JP2019157254A - 金属用耐食層 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐食能および耐熱能が共に良好なジンクリッチペインとを用いた金属用耐食層を提供すること。【解決手段】(A)ブタジエン/スチレンポリマー(p1)45〜85質量%およびエポキシエステル樹脂(p2)15〜55質量%を含む樹脂成分15〜40質量%と、(B)亜鉛60〜80質量%とを含む水系ジンクリッチペイントを塗布してなるジンクリッチプライマ層を含む金属用耐食層。【選択図】なし

Description

本発明は、金属管の外面および受口内面用耐食層に関する。より詳細には、耐熱および耐食性に優れたジンクリッチプライマを用いることを特徴とする金属管用の耐食層およびその耐食層を有する金属管に関する。
従来から、鋳鉄管の外面耐食層として一次塗装にジンクリッチペイントを用い、塗装後屋外に一時保管を行い、乾燥させた後、粉体塗装またはモルタルライニング処理を行うことが知られている。
また、鋳鉄管の受口内面に塗布する液体塗料としても、ジンクリッチペイントが知られている。ジンクリッチプライマは、顔料として亜鉛を多く含み、防錆力に優れた亜鉛系プライマとして広く使用されている。また、鋳鉄管の外面防食にカルボキシル基を有する水性ウレタン樹脂を結合剤とする水性ジンクリッチペイントを塗布することが開示されている(特許文献1)。
さらに、亜鉛系金属を溶融して鋳鉄管の表面に吹き付け、その後、ジンクリッチペイントを上塗りして鋳鉄管の表面に亜鉛系の防食層を形成する鋳鉄管の防食方法が開示されている(特許文献2)。
特開平8−141498号公報 特開2015−78393号公報
しかしながら、鋳鉄管の外面や受口内面の一次塗装として知られている従来のジンクリッチペイントのうち、アクリル系ジンクリッチペイントでは、220〜230℃に昇温する必要のあるエポキシ樹脂粉体塗装を行う場合、耐熱性が十分ではなく、下塗り塗料や上塗りとするエポキシ樹脂粉体塗装との密着性に改善の余地がある。耐熱性のエポキシエステル系ジンクリッチペイントでは、屋外での一時保管や養生処理といった水環境に対する耐食性に向上の余地がある。
また、上記従来のアクリル系ジンクリッチペイントを用いると、塗り重ねや密着性を考慮すると、上塗りには溶剤系の二液型エポキシ樹脂塗料が最適となるが、受口内面の場合、臭気の問題が懸念され、かつ冬季の硬化が遅いため、リードタイムが長くなり、生産性においても課題となっている。
つまり、本発明は、耐食性および耐熱性が共に良好なジンクリッチペイントを用いた金属用耐食層を提供することを目的とする。
本発明者は、上記課題を解決すべく、所定の比率で、ブタジエン/スチレンポリマー(p1)およびエポキシエステル樹脂(p2)を含む樹脂成分と、亜鉛とを含むジンクリッチペイントを用いることにより、耐食性および耐熱性が共に良好な金属用耐食層が得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1](A)ブタジエン/スチレンポリマー(p1)45〜85質量%およびエポキシエステル樹脂(p2)15〜55質量%を含む樹脂成分15〜40質量%と、
(B)亜鉛60〜80質量%と
を含む水系ジンクリッチペイントを塗布してなるジンクリッチプライマ層
を含む金属用耐食層、
[2]水系ジンクリッチペイントが、(C)水溶性溶剤(s1)および水を含み、水不溶性で低揮発性の溶剤(s2)を主成分としない溶剤5質量%以上をさらに含む上記[1]記載の金属用耐食層、
[3]受口内面に上記[1]または[2]記載の金属用耐食層を有する鋳鉄管
に関する。
本発明によれば、耐食性および耐熱性が共に良好なジンクリッチペイントを用いた金属用耐食層を提供することができる。
本発明の金属用耐食層は、耐食性および耐熱性が共に良好なジンクリッチペイントを塗布してなるジンクリッチプライマ層を含むものである。このジンクリッチペイントは、(A)ブタジエン/スチレンポリマー(p1)45〜85質量%およびエポキシエステル樹脂(p2)15〜55質量%を含む樹脂成分15〜40質量%と、(B)亜鉛60〜80質量%とを含む水系ジンクリッチペイントである。
本発明の金属用耐食層が設けられる金属管は、金属製のものであれば特に限定されないが、たとえば鋳鉄管、鋼管、銅管などの金属管が挙げられる。金属管には、その表面にエポキシ系、ラテックス系または亜鉛溶射などの下地処理が施されていても良い。本発明の金属管の用途としては、上下水道用、貯水用など特に限定されるものではないが、本発明の金属用耐食層の水洗によるさらなる効果を考慮すると、上水道用、貯水用などの飲料水用の鋳鉄管であることが特に好ましい。
具体的には、鋳鉄管は、上下水道管などに広く用いられ、様々な埋設環境で使用されることが多く、特に管外面の耐久性、耐食性の向上が求められている。そのため、管外面の防食層として、たとえば日本ダクタイル鉄管協会規格JDPA Z 2010「ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗装」に規定されている亜鉛系プライマーを用いることが多い。また、亜鉛系プライマーの上塗り塗料として、たとえば日本水道協会規格JWWA K 139「水道用ダクタイル鋳鉄管合成樹脂塗料」に規定されている塗料を用いることが多い。本発明の金属用耐食層に用いるジンクリッチペイントは、この鋳鉄管の上塗り塗料としての使用に適したものである。
<ブタジエン/スチレンポリマー(p1)>
ブタジエン/スチレンポリマー(p1)は、スチレン−ブタジエン共重合体ラテックス、すなわちスチレン・ブタジエンを主成分とする代表的なゴム質系エマルジョンとして水系塗料に配合される。スチレン−ブタジエン共重合体ラテックスは、その結合スチレンの量によって、5〜40%が低スチレン(SBR)、40〜70%が中スチレン(SB)、70〜95%が高スチレン(ハイスチレン)に分類することができる。
