JP4009026B2 - 感熱製版装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、サーマルヘッドを用いて感熱孔版印刷用マスタ(以下、単に「マスタ」と言う)を製版する感熱製版装置に関し、さらに詳しくは高速製版において安定した穿孔状態をマスタに形成することができ、かつ、サーマルヘッドの発熱体寿命に関しても延命することができる感熱製版装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱製版印刷装置等に具備されている感熱製版装置においては、印刷用紙の裏面を汚すいわゆる裏移りの防止に関する技術(例えば特開平2−67133号公報(特許第2732532号)参照)等の様々な提案がなされている。また、本願発明と略同様な発熱体形状を有するサーマルヘッドを具備し、マスタが有している熱可塑性樹脂フィルム(以下、単に「フィルム」と言うときがある)の穿孔径をコントロールし最適な画像を形成する技術(例えば特開平8−67061号公報等参照)等や、製版時間の短縮を図れる技術(例えば特開平8−132584号公報等参照)等の種々の提案もなされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年においては特に製版時間の短縮が望まれており、特開平2−67133号公報(特許第2732532号)等の技術では、このような観点からの考慮がなされていない。
【0004】
また、特開平8−67061号公報等の技術では、製版時間の短縮を図るという観点からの考察はなく、基本的には副走査解像度を可変するために必要な発熱体形状を開示しており、本願発明とはその目的を異にするものである。
【0005】
また、特開平8−132584号公報等の技術では、製版時間の短縮の観点からの提案があるものの、さらに近年ではより一層の製版時間の短縮が望まれているため、さらなる製版時間の短縮を図る必要がある。
【0006】
したがって、本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、サーマルヘッドを使用してマスタを製版する際に、目的とする安定した穿孔状態をマスタに形成することができ、また、サーマルヘッドの発熱体寿命を向上することでサーマルヘッドの延命化を図れ、かつ、さらなる製版時間の短縮化によって高速製版が行なえる感熱製版装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、主走査方向に配列した複数の発熱体を有するサーマルヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムおよび多孔質支持体を有するマスタに接触させ、上記主走査方向と直交する副走査方向に上記マスタを所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じて上記発熱体の位置選択的な加熱により上記マスタの上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してドット状の製版画像を上記マスタに形成する感熱製版装置において、上記発熱体の上記主走査方向のピッチと上記副走査送りピッチとを等しくすると共に、上記発熱体の上記副走査方向の長さを上記副走査送りピッチの1/2以下とし、かつ、上記発熱体の上記主走査方向の長さを該発熱体の上記副走査方向の長さよりも長くし、かつ、上記発熱体を加熱するための通電パルス幅と上記サーマルヘッドの印字周期と上記副走査送りピッチとが、[上記通電パルス幅(μs)÷上記印字周期(μs/line)]×上記副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たし、なおかつ、上記印字周期が、2(ms/line)以下であることを特徴とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、主走査方向に配列した複数の発熱体を有するサーマルヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムおよび多孔質支持体を有するマスタに接触させ、上記主走査方向と直交する副走査方向に上記マスタを所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じて上記発熱体の位置選択的な加熱により上記マスタの上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してドット状の製版画像を上記マスタに形成する感熱製版装置において、上記発熱体の上記主走査方向のピッチと上記副走査送りピッチとを実質的に等しくすると共に、上記発熱体の上記副走査方向の長さを上記副走査送りピッチの1/2以下とし、かつ、上記発熱体の上記主走査方向の長さを該発熱体の上記副走査方向の長さよりも長くし、かつ、上記発熱体を加熱するための通電パルス幅と上記サーマルヘッドの印字周期と上記副走査送りピッチとが、[上記通電パルス幅(μs)÷上記印字周期(μs/line)]×上記副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たし、なおかつ、上記印字周期が、2(ms/line)以下であることを特徴とする。
ここで、「発熱体の主走査方向のピッチと副走査送りピッチとを実質的に等しくする」とは、発熱体の主走査方向のピッチと副走査送りピッチとを同一の値に設定する場合の他、副走査送りピッチを原稿読取装置(スキャナ)の副走査読取ピッチに適合させる等のために、発熱体の主走査方向のピッチの値に対して副走査送りピッチが±5%程度の範囲内の値に設定される場合を含む。
【0010】
請求項3記載の発明は、主走査方向に配列した複数の発熱体を有するサーマルヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムおよび多孔質支持体を有するマスタに接触させ、上記主走査方向と直交する副走査方向に上記マスタを所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じて上記発熱体の位置選択的な加熱により上記マスタの上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してドット状の製版画像を上記マスタに形成する感熱製版装置において、上記発熱体の上記副走査方向の長さを上記副走査送りピッチの1/2以下にすると共に、上記発熱体の上記主走査方向の長さを該発熱体の上記副走査方向の長さよりも長くし、かつ、上記発熱体を加熱するための通電パルス幅と上記サーマルヘッドの印字周期と上記副走査送りピッチとが、[上記通電パルス幅(μs)÷上記印字周期(μs/line)]×上記副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たし、なおかつ、上記印字周期が、2(ms/line)以下であることを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して実施例を含む本発明の実施の形態(以下、単に「実施形態」と言う)を説明する。各実施形態等に亘り、同一の機能および形状等を有する構成部品や部材等については、同一符号を付すことによりその説明をできるだけ省略する。図において一対で構成されていて特別に区別して説明する必要がない構成部品や部材は、説明の簡明化を図る上から、その片方を適宜記載することでその説明に代えるものとする。
【0013】
