JP4791003B2 - 生分解性樹脂含有水分散体及び該水分散体の製造方法 - Google Patents

生分解性樹脂含有水分散体及び該水分散体の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、生分解性を有する材料を含有しつつ、貯蔵安定性に優れ、乾燥性、仕上がり性、耐水性の良好な塗膜を形成することが可能な生分解性樹脂含有水分散体及び該水分散体の製造方法及び該水分散体を含む水性塗料組成物に関する。
近年、地球の環境汚染が顕在化し、環境への負荷低減を考慮した循環型社会の構築が進む中、塗料業界においても、地球環境に優しい製品の開発が求められている。このような状況において、室内環境の悪化の原因となるトルエン、キシレンなどの揮発性有機化合物(VOC)などを多量に含んでいないことは勿論、廃棄後の土壌汚染等の観点からも、生分解作用を有する材料を用いたコーティング剤が種々提案されている。例えば、特許文献1には、特定の生分解性樹脂を特定の可塑剤及び分散安定化剤の存在下に水に分散安定化されていることを特徴とする生分解性樹脂水系分散体が記載されている。該分散体は、安全面、環境面に優れているものの、水性塗料用の樹脂エマルションとして適用した場合、分散体の平均粒子径が3000〜12000nm程度と大きく、貯蔵安定性や仕上がり性が不十分である上、塗膜物性的に用途が制約されるという問題点がある。
特開2002−121288号公報
本発明の目的は、貯蔵安定性に優れ、乾燥性、仕上がり性、耐水性の良好な生分解性樹脂含有水分散体、該分散体の製造方法及び該分散体を含む水性塗料組成物を提供することである。
特定の生分解性樹脂及び特定の重合性不飽和モノマーを含む重合性不飽和モノマーを含む混合物を水性媒体中に特定平均粒子径となるように微分散してなる乳化物を重合する方法により上記した問題点を解決できることを見出し、本発明に到達した。即ち本発明は
1.セルロースアセテート誘導体、キチン及びポリブチレンサクシネートよりなる群から選ばれる1以上の化合物である(A)生分解性樹脂及び(B)炭素数が4以下のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーを含有する重合性不飽和モノマーを含有する混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とする分散樹脂の平均粒子径が1000nm以下である生分解性樹脂含有水分散体の製造方法、
2.重合性不飽和モノマー(B)が、カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマーを含有する1項に記載の方法、
3.重合性不飽和モノマー(B)が、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含有する1項または項のいずれか1項に記載の方法、
4.重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体の重量平均分子量が250,000以下である1項ないし項のいずれか1項に記載の方法、
5.混合物(I)が、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)を含有する1項ないし項のいずれか1項に記載の方法、
6.1項ないし項のいずれか1項に記載の方法により得られる生分解性樹脂含有水分散体を含有する水性樹脂組成物、
7.項に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物、
8.被塗面に、項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法、
9.項に記載の塗膜形成方法により得られる塗装物品、
に関する。
本発明の生分解性樹脂含有水分散体は、生分解性樹脂を含有しつつ、諸物性に優れるので、塗料、成型剤、インク、接着剤等の分野において幅広く適用することができる。また、本発明の製造方法によれば、生分解性樹脂を含有する水分散体を安定に製造することができる。また、本発明の生分解性樹脂含有水分散体を含む水性塗料組成物によれば、貯蔵安定性が良好で造膜性に優れ、しかも形成される塗膜は良好な乾燥性、仕上がり性を有し、耐水性、耐久性等の性能にも優れる顕著な効果を奏するものである。
本発明の生分解性樹脂含有水分散体は、(A)生分解性樹脂及び(B)重合性不飽和モノマーからなる(共)重合体を構成単位として含有する分散樹脂の平均粒子径が1000nm以下、特に50〜500nmの範囲内の水分散体である。平均粒子径が1000nmを超えると、仕上がり性、貯蔵安定性が劣り、実用性が低下するので好ましくない。尚、本明細書において、平均粒子径は「SALD−3100」(商品名、島津製作所社製、レーザー回折式粒度分布測定装置)にて、試料を脱イオン水にて希釈して、20℃程度にして測定した値とする。以下本発明の生分解性樹脂含有水分散体における分散樹脂を構成する各構成単位について説明する。
生分解性樹脂(A)
本発明の生分解性樹脂含有水分散体において、生分解性樹脂(A)としては、従来公知のものが制限なく使用でき、具体的には、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート等のセルロースアセテート誘導体、キチン、キトサン等の多糖類;ポリ乳酸、乳酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリ乳酸類;ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート等の二塩基酸ポリエステル類;ポリカプロラクトン、カプロラクトンとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリカプロラクトン類;ポリヒドロキシブチレート、ポリヒドロキシブチレートとヒドロキシカルボン酸との共重合体等のポリヒドロキシブチレート類;ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体等の脂肪族ポリエステル類;ポリアミノ酸類;ポリエステルポリカーボネート類;ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;シェラック、ロジン等の天然樹脂;等が挙げられ、これらは1種又は2種以上を併用して用いることができる。
上記生分解性樹脂(A)の重量平均分子量としては、例えば、5000〜1000000、好ましくは10000〜500000の範囲内が好適である。
本明細書において重量平均分子量とは、溶媒としてテトラヒドロフランを使用し、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量をポリスチレンの重量平均分子量を基準にして換算した値である。カラムとしては、「TSKgel G−4000H×L」、「TSKgel G−3000H×L」、「TSKgel G−2500H×L」、「TSKgel G−2000H×L」(いずれも東ソー(株)社製)を挙げることができる。
