JP4009812B2 - 画像処理装置、コンピュータ読取可能な記憶媒体、及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子原稿から、該電子原稿に対応した画像を形成した記録物を生成する出力装置や、表示装置への出力が可能な画像信号への変換を行う画像処理装置および画像処理方法、これらの画像処理装置または画像処理方法を搭載した画像処理システムおよび出力装置、さらには、これらの処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
DTP(Desktop Publishing)システムでは、通常CRT(Cathode Ray Tube)などの表示装置上で画像の作成や編集を行ない、最終的なドキュメントをハードコピーの形で出力装置から出力している。用いられる表示装置や出力装置として各種の装置が開発され、また、1台に限らず、複数台の装置が利用されるようになってきている。このような装置環境においては、それぞれの表示装置や出力装置の特性により、同じカラー画像を出力させても色のバラツキが生じるという問題がある。
【0003】
各装置において出力される色を統一的に管理するために、CMS(ColorManagement System)が導入されてきた。とりわけ、ICC(International Color Consortium)で制定されているプロファイル形式による色管理は、事実上の標準になっている。
【0004】
図28は、ICCで提案されている従来の色管理方法の一例の説明図である。図中、101は電子原稿、102は色の見えモデル変換部、103はデバイス補正部、104〜107は表示装置、108は出力用変換部、109は出力装置、110〜112は光源、113は記録物である。システム内では、デバイスに依存しない色空間(Device Independent Color)に変換して色管理している。この時の色空間としては、CIE1931XYZ色度やCIE1976L* a* b* 均等色空間などが用いられる。
【0005】
図28に示すように、電子原稿101を表示装置104〜107に表示させる場合には、まず色の見えモデル変換部102において、電子原稿101を表示装置104〜107が設定しているもしくは想定している色温度に変換する。色の見えモデルは、例えばvon Kries、Hunt、Nayatani、Fairchild、Luoらが提案したモデルが有名であるが、近年ではこれらの特徴を生かしたCIECAM97sが提案されている。
【0006】
さらにデバイス補正部103において、色の見えモデル変換部102でそれぞれの表示装置104〜107が設定しているもしくは想定している色温度に変換した画像信号を、ICCで定められたプロファイルに格納された色変換係数を用いて、各表示装置104〜107に固有の色空間に変換する。
【0007】
例えば表示装置が、ユーザが色温度の調整を行うことができない普通のタイプであるなら、表示装置107のように9300K前後の色温度になっていることがほとんどである。また、電子原稿101の想定する色温度は、D50やD65の常用光源であることが多い。仮に電子原稿がD50の色温度であるなら、色の見えモデル変換部102により電子原稿101をD50から9300Kの色温度に変換する。このあと、デバイス補正部103において、表示装置107に固有の色空間に変換して、表示装置107に表示することになる。
【0008】
また、出力装置109はD50照明下を想定して、被記録媒体上に画像を形成し、記録物を生成する場合が多い。電子原稿101の色温度がD50であるなら、そのまま出力用変換部108において出力装置109に固有の色空間に変換する。また、電子原稿101の色温度がD65なら、表示装置104〜107の場合と同様に、色の見えモデル変換部を設けて、一度D50に変換してから、出力装置109に固有の色空間に変換すればよい。このようにして出力装置109で画像が形成された記録物113は、各種の色温度を有する光源110〜112のもとでユーザにより参照される。すなわち、同じ記録物113が種々の光源110〜112のもとで参照されることがある。
【0009】
このような色管理方法には、大きく2つの問題点がある。1つ目は画像の色温度は、表示装置104〜107や出力装置109等のデバイスの設定している色温度に依存しているため、それぞれのデバイスの出力する画像の色は全く違うものになるということである。例えば、9300Kで発光する表示装置107上で編集した画像を、D50照明下を想定した出力装置109で出力して画像を形成し、D50の光源111の下で表示装置107上の画像と同時に比較した場合には、当然ながら色の見えは全く異なる。また、電子原稿101を他の表示装置104〜106上で観察した場合にも、各表示装置の色温度設定に依存するため、電子原稿101本来の色を見ることができない場合がある。これらはユーザにとって画像を作成・編集していく上で不合理なことである。しかし、実際に作業する現場では、それは当然のことであるとして放置されているのが現状である。
【0010】
2つ目の問題点は、環境光の影響に対する考慮が不十分であるということである。例えば、4000K程度の色温度を持つ光源のもとで、記録物と表示装置に表示されている画像を同時に比較する場合を考える。ICCの従来の方法では、表示装置の色温度の設定を4000Kに合わせ、色の見えモデル変換部102を用いて色温度の変換を行い、さらにデバイス補正部103において、4000Kの色温度に合わせた場合に対応する色変換係数でデバイスに依存しない色空間から表示装置固有の色空間に変換して出力する。
【0011】
色の見えモデルは、環境光の色温度が変わることに対する人間の視覚特性の変化を捉え、変化した環境での対応色を予測することができる。しかし、記録物を観察する光源の特性の変化による色の変化は予測できない。例えばD50照明下で観察することを想定して出力された記録物を、4000Kぐらいの色温度の光源の下で観察するとき、光源特性の変化により色ずれが生じる。特にゼログラフィーの場合、写真などに比べて、その傾向は顕著である。こうした色ずれは、色の見えモデルでは予測できない。これは、特定された光源のもとで観察するようにすれば問題は発生しない。しかし、現実的に一般的なユーザがDTPシステムを使用する環境では、出力装置がD50の設定で出力しているにもかかわらず、観察光源は一般のオフィスで使われているような蛍光灯(4000K前後)であることがほとんどである。以上のように、従来の方法では、光源特性の変化による色ずれの問題は解決できない。
【0012】
このように、現状の色管理の方法では、表示装置や出力装置で電子原稿本来の見えを容易に出力できないことが多い。また、表示装置上で記録物をシミュレーションする場合には、シミュレーション画像と記録物の画像の色の見えが一致していないため、ユーザが意図した色になるまで色調整を行わなければならず、その調整に多くの時間と労力を要していた。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、画像を形成した記録物を生成する出力装置や、画像を表示する表示装置において、電子原稿本来の色を忠実に再現すること、および、表示装置上で記録物の色の見えを精度良くシミュレーションでき、また、第1の記録物によって第2の記録物をシミュレーションできる画像処理装置及び画像処理方法を提供することを目的とするものである。また、これらの画像処理装置または画像処理方法を搭載した画像処理システムおよび出力装置、さらには、これらの処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体を提供することを目的とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明は、電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行うものであって、電子原稿の色温度情報を認識し、認識した前記電子原稿の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色変換を行うことを特徴とするものである。
【0017】
さらに、電子原稿の色温度情報とともに電子原稿に対応する記録物を観察する光源の色温度情報を認識しておき、色変換として、認識された前記電子原稿の色温度情報と記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、電子原稿から電子原稿に対応する記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への第3の色変換を行い、認識された記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、第3の色変換で色変換された画像信号の色と略等価に表示されるように、第3の色変換で色変換された後の画像信号から表示装置に出力可能な画像信号への第2の色変換を行うことができる。このようにして、表示装置上で記録物の色の見えを精度よくシミュレーションすることが可能になる。
【0018】
さらに、電子原稿の色温度情報とともに電子原稿に対応する第2の記録物を観察する光源の色温度情報を認識しておき、色変換として、認識された電子原稿の色温度情報と第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、電子原稿から電子原稿に対応する第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への第3の色変換を行い、認識された第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、所定の照明光源で第2の記録物とは色再現特性の異なる第1の記録物を観察した時に第3の色変換で色変換された画像信号の色と略等価になるように、第3の色変換後の画像信号から前記第1の記録物を生成する出力装置に出力可能な画像信号へ第1の色変換を行うことができる。このようにして、第2の記録物を第1の記録物によってシミュレーションすることが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。図中、1は電子原稿色温度情報認識部、2は第1の色補正変換部、3は出力装置、4は電子原稿である。この第1の実施の形態は、電子原稿4の持つ色温度で忠実に再現するためのものである。
【0020】
電子原稿色温度情報認識部1は、電子原稿4の色温度情報を認識し、認識した電子原稿4の色温度情報を第1の色補正変換部2に渡す。色温度情報は、例えば電子原稿に付与されている場合には、その情報を取得すればよい。また、付与されていない場合には、例えば所定の色温度に設定したり、いくつかの設定値の中から適宜選択すればよい。または、ユーザによる光源の分光分布特性や三刺激値、色温度値、あるいは予め設定されている光源の名称などの指定を受けてもよい。認識する色温度情報は、例えば三刺激値を取得することができる。これに限らず、色温度情報として、色温度名(D50、F8など)でも、CIE1931XYZ色度でも、分光特性データでもかまわない。また、印刷など流通しているシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色分解、あるいは、それらにブラック(K)を加えた4色分解、あるいは、CMYKにさらに異なった色材を加えた4以上の多色分解等の減法混色系の色信号であれば、その情報を認識して、自動的にD50光源の設定としても良い。D50光源は、印刷を代表とする紙への画像印字を行う業種で標準的に用いられている光源である。
【0021】
第1の色補正変換部2は、電子原稿色温度情報認識部1によって認識された電子原稿4の色温度情報に基づいて、電子原稿4の色温度情報が示す色温度の照明光源で出力装置3から出力された記録物を観察した時に電子原稿4の色と略等価になるように、電子原稿4から出力装置3に出力可能な画像信号へ色変換を行う。
【0022】
出力装置3は、与えられた画像信号に従って、被記録媒体上に画像を形成して記録物を生成し、出力する。この実施の形態では、第1の色補正変換部2で変換された電子原稿4に対応する画像を被記録媒体上に形成し、記録物として出力する。
【0023】
なお、出力装置3は電子原稿色温度情報認識部1及び第1の色補正変換部2と同じ装置内に存在してもよいし、あるいは別体として構成され、ケーブルにより直接あるいはネットワークを介して接続されていてもよい。出力装置3を別体とする場合、電子原稿色温度情報認識部1および第1の色補正変換部2は、例えばデバイスドライバに実装することができる。また電子原稿色温度情報認識部1および第1の色補正変換部2は、OSに入っているCMM(Color Matching Module)を利用して、画像処理する形態であってもかまわないし、出力装置3の画像処理部の中で既存の画像処理モジュールを利用して構成してもよい。さらに、これらの方法を記述したプログラムを記憶媒体に記憶してあってもよい。
【0024】
図2は、本発明の第1の実施の形態における動作の概要の説明図である。図中、11は光源、12は記録物である。ユーザが作成・編集した電子原稿4は、ある色温度を想定して作成・編集されている。その色温度の情報を電子原稿色温度情報認識部1で認識し、第1の色補正変換部2に伝える。第1の色補正変換部2では、電子原稿4の色温度情報に基づいて、電子原稿4の色温度情報が示す色温度の照明光源で出力装置3から出力された記録物を観察した時に電子原稿4の色と略等価になるように色変換を行う。色変換された画像信号をもとに出力装置3で被記録媒体上に画像を形成し、記録物を生成する。
【0025】
記録物12は、電子原稿4が作成・編集されたときに想定された色温度において、電子原稿4の色と略等価になるように色変換されている。そのため、例えば電子原稿4の色温度情報と同じ色温度の光源11の下で記録物12を観察すれば、画像の見えは電子原稿4と同じになる。
【0026】
例えば、電子原稿4がD50の色温度を持つなら、出力装置3により電子原稿4に記述されている色を忠実に再現できるように第1の色補正変換部2で色変換を行い、出力装置3から出力する。出力された画像をD50の光源11の下で観察すれば、電子原稿4の色と略等価になるように画像を観察することができる。同様に、電子原稿4がD65の色温度を持つなら、第1の色補正変換部2でD65用の色変換を行い、D65の光源11の下で出力された画像を観察すれば、電子原稿4の色と略等価になるように画像を観察することができる。
【0027】
