JP2000265029A - レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
レーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物Info
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Abstract
つ、実用的な耐衝撃性、流動性に優れたレーザーマーキ
ング用熱可塑性樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 (A)(メタ)アクリル酸エステルを特
定量グラフト重合したゴム強化樹脂(A−1)50〜9
9重量部と、シアン化ビニル化合物を特定量共重合した
ゴム強化樹脂(A−2)50〜1重量部〔ただし、(A
−1)+(A−2)=100重量部〕の合計量100重
量部に対して、(B)カーボンブラックなどの黒色系化
合物0.01〜5重量部を配合したレーザーマーキング
用熱可塑性樹脂組成物。
Description
カーボンブラックなどの黒色系化合物を配合してなるレ
ーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物に関する。
化合物を配合した樹脂材料にレーザー光を照射すると、
照射部分が黒色あるいは白色に変色する技術が知られて
いる(特公昭62−59663号公報、特表平10−5
01014号公報)。このようなレーザーマーキング技
術は、キーボードのキー印字、ファクシミリなどのOA
機器パネルの文字印字などに使用されており、従来用い
られてきたタンポ印刷などに較べ、低コストで、かつ、
印字された文字の耐久性などに大変優れている。しかし
ながら、これまでのレーザーマーキング用熱可塑性樹脂
材料は、流動性の点で劣り、大型成形品、あるいは薄肉
成形品の製造に適していないという問題が生じている。
術の課題を背景になされたもので、上記問題点を解決
し、流動性良好で、かつ実用的な耐衝撃強度を有するレ
ーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供すること
を目的とする。
重合体(a)5〜30重量%の存在下に、(メタ)アク
リル酸エステル(b)45〜70重量%ならびに芳香族
ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)およ
びマレイミド系化合物(e)の群から選ばれた少なくと
も1種の単量体成分0〜50重量%〔ただし、(a)+
(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕をグ
ラフト重合して得られるゴム強化樹脂(A−1)50〜
99重量部と、ゴム状重合体(a)10〜60重量%の
存在下に、芳香族ビニル化合物(c)およびシアン化ビ
ニル化合物(d)からなる単量体成分40〜90重量%
〔ただし、(a)+(c)+(d)=100重量%で、
かつ、単量体成分〔(c)+(d)〕中の(d)の使用
量は0.5〜10重量%である〕をグラフト重合して得
られるゴム強化樹脂(A−2)50〜1重量部〔ただ
し、(A−1)+(A−2)=100重量部〕〔以下、
(A−1)と(A−2)を併せて、「(A)成分」とも
いう)の合計量100重量部に対し、(B)黒色系化合
物0.01〜5重量部、を配合したことを特徴とするレ
ーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物を提供するもの
である。
は、(メタ)アクリル酸エステルの共重合量を規定した
ゴム強化樹脂(A−1)、およびシアン化ビニル化合物
の共重合量を規定したゴム強化樹脂(A−2)からなる
ものである。なお、ここで、(A)成分は、あらかじめ
ゴム強化樹脂(A−1)とゴム強化樹脂(A−2)を混
合して組成物となしたうえ、後記(B)黒色系化合物を
配合しても、また、例えば、(A−1)〜(A−2)成
分と(B)成分とを同時に配合した組成物の系であって
もよい。
合体(a)5〜30重量%の存在下に、(メタ)アクリ
ル酸エステル(b)45〜70重量%、ならびに芳香族
ビニル化合物(c)、シアン化ビニル化合物(d)およ
びマレイミド系化合物(e)の群から選ばれた少なくと
も1種の単量体成分0〜50重量%〔ただし、(a)+
(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕をグ
ラフト重合して得られる。上記ゴム状重合体(a)とし
ては、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ブタジエン−
スチレン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重
合体、エチレン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合
体、エチレン−ブテン−1(非共役ジエン)共重合体、
イソブチレン−イソプレン共重合体、アクリルゴム、ス
チレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチ
レン−ブタジエン−スチレンラジアルテレブロック共重
合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合
体、SEBSなどの水素添加ジエン系(ブロック、ラン
ダム、およびホモ)重合体、ポリウレタンゴム、および
シリコーンゴムなどが挙げられる。これらのなかで、ポ
リブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、エチレ
ン−プロピレン−(非共役ジエン)共重合体、エチレン
−ブテン−1−(非共役ジエン)共重合体、水素添加ジ
エン系重合体、およびシリコーンゴムが好ましい。
ムを用いる場合は、シリコーンゴム中にグラフト交叉剤
(例えば、ビニル基を含んだもの、γ−メタクリロキシ
プロピルメチルジメトキシシランなど)を0.01〜1
0重量%使用すると、耐衝撃性、摺動性にも優れるレー
ザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物が得られる。ま
た、ゴム粒径の異なる2種以上のゴム状重合体(a)を
用いると、さらに、耐衝撃性、物性バランスに優れる本
発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物が得ら
れる。好ましい粒径としては、80〜180nmと18
0〜480nm程度の2種の粒径の異なるゴム状重合体
(a)を使用することが好ましい。この場合、2種のゴ
ム状重合体(a)の存在下で単量体成分(b)〜(e)
を重合しても、あるいは、ゴム粒径の異なる2種のゴム
強化樹脂(A−1)を使用することもできる。
としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アク
リル酸ブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸ブチルなどが挙げられる。これらのな
かで、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチルが好まし
い。この(メタ)アクリル酸エステル(b)は、本発明
のレーザーマーキング発色に必須の成分である。
スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、
m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトル
エン、α−エチルスチレン、メチル−α−メチルスチレ
ン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチ
レン、トリブロモスチレンなどの臭素化スチレン、クロ
ロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレンな
どの塩素化スチレン、スチレンスルホン酸ナトリウムな
どが挙げられる。これらのなかで、スチレン、α−メチ
ルスチレン、p−メチルスチレンが好ましい。シアン化
ビニル化合物(d)としては、アクリロニトリル、メタ
クリロニトリルなどが挙げられる。これらのなかで、ア
クリロニトリルが好ましい。
イミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミ
ド、N−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイ
ミド、N−ラウリルマレイミド、N−フェニルマレイミ
ド、N−(2−メチルフェニル)マレイミド、N−
(2,6−ジエチルフェニル)マレイミド、N−(4−
カルボキシフェニル)マレイミド、N−(4−ヒドロキ
シフェニル)マレイミド、N−(4−ブロモフェニル)
マレイミド、トリブロモフェニルマレイミド、N−(4
−クロロフェニル)マレイミド、N−シクロヘキシルマ
レイミドなどが挙げられる。これらのなかで、N−フェ
ニルマレイミドが好ましい。なお、マレイミド系化合物
を、マトリックス樹脂中に共重合すると、本発明のレー
ザーマーキング用熱可塑性樹脂組成物の耐熱性が向上す
る。
めには、ゴム状重合体(a)に、(メタ)アクリル酸エ
ステル(b)、ならびに芳香族ビニル化合物(c)、シ
アン化ビニル化合物(d)およびマレイミド系化合物
(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分を
グラフト重合する際の仕込み組成は、(a)成分5〜3
0重量%、(b)成分45〜70重量%、および(c)
〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の単量体
成分0〜50重量%、好ましくは、(a)成分10〜3
0重量%、(b)成分50〜65重量%、および(c)
〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の単量体
成分5〜40重量%、さらに好ましくは、(a)成分1
5〜25重量%、(b)成分55〜60重量%、および
(c)〜(e)成分の群から選ばれた少なくとも1種の
単量体成分25〜30重量%である〔ただし、(a)+
(b)+(c)+(d)+(e)=100重量%〕。
(a)成分が5重量%未満であると、耐衝撃性が充分で
なく、一方、30重量%を超えると、外観不良や成形加
工性の低下が生じ好ましくない。また、(b)成分の共
重合量が45重量%未満であると、レーザーマーキング
性が劣り、一方、70重量%を超えると、耐衝撃性が劣
る。さらに、(c)〜(e)の群から選ばれた少なくと
も1種の単量体成分が50重量%を超えると、レーザー
マーキング性が劣る。
率は、好ましくは、10〜100%、さらに好ましく
は、15〜90%、特に好ましくは、20〜70%であ
る。(A−1)のグラフト率が10%未満では、得られ
る熱可塑性樹脂組成物の外観不良、耐衝撃強度の低下が
生じ好ましくない。一方、100%を超えると、成形加
