JP5411752B2 - 非石油系熱可塑性樹脂組成物及び成形物 - Google Patents

非石油系熱可塑性樹脂組成物及び成形物 Download PDF

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Description

本発明は、柔軟性に優れる非石油系熱可塑性樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂は、機械的特性、耐熱性、成形加工性等の性質に優れる材料として、各種用途に幅広く用いられているが、その原料は石油由来の成分がほとんどである。ところが近年、地球環境や資源の問題に対する社会的関心の高まりから、熱可塑性樹脂の原料として、従来のような石油由来成分の替わりに、植物等の再生可能な成分を活用することが望まれている。そのような非石油系熱可塑性樹脂の一つとして、とうもろこし等を原料として製造されるポリ乳酸の活用が試みられている。
例えば、ポリ乳酸を食品等の包装材料として使用するため、ポリ乳酸に柔軟性を付与して、フィルム状又はシート状に成形する検討が行なわれている。
ポリ乳酸に柔軟性を付与する方法として、特許文献1では、ポリ乳酸に(メタ)アクリレートオリゴマーを配合する方法が提案されている。しかしながら、この方法で得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性が充分ではなかった。
特開2003−286401号公報
本発明の目的は、ポリ乳酸にメタクリレートダイマー又はその重合体を配合し、柔軟性に優れた非石油系熱可塑性樹脂組成物を提供することである。
本発明は、下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物(a1)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物である。
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、グリシジル基又はヒドロキシ含有基を表わす。)
また、本発明は、上記一般式(1)又は(2)で表される化合物(a1)を重合して得られる化合物(A)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物である。
更に、本発明は、前記の非石油系熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形物である。
本発明によれば、柔軟性に優れる非石油系熱可塑性樹脂組成物を得ることができる。これを成形して得られる成形物は優れた柔軟性を有することから、食品等の包装用フィルム又はシート等に適用することができる。
本発明では、下記一般式(1)又は(2)で表される化合物(a1)を用いる。
(式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、グリシジル基又はヒドロキシ含有基を表わす。)
本発明の化合物(a1)は、メタクリレートダイマー(二量体)である。
メタクリレートダイマーを構成するための原料として使用されるメタクリレートとしては、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、フェニルメタクリレート、グリシジルメタクリメート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレートが挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、メタクリレートダイマーを構成するための原料として、メタクリル酸を併用することもできる。
メタクリレートの中では、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が良好となることから、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、iso−プロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、iso−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレートが好ましく、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレートがより好ましく、メチルメタクリレートが更に好ましい。
本発明の化合物(a1)の具体例として、メチルメタクリレートダイマーが挙げられる。
メチルメタクリレートダイマーを製造方法する方法としては、例えば、米国特許4,547,323号に記載のようにメチルメタクリレートの二量化反応を行なう方法が挙げられる。
また、特開2005−082687号に記載のように、メチルメタクリレートの重合工程から分離する方法も挙げられる。具体的には、メチルメタクリレートを含む単量体混合物を重合開始剤と共に反応容器内に供給し、重合温度100〜150℃、重合時間1〜6時間で重合した後、脱揮ベントを備えた押出機に導入し、減圧下で200〜290℃に加熱する際に、ベントから分離される成分として、回収することができる。
二量化反応を行なう方法では、一般式(1)で表される化合物が主に生成し、重合工程から分離する方法では一般式(2)で表される化合物が主に生成することが、それぞれの文献に記載されている。
化合物(a1)の中では、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の臭気が少ないことから、一般式(1)で表される化合物の方が好ましい。これより、化合物(a1)の製造方法としては、二量化反応を行なう方法が好ましい。