まず、サーマルヘッドの発熱体へ投入する印加エネルギーとマスタ穿孔との関係について説明する。
図1は、感熱製版装置の主要な概略構成を示している。熱可塑性樹脂フィルムを有するマスタ3は、主走査方向(紙面に直交する方向)に一列に配列した複数の発熱体2を有するサーマルヘッド1とプラテンローラ4との間で図示を省略した加圧機構により保持され、プラテンローラ4が回転することで、マスタ3は上記主走査方向と直交する図中矢印で示す副走査方向F(マスタ搬送方向でもある)に所定の副走査送りピッチをもって移動・搬送される。この時、画像データに応じて上記所定の副走査送りピッチと同期して、電子・電気制御回路等を具備するサーマルヘッド駆動回路によりサーマルヘッド1が制御されることで、複数の発熱体2に位置選択的に通電されて、マスタ3の上記フィルム部分が穿孔されることになる。そして、この通電サイクルが上記所定の副走査送りピッチと同期して連続的に行なわれることにより、穿孔画像がマスタ3に形成されることになる。
【0014】
サーマルヘッド1の発熱体2を発熱させるための電気エネルギーは、発熱体2の発熱体抵抗値R、発熱体2へ印加される印加電力P、およびその印加電力Pを通電している時間である通電パルス幅tp(もしくは通電時間)により決定される。
【0015】
印加電力Pは以下の式で求まる。なお、lineは1ラインを表し、後述する各図のグラフでは“l(エル)”と略して記載している。符号Rは、発熱体2の発熱体電気抵抗を示す。
印加電力P(W)=(印加電圧E(V))2/発熱体電気抵抗R(Ω)
また、発熱体2へ印加される印加エネルギーEsは以下の式で求まる。
印加エネルギーEs(J)=印加電力P(W)×通電パルス幅tp(s)
つまり、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEsは、発熱体2へ印加される印加電力P、通電パルス幅tp(もしくは通電時間)により決定され、これらは印加エネルギーEs決定の制御因子となる。
【0016】
(実施例1)
まず、サーマルヘッド1の発熱体2の形状と、サーマルヘッド1の発熱体2への印加エネルギーEs印加条件とをパラメータとしてこれらを変えたとき、マスタ3の上記フィルムの穿孔状態がどの様になるのかをサーマルヘッド1の発熱体2の発熱温度を加味しながら、実験した結果に基づき説明する。以下、主走査方向Sの穿孔径を主走査穿孔径と、副走査方向Fの穿孔径を副走査穿孔径とそれぞれ言うときがあり、また、主走査方向Sや副走査方向Fを単に「主走査」あるいは「副走査」と言うときがある。また、特に断わらない限り、発熱体2へ印加される印加電力P、通電パルス幅tp、印加エネルギーEs等は、一つの発熱体2に対して印加されることを意味する。
【0017】
実施例1の実験の条件を以下に列記する。実験の条件としては、サーマルヘッド1の仕様、発熱体2の形状、サーマルヘッド1の発熱体2への通電時間、副走査送りピッチpf、印字周期tlおよび駆動方式、マスタ3の仕様、プラテンローラ4の仕様等ならびに感熱製版装置の仕様を挙げてある。
【0018】
(1)サーマルヘッド1の仕様および発熱体2の形状
サーマルヘッド1の仕様としては、その発熱体2が主走査方向Sに一列に配列されたいわゆるライン型サーマルヘッドと呼ばれているもので、その発熱体2の形状は矩形型のものを用いた。また、サーマルヘッド1は、A3サイズの解像度400DPI(Dot Per Inch)のもので、主走査方向Sに4608個の発熱体2を有するものであり、発熱体2の主走査方向のピッチAsが63.5μmのものである(図26参照)。
発熱体2の形状(以下、「発熱体サイズ」と言うときがある)としては、次の4種類のサイズのものを順次変えて用いた。発熱体2の発熱体サイズの表示方法としては、図26に示すように、発熱体2の主走査方向Sの長さを符号aで、同副走査方向Fの長さを符号bでそれぞれ表すが、以下、説明の簡明化を図るため、「発熱体サイズ(主走査×副走査)」と記載することで、各符号a,bの記載をそれぞれ省略する。
主走査×副走査:20×20μm
主走査×副走査:20×30μm
主走査×副走査:30×20μm
主走査×副走査:30×30μm
(2)サーマルヘッド1の発熱体2への通電時間
サーマルヘッド1の発熱体2への通電時間としては、次の3段階の通電パルス幅tpを印加した。
通電パルス幅tp=500μs、1000μs、1500μs
(3)副走査送りピッチpf
副走査送りピッチpfは、サーマルヘッド1の解像度:400DPIに対応してpf=63.5μm/lineの一定の条件で行なった。
なお、本実施例1では、発熱体2の主走査方向SのピッチAsと副走査送りピッチpfとを同一の値にしているが、副走査送りピッチpfを原稿読取装置(スキャナ)の副走査読取ピッチに適合させる等の場合には、発熱体2の主走査方向SのピッチAsの値に対して副走査送りピッチpfが±5%程度の範囲内の値(例えば、63.5±3.2μm)に設定されることもあり、発熱体2の主走査方向SのピッチAsと副走査送りピッチpfとが実質的に等しいとは、このような場合をも含むことを意味する。
【0019】
(4)印字周期tlおよび駆動方式
印字周期tl=10ms/lineの一定の条件で、かつ、印字分割数:4分割駆動方式で行なった。なお、サーマルヘッド1自身の温度は、25°C一定の条件で行なった。
【0020】
(5)マスタ3の仕様
マスタ3としては、ポリエステル等からなる化繊および和紙繊維からなる天然繊維を混抄した厚さ約40μmの多孔質支持体(ベース)と、ポリエチレンテレフタレート(PET)系からなる厚さ1.6μmのフィルムとを貼り合わせたトータルの厚さ約41.6μmであって、A3サイズの(株)リコー謄写印刷機用マスタ「VT−II A3」を用いた。
【0021】
(6)プラテンローラ4の仕様等
プラテンローラ4としては、カーボンを添加し導電処理されたシリコーンゴム製の、ゴム硬度43°Hs(JIS−Aスケール)のものを用い、その体積固有抵抗値が103±102Ω・cmのものを使用している。また、プラテンローラ4の芯金にはSUM材等の金属製のものを用い、その肉厚が2mm、外径が18mmのものを使用した。
また、マスタ3を介してのプラテンローラ4とサーマルヘッド1との押圧条件は、その押圧力が4.04N/cmで設定されている。プラテンローラ4は、例えばステッピングモータ(図示せず)で回転駆動される。
【0022】
(7)感熱製版装置の仕様
感熱製版装置としては、(株)リコー製デジタル孔版印刷機「プリポート VT−3820」に搭載されているプロッターユニットを使用した。
【0023】
次に、マスタ3の上記フィルムに形成される穿孔パターンと穿孔径とを以下のように定義する。
穿孔径については、図2に示すとおりに定義する。すなわち、図2において、符号hは穿孔を、符号haはその穿孔hの周囲に生じるフィルム収縮による土手をそれぞれ示し、主走査方向Sに沿った土手haの最大外径を主走査穿孔径Lsと、副走査方向Fに沿った土手haの最大外径を副走査穿孔径Lfとそれぞれ定義する。なお、土手haの幅は、以下の実験で約5μmである事が確認されている。
【0024】
穿孔パターンは、図3に示すように、1ドット(Dot)の市松パターンとし、それぞれ隣接発熱ドットの熱の影響を受けない状態でサーマルヘッド1の発熱体2を発熱させることによりマスタ3の上記フィルムを穿孔した。すなわち、同図に示すように、主走査方向Sに4ドット毎に1ドット穿孔し、副走査方向Fにも同様に4ライン毎に穿孔した。図3において、符号Asは、サーマルヘッド1の解像度400DPIに対応して、主走査方向Sに63.5μmの寸法をもって区切られた主走査ピッチを、符号Afは同様にして副走査方向Fに63.5μmの寸法をもって区切られた副走査ピッチをそれぞれ示す。