工性が劣る。ここで、上記グラフト率(%)は、(A−
1)成分1g中のゴム成分量をx、(A−1)成分1g
中のメチルエチルケトン不溶分量をyとすると、下式に
より求められる。 グラフト率(%)={(y−x)/x}×100
ックス樹脂の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、
30℃で測定)は、好ましくは、0.1〜1.0dl/
g、さらに好ましくは、0.2〜0.9dl/g、特に
好ましくは、0.3〜0.7dl/gである。極限粘度
〔η〕が上記範囲であると、耐衝撃性、成形加工性(流
動性)に優れた本発明の熱可塑性樹脂組成物が得られ
る。ここで、ゴム強化樹脂(A−1)中のマトリックス
樹脂とは、(A−1)成分中のグラフト化ゴム成分以外
の樹脂成分のことであり、上記極限粘度〔η〕は、(A
−1)成分のうち、メチルエチルケトン可溶分を常法に
従って測定することによって求めた値である。
強化樹脂(A−1)単独だけではなく、(A−1)と
(b)成分および(c)〜(e)の群から選ばれた少な
くとも1種の単量体成分からなる(共)重合体とを組み
合わせて使用することもできる。ゴム強化樹脂(A−
1)の好ましい組み合わせとしては、下記の組成が挙げ
られる。ただし、本発明の請求範囲は、その要旨を超え
ない限り、下記の組成に制約されるものではない。 (メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したゴム
強化樹脂(共重合(メタ)アクリル酸エステル量=50
〜65重量%) (メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したゴム
強化樹脂/(メタ)アクリル酸エステル−スチレン−ア
クリロニトリルの3元共重合体(全体の共重合(メタ)
アクリル酸エステル量=45〜65重量%) (メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したゴム
強化樹脂/ポリメチルメタクリレート〔全体の共重合
(メタ)アクリル酸エステル量=45〜70重量%〕 (メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合したAB
S樹脂〔共重合(メタ)アクリル酸エステル量=50〜
60重量%〕
は、ゴム状重合体(a)10〜60重量%の存在下に、
芳香族ビニル化合物(c)およびシアン化ビニル化合物
(d)からなる単量体成分40〜90重量%〔ただし、
(a)+(c)+(d)=100重量%で、かつ、単量
体成分(c)+(d)中の(d)の使用量は0.5〜1
0重量%〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹脂で
ある。
ム状重合体(a)、芳香族ビニル化合物(c)、シアン
化ビニル化合物(d)は、ゴム強化樹脂(A−1)に列
記したものと同じものが任意に使用できる。また、単量
体成分として、必要に応じて、(メタ)アクリル酸エス
テル(b)、マレイミド系化合物(e)を使用すること
ができる。なお、(A−1)と(A−2)に用いるゴム
状重合体(a)は、同一であっても、異なるものであっ
ても良い。
め、ゴム状重合体(a)に、(c)および(d)成分を
グラフト重合する際の仕込み組成は、(a)成分10〜
60重量%、(c)および(d)成分90〜40重量
%、好ましくは、(a)成分20〜50重量%、(c)
および(d)成分80〜50重量%、さらに好ましく
は、(a)成分30〜40重量%、(c)および(d)
成分70〜60重量%である〔ただし、(a)+(c)
+(d)=100重量%〕。(a)成分が10重量%未
満であると、耐衝撃性が充分でなく、一方、60重量%
を超えると、外観不良や成形加工性の低下が生じ好まし
くない。
分(c)および(d)中の(d)の使用量は、0.5〜
10重量%、好ましくは1〜8重量%、さらに好ましく
は2〜6重量%、特に好ましくは3〜5重量%である。
シアン化ビニル化合物(d)の使用量が0.5重量%未
満であると、耐衝撃強度が劣り、一方、10重量%を超
えると、優れた流動性改良効果が得られない。また、ゴ
ム強化樹脂(A−2)のグラフト率は、好ましくは、1
0〜100%、さらに好ましくは、15〜90%、特に
好ましくは、20〜70%である。(A−2)のグラフ
ト率が10%未満では、得られる熱可塑性樹脂組成物の
外観不良、耐衝撃強度の低下が生じ好ましくない。一
方、100%を超えると、成形加工性が劣る。なお、グ
ラフト率(%)の測定方法は、上記ゴム強化樹脂(A−
1)の項で記載したとおりである。
ックス樹脂の極限粘度〔η〕(メチルエチルケトン中、
30℃で測定)は、好ましくは、0.1〜0.8dl/
g、さらに好ましくは、0.2〜0.7dl/g、特に
好ましくは、0.2〜0.6dl/gである。極限粘度
〔η〕が上記範囲であると、成形加工性(流動性)に優
れた本発明の熱可塑性樹脂組成物が得られる。ここで、
ゴム強化樹脂(A−2)中のマトリックス樹脂とは、
(A−2)成分中のグラフト化ゴム成分以外の樹脂成分
のことであり、上記極限粘度〔η〕は、(A−2)成分
のうち、メチルエチルケトン可溶分を常法に従って測定
することによって求めた値である。
は、ブタジエンゴムにAS樹脂(共重合アクリロニトリ
ル量=5重量%)をグラフト重合したABS樹脂などが
挙げられる。
化樹脂(A−2)には、酸無水物系化合物または官能基
含有ビニル系単量体を共重合することもできる。酸無水