このように、本発明の第1の実施の形態を用いて出力装置3で生成された記録物12上の画像は、電子原稿4の色温度情報が示す色温度の照明光源11の下で観察すれば電子原稿4の色と略等価になるように、電子原稿4の持つ色温度で出力装置3により忠実に再現することができる。
【0028】
図3は、本発明の第1の実施の形態における第1の色補正変換部の一例を示すブロック図である。図中、21は記録物色温度対応色変換係数記憶部、22は色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部、23はデバイス補正用色変換係数記憶部、24は記録物色温度対応色変換係数管理部、25は記録物色温度対応色変換部、26は色再現範囲圧縮部、27はデバイス補正部である。この例では、第1の色補正変換部2において色補正を行う際に用いる色変換係数を、電子原稿4の色温度によって選択する場合の構成を示している。なお、図には示していないが、電子原稿を色の見えモデルを使って色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0029】
図3における第1の色補正変換部2は、記録物色温度対応色変換係数記憶部21と、記録物色温度対応色変換係数管理部24と、記録物色温度対応色変換部25で構成されている。
【0030】
記録物色温度対応色変換係数記憶部21は、1以上の色変換係数を記憶している。この例では、記録物色温度対応色変換係数記憶部21は、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22、デバイス補正用色変換係数記憶部23で構成されている。色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22は、色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶している。色再現範囲圧縮用色変換係数は、記録物の色再現範囲(色再現域)では再現できない領域を再現可能な領域にマッピングし直すために用いられる。例えば、特開平10−210313号公報に記載されているような、明度を圧縮する方法を用いて作成してもよい。これは、CIEL* a* b* 色空間上、白色点(空間上で最もL* の高い点)と黒色点(空間上で最もL* の低い点)を、処理したい画像データと出力デバイスの色再現範囲で一致させ、それに従ってL* のみを圧縮するものである。この他に色再現範囲圧縮方法は、様々な方法が提案されており、それらのどの方法を使ってもかまわない。
【0031】
また、デバイス補正用色変換係数記憶部23は、デバイス補正用色変換係数を記憶している。デバイス補正用色変換係数は、電子原稿4の色温度情報から算出したCIEL* a* b* 色空間上のデータをデバイス(出力装置3)に依存した色空間C(シアン)M(マゼンタ)Y(イエロー)K(ブラック)に変換するためのものである。例えば、プリンタモデルとして、例えば特開平8−102865号公報に記載されているニューラルネット法や、特開平10−262157号公報に記載されている統計的な手法等を用いて、L* a* b* とCMYKを関係付ける色変換係数をあらかじめ求める。そして求めた色変換係数を、記録物色温度対応色変換係数記憶部21に3次元LUT(ルックアップテーブル)の形で記憶しておくことができる。
【0032】
図4は、3次元LUTに記憶する格子点の説明図、図5は、3次元LUTを用いて実際に色変換を行う際の説明図である。記録物色温度対応色変換係数記憶部21に記憶する3次元LUTは、例えば図4に示すように、色空間中の離散的な格子点において、変換後の画像信号の値を格納しておけばよい。3次元LUTのアドレスをL* a* b* 空間上の座標(位置)とし、座標(位置)に対応する変換後の画像信号の値をそのアドレスに格納しておく。入力された画像信号が、図5に示すような格子点の間の座標値となる時には、その画像信号は格子点の内分点として捉え、補間法などによって変換後の画像信号の値を決定すればよい。例えば図5に示すように、周囲8点の格子点Q0〜Q7における画像信号の値の荷重和を得ることができる。すなわち、変換後の画像信号の値をDとして、周囲8点の格子点Q0〜Q7の出力値をDi(i=0〜7)とすると、
D=(1−α)(1−β)(1−γ)D0+(1−α)β(1−γ)D1+(1−α)βγD2+(1−α)(1−β)γD3+α(1−β)(1−γ)D4+αβ(1−γ)D5+αβγD6+α(1−β)γD7 …(1)
となる。ここで、α、β、γは0以上、1以下の値である。なお、この例は、立方体補間を用いているが、例えば、特公昭55−16180号公報に開示されている方法の他、四面体補間、プリズム補間など、各種の方法を用いることができる。
【0033】
図3に戻り、記録物色温度対応色変換係数管理部24は、電子原稿色温度情報に基づいて、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22、デバイス補正用色変換係数記憶部23で記憶している複数の色変換係数の中から選択し、記録物色温度対応色変換部25に渡す。あるいは、複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成して記録物色温度対応色変換部25に渡してもよい。
【0034】
記録物色温度対応色変換部25は、記録物色温度対応色変換係数管理部24から渡された色変換係数を用いて、電子原稿4を、出力装置3から出力可能な画像信号に色変換する。この例では、記録物色温度対応色変換部25は、色再現範囲圧縮部26、デバイス補正部27で構成されている。それぞれの色変換係数が渡された色再現範囲圧縮部26、デバイス補正部27は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行い、最終的に出力可能な画像信号に変換して出力装置3に出力する。
【0035】
この例では、記録物色温度対応色変換部25は2つの変換部から構成されているが、記録物色温度対応色変換係数記憶部21に記憶されている2つの色変換係数が3次元LUTの場合には、これらを合成して1つの色変換係数(3次元LUT)とし、また記録物色温度対応色変換部25は1つの色変換部だけで構成してもよい。これにより、3次元LUTを複数回適用することにより発生する色変換時の誤差を減らし、処理速度を向上させることができる。
【0036】
図6は、本発明の第1の実施の形態における第1の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。図中、図3と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。31は記録物共通色温度変換係数記憶部、32は色材依存色温度変換用色変換係数記憶部、33は記録物共通色温度変換係数管理部、34は記録物共通色温度変換部、35は色材依存色温度変換部、36は記録物共通色変換部である。
【0037】
上述の図3に示した例では、それぞれの色温度に対応した色変換係数を記憶していたが、この例では、後述する色材依存色温度変換部35により電子原稿4の色温度の差異を吸収し、それ以降はある決まった色変換係数(例えばD50対応用)のみを使ってその他の色温度の場合にも対応する構成を示している。図7は、本発明の第1の実施の形態における第1の色補正変換部の別の例において行う変換過程の説明図である。図7(A)に示すようにある色温度のL* a* b* データからD50への色変換をf1、図7(B)に示すようにある色温度のL* a* b* データからD65への色変換をf2とする。共通の色変換がf1であるとき、D65の画像信号を得るために、図7(C)に示すように、まず色材依存色温度変換部35において、D65への色変換f2と、D50への色変換f1の逆変換を施しておく。その後、デバイス補正部27において共通の色変換f1を行うことにより、全体として色変換f2が行われたことになり、色温度がD65の画像信号を得ることができる。なお、ここでは色再現範囲圧縮部26による色再現範囲圧縮処理の色温度による差異は極めて小さく、無視できるものとしている。
【0038】
図6に示す例において、第1の色補正変換部2は、記録物共通色温度変換係数記憶部31と、記録物共通色温度変換係数管理部33と、記録物共通色温度変換部34と、記録物共通色変換部36で構成されている。また、図示していないが、電子原稿を色の見えモデルを使って色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0039】
記録物共通色温度変換係数記憶部31は、1以上の色変換係数を記憶するものであり、ここでは色材依存色温度変換用色変換係数記憶部32で構成されている。色材依存色温度変換用色変換係数記憶部32は、色材依存色温度変換用色変換係数を記憶する。色材依存色温度変換用色変換係数は、指定された色温度以外の電子原稿4を、この後の処理系を利用できるように色変換を行うための変換に利用するものである。例えば、この後の色変換工程にD50用の色変換係数だけを用意しておき、ここでは、D65の色温度の電子原稿が入力された場合に、後段の処理系をそのまま利用して正しい色変換するための前処理を行う際に用いる。図7でも説明したように、共通に行う色変換f1の逆変換と電子原稿4に施す色変換f2の合成関数を実行するための変換係数を記憶しておけばよい。この変換係数は、色材ごとに色温度の変化に対するずれ量が異なるため、色材ごと、および対応する色温度ごとに、それぞれ必要になる。しかし、全工程の色変換係数を用意するよりも、少ない記憶量で済む。ここではこの変換係数を適用した3次元LUTを記憶しておくことができる。
【0040】
記録物共通色温度変換係数管理部33は、電子原稿色温度情報認識部1で認識した電子原稿4の色温度情報に基づいて、色材依存色温度変換用色変換係数記憶部32に記憶されている複数の色変換係数の中から選択し、あるいは複数の色変換係数から新たな色変換係数を生成し、記録物共通色温度変換部34に渡す。
【0041】
記録物共通色温度変換部34は、記録物共通色温度変換係数管理部33から渡された色変換係数に従って、電子原稿4を共通の色温度の画像信号に色変換する。この例では、記録物共通色温度変換部34は、色材依存色温度変換部35を有している。色材依存色温度変換部35は、記録物共通色温度変換係数管理部33から渡された色変換係数に従って電子原稿4を色変換し、その処理結果を記録物共通色変換部36へ渡す。
【0042】
記録物共通色変換部36は、記録物共通色温度変換部34(色材依存色温度変換部35)で色変換を行う際に目標とした共通の色温度に対応する色変換係数にを用いて、記録物共通色温度変換部34で色変換を行った画像信号を、最終的に出力装置3から出力可能な画像信号に色変換して、出力装置3に出力する。この例では、記録物共通色変換部36は、色再現範囲圧縮部26と、デバイス補正部27で構成されている。色再現範囲圧縮部26では、出力装置3において再現できない画像信号について、再現可能な色の画像信号にマッピングし直す。また、デバイス補正部27では、電子原稿4の色温度情報から算出したCIEL* a* b* 色空間上のデータをデバイス(ここでは出力装置3)に依存した色空間R(赤)G(緑)B(青)に変換するためのものである。色再現範囲圧縮部26及びデバイス補正部27は、基本的には図3に示した例と同様であり、変換係数が共通化されている点で異なるのみである。
【0043】
このような構成によって、電子原稿4の色温度情報が示す色温度の照明光源で観察したときに電子原稿4と略等価な色となるように、出力装置3にて被記録媒体上に電子原稿4に対応する画像が記録され、記録物が生成される。また、この例では色再現範囲圧縮部26と、デバイス補正部27を共通化しているので、これらの部分で用いる変換係数を用意しておく必要がなくなり、記憶容量を削減することができる。また、共通化した色再現範囲圧縮部26とデバイス補正部27は、例えば既存のものを用いることもでき、容易に構成することが可能である。
【0044】
図8は、本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。図中、図1と同様の部分には同じ符号を付してある。5は第2の色補正変換部、6は表示装置である。この第2の実施の形態は、電子原稿の画像を忠実に表示装置に表示させるものである。
【0045】
電子原稿色温度情報認識部1は、上述の第1の実施の形態と同様であり、電子原稿4の色温度情報を認識し、認識した電子原稿4の色温度情報を第2の色補正変換部5に渡す。色温度情報は、例えば電子原稿に付与されている場合には、その情報を取得すればよい。また、付与されていない場合には、例えば所定の色温度に設定したり、いくつかの設定値の中から適宜選択すればよい。または、ユーザによる光源の分光分布特性や三刺激値、色温度値、あるいは予め設定されている光源の名称などの指定を受けてもよい。認識する色温度情報は、例えば三刺激値を取得することができる。これに限らず、色温度情報として、色温度名(D50、F8など)でも、CIE1931XYZ色度でも、分光特性データでもかまわない。また、デジタルカメラに代表されるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のRGB加法混色系の信号である場合は、その情報を認識して、自動的にsRGBで規定されているD65光源の設定としてもよい。
【0046】
第2の色補正変換部5は、電子原稿色温度情報認識部1によって認識された電子原稿4の色温度情報に基づいて、表示装置6や表示装置6の周辺を照らす光源の色温度の設定にかかわらず、電子原稿4の色温度情報が示す色温度において表示画像が電子原稿の色と略等価に表示されるように、電子原稿4から表示装置6に出力可能な画像信号への色変換を行う。
【0047】
なお、表示装置6は電子原稿色温度情報認識部1及び第2の色補正変換部5と同じ装置内に存在してもよいし、あるいは別体として構成され、ケーブルにより直接あるいはネットワークを介して接続されていてもよい。表示装置6を別体とする場合、電子原稿色温度情報認識部1および第2の色補正変換部5は、例えばデバイスドライバに実装することができる。また電子原稿色温度情報認識部1および第2の色補正変換部5は、OSに入っているCMM(Color Matching Module)を利用して、画像処理する形態であってもかまわないし、表示装置6の画像処理部の中で既存の画像処理モジュールを利用して構成してもよい。さらに、これらの方法を記述したプログラムを記憶媒体に記憶してあってもよい。
【0048】
