JP2000330143A - 光偏向素子 - Google Patents

光偏向素子

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JP2000330143A
JP2000330143A JP2000033969A JP2000033969A JP2000330143A JP 2000330143 A JP2000330143 A JP 2000330143A JP 2000033969 A JP2000033969 A JP 2000033969A JP 2000033969 A JP2000033969 A JP 2000033969A JP 2000330143 A JP2000330143 A JP 2000330143A
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Japan
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optical waveguide
electrode
light beam
thin film
light
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Application number
JP2000033969A
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English (en)
Inventor
Keiichi Nashimoto
恵一 梨本
Shigetoshi Nakamura
滋年 中村
Takashi Morikawa
尚 森川
Hiroaki Moriyama
弘朗 森山
Masao Watabe
雅夫 渡部
Hideyori Osakabe
英資 長ケ部
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】1つの基板を用いて、光軸調整を必要とせず小
型で、低駆動電圧、高光利用効率、かつ高速に光ビーム
を2次元偏向することを可能とする。 【解決手段】下部電極としての導電性基板1上に形成さ
れた薄膜光導波路3上面には、直角三角形状の上部電極
5、四角形状の透明上部電極10が形成され、透明上部
電極10の上面には、出射用直角プリズム9が固定され
ている。上部電極5と導電性基板1との間、及び透明上
部電極10と導電性基板1との間には、電圧が印加され
る。上部電極への電圧印加で水平偏向が行われ、透明上
部電極への電圧印加で垂直偏向が行われる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光偏向素子に係
り、特に、光導波路内に入射された光ビームを電気光学
効果によって2次元偏向することが可能な光導波路素子
に関する。この光偏向素子は、レーザー・プリンター、
デジタル複写機、ファクシミリ、ディスプレイ、光イン
ターコネクション、光クロスコネクト、バーコードリー
ダ、グリフコードリーダ、光ディスク用のピックアッ
プ、表面検査用光スキャナー、表面形状想定用光スキャ
ナー等を含むオプト・エレクトロニクス全般に亘って使
用することができる。
【0002】
【従来の技術】レーザビーム・プリンター、デジタル複
写機、ファクシミリ等に用いられるレーザビーム光偏向
装置として、気体レーザーや半導体レーザーからのビー
ムを偏向するポリゴンミラーと呼ばれる回転多面鏡と、
その回転多面鏡により反射されたレーザビームを感光体
等の結像面上において等速度直線運動の状態に集光する
fθレンズとで構成された装置が代表的に用いられてい
る。このようなポリゴンミラーを用いる光偏向装置は大
型であるだけでなく、ポリゴンミラーをモーターによっ
て機械的に高速回転させるために耐久性に問題があると
ともに騒音が発生し、また光走査速度がモーターの回転
数によって制限される問題がある。また、ガルバノミラ
−やカンチレバ−ミラ−には偏向精度の問題も発生す
る。
【0003】一方、固体型の電気的なレーザビーム光偏
向装置としては、音響光学効果を利用した光偏向素子が
あり、なかでもバルク型の音響光学素子と比較して小型
の光導波路型素子が期待されている。この光導波路素子
はポリゴンミラーを用いたレーザビーム光偏向装置の欠
点を解決するレーザビーム光偏向素子として、プリンタ
ー等への応用が検討されている。この光導波路型の光偏
向素子は、LiNbO3やZnO等よりなる光導波路と、この光
導波路内にレーザー光ビームを入射させる手段を有し、
さらに光導波路中の光ビームを音響光学効果により偏向
するための表面弾性波を励起するくし形の電極と偏向さ
れた光ビームを光導波路中より出射するための手段が備
えられたものであり、このほかに必要に応じて薄膜レン
ズ等が素子へ付加される。しかしながら、音響光学効果
を利用した光偏向素子は、一般に音速限界によるレーザ
偏向速度の上限の問題、回折効率が数十%であるために
光利用効率が低下したり0次光を処理しなければならな
い問題、数百MHzの周波数を制御するための電源が高価
で大型である問題等があり、レーザー・プリンター、デ
ジタル複写機、ファクシミリ、ディスプレイ、光インタ
ーコネクション、光クロスコネクト、バーコードリー
ダ、グリフコードリーダ、光ディスク用のピックアップ
等への応用は困難であった。
【0004】これに対して、音響光学効果と比較して変
調速度の速い電気光学効果を有する酸化物強誘電体材料
を用いた文献A. Yariv, Optical Electronics, 4th ed.