上記のとおり、サーマルヘッド1の各発熱体2の主走査方向Sのピッチ、すなわち主走査ピッチAsと副走査送りピッチpfとが等しくなっていて、主走査ピッチAs=副走査ピッチAf=副走査送りピッチpf=63.5μmである。
【0025】
サーマルヘッド1は、上記したように主走査方向Sに4608個の発熱体2を有するので、これに対応して、マスタ3には主走査方向Sに63.5×4607μmの穿孔されるべき領域が存在することを表している。また、穿孔hの穿孔径の測定個所は、最初に特定した50個を測定し、その平均値を主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfとした。
【0026】
4種類のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1の各発熱体2に3段階の通電パルス幅tp:500、1000、1500μsを印加し、そのときにマスタ3の上記フィルムに形成された穿孔hの主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfを光学顕微鏡および画像処理装置にて測定した。以下、特に断わらない限り、各図に示されている穿孔hの主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfのデータは、光学顕微鏡および画像処理装置で測定されたものである。
【0027】
図4に示すグラフは、サーマルヘッド1の発熱体サイズと通電パルス幅tpとをパラメータとして、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEsの大きさを横軸にとり、そのときに形成される穿孔hにおける主走査穿孔径Lsの大きさを縦軸にとり、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEsの大きさと主走査穿孔径Lsの大きさとの関係を表したものである。
【0028】
図5に示すグラフは、図4のグラフと同様に、サーマルヘッド1の発熱体サイズと通電パルス幅tpとをパラメータとして、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEsの大きさを横軸にとり、そのときに形成される穿孔hにおける副走査穿孔径Lfの大きさを縦軸にとり、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEsの大きさと副走査穿孔径Lfの大きさとの関係を表したものである。なお、図4および図5に示すグラフでは、後述するように、通電パルス幅tpが短いと結果的にサーマルヘッド1の寿命の短命化につながるので、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μm、20×30μmのものについては、通電パルス幅tpが500μsのとき、データの取得数を限定し4個とした。
【0029】
図4および図5のグラフより、4種類の異なる発熱体サイズを有する各サーマルヘッド1において、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加する通電パルス幅tpの長さが異なっていても、印加電力Pを調整して印加エネルギーEsを適宜選択することにより、主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfにおいてそれぞれ同一の穿孔径を得ることができることが分かる。
【0030】
図6に示すグラフは、図4に示したグラフおよび図5に示したグラフの各データについて、発熱体サイズをパラメータとして、主走査穿孔径Lsを横軸にとり、副走査穿孔径Lfを縦軸にとって、主走査穿孔径Lsに対する副走査穿孔径Lfの関係をみたものである。
【0031】
図6のグラフより、各主走査穿孔径Lsの値に対する各副走査穿孔径Lfの値(図6等では主/副走査穿孔径と記載している)は、発熱体サイズにより略一義的に決定されることが分かる。つまり、主走査穿孔径Ls値に対する副走査穿孔径Lf値について、発熱体2への通電時間(通電パルス幅tp)は制御因子では無いことが分かる。
【0032】
(実施例2)
次に、4種類のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1の各発熱体2に3段階の通電パルス幅tp:500、1000、1500μsを印加し、そのときにマスタ3の上記フィルムに形成された穿孔hの主走査穿孔径Lsまたは副走査穿孔径Lfとサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度との関係をそれぞれ説明する。以下、マスタ3の上記フィルムに形成された穿孔hの主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfのことをマスタ穿孔径と言うときがある。
【0033】
サーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度は、赤外線顕微鏡型放射温度計(日本バーンズ社製:RM−2AS)にて測定した。
各条件におけるサーマルヘッド1の発熱体2へ印加する印加エネルギーEsは表1のようにした。
【0034】
【表1】
【0035】
実施例2の試験による実験の結果、マスタ3の上記フィルムに形成された穿孔hの主走査穿孔径Lsとサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度との関係を表すグラフとして図7が、同じく副走査穿孔径Lfとサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度との関係を表すグラフとして図8がそれぞれ得られた。
【0036】
図7に示すグラフは、サーマルヘッド1の発熱体サイズと通電パルス幅tpとをパラメータとして、主走査穿孔径Lsを横軸にとり、サーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度を縦軸にとり、主走査穿孔径Lsとサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度との関係を表したものである。
【0037】
図8に示すグラフは、図7のグラフと同様に、サーマルヘッド1の発熱体サイズと通電パルス幅tpとをパラメータとして、副走査穿孔径Lfを横軸にとり、サーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度を縦軸にとり、副走査穿孔径Lfとサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度との関係を表したものである。
【0038】
図7および図8に示されている実験結果より、例えば、発熱体2の発熱体サイズが主走査×副走査:30×20μmのものに関し、通電パルス幅tpが500、1000、1500μs印加時の主走査穿孔径Lsが52.5μm、副走査穿孔径Lfが52.5μmとなるマスタ穿孔径のときのサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度を求めてみると、通電パルス幅tpが500μs印加時では360℃、通電パルス幅tpが1000μs印加時では約285℃、通電パルス幅tpが1500μs印加時では260℃となり、通電パルス幅tpが短くなればなるほどサーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度が高くなることが分かる(図9参照)。この通電パルス幅tpと発熱体2のピーク温度との関係を図9のグラフに示す。この関係は、他の発熱体サイズからなる発熱体2を有するサーマルヘッド1でも言えることである。ここで、サーマルヘッド1の発熱体2の寿命は、その発熱するピーク温度に大きく依存し、温度が高いほど発熱体2への熱ストレスが大きくなってその寿命は短くなることが知られている。
