JP3994468B2 - 酸化物積層構造およびその製造方法ならびに強誘電体不揮発性メモリ - Google Patents

酸化物積層構造およびその製造方法ならびに強誘電体不揮発性メモリ Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、酸化物積層構造およびその製造方法ならびに強誘電体不揮発性メモリに関し、特に、シリコン上で展開される酸化物エレクトロニクスに適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
酸化物薄膜材料は、1986年に報告された高温超伝導酸化物に端を発し((1)Z. Phys. B.,64,189-193(1986)) 、この数年で驚異的に発展してきていることは周知の事実である(例えば、(2)MRS Bulletin,XVII,No.8,16-54(1992) 、(3)MRS Bulletin,XIX,No.9,21-55(1994))。
【0003】
一方、1950年代の一時期に精力的に研究されながら、強誘電体薄膜の界面制御の難しさなどにより産業に浸透しなかった、強誘電体を用いたメモリデバイス(例えば、(4)Electrical Engineering,71,916-922(1952)、(5)Bell Labs. Record,33,335-342(1955))が、最近、強誘電体不揮発性メモリとして新たに脚光を浴びるようになり、その研究開発が急速に展開されてきている。この強誘電体不揮発性メモリの現状については、詳細に報告されている(例えば、(6)Appl. Phys. Lett.,48,1439-1440(1986) 、(7) 米国特許第4713157号、(8)IEDM Tech. Dig.,850-851(1987)、(9)IEEE J. Solid State Circuits,23,1171-1175(1988)、(10)Tech. Dig. ISSCC 88,130-131(1988) 、(11)応用物理、第62巻、第12号、1212-1215(1993) 、(12)エレクトロニク・セラミクス、第24巻、7月号、6-10(1993)、(13)電子材料、第33巻、第8号(1994)(「強誘電体薄膜の不揮発性メモリへの応用」特集号) 、(14)セラミックス、第27巻、720-727(1992))。
【0004】
また、酸化物超伝導デバイス(文献(2) および(3) を参照) は当然のことながら、酸化物非線形光学素子などの応用についても同様に、近年多くの研究開発が行われていることは、周知の通りである。
【0005】
さて、強誘電体不揮発性メモリ(以下「FeRAM」という)には、大きく分けて、メモリセルが1個の電界効果トランジスタ(FET)と1個のキャパシタとからなるもの(以下「1トランジスタ1キャパシタ型FeRAM」という)とメモリセルがFETからなるもの(以下「FET型FeRAM」という)との二種類がある。1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMの例を図16に示す。また、FET型FeRAMの例を図17、図18および図19に示す。
【0006】
図16に示す1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、シリコン(Si)基板101上にゲート絶縁膜102を介してゲート電極103が設けられている。ゲート電極103の両側の部分におけるSi基板101中にはソース領域104およびドレイン領域105が設けられている。これらのゲート電極103、ソース領域104およびドレイン領域105によりMIS(Metal-Insulator-Metal)FETが形成されている。符号106は層間絶縁膜を示す。このMISFETに隣接する部分における層間絶縁膜106上に金属薄膜からなる下部電極107、強誘電体薄膜108および金属薄膜からなる上部電極109が順次積層されている。これらの下部電極107、強誘電体薄膜108および上部電極109によりMFM(Metal-Ferroelectric-Metal)構造のキャパシタが形成されている。ここで、このキャパシタの下部電極107は、MISFETのドレイン領域105と電気的に接続されている。
【0007】
なお、この1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMは、MISFETとキャパシタとを平面的に並列配置した、いわゆるプレーナ型のものであるが、このほかに、後述のような、ドレイン領域から直接プラグを介してMISFET部付近の上方にキャパシタを配置した、いわゆるスタック型のものも知られている。
【0008】
一方、図17に示すFET型FeRAMにおいては、Si基板201上に強誘電体薄膜202および金属薄膜203が順次積層され、MFS(Metal-Ferroelectric-Semiconductor)構造が形成されている。金属薄膜203の両側の部分におけるSi基板201中にはソース領域204およびドレイン領域205が設けられている。
【0009】
また、図18に示すFET型FeRAMにおいては、Si基板301上に絶縁膜302、強誘電体薄膜303および金属薄膜304が順次積層され、MFIS(Metal-Ferroelectric-Insulator-Semiconductor)構造が形成されている。金属薄膜304の両側の部分におけるSi基板301中にはソース領域305およびドレイン領域306が設けられている。
【0010】
さらに、図19に示すFET型FeRAMにおいては、Si基板401上に絶縁膜402、金属薄膜403、強誘電体薄膜404および金属薄膜405が順次積層され、MFMIS(Metal-Ferroelectric-Metal-Insulator-Semiconductor)構造が形成されている。金属薄膜405の両側の部分におけるSi基板401中にはソース領域406およびドレイン領域407が設けられている。
【0011】
ここで、図16および図19において点線で示したMFMIS構造は、図16に示す1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMと図19に示すFET型FeRAMとに共通する部分であり、この基本的積層構造については、各種の文献でその最適化材料設計や有効性が述べられている(例えば、(15)特開平8−330540号公報、(16)特開平8−335672号公報、(17)特開平8−340087号公報、(18)特願平8−336158号)、(19)J. Ceram. Soc. Japan, Int. Edition,103,1088-1099(1995)、(20)Mater. Sci. Eng. B.,41,166-173(1996)) 。
【0012】
さて、FET型FeRAMにおいては、歴史的には、図17に示すMFS構造から図18に示すMFIS構造へ移行したが、それは、図17に示すMFS構造ではSi基板201上に強誘電体薄膜202を直接成長させた場合には良好な界面を形成することが難しいのに対し、図18に示すMFIS構造ではSi基板301上に絶縁膜302を介して強誘電体薄膜303を成長させることにより良好な界面を形成することができるからである。さらに、図18に示すMFIS構造から図19に示すMFMIS構造への移行は、主として、図18に示すMFIS構造では強誘電体薄膜303からSi基板301のチャネル部への元素の拡散の問題があるからであるが(文献(4) 〜(14)参照)、この拡散の問題がなければ、図18に示すMFIS構造がFET型FeRAMにおいて現在最も理想的と考えられる。
【0013】
一方、1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、メモリセルの高密度化に伴って、プレーナ型からスタック型への移行が考えられる。図20および図21にそれぞれ典型的なプレーナ型およびスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す。
【0014】
図20に示すプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、n型Si基板501中にpウエル502が設けられている。pウエル502の表面にはSiO2 膜からなるフィールド絶縁膜503が選択的に設けられ、これによって素子間分離が行われている。フィールド絶縁膜503で囲まれた部分におけるpウエル502の表面にはSiO2 膜からなるゲート絶縁膜504が設けられている。ゲート絶縁膜504上に、不純物がドープされた多結晶Si膜からなるゲート電極505が設けられている。ゲート電極505の両側の部分におけるpウエル502中にはn+ 型のソース領域506およびドレイン領域507が設けられている。ゲート電極505、ソース領域506およびドレイン領域507によりnチャネルMISFETが形成されている。符号508はSiO2 膜からなる層間絶縁膜を示す。フィールド絶縁膜503の上方の部分における層間絶縁膜508上には白金(Pt)薄膜からなる下部電極509、強誘電体薄膜510およびPt薄膜からなる上部電極511が順次積層されている。下部電極509、強誘電体薄膜510および上部電極511によりキャパシタが形成されている。これらのnチャネルMISFETおよびキャパシタはSiO2 膜からなる層間絶縁膜512により覆われている。nチャネルMISFETのドレイン領域507の上側の部分におけるゲート絶縁膜504、層間絶縁膜508および層間絶縁膜512にはコンタクトホール513が設けられている。このコンタクトホール513の部分におけるドレイン領域507上には不純物がドープされた多結晶Siまたはタングステン(W)からなるプラグ514が設けられている。このプラグ514は、上部電極511の上側の部分における層間絶縁膜512に設けられたコンタクトホール515を介して金属配線516により上部電極511と接続されている。下部電極509の一端部の上側の部分における層間絶縁膜512にはコンタクトホール517が設けられ、このコンタクトホール517を通じて金属配線518が下部電極509と接続されている。
【0015】
