JP4003822B2 - レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents

レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム強化樹脂に、カーボンブラックなどの黒色系化合物を配合してなるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、熱可塑性樹脂にある種の黒色系の化合物を配合した樹脂材料にレーザー光を照射すると、照射部分が黒色あるいは白色に変色する技術が知られている(特公昭62−59663号公報、特表平10−501014号公報)。このようなレーザーマーキング技術は、キーボードのキー印字、ファクシミリなどのOA機器パネルの文字印字などに使用されており、従来用いられてきたタンポ印刷などに較べ、低コストで、かつ、印字された文字の耐久性などに大変優れている。しかしながら、これまでのレーザーマーキング用熱可塑性樹脂材料は、流動性の点で劣り、大型成形品、あるいは薄肉成形品の製造に適していないという問題が生じている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、上記問題点を解決し、流動性良好で、かつ実用的な耐衝撃強度を有するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)ゴム状重合体(a)5〜30重量%の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル(b)45〜70重量%ならびに芳香族ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)およびマレイミド系化合物(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分0〜50重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂(A−1)50〜99重量部と、ゴム状重合体(a)10〜60重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物(c)およびシアン化ビニル化合物(d)からなる単量体成分40〜90重量%〔ただし、(a)+(c)+(d)=100重量%で、かつ、単量体成分〔(c)+(d)〕中の(d)の使用量は0.5〜10重量%である〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂(A−2)50〜1重量部〔ただし、(A−1)+(A−2)=100重量部〕〔以下、(A−1)と(A−2)を併せて、「(A)成分」ともいう)の合計量100重量部に対し、
(B)黒色系化合物0.01〜5重量部、
を配合したことを特徴とするレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明に使用される(A)成分は、(メタ)アクリル酸エステルの共重合量を規定したゴム強化樹脂(A−1)、およびシアン化ビニル化合物の共重合量を規定したゴム強化樹脂(A−2)からなるものである。なお、ここで、(A)成分は、あらかじめゴム強化樹脂(A−1)とゴム強化樹脂(A−2)を混合して組成物となしたうえ、後記(B)黒色系化合物を配合しても、また、例えば、(A−1)〜(A−2)成分と(B)成分とを同時に配合した組成物の系であってもよい。
【0006】
上記ゴム強化樹脂(A−1)は、ゴム状重合体(a)5〜30重量%の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル(b)45〜70重量%、ならびに芳香族ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)およびマレイミド系化合物(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分0〜50重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕をグラフト重合して得られる。
上記ゴム状重合体(a)としては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1(非共役ジエン)共重合体、イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、SEBSなどの水素添加ジエン系(ブロック、ランダム、およびホモ)重合体、ポリウレタンゴム、およびシリコーンゴムなどが挙げられる。これらのなかで、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジエン系重合体、およびシリコーンゴムが好ましい。
【0007】
なお、ゴム状重合体(a)にシリコーンゴムを用いる場合は、シリコーンゴム中にグラフト交叉剤(例えば、ビニル基を含んだもの、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランなど)を0.01〜10重量%使用すると、耐衝撃性、摺動性にも優れるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物が得られる。
また、ゴム粒径の異なる2種以上のゴム状重合体(a)を用いると、さらに、耐衝撃性、物性バランスに優れる本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物が得られる。好ましい粒径としては、80〜180nmと180〜480nm程度の2種の粒径の異なるゴム状重合体(a)を使用することが好ましい。この場合、2種のゴム状重合体(a)の存在下で単量体成分(b)〜(e)を重合しても、あるいは、ゴム粒径の異なる2種のゴム強化樹脂(A−1)を使用することもできる。