図9は、本発明の第2の実施の形態における動作の概要の説明図である。図中、13,14は光源、15は表示画像である。ユーザが作成・編集した電子原稿4は、ある色温度を想定して作成・編集されている。その色温度の情報を電子原稿色温度情報認識部1で認識し、第2の色補正変換部5に伝える。第2の色補正変換部5では、電子原稿4の色温度情報に基づいて、表示装置6や表示装置6の周辺を照らす光源の色温度の設定にかかわらず、電子原稿4の色温度情報が示す色温度において表示画像が電子原稿の色と略等価に表示されるように、電子原稿4から表示装置6に出力可能な画像信号への色変換を行う。色変換された画像信号は表示装置6に入力され、表示画面上に表示される。
【0049】
表示装置6及び表示装置6の表示画面を照明する光源の色温度によって、同じ画像信号を表示装置6に与えても表示された画像の色は異なってしまう。しかし本発明では、表示装置6及び表示装置6の表示画面を照明する光源13,14の色温度にかかわらず、電子原稿4の色と略等価に表示されるように色変換を行っている。そのため、電子原稿4の色と略等価に見えるように表示装置6に表示させることができる。
【0050】
例えば電子原稿4がD50の色温度(5000K)を持つものであるなら、表示装置6の表示画面上に、電子原稿4の本来の色を忠実に再現できるように色変換を行い、表示装置6の色温度をD50に設定して出力画像を表示・観察する。このとき、図9(A)に示す光源13の色温度がD50であれば、電子原稿4の色が忠実に表示装置6の表示画面に再現される。
【0051】
また、図9(B)に示すように光源14の色温度がD50ではない場合(例えば色温度4000K、6500K(D65)など)では、図9(A)の場合と同じ表示画像15でも色の見え方が変化する。そのため、表示装置6の周囲の色温度についても補正することによって、表示画像15の見えを一致させることができる。
【0052】
このように、本発明の第2の実施の形態を用いて表示装置6に表示された画像は、表示装置6や表示装置6を照明する光源13,14などの色温度にかかわらず、電子原稿4の色温度情報が示す色温度の見えを有する画像を表示させることができる。
【0053】
図10は、本発明の第2の実施の形態における第2の色補正変換部の一例を示すブロック図である。図中、41は表示装置色温度対応色変換係数記憶部、42は発光体色の見え変換用色変換係数記憶部、43は色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部、44はデバイス補正用色変換係数記憶部、45は表示装置色温度対応色変換係数管理部、46は表示装置色温度対応色変換部、47は発光体色の見え変換部、48は色再現範囲圧縮部、49はデバイス補正部である。なお、図示してはいないが、電子原稿を色の見えモデルを用いて色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0054】
第2の色補正変換部5は、表示装置色温度対応色変換係数記憶部41と、表示装置色温度対応色変換係数管理部45と、表示装置色温度対応色変換部46とで構成されている。表示装置色温度対応色変換係数記憶部41は、1以上の色変換係数を記憶している。この例では、表示装置色温度対応色変換係数記憶部41は、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、デバイス補正用色変換係数記憶部44で構成されている。
【0055】
発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42は、発光体色の見え変換用色変換係数を記憶している。発光体色の見え変換用色変換係数は、発光体などを含んで構成される表示装置と、主に光の反射によって参照される記録物とによる色の見えの違いを補正するためのものである。表示装置と記録物とは、例えばD50光源下やD65光源下では、色度を合わせれば見た目の色もほぼ一致し、あまり違いは目立たないが、一般のオフィスで使われるような4000K前後の色温度の光源下では、色度を一致させても、見えの違いが目立ってくる。こうした表示装置と記録物による色の見えの違いを吸収するため、例えば、等色実験を行い、そこで得た複数の色について測色値と等色値を求め、色変換係数を決定するようにしてもよい。色変換係数の形態は、3×3マトリックスや3次元LUT等のいずれでもかまわない。また、特開平10−65930号公報に開示されているように、等色実験を白色のみに限定し、その他の色は色の見えモデル(vonKries等)を利用して予測し、色変換係数の決定を行ってもかまわない。
【0056】
また、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43は、上述の第1の実施の形態における色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22と同様のものであり、色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶する。色再現範囲圧縮用色変換係数は、表示装置6周囲の環境光が表示装置6の表示画面上に映り込むことにより、表示装置の実質的な色再現範囲(色再現域)が縮小するため、この色再現範囲に収まらない画像信号の値を再現可能な範囲にマッピングし直すためのものである。圧縮方法そのものは、上述の第1の実施の形態と同様である。この他にも色再現範囲圧縮方法として様々な方法が提案されており、この例においても、それらのどの方法を使ってもかまわない。
【0057】
デバイス補正用色変換係数記憶部44は、上述の第1の実施の形態におけるデバイス補正用色変換係数記憶部23と同様のものであり、デバイス補正用色変換係数を記憶する。デバイス補正用色変換係数は、電子原稿の色温度情報から算出したCIEL* a* b* 色空間上のデータを、デバイス(ここでは表示装置6)に依存した色空間R(赤)G(緑)B(青)に変換する。色変換係数は、精度的に3×3マトリックスとTRCでもよいし、精度的に不十分な場合には、3次元LUT等を用いてもかまわない。
【0058】
表示装置色温度対応色変換係数管理部45は、電子原稿色温度情報に基づいて、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、デバイス補正用色変換係数記憶部44で記憶している複数の色変換係数の中から色変換係数を選択し、表示装置色温度対応色変換部46に渡す。あるいは、複数の色変換係数から色変換係数を作成し、作成した色変換係数を表示装置色温度対応色変換部46に渡してもよい。
【0059】
表示装置色温度対応色変換部46は、表示装置色温度対応色変換係数管理部45から渡される色変換係数により、電子原稿4を表示装置6に出力可能な画像信号に色変換する。この例では、表示装置色温度対応色変換部46は、発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、デバイス補正部49で構成されている。それぞれの色変換係数を渡された発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、デバイス補正部49は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行い、最終的に出力可能な信号に変換して表示装置6に出力する。
【0060】
ここでは、表示装置色温度対応色変換部46は、3つの変換部から構成されているが、表示装置色温度対応色変換係数記憶部41にある3つの色変換係数が3次元LUTの場合には、これらを合成して1つあるいは2つの色変換係数とし、表示装置色温度対応色変換部46は1つあるいは2つの色変換部だけで構成してもよい。これにより、3次元LUTを複数回適用することにより発生する色変換時の誤差を減らし、処理速度を向上させることができる。
【0061】
図11は、本発明の第2の実施の形態における第2の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。図中、図10と同様の部分には同じ符号を付して説明を省略する。51は表示装置共通色温度変換係数記憶部、52は色温度情報保持用色変換係数記憶部、53は表示装置共通色温度変換係数管理部、54は表示装置共通色温度変換部、55は色温度情報保持色変換部、56は表示装置共通色変換部である。この例においても、上述の図10に示した例と同様に、電子原稿の色温度で表示されるように色変換を行い、忠実に表示するものである。図10に示した例と異なる点は、後述するように、表示装置共通色温度変換部54において、電子原稿の色温度の違いを吸収し、デバイス補正部49では特定の色変換係数のみを用いて色変換できるようにして共通化した点である。なお、この例においても、電子原稿を色の見えモデルを使って色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0062】
この例において、第2の色補正変換部5は、表示装置共通色温度変換係数記憶部51と、表示装置共通色温度変換係数管理部53と、表示装置共通色温度変換部54と、表示装置共通色変換部56で構成されている。表示装置共通色温度変換係数記憶部51は、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、色温度情報保持用色変換係数記憶部52で構成している。
【0063】
発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42は、発光体色の見え変換用色変換係数を記憶している。発光体色の見え変換用色変換係数は、表示装置と記録物による色の見えの違いを補正するためのものである。基本的には、図10に示した例と同様である。また、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43は、色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶する。色再現範囲圧縮用色変換係数は、表示装置6周囲の環境光が表示装置6の表示画面上に映り込むことにより、表示装置6の実質的な色再現範囲(色再現域)が縮小するため、この色再現範囲に収まらない画像信号の値を再現可能な範囲にマッピングし直すためのものである。基本的には、図10に示した例と同様である。
【0064】
また、色温度情報保持用色変換係数記憶部52は、色温度情報保持用色変換係数を記憶している。色温度情報保持用色変換係数は、電子原稿4の色温度に対応した色度を、デバイス補正部49で使っている観察光源下の色度に変換することで、電子原稿4の色温度が異なった場合の色度の差分を吸収するためのものである。図12は、色温度情報保持用色変換係数の作成方法の一例の説明図である。デバイス補正部49における色温度が例えばD50であり、電子原稿4の色温度がD65のとき、L* a* b* 均等色空間の画像信号(図中のLab)を一旦XYZ色度(図中のXYZ)に変換して色温度をD65からD50に変換し、L* a* b* 均等色空間(図中のL’a’b’)に変換する。この過程において、入力されるD65のL* a* b* 均等色空間の画像信号をアドレスとし、そのアドレスに変換後のD50のL* a* b* 均等色空間の画像信号の値を格納することで、3次元LUTを作成することができる。
【0065】
表示装置共通色温度変換係数管理部53は、電子原稿色温度情報に基づいて、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、色温度情報保持用色変換係数記憶部52で記憶している複数の色変換係数の中から選択し、表示装置共通色温度変換部54に渡す。あるいは、複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成し、表示装置共通色温度変換部54に渡してもよい。
【0066】
表示装置共通色温度変換部54は、表示装置共通色温度変換係数管理部53から渡される色変換係数を用いて、電子原稿4の色温度を共通の色温度の画像信号に変換する。この例では、表示装置共通色温度変換部54は、発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、色温度情報保持色変換部55で構成されている。それぞれの色変換係数を渡された、発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、色温度情報保持色変換部55で電子原稿4を色変換し、その処理結果を表示装置共通色変換部56へ渡す。
【0067】
色温度情報保持色変換部55は、色温度情報保持用色変換係数記憶部52に記憶されている色温度情報補時用色変換係数を用い、図12を用いて説明したように、電子原稿4の色温度に対応した色度を、デバイス補正部49で使っている観察光源下の色に略等価に変換する。これにより、電子原稿4の色温度が異なった場合の色度の差分を吸収する。
【0068】
なお、色再現範囲圧縮部48は、図6に示した第1の実施の形態における例のように共通化することも考えられるが、出力装置3とは異なり、表示装置6に出力する場合には色温度によって色再現範囲が大きく変化するため、この例では色再現範囲圧縮部48を共通化していない。しかし、色温度による色再現範囲の変化が無視できる程度であれば、色再現範囲圧縮部48の処理を共通化することも可能である。
【0069】
表示装置共通色変換部56は、表示装置共通色温度変換部54で変換処理された画像信号を、表示装置6に出力可能な画像信号に色変換する。この例では、表示装置共通色変換部56は、デバイス補正部49により構成されている。デバイス補正部49は、あらかじめ決められている色変換係数を使って各色変換を行い、最終的に出力可能な信号に変換して表示装置6に出力する。このデバイス補正部49で用いる色変換係数も、表示装置共通色温度変換係数記憶部51に記憶させておいてもよい。
【0070】
このような構成によって、表示装置6や表示装置6を照明する光源の色温度によらず、表示装置6の表示画面上に電子原稿4の色を忠実に再現することができる。また、この例ではデバイス補正部49を共通化しているので、この部分で用いる変換係数を用意しておく必要がなくなり、記憶容量を削減することができる。また、表示装置共通色温度変換部54や表示装置共通色変換部56の処理は、例えば変換係数を変更することによって既存の処理部を利用でき、容易に構成することが可能である。
【0071】
