JP4302332B2 - 感熱孔版原紙の製版方法、製版装置及び孔版印刷版 - Google Patents

感熱孔版原紙の製版方法、製版装置及び孔版印刷版 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、孔版印刷に用いられる感熱孔版原紙のフィルムに、サーマルヘッド等の加熱デバイスによって穿孔を施すことからなる感熱孔版原紙の製版方法及び装置並びにそれによって得られた孔版印刷版に関し、特に、熱伝達効率の低下をおさえて製版デバイスに大きい印加エネルギーや高い温度条件を要求することなく、穿孔の大きさを適切に保ち、また、ランダムにまたは画像パターンに依存して局所的に発生する穿孔の形状のばらつきをおさえ、さらに、フィルムの樹脂が発熱素子に固着することを防止する、などの利点を備えた穿孔形態に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱孔版原紙の熱可塑性樹脂フィルム(以下、“熱可塑性樹脂フィルム”を単に“フィルム”とよぶ)は、サーマルヘッドやレーザー等の加熱デバイスによる熱を受けてインクが通過するための穿孔が形成される性質をもつ。印刷時はこの穿孔を通ってインクが紙に転移する。そのフィルムの材料は今までに種々提案されており、特開昭41-7623号ではポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体が、特開昭47-1184号ではプロピレン系共重合体が、特開昭47-1185号では塩素化ポリ塩化ビニルが、特開昭47-1186号では高結晶性塩化ビニルが、特開昭49-6566号ではプロピレン・α-オレフィン共重合体が、特開昭49-10860号ではエチレン・酢酸ビニル共重合体が、特開昭51-2512号ではアクリロニトリル系樹脂が、特開昭51-2513号ではポリエチレンテレフタレートが、特許1669893号ではポリフッ化ビニリデンが、特許2030681号ではポリエチレンナフタレート共重合体などがあげられている。現在、市場で実用化されている感熱孔版原紙のフィルムには、これらのうち、主に穿孔感度(少ない熱量で十分な大きさの穿孔を得る性能)と機械適性(製版時や印刷時にしわ、たるみ、伸び、変形が発生しにくい性能)の理由により、ポリエチレンテレフタレート、または塩化ビニリデン系共重合体を2軸延伸した熱収縮性フィルムが一般に用いられており、特に製版から印刷まで自動でおこなう孔版印刷機用にはポリエチレンテレフタレートが主流になっている。
【0003】
一方、熱により穿孔を形成するためには、延伸された熱収縮性フィルムでなくとも、低融点の樹脂をキャストしたフィルムでもよい。この例として特許1668117号や特開昭62-173296号には合成樹脂の溶液またはエマルションからキャストしたフィルムが、特開平4-78590号にはシリコーンオイルを含有したキャストによる熱可塑性樹脂フィルムが提案されている。キャストフィルムの場合、熱収縮性を示さないが、融点の低い樹脂を使用するので、熱せられた部分が溶融して穿孔を生じる(このフィルムを以下“熱溶融性フィルム”とよぶ)。
【0004】
しかし、この熱溶融性フィルムは、現在、市場では感熱孔版原紙として実用化されていない。その理由は主に穿孔感度の低さと、穿孔形状の不安定さ、さらに製版物の印刷中における機械的強度の不足にあると考えられる。
【0005】
現在実用化されている孔版印刷機用の感熱孔版原紙の熱収縮性フィルムは、厚さ1.5〜3μm程度を実現していて、特許1668117号などで主張されている10μm以下のフィルムを安定して製膜しラミネートすることの困難さはなくなっている。
【0006】
また、穿孔挙動における樹脂の移動は、熱溶融性フィルムが表面張力のみに頼っているのに比べて、熱収縮性フィルムは表面張力より十分大きい熱収縮応力に頼っているため、膜厚と溶融粘度が同程度ならば熱溶融性フィルムよりも熱収縮性フィルムが格段に高感度であり、すなわち小さい熱量で十分な大きさの穿孔が得られる。
【0007】
熱収縮性フィルムの熱収縮応力は温度依存性が明確で、このことによりサーマルヘッドの発熱素子などによって得られる温度パターンに忠実な穿孔が得られている。一方、熱溶融性フィルムを加熱しその表面張力によって穿孔する場合、発熱素子の温度パターンが穿孔形状に忠実に反映されない。なぜなら、溶融して粘度が低下した樹脂が表面張力によって移動する方向は発熱素子の中心から遠い低温度の方向とは限らず、支持体繊維の周辺に集まったり、発熱素子との相対移動によるズリによって不規則に流されたりするからである。したがって、熱溶融性フィルムを使用した感熱孔版原紙を製版して、印刷条件に適した開孔率を実現しても、個々の穿孔の類似性は非常に低い。つまり、微視的には大きな穿孔と小さな穿孔が混在し、画像のベタ部分などにおける均一な濃度を実現しにくい。
【0008】
さらに、熱溶融性フィルムの樹脂は低融点とはいえ、現在の孔版印刷機の製版装置の製版条件である微小エリア(画素密度300〜600dpi)及び短時間(副走査の周期が2〜4ms)といった条件下において、表面張力による樹脂の十分な移動を得るためには、熱収縮性フィルムに対するよりも非常に高い温度を発熱素子に与える必要があり、このことが発熱素子を過熱劣化させる原因となる。
【0009】
また、印刷中の感熱孔版原紙は、版胴の回転方向に印刷用紙とのズリによる応力を受ける。キャストされた熱溶融性フィルムを使用する感熱孔版原紙は、延伸された熱収縮性フィルムを使用する感熱孔版原紙に比べて、一般的に弾性率や破断強度が低い。このために、熱溶融性フィルムを備えた感熱孔版原紙は、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙よりも、印刷画像の変形や、場合によっては原紙の切れによる画像の汚損を起こしやすい。
【0010】
以上の理由から、感熱孔版原紙としては、熱収縮性フィルムを備えたものが現在および今後の主流であるといえる。したがって、感熱孔版原紙に関する以下の議論は、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙に関するものに限定する。
【0011】
感熱孔版原紙は、印刷機にセットされ印刷動作をおこなう際に受ける力による伸び、しわ(これらは印刷画像のゆがみを生じさせる)、破損(これは印刷画像を汚す)を避ける目的で、必要な強度を与えるために、通常、すでに述べたフィルムに多孔性支持体を貼り合わせた構成とすることが多い。多孔性支持体は、感熱孔版原紙に強度を与えるとともに、開孔部をとおしてインクを通過させるという孔版印刷版の機能を満足させる構造をもつ。多孔性支持体の材料としては、(1)こうぞ、みつまた、マニラ麻などの天然繊維を抄造した、いわゆる和紙、(2)レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ナイロンなどの再生繊維や合成繊維を紙状に抄造したシート、(3)前記(1)の天然繊維と前記(2)の再生繊維や合成繊維とを混合して抄造した混抄紙、(4)ポリエステル系繊維とバインダー繊維としての未延伸ポリエステル系繊維とを混合して抄造した薄葉紙を熱ロールで熱圧加工した、いわゆるポリエステル紙などが知られている。
