JP4359008B2 - 感熱孔版原紙の製版方法、製版装置及び孔版印刷版 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の該フィルムに、サーマルヘッドやレーザービーム等の加熱デバイスによって穿孔を施すことからなる製版方法及び装置、ならびに、それによって製版された孔版印刷版に関し、特に、加熱デバイスに過酷な温度条件を要求せず、形状のばらつきが少なく且つ大きさが適切な穿孔の得られる製版方法及び装置並びに孔版印刷版に関する。
【0002】
【従来の技術】
感熱孔版原紙の熱可塑性樹脂フィルム(以下、“熱可塑性樹脂フィルム”を単に“フィルム”とよぶ)は、サーマルヘッドやレーザー等の加熱デバイスによる熱を受けてインクが通過するための穿孔が形成される性質をもつ。印刷時はこの穿孔を通ってインクが紙に転移する。そのフィルムの材料は今までに種々提案されており、例えば、特開昭41-7623号ではポリプロピレン、ポリアミド、ポリエチレン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体が、特開昭47-1184号ではプロピレン系共重合体が、特開昭47-1185号では塩素化ポリ塩化ビニルが、特開昭47-1186号では高結晶性塩化ビニルが、特開昭49-6566号ではプロピレン・α-オレフィン共重合体が、特開昭49-10860号ではエチレン・酢酸ビニル共重合体が、特開昭51-2512号ではアクリロニトリル系樹脂が、特開昭51-2513号ではポリエチレンテレフタレートが、特許1669893号ではポリフッ化ビニリデンが、特許2030681号ではポリエチレンナフタレート共重合体があげられている。現在市場で実用化されている感熱孔版原紙のフィルムには、これらのうち、主に穿孔感度(少ない熱量で十分な大きさの穿孔を与える性能)と機械適性(製版時や印刷時にしわ、たるみ、伸び、変形が発生しにくい性能)の理由により、ポリエチレンテレフタレート、または塩化ビニリデン系共重合体を2軸延伸した熱収縮性フィルムが一般に用いられており、特に製版から印刷まで自動でおこなう一体型孔版印刷機用にはポリエチレンテレフタレートが主流になっている。
【0003】
一方、熱により穿孔を形成するためには、延伸された熱収縮性フィルムでなくとも、低融点の樹脂をキャストしたフィルムを用いることもできる。この例として、特許1668117号や特開昭62-173296号には合成樹脂の溶液またはエマルションからキャストしたフィルムが、特開平4-78590号にはシリコーンオイルを含有したキャストによる熱可塑性樹脂フィルムが提案されている。キャストフィルムの場合、熱収縮性を示さないが、融点の低い樹脂を使用するので、熱せられた部分が溶融して穿孔を生じる(このフィルムを以下“熱溶融性フィルム”とよぶ)。
【0004】
しかし、この熱溶融性フィルムは、現在、市場では感熱孔版原紙として実用化されていない。その理由は主に穿孔感度の低さと、穿孔形状の不定形さと、さらに印刷中における機械的強度の不足にあると考えられる。
【0005】
現在実用化されている孔版印刷機用の感熱孔版原紙の熱収縮性フィルムは、厚さ1.5〜3μm程度を実現していて、熱溶融性フィルムに関して特許1668117号などで主張されているような10μm以下のフィルムを安定して製膜しラミネートすることの困難さはなくなっている。
【0006】
また、穿孔挙動における樹脂の移動は、熱溶融性フィルムが表面張力のみに頼っているのに比べて、熱収縮性フィルムは表面張力より十分大きい熱収縮応力に頼っているため、同程度の膜厚ならば熱溶融性フィルムよりも熱収縮性フィルムの方が格段に高感度、すなわち小さい熱量で十分な大きさの穿孔が得られる。
【0007】
熱収縮性フィルムの熱収縮応力は温度依存性が明確で、このことによりサーマルヘッドの発熱素子などによって得られる温度パターンに忠実な穿孔が得られている。一方、熱溶融性フィルムを加熱しその表面張力によって穿孔する場合は、発熱素子の温度パターンが穿孔形状に忠実に反映されない。なぜなら溶融して粘度が低下した樹脂が表面張力によって移動する方向は発熱素子の中心から遠い低温度の部分とは限らず、支持体繊維の周辺に集まったり、発熱素子との相対移動によるズリによって不規則に流されたりするからである。したがって熱溶融性フィルムを使用した感熱孔版原紙を製版して、印刷条件に適した開孔率を実現しても、個々の穿孔の類似性は非常に低い。つまり微視的には大きな穿孔と小さな穿孔が混在し、画像のベタ部分などにおける均一な濃度が実現しにくい。
【0008】
さらに、熱溶融性フィルムの樹脂は低融点とはいえ、現在の孔版印刷機の製版装置の製版条件である微小エリア(画素密度300〜600dpi)、短時間(副走査の周期が2〜4ms)において、表面張力による樹脂の十分な移動を達成するためには、熱収縮性フィルムの場合よりも発熱素子の温度を非常に高く上げる必要があり、このことが発熱素子を過熱劣化させる原因となる。
【0009】
また、印刷中の感熱孔版原紙は、版胴の回転方向に印刷用紙とのズリによる応力を受ける。キャストされた熱溶融性フィルムを備えた感熱孔版原紙は、延伸された熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙に比べて、一般的に弾性率や破断強度が低い。このために熱溶融性フィルムを使用する感熱孔版原紙は、熱収縮性フィルムを使用する感熱孔版原紙よりも、印刷画像の変形や、場合によっては原紙の切れによる画像の汚損を起こしやすい。
【0010】
以上の理由から、感熱孔版原紙を構成するフィルムとしては、熱収縮性フィルムを使用したものが現在および今後の主流であるといえる。したがって、感熱孔版原紙に関する以下の議論は、熱収縮性フィルムを使用した感熱孔版原紙に関するものに限定する。
【0011】
感熱孔版原紙は、印刷機にセットされ印刷動作をおこなう際に受ける力による伸び、しわ(これらは印刷画像のゆがみを生じさせる)、破損(これは印刷画像を汚す)を避ける目的で、必要な強度を与えるために、通常、すでに述べたフィルムに多孔性支持体を貼り合わせた構成とすることが多い。多孔性支持体は、感熱孔版原紙に強度を与えるとともに、開孔部をとおしてインクを通過させるという孔版印刷版の機能を満足させる構造をもつ。多孔性支持体の材料としては、(1)こうぞ、みつまた、マニラ麻などの天然繊維を抄造した、いわゆる和紙、(2)レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ナイロンなどの再生繊維や合成繊維を紙状に抄造したシート、(3)前記(1)の天然繊維と前記(2)の再生繊維や合成繊維とを混合して抄造した混抄紙、(4)ポリエステル系繊維とバインダー繊維としての未延伸ポリエステル系繊維とを混合して抄造した薄葉紙を熱ロールで熱圧加工した、いわゆるポリエステル紙などが知られている。
【0012】
一方、このようなフィルムと多孔性支持体を貼り合わせた構成の感熱孔版原紙は、印刷機の印刷動作による力に耐える強度を実現するが、後述するフィルムに施された穿孔をとおしてインクが感熱孔版原紙を通過する際の、多孔性支持体の繊維の分散状態により発生するインク通過性の不均一(これは印刷画像の濃度の均一性を低下させる)を生じさせることがあり、これを嫌って感熱孔版原紙を実質的にフィルムの単層構造とする提案もなされている。