図13は、本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。図中、図1、図8と同様の部分には同じ符号を付してある。7は記録物観察光源色温度情報認識部、8は第3の色補正変換部である。上述の第2の実施の形態は、電子原稿の色温度で忠実に表示装置に表示するものであったのに対し、この第3の実施の形態では、記録物を観察した時と同じような色の見えを表示画面上にシミュレートする例を示す。
【0072】
電子原稿色温度情報認識部1は、上述の第1及び第2の実施の形態と同様であり、電子原稿4の色温度情報を認識し、認識した電子原稿4の色温度情報を第3の色補正変換部8に渡す。色温度情報は、例えば電子原稿に付与されている場合には、その情報を取得すればよい。また、付与されていない場合には、例えば所定の色温度に設定したり、いくつかの設定値の中から適宜選択すればよい。または、ユーザによる光源の分光分布特性や三刺激値、色温度値、あるいは予め設定されている光源の名称などの指定を受けてもよい。認識する色温度情報は、例えば三刺激値を取得することができる。これに限らず、色温度情報として、色温度名(D50、F8など)でも、CIE1931XYZ色度でも、分光特性データでもかまわない。また、デジタルカメラに代表されるレッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)のRGB加法混色系の信号である場合は、その情報を認識して、自動的にsRGBで規定されているD65光源の設定としてもよい。
【0073】
記録物観察光源色温度情報認識部7は、観察光源の下で記録物のあらかじめ決められた色に関する色温度情報を、測定器で測定したデータあるいはユーザが指定した値などにより認識し、第3の色補正変換部8、及び第2の色補正変換部5に渡す。測定器で測定したデータとしては、例えば光源の分光分布特性もしくは光源で照明した記録物の分光分布特性や、光源の三刺激値もしくは光源で照明した記録物の三刺激値などとすることができる。ユーザによって指定される値としては、光源の分光分布特性、光源の三刺激値、あるいは予め設定されている光源の名称、色温度の値などとすることができる。
【0074】
第3の色補正変換部8は、電子原稿色温度情報認識部1によって認識された電子原稿の色温度情報と、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、電子原稿4から、電子原稿4に対応する記録物を観察する光源下の色に略等価な画像信号への色変換を行う。
【0075】
第2の色補正変換部5は、上述の第2の実施の形態と同様であるが、この第3の実施の形態では記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された記録物を観察する光源の色温度情報を受け取る。そして、この色温度情報に基づいて、表示装置6や表示装置6周辺を照らす光源の色温度設定にかかわらず、第3の色補正変換部8で色変換された画像信号の色と略等価に表示装置6で表示されるように、第3の色補正変換部8で色変換された後の画像信号から表示装置6に出力可能な画像信号への色変換を行う。
【0076】
なお、表示装置6は電子原稿色温度情報認識部1、記録物観察光源色温度情報認識部7、第3の色補正変換部8、及び第2の色補正変換部5と同じ装置内に存在してもよいし、あるいは別体として構成され、ケーブルにより直接あるいはネットワークを介して接続されていてもよい。表示装置6を別体とする場合、電子原稿色温度情報認識部1、記録物観察光源色温度情報認識部7、第3の色補正変換部8、および第2の色補正変換部5は、例えばデバイスドライバに実装することができる。また電子原稿色温度情報認識部1、記録物観察光源色温度情報認識部7、第3の色補正変換部8、および第2の色補正変換部5は、OSに入っているCMM(Color Matching Module)を利用して、画像処理する形態であってもかまわないし、表示装置6の画像処理部の中で既存の画像処理モジュールを利用して構成してもよい。さらに、これらの方法を記述したプログラムを記憶媒体に記憶してあってもよい。
【0077】
図14、図15は、本発明の第3の実施の形態における動作の概要の説明図である。図中、図2,図9と同様の部分には同じ符号を付してある。ユーザが作成・編集した電子原稿4は、ある色温度を想定して作成・編集される。また電子原稿4は、任意の出力装置において被記録媒体上に画像として形成され、記録物12となる。この記録物12は、光源11の下で観察される。このとき、観察される画像の見えを、表示装置6の表示画面に表示される画像に反映させる。そのために、記録物12を観察する光源11の色温度を記録物観察光源色温度情報認識部7で認識し、第3の色補正変換部8及び第2の色補正変換部5に渡す。第3の色補正変換部8では、電子原稿色温度情報認識部1によって認識された電子原稿4の色温度情報と、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された記録物を観察する光源11の色温度情報に基づいて、電子原稿4から、電子原稿4に対応する記録物を観察する光源下の色に略等価な画像信号への色変換を行う。さらに第2の色補正変換部5において、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された記録物を観察する光源11の色温度情報に基づいて、表示装置6や表示装置6周辺を照らす光源13の色温度設定にかかわらず、第3の色補正変換部8で色変換された画像信号の色と略等価に表示装置6で表示されるように、第3の色補正変換部8で色変換された後の画像信号から表示装置6に出力可能な画像信号への色変換を行う。色変換された画像信号は表示装置6に入力され、表示画面上に表示される。
【0078】
通常は出力装置によって例えばD50などの色温度を想定して記録物が作成される。しかし記録物を観察する際の光源としては、例えばオフィスなどの環境では色温度が4000K前後の光源(蛍光灯など)の下で観察される場合が多い。上述のような構成によって、D50などの色温度を想定して作成された記録物を、例えば4000K前後の光源の下で観察した場合の画像をシミュレートし、表示装置6の画面上に表示画像15として再現させることができる。例えばDTPシステムを使用して文書などを作成したとき、作成した文書を出力させて参照する際の色を、ディスプレイ上でシミュレートしたい場合などに対応することができる。
【0079】
また、図15に示すように表示装置6を照明する光源14の色温度と、記録物12を観察する際の光源11の色温度が異なる場合もある。このような場合には、表示画像15の色の見え方が変化する。そのため、その変化に応じた補正を行うことによって、記録物12と表示画像15の見えを一致させることができる。
【0080】
このように、本発明の第3の実施の形態を用いることによって、電子原稿4を出力装置から出力した記録物を参照したときの見えを、表示装置6上でシミュレートすることができる。
【0081】
図16は、本発明の第3の実施の形態における第3の色補正変換部及び第2の色補正変換部の一例を示すブロック図である。図中、図10,図13と同様の部分には同じ符号を付してある。61は記録物シミュレーション用色変換係数記憶部、62は記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部、63は記録物色温度変換用色変換係数記憶部63、64は記録物シミュレーション用色変換係数管理部、65は記録物シミュレーション用色変換部、66は記録物色再現範囲圧縮部、67は記録物色温度変換部である。この例では、色変換係数を電子原稿4の色温度及び観察する記録物の色温度によって選択する例を示す。なお、図示していないが、電子原稿を色の見えモデルを使って色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0082】
第3の色補正変換部8は、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61と、記録物シミュレーション用色変換係数管理部64と、記録物シミュレーション用色変換部65から構成されている。
【0083】
記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61は、1以上の色変換係数を記憶する。この例では、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61は、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63で構成されている。記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62は、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶している。記録物色再現範囲圧縮用色変換係数は、記録物を出力する出力装置で再現できない色再現領域にある画像データを再現可能な領域にマッピングし直すためのものである。この例では、こうした出力装置における色再現範囲圧縮処理の結果も含めて表示装置6上でシミュレートする。
【0084】
記録物色温度変換用色変換係数記憶部63は、記録物色温度変換用色変換係数を記憶している。記録物色温度変換用色変換係数は、標準の観察光源(D50かD65であることが多い)下の画像信号のCIEL* a* b* を観察光源下の記録物のCIEL* a* b* に変換し、光源の違いによる色ずれを修正するためのものである。記録物色温度変換用色変換係数は、例えば、測定用の色パッチセットを用意し、D50照明下での記録物の測色値を入力値、記録物を観察する観察光源下での測色値を出力値として、統計的な手法で色変換係数を作成してもよい。
【0085】
記録物シミュレーション用色変換係数管理部64は、電子原稿4の色温度情報及び記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63で記憶している複数の色変換係数の中から色変換係数を選択し、記録物シミュレーション用色変換部65に渡す。あるいは、複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成して記録物シミュレーション用色変換部65に渡してもよい。
【0086】
記録物シミュレーション用色変換部65は、記録物シミュレーション用色変換係数管理部64から渡された色変換係数を用いて、記録物を観察する光源下での色に略等価な画像信号に電子原稿4を色変換する。この例では、記録物シミュレーション用色変換部65は、記録物色再現範囲圧縮部66と、記録物色温度変換部67で構成されている。それぞれの色変換係数が渡された記録物色再現範囲圧縮部66および記録物色温度変換部67は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行い、第2の色補正変換部5に渡す。
【0087】
ここでは、記録物シミュレーション用色変換部65は、2つの変換部から構成されているが、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61にある2つの色変換係数を合成して1つの色変換係数とし、記録物シミュレーション用色変換部65を1つの色変換部だけで構成してもよい。
【0088】
第2の色補正変換部5は、基本的には上述の第2の実施の形態における図10に示した構成と同じである。以下、簡単に説明する。第2の色補正変換部5は、表示装置色温度対応色変換係数記憶部41と、表示装置色温度対応色変換係数管理部45と、表示装置色温度対応色変換部46で構成されている。
【0089】
表示装置色温度対応色変換係数記憶部41は、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43、デバイス補正用色変換係数記憶部44で構成されている。発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42は、発光体色の見え変換用色変換係数を記憶している。発光体色の見え変換用色変換係数は、表示装置6と記録物による色の見えの違いを補正するためのものある。色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43は、色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶している。色再現範囲圧縮用色変換係数は、表示装置周囲の環境光が表示装置の表示画面上に映り込むことにより、表示装置の実質的な色再現範囲(色再現域)が縮小するため、この色再現範囲に収まらない画像データの値を再現可能な範囲にマッピングし直すために用いられる。デバイス補正用色変換係数記憶部44は、デバイス補正用色変換係数を記憶している。デバイス補正用色変換係数は、電子原稿4の色温度情報から算出したCIEL* a* b* 色空間上の画像信号をデバイス(表示装置6)に依存した色空間R(赤)G(緑)B(青)に変換するためのものである。
【0090】
表示装置色温度対応色変換係数管理部45は、記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、デバイス補正用色変換係数記憶部44で記憶している複数の色変換係数の中から選択し、表示装置色温度対応色変換部46に渡す。あるいは、複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成して、表示装置色温度対応色変換部46に渡す。
【0091】
表示装置色温度対応色変換部46は、発光体色の見え変換部47と、色再現範囲圧縮部48と、デバイス補正部49で構成されている。それぞれの色変換係数が渡された発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、デバイス補正部49は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行い、最終的に表示装置6へ出力可能な画像信号に変換して、表示装置6に出力する。
【0092】
表示装置色温度対応色変換部46は、3つの変換部から構成されているが、表示装置色温度対応色変換係数記憶部41にある3つの色変換係数を合成し1つあるいは2つの色変換係数として、表示装置色温度対応色変換部46を1つあるいは2つの色変換部だけで構成してもよい。
【0093】