一方、図21に示すスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、図20に示すプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMと同様に、n型Si基板601中に設けられたpウエル602の表面にフィールド絶縁膜603が選択的に設けられて素子間分離が行われているとともに、このフィールド絶縁膜603で囲まれた部分におけるpウエル602にゲート絶縁膜604、ゲート電極605、ソース領域606およびドレイン領域607からなるnチャネルMISFETが形成されている。符号608はSiO2 膜からなる層間絶縁膜を示す。nチャネルMISFETのドレイン領域607の上側の部分におけるゲート絶縁膜604および層間絶縁膜608にはコンタクトホール609が設けられている。このコンタクトホール609の部分におけるドレイン領域607上には、不純物がドープされた多結晶または単結晶のSiからなるプラグ610が設けられている。このプラグ610の上に、不純物がドープされた多結晶または単結晶のSi膜611およびバリアメタルからなるバッファ層612を介して、Pt薄膜からなる下部電極613、強誘電体薄膜614およびPt薄膜からなる上部電極615が順次積層されている。下部電極613、強誘電体薄膜614および上部電極615によりキャパシタが形成されている。
【0016】
図21および図22にそれぞれ示すプレーナ型およびスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMの構造的な相違点の一つに、プラグ514、610と下部電極509、613および上部電極511、615との配置がある。具体的には、図20に示すプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、nチャネルMISFETのドレイン領域507とキャパシタの上部電極511との接続に金属配線516が必要であるが、図21に示すスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、不純物がドープされた多結晶Siからなるプラグ610によりnチャネルMISFETのドレイン領域607とキャパシタの下部電極613とを直接接続している。したがって、図21に示すスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおけるキャパシタは、不純物がドープされたSiからなるプラグ610および不純物がドープされたSi膜611が金属であると考えると、単純なMFM構造と考えることが可能である。しかしながら、この場合、M部と考えている、不純物がドープされたSi膜611と下部電極613とを直接接触させると、Siの拡散の問題が生じる。したがって、FET型FeRAMと同様に、この場合も、上述のように、良質なバッファ層612がどうしても要望される。この結果、スタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、不純物がドープされたSiをM部とする良質のMFIM構造が要望されることになる。
【0017】
しかしながら、これまで、この非常に重要であるSi上の良好なバッファ層は見い出されていない。一般にSiと格子整合する材料としては、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム(CeO2 )、α型アルミナ(a−Al2 3 )、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)およびマグネシウム・アルミニウム・スピネル(MgAl2 4 )が知られている。この中で、拡散による問題やその上へのペロブスカイト型酸化物のエピタキシャル成長の可能性が高いのがCeO2 とMgAl2 4 である。ところが、この両者には一長一短がある。図22に両者の格子定数の温度依存性を示す。
【0018】
図22から、格子整合の観点からは断然、CeO2 の方がバッファ層の材料として有利であることがわかる。しかしながら、格子整合した場合の結晶学的積層構造に関しては、図23および図24に示すように、MgAl2 4 では、その上へのペロブスカイト型酸化物の成長が非常に容易であるが、CeO2 に関しては大きな技術上の壁が存在していた。
【0019】
すなわち、従来は、Si(100)上でもCeO2 (100)はエピタキシャル成長せず、CeO2 (110)がエピタキシャル成長すると多くの論文で報告されている。これらの論文のうちCeO2 に関係するもののほとんどが、CeO2 (110)/Si(100)構造しか得られないという結果を示している。
【0020】
しかしながら、本発明者は、CeO2 (100)/Si(100)の高配向膜をMOCVD(有機金属化学気相成長)法で作製することに成功した。その結果を図25のX線回折パターンに示す。図25において、わずかに他の結晶面からの回折が認められるが、(100)配向が非常に強いことが理解される。この研究内容については、すでに報告されている((21)3rd TIT International Symposium on Oxide Electronics(Yokohama,Dec.18-20,1996) 、(22)特願平8−337241号)。
【0021】
したがって、本発明者の知見によれば、CeO2 (100)/Si(100)の実現に技術的な障害はほとんど存在しないと言える。この結果、図26に示すように、CeO2 (100)上にペロブスカイト型のABO3 (100)を結晶学的に完全にエピタキシャル成長させることが可能となった。
【0022】
このような背景から、特願平8−336158号において本発明者が提案したCeO2 (100)/Si(100)構造およびその製造方法が重要になる。この技術は、図18に示すMFIS構造のFET型FeRAMや図21に示すスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMなどにおいて、十分に活かされるはずである。
【0023】
次に、上部電極についてであるが、一般には強誘電体に対する電極としてPt電極が知られている(例えば、(23)J. Appl. Phys.,70,382-388(1991))。このPt電極を用いたFeRAMの代表例に、PZT薄膜を一対のPt電極間にはさんだ構造を有するFeRAMがあるが、Pt電極のはがれが起きやすかったり、経時変化を示すいわゆるファティーグ特性が悪いものが多かった。これは、Pt電極との界面の近傍におけるPZT薄膜の酸素欠損や、PZTの自発分極値が大きいこと、すなわち格子変位量が大きいことに由来する結合力の疲労などの因子が複雑に絡んで起こるものと考えられている(例えば、(24)J. Appl. Phys.,70,382-388(1991))。
【0024】
最近、上述のファティーグ特性を改善するために、ビスマス(Bi)系層状強誘電性酸化物薄膜を強誘電体薄膜に用いたFeRAMが提案されている(例えば、(25)国際公開番号WO93/12538、(26)国際公開番号WO93/12542)。
【0025】
しかしながら、このBi系層状強誘電体材料は、強誘電体で最も重要な自発分極値を大きくすることができない(例えば、PZTでは40μC/cm2 以上の自発分極値を容易に得ることができるが、Bi系層状強誘電体では15μC/cm2 程度の自発分極値しか得ることができない)とか、層状物質であることにより異方性が大きく、デバイス設計において難しい問題を残す可能性が高いなどの問題がある。このため、既存のPZTを使いこなす方向での研究開発がなされている。その一つが、導電性酸化物からなる電極の使用である。
【0026】
すなわち、例えば、FeRAM用の電極として、SrRuO3 電極に関して多くの研究がなされている((27)Science,258,1766-1769(1992) 、(28)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,310,145-150(1993)、(29)Appl. Phys. Lett.,63,2570-2572(1993)、(30)Mater. Res. Soc. Symp. Proc., 341,229-240 (1993)、(31)E6.8, MRS Fall Meeting at Boston (Nov.28,1995)、(32)Appl. Phys. Lett., 66, 2197-2199 (1995))。
【0027】
また、同じくFeRAM用の電極として、LaSrCoO3 電極についても多くの研究がなされている((33)Appl. Phys. Lett.,63,3592-3594(1993)、(34)Appl. Phys. Lett.,64,1588-1590(1994)、(35)Appl. Phys. Lett.,64,2511-2513(1994)、(36)Appl. Phys. Lett.,66,1337-1339(1995)) 。
【0028】
さらに、同じくFeRAM用の電極として、YBCO相やLSCO相などの超伝導酸化物電極についても多くの研究がなされている((37)Science,252,944-946(1991) 、(38)Appl. Phys. Lett.,61,1537-1539(1992)、(39)Appl. Phys. Lett.,63,27-29(1993)、(40)Appl. Phys. Lett.,63,30-32(1993)、(41)J. Am. Ceram. Soc.,76,3141-3143(1993) 、(42)Appl. Phys. Lett.,64,1050-1052(1994)、(43)Appl. Phys. Lett.,64,3646-3648(1994)、(44)Appl. Phys. Lett.,66,2493-2495(1995)、(45)Appl. Phys. Lett.,64,3181-3183(1994)、(46)Appl. Phys. Lett.,66,2069-2071(1995)、(47)Appl. Phys. Lett.,67,554-556(1995)、(48)J. Appl. Phys.,77,6466-6471(1995) 、(49)J. Appl. Phys.,78,4591-4595(1995) 、(50)5th Int. Supercond. Ele.Conf./ISEC'95(Sept.18-21,Nagoya,Japan)(1995)pp.246-248、(51)Jpn. J. Appl. Phys.,33,5182-5186(1994)、(52)Physica C,235-240,739-740(1994) 、(53)Appl. Phys. Lett.,66,299-301(1995)、(54)Appl. Phys. Lett.,66,1172-1174(1995)、(55)Appl. Phys. Lett.,67,58-60(1995)) 。
【0029】
特に、電極材料として、強誘電体層と同じペロブスカイト関連構造を有する導電性酸化物を使用すれば、残留分極値の向上(例えば、(56)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,401,139-149(1996)) だけでなく、ファティーグ特性の回復および向上も図ることができることが報告されている(例えば、(57)Jpn. J. Appl. Phys.,33,5207(1994))。