本発明において、上記生分解性樹脂(A)としては、後述の重合性不飽和モノマー(B)に溶解可能な樹脂が好適であり、例えば、セルロースアセテート誘導体、キチン、ポリブチレンサクシネート等が挙げられ、特にセルロースアセテート誘導体、中でもセルロースアセテートブチレートが好適である。
上記セルロースアセテートブチレート(以下、CABということがある)は、セルロースの部分アセチル化物をさらにブチリル化して得られるセルロース誘導体であり、アセチル基含有率としては、1〜30重量%、好ましくは1〜14重量%、ブチリル基含有率としては16〜60重量%、好ましくは35〜60重量%の範囲内が望ましく、ASTM−D1343−54T(Formul A)に記載された粘度測定法により測定した場合の粘度が0.005〜5秒、好ましくは0.005〜1秒の範囲内が望ましい。また、数平均分子量が、10,000〜120,000程度の範囲内のものが好ましい。具体的には、米国イーストマン・コダック社の製品、例えば、商品名[前者の数字の2桁目まではブチリル基含量(重量%)を、又同じく3桁目は水酸基含量(重量%)を示し、そして後者の数字は粘度(秒)を示す]で、CAB−171−2、CAB−381−0.5、CAB−381−2、CAB−531−1、CAB−551−0.2、CAB−551−0.1、CAB−551−0.01等の等級のものが有利に使用される。
重合性不飽和モノマー(B)
重合性不飽和モノマー(B)としては、分子中に1個以上好ましくは1個の重合性不飽和基を含有する化合物を挙げることができる。重合性不飽和基としては、ビニル基及び(メタ)アクリロイル基が挙げられ、重合性不飽和モノマー(B)として具体的には、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリルアクリレート」(大阪有機化学社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等のシロキサンマクロモノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のアルキルフッ素基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、さらにグリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個の水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記炭素数2〜8のヒドロキシ(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和モノマー:分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなど2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等;脂肪酸変性重合性不飽和モノマーが挙げられ、これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を適宜使用される。
また、本発明においては、重合性不飽和モノマー(B)が、カルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーを含有することが好適である。
カルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等が挙げられ、これらは単独でもしくは2種以上併用して使用できる。該モノマーにより、得られた水分散体の貯蔵安定性などを向上することができる。
カルボキシル基を含有する重合性不飽和モノマーの使用割合は、重合性不飽和モノマー(B)中、0.1〜5.0重量%、好ましくは0.3〜4.5重量%、さらに好ましくは0.5〜4.0重量%が好適である。
また、重合性不飽和モノマー(B)が、炭素数が4以下のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーを含有することが好適である。炭素数が4以下のアルキル基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上併用して使用することができる。該モノマーは生分解性樹脂(A)との相溶性が良好であることから、重合前の段階における分散体の安定性及び重合後の水分散体の貯蔵安定性などに効果がある。
炭素数が4以下のアルキル基を含有する重合性不飽和モノマーの使用割合は、重合性不飽和モノマー中、10〜95重量%、好ましくは15〜85重量%、さらに好ましくは20〜75重量%が好適である。
また、他の重合性不飽和モノマー(B)は、カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマーを含有することが好適である。
カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマーとしては、1分子中に1個のカルボニル基と1個の重合性不飽和結合を有する化合物が包含され、具体的には例えば、アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等が挙げられ、これらは単独で又は2種以上組み合わせて使用することができる。中でも、特にダイアセトン(メタ)アクリルアミドが好適である。
他の重合性不飽和モノマー(B)の少なくとも一部として、カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマーを含んでなるものを使用し且つ得られる分散体に後述のヒドラジン誘導体を配合せしめることにより、該モノマー由来のカルボニル基とヒドラジン誘導体との補助架橋を進行させることができ、塗膜の乾燥性をより一層向上させることができ、耐候性、耐水性等の物性にも優れた塗膜を形成する組成物を調製することができる。該モノマーの使用割合は、重合性不飽和モノマー(B)中、0.5〜35重量%、好ましくは1〜20重量%が好適である。
また、他の重合性不飽和モノマー(B)は、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含むことが好適である。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーとしては、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが包含される。脂肪酸変性重合性不飽和モノマーとしては、例えば、脂肪酸をエポキシ基を含有する重合性不飽和モノマー又は水酸基を含有する重合性不飽和モノマーと反応させることにより得られるものを挙げることができる。