【0008】
上記、(メタ)アクリル酸エステル(b)としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらのなかで、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好ましい。
この(メタ)アクリル酸エステル(b)は、本発明のレーザーマーキング発色に必須の成分である。
【0009】
上記芳香族ビニル化合物(c)としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、トリブロモスチレンなどの臭素化スチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンなどの塩素化スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。これらのなかで、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。
シアン化ビニル化合物(d)としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどが挙げられる。これらのなかで、アクリロニトリルが好ましい。
【0010】
マレイミド系化合物(e)としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−カルボキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)マレイミド、トリブロモフェニルマレイミド、N−(4−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドなどが挙げられる。これらのなかで、N−フェニルマレイミドが好ましい。なお、マレイミド系化合物を、マトリックス樹脂中に共重合すると、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が向上する。
【0011】
上記ゴム強化樹脂(A−1)を調製するためには、ゴム状重合体(a)に、(メタ)アクリル酸エステル(b)、ならびに芳香族ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)およびマレイミド系化合物(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分をグラフト重合する際の仕込み組成は、(a)成分5〜30重量%、(b)成分45〜70重量%、および(c)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分0〜50重量%、好ましくは、(a)成分10〜30重量%、(b)成分50〜65重量%、および(c)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分5〜40重量%、さらに好ましくは、(a)成分15〜25重量%、(b)成分55〜60重量%、および(c)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分25〜30重量%である〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕。(a)成分が5重量%未満であると、耐衝撃性が充分でなく、一方、30重量%を超えると、外観不良や成形加工性の低下が生じ好ましくない。また、(b)成分の共重合量が45重量%未満であると、レーザーマーキング性が劣り、一方、70重量%を超えると、耐衝撃性が劣る。さらに、(c)〜(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分が50重量%を超えると、レーザーマーキング性が劣る。
【0012】
また、ゴム強化樹脂(A−1)のグラフト率は、好ましくは、10〜100%、さらに好ましくは、15〜90%、特に好ましくは、20〜70%である。(A−1)のグラフト率が10%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の外観不良、耐衝撃強度の低下が生じ好ましくない。一方、100%を超えると、成形加工性が劣る。
ここで、上記グラフト率(%)は、(A−1)成分1g中のゴム成分量をx、(A−1)成分1g中のメチルエチルケトン不溶分量をyとすると、下式により求められる。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
【0013】
また、ゴム強化樹脂(A−1)中のマトリックス樹脂の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは、0.1〜1.0dl/g、さらに好ましくは、0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは、0.3〜0.7dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲であると、耐衝撃性、成形加工性(流動性)に優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物が得られる。
ここで、ゴム強化樹脂(A−1)中のマトリックス樹脂とは、(A−1)成分中のグラフト化ゴム成分以外の樹脂成分のことであり、上記極限粘度〔η〕は、(A−1)成分のうち、メチルエチルケトン可溶分を常法に従って測定することによって求めた値である。
【0014】
本発明のゴム強化樹脂(A−1)は、ゴム強化樹脂(A−1)単独だけではなく、(A−1)と(b)成分および(c)〜(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分からなる(共)重合体とを組み合わせて使用することもできる。