【0030】
しかしながら、上述のFeRAMや酸化物超伝導デバイス、さらにはLiNbO3 、LiTaO3 、KTa1-x Nbx 3 などを用いた酸化物光学素子などのこれまでの研究開発(例えば、(58)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,341,253(1994)、(59)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,341,265(1994))では、それらの基板に関する考察がほとんどなされておらず、問題があった。実際、例えば従来のFeRAMにおいては、Si基板上に成膜されたホウ素リンシリケートガラス(BPSG)膜上に下部電極層を成膜し、その上に強誘電体層を成膜しているが、この方法では、下部電極層が多結晶となり、したがってその上に成膜される強誘電体層も多結晶となるため、この強誘電体層の結晶粒の高密度化に伴う、いわゆるサイズ効果、すなわち分極値の低下などを引き起こすことが懸念される。さらに、酸化物光学素子は、これまではほとんど単体のものであり、シリコン基板上に成長された膜を用いたものに関しては、ほとんど知られていないのが現状である。
【0031】
このような背景の下に、本発明者は先に、Si基板上に酸化物薄膜を積層させた酸化物積層構造およびこれを用いたFeRAMについて提案した(文献(15)〜(20)) 。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者の知見によれば、これまでに提案されたFeRAM、さらには、酸化物超伝導デバイスなどの電子素子や、酸化物光変調素子などの酸化物光学素子は、その構造の最適化に関しては、まだ十分とは言えない状況にある。
【0033】
特に、これらのデバイスの構築のためには、Si基板に格子整合した膜、より好適にはエピタキシャル膜によりデバイスを構成するのが最もよいが、そのためには、通常、原子層成長法による成長法が用いられる。その最有力候補が、分子線エピタキシー(MBE)法、反応性蒸着法あるいはレーザアブレーション法(これはパルスレーザデポジション法またはレーザMBE法と呼ばれることもある)である。
【0034】
したがって、この発明の目的は、強誘電体不揮発性メモリのほか、酸化物超伝導デバイスなどの電子素子や、酸化物光変調素子などの酸化物光学素子を最適構造で実現することができる酸化物積層構造およびそのような酸化物積層構造を容易に製造することができる酸化物積層構造の製造方法を提供することにある。
【0035】
この発明の他の目的は、最適構造で実現することができる強誘電体不揮発性メモリを提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記目的を達成すべく、強誘電体不揮発性メモリ、酸化物超伝導デバイスなどの酸化物電子素子や酸化物光変調素子などの酸化物光学素子の実現に最適な材料系などについて詳細な検討を行った。以下にその概要を述べる。
【0037】
まず、基板としては、半導体メモリの基本的材料であり、また、安価かつ入手容易で結晶性にも優れた単結晶のシリコン基板が選択される。
【0038】
次に、バッファ層の酸化物材料としては、蛍石型結晶構造を有する酸化セリウム(CeO2 )が選択される。これは次のような理由による。すなわち、強誘電性酸化物薄膜をシリコン基板上に直接エピタキシャル成長させることは一般には難しい。そこで、シリコン基板上にまず、このシリコン基板と格子整合する材料からなるバッファ層をエピタキシャル成長させ、その上にこのバッファ層と格子整合する強誘電性酸化物薄膜をエピタキシャル成長させることを考えなくてはならない。したがって、ここで使われるバッファ層は、その上に導電性酸化物薄膜をエピタキシャル成長させることができるものである必要がある。このような構造を構築するには、最低でもバッファー層として酸化物からなるものが好ましい。これらの条件を満たす酸化物として、酸化セリウム(CeO2 )と、マグネシウム・アルミニウム・スピネル(MgAl2 4 )との二種類が挙げられるが、すでに述べた通り、後者は拡散によってシリコンとの界面を劣化させるので、FET型FeRAMには不向きであると推察できる。また、図22に示したCeO2 の格子定数の温度依存性から、CeO2 がバッファ層の材料として最も優れているという結論が得られる。また、成膜の観点からも、CeO2 は金属元素が一種であることから、二種類の金属元素を用いるMgAl2 4 に比べて現実的に容易かつ有利であることが明らかである。
【0039】
次に、CeO2 からなるバッファ層上に積層される強誘電性酸化物薄膜材料に関しては、格子定数がCeO2 の格子定数に近いこと、ペロブスカイト関連結晶構造を有していること、誘電率が高い、あるいは強誘電性に優れていること、そして、現実的な問題ではあるが、下地であるCeO2 からなるバッファ層との間で拡散の問題が生じないこと、の四点を満足する必要がある。これに関しては、多くのペロブスカイト型誘電性酸化物ABO3 がこれらの諸条件を満足し得ると考えられる。このことは上述の通りである。
【0040】
特に、シリコン上に基本結晶学的積層配置ABO3 (001)/CeO2 (100)/Si(100)を実現し得ることは、後述するいくつかの種類のFeRAMに十分適合するものであるだけでなく、これによって、多くの利点が得られる。
【0041】
さらに、ABO3 (001)/CeO2 (100)の界面を良好なものにすることが、電気的に問題となるトラップを生じさせないためにも必要であるという観点から、これらの界面に、第2のバッファ層として、同じペロブスカイト型結晶構造を有し、しかもBサイトがCeで占められている物質、すなわちRCeO3 (R=Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)を形成すれば、良好な界面を形成することができるはずである。これは格子整合の観点からも元素拡散の観点からも支持される材料設計である。このようなより改善されたSi上の基本結晶学的積層配置はABO3 (001)/RCeO3 (001)/CeO2 (100)/Si(100)となる。この積層配置は、CeO2 からなるバッファ層の最表面に最初に堆積させる元素をR原子とすることにより実現することができる。その際、あまりR原子のみを堆積させすぎないことが肝要であり、また、適度な基板温度あるいは熱処理温度により、Ce原子の拡散を促進させることも重要である。
【0042】
この発明は、本発明者による上記考察に基づいて、案出されたものである。
【0043】
すなわち、上記目的を達成するために、この発明の第1の発明による酸化物積層構造は、
シリコン基板と、
シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層と、
バッファ層上の、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜と
を有することを特徴とするものである。
【0044】
この発明の第1の発明において、好適には、バッファ層と強誘電性酸化物薄膜との間に(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1)または(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg)CeO3 ((ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg=1)からなるもう一つのバッファ層が存在する。
【0045】
この発明の第2の発明による酸化物積層構造の製造方法は、
シリコン基板上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有する第1のバッファ層を成長させる工程と、
第1のバッファ層上に、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1)からなる第2のバッファ層を成長させる工程と、
第2のバッファ層上に、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜を成長させる工程と
を有することを特徴とするものである。
【0046】
この発明の第3の発明による酸化物積層構造の製造方法は、
シリコン基板上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有する第1のバッファ層を成長させる工程と、
第1のバッファ層上に、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜を成長させるとともに、バッファ層と強誘電性酸化物薄膜との間にバッファ層および強誘電性酸化物薄膜からの構成元素の拡散により(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg)CeO3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg=1)からなる第2のバッファ層を成長させる工程と
を有することを特徴とするものである。
【0047】
この発明の第4の発明は、
電界効果トランジスタからなるメモリセルを有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
シリコン基板と、
シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層と、
バッファ層上の、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜と、
上記強誘電性酸化物薄膜上の電極と
を有することを特徴とするものである。
【0048】
この発明の第5の発明は、
1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルをシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
キャパシタが、強誘電性酸化物薄膜とこの強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極とからなる
ことを特徴とするものである。
【0049】
この発明の第6の発明は、
1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルをシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
キャパシタが、
シリコン基板と、
