JP3840340B2 - 非水系樹脂組成物及びその塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水系樹脂組成物、詳しくは、塗料用ビヒクルとして優れた顔料分散性、貯蔵安定性、ポットライフを有し、液状状態で安定で、常温乾燥により架橋が開始するため、常温硬化型で一液型とすることができ、且つ、付着性、耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐候性などの塗膜性能の優れた塗膜を形成することができる非水系樹脂組成物及び該樹脂を用いた塗料組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来、塗料用のビヒクルとしては、優れた塗膜を形成することから有機溶媒溶解型樹脂組成物が多くの用途に用いられてきた。しかし、近年、大気汚染性や環境衛生上の問題点及び貯蔵や使用に際しての防火上の安全性などの観点から、光学不活性な脂肪族炭化水素系溶媒を代表とした比較的引火点の高い非極性有機溶媒に溶解又は分散された樹脂組成物が注目され、中でも非水分散型樹脂は通常の有機溶媒溶解型樹脂に比較し高固形分にすることが可能であり、また粘度挙動上チキソトロピー性を有するものであって厚塗りが容易であることなどの特徴を有しているため建築内外装などを中心に多方面に使用されるようになってきた。
しかしながら、これらの非水分散型樹脂は、一般にラッカー型であり、耐水性、耐溶剤性あるいは耐アルカリ性、耐候性などの塗膜性能が硬化型樹脂に比べて低いために、使用範囲に制限があった。
【0003】
一方、塗料には極めて多くの種類があり、建築用途において、鉄材、亜鉛材などの金属基材、木質基材、スレート材、モルタル、コンクリートなどの無機質基材といった被塗物の種類に応じて、耐候性、耐薬品性、乾燥性といった要求性能に応じて、あるいは刷毛、ローラー、スプレーといった塗装方法に応じて、さまざまな種類の塗料が使用されているが、使用目的及び使用条件によって多々ある塗料の中から適切な塗料を選択しなければならないという煩わしさがあり、どのような用途に対しても使用できる高性能な塗料が望まれている。
【0004】
そこで、本出願人は、塗膜性能に優れた非水系樹脂組成物として、脂肪族炭化水素系溶媒及び/又は脂環式炭化水素系溶媒中に、該溶媒に可溶で且つ下記〔化4〕の一般式(4)又は一般式(5)で示されるペンダント側鎖を有する共重合体と、キレート化合物とを含有してなる常温硬化型で一液型の非水系樹脂組成物を提案した(特開平7−316441号公報を参照)が、更なる塗膜性能の向上、特に耐候性、耐溶剤性及び付着性の向上が望まれている。
【0005】
【化4】
【0006】
また、特開平9−316275号公報には、顔料分散性、鮮映性、光沢及び肉持ち感などの諸性能に優れる塗膜を形成し得る塗料用ビヒクルとして、分散粒子となる有機溶剤に不溶のビニル系重合体及び/又は分散安定剤となる有機溶剤に可溶の重合体が、脂肪酸で以て変性されているものを用いた非水ディスバージョン型樹脂組成物が提案されているが、この非水ディスバージョン型樹脂組成物は、耐候性及び塗料安定性が充分に満足し得るものではない。
【0007】
従って、本発明の目的は、塗料用ビヒクルとして優れた顔料分散性、貯蔵安定性、ポットライフを有し、且つ、付着性、耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐候性などの塗膜性能、特に塗膜の耐候性、耐溶剤性及び付着性を著しく改善することができる、常温硬化型で一液型の非水系樹脂組成物を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意研究した結果、分散粒子となる有機溶媒に不溶の重合体及び分散安定剤となる有機溶媒に可溶の重合体を含有する非水系樹脂組成物において、これらの重合体に特定の2種類のペンダント側鎖を併有させることにより、上記目的を達成し得る非水樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた塗料組成物が得られることを知見した。
【0009】
本発明は、上記知見に基づいてなされたもので、(A)脂肪族炭化水素系溶媒及び/又は脂環式炭化水素系溶媒を主成分とする有機溶媒、(B)上記有機溶媒(A)に可溶の1種又は2種以上の(メタ)アクリル系共重合体、(C)上記有機溶媒(A)に不溶の(メタ)アクリル系重合体又は(メタ)アクリル系共重合体の微粒子、及び(D)金属キレート化合物を含有する非水系樹脂組成物であって、上記共重合体(B)及び上記重合体又は共重合体の微粒子(C)が、全体として、下記〔化5〕の一般式(1)で示されるペンダント側鎖(1)及び高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖(2)を併有していることを特徴とする非水系樹脂組成物を提供するものである。
【0010】
【化5】
【0011】
以下、本発明の非水系樹脂組成物について詳述する。
本発明の非水系樹脂組成物において、「上記共重合体(B)及び上記重合体又は共重合体の微粒子(C)が、全体として、上記一般式(1)で示されるペンダント側鎖▲1▼及び高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖▲2▼を併有している」とは、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼が上記共重合体(B)或いは上記重合体又は共重合体の微粒子(C)の少なくとも何れかに存在していればよく、例えば、下記(a)〜(j)のような場合であり、これらのなかでも、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼が上記共重合体(B)に共存している下記(a)、(b)、(c)及び(d)の場合、特に下記(a)、(b)及び(c)の場合が好ましい。また、下記(e)の場合も好ましい。
【0012】
(a)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(b)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲2▼を有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(c)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼を有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(d)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する共重合体を含有し、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)は上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を含有していない場合。