【0039】
以上、実施例1および2の実験結果より、マスタ穿孔径の主走査穿孔径Ls値に対する副走査穿孔径Lf値(主/副走査穿孔径)は、発熱体サイズにより決定され、そのマスタ穿孔径の大きさは、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加される印加エネルギーEsの大小により決定されるが、通電パルス幅tpが異なっても、その時の発熱体2への印加電力Pを調整すれば同一穿孔径が得られることが分かる。また、その場合、通電パルス幅tpを長くするほうが、サーマルヘッド1の発熱体2のピーク温度を低下することができ、したがってサーマルヘッド1の発熱体2の熱的ストレスを低減できるので、発熱体2の寿命を向上できる。また、上記実験結果は、どのような発熱体サイズにおいても言える。
【0040】
(実施例3)
さらに、マスタ3において、そのフィルムの厚さを変えたものについても同様な試験を実施した。実施例1における実験の条件に対して相違する条件のみを説明する。
【0041】
(1)サーマルヘッド1の仕様および発熱体2の形状
サーマルヘッド1の仕様としては、その発熱体サイズを2種類のサイズ、すなわち主走査×副走査:20×30μmのものと、主走査×副走査:30×20μmのものとを用いた。
【0042】
(2)マスタ3の仕様
マスタ3としては、上記フィルムの厚さのみが実施例1のそれに対して異なる次の4種類のものを用いた。
上記フィルムの厚さ:1.1、1.3、1.5、1.8μm。
【0043】
図10に示すグラフは、サーマルヘッド1の発熱体サイズを主走査×副走査:20×30μmに固定し、マスタ3の上記フィルムの厚さと通電パルス幅tpとをパラメータとして、印加エネルギーEsを横軸にとり、主走査穿孔径Lsを縦軸にとって、上記フィルムの厚さの違いによる印加エネルギーEsと主走査穿孔径Lsとの関係を表したものである。
【0044】
図11に示すグラフは、図10に示したその全てのデータに関し、主走査穿孔径Lsと副走査穿孔径Lfとの関係を表したものである。これら両図に表されていることから分かるように、同一のマスタ穿孔径を得ようとした場合、上記フィルムの厚さが厚くなるほどサーマルヘッド1の発熱体2へ印加すべき必要な印加エネルギーEsは大きくなるものの、マスタ穿孔径の主走査穿孔径Ls値に対する副走査穿孔径Lf値は略直線上にプロットされていて略比例的関係にあること、つまり、マスタ穿孔径は印加エネルギーEsによって一義的に決定されることが分かる。換言すれば、マスタ1の上記フィルムの厚さが異なったとしても、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加すべき印加エネルギーEsとマスタ穿孔径の関係は上記のようになることが分かる。
【0045】
また、サーマルヘッド1として、その発熱体サイズのみを主走査×副走査:30×20μmに変えたもので図10と同様の試験を行なった場合の実験結果を図12に示す。図13に示すグラフは、図12に示したその全てのデータに関し、主走査穿孔径Lsと副走査穿孔径Lfとの関係を表したものである。これらの図12および図13に表されていることからは、図10および図11について述べたと同様のことが分かる。
【0046】
(実施例4)
次に、図14ないし図19の各グラフを参照して、サーマルヘッド1の発熱体2の発熱体サイズをパラメータとし、印字周期tlとサーマルヘッド1の発熱体2へ印加する通電パルス幅tpとを順次変えた場合のマスタ穿孔径(主走査穿孔径Ls、副走査穿孔径Lf)の関係について説明する。印字周期tlは1、1.5、2、3、5、10ms/lineの6段階に、通電パルス幅tpは500、1000、1500μsの3段階に変えて、印字周期tl(各図のグラフのタイトルとしては製版速度と表示している)による主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfへの影響を確認した。
【0047】
ここでは、印字周期tlによるマスタ穿孔径(主走査穿孔径Ls、副走査穿孔径Lf)への影響を明確にするために、印字周期tl=10ms/line時の副走査穿孔径Lfを55μmに合わせ込むよう、各発熱体サイズ、通電パルス幅tpにおいて、発熱体2へ印加すべき印加電力Pを合わせ込んだ。また、副走査送りピッチpfは400DPI(63.5μm)とした。
【0048】
表2に、各発熱体サイズ、各通電パルス幅tpにおいて、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加した印加エネルギーEsを示す。
【0049】
【表2】
【0050】
上記表2の条件により、マスタ3の上記フィルムを穿孔した時における印字周期tlと主走査穿孔径Lsとの関係、および印字周期tlと副走査穿孔径Lfとの関係を表す実験結果を図14ないし図19の各グラフに示す。
【0051】
図14、図16および図18に示されている各実験結果より、各発熱体サイズを有する各サーマルヘッド1において、主走査穿孔径Lsは、印字周期tlに関係なく、それぞれ略同一の値をもつことが分かる。しかしながら、副走査穿孔径Lfについては、図15、図17および図19に示されている各実験結果より、どのような発熱体サイズを有するサーマルヘッド1においても、印字周期tlが短くなるにつれて徐々に大きくなることが分かる。また、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μm、20×30μm、30×30μm、のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合においては、印字周期tlがある値(1.5ms/line)より短くなるとその副走査穿孔径Lfが急激に大きくなることが分かる。
【0052】
このときのマスタ穿孔状態を写真1として図22に添付して示す。図22における写真1のマスタ穿孔状態は、サーマルヘッド1の発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×30μm、通電パルス幅tpが500μs、印加エネルギーEsが49μJ、印字周期tlが1ms/lineの各条件の時のものである。
なお、上記写真1を含め、図23および図27に示す写真2ないし5におけるマスタ穿孔状態において、中央部の黒色部が穿孔hを、その穿孔hの外周部において白抜き略環状部分が土手haをそれぞれ表している。
【0053】
一方、図23に添付して示す写真2には、写真1のマスタ穿孔状態と比較確認するために、前記条件において、印字周期tlのみを1.5ms/lineに変えたときのマスタ穿孔状態を掲げてある。写真1のマスタ穿孔状態から分かるように、マスタ穿孔径は、楕円状、かつ、マスタ搬送方向でもある副走査方向Fの下流側の穿孔先端部は主走査方向Sでその穿孔径が極端に小さくなっていることが分かる。
【0054】
(実施例5)