物系化合物としては、無水マレイン酸などが挙げられ
る。また、官能基含有ビニル系単量体の官能基として
は、エポキシ基、水酸基、カルボン酸基、アミノ基、ア
ミド基、オキサゾリン基などが挙げられる。具体的な官
能基含有ビニル系単量体としては、グリシジルメタクリ
レート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチ
ルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレー
ト、アクリルアミド、アクリル酸、メタクリル酸、ビニ
ルオキサゾリンなどが挙げられる。これらの官能基含有
ビニル系単量体を共重合することで、他の樹脂との界面
密着性(相溶性)を高めることができる。これらの官能
基含有ビニル系単量体の共重合量は、(A−1)あるい
は(A−2)成分中に、好ましくは、1〜15重量%、
さらに好ましくは、2〜10重量%である。
1)および(A−2)は、例えば、ゴム状重合体(a)
の存在下に、単量体成分を重合する方法、ゴム状重合体
(a)の存在下に、単量体成分の一部を重合し、残りの
単量体成分を別途重合し、これらをブレンドする方法、
などの製造方法によって得られる。上記ゴム強化樹脂
(A−1)および(A−2)は、公知の乳化重合、溶液
重合、懸濁重合などにより製造できる。
なものが使用できる。具体例としては、クメンハイドロ
パーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパー
オキサイド、過硫酸カリウム、アゾビスイソブチロニト
リル(AIBN)、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロ
イルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシラウレイ
ト、t−ブチルパーオキシモノカーボネートなどが挙げ
られる。乳化重合により製造した場合、通常、凝固剤に
より生成物を凝固し、得られた粉末を水洗後、乾燥する
ことにより精製される。この凝固剤としては、塩化カル
シウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナ
トリウムなどの無機塩を使用することができる。また、
凝固剤として、硫酸、塩酸などの酸を使用することもで
きる。
−1)およびゴム強化樹脂(A−2)からなる。ここ
で、ゴム強化樹脂(A−1)とゴム強化樹脂(A−2)
の配合割合は、ゴム強化樹脂(A−1)が、50〜99
重量部、好ましくは60〜90重量部、さらに好ましく
は65〜85重量部であり、ゴム強化樹脂(A−2)
が、50〜1重量部、好ましくは40〜10重量部、さ
らに好ましくは35〜15重量部〔ただし、(A−1)
+(A−2)=100重量部〕である。(A−1)成分
が50重量部未満では、本発明の目的とするレーザーマ
ーキング性が劣り、実用的な耐衝撃強度が得られず、好
ましくない。一方、(A−1)成分が99重量部を超え
ると、流動性が劣る。
アクリル酸エステルの共重合量は、好ましくは30〜5
0重量%、さらに好ましくは35〜45重量%、特に好
ましくは38〜43重量%である。(A)成分中の(メ
タ)アクリル酸エステル量が30重量%未満では、レー
ザーマーキング性が不充分であり、一方、50重量%を
超えると、耐衝撃性が劣る。
カーボンブラックなどの黒色系化合物である。(B)成
分としては、カーボンブラック、黒色酸化鉄、チタンブ
ラックおよび黒鉛などの黒色系化合物の群から選ばれた
少なくとも1種が使用できる。上記黒色系化合物である
(B)成分は、波長−反射率曲線で表すのであれば、4
00〜700nmの波長の全領域に対して、反射率が1
0%以下、好ましくは5%以下のものである。すなわ
ち、この400〜700nmの全領域の波長の光を吸収
する化合物であれば、本発明の(B)成分として使用で
きる。
アセチレンブラック、チャネルブラック、ファーネスブ
ラック、ケッチェンブラックなどのいずれも使用可能で
ある。カーボンブラックの好ましい粒径は、10〜80
nm、さらに好ましくは、12〜40nmである。粒径
が小さい方が樹脂中での分散性が良く、レーザーマーキ
ング発色性が良好である。また、カーボンブラックの好
ましい比表面積は20〜1,500m2 /g、好ましい
吸油量は35〜300ml/100g、好ましいpHは
2〜10である。
・Fe2 O3 で表される黒色の鉄酸化物である。黒色酸
化鉄の好ましい粒径は、0.3〜0.8μm、さらに好
ましくは、0.4〜0.6μmである。形状としては、
球状、立方状、針状などのいずれも使用できるが、立方
状が好ましい。さらに、チタンブラックは、二酸化チタ
ンを還元することによって得られる化合物である。チタ
ンブラックの好ましい粒径は、0.1〜60μm、さら
に好ましくは、1〜20μmである。
分100重量部に対し、0.01〜5重量部、好ましく
は0.02〜3重量部、さらに好ましくは0.03〜2
重量部、特に好ましくは0.05〜1重量部である。
(B)成分の配合割合が0.01重量部未満ではレーザ
ーマーキングの発色が劣り、一方、5重量部を超えると
レーザーマーキング発色および耐衝撃性が劣る。
脂組成物には、染料・有機顔料などを配合することもで
きる。これらの、染料・有機顔料などと黒色系化合物を
併用することで、有彩色を呈するレーザーマーキング性
が得られる。上記染料・有機顔料などを波長−反射率曲
線で表すのであれば、400〜700nmの波長領域に
おいて、部分的に反射率が40%以上の領域、好ましく