これらの製造方法によって化合物(a1)を製造する場合、化合物(a1)は副生成物を含有する場合がある。副生成物としては例えば、メタクリレートトリマー(三量体)、メタクリレートテトラマー(四量体)が挙げられる。また、単量体、メルカプタン等の分子量調節剤、各種重合原料の残留物、これらの反応物も挙げられる。
化合物(a1)の製造後に蒸留等により副生成物を低減し、メタクリレートダイマーの純度を高めることもできる。
蒸留は公知の方法で行なうことができ、バッチ型又は連続型の装置を用いることができる。泡鐘トレー、トールマントレー、バルブトレー、多孔板トレー、デュアルフロートレーを備えた棚段式、又は各種充填物等を備えた充填式の精留塔を用いることもできる。
例えば、メチルメタクリレートダイマーの蒸留条件としては、5〜30の理論段数を有するオールダーショウ型と呼ばれる棚段式精留塔を用いて、蒸留塔底部又は蒸留釜における温度100〜300℃、圧力5〜50Torr、還流比1〜0.01で行なうことができる。
メタクリレートダイマーの純度は、公知の方法で分析することができる。例えば、ガスクロマトグラフ、液体クロマトグラフ、ゲルパーミエーションクロマトグラフによって分析でき、これらを組み合わせて用いることもできる。
メタクリレートダイマーの純度は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、99質量%以上が特に好ましい。
本発明の化合物(A)は、化合物(a1)を重合して得られる。
化合物(A)は、化合物(a1)を単独で重合してもよい。また、化合物(a1)、ビニル単量体(a2)、及び必要に応じてセルロース誘導体(a3)からなる混合物に、ラジカル発生剤(a4)を作用させて得ることもできる。
ビニル単量体(a2)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、iso−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びその塩酸塩、シアノエチル(メタ)アクリレート、シアノブチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;アクリロニトリル等のシアン化ビニル単量体;無水マレイン酸等のマレイン酸単量体;ブタジエン、エチレン、プロピレン、1−ヘキセン等のオレフィンが挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ビニル単量体(a2)の中では、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が良好となることから、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレートが好ましく、メチルアクリレートがより好ましい。
セルロース誘導体(a3)としては、セルロースの官能基を化学反応により置換したものを用いることができる。セルロース誘導体としては、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が良好となることから、セルロースの水酸基等を全部又は部分的にエステル化したセルロースエステルが好ましい。
セルロースエステルとしては、例えば、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレートが挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
セルロース誘導体(a3)の中では、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の耐久性が良好となることから、セルロースアセテートが好ましい。セルロースアセテートのアセチル化度としては40〜62質量%が好ましく、50〜61質量%がより好ましい。
ラジカル発生剤(a4)としては、例えば、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート等の有機過酸化物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ化合物が挙げられる。
これらは、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
また、上記の有機過酸化物及び過硫酸塩は、還元剤と組み合わせてレドックス系ラジカル発生剤として用いることもできる。
ラジカル発生剤(a4)の中では、化合物(A)の生産性が良好となることから、t−ブチルハイドロパーオキサイド、キュメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリルが好ましく、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリルがより好ましく、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキサイドが更に好ましい。
化合物(A)を得るために、化合物(a1)、ビニル単量体(a2)、及び必要に応じてセルロース誘導体(a3)からなる混合物に、ラジカル発生剤(a4)を作用させる場合、各成分の使用量は、(a1)0.1〜100質量%、(a2)0〜99.9質量%、(a3)0〜99.9質量%(但し、(a1)〜(a3)の合計が100質量%)であることが好ましい。
得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の柔軟性及び耐久性が良好となることから、(a1)1〜70質量%、(a2)30〜99質量%、(a3)0.1〜30質量%がより好ましく、(a1)10〜50質量%、(a2)50〜80質量%、(a3)1〜10質量%が更に好ましい。
また、ラジカル発生剤(a4)の使用量は、(a1)〜(a3)の合計100質量部に対して、0.001〜100質量部であることが好ましい。