脂肪酸としては、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸が挙げられ、乾性油脂肪酸及び半乾性油脂肪酸としては、例えば、魚油脂肪酸、脱水ヒマシ油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、亜麻仁油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ゴマ油脂肪酸、ケシ油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、ブドウ核油脂肪酸、トウモロコシ油脂肪酸、トール油脂肪酸、ヒマワリ油脂肪酸、綿実油脂肪酸、クルミ油脂肪酸、ゴム種油脂肪酸、ハイジエン酸脂肪酸等が挙げられ、また、不乾性油脂肪酸としては、例えば、ヤシ油脂肪酸、水添ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸等が挙げられる。これらは単独でもしくは2種以上組み合わせて使用することができる。さらに、これらの脂肪酸は、カプロン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等と併用することができる。
脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを製造するために上記脂肪酸と反応させうるモノマーとしてはエポキシ基を含有する重合性不飽和モノマーが好適であり、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、β一メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。
他の重合性不飽和モノマー(B)の少なくとも一部として、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含んでなるものを使用することにより、重合段階における分散体の安定性を向上させることができ、形成塗膜に肉もち感及び酸化硬化性を付与することが可能となるものである。該モノマーの使用割合は、重合性不飽和モノマー(B)中0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%が好適である。
本発明において、形成塗膜の造膜性と、耐水性、耐久性等の塗膜物性の点から、上記重合性不飽和モノマー(B)としては、使用される全重合性不飽和モノマーからなる(共)重合体の理論ガラス転移温度が−20〜50℃、好ましくは−10〜35℃の範囲内となるように選択されることが望ましい。
本発明においてガラス転移温度(絶対温度)は、下式から算出した値とする。
1/Tg=W/T+W/T+・・・W/T
式中のW、W・・・Wは各モノマーの重量%(=(各モノマーの配合量/モノマー全重量)×100)であり、T、T・・・Tは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。尚各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、Polymer Hand Book (Second Edition,J.Brandrup・E.H.Immergut 編)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該ホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるように合成し、ガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定した値を使用した。
また、本発明においては、形成塗膜の造膜性と、耐水性、耐久性等の塗膜物性の点から、使用される全重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体の重量平均分子量が、250000以下、好ましくは5000〜240000の範囲内であることが望ましい。250000を超えると、水分散体における分散樹脂の平均粒子径が大きくなり、仕上がり性、塗膜物性が劣る場合がある。
本発明において、上記生分解性樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体の構成比は、A/B重量比で、1/99〜85/15、好ましくは5/95〜70/30、さらに好ましくは5/95〜60/40が望ましい。
可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)
本発明の生分解性樹脂含有水分散体における分散樹脂は、上記生分解性樹脂(A)、重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体に加えてさらに、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)を構成単位として含有することができる。
可塑剤としては、人体に対して安全性の高いものが望ましく、具体的には、例えば、クエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸誘導体;ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジプロピオネート等のエーテルエステル誘導体;グリセリントリアセテート、グリセリントリプロピオネート、グリセリントリブチレート等のグリセリン誘導体;アジピン酸と1、4−ブタンジオールとの縮合体等のアジピン酸誘導体;ポリカプロラクトン、ポリプロピオラクトン等のポリヒドロキシカルボン酸等を挙げることができ、これらは単独でもしくは2種以上選択して使用できる。これらのうち、グリセリン誘導体、アジピン酸誘導体が可塑化効果の高い点で特に好ましい。
該可塑剤により形成塗膜の造膜性を向上させ、良好な仕上がり性、耐水性を得ることができる。上記可塑剤の使用割合は、生分解性樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(B)の合計重量に対して0.1〜30重量%、好ましくは0.1〜15重量%が好適である。
また上記紫外線吸収剤としては、フェニルサリシレ−ト、p−オクチルフェニルサリシレ−ト、4−t−ブチルフェニルサリシレ−トなどのサリチル酸誘導体;2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2´−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレ−ト、2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、ナトリウム2,2´−ジヒドロキシ−4,4´−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2,2´,4,4´−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、5−クロロ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、レゾルシノ−ルモノベンゾエ−ト、2,4−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、4,6−ジベンゾイルレゾルシノ−ル、ヒドロキシドデシルベンゾフェノン、2,2´−ジヒドロキシ−4(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系;2−(2´−ヒドロキシ−5´−メチルフェニル)ベンゾトリアゾ−ルなどのベンゾトリアゾ−ル系及びその他(シュウ酸アニリド、シアノアクリレ−トなど)の化合物などが挙げられる。
