JP2004051709A - レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】〔A〕ゴム質重合体(a)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体を重合して得られる共重合樹脂、又は、この共重合樹脂とビニル系単量体の(共)重合体(但し、下記成分〔B〕を除く。)との混合物からなり、且つ、上記ゴム質重合体の含有量が5〜40重量%、(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)の含有量が25〜60重量%、及びこの(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)以外の単量体単位(b2)の含有量が0〜70重量%(但し、(a)+(b1)+(b2)=100重量%である。)であるゴム強化熱可塑性樹脂と、〔B〕エポキシ基含有重合体と、〔C〕平均粒子径が0.05〜150μmである粒子と、〔D〕黒色物質と、を含有する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光照射によって鮮明なマーキングを成形体の表面に現出することができ、且つ外観性、耐衝撃性及びレーザーマーキングの耐久認識性に優れる成形体を与えるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、熱可塑性樹脂からなる成形体に、レーザー光を照射すると、照射部分が黒色あるいは白色に変色する技術が知られている(特公昭62−59663号公報、特表平10−501014号公報等)。このようなレーザーマーキング技術は、キーボードのキー印字、FAXパネルの文字印字等に使用されており、従来用いられてきたタンポ印刷等に比べ、低コストで、且つ文字の耐久認識性等の点でも優れている。
しかし、特開平2001−139758号公報に開示されている、白文字を形成するレーザーマーキング用熱可塑性樹脂材料は、レーザーマーキングによりキーボードのキーに文字を形成後、キータッチによる使用頻度が多くなるにつれて白文字形成部の表面が潰れて認識しにくくなるという問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の課題を背景になされたもので、白文字形成等の鮮明なレーザーマーキングを成形体の表面に現出することができ、且つ外観性、耐衝撃性及びレーザーマーキングの耐久認識性に優れる成形体を与えるレーザーマーキング用樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、〔A〕ゴム質重合体(a)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体(b)を重合して得られる共重合樹脂(A1)、又は、該共重合樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)(但し、下記成分〔B〕を除く。)との混合物からなり、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有量が5〜40質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)の含有量が25〜60質量%、及び該(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)以外の単量体単位(b2)の含有量が0〜70質量%(但し、(a)、(b1)及び(b2)の合計は100質量%である。)であるゴム強化熱可塑性樹脂と、〔B〕エポキシ基含有重合体と、〔C〕平均粒子径が0.05〜150μmである粒子と、〔D〕黒色物質と、を含有することを特徴とする。
【0005】
上記成分〔A〕、〔B〕、〔C〕及び〔D〕の含有割合は、成分〔A〕を100質量部とした場合、それぞれ、成分〔B〕が0.1〜10質量部、成分〔C〕が0.1〜10質量部、成分〔D〕が0.01〜5質量部であるものとすることができる。
また、上記成分〔B〕は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、二酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、又はそれらを主成分とする化合物、ポリスチレン系架橋粒子、ジビニルベンゼン系架橋粒子、ポリメタクリル酸メチル系架橋粒子、スチレン・メタクリル酸メチル系架橋粒子から選ばれる少なくとも1種とすることができる。更に、上記成分〔B〕は、シリコーンオイルから形成された粒子とすることもできる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を更に詳しく説明する。
上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕を構成することとなる上記共重合樹脂(A1)を形成するゴム質重合体(a)は、ゴム弾性を示す重合体である。この例としては、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、ブタジエン・アクリロニトリル共重合体、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、イソブチレン・イソプレン共重合体、SEBS等のジエン系(共)重合体、これらジエン系(共)重合体の水素添加物(ブロック型、ランダム型及びホモ型の重合体)、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、エチレン・ブテン−1・(非共役ジエン)共重合体、ポリウレタンゴム、アクリル系ゴム、シリコーン系ゴム等が挙げられ、これらのうち、ポリブタジエン、ブタジエン・スチレン共重合体、これらのジエン系(共)重合体の水素添加物、エチレン・プロピレン・(非共役ジエン)共重合体、アクリル系ゴム及びシリコーン系ゴムが好ましい。これらは、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
尚、シリコーン系ゴムを用いる場合は、ビニル基を含有するグラフト交叉剤(例えば、p−ビニルフェニルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(p−ビニルフェニル)エチレンメチルジメトキシシラン等のビニル基を含むものや、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等)を0.01〜10質量%共重合したものを用いると、耐衝撃性及び摺動性に優れる成形体を与える熱可塑性樹脂組成物とすることができる。
【0007】
上記ゴム質重合体(a)の平均粒径は、好ましくは80〜800nm、更に好ましくは80〜700nmである。この平均粒径が小さすぎると、耐衝撃性が低下する傾向にあり、一方、大きすぎると流動性が低下する。また、上記ゴム質重合体(a)としては、平均粒径の異なるゴム質重合体の2種以上を用いると、更に耐衝撃性、流動性等の物性バランスに優れる成形体を与えるレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物とすることができる。その場合の平均粒径は、好ましくは80〜180nm及び180〜480nm、より好ましくは100〜150nm及び200〜400nmである。このように平均粒径の異なるゴム質重合体を用いる場合、両者の含有割合は、ゴム質重合体全体を100質量%とした場合、好ましくは(5〜95)質量%/(95〜5)質量%である。