上述したようなブタジエン/スチレンポリマー(p1)の具体例としては、ラックスターKD−5(DIC(株)製)などが挙げられる。
<エポキシエステル樹脂(p2)>
エポキシエステル樹脂(p2)は、耐腐食性を向上させるために水性分散体として水系塗料に配合される。エポキシエステル樹脂(p2)は、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)、末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体およびその他のビニル単量体を塊状重合させて得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)を主成分とし、このビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)を中和して得られるビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)の水性分散体である。詳細については後述する。
エポキシエステル樹脂(p2)の水性分散体の固形分濃度は特に限定されるものではないが、作業性を考慮して通常は15〜70質量%であり、より好ましくは25〜60質量%であり、最も好ましくは35〜50質量%である。
エポキシエステル樹脂(p2)の配合量は、固形分として、水系塗料の(p2)、(B)および(C)成分100質量部中に1〜15質量部であり、好ましくは3〜12質量部であり、より好ましくは5〜10質量部である。配合量が1質量部未満では耐腐食性が低下する傾向があり、15質量部を超えるとアクリル系樹脂成分が相対的に少なくなり、良好な塗膜が形成されない傾向がある。
エポキシエステル樹脂(p2)
本発明に用いるエポキシエステル樹脂(p2)は、水系塗料に耐腐食性を付与する成分であり、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)、一般式(I)
Figure 2019157254
(式中、nは1〜10の整数であり、R1は炭素数2〜18のアルキレン基を示す。)で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体およびその他のビニル単量体を塊状重合させて得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)と、塩基性化合物とからなり、水を用いてビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)中のカルボキシル基の一部または全部を塩基性化合物によって中和し、この中和で得られるビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)を水に分散することによって得られるものである。
不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)としては、たとえばエポキシ樹脂が有するエポキシ基および/または水酸基と、不飽和脂肪酸が有するカルボキシル基とを反応させて得られる不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂が挙げられる。
不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)の調製に用いる前記エポキシ樹脂としては、たとえばビスフェノール型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ポリエチレングリコール系エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン樹脂などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。なかでも、耐腐食性に優れる塗膜を形成できるという理由からビスフェノール型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
前記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、たとえば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂が挙げられ、なかでも、耐腐食性に優れる塗膜を形成できるという理由からビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。
前記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、たとえばエピクロン850、1050、3050、4050、7050、HM−091、HM−101(以上、いずれもDIC(株)製)などが挙げられる。前記ビスフェノールF型エポキシ樹脂としては、たとえばエピクロン830(DIC(株)製)などが挙げられる。
前記脂環式エポキシ樹脂としては、たとえばユノックス201、289(以上、いずれも米国ユニオンカーバイド社製)などが挙げられる。前記フェノールノボラック型エポキシ樹脂としては、たとえばエピクロンN−740、775(以上、いずれもDIC(株)製)などが挙げられる。前記ポリエチレングリコール系エポキシ樹脂としては、たとえばエピコート812(オランダ国シェル社製)、エポライト40E、200E、400E(以上、いずれも(株)共栄社製)などが挙げられる。前記エポキシ化ポリブタジエン樹脂としては、たとえばBF−1000((株)ADEKA製)などが挙げられる。
前記エポキシ樹脂としては、常温での造膜性に優れる水系塗料が得られることから、400〜1,000(g/当量)のエポキシ当量を有するものを使用することが好ましく、400〜600のエポキシ当量を有することがより好ましい。