紫外線安定剤としては、2−(3−t-ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(3,5−ジ−t-ブチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、ポリ[{6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジイル}{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチル・1−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン重縮合物、2,4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t-ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、ビス−(2,2´,6,6´−テトラメチル−4−ピペリジニル)セバテ−ト、4−ベンゾイルオキシ−2,2´,6,6´−テトラメチルピペリジン等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤及び/又は紫外線安定剤は、単独で使用してもよいし、適宜選択して組み合わせて使用することもできる。上記紫外線吸収剤の使用割合は、生分解性樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(B)の合計重量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜2.0重量%が好適である。上記紫外線安定剤の使用割合は、生分解性樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(B)の合計重量に対して0.1〜5.0重量%、好ましくは0.2〜3.0重量%が好適である。
また、上記金属ドライヤーとしては、分散樹脂が酸化硬化性を有する基を有する場合などにおいて、形成される塗膜の酸化硬化を促進させるために配合されるものであり、例えば、アルミニウム、カルシウム、セリウム、コバルト、鉄、リチウム、マグネシウム、マンガン、亜鉛、ジルコニウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属と酸との塩が挙げられ、該酸としては、例えば、カプリン酸、カプリル酸、イソデカン酸、リノレン酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、オクテン酸、オレイン酸、パルミチン酸、樹脂酸、リシノール酸、大豆油脂肪酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。上記金属ドライヤーの使用割合は、生分解性樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(B)の合計重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜7重量%が好適である。
また、本発明の生分解性樹脂含有水分散体における分散樹脂は、粒子安定性の点から、界面活性剤を構成単位として含有していてもよい。該界面活性剤としては、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤が好適であり、該アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アルキルリン酸などのナトリウム塩やアンモニウム塩が挙げられる。
他方非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、レシチン、カゼイン等が挙げられる。
また、アニオン性基とポリオキシエチレン基やポリオキシプロピレン基等のポリオキシアルキレン基を1分子中に有するポリオキシアルキレン基含有アニオン性界面活性剤や、該アニオン性基と重合性不飽和基とを1分子中に有する反応性アニオン性界面活性剤を使用してもよい。また、該反応性アニオン性界面活性剤が、ポリオキシアルキレン基を有するものであってもよい。これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を併用して使用してもよい。界面活性剤(C)の使用量は、重合時の安定性から使用される成分(A)及び(B)の合計重量に対して0.1〜20重量%、好ましくは0.2〜15重量%、さらに好ましくは0.3〜12重量%である。
また、本発明の生分解性樹脂含有水分散体においては、上記の分散樹脂をコアとし、該コアに対して1以上の重合体外殻をシェルとして有するコア/シェル構造であってもよい。上記生分解性樹脂(A)を包含した分散樹脂の外層をさらに重合体層で被覆することにより、例えば、各層の樹脂組成、設定Tg、設定分子量、(共)重合する官能基の種類などを適宜設定できるため、目的とする物性を発現するための樹脂設計の自由度が拡大することができる。
本発明における重合体外殻としては特に制限なく、例えば、重合性不飽和モノマー(D)からなる(共)重合体を挙げることができる。該重合性不飽和モノマー(D)は、上記重合性不飽和モノマー(B)で例示した中から1種以上を選択して使用できる。また、必要に応じて、後述の連鎖移動剤を使用し、重合体外殻の分子量を調整することができる。
上記コア/シェル構造を有する生分解性樹脂含有水分散体において、コア部を構成する重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体のガラス転移温度としては、−30〜30℃、好ましくは−20〜25℃が好適であり、シェル部を構成する重合性不飽和モノマー(D)からなる(共)重合体のガラス転移温度としては、−20〜100℃、好ましくは−15〜80℃の範囲内であることが好適である。
本発明の生分解性樹脂含有水分散体の製造方法は、特に限定されるものではないが、生分解性樹脂(A)及び重合性不飽和モノマー(B)を含む混合物(I)を、水性媒体中に1000nm以下となるように微分散してなるモノマー乳化物を重合させる方法が望ましい。
上記方法によれば、重合段階においても分散体が安定であり、重合後の分散樹脂の平均粒子径を上記範囲内にすることができるものである。
また、本発明方法において、上記混合物(I)は、上記添加剤(C)を含有することもできる。これにより、添加剤(C)を分散樹脂に含有させることができ、その結果、本発明の水分散体を用いて形成される塗膜に均一に該添加剤(C)が分散されるようになるとともに、塗膜形成後、雨水等により溶出されることがなく、その効果を長期にわたり安定に発揮するようになる。