【0012】
一方、このようなフィルムと多孔性支持体を貼り合わせた構成の感熱孔版原紙は、印刷機の印刷動作による力に耐える強度を実現するが、後述するフィルムに施された穿孔をとおしてインクが感熱孔版原紙を通過する際の、多孔性支持体の繊維の分散状態により発生するインク通過性の不均一(これは印刷画像の濃度の均一性を低下させる)を生じさせることがあり、これを嫌って感熱孔版原紙を実質的にフィルムの単層構造とする提案もなされている。
【0013】
ところで、感熱孔版原紙のフィルムに穿孔を形成して製版する方法としては、感熱孔版原紙のフィルム側とカーボンを含む画線部をもつ原稿とを密着させて赤外線を照射し画線部の発熱によりフィルムを穿孔する方法や、感熱孔版原紙のフィルム側とサーマルヘッドとを密着し相対移動させて原稿画像に対応する発熱素子を発熱させフィルムを穿孔する方法や、感熱孔版原紙のフィルム上に原稿画像に対応する変調をかけたレーザービームをスキャンさせフィルムを穿孔する方法などがある。このうち赤外線による方法は原稿の種類に制限があり、また文書や画像のデータ編集に対応できない。レーザーによる方法は主に製版時間の長さが原因で実用化できていない。したがって、現在のところ、サーマルヘッドによる方法が主流である。
【0014】
サーマルヘッドによる製版では、主走査方向と副走査方向の2次元的に配列された多数の穿孔を形成する。このとき穿孔はそれぞれがほぼ等しい形状で印刷条件に適した開孔率を実現することが望ましい。穿孔形状がそろっていると、画線部、特にベタ部において微視的なインク転移状態が均一化され、均一な濃度が得られるためである。逆に穿孔形状が不ぞろいだと、微視的なインク転移状態が一定せず、細線がかすれたり、ベタの濃度が不均一であったり、過大な穿孔によって部分的にインク転移が過多になることで裏移りを発生させることになる。このため、各発熱素子による穿孔形状を安定させるために、発熱素子形状について種々の提案がなされている。特許2732532号では、主走査のピッチと副走査のピッチを等しくし、発熱素子の主走査方向長さを副走査方向長さより短くし、発熱素子の副走査方向長さを副走査のピッチよりも短くし、主走査方向にも副走査方向にも独立した穿孔を得る方法が提案されている。特開平4-314552号では、主走査方向に隣接する発熱素子間に熱伝導率の大きい材料を用いた冷却部材を配置し、主走査方向に隣接する穿孔の連結を防ぐ方法が提案されている。特開平6-115042号では、熱可塑性樹脂フィルム単体からなる感熱孔版原紙を、発熱素子の主走査方向長さが主走査のピッチの15〜75%の範囲内にし、発熱素子の副走査方向長さが副走査のピッチの15〜75%の範囲内にしたサーマルヘッドで製版する方法が提案されている。
【0015】
従来、穿孔形態については、貫通孔の平面形状(直径、縦横比、面積)、またはその統計的な状態(平均値、ばらつき)がもっぱら議論され、望ましいインクの転移状態を与える穿孔の輪郭形状については以下のような例を除いてはほとんど言及されていない。すなわち、特許2638390号では、発熱素子の主走査方向長さおよび副走査方向長さと穿孔の主走査方向長さおよび副走査方向長さの4者の関係を規定し、主走査方向にも副走査方向にも独立した穿孔を得る方法が提案されており、この中で穿孔の輪郭の存在が述べられている。特開平6-320700号では、実質的にフィルムのみからなる感熱孔版原紙の一方の面から第1のサーマルヘッドで加熱し、その後他方の面から第2のサーマルヘッドで加熱して穿孔する方法が提案されており、この中で穿孔の断面形状が述べられている。特開平8-20123号では、感熱孔版原紙の支持体に起因する穿孔形状のばらつきを除去するために、感熱孔版原紙が実質的に3.5μm以上の厚さの熱可塑性樹脂フィルムのみからなり、形成された孔はすり鉢状の断面を有し、そのすり鉢断面の寸法を主走査のピッチとの関係で規定した感熱孔版原紙の製版方法が提案されている。
【0016】
前記特許2732532号、特開平4-314552号、特開平6-115042号は、隣接する穿孔同士の連結による拡大を防ぎ、個々の穿孔形状をそろえ、望ましいインク転移状態を実現するための有力な方法であるが、フィルムの物性によって穿孔挙動がことなるために、多様な熱収縮性フィルムに対して穿孔形状を制御する最良の方法を示しているとはいえない。
【0017】
また、前記特許2638390号、特開平6-320700号には穿孔の輪郭や穿孔の断面形状についての記述があるが、いずれもその存在を示しているにすぎず、穿孔の輪郭や断面形状が穿孔形状に与える影響や、熱伝達効率を低下させないための方法や、穿孔形状を均一化する方法についての示唆は得られない。
【0018】
また、前記特開平8-20123号に記載されている製版方法は、上述のように、すり鉢断面の寸法を主走査のピッチとの関係を規定しているが、このような多孔性支持体をもたない厚手の熱可塑性樹脂フィルムのみからなる感熱孔版原紙は現在、市場における製品として実施されておらず、その穿孔形態以前の問題が解決されていない。また、熱可塑性樹脂フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせた従来の形態を含めた一般的な感熱孔版原紙に施した穿孔の断面形状については言及しておらず、輪郭の断面形状や高さが熱伝達効率に影響し、穿孔形状のばらつきに影響するという知見については一切開示していない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
孔版印刷版において、一定の大きさの貫通孔を形成させようとする場合、サーマルヘッドによって穿孔される部分の樹脂は貫通孔の周囲の輪郭部分に移動するが、感熱孔版原紙のフィルムの熱物性やサーマルヘッドの発熱素子の発熱条件などによっては、しばしばこの輪郭部分に集積された樹脂は、フィルムの加熱される側の面より大きく隆起して形成される。
【0020】
この隆起部分は、フィルムの被加熱面とサーマルヘッドの発熱素子の間にはさまれて、フィルムの被加熱面と発熱素子とを隔てるはたらきをする。その結果、発熱素子からフィルムへの熱伝達効率を大きく低下させて貫通孔の大きさを目標値に実現させることを困難にする。貫通孔の大きさが目標値に達しない場合は、印刷物の濃度不足を発生させる。また、それに対してサーマルヘッドの発熱素子に印加するエネルギーを強める方法によって目標値を実現しようとすると、発熱素子を損傷するおそれもある。
【0021】