【0008】
上記共重合樹脂(A1)を形成し、上記ゴム質重合体(a)の存在下に重合するビニル単量体(b)としては、(メタ)アクリル酸エステルを含むものであれば特に限定されない。従って、上記ビニル単量体(b)としては、1種又は2種以上を組み合わせた(メタ)アクリル酸エステルのみであってもよいし、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルと、他のビニル系単量体と、を組み合わせたものであってもよい。好ましくは、1種又は2種以上の(メタ)アクリル酸エステルと、他のビニル系単量体と、を組み合わせたものである。
【0009】
上記(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸ヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル等のアクリル酸エステルや、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸sec−ブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸アミル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸オクタデシル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸エステルが挙げられる。これらのうち、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸ブチルが好ましい。更に好ましくはメタクリル酸メチルである。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0010】
上記ビニル単量体(b)として用いることのできる他のビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、マレイミド系化合物、更には、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン基等の官能基を有するビニル系単量体等が挙げられる。
【0011】
上記芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、メチル−α−メチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1−ジフェニルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノメチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルピリジン、モノクロルスチレン、ジクロロスチレン等の塩素化スチレン、モノブロモスチレン、ジブロモスチレン等の臭素化スチレン、モノフルオロスチレン等が挙げられる。これらのうち、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0012】
上記シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。これらのうち、アクリロニトリルが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0013】
上記マレイミド系化合物としては、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−ブチルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、α,β−不飽和ジカルボン酸のイミド化合物等が挙げられる。これらのうち、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミドが好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、マレイミド系化合物を導入する他の方法としては、例えば、無水マレイン酸を共重合し、その後イミド化する方法でもよい。
【0014】
上記官能基を有するビニル系単量体としては、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、ビニルオキサゾリン等が挙げられる。これらの官能基含有ビニル単量体を共重合することで、他の熱可塑性樹脂との界面密着性(相溶性)を高めることができる。
【0015】
上記他のビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物のみであってもよいが好ましくは、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物及びマレイミド系化合物から選ばれる少なくとも2種である。また、更に好ましくは、芳香族ビニル化合物と、シアン化ビニル化合物及び/又はマレイミド系化合物、との組み合わせである。
【0016】
上記共重合樹脂(A1)を形成するために用いられる(メタ)アクリル酸エステルの使用量は、ビニル系単量体(b)の全量を100質量%とすると、好ましくは25〜60質量%、より好ましくは26〜55質量%、更に好ましく28〜45質量%、特に好ましくは31〜41質量%である。尚、残部は(メタ)アクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体である。(メタ)アクリル酸エステルの使用量が多すぎると、得られる成形体の耐熱性、耐衝撃性が劣ることがある。一方、その使用量が少なすぎると、レーザーマーキング発色性、耐衝撃性が劣る傾向にある。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体として、芳香族ビニル化合物を用いる場合の使用量は、ビニル系単量体(b)の全量を100質量%とすると、好ましくは5〜75質量%、より好ましくは10〜68質量%である。この範囲にあると成形加工性と耐衝撃性の物性バランスに優れる。
また、(メタ)アクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体として、シアン化ビニル化合物を用いる場合の使用量は、ビニル系単量体(b)の全量を100質量%とすると、好ましくは1から40質量%、より好ましくは5〜35質量%である。この範囲にあると成形加工性と耐薬品性の物性バランスに優れる。
【0018】
(メタ)アクリル酸エステル以外の他のビニル系単量体として、マレイミド系化合物を用いる場合の使用量は、ビニル系単量体(b)の全量を100質量%とすると、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは5〜25質量%、更に好ましくは5〜20質量%である。マレイミド系化合物の使用量が少なすぎると、耐熱性向上効果が乏しく、一方、多すぎると、耐衝撃性を損なうことがある。
また、官能基を有するビニル系単量体を用いる場合の使用量は、ビニル系単量体(b)の全量を100質量%とすると、好ましくは0.1〜15質量%、より好ましくは0.5〜12質量%、更に好ましくは1〜10質量%である。上記官能基を有するビニル系単量体の使用量が0.1質量%未満では相溶性の向上が認められず、一方、15質量%を超えると耐衝撃性が劣る。
本発明に関わる上記共重合樹脂(A1)は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0019】