前記エポキシ樹脂由来の構造は、ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)中に、好ましくは15〜75質量%含まれ、より好ましくは25〜60質量%含まれる。これによって、造膜性に優れ、耐腐食性に優れた塗膜を形成できる。
前記エポキシ樹脂と反応する不飽和脂肪酸としては、たとえばオレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リシノール酸、桐油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、トール油脂肪酸、綿実油脂肪酸、大豆油脂肪酸、オリーブ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、米糠油脂肪酸などの脂肪酸などが挙げられる。なかでも、ヨウ素価120〜200の大豆油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸などの半乾性油、乾性油を使用することが、後述するビニル単量体を、不飽和脂肪酸の有する不飽和結合に効率よくグラフト重合させることができるため好ましい。
前記不飽和脂肪酸に由来する構造は、前記ビニル変性エポキシエステル樹脂中に、好ましくは15〜50質量%含まれ、より好ましくは15〜40質量%含まれ、最も好ましくは20〜35質量%含まれる。これによって、常温における塗膜の乾燥性、顔料分散性および得られる塗膜の耐腐食性を向上させることができる。
前記不飽和脂肪酸の使用の際には、目的の範囲内でその他のカルボン酸を併用することができる。前記その他のカルボン酸としては、たとえばオクチル酸、ラウリル酸、ステアリン酸、水添ヤシ油脂肪酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸などの飽和脂肪酸や、(無水)フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、(無水)トリメリット酸、(無水)ピロメリット酸、テトラクロル(無水)フタル酸、1,1−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ(無水)フタル酸、(無水)ヘット酸、(無水)ハイミック酸(日立化成化学工業(株)の登録商標)、水添(無水)トリメリット酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、(無水)マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、オクテン酸、イソノナン酸、安息香酸、p−tert−安息香酸、イソオクタン酸、イソデカン酸、シクロヘキサン酸、アクリル酸、メタクリル酸などが挙げられる。
不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)は、たとえば前記エポキシ樹脂と前記不飽和脂肪酸とを、必要に応じてエステル化触媒の存在下で、150〜250℃に加熱して脱水し、前記エポキシ樹脂が有するエポキシ基や2級の水酸基と前記不飽和脂肪酸が有するカルボキシル基とをエステル化反応させることで製造できる。
不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)を製造する際に、エーテル化反応などの副反応を抑制したい場合は、たとえばジメチルベンジルアミン、トリエチルアミンなどを用いることが好ましい。
なお、前記エポキシ樹脂と前記不飽和脂肪酸とを反応させる際には、多価アルコールを併用することができる。前記多価アルコールとしては、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサメチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトールなどが挙げられる。
前記多価アルコールを使用する場合は、前記エポキシ樹脂と前記不飽和脂肪酸と前記多価アルコールとを混合しエステル化反応させることで、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)を製造することができる。
得られた不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)の質量平均分子量としては、塊状重合時のゲル化を抑制でき、かつ、水分散安定性に優れるという理由から3,000〜15,000であることが好ましい。
また、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)の油長は、塊状重合時に高粘度化、水分散樹脂粒子の粗大化、起泡性の高まりなどの問題が発生しにくいことから、15〜60質量%であることが好ましい。
次に、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)、一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体およびその他のビニル単量体を塊状重合させて得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)について説明する。
一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体としては、たとえば2−メタクリロキシエチルサクシニクアシッド、2−メタクリロキシエチルヘキサハイドロフタレート、2−メタクリロキシエチルグルタレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンメタクリレートなどが挙げられる。
