JPWO2004068235A1 - 光偏向素子およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

光偏向素子は、シリコン単結晶基板21上に、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部電極26が順次積層された構成とし、これらのうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24のPLZT膜、及びコア層25のPZT膜は、それぞれの下層に対してエピタキシャル成長により形成されている。下部電極23と上部電極26との間に印加される電圧に応じて電気光学効果により屈折率が変化する屈折率変化領域25A、24Aが形成され、コア層25に入射された光は屈折率変化領域25Aとの境界においてコア層25の面内方向に偏向される。

Description

本発明は、光通信に用いられる光偏向素子およびその製造方法に係り、特に光導波路中の光ビームを電気光学効果により偏向させる光偏向素子およびその製造方法に関する。
近年の情報通信にかかるデータ量の増大に伴い、光を媒体とした通信技術の重要度が増してきている。特に、光ファイバ網が各家庭に張り巡らせ始め、末端ユーザが急激に増加することが予定されている。光ファイバ網を使用して多数の末端ユーザに効率良くデータを送るためには、伝送損失が少なく、切り替えチャンネル数の多い高性能な光スイッチが必要となる。
現在提案されている光スイッチには、MEMS(Micro Electronic Mechanical System)方式、バブル方式、薄膜導波路方式などが提案されている。このうち薄膜導波路方式は、基板上にクラッド層−コア層−クラッド層の多層構造を設け、コア層に光を伝送させるものである。これらの層のうち特にコア層に、電界をかけると屈折率が変化する材料、いわゆる電気光学効果をもつ材料を用いれば、電界を印加するだけで光を偏向することができる。このような原理を用いた薄膜導波路方式の光スイッチは、MEMS方式やバブル方式と比較して、微小な機械的駆動部や複雑な構造を持たないため、製造コストを低減することが可能であると期待されている。
多くの物質が電気光学効果を有していることが知られているが、電界印加による屈折率変化が大きい材料は、現在のところ一部の酸化物に限られている。電気光学効果は物質を構成する原子の特定な配列、すなわち結晶に由来するものであり、非晶質(アモルファス)状態では、電気光学効果が発現しなかったり、大きく低下したりする。通常、酸化物を利用する場合、酸素の存在下で数百℃に加熱して結晶化を行うことで、電気光学効果を得ることができる。これらの材料の薄膜実装を考える場合、組成が均一で欠陥のない酸化物単結晶膜が高い光透過率・電気光学効果、シングルモードの動作を得るためには理想的である。
しかし、多くの場合単結晶膜を得るのは非常に困難で、通常は多結晶膜としてしか得られない。多結晶膜には結晶粒界等の欠陥が存在するため、単結晶膜より光透過率が低い。一般に、結晶が大きくなればなるほど、特定の面方向に配向すればするほど光透過率は大きくなる傾向がある。したがって基板に垂直方向だけでなく、基板面内にも配向した膜、いわゆるエピタキシャル膜(3軸配向膜)が、低損失の光スイッチを得るためには好ましい。
従来、高い光透過率をもつ、低損失の酸化物のエピタキシャル膜を得るために、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの酸化物単結晶基板が用いられてきた。これらの基板は導電性を持たないので、まずこれらの基板上に下部電極となる金属膜、例えば白金膜をエピタキシャル成長させた後、その結晶性を引き継ぐ形で、エピタキシャル成長させることで、良質な酸化物結晶膜を得ている。
しかし、一般に用いられている酸化物単結晶基板は2インチ程度であり、大型化が困難である。また価格の点でも、6インチのシリコン単結晶基板が数千円であるのに対し、2インチのMgO基板は十数万円と高価であるので実用上難点がある。そこで、酸化物層のエピタキシャル膜を成長させる基板として、シリコン単結晶基板を用いる検討が行われている。
まず、シリコン単結晶基板上にエピタキシャル膜を成長させるためには、シリコン単結晶基板の表面の配向を利用する必要がある。しかし、シリコン単結晶基板の表面が高温で酸素雰囲気中に曝されると、酸化されてシリコン酸化膜(SiO)が形成されてしまう。シリコン酸化膜は非晶質で配向を持たないのでシリコン酸化膜上にはエピタキシャル膜は成長しない。また、エピタキシャル膜の成長には、成長させる膜とシリコン単結晶基板との間の反応や拡散が少ないことも重要である。これまでに、シリコン単結晶基板上にエピタキシャル成長可能な材料として、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、酸化セリウム(CeO)等の希土類元素の酸化物、酸化マグネシウム(MgO)、マグネシアスピネル(MgAl)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)などが開示されている。これらの材料の結晶層を中間層として、中間層上にペロブスカイト構造を有する酸化物のエピタキシャル膜を形成する試みがなされている。
これらに中間層のうち、マグネシアスピネル膜は、シリコン基板(001)面上に(001)面を主面としてエピタキシャル成長し、さらにペロブスカイト構造を有する結晶の(001)面がエピタキシャル成長することが知られている(例えば、特開昭55−61035号公報、Matsubara et al,J.Appl.Phys.,66(1989)5826参照)。
ところで、シリコン単結晶基板上にマグネシアスピネル膜、ペロブスカイト構造を有する結晶が形成された積層体を光偏向素子などに用いるためには、ペロブスカイト構造を有する結晶の上下に電界を印可する電極を設けることが必要となる。すなわち、マグネシアスピネル膜とペロブスカイト構造の酸化物層のエピタキシャル膜との間に導電層を設ける必要がある。
しかし、かかる導電層の結晶性が低い場合は、導電層上に形成されるペロブスカイト酸化物層の結晶性が低下し、光伝搬損失が増加し、また電気光学効果が低下してしまうという問題がある。
特開昭55−61035号公報 Matsubara et al,J.Appl.Phys.,66(1989)5826
そこで、本発明は上記の課題を解決した新規で有用な光偏向素子およびその製造方法を提供することを概括的課題とする。
本発明のより具体的な課題は、光伝搬損失が低く光学的特性の優れた、低製造コストの光偏向素子およびその製造方法を提供することにある。
本発明の一観点によれば、
単結晶基板と、
前記単結晶基板上に形成されたマグネシアスピネル膜よりなる中間層と、
前記中間層上に形成された白金族元素を含む導電層よりなる下部電極と、
前記下部電極上に形成された第1の酸化物層と、
前記第1の酸化物層上に形成された第2の酸化物層と、
前記第2の酸化物層上に形成された上部電極とを有した光偏向素子であって、
前記中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層はエピタキシャル膜よりなり、
前記第2の酸化物層の屈折率が、前記第1の酸化物層の屈折率より大きい光偏向素子が提供される。
本発明によれば、単結晶基板上に形成された中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、単結晶基板の結晶性を引き継いだエピタキシャル膜より形成されている。したがって、光導波路となる第2の酸化物層がエピタキシャル膜であるので、結晶性が優れて良好である。その結果、光学特性が優れて良好であり、特に光伝搬損失の低減を図ることができる。
ここで、エピタキシャル膜とは、エピタキシャル膜が形成される基板あるいは下地層を構成する結晶とある方位関係を持って形成された膜である。したがって、エピタキシャル膜は、成長方向の結晶配向性のみならず、面内の方位の結晶配向性を有する。
前記単結晶基板はシリコン単結晶基板とする。従来光偏向素子に使用されるMgO等の酸化物単結晶基板と比較して、シリコン単結晶基板は大型の基板が得られ、かつ安価であるので、光偏向素子の製造コストを大幅に低減することができる。
前記単結晶基板と中間層との間にさらに非晶質層が形成されてもよい。単結晶基板上の中間層はエピタキシャル成長により形成されている。したがって、単結晶基板表面とその上に成長した中間層であるマグネシアスピネル膜とはヘテロエピタキシャル構造を形成し、これらの界面は強固に結合している。その結果、マグネシアスピネル膜を構成する原子が熱処理等により再配列しようとしても、単結晶基板の結晶面の原子配列に拘束されて再配列が制限されてしまう。単結晶基板上にマグネシアスピネル膜が形成されている状態で、これらの界面に非晶質層を設けて上記の拘束を切ることにより、マグネシアスピネル膜の自己再配列を可能とすることができる。したがってマグネシアスピネル膜の結晶性が向上し、その上に形成される下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、良好な結晶性を引き継いで、それぞれの層の結晶性が向上される。
前記第2の酸化物層が電気光学効果を有する。前記下部電極と上部電極との間に電圧を印加することにより、第2の酸化物層に屈折率変化領域を形成して、伝搬する光ビームの進行方向を第2の酸化物層の面内方向に偏向することが可能となる。
前記第1及び第2の酸化物層のうち少なくとも1つが単純ペロブスカイト格子を含む結晶構造を有する。単純ペロブスカイト格子を有する酸化物層は電気光学効果を有し、例えば、ポッケルス効果あるいはカー効果などが大きい。したがって屈折率の変化が大であるので、偏向角を増加することが可能となる。
前記単結晶基板、中間層及び下部電極の積層方向の結晶方位が[001]であってもよい。さらに、前記第1及び第2の酸化物層の積層方向の結晶方位が[001]であってもよい。下部電極と上部電極とによる電界の印加方向に対して、第1及び第2の酸化物層の結晶方位のうち自発分極が最大となる方向、すなわち分極軸方向[001]を平行にする。ペロブスカイト構造を有する酸化物のような酸素8面体型強誘電体の1次の電気光学定数は、誘電率、自発分極の大きさ、及び2次の電気光学定数の積で表わされる。正方晶のペロブスカイト構造を有する酸化物の分極軸方向は[001]であるので、下部電極と上部電極とによる電界の印加方向と分極軸方向を一致させることにより、電気光学効果が最大となり、屈折率の可変範囲を拡大することが可能となる。その結果偏向角を増加することが可能となる。
前記第2の酸化物層と上部電極とに間に、前記第2の酸化物層上にエピタキシャル成長により形成された第3の酸化物層を更に有し、前記第2の酸化物層の屈折率が、前記第1及び第3の酸化物層の屈折率より大きい構成としてもよい。第3の酸化物層をクラッド層として、第1の酸化物層と第3の酸化物層により第2の酸化物層を挟んだ光導波型偏向素子を構成する。第3の酸化物層も、第2の酸化物層上にエピタキシャル成長により形成されるので、結晶性に優れているため、第2の酸化物層からの光ビームの染みだしによる損失を抑制することが可能となる。
本発明の他の観点によれば、
単結晶基板上にマグネシアスピネルよりなる中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層上に白金族元素よりなる導電層よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、
前記下部電極上に第1の酸化物層を形成する第1酸化物層形成工程と、
前記第1の酸化物層上に第2の酸化物層を形成する第2酸化物層形成工程と、
前記第2の酸化物層上に上部電極を形成する上部電極形成工程とを備えた光偏向素子の製造方法であって、
前記中間層、下部電極、第1の酸化物層、及び第2の酸化物層はエピタキシャル成長により形成される光偏向素子の製造方法が提供される。
本発明によれば、単結晶基板上に形成された中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、単結晶基板の結晶性を引き継いだエピタキシャル膜より形成されている。したがって、光導波路となる第2の酸化物層がエピタキシャル膜であるので、結晶性が優れて良好である。その結果、光学特性が優れて良好であり、特に光伝搬損失の低減を図ることができる。
前記中間層形成工程と下部電極形成工程との間に、酸素ガスあるいは水蒸気を含む雰囲気中で熱処理を行う工程を更に備えてもよい。熱処理により単結晶基板と中間層との界面に熱酸化膜が形成される。したがって、ヘテロエピタキシャル構造をなす単結晶基板と中間層との結合が切られるので、中間層であるマグネシアスピネル膜が熱処理により自己再配列が可能となる。したがって、マグネシアスピネル膜の結晶性がさらに良好となり、その上に形成される下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、良好な結晶性を引き継いで、それぞれの層の結晶性が向上される。
図1は、本発明による光偏向素子の基本となる積層構造体の断面図である。
図2は、積層構造体の製造工程を示すフローチャートである。
図3は、積層構造体のうちシリコン単結晶基板/マグネシアスピネル/白金膜の薄膜積層体のX線回折パターンを示す図である。