シリコン基板上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層を介して積層された、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜と、
強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極と
からなることを特徴とするものである。
【0050】
この発明の第7の発明は、
1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルをシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
電界効果トランジスタのドレイン領域上に設けられた単結晶シリコンからなるプラグ上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層を介して積層された、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜と、
強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極と
からなることを特徴とするものである。
【0051】
この発明の第8の発明は、
1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルをシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
キャパシタが、
電界効果トランジスタ上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層を介して積層された、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなる強誘電性酸化物薄膜と、
強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極と
からなることを特徴とするものである。
【0052】
この発明において、好適には、シリコン基板上に直接積層されるバッファ層はシリコン基板とほぼ格子整合し、強誘電性酸化物薄膜はバッファ層とほぼ格子整合している。これらのバッファ層および強誘電性酸化物薄膜は、好適には、シリコン基板上にエピタキシャル成長されたものである。また、好適には、シリコン基板は(100)面方位を有し、バッファ層は(100)面方位を有し、強誘電性酸化物薄膜は(001)面方位を有する。シリコン基板とバッファ層との間には厚さが20nm以下、典型的には厚さが数nm〜十数nmのアモルファス層が存在することもある。
【0053】
この発明において、バッファ層と強誘電性酸化物薄膜との間に(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO3 または(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg)CeO3 からなるもう一つのバッファ層が存在する場合、シリコン基板上に直接積層されるバッファ層はシリコン基板とほぼ格子整合し、もう一つのバッファ層はそのバッファ層と格子整合し、強誘電性酸化物薄膜はもう一つのバッファ層とほぼ格子整合している。また、好適には、これらのバッファ層、もう一つのバッファ層および強誘電性酸化物薄膜はシリコン基板上にエピタキシャル成長されたものである。また、典型的には、シリコン基板は(100)面方位を有し、バッファ層は(100)面方位を有し、もう一つのバッファ層は(001)面方位を有し、強誘電性酸化物薄膜は(001)面方位を有する。
【0054】
この発明において、典型的には、強誘電性酸化物薄膜上に金属薄膜または導電性酸化物薄膜が電極として設けられている。この場合、電極を構成する金属薄膜または導電性酸化物薄膜はエピタキシャル成長されたものである。
【0055】
この発明において、強誘電性酸化物薄膜は二種類以上の強誘電性酸化物薄膜からなる強誘電性酸化物超格子であってもよいし、二種類以上の強誘電性酸化物薄膜の積層構造を有するものであってもよい。
【0056】
この発明においては、必要に応じて、バッファ層とシリコン基板および/または強誘電性酸化物薄膜との格子整合やバッファ層中の酸素量の調整などの目的でバッファ層に微量のZrO2 を固溶させてもよい。
【0057】
ここで、上述の記述における( ,・・・, )は、括弧内に列挙された複数の元素からなる群より選ばれた一種類の元素または括弧内に列挙された複数の元素からなる群より選ばれた二種類以上の元素を固溶させたものを意味する。後者のように二種類以上の元素を固溶させる場合、これらの元素の組成比の合計は1である。例えば、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg)は、Ba,Sr,Ca,Pb,Mgからなる群より選ばれた一種類の元素またはBa,Sr,Ca,Pb,Mgからなる群より選ばれた二種類以上の元素を固溶させたものを意味し、後者の場合、Ba,Sr,Ca,Pb,Mgの組成比の合計は1であり、これをBa+Sr+Ca+Pb+Mg=1と略記した。
【0058】
次に、この発明における強誘電体不揮発性メモリの電極の材料について説明する。すでに述べたように、従来は、白金電極が多用されてきたが、加工性に問題があるため、酸化物電極が好ましい。この酸化物電極の材料については、ペロブスカイト型結晶構造を有する酸化物には多くの導電性酸化物群があり、これら全てがその候補と言える。これらの導電性酸化物のうち、一般式ABO3 で表される単純ペロブスカイト型酸化物の具体例を挙げると、下記の通りである。
【0059】
【化1】
Figure 0003994468
【0060】
【化2】
Figure 0003994468
【0061】
【化3】
Figure 0003994468
【0062】
【化4】
Figure 0003994468
【0063】
【化5】
Figure 0003994468
【0064】
【化6】
Figure 0003994468
【0065】
【化7】
Figure 0003994468
【0066】
また、導電性酸化物のうち層状ペロブスカイト型酸化物としては、
【0067】
【化8】
Figure 0003994468
【0068】
が挙げられる。その具体例をいくつか挙げると、SrRuO3 、SrIrO3 、Sr2 RuO4 、Sr2 IrO4 などである。
【0069】
層状ペロブスカイト型酸化物としては、これらのほかに例えばBa2 RuO4 などもある。
【0070】
電極材料としては、上に挙げたもののほかに、いわゆる高温超伝導酸化物も候補と考えられる。その具体例をいくつか挙げると、下記の通りである。
【0071】
【化9】
Figure 0003994468
【0072】
【化10】
Figure 0003994468
【0073】
【化11】
Figure 0003994468
【0074】
【化12】
Figure 0003994468
【0075】
【化13】
Figure 0003994468
【0076】
このように、電極材料としては実に多くの候補があるが、このうち特に興味深いのは、その非拡散性によるSr−Ru(Ir)−O系および超伝導酸化物群である。前者では、SrRuO3 、Sr2 RuO4 、SrIrO3 、Sr2 IrO4 などがそのペロブスカイト型結晶構造のコヒーレンシーを維持し、拡散も少ないことから最良の電極材料の一つである。後者の超伝導酸化物を電極として使用した場合、動作温度が超伝導転移温度以下であればサイズ効果を少なくし得るという報告もあり、今後に期待がもてる材料である((60)Phys. Solid State,36,1778-1781(1994)) 。
【0077】
特に、(Nd1-x Cex 2 CuO4-d 、すなわちいわゆるT´相は、本発明者らによって、Nd2 CuO4 からなる母体材料へのCe固溶と酸素欠陥との導入により超伝導になることが発見された物質でもあり(例えば、(61)特開平02−212302号公報、(62)第44回日本物理学会年会(平塚市)、1989年3月31日、31a−PS−101)、このような高真空を要するデバイスプロセスには好適な材料系である。
【0078】
上述のように構成された、この発明による酸化物積層構造によれば、バッファ層、必要に応じてもう第2のバッファ層および強誘電性酸化物薄膜の全てをシリコン基板とほぼ格子整合させることができる。この場合、第2のバッファ層は、第1のバッファ層と強誘電性酸化物薄膜との結晶学的コヒーレンシーを維持しつつ、結晶欠陥をなくすことにより、電気的なトラップを消滅させる働きがある。さらに、強誘電性酸化物薄膜上に導電性酸化物薄膜を電極として積層する場合、この導電性酸化物薄膜の強誘電性酸化物薄膜に対する密着性及び結晶学的コヒーレンシーは良好であるので、はがれの問題や、空間電荷層などに由来すると考えられている疲労(ファティーグ)の問題はない。このことは、強誘電体不揮発性メモリだけでなく、シリコン上へ構築される超伝導デバイスや光学デバイスなどにも同様に言える。
【0079】
上述のように構成された、この発明による酸化物積層構造の製造方法によれば、バッファ層、必要に応じてもう第2のバッファ層および強誘電性酸化物薄膜の全てがシリコン基板とほぼ格子整合した上述のような酸化物積層構造を製造することができる。この場合、強誘電性酸化物薄膜の成長時の熱処理プロセスを利用することにより、第2のバッファ層を元素拡散により強誘電性酸化物薄膜の成長と同時に成長させることができる。
【0080】
上述のように構成された、この発明による強誘電体不揮発性メモリによれば、上述のような最適化された酸化物積層構造をゲートおよびチャネル部またはキャパシタ部に利用することにより、最適な構造で強誘電体不揮発性メモリを実現することができる。
【0081】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。図1はこの発明の第1の実施形態によるプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【0082】