(e)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼を有する共重合体及び上記ペンダント側鎖▲2▼を有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(f)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲2▼を有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(g)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼を有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(h)上記共重合体(B)は上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を含有しておらず、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼を併有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(i)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲1▼を有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲2▼を含有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
(j)上記共重合体(B)として、上記ペンダント側鎖▲2▼を有する共重合体を含有し、且つ、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)として、上記ペンダント側鎖▲1▼を含有する重合体又は共重合体の微粒子を含有する場合。
【0013】
上記共重合体(B)及び/又は上記重合体又は共重合体の微粒子(C)が有する上記一般式(1)で示されるペンダント側鎖▲1▼としては、一般式(1)中のR1 の炭素数が3〜11のもの、特にR1 の炭素数が5のものが好ましく、また一般式(1)中のnが1〜6のもの、特に平均値で2であるものが好ましい。
また、上記共重合体(B)及び/又は上記重合体又は共重合体の微粒子(C)が有する上記ペンダント側鎖▲2▼としては、高級不飽和脂肪族基として、亜麻仁油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、米糠油脂肪酸、胡麻油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トール油脂肪酸などの高級不飽和脂肪酸の残基を有するものなどが好ましく、これらの中でも、高級不飽和脂肪族基の平均炭素数が13〜23、特に16〜22のものが好ましい。
【0014】
また、上記ペンダント側鎖▲1▼と上記ペンダント側鎖▲2▼との含有割合(モル比)は、▲1▼/▲2▼=1/500〜500/1、特に1/50〜50/1であることが好ましい。
上記割合が上記範囲内であることにより、得られる非水系樹脂組成物の硬化性が優れたものとなるので好ましい。。
また、上記ペンダント側鎖▲1▼及び▲2▼の濃度は、それぞれ、上記共重合体(B)及び上記重合体又は共重合体の微粒子(C)の合計1モル当たり、上記ペンダント側鎖▲1▼が0.1〜100ミリモル、特に1〜50ミリモルで、上記ペンダント側鎖▲2▼が0.1〜100ミリモル、特に1〜50ミリモルであることが好ましい。上記ペンダント側鎖▲1▼の上記濃度が0.1ミリモル未満であると、得られる非水系樹脂組成物の硬化性及び顔料分散性が低下し、さらに、被塗物に対する付着性が低下し、また100ミリモル超であると、貯蔵安定性及びポットライフが低下する。
また、上記ペンダント側鎖▲2▼の上記濃度が0.1ミリモル未満であると、得られる非水系樹脂組成物の硬化性が低下し、また100ミリモル超であると、貯蔵安定性及びポットライフが低下する。
【0015】
〔有機溶媒(A)〕
本発明に用いられる有機溶媒(A)の主成分である脂肪族炭化水素系溶媒及び脂環式炭化水素系溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、i−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、i−オクタン、n−デカン、n−ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタンなどが挙げられる。
これらの炭化水素系溶媒は、それぞれ単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0016】
本発明においては、本発明の効果を損なわない範囲において、上記脂肪族炭化水素系溶媒及び/又は脂環式炭化水素系溶媒に加えて、その他の有機溶媒を併用することができる。
このような有機溶媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、t−ブチルベンゼン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、テトラリン、デカリン、「ソルベッソ100」〔エクソンケミカル社製〕、「ソルベッソ150」〔エクソンケミカル社製〕などの芳香族炭化水素系有機溶媒;メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、n−ヘキシルアルコール、n−オクチルアルコール、i−オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコールなどのアルコール系有機溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系有機溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸アルミなどのエステル系有機溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、n−プロピルセロソルブ、i−プロピルセロソルブ、n−ブチルセロソルブ、i−ブチルセロソルブ、i−アミルセロソルブ、フェニルセロソルブ、ベンジルセロソルブなどのセロソルブ系有機溶媒;メチルカルビトール、エチルカルビトール、n−プロピルカルビトール、i−プロピルカルビトール、n−ブチルカルビトール、i−ブチルカルビトール、i−アミルカルビトール、フェニルカルビトール、ベンジルカルビトールなどのカルビトール系有機溶媒などを挙げることができる。
【0017】
上記有機溶媒(A)は、上記脂肪族炭化水素系溶媒及び/又は脂環式炭化水素系溶媒の含有割合が、好ましくは50重量%以上、より好ましくは65重量%以上、特に好ましくは75重量%以上である。これらの炭化水素系溶媒の含有割合が50重量%以上であれば、無機多孔質基材に対して適度な浸透性を有するが、50重量%未満であると、大気汚染や環境衛生上の問題が生ずる場合があり、更に塗り替えや補修塗装時の塗料として用いる場合に旧塗膜を侵し、チヂミやリフティング現象を発生することがある。
【0018】
上記有機溶媒(A)としては、市販品を用いることができ、このような市販品としては、「ロウス」、「ミネラルスピリットEC」、「シェルゾール71」、「VM&Pナフサ」、「シェルTS28ソルベント」〔以上、シェル社製〕、「アイソパーC」、「アイソパーE」、「アイソパーG」、「アイソパーH」、「アイソパーM」、「ナフサ3号」、「ナフサ5号」、「ナフサ6号」、「ソルベント7号」〔以上、エクソンケミカル社製〕;「IPソルベント1016」、「IPソルベント1620」、「IPソルベント2028」、「IPソルベント2835」〔以上、出光石油化学(株)製〕;「ホワイトゾール」〔共同石油(株)製〕;「三菱ミネラルターペン」、「ダイヤモンドソルベント」〔以上、三菱石油(株)製〕;「ペガゾールAN−45」、「ペガゾール3040」〔以上、モービル石油(株)製〕などを挙げることができる。
【0019】
〔共重合体(B)〕
本発明に用いられる上記有機溶媒(A)に可溶の共重合体(B)としては、上記一般式(1)で示されるペンダント側鎖▲1▼を含む下記〔化6〕の一般式(2)で示される単量体、上記高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体、及び必要に応じてラジカル重合性不飽和単量体を共重合してなるものが好ましい。
【0020】
【化6】
【0021】