次に、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加する印加エネルギーEsを変えた場合、つまりマスタ穿孔径を大きくしたり小さくしたりする場合について確認する試験を実施した。実施例1における実験の条件に対して相違する条件のみを説明する。
【0055】
(1)サーマルヘッド1の発熱体2の形状としては、発熱体サイズを1種類のサイズ、すなわち主走査×副走査:20×30μmに固定したものを用いた。
(2)サーマルヘッド1の発熱体2への通電時間としては、1つの通電パルス幅tp=500μsに固定した。
(3)サーマルヘッド1の発熱体2へ印加する印加エネルギーEsとしては、印加エネルギーEs=37.9、43.1、48.5(μJ)の3段階に変えて行なった。
【0056】
図20のグラフに、印加エネルギーEsをパラメータとしたときの、印字周期tl(もしくは製版速度)と主走査穿孔径Lsとの関係を、図21のグラフに、同印加エネルギーEsをパラメータとしたときの、印字周期tlと副走査穿孔径Lfとの関係をそれぞれ示す。
【0057】
図20および図21では、サーマルヘッド1の発熱体2への印加エネルギーEsを変えることにより発熱体2の発熱量を変えたわけであるが、印字周期tlが長い所では、明らかにその主走査穿孔径Lsおよび副走査穿孔径Lfはサーマルヘッド1の発熱体2へ印加した印加エネルギーEs量に依存しているものの、上記実施例4で判明したような副走査穿孔径Lfが極端に大きくなる印字周期tlの分岐点は、サーマルヘッド1の発熱体2へ印加した印加エネルギーEsに関係なく同じ値(1.5ms/line)になることが分かる。
【0058】
ところが、発熱体サイズ(主走査×副走査)が30×20μmの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合においては、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μm、20×30μm、30×30μm、のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合に見られるような、印字周期tlがある印字周期tlより短くなるとその副走査穿孔径Lfが急激に大きくなるような現象は見られない(図15、図17、図19参照)。この現象の差は、サーマルヘッド1の発熱体2の形状(換言すれば発熱体サイズ)に依存する発熱温度の状態の違いによるものと考えられる。
【0059】
(実施例6)
次に、4種類の発熱体サイズの違いによる主走査方向Sおよび副走査方向Fの発熱温度分布について確認した結果を説明する。実施例1における実験の条件と比較して相違する条件のみを説明する。なお、各発熱体サイズの発熱体2における主走査方向Sおよび副走査方向Fの発熱温度は、実施例2で使用したと同じ赤外線顕微鏡型放射温度計にて測定した。
【0060】
(1)サーマルヘッド1の発熱体2への通電時間としては、1つの通電パルス幅tp=500μsに固定した。
(2)各発熱体サイズの発熱体2へ印加する印加エネルギーEsの条件は、以下のとおりである。
主走査×副走査:20×20μm…52.5μJ
主走査×副走査:20×30μm…57.5μJ
主走査×副走査:30×20μm…70.0μJ
主走査×副走査:30×30μm…65.0μJ
図24のグラフは、図26に示す発熱体2の拡大図における主走査方向Sに沿ったBb線の各発熱体位置における発熱温度分布、つまり1つの発熱体2の主走査方向Sの各発熱体位置における発熱温度分布を示す。図25のグラフは、図26に示す発熱体2の拡大図における副走査方向Fに沿ったAa線の各発熱体位置における発熱温度分布、つまり1つの発熱体2の副走査方向Fの各発熱体位置における発熱温度分布を示す。このようにBb線およびAa線は、主走査方向Sおよび副走査方向Fにおいて発熱体2を等分する線であって、Bb線とAa線とが交わる交点0(ゼロ)は発熱体2の位置的中心を表している。図24の横軸には主走査方向Sの発熱体位置(μm)を、図25の横軸には副走査方向Fの発熱体位置(μm)を、図26に示す各発熱体位置方向に+、−の記号を付してそれぞれとっており、両図の縦軸には各発熱体位置の発熱温度(℃)をそれぞれとっている。
【0061】
図24および図25の各発熱温度分布のグラフから、両グラフにおける横軸の各発熱体位置の発熱温度分布長は、各発熱体サイズにおいて、発熱体2の主走査方向Sおよび副走査方向Fの各長さに比例していることが容易に分かる。換言すれば、発熱体幅が広がれば、等温度の幅も比例して広がると言うことである。これは、一般的に、各発熱体サイズの発熱体2における主走査方向Sおよび副走査方向Fの何れでも言えることである。
【0062】
発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×30μmの場合、その発熱温度分布は、その発熱体2の主走査方向Sおよび副走査方向Fに同じ長さの分布となる。また、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μmや30×30μmの場合、その発熱温度分布は、その発熱体2の主走査方向Sについては、副走査方向Fに比べ若干長くなる。
さらに、発熱体サイズ(主走査×副走査)が30×20μmの場合、その発熱温度分布は、その発熱体2の主走査方向Sについては副走査方向Fに比べきわめて長くなる。
【0063】
以下、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×30μm、20×20μmや30×30μmの場合と、発熱体サイズ(主走査×副走査)が30×20μmの場合とにおいて、その発熱温度分布とマスタ穿孔状態とについて比較しながら考察する。
【0064】
印字周期tlが短くなると、サーマルヘッド1の発熱体2上を副走査方向Fへ移動する単位時間当たりのマスタ3の移動量は多くなる。サーマルヘッド1の発熱体2の発熱は、その発熱体2の中央部(図26では0部)より温度上昇が開始し、その発熱体2の中心を発熱温度の頂点として主走査方向Sおよび副走査方向F四方に向かって温度降下する略山形状の温度分布をなし、マスタ3の上記フィルムが溶融穿孔してその穿孔が広がるある温度、すなわち「閾値(しきいち)温度」に到達すると上記フィルムの穿孔・収縮が開始することとなる。
【0065】
発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μm、20×30μmや30×30μmのサーマルヘッド1で穿孔する場合、印字周期tlが速いと、つまり上記フィルムの穿孔と同時にサーマルヘッド1の発熱体2が上記フィルムに対して相対的に移動するため、初期穿孔時には主走査方向Sについての穿孔は、穿孔はするが完全な収縮をせず、その収縮が途中で停止するような穿孔形態を示し、発熱体2が主走査方向Sおよび副走査方向Fにある程度の高い温度に上昇することで、主走査方向S、副走査方向Fとも完全な穿孔形態が完成すると思われる。上述したように、初期の不完全な穿孔と終期の完全穿孔とが重なり合うために、マスタ穿孔径における副走査方向Fへの過度な延びを示し、その副走査穿孔径Lfが大きくなるものと思われる。
【0066】
一方、発熱体サイズ(主走査×副走査)が30×20μmの場合、印字周期tlが速いときでも、その発熱温度の等温度分布は主走査方向Sに長くなり、初期の穿孔形態より、マスタ3の上記フィルムに対する穿孔収縮開始と同時に主走査方向Sに対しても完全な穿孔形態に必要な熱量が上記フィルムに瞬時に伝熱されやすいため、マスタ穿孔径における副走査方向Fへの過度な延びがないものと思われる。
【0067】
(実施例7)