上記共重合樹脂(A1)を製造する方法としては、乳化重合、溶液重合、塊状重合及び懸濁重合が挙げられる。これらのうち、乳化重合、溶液重合が好ましい。
乳化重合で製造する際には、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤及び水が用いられる。尚、使用するゴム質重合体(a)及びビニル系単量体(b)は、上記ゴム質重合体(a)全量の存在下に、上記ビニル系単量体(b)を一括添加して重合してもよく、分割もしくは連続添加して重合してもよい。また、これらを組み合わせた方法で重合してもよい。更に、上記ゴム質重合体(a)の全量又は一部を、重合途中で添加して重合してもよい。
【0020】
重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキシド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキシド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシモノカーボネート等が挙げられる。
【0021】
連鎖移動剤としては、例えば、オクチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ヘキシルメルカプタン、テトラエチルチウラムスルフィド、アクロレイン、メタクロレイン、アリルアルコール、2−エチルヘキシルチオグリコール等が挙げられる。
【0022】
乳化重合の際に使用する乳化剤としては、例えば、高級アルコールの硫酸エステル、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪族スルホン酸塩、高級脂肪族カルボン酸塩、ロジン酸塩、リン酸系等のアニオン系界面活性剤が挙げられる。
【0023】
乳化重合では、通常、凝固剤により凝固して得られた粉末を水洗後、乾燥することによってゴム強化ビニル系樹脂の粉末が得られる。この凝固剤としては、塩化カルシウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等の無機塩、あるいは硫酸、塩酸等の酸を用いることができる。これらの凝固剤のうち、硫酸が好ましい。
【0024】
上記ゴム質重合体(a)の存在下、上記ビニル系単量体(b)を重合して得られる上記共重合樹脂(A1)には、上記ビニル系単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフトした共重合体と上記ビニル系単量体(b)がゴム質重合体(a)にグラフトしていない未グラフト成分[上記ビニル系単量体(b)の(共)重合体]が含まれる。
また、本発明に関わる上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕としては、上記共重合樹脂(A1)のほかに、この共重合樹脂(A1)と、ビニル系単量体の少なくとも1種を(共)重合して得られる(共)重合体(A2)との混合物であってもよい。上記(共)重合体(A2)を形成するビニル系単量体は上記共重合樹脂(A1)を形成するために例示した単量体を1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、エポキシ基を含有する単量体は含まないものとする。即ち、上記(共)重合体(A2)は、エポキシ基含有重合体は含まないものとする。また、上記(共)重合体(A2)は、単一組成の(共)重合体であっても、組成の異なる2種以上の(共)重合体のブレンドであってもよい。
【0025】
上記(共)重合体(A2)を製造する際の重合方法としては、乳化重合及び溶液重合等が挙げられ、上記ゴム強化ビニル系樹脂(A1)を製造する方法において、上記ゴム質重合体(a)を用いない以外は同様の方法で製造することができる。
【0026】
上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕が上記共重合樹脂(A1)及び上記(共)重合体(A2)の混合物である場合、含有割合(A1)/(A2)は、混合物中のゴム質重合体(a)の含有量が5〜40質量%となるように配合される。好ましくはゴム質重合体(a)の含有量が5〜35質量%となるように、より好ましくは10〜30質量%となるように配合される。
【0027】
上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕中のゴム質重合体(a)の含有割合は、ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕全量、即ち、上記共重合樹脂(A1)及び必要に応じて用いられる(共)重合体(A2)合計100質量%に対して5〜40質量%であり、より好ましくは5〜35質量%、特に好ましくは10〜30質量%である。上記ゴム質重合体(a)の含有量が5質量%未満であると、得られる成形体の耐衝撃性が劣り、一方、40質量%を超えると、成形加工性、成形体の外観、耐熱性が劣る。
【0028】
また、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕を構成するビニル系単量体等からなる単量体単位の含有量について、ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕全量を100質量%とすると、(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)の含有量は25〜60質量%であり、より好ましくは28〜55質量%、更に30〜45質量%、特に好ましくは32〜41質量%である。上記(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)の含有量が25質量%未満では、耐衝撃性、レーザーマーキング発色性が劣り、一方、60質量%を超えると耐熱性、耐衝撃性が劣る。
また、上記(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)以外の単量体単位(b2)の含有量は0〜70質量%であり、より好ましくは0〜62質量%、特に好ましくは5〜50質量%である。上記単量体単位(b2)の含有量が70質量%を超えるとレーザーマーキング発色性が劣る。
【0029】
上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕中のゴム質重合体(a)へのビニル系単量体(b)のグラフト率は、好ましくは10〜150%、より好ましくは15〜120%、特に好ましくは20〜90%である。グラフト率が10%未満では、得られる成形体の外観不良、耐衝撃性が低下することがある。一方、150%を超えると、成形加工性が劣る。尚、グラフト率の測定方法は、下記実施例において述べる。
【0030】
上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕のメチルエチルケトン可溶分の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.2〜0.9dl/g、特に好ましくは0.3〜0.7dl/gである。この範囲とすることにより、成形加工性(流動性)に優れ、得られる成形体の耐衝撃性も優れる。
尚、上記グラフト率(%)及び極限粘度〔η〕は、上記共重合樹脂(A1)等を重合するときの、重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤、溶剤等の種類や量、更には重合時間、重合温度、単量体成分の濃度等を変えることにより、容易に制御することができる。