図4Aは、白金膜の(202)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図4Bは、マグネシアスピネル膜の(404)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図4Cは、シリコン単結晶基板の(202)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図5Aは、薄膜積層体の白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。
図5Bは、本発明によらないMgO単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。
図6は、積層構造体のPLZT膜の(222)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図7は、本発明の第1実施例に係る光偏向素子の平面図である。
図8は、第1実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図9は、本発明の第2実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図10は、本発明の第4実施例に係る光偏向素子の平面図である。
図11は、第4実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図12は、本発明の第5実施例に係るコア層の伝搬損失と結晶性との関係を示す図である。
発明を実施するための最良の態様
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
(本発明による光偏向素子に係る積層構造体)
図1は、本発明による光偏向素子の基本となる積層構造体の断面図である。
図1を参照するに、積層構造体10は、単結晶基板11上に、中間層12、導電層13、及び酸化物層14が順次積層された構成となっている。本願発明者は、かかる積層構造体10において、単結晶基板11に例えばシリコン単結晶基板またはGaAs単結晶基板、中間層12にマグネシアスピネル膜、及び導電層13に白金族の元素等を用いることにより、シリコン単結晶基板またはGaAs単結晶基板の安価でかつ直径の大なる単結晶基板上に、マグネシアスピネル膜を介して、良質な結晶性を有するエピタキシャル層の導電層を形成できることを見出した。導電層の結晶性の程度は、MgO単結晶基板に直接エピタキシャル成長させた導電層と同程度であり、優れて結晶性が良好であることを確認した。本発明に係る積層構造体は、安価で大直径が得られる単結晶基板を用いることができる点において従来の積層構造体に対して特に有用である。
さらに、本願発明者は、積層構造体の導電層上に形成される酸化物層が導電層の結晶性を受け継いで、(001)面が成長面となるエピタキシャル層を形成できることを見出した。本発明は、かかる積層構造体10を光偏向素子に適用したものである。先ず、積層構造体10について説明する。
積層構造体10の単結晶基板11は、例えばシリコンまたはGaAsの単結晶基板が用いられる。単結晶基板11の厚さは約500μm、主面を(001)面としたものである。主面を(001)にすることにより単結晶基板11上にエピタキシャル成長させる各層の面方位を揃え、最終的に酸化物層14の面方位を(001)面とすることができる。なお、主面を(001)面とし0°より4°の範囲で微傾斜した単結晶基板11を用いても良い。単結晶基板11表面の微少な凹凸に起因して中間層12に結晶粒界が発生することがあるが、微傾斜した単結晶基板11を用いることにより、中間層12の膜面内の成長方向を揃えて結晶粒界の発生を抑制することができる。
中間層12は、前記単結晶基板11上にCVD法等によりエピタキシャル成長した厚さ100nmのマグネシアスピネル(MgAl2O4)により構成される。具体的には、中間層12は、厚さが80nm〜600nmである。中間層12であるマグネシアスピネル膜は、例えばシリコンの単結晶基板の(001)面上には、(001)面が成長する。単結晶基板11の(001)面上にマグネシアスピネル膜の(001)面が形成され、単結晶基板11の[100]方向とマグネシアスピネル膜の[100]方向が一致する。
導電層13は、前記中間層12上にRFスパッタ法等によりエピタキシャル成長した厚さ200nmの白金族の元素あるいは合金により構成される。白金族の元素は、例えばRu、Rh、Pd、Os、Ir、Ptである。このうち特にIr又Ptが優れた結晶配向性が得られる点で好適である。
また、導電層13は、マグネシアスピネルの(001)面上に、白金族の元素又は合金の(001)面が成長したものである。従来、シリコン単結晶基板にエピタキシャルのマグネシアスピネル膜を形成し、さらにPZT膜等を形成した例は報告されていたが、シリコン単結晶基板上にマグネシアスピネル膜及び白金族元素又は合金のエピタキシャル膜が順次積層された例は報告されていない。本実施の形態に係る単結晶基板11/マグネシアスピネルの中間層12/白金族元素又は合金膜の導電層13からなる薄膜積層体16は、この薄膜積層体16上に後述する単純ペロブスカイト格子を有する結晶の酸化物層14をエピタキシャル成長させることができ、白金族元素又は合金膜の導電層13は導電性であり、比抵抗が11μΩ・cm程度で低抵抗であるので電極(例えば第1実施例の下部電極23)として用いることができる。特に、高周波を用いて酸化物層14に電界を印加する場合は、導電層の結晶性が優れているので結晶粒界等に起因するインピーダンスの増加が抑制されるという利点がある。
酸化物層14は、前記導電層13上にエピタキシャル成長した単純ペロブスカイト格子を有する結晶により構成される。単純ペロブスカイト格子を有する結晶は、例えば、ペロブスカイト構造、ビスマス層状構造、タングステンブロンズ構造等が挙げられる。これらの結晶構造を有する結晶は強誘電体であり、電気光学効果を有している。
さらに、酸化物層14には、ペロブスカイト構造を有する、例えばPb(Zr1−xTi)O(0≦x≦1)の一般式で示されるPZTを用いることができる。また、Pb(B’1/3B”2/3)O(B’:2価の金属、B”:5価の金属)や、Pb(B’1/2B”1/2)O(B’:3価の金属、B”:5価の金属)、Pb(B’1/2B”1/2)O(B’:2価の金属、B”:6価の金属)の一般式で示される結晶、更にPZTに添加元素を加え、(Pb1−yLa)(Zr1−xTi)O(0≦x、y≦1)の一般式で示されるPLZT、Pb(B’1/3B”2/3TiZr1−x−y(0≦x、y≦1、B’:2価の金属、B”:5価の金属)、Pb(B’1/2B”1/2TiZr1−x−y(0≦x、y≦1、B’:3価の金属、B”:5価の金属)、Pb(B’1/2B”1/2TiZr1−x−y(0≦x、y≦1、B’:2価の金属、B”:6価の金属)、又は(Sr1−xBa)TiO(0≦x≦1)の一般式で示される結晶を用いることができる。
上記Pb(B’1/3B”2/3)O(B’:2価の金属、B”:5価の金属)の一般式で示される結晶のうち更に好ましいものは、例えばPbNi1/3Nb2/3、PbCo1/3Nb2/3、PbMg1/3Nb2/3、PbZn1/3Nb2/3、PbMn1/3Nb2/3、PbNi1/3Ta2/3、PbCo1/3Ta2/3、PbMg1/3Ta2/3、PbZn1/3Ta2/3、PbMn1/3Ta2/3が挙げられる。これらのうち特に好ましいものは、PbNi1/3Nb2/3、PbCo1/3Nb2/3、PbMg1/3Nb2/3、PbZn1/3Nb2/3が挙げられる。
また、上記Pb(B’1/2B”1/2)O(B’:3価の金属、B”:5価の金属)の一般式で示される結晶のうち特に好ましいものは、例えばPbFe1/2Nb1/2、PbSc1/2Nb1/2、PbSc1/2Ta1/2が挙げられる。
さらに、上記Pb(B’1/2B”1/2)O(B’:2価の金属、B”:6価の金属)の一般式で示される結晶のうち好ましいものは、例えばPbMg1/21/2が挙げられる。なお、例えば、0.65PbMg1/3Nb2/3−0.35PbTiOや0.5PbNi1/3Nb2/3−0.35PbTiO−0.15PbZrOなどの多成分系結晶でもよい。
また、ビスマス層状構造を有する結晶で代表的なものは、例えば、SrBiTa(SBT)、BiTi12、(Bi4−x)Ti12(RはY、Sc、及び希土類元素、1≦x≦3)、(SrBa1−x)BiTi15、PbBiTi15が挙げられ、さらにこれらの結晶に、V(バナジウム)あるいはW(タングステン)を1〜2mol%添加してもよい。タングステンブロンズ構造を有する結晶で代表的なものは、例えば、BaNaNb15、Ba1−xSrNb等が挙げられる。
酸化物層14は、CVD法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、ゾル・ゲル法、PLD(Pulse Laser Deposition)法、MOCVD(有機金属CVD)法などを用いて形成することができるが、大面積の基板に適用可能な方法であれば限定されないが、CSD法が比較的大面積の基板に容易に形成できる点で好適である。
なお、導電層13と酸化物層14との間に、半導性あるいは導電性を示すペロブスカイト格子を有する結晶構造の半導性酸化物層あるいは導電性酸化物層を形成してもよい。具体的には、例えば、半導性酸化物としては、NbあるいはLaをドープしたSrTiOが好適である。ドープ量は例えば1原子%とする。また、導電性酸化物としては、SrRuO、CaRuO、LaRuO、LaSr1−xCoO(0≦x≦1)、LaSr1−xMnO(0≦x≦1)が挙げられる。電気光学効果により屈折率変化を起こさせるために、酸化物層14に電界を印加して、その電界をオン、オフまたは方向を反転するなどして酸化物層14の分極反転を繰り返すと、導電層13と酸化物層14との界面の酸素欠損等の格子欠陥に起因して、酸化物層14の自発分極が劣化すると共に電気光学効果が劣化することがある。導電層13及び酸化物層14との間に半導性あるいは電気導電性酸化物層を形成することにより自発分極の劣化を抑制し、電気光学効果による屈折率の可変範囲の狭小化を抑制することが可能となる。なお、後述する光偏向素子においては酸化物層14上に上部電極が形成されるが、酸化物層と上部電極との界面においても同様に、半導性あるいは導電性を示すペロブスカイト格子を有する結晶構造の半導性酸化物層あるいは導電性酸化物層を形成してもよい。
次に、積層構造体の製造方法を説明する。図2は、積層構造体の製造工程を示すフローチャートである。
図2を参照するに、先ず、単結晶基板11を洗浄後、単結晶基板11の自然酸化膜を希フッ酸により除去する。自然酸化膜を除去して、単結晶基板11の結晶面を露出させる(S102)。
次にCVD法、MBE法等により、自然酸化膜が除去された単結晶基板11上にマグネシアスピネルの中間層12をエピタキシャル成長させる(S104)。CVD法は、大面積、例えば直径300mm程度の単結晶基板11にも均一に成膜可能な点で好適である。CVD法による場合は、マグネシアスピネルの構成元素を、各々のソースチャンバ内で加熱して蒸発させ、キャリアガスにより成膜チャンバ内に送り、単結晶基板11を750℃〜1050℃に加熱し、成膜速度5nm/分〜30nm/分に設定して厚さ80nm〜600nm形成する。
次にマグネシアスピネルの中間層12上に導電層13をエピタキシャル成長させる(S106)。具体的には、基板を400℃以上、好ましくは500℃以上の温度に加熱・保持して、アルゴンガス雰囲気中でRFスパッタ法により白金族の金属を厚さ20〜2000nm堆積する(S106)。この際、アルゴンガス雰囲気に少量の酸素、例えばアルゴンガス30sccmに対して酸素ガス1sccm〜3sccmを加えることで、さらに結晶性の良好な導電層13を形成することができる。中間層12表面のマグネシアスピネルの酸素原子が成膜中に乖離するのを抑制し、マグネシアスピネル膜表面の結晶性が保持され、良好な結晶性が導電層13に反映されるためである。
次に、導電層13上に例えばCSD法により酸化物層14を形成する(S108)。具体的には、Pb,Zr,Ti等の濃度が調製されたPZT薄膜形成剤を導電層13上にスピンコートし、溶剤を揮発乾燥させる。必要に応じてスピンコートを数回繰り返して所望の厚さを得る。
次に酸化物層14を結晶化させ、エピタキシャル成長させるための加熱処理を行う(S110)。具体的には、RTA(短時間アニール)が可能なハロゲンランプアニール装置、ファーネス等により酸素雰囲気中で500℃〜800℃、5分〜15分に設定して行う。
なお、PLD法により酸化物層13を形成してもよい(S108A)。具体的には、真空チャンバ内の圧力を26.6Pa(200mTorr)としてPZT等よりなるターゲットと導電層13まで形成した基板をセットし、レーザをターゲットに照射してターゲット材が霧化され、プルーム経由して導電層13上に堆積される。レーザの出力、折り返し周波数等により堆積させる厚さを調節する。なお、大面積の基板に対して成膜する場合は、ターゲットや基板をプルーム相対的に移動させることによって、より均一な厚さの酸化物層を形成することができる。以上により、図1に示す積層構造体10が形成される。
図3は、積層構造体のうち、シリコン単結晶基板11/マグネシアスピネル膜12/白金膜13よりなる薄膜積層体16のX線回折パターンを示す図である。薄膜積層体16は、上述した本実施の形態において、単結晶基板11にシリコン、中間層12にマグネシアスピネル膜、導電層13に白金膜を用いたものである。図3は、薄膜積層体16を、X線ディフラクトメータを使用して、薄膜積層体16の膜面にθのなす角より入射し、2θ方向の回折角に現れた強度を測定したものである(2θ−θ法)。
