JPH10182292A - 酸化物積層構造およびその製造方法 - Google Patents

酸化物積層構造およびその製造方法

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JPH10182292A
JPH10182292A JP8336158A JP33615896A JPH10182292A JP H10182292 A JPH10182292 A JP H10182292A JP 8336158 A JP8336158 A JP 8336158A JP 33615896 A JP33615896 A JP 33615896A JP H10182292 A JPH10182292 A JP H10182292A
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thin film
oxide
buffer layer
conductive oxide
laminated structure
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JP8336158A
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English (en)
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Masayuki Suzuki
真之 鈴木
Takaaki Ami
隆明 網
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Sony Corp
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Sony Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 強誘電体不揮発性メモリ、酸化物超伝導デバ
イスなどの電子素子や酸化物光変調素子などの酸化物光
学素子を最適構造で実現可能な酸化物積層構造およびそ
の製造方法を提供する。 【解決手段】 Si基板1上にCeO2 薄膜2を介して
SrRuO3 薄膜3を下部電極として積層した酸化物積
層構造を用い、その上に強誘電体薄膜としてのPZT薄
膜4および上部電極としてのSrRuO3 薄膜5を順次
積層して強誘電体不揮発性メモリを構成する。Si基板
1、CeO2 薄膜2、SrRuO3 薄膜3およびSrR
uO3 薄膜5は(100)面方位、PZT薄膜4は(0
01)面方位を有する。SrRuO3 薄膜3およびSr
RuO3 薄膜5の代わりにそれぞれ、Ceが拡散された
Nd2 CuO4 :Ce薄膜およびNd2 CuO4 薄膜を
用いてもよい。Nd2 CuO4 :Ce薄膜は、例えば、
CeO2 薄膜2上にNd2 CuO4 薄膜を成長させた
後、700〜1150℃で熱処理を行ってCeO2 薄膜
2からそのNd2 CuO4 薄膜にCeを拡散させること
により形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、酸化物積層構造
およびその製造方法に関し、例えば、強誘電体不揮発性
メモリ、酸化物光学素子、酸化物超伝導デバイスなどの
製造に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】酸化物薄膜材料は、1986年に報告さ
れた高温超伝導酸化物に端を発し((1)Z. Phys. B.,64,1
89-193(1986)) 、この数年で驚異的に発展してきている
ことは周知の事実である(例えば、(2)MRS Bulletin,XV
II,No.8,16-54(1992) 、(3)MRSBulletin,XIX,No.9,21-5
5(1994))。
【0003】そのような状況下、1950年代の一時期
に精力的に研究されながら、強誘電体薄膜の界面制御の
難しさなどにより産業に浸透しなかった、強誘電体を用
いたメモリデバイス(例えば、(4)Electrical Engineer
ing,71,916-922(1952)、(5)Bell Labs. Record,33,335-
342(1955))が、最近、強誘電体不揮発性メモリとして新
たに脚光を浴びるようになり、その研究開発が急速に展
開されてきている(例えば、(6)Appl. Phys. Lett.,48,
1439-1440(1986) 、(7) 米国特許第4713157号、
(8)IEDM Tech. Dig.,850-851(1987)、(9)IEEE J. Solid
State Circuits,23,1171-1175(1988)、(10)Tech. Dig.
ISSCC 88,130-131(1988))。この強誘電体不揮発性メモ
リの現状については、詳細に報告されている(例えば、
(11)応用物理、第62巻、第12号、1212-1215(1993) 、(1
2)エレクトロニク・セラミクス、第24巻、7月号、6-10
(1993)、(13)電子材料、第33巻、第8号(1994)(「強誘
電体薄膜の不揮発性メモリへの応用」特集号) 、(14)セ
ラミックス、第27巻、720-727(1992))。
【0004】また、酸化物超伝導デバイス(文献(2) お
よび(3) を参照) は当然のことながら、酸化物非線形光
学素子などの応用についても同様に、近年多くの研究開
発が行われていることは、周知の通りである。
【0005】さて、強誘電体不揮発性メモリとしては、
ペロブスカイト型結晶構造を有する強誘電体酸化物薄膜
を一対の白金(Pt)電極間にはさんだ構造を有するも
のが多く報告されている(例えば、(15)J. Appl. Phy
s.,70,382-388(1991))。その代表例に、PZT薄膜を一
対のPt電極間にはさんだ構造を有する強誘電体不揮発
性メモリがあるが、Pt電極のはがれが起きやすかった
り、経時変化を示すいわゆるファティーグ特性が悪いも
のが多かった。これは、Pt電極との界面の近傍におけ
るPZT薄膜の酸素欠損や、PZTの自発分極値が大き
いこと、すなわち格子変位量が大きいことに由来する結
合力の疲労などの因子が複雑に絡んで起こるものと考え
られている(例えば、(16)J. Appl. Phys.,70,382-388
(1991))。
【0006】最近、上述のファティーグ特性を改善する
ために、ビスマス(Bi)系層状強誘電体酸化物薄膜を
強誘電体薄膜に用いた強誘電体不揮発性メモリが提案さ
れている(例えば、(17)国際公開番号WO93/125
38、(18)国際公開番号WO93/12542)。
【0007】しかしながら、このBi系層状強誘電体酸
化物は、強誘電体で最も重要な自発分極値を大きくする
ことができない(例えば、PZTでは40μC/cm2
以上の自発分極値を容易に得ることができるが、Bi系
層状強誘電体酸化物では15μC/cm2 程度の自発分
極値しか得ることができない)とか、層状物質であるこ
とにより異方性が大きく、デバイス設計において難しい
問題を残す可能性が高いなどの問題がある。このため、
既存のPZTを使いこなす方向での研究開発がなされて
いる。その一つが、導電性酸化物からなる電極の使用で
ある。
【0008】すなわち、例えば、強誘電体不揮発性メモ
リ用の電極として、SrRuO3 電極に関して多くの研
究がなされている((19)Science,258,1766-1769(1992)
、(20)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,310,145-150(19
93)、(21)Appl. Phys. Lett.,63,2570-2572(1993)、(2
2)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,341,229-240(1993)、
(23)E6.8, MRS Fall Meeting at Boston(Nov.28,1995)
、(24)Appl. Phys. Lett.,66,2197-2199(1995))。
【0009】また、同じく強誘電体不揮発性メモリ用の
電極として、LaSrCoO3 電極についても多くの研
究がなされている((25)Appl. Phys. Lett.,63,3592-35
94(1993)、(26)Appl. Phys. Lett.,64,1588-1590(199
4)、(27)Appl. Phys. Lett.,64,2511-2513(1994)、(28)
Appl. Phys. Lett.,66,1337-1339(1995)) 。
【0010】さらに、同じく強誘電体不揮発性メモリ用
の電極として、YBCO相やLSCO相などの超伝導酸
化物電極についても多くの研究がなされている((29)Sc
ience,252,944-946(1991) 、(30)Appl. Phys. Lett.,6
1,1537-1539(1992)、(31)Appl. Phys. Lett.,63,27-29
(1993)、(32)Appl. Phys. Lett.,63,30-32(1993)、(33)