【0031】
本発明に関わるゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕は、1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕の例を以下に挙げる。
(1)ゴム質重合体の存在下、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸エステルと他のビニル系単量体からなる単量体を重合したゴム強化樹脂、
(2)ゴム質重合体の存在下、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸エステルと他のビニル系単量体からなる単量体を重合したゴム強化樹脂及び(メタ)アクリル酸エステル・スチレン・アクリロニトリル三元共重合体の混合物、
(3)ゴム質重合体の存在下、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸エステルと他のビニル系単量体からなる単量体を重合したゴム強化樹脂及びアクリロニトリル・スチレン樹脂(AS樹脂)の混合物、
(4)ゴム質重合体の存在下、(メタ)アクリル酸エステル又は(メタ)アクリル酸エステルと他のビニル系単量体からなる単量体を重合したゴム強化樹脂及びスチレン・シクロヘキシルマレイミド・アクリロニトリル・(メタ)アクリル酸エステル四元共重合体。
【0032】
尚、ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕として、上記(3)の組成とする場合、AS樹脂中のアクリロニトリル量は、好ましくは20〜45質量%、更に好ましくは25〜43質量%、特に好ましくは26〜40質量%である。上記範囲内であると、得られる成形体に耐薬品性が付与される。
【0033】
上記エポキシ基含有重合体〔B〕としては特に限定されないが、例えば、2,2−ビス(ヒドロキシメチル)−1−ブタノールの1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン付加重合物(重合度1〜700)のエポキシ化物、ビニルシクロヘキセンジオキシド、酸化エチレン、酸化プロピレン、1,2−ブチレンオキシド、2,3−エポキシ−1−プロパノール、2,3−エポキシプロピオンアルデヒド、フェニルグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、バイオキシラン、エピクロロヒドリン、ディルドリン、エンドリン、ヘプタクロロエポキシド、1,1’−メチレンジオキシビス(2−クロロエタン)・1,2,3−トリクロロプロパン・ポリ硫化ナトリウム重縮合物(末端メルカプト基)と4,4’−イソプロピリデンジフェノール・1−クロロ−2,3−エポキシプロパン付加重合物(末端2,3−エポキシプロピル基)との付加反応生成物、1,6−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ナフタレン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシ(又はクロロ)シラン・ジメトキシ(又はクロロ)ジメチルシラン・ジメトキシ(又はクロロ)ジフェニルシラン・トリメトキシ(又はクロロ)メチルシラン・トリメトキシ(又はクロロ)フェニルシランの重縮合物又は加水分解生成物の重縮合物と2,3−エポキシプロピル−メタクリレートとの反応生成物、α−2,3−エポキシプロポキシフェニル−ω−ヒドロポリ(n=1〜7)2−{(2,3−エポキシプロポキシ)ベンジリデン−2,3−エポキシプロポキシフェニレン}、シクロヘキセンオキサイド、3,4−エポキシ−1−ブテン、3−ブロモ−1,2−エポキシプロパン、3,3,3−トリフルオロ−1,2−エポキシプロパン、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、オレイン酸グリシジル、9,10−エポキシステアリン酸(シス)(1RS,2SR,4SR)−1,4−エポキシ−p−メンタ−2−イル2−メチルベンジルエーテル、1,1’−ビフェニル−4,4’−ジオール・1−クロロ−2,3−エポキシプロパン重縮合物、スチレン共重合エポキシ樹脂、グリシジル・スチレン共重合樹脂、メタクリル酸共重合エポキシ樹脂、メタクリル酸グリシジル・スチレン共重合エポキシ樹脂、メタクリル酸グリシジル・スチレン・アクリロニトリル共重合エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのうち、スチレン共重合エポキシ樹脂や、メタクリル酸グリシジル・スチレン共重合エポキシ樹脂、メタクリル酸グリシジル・スチレン・アクリロニトリル共重合エポキシ樹脂等のエポキシ基含有不飽和化合物とビニル系単量体との共重合体が好ましい。また、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。尚、エポキシ基含有不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等が挙げられる。ビニル系単量体としては、芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、マレイミド系化合物等が挙げられる。上記で好ましいエポキシ基含有重合体として説明したエポキシ基含有不飽和化合物とビニル系単量体との共重合体としては、エポキシ基含有化合物と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、エポキシ基含有化合物と芳香族ビニル化合物、シアン化ビニル化合物との共重合体がより好ましい。
【0034】
上記エポキシ基含有重合体〔B〕を構成するエポキシ基含有不飽和化合物からなる単量体単位の含有量は、好ましくは3〜70質量%、更に好ましくは5〜60質量%である。この範囲にあると本発明の目的の効果が得られる。
また、上記エポキシ基含有重合体〔B〕の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、30℃で測定)は、好ましくは0.1〜1dl/g、更に好ましくは0.15〜0.8dl/gである。
【0035】
上記エポキシ基含有重合体〔B〕の含有量は、ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜8質量部、更に好ましくは0.5〜7質量部である。この重合体〔B〕の含有量が少なすぎると、レーザーマーキング耐久性が劣る傾向にあり、一方、多すぎると、成形体の外観が劣る傾向にある。
【0036】
上記粒子〔C〕としては、平均粒子径が0.05〜150μmであればその構成成分は特に限定されない。組成物の成形加工時に粒子の形状を維持できるものが好ましい。また、成形体中において、レーザー照射によって分解しにくく、粒子の形状を維持できるものが好ましい。尚、粒子形状は完全な球形でなくてもよく、その場合には、長軸長さと短軸長さの平均値が上記範囲にあればよい。上記粒子〔C〕としては、例えば、無機系粒子、有機系粒子及び無機−有機複合粒子等が挙げられる。