一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体は、たとえば、(i)ヒドロキシカルボン酸とカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とを反応させる方法、(ii)カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とε−カプロラクトンとを酸触媒の存在下で反応させる方法などにより製造できる。前記(ii)の方法としては、たとえばカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物とε−カプロラクトンとを、酸触媒の存在下で混合、撹拌し、40〜150℃で反応させる方法が挙げられる。
前記(ii)の方法で使用できるカルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物としては、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸などが挙げられる。酸触媒としては、たとえばp−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、塩化アルミニウム、塩化第二錫などが挙げられる。酸性触媒は、前記カルボキシル基を有するラジカル重合性不飽和化合物100質量部に対して、1〜20質量部の範囲で使用することが好ましい。
前記方法で得られる、一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体は、得られる塗膜の乾燥性が良好なことから、1分子中にε−カプロラクトン由来の構造単位を平均1〜10個有することが好ましく、平均1〜5個有することがより好ましい。その具体例としては、1分子中のε−カプロラクトン単位の平均数が2のアロニクスM−5300(東亜合成化学工業(株)製)が挙げられる。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)中における一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造の質量割合は、好ましくは0.5〜30質量%であり、より好ましくは2〜17質量%である。これによって、ビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)と顔料の分散安定性に優れ、良好な耐腐食性を有すると共に、塊状重合時のゲル化を抑制することができる。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)は、前記ビニル単量体およびその他のビニル重合体部分に、一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造であって、一部または全部が塩基性化合物で中和されている構造の他に、一般式(II)
Figure 2019157254
(式中、mは3〜90の整数であり、R2は炭素数2〜4のアルキレン基、R3は水素原子またはメチル基である。)で示されるポリアルキレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
一般式(II)で示されるポリアルキレンオキサイド構造は、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)が有する不飽和結合の一部または全部に、一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造を有するビニル単量体およびその他のビニル単量体を重合させる際に、前記その他のビニル単量体の一部または全部として一般式(II)で示されるポリアルキレンオキサイド構造を有するビニル単量体を用いることで、前記ビニル重合体部分に導入することができる。
一般式(II)で示されるポリアルキレンオキサイド構造を有するビニル単量体としては、たとえば水酸基含有ビニル単量体にエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドを付加反応させて得られるものが挙げられ、たとえばメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
一般式(II)中のmは好ましくは10〜100の整数であり、より好ましくは10〜30の整数である。これによって、ビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)と顔料の分散安定性に優れ、耐食性の良好な塗膜が得られる。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)中における一般式(II)で示されるポリアルキレンオキサイド構造の質量割合は、好ましくは0.5〜10質量%であり、より好ましくは2〜5質量%である。これによって、ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)と顔料の分散安定性に優れ、耐腐食性の良好な塗膜を形成できると共に、塊状重合時のゲル化を抑制することができる。