また、本発明において、生分解性樹脂含有水分散体の分子量を調整する目的で、連鎖移動剤の存在下で重合を行ってもよい。該連鎖移動剤としては、メルカプト基を有する化合物が挙げられ、具体的にはラウリルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、チオグリコール酸2−エチルへキシル、2−メチル−5−tert−ブチルチオフェノール、メルカプトエタノ−ル、チオグリセロ−ル、メルカプト酢酸(チオグリコ−ル酸)、メルカプトプロピオネート、n−オクチル−3−メルカプトプロピオネート等が挙げられる。該連鎖移動剤の量としては、成分(A)及び(B)の合計に対して0.1〜10重量%の範囲内が好適である。
本発明の製造方法において、上記モノマー乳化物は上記モノマー混合物(I)を水性媒体中に分散してなる。
ここで水性媒体としては、水、または水を主体としてこれに水溶性有機溶媒などの有機溶媒を溶解してなる水一有機溶媒混合溶液などを挙げることができる。例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコールと水との混合系を使用することができる。
上記モノマー乳化物は、高エネルギーせん断能力を有する分散機により微分散されることが望ましい。該分散機としては高圧乳化装置、超音波乳化機、高圧コロイドミル、高圧ホモジナイザー、高速攪拌機等が挙げられる。ここでいう高圧とは例えば、10〜1000MPa、好ましくは50〜300MPa程度である。また、該機械にて乳化を行う前に該モノマー乳化物をあらかじめディスパー等で予備乳化してもよい。
なお、使用する分散装置はこれらに限定されるわけではなく、乳化分散により得られるモノマー乳化物の平均粒子径が1000nm以下にすることができるものであればよい。
モノマー混合物(I)を上記手法により、水性媒体中に微分散させることにより得られるモノマー乳化物の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、形成塗膜の透明性、耐水性、製造安定性等の点から、1000nm以下、好ましくは50〜700nm、さらに好ましくは50〜500nmの範囲内が適している。
上記モノマー乳化物の重合方法としては、例えば微分散後のモノマー乳化物を撹拌機を備えた反応器に全量仕込み、重合開始剤を添加し、攪拌しながら加熱する方法等が挙げられる。
重合開始剤としては、油溶性、水溶性のいずれであってもよく、油溶性の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキシド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキシド、ステアロイルパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等のアゾ化合物等が挙げられる。水溶性の開始剤としては、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシラウレート、 tert−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、 tert−ブチルパーオキシアセテート、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;アゾビス(2−メチルプロピオンニトリル)、アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、4、4'−アゾビス(4−シアノブタン酸)、ジメチルアゾビス(2−メチルプロピオネート)、アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド]、アゾビス{2−メチル−N−[2−(1−ヒドロキシブチル)]−プロピオンアミド}等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩等が挙げられ、単独でも、2種以上組み合わせて用いても良い。また、上記重合開始剤に必要に応じて、糖、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート、鉄錯体、亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸塩、ロンガリット等の還元剤を併用し、レドックス重合系としてもよい。これにより、重合速度を促進したり、低温における重合をも行うことが容易になる。
本発明においては該重合開始剤の使用量は、成分(A)及び(B)の合計に対し0.1〜5重量%の範囲内が好ましい。該重合開始剤の添加方法は、その種類や量に応じて適宜選択できる。例えば、混合物(I)や水性媒体に含まれていてもよいし、重合の際に一括であるいは滴下で添加してもよい。
本発明においては、上記生分解性樹脂含有水分散体の粒子の機械安定性を向上させるために、該生分解性樹脂含有水分散体が酸性基を有する場合には、これを中和剤により中和をすることが望ましい。該中和剤としては、酸性基を中和できるものであれば特に制限はないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリメチルアミン、ジメチルアミノエタノール、2−メチル−2−アミノ−1−プロパノール、トリエチルアミン、アンモニア水などが挙げられる。中和後の生分解性樹脂含有水分散体のpHが6.5〜9.0程度となるように中和することが望ましい。
また、本発明においては、(A)生分解性樹脂及び(B)重合性不飽和モノマーを含有する混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることにより得られる分散液中に、重合性不飽和モノマー(D)を含むモノマー成分(II)を添加して重合する方法であってもよい。
本発明方法において、上記モノマー成分(II)はそのまま滴下することもできるが、モノマー成分(II)を水性媒体中に分散し、得られるモノマー乳化物として滴下することが望ましい。この場合におけるモノマー乳化物の平均粒子径は特に制限されるものではない。
該方法により、上記生分解性樹脂(A)を包含した分散樹脂の外層をさらに重合性不飽和モノマー(D)からなる(共)重合体層で被覆した、生分解性樹脂含有水分散体を製造することができる。
上記重合性不飽和モノマー(D)は、重合性不飽和モノマー(B)の例示で列記した化合物中から1種以上を適宜選択して使用することができる。
本発明は、以上に述べた生分解性樹脂含有水分散体を含有する水性樹脂組成物である。