無機系粒子としては、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、二酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、又はそれらを主成分とする化合物等が挙げられる。有機系粒子としては、ポリスチレン系架橋粒子、ジビニルベンゼン系架橋粒子、ポリメタクリル酸メチル系架橋粒子、スチレン・メタクリル酸メチル系架橋粒子、高級脂肪酸の無機塩等が挙げられる。また、無機−有機複合粒子としては、例えば、シリカ、アルミナ等の無機物質がポリマー内部に分散した粒子、ポリマー表面をシリカ等の微粒子が吸着した粒子等が挙げられる。上記例示した粒子は1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記の主成分とするその含有量は、好ましくは50質量%以上、更に好ましくは60質量%以上である。
【0037】
尚、上記粒子〔C〕としては、上記例示した成分に限られず、以下に示す添加剤の成分によっても、本発明の目的を達成することができる。
【0038】
また、本発明の熱可塑性樹脂組成物を成形する際に加わる熱によって、上記平均粒子径を備えることとなる微粒子を形成する成分を含有させることができる。例えば、シリコーンオイル、熱硬化性ポリマー粒子等である。シリコーンオイルとしては特に限定されず、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、変性シリコーンオイル等が挙げられる。分子量等は特に限定されない。
尚、この場合に形成された粒子は、軟化点が100℃以上であることが好ましい。更に、レーザーマーキングの際に照射されるレーザーによって、微粒子を形成する成分を含有させてもよい。
【0039】
粒子〔C〕の平均粒子径は0.05〜150μmであり、好ましくは0.1〜100μm、より好ましくは0.2〜70μm、更に好ましくは0.25〜60μmである。粒子径が小さすぎると、レーザーマーキング耐久性が劣る傾向にあり、一方、大きすぎると、耐衝撃性が劣る傾向にある。
尚、上記のように、粒子〔C〕としては、2種以上の異なる成分からなるものを含有させることができる。このとき、全体としての平均粒子径が上記範囲にあることが好ましいが、特に好ましくは、各1種の粒子がそれぞれ上記平均粒子径を有することである。
【0040】
粒子〔C〕の含有量は、ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.3〜8質量部、更に好ましくは0.5〜7質量部である。この粒子〔C〕の含有量が少なすぎると、レーザーマーキング耐久性が劣る傾向にあり、一方、多すぎると、耐衝撃性が劣る傾向にある。
【0041】
上記黒色物質〔D〕としては、波長−反射率曲線で示される400〜700nmの波長の全領域に対して、反射率が10%以下、好ましくは5%以下のものであれば、染料、顔料等特に限定されない。即ち、この400〜700nmの全領域の波長の光を吸収する物質が好ましく、その例としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタンブラック、黒鉛等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
上記カーボンブラックとしては、アセチレンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック等が挙げられる。上記カーボンブラックの粒径は、好ましくは10〜80nm、更に好ましくは12〜40nmである。粒径が小さいほど、樹脂中での分散性が良く、レーザーマーキング発色性が良好である。また、上記カーボンブラックの好ましい比表面積は20〜1,500m2/gである。また、好ましい吸油量は35〜300ml/100g、好ましいpHは2〜10である。
【0043】
上記黒色酸化鉄は、一般にFe3O4やFeO・Fe2O3で表される鉄の酸化物である。上記黒色酸化鉄の粒径は、好ましくは0.3〜0.8μm、更に好ましくは0.4〜0.6μmである。また、その形状は、球状、立方状、針状等いずれをも使用できるが、立方状が好ましい。
また、上記チタンブラックは、二酸化チタンを還元することによって得られる化合物である。チタンブラックの粒径は、好ましくは0.1〜60μm、更に好ましくは、1〜20μmである。
【0044】
また、黒色物質〔D〕の含有量は、ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.02〜3質量部、更に好ましくは0.03〜2質量部、特に好ましくは0.05〜1質量部である。この黒色物質〔D〕の含有量が少なすぎると、レーザーマーキング発色性が劣り、一方、多すぎるとレーザーマーキング発色性が劣り、成形体の耐衝撃性が劣る。
【0045】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、目的、用途に応じて、各種添加剤、例えば、着色剤、充填剤、耐候剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤、カップリング剤、シリコーンオイル等を含有させることができる。
【0046】
上記着色剤は、レーザー照射の際に、有彩色にレーザーマーキング発色させるために用いるものであり、染料、顔料等を1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記着色剤は、波長−反射率曲線で示される400〜700nmの波長の領域において、部分的に反射率が40%以上である領域、好ましくは50%以上である領域を有するものが好ましい。これらの染料・有機顔料を適切に選定することで、赤、黄、青、緑、紫等の有彩色を明彩に発色することができる。
【0047】
上記染料としては、ニトロソ系染料、ニトロ系染料、アゾ系染料、スチルベンアゾ系染料、ケトイミン系染料、トリフェニルメタン系染料、キサンテン系染料、アクリジン系染料、キノリン系染料、メチン系染料、チアゾール系染料、インダミン系染料、アジン系染料、オキサジン系染料、チアジン系染料、硫化系染料、アミノケトン系染料、アンスラキノン系染料、インジゴイド系染料等が挙げられる。
【0048】
これらの染料の具体例としては、Mordant Green 4、Disperse Yellow 14、Disperse Yellow 31、Acid Yellow 2、Direct Yellow 59、Basic Yellow2、Basic Orange 23、Direct Orange 71、Direct Red 28、Acid Red 52、Solvent Blue 22、Acid Blue 59、Mordant Blue 10、Acid Blue 45、Vat Blue 41、トルイジンマルーン、パーマネントレッドAG、ハンザエローG、ハンザエロー10G、ベンジジンオレンジ2G等が挙げられる。
【0049】
また、上記顔料のうち、有機顔料としては、モノアゾ系、縮合アゾ系、ジスアゾ系、アンスラキノン系、イソインドリノン系、複素環系、ペリノン系、アゾメチン系、キナクリドン系、ペリレン系、ジオキサジン系、フタロシアニン系等が挙げられる。また、配位している金属がカルシウム、ニッケル、鉄、バリウム、ナトリウム、銅、モリブデン、コバルト、マンガン、亜鉛、チタン、マグネシウム、カリウム等である有機顔料を好ましく用いることができ、具体的には、ウォッチングレッド(Ca)、グリーンゴールド(Ni)、ピグメントグリーンB(Fe)、ピグメントスカーレッド3B(Ba)、ファーストスカイブルー(Ba)、フタロシアニングリーン(Fe)、フタロシアニンブルー(Cu)、ブリリアントカーミン6B(Ca)、ボルドー10B(Na)、リソールレットR(Na)、レーキレッドC(Ba)、レーキッドD(Ba)、ブリリアントスカーレッドG(Ca)、マンガンバイオレット(Mn)、コバルトバイオレット(Co)等が挙げられる。尚、前記括弧内は各有機顔料に含まれる金属元素である。
【0050】