J. Am. Ceram. Soc.,76,3141-3143(1993) 、(34)Appl.
Phys. Lett.,64,1050-1052(1994)、(35)Appl. Phys. Le
tt.,64,3646-3648(1994)、(36)Appl. Phys. Lett.,66,2
493-2495(1995)、(37)Appl. Phys. Lett.,64,3181-3183
(1994)、(38)Appl. Phys. Lett.,66,2069-2071(1995)、
(39)Appl. Phys. Lett.,67,554-556(1995)、(40)J. App
l. Phys.,77,6466-6471(1995) 、(41)J. Appl. Phys.,7
8,4591-4595(1995) 、(42)5th Int. Supercond. Ele.Co
nf./ISEC'95(Sept.18-21,Nagoya,Japan)(1995)pp.246-2
48、(43)Jpn. J. Appl. Phys.,33,5182-5186(1994)、(4
4)Physica C,235-240,739-740(1994) 、(45)Appl. Phy
s. Lett.,66,299-301(1995)、(46)Appl. Phys. Lett.,6
6,1172-1174(1995)、(47)Appl. Phys. Lett.,67,58-60
(1995)) 。特に、電極材料として、強誘電体層と同じペ
ロブスカイト関連構造を有する導電性酸化物を使用すれ
ば、残留分極値の向上(例えば、文献(23)および(48)Ma
ter. Res. Soc. Symp. Proc.,401,139-149(1996)) だけ
でなく、ファティーグ特性の回復および向上も図ること
ができることが報告されている(文献(20)および(49)Jp
n. J. Appl. Phys.,33,5207(1994))。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
強誘電体不揮発性メモリや酸化物超伝導デバイス、さら
にはLiNbO3 、LiTaO3 、KTa1-x Nbx
3 などを用いた酸化物光学素子などのこれまでの研究開
発(例えば、(50)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,341,2
53(1994)、(51)Mater. Res. Soc. Symp. Proc.,341,265
(1994))では、それらの基板に関する考察がほとんどな
されておらず、問題があった。実際、例えば従来の強誘
電体不揮発性メモリにおいては、シリコン基板上に成膜
されたホウ素リンシリケートガラス(BPSG)膜上に
下部電極層を成膜し、その上に強誘電体層を成膜してい
るが、この方法では、下部電極層が多結晶となり、した
がってその上に成膜される強誘電体層も多結晶となるた
め、この強誘電体層の結晶粒の高密度化に伴う、いわゆ
るサイズ効果、すなわち分極値の低下などを引き起こす
ことが懸念される。さらに、酸化物光学素子は、これま
ではほとんど単体のものであり、シリコン基板上に成長
された膜を用いたものに関しては、ほとんど知られてい
ないのが現状である。
【0012】このような背景の下に、本発明者は先に、
シリコン基板上に酸化物薄膜を積層させた酸化物積層構
造およびこれを用いた強誘電体不揮発性メセリについて
提案した((52)特願平7−158521号、(53)特願平
7−161422号、(54)特願平7−169266号、
(55)J. Ceram. Soc. Japan, Int. Edition,103,1088-10
99(1995))。
【0013】しかしながら、本発明者の知見によれば、
これまでに提案された強誘電体不揮発性メモリ、酸化物
超伝導デバイスなどの電子素子や、酸化物光変調素子な
どの酸化物光学素子は、その構造の最適化に関しては、
まだ十分とは言えない状況にある。
【0014】特に、これらのデバイスの構築のために
は、シリコン基板に格子整合した膜、より好適にはエピ
タキシャル膜によりデバイスを構成するのが最もよい
が、そのためには、通常、原子層成長法による成長法が
用いられる。その最有力候補が、分子線エピタキシー
(MBE)法、反応性蒸着法あるいはレーザアブレーシ
ョン法(これはパルスレーザデポジション法またはレー
ザMBE法と呼ばれることもある)である。これらの手
法に共通しているのが、高真空中での酸化物薄膜の成長
である。しかしながら、上述の種々の文献の技術の多く
には、酸素欠陥についての問題が残されている。さら
に、シリコン基板上に単純に目的組成の酸化物薄膜を成
長させていくだけだと、熱処理による自然拡散が生じて
しまうため、現実的には、初期設計通りに酸化物積層構
造が形成されないという問題があった。
【0015】したがって、この発明の目的は、強誘電体
不揮発性メモリ、酸化物超伝導デバイスなどの電子素子
や、酸化物光変調素子などの酸化物光学素子を最適構造
で実現することができる酸化物積層構造およびそのよう
な酸化物積層構造を容易に製造することができる酸化物
積層構造の製造方法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく、強誘電体不揮発性メモリ、酸化物超伝導デ
バイスなどの酸化物電子素子や酸化物光変調素子などの
酸化物光学素子の実現に最適な材料系などについて詳細
な検討を行った。以下にその概要を述べる。
【0017】まず、基板としては、安価かつ入手容易で
結晶性にも優れた単結晶のシリコン基板が、最も有力な
候補として挙げられる。
【0018】次に、電極材料に関しては、電極材料にP
tを用いた従来の強誘電体不揮発性メモリにおける問題
を回避することができるものとして、導電性酸化物、特
にペロブスカイト型結晶構造を有するものが、優れてい
ると考えられる。この導電性酸化物のうち、一般式AB
3 で表される単純ペロブスカイト型酸化物、あるい
は、その構造に近い物質の具体例を挙げると、下記の通
りである。
【0019】 (1) (Sr,Ca)(V,Cr,Fe,Ru)O3 (ただし、Sr+Ca=1、V+Cr+Fe+Ru=1) (2) La(Ti,Co,Ni,Cu)O3 (ただし、Ti+Co+Ni+Cu=1) (3) (H,Li,Na,K)(Re,Mo,Nb)O3 (ただし、H+Li+Na+K=1、Re+Mo+Nb=1) (4) La1-x Srx VO3 (ただし、0.23≦x≦1) La1-x Srx MnO3 (ただし、0.2≦x≦0.4) La1-x Srx CoO3 (ただし、0≦x≦0.3) (5) BaPbO3 (6) Can+1 Tin 3n+1 (7) (BiPb)2 (Ru1-x (Bi,Pb)x 2 7-d (ただし、この物質はパイロクロアー型結晶構造を有し、 また、0≦x≦1、0≦d≦1) (8) (Sr,Ca,Ba)CuO2 (ただし、Sr+Ca+Ba=1) (9) (Sr,Ca,Ba)RuO3 (ただし、Sr+Ca+Ba=1) ここで、(1)〜(4)式などにおける( ,・・
・, )は、括弧内に列挙された複数の元素からなる群
より選ばれた一種類の元素または括弧内に列挙された複
数の元素からなる群より選ばれた二種類以上の元素を固
溶させたものを意味する。後者のように二種類以上の元
素を固溶させる場合、これらの元素の組成比の合計は1
である。例えば、(V,Cr,Fe,Ru)は、V,C
r,FeおよびRuからなる群より選ばれた一種類の元
素またはV,Cr,FeおよびRuからなる群より選ば
れた二種類以上の元素を固溶させたものを意味し、後者
の場合、V,Cr,FeおよびRuの組成比の合計は1
であり、これをV+Cr+Fe+Ru=1と略記する。
以下においても同様である。
【0020】導電性酸化物のうち層状ペロブスカイト型
酸化物としては、下記のものが挙げられる。まず、いわ
ゆるT相としては、 (10) La2 CuO4 (11)(La1-x Bax 2 CuO4 (12)(La1-x Srx 2 CuO4 (13)(La1-x Cax 2 CuO4 が挙げられる(ただし、0≦x≦1)。
【0021】また、いわゆるT´相としては、 (14) Nd2 CuO4 (15) Pr2 CuO4 (16) Sm2 CuO4 (17) Gd2 CuO4 (18) Eu2 CuO4 (19)(Nd1-x Cex 2 CuO4 (20)(Nd1-x Thx 2 CuO4 (21)(Sm1-x Cex 2 CuO4 (22)(Gd1-x Cex 2 CuO4 (23)(Eu1-x Cex 2 CuO4 (24)(Pr1-x Cex 2 CuO4 が挙げられる(ただし、0≦x≦1)。ここで、(1
4)〜(18)に示す物質を含むT´相の一般式は、
(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 と表すこ
とができる。図1に、T´相の代表的な物質であるNd
2 CuO4 の結晶構造を示す。なお、上述のT´相のう
ち、(19)の(Nd1-x Cex 2 CuO4は、本発
明者らによって、Nd2 CuO4 からなる母体材料への
Ce固溶と酸素欠陥との導入により超伝導になることが
発見された物質でもある(例えば、(57)特開平02−2
12302号公報、(58)第44回日本物理学会年会(平
塚市)、1989年3月31日、31a−PS−10
1)。
【0022】さらに、Ru系の物質としては、 (25)Sr2 (Ru1-x Irx )O4 (26)Sr2 (Ru1-x Rhx )O4 (27)Sr2 (Ru1-x Rhx )O4 が挙げられる(ただし、0≦x≦1)。
【0023】電極材料としては、上に挙げたもののほか
に、他の高温超伝導酸化物も使用可能である。その具体
例をいくつか挙げると、下記の通りである。
【0024】(28)YBa2 Cu3 7-d (ただし、
0≦d≦0.6) (29)YBa2 Cu4 8 (30)Bi2 Sr2 Can-1 Cun 2n+4(ただし、
n≦4) (31)Tlm Ba2 Can-1 Cun 2n+4 (ただし、m=1または2、n≦5) さて、電極材料として上述のような導電性酸化物を用い
る場合、この導電性酸化物をシリコン基板上に直接エピ
タキシャル成長させることは一般には難しい。そこで、
シリコン基板上にまず、このシリコン基板と格子整合す
る材料からなるバッファ層をエピタキシャル成長させ、
その上にこのバッファ層と格子整合する導電性酸化物薄
膜をエピタキシャル成長させることを考える。このよう
にすることにより、広範囲の導電性酸化物の中から、最
適な電極材料を選択することができる。このバッファ層
は、その上に導電性酸化物薄膜をエピタキシャル成長さ
せることができるようにするためには、酸化物からなる
ものが好ましい。ここで、この酸化物からなるバッファ
層は、シリコン基板上に直接エピタキシャル成長させる
ことができることが必要である。
【0025】このようなシリコン基板上に直接エピタキ
シャル成長可能な酸化物材料としては、表1に示すよう
に、現在、酸化マグネシウム(MgO)、酸化セリウム
(セリア)(CeO2 )、α型アルミナ(α−Al2
3 )、イットリウム安定化ジルコニウム(YSZ)およ
びマグネシウム・アルミニウム・スピネル(MgAl2
4 )の五種類に限られている。もちろん、これ以外の
酸化物がシリコン基板上に直接エピタキシャル成長しな
いことが明らかとなっているわけではなく、これ以外に
直接エピタキシャル成長可能なものがある可能性はあ
る。表1には、酸化物結晶の格子定数(a、c)および
熱膨張率(α)を示してある(いくつかのデータはF.S.