は50%以上の領域を有する、染料・有機顔料である。
これらの染料・有機顔料を適切に選定することで、黄
色、赤、青、緑、紫などの有彩色を明彩に発色すること
ができる。基本的には、配合する染料・有機顔料の色彩
が、レーザー光照射時に照射部分を発色させる。
ソ染料、ニトロ染料、アゾ染料、スチルベンアゾ染料、
ケトイミン染料、トリフェニルメタン染料、キサンテン
染料、アクリジン染料、キノリン染料、メチン染料、チ
アゾール染料、インダミン染料、アジン染料、オキサジ
ン染料、チアジン染料、硫化染料、アミノケトン染料、
アントラキノン染料、インジゴイド染料などが挙げられ
る。
ant Green 4、Disperse Yell
ow 14、Disperse Yellow 31、
Acid Yellow 2、Direct Yell
ow 31、DirectYellow 59、Bas
ic Yellow 2、Basic Orange
23、Direct Orange 71、Direc
t Red 28、Acid Red 52、Solv
ent Blue 22、Acid Blue 59、
Mordant Blue 10、Acid Blue
45、Vat Blue 41、トルイジンマルー
ン、パーマネントレッドAG、ハンザエローG、ハンザ
エロー10G、ベンジジンオレンジ2Gなどが挙げられ
る。
れるものが使用できるが、なかでも、配位している金属
がカルシウム、ニッケル、鉄、バリウム、ナトリウム、
銅、モリブデン、コバルト、マンガン、亜鉛、チタン、
マグネシウム、カリウムなどのものが好ましい。具体的
な有機顔料としては、ウォッチングレッド(Ca)、グ
リーンゴールド(Ni)、ピグメントグリーンB(F
e)、ピグメントスカーレット3B(Ba)、ファース
トスカイブルー(Ba)、フタロシアニングリーン(F
e)、フタロシアニンブルー(Cu)、ブリリアントカ
ーミン6B(Ca)、ボルドー10B(Na)、リソー
ルレッドR(Na)、レーキレッドC(Ba)、レーキ
レッドD(Ba)、ブリリアントスカーレットG(C
a)、マンガンバイオレット(Mn)、コバルトバイオ
レット(Co)などが挙げられる。なお、有機顔料に含
まれる元素を、これらの名称の後の括弧内に示した。
明に用いられる(A)成分100重量部に対して、好ま
しくは0.01〜5重量部、さらに好ましくは0.05
〜2重量部、特に好ましくは0.1〜1重量部である。
配合量が0.01重量部未満であると、レーザーマーキ
ング性が発現せず、一方、5重量部を超えると、耐衝撃
性、レーザーマーキング性が劣る。
脂組成物において、有彩色を発色する機構としては、ま
だ明らかではないが、次のように考えられる。すなわ
ち、(A)成分中に配合された(B)成分の黒色系化合
物がカーボンブラックや黒鉛の場合、レーザー光を吸収
して、照射部分に存在するカーボンが気化する。この段
階で、照射部分での黒色成分が無くなる、あるいは、少
なくなる。一方、照射部分に存在していた有彩色を有す
る染料・有機顔料などは、レーザー光を吸収しないの
で、照射部分にそのまま存在し、染料・有機顔料など由
来の有彩色を照射部分に発色させる。また、他の機構の
説明としては、(B)成分がレーザー光を吸収し、光を
熱変換する。発生する熱が、熱可塑性樹脂組成物中の
(メタ)アクリル酸エステル成分を分解し発泡させるこ
とで、発泡した部分と照射されない部分とでは屈折率が
異なるため、黒色とはならず、染料・有機顔料由来の有
彩色を発色させる。このような発色機構から分かるよう
に、(B)成分はレーザー光を吸収することが必要であ
り、一方、染料・有機顔料などは、レーザー光の波長を
吸収しないことが必要となる。また、チタンブラックを
使用した場合は、光照射時にチタンブラックは酸化さ
れ、二酸化チタンの白色を呈するため、この部分に存在
する染料・有機顔料由来の色を認識できると考えられ
る。
脂組成物は、その成形品表面をレーザー光で照射するこ
とで、明瞭なマーキングを得ることが可能である。ここ
で、レーザー光としては、He−Ne、Arレーザー、
CO2 レーザー、エキシマレーザーなどの気体レーザ
ー、YAGレーザーなどの固体レーザー、半導体レーザ
ー、色素レーザーなどが挙げられ、なかでも、CO2 レ
ーザー、エキシマレーザー、YAGレーザーが好まし
い。YAGレーザー光の波長は、1,054nmであ
る。
脂組成物の成形表面をレーザー光で照射すると、レーザ
ー光照射部分は、通常、レーザー光照射による発泡現象
で、未照射部分よりやや盛り上がる。この照射部分の好
ましい盛り上がり高さは、1〜100μm程度である
が、10〜80μm程度が、レーザーマーキング発色、
照射(文字)部分の認識が鮮明でさらに好ましい。ま
た、この文字高さを利用して、点字用の成形品を作製す
ることも可能である。なお、当然のことながら、レーザ
ー光照射により、樹脂表面内部にも発泡現象が生じる。
発泡の内部深さは、10〜20μm程度である。
脂組成物には、必要に応じて、ガラス繊維、炭素繊維、
ワラストナイト、タルク、マイカ、ガラスフレーク、ミ
ルドファイバー、酸化亜鉛ウィスカー、チタン酸カリウ
ムウィスカーなどの充填材を、1種単独でまたは2種以
上併用することができる。これらの充填材を配合するこ
とで、本発明のレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成
物に剛性を付与することができる。また、タルクなどを
配合することで、本発明のレーザーマーキング用熱可塑
性樹脂組成物に艶消し性を付与することができる。上記