図3を参照するに、シリコン単結晶基板11の(004)面、マグネシアスピネル膜の(004)面、及び白金膜の(002)面の回折線が現れている。白金膜の回折線に注目すると、2θ=46°に(002)面の回折線が現れている一方で、例えば(111)面(2θ=39°)及び(011)面(2θ=65°)は表れていない。このことから、白金膜は(001)面を主面として、積層方向が完全に[001]方向に配向していることがわかる。なお、マグネシアスピネル膜は(004)面の回折線のみが現れている。したがって、シリコン単結晶基板の(001)面上にマグネシアスピネル膜さらにその上に白金膜が一軸配向していることが分かる。
図4A〜図4Cは、図3の薄膜積層体16のそれぞれの膜について、試料のみを回転させるφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。図4Aは白金膜の(202)面、図4Bはマグネシアスピネル膜の(404)面、図4Cはシリコン単結晶基板の(202)面についてφスキャンを行ったものである。図4A〜図4Cを参照するに白金膜、マグネシアスピネル膜、シリコン単結晶基板11は同じ角度で4回対称軸を有することが分かる。すなわち、薄膜積層体16は、シリコンの単結晶基板11上にcube−on−cubeの様式でエピタキシャル成長していることが分かる。
図5Aは、の薄膜積層体16の白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。一方、図5Bは本発明によらないMgO単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。図5Aを参照するに、本実施の形態の白金膜の(002)面の回折線のピークの半値幅は0.39°になっている。図5Bに示す本発明によらない白金膜の(002)面の回折線のピークの半値幅0.41と同等以上であるので、本実施の形態の導電層13の白金膜は、結晶性が優れていることがわかる。
白金膜の結晶性は、白金膜上にエピタキシャル成長されるPZT等の酸化物層の結晶性を決定する上で重要であり、可能な限り結晶性が良好であることが好ましい。本実施の形態によれば、MgO単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜と同等であるので、結晶性の良好な酸化物層を形成することができる。
図6は、本実施の形態の酸化物層についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。この酸化物層はCSD法によりPLZT薄膜形成剤(PLZT113/3/45/55、濃度15質量%)を塗布、結晶化してPLZT膜を形成したものである。ここでPLZT113/3/45/55は、Pb、La、Zr及びTiのモル濃度比がそれぞれ113:3:45:55であることを示す。また、φスキャンは、PLZT膜の(222)面について行ったものである。
図6を参照するに、酸化物層14のPLZT膜は、図4A〜図4Cに示した単結晶基板11/中間層12/導電層13と同じ角度で4回対称軸を有することが分かる。すなわち、酸化物層14は、導電層13上にcube−on−cubeの様式で形成されていることが分かる。
上述したように、積層構造体は、シリコンまたはGaAsの単結晶基板11上にマグネシアスピネル膜の中間層12、導電層13、酸化物層14が順次エピタキシャル成長して形成され、酸化物層14の下地層となる導電層13が従来のMgOの単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜と同等の良好な結晶性を有しており、したがって、導電層13上に形成された酸化物層がエピタキシャル層となり、優れて良好な結晶性を有している。
よって、この積層構造体、すなわち、酸化物層上にさらに形成される他の酸化物層もエピタキシャル膜となり、良好な結晶性を有することが可能となる。その結果、酸化物層をクラッド層、その他の酸化物層をコア層とする導波路型光偏向素子は、その他の酸化物層(コア層)の結晶性が良好なため散乱による光伝搬損失を極めて低減することができ、酸化物層(クラッド層)の結晶性も良好なため、その他の酸化物層との界面での全反射における損失を低減することができる。
また、積層構造体は導電層が結晶性の良好な白金膜などの金属あるいは金属酸化物であるので、電気抵抗が低く、結晶粒界、格子欠陥等に起因する高周波におけるインピーダンスの増加を防止することができる。以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。
[第1実施例]
図7は、本発明の第1実施例に係る光偏向素子の平面図である。また、図8は、第1実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図7及び図8を参照するに、本実施例に係る光偏向素子20は、シリコン単結晶基板21上に、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部電極26が順次積層された構成となっている。これらのうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24のPLZT膜、及びコア層25のPZT膜は、それぞれの下層に対して下層の結晶性を引き継いでエピタキシャル成長されている。
光偏向素子20は、導波路型の偏向素子を形成している。ここで、例えば、コア層25のPZT膜の屈折率を2.45、下部クラッド層24の屈折率を2.36に設定する。つまり、コア層25の屈折率に対して、下部クラッド層24の屈折率を小とする。なお、コア層25の上面にはクラッド層を形成していないが、空気の屈折率は1.0程度であるので、コア層25の屈折率が大きくコア層25の上面において、コア層25を伝搬する光は全反射される。なお、下部クラッド層24に吸収されることによる光損失の観点からは、コア層25の屈折率と下部クラッド層24の屈折率との差は、コア層25の屈折率に対して0.5%以上あればよい。0.5%より小さい場合はコア層25を伝搬する光が下部クラッド層24との界面において全反射しづらくなり、光損失が大となる。
光偏向素子20は、下部電極23と上部電極26との間に印加される電圧に応じて、上部電極26の下方のコア層25及び下部クラッド層24には、電気光学効果により屈折率が変化する屈折率変化領域25A、24Aが形成される。屈折率変化領域25A、24Aは、上部電極26と同一の形状を上面とする三角柱状に形成される。
コア層25に入射された光は、コア層25と下部クラッド層24との界面や、コア層25上面(空気との界面)で全反射を繰り返しながらコア層25中を伝搬する。コア層25を伝搬し、屈折率変化領域25Aとの境界において、屈折の法則に基づいて光が偏向される。すなわち、屈折率変化領域25Aとの境界に垂直あるいは平行に入射する光は偏向せず直進し、それ以外の場合は光は偏向される。屈折率変化領域25Aの入射側は、図7に示すように、光に対して上部電極26の底辺が垂直に設けられているので、入射光は偏向せず直進し、そして上部電極26の斜辺に対応する屈折率変化領域からの射出部において光が偏向され、光偏向素子20の出射面より、例えば矢印LB1〜LB2の範囲のように偏向された光が射出される。例えば、本実施例の光偏向素子20は、下部電極23に対して上部電極26に25V〜100Vの電圧を印加・掃引すると、0.5度〜2度偏向することが可能である。なお、電圧の印加によって、コア層25の屈折率変化領域25Aのみならず、下部クラッド層24の屈折率変化領域24Aの屈折率も変化する。コア層25の屈折率変化領域25Aの屈折率に対して0.5%以上小さい。コア層25の屈折率変化領域25A中の光損失を抑制することができる。次に、本実施例の光偏向素子20の製造例について説明する。
先ず、(001)面を主面とする2インチのシリコン単結晶基板21を洗浄後、9質量%の希フッ酸に浸漬して、シリコン単結晶基板の表面の自然酸化膜(SiO)を除去した。
次に、シリコン単結晶基板上にCVD法により厚さ100nmのマグネシアスピネル膜を形成する。具体的には、シリコン単結晶基板をCVDの成膜チャンバ内に配置し、基板温度900℃に保持した。Mg原料にはMgCl2を用い、Mgソースチャンバ内で500℃に加熱して蒸発させ、MgCl2の蒸発物をキャリアガスに水素ガスを用いて成膜チャンバ送った。Al原料には金属Alを用い、Alソースチャンバ内で550℃に加熱して蒸発させ、塩化水素ガスと水素ガスをキャリアガスとして、AlClとして成膜チャンバに送った。また、炭酸ガス及び水素ガスを導入し、前記MgCl2の蒸発物とAlCl3と混合して成膜チャンバに導入した。成膜チャンバにおいてシリコン単結晶基板を900℃に加熱して成膜速度20nm/分でマグネシアスピネル膜を形成した。
次に、マグネシアスピネル膜上にスパッタ法により厚さ200nmの白金膜を形成した。具体的には、スパッタ装置内を1Pa(7.5×10−3Torr)の圧力にして、30sccmのアルゴンガスと1sccmの酸素ガスを流しながら、基板を600℃に加熱してエピタキシャル成長させた。
次に白金膜上にCSD法により下部クラッド層となるPLZT膜を形成した。具体的には、市販のPLZT薄膜形成剤(PLZT9/65/35、濃度17質量%)を白金膜上に約0.3cm滴下し、3000rpm20秒間回転させた。ここでPLZT9/65/35は、La、Zr及びTiのモル濃度比がそれぞれ9:65:35であることを示す。次いで、PLZTを塗布後の基板を140℃で予熱したホットプレート上で5分間加熱して、PZT薄膜形成剤の溶剤を揮発させ、さらに350℃で5分加熱してPLZT薄膜形成剤を熱分解させた。次いで室温まで冷却した。
次に、RTA(短時間アニール)処理、例えばハロゲンランプアニール装置によりPLZT膜を結晶化させた。具体的には、ハロゲンランプアニール装置に基板を配置して、酸素ガスを5L/分流しながら、650℃、10分間加熱して、PLZT膜を結晶化させた。結晶化後のPLZT膜の膜厚は200nmであった。PLZT薄膜形成剤の塗布から結晶化までの処理を計11回繰り返し、PLZT膜の総厚を2.2μmとした。
次に、下部クラッド層のPLZT膜の上にCSD法によりコア層となるPZT膜を形成した。具体的には、市販のPZT薄膜形成剤(PZT52/48、濃度17質量%)をPLZT膜上に約0.3cm滴下し、3000rpm20秒間回転させた。次いで、PZTを塗布後の基板を140℃で予熱したホットプレート上で5分間加熱して、PZT薄膜形成剤の溶剤を揮発させ、さらに350℃で5分加熱して、PZT薄膜形成剤を熱分解させた。次いで室温まで冷却した。
次に、例えばハロゲンランプアニール装置によりPZT膜を結晶化させた。具体的には、ハロゲンランプアニール装置に基板を配置して、酸素ガスを5L/分流しながら、650℃、10分間加熱して、PLZT膜を結晶化させた。結晶化後のPZT膜の膜厚は200nmであった。PZT薄膜形成剤の塗布から結晶化までの処理を計13回繰り返し、コア層のPZT膜の総厚を2.6μmとした。
次に、コア層25のPZT膜上にスパッタ法により厚さ150nmの白金膜の上部電極26を形成した。具体的には、PZT膜上に直角三角形のパターンを配置して、スパッタ装置内の圧力を1Pa(7.5×10−3Torr)、アルゴンガス30sccmを流して白金膜を形成した。上部電極26の寸法を、底辺300μm、高さ1000μmの直角三角形とし、底辺を入射側に配置した。
なお、上部電極26はエピタキシャル成長させる必要はなくスパッタ法、蒸着法などにより形成することができ、材料はPt膜に限定されず、金属あるいは合金、あるいは導電性酸化物を用いることができる。上部電極26に好適な金属又は合金は、酸化されにくい、例えば、白金族の元素、Ru等であり、また導電性酸化物は、例えばIrO、RuO等である。
次に、スパッタ時のPZT膜の損傷を除去するために、アニールを行った。具体的には電気炉で5L/分の酸素ガスを流しながら、600℃1時間加熱した。上部電極26を形成する際に、上部電極26を構成するスパッタ原子等によりPZT膜表面が損傷を受けているため、加熱処理により、歪みを除去し残留応力等を緩和させ、PZT膜表面の結晶性を向上することができる。
次に、入射側及び出射側の端面を研磨して、レーザ光を入射・出射可能とした。以上により本実施例の光偏向素子20を形成した。
なお、結晶学的関係は、エピタキシャル成長されたPZT膜(コア層25)(001)//PLZT膜(下部クラッド層24)(001)//Pt膜(下部電極23)(001)//マグネシアスピネル膜22(001)//シリコン単結晶基板21(001)、面内方位は、PZT膜(コア層25)[100]//PLZT膜(下部クラッド層24)[100]//Pt膜(下部電極23)[100]//マグネシアスピネル膜22[100]//シリコン単結晶基板21[100]の構造が得られた。
[第2実施例]
本実施例に係る光偏向素子は、コア層上にさらに上部クラッド層を形成した以外は第1実施例と同様である。
図9は、本発明の第2実施例に係る光偏向素子の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図9を参照するに、本実施例に係る光偏向素子30は、シリコン単結晶基板21上に、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部クラッド層31、上部電極26が順次積層された構成となっている。このうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24のPLZT膜、コア層25のPZT膜及び上部クラッド層31のPLZT膜は、それぞれの下層に対してエピタキシャル成長されており、下層の結晶性を引き継いでいる。マグネシアスピネル膜22からコア層25まで、上部電極26、及び端面の加工は第1実施例と同様に形成した。