ゴム強化樹脂(A−1)の好ましい組み合わせとしては、下記の組成が挙げられる。ただし、本発明の請求範囲は、その要旨を超えない限り、下記の組成に制約されるものではない。
▲1▼(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したゴム強化樹脂(共重合(メタ)アクリル酸エステル量=50〜65重量%)
▲2▼(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したゴム強化樹脂/(メタ)アクリル酸エステル−スチレン−アクリロニトリルの3元共重合体(全体の共重合(メタ)アクリル酸エステル量=45〜65重量%)
▲3▼(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したゴム強化樹脂/ポリメチルメタクリレート〔全体の共重合(メタ)アクリル酸エステル量=45〜70重量%〕
▲4▼(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したABS樹脂〔共重合(メタ)アクリル酸エステル量=50〜60重量%〕
【0015】
一方、本発明のゴム強化樹脂(A−2)は、ゴム状重合体(a)10〜60重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物(c)およびシアン化ビニル化合物(d)からなる単量体成分40〜90重量%〔ただし、(a)+(c)+(d)=100重量%で、かつ、単量体成分(c)+(d)中の(d)の使用量は0.5〜10重量%〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂である。
【0016】
ゴム強化樹脂(A−2)に使用可能な、ゴム状重合体(a)、芳香族ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)は、ゴム強化樹脂(A−1)に列記したものと同じものが任意に使用できる。また、単量体成分として、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エステル(b)、マレイミド系化合物(e)を使用することができる。なお、(A−1)と(A−2)に用いるゴム状重合体(a)は、同一であっても、異なるものであっても良い。
【0017】
上記ゴム強化樹脂(A−2)を調製するため、ゴム状重合体(a)に、(c)および(d)成分をグラフト重合する際の仕込み組成は、(a)成分10〜60重量%、(c)および(d)成分90〜40重量%、好ましくは、(a)成分20〜50重量%、(c)および(d)成分80〜50重量%、さらに好ましくは、(a)成分30〜40重量%、(c)および(d)成分70〜60重量%である〔ただし、(a)+(c)+(d)=100重量%〕。(a)成分が10重量%未満であると、耐衝撃性が充分でなく、一方、60重量%を超えると、外観不良や成形加工性の低下が生じ好ましくない。
【0018】
ゴム強化樹脂(A−2)に用いる単量体成分(c)および(d)中の(d)の使用量は、0.5〜10重量%、好ましくは1〜8重量%、さらに好ましくは2〜6重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。シアン化ビニル化合物(d)の使用量が0.5重量%未満であると、耐衝撃強度が劣り、一方、10重量%を超えると、優れた流動性改良効果が得られない。
また、ゴム強化樹脂(A−2)のグラフト率は、好ましくは、10〜100%、さらに好ましくは、15〜90%、特に好ましくは、20〜70%である。(A−2)のグラフト率が10%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の外観不良、耐衝撃強度の低下が生じ好ましくない。一方、100%を超えると、成形加工性が劣る。なお、グラフト率(%)の測定方法は、上記ゴム強化樹脂(A−1)の項で記載したとおりである。
【0019】
また、ゴム強化樹脂(A−2)中のマトリックス樹脂の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは、0.1〜0.8dl/g、さらに好ましくは、0.2〜0.7dl/g、特に好ましくは、0.2〜0.6dl/gである。極限粘度〔η〕が上記範囲であると、成形加工性(流動性)に優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物が得られる。
ここで、ゴム強化樹脂(A−2)中のマトリックス樹脂とは、(A−2)成分中のグラフト化ゴム成分以外の樹脂成分のことであり、上記極限粘度〔η〕は、(A−2)成分のうち、メチルエチルケトン可溶分を常法に従って測定することによって求めた値である。
【0020】
本発明のゴム強化樹脂(A−2)としては、ブタジエンゴムにAS樹脂(共重合アクリロニトリル量=5重量%)をグラフト重合したABS樹脂などが挙げられる。
【0021】
上記ゴム強化樹脂(A−1)またはゴム強化樹脂(A−2)には、酸無水物系化合物または官能基含有ビニル系単量体を共重合することもできる。
酸無水物系化合物としては、無水マレイン酸などが挙げられる。
また、官能基含有ビニル系単量体の官能基としては、エポキシ基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基などが挙げられる。具体的な官能基含有ビニル系単量体としては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ビニルオキサゾリンなどが挙げられる。これらの官能基含有ビニル系単量体を共重合することで、他の樹脂との界面密着性(相溶性)を高めることができる。これらの官能基含有ビニル系単量体の共重合量は、(A−1)あるいは(A−2)成分中に、好ましくは、1〜15重量%、さらに好ましくは、2〜10重量%である。