一方、形成された隆起がフィルムの被加熱面と発熱素子とを隔てる距離は、穿孔が形成されない非画像部分と、多数の穿孔が形成されるベタ部分とでは異なる。そのため、上記の熱伝達効率の低下は画像率の影響を受け、印刷物における濃度むらを発生させる。また、輪郭の隆起部分がサーマルヘッドの発熱素子と圧着され、ずりの力を受けて搬送されるために、穿孔の輪郭の平面形状、すなわち貫通孔の形状をゆがませ、印刷物における微視的な濃度むらや文字などのパターンの再現性の低下を生じさせる。貫通孔の形状のゆがみが著しい場合は、隣り合う穿孔の貫通孔が連結して、それによって生じる大きな貫通孔から過多の量のインクが紙に転移することによる裏移りなども発生させている。
【0022】
さらに、上記のずりによって変形されたフィルムの樹脂がフィルムから脱落し、サーマルヘッドの発熱素子の下流側に堆積し、それがさらに発熱素子とフィルムとを隔てて製版性能を大きく低下させるという症状をおこすこともある。
【0023】
これらの症状の原因は、フィルムの熱物性やサーマルヘッドの発熱素子の発熱条件などにあることは知られていたが、穿孔の貫通孔の周囲に隆起する輪郭の高さとの関係ではとりあげられていなかった。また、穿孔の輪郭を含む穿孔形状を決定する因子についての具体的な知見は明らかにされておらず、試行錯誤の状態であった。
【0024】
この発明は、この問題点を解決するためのものであり、輪郭の影響による熱伝達効率の低下をおさえて製版デバイスに大きい印加エネルギーや高い温度条件を要求することなく、穿孔の貫通孔の大きさを適切に保ち、ランダムにまたは画像パターンに依存して局所的に発生する穿孔形状のばらつきをおさえ、フィルムの樹脂が発熱素子に固着することを防止する、などのための穿孔形態を提供することを目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的の下に感熱孔版原紙の穿孔挙動について鋭意研究した結果、穿孔間のピッチに応じて輪郭の高さを一定条件に従うように穿孔を形成することにより、フィルムの厚さや融点にかかわらず、穿孔の形状のばらつきを抑え、良好な印刷物が得られることを見いだした。
【0026】
すなわち、この発明の第一の局面によれば、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版方法において、該穿孔は貫通孔を囲む輪郭をもち、熱収縮性フィルム上の加熱される側の面に隆起する輪郭の、穿孔前のフィルム面に対する高さhは、下記式[1]および式[2]を満足することを特徴とする感熱孔版原紙の製版方法、
h≦4[μm] [1]
h≦0.05√(px py)[μm] [2]
(式中、pxは主走査のピッチ[μm]、pyは副走査のピッチ[μm]である。)
が提供される。
【0027】
また、この発明の第二の局面によれば、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版装置において、該穿孔は貫通孔を囲む輪郭をもち、熱収縮性フィルム上の加熱される側の面に隆起する輪郭の、穿孔前のフィルム面に対する高さhは、下記式[1]および式[2]を満足することを特徴とする感熱孔版原紙の製版装置、
h≦4[μm] [1]
h≦0.05√(px py)[μm] [2]
(式中、pxは主走査のピッチ[μm]、pyは副走査のピッチ[μm]である。)
が提供される。
【0028】
また、この発明の第三の局面によれば、加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔が形成された熱収縮性フィルムを備えた孔版印刷版であって、該穿孔は貫通孔を囲む輪郭をもち、熱収縮性フィルム上の加熱される側の面に隆起する輪郭の、穿孔前のフィルム面に対する高さhは、下記式[1]および式[2]を満足することを特徴とする孔版印刷版、
h≦4[μm] [1]
h≦0.05√(px py)[μm] [2]
(式中、pxは主走査のピッチ[μm]、pyは副走査のピッチ[μm]である。)
が提供される。
【0029】
また、この発明の第四の局面によれば、加熱デバイスにより選択的に加熱されて画像に対応する独立した点状の穿孔を形成する熱収縮性フィルムを備える感熱孔版原紙であって、該穿孔は貫通孔を囲む輪郭をもち、熱収縮性フィルム上の加熱される側の面に隆起する輪郭の、穿孔前のフィルム面に対する高さhは、下記式[1]および式[2]を満足することを特徴とする感熱孔版原紙、
h≦4[μm] [1]
h≦0.05√(px py)[μm] [2]
(式中、pxは主走査のピッチ[μm]、pyは副走査のピッチ[μm]である。)
が提供される。
【0030】
以下に、この発明を詳細に説明する。
【0031】
すでに述べたように、感熱孔版原紙は、その構成から、フィルムと多孔性支持体との貼り合わせ構造のものと、実質的にフィルムの単層構造であるものの2種類がある。以下の議論はそのような感熱孔版原紙の構成に依存しない、感熱孔版原紙のフィルムに施すべき望ましい穿孔の形状的特徴、およびそのような形状的特徴を持つ穿孔を形成させるための製版方法、製版装置、感熱孔版原紙、また、それらによって得られる製版された感熱孔版原紙の性質に関するものであるので、以後、感熱孔版原紙という場合、フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせた構造のものと、実質的にフィルムの単層構造であるものの両方を総称し、特に区別しないことにする。実際、この発明は上記2種類の構成の感熱孔版原紙のどちらにも適用することができる。また以後、孔版印刷に用いるための製版された感熱孔版原紙を“孔版印刷版”とよぶ。
【0032】
一般に、熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムに施された穿孔1は、図1に示すように、貫通部分2とそのまわりに形成される変形を生じた部分3とで構成される。この貫通部分2を以下、“貫通孔”とよぶ。貫通孔2のまわりに形成される変形を受けた部分3は、製版される前のフィルムに比べ、厚みが変化している。変形を生じた部分3は一般に、楕円断面部分(この部分を、本明細書では、“輪郭”とよぶ)4と、場合によってはその内側に接する薄膜部分5とからなる。薄膜部分5がしめる体積は、輪郭4がしめる体積に比べ、非常にわずかなものである。フィルムや製版の条件によっては、薄膜部分5が生じないこともある。輪郭4は、製版される前の状態、または製版によって変形されない部分に比べ、厚くなる。製版される前の、または製版によって変形されない部分の、感熱孔版原紙の加熱デバイスによって加熱される側のフィルム表面6を、本明細書では、“基準面”とよぶ。基準面6に対し、輪郭4が加熱デバイスの方向に隆起する最大の高さ7を、本明細書では、輪郭の“高さ”と定義する。また、貫通孔2と変形を生じた部分3を合わせた全体1を、本明細書では、“穿孔”とよぶ。また、穿孔1を形成させることも、本明細書では、“穿孔(する)”とよぶ。
【0033】
本発明者らは、本発明に関する研究において、従来にない新しい観点での穿孔現象の評価方法を見いだした。すなわち、感熱孔版原紙の製版方法として現在もっとも一般的なサーマルヘッドによって熱収縮フィルムが穿孔される現象を、μmオーダーの顕微鏡視野でμsオーダーの高速に撮像できる装置を使用し、時間とともにフィルムに穿孔が発生し拡大する挙動を観察した。これにより、穿孔の一連の挙動は以下の4段階に分けられることがわかった。