上記一般式(2)で示される単量体としては、アクリル酸やメタクリル酸のマイケル付加物、アクリル酸やメタクリル酸とγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−ラウロラクトン、δ−ラウロラクトンなどのラクトン化合物との付加物を挙げることができる。
具体的には、アクリル酸ダイマー、アクリル酸トリマー、アクリル酸テトラマー、アクリル酸ヘプタマー、アクリル酸ヘキサマー、メタクリル酸ダイマー、メタクリル酸トリマー、メタクリル酸テトラマー、メタクリル酸ヘプタマー、メタクリル酸ヘキサマー、ω−カルボキシ−ポリブチロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリバレロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプリロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリラウリロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリブチロラクトンモノメタクリレート、ω−カルボキシ−ポリバレロラクトンモノメタクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプリロラクトンモノメタクリレート、ω−カルボキシ−ポリラウリロラクトンモノメタクリレートなどを例示でき、これらの中でも、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノメタクリレートが好ましく、一般式(2)中のnは平均値で2であるものが特に好ましい。
【0022】
また、上記高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体としては、高級不飽和脂肪酸とエチレン性不飽和グリシジルエステルとの反応によって得られるものが好ましい。
上記高級不飽和脂肪酸としては、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、リシノール酸などを用いることができる。また、亜麻仁油脂肪酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、米糠油脂肪酸、胡麻油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、エノ油脂肪酸、麻実油脂肪酸、綿実油脂肪酸、トール油脂肪酸などのような非共役二重結合をもつ乾性油、半乾性油脂肪酸などを用いることができる。これらの乾性油、半乾性油脂肪酸などを用いることにより、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エレオステアリン酸もしくはリシノール酸などの不飽和脂肪酸類が含まれることになるが、高級不飽和脂肪族基の平均炭素数は13〜23であるのが好ましい。なお、全飽和脂肪酸中30重量%以下で、桐油脂肪酸などの共役二重結合をもつ脂肪酸を併用してもよい。
また、上記エチレン性不飽和グリシジルエステルとしては、グリシジルアクリレート、グリシジルメタアクリレート、メチルグリシジルアクリレート、メチルグリシジルメタアクリレート、アリルグリシジルエーテル、メタアリルグリシジルエーテルなどを用いることができる。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートもしくはジ−2−ヒドロキシエチルフマレートなどの水酸基含有ビニルモノマー、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸もしくはイタコン酸などの各種の不飽和モノマーないしはジカルボン酸、エポキシ樹脂などを併用することもできる。
これらの中でも、特に、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、サフラワー油脂肪酸、大豆油脂肪酸、ひまし油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸、トール油脂肪酸より選ばれた少なくとも一種と、グリシジルアクリレート及び/又はグリシジルメタアクリレートとの反応によって得られるものが好ましい。
また、上記エチレン性不飽和単量体としては、ヨウ素価が60〜180、特に70〜150のものが好ましい。
【0023】
また、上記ラジカル重合性不飽和単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、i−ブチルアクリレート、t−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、i−オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、i−ノニルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレートなどのアクリル酸エステル単量体;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、i−ブチルメタクリレート、t−ブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、i−オクチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、i−ノニルメタクリレート、n−ドデシルメタクリレート、i−ドデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレートなどのメタクリル酸エステル単量体;スチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体などを例示できる。
【0024】
また、上記ラジカル重合性不飽和単量体の一部を、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、シトラコン酸などのカルボキシル基含有単量体、好ましくはアクリル酸、メタクリル酸;アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−n−ブトキシメチルアクリルアミドなどのアミド基もしくは置換アミド基含有単量体、好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド;2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、アリルアルコール、メタリルアルコールなどの水酸基含有単量体、好ましくは2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレートのようなヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリレート;アミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタアクリレートなどのアミノ基もしくは置換アミノ基含有単量体、好ましくは、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルメタアクリレートの如きN,N−ジ低級アルキルアミノ−低級アルキル(メタ)アクリレート:グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、グリシジルアリルエーテル、グリシジルメタリルエーテル、グリシジルビニルエーテルなどのエポキシ基含有単量体;ビニルメルカプタン、アリルメルカプタンなどのメルカプト基含有単量体;(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、ジアリルフタレート、ジビニルベンゼンなどの1分子中に2個以上のラジカル重合性不飽和基を有する単量体などの官能基モノマーで代替することもでき、これらのうち、カルボキシル基含有単量体、アミド基含有単量体、水酸基含有単量体及び置換アミノ基含有単量体、殊に、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシ低級アルキル(メタ)アクリレート及びN,N−ジ−低級アルキルアミノ−低級アルキル(メタ)アクリレートが好適である。