上記水性樹脂組成物は、分散樹脂がカルボニル基を含有した場合における架橋剤として、ヒドラジン誘導体をさらに含んでなることができる。該ヒドラジン誘導体としては、具体的には例えば、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、こはく酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド等の2〜18個の炭素原子を有する飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;マレイン酸ジヒドラジド、フマル酸ジヒドラジド、イタコン酸ジヒドラジドなどのモノオレフィン性不飽和ジカルボン酸ジヒドラジド;フタル酸ジヒドラジド、テレフタル酸ジヒドラジドまたはイソフタル酸ジヒドラジド;ピロメリット酸のジヒドラジド、トリヒドラジドまたはテトラヒドラジド;ニトリロトリヒドラジド、クエン酸トリヒドラジド、1,2,4−ベンゼントリヒドラジド、エチレンジアミンテトラ酢酸テトラヒドラジド、1,4,5,8−ナフトエ酸テトラヒドラジド;カルボン酸低級アルキルエステル基を有する低重合体をヒドラジンまたはヒドラジン水化物(ヒドラジンヒドラード)と反応させることにより得られるポリヒドラジド;炭酸ジヒドラジド等のヒドラジド基含有化合物;ビスセミカルバジド;ヘキサメチレンジイソシアネートやイソホロンジイソシアネート等のジイソシアネート又はそれから誘導されるポリイソシアネート化合物にN,N−ジメチルヒドラジン等のN,N−置換ヒドラジンや上記例示のヒドラジドを過剰に反応させて得られる多官能セミカルバジド、該ポリイソシアネート化合物とポリエーテルとポリオール類やポリエチレングリコールモノアルキルエーテル類等の親水性基を含む活性水素化合物との反応物中のイソシアネート基に上記例示のジヒドラジドを過剰に反応させて得られる水系多官能セミカルバジド;該多官能セミカルバジドと水系多官能セミカルバジドとの混合物等のセミカルバジド基を有する化合物;ビスアセチルジヒドラゾン等のヒドラゾン基を有する化合物等が挙げられる。
また、上記(A)成分、(B)成分に存在する官能基と反応可能な官能基を有する化合物を含有することもできる。(A)成分、(B)成分に存在する官能基と反応可能な官能基を有する化合物を混合することにより、形成塗膜の耐水性、耐久性をより向上させることができる。該化合物としては、該官能基を1分子中に2個以上含有することが望ましい。この様な官能基の組み合わせとしては、例えば、エポキシ−アミン、エポキシ−酸、ポリオール−イソシアネート、カルボキシル−金属イオン、カルボキシル−カルボジイミド、カルボキシル−オキサゾリン等が挙げられる。
上記水性樹脂組成物においては、他に水溶性あるいはエマルション型のアクリル樹脂、アルキド樹脂、シリコン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子;シェラック、ロジン等の天然樹脂;「日食セルエース」(商品名、日本食品化工製、トウモロコシ種皮により得られるキシロース及びアラビノースを構成単位とする多糖類)等の改質樹脂、顔料分散剤、界面活性剤、表面調整剤、可塑剤、沈降防止剤、帯電防止剤、抗菌剤、香料、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、硬化触媒、分散剤、消泡剤、増粘剤、造膜助剤、防腐剤、防カビ剤、凍結防止剤、pH調整剤、フラッシュラスト抑止剤、アルデヒド捕捉剤、層状粘度鉱物、粉状もしくは微粒子状の活性炭、光触媒酸化チタン、アルキレングリコール変性アルキルシリケート等の低汚染化剤、等の添加剤を適宣選択し組み合わせて含有することができる。
水性塗料組成物
本発明により提供される水性塗料組成物は、上記水性樹脂組成物を含んでなるものである。
該水性塗料組成物は、クリヤー塗料、エナメル塗料のいずれであってもよい。
エナメル塗料として適用する場合には、顔料分として、従来公知の着色顔料,光輝性顔料、体質顔料、防錆顔料等を配合することができる。
上記水性塗料組成物が適用される被塗面としては、従来公知の基材面や旧塗膜面に適用でき、該基材としては、特に制限されるものではないが、例えばコンクリート面、モルタル面、スレート板、PC板、ALC板、セメント珪酸カルシウム板、コンクリートブロック面、木材、石材等の無機基材;プラスチック等の有機基材;鉄、アルミニウム等の金属などが挙げられ、また旧塗膜としてはこれら基材上に設けられたアクリル樹脂系、アクリルウレタン樹脂系、ポリウレタン樹脂系、フッ素樹脂系、シリコンアクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、エポキシ樹脂系、アルキド樹脂などの旧塗膜が挙げられる。上記被塗面には、水性又は溶剤型の下塗り材を塗布してもよく、必要に応じて、該下塗り材を塗布した後、上記水性塗料組成物を上塗り材として塗布することができる。一方、本発明の水性塗料組成物を下塗り材として塗布した後、従来公知の水性上塗り材を塗布することも可能である。
本発明の水性塗料組成物の塗布方法としては、エアースプレー塗装、エアレススプレー塗装、静電塗装、ハケ塗装、ローラー塗装、リシンガン、万能ガン、浸漬、ロールコーター、カーテンフローコーター、ローラーカーテンコーター、ダイコーター等特に制限はなく、基材の用途に応じて適宜選択することができる。乾燥方法としては、加熱乾燥、強制乾燥、常温乾燥のいずれであってもよい。本明細書では40℃未満の乾燥条件を常温乾燥とし、40℃以上で且つ80℃未満の乾燥条件を強制乾燥とし、80℃以上の乾燥条件を加熱乾燥とする。また、塗布量としては、例えば、1回あたり50〜500g/m、好ましくは80〜300g/mの範囲内であることができる。また、塗膜外観を損なわない範囲で複数回塗り重ねてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。尚、「部」及び「%」は「重量部」及び「重量%」を示す。
生分解性樹脂含有水分散体の製造
実施例1
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて150MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が250nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
「CAB−551−0.2」(注1) 30部
メチルメタクリレート 36部
n−ブチルアクリレート 20.5部
2−エチルヘキシルアクリレート 12部
メタクリル酸 1.5部
「Newcol707SF」(注2) 15部
脱イオン水 85部
次いで、上記モノマー乳化物を攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム1部を脱イオン水9.4部に溶解させた重合開始剤水溶液を反応容器に添加し、窒素気流下で該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、過硫酸アンモニウム0.3部を脱イオン水3部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後、40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度43%、分散樹脂の平均粒子径が245nmの生分解性樹脂含有水分散体(A−1)を得た。