光偏向素子30は、第1実施例の光偏向素子20と同様に導波路型の偏向素子を形成しており、コア層25が、下部クラッド層24及び上部クラッド層31に挟まれた構造となっている。第1実施例では空気(屈折率1.0)を上部クラッド層として機能させたが、本実施例ではPLZT膜を用いた。そしてコア層のPZT膜の屈折率を2.45、下部及び上部クラッド層24、31のPLZT膜の屈折率を2.36に設定する、つまり、コア層の屈折率に対して、下部及び上部クラッド層の屈折率を小とする。
さらに、下部及び上部クラッド層24,31に吸収されることによる光損失の観点からは、コア層25の屈折率と、下部及び上部クラッド層24,31の屈折率との差は、第1実施例において説明したコア層25と下部クラッド層24の屈折率との関係と同様である。
したがって、コア層25に入射された光は、コア層25と、下部及び上部クラッド層24、31との界面で全反射を繰り返しながらコア層中を伝搬する。また、上部電極は第1実施例と同様に形成されているので、説明を省略する。
コア層25のPZT膜上に下部クラッド層24のPLZT膜と同様の材料及び工程により、上部クラッド層31のPLZT膜を形成した。PLZT膜の総厚を2.2μmとした。以上により第2実施例の光偏向素子30を形成した。
なお、結晶学的関係は、エピタキシャル成長されたPLZT膜(上部クラッド層31)(001)//PZT膜(コア層25)(001)//PLZT膜(下部クラッド層24)(001)//Pt膜(下部電極23)(001)//マグネシアスピネル膜22(001)//シリコン単結晶基板21(001)の構造が得られた。また、面内方位は、PLZT膜(上部クラッド層31)[100]//PZT膜(コア層25)[100]//PLZT膜(下部クラッド層24)([100]//Pt膜(下部電極23)[100]//マグネシアスピネル膜22[100]//シリコン単結晶基板21[100]の構造が得られた。
なお、上部クラッド層31は、上記したコア層25と屈折率の条件の範囲内であれば、下部クラッド層と同様の材料のみならず、他の材料、例えば、酸化シリコン膜などを用いることができる。
[第3実施例]
本実施例に係る光偏向素子は、第2実施例の導電層の下部電極23の白金膜に替えてイリジウム膜を形成した以外は、第2実施例と同様である。以下、第2実施例と同じ製造工程の説明を省略する。なお符号は、第2実施例の光偏向素子の断面を示す図9の符号を用いる。
イリジウム膜は、マグネシアスピネル膜22上にスパッタ法により厚さ200nmで形成した。具体的には、スパッタ装置内を1Pa(7.5×10−3Torr)の圧力にして、30sccmのアルゴンガスと1sccmの酸素ガスを流しながら、基板を600℃に加熱してエピタキシャル成長させた。
本実施例によれば、イリジウム膜の成長方向が(001)、イリジウム膜の面内方位[100]が他の層の[100]と同じ方向となった。
[第4実施例]
本実施例は、シリコン単結晶基板とマグネシアスピネル膜との間に熱酸化膜を設け、さらに上部クラッド層に2つの上部電極及びプリズムを設けた以外は第2実施例と同様である。
図10は、本発明の第4実施例に係る光偏向素子の平面図である。また、図11は、第4実施例に係る光偏向素子の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図10及び図11を参照するに、本実施例に係る光偏向素子40は、シリコン単結晶基板41上に、熱酸化膜42、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部クラッド層31、第1及び第2上部電極26A、26Bが順次積層され、上部クラッド層31上にはさらにレーザ光をコア層に導入するためのプリズムが設けられた構成となっている。このうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、及び上部クラッド層31は、それぞれの下層に対して下層の結晶性を引き継いでエピタキシャル成長されている。
光偏向素子40は、上部クラッド層31上に設けられたプリズム44によりレーザ光が入射され、上部クラッド層31を介してコア層25に伝搬される。コア層25を伝搬する光は、第1及び第2上部電極26A、26Bにより偏向され、光偏向素子40の出射面よりコア層の面内方向に偏向された光が出射される。
ここで、第1及び第2上部電極26A、26Bにより形成される2つの屈折率変化領域25A、25Bにより広い偏向角が得られる。
次に、本実施例の光偏向素子40の製造例について説明する。
先ず、(001)面を主面とする2インチのシリコン単結晶基板を用いて、第1実施例と同様にして、マグネシアスピネル膜まで形成した。
次に、大気圧下で酸素ガスを5L/分で流しながら、1000℃〜1100℃で30分〜3時間の熱処理を行う。この熱処理により、マグネシアスピネル膜の中間層22を通って酸素が単結晶基板41に拡散し、単結晶基板41の表面に熱酸化膜42が形成される。なお、酸素ガスの替わりに水蒸気を用いたウェットアニールを行ってもよい。この場合の温度条件および熱処理時間は酸素ガスを使用する場合と同様である。
熱酸化膜42によりシリコン単結晶基板とマグネシアスピネル膜との結合が切り離されるので、マグネシアスピネル膜がシリコン単結晶基板の拘束を受けずに自己再配列することができ、熱処理により原子の移動も容易化されるので、さらにマグネシアスピネル膜の結晶性を向上することが可能となる。熱酸化膜とマグネシアスピネル膜の膜厚の総和は150nmとした。なお、酸素ガスに替えて窒素ガスを用いた場合は、熱酸化膜は形成されず、さらにマグネシアスピネルの結晶性の向上も認められなかった。
次に、マグネシアスピネル膜上にスパッタ法により厚さ200nmの白金膜を形成した。具体的には、スパッタ装置内を1Pa(7.5×10−3Torr)の圧力にして、30sccmのアルゴンガスと1sccmの酸素ガスを流しながら、基板を600℃に加熱してエピタキシャル成長させた。
次に、下部クラッド層の(Ba,Sr)TiO膜をPLD法により形成した。具体的には、(Ba0.6Sr0.4)TiOのターゲットを用い、チャンバ内を13.3Pa(100mTorr)、酸素ガスを2.8sccm流しながら基板を800℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmの(Ba0.6Sr0.4)TiO膜を形成した。
次に、ターゲットを交換して、下部クラッド24層上にコア層25のPZT膜をPLD法により形成した。具体的には、PZT10/90のターゲットを用い、チャンバ内を2.7Pa(20mTorr)、酸素ガスを6sccm流しながら基板を650℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmのPZT膜を形成した。
次に、コア層25上に上部クラッド層31の(Ba,Sr)TiO3膜をPLD法により形成した。具体的には、(Ba0.6Sr0.4)TiOのターゲットを用い、チャンバ内を13.3Pa(100mTorr)、酸素ガスを2.8sccm流しながら基板を800℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmの(Ba0.6Sr0.4)TiO膜を形成した。
次に、上部クラッド層31の(Ba0.6Sr0.4)TiO膜上にスパッタ法により厚さ150nmの白金膜の上部電極26A,26Bを形成した。具体的には、(Ba0.6Sr0.4)TiO膜上に直角三角形のパターンを配置して、スパッタ装置内の圧力を1Pa(7.5×10−3Torr)、アルゴンガス30sccmを流して白金膜を形成した。上部電極26A,26Bの寸法を、底辺300μm、高さ1000μmの直角三角形とした。
次に、スパッタ時の(Ba0.6Sr0.4)TiO膜の損傷を除去するため、アニールを行った。具体的には電気炉で5L/分の酸素ガスを流しながら、600℃1時間加熱した。
次に、出射側の端面を研磨して、レーザ光を出射可能とし、また上部クラッド層31にプリズムを固着した。以上により本実施例の光偏向素子40を形成した。
本実施例の光偏向素子40によれば、シリコン単結晶基板41とマグネシアスピネル膜22との間に熱酸化膜42が設けられている。熱酸化膜42によりシリコン単結晶基板41とマグネシアスピネル膜22との界面における結合が切り離されるので、マグネシアスピネル膜22がシリコン単結晶基板の結晶面に拘束されず熱処理の過程で自己再配列可能となる。したがって、マグネシアスピネル膜22がより結晶性が高く形成されるので、マグネシアスピネル膜22上に形成される下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、及び上部クラッド層31の結晶性を向上することができる。
[第5実施例]
本実施例の光偏向素子は第4実施例と同様の構成とした。また、本実施例の光偏向素子はコア層の作製条件が異なる以外は、第4実施例と同様である。
本実施例において、下部クラッド24層上にコア層25のPZT膜をPLD法により形成した。具体的には、PZT10/90のターゲットを用い、チャンバ内を2.7Pa(20mTorr)〜27Pa(200mTorr)、酸素ガスを6sccm流しながら基板を600℃〜700℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmのPZT膜を形成した。
図12は、本実施例に係るコア層25の伝搬損失と結晶性との関係を示す図である。図12中において、縦軸はコア層25の伝搬損失を示し、横軸はコア層25のPZT膜の(002)面についてのロッキングカーブより得られたピークの半値幅を示す。なお、PZT膜の(002)面のロッキングカーブは、X線ディフラクトメータを用いて2θ−θ法によりPZT膜の(002)面の回折線の角度に合わせ、入射面を変化させることにより得られる。また、伝搬損失は、フォトディテクターで検出した光をフォトパワーメータにより測定した。
図12を参照するに、本実施例のチャンバ内圧力20mPa、基板温度650℃の条件で形成したPZT膜は、半値幅が0.9度、損失が19dBであった。図12に示すように半値幅が小さいほど、すなわちPZT膜の結晶性が良好なほど、光の伝搬損失が低減されることが分かる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、第1〜第3実施例と第4実施例は組み合わせることができる。また、第1〜第4実施例において、下部又は上部クラッド層にPLZT膜、コア層にPZT膜を用いたが、上述した下部又は上部クラッド層とコア層との屈折率の大小関係が確保されていさえすれば、実施の形態において挙げた酸化物層の材料を用いることができることはいうまでもない。
また、実施例では偏向素子を例に説明したが、ブラッグ反射型スイッチ、全反射型スイッチ、方向性結合スイッチ、マッハツェンダ干渉スイッチ、位相変調素子、モード変換素子、波長フィルター素子など電気光学効果を用いるすべての光導波路素子において同様に適応可能である。
以上詳述したところから明らかなように、本発明によれば、光ビームが伝搬する第2の酸化物層がエピタキシャル膜より形成され、結晶性が優れて良好であるので、光伝搬損失が低く光学的特性の優れた、低製造コストの光偏向素子およびその製造方法を提供することができる。
【書類名】明細書
【技術分野】
本発明は、光通信に用いられる光偏向素子およびその製造方法に係り、特に光導波路中の光ビームを電気光学効果により偏向させる光偏向素子およびその製造方法に関する。
【背景技術】
近年の情報通信にかかるデータ量の増大に伴い、光を媒体とした通信技術の重要度が増してきている。特に、光ファイバ網が各家庭に張り巡らせ始め、末端ユーザが急激に増加することが予定されている。光ファイバ網を使用して多数の末端ユーザに効率良くデータを送るためには、伝送損失が少なく、切り替えチャンネル数の多い高性能な光スイッチが必要となる。
現在提案されている光スイッチには、MEMS(Micro Electronic Mechanical System)方式、バブル方式、薄膜導波路方式などが提案されている。このうち薄膜導波路方式は、基板上にクラッド層−コア層−クラッド層の多層構造を設け、コア層に光を伝送させるものである。これらの層のうち特にコア層に、電界をかけると屈折率が変化する材料、いわゆる電気光学効果をもつ材料を用いれば、電界を印加するだけで光を偏向することができる。このような原理を用いた薄膜導波路方式の光スイッチは、MEMS方式やバブル方式と比較して、微小な機械的駆動部や複雑な構造を持たないため、製造コストを低減することが可能であると期待されている。
多くの物質が電気光学効果を有していることが知られているが、電界印加による屈折率変化が大きい材料は、現在のところ一部の酸化物に限られている。電気光学効果は物質を構成する原子の特定な配列、すなわち結晶に由来するものであり、非晶質(アモルファス)状態では、電気光学効果が発現しなかったり、大きく低下したりする。通常、酸化物を利用する場合、酸素の存在下で数百℃に加熱して結晶化を行うことで、電気光学効果を得ることができる。これらの材料の薄膜実装を考える場合、組成が均一で欠陥のない酸化物単結晶膜が高い光透過率・電気光学効果、シングルモードの動作を得るためには理想的である。
