JP5411752B2 - 非石油系熱可塑性樹脂組成物及び成形物 - Google Patents
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Description
例えば、ポリ乳酸を食品等の包装材料として使用するため、ポリ乳酸に柔軟性を付与して、フィルム状又はシート状に成形する検討が行なわれている。
また、本発明は、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物(a1)を重合して得られる化合物(A)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物である。
更に、本発明は、前記の非石油系熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形物である。
メタクリレートダイマーを構成するための原料として使用されるメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリメート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、メタクリレートダイマーを構成するための原料として、メタクリル酸を併用することもできる。
メチルメタクリレートダイマーを製造方法する方法としては、例えば、米国特許4,547,323号に記載のようにメチルメタクリレートの二量化反応を行なう方法が挙げられる。
また、特開2005−082687号に記載のように、メチルメタクリレートの重合工程から分離する方法も挙げられる。具体的には、メチルメタクリレートを含む単量体混合物を重合開始剤と共に反応容器内に供給し、重合温度100〜150℃、重合時間1〜6時間で重合した後、脱揮ベントを備えた押出機に導入し、減圧下で200〜290℃に加熱する際に、ベントから分離される成分として、回収することができる。
化合物(a1)の中では、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の臭気が少ないことから、一般式(1)で表される化合物の方が好ましい。これより、化合物(a1)の製造方法としては、二量化反応を行なう方法が好ましい。
化合物(a1)の製造後に蒸留等により副生成物を低減し、メタクリレートダイマーの純度を高めることもできる。
例えば、メチルメタクリレートダイマーの蒸留条件としては、5〜30の理論段数を有するオールダーショウ型と呼ばれる棚段式精留塔を用いて、蒸留塔底部又は蒸留釜における温度100〜300℃、圧力5〜50Torr、還流比1〜0.01で行なうことができる。
メタクリレートダイマーの純度は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が特に好ましい。
化合物(A)は、化合物(a1)を単独で重合してもよい。また、化合物(a1)、ビニル単量体(a2)、及び必要に応じてセルロース誘導体(a3)からなる混合物に、ラジカル発生剤(a4)を作用させて得ることもできる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、上記の有機過酸化物及び過硫酸塩は、還元剤と組み合わせてレドックス系ラジカル発生剤として用いることもできる。
得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の柔軟性及び耐久性が良好となることから、(a1)1〜70質量%、(a2)30〜99質量%、(a3)0.1〜30質量%がより好ましく、(a1)10〜50質量%、(a2)50〜80質量%、(a3)1〜10質量%が更に好ましい。
化合物(A)の生産性が良好となることから、ラジカル発生剤(a4)の使用量は、(a1)〜(a3)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部がより好ましく、0.1〜1部が更に好ましい。
反応時間は、2〜8時間で行なうことができる。
結晶性ポリ乳酸の場合には結晶性が保たれる範囲で、非結晶性ポリ乳酸の場合には非結晶性が保たれる範囲で、他の単量体を共重合させることができる。他の単量体としては、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
共重合の形態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合が挙げられる。
また、非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の重合体(B)の含有率は、30〜99質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の耐久性が優れることから70〜90質量%が更に好ましい。また、得られる熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が優れることから50〜70質量%が更に好ましい。
非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の化合物(a1)の含有率が1〜70質量%の範囲であれば、得られる非石油系樹脂組成物の柔軟性及び耐久性が良好となる。
また、非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の重合体(B)の含有率は、30〜99質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましく、50〜80質量%が更に好ましい。
非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の化合物(A)の含有率が1〜70質量%の範囲であれば、得られる非石油系樹脂組成物の柔軟性及び耐久性が良好となる。
ラジカル発生剤(C)としては、ラジカル発生剤(a4)として例示したものと同様のものを用いることができる。ラジカル発生剤(C)は、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の生産性が良好となることから、ラジカル発生剤(a4)として例示したものの中で、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイドが好ましい。
熱可塑性樹脂は、本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物の中で50質量%未満となるように含有することができる。
多価アルコール系可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチレンプロパノール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールやこれらの重合体、また、エチレンオキシド付加重合体、プロピレンオキシド付加重合体等のアルキレンオキシド付加重合体が挙げられる。
多価アルコール系可塑剤の市販品としては、例えば、理研ビタミン(株)製リケマールPL−019、PL−710が挙げられる。
多塩基酸エステル系可塑剤の市販品としては、例えば、大八化学工業(株)製MXA、BXA、DAIFATTY−101、(株)アデカ製PX−844が挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸トリキシリル、リン酸トリクレシルが挙げられる。
脂肪酸系可塑剤としては、例えば、メチルオレート、ブチルオレート、メトキシエチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート、グリセリルトリ−(アセチルリシノレート)、アルキルアセチルリシノレート、n−ブチルステアレート、グリセリルモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールモノラウレートが挙げられる。