上記現象を裏付ける実験の観察結果として、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×30μm、30×20μm、30×25μm、のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合のマスタ穿孔状態の拡大写真を図27(a),(b),(c)にそれぞれ示す。穿孔(印字)パターンとしては、主走査方向Sに数十ドット連続穿孔(印字)し、かつ、副走査送りピッチpfを63.5(μm/line)として1ライン毎に製版、非製版を繰り返したものである。なお、下記する条件以外の他の製版条件は、実施例1と同じ条件で行なった。
【0068】
図27(a)に示す写真3は、発熱体サイズ(主走査×副走査)=20×30μm、印字周期tl=1.5ms/line、通電パルス幅tp=600μs、印加エネルギーEs=45.5μJの製版条件で行なったときのマスタ穿孔状態(もしくはマスタ穿孔形態)を表している。
図27(b)に示す写真4は、発熱体サイズ(主走査×副走査)=30×20μm、印字周期tl=1.5ms/line、通電パルス幅tp=600μs、印加エネルギーEs=49.0μJの製版条件で行なったときのマスタ穿孔状態を表している。
図27(c)に示す写真5は、発熱体サイズ(主走査×副走査)=30×25μm、印字周期tl=1.5ms/line、通電パルス幅tp=600μs、印加エネルギーEs=60.0μJの製版条件で行なったときのマスタ穿孔状態を表している。
【0069】
図27(a),(b),(c)に示す各マスタ穿孔状態における製版条件の値は、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×30μm、30×20μm、30×25μm、のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1で穿孔する場合の、マスタ穿孔径において過度な副走査穿孔径Lfを呈する製版条件の限界値である。発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×30μmの場合では、マスタ3の上記フィルムに対する穿孔hの開始部である穿孔hの既に先端部で主走査方向Sに収縮の少ない三角状の穿孔状態になることが分かる。これは、上述したように、サーマルヘッド1の発熱体2上をマスタ3が通過する速さが時間的に速いため、上記フィルムへの加熱溶融穿孔開始時に主走査方向Sに穿孔はするが完全な収縮をせず、その収縮が途中で停止することを裏付けている。
【0070】
これと比較して、発熱体サイズ(主走査×副走査)が30×25μm、30×20μmの場合のマスタ穿孔状態は、マスタ3の上記フィルムに対する穿孔hの開始部である穿孔hの先端部で主走査方向Sに収縮の少ない三角状の穿孔状態になることが抑制されていることが分かる。
【0071】
上記したように、マスタ穿孔径における副走査穿孔径Lfの過度な延びは、副走査方向Fの穿孔hの独立性の障害となって副走査方向Fでの穿孔hのオーバーラップを来すことがあるので上記フィルムにおける副走査方向Fの分離性を悪くし、その結果、画像品質を劣化させるのでよくないし、また、副走査穿孔径Lfの過度な延びがそこまで達しなくても、マスタ3の上記フィルムに対する穿孔hの開始部である穿孔hの先端部で主走査方向Sに収縮の少ない三角状の穿孔状態になることも、この穿孔hより印刷用紙へ転移するインキがマスタ穿孔状態に依存するため、画質上よくない。
【0072】
(実施例8)
次に、発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μm、20×30μm、30×30μm、のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合において、副走査穿孔径Lfが極端に大きくなり、かつ、副走査方向Fの下流側の穿孔先端部の主走査穿孔径Lsが小さくなる現象がおこる分岐点において、印字周期tlと、通電パルス幅tpと、この通電パルス幅tpの時間内に搬送されるマスタ搬送距離との間にどのような関係があるかを調べるため、図15、図17および図19に示した実験結果から下記の表3に示す結果を求めた。なお、通電パルス幅tpの時間内に搬送されるマスタ搬送距離は、式=[通電パルス幅tp(μs)/印字周期tl(μs/line)]×副走査送りピッチpf(μm/line)で求められる。
【0073】
【表3】
【0074】
この表3の結果と図15、図17および図19に示した実験結果とから、印字周期tlに対しサーマルヘッド1の発熱体2への通電パルス幅tpの比率が30%を超えると、また、通電パルス幅tpの時間内に搬送されるマスタ搬送距離が20〜25μmを超えるとこのような副走査穿孔径Lfの乱れを生じることが分かる。
【0075】
以上の各実験結果より、サーマルヘッド1の発熱体2を加熱するための通電パルス幅tpと印字周期tlと副走査送りピッチpfとが、以下の(1)の関係式を満たす条件にあれば、発熱体サイズにかかわらず、マスタ穿孔における副走査穿孔径Lfの過度な延びをなくし安定したマスタ穿孔径が得られることが分かる。
[通電パルス幅tp(μs)/印字周期tl(μs/line)]×副走査送りピッチpf(μm/line)≦25(μm)…(1)
しかしながら、実施例2で述べたように、同一発熱体サイズで、同一なマスタ穿孔状態を得る場合、サーマルヘッド1の発熱体2を発熱させる通電パルス幅tpは極力長くする方が発熱体2の発熱ピーク温度を低く抑えることができるため発熱体2の熱的ストレスを低減することができ、その結果、発熱体2の寿命を延命することができる。
発熱体サイズ(主走査×副走査)が20×20μm、20×30μm、30×30μm、のうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合では、その発熱体2を発熱させる通電パルス幅tpの上限は上記(1)式により限定される。これに対し、発熱体サイズ(主走査×副走査)が30×20μmの場合では、印字周期tlを短くしたときでもマスタ穿孔品質を損なわずに発熱体2を発熱させる最大の通電パルス幅tpは下記の(2)の関係式でも設定できるため、通電パルス幅tpを極力長くし、発熱体2の寿命を向上させるとの観点から、以下の(2)の関係式に設定すべきである。
【0076】
[通電パルス幅tp(μs)/印字周期tl(μs/line)]×副走査送りピッチpf(μm/line)≧25(μm)…(2)
但し、現実的には、サーマルヘッド1の主走査方向Sの発熱体2の列を主走査方向Sに時分割駆動した方が、サーマルヘッド1への供給電力をより低く抑えることができるため、その時分割駆動する印字分割数を最低でも2つに設定すべきである。したがって、この場合には上記(2)の関係式における通電パルス幅tpの上限値は、以下の(3)の関係式を満たすように設定すべきである。
【0077】
通電パルス幅tp(μs)≦印字周期tl(μs/line)÷印字分割数、ここで印字分割数=2…(3)
なお、製版装置においては、公知技術であるサーマルヘッド温度補正、穿孔径コントロール等の様々な補正を行なうため、サーマルヘッド発熱体の通電時間を制御して使用することが一般的であり、その場合には各種補正制御時の通電時間の最大値である「最大通電パルス幅」を通電パルス幅tpとする。
【0078】