Galasso 著「Structure and Properties of Inorganic
Solids」(Int.Series of Monographs in Solid State
Physics, Vol.7)に記載されているものを用いた)。な
お、Siの格子定数および熱膨張率は、それぞれa=
0.5430884nmおよびα=3.0×10-6/K
である。
【0026】
【表1】
【0027】シリコン基板とその上にエピタキシャル成
長させる酸化物材料とは、それらの格子定数および熱膨
張率の一致が最も重要である。図1に、酸化物材料とし
て最も有力視されているMgAl24 およびCeO2
の格子定数の温度依存性をSiの格子定数の温度依存性
とともに示す。
【0028】図1より、バッファ層の材料としては、C
eO2 の方がMgAl24 よりも優れていることがわ
かる。また、成膜の観点からも、CeO2 は金属元素が
一種類であることから、二種類の金属元素を用いるMg
Al24 に比べて現実的には有利であることが明らか
である。
【0029】バッファ層の材料としてこのCeO2 を用
いる場合、その上に形成する電極の材料としては上述の
種々の酸化物材料を用いることができるが、それらのう
ち、(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 で表
されるT´相は、Ceドープにより高い導電性を得るこ
とができるという観点から、特に優れている。すなわ
ち、例えば、このCeO2 からなるバッファ層上に(N
d,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 を電極材料と
して積層した後、熱処理を行って下地のバッファ層から
Ceを、その(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)2 Cu
4 に拡散させてドープすることにより導電性を高める
ことができる。この(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)
2 CuO4 はまた、格子定数がバッファ層の格子定数に
近く、ペロブスカイト関連結晶構造を有していることな
どにより、CeO2 との格子整合も良好であるという利
点も有している。
【0030】この発明は、本発明者による上記考察に基
づいて、案出されたものである。
【0031】すなわち、上記目的を達成するために、こ
の発明の第1の発明による酸化物積層構造は、シリコン
基板と、シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、か
つ、(100)面方位を有するバッファ層と、バッファ
層上の導電性酸化物薄膜とを有することを特徴とするも
のである。
【0032】この第1の発明において、好適には、バッ
ファ層はシリコン基板とほぼ格子整合し、導電性酸化物
薄膜はバッファ層とほぼ格子整合している。これらのバ
ッファ層および導電性酸化物薄膜は、好適には、シリコ
ン基板上にエピタキシャル成長されたものである。
【0033】この第1の発明において、導電性酸化物薄
膜は、典型的には、ペロブスカイト型結晶構造を有す
る。このペロブスカイト型結晶構造を有する導電性酸化
物は、上に挙げたものなどから必要に応じて選ばれる
が、その具体例を挙げると、(Sr,Ca,Ba)Cu
2 (ただし、Sr+Ca+Ba=1)、(Sr,C
a,Ba)RuO3 (ただし、Sr+Ca+Ba=1)
などである。
【0034】ここで、(Sr,Ca,Ba)RuO3
一種であるSrRuO3 について考察する。このSrR
uO3 は、バルクでは通常のペロブスカイト型結晶構造
の格子定数(a、b)の21/2 倍のサイズの単位胞(a
=0.55670nm、b=0.55304nm、c=
0.78446nm)を有しているが、薄膜ではその1
/21/2 倍のサイズに戻ることがあり(a=b=0.3
93nm)、種々の下地酸化物層と格子整合しやすい。
【0035】この第1の発明において、導電性酸化物薄
膜は、層状ペロブスカイト型結晶構造を有するものであ
ることもある。この層状ペロブスカイト型結晶構造を有
する導電性酸化物は、上に挙げたものなどから必要に応
じて選ばれるが、その具体例を挙げると、(La
1-x (Sr,Ca,Ba)x 2 CuO4 (ただし、0
≦x≦0.15)、((Nd,Sm,Pr,Gd)1-x
(Ce,Th)x 2 CuO4-d (ただし、0≦x≦
0.1、0≦d≦0.1)、(Y,La,Nd,Sm,
Gd,Eu,Pr,Ho)Ba2 Cu3 7-d (ただ
し、Y+La+Nd+Sm+Gd+Eu+Pr+Ho=
1、0≦d≦0.5)、(Bi1-x Pbx 2 Sr2
n-1 Cun 2n+4(ただし、0<n≦4、0≦x≦
1)、Tlm Ba2 Can-1 Cun 2n+4(ただし、m
=1または2、0<n≦5)、Sr2 (Ru,Rh,I
r,Cu)O4-d (ただし、Ru+Rh+Ir+Cu=
1、0≦d≦1)などである。これらのうち、Sr
2 (Ru,Rh,Ir,Cu)O4-d の一種に、Sr2
RuO4 がある。
【0036】この第1の発明において、好適には、シリ
コン基板は(100)面方位を有する。ここで、導電性
酸化物薄膜がペロブスカイト型結晶構造を有する場合に
は、その導電性酸化物薄膜は典型的には(100)面方
位を有する。また、導電性酸化物薄膜が層状ペロブスカ
イト型結晶構造を有する場合には、その導電性酸化物薄
膜は典型的には(001)面方位を有する。
【0037】この第1の発明においては、必要に応じ
て、バッファ層とシリコン基板および/または導電性酸
化物薄膜との格子整合やバッファ層中の酸素量の調整な
どの目的で、バッファ層に微量のZrO2 を固溶させて
もよい。
【0038】この第1の発明においては、シリコン基板
とバッファ層との間に膜厚5nm以下の酸化シリコン膜
またはバッファ層と異なる組成の膜が介在していること
もあり得る。
【0039】この発明の第2の発明による酸化物積層構
造は、シリコン基板と、シリコン基板上の酸化セリウム
からなるバッファ層と、バッファ層上の、バッファ層を
構成する酸化セリウムからセリウムが拡散された(N
d,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 からなる導電
性酸化物薄膜とを有することを特徴とするものである。
【0040】この第2の発明においては、好適には、バ
ッファ層はシリコン基板とほぼ格子整合し、導電性酸化
物薄膜はバッファ層とほぼ格子整合している。これらの
バッファ層および導電性酸化物薄膜は、好適には、シリ
コン基板上にエピタキシャル成長されたものである。
【0041】この第2の発明において、典型的には、導
電性酸化物薄膜に拡散されたセリウムの原子濃度はバッ
ファ層と導電性酸化物薄膜との界面から離れる方向に指
数関数的に減少している。
【0042】この第2の発明において、酸化物積層構造
は、導電性酸化物薄膜上の、ペロブスカイト型結晶構
造、イルメナイト型結晶構造またはGdFeO3 型結晶
構造を有する(Ba,Sr,Ca,Pb,Mg,Bi,
Li,Ag,Na,K,Y,Ln)(Ti,Zr,S
n,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,Cu,Ga,A
l,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb)O3 (ただし、B
a+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+Li+Ag+Na
+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Sn+Th+Ce+
Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+Nb+Ta+S
b+Bi+Pb=1)からなる酸化物薄膜をさらに有す
ることがある。また、導電性酸化物薄膜上の、二種類以
上の上記酸化物薄膜からなる酸化物超格子をさらに有す
ることも、導電性酸化物薄膜上の、二種類以上の上記酸
化物薄膜の積層膜をさらに有することもある。
【0043】この第2の発明においては、例えば、シリ
コン基板およびバッファ層はそれぞれ(100)面方位
を有し、導電性酸化物薄膜は(001)面方位を有する
場合もあるし、シリコン基板およびバッファ層はそれぞ
れ(100)面方位を有し、導電性酸化物薄膜は(00
1)面方位を有する場合もある。
【0044】この第2の発明においては、必要に応じ
て、バッファ層とシリコン基板および/または導電性酸
化物薄膜との格子整合やバッファ層中の酸素量の調整な
どの目的で、バッファ層に微量のZrO2 を固溶させて
もよい。
【0045】この第2の発明においては、シリコン基板
とバッファ層との間に膜厚5nm以下の酸化シリコン膜
またはバッファ層と異なる組成の膜が介在していること
もあり得る。
【0046】この発明の第3の発明による酸化物積層構
造の製造方法は、シリコン基板上に酸化セリウムからな
るバッファ層を成長させる工程と、バッファ層上に(N
d,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 からなる導電
性酸化物薄膜を成長させる工程と、熱処理を行うことに
よりバッファ層を構成する酸化セリウムから導電性酸化
物薄膜にセリウムを拡散させる工程とを有することを特
徴とするものである。
【0047】この第3の発明においては、好適には、シ
リコン基板上にバッファ層および導電性酸化物薄膜を順
次エピタキシャル成長させる。また、熱処理は、好適に
は、700〜1150℃の温度で行い、より好適には、
700〜950℃の温度で行う。
【0048】この第3の発明においては、典型的には、
