JP5497337B2 - 重合体及びその製造方法、熱可塑性樹脂組成物並びに成形体 - Google Patents
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Description
共重合の形態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合が挙げられる。
結晶性ポリ乳酸系重合体としては、例えば、L−乳酸の重合体であるポリL−乳酸(PLLA)が挙げられる。非晶性ポリ乳酸系重合体としては、例えば、D−乳酸及びL−乳酸の共重合体であるポリDL−乳酸(PDLLA)が挙げられる。
セルロースアセテートのアセチル化度としては、40〜62%であることが好ましく、50〜61%であることがより好ましい。
単量体成分(b)の重合体(B)のガラス転移温度は、60℃以下であり、−40〜60℃であることが好ましく、−20〜40℃であることがより好ましい。
重合体のガラス転移温度が−40℃以上であると、得られる成形体の耐久性や耐熱性に優れる。また、重合体のガラス転移温度が60℃以下であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。
尚、重合体のガラス転移温度は、単独重合体の場合、ポリマーハンドブック(第4版、John Wiley&Sons Inc社発行)に記載の数値に基づく。共重合体の場合、ポリマーハンドブック(第4版、John Wiley&Sons Inc社発行)に記載の数値とFOXの式を用いて算出される。
(メタ)アクリレート(b1)としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、i−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、シアノエチルアクリレート、シアノブチルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、ヘプタデカフルオロデシルアクリレート等のアクリレート;n−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シアノエチルメタクリレート、シアノブチルメタクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、ヘプタデカフルオロデシルメタアクリレート等のメタクリレートが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート(b1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの(メタ)アクリレート(b1)の中でも、得られる成形体の柔軟性の観点から、アクリレートが好ましく、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレートがより好ましく、メチルアクリレートが更に好ましい。
尚、本発明において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」又は「メタクリレート」を示す。
単量体成分(b)の重合は、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)又はセルロース誘導体(A2)のいずれかの存在下で、単量体成分(b)を重合してもよく、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)及びセルロース誘導体(A2)の共存下で、単量体成分(b)を重合してもよい。
ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が5質量%以上であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。また、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が95質量%以下であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。
単量体成分(b)が5質量%以上であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。また、単量体成分(b)が95質量%以下であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。
セルロース誘導体(A2)が1質量%以上であると、得られる成形体の耐熱性に優れる。また、セルロース誘導体(A2)が40質量%以下であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。
単量体成分(b)が60質量%以上であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。また、単量体成分(b)が99質量%以下であると、得られる成形体の耐熱性に優れる。
ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が1質量%以上であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。また、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が40質量%以下であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。
セルロース誘導体(A2)が1質量%以上であると、得られる成形体の耐熱性に優れる。また、セルロース誘導体(A2)が40質量%以下であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。
単量体成分(b)が20質量%以上であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。また、単量体成分(b)が98質量%以下であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性や得られる成形体の耐熱性に優れる。
本発明の重合体(C)を得るための単量体成分(b)の重合系としては、公知の重合系を用いればよい。重合系としては、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合が挙げられる。
本発明の重合体(C)を得るための単量体成分(b)の重合形態としては、バッチ式、セミバッチ式、連続式のいずれであってもよい。
本発明の重合体(C)を得るための単量体成分(b)の重合時間としては、単量体成分(b)や重合開始剤の種類、重合系にもよるが、通常1〜10時間である。
本発明の重合体(C)を得るための重合雰囲気としては、特に制限されるものではないが、重合効率の観点から、窒素雰囲気であることが好ましい。
これらの重合開始剤の中でも、重合効率の観点から、t−ブチルヒドロパーオキシド、クメンヒドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルが好ましい。
分散助剤としては、例えば、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、過酸化水素、硼酸が挙げられる。これらの分散助剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、重合体(C)以外に、更にヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)を配合してもよい。
