン性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル;ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;ソルビタン脂肪族エステル;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪族エステル;グリセロールのモノラウレート等の脂肪族モノグリセライド;ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物等が挙げられる。また、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン(例えば、ADEKA(株)社製「アデカリアソープER−20」等)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル(例えば、花王(株)社製「ラテムルPD−420」、「ラテムルPD−430」等)等の反応性を有するノニオン性乳化剤も用いることができる。これらは1種又は2種以上用いることができる。
上記カチオン性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記両性乳化剤としては特に限定されず、例えば、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルカルボキシメチルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、アルキルアミドプロピルベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記高分子乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上述した乳化剤の中でも、環境面からは、非ノニルフェニル型の乳化剤を用いることが好適である。
上記乳化剤の使用量としては、用いる乳化剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜6重量部である。
上記保護コロイドとしては、例えば、部分ケン化ポリビニルアルコール、完全ケン化ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース塩等のセルロース誘導体;グアーガム等の天然多糖類等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。なお、保護コロイドは単独で使用されてもよいし、界面活性剤と併用されてもよい。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
上記エマルションは、反応性乳化剤を乳化重合して得られるものであることが好ましい。乳化剤は、親水性の成分であるため、エマルション中に遊離した状態で存在すると、塗膜を形成した場合に、水分が浸透しやすくなる原因となる。反応性乳化剤を用いると、乳化剤が重合体の一部として取り込まれることになるため、乳化剤がエマルション中に遊離した状態で存在することを抑制することができ、より高い防錆性を発揮するエマルションとすることができる。
上記重合開始剤としては、熱によって分解し、ラジカル分子を発生させる物質であれば特に限定されないが、水溶性開始剤が好適に使用される。例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)等の水溶性アゾ化合物;過酸化水素等の熱分解系開始剤;過酸化水素とアスコルビン酸、t−ブチルヒドロパーオキサイドとロンガリット、過硫酸カリウムと金属塩、過硫酸アンモニウムと亜硫酸水素ナトリウム等のレドックス系重合開始剤等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.15〜1重量部である。
上記重合開始剤にはまた、乳化重合を促進させるため、必要に応じて還元剤を併用することができる。還元剤としては、例えば、アスコルビン酸、酒石酸、クエン酸、ブドウ糖等の還元性有機化合物;例えば、チオ硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム等の還元性無機化合物等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部であることが好ましい。
上記重合連鎖移動剤としては特に限定されず、例えば、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素、臭化エチレン等のハロゲン化炭化水素;メルカプト酢酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシルエステル、メルカプトピロピオン酸トリデシルエステル等のメルカプトカルボン酸アルキルエステル;メルカプト酢酸メトキシブチルエステル、メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル等のメルカプトカルボン酸アルコキシアルキルエステル;オクタン酸2−メルカプトエチルエステル等のカルボン酸メルカプトアルキルエステルや、α−メチルスチレンダイマー、ターピノーレン、α−テルピネン、γ−テルピネン、ジペンテン、アニソール、アリルアルコール等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ヘキシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキサデシルメルカプタン、n−テトラデシルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類を用いることが好ましい。重合連鎖移動剤の使用量としては、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、通常2重量部以下、好ましくは1重量部以下である。
上記乳化重合においては、必要に応じて、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム等のキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウム等の分散剤や無機塩等の存在下で行ってもよい。また、単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記製造方法における乳化重合条件に関し、重合温度としては特に限定されず、例えば、0〜100℃であることが好ましく、より好ましくは、40〜95℃である。また、重合時間も特に限定されず、例えば、1〜15時間とすることが好適で、より好ましくは、5〜10時間である。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