成長室内においてバッファ層上に導電性酸化物薄膜を成
長させた後、成長室内でそのまま熱処理を行う。
【0049】この発明の第4の発明による酸化物積層構
造の製造方法は、シリコン基板上に酸化セリウムからな
るバッファ層を成長させる工程と、バッファ層上に(N
d,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 からなる導電
性酸化物薄膜を成長させるとともに、バッファ層を構成
する酸化セリウムから導電性酸化物薄膜にセリウムを拡
散させる工程とを有することを特徴とするものである。
【0050】この第4の発明においては、好適には、シ
リコン基板上にバッファ層および導電性酸化物薄膜を順
次エピタキシャル成長させる。また、導電性酸化物薄膜
は、好適には、700〜1150℃の温度、より好適に
は、700〜950℃の温度で成長させる。
【0051】この発明の第5の発明による酸化物積層構
造の製造方法は、シリコン基板上に酸化セリウムからな
るバッファ層を成長させる工程と、バッファ層上に(N
d,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 からなる導電
性酸化物薄膜を400〜700℃の温度で成長させる工
程と、700〜1150℃の温度で熱処理を行うことに
よりバッファ層を構成する酸化セリウムから導電性酸化
物薄膜にセリウムを拡散させる工程とを有し、導電性酸
化物薄膜を成長させる工程および導電性酸化物薄膜にセ
リウムを拡散させる工程を繰り返すようにしたことを特
徴とするものである。
【0052】この第5の発明においては、好適には、シ
リコン基板上にバッファ層および導電性酸化物薄膜を順
次エピタキシャル成長させる。
【0053】この第5の発明においては、好適には、導
電性酸化物薄膜を500〜600℃の温度で成長させ、
700〜950℃の温度で熱処理を行う。
【0054】この発明の第3の発明、第4の発明および
第5の発明においては、良好な導電性酸化物薄膜を成長
させる観点から、好適には、導電性酸化物薄膜を成長さ
せる際の成長室内の雰囲気中の酸素分圧は1×10-7
圧以上1×10-2気圧以下とする。
【0055】上述のように構成された、この発明の第1
の発明による酸化物積層構造においては、シリコン基板
の面方位、導電性酸化物薄膜の材料や面方位などの組み
合わせにより、バッファ層をシリコン基板とほぼ格子整
合させることができるとともに、導電性酸化物薄膜をバ
ッファ層とほぼ格子整合させることができる。この場
合、この導電性酸化物薄膜の下地に対する密着性は良好
であるので、この導電性酸化物薄膜を電極として用いた
とき、この電極が下地からはがれる問題はない。また、
例えば、強誘電体不揮発性メモリにおいては、使用する
強誘電体薄膜の材料に応じて、この強誘電体薄膜が下地
の導電性酸化物薄膜とほぼ格子整合するようにこの導電
性酸化物薄膜の材料を選択することにより、強誘電体薄
膜の導電性酸化物薄膜に対する密着性は良好となり、は
がれが起きにくい。また、導電性酸化物薄膜を電極とし
て用いたとき、この電極との界面における強誘電体薄膜
の酸素欠損を抑えることができるので、良好な電気的特
性を得ることができ、特に、強誘電体不揮発性メモリに
おいては、良好なファティーグ特性を得ることができ
る。さらに、この導電性酸化物薄膜に対する密着性は、
この導電性酸化物薄膜上に成膜する酸化膜が超伝導膜や
光学膜などであっても、同様である。
【0056】上述のように構成された、この発明の第2
の発明による酸化物積層構造においては、シリコン基板
の面方位、導電性酸化物薄膜の材料や面方位などの組み
合わせにより、バッファ層をシリコン基板とほぼ格子整
合させることができるとともに、導電性酸化物薄膜をバ
ッファ層とほぼ格子整合させることができる。この場
合、この導電性酸化物薄膜の下地に対する密着性は良好
であるので、この導電性酸化物薄膜を電極として用いた
とき、この電極が下地からはがれる問題はない。また、
例えば、強誘電体不揮発性メモリにおいては、使用する
強誘電体薄膜の材料に応じて、この強誘電体薄膜が下地
の導電性酸化物薄膜とほぼ格子整合するようにこの導電
性酸化物薄膜の材料を選択することにより、強誘電体薄
膜の導電性酸化物薄膜に対する密着性は良好となり、は
がれが起きにくい。また、導電性酸化物薄膜を電極とし
て用いたとき、この電極との界面における強誘電体薄膜
の酸素欠損を抑えることができるので、良好な電気的特
性を得ることができ、特に、強誘電体不揮発性メモリに
おいては、良好なファティーグ特性を得ることができ
る。さらに、この導電性酸化物薄膜に対する密着性は、
この導電性酸化物薄膜上に成膜する酸化膜が超伝導膜や
光学膜などであっても、同様である。また、導電性酸化
物薄膜にセリウムを拡散させていることにより、この導
電性酸化物薄膜の導電性を大幅に向上させることがで
き、電極として用いて好適なものとなる。
【0057】上述のように構成された、この発明の第3
の発明、第4の発明および第5の発明による酸化物積層
構造の製造方法においては、(Nd,Pr,Sm,G
d,Eu)2 CuO4 からなる導電性酸化物薄膜に、バ
ッファ層を構成する酸化セリウムからセリウムが拡散さ
れた、この発明の第2の発明による酸化物積層構造を容
易に製造することができる。
【0058】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態につい
て図面を参照しながら説明する。
【0059】図3はこの発明の第1の実施形態による強
誘電体不揮発性メモリ、特にそのキャパシタ部を示す断
面図である。
【0060】図3に示すように、この強誘電体不揮発性
メモリにおいては、Si基板1上にCeO2 薄膜2、S
rRuO3 薄膜3、PZT薄膜4およびSrRuO3
膜5が順次積層されている。この場合、CeO2 薄膜2
はバッファ層を構成する。また、SrRuO3 薄膜3お
よびSrRuO3 薄膜5は、それぞれ下部電極および上
部電極を構成する。これらのSrRuO3 薄膜3および
SrRuO3 薄膜5の比抵抗値は2〜300μΩ・cm
であり、電極として用いるのに十分低い値である。PZ
T薄膜4は強誘電体薄膜を構成する。
【0061】この場合、Si基板1、CeO2 薄膜2、
SrRuO3 薄膜3およびSrRuO3 薄膜5は、いず
れも(100)面方位を有する。また、PZT薄膜4は
(001)面方位を有する。なお、Si基板1は、不純
物をドープしたものであっても、ノンドープのものであ
ってもよい。
【0062】この強誘電体不揮発性メモリにおいて、S
i基板1、CeO2 薄膜2、SrRuO3 薄膜3、PZ
T薄膜4およびSrRuO3 薄膜5は、相互にほぼ完全
に格子整合しており、エピタキシャルな関係を有してい
る。
【0063】ところで、強誘電体不揮発性メモリは、当
然ではあるが、できるだけ効率的な強誘電性ヒステリシ
ス曲線を有することが望まれている。そのためには、い
わゆる角型比(=残留分極(Pr )/自発分極
(Ps ))が高いこと、および、抗電界(Ec )が適度
に低いことの二つの条件を満たす必要がある。したがっ
て、角型比を高くするためには、PZT薄膜4の結晶軸
異方性、すなわち分極異方性を有効に活用することがで
きるようにすることが重要である。
【0064】上述のように構成されたこの第1の実施形
態による強誘電体不揮発性メモリを製造するには、Si
基板1上にCeO2 薄膜2、SrRuO3 薄膜3、PZ
T薄膜4およびSrRuO3 薄膜5を順次エピタキシャ
ル成長させる。このエピタキシャル成長には、反応性蒸
着法、スパッタリング法、レーザアブレーション法など
を用いることができる。このうち反応性蒸着法は、抵抗
加熱および電子ビーム加熱の併用により基板付近に酸化
力の強いオゾンや活性酸素ガスなどの雰囲気を作って蒸
着を行う蒸着法の一種であり、活性化反応性蒸着法とも
呼ばれる(例えば、(17)日本セラミックス学会誌、第98
巻、749-753(1990))。この反応性蒸着法やレーザアブレ
ーション法などの高真空を用いる成膜時には、1単位胞
毎の原子レベルでの膜厚制御が、いわゆるRHEED
(反射高速電子回折)振動をモニタすることにより可能
である。
【0065】また、CeO2 薄膜2については、上述の
方法以外に、有機金属化学気相成長(MOCVD)法に
よってもエピタキシャル成長させることができる。この
MOCVD法によるCeO2 薄膜2のエピタキシャル成
長方法を、図4に示すホットウォール型反応容器を備え
たMOCVD装置を用いた一例について説明すると、次
の通りである。
【0066】図4において、有機金属化合物原料である
Ce(DPM)4 (これはCe(thd)4 と略記され
ることがある。DPMはジピバロイルメタン、thdは
2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオ
ンを意味する。)11を、例えば300℃近傍の温度に
保持されたホットボックス12内に収納された原料容器
13に入れ、Ce(DPM)4 ガスを適当な蒸気圧で発
生させる。一方、純化Arガス供給装置14から配管1
5を介して原料容器13内に純化Arガスをキャリアガ
スとして供給し、Ce(DPM)4 ガスとこの純化Ar
ガスとの混合ガスを、配管16を通じて、例えば流速3
00cc/minでホットウォール型反応容器17内に
供給する。このホットウォール型反応容器17内にはま
た、純化O2 供給装置18から配管19を介して例えば
流速約600cc/minで純化O2 を酸化性ガスとし
て同時に供給する。このとき、ホットウォール型反応容
器17内は、図示省略した真空ポンプにより、例えば1
0Torr以下、好適には数Torrに減圧しておく。
また、このときのCe(DPM)4 ガスの分圧は例えば