ガラス繊維、炭素繊維の好ましい形状としては、繊維径
が6〜20μm、繊維長が30μm以上である。これら
の充填材の配合量は、本発明の(A)成分100重量部
に対し、好ましくは、1〜50重量部、さらに好ましく
は、2〜30重量部である。充填材の配合量が50重量
部を超えると、レーザーマーキング性が損なわれる。
塑性樹脂組成物には、公知のカップリング剤、耐候剤、
酸化防止剤、可塑剤、滑剤、(B)成分以外の着色剤、
帯電防止剤、シリコーンオイルなどの添加剤を配合する
ことができる。このうち、耐候剤としては、リン系、イ
オウ系の有機化合物、水酸基を含有する有機化合物が好
ましい。また、帯電防止剤としては、ポリエーテル、ア
ルキル基を有するスルホン酸塩などが挙げられる。これ
らの添加剤の好ましい配合量は、本発明の(A)成分1
00重量部に対して、0.1〜10重量部、さらに好ま
しくは、0.5〜5重量部である。
可塑性樹脂組成物には、要求される用途に応じて、他の
熱可塑性樹脂・熱硬化性樹脂などの他の(共)重合体を
配合することができる。ここで、他の重合体としては、
ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リアミド、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル
スルホン、ポリフェニレンスルフィド、液晶ポリマー、
ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、
スチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリアミドエラストマ
ー、ポリアミドイミドエラストマー、ポリエステルエラ
ストマー、ポリエーテルエステルアミド、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂などが挙げられる。
これらのなかで、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロ
ピレンなどを配合すると、レーザーマーキング性発色を
より明彩にすることができる。これらの他の(共)重合
体の配合量は、(A)成分100重量部に対し、好まし
くは、1〜150重量部、さらに好ましくは5〜100
重量部である。また、上記他の(共)重合体のうち、ポ
リアミドエラストマー、ポリエーテルエステルアミドな
どを配合することで、永久帯電防止性を付与することが
可能である。好ましい配合量は、(A)成分100重量
部に対し、1〜30重量部、さらに好ましくは、2〜2
0重量部である。
可塑性樹脂組成物に難燃性を付与するために、難燃剤を
配合することもできる。難燃剤としては、ハロゲン系化
合物、有機リン系化合物、窒素系化合物、金属水酸化化
合物、アンチモン化合物などを、単独あるいは併用して
使用することができる。
トラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノ
ールAのオリゴマー(末端がエポキシ基、トリブロモフ
ェノールなどで封止してあっても良い)、臭素化ポリス
チレン、後臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネー
トオリゴマー、トリブロモフェノキシエタン、トリアジ
ン骨格にトリブロモフェノールを付加したもの、塩素化
ポリスチレン、脂肪族塩素化合物などが挙げられる。な
かでも、テトラブロモビスフェノールAのオリゴマーが
好ましい(好ましい分子量は、1,000〜6,000
程度である)。また、ハロゲン系化合物中の臭素などの
ハロゲン原子濃度は、好ましくは、30〜65重量%、
さらに好ましくは、45〜60重量%である。
ェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、ト
リクレジルホスフェート、トリキシレニルチオホスフェ
ート、ハイドロキノンビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジフェニルホスフェー
ト)、レゾルシノールビス(ジキシレニルホスフェー
ト)、トリフェニルホスフェートのオリゴマーなどが挙
げられる。なかでも、トリフェニルホスフェート、トリ
キシレニルホスフェート、レゾシノールビス(キシレニ
ルホスフェート)が好ましい。有機リン系化合物の好ま
しいリン濃度は、4〜30重量%、さらに好ましくは、
6〜25重量%である。窒素系化合物としては、トリア
ジン、メラミンなどである。金属水酸化化合物として
は、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどが使
用できる。アンチモン化合物としては、三酸化アンチモ
ン、五酸化アンチモンなどが使用できる。
れる(A)成分100重量部に対し、好ましくは1〜5
0重量部、さらに好ましくは2〜30重量部、特に好ま
しくは5〜25重量部である。難燃剤の配合量が1重量
部未満では難燃性の付与効果が不充分であり、一方、5
0重量部を超えると、耐衝撃性、レーザーマーキング性
が劣る。
脂組成物は、各種押し出し機、バンバリーミキサー、ニ
ーダー、ロールなどで、好ましくは、180〜240℃
の範囲で各成分を混練りすることによって得ることがで
きる。混練りするに際しては、各成分を一括混練りして
もよく、また任意の成分を混練りしたのち、残りの成分
を添加し混練りする多段分割混練り法を採用することも
できる。好ましい混練り法は、押し出し機で行う方法で