上記製造方法においては、乳化重合によりエマルションを製造した後、必要に応じて、中和剤によりエマルションを中和してもよい。これにより、エマルションがより安定される。中和剤としては特に限定されず、例えば、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、モルホリン等の三級アミン;アンモニア水;水酸化ナトリウム等を用いることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記製造方法により製造されたエマルションに、上記水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂を混合することにより、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物を得ることができる。また、必要に応じて、金属ドライヤーや無機顔料を混合することもできる。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物は、必要に応じて、他の成分とともに防錆塗料組成物を構成することもできる。上記他の成分としては、増粘剤を用いることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
増粘剤の配合量は、上記防錆塗料用水性樹脂組成物の固形分100重量部に対し、固形分で0.01〜2重量部とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜1.5重量部であり、更に好ましくは、0.1〜1重量部である。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物の用途としては特に限定されず、優れた防錆性を有し、塗膜の外観にも優れるため、自動車、鉄道車両、船舶、航空機等の他、電気機器、建築構造物、建設機器等にも好適に適用することができる。
本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物は、上述の構成よりなり、高い防錆性を発揮するとともに、過酷な使用環境下でも白化等を抑制し優れた外観を維持できる耐水性に優れた塗膜を形成することができるものであることから、耐久性の向上のために錆の発生を抑制が必要となる幅広い用途において、防錆塗料の原料として好適に用いることができるものである。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「重量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
なお、下記の製造例において、pHについては上述した方法により測定したが、不揮発分、ガラス転移温度(Tg)及び平均粒子径については、以下のように評価した。
<不揮発分>
得られたエマルション約1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃×1時間乾燥後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
<ガラス転移温度(Tg)>
各段で用いた単量体組成から、上述したFoxの式を用いて算出した。なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
Foxの式により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHA):−70℃
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA):66℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
イソボルニルメタクリレート(IBMA):180℃
メタクリル酸(MAA):130℃
アクリル酸(AA):95℃
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM):134℃
<平均粒子径>
動的光散法により求めた。製造したエマルションを蒸留水で希釈し充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法によるNICOM P Model 380(粒度分布測定器、商品名、パーティクル サイジング システムズ[Particle Sizing Systems]社製)でウインドウズベースのソフトウェア(Windows(登録商標) Based Software)を用いて測定することにより求めた。解析は、ボリューム−ウエイテッド ガウシアン ディストリビューション アナリシス(VOLUME−Weighted GAUSSIAN DISTRIBUTION Analysis)(固体粒子[Solid Particle])により行った。
(エマルション(水性樹脂の分散体)の製造)
製造例1
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水551.4部、及び、25%水溶液に調製したアデカリアソープSR−10(商品名、反応性乳化剤、ADEKA(株)社製)2部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を80℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート253.5部、メチルメタクリレート222.9部、メタクリル酸3.0部、アクリル酸4.4部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、25%水溶液に調製したアデカリアソープSR−10を23.2部及び脱イオン水181.4部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの23部、4%ACVA(商品名、大塚化学(株)社製)水溶液24.5部を添加し、初期重合を開始した。30分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を100分にわたって均一に滴下した。同時に1.3%ACVA水溶液30.8部を100分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート27.3部、スチレン382.6部、アクリル酸6.1部、25%水溶液に調製したアデカリアソープSR−10を19.6部及び脱イオン水147.3部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、80分にわたって均一に滴下した(トータルTg23℃)。同時に1.3%ACVA水溶液37.6部を80分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、アンモニア水を添加し、不揮発分45%、粒子径160nm、pH9.2のエマルション(a−1)を得た。