化合物(A)の生産性が良好となることから、ラジカル発生剤(a4)の使用量は、(a1)〜(a3)の合計100質量部に対して、0.01〜10質量部がより好ましく、0.1〜1部が更に好ましい。
ラジカル発生剤(a4)を作用させる温度は、10〜150℃であり、必要に応じて2段階で加熱することができる。例えば、60℃で加熱した後に80℃で加熱することもできる。
反応時間は、2〜8時間で行なうことができる。
本発明のヒドロキシカルボン酸重合体(B)としては、例えば、ポリ乳酸が挙げられる。ポリ乳酸は、D体及び/又はL体の乳酸を重合することにより得ることができ、ポリ乳酸の結晶の生成が偏光顕微鏡観察等で確認されるものは結晶性ポリ乳酸として、確認されないものは非結晶性ポリ乳酸として用いることができる。
結晶性ポリ乳酸としては、例えば、L体の乳酸を重合して得られる重合体(ポリL−乳酸)が挙げられる。非結晶性ポリ乳酸としては、例えば、D体及びL体の乳酸を重合して得られる共重合体(ポリDL−乳酸)が挙げられる。
結晶性ポリ乳酸の場合には結晶性が保たれる範囲で、非結晶性ポリ乳酸の場合には非結晶性が保たれる範囲で、他の単量体を共重合させることができる。他の単量体としては、例えば、脂肪族ヒドロキシカルボン酸、脂肪族ジオール、脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
共重合の形態としては、例えば、ランダム共重合、ブロック共重合、グラフト共重合が挙げられる。
結晶性ポリ乳酸の市販品としては、例えば、三井化学(株)製レイシアH−100が挙げられる。非結晶性ポリ乳酸の市販品としては、例えば、三井化学(株)製レイシアH−280が挙げられる。
本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物は、化合物(a1)及び重合体(B)を含有する混合物、若しくは化合物(A)及び重合体(B)を含有する混合物を、溶融ブレンドして得ることができる。
化合物(a1)及び重合体(B)を配合して非石油系熱可塑性樹脂組成物を得る場合、非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の化合物(a1)の含有率は、1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましい。得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の耐久性が優れることから10〜30質量%が更に好ましい。また、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が優れることから30〜50質量%が更に好ましい。
また、非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の重合体(B)の含有率は、30〜99質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましい。得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の耐久性が優れることから70〜90質量%が更に好ましい。また、得られる熱可塑性樹脂組成物の柔軟性が優れることから50〜70質量%が更に好ましい。
非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の化合物(a1)の含有率が1〜70質量%の範囲であれば、得られる非石油系樹脂組成物の柔軟性及び耐久性が良好となる。
化合物(A)及び重合体(B)を配合して非石油系熱可塑性樹脂組成物を得る場合、非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の化合物(A)の含有率は、1〜70質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、20〜50質量%が更に好ましい。
また、非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の重合体(B)の含有率は、30〜99質量%が好ましく、40〜95質量%がより好ましく、50〜80質量%が更に好ましい。
非石油系熱可塑性樹脂組成物(100質量%)中の化合物(A)の含有率が1〜70質量%の範囲であれば、得られる非石油系樹脂組成物の柔軟性及び耐久性が良好となる。
本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物は、化合物(a1)又は化合物(A)を、重合体(B)と溶融ブレンドする際に、必要に応じて、ラジカル発生剤(C)を作用させることができる。
ラジカル発生剤(C)としては、ラジカル発生剤(a4)として例示したものと同様のものを用いることができる。ラジカル発生剤(C)は、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の生産性が良好となることから、ラジカル発生剤(a4)として例示したものの中で、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジ−t−アミルパーオキサイド、ジ−t−ヘキシルパーオキサイドが好ましい。
ラジカル発生剤(C)の使用量は、得られる非石油系熱可塑性樹脂組成物の生産性、柔軟性及び耐久性が良好となることから、化合物(a1)又は化合物(A)と、重合体(B)の合計100質量部に対して、0.001〜30質量部が好ましく、0.01〜5質量部がより好ましく、0.1〜1質量部が更に好ましい。