【0013】
ところで、感熱孔版原紙のフィルムに穿孔を形成して製版する方法としては、感熱孔版原紙のフィルム側とカーボンを含む画線部をもつ原稿を密着して赤外線を照射し画線部の発熱によりフィルムを穿孔する方法や、感熱孔版原紙のフィルム側とサーマルヘッドを密着し相対移動させて原稿画像に対応する発熱体を発熱させフィルムを穿孔する方法や、感熱孔版原紙のフィルム上に原稿画像に対応する変調をかけたレーザービームをスキャンさせフィルムを穿孔する方法などがある。このうち赤外線による方法は原稿の種類に制限があり、また文書や画像のデータ編集に対応できない。レーザーによる方法は主に製版時間の長さが原因で実用化できていない。したがって、現在、サーマルヘッドによる方法が主流である。
【0014】
サーマルヘッドによる製版では、主走査方向と副走査方向の2次元的に配列された多数の穿孔がフィルムに形成される。このとき穿孔はそれぞれがほぼ等しい形状で印刷条件に適した開孔率を実現することが望ましい。穿孔形状がそろっていると、画線部、特にベタ部において微視的なインク転移状態が統一され、均一な濃度が得られるためである。逆に穿孔形状が不ぞろいだと、微視的なインク転移状態が一定せず、細線がかすれたり、ベタの濃度が不均一であったり、過大な穿孔によって部分的にインク転移が過多になることで裏移りを発生させることになる。このため各発熱素子による穿孔形状を安定させるために、発熱素子形状について種々の提案がなされている。特許2732532号では、主走査のピッチと副走査のピッチを等しくし、発熱素子の主走査方向長さを副走査方向長さより短くし、発熱素子の副走査方向長さを副走査のピッチよりも短くし、主走査方向にも副走査方向にも独立した穿孔を得る方法が提案されている。特開平4-314552号では、主走査方向に隣接する発熱素子間に熱伝導率の大きい材料を用いた冷却部材を配置し、主走査方向に隣接する穿孔の連結を防ぐ方法が提案されている。特開平6-115042号では、熱可塑性樹脂フィルム単体からなる感熱孔版原紙を、発熱素子の主走査方向長さが主走査のピッチの15〜75%の範囲内にし、発熱素子の副走査方向長さが副走査のピッチの15〜75%の範囲内にしたサーマルヘッドで製版する方法が提案されている。
【0015】
穿孔形態については、従来、貫通孔の平面形状(直径、縦横比、面積)、またはその統計的な状態(平均値、ばらつき)がもっぱら議論され、望ましいインクの転移状態を与える穿孔の輪郭形状については以下のような提案のみに限られている。特許2638390号では、発熱素子の主走査方向長さおよび副走査方向長さと穿孔の主走査方向長さおよび副走査方向長さの4者の関係を規定し、主走査方向にも副走査方向にも独立した穿孔を得る方法が提案されており、この中で穿孔の輪郭の存在が述べられている。特開平6-320700号では、実質的にフィルムのみからなる感熱孔版原紙の一方の面から第1のサーマルヘッドで加熱し、その後他方の面から第2のサーマルヘッドで加熱して穿孔する方法が提案されており、この中で穿孔の断面形状が述べられている。特開平8-20123号では、感熱孔版原紙の支持体に起因する穿孔形状のばらつきを除去するために、感熱孔版原紙が実質的に3.5μm以上の厚さの熱可塑性樹脂フィルムのみからなり、形成された孔はすり鉢状の断面を有し、そのすり鉢断面の寸法を主走査のピッチとの関係で規定した感熱孔版原紙の製版方法が提案されている。
【0016】
前記特許2732532号、特開平4-314552号、特開平6-115042号は、隣接する穿孔同士の連結による拡大を防ぎ、個々の穿孔形状をそろえ、望ましいインク転移状態を実現するための有力な方法であるが、フィルムの物性によって穿孔挙動が異なるために、多様な熱収縮性フィルムに対して穿孔形状を制御する最良の方法を示しているとはいえない。
【0017】
また、前記特許2638390号、特開平6-320700号には穿孔の輪郭や穿孔の断面形状についての記述があるが、いずれもその存在を示しているにすぎず、穿孔の輪郭や断面形状と穿孔形状を均一化する制御の方法についての示唆は得られない。
【0018】
また、前記特開平8-20123号に記載されている製版方法は、上述のように、すり鉢断面の寸法を主走査のピッチとの関係を規定しているが、多孔性支持体をもたない厚手の熱可塑性樹脂フィルムのみからなる感熱孔版原紙の製版方法である。しかしながらこのような感熱孔版原紙は現在、市場における製品として実施されておらず、その穿孔形態以前の問題が解決されていない。また、輪郭の断面形状や太さが穿孔形状のばらつきに影響を与えるというような知見については一切開示していない。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
孔版印刷版において、一定の大きさの貫通孔を形成させようとする場合、サーマルヘッドによって穿孔される部分の樹脂は貫通孔の周囲の輪郭部分に移動するが、感熱孔版原紙のフィルムの熱物性やサーマルヘッドの発熱素子の発熱条件などによっては、しばしばこの輪郭部分に集積された樹脂は、個々の貫通孔の拡大を阻害して、貫通孔の大きさを目標値に実現させることを困難にしたり、個々の穿孔形状のばらつきを大きくしたりして、印刷物における巨視的あるいは微視的な濃度むら、すなわち画質の劣化や、文字などのパターン再現性の低下を生じさせることがある。貫通孔の大きさが目標値に達しない場合は、印刷物の濃度不足を発生させる。また、それに対してサーマルヘッドの発熱素子に印加するエネルギーを強める方法によって目標値を実現しようとすると、発熱素子を損傷するおそれもある。一方、穿孔形状のばらつきが著しい場合は、隣り合う穿孔の貫通孔が連結して、それによって生じる大きな貫通孔から過多の量のインクが紙に転移することによる裏移りなども発生させている。そしてこのような症状の原因は、フィルムの熱物性やサーマルヘッドの発熱素子の発熱条件などにあることは知られていたが、穿孔形状を決定する因子についての具体的な知見は明らかにされておらず、試行錯誤の状態であった。
【0020】
この発明は、この問題点を解決するためのものであり、穿孔の貫通孔の大きさを適切に保ちながら形状のばらつきをおさえ、製版デバイスに高い温度条件を要求しない穿孔形態を提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的の下に感熱孔版原紙の穿孔挙動について鋭意研究した結果、穿孔間のピッチに応じて穿孔径と輪郭の太さを一定条件に従うように穿孔を形成することにより、フィルムの厚さや融点にかかわらず、穿孔の形状のばらつきを抑え、良好な印刷物が得られることを見いだした。
【0022】
すなわち、この発明の第1の局面によれば、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版方法において、該穿孔が下記式[1]を満たすように該加熱デバイスが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版方法