【0034】
第一に、発熱素子に電圧が印加され、ジュール熱が発生する。これによってサーマルヘッドの発熱素子は、図2のように、中心部がもっとも高温で、周辺にいくほど温度が低くなる温度分布をもち、フィルムを加熱する。それによって、フィルムは、図3のように、発熱素子の中心と接する部分がもっとも高温になり、そこから離れるほど温度が下がる。もちろん、発熱素子の温度分布も、フィルムの温度分布も、時間によって変化する。
【0035】
フィルムは、図4のように、収縮し始める温度8(以後、これを“収縮開始温度”とよぶ。収縮開始温度8はフィルムのガラス転移温度を越えている)を超えると、フィルム面の方向に互いに距離を縮めようとする力(熱収縮応力)が発生するから、収縮開始温度8以上の領域のいたるところで張力が発生する。張力の合力の方向は、フィルム上の等温線にほぼ(熱収縮が等方的なら、完全に)直交する。一方、フィルムの温度がガラス転移温度を下まわる場所ではフィルムの樹脂は動かず、フィルムの温度がガラス転移温度を越える場所では高温部分ほど変形しやすいから、フィルムの樹脂はフィルムの最高温部から周辺部に向かって、すなわち図3の斜面をすべり落ちるように移動していく。図5に主走査方向に隣接する発熱素子が発熱したときの、フィルムの温度の分布(等温線)を実線で示し、等温線に直交して温度が低下する方向を点線の矢印で示した。すなわち、フィルムの樹脂は図5の点線の向きに移動する。
【0036】
第二に、フィルムの最高温部付近に最初の小さな貫通孔が発生する(穿孔の発生)。
【0037】
第三に、発生した小さな貫通孔の外周が、その外側からの張力によって、周辺部に向かって引っ張られていく(熱収縮による穿孔の成長)。貫通孔の外周は周辺部に向かって引っ張られながら、その経路にある樹脂を取り込んで体積を増していき、輪郭を形成する。輪郭の断面の形状は表面張力によって円または楕円に近いかたちをとる。
【0038】
一般に、熱収縮性フィルムを熱収縮挙動を示す温度領域に維持しつづけると、最終的には熱収縮挙動を示さなくなる。穿孔の成長の段階では、輪郭は溶融または軟化した樹脂からなり、熱収縮が終わった状態であると考えられる。したがって、ベタ部分のように隣接画素の穿孔がある場合、隣接する穿孔の輪郭が、穿孔の成長によってお互いに接触し、融合してしまったら、輪郭を外側にひっぱる部分、すなわち熱収縮が終わっていない状態の部分がないので、輪郭は熱収縮によってそれ以上穿孔を成長させることができない。
【0039】
ところが、たとえば熱収縮によって拡がる最大の貫通孔に対して、それによる紙への転移像の大きさが十分でない、すなわちドットゲインが小さい場合等では、画素間にすきまのない印刷物を得るためには、貫通孔をより大きなものにする必要があり、さらに加熱を続けることがある。このとき、穿孔は熱収縮によっては成長していかないが、輪郭は加熱され十分軟らかくなり、表面張力による移動がおこる。このようすを図6に示す。表面張力による移動は、低粘度の部分(隣接する貫通孔の中間の高温部分)から高粘度の部分(対角に隣接する貫通孔の中間の低温部分)に向かっておこる(表面張力による穿孔の成長)。ただし、対角に隣接する貫通孔の間には、熱収縮が終わっていない状態の部分があり、貫通孔はさらに熱収縮によって対角に隣接する貫通孔の方向に拡大する(図6の白色の太矢印参照)。
【0040】
第四に、発熱素子への印加が終わって、発熱素子の温度が下がり、その後、フィルムの温度も下がっていくと、輪郭とその外側部分の温度が収縮開始温度8を下回り、輪郭は周辺部に向かって引っ張られなくなる。また、輪郭の温度が下がることによって粘度が上がり、表面張力による移動がとまる。これらによって、穿孔の形が固定化される(穿孔の終了)。
【0041】
現在、感熱孔版印刷機用として市販されている一般的な感熱孔版原紙のフィルム面の表面粗さは、算術平均粗さRaでおよそ1〜1.5μm、10点平均粗さRzでおよそ3.5〜5μmである。これらの値は、三鷹光器(株)製、非接触三次元形状測定装置NH-3により、縦10mm×横10mmのエリアを、縦横とも30μmのピッチで、カットオフ波長を2.5mmとして、平面上に緊張させた感熱孔版原紙のフィルム面を開放(圧力がかからない)状態で測定したものであり、実際の製版時にサーマルヘッドとプラテンローラーでニップされた状態のものではない。ニップされた状態での感熱孔版原紙のフィルム面の表面粗さは、開放状態の値よりも小さくなると考えられるが、これを直接測定または推定する合理的な方法は、現在のところ、得られていない。
【0042】
現在、孔版印刷機の製版装置に用いられているサーマルヘッドは、スパッタリング工程によって形成される薄膜型が一般的である。薄膜型サーマルヘッドの発熱素子付近の形態的な特徴は、発熱素子の表面が、その副走査方向に隣接する電極部分の表面より約1μmほど凹んでいることである。サーマルヘッドの電極部分の表面は感熱孔版原紙のフィルム側にもっとも近接し、その算術平均粗さRaは約0.1μm以下、10点平均粗さRzは0.2μm程度である。
【0043】
ニップされ、穿孔されていない状態の、感熱孔版原紙のフィルム面とサーマルヘッドの発熱素子の表面との間の距離d0[μm]は、合理的な推定ではないが、発熱素子表面の凹みh、サーマルヘッドの発熱素子近傍の電極部分の表面の10点平均粗さRzt、感熱孔版原紙のフィルム面の10点平均粗さRzfとから
【0044】
【数1】
Figure 0004302332
【0045】
の程度と見込むことができる。この想定によれば、d0は、
【0046】
【数2】
Figure 0004302332
【0047】
となる。
【0048】
サーマルヘッドとプラテンローラーにニップされる部分の感熱孔版原紙のフィルムがまったく穿孔されていない場合、輪郭の高さはゼロである。したがって、この部分に最初の穿孔が発生する直前の、フィルム面すなわち基準面とそれに接する発熱素子の表面との距離d0[μm]は、ニップされた状態の両者の形状または表面粗さに依存し、すでに述べたように、
【0049】
【数3】
Figure 0004302332
【0050】
程度と想定できる。
【0051】
ところが、製版によってフィルムを穿孔させると、上述した穿孔挙動の第三段階において穿孔が成長すると同時に、穿孔の輪郭が発生し、その断面積が大きくなる。すなわち、輪郭が隆起する。輪郭の隆起した部分は発熱素子に近接する。したがって、基準面と発熱素子との間に、輪郭の隆起部分がはさまれる。
【0052】
また、発熱素子が副走査上の位置で画線部の先端より後の部分にある場合、すなわちサーマルヘッドとプラテンローラーにニップされる部分の感熱孔版原紙の、発熱素子を通過した部分のフィルムがすでに穿孔されている場合、すでに穿孔された部分の隆起した穿孔の輪郭が、基準面と発熱素子の近傍との間にはさまれる。
【0053】