図17は、本発明の第3の実施の形態における第3の色補正変換部及び第2の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。図中、図11,図13,図16と同様の部分には同じ符号を付してある。図16に示した例と異なる点は、デバイス補正部49における処理で共通化した色変換係数を用いるようにした点である。なお、この例は図16に示す構成において第2の色補正変換部5として、上述の第2の実施の形態における図11に示した第2の色補正変換部5の構成を用いた例を示している。説明が重複するが、簡単に述べる。
【0094】
第3の色補正変換部8は、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61と、記録物シミュレーション用色変換係数管理部64と、記録物シミュレーション用色変換部65から構成されている。記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61は、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63で構成されている。記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62は記録物色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶している。記録物色再現範囲圧縮用色変換係数は、出力装置で再現できない色再現領域にある画像データを再現可能な領域にマッピングし直すためのものである。こうした出力装置における色再現範囲圧縮処理の結果も含めて表示装置上でシミュレートする。また、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63は記録物色温度変換用色変換係数を記憶している。記録物色温度変換用色変換係数は、標準の観察光源(D50かD65であることが多い)下の画像信号のCIEL* a* b* を観察光源下の記録物のCIEL* a* b* に変換し、光源の違いによる色ずれを修正するためのものである。
【0095】
記録物シミュレーション用色変換係数管理部64は、電子原稿の色温度情報及び記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63で記憶している複数の色変換係数の中から選択し、あるいは複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成し、記録物シミュレーション用色変換部65に渡す。
【0096】
記録物シミュレーション用色変換部65は、記録物色再現範囲圧縮部66と、記録物色温度変換部67で構成されている。それぞれの色変換係数が渡された記録物色再現範囲圧縮部66および記録物色温度変換部67は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行い、第2の色補正変換部5に渡す。
【0097】
ここでは、記録物シミュレーション用色変換部65は、2つの変換部から構成されているが、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61にある2つの色変換係数を合成して1つの色変換係数とし、記録物シミュレーション用色変換部65を1つの色変換部だけで構成してもよい。
【0098】
第2の色補正変換部5は、表示装置共通色温度変換係数記憶部51と、表示装置共通色温度変換係数管理部53と、表示装置共通色温度変換部54と、表示装置共通色変換部56で構成されている。
【0099】
表示装置共通色温度変換係数記憶部51は、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、色温度情報保持用色変換係数記憶部52で構成されている。発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42は、発光体色の見え変換用色変換係数を記憶している。発光体色の見え変換用色変換係数は、表示装置6と記録物による色の見えの違いを補正するものである。また、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43は、色再現範囲圧縮用色変換係数を記憶している。色再現範囲圧縮用色変換係数は、表示装置6周囲の環境光が表示装置6の表示画面上に映り込むことにより、表示装置6の実質的な色再現範囲(色再現域)が縮小するため、この色再現範囲に収まらない画像信号の値を再現可能な範囲にマッピングし直すために用いられる。色温度情報保持用色変換係数記憶部52は、色温度情報保持用色変換係数を記憶している。色温度情報保持用色変換係数は、電子原稿4の色温度に対応した色度をデバイス補正部49で使っている観察光源下の色に略等価に変換することで、電子原稿の色温度が異なった場合の色度の差分を吸収するためのものである。
【0100】
表示装置共通色温度変換係数管理部53は、記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、発光体色の見え変換用色変換係数記憶部42と、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部43と、色温度情報保持用色変換係数記憶部52で記憶している複数の色変換係数の中から選択し、あるいは複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成し、表示装置共通色温度変換部54に渡す。
【0101】
表示装置共通色温度変換部54は、発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、色温度情報保持色変換部55で構成されている。それぞれの色変換係数を渡された、発光体色の見え変換部47、色再現範囲圧縮部48、色温度情報保持色変換部55で電子原稿4を色変換し、その処理結果を表示装置共通色変換部56へ渡す。なお、色温度情報保持色変換部55は上述の第2の実施の形態において図11で説明したものであり、色温度情報保持用色変換係数記憶部52に記憶されている色温度情報補時用色変換係数を用い、図12を用いて説明したように、電子原稿4の色温度に対応した色度を、デバイス補正部49で使っている観察光源下の色と略等価になるように変換する。これにより、電子原稿4の色温度が異なった場合の色度の差分を吸収する。
【0102】
表示装置共通色変換部56はデバイス補正部49で構成されている。デバイス補正部49は、あらかじめ決められている色変換係数を使って各色変換を行い、最終的に表示装置6に出力可能な画像信号に変換して、表示装置6に出力する。なお、このデバイス補正部49で用いる色変換係数を、表示装置共通色温度変換係数記憶部51に記憶させてもよい。
【0103】
このような構成によって、電子原稿4を出力装置から出力して得られた記録物を、ある光源の下で観察したときの画像をシミュレートし、表示装置6の表示画面に表示することができる。これによって、例えば記録物の状態での画像の見えを参照しながら、例えばDTPなどにより画像を作成・編集することができる。
【0104】
なお、上述の説明では、例えば図14や図15にも示したように、電子写真方式に代表されるような出力装置から出力した記録物を表示装置上にシミュレートする場合を想定して説明した。しかしこれに限らず、例えば写真のような実際の原稿を表示装置上に表示する場合であっても、同様にしてシミュレートすることができる。この場合、図16や図17に示した構成において、記録物色温度変換部67で使用する色変換係数を変更すればよい。これは、色材を含めた出力装置の色再現特性の違いにより色ずれする方向、ずれ量が異なってくるためである。その他の各部の機能については全く同様である。
【0105】
図18は、本発明の第4の実施の形態を示すブロック図である。図中、図1、図13と同様の部分には同じ符号を付してある。上述の第1の実施の形態では、電子原稿の色温度で忠実に電子原稿から出力装置に出力するものであった。これに対し、この第4の実施の形態では、所定の(電子原稿と同じ)色温度・強度分布を持つ光源の下で、もしくは、これとは異なる色温度・強度分布を持つ光源の下で、出力装置で扱う第1の記録物とは色再現特性の異なる第2の記録物を観察した時に、観察されている第2の記録物と略等価な画像を第1の記録物で再現する色補正変換を行い、第2の記録物をシミュレートする例を示す。
【0106】
電子原稿色温度情報認識部1は、上述の第1ないし第3の実施の形態と同様であり、電子原稿4の色温度情報を認識し、認識した電子原稿4の色温度情報を第3の色補正変換部8に渡す。色温度情報については、上述の第1ないし第3の実施の形態と同様に、三刺激値のほか、色温度名(D50、F8など)でも、CIE1931xy色度もしくはCIE1931XYZ色度でも分光特性データでもかまわない。また、印刷などで流通しているシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色分解、あるいは、それらにブラック(K)を加えた4色分解、あるいは、CMYKにさらに異なった色を加えた5以上の多色分解等の減法混色系の色信号であれば、その情報を認識して、自動的にD50光源の設定としてもよい。
【0107】
記録物観察光源色温度情報認識部7は、観察光源の下で第2の記録物のあらかじめ決められた色に関する色情報を測定値かユーザーが指定した値を認識し、第3の色補正変換部8、及び第1の色補正変換部2に渡す。測定器で測定したデータ、ユーザによって指定される値等については、上述の第3の実施の形態と同様である。
【0108】
第3の色補正変換部8は、電子原稿色温度情報認識部1によって認識された電子原稿の色温度情報と、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、電子原稿4から、電子原稿4に対応する第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への色変換を行う。
【0109】
第1の色補正変換部2は、上述の第1の実施の形態と同様であるが、この第4の実施の形態では、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された第2の記録物を観察する光源の色温度情報を受け取る。そして、この色温度情報に基づいて、所定の照明光源で第1の記録物を観察したときに第3の色補正変換部8で色変換された画像信号の色と略等価になるように、第3の色補正変換部8で色変換された後の画像信号から出力装置3に出力可能な画像信号への色変換を行う。
【0110】
なお、出力装置3は電子原稿色温度情報認識部1、記録物観察光源色温度情報認識部7、第3の色補正変換部8、及び第1の色補正変換部2と同じ装置内に存在してもよいし、あるいは別体として構成され、ケーブルにより直接あるいはネットワークを介して接続されていてもよい。出力装置3を別体とする場合、電子原稿色温度情報認識部1、記録物観察光源色温度情報認識部7、第3の色補正変換部8、および第1の色補正変換部2は、例えばデバイスドライバに実装することができる。また電子原稿色温度情報認識部1、記録物観察光源色温度情報認識部7、第3の色補正変換部8、および第1の色補正変換部2は、OSに入っているCMM(Color Matching Module)を利用して、画像処理する形態であってもかまわないし、出力装置3の画像処理部の中で既存の画像処理モジュールを利用して構成してもよい。さらに、これらの方法を記述したプログラムを記憶媒体に記憶してあってもよい。
【0111】
図19は、本発明の第4の実施の形態における動作の概要の説明図である。図中、図2,図14と同様の部分には同じ符号を付してある。16は第1の記録物,17は第2の記録物である。ユーザが作成・編集した電子原稿4は、ある色温度を想定して作成・編集される。また電子原稿4は、任意の出力装置において被記録媒体上に画像として形成され、出力装置3で出力すれば第1の記録物16となり、別の色再現特性の異なる出力装置で出力すれば第2の記録物17となる。このとき、第2の記録物17を光源11の下で観察したとき、第1の記録物16の見えが略等価になるように、第1の記録物16の出力に反映させる。そのために、第2の記録物17を観察する光源11の色温度を記録物観察光源色温度情報認識部7で認識し、第3の色補正変換部8及び第2の色補正変換部5に渡す。第3の色補正変換部8では、電子原稿色温度情報認識部1によって認識された電子原稿4の色温度情報と、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された第2の記録物17を観察する光源11の色温度情報に基づいて、電子原稿4から、電子原稿4に対応する第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への色変換を行う。さらに第1の色補正変換部2において、記録物観察光源色温度情報認識部7によって認識された第2の記録物を観察する光源11の色温度情報に基づいて、所定の照明光源14で第1の記録物16を観察したときに第3の色補正変換部8で色変換された画像信号の色と略等価になるように、第3の色補正変換部8で色変換された後の画像信号から出力装置3に出力可能な画像信号への色変換を行う。出力装置3は、色変換された画像信号をもとに被記録媒体上に画像を形成し、第1の記録物16を生成する。
【0112】
例えば異なる色再現特性を有する出力装置を用いて画像を形成した場合、同じ電子原稿を用いても、生成された記録物の見えは異なってしまう。上述のような構成によって、第2の記録物とは異なる色再現特性により生成された第1の記録物を得ることによって、第2の記録物の色の見えを第1の記録物によって再現することができる。例えば印刷物の見本を、実際の印刷物とは別の出力装置で出力する場合、実際の印刷物における色の見えを見本において再現することが可能になり、例えば色の校正などをスムーズに行うことが可能になる。
【0113】
図20は、本発明の第4の実施の形態における第3の色補正変換部及び第1の色補正変換部の一例を示すブロック図である。図中、図3,図16,図18と同様の部分には同じ符号を付してある。この例では、色変換係数を電子原稿4の色温度及び観察する第2の記録物の色温度によって選択する例を示す。なお、図示していないが、電子原稿を色の見えモデルを使って色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0114】
第3の色補正変換部8は、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61と、記録物シミュレーション用色変換係数管理部64と、記録物シミュレーション用色変換部65から構成されている。