p≧d+(√2)f [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ、dはpと同方向における穿孔の内径、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0023】
また、この発明の第2の局面によれば、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版方法において、該穿孔が下記式[2x]及び[2y]を満たすように該加熱デバイスが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版方法
px≧dx+(√2)fx [2x]
py≧dy+(√2)fy [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0024】
上記式[2x]及び[2y]は、主走査方向と副走査方向とで穿孔のピッチが異なる結果として楕円形状の穿孔が形成される場合に、正確な製版条件を設定するために好都合であるが、穿孔が真円である場合にも適用することを妨げるものではない。
【0025】
本発明の第3の局面によれば、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版装置において、該穿孔が下記式[1]を満たすように該加熱デバイスが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版装置
p≧d+(√2)f [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ、dはpと同方向における穿孔の内径、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0026】
また、この発明の第4の局面によれば、熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版装置において、該穿孔が下記式[2x]及び[2y]を満たすように該加熱デバイスが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版装置
px≧dx+(√2)fx [2x]
py≧dy+(√2)fy [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0027】
また、この発明の第5の局面によれば、加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔が形成された熱収縮性フィルムを備えた孔版印刷版であって、該穿孔が下記式[1]を満たすことを特徴とする孔版印刷版
p≧d+(√2)f [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ、dはpと同方向における穿孔の内径、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0028】
また、この発明の第6の局面によれば、加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔が形成された熱収縮性フィルムを備えた孔版印刷版であって、該穿孔が下記式[2x]及び[2y]を満たすことを特徴とする孔版印刷版px≧dx+(√2)fx [2x]
py≧dy+(√2)fy [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0029】
また、この発明の第7の局面によれば、加熱デバイスにより選択的に加熱されて画像に対応する独立した点状の穿孔を形成する熱収縮性フィルムを備える感熱孔版原紙であって、該穿孔が下記式[1]を満たすことを特徴とする感熱孔版原紙
p≧d+(√2)f [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ、dはpと同方向における穿孔の内径、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0030】
また、この発明の第8の局面によれば、加熱デバイスにより選択的に加熱されて画像に対応する独立した点状の穿孔を形成する熱収縮性フィルムを備える感熱孔版原紙であって、該穿孔が下記式[2x]および[2y]を満たすことを特徴とする感熱孔版原紙
px≧dx+√2fx [2x]
py≧dy+√2fy [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さを示す。)
が提供される。
【0031】
以下に、この発明を詳細に説明する。
【0032】
すでに述べたように、感熱孔版原紙は、その構成から、フィルムと多孔性支持体との貼り合わせ構造のものと、実質的にフィルムの単層構造であるものの2種類がある。以下の議論はそのような感熱孔版原紙の構成に依存しない、感熱孔版原紙のフィルムに施すべき望ましい穿孔の形状的特徴、およびそのような形状的特徴を持つ穿孔を形成させるための製版方法、製版装置、感熱孔版原紙、また、それらによって得られる製版された感熱孔版原紙の性質に関するものであるので、以後、感熱孔版原紙という場合、フィルムと多孔性支持体との貼り合わせ構造のものと、実質的にフィルムの単層構造であるものの両方を総称し、特に区別しないことにする。実際、この発明は上記2種類の構成の感熱孔版原紙のどちらにも適用することができる。また以後、孔版印刷に用いるための製版された感熱孔版原紙を“孔版印刷版”とよぶ。
【0033】
一般に、熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムに施された穿孔6は、図1に示すように、貫通部分とそのまわりに形成される変形を受けた部分とで構成される。この貫通部分を本明細書では、“貫通孔”とよぶ。貫通孔1のまわりに形成される変形を受けた部分は、製版される前のフィルムに比べ、厚みが変化している。この部分を本明細書では、“輪郭”とよぶ。輪郭2は、一般に、内周の近傍の薄膜の部分と、その外側に接して急激に厚みが増加する、断面がほぼ楕円状の部分とがある。本明細書では、輪郭2のうちの前者を“薄い輪郭”、後者を“厚い輪郭”とよぶ。貫通孔1の周は薄い輪郭3の内周に等しく、薄い輪郭の外周は厚い輪郭4の内周に等しい。薄い輪郭の穿孔の半径方向における長さ7は、フィルムや製版の条件によって異なるが、貫通孔の径8の0〜5%程度であり、薄い輪郭3が生じないこともある。厚い輪郭4は、製版される前の状態、または製版によって変形されない部分にくらべ、厚くなる。一般に、薄い輪郭3の体積は厚い輪郭4の体積に比して無視できるほど小さい。したがって、本明細書では、単に“輪郭”という場合、厚い輪郭4を意味するものとし、“輪郭の太さ”という場合は、厚い輪郭4の穿孔の半径方向における長さ5を意味するものとする。また、本明細書において、“穿孔”とは、貫通孔1と薄い輪郭3および厚い輪郭4を合わせた全体を意味するものとし、また、穿孔を形成させることも以下、“穿孔(する)”とよぶ。また、本明細書において、“穿孔の内径”と言う場合は、厚い輪郭4の内径を意味するものとする。