重合体(C)以外に更にヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)を配合する場合の熱可塑性樹脂組成物の組成としては、重合体(C)とヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)の合計100質量%中、重合体(C)が1〜99質量%、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が1〜99質量%であることが好ましく、重合体(C)が20〜95質量%、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が5〜80質量%であることがより好ましい。
重合体(C)が1質量%以上であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。また、重合体(C)が99質量%以下であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。
ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が1質量%以上であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の成形性に優れる。また、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)が99質量%以下であると、得られる成形体の柔軟性に優れる。
他の熱可塑性樹脂の含有率は、全熱可塑性樹脂組成物100質量%中、50質量%以下であることが好ましい。
多価アルコール系可塑剤は、市販の多価アルコール系可塑剤を用いてもよい。多価アルコール系可塑剤の市販品としては、例えば、「リケマールPL−019」(商品名、理研ビタミン(株)製)、「リケマールPL−710」(商品名、理研ビタミン(株)製)が挙げられる。
多塩基酸エステル系可塑剤は、市販の多塩基酸エステル系可塑剤を用いてもよい。多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、「MXA」(商品名、大八化学工業(株)製)、「BXA」(商品名、大八化学工業(株)製)、「DAIFATTY−101」(商品名、大八化学工業(株)製)、「PX−844」(商品名、(株)アデカ製)が挙げられる。
尚、実施例中の「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
熱可塑性樹脂組成物を、加熱プレス盤(王子機械(株)製、最大荷重37t、最高使用圧力210kg/cm2)を用いて、プレート温度180℃、ゲージ圧30kg/cm2の条件で成形を行い、フィルム成形体(厚さ50〜100μm)を得た。得られたフィルムを目視により観察し、熱可塑性樹脂組成物の成形性を以下の指標により判定した。
○:フィルムは透明であり、欠陥は確認されなかった。
△:フィルムは透明であり、波打ちが確認されたが、使用上問題ない程度であった。
×:フィルムは不透明であり、波打ち、縮み、折れ、曲がり、ひび、割れ等の欠陥が確認された。
熱可塑性樹脂組成物を、卓上小型混練成形機(機種名「CS−183」、Custom Scientific Instruments社製)を用いて、バレル温度200℃の条件で成形を行い、成形体(短辺10mm、長辺20mm、厚さ2mm)を得た。得られた成形体のデューロメータD硬さをJIS K7215に準拠して測定し、成形体の柔軟性を以下の指標により判定した。
○:成形体のデューロメータD硬さが、80未満であった。
×:成形体のデューロメータD硬さが、80以上であった。
熱可塑性樹脂組成物を、加熱プレス盤(王子機械(株)製、最大荷重37t、最高使用圧力210kg/cm2)を用いて、プレート温度180℃、ゲージ圧30kg/cm2の条件で成形を行い、フィルム成形体(一辺3cm、厚さ50μm)を得た。得られたフィルムをオーブン内で80℃で10日間保持した後、フィルムを目視により観察し、成形体の耐久性を以下の指標により判定した。
○:白化は見られず透明であり、析出物は確認されなかった。
△:白化は見られたが、析出物は確認されなかった。
×:白化が見られ、析出物が確認された。
熱可塑性樹脂組成物を、加熱プレス盤(王子機械(株)製、最大荷重37t、最高使用圧力210kg/cm2)を用いて、プレート温度180℃、ゲージ圧30kg/cm2の条件で成形を行い、フィルム成形体(幅4mm、厚さ100μm)を得た。得られたフィルムを熱機械的分析装置(機種名「TMA/SS6100」、セイコーインスツル(株)製)を用い、引っ張りモード、チャック間距離10mm、引張り応力2mNの条件で、温度を25℃から5℃/分で昇温しながら、チャック間距離の変化率が3%に達する温度を測定し、成形体の耐熱性を以下の指標により判定した。
○:チャック間距離の変化率が3%に達する温度が、70℃を超えていた。
△:チャック間距離の変化率が3%に達する温度が、50℃以上、70℃以下であった。
×:チャック間距離の変化率が3%に達する温度が、50℃未満であった。
ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)としてPDLLA「レイシアH−280」(商品名、三井化学(株)製、質量平均分子量17万)30部、メチルアクリレート70部、アゾビスイソブチロニトリル0.2部からなる混合物を、反応容器内に仕込み、60℃で4時間加熱し、その後80℃で2時間加熱し、重合体(C1)を得た。
尚、ポリメチルアクリレートのガラス転移温度は、ポリマーハンドブック(第4版、John Wiley&Sons Inc社発行)によると、10℃である。
ヒドロキシカルボン酸(A1)、セルロース誘導体(A2)、単量体成分(b)の組成を表1とした以外は、実施例1と同様に行った。
尚、セルロース誘導体(A2)としてセルロースアセテート「L−40」(商品名、ダイセル化学(株)製、重合度170)を用いた。
実施例1〜6、比較例1で得られた重合体(C1)〜(C7)を用い、表2に示す組成で配合し、卓上小型混練機(機種名「CS−183」、Custom Scientific Instruments社製)を用いて、バレル温度200℃の条件で溶融混練を行い、熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物を用い、熱可塑性樹脂組成物及び成形体の各評価を行った。
尚、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)としてPDLLA「レイシアH−280」(商品名、三井化学(株)製)及びPLLA「レイシアH−100」(商品名、三井化学(株)製)、可塑剤として「リケマールPL−019」(商品名、理研ビタミン(株)製)を用いた。
Claims (2)
- ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)又はセルロース誘導体(A2)の存在下で、(メタ)アクリレート(b1)を含有し、重合体のガラス転移温度が−20〜60℃となる単量体成分(b)を重合して得られる重合体(C)に、ヒドロキシカルボン酸系重合体(A1)を配合した熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1記載の熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形体。
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