【0115】
記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61は、1以上の色変換係数を記憶する。この例では、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61は、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63で構成されている。記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62および記録物色温度変換用色変換係数記憶部63に記憶される記録物色再現範囲圧縮用色変換係数および記録物色温度変換用色変換係数は、上述の第3の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0116】
記録物シミュレーション用色変換係数管理部64は、電子原稿4の色温度情報及び第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて、記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部62、記録物色温度変換用色変換係数記憶部63で記憶している複数の色変換係数の中から色変換係数を選択し、記録物シミュレーション用色変換部65に渡す。あるいは、複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成して記録物シミュレーション用色変換部65に渡してもよい。
【0117】
記録物シミュレーション用色変換部65は、記録物シミュレーション用色変換係数管理部64から渡された色変換係数を用いて、第2の記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号に電子原稿4を色変換する。この例では、記録物シミュレーション用色変換部65は、記録物色再現範囲圧縮部66と、記録物色温度変換部67で構成されている。それぞれの色変換係数が渡された記録物色再現範囲圧縮部66および記録物色温度変換部67は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行ない、第1の色補正変換部2に渡す。
【0118】
ここでは、記録物シミュレーション用色変換部65は、2つの変換部から構成されているが、記録物シミュレーション用色変換係数記憶部61にある2つの色変換係数を合成して1つの色変換係数とし、記録物シミュレーション用色変換部65を1つの色変換部だけで構成してもよい。
【0119】
第1の色補正変換部2は、基本的には上述の第1の実施の形態における図3に示した構成と同じである。以下、簡単に説明する。第1の色補正変換部2は、記録物色温度対応色変換係数記憶部21と、記録物色温度対応色変換係数管理部24と、記録物色温度対応色変換部25で構成される。
【0120】
記録物色温度対応色変換係数記憶部21は、1以上の色変換係数を記憶している。この例では、記録物色温度対応色変換係数記憶部21は、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22、デバイス補正用色変換係数記憶部23で構成されている。色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22およびデバイス補正用色変換係数記憶部23に記憶されている色再現範囲圧縮用色変換係数およびデバイス補正用色変換係数は、上述の第1の実施の形態と同様であるので説明を省略する。
【0121】
記録物色温度対応色変換係数管理部24は、記録物観察光源色温度情報認識部7で認識した記録物観察光源色温度情報に基づいて、色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部22、デバイス補正用色変換係数記憶部23で記憶している複数の色変換係数の中から色変換係数を選択し、記録物色温度対応色変換部25に渡す。あるいは、複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成して記録物色温度対応色変換部25に渡してもよい。
【0122】
記録物色温度対応色変換部25は、記録物色温度対応色変換係数管理部24から渡された色変換係数に基づいて、第3の色補正変換部8から渡される画像信号を、出力装置3から出力可能な画像信号に色変換する。この例では、記録物色温度対応色変換部25は、色再現範囲圧縮部26、デバイス補正部27で構成されている。それぞれの色変換係数が渡された色再現範囲圧縮部26、デバイス補正部27は、色変換係数に基づいてそれぞれ色変換を行い、最終的に出力可能な画像信号に変換して出力装置3に出力する。
【0123】
この例では、記録物色温度対応色変換部25は2つの変換部から構成されているが、記録物色温度対応色変換係数記憶部21に記憶されている2つの色変換係数が3次元LUTの場合には、これらを合成して1つの色変換係数(3次元LUT)とし、また記録物色温度対応色変換部25は1つの色変換部だけで構成してもよい。これにより、3次元LUTを複数回適用することにより発生する色変換時の誤差を減らし、処理速度を向上させることができる。
【0124】
図21は、本発明の第4の実施の形態における第3の色補正変換部及び第1の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。図中、図6,図17,図18と同様の部分には同じ符号を付してある。図20に示した例と異なる点は、デバイス補正部27における処理で共通化した色変換係数を用いるようにした点である。この例では、図20に示す構成において第1の色補正変換部2として、上述の第1の実施の形態における図6に示した第1の色補正変換部2の構成を用いた例を示している。この例においては、後述する色材依存色温度変換部35により電子原稿4の色温度の差異を吸収し、それ以降はある決まった色変換係数(例えばD50対応用)のみを使ってその他の色温度の場合にも対応する構成を示している。なお、第1の色補正変換部2の構成以外は図20と同様であるので説明を省略する。また、第1の色補正変換部2の構成も上述の第1の実施の形態における図6に示した第1の色補正変換部2の構成とほぼ同様であるので、簡単に説明するにとどめる。
【0125】
第1の色補正変換部2は、記録物共通色温度変換係数記憶部31と、記録物共通色温度変換係数管理部33と、記録物共通色温度変換部34と、記録物共通色変換部36で構成されている。また、図示していないが、電子原稿を色の見えモデルを使って色温度を変換し、別の色温度に変えた画像(例えばD65からD50へ変換するなど)を新たに電子原稿4としてもよい。
【0126】
記録物共通色温度変換係数記憶部31は、1以上の色変換係数を記憶するものであり、ここでは色材依存色温度変換用色変換係数記憶部32で構成されている。色材依存色温度変換用色変換係数記憶部32が記憶する色材依存色温度変換用色変換係数は、上述の図6に示した第1の実施の形態と同様である。
【0127】
記録物共通色温度変換係数管理部33は、記録物観察光源色温度情報認識部7で認識した記録物観察光源色温度情報に基づいて、色材依存色温度変換用色変換係数記憶部32に記憶されている複数の色変換係数の中から選択し、あるいは複数の色変換係数から新たな色変換係数を生成し、記録物共通色温度変換部34に渡す。
【0128】
記録物共通色温度変換部34は、記録物共通色温度変換係数管理部33から渡された色変換係数に従って、第3の色補正変換部8から渡された画像信号を共通の色温度の画像信号に色変換する。この例では、記録物共通色温度変換部34は、色材依存色温度変換部35を有している。色材依存色温度変換部35は、記録物共通色温度変換係数管理部33から渡された色変換係数に従って第3の色補正変換部8から渡された画像信号を色変換し、その処理結果を記録物共通色変換部36へ渡す。
【0129】
記録物共通色変換部36は、記録物共通色温度変換部34(色材依存色温度変換部35)で色変換を行う際に目標とした共通の色温度に対応する色変換係数を用いて、記録物共通色温度変換部34で色変換を行った画像信号を、最終的に出力装置3から出力可能な画像信号に色変換して、出力装置3に出力する。この例では、記録物共通色変換部36は、色再現範囲圧縮部26と、デバイス補正部27で構成されている。それぞれの色変換係数を渡された色再現範囲圧縮部26、デバイス補正部27は、色変換係数に基づいて各色変換を行い、最終的に出力可能な信号に変換して出力装置3に出力する。色再現範囲圧縮部26及びデバイス補正部27は、基本的には図20に示した例と同様であり、変換係数が共通化されている点で異なるのみである。
【0130】
このような第4の実施の形態における構成によって、第2の記録物と略等価な画像を色再現特性の異なる第1の記録物で再現し、第2の記録物をシミュレートすることが可能になる。この場合、第2の記録物に画像を形成する出力装置と、第1の記録物に画像を形成する出力装置3とは異なっていてよい。これによって、例えば最終的な第2の記録物について、第1の記録物を参照しながら画像の作成および編集、校正を行ってゆくことが可能になる。
【0131】
以上、第1乃至第4の実施の形態について説明した。このうち、第2および第3の実施の形態においては、同じ表示装置6を用い、第2の実施の形態で説明したように原稿に忠実に再現するモードと、第3の実施の形態で説明したように原稿を表示画面でシミュレートするモードとを切り換えて行わせることができる。また、第1および第4の実施の形態においても、同じ出力装置3を用い、第1の実施の形態で説明したように原稿に忠実に再現するモードと、第4の実施の形態で説明したように第2の記録物を第1の記録物でシミュレートするモードとを切り換えて行わせることができる。
【0132】
図22〜図24は、表示装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例の説明図である。第2および第3の実施の形態で説明した原稿忠実再現モードとプリントシミュレーションモードとをユーザが切り換えるためのユーザインタフェースとしては、例えば図22に示すような表示画面中のプルダウンメニューから行うことができる。プルダウンメニューにより選択可能な項目の内容を図23、図24に示している。このうち、図23(A)に示す表示モードにおいて、上述の原稿忠実再現モードか、プリントシミュレーションモードか、あるいはこのような色補正処理を行わないかを選択することができる。色補正処理を行う場合の共通機能として、図23(B)に示すような原稿色温度、設置環境光色温度、見えの補正の有無、ガミュート(色再現範囲)アラームの有無等を設定することができる。原稿色温度において自動を設定することによって、電子原稿色温度情報認識部1による電子原稿色温度情報の認識が行われる。また、見えの補正を行う場合、表示画面の周囲の色を設定することができる。表示画面の周囲の色によって、表示されている色から人間が実際に感じる色が変化してしまう。この見えの補正を行うために、表示画面の周囲の色を設定することができる。
【0133】
原稿忠実再現モードにおいては、このような共通設定のみによって、表示画面上に原稿の画像を忠実に再現することができる。プリントシミュレーションモードの場合には、さらに、記録物が参照される条件を設定するため、図24(A)に示すようなプリントシミュレーションモード専用機能の設定を行うことができる。ここでは、観察環境光色温度、色材、ガミュートアラームの有無等を設定することができる。このうち、記録物の形成に用いる色材についても設定可能とし、各色材に応じた見えの補正を行うことができるようにしている。
【0134】
さらにこの例では、表示装置6が設けられている環境情報を自動的に取り込むための機能設定が可能なように、図24(B)に示すようなメニューが用意されている。ここでは、モニタ設置環境光に対応するか否か、および環境光対応センサ駆動設定(自動あるいは手動)などを行うことができる。
【0135】
もちろん、これらは一例であって、このうちの一部の機能しか実装されていなくてもよいし、他の種々の機能が付加されていてもよい。また、ここではプルダウンメニューを例として挙げたが、上述のような設定を行うことができれば、例えばポップアップ形式やダイアログ形式など、どのような形式であってもよい。さらに、色温度情報を選択する項目は、便宜的に他の名称を用いたり、他の物理量などを指定することによって実現してもよい。
【0136】
図25,図26は、出力装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例の説明図である。第1および第4の実施の形態で説明した原稿忠実再現モードとプリントシミュレーションモードとをユーザが切り換えるためのユーザインタフェースとしては、例えば記録出力を指示する際に、図25に示すようなダイアログを端末などに表示させ、このダイアログから切り替え指示などを行うことができる。このダイアログにより選択可能な項目の内容を図26に示している。このうち、図26(A)に示す出力モードにおいて、上述の原稿忠実再現モードか、プリントシミュレーションモードか、あるいはこのような色補正処理を行わないかを選択することができる。また、図26(B)に示す原稿色温度の設定において自動を設定することによって、電子原稿色温度情報認識部1による電子原稿色温度情報の認識が行われる。原稿忠実再現モードにおいては、このような設定によって、原稿の画像を忠実に再現した記録物を得ることができる。
【0137】
プリントシミュレーションモードの場合には、さらに、記録物が参照される条件を設定するため、図26(C)に示すようなプリントシミュレーションモード専用機能の設定を行うことができる。ここでは、観察環境光色温度、色材、ガミュートアラームの有無等を設定することができる。このうち、記録物(第2の記録物)の形成に用いる色材についても設定可能とし、各色材に応じた見えの補正を行うことができるようにしている。
【0138】
もちろん、これらは一例であって、このうちの一部の機能しか実装されていなくてもよいし、他の種々の機能が付加されていてもよい。また、ここではダイアログ形式を例として挙げたが、上述のような設定を行うことができれば、例えばポップアップ形式やプルダウン形式など、どのような形式であってもよい。さらに、色温度情報を選択する項目は、便宜的に他の名称を用いたり、他の物理量などを指定することによって実現してもよい。
【0139】