あり、押し出し機としては、二軸同方向回転押し出し機
が特に好ましい。なお、本発明のレーザーマーキング用
熱可塑性樹脂組成物を調製するには、あらかじめ、(A
−1)成分と(A−2)成分をブレンドして得られた
(A)成分に、(B)成分を溶融混練りしてもよく、上
記したように、あるいは、(A−1)、(A−2)、
(B)成分を同時に、あるいは、任意の割合で多段階で
溶融混練りしてもよいことはいうまでもない。
は、射出成形、シート押し出し成形、真空成形、異形押
し出し、発泡成形などによって、各種成形品に成形する
ことができる。上記成形法によって、OA製品、家電製
品、車両用途などのボタン、ハウジング、スイッチなど
の成形品を得ることができる。また、建築材料として、
敷居、窓枠、手すり材料などにも使用できる。これらの
製品表面をレーザー光照射することで、白色のみなら
ず、有彩色をも明確に発色させることができる。また、
レーザーマーキングで発色させた文字部分は、印刷した
文字部分よりも、耐候性が優れ、かつ、耐摩耗性にも優
れるので、印刷よりも遙かに実用上好ましい。
に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下
の実施例に何ら制約されるものではない。なお、実施例
中、部および%は特に断らないかぎり重量基準である。
また、実施例中の各種の測定項目は、下記に従った。
たラテックスの粒子径がそのまま樹脂中の分散粒子の粒
子径を示すことを電子顕微鏡で確認したので、ラテック
ス中の分散粒子の粒子径を光散乱法で測定した。測定機
器は、大塚電子(株)製、LPA−3100を使用し、
70回積算でキュムラント法を用い、粒子径を測定し
た。
0℃の温度条件により、ウベローデ型粘度計で測定し
た。
使用し、23℃、ノッチ付きの試験条件で測定した。成形加工性〔流動性(メルトフローレート)〕 ASTM D1238に準じて測定した。測定温度は2
20℃、荷重は10kgである。熱変形温度 ASTM D648に準じて測定した。
て作製した。その成形品表面を、カールバーゼル社製の
レーザーマーカー(スターマーク65W;YAGレーザ
ー光)を用いて、文字をレーザーマーキングした。照射
することにより、発色する部分の発色性、認識性、鮮明
さを目視で判断した。 ○;良好(鮮明でかつ認識性良好な文字発色を呈する場
合) △;良(鮮明度と認識性の何れかが劣る場合) ×;劣る(鮮明度、認識性ともに劣る場合)
6mmである。V−2は垂直試験でのV−2ランク、H
Bは水平試験でのHBランクを示す。表面固有抵抗(電気特性) ASTM D257に準じて測定した。測定条件は、2
3℃、50%RHで、単位はΩである。
樹脂)〕>攪拌機を備えた内容積7リットルのガラス製
フラスコに、イオン交換水100部、ドデシルベンゼン
スルホン酸ナトリウム1.5部、t−ドデシルメルカプ
タン0.1部、ポリブタジエン(a)15部(固形分換
算)、スチレン(c)5部、アクリロニトリル(d)5
部、およびメタクリル酸メチル(b)10部を加え、攪
拌しながら昇温した。温度が45℃に達した時点で、エ
チレンジアミン四酢酸ナトリウム0.1部、硫酸第1鉄
0.003部、ホルムアルデヒドナトリウムスルホキシ
ラート・2水和物0.2部およびイオン交換水15部よ
りなる活性剤水溶液、ならびにジイソプロピルベンゼン
ハイドロパーオキサイド0.1部を添加し、1時間反応
を続けた。
ンゼンスルホン酸ナトリウム1部、t−ドデシルメルカ
プタン0.1部、ジイソプロピルハイドロパーオキサイ
ド0.2部、スチレン(c)10部、アクリロニトリル
(d)5部およびメタクリル酸メチル(b)50部から
なるインクレメンタル重合成分を3時間にわたって連続
的に添加し、重合反応を続けた。添加終了後、さらに攪
拌を1時間続けた後、2,2−メチレン−ビス−(4−
エチレン−6−t−ブチルフェノール)0.2部を添加
し、反応生成物をフラスコより取り出した。反応生成物
のラテックスを、塩化カルシウム2部で凝固し、反応生
成物を良く水洗したのち、75℃で24時間乾燥し、白
色粉末を得た。重合転化率は97%、グラフト率は40
%、極限粘度〔η〕は0.55dl/gであった。
共重合ABS樹脂)〕>上記と同様の重合方法を用い
て、MMA共重合ABS樹脂(A−1−)を得た。こ
の樹脂の組成は、ブタジエンゴム/スチレン/メタクリ
ル酸メチル/アクリロニトリル=20/20/55/5
(%)であった。グラフト率は50%、極限粘度〔η〕
は0.50dl/gであった。 <(A−1−)〔比較用ゴム強化樹脂(MMA共重合
ABS樹脂)〕>上記A−1−と同様の重合方法を用
いて、MMA共重合ABS樹脂を得た。この樹脂の組成
は、ブタジエンゴム/スチレン/メタクリル酸メチル/
アクリロニトリル=20/50/20/10(%)であ
った。グラフト率は45%、極限粘度〔η〕は0.45
dl/gであった。 <(A−1−)(比較用ゴム強化樹脂)>上記A−1
−と同様の重合方法を用いて、比較用ゴム強化樹脂
(A−1−)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエン
ゴム/スチレン/メタクリル酸メチル=15/5/80
(%)であった。グラフト率は35%、極限粘度〔η〕
は0.40dl/gであった。
−1−と同様の重合方法を用いて、ゴム強化樹脂(A
−2−)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエンゴム
/スチレン/アクリロニトリル=30/67/3(%)
であった。グラフト率は35%、極限粘度〔η〕は0.