【0034】
本発明者らは、本発明に関する研究において、従来にない新しい観点での穿孔現象の評価方法を見いだした。すなわち感熱孔版原紙の製版方法として現在もっとも一般的なサーマルヘッドによって熱収縮フィルムが穿孔される現象を、μmオーダーの顕微鏡視野でμsオーダーの高速に撮像できる装置を使用し、時間とともにフィルムに穿孔が発生し拡大する挙動を観察した。これにより、穿孔の一連の挙動は以下の4段階に分けられることがわかった。
【0035】
第一に、図2のように、中心部がもっとも高温で、周辺にいくほど温度が低くなる温度分布をもつサーマルヘッドの発熱素子によって、フィルムが加熱される。フィルムは、図3のように、発熱素子の中心が接する部分がもっとも高温となり、そこから離れるほど温度が下がる。フィルムは、図4のように、収縮し始める温度9(以後、これを“収縮開始温度”とよぶ)を超えると、互いに距離を縮めようとする力(熱収縮応力)が発生するから、収縮開始温度9以上の領域のいたるところで張力が発生する。張力の方向は、フィルム上の等温線にほぼ(熱収縮が等方的なら、完全に)直交する。一方、フィルムの温度が十分低い場所では収縮応力が発生しないのでフィルムの樹脂は移動しないから、フィルムの樹脂はフィルムの最高温部から周辺部に向かって、すなわち図3の斜面をすべり落ちるように移動していく。図5に主走査方向に隣接する発熱素子が発熱したときの、フィルムの温度の分布(等温線)を実線で示し、等温線に直交して温度が低下する方向を点線の矢印で示した。すなわち、フィルムの樹脂は図5の点線の向きに移動する。
【0036】
第二に、フィルムの最高温部付近に最初の小さな貫通孔が発生する(穿孔の発生)。
【0037】
第三に、発生した小さな貫通孔の外周が、その外側からの張力によって、外方に引っ張られていく(熱収縮による穿孔の成長)。貫通孔の外周の周辺部は外方に向かって拡張しながら、その経路にある樹脂を取り込んで体積を増していき、輪郭を形成する。このときの輪郭は溶融または軟化した樹脂であり、したがって表面張力によってその断面の形状は円または楕円に近いかたちをとる。この段階では表面張力は輪郭の断面形状に影響するが、輪郭の位置(したがって貫通孔の大きさ)には実質的に影響しない。
【0038】
第四に、発熱素子への印加が終わって、発熱素子の温度が下がり、その後、フィルムの温度も下がっていくと、輪郭とその外側部分の温度が収縮開始温度7を下回る。すると輪郭は周辺部に向かって引っ張られなくなるので、穿孔の形が固定化される(熱収縮による穿孔の終了)。
【0039】
一般に、熱収縮性フィルムはある温度領域でフィルムの平面方向に熱収縮挙動を示す。熱収縮挙動がおさまるまでこの温度領域を維持すると、以後は加熱されても軟化または溶融するだけで、ほとんど収縮しない。
【0040】
穿孔の輪郭部分の樹脂は、熱収縮が終わった状態であると考えられる。したがって、輪郭の外側に、輪郭を外側に引っ張る部分、すなわち熱収縮が終わっていない状態の部分がないと、輪郭は熱収縮によって拡がっていくことができない。
【0041】
隣接する穿孔がない孤立した穿孔を形成させるなら、画素のピッチや発熱素子の大きさにかかわらず、収縮開始温度9以上となるフィルム上の温度領域を大きくすれば、熱収縮による大きな穿孔が可能である。しかし、ベタ部分のように、隣接画素の穿孔がある場合、隣接する穿孔の輪郭が、穿孔の成長によってお互いに接触し、融合してしまったら、その外側に熱収縮が終わっていない状態の部分がないので、熱収縮によってそれ以上穿孔を成長させることができない。
【0042】
ところが、本発明者の知見によれば、従来、穿孔の貫通孔の大きさを、熱収縮によって拡がる以上の領域にまで拡げて穿孔している場合もあることがわかった。それは紙質などに依存することが多く、たとえば熱収縮によって拡がる最大の貫通孔に対して、それによる紙への転移像の大きさが十分でない、すなわちドットゲインが小さい場合等に、画素間のすきまのない印刷物を得るためには、経験的に貫通孔をより大きなものにしている場合があった。
【0043】
また、版の解像度を高くする場合も、貫通孔を熱収縮によって拡がる最大サイズよりも大きくしていることがあることがわかった。孔版印刷における解像度は、最近までは300dpiや400dpiが主流だったが、近年、600dpiの機種が商品化されたように、高解像度化の流れがある。ここで、解像度に拘わらず同程度のインク転移量、すなわち同程度の印刷濃度を確保するためには、いずれの解像度においても版の面積に対する貫通孔の面積の比率(これを以後“開孔率”とよぶ)を同程度に設定する必要がある。一方、フィルム厚と開孔率を一定として解像度を高くすることは、解像度と開孔率を一定としてフィルムを厚くすることと3次元形状的に相似であり、このとき、輪郭は相対的に太くなる。場合によっては、隣接する穿孔によってその2つの貫通孔の間にできる輪郭が、目標とする貫通孔の間隔の値よりも太くなる。したがってこの場合、濃度の高い画像を得るために、貫通孔を熱収縮によって拡がる最大の大きさよりも大きくしていることがあった。
【0044】
穿孔の貫通孔の大きさが、熱収縮によって拡がる以上の領域にまで拡がる場合は、上述した穿孔挙動の第四のかわりに、以下の過程をとることがわかった。すなわち、ベタ部分の隣接する穿孔の輪郭が、穿孔の成長によってお互いに接触し、融合してからも、輪郭部分が表面張力によって移動できるように、輪郭とその外側部分を熱しつづける。輪郭は加熱され十分軟らかくなり、表面張力による移動がおこる。このようすを図6に示す。表面張力による移動は、低粘度の部分(隣接する貫通孔の間の高温部分)から高粘度の部分(対角に隣接する貫通孔の間の低温部分)に向かっておこる(表面張力による穿孔の成長、図6の黒色の太矢印参照)。なお、対角に隣接する貫通孔の間では、フィルムの熱収縮が終わっていない状態の部分があるため、貫通孔はさらに熱収縮によって対角に隣接する貫通孔の方向に拡大する(図6の白色の太矢印参照)。次に、発熱素子への印加が終わって、発熱素子の温度が下がり、その後、フィルムの温度も下がっていくと、輪郭とその外側部分の温度が収縮開始温度を下回り、輪郭は周辺部に向かって引っ張られなくなる。また、輪郭部分の温度が下がると、粘度が上がって、表面張力によって移動できなくなる。これらによって、穿孔の形が固定化される(穿孔の終了)。
【0045】
一定熱量に対して得られる貫通孔の成長の面積は、熱収縮による場合と表面張力による場合とでは、後者が前者に対して非常に小さい。つまり、表面張力による穿孔の効率は、熱収縮による穿孔の効率よりも、非常に小さい。これは、熱収縮性でないフィルムを用いた感熱孔版原紙を穿孔するためのエネルギーが、熱収縮性のフィルムを用いた感熱孔版原紙を穿孔するためのエネルギーよりも、非常に大きいことからも明らかである。
【0046】
孔版印刷版における、一定の大きさの貫通孔を形成する穿孔の輪郭が、感熱孔版原紙やそのフィルムの構成や製版条件等によって相対的に太い場合で、インク転移量や印刷濃度によって要請される大きさの貫通孔が、熱収縮によって得られる最大の貫通孔よりも大きい場合、目標の貫通孔の大きさを実現するために、さらに表面張力によって貫通孔を拡大させるしかない。