【0022】
本発明に用いられるゴム強化樹脂(A−1)および(A−2)は、例えば、ゴム状重合体(a)の存在下に、単量体成分を重合する方法、ゴム状重合体(a)の存在下に、単量体成分の一部を重合し、残りの単量体成分を別途重合し、これらをブレンドする方法、などの製造方法によって得られる。
上記ゴム強化樹脂(A−1)および(A−2)は、公知の乳化重合、溶液重合、懸濁重合などにより製造できる。
【0023】
重合時のラジカル開始剤としては、一般的なものが使用できる。具体例としては、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイト、t−ブチルパーオキシモノカーボネートなどが挙げられる。
乳化重合により製造した場合、通常、凝固剤により生成物を凝固し、得られた粉末を水洗後、乾燥することにより精製される。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウムなどの無機塩を使用することができる。また、凝固剤として、硫酸、塩酸などの酸を使用することもできる。
【0024】
本発明の(A)成分は、ゴム強化樹脂(A−1)およびゴム強化樹脂(A−2)からなる。
ここで、ゴム強化樹脂(A−1)とゴム強化樹脂(A−2)の配合割合は、ゴム強化樹脂(A−1)が、50〜99重量部、好ましくは60〜90重量部、さらに好ましくは65〜85重量部であり、ゴム強化樹脂(A−2)が、50〜1重量部、好ましくは40〜10重量部、さらに好ましくは35〜15重量部〔ただし、(A−1)+(A−2)=100重量部〕である。(A−1)成分が50重量部未満では、本発明の目的とするレーザーマーキング性が劣り、実用的な耐衝撃強度が得られず、好ましくない。一方、(A−1)成分が99重量部を超えると、流動性が劣る。
【0025】
本発明の(A)成分中に含まれる(メタ)アクリル酸エステルの共重合量は、好ましくは30〜50重量%、さらに好ましくは35〜45重量%、特に好ましくは38〜43重量%である。(A)成分中の(メタ)アクリル酸エステル量が30重量%未満では、レーザーマーキング性が不充分であり、一方、50重量%を超えると、耐衝撃性が劣る。
【0026】
次に、本発明に用いられる(B)成分は、カーボンブラックなどの黒色系化合物である。(B)成分としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタンブラックおよび黒鉛などの黒色系化合物の群から選ばれた少なくとも1種が使用できる。上記黒色系化合物である(B)成分は、波長−反射率曲線で表すのであれば、400〜700nmの波長の全領域に対して、反射率が10%以下、好ましくは5%以下のものである。すなわち、この400〜700nmの全領域の波長の光を吸収する化合物であれば、本発明の(B)成分として使用できる。
【0027】
(B)成分のカーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラックなどのいずれも使用可能である。カーボンブラックの好ましい粒径は、10〜80nm、さらに好ましくは、12〜40nmである。粒径が小さい方が樹脂中での分散性が良く、レーザーマーキング発色性が良好である。また、カーボンブラックの好ましい比表面積は20〜1,500m2 /g、好ましい吸油量は35〜300ml/100g、好ましいpHは2〜10である。
【0028】
また、黒色酸化鉄は、Fe3 4 やFeO・Fe2 3 で表される黒色の鉄酸化物である。黒色酸化鉄の好ましい粒径は、0.3〜0.8μm、さらに好ましくは、0.4〜0.6μmである。形状としては、球状、立方状、針状などのいずれも使用できるが、立方状が好ましい。
さらに、チタンブラックは、二酸化チタンを還元することによって得られる化合物である。チタンブラックの好ましい粒径は、0.1〜60μm、さらに好ましくは、1〜20μmである。
【0029】
(B)黒色系化合物の配合量は、(A)成分100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましくは0.02〜3重量部、さらに好ましくは0.03〜2重量部、特に好ましくは0.05〜1重量部である。
(B)成分の配合割合が0.01重量部未満ではレーザーマーキングの発色が劣り、一方、5重量部を超えるとレーザーマーキング発色および耐衝撃性が劣る。
【0030】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、染料・有機顔料などを配合することもできる。これらの、染料・有機顔料などと黒色系化合物を併用することで、有彩色を呈するレーザーマーキング性が得られる。
上記染料・有機顔料などを波長−反射率曲線で表すのであれば、400〜700nmの波長領域において、部分的に反射率が40%以上の領域、好ましくは50%以上の領域を有する、染料・有機顔料である。これらの染料・有機顔料を適切に選定することで、黄色、赤、青、緑、紫などの有彩色を明彩に発色することができる。基本的には、配合する染料・有機顔料の色彩が、レーザー光照射時に照射部分を発色させる。
【0031】
本発明に使用可能な染料としては、ニトロソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染料、チアゾール染料、インダミン染料、アジン染料、オキサジン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン染料、アントラキノン染料、インジゴイド染料などが挙げられる。
【0032】