なお、サーマルヘッド1の発熱体2の副走査方向Fの長さに関して、発熱体サイズ(主走査×副走査)が50×60μm、30×40μm、50×40μmのうちの何れか一つの発熱体サイズからなる発熱体2の列を有するサーマルヘッド1を使用した場合(発熱体2の副走査方向Fの長さを副走査送りピッチpf(63.5μm)の1/2より大きくした場合)において、印字周期tlを2.5(ms/line)以下とした副走査方向Fへの連続製版(ベタ画像製版)条件で、そのマスタ穿孔状態を確認した結果、印字周期tlが2.0(ms/line)を境とした前後から、マスタ穿孔における副走査方向Fでの分離性が確保できなかった。
しかしながら、発熱体2の副走査方向Fの長さを副走査送りピッチpfの1/2以下にすることにより、印字周期tlを2(ms/line)以下としても副走査方向Fへの連続製版条件下でも、マスタ穿孔における副走査方向Fでの分離性を確保できた。
【0079】
また、サーマルヘッド1の発熱体2の主走査方向Sの長さを、その副走査方向Fの長さよりも長くすることにより、例えば、サーマルヘッド1の発熱体2の副走査方向Fの長さが上記と同じで、その主走査方向Sの長さがその副走査方向Fの長さよりも短い発熱体2の列を有するサーマルヘッド1に比べ、発熱体2の面積は大きくなるため、熱的ストレスも少なく、発熱体2の寿命も向上する。
【0080】
上記実施例では、発熱体2の主走査方向のピッチAsと副走査送りピッチpfとを実質的に等しくしているが、副走査方向Fの解像度を向上させるために、例えば発熱体2の主走査方向のピッチAsを63.5μm(400DPI)とした場合に、副走査送りピッチpfを42.3μm(600DPI)としてもよい(請求項3参照)。
【0081】
以上説明したように、各実施例の実験結果を含む実施形態によれば、サーマルヘッド1の発熱体2の副走査方向Fの長さを副走査送りピッチpfの1/2以下とし、かつ、発熱体2の主走査方向Sの長さを発熱体2の副走査方向Fの長さよりも長くしたことにより、製版速度が速くなっても(つまり印字周期tlが短くなっても)、目的とする安定した穿孔状態をマスタに形成することができて最適な穿孔を行なえるため、裏移りが少なく、多孔質支持体を有するマスタ3であっても過度な穿孔部に繊維が存在することが抑制されて繊維目の少ない最適な画像を形成することができる。また、サーマルヘッド1の発熱体2の発熱ピーク温度を必要最低限に抑えることで発熱体2への熱ストレスを低減してその発熱体寿命を向上することでサーマルヘッド1の延命化を図れ、かつ、さらなる製版時間の短縮化によって高速製版が行なえる。
【0082】
【発明の効果】
請求項1及び2記載の発明によれば、サーマルヘッドの発熱体の主走査方向のピッチと副走査送りピッチとを等しく、あるいは実質的に等しくすると共に、発熱体の副走査方向の長さを副走査送りピッチの1/2以下とし、かつ、発熱体の主走査方向の長さを該発熱体の副走査方向の長さよりも長くしたことにより、マスタ穿孔径における副走査方向の穿孔径の過度な延びを抑制することができるので、目的とする安定した穿孔状態をマスタに形成することができ、裏移りが少なく、多孔質支持体を有するマスタであっても繊維目の少ない最適な画像を形成することができると共に、発熱体を加熱するための通電パルス幅とサーマルヘッドの印字周期と副走査送りピッチとが、[通電パルス幅(μs)÷印字周期(μs/line)]×副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たすことにより、印字周期が2(ms/line)以下のような高速製版時においても、サーマルヘッドの発熱体の発熱ピーク温度を必要最低限に抑えることができるので、発熱体への熱ストレスを低減してその発熱体寿命を向上することでサーマルヘッドの延命化を図ることができる。加えて、印字周期が2(ms/line)以下であることにより、製版時間の短縮化によって高速製版が行なえる。
【0084】
請求項3記載の発明によれば、サーマルヘッドの発熱体の副走査方向の長さを副走査送りピッチの1/2以下にすると共に、発熱体の主走査方向の長さを該発熱体の副走査方向の長さよりも長くしたことにより、マスタ穿孔径における副走査方向の穿孔径の過度な延びを抑制することができるので、目的とする安定した穿孔状態をマスタに形成することができ、裏移りが少なく、多孔質支持体を有するマスタであっても繊維目の少ない最適な画像を形成することができると共に、サーマルヘッドの発熱体を加熱するための通電パルス幅とサーマルヘッドの印字周期と副走査送りピッチとが、[通電パルス幅(μs)÷印字周期(μs/line)]×副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たすことにより、印字周期が2(ms/line)以下のような高速製版時においても、サーマルヘッドの発熱体の発熱ピーク温度を必要最低限に抑えることができるので、発熱体への熱ストレスを低減してその発熱体寿命を向上することでサーマルヘッドの延命化を図ることができ、また、副走査方向の解像度を向上させることも可能となる。加えて、印字周期が2(ms/line)以下であることにより、製版時間の短縮化によって高速製版が行なえる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態における感熱製版装置の概略的な構成を示す正面図である。
【図2】上記実施形態においてマスタの上記フィルムに形成される穿孔の穿孔径等を定義する模式的な平面図である。
【図3】上記実施形態においてマスタの上記フィルムに形成される穿孔パターンを定義する模式的な平面図である。
【図4】実施例1において、サーマルヘッドの発熱体サイズと通電パルス幅とをパラメータとしたときの、サーマルヘッドの発熱体に印加される印加エネルギーの大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図5】図4と同一の実験条件において、印加エネルギーの大きさと副走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図6】図4および図5に示した各データについて、発熱体サイズをパラメータとしたときの、主走査穿孔径と副走査穿孔径との関係を表したグラフである。
【図7】実施例2において、サーマルヘッドの発熱体サイズと通電パルス幅とをパラメータとしたときの、主走査穿孔径の大きさとサーマルヘッドの発熱体のピーク温度との関係を表したグラフである。
【図8】図7と同一の実験条件における副走査穿孔径の大きさとサーマルヘッドの発熱体のピーク温度との関係を表したグラフである。
【図9】図7および図8に示した各データについて、発熱体サイズを30×20μmとし、マスタ穿孔径(主走査穿孔径×副走査穿孔径)=52.5×52.5μmとなるときの、通電パルス幅とサーマルヘッドの発熱体のピーク温度との関係を表したグラフである。
【図10】実施例3において、サーマルヘッドの発熱体サイズを主走査×副走査:20×30μmに固定した場合であって、フィルムの厚さと通電パルス幅とをパラメータとしたときの、印加エネルギーの大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図11】図10に示した全てのデータについて、主走査穿孔径と副走査穿孔径との関係を表したグラフである。
【図12】実施例3において、サーマルヘッドの発熱体サイズを主走査×副走査:30×20μmに固定した場合であって、フィルムの厚さと通電パルス幅とをパラメータとしたときの、印加エネルギーの大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図13】図12に示した全てのデータについて、主走査穿孔径と副走査穿孔径との関係を表したグラフである。