これらによる影響は、以下に述べる2つの現象のどちらか、または両者として同時に現れる。
【0054】
第1の現象は、輪郭を外側にひっぱる部分は、輪郭の最も隆起した部分にくらべ、輪郭の高さの分だけ、発熱素子との距離が遠くなる。
【0055】
正確には、すでに述べたように、穿孔の成長の段階における輪郭は溶融または軟化した樹脂であるから、輪郭はニップ圧によっていくらか押しつぶされることがある。また、製版された感熱孔版原紙を顕微鏡で観察すると、押しつぶされて変形した穿孔の輪郭を確認することができる。観察によれば、前述したフィルム面の表面粗さの凸部分であって、その裏に支持体繊維が接している画線部分では、穿孔の輪郭が変形することがある。変形した輪郭の高さは必ずしもゼロになるわけではなく、変形前の高さの0〜100%まで広い範囲でばらついている。輪郭の変形量がばらつくのは、変形部分にかかる圧力がばらついていることと、かかる圧力に対して穿孔の輪郭が高さゼロにならない程度の硬さを備えていることを示している。
【0056】
また、発熱素子を通過したフィルム上の、すでに穿孔された部分の輪郭は、急速に冷えて硬化し、その後、輪郭の高さはニップ圧を受けても変形しなくなる。この輪郭と発熱素子との副走査方向の距離が100μm程度以内にあるとき、発熱素子の表面と、発熱素子が穿孔しようとするフィルム表面すなわち基準面との密着をさまたげる。
【0057】
したがって、画線部の穿孔部分のほとんどで、発熱素子の表面と基準面との距離の最小値は、輪郭の高さの分だけ、遠くなる。輪郭の高さをα[μm]とすると、このとき、基準面と発熱素子の表面との距離d[μm]は、
【0058】
【数4】
Figure 0004302332
【0059】
程度と想定できる。ここに、β[μm]は、輪郭が生じることによる発熱素子の表面と基準面との距離の最大値の増分を示す。αとβは、
【0060】
【数5】
Figure 0004302332
【0061】
であると考えられる。輪郭を外側にひっぱる部分の温度は、輪郭の高さの影響がないとしたときにくらべて低下する。すなわち熱伝達効率が低下するという問題が生じる。その程度は、輪郭の高さが高いほど顕著である。これによって第三の穿孔過程が早期に終了して穿孔の成長がとまる。
【0062】
輪郭の高さが高く、熱伝達効率が低い状態で、発熱素子に十分な発熱量を与えられないと、穿孔の大きさは目標値に達せず、印刷物の濃度が低下してしまう。
【0063】
輪郭の高さが高く、熱伝達効率が低い状態で、発熱素子に十分な発熱量を与えて目標の大きさの穿孔を実現すると、製版時の消費電力量が増える。また、この印加条件を、印加時間を長くすることによって設定すれば、一般に製版時間も長くなる。さらに、製版中に発熱素子の温度を高く設定した場合、発熱素子が一定温度以上に達するまでの時間が長くなるため、発熱素子が劣化しやすい。感熱製版用加熱デバイスとして広く使用されているサーマルヘッドの場合、もともと、発熱温度領域(300〜400℃)が使用限界温度(400℃)にかなり近いために、この傾向はより顕著である。
【0064】
また、上述したように、発熱素子を通過した穿孔の輪郭は、ニップ圧を受けても変形せず、この輪郭と発熱素子との副走査方向の距離が100μm程度以内にあるとき、発熱素子の表面と、発熱素子が穿孔しようとするフィルム表面すなわち基準面との密着をさまたげて、熱伝達効率を低下させる。この現象は画像内に一様に起きるのではなく、画像のパターンに依存する。すなわち、画線部の副走査方向のトップ部分、ベタの内部、または細字や面積階調のグレー部分など低画像率部分のそれぞれにおいて、直前の副走査位置に形成された輪郭の高さや、ニップ圧を受ける輪郭の面積が異なり、形成される輪郭の高さが高いと、発熱素子の表面と基準面との距離が場所によって大きく変化する。したがって、画像上の場所によって、穿孔の大きさがばらつき、印刷物の濃度が局所的にばらつく。それゆえ、この症状はインクの粘度や色材比率、印刷圧力を操作して転移量や転移濃度の平均値を調整することでは補償できない。
【0065】
第2の現象は、基準面と発熱素子にはさまれた輪郭の隆起部分の樹脂は、熱収縮が終わった状態と考えられ、加熱されて軟化または溶融した状態であるから、製版時の圧力によって押しつぶされ、さらに発熱素子との間にかかるズリ応力によって変形する。
【0066】
輪郭の隆起部分の樹脂が押しつぶされ、変形した後の形状は、ばらつきをもつ。理由は、個々の画素すなわち穿孔に対して、対応する発熱素子の発熱状態が完全に均一ではないこと、フィルムの表面粗さのために熱伝達の距離にばらつきがあること、フィルムの場所による熱収縮物性のばらつきや分散した支持体繊維の熱容量の影響を受けること、などによって、穿孔形状にばらつきが生じ、輪郭の体積や硬さ、輪郭にはたらくずり応力がばらつくためである。輪郭の高さが高い場合、輪郭が変形した後の形状、すなわち最終的な穿孔形状のばらつきは顕著であり、輪郭が部分的に脱落して隣接する穿孔同士がつながったり、押しつぶされた輪郭部分の樹脂が主走査方向または副走査方向に隣接する穿孔を部分的に、または完全にふさぐこともある。このような孔版印刷版を用いて印刷をおこなうと、画線部のインク転移量のばらつきが大きくなる。とりわけベタ部分がざらついた感じを持ち、濃度の均一性が低下する。同時に細字のかすれやつぶれが発生する。さらに、転移量が多い印刷部分には、裏移り、裏抜けが発生する。
【0067】
輪郭の隆起部分の樹脂が押しつぶされ変形する際には、フィルムの樹脂や、フィルムと多孔性支持体とを貼り合わせるための接着剤の成分などが、発熱素子に固着する(焼きつく)ことがある。フィルムには通常、発熱素子との固着を防ぐための離型剤が塗布されているが、輪郭の高さが高いと、目的の大きさの穿孔を得るために発熱素子の発熱量を大きくするから、発熱素子の温度が高くなる。さらに、輪郭の高さが高いために、フィルムと発熱素子が強く接触し、ずり応力を受ける。これらによって輪郭部分の樹脂や、輪郭部分にとりこまれた接着剤成分は発熱素子に固着しやすくなる。
【0068】
輪郭部分の樹脂や接着剤成分が発熱素子自体に固着すれば、発熱素子の発熱量が低下したのと同じことになり、穿孔の大きさが小さくなるか、穿孔不能になることがある。この場合の印刷物は、穿孔不良部分の濃度不足、または穿孔不能部分の画像欠損となる。さらに、固着する面積が大きい場合、広い領域のフィルムを支持体から脱落させ、したがって印刷物は、画線部の下流側の領域がひっかかれたように汚れる現象(スティッキング)をおこすことがある。当然、これによる裏移り、裏抜けが生じる。
【0069】
輪郭部分の樹脂や接着剤成分が発熱素子自体に固着しなくとも、発熱素子の下流側のサーマルヘッドの表面にわずかずつ堆積することがある。堆積する樹脂は粘着性であり、初期には大きな問題とならないが、堆積量が経時的に大きくなると、フィルム表面に付着しているちりやほこりを発熱素子の直後でせき止めたり、堆積物が巨大化して、発熱素子とフィルムの間に距離をつくってしまい、伝熱量が不足して穿孔の大きさが小さくなるか、穿孔不能になることがある。この場合の印刷物も、穿孔不良部分の濃度不足、または穿孔不能部分の画像欠損となる。