【0025】
上記ラジカル重合性不飽和単量体を用いる場合、その使用量は、該単量体と上記一般式(2)で示される単量体と上記ペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体との合計100重量部中、20〜98重量部が好ましい。
【0026】
また、上記共重合体(B)としては、上記のように、ペンダント側鎖▲1▼又は▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体を共重合することにより、これらのペンダント側鎖を導入してもよいが、これらのペンダント側鎖を有しないエチレン性不飽和単量体を共重合した後、該共重合体にこれらのペンダント側鎖を付加させることにより導入してもよい。
また、上記共重合体(B)としては、酸価、ヨウ素価及び重量平均分子量が下記範囲内にあるものが好ましい。
・酸価:1〜30、より好ましくは2〜20。
・ヨウ素価:0.1〜80、より好ましくは0.5〜30。
・重量平均分子量:10,000〜150,000、より好ましくは15,000〜100,000。
また、上記共重合体(B)は、形成被膜の物性などの観点から、一般に0〜60℃、特に10〜50℃の範囲内のガラス転移温度(以下、Tgという)を有していることが好ましい。本明細書においてTgとは、L.E.ニールセン著、小野木宣治訳「高分子の力学的性質」〔(株)化学同人、1965年8月15日発行〕11〜35頁に記載されているような一般の高分子で測定されるTgであり、共重合体の場合は同書26〜27頁に記載されている計算Tgである。即ち共重合体のTgは下記〔数1〕に示す式によって計算されたものである。なお、個々の高分子重合体のTgは例えば高分子学会編「高分子データハンドブック基礎編」〔培風館(株)、昭和61年1月30日発行〕に記載されている値を採用することができる。
【0027】
【数1】
【0028】
〔重合体又は共重合体の微粒子(C)〕
本発明に用いられる上記有機溶媒(A)に不溶の重合体又は共重合体の微粒子(C)としては、下記〔化7〕の一般式(3)で示されるエチレン性不飽和単量体の少なくとも一種及び必要に応じて上記一般式(1)で示されるペンダント側鎖▲1▼を含む上記〔化6〕の一般式(2)で示される単量体及び/又は高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体を重合又は共重合してなる重合体又は共重合体の微粒子が好ましい。
【0029】
【化7】
【0030】
上記一般式(3)で示されるエチレン性不飽和単量体としては、一般に単量体では溶媒に可溶性であるが、重合体になると溶解度が減少して析出する性質をもつ単量体が使用され、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼンなどの芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリロニトリル;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロ(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;「ビスコート8F」、「ビスコート8FM」、「ビスコート3FM」(以上商標、いずれも大阪有機化学工業(株)製)などの含フッ素(メタ)アクリル酸エステル;ギ酸ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N−酪酸ビニル、「バーサチック酸ビニル」(商標、シェル社製)などの飽和脂肪酸ビニルエステル単量体などを挙げることができる。また、上記エチレン性不飽和単量体の一部を、上記共重合体(B)の製造に用いられるラジカル重合性不飽和単量体の一部代替として使用できる官能基モノマーで代替することもできる。
これらの単量体は単独で使用することができ、或いは2種以上組合わせて用いてもよい。これらの単量体は最終組成物に要求される特性などに応じて任意に選ぶことができるが、通常、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、n−オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエンが好適である。
【0031】
また、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)の製造において必要に応じて用いられる上記一般式(1)で示されるペンダント側鎖▲1▼を含む上記〔化6〕の一般式(2)で示される単量体及び上記高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体としては、上記共重合体(B)の製造に用いられるものと同様のものが挙げられる。
上記一般式(2)で示される単量体を用いる場合、その使用量は、該単量体と上記一般式(3)で示されるエチレン性不飽和単量体との合計100重量部中、0.5〜20重量部が好ましく、また、上記ペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体を用いる場合、その使用量は、該単量体と上記一般式(3)で示されるエチレン性不飽和単量体との合計100重量部中、0.5〜20重量部が好ましい。
また、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)は、平均粒径0.1〜2μm、特に0.2〜1.0μmのものが好ましい。
また、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)は、本発明の組成物の常温造膜性や形成塗膜の粘着性などを考慮した場合、一般に−10〜50℃、特に0〜40℃、さらに特に5〜35℃の範囲内のガラス転移温度(Tg)を有していることが好ましい。
【0032】
〔金属キレート化合物(D)〕
本発明に用いられる金属キレート化合物(D)としては、アルミニウムキレート化合物、チタニウムキレート化合物、ジルコニウムキレート化合物が好ましく、特にアルミニウムキレート化合物が好ましい。また、これらのキレート化合物のなかでも、ケト・エノール互変異性体を構成し得る化合物を安定なキレート環を形成する配位子として含むキレート化合物が好ましい。
【0033】
ケト・エノール互変異性体を構成し得る化合物としては、β−ジケトン類(アセチルアセトンなど)、アセト酢酸エステル(アセト酢酸メチルなど)、マロン酸エステル類(マロン酸エチルなど)、及びβ位に水酸基を有するケトン類(ダイアセトンアルコールなど)、β位に水酸基を有するアルデヒド類(サリチルアルデヒドなど)、β位に水酸基を有するエステル類(サリチル酸メチルなど)などを使用することができる。特に、アセト酢酸エステル類、β−ジケトン類を使用すると好適な結果が得られる。
【0034】
アルミニウムキレート化合物は、下記〔化8〕の式(6)で表わされるアルミニウムアルコラート類1モルに対し、上記ケト・エノール互変異性体を構成し得る化合物を通常3モル以下程度のモル比で混合し(ポットライフを変更できるので3モルより多く混合することもある)、必要に応じて加熱することにより好適に調製することができる。
【0035】
【化8】
【0036】