これらの染料の具体例としては、Mordant Green 4、Disperse Yellow 14、Disperse Yellow 31、Acid Yellow 2、Direct Yellow 31、DirectYellow 59、Basic Yellow 2、Basic Orange 23、Direct Orange 71、Direct Red 28、Acid Red 52、Solvent Blue 22、Acid Blue 59、Mordant Blue 10、Acid Blue 45、Vat Blue 41、トルイジンマルーン、パーマネントレッドAG、ハンザエローG、ハンザエロー10G、ベンジジンオレンジ2Gなどが挙げられる。
【0033】
また、有機顔料としては、一般的に用いられるものが使用できるが、なかでも、配位している金属がカルシウム、ニッケル、鉄、バリウム、ナトリウム、銅、モリブデン、コバルト、マンガン、亜鉛、チタン、マグネシウム、カリウムなどのものが好ましい。
具体的な有機顔料としては、ウォッチングレッド(Ca)、グリーンゴールド(Ni)、ピグメントグリーンB(Fe)、ピグメントスカーレット3B(Ba)、ファーストスカイブルー(Ba)、フタロシアニングリーン(Fe)、フタロシアニンブルー(Cu)、ブリリアントカーミン6B(Ca)、ボルドー10B(Na)、リソールレッドR(Na)、レーキレッドC(Ba)、レーキレッドD(Ba)、ブリリアントスカーレットG(Ca)、マンガンバイオレット(Mn)、コバルトバイオレット(Co)などが挙げられる。なお、有機顔料に含まれる元素を、これらの名称の後の括弧内に示した。
【0034】
これらの染料・有機顔料の配合量は、本発明に用いられる(A)成分100重量部に対して、好ましくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.05〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。配合量が0.01重量部未満であると、レーザーマーキング性が発現せず、一方、5重量部を超えると、耐衝撃性、レーザーマーキング性が劣る。
【0035】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物において、有彩色を発色する機構としては、まだ明らかではないが、次のように考えられる。すなわち、(A)成分中に配合された(B)成分の黒色系化合物がカーボンブラックや黒鉛の場合、レーザー光を吸収して、照射部分に存在するカーボンが気化する。この段階で、照射部分での黒色成分が無くなる、あるいは、少なくなる。一方、照射部分に存在していた有彩色を有する染料・有機顔料などは、レーザー光を吸収しないので、照射部分にそのまま存在し、染料・有機顔料など由来の有彩色を照射部分に発色させる。また、他の機構の説明としては、(B)成分がレーザー光を吸収し、光を熱変換する。発生する熱が、熱可塑性樹脂組成物中の(メタ)アクリル酸エステル成分を分解し発泡させることで、発泡した部分と照射されない部分とでは屈折率が異なるため、黒色とはならず、染料・有機顔料由来の有彩色を発色させる。このような発色機構から分かるように、(B)成分はレーザー光を吸収することが必要であり、一方、染料・有機顔料などは、レーザー光の波長を吸収しないことが必要となる。
また、チタンブラックを使用した場合は、光照射時にチタンブラックは酸化され、二酸化チタンの白色を呈するため、この部分に存在する染料・有機顔料由来の色を認識できると考えられる。
【0036】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、その成形品表面をレーザー光で照射することで、明瞭なマーキングを得ることが可能である。
ここで、レーザー光としては、He−Ne、Arレーザー、CO2 レーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザー、YAGレーザーなどの固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザーなどが挙げられ、なかでも、CO2 レーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーが好ましい。YAGレーザー光の波長は、1,054nmである。
【0037】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物の成形表面をレーザー光で照射すると、レーザー光照射部分は、通常、レーザー光照射による発泡現象で、未照射部分よりやや盛り上がる。この照射部分の好ましい盛り上がり高さは、1〜100μm程度であるが、10〜80μm程度が、レーザーマーキング発色、照射(文字)部分の認識が鮮明でさらに好ましい。また、この文字高さを利用して、点字用の成形品を作製することも可能である。なお、当然のことながら、レーザー光照射により、樹脂表面内部にも発泡現象が生じる。発泡の内部深さは、10〜20μm程度である。
【0038】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、ワラストナイト、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウムウィスカーなどの充填材を、1種単独でまたは2種以上併用することができる。これらの充填材を配合することで、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に剛性を付与することができる。また、タルクなどを配合することで、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に艶消し性を付与することができる。上記ガラス繊維、炭素繊維の好ましい形状としては、繊維径が6〜20μm、繊維長が30μm以上である。