【0047】
表面張力による貫通孔の拡大(樹脂の移動)では、移動速度は、輪郭における樹脂の量と粘度に依存する。樹脂の量は、それまでの熱収縮による穿孔によって得られた貫通孔の部分に存在した樹脂の体積に依存する。樹脂の粘度は、その温度に依存する。樹脂の温度は、フィルムと発熱素子との距離や、フィルムに接している支持体繊維および接着剤の熱容量や、それまでの熱収縮の過程で輪郭に蓄えられた熱量や、樹脂の量に依存する。フィルムと発熱素子との距離や、フィルムに接している支持体繊維や接着剤の熱容量は、感熱孔版原紙における微視的な場所によって差がある。したがって表面張力による穿孔形状は、感熱孔版原紙における微視的な場所によって差が生じる。
【0048】
もちろん、熱収縮による穿孔(樹脂の移動)も、樹脂の温度に依存する。したがって、熱収縮による穿孔形状も、感熱孔版原紙における微視的な場所によって差が生じる。しかし、表面張力による穿孔形状のばらつきは、熱収縮による穿孔形状のばらつきよりも顕著である。なぜなら、表面張力による穿孔形状のばらつきは、熱収縮による穿孔形状のばらつきと、表面張力のみによる穿孔形状のばらつきを含み、表面張力のみによる穿孔形状のばらつきは、熱収縮による穿孔形状のばらつきに大きく影響されるからである。
【0049】
したがって、この場合、目標の貫通孔の大きさを実現させるために、熱収縮に加えて表面張力によって貫通孔を拡大させると、穿孔形状の微視的な場所によるばらつきが、熱収縮のみによる穿孔における穿孔形状のばらつきに対して、大きくなる。このばらつき(具体的には、貫通孔の径のばらつき)が一定以上になると、ベタにおける隣接する穿孔の貫通孔が連結してしまうという現象がおこる。このような孔版印刷版を用いて印刷をおこなうと、ベタ部分においてインク転移量すなわち濃度のばらつきが大きくなる。すなわちベタ部分がざらついた感じを与え、濃度の均一性が低下する。同時に細字のかすれやつぶれが発生する。さらに、転移量が多い印刷部分には、裏移り、裏抜けが発生する。
【0050】
また、この場合、熱収縮に加えて表面張力によって貫通孔を拡大させるために、熱収縮による穿孔に必要な温度以上にフィルムを熱する必要がある。したがって、発熱素子がより高温になるように印加条件を設定せねばならない。加えて、表面張力による穿孔の効率は、熱収縮による穿孔の効率よりも、非常に小さい。これらによって、第一に、製版時の消費電力が増える。また、この印加条件を、印加時間を長くすることによって設定すれば、一般に製版時間も長くなる。第二に、発熱素子が経験する温度が高くなると同時に、発熱素子が一定温度以上となる時間が長くなるので、発熱素子が劣化しやすい。感熱製版用加熱デバイスとして広く使用されているサーマルヘッドの場合、もともと、発熱温度領域が使用限界温度にかなり近いために、この傾向はより顕著である。
【0051】
このような欠点、すなわち、穿孔形状の微視的な場所によるばらつきが大きくなり印刷物のベタ部分の濃度がばらつく、細字のかすれやつぶれが発生する、裏移りや裏抜けが発生する、製版時の消費電力が増える、製版時間が長くなる、発熱素子が劣化しやすい、などを抑えるために、本発明は、穿孔の貫通孔の大きさを、熱収縮のみによって得られる大きさまでに制限することを目的とし、そのために上記式[1]及び上記式[2x]及び[2y]に従うことを提案する。該式は以下のようにして導出される。
【0052】
すなわち、熱収縮によってフィルムが穿孔されるとき、一つの穿孔における穿孔前後のフィルムの樹脂の質量的な収支はゼロである。すなわち、フィルムの樹脂の質量は穿孔前と穿孔後で変わらない。したがって、穿孔前に貫通孔の場所にあった樹脂の質量と、穿孔後の輪郭の質量増加とは等しい。
【0053】
一方、穿孔後の輪郭の樹脂の密度は、穿孔前に貫通孔の場所にあった樹脂の密度に対し、本発明者の測定では、1%ほど大きかった。すなわち、感熱孔版原紙に用いられる熱収縮性フィルムとして代表的なPET(ポリエチレンテレフタレート)の密度が、そのラマンスペクトルのC=O基のピーク(1730cm-1)の半値幅に反比例することがわかっており(A. J. Melveger, J. Polym. Sci., 10, 317 (1972) )、穿孔前の半値幅が23 cm-1(密度≒1.35)であり、穿孔後の輪郭の半値幅が20 cm-1(密度≒1.365)であった。したがって、穿孔の前後で樹脂の密度は実質的に変化しないとみなせるから、穿孔前に貫通孔の場所にあった樹脂の体積は、穿孔後の輪郭の体積増加にほぼ等しいといえる。以下、穿孔の前後で樹脂全体の体積は増減しないと想定する。また、薄い輪郭は生じないと想定する。以下の議論は輪郭の体積における解析に関するものであり、輪郭の全体積は厚い輪郭の体積にほとんど等しいために、薄い輪郭の存在を無視することができるためである。
【0054】
これを前提に、図7を参照しつつ上記式について説明する。なお、図7中、pは隣接する穿孔間のピッチ(走査ピッチ)、dは穿孔の内径を、fは隣接する穿孔の輪郭とは融合していない輪郭部分の輪郭の太さ、sは隣接する穿孔の輪郭とは融合していない輪郭部分の断面積、Fは隣接する穿孔の貫通孔の間隔、Sは隣接する穿孔の貫通孔を隔てる、融合した輪郭部分の断面積を示す。また、穿孔が、熱収縮によって得られる最大の貫通孔を実現するときのf、s、F、Sをそれぞれf0、s0、F0、S0とする。
【0055】
本発明者の実験によれば、隣接する穿孔の融合していない輪郭部分の断面形状は、輪郭の太さ方向(輪郭のフィルム面内の法線方向)に長く、フィルムの厚さ方向に短い扁平な楕円形状に近く、その扁平率α(=長/短軸比)は約3以下の値をとる。すなわち、
【0056】
【数1】
【0057】
輪郭の太さをfとしたから、輪郭の厚さはf/αであり、したがって
【0058】
【数2】
【0059】
ここでは、fもsも穿孔の中心からの角度に依存しない、すなわちfもsも等方的であるとしている(真上から見た輪郭が真円形状のときに成り立つ)。主走査密度が副走査密度と実質的に等しく、各画素に一つずつの穿孔を形成させる場合、それぞれの穿孔(または貫通孔)の主走査方向と副走査方向の間隔は通常等しく設定し、穿孔の平面形状はほぼ真円となるので、fとsは等方的とみなすことができる。
【0060】
隣接する穿孔がそれぞれ熱収縮によって最大限に拡がったときが、ばらつきの少ない穿孔状態における最大の貫通孔の大きさを与える。この場合のf、sをそれぞれf0、s0とする。望ましい穿孔状態を得るためには、
【0061】
【数3】
【0062】
とする必要がある。
【0063】
f0とs0も式[4]にしたがうから、
【0064】
【数4】
【0065】
一方、f=f0(前述のとおり、この状態が熱収縮によって穿孔が最大に拡張した状態である)において隣接する穿孔の間の輪郭は融合し、その太さF0は、表面張力によってもっとも小さくなった状態、すなわち真円となる。この融合した輪郭の断面積S0は、
【0066】
【数5】
【0067】
である。望ましい穿孔状態を得るためには、隣接する穿孔の貫通孔の間隔FはF0より小さくすることができない:
【0068】
【数6】