また、無機顔料としては、チタンイエロー、酸化亜鉛、硫化バリウム、硫化亜鉛、酸化鉄、複合酸化物系顔料、群青、コバルトブルー等が挙げられる。
上記染料及び顔料は、それぞれ1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。また、染料と顔料を組み合わせて用いることもできる。
上記着色剤の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.01〜5質量部、より好ましくは0.05〜2質量部、更に好ましくは0.1〜1質量部である。
【0051】
上記充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスビーズ、ワラストナイト、ロックフィラー、マイカ、ガラスフレーク、ミルドファイバー、二硫化モリブデン、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カルシウムウィスカー等が挙げられる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記充填剤を配合することによって、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られる成形体の剛性、耐熱性(高熱変形温度)等を付与することができる。
上記ガラス繊維、炭素繊維等の好ましい大きさは、繊維径が6〜20μm、繊維長が30μm以上である。
【0052】
上記充填剤の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜30質量部である。上記充填剤の配合量が多すぎると、レーザーマーキング性が損なうことがある。
【0053】
上記耐候剤としては、有機リン系化合物、有機硫黄系化合物、ヒドロキシル基を含有する有機化合物等が挙げられ、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記耐候剤の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
また、上記帯電防止剤としては、ポリエーテル、アルキル基を有するスルホン酸塩等が挙げられ、これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。上記帯電防止剤の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは0.1〜10質量部、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0054】
上記難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、有機リン系難燃剤、含窒素化合物、金属の水酸化物、アンチモン化合物等が挙げられる。
上記ハロゲン系難燃剤としては、テトラブロモビスフェノール−Aのオリゴマー(末端はエポキシ基のまま、あるいはエポキシ基をトリブロモフェノール、メチルアルコール、エチルアルコール等で封止してあってもよい)、臭素化スチレン、後臭素化スチレン、臭素化ポリカーボネートのオリゴマー、テトラブロモビスフェノール−A、デカブロモジフェニルエーテル、塩素化ポリスチレン、脂肪族塩素化合物等が挙げられる。これらのうち、テトラブロモビスフェノール−Aのオリゴマーが好ましく、好ましい分子量は1,000〜6,000である。また、ハロゲン系難燃剤を構成するハロゲンが臭素である場合、好ましい臭素濃度は30〜65質量%であり、より好ましくは45〜60質量%である。
【0055】
上記有機リン系難燃剤としては、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルチオホスフェート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)、トリフェニルホスフェートのオリゴマー等が挙げられる。これらのうち、トリフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェート)が好ましい。また、有機リン系難燃剤中の、好ましいリン濃度は4〜30質量%であり、より好ましくは6〜25質量%である。
【0056】
上記含窒素化合物としては、メラミン、イソシアネートの環化物等が挙げられる。また、上記アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、コロイダル五酸化アンチモン等が挙げられる。さらに、金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム等が挙げられる。
【0057】
上記難燃剤の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部、より好ましくは2〜30質量部、特に好ましくは5〜25質量部である。難燃剤の配合量が1質量部未満であると、難燃性の付与効果が不十分であり、一方、50質量部を超えると、耐衝撃性、レーザーマーキング性が劣る。
【0058】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物には、要求される性能、用途に応じて、更に他の熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、熱硬化性樹脂等を配合することができる。その例としては、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、スチレン・酢酸ビニリデン共重合体、ポリアセタール樹脂、ポリエーテルエステルアミド、ポリアミドエラストマー、ポリアミドイミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等を含有させることができる。これらは1種単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0059】
上記例示した熱可塑性樹脂のうち、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド等を配合することにより、優れたレーザーマーキング発色性を付与することができる。このときのこれらの重合体の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕及びエポキシ基含有重合体〔B〕の合計量を100質量部とした場合、好ましくは1〜50質量部、更に好ましくは5〜50質量部である。
また、上記例示した熱可塑性樹脂のうち、ポリアミドエラストマー、ポリエーテルエステルアミド等を配合することにより、永久帯電防止性を付与することができる。このときのこれらの重合体の配合量は、上記ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕及びエポキシ基含有重合体〔B〕の合計量を100質量部とした場合、好ましくは0.1〜30質量部、更に好ましくは1〜20質量部である。
【0060】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロール、フィーダールーダー等を用いて、各成分を混練りすることにより得られる。好ましい製造方法は二軸押出機を用いる方法である。各成分を混練りする際は、一括して混練りしても、数回に分けて添加混練りしてもよい。