5×10-4Torrに維持する。符号20はバイパス配
管、V1 〜V5 はバルブ、21、22はマスフローコン
トローラ(MFC)、23、24は圧力ゲージを示す。
【0067】ホットウォール型反応容器17内のSiC
サセプタ25上にSi基板1を設置しておき、このSi
Cサセプタ25をヒーター21により加熱しておく。こ
のSiCサセプタ25はまた、必要に応じて、赤外線ラ
ンプ27により加熱することができるようになってい
る。成長時のSi基板1の温度は、600〜700℃の
範囲、例えば680℃が最適であった。ここで、このS
i基板1としては、その表面のダングリングボンドを水
素で終端させたものを用いた。そして、このSi基板1
上に、CeO2 薄膜2をエピタキシャル成長させる。な
お、符号28はSiCサセプタ25の温度を測定するた
めの熱電対、29はイオンゲージ、30はピラニーゲー
ジを示す。
【0068】このMOCVD法によるCeO2 薄膜2の
エピタキシャル成長においては、成長時のSi基板1の
温度が700℃を超えると、その上にエピタキシャル成
長されるCeO2 薄膜2の面方位は徐々に(100)で
はなくなり、(111)面方位のCeO2 薄膜2が成長
するようになる。したがって、成長時のSi基板1の温
度は、700℃以下が好ましい。一方、Si基板1の温
度が600℃を下回ると、その上に成長するCeO2
膜2の結晶性が著しく悪化するので、上述のようにSi
基板1の温度は600〜700℃の範囲が最適である。
【0069】ここで、強誘電体不揮発性メモリにおける
強誘電体薄膜の厚さが減少したときのリーク電流(ある
いは絶縁破壊)およびいわゆるサイズ効果の問題につい
て論じておく。
【0070】リーク電流を防止するため、電極間にはさ
まれた強誘電体薄膜には、その厚さ方向に10個以上の
結晶粒が存在するようにすることが望まれている。これ
は、電極間に入っている結晶粒の数が少なくなると、リ
ーク電流が著しく増大するためである。このときの強誘
電体薄膜(厚さ1μm程度)の様子を図5に模式的に示
し、そのときの強誘電体不揮発性メモリの電流−電圧
(I−V)特性を図6に示す。
【0071】厚さが100nm程度に減少したときの強
誘電体薄膜の様子を図7に模式的に示す。このとき、こ
の強誘電体薄膜の厚さ方向に存在する結晶粒の数は10
よりも少ない。このときの強誘電体不揮発性メモリのI
−V特性を図8に示す。図8を図6と比較すると明らか
なように、電極間に入っている結晶粒の数が10よりも
少ないときのリーク電流は、電極間に入っている結晶粒
の数が10個以上であるときのリーク電流よりも多くな
っている。
【0072】厚さがさらに減少して50nm以下になっ
たときの強誘電体薄膜の様子を図9に模式的に示す。こ
のとき、この強誘電体薄膜は単結晶である。このときの
強誘電体不揮発性メモリのI−V特性を図10に示す。
図10を図6および図8と比較すると明らかなように、
強誘電体薄膜が単結晶であるときのリーク電流は、強誘
電体薄膜が多結晶であるときのリーク電流に比べて大幅
に減少している。
【0073】次に、強誘電体のサイズ効果について説明
する。このサイズ効果とは、強誘電体薄膜の厚さを減少
させたとき、この強誘電体薄膜は強誘電性を保持するこ
とができるか、というものである。これは、室温で正方
晶(強誘電性)が安定である物質の粒径が非常に小さく
なると、ある値を境にしてそれ以下の粒径で急に立方晶
に変化して強誘電性を失う現象で、従来はもっぱら微粒
子に対して議論されてきた。つまり、三次元的なサイズ
縮小による物性変化と言える。このサイズ効果は、具体
的には、例えばBaTiO3 多結晶薄膜の場合は0.1
μm以下である。PZT多結晶薄膜の場合も、同様な結
果が得られている。
【0074】以上のようなリーク電流およびサイズ効果
の問題を考慮すると、この第1の実施形態において強誘
電体薄膜として単結晶のPZT薄膜4を用いていること
は、強誘電体薄膜の厚さが100〜200nm程度に減
少したときに有利になると考えられる。
【0075】この第1の実施形態による強誘電体不揮発
性メモリによれば、以下のような種々の利点を得ること
ができる。すなわち、下部電極として用いられるSrR
uO3 薄膜3は、その下地のCeO2 薄膜2およびその
上のPZT薄膜4のいずれとも良好に格子整合している
ので、この下部電極のはがれの問題がない。同様に、上
部電極として用いられるSrRuO3 薄膜5のPZT薄
膜4との格子整合も良好であることから、この上部電極
のはがれの問題もない。さらに、単結晶のPZT薄膜4
を用いていることにより、電極間距離、すなわちPZT
薄膜4の厚さが減少しても、リーク電流が極めて少な
く、また、三次元サイズ効果によるPZT薄膜4の強誘
電性の劣化を防止することができ、強誘電性物質の最高
の分極値付近の値を用いることができる。
【0076】以上のように、この第1の実施形態によれ
ば、構造の最適化により、優れた特性を有し、かつ信頼
性の高い強誘電体不揮発性メモリを実現することができ
る。
【0077】図11はこの発明の第2の実施形態による
光変調素子を示す断面図である。
【0078】図11に示すように、この光変調素子にお
いては、Si基板31上にCeO2薄膜32、Sr2
uO4 薄膜33、LiNbO3 薄膜34およびSr2
uO4 薄膜35が順次積層されている。この場合、Ce
2 薄膜32はバッファ層を構成する。また、Sr2
uO4 薄膜33およびSr2 RuO4 薄膜35は、それ
ぞれ下部電極および上部電極を構成する。これらのSr
2 RuO4 薄膜33およびSr2 RuO4 薄膜35の比
抵抗値も、SrRuO3 薄膜と同様に、電極として用い
るのに十分に低い値である。LiNbO3 薄膜34は非
線形光学特性を有する光変調用の光学薄膜を構成する。
【0079】この場合、Si基板31およびCeO2
膜32は(100)面方位を有し、Sr2 RuO4 薄膜
33およびSr2 RuO4 薄膜35は(001)面方位
を有する。また、LiNbO3 薄膜34は(001)面
方位を有する。なお、Si基板31は、不純物をドープ
したものであっても、ノンドープのものであってもよ
い。
【0080】この光変調素子において、Si基板31、
CeO2 薄膜32、Sr2 RuO4薄膜33、LiNb
3 薄膜34およびSr2 RuO4 薄膜35は、相互に
ほぼ完全に格子整合しており、エピタキシャルな関係を
有している。
【0081】ここで、LiNbO3 薄膜34は本来、イ
ルメナイト型結晶構造を有するが、この構造は、歪んだ
ペロブスカイト型結晶構造と考えることもでき、非常に
格子整合しやすい結晶学的関係を有しており、下地のペ
ロブスカイト層上にエピタキシャル成長すると考えられ
る。
【0082】この第2の実施形態による光変調素子の製
造方法は、第1の実施形態による強誘電体不揮発性メモ
リの製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0083】この第2の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様に、下部電極として用いられるSr2 RuO
4 薄膜33はその下地のCeO2 薄膜32およびその上
のLiNbO3 薄膜34のいずれとも良好に格子整合し
ていることによりこの下部電極のはがれの問題がなく、
また、上部電極として用いられるSr2 RuO4 薄膜3
5のLiNbO3 薄膜34との格子整合も良好であるこ
とからこの上部電極のはがれの問題もない。また、単結
晶のLiNbO3 薄膜34を用いていることにより、そ
の光学的異方性を利用することができるとか、多結晶で
はないことにより光学的損失がほとんどないなどの利点
を得ることができる。さらに、この光変調素子は、Si
基板31上に作製されることにより、各種の部品とのハ
イブリッド化および高密度実装化を達成することができ
る。
【0084】図12はこの発明の第3の実施形態による
強誘電体不揮発性メモリ、特にそのキャパシタ部を示す
断面図である。
【0085】図12に示すように、この強誘電体不揮発
性メモリにおいては、Si基板41上にCeO2 薄膜4
2、Nd2 CuO4 :Ce薄膜43、PZT薄膜44お
よびNd2 CuO4 薄膜45が順次積層されている。こ
こで、Nd2 CuO4 :Ce薄膜43中のCeは、その
下地のCeO2 薄膜42から拡散されたものであり、そ
の原子濃度は、CeO2 薄膜42とNd2 CuO4 :C
e薄膜43との界面から離れる方向に指数関数的に減少
している。この場合、CeO2 薄膜42はバッファ層を
構成する。また、Nd2 CuO4 :Ce薄膜43および
Nd2 CuO4薄膜45は、それぞれ下部電極および上
部電極を構成する。これらのNd2 CuO4 :Ce薄膜
43およびNd2 CuO4 薄膜45の比抵抗値は200
〜300μΩ・cm(100K程度の低温では50μΩ
・cm)であり、電極として用いるのに問題ない値であ
る。特に、下層電極であるNd2 CuO4 :Ce薄膜4
3は、Ceがドープされていることにより、Ceがドー
プされていないNd2 CuO4 薄膜45に比べて高い導
電性を有する。PZT薄膜44は強誘電体薄膜を構成す
る。
【0086】この場合、Si基板41およびCeO2
膜42は(100)面方位を有し、Nd2 CuO4 :C
e薄膜43およびNd2 CuO4 薄膜45は(001)
面方位を有する。また、PZT薄膜44は(001)面
方位を有する。なお、Si基板41は、不純物をドープ
したものであっても、ノンドープのものであってもよ
い。
【0087】この強誘電体不揮発性メモリにおいて、S
i基板41、CeO2 薄膜42、Nd2 CuO4 :Ce
薄膜43、PZT薄膜44およびNd2 CuO4 薄膜4
5は相互にほぼ完全に格子整合しており、エピタキシャ
ルな関係を有している。