【0069】
ここに、Fは走査のピッチpと貫通孔の直径dであらわされ、
【0070】
【数7】
【0071】
したがって式[5]、[6]、[7]、[8]、[9]より、
【0072】
【数8】
【0073】
このとき、αが式[3]の範囲のどの値をとっても式[10]が成り立つためには、
【0074】
【数9】
【0075】
ここまで、fは等方的としていたが、実際にはp、d、fは等方的とは限らない。pは主走査と副走査でピッチが異なる場合、dとfは貫通孔の平面形状が主走査方向または副走査方向に扁平な場合、等方的ではない(fは輪郭部分に移動する貫通孔部分の樹脂の体積に依存する)。実際、たとえば
主走査密度 = 300 [dpi]、
副走査密度 = 400 [dpi]、
dx / dy = px / py = 1.33、
開孔率 = 40%
とし、貫通孔が主走査方向と副走査方向の走査ピッチに等しい長短軸比をもつ楕円と仮定して計算すると、
dx = 60.4μm、
dy = 45.3μm
である。このときfは穿孔の中心からの角度によって変化し、最大値がfx、最小値がfyである。ところが fx / fy は px / py や dx / dy ほどには大きくない:
フィルムの厚さが2μmの場合の解析によれば、
輪郭の断面の扁平率 = 1 のとき fx / fy = 7.6 [μm] / 6.8 [μm] = 1.12、
輪郭の断面の扁平率 = 3 のとき fx / fy = 15.2 [μm] / 13.9 [μm] = 1.09
となり、fxとfyの値の違いは10%程度でしかなく、測定手段にもよるが誤差の範囲にある。後述する比較例2および実施例4は
主走査密度 = 300dpi、
副走査密度 = 400dpi
であり、dx / dyはpx / pyとほぼ等しい。このとき、孤立した(となりあう穿孔のない)穿孔を測定したところ、
比較例2では fx / fy = 1.07、
実施例4では fx / fy = 1.08
と上記に近い値を示し、解析の結果を裏づけた。したがって、dとfは異方的だが、fは等方的とみなしても実質的にさしつかえない。この考え方にしたがって示したのが、この発明の式[1]である。
【0076】
また、式[11]におけるp、d、fの異方性を考慮して主走査方向と副走査方向に区別して示したのが、この発明の特許請求の範囲における式[2x]及び式[2y]である。この場合、隣接する穿孔があると互いの輪郭が融合することが多いので、該式では隣接する穿孔の輪郭とは融合しない状態の輪郭の太さを用いることを明らかにするために、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さと定めた。
【0077】
感熱孔版製版装置の仕様によって主走査および副走査のピッチがきまり、印刷物の画質から目標の貫通孔の径、すなわち穿孔の内径がきまる。したがって穿孔形態をこの発明の請求範囲に設定するためには、輪郭の太さを制御する必要があり、そのための任意の方法をとることができる。輪郭の太さは、穿孔前に貫通孔の場所にあった樹脂の体積と、輪郭の断面の扁平率(=太さ/厚さ)に依存する。穿孔前に貫通孔の場所にあった樹脂の体積は、一定の貫通孔の面積に対しては、フィルムの厚さを選択することで、制御することができる。輪郭の断面の扁平率は、フィルムの熱物性(熱収縮特性、融点、溶融粘度、熱容量など)と加熱デバイスの温度の空間的分布や時間的変化を変えることによって、制御することができる。
【0078】
なお、以上における加熱デバイスとしては、しばしばサーマルヘッドの発熱素子を例に挙げたが、この発明は熱収縮性フィルムを加熱することによって穿孔させる現象一般について適用できるので、加熱デバイスとしてはサーマルヘッドに限定されず、レーザー光源や活性エネルギー線源やその他多くのデバイスを用いることができる。
【0079】
【実施例】
以下、この発明を実施例および比較例にもとづいて説明する。各実施例と比較例における製版条件、穿孔形状の測定値、穿孔の評価および印刷物の評価を表1に示す。なお、表1に示した物性の測定方法は下記のとおりである。
【0080】
式 [1] の値
式[1]の左辺−右辺の値を示す。px−(dx+(√2)f)は主走査方向の穿孔間のピッチと内径を用いた場合の値、py−(dy+(√2)f)は副走査方向の穿孔間のピッチと内径を用いた場合の値で、何れかの値が正であれば、本発明の条件をみたす。
【0081】
式 [2x] 及び式 [2y] の値
式[2x]及び式[2y]の左辺−右辺の値を示す。両式の値が正であれば、本発明の条件をみたす。
【0082】
製版物の評価条件
いずれの実施例および比較例も、製版は表1に示すそれぞれの条件(解像度、ピッチ、発熱素子サイズ、印加エネルギー、周期、フィルム物性)をみたす実験製版装置および感熱孔版原紙によっておこなった。感熱孔版原紙のその他の共通する条件は、材料として混合比を変えた種々のポリエステル系樹脂を用いてこれを2軸延伸し、表1に示す厚さと融点をもつフィルムを製膜し、これに多孔性支持体としてマニラ麻とポリエステル繊維からなる坪量10g/m2、厚さ35μmの混抄紙を塗布量0.5g/m2のポリ酢酸ビニル樹脂を介して貼り合わせた後、フィルムの表面にシリコーン系樹脂を0.1 g/m2塗布して作製した。環境温度は室温である。
【0083】
貫通孔の径、厚い輪郭の内径、厚い輪郭の太さ
ベタのパターンを製版し、製版物上の熱履歴状態が同じような状態の領域(製版開始ラインから副走査方向の下流に5mm以上、15mm以内)における、光学顕微鏡をとおして撮影した写真から、貫通孔の径、厚い輪郭の内径、および厚い輪郭の太さをスケールによって測定し、それぞれ20個の穿孔における平均値をもとめた。
【0084】
貫通孔の面積の SN 比
ベタのパターンを製版し、製版物上の熱履歴状態が同じような状態の領域(製版開始ラインから副走査方向の下流に5mm以上、15mm以内)における、光学顕微鏡をとおしてCCDカメラでとりこんだ画像から、三谷商事(株)製画像解析パッケージMacSCOPEを使用し、100個の穿孔における貫通孔を2値化によって切り出し、それらによる貫通孔の面積のSN比をもとめた。
【0085】
貫通孔の面積のSN比は、望目特性のSN比である。この値が大きいほど、穿孔面積のばらつきが少ない。穿孔面積のSN比は、測定条件によって値が異なるので一元的には評価しにくいが、本発明者らは経験的に、それぞれの穿孔からの均一な転移状態を得るために、現実的には10db以上が必要で、13db以上であれば望ましく、10dbに満たない場合は問題が大きいと考えている。
【0086】
印刷物の評価条件
いずれの実施例および比較例も、得られた版を手作業で印刷ドラムに着版し、印刷は理想科学工業(株)製孔版印刷機リソグラフ(登録商標)GR377の標準条件(電源ON時の設定)でリソグラフインクGR-HD(商品名、理想科学工業(株)製)を使用しておこなった。環境温度は室温である。
【0087】
ベタの均一性
ベタの均一性は、印刷物のベタ部分において、穿孔形状のばらつきに起因する微視的(周期が1mm程度以下)な場所による濃度のばらつきの程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったく濃度ばらつきが感じられない、