30dl/gであった。 <A−2−〔比較用ゴム強化樹脂(ABS樹脂)〕>
上記A−1−と同様の重合方法を用いて、ゴム強化樹
脂(A−2−)を得た。この樹脂の組成は、ブタジエ
ンゴム/スチレン/アクリロニトリル=30/45/2
5(%)であった。グラフト率は50%、極限粘度
〔η〕は0.45dl/gであった。上記(A)成分の
物性を、表1に示す。
ナイロン6の両末端をテレフタル酸で反応させたもの
に、さらに、ポリエチレングリコールを反応させたマル
チブロック共重合体(ナイロン6/ポリエチレングリコ
ール=50/50) <難燃剤>テトラブロモビスフェノールAのオリゴマ
ー;大日本インキ化学工業株式会社製、末端をトリブロ
モフェノールで封止、臭素濃度=56%、分子量=約
2,000
体および添加剤を、表2〜3に記載した割合で、220
〜240℃の温度条件下で押し出し機を用いて溶融混練
りし、射出成形により評価サンプルを得た。評価結果
を、表2〜3に示した。
組成物のいずれの実施例も、レーザーマーキング性評価
において、良好な白文字発色、または、有彩色を発色
し、かつ、実用に耐えうる耐衝撃性、優れた流動性を示
した。また、ポリアミドエラストマーを含有する本発明
の熱可塑性樹脂組成物は、良好な電気特性を示し(実施
例5)、難燃剤を含有するものは良好な難燃性を示した
(実施例6)。一方、表3に示すように、比較例1は、
本発明のゴム強化樹脂(A−1)の配合量が本発明に規
定する範囲未満の場合であり、レーザーマーキング性、
耐衝撃性に劣る。比較例2は、本発明の(B)成分の配
合量が本発明に規定する配合量を超える場合であり、レ
ーザーマーキング性、耐衝撃性に劣る。比較例3は、本
発明のゴム強化樹脂(A−1)中の(メタ)アクリル酸
エステルの共重合量が本発明に規定する配合量未満の場
合であり、レーザーマーキング性が劣る。比較例4は、
ゴム強化樹脂(A−2)中のシアン化ビニル化合物の共
重合量が本発明に規定する配合量を超える場合であり、
流動性が劣る。比較例5は、本発明のゴム強化樹脂(A
−1)中の(メタ)アクリル酸エステルの共重合量が本
発明に規定する配合量を超える場合であり、耐衝撃性が
劣る。なお、実施例および比較例に使用したいずれの熱
可塑性樹脂組成物も、素地色は黒色またはグレーであっ
た。
樹脂組成物は、レーザー光の照射により、白色のみなら
ず、黄色、緑などの有彩色を明確に発色することがで
き、また、実用的な耐衝撃性、耐熱性、成形加工性(流
動性)にも優れ、OA製品、家電製品、車両用途などの
ボタン、ハウジング、スイッチ、敷居、窓枠、手すり材
料などの建築材料などの用途に有用である。
Claims (1)
- 【請求項1】 (A)ゴム状重合体(a)5〜30重量
%の存在下に、(メタ)アクリル酸エステル(b)45
〜70重量%ならびに芳香族ビニル化合物(c)、シア
ン化ビニル化合物(d)およびマレイミド系化合物
(e)の群から選ばれた少なくとも1種の単量体成分0
〜50重量%〔ただし、(a)+(b)+(c)+
(d)+(e)=100重量%〕をグラフト重合して得
られるゴム強化樹脂(A−1)50〜99重量部と、ゴ
ム状重合体(a)10〜60重量%の存在下に、芳香族
ビニル化合物(c)およびシアン化ビニル化合物(d)
からなる単量体成分40〜90重量%〔ただし、(a)
+(c)+(d)=100重量%で、かつ、単量体成分
〔(c)+(d)〕中の(d)の使用量は0.5〜10
重量%である〕をグラフト重合して得られるゴム強化樹
脂(A−2)50〜1重量部〔ただし、(A−1)+
(A−2)=100重量部〕の合計量100重量部に対
し、 (B)黒色系化合物0.01〜5重量部、を配合したこ
とを特徴とするレーザーマーキング用熱可塑性樹脂組成
物。
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