図1に示すように、このプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、(100)面方位を有するn型Si基板1中にpウエル2が設けられている。pウエル2の表面には、(100)面方位を有するCeO2 膜からなるフィールド絶縁膜3が選択的に設けられ、これによって素子間分離が行われている。フィールド絶縁膜3で囲まれた部分におけるpウエル2の表面にはSiO2 膜からなるゲート絶縁膜4が設けられている。ゲート絶縁膜4上に、不純物がドープされた多結晶Si膜からなるゲート電極5が設けられている。ゲート電極5の両側の部分におけるpウエル2中にはn+ 型のソース領域6およびドレイン領域7が設けられている。ゲート電極5、ソース領域6およびドレイン領域7によりnチャネルMISFETが形成されている。フィールド絶縁膜3上には、(001)面方位を有するABO3 型結晶構造の強誘電体薄膜8が積層されている。この強誘電体薄膜8の平坦な表面上の一端部および他端部にそれぞれ電極9、10が設けられている。これらの電極9、10の材料としてはPtなどの金属または導電性酸化物が用いられる。これらの強誘電体薄膜8および電極9、10によりキャパシタが形成されている。これらのnチャネルMISFETおよびキャパシタは例えばSiO2 膜からなる層間絶縁膜11により覆われている。nチャネルMISFETのドレイン領域7の上側の部分におけるゲート絶縁膜4および層間絶縁膜11にはコンタクトホール12が設けられている。このコンタクトホール12の部分におけるドレイン領域7上には不純物がドープされた多結晶SiまたはWからなるプラグ13が設けられている。このプラグ13は、電極9の上側の部分における層間絶縁膜11に設けられたコンタクトホール14を介して金属配線15により電極9と接続されている。電極10の上側の部分における層間絶縁膜11にはコンタクトホール16が設けられ、このコンタクトホール16を通じて金属配線17が電極10と接続されている。この場合、キャパシタ部におけるフィールド絶縁膜3および強誘電体薄膜8は単結晶Siからなるpウエル2上にエピタキシャル成長されたものである。
【0083】
強誘電体薄膜8としては、一般には、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)薄膜が用いられる。ここで、後述のサイズ効果をなくすとともに、より強い強誘電性を発現させる観点からは、この強誘電体薄膜8として強誘電性単結晶人工超格子を用いるのか好ましい。この強誘電性単結晶人工超格子の一例を挙げると、[(BaTiO3 n (PbTiO3 m ]薄膜である。
【0084】
電極9、10の材料としては、Ptなどの金属を用いてもよいが、好適には導電性酸化物が用いられる。この導電性酸化物の具体例をいくつか挙げると、SrRuO3 、(SrCa)RuO3 、Sr2 RuO4 などである。これらの導電性酸化物の比抵抗値は100〜300μΩ・cmであ、電極9、10の材料として用いるのに全く問題のない値である。
【0085】
CeO2 膜からなるフィールド絶縁膜3と強誘電体薄膜8との膜厚比は、このFeRAMの使い方にもよるが、基本的には制限はない。ただし、これは、駆動電圧や所望のゲート部容量や、強誘電体薄膜8の部分への実効電界を考えたときの両者の誘電率比などによって大きく左右される。
【0086】
この第1の実施形態においては、キャパシタの強誘電体薄膜8の上に電極9、10が互いに分離して設けられていることが特徴的である。動作時にこれらの電極9、10間に電圧が印加された場合、強誘電体薄膜8内にはその面にほぼ平行な方向に電界が発生し、圧電振動が生じる。本発明者の知見によれば、このような電極配置でも強誘電体薄膜8に十分な分極を生じさせることができ、支障なく動作させることが可能である。
【0087】
次に、上述のように構成されたこの第1の実施形態によるプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMの製造方法について説明する。
【0088】
図1に示すように、まず、(100)面方位を有するn型Si基板1中にpウエル2を形成した後、このpウエル2の表面に例えば熱酸化法によりSiO2 膜からなるゲート絶縁膜3を形成する。次に、素子間分離領域となる部分におけるゲート絶縁膜3をエッチング除去し、さらにこの部分のpウエル2の上部を所定深さだけエッチング除去する。
【0089】
次に、例えば有機金属化学気相成長(MOCVD)法により、全面にCeO2 膜を成長させる。この場合、露出しているpウエル2上には、(100)面方位を有するCeO2 膜がエピタキシャル成長する。この後、FET形成領域におけるこのCeO2 膜をエッチング除去する。これによって、フィールド絶縁膜3が形成される。なお、MOCVD法によるCeO2 膜の具体的な成長方法の一例について説明すると、ホットウォール型反応容器を用い、有機金属化合物原料であるCe(DPM)4 (これはCe(thd)4 と略記されることがある。DPMはジピバロイルメタン、thdは2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオンを意味する。)をCe原料として用いる。キャリアガスとしてはアルゴン(Ar)と酸素(O2 )との混合ガスを用いる。反応容器は通常、10Torr以下に減圧される。このMOCVD法によるCeO2 薄膜のエピタキシャル成長においては、成長時の基板温度が700℃を超えると、その上にエピタキシャル成長されるCeO2 薄膜の面方位は徐々に(100)ではなくなり、(111)面方位のCeO2 薄膜が成長するようになる。したがって、成長時の基板温度は、700℃以下が好ましい。一方、基板温度が600℃を下回ると、その上に成長するCeO2 薄膜の結晶性が著しく悪化するので、上述のように基板温度は600〜700℃の範囲が最適である。このようにして成長されるCeO2 膜の膜厚は30〜100nmの程度である。
【0090】
次に、例えばCVD法により全面に多結晶Si膜を形成し、この多結晶Si膜に不純物をドープして抵抗化した後、この多結晶Si膜をエッチングにより所定形状にパターニングする。これによって、ゲート電極5が形成される。次に、このゲート電極5をマスクとしてpウエル2中にn型不純物をイオン注入することによりソース領域6およびドレイン領域7を形成する。
【0091】
次に、全面に強誘電体薄膜8を成長させる。この場合、フィールド絶縁膜3上の部分におけるこの強誘電体薄膜8はエピタキシャル成長する。この後、この強誘電体薄膜8をエッチングにより所定形状にパターニングする。
【0092】
強誘電体薄膜8の成長には、MOCVD法、分子線エピタキシー(MBE)法、反応性蒸着法、スパッタリング法、レーザアブレーション法などを用いることができる。このうち反応性蒸着法は、抵抗加熱および電子ビーム加熱の併用により基板付近に酸化力の強いオゾンや活性酸素ガスなどの雰囲気を作って蒸着を行う蒸着法の一種であり、活性化反応性蒸着法とも呼ばれる(例えば、(63)日本セラミックス学会誌、第98巻、749-753(1990))。この反応性蒸着法やレーザアブレーション法などの高真空を用いる成膜時には、1単位胞毎の原子レベルでの膜厚制御が、いわゆるRHEED(反射高速電子回折)振動をモニタすることにより可能である。
【0093】
強誘電体薄膜8として強誘電性単結晶人工超格子[(BaTiO3 n (PbTiO3 m ]薄膜を用いる場合、その成長は例えばMBE法により次のようにして行うことができる。すなわち、MBE装置の超高真空容器において、電子ビームガンによるTiの蒸発源とクヌーセンセル(Kセル)によるBaおよびPbの蒸発源を用意する。そして、この超高真空容器内にO2 ガスを制御性よく導入し、全圧を10-4Torr程度に保持して、電子ビームガンで常時Tiを蒸発させながら、PbおよびBaのKセルのシャッターを交互に制御して、RHEED振動を検出し、フィードバックさせながら成長を行う。この際、得られた膜は(001)面方位にエピタキシャル成長している。この成長時の基板温度は、例えば500〜900℃の範囲であるが、より良質な膜を得るには、700℃以上が好ましい。ただし、後述のように、RCeO3 膜からなる第2のバッファ層を形成するためにポストアニールを施す場合には、基板温度を500〜700℃の範囲に抑制してもなんら問題とならない。
【0094】
次に、全面に例えば導電性酸化物薄膜を成長させる。この場合、強誘電体薄膜8上の部分においては、この導電性酸化物薄膜はエピタキシャル成長する。この場合、例えば導電性酸化物としてSrRuO3 を用いると、これは元来斜方晶であるが、エピタキシャル成長時にはその結晶構造がペロブスカイト類似構造からペロブスカイト構造となって成長する。この際の結晶方位は(100)である。導電性酸化物としてSr2 RuO4 を用いた場合には、その結晶方位は(001)である。この導電性酸化物薄膜の成長には、MBE法、MOCVD法、反応性蒸着法、スパッタリング法、レーザアブレーション法などを用いることができる。次に、この導電性酸化物薄膜をエッチングにより所定形状にパターニングして電極9、10を形成する。ここで、これらの電極9、10を形成する導電性酸化物薄膜を強誘電体薄膜8上にエピタキシャル成長させることにより、この導電性酸化物薄膜の強誘電体薄膜8との界面に酸素欠陥によるファティーグ減少を防止することができる。
【0095】
次に、例えばCVD法により全面にSiO2 膜のような層間絶縁膜11を形成した後、この層間絶縁膜11およびゲート絶縁膜4の所定部分をエッチング除去してコンタクトホール12を形成する。次に、例えばCVD法によりコンタクトホール12の部分におけるドレイン領域7上に多結晶SiまたはWを成長させてプラグ13を形成する。プラグ13を多結晶Siにより形成する場合には、プラグ13の形成後に例えばn型不純物をイオン注入法によりドープして低抵抗化する。次に、層間絶縁膜11の所定部分をエッチング除去してコンタクトホール14、16を形成する。次に、例えばスパッタリング法や真空蒸着法により全面に例えばAl膜のような金属膜を形成した後、この金属膜をエッチングにより所定形状にパターニングして金属配線15、17を形成する。
【0096】
ここで、FeRAMにおける強誘電体薄膜の厚さが減少したときのリーク電流(あるいは絶縁破壊)およびいわゆるサイズ効果の問題について論じておく。
【0097】
リーク電流を防止するため、電極間にはさまれた強誘電体薄膜には、その厚さ方向に10個以上の結晶粒が存在するようにすることが望まれている。これは、電極間に入っている結晶粒の数が少なくなると、リーク電流が著しく増大するためである。このときの強誘電体薄膜(厚さ1μm程度)の様子を図2に模式的に示し、そのときのFeRAMの電流−電圧(I−V)特性を図3に示す。
【0098】
厚さが100nm程度に減少したときの強誘電体薄膜の様子を図4に模式的に示す。このとき、この強誘電体薄膜の厚さ方向に存在する結晶粒の数は10よりも少ない。このときのFeRAMのI−V特性を図5に示す。図5を図3と比較すると明らかなように、電極間に入っている結晶粒の数が10よりも少ないときのリーク電流は、電極間に入っている結晶粒の数が10個以上であるときのリーク電流よりも多くなっている。
【0099】
厚さがさらに減少して50nm以下になったときの強誘電体薄膜の様子を図6に模式的に示す。このとき、この強誘電体薄膜は単結晶である。このときのFeRAMのI−V特性を図7に示す。図7を図3および図5と比較すると明らかなように、強誘電体薄膜が単結晶であるときのリーク電流は、強誘電体薄膜が多結晶であるときのリーク電流に比べて大幅に減少している。