○:わずかに濃度ばらつきはあるが、文字原稿のベタ再現性、写真原稿の階調再現性ともに問題ないレベルである、
△:文字原稿のベタ再現性は問題ないが、写真原稿のシャドウ部の階調再現性が劣っている、
×:濃度ばらつきが顕著で、文字原稿のベタ再現性、写真原稿の階調再現性ともに劣っている。
【0088】
細字のかすれ
細字のかすれは、印刷物の細字部分において、穿孔形状のばらつきに起因するかすれ(連続するべきパターンの欠損)の程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったくかすれが感じられない、
○:わずかにかすれがあるが、文字原稿の細字(白地に黒文字)の再現性、写真原稿のハイライト部分の階調再現性ともに問題ないレベルである、
△:文字原稿の細字(白地に黒文字)の再現性は問題ないが、写真原稿のハイライト部分の階調再現性が劣っている、
×:かすれが顕著で、文字原稿の細字(白地に黒文字)の再現性、写真原稿のハイライト部分の階調再現性ともに劣っている。
【0089】
細字のつぶれ
細字のつぶれは、印刷物の細字部分において、穿孔形状のばらつきに起因するつぶれ(近接した2つのパターン間にあるべき白地の欠損)の程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったくつぶれが感じられない、
○:わずかにつぶれがあるが、文字原稿の細字(黒地に白文字)の再現性、写真原稿のシャドウ部分の階調再現性ともに問題ないレベルである、
△:文字原稿の細字(黒地に白文字)の再現性は問題ないが、写真原稿のシャドウ部分の階調再現性が劣っている、
×:つぶれが顕著で、文字原稿の細字(黒地に白文字)の再現性、写真原稿のシャドウ部分の階調再現性ともに劣っている。
【0090】
裏移り
裏移りは、印刷により積み重ねられた印刷物の裏面が、それに接する直前の印刷物の印刷面に転移したインクによって汚れる程度を主観評価で以下の基準により示した:
◎:まったく裏移りが感じられない、
○:わずかに裏移りがあるが、ベタ部分が大きくインクの転移量が多い原稿においても問題なく、公式な印刷物として許容できるレベルである、
△:細字(白地に黒文字)やハイライトなどのインクの転移量が少ない部分では問題ないが、大きなベタなどのインクの転移量が多い部分においては汚れが目立つ。公式な印刷物としては許容できないが、非公式な印刷物としては使える、
×:裏移りが顕著で、ほとんどすべての原稿部分において汚れが目立つ。非公式な印刷物としても許容できない。
【0091】
(比較例1)
主走査方向解像度=副走査方向解像度=400dpiにおいて、貫通孔の内径の目標値を主走査方向、副走査方向ともに42.5μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0092】
このとき、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも負になり、本発明の条件をみたさなかった。
【0093】
(実施例1)
フィルムの厚さを比較例1の2.5μmに対して1.7μmに薄くし、印加エネルギーをそれにあわせて下げた以外、比較例1と同様に製版及び印刷を行った。これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0094】
(実施例2)
フィルムの融点を比較例1の226℃に対して189℃に下げた。また、発熱素子のサイズを比較例1の30×40μmに対し25×33μmに小さくし、印加エネルギー密度(発熱素子の単位面積あたり印加されるエネルギー)を上げた。これ以外は、比較例1と同様に製版及び印刷を行った。
【0095】
これによってほぼ同じ貫通孔の径を実現しながら、厚い輪郭の粘度が下がり、厚い輪郭の扁平率が減少し、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0096】
(実施例3)
フィルムの厚さを比較例1の2.5μmに対して1.7μmに薄くし、フィルムの融点を比較例1の226℃に対して189℃に下げた。また、発熱素子のサイズを比較例1の30×40μmに対し25×33μmに小さくし、印加エネルギーをそれにあわせて設定した。これ以外は、比較例1と同様に製版及び印刷を行った。
【0097】
これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少した。また、厚い輪郭の粘度が下がり、厚い輪郭の扁平率が減少した。これらによって、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0098】
(比較例2)
主走査解像度=300dpi、副走査解像度=400dpiにおいて、貫通孔の内径の目標値を主走査方向は59μm、副走査方向は44μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0099】
このとき、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも負になり、本発明の条件をみたさなかった。
【0100】
(実施例4)
フィルムの厚さを比較例2の3μmに対して1.7μmに薄くし、印加エネルギーをそれにあわせて下げた。これ以外は、比較例2と同様に製版及び印刷を行った。
【0101】
これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0102】
(比較例3)
主走査方向解像度=副走査方向解像度=600dpiにおいて、貫通孔の内径の目標値を主走査方向、副走査方向ともに26μmとして印刷条件を設定し、感熱孔版原紙を製版し、印刷した。
【0103】
このとき、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも負になり、本発明の条件をみたさなかった。
【0104】
(実施例5)
フィルムの厚さを比較例3の2.5μmに対して1.7μmに薄くし、印加エネルギーをそれにあわせて下げた。これ以外は、比較例3と同様に製版及び印刷を行った。
【0105】
これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少し、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0106】
(実施例6)
フィルムの融点を比較例3の226℃に対して189℃に下げた。また、発熱素子のサイズを比較例3の20×25μmに対し17×23μmに小さくし、印加エネルギー密度を上げた。これ以外は、比較例3と同様に製版及び印刷を行った。
【0107】
これによってほぼ同じ貫通孔の径を実現しながら、厚い輪郭の粘度が下がり、厚い輪郭の扁平率が減少し、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0108】
(実施例7)