本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、熱可塑性樹脂、柔軟性付与剤、酸化防止剤、光安定剤、難燃剤等の通常公知の添加剤、ガラス繊維、炭素繊維、タルク、炭酸カルシウム、ケナフ、バクテリアセルロース等のフィラー、顔料を配合することができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、メチルメタクリレート−アクリレート共重合体等のアクリル樹脂;ポリスチレン、高耐衝撃性ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、水素添加スチレン−ブタジエン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリプロピレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、環状オレフィン含有重合体等のオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレングリコールテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート等のポリエステル系樹脂;ビスフェノールA−ホスゲンの重縮合物等のポリカーボネート系樹脂が挙げられる。
熱可塑性樹脂は、本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物の中で50質量%未満となるように含有することができる。
柔軟性付与剤としては、多価アルコール系可塑剤、多塩基酸エステル系可塑剤、ポリエステル系可塑剤、リン酸エステル系可塑剤、エポキシ系可塑剤、脂肪酸系可塑剤、スルホン酸系可塑剤等が挙げられる。
多価アルコール系可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(エチレンオキサイド・プロピレンオキサイド)ブロック及び/又はランダム共重合体、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、トリメチレンプロパノール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の多価アルコールやこれらの重合体、また、エチレンオキシド付加重合体、プロピレンオキシド付加重合体等のアルキレンオキシド付加重合体が挙げられる。
また、これらの多価アルコールの誘導体も用いることができる。多価アルコール誘導体の具体例としては、トリエチレングリコールジ−(2−エチルブチレート)、トリエチレングリコールジ−(2−エチルヘキサノエート)、ジブチルメチレンビス−チオグリコレート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート、グリセリントリアセテート、グリセリントリブチレート、グリセリントリプロピオネート、グリセリンジアセトモノカプレート、グリセリンモノアセトモノラウレート、グリセリンジアセトモノオレート、グリセリンモノリシノレートトリアセテート、グリセリンモノアセトモノモンタネート、ジグリセリンテトラアセテート、ポリグリセリンモノラウレートアセテートが挙げられる。
多価アルコール系可塑剤の市販品としては、例えば、理研ビタミン(株)製リケマールPL−019、PL−710が挙げられる。
多塩基酸エステル系可塑剤としては、例えば、ジ−n−ブチルアジペート、ジイソブチルアジペート、ジ−(2−エチルヘキシル)アジペート、ジイソオクチルアジペート、ジイソデシルアジペート、オクチルデシルアジペート、ジカプリルアジペート等のアジピン酸エステル;ジメチルフタレート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレート、ジイソブチルフタレート、ジアミルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、ブチルイソデシルフタレート、ブチルラウリルフタレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フタレート、ジ−n−オクチルフタレート、ジ−2−オクチルフタレート、ジラウリルフタレート、ジヘプチルフタレート、ジイソオクチルフタレート、オクチルデシルフタレート、n−オクチル,n−デシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジトリデシルフタレート、エチルヘキシルデシルフタレート、ジシクロヘキシルフタレート等のフタル酸エステル;ジ−n−ブチルマレート、ジメチルマレート、ジエチルマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)マレート、ジノニルマレート等のマレイン酸エステル;ジブチルフマレート、ジ−(2−エチルヘキシル)フマレート等のフマル酸エステル;トリ−(2−エチルヘキシル)トリメリテート、トリイソデシルトリメリテート、n−オクチル,n−デシルトリメリテート、トリイソオクチルトリメリテート、ジイソオクチルモノイソデシルトリメリテート等のトリメリット酸エステルが挙げられる。
多塩基酸エステル系可塑剤の市販品としては、例えば、大八化学工業(株)製MXA、BXA、DAIFATTY−101、(株)アデカ製PX−844が挙げられる。
ポリエステル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸、セバチン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸等の酸成分と、プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール等のジオール成分からなるポリエステルや、ポリカプロラクトン等のヒドロキシカルボン酸からなるポリエステルが挙げられる。