【0070】
サーマルヘッドによって感熱孔版原紙を製版するとき、すでに述べたように、発熱素子に電圧が印加され、ジュール熱が発生する。これによってサーマルヘッドの発熱素子は、図2のように、中心部がもっとも高温で、周辺にいくほど温度が低くなる温度分布をもち、フィルムを加熱する。それによって、フィルムは図3のように、発熱素子の中心が接する部分がもっとも高温となり、そこから離れるほど温度が下がる。もちろん、発熱素子の温度分布も、フィルムの温度分布も、時間によって変化する。
【0071】
目標となる大きさの貫通孔を得るために印加するエネルギーをいかに少なくできるかは、感熱孔版原紙の性能としての穿孔感度と、感熱製版装置の性能としての熱伝達効率とによる。
【0072】
現在、孔版印刷機の製版装置に一般的に用いられている薄膜型サーマルヘッドの発熱素子は、副走査方向には電極としてのアルミニウムが、下層(感熱孔版原紙と反対の方向)には断熱層としてのセラミックが、上層(感熱孔版原紙の方向)には保護層としてのガラスが接している。もっとも、保護層の厚さは数μmと薄いため、電極や断熱層にくらべて熱容量が非常に小さい。保護層の表面(これを、この明細書のここまでの記述では“発熱素子の表面”とよんできた。以下でも、特に断らないかぎり、この意味で使う)から、次式に示す厚さd[μm]程度の空気層をへだてて、フィルムに熱が伝わる:
【0073】
【数6】
Figure 0004302332
【0074】
ここに、αは輪郭の高さ、βは、輪郭が生じることによる発熱素子の表面と基準面との距離の最大値の増分を示し、
【0075】
【数7】
Figure 0004302332
【0076】
であると考えられる。発熱素子に接する上記材料の熱伝導率[W m-1 K-1]は、文献(理科年表 '98年版、国立天文台編、丸善)によれば、アルミニウムは230〜240、セラミック(磁器)は1.5、ガラス(石英ガラス)は1〜2に対し、空気は0.02〜0.07と極端に小さい。つまり、空気層の厚さdがαによってわずかでも大きくなると、フィルムの温度は大きく低下し、すでに述べたように、熱伝達効率が低下する。これをさけるためには、空気層の厚さ、すなわち発熱素子の表面と基準面との間の距離はできるだけ小さくする必要がある。
【0077】
空気層の厚さdを小さくするためには、上式におけるαすなわち輪郭の高さを小さくする必要がある。
【0078】
輪郭の高さαの許容できる上限値を、実験によって調べた。実験は、サーマルヘッドの発熱素子の近傍で、穿孔のひろがりに干渉しない位置に、スペーサーとしての厚さαのフィルムを貼り、製版をおこなった。製版による穿孔の輪郭とスペーサーフィルムとはニップされた領域内では干渉しないように配慮した。その結果、スペーサーフィルムの厚さαが4μmを越えると、スペーサーフィルムを貼らない場合とくらべて、サーマルヘッドの電気的設定が同じだと、穿孔形状の品質(貫通孔の大きさの平均値とばらつき、形状のばらつき)と印刷物の画質(画線部の濃度の平均値とばらつき、かすれ)が大きく低下することがわかった。それに対し、サーマルヘッドの印加エネルギーを大きくして、穿孔の貫通孔の大きさの平均値をスペーサーフィルムを貼らない場合と一致させると、穿孔の貫通孔の大きさの平均値と印刷物の画像部の濃度の平均値は改善されたが、その他の穿孔形状の品質(貫通孔の大きさのばらつき、形状のばらつき)と、その他の印刷物の画質(画線部の濃度のばらつき)は、やはり低下していて、さらに裏移り、裏抜けが大きく悪化した。
【0079】
さらに、穿孔形状の品質と印刷物の画質に影響し始めるスペーサーフィルムの厚さα1は、製版の解像度によって変化することがわかった。すなわち、300dpiのときはα1≒4μm、400dpiのときはα1≒3.2μm、600dpiのときはα1≒2.2μmであった。また、主走査解像度=300dpi、副走査解像度=400dpiと異なる場合、α1≒3.7μmであった。これらのα1の値は、主走査のピッチと副走査のピッチの相乗平均の約5%に等しい。感熱孔版原紙が条件のよい、すなわちフィルム面の表面粗さの程度が小さいものであり、スペーサーフィルムの厚さαがそれぞれの解像度に対して上記の値α1以下であれば、スペーサーフィルムを貼らない場合とくらべて、サーマルヘッドの電気的設定を同じとしても、ほぼ同じ品質の穿孔形状と印刷物の画質を得ることができた。
【0080】
以上のことから、本発明者らは、上記本発明の目的を達成するために、輪郭の高さを4μmを超えない範囲に設定すること、さらには、輪郭の高さを主走査のピッチと副走査のピッチの相乗平均の5%を超えない範囲に設定することを見いだした。
【0081】
穿孔形態をこの発明の請求範囲に設定するためには、輪郭の高さを最適化する必要があり、そのための任意の方法をとることができる。輪郭の高さは、輪郭部分の樹脂の体積と、輪郭の断面の扁平率に依存する。輪郭部分の樹脂の体積は、穿孔前に貫通孔の場所にあった樹脂の体積に依存する。すなわち、貫通孔の面積をたもちながら、フィルムの厚さを選択することで、輪郭部分の樹脂の体積を選択することができ、したがって、輪郭の高さを選択することができる。また、加熱デバイスの温度の空間的分布(たとえばサーマルヘッドの発熱素子形状や印加エネルギーなど)や時間的変化(たとえばサーマルヘッドに印加するパワーと印加時間の組み合わせなど)を選択することで、輪郭の断面の扁平率を選択することができ、したがって輪郭の高さを選択することができる。
【0082】
なお、以上における加熱デバイスとして、しばしばサーマルヘッドの発熱素子を例に挙げたが、この発明は熱収縮性フィルムを加熱することによって穿孔させる現象一般について適用できるので、加熱デバイスとしてはサーマルヘッドに限定されず、レーザー光源や活性エネルギー線源やその他多くのデバイスを用いることができる。
【0083】
【実施例】
以下、この発明を実施例および比較例にもとづいて説明する。各実施例と比較例における製版条件、穿孔形状の測定値、穿孔の評価および印刷物の評価を表1に示す。なお、表1に示した物性の測定方法は下記のとおりである。以下、この発明を実施例および比較例にもとづいて説明する。
【0084】
製版物の評価条件
いずれの実施例および比較例も、製版は表1に示すそれぞれの条件(解像度、ピッチ、発熱素子サイズ、印加エネルギー、周期、フィルム物性)をみたす実験製版装置および感熱孔版原紙によっておこなった。感熱孔版原紙のその他の共通する条件は、材料として混合比を変えた種々のポリエステル系樹脂を用いてこれを2軸延伸し、表1に示す厚さと融点をもつフィルムを製膜し、これに多孔性支持体としてマニラ麻とポリエステル繊維からなる坪量10g/m2、厚さ35μmの混抄紙を塗布量0.5g/m2のポリ酢酸ビニル樹脂を介して貼り合わせた後、フィルムの表面にシリコーン系樹脂を0.1 g/m2塗布して作製した。環境温度は室温である。