【0100】
次に、強誘電体のサイズ効果について説明する。このサイズ効果とは、強誘電体薄膜の厚さを減少させたとき、この強誘電体薄膜は強誘電性を保持することができるか、というものである。これは、室温で正方晶(強誘電性)が安定である物質の粒径が非常に小さくなると、ある値を境にしてそれ以下の粒径で急に立方晶に変化して強誘電性を失う現象で、従来はもっぱら微粒子に対して議論されてきた。つまり、三次元的なサイズ縮小による物性変化と言える。このサイズ効果は、具体的には、例えばBaTiO3 多結晶薄膜の場合は0.1μm以下である。PZT多結晶薄膜の場合も、同様な結果が得られている。
【0101】
以上のようなリーク電流およびサイズ効果の問題を考慮すると、この第1の実施形態において強誘電体薄膜8として[(BaTiO3 n (PbTiO3 m ]薄膜のような強誘電性単結晶人工超格子を用いることは、強誘電体薄膜の厚さが100〜200nm程度に減少したときに有利になると考えられる。
【0102】
この第1の実施形態によれば、キャパシタ部にSi(100)上の酸化物積層構造を用いていることにより、構造の最適化を図ることができる。また、キャパシタの強誘電体薄膜8上に電極9、10が互いに対向して設けられていることにより、次のような利点を得ることができる。すなわち、強誘電体薄膜8上に電極9、10が設けられていることにより、従来の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおけるようにSi上に強誘電体薄膜を設ける場合に生ずる拡散の問題を回避することができ、また、バリアメタルの成膜工程をなくすことができる。さらに、一般に、FeRAMにおいては、動作時に圧電による振動応力が生じるため、これがFETに悪影響を与えて誤動作の原因となる可能性があり、特に、これはスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおけるようにキャパシタがFETの近傍に配置される場合には問題を生じやすいと考えられる。これに対し、この第1の実施形態によれば、強誘電体薄膜8上に電極9、10が設けられているため、圧電振動は強誘電体薄膜8の面内方向に生じることから、この圧電振動がFET部に直接悪影響を及ぼすことがない。
【0103】
さらに、強誘電体薄膜8として強誘電性単結晶人工超格子[(BaTiO3 n (PbTiO3 m ]薄膜を用いた場合には、その厚さが減少しても、リーク電流が極めて少なく、また、三次元サイズ効果による強誘電性の劣化を防止することができるだけでなく、従来知られていないような飽和分極値を示す可能性もある。これに関し、格子歪誘起強誘電性の概念のイメージを図8および図9に示す。これは下地格子との格子不整合により導入された2次元圧縮応力によるキュリー点の著しい上昇の結果現われる驚異的な強誘電性が期待されるからである。この物性は一般には下地からの膜厚に依存するため、格子緩和しない範囲での超格子の周期が好適である。
【0104】
以上のように、この第1の実施形態によれば、構造の最適化により、優れた特性を有し、かつ信頼性の高いプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを実現することができる。
【0105】
図10はこの発明の第2の実施形態によるプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【0106】
図2に示すように、この第2の実施形態においては、キャパシタの強誘電体薄膜8の両端部の上部が所定深さだけ除去されて段部が設けられ、これらの段部の底部に電極9、10が設けられている。その他のことは第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0107】
この第2の実施形態によれば、キャパシタの強誘電体薄膜8の両端部の段部の底部に電極9、10が設けられていることにより、動作時にこれらの電極9、10間に電圧が印加された場合、強誘電体薄膜8内に発生する電界をよりその面に平行にすることができ、より大きな分極値を得ることができるという利点を得ることができる。
【0108】
図11はこの発明の第3の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【0109】
図11に示すように、このスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、(100)面方位を有するn型Si基板21中にpウエル22が設けられている。pウエル22の表面には、(100)面方位を有するCeO2 膜からなるフィールド絶縁膜23が選択的に設けられ、これによって素子間分離が行われている。フィールド絶縁膜23で囲まれた部分におけるpウエル22の表面にはSiO2 膜からなるゲート絶縁膜24が設けられている。ゲート絶縁膜24上に、不純物がドープされた多結晶Si膜からなるゲート電極25が設けられている。ゲート電極25の両側の部分におけるpウエル22中にはn+ 型のソース領域26およびドレイン領域27が設けられている。ゲート電極25、ソース領域26およびドレイン領域27によりnチャネルMISFETが形成されている。符号28は例えばSiO2 膜からなる層間絶縁膜を示す。ドレイン領域27の上側の部分におけるゲート絶縁膜24および層間絶縁膜28にはコンタクトホール29が設けられている。このコンタクトホール29の部分におけるドレイン領域27上には、(100)面方位を有するアンドープまたは不純物がドープされた単結晶のSiからなるプラグ30が設けられている。このプラグ30の上に(100)面方位を有する単結晶Si膜31および(100)面方位を有するCeO2 膜からなるバッファ層32を介して(001)面方位を有するABO3 型結晶構造の強誘電体薄膜33が積層されている。この強誘電体薄膜33の平坦な表面上の一端部および他端部にそれぞれ電極34、35が設けられている。これらの強誘電体薄膜28および電極34、35によりキャパシタが形成されている。ここで、このキャパシタの電極34、35の一方は、nチャネルMISFETのドレイン領域27と電気的に接続されている。その他のことは第1の実施形態と同様である。
【0110】
この第3の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを製造するには、第1の実施形態と同様にしてゲート電極25まで形成した後、例えばCVD法により全面に層間絶縁膜28を形成する。次に、この層間絶縁膜28にコンタクトホール29を形成した後、このコンタクトホール29の部分におけるドレイン領域27上に例えばCVD法により単結晶Siをエピタキシャル成長させ、プラグ30を形成する。さらに、このプラグ30上に単結晶Si膜31をエピタキシャル成長させる。次に、この単結晶Si膜31上にバッファ層32を介して強誘電体薄膜33をエピタキシャル成長させ、その上に電極34、35を形成する。
【0111】
この第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な利点を得ることができる。
【0112】
図12はこの発明の第4の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【0113】
図12に示すように、この第4の実施形態においては、キャパシタの強誘電体薄膜8の両端部の上部が所定深さだけ除去されて段部が設けられ、これらの段部の底部に電極34、35が設けられている。その他のことは第3の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0114】
この第4の実施形態によれば、キャパシタの強誘電体薄膜28の両端部の段部の底部に電極34、35が設けられていることにより、動作時にこれらの電極34、35間に電圧が印加された場合、強誘電体薄膜28内に発生する電界をよりその面に平行にすることができ、より大きな分極値を得ることができるという利点を得ることができる。
【0115】
図13はこの発明の第5の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【0116】
図5に示すように、このスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、ゲート電極25の真上の部分における層間絶縁膜28上に、コンタクトホール29の部分におけるドレイン領域27上に設けられた(100)面方位を有する単結晶Siからなるプラグ30と接触して、(100)面方位を有する単結晶Si膜31が積層されている。そして、この単結晶Si膜31上に、(100)面方位を有するCeO2 膜からなるバッファ層32、(001)面方位を有するRCeO3 膜からなるバッファ層36を介して(001)面方位を有するABO3 型結晶構造の強誘電体薄膜33が積層されている。この強誘電体薄膜33の平坦な表面上の一端部および他端部にそれぞれ電極34、35が設けられている。これらの強誘電体薄膜28および電極34、35によりキャパシタが形成されている。この場合、キャパシタ部におけるプラグ30は単結晶Siからなるドレイン領域27上にエピタキシャル成長されたものであり、単結晶Si膜31はプラグ30上にエピタキシャル成長されたものであり、バッファ層32、バッファ層36および強誘電体薄膜33は単結晶Si膜31上にエピタキシャル成長されたものである。その他のことは第3の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0117】
強誘電体薄膜33として例えば強誘電性単結晶人工超格子[(BaTiO3 n (PbTiO3 m ]薄膜を用いる場合、バッファ層36を構成するRCeO3 薄膜としては例えばBaCeO3 薄膜を用いることができる。この場合、このBaCeO3 薄膜は、例えばMBE法により次のようにして成長させることができる。
【0118】
すなわち、第1の手法としては、CeO2 膜上への最初のMBE法による成長をBaTiO3 側から開始することである。これによって、ポストアニールなしに、数ユニット層のBaCeO3 が形成される。第2の手法は、ポストアニールを施し、両層へ相互にCeを拡散させてBaCeO3 を作製する方法である。この際、MBE法による超格子の作製の際の基板温度を拡散可能温度域に保つことで、成長と同時進行の形でBaCeO3 膜を成長させることもできる。当然ながら、MBE法により超格子を形成した後、ポストアニールにより拡散を起こさせてBaCeO3 膜を成長させることも可能である。
【0119】