しかし、多くの場合単結晶膜を得るのは非常に困難で、通常は多結晶膜としてしか得られない。多結晶膜には結晶粒界等の欠陥が存在するため、単結晶膜より光透過率が低い。一般に、結晶が大きくなればなるほど、特定の面方向に配向すればするほど光透過率は大きくなる傾向がある。したがって基板に垂直方向だけでなく、基板面内にも配向した膜、いわゆるエピタキシャル膜(3軸配向膜)が、低損失の光スイッチを得るためには好ましい。
従来、高い光透過率をもつ、低損失の酸化物のエピタキシャル膜を得るために、酸化マグネシウム(MgO)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などの酸化物単結晶基板が用いられてきた。これらの基板は導電性を持たないので、まずこれらの基板上に下部電極となる金属膜、例えば白金膜をエピタキシャル成長させた後、その結晶性を引き継ぐ形で、エピタキシャル成長させることで、良質な酸化物結晶膜を得ている。
しかし、一般に用いられている酸化物単結晶基板は2インチ程度であり、大型化が困難である。また価格の点でも、6インチのシリコン単結晶基板が数千円であるのに対し、2インチのMgO基板は十数万円と高価であるので実用上難点がある。そこで、酸化物層のエピタキシャル膜を成長させる基板として、シリコン単結晶基板を用いる検討が行われている。
まず、シリコン単結晶基板上にエピタキシャル膜を成長させるためには、シリコン単結晶基板の表面の配向を利用する必要がある。しかし、シリコン単結晶基板の表面が高温で酸素雰囲気中に曝されると、酸化されてシリコン酸化膜(SiOx)が形成されてしまう。シリコン酸化膜は非晶質で配向を持たないのでシリコン酸化膜上にはエピタキシャル膜は成長しない。また、エピタキシャル膜の成長には、成長させる膜とシリコン単結晶基板との間の反応や拡散が少ないことも重要である。これまでに、シリコン単結晶基板上にエピタキシャル成長可能な材料として、イットリウム安定化ジルコニア(YSZ)、酸化セリウム(CeO2)等の希土類元素の酸化物、酸化マグネシウム(MgO)、マグネシアスピネル(MgAl24)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)などが開示されている。これらの材料の結晶層を中間層として、中間層上にペロブスカイト構造を有する酸化物のエピタキシャル膜を形成する試みがなされている。
これらに中間層のうち、マグネシアスピネル膜は、シリコン基板(001)面上に(001)面を主面としてエピタキシャル成長し、さらにペロブスカイト構造を有する結晶の(001)面がエピタキシャル成長することが知られている(例えば、特許文献1、非特許文献1参照)。
ところで、シリコン単結晶基板上にマグネシアスピネル膜、ペロブスカイト構造を有する結晶が形成された積層体を光偏向素子などに用いるためには、ペロブスカイト構造を有する結晶の上下に電界を印可する電極を設けることが必要となる。すなわち、マグネシアスピネル膜とペロブスカイト構造の酸化物層のエピタキシャル膜との間に導電層を設ける必要がある。
しかし、かかる導電層の結晶性が低い場合は、導電層上に形成されるペロブスカイト酸化物層の結晶性が低下し、光伝搬損失が増加し、また電気光学効果が低下してしまうという問題がある。
【特許文献1】特開昭55−61035号公報
【非特許文献1】Matsubara et al, J. Appl. Phys., 66 (1989) 5826
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は上記の課題を解決した新規で有用な光偏向素子およびその製造方法を提供することを概括的課題とする。
本発明のより具体的な課題は、光伝搬損失が低く光学的特性の優れた、低製造コストの光偏向素子およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によれば、
単結晶基板と、
前記単結晶基板上に形成されたマグネシアスピネル膜よりなる中間層と、
前記中間層上に形成された白金族元素を含む導電層よりなる下部電極と、
前記下部電極上に形成された第1の酸化物層と、
前記第1の酸化物層上に形成された第2の酸化物層と、
前記第2の酸化物層上に形成された上部電極とを有した光偏向素子であって、
前記中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層はエピタキシャル膜よりなり、
前記第2の酸化物層の屈折率が、前記第1の酸化物層の屈折率より大きい、前記下部電極が、PtまたはIrを主成分とする光偏向素子が提供される。
本発明によれば、単結晶基板上に形成された中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、単結晶基板の結晶性を引き継いだエピタキシャル膜より形成されている。したがって、光導波路となる第2の酸化物層がエピタキシャル膜であるので、結晶性が優れて良好である。その結果、光学特性が優れて良好であり、特に光伝搬損失の低減を図ることができる。
ここで、エピタキシャル膜とは、エピタキシャル膜が形成される基板あるいは下地層を構成する結晶とある方位関係を持って形成された膜である。したがって、エピタキシャル膜は、成長方向の結晶配向性のみならず、面内の方位の結晶配向性を有する。
前記単結晶基板はシリコン単結晶基板とする。従来光偏向素子に使用されるMgO等の酸化物単結晶基板と比較して、シリコン単結晶基板は大型の基板が得られ、かつ安価であるので、光偏向素子の製造コストを大幅に低減することができる。
前記単結晶基板と中間層との間にさらに非晶質層が形成されてもよい。単結晶基板上の中間層はエピタキシャル成長により形成されている。したがって、単結晶基板表面とその上に成長した中間層であるマグネシアスピネル膜とはヘテロエピタキシャル構造を形成し、これらの界面は強固に結合している。その結果、マグネシアスピネル膜を構成する原子が熱処理等により再配列しようとしても、単結晶基板の結晶面の原子配列に拘束されて再配列が制限されてしまう。単結晶基板上にマグネシアスピネル膜が形成されている状態で、これらの界面に非晶質層を設けて上記の拘束を切ることにより、マグネシアスピネル膜の自己再配列を可能とすることができる。したがってマグネシアスピネル膜の結晶性が向上し、その上に形成される下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、良好な結晶性を引き継いで、それぞれの層の結晶性が向上される。
前記第2の酸化物層が電気光学効果を有する。前記下部電極と上部電極との間に電圧を印加することにより、第2の酸化物層に屈折率変化領域を形成して、伝搬する光ビームの進行方向を第2の酸化物層の面内方向に偏向することが可能となる。
前記第1及び第2の酸化物層のうち少なくとも1つが単純ペロブスカイト格子を含む結晶構造を有する。単純ペロブスカイト格子を有する酸化物層は電気光学効果を有し、例えば、ポッケルス効果あるいはカー効果などが大きい。したがって屈折率の変化が大であるので、偏向角を増加することが可能となる。
前記単結晶基板、中間層及び下部電極の積層方向の結晶方位が[001]であってもよい。さらに、前記第1及び第2の酸化物層の積層方向の結晶方位が[001]であってもよい。下部電極と上部電極とによる電界の印加方向に対して、第1及び第2の酸化物層の結晶方位のうち自発分極が最大となる方向、すなわち分極軸方向[001]を平行にする。ペロブスカイト構造を有する酸化物のような酸素8面体型強誘電体の1次の電気光学定数は、誘電率、自発分極の大きさ、及び2次の電気光学定数の積で表わされる。正方晶のペロブスカイト構造を有する酸化物の分極軸方向は[001]であるので、下部電極と上部電極とによる電界の印加方向と分極軸方向を一致させることにより、電気光学効果が最大となり、屈折率の可変範囲を拡大することが可能となる。その結果偏向角を増加することが可能となる。
前記第2の酸化物層と上部電極とに間に、前記第2の酸化物層上にエピタキシャル成長により形成された第3の酸化物層を更に有し、前記第2の酸化物層の屈折率が、前記第1及び第3の酸化物層の屈折率より大きい構成としてもよい。第3の酸化物層をクラッド層として、第1の酸化物層と第3の酸化物層により第2の酸化物層を挟んだ光導波型偏向素子を構成する。第3の酸化物層も、第2の酸化物層上にエピタキシャル成長により形成されるので、結晶性に優れているため、第2の酸化物層からの光ビームの染みだしによる損失を抑制することが可能となる。
本発明の他の観点によれば、
単結晶基板上にマグネシアスピネルよりなる中間層を形成する中間層形成工程と、
前記中間層上に白金族元素よりなる導電層よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、
前記下部電極上に第1の酸化物層を形成する第1酸化物層形成工程と、
前記第1の酸化物層上に第2の酸化物層を形成する第2酸化物層形成工程と、
前記第2の酸化物層上に上部電極を形成する上部電極形成工程とを備えた光偏向素子の製造方法であって、
前記中間層、下部電極、第1の酸化物層、及び第2の酸化物層はエピタキシャル成長により形成される光偏向素子の製造方法が提供される。
本発明によれば、単結晶基板上に形成された中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、単結晶基板の結晶性を引き継いだエピタキシャル膜より形成されている。したがって、光導波路となる第2の酸化物層がエピタキシャル膜であるので、結晶性が優れて良好である。その結果、光学特性が優れて良好であり、特に光伝搬損失の低減を図ることができる。
前記中間層形成工程と下部電極形成工程との間に、酸素ガスあるいは水蒸気を含む雰囲気中で熱処理を行う工程を更に備えてもよい。熱処理により単結晶基板と中間層との界面に熱酸化膜が形成される。したがって、ヘテロエピタキシャル構造をなす単結晶基板と中間層との結合が切られるので、中間層であるマグネシアスピネル膜が熱処理により自己再配列が可能となる。したがって、マグネシアスピネル膜の結晶性がさらに良好となり、その上に形成される下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層は、良好な結晶性を引き継いで、それぞれの層の結晶性が向上される。
【発明を実施するための最良の態様】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。
(本発明による光偏向素子に係る積層構造体)
図1は、本発明による光偏向素子の基本となる積層構造体の断面図である。
図1を参照するに、積層構造体10は、単結晶基板11上に、中間層12、導電層13、及び酸化物層14が順次積層された構成となっている。本願発明者は、かかる積層構造体10において、単結晶基板11に例えばシリコン単結晶基板またはGaAs単結晶基板、中間層12にマグネシアスピネル膜、及び導電層13に白金族の元素等を用いることにより、シリコン単結晶基板またはGaAs単結晶基板の安価でかつ直径の大なる単結晶基板上に、マグネシアスピネル膜を介して、良質な結晶性を有するエピタキシャル層の導電層を形成できることを見出した。導電層の結晶性の程度は、MgO単結晶基板に直接エピタキシャル成長させた導電層と同程度であり、優れて結晶性が良好であることを確認した。本発明に係る積層構造体は、安価で大直径が得られる単結晶基板を用いることができる点において従来の積層構造体に対して特に有用である。
さらに、本願発明者は、積層構造体の導電層上に形成される酸化物層が導電層の結晶性を受け継いで、(001)面が成長面となるエピタキシャル層を形成できることを見出した。本発明は、かかる積層構造体10を光偏向素子に適用したものである。先ず、積層構造体10について説明する。
積層構造体10の単結晶基板11は、例えばシリコンまたはGaAsの単結晶基板が用いられる。単結晶基板11の厚さは約500μm、主面を(001)面としたものである。主面を(001)にすることにより単結晶基板11上にエピタキシャル成長させる各層の面方位を揃え、最終的に酸化物層14の面方位を(001)面とすることができる。なお、主面を(001)面とし0°より4°の範囲で微傾斜した単結晶基板11を用いても良い。単結晶基板11表面の微少な凹凸に起因して中間層12に結晶粒界が発生することがあるが、微傾斜した単結晶基板11を用いることにより、中間層12の膜面内の成長方向を揃えて結晶粒界の発生を抑制することができる。
中間層12は、前記単結晶基板11上にCVD法等によりエピタキシャル成長した厚さ100nmのマグネシアスピネル(MgAl2O4)により構成される。具体的には、中間層12は、厚さが80nm〜600nmである。中間層12であるマグネシアスピネル膜は、例えばシリコンの単結晶基板の(001)面上には、(001)面が成長する。単結晶基板11の(001)面上にマグネシアスピネル膜の(001)面が形成され、単結晶基板11の[100]方向とマグネシアスピネル膜の[100]方向が一致する。
導電層13は、前記中間層12上にRFスパッタ法等によりエピタキシャル成長した厚さ200nmの白金族の元素あるいは合金により構成される。白金族の元素は、例えばRu、Rh、Pd、Os、Ir、Ptである。このうち特にIr又Ptが優れた結晶配向性が得られる点で好適である。