製造例2
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水540部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン262.6部、アクリル酸7.4部、25%水溶液に調製したハイテノールNF−08(商品名、アニオン性乳化剤、第一工業製薬(株)社製)6.0部及び脱イオン水110部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの17部、4%V−50(商品名、和光純薬工業(株)社製)水溶液25部を添加し、初期重合を開始した。30分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を60分にわたって均一に滴下した。同時に3%V−50水溶液23部を60分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート315部、メチルメタクリレート308部、アクリル酸7部、25%水溶液に調製したハイテノールNF−08を4.5部及び脱イオン水250部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した(トータルTg16℃)。同時に3%V−50水溶液46部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、アンモニア水を添加し、不揮発分45%、粒子径110nm、pH9.0のエマルション(a−2)を得た。
製造例3
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水655.1部、及び、25%水溶液に調製したアクアロンKH−05(商品名、反応性乳化剤、第一工業製薬社製)80部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を80℃まで上昇した。一方、上記滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート258部、スチレン211.6部、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)18部、アクリル酸7.4部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、25%水溶液に調製したアクアロンKH−05を30.1部及び脱イオン水174.2部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ(1段目のTg−12℃)。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの23部、4%V−50(商品名、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、重合開始剤、和光純薬工業社製)水溶液24.5部を添加し、初期重合を開始した。30分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を100分にわたって均一に滴下した。同時に1.3%ACVA水溶液30.8部を100分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート27.3部、スチレン371.4部、アクリル酸6.1部、25%水溶液に調製したアクアロンKH−05を40部及び脱イオン水130.5からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、80分にわたって均一に滴下した(2段目のTg80℃、トータルTg22℃)。同時に1.3%ACVA水溶液37.6部を80分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、アンモニア水を添加し、不揮発分42%、粒子径88nm、pH9.2のエマルション(a−3)を得た。
(水分散性樹脂分散体の製造)
製造例4
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管のついた四ツ口フラスコに、脱水ヒマシ油脂肪酸250部、エポトートYD−128(東都化成(株)社製、エポキシ樹脂)380部、エポトートYD−014(東都化成(株)社製、エポキシ樹脂)70部と、ブチルセロソルブ250部およびトリエチルアミン1.5部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら140℃まで昇温し、2時間反応させ、酸価が1以下になったところで反応を終了し、エポキシエステルを得た。
この反応物に、第2段の反応原料として、スチレン150部、アクリル酸50部、ブチルメタクリレート75部と、パーブチルD(日本油脂(株)社製、重合開始剤)6部からなる混合物を2時間にわたって滴下ロートから滴下し、さらに140℃で4時間保持した後、80℃まで冷却し、トリエチルアミン50部および脱イオン水1180部を加えて、不揮発分40.0%のアクリル変性エポキシエステルの水分散体(水分散性樹脂分散体(1))を得た。
(塗料配合)
実施例1〜9、比較例1〜2
実施例1
製造例1で得たエマルション(a−1)と、製造例4で得た水分散性樹脂分散体(1)とを不揮発分の重量比が70:30となるように混合することにより得た樹脂組成物230部に、Disperbyk−190(ビックケミージャパン(株)製、表面調整剤)0.4部、SNデフォーマー325(サンノプコ(株)社製、消泡剤)0.4部を加えて混合し、増粘剤を適宜添加して防錆塗料用水性樹脂組成物(1)を得た。
実施例2
エマルション(a−1)に代えて製造例2で得たエマルション(a−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(2)を得た。
実施例3
実施例1の配合に、更に、ディックネート(DICNATE)3111(DIC(株)社製、金属ドライヤー)0.2部を加えて、防錆塗料用水性樹脂組成物(3)を得た。
実施例4
ディックネート3111の添加量を0.6部としたこと以外は実施例3と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(4)を得た。
実施例5
エマルション(a−2)と水分散性樹脂分散体(1)とを、不揮発分の重量比が90:10となるように混合したこと以外は実施例2と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(5)を得た。
実施例6
エマルション(a−1)に代えてアデカレジンEP−6000(ADEKA(株)社製、エポキシ樹脂)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(6)を得た。
実施例7