この第5の実施形態によれば、第3の実施形態と同様な利点を得ることができほか、次のような利点をも得ることができる。すなわち、CeO2 膜からなるバッファ層32と強誘電体薄膜33との間にRCeO3 膜、例えばBaCeO3 膜が形成されていることにより、界面における格子欠陥はほとんどなく、かつ結晶コヒーレンシーに優れ、電気物性におけるトラップ準位も形成されない良質な積層構造を得ることができる。このため、キャパシタの特性の向上を図ることができ、ひいてはFeRAMの特性の向上を図ることができる。さらに、キャパシタがFETの真上に配置されていることにより、メモリセルの占有面積を小さくすることができ、メモリセルの高密度化を図ることができるという利点をも得ることができる。
【0120】
図14はこの発明の第6の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【0121】
図14に示すように、このスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMにおいては、(100)面方位を有するn型Si基板41中にpウエル42が設けられている。pウエル42の表面にはSiO2 膜からなるゲート絶縁膜43が選択的に設けられている。ゲート絶縁膜43上に、不純物がドープされた多結晶Si膜からなるゲート電極44が設けられている。ゲート電極44の両側の部分におけるpウエル42中にはn+ 型のソース領域45およびドレイン領域46が設けられている。ゲート電極44、ソース領域45およびドレイン領域46によりnチャネルMISFETが形成されている。符号47は(100)面方位を有するCeO2 膜からなる層間絶縁膜を示す。この層間絶縁膜47は、ゲート絶縁膜43が設けられていない部分においてpウエル42の表面と接触している。ゲート電極44の真上の部分における層間絶縁膜47上に、(001)面方位を有するRCeO3 膜からなるバッファ層48を介して(001)面方位を有する強誘電体薄膜49が積層されている。この強誘電体薄膜49の平坦な表面上の一端部および他端部にそれぞれ電極50、51が設けられている。これらの強誘電体薄膜49および電極50、51によりキャパシタが形成されている。この場合、層間絶縁膜47、バッファ層48および強誘電体薄膜49は単結晶Siからなるpウエル42上にエピタキシャル成長されたものである。その他のことは第3の実施形態と同様である。
【0122】
この第6の実施形態によれば、第3の実施形態と同様な利点を得ることができほか、第5の実施形態と同様に、キャパシタがFETの真上に配置されていることにより、メモリセルの占有面積を小さくすることができ、メモリセルの高密度化を図ることができるという利点をも得ることができる。
【0123】
図15はこの発明の第7の実施形態によるMFIS構造のFET型FeRAMを示す断面図である。
【0124】
図15に示すように、このFET型FeRAMにおいては、(100)面方位を有する例えばp型のSi基板61上に、(100)面方位を有するCeO2 膜62、(001)面方位を有するRCeO3 膜63および(001)面方位を有するABO3 型結晶構造の強誘電体薄膜64が順次積層されている。ここで、CeO2 膜62は第1のバッファ層を構成し、RCeO3 膜63は第2のバッファ層を構成する。また、これらのSi基板61、CeO2 膜62、RCeO3 膜63および強誘電体薄膜64は相互にほぼ完全に格子整合しており、エピタキシャルな関係を有している。強誘電体薄膜64上には電極65が積層されている。この電極65としては好適には導電性酸化物薄膜が用いられ、この導電性酸化物薄膜は強誘電体薄膜64上にエピタキシャル成長される。この電極65の両側の部分におけるSi基板61中には例えばn+ 型のソース領域66およびドレイン領域67が設けられている。
【0125】
RCeO3 膜63としては、具体的には、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO3 膜が用いられるが、一例を挙げると、BaCeO3 膜である。また、強誘電体薄膜64としては、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)薄膜が用いられるが、一例を挙げると、PbTiO3 膜である。
【0126】
この第7の実施形態によれば、FET部にSi(100)上の酸化物積層構造を用いていることにより、構造の最適化を図ることができる。そして、この構造の最適化により、優れた特性を有し、かつ信頼性の高いFET型FeRAMを実現することができる。
【0127】
以上、この発明の実施形態につき具体的に説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定されるものでなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0128】
例えば、上述の第5および第7の実施形態において、RCeO3 膜からなるバッファ層36としては、SrCeO3 膜を用いてもよい。また、第1〜第7の実施形態において、強誘電体薄膜8、33、49、64としては、例えば、Bi2 SrTa2 9 などのいわゆるBi系層状強誘電体物質からなる薄膜を用いてもよい。さらに、第7の実施形態において、強誘電体薄膜64として、例えば人工超格子[(SrTiO3 n (PbTiO3 m ]薄膜を用いてもよい。この場合、当然のことながら、バルクでの格子定数よりもこのペロブスカイトPbTiO3 (001)膜は十分に格子歪を受けてエピタキシャル成長していることも少なくない。
【0129】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明による酸化物積層構造によれば、シリコン基板と、シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層と、バッファ層上の導電性酸化物薄膜とを有することにより、これを用いて、強誘電体不揮発性メモリのほか、酸化物超伝導デバイスなどの電子素子や、酸化物光変調素子などの酸化物光学素子を最適構造で実現することができる。
【0130】
また、この発明による酸化物積層構造の製造方法によれば、最適化された酸化物積層構造を容易に製造することができる。
【0131】
さらに、この発明による強誘電体不揮発性メモリによれば、上述のような最適化された酸化物積層構造をゲートおよびチャネル部またはキャパシタ部に利用した最適な構造で強誘電体不揮発性メモリを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態によるプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図2】FeRAMにおける強誘電体薄膜の厚さの減少に伴うリーク電流の問題を説明するための断面図である。
【図3】図2に示すFeRAMの電流−電圧特性を示すグラフである。
【図4】FeRAMにおける強誘電体薄膜の厚さの減少に伴うリーク電流の問題を説明するための断面図である。
【図5】図4に示すFeRAMの電流−電圧特性を示すグラフである。
【図6】FeRAMにおける強誘電体薄膜の厚さの減少に伴うリーク電流の問題を説明するための断面図である。
【図7】図6に示すFeRAMの電流−電圧特性を示すグラフである。
【図8】格子歪誘起強誘電性の概念を説明するための略線図である。
【図9】格子歪誘起強誘電性の概念を説明するための略線図である。
【図10】この発明の第2の実施形態によるプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図11】この発明の第3の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図12】この発明の第4の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図13】この発明の第5の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図14】この発明の第6の実施形態によるスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図15】この発明の第7の実施形態によるMFIS構造のFET型FeRAMを示す断面図である。
【図16】従来の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図17】従来のMFS構造のFET型FeRAMを示す断面図である。
【図18】従来のMFIS構造のFET型FeRAMを示す断面図である。
【図19】従来のMFMIS構造のFET型FeRAMを示す断面図である。
【図20】従来のプレーナ型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図21】従来のスタック型の1トランジスタ1キャパシタ型FeRAMを示す断面図である。
【図22】MgAl2 4 およびCeO2 の格子定数の温度依存性をシリコンの格子定数の温度依存性とともに示す略線図である。
【図23】ABO3 /MgAl2 4 /Si(100)の結晶学的積層構造を示す略線図である。
【図24】ABO3 /CeO2 /Si(100)の結晶学的積層構造を示す略線図である。
【図25】(100)Si基板上の(100)CeO2 のX線回折パターンを示す略線図である。
【図26】ABO3 (001)/CeO2 (100)/Si(100)の結晶学的積層構造を示す略線図である。
【符号の説明】
1、21、41・・・n型Si基板、2、22、42・・・pウエル、3、23・・・フィールド絶縁膜、4、24、43・・・ゲート絶縁膜、5、25、44・・・ゲート電極、6、26、45・・・ソース領域、7、27、46・・・ドレイン領域、8、33、49・・・強誘電体薄膜、9、10、34、35、50、51・・・電極、13、30・・・プラグ、31・・・単結晶Si膜、32、36、48・・・バッファ層

Claims (24)

  1. (100)面方位を有するシリコン基板と、
    上記シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層と、
    上記バッファ層上の、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1)からなり、かつ、(001)面方位を有するもう一つのバッファ層と、
    上記もう一つのバッファ層上の、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜と
    を有することを特徴とする酸化物積層構造。
  2. 上記シリコン基板と上記バッファ層との間に厚さが20nm以下のアモルファス層が存在することを特徴とする請求項1記載の酸化物積層構造。