フィルムの厚さを比較例3の2.5μmに対して1.7μmに薄くし、フィルムの融点を比較例3の226℃に対して189℃に下げた。また、発熱素子のサイズを比較例3の20×25μmに対し17×23μmに小さくし、印加エネルギーをそれにあわせて設定した。これ以外は、比較例3と同様に製版及び印刷を行った。
【0109】
これにより貫通孔の場所にあった樹脂の体積が減少した。また、厚い輪郭の粘度が下がり、厚い輪郭の扁平率が減少した。これらによって、厚い輪郭の太さが減少した。そして、式[1]の値ならびに式[2x]及び式[2y]の値はいずれも正になり、本発明の条件をみたした。
【0110】
【表1】
【0111】
【発明の効果】
本発明によれば、穿孔を表面張力によることなく熱収縮によって形成することができるので、孔版印刷に用いられる感熱孔版原紙のフィルムにサーマルヘッドやレーザービーム等の加熱デバイスによって穿孔を施して孔版印刷版を作製する際に、穿孔の大きさを適切に保ちながら形状のばらつきをおさえ、したがって印刷物の画像品質を向上(ベタ部分の濃度ばらつきの低減、細字のかすれやつぶれの低減、裏移りや裏抜けの低減)させ、また、製版デバイスに高い温度条件を要求せず、したがって製版条件を向上(消費電力の低減、製版時間の短縮、発熱素子の劣化防止)させるための、穿孔形態を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムに施された穿孔の模式的平面図及び断面図。
【図2】サーマルヘッドの発熱素子の温度分布を示すグラフ。
【図3】サーマルヘッドの発熱素子によって加熱されたフィルムの温度分布を示すグラフ。
【図4】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムの温度と熱収縮応力との関係を示すグラフ。
【図5】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムの加熱穿孔時の樹脂の移動方向を示す模式的平面図。
【図6】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムの熱収縮及び熱溶融による穿孔挙動を説明する模式的平面図。
【図7】熱収縮性の感熱孔版原紙のフィルムに施された隣接する2つ穿孔の関係を示す模式的平面図及び断面図。
【符号の説明】
p…隣接する穿孔間のピッチ
d…穿孔の内径
f…隣接する穿孔の輪郭とは融合していない輪郭部分の輪郭の太さ
s…隣接する穿孔の輪郭とは融合していない輪郭部分の断面積
F…隣接する穿孔の貫通孔の間隔
S…隣接する穿孔の貫通孔を隔てる、融合した輪郭部分の断面積
Claims (6)
- 熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版方法において、該穿孔が下記式[1]を満たすように該加熱デバイスの印加エネルギーが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版方法。
p≧d+(√2)f≧p−10.2[μm] [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ[μm]、dはpと同方向における穿孔の内径[μm]、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さ[μm]を示す。) - 熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版方法において、該穿孔が下記式[2x]及び[2y]を満たすように該加熱デバイスの印加エネルギーが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版方法。
px≧dx+(√2)fx≧p x −9.8[μm] [2x]
py≧dy+(√2)fy≧p y −8.2[μm] [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ[μm]、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径[μm]、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さ[μm]を示す。) - 熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版装置において、該穿孔が下記式[1]を満たすように該加熱デバイスの印加エネルギーが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版装置。
p≧d+(√2)f≧p−10.2[μm] [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ[μm]、dはpと同方向における穿孔の内径[μm]、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さ[μm]を示す。) - 熱収縮性フィルムを備えた感熱孔版原紙の当該熱収縮性フィルムを加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔を形成させる製版装置において、該穿孔が下記式[2x]及び[2y]を満たすように該加熱デバイスの印加エネルギーが設定されることを特徴とする感熱孔版原紙の製版装置。
px≧dx+(√2)fx≧p x −9.8[μm] [2x]
py≧dy+(√2)fy≧p y −8.2[μm] [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ[μm]、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径[μm]、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さ[μm]を示す。) - 加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔が形成された熱収縮性フィルムを備えた孔版印刷版であって、該穿孔が下記式[1]を満たすことを特徴とする孔版印刷版。
p≧d+(√2)f≧p−10.2[μm] [1]
(式中、pは主走査方向又は副走査方向の走査ピッチ[μm]、dはpと同方向における穿孔の内径[μm]、fは穿孔の融合していない輪郭部分の輪郭の太さ[μm]を示す。) - 加熱デバイスで選択的に加熱して画像に対応する独立した点状の穿孔が形成された熱収縮性フィルムを備えた孔版印刷版であって、該穿孔が下記式[2x]及び[2y]を満たすことを特徴とする孔版印刷版。
px≧dx+(√2)fx≧p x −9.8[μm] [2x]
py≧dy+(√2)fy≧p y −8.2[μm] [2y]
(式中、px及びpyは夫々主走査方向及び副走査方向の走査ピッチ[μm]、dx及びdyは夫々穿孔の主走査方向及び副走査方向の内径[μm]、fx及びfyは夫々穿孔の主走査方向軸線及び副走査方向軸線を法線とする融合していない状態の輪郭部分の輪郭の太さ[μm]を示す。)
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