式(6)中におけるR6 のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、s−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、i−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシル、i−ヘキシル、n−ヘプチル、1−メチルペンチル、2−メチルペンチル、2−メチルヘキシル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、オクタデシル基などの直鎖又は分岐アルキル基;アルケニル基としては、例えばビニル、アリル基などのアルケニル基;をそれぞれ例示できる。
従って、式(6)で表わされるアルミニウムアルコラート類としては、アルミニウムトリメトキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリ−n−プロポキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムトリ−n−ブトキシド、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウムトリ−tert−ブトキシドなどがあり、特にアルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリ−sec−ブトキシド、アルミニウム−n−ブトキシドなどを使用するのが好ましい。
【0037】
チタニウムキレート化合物は、例えば、下記〔化9〕の式(7)で表わされるチタネート類中のTiが1モルに対し、上記ケト・エノール互変異性体を構成し得る化合物を通常4モル以下程度のモル比で混合し(ポットライフを変更できるので4モルより多く混合することもある)、必要に応じて加熱することにより好適に調製することができる。
【0038】
【化9】
【0039】
式(7)で表わされるチタネート類としては、nが1のものでは、テトラメチルチタネート、テトラエチルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ−n−ペンチルチタネート、テトラ−n−ヘキシルチタネート、テトライソオクチルチタネート、テトラ−n−ラウリルチタネートなどがあり、特にテトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネートなどを使用すると好適な結果を得る。
また、nが1以上のものについては、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネートの2量体から11量体(式(7)におけるn=1〜10)のものが好適な結果を与える。
【0040】
ジルコニウムキレート化合物は、例えば、下記〔化10〕の式(8)で表わされるジルコネート類中のZrが1モルに対し、上記ケト・エノール互変異性体を構成し得る化合物を通常4モル以下程度のモル比で混合し(ポットライフを変更できるので4モルより多く混合することもある)、必要に応じて加熱することにより好適に調製することができる。
【0041】
【化10】
【0042】
式(8)で表わされるジルコネート類としては、テトラエチルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトライソプロピルジルコネート、テトラ−n−ブチルジルコネート、テトラ−sec−ブチルジルコネート、テトラ−tert−ブチルジルコネート、テトラ−n−ペンチルジルコネート、テトラ−tert−ペンチルジルコネート、テトラ−tert−ヘキシルジルコネート、テトラ−n−ヘプチルジルコネート、テトラ−n−オクチルジルコネート、テトラ−n−ステアリルジルコネートなどがあり、特にテトライソプロピルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトライソブチルジルコネート、テトラ−n−ブチルジルコネート、テトラ−sec−ブチルジルコネート、テトラ−tert−ブチルジルコネートなどを使用すると好適な結果を得る。
【0043】
また、nが1以上のものについては、テトライソプロピルジルコネート、テトラ−n−プロピルジルコネート、テトラ−n−ブチルジルコネート、テトライソブチルジルコネート、テトラ−sec−ブチルジルコネート、テトラ−tert−ブチルジルコネートの2量体から11量体(式(8)におけるn=1〜10)のものが好適な結果を与える。また、これらジルコネート類同志が会合した構成単位を含んでもよい。
【0044】
而して、本発明における特に好ましい金属キレート化合物(D)としては、ジイソプロピレートエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−プロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(イソプロピルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(n−ブチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビスエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロピレートエチルアセトナートアルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトナート)アルミニウム、モノエチルアセトアセトナートビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(イソプロピレート)アルミニウム、トリス(sec−ブチレート)アルミニウム、ジイソプロピレートモノ−sec−ブトキシアルミニウム、トリス(アセチルアセトン)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタネート、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタネートなどのチタニウムキレート化合物;テトラキス(アセチルアセトン)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物を挙げることができる。
本発明においては、上記金属キレート化合物の何れか1種を用いてもよいし、2種以上を適宜併用しても良いが、硬化性と一液性及びポットライフの観点からアルミニウムキレート化合物が最も好ましい。
【0045】
本発明の非水系樹脂組成物は、上記有機溶媒(A)100重量部に対し、上記共重合体(B)4〜150重量部、特に10〜105重量部、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)4〜150重量部、特に10〜105重量部及び上記金属キレート化合物(D)0.01〜10重量部、特に0.03〜5重量部を含有してなるものが好ましい。
【0046】
また、本発明の非水系樹脂組成物は、上記共重合体(B)と上記重合体又は共重合体の微粒子(C)との配合割合(重量比)が、(B)/(C)=20/80〜80/20、特に30/70〜70/30であるものが好ましい。
上記配合割合が20/80未満であると、非水系樹脂組成物の安定性の低下、塗膜の付着性の低下などの問題を生じ、また80/20超であると、塗料の作業性、塗工適性の低下、乾燥性の低下などの問題を生ずる。
【0047】
〔本発明の非水系樹脂組成物の製造〕
本発明に用いられる上記共重合体(B)は、直接、脂肪族炭化水素系溶媒及び/又は脂環式炭化水素系溶媒を主成分とする有機溶媒(A)中で溶液重合を行って製造することができるが、他の低沸点有機溶媒中で溶液重合を行った後、真空濃縮して溶媒置換を行っても得られる。
【0048】