【0088】次に、この第3の実施形態による強誘電体
不揮発性メモリの製造方法について説明する。この製造
方法には、Nd2 CuO4 :Ce薄膜43の形成方法の
違いにより、次の三通りの方法がある。
【0089】第1の製造方法においては、まず、図13
Aに示すように、(100)面方位のSi基板41上に
例えばMOCVD法により(100)面方位のCeO2
薄膜42をエピタキシャル成長させる。MOCVD法に
よるこのCeO2 薄膜42の成長法は第1の実施形態に
おいて述べたと同様である。ここで、このCeO2 薄膜
42の膜厚は、強誘電体不揮発性メモリの設計によって
も異なるが、通常は30〜100nm程度であり、場合
によっては200〜500nm程度のこともある。この
CeO2 薄膜42の膜厚は、主に、その上に成長させる
Nd2 CuO4:Ce薄膜43の電気伝導性をいかに向
上させるかという問題に関係する。
【0090】次に、図13Bに示すように、例えばMO
CVD法により、CeO2 薄膜42上に(001)面方
位のNd2 CuO4 薄膜46をエピタキシャル成長させ
る。この際、反応容器中に酸素を制御性よく導入し、全
圧を10-4Torr程度に保持して成長を行う。このN
2 CuO4 薄膜46の成長温度は500〜900℃で
あるが、より良質なNd2 CuO4 薄膜46を得る観点
からは、700℃以上であることが好ましい。しかしな
がら、次に述べるCe拡散のためのポストアニールを施
す場合には、Nd2 CuO4 薄膜46の成長温度を50
0〜700℃に設定しても、基本的には何ら問題を生じ
ない。
【0091】次に、例えば700〜1000℃、好適に
は700〜900℃の温度で熱処理を行うことにより、
CeO2 薄膜42からNd2 CuO4 薄膜46にCeを
拡散させる。これによって、図13Cに示すように、N
2 CuO4 :Ce薄膜43が得られる。
【0092】この後、このNd2 CuO4 :Ce薄膜4
3上にPZT薄膜44およびNd2CuO4 薄膜45を
順次エピタキシャル成長させ、目的とする強誘電体不揮
発性メモリを製造する。
【0093】次に、第2の製造方法においては、第1の
製造方法と同様にしてSi基板41上にCeO2 薄膜4
2をエピタキシャル成長させた後、700〜1000
℃、好適には700〜900℃の成長温度でMOCVD
法によりNd2 CuO4 薄膜をエピタキシャル成長さ
せ、この際、同時にCeO2 薄膜42からこのNd2
uO4 薄膜にCeを拡散させることにより、Nd2 Cu
4 :Ce薄膜43を成長させる。
【0094】この後、上述と同様にしてNd2 CuO
4 :Ce薄膜43上にPZT薄膜44およびNd2 Cu
4 薄膜45を順次エピタキシャル成長させ、目的とす
る強誘電体不揮発性メモリを製造する。
【0095】第3の製造方法においては、第1の製造方
法と同様にしてSi基板41上にCeO2 薄膜42をエ
ピタキシャル成長させた後、低い成長温度、例えば50
0℃程度の成長温度で結晶性の低い(場合によってはア
モルファスであってもよい)Nd2 CuO4 薄膜を成長
させる。次に、成長を一旦中止し、基板温度のみ700
〜1000℃、好適には700〜900℃に上昇させ、
CeO2 薄膜42からこのNd2 CuO4 薄膜にCeを
拡散させた後、基板温度を500℃程度まで戻し、再び
Nd2 CuO4 :Ce薄膜43を成長させる。そして、
これを必要な回数繰り返すことにより、所望の厚さのN
2 CuO4 :Ce薄膜43を成長させる。
【0096】Nd2 CuO4 :Ce薄膜43はNd2
uO4 薄膜にCeを拡散によりドープしたものである
が、ここで、Nd2 CuO4 にCeをドープしていった
ときの電気抵抗の温度依存性の変化をセラミックスの観
点から推測しておく。図14〜図21に、窒素気流中で
焼成された、各種Ceドープ量の(Nd1-x Cex 2
CuO4 の電気抵抗の温度依存性を示す。
【0097】(Nd1-x Cex 2 CuO4 のCe組成
xは、x=0〜0.4までの広範な範囲において調べら
れている。ただし、焼成の条件は、窒素気流中、980
℃、15時間であり、また、仮焼は行われておらず、全
ての試料が単相となっているわけではない。単相にする
には、焼成を少なくとも数回行う必要がある。また、一
般には、セリウムの固溶限界は、x=0.1までと言わ
れている。しかしながら、図14〜図21に示すよう
に、Nd2 CuO4 にCeをドープするだけで、(Nd
1-x Cex 2 CuO4 の電気伝導の仕方が、0.00
1<x<0.05の範囲で大きく変化することは、注目
に値する。これらの実験より、Nd2 CuO4 への微量
のCeの拡散によって、電気伝導度が大幅に向上するこ
とが、明確に理解される。
【0098】この第3の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様に、下部電極として用いられるNd2 CuO
4 :Ce薄膜43はその下地のCeO2 薄膜42および
その上のPZT薄膜44のいずれとも良好に格子整合し
ていることによりこの下部電極のはがれの問題がなく、
また、上部電極として用いられるNd2 CuO4 薄膜4
5のPZT薄膜44との格子整合も良好であることから
この上部電極のはがれの問題もない。また、下部電極と
して用いられるNd2 CuO4 :Ce薄膜43はCeが
拡散されていることにより高い導電性を得ることがで
き、下層電極として用いて好適なものである。また、単
結晶のPZT薄膜44を用いていることにより、電極間
距離、すなわちPZT薄膜44の厚さが減少しても、リ
ーク電流が極めて少なく、また、三次元サイズ効果によ
るPZT薄膜44の強誘電性の劣化を防止することがで
き、強誘電性物質の最高の分極値付近の値を用いること
ができる。
【0099】以上のように、この第3の実施形態によれ
ば、構造の最適化により、優れた特性を有し、かつ信頼
性の高い強誘電体不揮発性メモリを実現することができ
る。
【0100】図22はこの発明の第4の実施形態による
光変調素子を示す断面図である。
【0101】図22に示すように、この光変調素子にお
いては、Si基板51上にCeO2薄膜52、Nd2
uO4 :Ce薄膜53、LiNbO3 薄膜54およびS
2RuO4 薄膜35が順次積層されている。この場
合、CeO2 薄膜32はバッファ層を構成する。また、
Nd2 CuO4 :Ce薄膜53およびSr2 RuO4
膜55は、それぞれ下部電極および上部電極を構成す
る。これらのNd2 CuO4 :Ce薄膜53およびSr
2 RuO4 薄膜55の比抵抗値も、電極として用いるの
に十分に低い値である。LiNbO3 薄膜54は非線形
光学特性を有する光変調用の光学薄膜を構成する。
【0102】この場合、Si基板51およびCeO2
膜52は(100)面方位を有し、Nd2 CuO4 :C
e薄膜53およびSr2 RuO4 薄膜55は(001)
面方位を有する。また、LiNbO3 薄膜54は(00
1)面方位を有する。なお、Si基板51は、不純物を
ドープしたものであっても、ノンドープのものであって
もよい。
【0103】この光変調素子において、Si基板51、
CeO2 薄膜52、Nd2 CuO4:Ce薄膜53、L
iNbO3 薄膜54およびSr2 RuO4 薄膜55は相
互にほぼ完全に格子整合しており、エピタキシャルな関
係を有している。
【0104】この第4の実施形態による光変調素子の製
造方法は、第1の実施形態による強誘電体不揮発性メモ
リの製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0105】この第4の実施形態によれば、第1の実施
形態と同様に、下部電極として用いられるNd2 CuO
4 :Ce薄膜53はその下地のCeO2 薄膜52および
その上のLiNbO3 薄膜54のいずれとも良好に格子
整合していることによりこの下部電極のはがれの問題が
なく、また、上部電極として用いられるSr2 RuO4
薄膜55のLiNbO3 薄膜54との格子整合も良好で
あることからこの上部電極のはがれの問題もない。ま
た、単結晶のLiNbO3 薄膜54を用いていることに
より、その光学的異方性を利用することができるとか、
多結晶ではないことにより光学的損失がほとんどないな
どの利点を得ることができる。さらに、この光変調素子
は、Si基板31上に作製されることにより、各種の部
品とのハイブリッド化および高密度実装化を達成するこ
とができる。
【0106】以上、この発明の実施形態につき具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施形態に限定される
ものでなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0107】例えば、上述の第1および第3の実施形態
においては、強誘電体薄膜としてPZT薄膜4、44を
用いているが、この強誘電体薄膜としては、このPZT
薄膜4、44以外に、Bi2 SrTa2 9 などのいわ
ゆるBi系層状強誘電体物質からなる薄膜を用いてもよ
いし、酸化物超格子を用いてもよい。後者のように強誘
電体薄膜として酸化物超格子を用いた場合においても、
効率のよい強誘電体不揮発性メモリーを実現することが
できる。具体的には、例えば、PbTiO3 /MgO積
層構造におけるPbTiO3 層は(001)面方位に配
向するので、第1の実施形態において、この積層構造に
よる酸化物超格子[PbTiO3 /MgO]n をSrR
uO3 薄膜3上に成膜することにより、効率のよい強誘
電体不揮発性メモリーを実現することができる。同様
に、例えば、PbTiO3 /BaTiO3 積層構造にお
けるPbTiO3 層も(001)面方位に配向するの
で、第3の実施形態において、この積層構造による酸化
物超格子[PbTiO3 /BaTiO3 n をNd2