前記その他のビニル単量体としては、一般式(II)で示されるポリアルキレンオキサイド構造を有するビニル単量体以外に、たとえば(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチルアクリレート、クロトン酸、ビニル酢酸、アジピン酸モノビニル、セバシン酸モノビニル、イタコン酸モノメチル、マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、コハク酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ヘキサヒドロフタル酸モノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)、ソルビン酸などの不飽和二重結合を有するモノカルボン酸;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸などの不飽和二重結合を有するジカルボン酸;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ドコサニル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート;スチレン、p−tert−ブチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニル化合物;2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレートなどのω−アルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどの3級アミド基含有ビニル系単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基を含有する(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニルエーテルなどの水酸基含有ビニルエーテル;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、;N−メチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの二級アミノ基含有ビニル系単量体;ビニルアセトアセテート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートなどの活性メチレン基を有するビニル単量体;ビニルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランなどの加水分解性シリル基を有するビニル系単量体;トリメチルシリル(メタ)アクリレートなどのシリルエステル基を含有するビニル系単量体;グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基を含有するビニル系単量体;2−イソシアナートプロペン、2−イソシアナートエチルビニルエーテル、2−イソシアナートエチルメタアクリレート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネートなどのイソシアネート基を含有するビニル系単量体などが挙げられる。これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。また、前記その他のビニル単量体としては、たとえば前記水酸基を有するビニル単量体とε−カプロラクトンとを付加反応させたものも使用することができる。
前記塊状重合によるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の合成は、通常、ラジカル重合開始剤の存在下、合成原料である不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)と、合成により得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)がいずれも溶融して攪拌可能となる温度で行う。前記ラジカル重合開始剤としては、各種のラジカル重合開始剤が使用できるが、なかでも未反応のビニル単量体が残存しにくいことから、1時間半減期が100℃以上のラジカル重合開始剤が好ましい。
さらに、前記ラジカル重合開始剤としては、架橋効率ε(n−ペンタデカン中でラジカル重合開始剤を15分半減期温度で分解させた時に生成するn−ペンタデカンダイマーのモル数を測定し、ラジカル重合開始剤1モルに対する生成割合を算出したもの(モル%))が30モル%以上の水素引抜き性の強いラジカル重合開始剤であることが好ましい。これによって、未反応のビニル単量体が残存しにくく、得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の中和および水分散後の樹脂粒子が粗大化して水分散安定性が低下するのを防止できる。
1時間半減期100℃以上、架橋効率30モル%以上のラジカル重合開始剤としては、たとえばtert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、tert−アミルパーオキシベンゾエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイドなどが挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。前記ラジカル重合開始剤は、前記ビニル単量体の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部の範囲内で使用することが好ましい。