  3. 上記強誘電性酸化物薄膜上に金属薄膜または導電性酸化物薄膜からなる電極が設けられていることを特徴とする請求項1記載の酸化物積層構造。
  4. 上記電極を構成する上記金属薄膜または上記導電性酸化物薄膜は上記強誘電性酸化物薄膜上にエピタキシャル成長されたものであることを特徴とする請求項3記載の酸化物積層構造。
  5. 上記強誘電性酸化物薄膜は二種類以上の上記強誘電性酸化物薄膜からなる強誘電性酸化物超格子であることを特徴とする請求項1記載の酸化物積層構造。
  6. 上記強誘電性酸化物薄膜は二種類以上の上記強誘電性酸化物薄膜の積層構造を有することを特徴とする請求項1記載の酸化物積層構造。
  7. (100)面方位を有するシリコン基板上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有する第1のバッファ層を成長させる工程と、
    上記第1のバッファ層上に、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する第2のバッファ層を成長させる工程と、
    上記第2のバッファ層上に、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO 3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜を成長させる工程と
    を有することを特徴とする酸化物積層構造の製造方法。
  8. (100)面方位を有するシリコン基板上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有する第1のバッファ層を成長させる工程と、
    上記第1のバッファ層上に、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜を成長させる とともに、上記第1のバッファ層と上記強誘電性酸化物薄膜との間に上記第1のバッファ層および上記強誘電性酸化物薄膜からの構成元素の拡散により(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg)CeO 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する第2のバッファ層を成長させる工程と
    を有することを特徴とする酸化物積層構造の製造方法。
  9. 電界効果トランジスタからなるメモリセルを有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
    (100)面方位を有するシリコン基板と、
    上記シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層と、
    上記バッファ層上の、(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)CeO 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1)からなり、かつ、(001)面方位を有するもう一つのバッファ層と、
    上記もう一つのバッファ層上の、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO 3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜と、
    上記強誘電性酸化物薄膜上の電極とを有し、
    上記バッファ層、上記もう一つのバッファ層、上記強誘電性酸化物薄膜および上記電極が上記電界効果トランジスタのゲート部分を構成する
    ことを特徴とする強誘電体不揮発性メモリ。
  10. 1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルを(100)面方位を有するシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
    上記キャパシタが、
    素子分離領域の上記シリコン基板上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層を介して積層された、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO 3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+ Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜と、
    上記強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極と
    からなることを特徴とする強誘電体不揮発性メモリ。
  11. 上記第1の電極および上記第2の電極は上記強誘電性酸化物薄膜の平坦な表面に設けられていることを特徴とする請求項10記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  12. 上記第1の電極および上記第2の電極は上記強誘電性酸化物薄膜の表面に設けられた段部の底部に設けられていることを特徴とする請求項10記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  13. 上記キャパシタは上記電界効果トランジスタのほぼ真上に設けられていることを特徴とする請求項10記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  14. 上記電界効果トランジスタのドレイン領域上に導電材料からなるプラグが設けられ、このプラグと上記キャパシタの上記第1の電極および上記第2の電 極のうちの一方とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項10記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  15. 1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルを(100)面方位を有するシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
    上記キャパシタが、
    上記電界効果トランジスタのドレイン領域上に設けられた単結晶シリコンからなり、かつ、(100)面方位を有するプラグ上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層を介して積層された、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO 3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜と、
    上記強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極と
    からなることを特徴とする強誘電体不揮発性メモリ。
  16. 上記電界効果トランジスタの上記ドレイン領域と上記キャパシタの上記第1の電極および上記第2の電極のうちの一方とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項15記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  17. 上記第1の電極および上記第2の電極は上記強誘電性酸化物薄膜の平坦な表面に設けられていることを特徴とする請求項15記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  18. 上記第1の電極および上記第2の電極は上記強誘電性酸化物薄膜の表面に設けられた段部の底部に設けられていることを特徴とする請求項15記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  19. 上記キャパシタは上記電界効果トランジスタのほぼ真上に設けられていることを特徴とする請求項15記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  20. 1個の電界効果トランジスタと1個のキャパシタとからなるメモリセルを(100)面方位を有するシリコン基板上に有する強誘電体不揮発性メモリにおいて、
    上記キャパシタが、
    上記電界効果トランジスタ上に、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面方位を有するバッファ層を介して積層された、ペロブスカイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO 3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,Hf,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb,W,V)O 3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Hf+Sn+Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+Sb+Bi+Pb+W+V=1)からなり、かつ、(001)面方位を有する強誘電性酸化物薄膜と、
    上記強誘電性酸化物薄膜上に互いに分離して設けられた第1の電極および第2の電極とからなり、
    上記バッファ層が上記シリコン基板と接触する部分を有する
    ことを特徴とする強誘電体不揮発性メモリ。
  21. 上記電界効果トランジスタの上記ドレイン領域と上記キャパシタの上記第1の電極および上記第2の電極のうちの一方とが電気的に接続されていることを特徴とする請求項20記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  22. 上記第1の電極および上記第2の電極は上記強誘電性酸化物薄 膜の平坦な表面に設けられていることを特徴とする請求項20記載の強誘電体不揮発性メモリ。
  23. 上記第1の電極および上記第2の電極は上記強誘電性酸化物薄膜の表面に設けられた段部の底部に設けられていることを特徴とする請求項20記載の強誘電性不揮発性メモリ。
  24. 上記キャパシタは上記電界効果トランジスタのほぼ真上に設けられていることを特徴とする請求項20記載の強誘電体不揮発性メモリ。
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