通常、上記共重合体(B)の一部を、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)の重合に先立って、上記有機溶媒(A)と同じ有機溶媒中で、上記一般式(2)で示される単量体、上記高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖▲2▼を有するエチレン性不飽和単量体、及び必要に応じてラジカル重合性不飽和単量体を、適宜の重合開始剤及び必要に応じて用いられる連鎖移動剤を用い、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、攪拌しながら数時間加熱反応させることによって製造することが好ましい。この場合、これら有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
上記共重合体(B)を重合する際の重合温度としては、一般に30〜180℃、好ましくは60〜150℃の範囲がよい。
【0049】
また、本発明に用いられる上記重合体又は共重合体の微粒子(C)は、別途に製造しておいたものを用いてもよいが、上記の如く上記共重合体(B)の一部が製造されている有機溶媒(A)中で、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)を与える単量体を、適宜の重合開始剤及び必要に応じて連鎖移動剤を用い、窒素気流中又は有機溶媒の還流温度で、攪拌しながら数時間加熱して共重合させることにより製造することができる。この場合、重合開始剤及び連鎖移動剤などは前記可溶性の共重合体(B)の製造において使用したものと同様のものを使用することができる。また、これらの有機溶媒、単量体、重合開始剤及び/又は連鎖移動剤の少なくとも一部を逐次添加してもよい。
また、上記金属キレート化合物(D)は、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)の製造後添加することもできるが、上記重合体又は共重合体の微粒子(C)を製造する際に添加することがより好ましい。
上記重合体又は共重合体の微粒子(C)を重合する際の重合温度としては、上記共重合体(B)の場合と同様に、一般に30〜180℃、好ましくは60〜150℃の範囲がよい。
【0050】
上記重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、カプロイルパーオキシド、ジ−i−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレートなどの有機過酸化物;2,2’−アゾビス−i−ブチルニトリル、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリルなどのアゾ化合物などをそれぞれ単独又は組み合わせて使用することができる。
上記重合開始剤の使用量は、単量体の合計100重量部に対して、一般に、0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜2重量部用いられる。
【0051】
また、上記連鎖移動剤としては、例えば、シアノ酢酸;アルキル基の炭素数が1〜8のシアノ酢酸アルキルエステル類;ブロモ酢酸;アルキル基の炭素数が1〜8のブロモ酢酸エステル類:アントラセン、フェナントレン、フルオレン、9−フェニルフルオレンなどの芳香族化合物類;p−ニトロアニリン、ニトロベンゼン、ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、p−ニトロフェノール、p−ニトロトルエンなどの芳香族ニトロ化合物類;ベンゾキノン、2,3,5,6−テトラメチル−p−ベンゾキノンなどのベンゾキノン誘導体類;トリブチルボランなどのボラン誘導体;四臭化炭素、四塩化炭素、1,1,2,2−テトラブロモエタン、トリブロモエチレン、トリクロロエチレン、ブロモトリクロロエタン、トリブロモメタン、3−クロロ−1−プロペンなどのハロゲン化炭化水素類;クロラール、フラルデヒドなどのアルデヒド類; 炭素数1〜18のアルキルメルカプタン類;チオフェノール、トルエンメルカプタンなどの芳香族メルカプタン類;メルカプト酢酸;メルカプト酢酸の炭素数1〜10のアルキルエステル類;炭素数1〜12のヒドロキシアルキルメルカプタン類;ピネン、ターピノレンなどのテルペン類などを挙げることができる。
このような連鎖移動剤を用いる場合、その使用量は、単量体の合計100重量部に対して、0.005〜3重量部であるのが好ましい。
【0052】
このようにして有機溶媒(A)中で共重合体(B)の一部及び重合体又は共重合体の微粒子(C)を製造することにより、有機溶媒(A)、共重合体(B)及び微粒子(C)を含有する非水系樹脂エマルジョンが形成され、該非水系樹脂エマルジョンに別途に製造しておいた共重合体(B)の残部を後添し、重合体又は共重合体の微粒子(C)を製造する際に金属キレート化合物(D)を添加していない場合には金属キレート化合物(D)を配合することにより、本発明の非水系樹脂組成物が得られる。
【0053】
また、本発明の非水系樹脂組成物には、マンガン系、コバルト系、鉛系、ジルコニウム系、亜鉛系、カルシウム系の金属ドライヤーを用いることができるが、塗膜表面と塗膜内部との塗膜の硬化バランスの点で、マンガン系及びコバルト系の金属ドライヤーが好ましい。該金属ドライヤーは、樹脂固形分〔本発明の(B)及び(C)成分の合計〕に対して、0.05〜5重量%の範囲内で使用することが好ましく、より好ましくは0.1〜2重量%の範囲内で使用する。
更に、本発明の非水系樹脂組成物には、アミノ樹脂、ポリイソシアネート化合物又はポリアミノ化合物などの架橋剤を配合して使用することができる。該架橋剤を使用する場合には、上記一般式(2)で示される単量体の使用量を、上記共重合体(B)を構成するための単量体の合計量を基準にして、一般に1〜30重量%、好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは10〜20重量%の範囲内とするのがよい。
【0054】
また、本発明の非水系樹脂組成物には、本発明の効果を妨げない範囲において、更に、アルキド樹脂、アクリル変性アルキド樹脂、アルキド変性アクリル樹脂、エポキシ変性アクリル樹脂、ウレタン変性アクリル樹脂、シリコン変性アクリル樹脂、アルキルシリケート樹脂、アクリル変性シリコン樹脂、エポキシ樹脂、フッ素樹脂などを配合して使用することができる。
【0055】
本発明の非水系樹脂組成物は、クリヤー塗料として使用することができる。また、該非水系樹脂組成物に、二酸化チタン、カーボンブラック、フタロシアニンブルーなどの無機又は有機顔料;アルミフレーク、マイカフレークなどの光輝性顔料;炭酸カルシウム、シリカ、クレー、タルク、ケイ砂、ガラス粉などの無機質顔料・充填剤;酸化ポリエチレン、アマイド系、三次元架橋を有する樹脂粒子などのチクソトロピー性を発現する増粘剤;シリコーン系化合物;老化防止剤;防腐剤;防黴剤;紫外線吸収剤;などを添加混合して、各種の塗料として使用することができる。上記の顔料、無機質顔料・充填剤を配合する場合には、塗料固形分100重量部に対して、1〜70重量部配合することが好ましい。また、上記シリコーン系化合物は、塗膜の耐汚染性の点で配合することが好ましい。
上記シリコーン系化合物としては、疎水基がジメチルポリシロキサンで親水基がポリアルキレンオキサイドから構成される非イオン系の界面活性剤である下記〔化11〕の式(9)及び式(10)で示される化合物などのシリコーン界面活性剤;アルコキシ変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル、カルボキシル変性シリコーンオイルなどの反応性シリコーンオイルや、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルなどのシリコーンオイル;n-C8H17Si(OC2H5)3 、CH3Si(OC2H5)3 、CH3Si(OCH3)3、RO(C2H4O) n C3H6Si(OR')3、n-C6H13Si(OCH3)3などのシランモノマー;シリコーンレジン;シランカップリング剤などが挙げられる。