前記塊状重合の際には、必要に応じて連鎖移動剤を使用することができる。連鎖移動剤としては、たとえばn−オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;ベンジルメルカプタン、ドデシルベンジルメルカプタンなどの芳香族メルカプタン;チオリンゴ酸などのチオカルボン酸またはそれらの塩、アルキルエステルなどが挙げられる。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の合成の際の塊状重合温度は、塊状重合時の攪拌制御が比較的容易で、不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)と、前記ビニル単量体との反応が進行しやすいことから、100〜200℃であることが好ましく、100〜150℃であることがより好ましい。前記塊状重合は、常圧においても重合可能であるが、密閉容器内で加圧重合を行うことが好ましい。常圧下での塊状重合は、重合温度が100〜140℃では重合時に高粘度化し易く、重合温度が140〜200℃では前記ビニル単量体が揮発しやすい。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の質量平均分子量は、好ましくは8,000〜100,000である。これによって、ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)は、水中に安定して分散し、耐水性および耐腐食性に優れた塗膜を形成できる。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の酸価は、好ましくは5〜100(mgKOH/g)であり、より好ましくは15〜40であり、最も好ましくは20〜35である。これによって、顔料分散性、耐食性および耐水性に優れた塗膜を形成できる。
次に、得られたビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)に含有されているカルボキシル基の一部または全部の塩基性化合物での中和と、水との混合による分散について説明する。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の中和に用いる前記塩基性化合物としては、たとえばメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、2−アミノエタノール、2−ジメチルアミノエタノール、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムハイドロオキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムハイドロオキサイドなどが挙げられる。これら塩基性化合物は、アンモニア水などのように水溶液として使用することもできる。また、ビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)を含有する水系塗料が塗膜を形成した際に揮発して塗膜中に残留せず、耐水性および耐腐食性に優れた塗膜を形成ができることから、揮発性の塩基性化合物やその水溶液、たとえばアンモニア水、トリエチルアミン、2−ジメチルアミノエタノールを用いることが好ましい。
ビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)を水中に分散させる方法としては、たとえば、(i)不飽和脂肪酸変性エポキシエステル樹脂(a1)と、前記ビニル単量体を塊状重合して得られるビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の溶融物を、塩基性化合物と混合して、好ましくは80〜125℃で混合してビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)の溶融物とした後、水と混合して、好ましくは90℃以下、より好ましくは50〜90℃で混合してビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)を水に分散させる方法、(ii)前記(i)と同様に中和して得られるビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)を、沸点90℃以下の有機溶剤、好ましくは沸点50〜90℃の有機溶剤に溶解した後、好ましくは90℃以下、より好ましくは50〜90℃で溶解した後、水と混合して、好ましくは90℃以下、より好ましくは50〜90℃で水と混合してビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)を水に分散させた後、有機溶剤の一部または全部を減圧除去する方法などが挙げられる。前記(i)の分散方法では、ハレルホモジナイザー、スタティックミキサー、ソノレーター、ディスパー、ミキサーなどにより常圧で機械的剪断力をかける分散方法や、マイクロフルイダイザーや、キャビトロンでの加圧化で機械的剪断力をかける分散方法が好ましい。
ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)は、中和される前では、一般式(I)で示される末端カルボキシル基含有構造中のカルボキシル基などの酸基を有する。そのため、ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の酸価が、15〜40(mgKOH/g)程度と低い場合でも、有機溶剤の含有量が極めて少ない、または、全く含まない水性媒体中に安定して分散することができ、顔料も安定して分散させることができる。また、このような低酸価のビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の中和物(a3)を含有する水系塗料を用いることにより、得られる塗膜の耐腐食性および耐水性を向上させることができる。なお、中和前のビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の酸価は必要に応じて選択でき、15〜40以外の酸価であっても良い。酸価は好ましくは10〜60であり、より好ましくは10〜40であり、最も好ましくは20〜30である。