リン酸エステル系可塑剤としては、例えば、リン酸トリエチル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリオクチル、リン酸トリフェニル、リン酸ジフェニル−2−エチルヘキシル、リン酸トリキシリル、リン酸トリクレシルが挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、ブチルエポキシステアレート、エポキシモノエステル、オクチルエポキシステアレート、エポキシ化ブチルオレート、ジ−(2−エチルヘキシル)4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−カーボキシレート、エポキシ化半乾性油、エポキシ化トリグリセライド、エポキシブチルステアレート、エポキシオクチルステアレート、エポキシデシルステアレート、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、メチルエポキシヒドロステアレート、グリセリルトリ−(エポキシアセトキシステアレート)、イソオクチルエポキシステアレートが挙げられる。
脂肪酸系可塑剤としては、例えば、メチルオレート、ブチルオレート、メトキシエチルオレート、グリセリルモノオレート、ジエチレングリコールモノオレート、メチルアセチルリシノレート、ブチルアセチルリシノレート、グリセリルモノリシノレート、ジエチレングリコールモノリシノレート、グリセリルトリ−(アセチルリシノレート)、アルキルアセチルリシノレート、n−ブチルステアレート、グリセリルモノステアレート、ジエチレングリコールジステアレート、ジエチレングリコールモノラウレートが挙げられる。
スルホン酸系可塑剤としては、例えば、ベンゼンスルホンブチルアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド、N−エチル−p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンエチルスルホンアミド、p−トルエンエチルスルホンアミド、N−シクロヘキシル−p−トルエンスルホンアミドが挙げられる。
本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物は、化合物(a1)及び重合体(B)を含有する混合物、若しくは化合物(A)及び重合体(B)を含有する混合物を、公知の方法によって溶融ブレンドして得られる。溶融ブレンドの方法としては、例えば、バッチ式のニーダー、単軸又は多軸の押出機等を用いて溶融混練する方法が挙げられる。
本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物は、押出成形、射出成形、プレス成形、インフレーション成形、カレンダ成形等の通常公知の成形方法を適用して、各種成形物の製造に用いることができる。
例えば、軟質のフィルム状又はシート状に成形し、食品等の包装材料として使用することができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。但し、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。記載中、「部」及び「%」は、それぞれ「質量部」及び「質量%」を示す。
本実施例における各種評価方法を以下に示す。
(1)純度
化合物(a1)の純度を、ガスクロマトグラフを用いて測定した。測定条件は以下の通りである。
装置 :ヒューレットパッカード社製、HP6890(商品名)
カラム:J&W社製、DB−5(商品名)
カラム温度:100℃
注入温度 :230℃
FID検出温度:280℃
(2)混練状態
所定の原料及び条件において、溶融混練した状態について、次の基準により判定した。
○:原料の分離はみられず、一体となった塊状物が得られた。
×:一部の原料が塊状物に取り込まれず、分離していた。
(3)柔軟性
得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物を、卓上小型混練機(Custom Scientific Instruments社製、CS−183(商品名))を用いて、バレル温度200℃で5分間溶融混練した後、取り付けた金型内に射出して成形した(金型:短辺10mm×長辺20mm×厚さ2mm)。
得られた成形物のデューロメータD硬さを、JIS K7215に準拠して測定した。柔軟性は、次の基準により判定した。
◎:硬さが70未満であった。
○:硬さが70以上、80未満であった。
×:硬さが80以上であった。
(4)耐久性
得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物を、加熱プレス盤(王子機械(株)製、油圧プレス機、最大荷重37トン、最高使用圧力210kg/cm)を用いて、プレート温度180℃、ゲージ圧30kg/cmで、金型内でフィルム形状(一辺30mm×厚さ50μm)に成形した。
得られたフィルムを、オーブン内で、80℃×10日間保持した後、目視観察し、次の基準により判定した。
◎:白化がなく透明であり、析出物は確認されなかった。
○:若干の白化はあるがほぼ透明であり、析出物は確認されなかった。
×:明らかな白化や析出物が確認された。
(5)臭気
得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物の成形物(短辺10mm×長辺20mm×厚さ2mm)を用い、以下の条件で臭気を評価した。
条件1:成形を行なった直後の成形物
条件2:ポリエチレン袋(50mm×70mm)に、室温下で一週間成形物を封入した後の袋内
条件3:大気中、室温下で一週間放置した後の成形物
臭気の評価結果を、次の基準で判定した。
◎:条件1〜3で臭気を感じなかった。
○:条件1では臭気を感じたが、条件2及び3では臭気を感じなかった。
△:条件1及び2では臭気を感じたが、条件3では臭気を感じなかった。
×:条件1〜3で臭気を感じた。
(参考例1) 化合物(a1−1)の製造
攪拌装置及び温度センサーを備えた反応容器内で、メチルメタクリレート100gに、アゾビスイソブチロニトリル1g、酢酸コバルト0.138g、ジメチルグリオキシム0.183g、ピリジン0.3mlを加えて、窒素雰囲気下で加熱した。