uO4 :Ce薄膜43上に成膜することにより、効率の
よい強誘電体不揮発性メモリーを実現することができ
る。
【0108】また、上述の第2および第4の実施形態に
おいては、光変調用の光学薄膜としてLiNbO3 薄膜
34、54を用いているが、この光変調用の光学薄膜と
しては、このLiNbO3 薄膜34、54以外にK(N
1-x Tax )O3 薄膜などを用いてもよい。さらに、
電極として用いられているSr2 RuO4 薄膜33、3
5の代わりに、例えば、Nd2 CuO4 薄膜、(Nd
1-x Cex 2 RuO4薄膜、SrRuO3 薄膜、Ru
2 薄膜などを用いてもよい。あるいは、Au、Al、
Ptなどの単体金属の薄膜を用いてもよい。
【0109】さらに、上述の第3の実施形態において
は、Nd2 CuO4 :Ce薄膜43の成長にMOCVD
法を用いているが、このMOCVD法の代わりに分子線
エピタキシー(MBE)法を用いてもよい。この場合、
例えば、超高真空容器の中に、電子銃によるNdの蒸発
源とクヌーセンセルによるCuの蒸発源とを設け、さら
にこの超高真空容器中に酸素を導入することによりNd
2 CuO4 :Ce薄膜43を成長させる。
【0110】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による酸
化物積層構造によれば、シリコン基板と、そのシリコン
基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、(100)面
方位を有するバッファ層と、そのバッファ層上の導電性
酸化物薄膜とを有することにより、これを用いて、強誘
電体不揮発性メモリ、酸化物超伝導デバイスなどの電子
素子や、酸化物光変調素子などの酸化物光学素子を最適
構造で実現することができる。
【0111】さらに、この発明による酸化物積層構造に
よれば、シリコン基板と、そのシリコン基板上の酸化セ
リウムからなるバッファ層と、そのバッファ層上の、バ
ッファ層を構成する酸化セリウムからセリウムが拡散さ
れた(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)2 CuO4 から
なる導電性酸化物薄膜とを有することにより、これを用
いて、強誘電体不揮発性メモリ、酸化物超伝導デバイス
などの電子素子や、酸化物光変調素子などの酸化物光学
素子を最適構造で実現することができる。そして、この
発明による酸化物積層構造の製造方法によれば、そのよ
うな酸化物積層構造を容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】Nd2 CuO4 の結晶構造を示す略線図であ
る。
【図2】MgAl2 4 およびCeO2 の格子定数の温
度依存性をシリコンの格子定数の温度依存性とともに示
す略線図である。
【図3】この発明の第1の実施形態による強誘電体不揮
発性メモリを示す断面図である。
【図4】この発明の第1の実施形態による強誘電体不揮
発性メモリの製造方法においてCeO2 薄膜のエピタキ
シャル成長に用いることができるホットウォール型反応
容器を備えたMOCVD装置を示す略線図である。
【図5】強誘電体不揮発性メモリにおける強誘電体薄膜
の厚さの減少に伴うリーク電流の問題を説明するための
断面図である。
【図6】図5に示す強誘電体不揮発性メモリの電流−電
圧特性を示すグラフである。
【図7】強誘電体不揮発性メモリにおける強誘電体薄膜
の厚さの減少に伴うリーク電流の問題を説明するための
断面図である。
【図8】図7に示す強誘電体不揮発性メモリの電流−電
圧特性を示すグラフである。
【図9】強誘電体不揮発性メモリにおける強誘電体薄膜
の厚さの減少に伴うリーク電流の問題を説明するための
断面図である。
【図10】図9に示す強誘電体不揮発性メモリの電流−
電圧特性を示すグラフである。
【図11】この発明の第2の実施形態による光変調素子
を示す断面図である。
【図12】この発明の第3の実施形態による強誘電体不
揮発性メモリを示す断面図である。
【図13】この発明の第3の実施形態による強誘電体不
揮発性メモリの製造方法を説明するための断面図であ
る。
【図14】x=0の(Nd1-x Cex 2 CuO4 の比
抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図15】x=0.001の(Nd1-x Cex 2 Cu
4 の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図16】x=0.05の(Nd1-x Cex 2 CuO
4 の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図17】x=0.1の(Nd1-x Cex 2 CuO4
の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図18】x=0.15の(Nd1-x Cex 2 CuO
4 の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図19】x=0.2の(Nd1-x Cex 2 CuO4
の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図20】x=0.3の(Nd1-x Cex 2 CuO4
の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図21】x=0.4の(Nd1-x Cex 2 CuO4
の比抵抗の温度依存性を示す断面図である。
【図22】この発明の第4の実施形態による光変調素子
を示す断面図である。
【符号の説明】
1、31、41、51・・・Si基板、2、32、4
2、52・・・CeO2薄膜、3、5・・・SrRuO3
薄膜、4、44・・・PZT薄膜、33、35、4
5、55・・・Sr2 RuO4 薄膜、34、54・・・
LiNbO3 薄膜、43、53・・・Nd2 CuO4
Ce薄膜
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01L 27/108 H01L 39/02 ZAAD 21/8242 39/24 ZAAD 21/8247 27/10 651 29/788 29/78 371 29/792 39/02 ZAA 39/24 ZAA

Claims (48)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シリコン基板と、 上記シリコン基板上の、酸化セリウムからなり、かつ、
    (100)面方位を有するバッファ層と、 上記バッファ層上の導電性酸化物薄膜とを有することを
    特徴とする酸化物積層構造。
  2. 【請求項2】 上記バッファ層は上記シリコン基板とほ
    ぼ格子整合し、上記導電性酸化物薄膜は上記バッファ層
    とほぼ格子整合していることを特徴とする請求項1記載
    の酸化物積層構造。
  3. 【請求項3】 上記バッファ層および上記導電性酸化物
    薄膜は上記シリコン基板上にエピタキシャル成長された
    ものであることを特徴とする請求項1記載の酸化物積層
    構造。
  4. 【請求項4】 上記導電性酸化物薄膜はペロブスカイト
    型結晶構造を有することを特徴とする請求項1記載の酸
    化物積層構造。
  5. 【請求項5】 上記ペロブスカイト型結晶構造を有する
    上記導電性酸化物薄膜は(Sr,Ca,Ba)CuO2
    (ただし、Sr+Ca+Ba=1)からなることを特徴
    とする請求項4記載の酸化物積層構造。
  6. 【請求項6】 上記ペロブスカイト型結晶構造を有する
    上記導電性酸化物薄膜は(Sr,Ca,Ba)RuO3
    (ただし、Sr+Ca+Ba=1)からなることを特徴
    とする請求項4記載の酸化物積層構造。
  7. 【請求項7】 上記導電性酸化物薄膜は層状ペロブスカ
    イト型結晶構造を有することを特徴とする請求項1記載
    の酸化物積層構造。
  8. 【請求項8】 上記層状ペロブスカイト型結晶構造を有
    する上記導電性酸化物薄膜は(La1-x (Sr,Ca,
    Ba)x 2 CuO4 (ただし、0≦x≦0.15)か
    らなることを特徴とする請求項7記載の酸化物積層構
    造。
  9. 【請求項9】 上記層状ペロブスカイト型結晶構造を有
    する上記導電性酸化物薄膜は((Nd,Sm,Pr,G
    d)1-x (Ce,Th)x 2 CuO4-d (ただし、0
    ≦x≦0.1、0≦d≦0.1)からなることを特徴と
    する請求項7記載の酸化物積層構造。
  10. 【請求項10】 上記層状ペロブスカイト型結晶構造を
    有する上記導電性酸化物薄膜は(Y,La,Nd,S
    m,Gd,Eu,Pr,Ho)Ba2 Cu3 7-d (た
    だし、Y+La+Nd+Sm+Gd+Eu+Pr+Ho
    =1、0≦d≦0.5)からなることを特徴とする請求
    項7記載の酸化物積層構造。
  11. 【請求項11】 上記層状ペロブスカイト型結晶構造を
    有する上記導電性酸化物薄膜は(Bi1-x Pbx 2
    2 Can-1 Cun 2n+4(ただし、0<n≦4、0≦
    x≦1)からなることを特徴とする請求項7記載の酸化
    物積層構造。
  12. 【請求項12】 上記層状ペロブスカイト型結晶構造を
    有する上記導電性酸化物薄膜はTlm Ba2 Can-1
    n 2n+4(ただし、m=1または2、0<n≦5)か
    らなることを特徴とする請求項7記載の酸化物積層構
    造。
  13. 【請求項13】 上記層状ペロブスカイト型結晶構造を
    有する上記導電性酸化物薄膜はSr2 (Ru,Rh,I