これらの充填材の配合量は、本発明の(A)成分100重量部に対し、好ましくは、1〜50重量部、さらに好ましくは、2〜30重量部である。充填材の配合量が50重量部を超えると、レーザーマーキング性が損なわれる。
【0039】
また、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、公知のカップリング剤、耐候剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、(B)成分以外の着色剤、帯電防止剤、シリコーンオイルなどの添加剤を配合することができる。
このうち、耐候剤としては、リン系、イオウ系の有機化合物、水酸基を含有する有機化合物が好ましい。また、帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩などが挙げられる。これらの添加剤の好ましい配合量は、本発明の(A)成分100重量部に対して、0.1〜10重量部、さらに好ましくは、0.5〜5重量部である。
【0040】
さらに、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、要求される用途に応じて、他の熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂などの他の(共)重合体を配合することができる。
ここで、他の重合体としては、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミドエラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリエーテルエステルアミド、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂などが挙げられる。これらのなかで、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレンなどを配合すると、レーザーマーキング性発色をより明彩にすることができる。
これらの他の(共)重合体の配合量は、(A)成分100重量部に対し、好ましくは、1〜150重量部、さらに好ましくは5〜100重量部である。また、上記他の(共)重合体のうち、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルアミドなどを配合することで、永久帯電防止性を付与することが可能である。好ましい配合量は、(A)成分100重量部に対し、1〜30重量部、さらに好ましくは、2〜20重量部である。
【0041】
さらに、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に難燃性を付与するために、難燃剤を配合することもできる。難燃剤としては、ハロゲン系化合物、有機リン系化合物、窒素系化合物、金属水酸化化合物、アンチモン化合物などを、単独あるいは併用して使用することができる。
【0042】
このうち、ハロゲン系化合物としては、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー(末端がエポキシ基、トリブロモフェノールなどで封止してあっても良い)、臭素化ポリスチレン、後臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネートオリゴマー、トリブロモフェノキシエタン、トリアジン骨格にトリブロモフェノールを付加したもの、塩素化ポリスチレン、脂肪族塩素化合物などが挙げられる。なかでも、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマーが好ましい(好ましい分子量は、1,000〜6,000程度である)。また、ハロゲン系化合物中の臭素などのハロゲン原子濃度は、好ましくは、30〜65重量%、さらに好ましくは、45〜60重量%である。
【0043】
また、有機リン系化合物としては、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルチオホスフェート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、トリフェニルホスフェートのオリゴマーなどが挙げられる。なかでも、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾシノールビス(キシレニルホスフェート)が好ましい。有機リン系化合物の好ましいリン濃度は、4〜30重量%、さらに好ましくは、6〜25重量%である。
窒素系化合物としては、トリアジン、メラミンなどである。
金属水酸化化合物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが使用できる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンなどが使用できる。
【0044】
以上の難燃剤の配合量は、本発明に用いられる(A)成分100重量部に対し、好ましくは1〜50重量部、さらに好ましくは2〜30重量部、特に好ましくは5〜25重量部である。難燃剤の配合量が1重量部未満では難燃性の付与効果が不充分であり、一方、50重量部を超えると、耐衝撃性、レーザーマーキング性が劣る。
【0045】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールなどで、好ましくは、180〜240℃の範囲で各成分を混練りすることによって得ることができる。混練りするに際しては、各成分を一括混練りしてもよく、また任意の成分を混練りしたのち、残りの成分を添加し混練りする多段分割混練り法を採用することもできる。好ましい混練り法は、押し出し機で行う方法であり、押し出し機としては、二軸同方向回転押し出し機が特に好ましい。