【0085】
Min{4, 0.05 √( p x p y } の値
式[1]の右辺、または式[2]の右辺のうち、小さい方の値を示す。この発明では、輪郭の高さが、この値以下であることが特に好ましい。
【0086】
感熱孔版原紙のフィルム面の表面粗さ
感熱孔版原紙のフィルム面の表面粗さとして、算術平均粗さRaおよび10点平均粗さRzを、三鷹光器(株)製、非接触三次元形状測定装置NH-3により、縦10mm×横10mmのエリアを、縦横とも30μmのピッチで、カットオフ波長を2.5mmとして、平面上に緊張させた感熱孔版原紙のフィルム面を開放(圧力がかからない)状態で測定した。算術平均粗さRaおよび10点平均粗さRzは、JIS B 0601“表面粗さ−定義及び表示”の定義にしたがう。
【0087】
貫通孔の直径、輪郭の高さ
ベタのパターンを製版し、製版物上の熱履歴状態が同じような状態の領域(製版開始ラインから副走査方向の下流に5mm以上、15mm以内)における穿孔の表面粗さを、レーザーテック株式会社製走査型レーザー顕微鏡1LM21によって測定し、主走査方向と副走査方向における貫通孔の直径と穿孔の高さを、それぞれ20個の穿孔における平均としてもとめた。
【0088】
貫通孔の面積の SN
ベタのパターンを製版し、製版物上の熱履歴状態が同じような状態の領域(製版開始ラインから副走査方向の下流に5mm以上、15mm以内)における、光学顕微鏡をとおしてCCDカメラでとりこんだ画像から、三谷商事(株)製画像解析パッケージMacSCOPEを使用し、100個の穿孔における貫通孔を2値化によって切り出し、それらによる貫通孔の面積のSN比をもとめた。
【0089】
貫通孔の面積のSN比は、望目特性のSN比である。この値が大きいほど、穿孔面積のばらつきが少ない。穿孔面積のSN比は、測定条件によって値が異なるので一元的には評価しにくいが、本発明者らは経験的に、それぞれの穿孔からの均一な転移状態を得るために、現実的には10db以上が必要で、13db以上であれば望ましく、10dbに満たない場合は問題が大きいと考えている。
【0090】
印刷物の評価条件
いずれの実施例および比較例も、得られた版を手作業で印刷ドラムに着版し、印刷は理想科学工業(株)製孔版印刷機リソグラフ(登録商標)GR377の標準条件(電源ON時の設定)でリソグラフインクGR-HD(商品名、理想科学工業(株)製)を使用しておこなった。環境温度は室温(25℃)である。
【0091】
ベタの均一性
ベタの均一性は、印刷物のベタ部分において、穿孔形状のばらつきに起因する微視的(周期が1mm程度以下)な場所による濃度のばらつきの程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったく濃度ばらつきが感じられない、
○:わずかに濃度ばらつきはあるが、文字原稿のベタ再現性、写真原稿の階調再現性ともに問題ないレベルである、
△:文字原稿のベタ再現性は問題ないが、写真原稿のシャドウ部の階調再現性が劣っている、
×:濃度ばらつきが顕著で、文字原稿のベタ再現性、写真原稿の階調再現性ともに劣っている。
【0092】
細字のかすれ
細字のかすれは、印刷物の細字部分において、穿孔形状のばらつきに起因するかすれ(連続するべきパターンの欠損)の程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったくかすれが感じられない、
○:わずかにかすれがあるが、文字原稿の細字(白地に黒文字)の再現性、写真原稿のハイライト部分の階調再現性ともに問題ないレベルである、
△:文字原稿の細字(白地に黒文字)の再現性は問題ないが、写真原稿のハイライト部分の階調再現性が劣っている、
×:かすれが顕著で、文字原稿の細字(白地に黒文字)の再現性、写真原稿のハイライト部分の階調再現性ともに劣っている。
【0093】
細字のつぶれ
細字のつぶれは、印刷物の細字部分において、穿孔形状のばらつきに起因するつぶれ(近接した2つのパターン間にあるべき白地の欠損)の程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったくつぶれが感じられない、
○:わずかにつぶれがあるが、文字原稿の細字(黒地に白文字)の再現性、写真原稿のシャドウ部分の階調再現性ともに問題ないレベルである、
△:文字原稿の細字(黒地に白文字)の再現性は問題ないが、写真原稿のシャドウ部分の階調再現性が劣っている、
×:つぶれが顕著で、文字原稿の細字(黒地に白文字)の再現性、写真原稿のシャドウ部分の階調再現性ともに劣っている。
【0094】
裏移り
裏移りは、印刷により積み重ねられた印刷物の裏面が、それに接する直前の印刷物の印刷面に転移したインクによって汚れる程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったく裏移りが感じられない、
○:わずかに裏移りがあるが、ベタ部分が大きくインクの転移量が多い原稿においても問題なく、公式な印刷物として許容できるレベルである、
△:細字(白地に黒文字)やハイライトなどのインクの転移量が少ない部分では問題ないが、大きなベタなどのインクの転移量が多い部分においては汚れが目立つ。公式な印刷物としては許容できないが、非公式な印刷物としては使える、
×:裏移りが顕著で、ほとんどすべての原稿部分において汚れが目立つ。非公式な印刷物としても許容できない。
【0095】
サーマルヘッドへの影響
サーマルヘッドへの影響とは、フィルムの樹脂や接着剤成分が、発熱素子付近に固着または焼きつきをおこしたり、過大な印加エネルギーや発熱素子の過熱による発熱素子の劣化(発熱能力の低下)をおこす程度を示す。B4サイズの画像率33%のテストパターン画像を500版製版した後、評価用画像を製版・印刷し、製版状態と印刷物の画質を評価する。また、発熱素子付近を光学顕微鏡で観察する。評価基準は以下のとおり:
◎:製版状態、印刷物の画質、発熱素子付近の状態のいずれも、500版製版後の状態が、初期の状態と変化していない、
○:発熱素子付近にやや堆積物が確認できるが、微量であり、製版状態や印刷物の画質は500版製版後の状態が、初期の状態と変化していない、
△:発熱素子付近に堆積物が確認でき、製版状態や印刷物の画質は500版製版後の状態が、初期の状態にくらべ劣化している、
×:発熱素子付近に多量の堆積物が確認できるか、または発熱素子の劣化によって発熱能力が低下しており、製版状態や印刷物の画質は500版製版後の状態が、初期の状態にくらべ著しく劣化している。
【0096】
(比較例1)
主走査方向解像度=副走査方向解像度=300dpiにおいて、貫通孔の直径の目標値を主走査方向、副走査方向ともに60μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0097】
このとき、輪郭の高さは式[1]の値より大きく、式[1]及び式[2]のいずれもみたさない。
【0098】
(実施例1)