また、導電層13は、マグネシアスピネルの(001)面上に、白金族の元素又は合金の(001)面が成長したものである。従来、シリコン単結晶基板にエピタキシャルのマグネシアスピネル膜を形成し、さらにPZT膜等を形成した例は報告されていたが、シリコン単結晶基板上にマグネシアスピネル膜及び白金族元素又は合金のエピタキシャル膜が順次積層された例は報告されていない。本実施の形態に係る単結晶基板11/マグネシアスピネルの中間層12/白金族元素又は合金膜の導電層13からなる薄膜積層体16は、この薄膜積層体16上に後述する単純ペロブスカイト格子を有する結晶の酸化物層14をエピタキシャル成長させることができ、白金族元素又は合金膜の導電層13は導電性であり、比抵抗が11μΩ・cm程度で低抵抗であるので電極(例えば第1実施例の下部電極23)として用いることができる。特に、高周波を用いて酸化物層14に電界を印加する場合は、導電層の結晶性が優れているので結晶粒界等に起因するインピーダンスの増加が抑制されるという利点がある。
酸化物層14は、前記導電層13上にエピタキシャル成長した単純ペロブスカイト格子を有する結晶により構成される。単純ペロブスカイト格子を有する結晶は、例えば、ペロブスカイト構造、ビスマス層状構造、タングステンブロンズ構造等が挙げられる。これらの結晶構造を有する結晶は強誘電体であり、電気光学効果を有している。
さらに、酸化物層14には、ペロブスカイト構造を有する、例えばPb(Zr1-xTix)O3(0≦x≦1)の一般式で示されるPZTを用いることができる。また、Pb(B’1/3B”2/3)O3(B’:2価の金属、B”:5価の金属)や、Pb(B’1/2B”1/2)O3(B’:3価の金属、B”:5価の金属)、Pb(B’1/2B”1/2)O3(B’:2価の金属、B”:6価の金属)の一般式で示される結晶、更にPZTに添加元素を加え、(Pb1-yLay)(Zr1-xTix)O3(0≦x、y≦1)の一般式で示されるPLZT、Pb(B’1/3B”2/3xTiyZr1-x-y3(0≦x、y≦1、B’:2価の金属、B”:5価の金属)、Pb(B’1/2B”1/2xTiyZr1-x-y3(0≦x、y≦1、B’:3価の金属、B”:5価の金属)、Pb(B’1/2B” 1/2xTiyZr1-x-y3(0≦x、y≦1、B’:2価の金属、B”:6価の金属)、又は(Sr1-xBax)TiO3(0≦x≦1)の一般式で示される結晶を用いることができる。
上記Pb(B’1/3B”2/3)O3(B’:2価の金属、B”:5価の金属)の一般式で示される結晶のうち更に好ましいものは、例えばPbNi1/3Nb2/33、PbCo1/3Nb2/33、PbMg1/3Nb2/33、PbZn1/3Nb2/33、PbMn1/3Nb2/33、PbNi1/3Ta2/33、PbCo1/3Ta2/33、PbMg1/3Ta2/33、PbZn1/3Ta2/33、PbMn1/3Ta2/33が挙げられる。これらのうち特に好ましいものは、PbNi1/3Nb2/33、PbCo1/3Nb2/33、PbMg1/3Nb2/33、PbZn1/3Nb2/33が挙げられる。
また、上記Pb(B’1/2B”1/2)O3(B’:3価の金属、B”:5価の金属)の一般式で示される結晶のうち特に好ましいものは、例えばPbFe1/2Nb1/23、PbSc1/2Nb1/23、PbSc1/2Ta1/23が挙げられる。
さらに、上記Pb(B’1/2B”1/2)O3(B’:2価の金属、B”:6価の金属)の一般式で示される結晶のうち好ましいものは、例えばPbMg1/21/23が挙げられる。なお、例えば、0.65PbMg1/3Nb2/33−0.35PbTiO3や0.5PbNi1/3Nb2/33−0.35PbTiO3−0.15PbZrO3などの多成分系結晶でもよい。
また、ビスマス層状構造を有する結晶で代表的なものは、例えば、SrBi2Ta29(SBT)、Bi4Ti312、(Bi4-xx)Ti312(RはY、Sc、及び希土類元素、1≦x≦3)、(SrxBa1-x)Bi4Ti415、PbBi4Ti415が挙げられ、さらにこれらの結晶に、V(バナジウム)あるいはW(タングステン)を1〜2mol%添加してもよい。タングステンブロンズ構造を有する結晶で代表的なものは、例えば、Ba2NaNb315、Ba1-xSrxNb26等が挙げられる。
酸化物層14は、CVD法、CSD(Chemical Solution Deposition)法、ゾル・ゲル法、PLD(Pulse Laser Deposition)法、MOCVD(有機金属CVD)法などを用いて形成することができるが、大面積の基板に適用可能な方法であれば限定されないが、CSD法が比較的大面積の基板に容易に形成できる点で好適である。
なお、導電層13と酸化物層14との間に、半導性あるいは導電性を示すペロブスカイト格子を有する結晶構造の半導性酸化物層あるいは導電性酸化物層を形成してもよい。具体的には、例えば、半導性酸化物としては、NbあるいはLaをドープしたSrTiO3が好適である。ドープ量は例えば1原子%とする。また、導電性酸化物としては、SrRuO3、CaRuO3、LaRuO3、LaxSr1-xCoO3(0≦x≦1)、LaxSr1-xMnO3(0≦x≦1)が挙げられる。電気光学効果により屈折率変化を起こさせるために、酸化物層14に電界を印加して、その電界をオン、オフまたは方向を反転するなどして酸化物層14の分極反転を繰り返すと、導電層13と酸化物層14との界面の酸素欠損等の格子欠陥に起因して、酸化物層14の自発分極が劣化すると共に電気光学効果が劣化することがある。導電層13及び酸化物層14との間に半導性あるいは電気導電性酸化物層を形成することにより自発分極の劣化を抑制し、電気光学効果による屈折率の可変範囲の狭小化を抑制することが可能となる。なお、後述する光偏向素子においては酸化物層14上に上部電極が形成されるが、酸化物層と上部電極との界面においても同様に、半導性あるいは導電性を示すペロブスカイト格子を有する結晶構造の半導性酸化物層あるいは導電性酸化物層を形成してもよい。
次に、積層構造体の製造方法を説明する。図2は、積層構造体の製造工程を示すフローチャートである。
図2を参照するに、先ず、単結晶基板11を洗浄後、単結晶基板11の自然酸化膜を希フッ酸により除去する。自然酸化膜を除去して、単結晶基板11の結晶面を露出させる(S102)。
次にCVD法、MBE法等により、自然酸化膜が除去された単結晶基板11上にマグネシアスピネルの中間層12をエピタキシャル成長させる(S104)。CVD法は、大面積、例えば直径300mm程度の単結晶基板11にも均一に成膜可能な点で好適である。CVD法による場合は、マグネシアスピネルの構成元素を、各々のソースチャンバ内で加熱して蒸発させ、キャリアガスにより成膜チャンバ内に送り、単結晶基板11を750℃〜1050℃に加熱し、成膜速度5nm/分〜30nm/分に設定して厚さ80nm〜600nm形成する。
次にマグネシアスピネルの中間層12上に導電層13をエピタキシャル成長させる(S106)。具体的には、基板を400℃以上、好ましくは500℃以上の温度に加熱・保持して、アルゴンガス雰囲気中でRFスパッタ法により白金族の金属を厚さ20〜2000nm堆積する(S106)。この際、アルゴンガス雰囲気に少量の酸素、例えばアルゴンガス30sccmに対して酸素ガス1sccm〜3sccmを加えることで、さらに結晶性の良好な導電層13を形成することができる。中間層12表面のマグネシアスピネルの酸素原子が成膜中に乖離するのを抑制し、マグネシアスピネル膜表面の結晶性が保持され、良好な結晶性が導電層13に反映されるためである。
次に、導電層13上に例えばCSD法により酸化物層14を形成する(S108)。具体的には、Pb,Zr,Ti等の濃度が調製されたPZT薄膜形成剤を導電層13上にスピンコートし、溶剤を揮発乾燥させる。必要に応じてスピンコートを数回繰り返して所望の厚さを得る。
次に酸化物層14を結晶化させ、エピタキシャル成長させるための加熱処理を行う(S110)。具体的には、RTA(短時間アニール)が可能なハロゲンランプアニール装置、ファーネス等により酸素雰囲気中で500℃〜800℃、5分〜15分に設定して行う。
なお、PLD法により酸化物層13を形成してもよい(S108A)。具体的には、真空チャンバ内の圧力を26.6Pa(200mTorr)としてPZT等よりなるターゲットと導電層13まで形成した基板をセットし、レーザをターゲットに照射してターゲット材が霧化され、プルーム経由して導電層13上に堆積される。レーザの出力、折り返し周波数等により堆積させる厚さを調節する。なお、大面積の基板に対して成膜する場合は、ターゲットや基板をプルーム相対的に移動させることによって、より均一な厚さの酸化物層を形成することができる。以上により、図1に示す積層構造体10が形成される。
図3は、積層構造体のうち、シリコン単結晶基板11/マグネシアスピネル膜12/白金膜13よりなる薄膜積層体16のX線回折パターンを示す図である。薄膜積層体16は、上述した本実施の形態において、単結晶基板11にシリコン、中間層12にマグネシアスピネル膜、導電層13に白金膜を用いたものである。図3は、薄膜積層体16を、X線ディフラクトメータを使用して、薄膜積層体16の膜面にθのなす角より入射し、2θ方向の回折角に現れた強度を測定したものである(2θ−θ法)。
図3を参照するに、シリコン単結晶基板11の(004)面、マグネシアスピネル膜の(004)面、及び白金膜の(002)面の回折線が現れている。白金膜の回折線に注目すると、2θ=46°に(002)面の回折線が現れている一方で、例えば(111)面(2θ=39°)及び(011)面(2θ=65°)は表れていない。このことから、白金膜は(001)面を主面として、積層方向が完全に[001]方向に配向していることがわかる。なお、マグネシアスピネル膜は(004)面の回折線のみが現れている。したがって、シリコン単結晶基板の(001)面上にマグネシアスピネル膜さらにその上に白金膜が一軸配向していることが分かる。
図4A〜図4Cは、図3の薄膜積層体16のそれぞれの膜について、試料のみを回転させるφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。図4Aは白金膜の(202)面、図4Bはマグネシアスピネル膜の(404)面、図4Cはシリコン単結晶基板の(202)面についてφスキャンを行ったものである。図4A〜図4Cを参照するに白金膜、マグネシアスピネル膜、シリコン単結晶基板11は同じ角度で4回対称軸を有することが分かる。すなわち、薄膜積層体16は、シリコンの単結晶基板11上にcube−on−cubeの様式でエピタキシャル成長していることが分かる。
図5Aは、の薄膜積層体16の白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。一方、図5Bは本発明によらないMgO単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。図5Aを参照するに、本実施の形態の白金膜の(002)面の回折線のピークの半値幅は0.39°になっている。図5Bに示す本発明によらない白金膜の(002)面の回折線のピークの半値幅0.41と同等以上であるので、本実施の形態の導電層13の白金膜は、結晶性が優れていることがわかる。
白金膜の結晶性は、白金膜上にエピタキシャル成長されるPZT等の酸化物層の結晶性を決定する上で重要であり、可能な限り結晶性が良好であることが好ましい。本実施の形態によれば、MgO単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜と同等であるので、結晶性の良好な酸化物層を形成することができる。
図6は、本実施の形態の酸化物層についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。この酸化物層はCSD法によりPLZT薄膜形成剤(PLZT113/3/45/55、濃度15質量%)を塗布、結晶化してPLZT膜を形成したものである。ここでPLZT113/3/45/55は、Pb、La、Zr及びTiのモル濃度比がそれぞれ113:3:45:55であることを示す。また、φスキャンは、PLZT膜の(222)面について行ったものである。
図6を参照するに、酸化物層14のPLZT膜は、図4A〜図4Cに示した単結晶基板11/中間層12/導電層13と同じ角度で4回対称軸を有することが分かる。すなわち、酸化物層14は、導電層13上にcube−on−cubeの様式で形成されていることが分かる。
上述したように、積層構造体は、シリコンまたはGaAsの単結晶基板11上にマグネシアスピネル膜の中間層12、導電層13、酸化物層14が順次エピタキシャル成長して形成され、酸化物層14の下地層となる導電層13が従来のMgOの単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜と同等の良好な結晶性を有しており、したがって、導電層13上に形成された酸化物層がエピタキシャル層となり、優れて良好な結晶性を有している。
よって、この積層構造体、すなわち、酸化物層上にさらに形成される他の酸化物層もエピタキシャル膜となり、良好な結晶性を有することが可能となる。その結果、酸化物層をクラッド層、その他の酸化物層をコア層とする導波路型光偏向素子は、その他の酸化物層(コア層)の結晶性が良好なため散乱による光伝搬損失を極めて低減することができ、酸化物層(クラッド層)の結晶性も良好なため、その他の酸化物層との界面での全反射における損失を低減することができる。
また、積層構造体は導電層が結晶性の良好な白金膜などの金属あるいは金属酸化物であるので、電気抵抗が低く、結晶粒界、格子欠陥等に起因する高周波におけるインピーダンスの増加を防止することができる。以下、図面に基づいて本発明の実施例を説明する。

[第1実施例]