本発明の非水系樹脂組成物を含有する塗料組成物を調製する場合、上記の顔料、無機質顔料・充填剤は、予め分散用樹脂に分散させておいてから、非水系樹脂組成物と混合するのが好ましい。該分散用樹脂としては、上述の〔本発明の非水系樹脂組成物の製造〕における非水系樹脂エマルジョンに後添される共重合体(B)の残部を使用しても好ましく、この他、例えば脂肪族系多価カルボン酸、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸のアミン塩、ポリエステルのアミン塩、ノニオン系界面活性剤などの顔料分散剤、顔料湿潤剤などが用いられる。
【0056】
【化11】
【0057】
本発明の非水系樹脂組成物を含有する塗料組成物は、必要に応じて、適宜な有機溶媒によって希釈して、浸漬、噴霧、塗付、印刷などの各種の方法により、種々の基材に適用することができる。
このような本発明の非水系樹脂組成物を含有する塗料組成物を好適に適用できる基材としては、例えば、モルタル、コンクリート、ガラス、セラミック、スレート板、岩石、硅カル板、鉱石などの無機質基材;例えば、吹付けタイル塗膜、アルキド樹脂系錆止塗膜、エポキシ樹脂系錆止塗膜などの新設及び既設の各種塗装面;例えば、トタン、カラートタンなどの特に建築物や構造物の外壁、屋根などに用いられる金属基材;などを挙げることができる。
【0058】
本発明の非水系樹脂組成物を含有する塗料組成物は、この他、例えば、アルミニウム板、亜鉛板、鉄板、ステンレス鋼板などの金属板;例えば、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂、酢酸ビニル樹脂、スチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ウレタン樹脂、SERなどの熱可塑性合成樹脂の成型物;例えば、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性合成樹脂の成形物;などの基材に対して好適に用いることができる。
【0059】
本発明の非水系樹脂組成物を含有する塗料組成物は、例えば、刷毛、ローラー、スプレー、ロールコーター、ナイフコーターなどの手段により塗装することができ、常温で乾燥することも、加熱により強制乾燥することもできる。
また、本発明の非水系樹脂組成物は、所望の性能を得るためには、1コートにつき、クリヤー塗料として使用する場合は0.05〜0.1kg/m2 、顔料を配合したエナメル塗料又は光輝性塗料として使用する場合は0.08〜0.2kg/m2 の範囲内の量で使用するのが好ましい。塗装は、1〜3コートする。
【0060】
【実施例】
以下に実施例及び比較例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における塗装板の作成及び各種塗料・塗膜物性試験の方法を次に示す。
【0061】
(1)非水系樹脂組成物の貯蔵安定性
非水系樹脂組成物をガラスビン中に密封し、室温にて1ケ月間貯蔵し、1ケ月後の非水系樹脂組成物の状態変化を観察し、次の基準により評価する。
○・・・増粘、上澄みの分離などの発生がなく、ほとんど変化なし。
△・・・増粘しているが、流動性がある。
×・・・ゲル化。
【0062】
(2)皮膜の耐溶剤性
非水系樹脂組成物を湿時厚み150μmとなるようにドクターブレードを用いてセパレーター上に塗布し、各日数室温乾燥した皮膜をセパレータから剥がして「ロウス」及びアセトンにそれぞれ25℃で2時間浸漬し、残留した皮膜を105℃、3時間乾燥後、下記〔数2〕に示す式により溶出率を算出する。この値が小さい程硬化性が良いことを示す。
【0063】
【数2】
【0064】
(3)塗料貯蔵安定性
得られた塗料をガラスビン中に密封し、室温にて1ケ月間貯蔵し、1ケ月後の塗料の状態変化を観察する。さらにこの塗料をよく攪拌した後、下記(5)項のガラス板上での光沢を測定して、次の基準により評価する。
○・・・・増粘及び相分離の発生がなく、塗膜の光沢も貯蔵の前後で殆ど変化がない。
△・・・・増粘及び/又は相分離の発生が若干みられるが、均一な塗膜性を示し、塗膜の光沢も貯蔵の前後で殆ど変化がない。
×・・・・ゲル化及び/又は著しい相分離が発生し、均一な塗膜が得られず、光沢も貯蔵後のものは貯蔵前のものより著しく低下している。
【0065】
(4)塗料の塗り重ね性(耐リフト性)
予め、20℃、70%RH、7日間乾燥して得られたアルキッド樹脂系錆止め塗膜が形成されたJIS G 3141(SPCC−SB)に定める磨き鋼板に、得られた塗料を第1層目として約150g/m2 となるように刷毛を用いて塗布し、20℃、70%RHで24時間乾燥し、次いで得られた塗料を第2層として約150g/m2 となるように刷毛を用いて重ね塗りし、20℃、70%RHで24時間乾燥したときの塗膜状態を観察して、次の基準にしたがって評価する。塗料に含有されている有機溶媒が下地のアルキッド樹脂系錆止め塗膜及び/又は第1層目塗膜を侵す度合により、塗膜表面に異状が見られる。
○・・・・チヂミ、シワなどの発生なし。
△・・・・部分的にチヂミ、シワ発生。
×・・・・全面にチヂミ、シワ発生。
【0066】
(5)光沢測定
得られた塗料をガラス板上あるいはフレキシブル板上〔JIS A−5403(F)に定めるフレキシブル板〕(以下FB板と略称することがある)に下記方法により塗布した後7日間室温乾燥してから、可変角光沢計「TC−108D」〔東京電色(株)製〕により60°光沢を測定する。
(3−1)ガラス板上への塗布
塗料をガラス板上に6ミルのドクターブレードを用いて塗布する。
(3−2)FB板上への塗布
塗料を刷毛にてFB板上に、湿時約150g/m2 で二回塗布する。
【0067】
(6)付着性
得られた塗料を鋼板上〔JIS G 3141(SPCC−SB)に定める磨き鋼板をトルエンにて脱脂して使用〕に湿時約150g/m2 で二回刷毛にて塗布し(塗り重ね条件は、上記(4)に準拠)、7日間室温乾燥した後、JIS K 5400に定められた碁盤目テープ法にて付着性を評価した。但し、碁盤目のマス目の間隔及びマス目の数はそれぞれ2mm、100とした。付着性の評価は次の基準に従って点数で表した。
10点・・・切り傷1本ごとが細かく両側が滑らかで、切り傷の交点と正方形の一目一目にはがれがない。
8点・・・切り傷の交点にわずかにはがれがあって、正方形の一目一目にはがれがなく、欠損部の面積は全正方形面積の5%以内。
6点・・・切り傷の両側と交点にはがれがあって、欠損部の面積は全正方形面積の5〜15%。
4点・・・切り傷によるはがれの幅が広く、欠損部の面積は全正方形面積の15〜35%。
2点・・・切り傷によるはがれの幅は4点よりも広く、欠損部の面積は全正方形面積の35〜65%。
0点・・・はがれの面積は全正方形面積の65%以上。
【0068】
(7)耐水性測定
上記(5)項で作成したFB板の試験片をエポキシ塗料でバックシールを行い、脱イオン水中に20℃で7日間浸漬し、塗膜面のフクレ発生の有無を観察する。さらに室温で2時間放置した後、上記(5)項の方法で光沢を測定する。水浸漬前の光沢に対する水浸漬後の光沢の割合を光沢保持率として、次の基準にしたがって評価する。
◎・・・フクレが無く、光沢保持率が90%以上。
○・・・フクレが無く、光沢保持率が70%以上90%未満。
△・・・部分的にフクレが発生するか、又はフクレ発生が無くとも光沢保持率が50%以上70%未満。
×・・・全面的にフクレが発生するか、又はフクレ発生が無くとも光沢保持率が50%未満。
【0069】
(8)耐アルカリ性測定
上記(5)項で作成したFB板の試験片を、エポキシ塗料でバックシールを行い、5重量%の苛性ソーダ水溶液中に20℃で2日間浸漬し、その後流水で静かに水洗する。ここでフクレ発生の有無を観察した後、室温で2時間放置してから上記(7)項と同様に光沢保持率を測定し、同様に評価する。