エマルション(a−1)に代えてウォーターゾールBC−3010(DIC(株)社製、アルキド樹脂)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(7)を得た。
実施例8
実施例3の配合に、更に、脱イオン水6.0部、カーボンブラックMA100(三菱化学(株)社製、着色顔料)2.0部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)社製、防錆顔料)5.0部を加えて、防錆塗料用水性樹脂組成物(8)を得た。
実施例9
エマルション(a−1)に代えて製造例3で得たエマルション(a−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(9)を得た。
比較例1
ディックネート3111の添加量を1.0部としたこと以外は実施例3と同様にして、比較用水性樹脂組成物(1)を得た。
比較例2
ディックネート3111の添加量を2.0部としたこと以外は実施例3と同様にして、比較用水性樹脂組成物(2)を得た。
実施例1〜9及び比較例1〜2で得られた防錆塗料用水性樹脂組成物(1)〜(9)及び比較用水性樹脂組成物(1)〜(2)について、下記試験方法にて塗膜物性の評価を行った。結果を表1に示す。
<塗布条件>
自動車用鋼板、SPCC、0.8×70×150mm(日本テストパネル社製)をキシレン、次いでアセトンで洗浄し脱脂したものを基材とした。脱イオン水で不揮発分40%に調整した樹脂溶液を用い、No.42バーコーターにて基材に塗布した。塗布後、室温で10分、次いで60℃で20分乾燥させ、24時間養生後に測定に用いた。乾燥後の塗工厚は25±5μmであった。
<初期硬度>
JIS K5600に準じ、鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を用いて鉛筆引っかき試験を行い、以下の基準で擦り傷による評価を行った。
◎:F以上
○:B以上F未満
×:B未満
<一次密着性>
JIS K5600に準じ、積層体の樹脂硬化物表面に碁盤目の切り込み(1mm×1mm、100桝)を入れ、セロハン粘着テープによる剥離試験を実施し、以下のように評価した。
○:剥離なし
△:剥離面積20%未満
×:剥離面積20%以上
<二次密着性(ソルトスプレー)>
JIS K5600に準じ、塗膜面の交差する2本の対角線にカッターナイフで傷をつけた試験片を、ソルトスプレー試験機を用いて480時間試験を行った後、カッターナイフで傷をつけた部分にテープを密着させてはがし、以下のように評価した。
○:剥離幅1mm未満
△:剥離幅1mm以上7mm未満
×:剥離幅7mm以上
<二次密着性(温水浸漬)>
JIS K5600に準じ、試験片の2/3を40℃温水に浸漬し、240時間試験を行った後、一次密着と同様に碁盤目の切り込みによるテープ剥離により、以下の基準で評価した。
◎:剥離なし
○:剥離面積2%未満
△:剥離面積2%以上20%未満
×:剥離面積20%以上
<防錆性>
JIS K5600に準じ、塗膜面の交差する2本の対角線にカッターナイフで傷を付けた試験片について、ソルトスプレー試験機を用いて240時間及び480時間試験を行い、以下の基準で評価した。
◎:錆面積10%未満
○:錆面積10%以上30%未満
△:錆面積30%以上50%未満
×:錆面積50%以上
<塗膜外観>
JIS K5600に準じ、試験片の2/3を40℃温水に240時間浸漬した後、目視評価を実施し、以下のように評価した。
◎:白化なし
○:若干白化
△:明瞭な白化
Figure 0005654403
表1に示す結果から、金属ドライヤーの含有量を水性樹脂と水分散性樹脂との総量に対して0.6質量%以下にした場合(実施例1〜8)には、0.6質量%より多くした場合(比較例1及び2)と比較して塗膜の二次密着性や塗膜外観が優れていることが分かる。また、0.6質量%以下であっても、金属ドライヤーの含有量がより少ないほうが、二次密着性や塗膜外観に優れたものとなることが分かる。従って、金属ドライヤーの含有量を特定の範囲に調整することに技術的意義が存在することが確認された。
また、N−イソプロピルアクリルアミドを含む単量体成分を用いて形成したエマルションを用いた実施例9では、塗膜の防錆性が著しく向上することが分かった。

Claims (5)

  1. 水性樹脂を含む防錆塗料用水性樹脂組成物であって、
    該水性樹脂は、(メタ)アクリル系単量体として(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体とを含み、(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体との合計量が全単量体成分100質量%中、20質量%以上であり、(メタ)アクリル酸系単量体の含有量が0.5〜2.0質量%であり、更に、芳香環を有する不飽和単量体の含有量が10〜80質量%である単量体成分から得られた樹脂であり、
    該水性樹脂組成物は、更に、該水性樹脂とは異なる水分散性樹脂の形成成分、及び/又は、該水分散性樹脂の形成成分からなる水分散性樹脂を含み、
    該水分散性樹脂の形成成分は、エポキシ樹脂10〜60質量%、不飽和脂肪酸10〜50質量%及び(メタ)アクリル系単量体10〜50質量%を必須とし、
    該水性樹脂組成物は、金属ドライヤーの含有量が、水性樹脂、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の総量100質量%に対して0.6質量%以下である
    ことを特徴とする防錆塗料用水性樹脂組成物。
  2. 前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である
    ことを特徴とする請求項に記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。
  3. 前記水分散性樹脂の形成成分を構成する(メタ)アクリル系単量体は、ケト基又はアルデヒド基に由来する活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。
  4. 前記水性樹脂の粒子と、水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂(不揮発分)との質量比(水性樹脂粒子)/(水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の合計)は、45/55〜95/5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。
  5. 前記防錆塗料用水性樹脂組成物は、更に、前記金属ドライヤーとは異なる無機顔料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。
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