図7は、本発明の第1実施例に係る光偏向素子の平面図である。また、図8は、第1実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図7及び図8を参照するに、本実施例に係る光偏向素子20は、シリコン単結晶基板21上に、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部電極26が順次積層された構成となっている。これらのうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24のPLZT膜、及びコア層25のPZT膜は、それぞれの下層に対して下層の結晶性を引き継いでエピタキシャル成長されている。
光偏向素子20は、導波路型の偏向素子を形成している。ここで、例えば、コア層25のPZT膜の屈折率を2.45、下部クラッド層24の屈折率を2.36に設定する。つまり、コア層25の屈折率に対して、下部クラッド層24の屈折率を小とする。なお、コア層25の上面にはクラッド層を形成していないが、空気の屈折率は1.0程度であるので、コア層25の屈折率が大きくコア層25の上面において、コア層25を伝搬する光は全反射される。なお、下部クラッド層24に吸収されることによる光損失の観点からは、コア層25の屈折率と下部クラッド層24の屈折率との差は、コア層25の屈折率に対して0.5%以上あればよい。0.5%より小さい場合はコア層25を伝搬する光が下部クラッド層24との界面において全反射しづらくなり、光損失が大となる。
光偏向素子20は、下部電極23と上部電極26との間に印加される電圧に応じて、上部電極26の下方のコア層25及び下部クラッド層24には、電気光学効果により屈折率が変化する屈折率変化領域25A、24Aが形成される。屈折率変化領域25A、24Aは、上部電極26と同一の形状を上面とする三角柱状に形成される。
コア層25に入射された光は、コア層25と下部クラッド層24との界面や、コア層25上面(空気との界面)で全反射を繰り返しながらコア層25中を伝搬する。コア層25を伝搬し、屈折率変化領域25Aとの境界において、屈折の法則に基づいて光が偏向される。すなわち、屈折率変化領域25Aとの境界に垂直あるいは平行に入射する光は偏向せず直進し、それ以外の場合は光は偏向される。屈折率変化領域25Aの入射側は、図7に示すように、光に対して上部電極26の底辺が垂直に設けられているので、入射光は偏向せず直進し、そして上部電極26の斜辺に対応する屈折率変化領域からの射出部において光が偏向され、光偏向素子20の出射面より、例えば矢印LB1〜LB2の範囲のように偏向された光が射出される。例えば、本実施例の光偏向素子20は、下部電極23に対して上部電極26に25V〜100Vの電圧を印加・掃引すると、0.5度〜2度偏向することが可能である。なお、電圧の印加によって、コア層25の屈折率変化領域25Aのみならず、下部クラッド層24の屈折率変化領域24Aの屈折率も変化する。コア層25の屈折率変化領域25Aの屈折率に対して0.5%以上小さい。コア層25の屈折率変化領域25A中の光損失を抑制することができる。 次に、本実施例の光偏向素子20の製造例について説明する。
先ず、(001)面を主面とする2インチのシリコン単結晶基板21を洗浄後、9質量%の希フッ酸に浸漬して、シリコン単結晶基板の表面の自然酸化膜(SiO)を除去した。
次に、シリコン単結晶基板上にCVD法により厚さ100nmのマグネシアスピネル膜を形成する。具体的には、シリコン単結晶基板をCVDの成膜チャンバ内に配置し、基板温度900℃に保持した。Mg原料にはMgCl2を用い、Mgソースチャンバ内で500℃に加熱して蒸発させ、MgCl2の蒸発物をキャリアガスに水素ガスを用いて成膜チャンバ送った。Al原料には金属Alを用い、Alソースチャンバ内で550℃に加熱して蒸発させ、塩化水素ガスと水素ガスをキャリアガスとして、AlCl3として成膜チャンバに送った。また、炭酸ガス及び水素ガスを導入し、前記MgCl2の蒸発物とAlCl3と混合して成膜チャンバに導入した。成膜チャンバにおいてシリコン単結晶基板を900℃に加熱して成膜速度20nm/分でマグネシアスピネル膜を形成した。
次に、マグネシアスピネル膜上にスパッタ法により厚さ200nmの白金膜を形成した。具体的には、スパッタ装置内を1Pa(7.5×10-3Torr)の圧力にして、30sccmのアルゴンガスと1sccmの酸素ガスを流しながら、基板を600℃に加熱してエピタキシャル成長させた。
次に白金膜上にCSD法により下部クラッド層となるPLZT膜を形成した。具体的には、市販のPLZT薄膜形成剤(PLZT9/65/35、濃度17質量%)を白金膜上に約0.3cm3滴下し、3000rpm20秒間回転させた。ここでPLZT9/65/35は、La、Zr及びTiのモル濃度比がそれぞれ9:65:35であることを示す。次いで、PLZTを塗布後の基板を140℃で予熱したホットプレート上で5分間加熱して、PZT薄膜形成剤の溶剤を揮発させ、さらに350℃で5分加熱してPLZT薄膜形成剤を熱分解させた。次いで室温まで冷却した。
次に、RTA(短時間アニール)処理、例えばハロゲンランプアニール装置によりPLZT膜を結晶化させた。具体的には、ハロゲンランプアニール装置に基板を配置して、酸素ガスを5L/分流しながら、650℃、10分間加熱して、PLZT膜を結晶化させた。結晶化後のPLZT膜の膜厚は200nmであった。PLZT薄膜形成剤の塗布から結晶化までの処理を計11回繰り返し、PLZT膜の総厚を2.2μmとした。
次に、下部クラッド層のPLZT膜の上にCSD法によりコア層となるPZT膜を形成した。具体的には、市販のPZT薄膜形成剤(PZT52/48、濃度17質量%)をPLZT膜上に約0.3cm3滴下し、3000rpm20秒間回転させた。次いで、PZTを塗布後の基板を140℃で予熱したホットプレート上で5分間加熱して、PZT薄膜形成剤の溶剤を揮発させ、さらに350℃で5分加熱して、PZT薄膜形成剤を熱分解させた。次いで室温まで冷却した。
次に、例えばハロゲンランプアニール装置によりPZT膜を結晶化させた。具体的には、ハロゲンランプアニール装置に基板を配置して、酸素ガスを5L/分流しながら、650℃、10分間加熱して、PLZT膜を結晶化させた。結晶化後のPZT膜の膜厚は200nmであった。PZT薄膜形成剤の塗布から結晶化までの処理を計13回繰り返し、コア層のPZT膜の総厚を2.6μmとした。
次に、コア層25のPZT膜上にスパッタ法により厚さ150nmの白金膜の上部電極26を形成した。具体的には、PZT膜上に直角三角形のパターンを配置して、スパッタ装置内の圧力を1Pa(7.5×10-3Torr)、アルゴンガス30sccmを流して白金膜を形成した。上部電極26の寸法を、底辺300μm、高さ1000μmの直角三角形とし、底辺を入射側に配置した。
なお、上部電極26はエピタキシャル成長させる必要はなくスパッタ法、蒸着法などにより形成することができ、材料はPt膜に限定されず、金属あるいは合金、あるいは導電性酸化物を用いることができる。上部電極26に好適な金属又は合金は、酸化されにくい、例えば、白金族の元素、Ru等であり、また導電性酸化物は、例えばIrO2、RuO2等である。
次に、スパッタ時のPZT膜の損傷を除去するために、アニールを行った。具体的には電気炉で5L/分の酸素ガスを流しながら、600℃1時間加熱した。上部電極26を形成する際に、上部電極26を構成するスパッタ原子等によりPZT膜表面が損傷を受けているため、加熱処理により、歪みを除去し残留応力等を緩和させ、PZT膜表面の結晶性を向上することができる。
次に、入射側及び出射側の端面を研磨して、レーザ光を入射・出射可能とした。以上により本実施例の光偏向素子20を形成した。
なお、結晶学的関係は、エピタキシャル成長されたPZT膜(コア層25)(001)//PLZT膜(下部クラッド層24)(001)//Pt膜(下部電極23)(001)//マグネシアスピネル膜22(001)//シリコン単結晶基板21(001)、面内方位は、PZT膜(コア層25)[100]//PLZT膜(下部クラッド層24)[100]//Pt膜(下部電極23)[100]//マグネシアスピネル膜22[100]//シリコン単結晶基板21[100]の構造が得られた。

[第2実施例]
本実施例に係る光偏向素子は、コア層上にさらに上部クラッド層を形成した以外は第1実施例と同様である。
図9は、本発明の第2実施例に係る光偏向素子の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図9を参照するに、本実施例に係る光偏向素子30は、シリコン単結晶基板21上に、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部クラッド層31、上部電極26が順次積層された構成となっている。このうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24のPLZT膜、コア層25のPZT膜及び上部クラッド層31のPLZT膜は、それぞれの下層に対してエピタキシャル成長されており、下層の結晶性を引き継いでいる。マグネシアスピネル膜22からコア層25まで、上部電極26、及び端面の加工は第1実施例と同様に形成した。
光偏向素子30は、第1実施例の光偏向素子20と同様に導波路型の偏向素子を形成しており、コア層25が、下部クラッド層24及び上部クラッド層31に挟まれた構造となっている。第1実施例では空気(屈折率1.0)を上部クラッド層として機能させたが、本実施例ではPLZT膜を用いた。そしてコア層のPZT膜の屈折率を2.45、下部及び上部クラッド層24、31のPLZT膜の屈折率を2.36に設定する、つまり、コア層の屈折率に対して、下部及び上部クラッド層の屈折率を小とする。
さらに、下部及び上部クラッド層24,31に吸収されることによる光損失の観点からは、コア層25の屈折率と、下部及び上部クラッド層24,31の屈折率との差は、第1実施例において説明したコア層25と下部クラッド層24の屈折率との関係と同様である。
したがって、コア層25に入射された光は、コア層25と、下部及び上部クラッド層24、31との界面で全反射を繰り返しながらコア層中を伝搬する。また、上部電極は第1実施例と同様に形成されているので、説明を省略する。
コア層25のPZT膜上に下部クラッド層24のPLZT膜と同様の材料及び工程により、上部クラッド層31のPLZT膜を形成した。PLZT膜の総厚を2.2μmとした。以上により第2実施例の光偏向素子30を形成した。
なお、結晶学的関係は、エピタキシャル成長されたPLZT膜(上部クラッド層31)(001)//PZT膜(コア層25)(001)//PLZT膜(下部クラッド層24)(001)//Pt膜(下部電極23)(001)//マグネシアスピネル膜22(001)//シリコン単結晶基板21(001)の構造が得られた。また、面内方位は、PLZT膜(上部クラッド層31)[100]//PZT膜(コア層25)[100]//PLZT膜(下部クラッド層24)([100]//Pt膜(下部電極23)[100]//マグネシアスピネル膜22[100]//シリコン単結晶基板21[100]の構造が得られた。
なお、上部クラッド層31は、上記したコア層25と屈折率の条件の範囲内であれば、下部クラッド層と同様の材料のみならず、他の材料、例えば、酸化シリコン膜などを用いることができる。

[第3実施例]
本実施例に係る光偏向素子は、第2実施例の導電層の下部電極23の白金膜に替えてイリジウム膜を形成した以外は、第2実施例と同様である。以下、第2実施例と同じ製造工程の説明を省略する。なお符号は、第2実施例の光偏向素子の断面を示す図9の符号を用いる。
イリジウム膜は、マグネシアスピネル膜22上にスパッタ法により厚さ200nmで形成した。具体的には、スパッタ装置内を1Pa(7.5×10-3Torr)の圧力にして、30sccmのアルゴンガスと1sccmの酸素ガスを流しながら、基板を600℃に加熱してエピタキシャル成長させた。
本実施例によれば、イリジウム膜の成長方向が(001)、イリジウム膜の面内方位[100]が他の層の[100]と同じ方向となった。

[第4実施例]
本実施例は、シリコン単結晶基板とマグネシアスピネル膜との間に熱酸化膜を設け、さらに上部クラッド層に2つの上部電極及びプリズムを設けた以外は第2実施例と同様である。
図10は、本発明の第4実施例に係る光偏向素子の平面図である。また、図11は、第4実施例に係る光偏向素子の断面図である。図中、先に説明した部分に対応する部分には同一の参照符号を付し、説明を省略する。
図10及び図11を参照するに、本実施例に係る光偏向素子40は、シリコン単結晶基板41上に、熱酸化膜42、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、上部クラッド層31、第1及び第2上部電極26A、26Bが順次積層され、上部クラッド層31上にはさらにレーザ光をコア層に導入するためのプリズムが設けられた構成となっている。このうち、マグネシアスピネル膜22、下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、及び上部クラッド層31は、それぞれの下層に対して下層の結晶性を引き継いでエピタキシャル成長されている。
光偏向素子40は、上部クラッド層31上に設けられたプリズム44によりレーザ光が入射され、上部クラッド層31を介してコア層25に伝搬される。コア層25を伝搬する光は、第1及び第2上部電極26A、26Bにより偏向され、光偏向素子40の出射面よりコア層の面内方向に偏向された光が出射される。
ここで、第1及び第2上部電極26A、26Bにより形成される2つの屈折率変化領域25A、25Bにより広い偏向角が得られる。
次に、本実施例の光偏向素子40の製造例について説明する。