【0070】
(9)耐候性測定
上記(5)項で作成したFB板の試験片を、エポキシ樹脂でバックシールを行い、JIS B─7753に規定するサンシャインカーボンアーク灯式耐候性試験機を使用して、JIS A−1415の5項に従って500時間の暴露を行った後に上記(7)項と同様に光沢を測定し、暴露前の光沢に対する暴露後の光沢の割合を光沢保持率(%)として求める。
【0071】
〔共重合体(B)溶液の製造〕
参考例1
温度計、撹拌機、還流冷却器及び窒素ガス導入管を備えた反応器に「ロウス」〔シェル社製、有機溶媒(A)〕200重量部を仕込み、次いで別の容器に2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHMA)40重量%、t−ブチルメタクリレート(tBMA)53重量%、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(nの平均値2:CPCA)5重量%及びグリシジルメタクリレートのオレイン酸付加物(ヨウ素価85:GFA−1)2重量%からなる単量体混合物600重量部を用意し、このうち200重量部を反応器に仕込み、反応器内を窒素置換した後100℃に昇温し、重合開始剤としてt−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(tBPOO)を1.2重量部添加して30分間同温度で保った。さらに残りの単量体混合物400重量部及びtBPOO6重量部からなる混合物を2時間かけて逐次滴下し、滴下終了後同温度で30分保持した後、次いでtBPOOを2重量部添加し、さらに3時間同温度で保ってから「ロウス」を350重量部加えて冷却し、共重合体(B)溶液を得た。
使用した単量体混合物の組成、得られた共重合体(B)のTg、酸価、ヨウ素価及び重量平均分子量、並びに得られた共重合体(B)溶液の不揮発分及び粘度を下記〔表1〕に示した。
【0072】
参考例2及び3
下記〔表1〕に示す組成の単量体混合物を用いた以外は、参考例1と同様にして、共重合体(B)溶液を得た。
使用した単量体混合物の組成、得られた共重合体(B)のTg、酸価、ヨウ素価及び重量平均分子量、並びに得られた共重合体(B)溶液の不揮発分及び粘度を下記〔表1〕に示した。
【0073】
参考例4及び5
下記〔表1〕に示す組成の単量体混合物を用いると共に、重合開始剤として2,2’−アゾビス−i−ブチロニトリル(AIBN)を用い且つ反応器内に該AIBNを最初に5重量部を添加し次いで21重量部を逐次滴下し、滴下終了後はt−BPOO2重量部の代わりにAIBN3重量部を添加した以外は、参考例1と同様にして、共重合体(B)溶液を得た。
使用した単量体混合物の組成、得られた共重合体(B)のTg、酸価、ヨウ素価及び重量平均分子量、並びに得られた共重合体(B)溶液の不揮発分及び粘度を下記〔表1〕に示した。
【0074】
【表1】
【0075】
〔非水系樹脂エマルジョンの製造〕
参考例6
参考例1で使用したものと同様の反応器に、「ロウス」100重量部、参考例1で得られた共重合体(B)溶液377重量部、アセチルアセトン20重量部及びアルミニウムトリス(アセチルアセトネート)(ATAA)4.2重量部を仕込み、窒素置換した後100℃に昇温し、スチレン(St)15重量%、エチルアクリレート(EA)37.5重量%、メチルメタクリレート(MMA)28重量%、n−ブチルメタクリレート(nBMA)10重量%、CPCA2重量%及びGFA−2 7.5重量%からなる単量体混合物350重量部、「ロウス」180重量部、並びにtBPOO3.5重量部を2時間かけて逐次滴下し、滴下終了後同温度で30分間保持した後、次いでtBPOO3.0重量部を添加し、さらに3時間同温度で保って、非水系樹脂エマルジョンを得た。
使用した共重合体(B)溶液の種類、共重合体微粒子(C)の単量体混合物の組成、得られた共重合体微粒子(C)のTg及び平均粒径、キレート化合物の種類、並びに、得られた非水系樹脂エマルジョンの不揮発分及び粘度を下記〔表2〕に示した。
【0076】
参考例7〜16
下記〔表2〕に示す共重合体(B)溶液を300重量部及び下記〔表2〕に示す量のATAAを用い、ATAAを用いない系では反応器内に「ロウス」を120重量部仕込み且つアセチルアセトンを用いない以外は、参考例6と同様にして、非水系樹脂エマルジョンを得た。
使用した共重合体(B)溶液の種類、共重合体微粒子(C)の単量体混合物の組成、得られた共重合体微粒子(C)のTg及び平均粒径、キレート化合物の種類、並びに、得られた非水系樹脂エマルジョンの不揮発分及び粘度を下記〔表2〕に示した。
【0077】
【表2】
【0078】
実施例1〜12及び比較例1〜5
下記〔表3〕に示す配合組成の非水系樹脂エマルジョン、共重合体(B)溶液及びキレート化合物(D)並びに金属ドライヤーを混合撹拌〔混合物の粘度が適性混合粘度(85KU/25℃程度)になるように「ロウス」を添加して調整)し、非水系樹脂組成物を得た。金属ドライヤーとしては、共重合体(B)と共重合体微粒子(C)との合計100重量部(固形分)に対して、6%ナフテン酸コバルト0.05重量部及び6%ナフテン酸マンガン0.01重量部の混合物を、粘度調整用の「ロウス」の一部で希釈し、撹拌しながら混合物に添加した。また、実施例6、比較例2及び4におけるキレート化合物(D)としては、ATAAの10重量%トルエン溶液を添加した(〔表3〕中のATAAの使用量は固形重量である)。
【0079】
【表3】
【0080】
実施例1〜12及び比較例1〜5で得られた非水系樹脂組成物について性能評価(貯蔵安定性及び皮膜の耐溶剤性)を行った。その結果を下記〔表4〕に示した。
【0081】
【表4】
【0082】
次に、実施例及び比較例で得られた非水系樹脂組成物の一部の例について、下記の実施例13〜16及び比較例6〜8に示すように、塗料に調製し、前記方法の塗料性能評価を行った。
<顔料分散ペーストの調製>
顔料分散ペースト(1)
参考例4で得られた共重合体(B)溶液200重量部 、「タイペークCR−97」〔ルチル型酸化チタン:石原産業(株)製〕600重量部及び「ロウス」200重量部をサンドミル中で充分分散して顔料分散ペースト(1)を得た。
顔料分散ペースト(2)
参考例4で得られた共重合体(B)溶液の代わりに参考例2で得られた共重合体(B)溶液を用いた以外は、顔料分散ペースト(1)の調製と同様にして、顔料分散ペースト(2)を得た。
顔料分散ペースト(3)
参考例4で得られた共重合体(B)溶液の代わりに参考例5で得られた共重合体(B)溶液を用いた以外は、顔料分散ペースト(1)の調製と同様にして、顔料分散ペースト(3)を得た。
【0083】
<塗料の調製>
実施例13〜16及び比較例6〜8
下記〔表5〕に示す非水系樹脂組成物100重量部に、下記〔表5〕に示す顔料分散ペースト100重量部を加え、充分撹拌して塗料を得た。
これらの塗料について、前記方法の塗料性能評価を行った。その結果を下記〔表5〕に示した。
【0084】
【表5】
【0085】
【発明の効果】
本発明の非水系樹脂組成物は、塗料用ビヒクルとして優れた顔料分散性、貯蔵安定性、ポットライフを有し、且つ、付着性、耐水性、耐アルカリ性、耐溶剤性、耐候性などの塗膜性能、特に塗膜の耐候性、耐溶剤性及び付着性を著しく改善することができる、常温硬化型で一液型のものである。
Claims (5)
- 上記共重合体(B)が、上記〔化1〕の一般式(1)で示されるペンダント側鎖(1)及び高級不飽和脂肪族基を含むペンダント側鎖(2)を併有する共重合体である請求項1記載の非水系樹脂組成物。
- 請求項1〜4の何れかに記載の非水系樹脂組成物を含有する塗料組成物。
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