図27は、本発明の各実施の形態の機能、さらにはユーザインタフェースの機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体の一例の説明図である。図中、71はプログラム、72はコンピュータ、81は光磁気ディスク、82は光ディスク、83は磁気ディスク、84はメモリ、91は光磁気ディスク装置、92は光ディスク装置、93は磁気ディスク装置である。
【0140】
上述の本発明の各実施の形態に示した機能、さらには上述のユーザインタフェースの機能は、コンピュータにより実行可能なプログラム71によっても実現することが可能である。その場合、そのプログラム71およびそのプログラムが用いるデータなどは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記憶することも可能である。記憶媒体とは、コンピュータのハードウェア資源に備えられている読取装置に対して、プログラムの記述内容に応じて、磁気、光、電気等のエネルギーの変化状態を引き起こして、それに対応する信号の形式で、読取装置にプログラムの記述内容を伝達できるものである。例えば、光磁気ディスク81,光ディスク82、磁気ディスク83,メモリ84等である。もちろんこれらの記憶媒体は、可搬型に限られるものではない。
【0141】
これらの記憶媒体にプログラム71を格納しておき、例えばコンピュータ72の光磁気ディスク装置91,光ディスク装置92,磁気ディスク装置93,あるいは図示しないメモリスロットにこれらの記憶媒体を装着することによって、コンピュータからプログラム71を読み出し、本発明の各実施の形態における機能やユーザインタフェースの機能などを実行することができる。あるいは、予め記憶媒体をコンピュータ72に装着しておき、例えばネットワークなどを介してプログラム71をコンピュータ72に転送し、記憶媒体にプログラム71を格納して実行させてもよい。なお、コンピュータ72は、出力装置3や表示装置6と一体となっていてもよいし、他のコンピュータにおいて記憶媒体に格納されたプログラムが読み出され、コンピュータ72(出力装置3や表示装置6等と一体となっている場合を含む)に転送して実行してもよい。
【0142】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、電子原稿の色温度を認識して、出力デバイスにより電子原稿の色温度での見えを保証するように色変換を行って画像を可視化するので、出力デバイスにおいて、電子原稿に記述されている色の見えを忠実に再現することができる。
【0143】
また、電子原稿の色温度を認識するとともに、その電子原稿に対応する記録物を観察する光源下での色温度を認識し、両者の色温度に応じて色変換することにより、記録物を観察する光源の下での見えを表示装置上でシミュレートし、記録物の色を表示装置で正確に再現することができる。同様にして、電子原稿の色温度を認識するとともに、第1の記録物とは色再現特性が異なる第2の記録物を観察する光源下での色温度を認識し、両者の色温度に応じて色変換することにより、第2の記録物の見えを第1の記録物でシミュレートし、正確に再現することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態を示すブロック図である。
【図2】 本発明の第1の実施の形態における動作の概要の説明図である。
【図3】 本発明の第1の実施の形態における第1の色補正変換部の一例を示すブロック図である。
【図4】 3次元LUTに記憶する格子点の説明図である。
【図5】 3次元LUTを用いて実際に色変換を行う際の説明図である。
【図6】 本発明の第1の実施の形態における第1の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。
【図7】 本発明の第1の実施の形態における第1の色補正変換部の別の例において行う変換過程の説明図である。
【図8】 本発明の第2の実施の形態を示すブロック図である。
【図9】 本発明の第2の実施の形態における動作の概要の説明図である。
【図10】 本発明の第2の実施の形態における第2の色補正変換部の一例を示すブロック図である。
【図11】 本発明の第2の実施の形態における第2の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。
【図12】 色温度情報保持用色変換係数の作成方法の一例の説明図である。
【図13】 本発明の第3の実施の形態を示すブロック図である。
【図14】 本発明の第3の実施の形態における動作の概要の説明図である。
【図15】 本発明の第3の実施の形態における動作の概要の別の例の説明図である。
【図16】 本発明の第3の実施の形態における第3の色補正変換部及び第2の色補正変換部の一例を示すブロック図である。
【図17】 本発明の第3の実施の形態における第3の色補正変換部及び第2の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。
【図18】 本発明の第4の実施の形態を示すブロック図である。
【図19】 本発明の第4の実施の形態における動作の概要の説明図である。
【図20】 本発明の第4の実施の形態における第3の色補正変換部及び第1の色補正変換部の一例を示すブロック図である。
【図21】 本発明の第4の実施の形態における第3の色補正変換部及び第1の色補正変換部の別の例を示すブロック図である。
【図22】 表示装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例の説明図である。
【図23】 表示装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例における表示モードおよび共通機能の設定項目の一例の説明図である。
【図24】 表示装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例におけるプリントシミュレーションモード専用機能および外部情報取り込み機能の設定項目の一例の説明図である。
【図25】 出力装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例の説明図である。
【図26】 出力装置用の機能切換のためのユーザインタフェースの一例における設定項目の一例の説明図である。
【図27】 本発明の各実施の形態の機能、さらにはユーザインタフェースの機能をコンピュータプログラムで実現した場合におけるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体の一例の説明図である。
【図28】 ICCで提案されている従来の色管理方法の一例の説明図である。
【符号の説明】
1…電子原稿色温度情報認識部、2…第1の色補正変換部、3…出力装置、4…電子原稿、5…第2の色補正変換部、6…表示装置、7…記録物観察光源色温度情報認識部、8…第3の色補正変換部、11…光源、12…記録物、13,14…光源、15…表示画像、16…第1の記録物,17…第2の記録物、21…記録物色温度対応色変換係数記憶部、22…色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部、23…デバイス補正用色変換係数記憶部、24…記録物色温度対応色変換係数管理部、25…記録物色温度対応色変換部、26…色再現範囲圧縮部、27…デバイス補正部、31…記録物共通色温度変換係数記憶部、32…色材依存色温度変換用色変換係数記憶部、33…記録物共通色温度変換係数管理部、34…記録物共通色温度変換部、35…色材依存色温度変換部、36…記録物共通色変換部、41…表示装置色温度対応色変換係数記憶部、42…発光体色の見え変換用色変換係数記憶部、43…色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部、44…デバイス補正用色変換係数記憶部、45…表示装置色温度対応色変換係数管理部、46…表示装置色温度対応色変換部、47…発光体色の見え変換部、48…色再現範囲圧縮部、49…デバイス補正部、51…表示装置共通色温度変換係数記憶部、52…色温度情報保持用色変換係数記憶部、53…表示装置共通色温度変換係数管理部、54…表示装置共通色温度変換部、55…色温度情報保持色変換部、56…表示装置共通色変換部、61…記録物シミュレーション用色変換係数記憶部、62…記録物色再現範囲圧縮用色変換係数記憶部、63…記録物色温度変換用色変換係数記憶部63、64…記録物シミュレーション用色変換係数管理部、65…記録物シミュレーション用色変換部、66…記録物色再現範囲圧縮部、67…記録物色温度変換部、71…プログラム、72…コンピュータ、81…光磁気ディスク、82…光ディスク、83…磁気ディスク、84…メモリ、91…光磁気ディスク装置、92…光ディスク装置、93…磁気ディスク装置、101…電子原稿、102…色の見えモデル変換部、103…デバイス補正部、104〜107…表示装置、108…出力用変換部、109…出力装置、110〜112…光源、113…記録物。
Claims (12)
- 電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行う画像処理装置において、前記電子原稿の色温度情報を認識する電子原稿色温度情報認識手段と、前記電子原稿に対応する記録物を観察する光源の色温度情報を認識する記録物観察光源色温度情報認識手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段により認識した前記電子原稿の色温度情報及び記録物観察光源色温度情報認識手段により認識した記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色変換を行う色補正変換手段を有し、前記色補正変換手段として、前記電子原稿色温度情報認識手段によって認識された前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識手段によって認識された前記記録物を観察する光源の色温度情報に基づき前記電子原稿から前記電子原稿に対応する前記記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への色変換を行う第3の色補正変換手段と、前記記録物観察光源色温度情報認識手段によって認識された前記記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記第3の色補正変換手段で色変換された画像信号の色と略等価に表示されるように前記第3の色補正変換手段で色変換された後の画像信号から前記表示装置に出力可能な画像信号への色変換を行う第2の色補正変換手段を有することを特徴とする画像処理装置。
- 電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行う画像処理装置において、前記電子原稿の色温度情報を認識する電子原稿色温度情報認識手段と、前記電子原稿に対応する第2の記録物を観察する光源の色温度情報を認識する記録物観察光源色温度情報認識手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段により認識した前記電子原稿の色温度情報及び記録物観察光源色温度情報認識手段により認識した第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色変換を行う色補正変換手段を有し、前記色補正変換手段として、前記電子原稿色温度情報認識手段によって認識された前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識手段によって認識された前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づき前記電子原稿から前記電子原稿に対応する前記第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への色変換を行う第3の色補正変換手段と、前記記録物観察光源色温度情報認識手段によって認識された前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記電子原稿の色温度情報が示す色温度の照明光源で前記第2の記録物とは色再現特性の異なる第1の記録物を観察した時に前記第3の色補正変換手段で色変換された画像信号の色と略等価になるように前記第3の色補正変換手段で色変換された後の画像信号から前記第1の記録物を生成する出力装置に出力可能な画像信号へ色変換を行う第1の色補正変換手段を有することを特徴とする画像処理装置。