フィルムの厚さを比較例1の4.5μmに対して3.5μmに薄くし、それにあわせて印加エネルギーを小さくした以外、比較例1と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、輪郭の高さが減少した。
【0099】
このとき、輪郭の高さは式[1]及び式[2]の両者をみたした。
【0100】
(実施例2)
フィルムの厚さを比較例1の4.5μmに対して1.7μmに薄くし、それにあわせて印加エネルギーを小さくした以外、比較例1と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、輪郭の高さが減少した。
【0101】
このとき、輪郭の高さは式[1]及び式[2]の両者をみたした。
【0102】
(比較例2)
主走査解像度=300dpi、副走査解像度=400dpiにおいて、貫通孔の直径の目標値を主走査方向は59μm、副走査方向は44μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0103】
このとき、主走査方向の輪郭の高さは式[2]の値より大きく、式[2]をみたさない。
【0104】
(実施例3)
フィルムの厚さを比較例2の4μmに対して1.7μmに薄くし、それにあわせて印加エネルギーを小さくした以外、比較例2と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、輪郭の高さが減少した。
【0105】
このとき、輪郭の高さは式[1]及び式[2]の両者をみたした。
【0106】
(比較例3)
主走査方向解像度=副走査方向解像度=400dpiにおいて、貫通孔の直径の目標値を主走査方向、副走査方向ともに42.5μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0107】
このとき、主走査方向の輪郭の高さは式[2]の値より大きく、式[2]をみたさない。
【0108】
(実施例4)
フィルムの厚さを比較例3の4μmに対して2.5μmに薄くし、それにあわせて印加エネルギーを小さくした以外、比較例3と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、輪郭の高さが減少した。
【0109】
このとき、輪郭の高さは式[1]及び式[2]の両者をみたした。
【0110】
(実施例5)
フィルムの厚さを比較例3の4μmに対して1.7μmに薄くし、それにあわせて印加エネルギーを小さくした以外、比較例3と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、輪郭の高さが減少した。
【0111】
このとき、輪郭の高さは式[1]及び式[2]の両者をみたした。
【0112】
(比較例4)
主走査方向解像度=副走査方向解像度=600dpiにおいて、貫通孔の直径の目標値を主走査方向、副走査方向ともに26μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0113】
このとき、主走査方向の輪郭の高さは式[2]の値より大きく、式[2]をみたさない。
【0114】
(実施例6)
フィルムの厚さを比較例4の3.5μmに対して1.7μmに薄くし、それにあわせて印加エネルギーを小さくした以外、比較例4と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、輪郭の高さが減少した。
【0115】
このとき、輪郭の高さは式[1]及び式[2]の両者をみたした。
【0116】
【表1】
Figure 0004302332
【0117】
【発明の効果】
この発明によれば、孔版印刷に用いられる感熱孔版原紙のフィルムにサーマルヘッド等の加熱デバイスを用いて穿孔を施して孔版印刷版を作製する際に、熱伝達効率の低下をおさえて製版デバイスに大きい印加エネルギーや高い温度条件を要求せず、したがって製版条件を向上(消費電力の低減、製版時間の短縮、発熱素子の劣化防止)させ、穿孔の大きさを適切に保ちながら形状のばらつきをおさえ、したがって印刷物の画像品質を向上(ベタ部分の濃度ばらつきの低減、細字のかすれやつぶれの低減、裏移りや裏抜けの低減)させ、また、フィルムの樹脂が発熱素子に固着することをふせぐための、穿孔形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムに施された穿孔の模式的平面図及び断面図。
【図2】サーマルヘッドの発熱素子の温度分布を示すグラフ。
【図3】サーマルヘッドの発熱素子によって加熱されたフィルムの温度分布を示すグラフ。
【図4】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムの温度と熱収縮応力との関係を示すグラフ。
【図5】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムの加熱穿孔時の樹脂の移動方向を示す模式的平面図。
【図6】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムの熱収縮及び熱溶融による穿孔挙動を説明する模式的平面図。
【符号の説明】
1…穿孔
2…貫通孔
3…輪郭
4…楕円断面部分
5…薄膜部分
6…基準面
7…輪郭の高さ

Claims (2)

  1. 熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版方法において、当該熱収縮性フィルムの表面粗さは算術平均粗さRaで1〜1.5μmであり10点平均粗さRzで3.5〜5μmであり、該穿孔は貫通孔を囲む輪郭をもち、熱収縮性フィルム上の加熱される側の面に隆起する輪郭の、穿孔前のフィルム面に対する高さhは、下記式[1]および式[2]を満足し、該穿孔の面積のSN比は10dB以上であることを特徴とする感熱孔版原紙の製版方法。
    h≦4[μm] [1]
    h≦0.05√(px py)[μm] [2]
    (式中、pxは主走査のピッチ[μm]、pyは副走査のピッチ[μm]である。)
  2. 加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔が形成された熱収縮性フィルムを備えた孔版印刷版であって、当該熱収縮性フィルムの表面粗さは算術平均粗さRaで1〜1.5μmであり10点平均粗さRzで3.5〜5μmであり、該穿孔は貫通孔を囲む輪郭をもち、熱収縮性フィルム上の加熱される側の面に隆起する輪郭の、穿孔前のフィルム面に対する高さhは、下記式[1]および式[2]を満足し、該穿孔の面積のSN比は10dB以上であることを特徴とする孔版印刷版。
    h≦4[μm] [1]
    h≦0.05√(px py)[μm] [2]
    (式中、pxは主走査のピッチ[μm]、pyは副走査のピッチ[μm]である。)
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