【0061】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、射出成形、シート押出、真空成形、異形押出、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成形等によってOA製品、家電製品、車両内装部品、車載用カーナビゲーション等の機器のハウジング、CDプレーヤー、MDプレーヤー等音響機器のハウジング、各種ボタン、各種スィッチ、各種ハウジング、シャーシ、トレー等の各種成形体とすることができる。
【0062】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形体の、ASTM D648に準じて測定した熱変形温度(HDT)は、好ましくは87℃以上、更に好ましくは89℃以上、特に好ましくは91℃以上である。
また、上記製品の表面にレーザー光を照射することによって鮮明な白あるいは有彩色を発色させることができる。ここで、レーザー光としては、He−Neレーザー、Arレーザー、CO2レーザー、エキシマレーザー等の気体レーザー、YAGレーザー等の固体レーザー、半導体レーザー、色素レーザー等が挙げられる。これらのうち、CO2レーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーが好ましい。YAGレーザー光の波長は、1,054nmである。
レーザーマーキングで発色させた印字部分は印刷によって得られたものよりも耐候性が優れ、更に、耐摩耗性にも優れるので印刷よりもはるかに実用上好ましい。
【0063】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を用いて得られた成形体にレーザー光を照射したときに発色する現象について、その機構は明らかではないが、次のように考えられる。即ち、成形体に含まれる黒色物質、例えばカーボンがレーザー光を吸収して、照射部に存在するカーボンが気化する。これによって、照射部における黒色物質が無くなる、あるいは、少なくなる。成形前の組成物に着色剤が含まれない場合は、レーザー光の照射部は、通常、白色となる。組成物に有彩色を有する染料・顔料等が含まれる場合は、レーザー光を吸収しないので、照射部にそのまま存在し、染料・顔料に由来する有彩色が照射部に残り、発色することとなる。
【0064】
また、他の機構としては、黒色物質がレーザー光を吸収し、光を熱変換する。発生した熱が、成形体に含まれる(メタ)アクリル酸エステル成分を分解し発泡させることで、発泡した部分がレーザー光の照射されなかった部分と屈折率が異なることによって、黒色とはならず、染料・顔料に由来する有彩色を発色することとなる。
このような発泡現象は、レーザー光の波長、出力によってその度合いは異なるが、未照射部分より盛り上がることがある。その高さは、通常、1〜100μmであるが、10〜80μmであれば、レーザーマーキング発色、照射(印字)部分の認識がより鮮明となる。また、この発泡高さを利用して、点字用製品を製造することも可能である。尚、レーザー光の照射により、成形体の表層部にも発泡現象が生じ、発泡現象の生じる深さは10〜200μm程度である。
【0065】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に含有される粒子〔C〕は、レーザー照射によって盛り上がった時に、発泡によって形成された空隙の内部あるいは内部表面に位置する。これによって、盛り上がった部分の特に表面層の密度の低下が軽減され、更にはエポキシ基含有重合体による硬度向上によって、キータッチにより白文字形成部の表面が潰れて認識しにくくなるという問題点も解決される。
【0066】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に詳述するが、本発明は、その要旨を越えない限り下記に掲げる例に何等制約されるものではない。尚、下記の実施例及び比較例において部及び%は、特に断らない限り質量部及び質量%である。
【0067】
1.評価方法
本実施例において用いられる評価方法は以下のとおりである。
(1)ゴム質重合体の平均粒径
ラテックス中の分散粒子の粒子径を光散乱方法で測定した。測定機器は、大塚電子(株)製、LPA−3100であり、70回積算でキュムラント法を用いた。尚、樹脂中の分散ゴム質重合体粒子の粒径は、予め乳化状態で合成したラテックス中のゴム質重合体粒子の粒径をそのまま示すことを確認した。
(2)ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕のグラフト率
試料1gを精秤採取し、これをメチルエチルケトン中に投入した。その後、振とう機で2時間振とうし、遊離の(共)重合体を溶解させた。次いで、遠心分離機を用いて、この溶液を15,000rpmで30分間、遠心分離し、不溶分を得た。その後、この不溶分を120℃で1時間真空乾燥し、固化した。グラフト率は、下記計算式より算出した。
試料1g中のゴム成分の質量をx(g)、上記で得たメチルエチルケトン不溶分の質量をy(g)とすると、上記グラフト率は、下記の計算式により求められる。
グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
【0068】
(3)極限粘度
前記で得た可溶分をメチルエチルケトンに溶解し、温度30℃でウベローデ型粘度計を用いて測定した。単位は、dl/gである。
(4)固有粘度
フェノール/テトラクロロエタン(質量比1/1)の混合溶媒中30℃で測定した。
(5)成形体の外観評価
各成分を配合して得られる組成物を用い、射出成形機により縦40mm、横100mm、厚さ2.5mmの板状成形体を作製し、その外観を目視にて評価した。判断基準は下記の通りである。
○;良好
×;劣る(外観上問題あるものと判断される)。
【0069】
(6)耐衝撃性
上記(5)で得られた板状成形体を測定試料として、デュポンインパクト測定装置を用いて、荷重200gfを高さ40cmから落下させ、評価した。
○;割れないため問題なし
×;割れてしまい、問題となる可能性がある。
【0070】
(7)レーザーマーキング性の評価
上記で得られた板状の成形体の表面を、カールバーゼル社製の「レーザーマーカー スターマーク65W(YAGレーザー光)」を用いてレーザーマーキングした。照射することにより発色する部分の発色性、認識性及び鮮明さを目視で判断した。判断基準を以下に示す。
○;良好(鮮明で且つ認識性の良好な印字発色を呈する)
△;認識性又は鮮明さが劣る
×;不良(認識性及び鮮明さに劣る)。
(8)レーザーマーキング処理面耐久試験評価
上記でレーザーマーキングした成形体を用い、マーキング処理を施した面(縦30mm、横30mm)に対して、2kg荷重で繰り返し1,000,000回の打鍵試験を実施し、試験後の外観評価を目視にて判断した。
○;良好
△;良好(実用上問題ない)
×;劣る(鮮明度及び認識性に劣り問題あるものと判断される)。
【0071】
2.ゴム強化熱可塑性樹脂〔A〕の調製
製造例1.共重合樹脂(A1−▲1▼)の製造
攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製フラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ゴム質重合体として、平均粒径280nmのポリブタジエン15部(固形分換算)、スチレン5部、アクリロニトリル5部及びメタクリル酸メチル10部を加え、攪拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシラート・2水和物0.2部及びイオン交換水15部よりなる活性剤水溶液、並びにジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応を続けた。