例えば、軟質のフィルム状又はシート状に成形し、食品等の包装材料として使用することができる。
本実施例における各種評価方法を以下に示す。
化合物(a1)の純度を、ガスクロマトグラフを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
装置 :ヒューレットパッカード社製、HP6890(商品名)
カラム:J&W社製、DB−5(商品名)
カラム温度:100℃
注入温度 :230℃
FID検出温度:280℃
所定の原料及び条件において、溶融混練した状態について、次の基準により判定した。
○:原料の分離はみられず、一体となった塊状物が得られた。
×:一部の原料が塊状物に取り込まれず、分離していた。
得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物を、卓上小型混練機(Custom Scientific Instruments社製、CS−183(商品名))を用いて、バレル温度200℃で5分間溶融混練した後、取り付けた金型内に射出して成形した(金型:短辺10mm×長辺20mm×厚さ2mm)。
得られた成形物のデューロメータD硬さを、JIS K7215に準拠して測定した。柔軟性は、次の基準により判定した。
◎:硬さが70未満であった。
○:硬さが70以上、80未満であった。
×:硬さが80以上であった。
得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物を、加熱プレス盤(王子機械(株)製、油圧プレス機、最大荷重37トン、最高使用圧力210kg/cm2)を用いて、プレート温度180℃、ゲージ圧30kg/cm2で、金型内でフィルム形状(一辺30mm×厚さ50μm)に成形した。
得られたフィルムを、オーブン内で、80℃×10日間保持した後、目視観察し、次の基準により判定した。
◎:白化がなく透明であり、析出物は確認されなかった。
○:若干の白化はあるがほぼ透明であり、析出物は確認されなかった。
×:明らかな白化や析出物が確認された。
得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物の成形物(短辺10mm×長辺20mm×厚さ2mm)を用い、以下の条件で臭気を評価した。
条件1:成形を行なった直後の成形物
条件2:ポリエチレン袋(50mm×70mm)に、室温下で一週間成形物を封入した後の袋内
条件3:大気中、室温下で一週間放置した後の成形物
臭気の評価結果を、次の基準で判定した。
◎:条件1〜3で臭気を感じなかった。
○:条件1では臭気を感じたが、条件2及び3では臭気を感じなかった。
△:条件1及び2では臭気を感じたが、条件3では臭気を感じなかった。
×:条件1〜3で臭気を感じた。
攪拌装置及び温度センサーを備えた反応容器内で、メチルメタクリレート100gに、アゾビスイソブチロニトリル1g、酢酸コバルト0.138g、ジメチルグリオキシム0.183g、ピリジン0.3mlを加えて、窒素雰囲気下で加熱した。
反応容器中、内容物の温度が90℃に到達した後、アゾビスイソブチロニトリル2g及びメチルメタクリレート200gの溶液を1時間かけて添加し、更にアゾビスイソブチロニトリル0.75gを添加し、90℃で1時間保持した後、冷却した。
得られた反応生成物を蒸留し、2Torr、73℃の留出分としてメチルメタクリレートダイマー 192gを得た。純度は100%であった。
これを、化合物(a1−1)とする。
メチルメタクリレート98部、メチルアクリレート2部、n−オクチルメルカプタン0.3部、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.007部を、槽型反応容器に供給し、135℃×3時間で重合反応を行なった後、押出機((株)日本製鋼所製、TEX65(商品名)、脱揮ベント:2ヶ所)に導入し、真空ポンプにより減圧しながら250℃に加熱した。
その際、下流側のベントから分離される留分として、メチルメタクリレートダイマーを得た。純度は88%であった。
これを、化合物(a1−2)とする。
化合物(a1−2)を用いて蒸留を行なった。20段オールダーショウ型精留塔を用いて、フラスコ内の温度140〜180℃、圧力20〜30Torr、還流比1〜0.1で留出分としてメチルメタクリレートダイマーを回収した。純度は99%であった。
これを、化合物(a1−3)とする。
化合物(a1−3)30部、メチルアクリレート70部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、パーブチルO(商品名))0.5部を混合し、反応容器内に仕込んだ。
先ず、60℃×4時間、続いて80℃×2時間の加熱を行なった。室温まで冷却した後、化合物(A−1)を取り出した。
化合物(a1−3)30部、メチルアクリレート65部、セルロ−スアセテート(ダイセル化学(株)製、L−40(商品名)、アセチル化度55%)5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、パーブチルO(商品名))0.5部を混合し、反応容器内に仕込んだ。
先ず、60℃×4時間、続いて80℃×2時間の加熱を行なった。室温まで冷却した後、化合物(A−2)を取り出した。
表1に示す組成で各種原料を配合し、卓上小型混練機(Custom Scientific Instruments社製、CS−183(商品名))を用いて、バレル温度200℃で5分間溶融混練した。得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
尚、化合物(A−3)として、メチルアクリレート重合体(綜研化学(株)製、アクトフローUMM−1001(商品名)、(質量平均分子量:1000))を用いた。
メチルメタクリレートの重合反応から分離した化合物(a1−2)を配合した成形物(実施例3及び4)は、柔軟性及び耐久性に優れたが、臭気が増す結果であった。
また、重合体(B)として非結晶性のポリ乳酸を用いた場合(実施例5)、結晶性のポリ乳酸を用いた場合(実施例6)に比較して、特に耐久性が優れる結果であった。
化合物(a1)の配合量を増やした場合、得られる成形物(実施例7)は、柔軟性に優れる結果であった。
化合物(a1)と重合体(B)の混合物に対してラジカル発生剤(C)を作用させた場合、得られる成形物(実施例8)は、特に耐久性に優れる結果であった。
化合物(A)として、化合物(a1)、ビニル単量体(a2)及びセルロース誘導体(a3)を重合して得たものを用いた場合、得られる成形物(実施例10)は、特に耐久性に優れる結果であった。
メチルアクリレート重合体(化合物(A−3))とポリ乳酸を配合した場合、得られる成形物(比較例2)は、柔軟性に劣る結果であった。
メチルアクリレート重合体(化合物(A−3))の配合量を増やした場合、混練状態が不良であった。
Claims (3)
- 下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物(a1)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物。
- 下記一般式(1)又は(2)で表される化合物(a1)を重合して得られる化合物(A)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物。
- 請求項1又は2に記載の非石油系熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形物。
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