    r,Cu)O4-d (ただし、Ru+Rh+Ir+Cu=
    1、0≦d≦1)からなることを特徴とする請求項7記
    載の酸化物積層構造。
  14. 【請求項14】 上記シリコン基板は(100)面方位
    を有することを特徴とする請求項1記載の酸化物積層構
    造。
  15. 【請求項15】 上記シリコン基板および上記導電性酸
    化物薄膜はそれぞれ(100)面方位を有することを特
    徴とする請求項1記載の酸化物積層構造。
  16. 【請求項16】 上記シリコン基板は(100)面方位
    を有し、上記導電性酸化物薄膜は(001)面方位を有
    することを特徴とする請求項1記載の酸化物積層構造。
  17. 【請求項17】 上記シリコン基板は(100)面方位
    を有し、上記導電性酸化物薄膜は(001)面方位を有
    することを特徴とする請求項8記載の酸化物積層構造。
  18. 【請求項18】 上記シリコン基板は(100)面方位
    を有し、上記導電性酸化物薄膜は(001)面方位を有
    することを特徴とする請求項9記載の酸化物積層構造。
  19. 【請求項19】 上記シリコン基板は(100)面方位
    を有し、上記導電性酸化物薄膜は(001)面方位を有
    することを特徴とする請求項10記載の酸化物積層構
    造。
  20. 【請求項20】 上記バッファ層に微量のZrO2 が固
    溶していることを特徴とする請求項1記載の酸化物積層
    構造。
  21. 【請求項21】 上記シリコン基板と上記バッファ層と
    の間に膜厚5nm以下の酸化シリコン膜または上記バッ
    ファ層と異なる組成の膜が介在していることを特徴とす
    る請求項1記載の酸化物積層構造。
  22. 【請求項22】 シリコン基板と、 上記シリコン基板上の酸化セリウムからなるバッファ層
    と、 上記バッファ層上の、上記バッファ層を構成する上記酸
    化セリウムからセリウムが拡散された(Nd,Pr,S
    m,Gd,Eu)2 CuO4 からなる導電性酸化物薄膜
    とを有することを特徴とする酸化物積層構造。
  23. 【請求項23】 上記バッファ層は上記シリコン基板と
    ほぼ格子整合し、上記導電性酸化物薄膜は上記バッファ
    層とほぼ格子整合していることを特徴とする請求項22
    記載の酸化物積層構造。
  24. 【請求項24】 上記バッファ層および上記導電性酸化
    物薄膜は上記シリコン基板上にエピタキシャル成長され
    たものであることを特徴とする請求項22記載の酸化物
    積層構造。
  25. 【請求項25】 上記導電性酸化物薄膜に拡散された上
    記セリウムの原子濃度は上記バッファ層と上記導電性酸
    化物薄膜との界面から離れる方向に指数関数的に減少し
    ていることを特徴とする請求項22記載の酸化物積層構
    造。
  26. 【請求項26】 上記導電性酸化物薄膜上の、ペロブス
    カイト型結晶構造、イルメナイト型結晶構造またはGd
    FeO3 型結晶構造を有する(Ba,Sr,Ca,P
    b,Mg,Bi,Li,Ag,Na,K,Y,Ln)
    (Ti,Zr,Sn,Th,Ce,Ru,Rh,Ir,
    Cu,Ga,Al,Nb,Ta,Sb,Bi,Pb)O
    3 (ただし、Ba+Sr+Ca+Pb+Mg+Bi+L
    i+Ag+Na+K+Y+Ln=1、Ti+Zr+Sn
    +Th+Ce+Ru+Rh+Ir+Cu+Ga+Al+
    Nb+Ta+Sb+Bi+Pb=1)からなる酸化物薄
    膜をさらに有することを特徴とする請求項22記載の酸
    化物積層構造。
  27. 【請求項27】 上記導電性酸化物薄膜上の、二種類以
    上の上記酸化物薄膜からなる酸化物超格子をさらに有す
    ることを特徴とする請求項26記載の酸化物積層構造。
  28. 【請求項28】 上記導電性酸化物薄膜上の、二種類以
    上の上記酸化物薄膜の積層膜をさらに有することを特徴
    とする請求項26記載の酸化物積層構造。
  29. 【請求項29】 上記シリコン基板および上記バッファ
    層はそれぞれ(100)面方位を有し、上記導電性酸化
    物薄膜は(001)面方位を有することを特徴とする請
    求項22記載の酸化物積層構造。
  30. 【請求項30】 上記シリコン基板および上記バッファ
    層はそれぞれ(100)面方位を有し、上記導電性酸化
    物薄膜は(001)面方位を有することを特徴とする請
    求項25記載の酸化物積層構造。
  31. 【請求項31】 上記バッファ層に微量のZrO2 が固
    溶していることを特徴とする請求項22記載の酸化物積
    層構造。
  32. 【請求項32】 上記シリコン基板と上記バッファ層と
    の間に膜厚5nm以下の酸化シリコン膜または上記バッ
    ファ層と異なる組成の膜が介在していることを特徴とす
    る請求項22記載の酸化物積層構造。
  33. 【請求項33】 シリコン基板上に酸化セリウムからな
    るバッファ層を成長させる工程と、 上記バッファ層上に(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)
    2 CuO4 からなる導電性酸化物薄膜を成長させる工程
    と、 熱処理を行うことにより上記バッファ層を構成する上記
    酸化セリウムから上記導電性酸化物薄膜にセリウムを拡
    散させる工程とを有することを特徴とする酸化物積層構
    造の製造方法。
  34. 【請求項34】 上記シリコン基板上に上記バッファ層
    および上記導電性酸化物薄膜を順次エピタキシャル成長
    させることを特徴とする請求項33記載の酸化物積層構
    造の製造方法。
  35. 【請求項35】 700〜1150℃の温度で上記熱処
    理を行うことを特徴とする請求項33記載の酸化物積層
    構造の製造方法。
  36. 【請求項36】 700〜950℃の温度で上記熱処理
    を行うことを特徴とする請求項33記載の酸化物積層構
    造の製造方法。
  37. 【請求項37】 成長室内において上記バッファ層上に
    上記導電性酸化物薄膜を成長させた後、上記成長室内で
    そのまま上記熱処理を行うことを特徴とする請求項33
    記載の酸化物積層構造の製造方法。
  38. 【請求項38】 上記導電性酸化物薄膜を成長させる際
    の成長室内の雰囲気中の酸素分圧は1×10-7気圧以上
    1×10-2気圧以下であることを特徴とする請求項33
    記載の酸化物積層構造の製造方法。
  39. 【請求項39】 シリコン基板上に酸化セリウムからな
    るバッファ層を成長させる工程と、 上記バッファ層上に(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)
    2 CuO4 からなる導電性酸化物薄膜を成長させるとと
    もに、上記バッファ層を構成する上記酸化セリウムから
    上記導電性酸化物薄膜にセリウムを拡散させる工程とを
    有することを特徴とする酸化物積層構造の製造方法。
  40. 【請求項40】 上記シリコン基板上に上記バッファ層
    および上記導電性酸化物薄膜を順次エピタキシャル成長
    させることを特徴とする請求項39記載の酸化物積層構
    造の製造方法。
  41. 【請求項41】 700〜1150℃の温度で上記導電
    性酸化物薄膜を成長させることを特徴とする請求項39
    記載の酸化物積層構造の製造方法。
  42. 【請求項42】 700〜950℃の温度で上記導電性
    酸化物薄膜を成長させることを特徴とする請求項39記
    載の酸化物積層構造の製造方法。
  43. 【請求項43】 上記導電性酸化物薄膜を成長させる際
    の成長室内の雰囲気中の酸素分圧は1×10-7気圧以上
    1×10-2気圧以下であることを特徴とする請求項39
    記載の酸化物積層構造の製造方法。
  44. 【請求項44】 シリコン基板上に酸化セリウムからな
    るバッファ層を成長させる工程と、 上記バッファ層上に(Nd,Pr,Sm,Gd,Eu)
    2 CuO4 からなる導電性酸化物薄膜を400〜700
    ℃の温度で成長させる工程と、 700〜1150℃の温度で熱処理を行うことにより上
    記バッファ層を構成する上記酸化セリウムから上記導電
    性酸化物薄膜にセリウムを拡散させる工程とを有し、 上記導電性酸化物薄膜を成長させる工程および上記導電
    性酸化物薄膜にセリウムを拡散させる工程を繰り返すよ
    うにしたことを特徴とする酸化物積層構造の製造方法。
  45. 【請求項45】 上記シリコン基板上に上記バッファ層
    および上記導電性酸化物薄膜を順次エピタキシャル成長
    させることを特徴とする請求項44記載の酸化物積層構
    造の製造方法。
  46. 【請求項46】 上記導電性酸化物薄膜を500〜60
    0℃の温度で成長させることを特徴とする請求項44記
    載の酸化物積層構造の製造方法。
  47. 【請求項47】 700〜950℃の温度で上記熱処理
    を行うことを特徴とする請求項44記載の酸化物積層構
    造の製造方法。
  48. 【請求項48】 上記導電性酸化物薄膜を成長させる際
    の成長室内の雰囲気中の酸素分圧は1×10-7気圧以上
    1×10-2気圧以下であることを特徴とする請求項44
    記載の酸化物積層構造の製造方法。
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