その後、イオン交換水50部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカプタン0.1部、ジイソプロピルハイドロパーオキサイド0.2部、スチレン10部、アクリロニトリル5部及びメタクリル酸メチル50部からなるインクレメンタル重合成分を3時間にわたって連続的に添加し、重合反応を続けた。添加終了後、更に攪拌を1時間続けたのち、2,2−メチレン−ビス−(4−エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加し、反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物のラテックスを、塩化カルシウム2部で凝固し、反応生成物を良く水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、共重合樹脂(A1−▲1▼)の白色粉末を得た。得られた樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル=15/15/10/60(%)であった。重合転化率は97%、グラフト率は40%、極限粘度は0.55dl/gであった。
【0072】
製造例2.共重合樹脂(A1−▲2▼)の製造
ゴム質重合体として、平均粒径310nmのポリブタジエンを用い、製造例1と同様にして、ブタジエンゴム/スチレン/アクリロニトリル=40/42/18(%)の組成を有する共重合樹脂(A1−▲2▼)を得た。グラフト率は50%、極限粘度は0.45dl/gであった。
【0073】
共重合体(A2−▲1▼)
スチレン・アクリロニトリル共重合体〔重合比75/25(%)〕を用いた。極限粘度は0.5dl/gであった。
【0074】
3.エポキシ基含有重合体〔B〕
下記の重合体B−▲1▼〜▲4▼を用いた。
B−▲1▼;商品名「ブレンマーCP−50M」、日本油脂社製
(軟化点:100〜110℃)
B−▲2▼;商品名「ブレンマーCP−50S」、日本油脂社製
(軟化点:110℃)
B−▲3▼;商品名「マーブルーフG1005SA」、日本油脂社製
(軟化点:130℃)
B−▲4▼;メタクリル酸グリシジル・スチレン・アクリロニトリル共重合体〔重合比40/45/15(%)〕
(極限粘度0.25dl/g)
【0075】
4.粒子〔C〕
下記の粒子C−▲1▼〜▲7▼を用いた。
C−▲1▼;アクリル系ポリマー粒子、商品名「ケミスノーMX−150」(平均粒子径:1.5μm)、綜研化学社製,
C−▲2▼;アクリル系ポリマー粒子、商品名「ケミスノーMX−1000」(平均粒子径:20.0μm)、綜研化学社製,
C−▲3▼;アクリル系ポリマー粒子、商品名「ケミスノーMX−90H」(平均粒子径:160μm)、綜研化学社製,
C−▲4▼;リン酸カルシウム粒子、商品名「HAP−08NP」(平均粒子径:0.8μm)、丸尾カルシウム社製,
C−▲5▼;炭酸カルシウム粒子、商品名「CUBE−18BHS」(平均粒子径:1.8μm)、丸尾カルシウム社製,
C−▲6▼;ステアリン酸カルシウム粒子、商品名「ニッサンエレクトールMC−2」(平均粒子径:1.1μm)、日本油脂社製
C−▲7▼;シリコーン
【0076】
5.黒色物質〔D〕
カーボンブラックを用いた。
【0077】
6.実施例1〜10、比較例1〜5
成分〔A〕〜〔D〕を表1に示す配合処方で、混合し、単軸押出機を用いて、220〜240℃の温度で溶融混練りし、射出成形により評価用試験片を得た。この評価用試験片を用いて上記の各種評価を行い、その結果を表1及び表2に示した。尚、実施例10は、溶融混練及び/又は射出成形の時点で、オイルから粒子に変化していることを確認した。該粒子の平均粒子径は0.5μmである。
【0078】
【表1】
【0079】
【表2】
【0080】
7.実施例の効果
表2より、比較例1はエポキシ基含有重合体〔B〕及び粒子〔C〕を含有しない例であり、成形体の外観、耐衝撃性及びレーザーマーキング発色性は良好であったが、レーザーマーキング耐久性に劣っていた。比較例2は、粒子〔C〕の平均粒子径が本発明の範囲外である例であり、成形体の外観に劣り、耐衝撃性が不十分であった。比較例3は、粒子〔C〕の平均粒子径が本発明の範囲内であるが含有量が多すぎる例であり、また、比較例4は、成分〔B〕及び〔C〕の含有量がいずれも本発明の範囲外に多い例であり、成形体の外観及び耐衝撃性に劣っていた。比較例5は、成分〔A〕に含まれる(メタ)アクリル酸エステル単位の含有量が15%と本発明の範囲外で少ない例であり、レーザーマーキング発色性に劣っていた。
一方、表1及び表2より、実施例1〜10はいずれも成形体の外観、耐衝撃性、レーザーマーキング性に優れていた。
【0081】
【発明の効果】
本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物は、これを用いて得られる成形体に優れた耐衝撃性を付与しつつレーザー光の照射による鮮明で且つその耐久認識性の高いマーキングを現出することができる。特に平均粒子径が0.05〜150μmである粒子及びエポキシ基含有重合体を含有させることにより、上記のような優れたマーキングの可能な成形体を与えることができる。
Claims (4)
- 〔A〕ゴム質重合体(a)の存在下に、(メタ)アクリル酸エステルを含むビニル系単量体(b)を重合して得られる共重合樹脂(A1)、又は、該共重合樹脂(A1)とビニル系単量体の(共)重合体(A2)(但し、下記成分〔B〕を除く。)との混合物からなり、且つ、上記ゴム質重合体(a)の含有量が5〜40質量%、(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)の含有量が25〜60質量%、及び該(メタ)アクリル酸エステル単位(b1)以外の単量体単位(b2)の含有量が0〜70質量%(但し、(a)、(b1)及び(b2)の合計は100質量%である。)であるゴム強化熱可塑性樹脂と、〔B〕エポキシ基含有重合体と、〔C〕平均粒子径が0.05〜150μmである粒子と、〔D〕黒色物質と、を含有することを特徴とするレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔A〕、〔B〕、〔C〕及び〔D〕の含有割合は、成分〔A〕を100質量部とした場合、それぞれ、成分〔B〕が0.1〜10質量部、成分〔C〕が0.1〜10質量部、成分〔D〕が0.01〜5質量部である請求項1に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔C〕は、リン酸カルシウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、二酸化チタン、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、又はそれらを主成分とする化合物、ポリスチレン系架橋粒子、ジビニルベンゼン系架橋粒子、ポリメタクリル酸メチル系架橋粒子、スチレン・メタクリル酸メチル系架橋粒子から選ばれる少なくとも1種である請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
- 上記成分〔C〕は、シリコーンオイルから形成された粒子である請求項1又は2に記載のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物。
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