(注1)「CAB−551−0.2」:商品名、米国イーストマン・コダック社製、セルロースアセテートブチレート、重量平均分子量 83000
(注2)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%。
実施例2〜14
モノマー組成を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして生分解性樹脂含有水分散体(A−2)〜(A−14)を得た。
Figure 0004791003
(注3)「CAB−381−0.5」:商品名、イーストマンコダック社製、セルロースアセテートブチレート、重量平均分子量100000
(注4)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器にサフラワー油脂肪酸280部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することにより定量した。反応が完了するまで約5時間を要した。
(注5)「リケマールPL−012」:商品名、理研ビタミン社製、グリセリンジアセトモノラウレート、可塑剤
(注6)「TINUVINE123」:商品名、チバスペシャルティー・ケミカルズ社製、ピペラジン系紫外線安定剤
(注7)「TINUVINE384−2」:商品名、チバスペシャリティーケミカルズ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(注8)「アクアロンHS−10」:商品名、第一工業製薬社製、アニオン系反応性界面活性剤。
実施例15
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて150MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が250nmのコア用モノマー乳化物を得た。
コア用モノマー乳化物組成
「CAB−551−0.2」(注1) 20部
メチルメタクリレート 28.5部
n−ブチルアクリレート 12部
2−エチルヘキシルアクリレート 8部
メタクリル酸 1.5部
「Newcol707SF」(注2) 12部
脱イオン水 65部
次いで上記コア用モノマー乳化物を攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム0.8部を脱イオン水6.6部に溶解させた重合開始剤水溶液を反応容器に添加し、窒素気流下で該温度を保持しながら3時間攪拌し、コア部を製造した。
次いで別のガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーで2000rpmで15分間攪拌し、シェル用モノマー乳化物を製造した後、該温度を保持しながら該シェル用モノマー乳化物と、過硫酸アンモニウム0.4部を脱イオン水2.8部に溶解させた重合開始剤水溶液を1時間かけて連続滴下した。
シェル用モノマー乳化物組成
スチレン 10部
メチルメタクリレート 1.5部
n−ブチルアクリレート 17部
メタクリル酸 1.5部
「Newcol707SF」(注2) 7部
脱イオン水 26部
滴下終了後、該温度で1時間攪拌した後、40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度44%、分散樹脂の平均粒子径が260nmの生分解性樹脂含有水分散体(A−15)を得た。
比較例1
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、平均粒子径が8600nmの予備乳化液を製造した。
モノマー乳化物組成
「CAB−551−0.2」(注1) 88部
メチルメタクリレート 4.5部
n−ブチルアクリレート 3.5部
2−エチルヘキシルアクリレート 1部
メタクリル酸 3部
「Newcol707SF」(注2) 15部
脱イオン水 85部
次いで上記モノマー乳化物を攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム0.2部を脱イオン水5部に溶解させた重合開始剤水溶液を反応容器に添加し、窒素気流下で該温度を保持しながら2時間攪拌した。その後、過硫酸アンモニウム0.1部を脱イオン水3部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、該温度を保持しながら30分間攪拌した後、40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整した。この水分散体は、ろ過残渣が非常に多かった。ろ過残渣を除いてサンプリングし、希釈した試料中の樹脂分散体(A−16)の分散樹脂の平均粒子径は1800nmであった。
比較例2
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器にトルエンを70部仕込み、100℃に昇温した。別の容器で調製した下記組成のモノマー混合物を反応容器に該温度を保持し攪拌しながら4時間かけて滴下した。滴下終了後1時間熟成し、さらにt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート5.0gをトルエン1.0gに溶解させた重合開始剤溶液を1時間かけて滴下し、さらに1時間熟成した。その後40℃に冷却し、アクリル樹脂を得た。
モノマー混合物組成
メチルメタクリレート 44部
n−ブチルアクリレート 30部
2−エチルヘキシルアクリレート 21部
メタクリル酸 5部
トルエン 15部
t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 1.2部
次いで該アクリル樹脂20部、「CAB−551−0.2」80部、トルエン270部をステンレス容器に仕込み、20℃雰囲気下、均一になるまで攪拌した。その後、該温度を保持しながら、「Newcol707SF」10部、脱イオン水500gを徐々に加え、転相乳化を行った。その後、減圧下トルエンを除去し、水分散体(A−17)を得た。該水分散体(A−17)の分散樹脂の重量平均分子量は35000であり、平均粒子径は1300nmであった。該水分散体(A−17)の貯蔵安定性は、下記評価にて△であった。
(*1)貯蔵安定性
表1に示した水分散体を容量が1Lの内面コート缶に1kg入れ、40℃の恒温室中で30日間貯蔵した。その後、室温に戻し、容器の中の状態を目視にて観察し、次の基準で評価した。
○:分離が認められない、△:ソフトケーキングや分離が認められるが、攪拌により均一となる、×:ハードケーキングや分離が認められ、元に戻らない。
水性塗料組成物の製造
実施例16
容器に下記に示される各成分を順次仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け白塗料用の顔料ペーストを得た。
顔料ペースト組成
水 45部
「スラオフ72N」(注9) 3部
「BYK−190」(注10) 6部