反応容器中、内容物の温度が90℃に到達した後、アゾビスイソブチロニトリル2g及びメチルメタクリレート200gの溶液を1時間かけて添加し、更にアゾビスイソブチロニトリル0.75gを添加し、90℃で1時間保持した後、冷却した。
得られた反応生成物を蒸留し、2Torr、73℃の留出分としてメチルメタクリレートダイマー 192gを得た。純度は100%であった。
これを、化合物(a1−1)とする。
(参考例2) 化合物(a1−2)の製造
メチルメタクリレート98部、メチルアクリレート2部、n−オクチルメルカプタン0.3部、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート0.007部を、槽型反応容器に供給し、135℃×3時間で重合反応を行なった後、押出機((株)日本製鋼所製、TEX65(商品名)、脱揮ベント:2ヶ所)に導入し、真空ポンプにより減圧しながら250℃に加熱した。
その際、下流側のベントから分離される留分として、メチルメタクリレートダイマーを得た。純度は88%であった。
これを、化合物(a1−2)とする。
(参考例3) 化合物(a1−3)の製造
化合物(a1−2)を用いて蒸留を行なった。20段オールダーショウ型精留塔を用いて、フラスコ内の温度140〜180℃、圧力20〜30Torr、還流比1〜0.1で留出分としてメチルメタクリレートダイマーを回収した。純度は99%であった。
これを、化合物(a1−3)とする。
(参考例4) 化合物(A−1)の製造
化合物(a1−3)30部、メチルアクリレート70部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、パーブチルO(商品名))0.5部を混合し、反応容器内に仕込んだ。
先ず、60℃×4時間、続いて80℃×2時間の加熱を行なった。室温まで冷却した後、化合物(A−1)を取り出した。
(参考例5) 化合物(A−2)の製造
化合物(a1−3)30部、メチルアクリレート65部、セルロ−スアセテート(ダイセル化学(株)製、L−40(商品名)、アセチル化度55%)5部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日油(株)製、パーブチルO(商品名))0.5部を混合し、反応容器内に仕込んだ。
先ず、60℃×4時間、続いて80℃×2時間の加熱を行なった。室温まで冷却した後、化合物(A−2)を取り出した。
(実施例1〜10及び比較例1〜3)
表1に示す組成で各種原料を配合し、卓上小型混練機(Custom Scientific Instruments社製、CS−183(商品名))を用いて、バレル温度200℃で5分間溶融混練した。得られた非石油系熱可塑性樹脂組成物の評価結果を表1に示す。
尚、化合物(A−3)として、メチルアクリレート重合体(綜研化学(株)製、アクトフローUMM−1001(商品名)、(質量平均分子量:1000))を用いた。
表1から明らかなように、メチルメタクリレートの二量化反応を用いて製造した化合物(a1−1)を配合した成形物(実施例1及び2)は、柔軟性及び耐久性に優れ、特に臭気が低い結果であった。
メチルメタクリレートの重合反応から分離した化合物(a1−2)を配合した成形物(実施例3及び4)は、柔軟性及び耐久性に優れたが、臭気が増す結果であった。
化合物(a1−2)を蒸留し、純度を向上させた化合物(a1−3)を配合した成形物(実施例5〜10)は、柔軟性及び耐久性に優れ、臭気が低い結果であった。
また、重合体(B)として非結晶性のポリ乳酸を用いた場合(実施例5)、結晶性のポリ乳酸を用いた場合(実施例6)に比較して、特に耐久性が優れる結果であった。
化合物(a1)の配合量を増やした場合、得られる成形物(実施例7)は、柔軟性に優れる結果であった。
化合物(a1)と重合体(B)の混合物に対してラジカル発生剤(C)を作用させた場合、得られる成形物(実施例8)は、特に耐久性に優れる結果であった。
化合物(A)として、化合物(a1)及びビニル単量体(a2)を重合して得たものを用いた場合、得られる成形物(実施例9)は、柔軟性及び耐久性に優れる結果であった。
化合物(A)として、化合物(a1)、ビニル単量体(a2)及びセルロース誘導体(a3)を重合して得たものを用いた場合、得られる成形物(実施例10)は、特に耐久性に優れる結果であった。
ポリ乳酸を単独で用いた場合、得られる成形物(比較例1)は、柔軟性に劣る結果であった。
メチルアクリレート重合体(化合物(A−3))とポリ乳酸を配合した場合、得られる成形物(比較例2)は、柔軟性に劣る結果であった。
メチルアクリレート重合体(化合物(A−3))の配合量を増やした場合、混練状態が不良であった。
本発明の非石油系熱可塑性樹脂組成物は、柔軟性に優れるものであり、フィルム状又はシート状に成形して、食品等の包装材料として使用することができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(1)又は(2)で表わされる化合物(a1)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物。
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、グリシジル基又はヒドロキシ含有基を表わす。)
  2. 下記一般式(1)又は(2)で表される化合物(a1)を重合して得られる化合物(A)及びヒドロキシカルボン酸重合体(B)を含有する非石油系熱可塑性樹脂組成物。
    (式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基、グリシジル基又はヒドロキシ含有基を表わす。)
  3. 請求項1又は2に記載の非石油系熱可塑性樹脂組成物を成形して得られる成形物。
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