- 前記第3の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段で得た前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識手段で得た前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する記録物シミュレーション用色変換係数管理手段と、前記記録物シミュレーション用色変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿から前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号に色変換する記録物シミュレーション用色変換手段を有しており、前記第2の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する表示装置色温度対応色変換係数記憶手段と、前記記録物観察光源色温度情報認識手段で得た前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記表示装置色温度対応色変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記表示装置色温度対応色変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する表示装置色温度対応色変換係数管理手段と、前記表示装置色温度対応色変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号を前記表示装置で出力可能な画像信号に色変換する表示装置色温度対応色変換手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記第3の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段で得た前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識手段で得た前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する記録物シミュレーション用色変換係数管理手段と、前記記録物シミュレーション用色変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿から記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号に色変換する記録物シミュレーション用色変換手段を有し、また前記第2の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する表示装置共通色温度変換係数記憶手段と、前記記録物観察光源色温度情報認識手段で得た前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記表示装置共通色温度変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記表示装置共通色温度変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する表示装置共通色温度変換係数管理手段と、前記表示装置共通色温度変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿に対応した記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号を共通の色温度の画像信号に色変換する表示装置共通色温度変換手段と、前記表示装置共通色温度変換手段で色変換を行う際の目標とした前記共通の色温度に対応した色変換係数により前記表示装置共通色温度変換手段で色変換された後の前記共通の色温度の画像信号を前記表示装置で出力可能な画像信号に色変換する表示装置共通色変換手段を有することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
- 前記第3の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段で得た前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識手段で得た前記電子原稿に対応した前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する記録物シミュレーション用色変換係数管理手段と、前記記録物シミュレーション用色変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿から前記電子原稿に対応した前記第2の記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号に色変換する記録物シミュレーション用色変換手段を有しており、前記第1の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する記録物色温度対応色変換係数記憶手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段で得た記録物観察光源色温度情報に基づいて前記記録物色温度対応色変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記記録物色温度対応色変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する記録物色温度対応色変換係数管理手段と、前記記録物色温度対応色変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿に対応した前記第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号を前記出力装置で出力可能な画像信号に色変換する記録物色温度対応色変換手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記第3の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段で得た前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識手段で得た前記電子原稿に対応した前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記記録物シミュレーション用色変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する記録物シミュレーション用色変換係数管理手段と、前記記録物シミュレーション用色変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿から前記電子原稿に対応した前記第2の記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号に色変換する記録物シミュレーション用色変換手段を有しており、前記第1の色補正変換手段は、1以上の色変換係数を記憶する記録物共通色温度変換係数記憶手段と、前記電子原稿色温度情報認識手段で得た前記電子原稿の色温度情報に基づいて前記記録物共通色温度変換係数記憶手段から適切な色変換係数を選択するかあるいは前記記録物共通色温度変換係数記憶手段に記憶されている複数の色変換係数から新たな色変換係数を作成する記録物共通色温度変換係数管理手段と、前記記録物共通色温度変換係数管理手段で選択した色変換係数もしくは作成した色変換係数により前記電子原稿に対応した前記第2の記録物を観察する光源下での色と略等価な画像信号を共通の色温度の画像信号に色変換する記録物共通色温度変換手段と、前記記録物共通色温度変換手段で色変換を行う際に目標とした前記共通の色温度に対応する色変換係数により前記記録物共通色温度変換手段で色変換された後の前記共通の色温度の画像信号を前記出力装置で出力可能な画像信号に色変換する記録物共通色変換手段を有することを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
- 前記第2の色補正変換手段は、さらに、前記電子原稿色温度情報認識手段によって認識された前記電子原稿の色温度情報に基づいて前記電子原稿の色温度情報が示す色温度で表示画像が前記電子原稿の色と略等価に表示されるように前記電子原稿から前記表示装置に出力可能な画像信号へ色変換を行う原稿忠実再現機能を有しており、前記電子原稿を前記表示装置に表示させる際に前記第2の色補正変換手段の前記原稿忠実再現機能を用いて前記電子原稿と略等価な画像を前記表示装置で再現するための原稿忠実再現モードと前記第3の色補正変換手段と前記第2の色補正変換手段を用いて前記記録物と略等価な画像を前記表示装置で再現するためのプリントシミュレーションモードを切り替え可能なユーザインタフェースを有することを特徴とする請求項1,請求項3,請求項4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記第1の色補正変換手段は、前記電子原稿色温度情報認識手段によって認識された前記電子原稿の色温度情報に基づいて前記電子原稿の色温度情報が示す色温度の照明光源で前記電子原稿に対応した画像を形成した前記第1の記録物を観察した時に前記電子原稿の色と略等価になるように前記電子原稿から前記第1の記録物を生成する前記出力装置に出力可能な画像信号へ色変換を行う原稿忠実再現機能を有しており、前記電子原稿を前記出力装置に出力させる際に前記第1の色補正変換手段の前記原稿忠実再現機能を用いて前記電子原稿に略等価な画像を前記第1の記録物で再現するための原稿忠実再現モードと前記第3の色補正変換手段と前記第1の色補正変換手段を用いて前記第2の記録物と略等価な画像を前記第1の記録物で再現するためのプリントシミュレーションモードを切り替え可能なユーザインタフェースを有することを特徴とする請求項2,請求項5,請求項6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行う画像処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体において、前記電子原稿の色温度情報を認識する電子原稿色温度情報認識処理と、前記電子原稿に対応する記録物を観察する光源の色温度情報を認識する記録物観察光源色温度情報認識処理と、前記電子原稿色温度情報認識処理により認識した前記電子原稿の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色変換を行う色補正変換処理を含み、前記色補正変換処理として、前記電子原稿色温度情報認識処理によって認識された前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識処理によって認識された前記記録物を観察する光源の色温度情報に基づき前記電子原稿から前記電子原稿に対応する前記記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への色変換を行う第3の色補正変換処理と、前記記録物観察光源色温度情報認識処理によって認識された前記記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記第3の色補正変換処理で色変換された画像信号の色と略等価に表示されるように前記第3の色補正変換処理で色変換された後の画像信号から前記表示装置に出力可能な画像信号への色変換を行う第2の色補正変換処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
- 電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行う画像処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体において、前記電子原稿の色温度情報を認識する電子原稿色温度情報認識処理と、前記電子原稿に対応する第2の記録物を観察する光源の色温度情報を認識する記録物観察光源色温度情報認識処理と、前記電子原稿色温度情報認識処理により認識した前記電子原稿の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色変換を行う色補正変換処理を含み、前記色補正変換処理として、前記電子原稿色温度情報認識処理によって認識された前記電子原稿の色温度情報と前記記録物観察光源色温度情報認識処理によって認識された前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づき前記電子原稿から前記電子原稿に対応する前記第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への色変換を行う第3の色補正変換処理と、前記記録物観察光源色温度情報認識処理によって認識された前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記電子原稿の色温度情報が示す色温度の照明光源で前記第2の記録物とは色再現特性の異なる第1の記録物を観察した時に前記第3の色補正変換処理で色変換された画像信号の色と略等価になるように前記第3の色補正変換処理で色変換された後の画像信号から前記第1の記録物を生成する出力装置に出力可能な画像信号へ色変換を行う第1の色補正変換処理をコンピュータに実行させるプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体。
- 電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行う画像処理方法において、前記電子原稿の色温度情報を電子原稿色温度情報認識手段が認識し、前記電子原稿に対応する記録物を観察する光源の色温度情報を記録物観察光源色温度情報認識手段が認識し、認識した前記電子原稿の色温度情報及び記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色補正変換手段が色変換を行うものであって、前記色変換として、認識された前記電子原稿の色温度情報と前記記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記電子原稿から前記電子原稿に対応する前記記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への第3の色変換を第3の色補正変換手段が行い、認識された前記記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記第3の色変換で色変換された画像信号の色と略等価に表示されるように前記第3の色変換で色変換された後の画像信号から前記表示装置に出力可能な画像信号への第2の色変換を第2の色補正変換手段が行うことを特徴とする画像処理方法。
- 電子原稿から、該電子原稿を可視化するための画像信号への変換を行う画像処理方法において、前記電子原稿の色温度情報を電子原稿色温度情報認識手段が認識し、前記電子原稿に対応する第2の記録物を観察する光源の色温度情報を記録物観察光源色温度情報認識手段が認識し、認識した前記電子原稿の色温度情報及び記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて該電子原稿の色と略等価な画像を可視化するための画像信号へ色変換を色補正変換手段が行うものであって、前記色変換として、認識された前記電子原稿の色温度情報と前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記電子原稿から前記電子原稿に対応する前記第2の記録物を観察する光源下の色と略等価な画像信号への第3の色変換を第3の色補正変換手段が行い、認識された前記第2の記録物を観察する光源の色温度情報に基づいて前記電子原稿の色温度情報が示す色温度の照明光源で前記第2の記録物とは色再現特性の異なる第1の記録物を観察した時に前記第3の色変換で色変換された画像信号の色と略等価になるように前記第3の色変換後の画像信号から前記第1の記録物を生成する出力装置に出力可能な画像信号へ第1の色変換を第1の色補正変換手段が行うことを特徴とする画像処理方法。
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