「JR−605」(注11) 100部
次いで該顔料ペースト154部に、水性樹脂分散体(A−1)を250部、「TEXANOL」(注12)を18部、「SNデフォーマー380」(注13)を2部、「アデカノールUH−438」(注14)を2部配合し、攪拌混合して水性塗料組成物(B−1)を得た。
実施例17〜29、及び比較例3〜4
上記実施例16において、配合組成を下記表2に記載の通りとする以外は実施例16と同様にして水性塗料組成物(B−2)〜(B−16)を得た。
Figure 0004791003
(注9)「スラオフ72N」:商品名、竹田薬品工業(株)製、防腐剤
(注10)「BYK−190」:商品名、ビックケミー社製、顔料分散剤
(注11)「JR−605」:商品名、テイカ社製、チタン白
(注12)「TEXANOL」:商品名、イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤
(注13)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤
(注14)「アデカノールUH438」:商品名、アデカ社製、増粘剤。
評価試験
上記水性塗料組成物(B−1)〜(B−16)について、下記基準にて評価した。結果を表2に併せて示す。
(*2)塗膜外観
各水性塗料組成物を6ミルドクターブレードを用いてガラス板に塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で乾燥させて各試験塗板を得た。1日後に塗膜外観を目視にて評価した。
◎:良好であり、肉持ち感に優れる、○:良好、△:やや不良、×:ワレやチヂミなどの欠陥あり
(*3)光沢
上記(*2)と同様にして得た試験塗板の60度グロスを測定した。値が大きい程光沢が良好であることを示す。
(*4)乾燥性
各水性塗料組成物を6ミルドクターブレードを用いてガラス板に塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で6時間乾燥させた後、塗膜の乾燥性を調べ、下記基準で評価した。
◎:全く指紋がつかない、○:指紋がつくがしばらくすると元に戻る、△:指紋がついて元に戻らない、×:塗膜が指に付着する。
(*5)耐水性
スレート板(70×150×5mm)上に「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、アクリルエマルション系シーラー)を塗布量150g/mになるように刷毛塗りし、気温20℃、相対湿度60%RHの条件下で1日乾燥させたものを試験素材とした。次に、該試験素材に各水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛塗りし、4時間放置後、さらに同じ水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛で塗り重ねて、気温20℃、相対湿度60%の条件下で7日乾燥させて各試験塗板を得た。各試験塗板を上水(20℃)に7日間浸漬した後の塗膜の状態を目視にて評価した。
◎:良好、○:わずかに艶引けが認められるが、実用レベル、△:艶引け、白化、フクレが認められる、×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する
(*6)温冷サイクル試験
スレート板(70×150×5mm)上に「アレスホルダーGII」(関西ペイント社製、水性下地調整材)をJIS A 6909の温冷繰り返し試験に準じて塗装した後、各水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛塗りし、4時間放置後、さらに同じ水性塗料組成物を塗布量100g/mになるように刷毛で塗り重ねて、気温20℃、相対湿度60%の条件下で7日乾燥させて各試験塗板を得た。〔水中(20℃)に18時間浸漬〜−20℃の恒温器中で3時間冷却〜50℃の恒温器中で3時間〕を1サイクルとして10サイクル試験後の塗膜状態を目視にて評価した。
◎:ワレ、ハガレ、フクレが認められない、○:ワレ、ハガレ、フクレが認められないが、わずかに艶引けが認められる、△:ワレ、ハガレ、フクレが認められる、×:著しいワレ、ハガレ、フクレが認められる
(*7)促進耐候性
上記(*4)と同様にして得た試験塗板を、JIS K 5400の9.8.1(サンシャインカーボンアーク灯式)の促進耐候性試験に準じて、1000時間照射した後、塗膜状態を目視にて評価した。
◎:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が70%以上である、○:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が60%以上である、△:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が50%以下である、×:ワレ、ハガレ、フクレが認められる。

Claims (9)

  1. (A)セルロースアセテート誘導体、キチン及びポリブチレンサクシネートよりなる群から選ばれる1以上の化合物である生分解性樹脂及び(B)炭素数が4以下のアルキル基を有する重合性不飽和モノマーを含有する重合性不飽和モノマーを含有する混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下となるように微分散させ、得られる乳化物を重合させることを特徴とする分散樹脂の平均粒子径が1000nm以下である生分解性樹脂含有水分散体の製造方法。
  2. 重合性不飽和モノマー(B)が、カルボニル基を含有する重合性不飽和モノマーを含有する請求項1に記載の方法。
  3. 重合性不飽和モノマー(B)が、脂肪酸変性重合性不飽和モノマーを含有する請求項1又はのいずれか1項に記載の方法。
  4. 重合性不飽和モノマー(B)からなる(共)重合体の重量平均分子量が250,000以下である請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
  5. 混合物(I)が、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)を含有する請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法。
  6. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の方法により得られる生分解性樹脂含有水分散体を含有する水性樹脂組成物。
  7. 請求項に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物。
  8. 被塗面に、請求項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法。
  9. 請求項に記載の塗膜形成方法により得られる塗装物品。
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