また、ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)の水中への分散に際しては、ビニル変性エポキシエステル樹脂(a2)や顔料の分散安定性を向上させるために、目的の範囲内で乳化剤を使用することができる。乳化剤としては、たとえばポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体などのノニオン系乳化剤、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩などのアニオン系乳化剤、4級アンモニウム塩などのカチオン系乳化剤などが挙げられる。乳化剤は、得られる塗膜の耐水性および耐腐食性を低下させないためにも、できるだけ使用しないことが好ましい。
本発明の製造方法により得られるエポキシエステル樹脂(p2)は、水性媒体中にビニル変性エポキシエステル樹脂中和物(a3)の粒子が分散したものであり、この粒子の粒子径は40〜300nmであることが好ましく、80〜200nmであることがより好ましい。なお、粒子径は、マイクロトラック粒度分析計(マイクロトラック9340−UPA、日機装(株)製)で求めた値である。
上述したようなエポキシエステル樹脂(p2)の具体例としては、ウォーターゾールEFD−5560(DIC(株)製)、ウォーターゾールEFD−5570(DIC(株)製)などが挙げられる。
<亜鉛>
亜鉛は亜鉛末として含有させることができ、亜鉛末としては、通常のジンクリッチペイントに使用されているものと同様のものを使用することができる。たとえば、金属亜鉛あるいは亜鉛合金末(Z/Al合金末、Zn/Al/Mg)の粉末状のものやフレーク状のものなどが挙げられる。
<溶剤>
本発明に用いるジンクリッチペイントに使用される溶剤は、不揮発分および粘度の調整のために用いられるものであり、水不溶性で低揮発性の溶剤(s2)を主成分とせず、水溶性溶剤(s1)を少なくとも7質量%含有し、かつ水を含むものである。溶剤は塗料組成物中に好ましくは5〜20質量%含まれ、より好ましくは10〜15質量%含まれ、さらに好ましくは11〜13質量%含まれる。
本発明に用いられる水溶性溶剤(s1)は、低級アルコールや、プロピレングリコールモノエーテルなど、水に良く溶解する溶剤、たとえば水への溶解度が25℃で水1Lに対しておおよそ100g以上であり、好ましくは混和レベルで水に溶解する溶剤である。また、その溶剤自体の臭気が弱いものがより好ましい。さらに、本発明に用いる水溶性溶剤としては、酢酸ブチルと同程度またはそれ以下の蒸発速度を有する低揮発性溶剤を使用することが好ましい。
水溶性溶剤(s1)の例としては特に限定されるものではないが、エチルアルコール、イソプロピルアルコール(IPA)、Sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどの低級アルコール;メチルエチルケトン;プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGMME)、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテルなどのプロピレングリコールモノエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエチレングリコールモノエーテル;ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルなどのジエチレングリコールモノエーテル;プロピレングリコール;モノエチレングリコールなどが挙げられる。これらのなかでも、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、モノエチレングリコール、PGMME;ジメチルエタノールアミンなどの低揮発性溶剤を使用することが好ましい。これらの溶剤は、単独でまたは2種以上混合して使用することができる。
溶剤中の水溶性溶剤(s1)の割合は、7質量%以上であり、8質量%〜25質量%が好ましい。水溶性溶剤の割合が7質量%より少ないと、水洗によるトルエンなど樹脂中に含まれるかまたは併用する高揮発性溶剤の除去促進効果が得られにくい傾向がある。
溶剤には水溶性溶剤(s1)以外に塗料の分野において通常使用されるその他の溶剤を含有しても良く、たとえば、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル;メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン;1−ブタノール、イソブタノールなどのアルコール;エチル−3−エトキシプロピオネート(EEP:商品名、イーストマン・コダック社製)などのエーテルなどを挙げることができる。これらは、作業性、塗料安定性、溶解性、蒸発速度、安全性、法規制などを考慮して、単独でまたは2種以上を混合して適宜使用される。
さらに、用いる溶剤には、水不溶性で低揮発性の溶剤(s2)を主成分としないことが好ましい。水不溶性で低揮発性の溶剤(s2)とは、水に対してほとんど溶解せず、たとえば水への溶解度が25℃で水1Lに対しておおよそ500mg以下であり、酢酸ブチルと同程度またはそれ以下の蒸発速度を有する溶剤を意味する。具体的には、キシレンなどの芳香族炭化水素;たとえばソルベッソ100、ソルベッソ150などの芳香族炭化水素系溶剤;スワゾール1000、スワゾール1500、スワゾール1800(いずれも商品名、丸善石油化学(株)製)、LAWS(商品名、シェル社製)などの脂肪族−芳香族炭化水素混合物を挙げることができる。これらは、作業性、塗料安定性、溶解性、蒸発速度、安全性、法規制などを考慮して、単独でまたは2種以上を混合して適宜使用することができるが、主成分としては使用することができない。これらの水不溶性で低揮発性の溶剤を多く含有すると、水洗時までに水不溶性の溶剤が多く残留してしまい、水溶性溶剤と共に総て洗い流すことが難しくなる。したがって、これらの水不溶性で低揮発性の溶剤の溶剤中の割合は、合わせて3.0質量%以下、好ましくは1.8質量%以下、最も好ましくは1.0質量%以下であり、含有しないことが最も好ましい。