先ず、(001)面を主面とする2インチのシリコン単結晶基板を用いて、第1実施例と同様にして、マグネシアスピネル膜まで形成した。
次に、大気圧下で酸素ガスを5L/分で流しながら、1000℃〜1100℃で30分〜3時間の熱処理を行う。この熱処理により、マグネシアスピネル膜の中間層22を通って酸素が単結晶基板41に拡散し、単結晶基板41の表面に熱酸化膜42が形成される。なお、酸素ガスの替わりに水蒸気を用いたウェットアニールを行ってもよい。この場合の温度条件および熱処理時間は酸素ガスを使用する場合と同様である。
熱酸化膜42によりシリコン単結晶基板とマグネシアスピネル膜との結合が切り離されるので、マグネシアスピネル膜がシリコン単結晶基板の拘束を受けずに自己再配列することができ、熱処理により原子の移動も容易化されるので、さらにマグネシアスピネル膜の結晶性を向上することが可能となる。熱酸化膜とマグネシアスピネル膜の膜厚の総和は150nmとした。なお、酸素ガスに替えて窒素ガスを用いた場合は、熱酸化膜は形成されず、さらにマグネシアスピネルの結晶性の向上も認められなかった。
次に、マグネシアスピネル膜上にスパッタ法により厚さ200nmの白金膜を形成した。具体的には、スパッタ装置内を1Pa(7.5×10-3Torr)の圧力にして、30sccmのアルゴンガスと1sccmの酸素ガスを流しながら、基板を600℃に加熱してエピタキシャル成長させた。
次に、下部クラッド層の(Ba,Sr)TiO3膜をPLD法により形成した。具体的には、(Ba0.6Sr0.4)TiO3のターゲットを用い、チャンバ内を13.3Pa(100mTorr)、酸素ガスを2.8sccm流しながら基板を800℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmの(Ba0.6Sr0.4)TiO3膜を形成した。
次に、ターゲットを交換して、下部クラッド24層上にコア層25のPZT膜をPLD法により形成した。具体的には、PZT10/90のターゲットを用い、チャンバ内を2.7Pa(20mTorr)、酸素ガスを6sccm流しながら基板を650℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmのPZT膜を形成した。
次に、コア層25上に上部クラッド層31の(Ba,Sr)TiO3膜をPLD法により形成した。具体的には、(Ba0.6Sr0.4)TiO3のターゲットを用い、チャンバ内を13.3Pa(100mTorr)、酸素ガスを2.8sccm流しながら基板を800℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmの(Ba0.6Sr0.4)TiO3膜を形成した。
次に、上部クラッド層31の(Ba0.6Sr0.4)TiO3膜上にスパッタ法により厚さ150nmの白金膜の上部電極26A,26Bを形成した。具体的には、(Ba0.6Sr0.4)TiO3膜上に直角三角形のパターンを配置して、スパッタ装置内の圧力を1Pa(7.5×10-3Torr)、アルゴンガス30sccmを流して白金膜を形成した。上部電極26A,26Bの寸法を、底辺300μm、高さ1000μmの直角三角形とした。
次に、スパッタ時の(Ba0.6Sr0.4)TiO3膜の損傷を除去するため、アニールを行った。具体的には電気炉で5L/分の酸素ガスを流しながら、600℃1時間加熱した。
次に、出射側の端面を研磨して、レーザ光を出射可能とし、また上部クラッド層31にプリズムを固着した。以上により本実施例の光偏向素子40を形成した。
本実施例の光偏向素子40によれば、シリコン単結晶基板41とマグネシアスピネル膜22との間に熱酸化膜42が設けられている。熱酸化膜42によりシリコン単結晶基板41とマグネシアスピネル膜22との界面における結合が切り離されるので、マグネシアスピネル膜22がシリコン単結晶基板の結晶面に拘束されず熱処理の過程で自己再配列可能となる。したがって、マグネシアスピネル膜22がより結晶性が高く形成されるので、マグネシアスピネル膜22上に形成される下部電極23、下部クラッド層24、コア層25、及び上部クラッド層31の結晶性を向上することができる。

[第5実施例]
本実施例の光偏向素子は第4実施例と同様の構成とした。また、本実施例の光偏向素子はコア層の作製条件が異なる以外は、第4実施例と同様である。
本実施例において、下部クラッド24層上にコア層25のPZT膜をPLD法により形成した。具体的には、PZT10/90のターゲットを用い、チャンバ内を2.7Pa(20mTorr)〜27Pa(200mTorr)、酸素ガスを6sccm流しながら基板を600℃〜700℃に加熱し、Nd:YAGレーザ(波長355nm)のレーザ光をターゲットに10Hzの折り返し周波数200分照射し、厚さ3.0μmのPZT膜を形成した。
図12は、本実施例に係るコア層25の伝搬損失と結晶性との関係を示す図である。図12中において、縦軸はコア層25の伝搬損失を示し、横軸はコア層25のPZT膜の(002)面についてのロッキングカーブより得られたピークの半値幅を示す。なお、PZT膜の(002)面のロッキングカーブは、X線ディフラクトメータを用いて2θ−θ法によりPZT膜の(002)面の回折線の角度に合わせ、入射面を変化させることにより得られる。また、伝搬損失は、フォトディテクターで検出した光をフォトパワーメータにより測定した。
図12を参照するに、本実施例のチャンバ内圧力20mPa、基板温度650℃の条件で形成したPZT膜は、半値幅が0.9度、損失が19dBであった。図12に示すように半値幅が小さいほど、すなわちPZT膜の結晶性が良好なほど、光の伝搬損失が低減されることが分かる。
以上本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
例えば、第1〜第3実施例と第4実施例は組み合わせることができる。また、第1〜第4実施例において、下部又は上部クラッド層にPLZT膜、コア層にPZT膜を用いたが、上述した下部又は上部クラッド層とコア層との屈折率の大小関係が確保されていさえすれば、実施の形態において挙げた酸化物層の材料を用いることができることはいうまでもない。
また、実施例では偏向素子を例に説明したが、ブラッグ反射型スイッチ、全反射型スイッチ、方向性結合スイッチ、マッハツェンダ干渉スイッチ、位相変調素子、モード変換素子、波長フィルター素子など電気光学効果を用いるすべての光導波路素子において同様に適応可能である。
【産業上の利用可能性】
以上詳述したところから明らかなように、本発明によれば、光ビームが伝搬する第2の酸化物層がエピタキシャル膜より形成され、結晶性が優れて良好であるので、光伝搬損失が低く光学的特性の優れた、低製造コストの光偏向素子およびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明による光偏向素子の基本となる積層構造体の断面図である。
図2は、積層構造体の製造工程を示すフローチャートである。
図3は、積層構造体のうちシリコン単結晶基板/マグネシアスピネル/白金膜の薄膜積層体のX線回折パターンを示す図である。
図4Aは、白金膜の(202)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図4Bは、マグネシアスピネル膜の(404)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図4Cは、シリコン単結晶基板の(202)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図5Aは、薄膜積層体の白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。
図5Bは、本発明によらないMgO単結晶基板上にエピタキシャル成長された白金膜の(002)面についてのロッキングカーブを示す図である。
図6は、積層構造体のPLZT膜の(222)面についてのφスキャンによるX線回折パターンを示す図である。
図7は、本発明の第1実施例に係る光偏向素子の平面図である。
図8は、第1実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図9は、本発明の第2実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図10は、本発明の第4実施例に係る光偏向素子の平面図である。
図11は、第4実施例に係る光偏向素子の断面図である。
図12は、本発明の第5実施例に係るコア層の伝搬損失と結晶性との関係を示す図である。

Claims (19)

  1. 単結晶基板と、
    前記単結晶基板上に形成されたマグネシアスピネル膜よりなる中間層と、
    前記中間層上に形成された白金族元素を含む導電層よりなる下部電極と、
    前記下部電極上に形成された第1の酸化物層と、
    前記第1の酸化物層上に形成された第2の酸化物層と、
    前記第2の酸化物層上に形成された上部電極とを有した光偏向素子であって、
    前記中間層、下部電極、第1の酸化物層及び第2の酸化物層はエピタキシャル膜よりなり、
    前記第2の酸化物層の屈折率が、前記第1の酸化物層の屈折率より大きいことを特徴とする光偏向素子。
  2. 前記単結晶基板はシリコン単結晶基板であることを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  3. 前記単結晶基板と中間層との間にさらに非晶質層が形成されることを特徴とする請求項2記載の光偏向素子。
  4. 前記非晶質層はシリコン酸化膜であることを特徴とする請求項3記載の光偏向素子。
  5. 前記単結晶基板はガリウム−砒素基板よりなることを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  6. 前記下部電極が、PtまたはIrを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  7. 前記第2の酸化物層が電気光学効果を有することを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  8. 前記第1及び第2の酸化物層のうち少なくとも1つが単純ペロブスカイト格子を含む結晶構造を有することを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  9. 前記単純ペロブスカイト格子を含む結晶構造がペロブスカイト構造、ビスマス層状構造、又はタングステンブロンズ構造のいずれかの構造であることを特徴とする請求項8記載の光偏向素子。
  10. 前記第1の酸化物層が(Sr1−xBa)TiO(0≦x≦1)、または(Pb1−yLa)(Zr1−xTi)O(0≦x、y≦1)の一般式で示される結晶層であることを特徴とする請求項8記載の光偏向素子。
  11. 前記単結晶基板、中間層及び下部電極の積層方向の結晶方位が[001]であることを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  12. 前記第1及び第2の酸化物層の積層方向の結晶方位が[001]であることを特徴とする請求項10記載の光偏向素子。
  13. 前記第1及び第2の酸化物層のうち少なくとも1つが、Pb(Zr1−xTi)O(0≦x≦1)、(Pb1−yLa)(Zr1−xTi)O(0≦x、y≦1)、Pb(B’1/3B”2/3TiZr1−x−y(0≦x、y≦1、B’は2価の金属、B”は5価の金属)、Pb(B’1/2B”1/2TiZr1−x−y(0≦x、y≦1、B’は3価の金属及びB”は5価の金属、又はB’は2価の金属及びB”は6価の金属)、(Sr1−xBa)Nb(0≦x≦1)、(Sr1−xBa)Ta(0≦x≦1)、PbNb、またはBaNaNb15であることを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  14. 前記第2の酸化物層と上部電極とに間に、前記第2の酸化物層上にエピタキシャル成長により形成された第3の酸化物層を更に有し、
    前記第2の酸化物層の屈折率が、前記第1及び第3の酸化物層の屈折率より大きいことを特徴とする請求項1記載の光偏向素子。
  15. 前記第3の酸化物層が単純ペロブスカイト格子を含む結晶構造を有することを特徴とする請求項14記載の光偏向素子。
  16. 前記第3の酸化物層の積層方向の結晶方位が[001]であることを特徴とする請求項14記載の光偏向素子。
  17. 単結晶基板上にマグネシアスピネルよりなる中間層を形成する中間層形成工程と、
    前記中間層上に白金族元素よりなる導電層よりなる下部電極を形成する下部電極形成工程と、
    前記下部電極上に第1の酸化物層を形成する第1酸化物層形成工程と、
    前記第1の酸化物層上に第2の酸化物層を形成する第2酸化物層形成工程と、
    前記第2の酸化物層上に上部電極を形成する上部電極形成工程とを備えた光偏向素子の製造方法であって、
    前記中間層、下部電極、第1の酸化物層、及び第2の酸化物層はエピタキシャル成長により形成されることを特徴とする光偏向素子の製造方法。
  18. 前記中間層形成工程と下部電極形成工程との間に、酸素ガスまたは水蒸気を含む雰囲気中で熱処理を行う工程を更に備えることを特徴とする請求項17記載の光偏向素子の製造方法。
  19. 前記単結晶基板と前記中間層との間に熱酸化膜が形成されることを特徴とする請求項18記載の光偏向素子の製造方法。
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