なお、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を調製するには、あらかじめ、(A−1)成分と(A−2)成分をブレンドして得られた(A)成分に、(B)成分を溶融混練りしてもよく、上記したように、あるいは、(A−1)、(A−2)、(B)成分を同時に、あるいは、任意の割合で多段階で溶融混練りしてもよいことはいうまでもない。
【0046】
本発明のレーザーマーキング用樹脂組成物は、射出成形、シート押し出し成形、真空成形、異形押し出し、発泡成形などによって、各種成形品に成形することができる。上記成形法によって、OA製品、家電製品、車両用途などのボタン、ハウジング、スイッチなどの成形品を得ることができる。また、建築材料として、敷居、窓枠、手すり材料などにも使用できる。
これらの製品表面をレーザー光照射することで、白色のみならず、有彩色をも明確に発色させることができる。
また、レーザーマーキングで発色させた文字部分は、印刷した文字部分よりも、耐候性が優れ、かつ、耐摩耗性にも優れるので、印刷よりも遙かに実用上好ましい。
【0047】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に何ら制約されるものではない。
なお、実施例中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
また、実施例中の各種の測定項目は、下記に従った。
【0048】
平均粒子径
分散粒子の平均粒子径は、あらかじめ乳化状態で合成したラテックスの粒子径がそのまま樹脂中の分散粒子の粒子径を示すことを電子顕微鏡で確認したので、ラテックス中の分散粒子の粒子径を光散乱法で測定した。測定機器は、大塚電子(株)製、LPA−3100を使用し、70回積算でキュムラント法を用い、粒子径を測定した。
【0049】
グラフト率
本文中に記載
極限粘度〔η
溶媒であるメチルエチルケトンにサンプルを溶解し、30℃の温度条件により、ウベローデ型粘度計で測定した。
【0050】
アイゾット衝撃強度(IMP
ASTM D256に準拠し、肉厚1/4″の試験片を使用し、23℃、ノッチ付きの試験条件で測定した。
成形加工性〔流動性(メルトフローレート)〕
ASTM D1238に準じて測定した。測定温度は220℃、荷重は10kgである。
熱変形温度
ASTM D648に準じて測定した。
【0051】
レーザーマーキング性
熱可塑性樹脂組成物の板状成形品を、射出成形機を用いて作製した。その成形品表面を、カールバーゼル社製のレーザーマーカー(スターマーク65W;YAGレーザー光)を用いて、文字をレーザーマーキングした。
照射することにより、発色する部分の発色性、認識性、鮮明さを目視で判断した。
○;良好(鮮明でかつ認識性良好な文字発色を呈する場合)
△;良(鮮明度と認識性の何れかが劣る場合)
×;劣る(鮮明度、認識性ともに劣る場合)
【0052】
燃焼試験(難燃性
UL−94 Vテストに準拠した。試験片厚みは、1.6mmである。
V−2は垂直試験でのV−2ランク、HBは水平試験でのHBランクを示す。
表面固有抵抗(電気特性)
ASTM D257に準じて測定した。測定条件は、23℃、50%RHで、単位はΩである。
【0053】
実施例1〜6、比較例1〜5
ゴム強化樹脂(A−1)の調製
<(A−1−▲1▼)〔ゴム強化樹脂(MMA共重合ABS樹脂)〕>
攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ポリブタジエン(a)15部(固形分換算)、スチレン(c)5部、アクリロニトリル(d)5部、およびメタクリル酸メチル(b)10部を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部およびイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、ならびにジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
【0054】
その後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン(c)10部、アクリロニトリル(d)5部およびメタクリル酸メチル(b)50部からなるインクレメンタル重合成分を3時間にわたって連続的に添加し、重合反応を続けた。添加終了後、さらに攪拌を1時間続けた後、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物のラテックスを、塩化カルシウム2部で凝固し、反応生成物を良く水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、白色粉末を得た。
重合転化率は97%、グラフト率は40%、極限粘度〔η〕は0.55dl/gであった。
【0055】
<(A−1−▲2▼)〔ゴム強化樹脂(MMA共重合ABS樹脂)〕>
上記と同様の重合方法を用いて、MMA共重合ABS樹脂(A−1−▲2▼)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/メタクリル酸メチル/アクリロニトリル=20/20/55/5(%)であった。
グラフト率は50%、極限粘度〔η〕は0.50dl/gであった。
<(A−1−▲3▼)〔比較用ゴム強化樹脂(MMA共重合ABS樹脂)〕>
上記A−1−▲1▼と同様の重合方法を用いて、MMA共重合ABS樹脂を得た。この樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/メタクリル酸メチル/アクリロニトリル=20/50/20/10(%)であった。
グラフト率は45%、極限粘度〔η〕は0.45dl/gであった。