<その他の成分>
本発明に用いるジンクリッチペイントは、上記成分のほかに必要に応じて、酸化亜鉛、水質に影響を与えない範囲の公知の顔料、成膜助剤、分散剤、添加剤などを添加することができる。
その他の添加剤としては、シリコーンや有機高分子からなる消泡剤;シリコーンや有機高分子からなる表面調整剤;アマイドワックス、有機ベントナイトなどからなる粘性調整剤(タレ止め剤);シリカ、アルミナなどからなる艶消し剤;ポリカルボン酸塩などからなる分散剤;ベンゾフェノンなどからなる紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系光安定剤、フェノール系などの酸化防止剤;ワックスなど、公知の添加剤を挙げることができる。これらは必要により単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
<ジンクリッチプライマ層の製造>
本発明のジンクリッチペイントを金属管に塗布する方法は特に限定されないが、刷毛塗装、ローラー塗装、エアスプレー塗装、エアレススプレー塗装、浸漬塗装、シャワーコート塗装などの方法で塗布される。
<金属用耐食層>
本発明の金属用耐食層は、金属管上にジンクリッチプライマ層を形成する前に、亜鉛系被膜を溶射により作製してもよく、またジンクリッチプライマ層の外層には、下塗り塗料を塗装することが好ましく、また、最外層に上塗り塗装として水系塗料を用いることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例および比較例において使用した成分の詳細をつぎに示す。
・樹脂A:ブタジエン/スチレンポリマー(DIC(株)製のラックスターKD−5の固形分)
・樹脂B:ビニル変性エポキシエステル樹脂(DIC(株)製のウォーターゾールEFD−5570の固形分)
・亜鉛末:堺化学工業(株)製の純亜鉛末
以下の成分はDIC(株)製のラックスターKD−5および/またはDIC(株)製のウォーターゾールEFD−5570に由来する
・酸化亜鉛
・水溶性溶剤(エチレングリコールモノブチルエーテル:ブチルセロソルブ(大商化成(株)製)、イソプロピルアルコールおよびジメチルエタノールアミン)
・添加剤
・成膜助剤:石油エーテル系溶剤
・分散剤
実施例1〜3および比較例1〜3
表1に記載した配合となるよう亜鉛末とDIC(株)製のラックスターKD−5およびDIC(株)製のウォーターゾールEFD−5570を混合し、ジンクリッチペイントを製造した。
Figure 2019157254
(1)耐中性塩水噴霧性(耐食性)
塗膜の長期耐久性を確認すべく、JIS K 5600−7−1(塗料一般試験方法−第7部:塗膜の長期耐久性−第1節:耐中性塩水噴霧性)に準じて試験を行った。
実施例1〜3および比較例1〜3において製造した各ジンクリッチペイントを、みがき鋼板(150×100mm)に刷毛塗りで50μm塗装した。そして、カッターナイフでクロスカットを施し、塩化ナトリウム水溶液(5%)を噴霧して、外観を観察した。白錆、赤錆およびフクレ等の外観の異常が見られない場合を異常なしとし、1つでもそれらの異常が見られた場合を異常ありとし、異常なしの時間で評価した。なお、クロスカットの両側それぞれ2mm以内は観察の対象としなかった。
結果を表1に示す。
◎:300時間異常なし
○:200時間異常なし
○△:170時間異常なし
△:120時間異常なし
×:120時間異常あり
(2)密着性
(i)金属管との密着性
実施例1〜3および比較例1〜3において製造した各ジンクリッチペイントを、片面サンドブラスト鋼板に塗布し、乾燥させ、試験片を得た。この試験片を用いて金属表面とジンクリッチプライマ層との付着性を碁盤目試験(JIS K 5600)にて確認した。結果を表1に示す。判定基準は以下のとおりである。
(判定基準)
○:分類0(カットの縁が完全に滑らかでどの格子の目にも剥れがない)〜分類1(カットの交差点における塗膜の小さな剥がれ、明確に5%を上回らない)
△:分類2(塗膜がカットの線に沿って交差点において剥がれている。5%以上15%未満)
×:分類3(塗膜がカットの線に沿って部分的、全面的に剥がれている。15%以上35%未満)以上
(ii)加熱後の密着性
上記(i)と同様にして得た試験片を250℃で20分間加熱したのち、金属表面とジンクリッチプライマ層との付着性を盤目試験(JIS K 5600)にて確認した。結果を表1に示す。判定基準は上記(i)のとおりである。
(iii)加熱後の密着性(上塗り)
上記(i)と同様にして得た試験片のジンクリッチプライマ層の上に、アクリル系水系塗料またはエポキシ系塗料をそれぞれ上塗りA塗料および上塗りB塗料として200g/m2で塗布し(上塗り塗料AまたはBの膜厚80μm)、乾燥させ、試験片を得た。この試験片を250℃で20分間加熱したのち、ジンクリッチプライマ層表面と上塗り塗料との付着性を碁盤目試験(JIS K 5600)にて確認した。結果を表1に示す。判定基準は上述のとおりである。

Claims (3)

  1. (A)ブタジエン/スチレンポリマー(p1)45〜85質量%およびエポキシエステル樹脂(p2)15〜55質量%を含む樹脂成分15〜40質量%と、
    (B)亜鉛60〜80質量%と
    を含む水系ジンクリッチペイントを塗布してなるジンクリッチプライマ層
    を含む金属用耐食層。
  2. 水系ジンクリッチペイントが、(C)水溶性溶剤(s1)および水を含み、水不溶性で低揮発性の溶剤(s2)を主成分としない溶剤5質量%以上をさらに含む請求項1記載の金属用耐食層。
  3. 受口内面に請求項1または2記載の金属用耐食層を有する鋳鉄管。
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