【図14】実施例4において、通電パルス幅を500μsに固定し、発熱体サイズをパラメータとしたときの、印字周期の大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図15】図14と同一の実験条件において、印字周期の大きさと副走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図16】実施例4において、通電パルス幅を1000μsに固定し、発熱体サイズをパラメータとしたときの、印字周期の大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図17】図16と同一の実験条件において、印字周期の大きさと副走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図18】実施例4において、通電パルス幅を1500μsに固定し、発熱体サイズをパラメータとしたときの、印字周期の大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図19】図18と同一の実験条件において、印字周期の大きさと副走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図20】実施例5において、発熱体サイズを20×30μmに、通電パルス幅を500μsにそれぞれ固定し、印加エネルギーをパラメータとしたときの、印字周期の大きさと主走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図21】図20と同一の実験条件において、印字周期の大きさと副走査穿孔径の大きさとの関係を表したグラフである。
【図22】実施例4において、発熱体サイズが20×30μm、通電パルス幅が500μs、印加エネルギーが49μJ、印字周期が1ms/lineの条件のときのマスタ穿孔状態を表す写真1である。
【図23】図22と同一の実験条件において、印字周期のみを1.5ms/lineに変えたときのマスタ穿孔状態を表す写真2である。
【図24】実施例6において、発熱体サイズをパラメータとしたときの、図26に示す発熱体の拡大図における主走査方向に沿ったBb線の各発熱体位置における発熱温度分布を表したグラフである。
【図25】実施例6において、発熱体サイズをパラメータとしたときの、図26に示す発熱体の拡大図における副走査方向に沿ったAa線の各発熱体位置における発熱温度分布を表したグラフである。
【図26】サーマルヘッドの発熱体の主走査方向および副走査方向の発熱体位置を表すための、保護膜を透過して見た発熱体の拡大平面図である。
【図27】実施例7において、図27(a)は、発熱体サイズ(主走査×副走査)=20×30μm、印字周期tl=1.5ms/line、通電パルス幅tp=600μs、印加エネルギーEs=45.5μJの製版条件で行なったときのマスタ穿孔状態を表す写真3であり、図27(b)は、発熱体サイズ(主走査×副走査)=30×20μm、印字周期tl=1.5ms/line、通電パルス幅tp=600μs、印加エネルギーEs=49.0μJの製版条件で行なったときのマスタ穿孔状態を表す写真4であり、図27(c)は、発熱体サイズ(主走査×副走査)=30×25μm、印字周期tl=1.5ms/line、通電パルス幅tp=600μs、印加エネルギーEs=60.0μJの製版条件で行なったときのマスタ穿孔状態を表す写真5である。
【符号の説明】
1 サーマルヘッド
2 発熱体
3 マスタ
As 発熱体の主走査方向の主走査ピッチ
Es 印加エネルギー
F 副走査方向(マスタ搬送方向)
h 穿孔
Lf 副走査穿孔径
Ls 主走査穿孔径
pf 副走査送りピッチ
tl 印字周期
tp 通電パルス幅
S 主走査方向
Claims (3)
- 主走査方向に配列した複数の発熱体を有するサーマルヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムおよび多孔質支持体を有するマスタに接触させ、上記主走査方向と直交する副走査方向に上記マスタを所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じて上記発熱体の位置選択的な加熱により上記マスタの上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してドット状の製版画像を上記マスタに形成する感熱製版装置において、
上記発熱体の上記主走査方向のピッチと上記副走査送りピッチとを等しくすると共に、上記発熱体の上記副走査方向の長さを上記副走査送りピッチの1/2以下とし、かつ、上記発熱体の上記主走査方向の長さを該発熱体の上記副走査方向の長さよりも長くし、かつ、上記発熱体を加熱するための通電パルス幅と上記サーマルヘッドの印字周期と上記副走査送りピッチとが、
[上記通電パルス幅(μs)÷上記印字周期(μs/line)]×上記副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たし、なおかつ、上記印字周期が、2(ms/line)以下であることを特徴とする感熱製版装置。 - 主走査方向に配列した複数の発熱体を有するサーマルヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムおよび多孔質支持体を有するマスタに接触させ、上記主走査方向と直交する副走査方向に上記マスタを所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じて上記発熱体の位置選択的な加熱により上記マスタの上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してドット状の製版画像を上記マスタに形成する感熱製版装置において、
上記発熱体の上記主走査方向のピッチと上記副走査送りピッチとを実質的に等しくすると共に、上記発熱体の上記副走査方向の長さを上記副走査送りピッチの1/2以下とし、かつ、上記発熱体の上記主走査方向の長さを該発熱体の上記副走査方向の長さよりも長くし、かつ、上記発熱体を加熱するための通電パルス幅と上記サーマルヘッドの印字周期と上記副走査送りピッチとが、
[上記通電パルス幅(μs)÷上記印字周期(μs/line)]×上記副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たし、なおかつ、上記印字周期が、2(ms/line)以下であることを特徴とする感熱製版装置。 - 主走査方向に配列した複数の発熱体を有するサーマルヘッドを、熱可塑性樹脂フィルムおよび多孔質支持体を有するマスタに接触させ、上記主走査方向と直交する副走査方向に上記マスタを所定の副走査送りピッチで移動させ、画像データに応じて上記発熱体の位置選択的な加熱により上記マスタの上記熱可塑性樹脂フィルムを溶融穿孔してドット状の製版画像を上記マスタに形成する感熱製版装置において、
上記発熱体の上記副走査方向の長さを上記副走査送りピッチの1/2以下にすると共に、上記発熱体の上記主走査方向の長さを該発熱体の上記副走査方向の長さよりも長くし、かつ、上記発熱体を加熱するための通電パルス幅と上記サーマルヘッドの印字周期と上記副走査送りピッチとが、
[上記通電パルス幅(μs)÷上記印字周期(μs/line)]×上記副走査送りピッチ(μm/line)≧25(μm)の関係を満たし、なおかつ、上記印字周期が、2(ms/line)以下であることを特徴とする感熱製版装置。
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