<(A−1−▲4▼)(比較用ゴム強化樹脂)>
上記A−1−▲1▼と同様の重合方法を用いて、比較用ゴム強化樹脂(A−1−▲4▼)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/メタクリル酸メチル=15/5/80(%)であった。
グラフト率は35%、極限粘度〔η〕は0.40dl/gであった。
【0056】
ゴム強化樹脂(A−2)の調製
<A−2−▲1▼〔ゴム強化樹脂(ABS樹脂)〕>
上記A−1−▲1▼と同様の重合方法を用いて、ゴム強化樹脂(A−2−▲1▼)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル=30/67/3(%)であった。
グラフト率は35%、極限粘度〔η〕は0.30dl/gであった。
<A−2−▲2▼〔比較用ゴム強化樹脂(ABS樹脂)〕>
上記A−1−▲1▼と同様の重合方法を用いて、ゴム強化樹脂(A−2−▲2▼)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル=30/45/25(%)であった。
グラフト率は50%、極限粘度〔η〕は0.45dl/gであった。
上記(A)成分の物性を、表1に示す。
【0057】
【表1】
Figure 0004003822
【0058】
(B)成分の調製
B−1;カーボンブラック
B−2;黒色酸化鉄
【0059】
他の成分の調製
<他の(共)重合体の調製>
ポリアミドエラストマー;ナイロン6の両末端をテレフタル酸で反応させたものに、さらに、ポリエチレングリコールを反応させたマルチブロック共重合体(ナイロン6/ポリエチレングリコール=50/50)
<難燃剤>
テトラブロモビスフェノールAのオリゴマー;大日本インキ化学工業株式会社製、末端をトリブロモフェノールで封止、臭素濃度=56%、分子量=約2,000
【0060】
<染料・有機顔料>
顔料▲1▼;Mordant Green 4
顔料▲2▼;Direct Yellow 31
【0061】
熱可塑性樹脂組成物の調製
(A)成分、(B)成分、ならびにその他の(共)重合体および添加剤を、表2〜3に記載した割合で、220〜240℃の温度条件下で押し出し機を用いて溶融混練りし、射出成形により評価サンプルを得た。評価結果を、表2〜3に示した。
【0062】
表2に示すように、本発明の熱可塑性樹脂組成物のいずれの実施例も、レーザーマーキング性評価において、良好な白文字発色、または、有彩色を発色し、かつ、実用に耐えうる耐衝撃性、優れた流動性を示した。また、ポリアミドエラストマーを含有する本発明の熱可塑性樹脂組成物は、良好な電気特性を示し(実施例5)、難燃剤を含有するものは良好な難燃性を示した(実施例6)。
一方、表3に示すように、比較例1は、本発明のゴム強化樹脂(A−1)の配合量が本発明に規定する範囲未満の場合であり、レーザーマーキング性、耐衝撃性に劣る。比較例2は、本発明の(B)成分の配合量が本発明に規定する配合量を超える場合であり、レーザーマーキング性、耐衝撃性に劣る。比較例3は、本発明のゴム強化樹脂(A−1)中の(メタ)アクリル酸エステルの共重合量が本発明に規定する配合量未満の場合であり、レーザーマーキング性が劣る。比較例4は、ゴム強化樹脂(A−2)中のシアン化ビニル化合物の共重合量が本発明に規定する配合量を超える場合であり、流動性が劣る。比較例5は、本発明のゴム強化樹脂(A−1)中の(メタ)アクリル酸エステルの共重合量が本発明に規定する配合量を超える場合であり、耐衝撃性が劣る。
なお、実施例および比較例に使用したいずれの熱可塑性樹脂組成物も、素地色は黒色またはグレーであった。
【0063】
【表2】
Figure 0004003822
【0064】
【表3】
Figure 0004003822
【0065】
【発明の効果】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、レーザー光の照射により、白色のみならず、黄色、緑などの有彩色を明確に発色することができ、また、実用的な耐衝撃性、耐熱性、成形加工性(流動性)にも優れ、OA製品、家電製品、車両用途などのボタン、ハウジング、スイッチ、敷居、窓枠、手すり材料などの建築材料などの用途に有用である。

Claims (1)

  1. (A)ゴム状重合体(a)5〜30重量%の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル(b)45〜70重量%ならびに芳香族ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)およびマレイミド系化合物(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分0〜50重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂(A−1)50〜99重量部と、ゴム状重合体(a)10〜60重量%の存在下に、芳香族ビニル化合物(c)およびシアン化ビニル化合物(d)からなる単量体成分40〜90重量%〔ただし、(a)+(c)+(d)=100重量%で、かつ、単量体成分〔(c)+(d)〕中の(d)の使用量は0.5〜10重量%である〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂(A−2)50〜1重量部〔ただし、(A−1)+(A−2)=100重量部〕の合計量100重量部に対し、
    (B)黒色系化合物0.01〜5重量部、
    を配合したことを特徴とするレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
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