(New York, Rinehart and Winston, 1991) pp. 336〜3
39.等にも解説されているプリズム型光偏向素子が知ら
れている。このような、素子としてはセラミックや単結
晶を用いたバルク素子があるが、大きさが大きく、ま
た、駆動電圧がかなり高いために実用的な偏向角度を得
ることができなかった。また、Ti拡散型光導波路やプロ
トン交換型光導波路を作製したLiNbO3単結晶ウエハーを
用いてカスケード型にプリズムを配したプリズム型ドメ
イン反転光偏向素子またはプリズム型電極光偏向素子が
文献Q. Chen, et al., J. Lightwave Tech. vol. 12 (1
994) 1401.や特開平1-248141号公報等に示されている。
しかし、LiNbO3単結晶ウエハーの厚さである0.5 mm程度
の電極間隔が必要となるために依然として駆動電圧が高
く、前記文献では±600 Vの駆動電圧でもわずか0.2度程
度の偏向角度しか得られておらず、実用的な偏向角度を
得ることはできないという問題がある。また、特開平2-
311827号公報には光導波路の実効屈折率を電気光学効果
によって変化させ、プリズム結合器からの出射角度を変
化させる方法が示されている。しかし、開示された構成
はプリズム結合器が設けられた光導波路部分の屈折率を
変化させる電極配置ではないために実際には出射角度を
変化させることができず、また仮に出射角度を変化させ
ることができたとしても電極が光導波路表面に設けられ
た構造であるため電極間隔が大きくなり、上記の文献の
例と同様に実用的な偏向角度を得ることはできないとい
う問題がある。
【0005】これに対して、本発明者等は導電性基板上
に設けられたエピタキシャルまたは単一配向性の電気光
学効果を有する酸化物光導波路と、この光導波路内に光
ビームを入射させる光源を有し、光導波路中の光ビーム
を電気光学効果によって偏向するための電極が備えられ
た薄膜光導波路を用いたプリズム型光偏向素子を提案し
(特開平9-5797号公報)、上記の駆動電圧の問題を解決し
た。しかし、光導波路を伝搬するレーザビームの電磁界
分布は基板への染みだしが起こる。実用的な抵抗率を有
する基板の吸収係数は大きい場合が多く、染みだし成分
が導電性基板中のフリー・キャリアによって強く吸収さ
れ、薄膜光導波路中の伝搬損失は光導波路自体の散乱に
よる損失に加えて、吸収により数十dB/cmとなり、実用
的には光利用効率が不十分である場合が生じる問題があ
った。
【0006】一般に、コプレーナ型電極配置を有する素
子において、光導波路上の金属電極と光導波路間にはSi
O2によるクラッド層が挿入され、金属電極への電磁界の
染みだしを防ぎ、伝搬光の吸収を回避する方法がとられ
ている。しかし、SiO2を導電性基板と酸化物光導波路と
の間に設けると、SiO2がアモルファスであるためにエピ
タキシャルまたは単一配向性の電気光学効果を有する酸
化物光導波路を作製できなくなる問題があった。さら
に、電気光学効果を有する酸化物光導波路材料の比誘電
率は数十から数千に及ぶためSiO2の比誘電率3.9と比べ
ると極めて大きく、また、上記の導電性基板上薄膜光導
波路構造においては等価回路として直列コンデンサを形
成するため、薄膜光導波路にかかる実効電圧は印加電圧
に対して数%以下にしかならず、結局駆動電圧の大幅な
増加を招くこととなってしまうという問題があった。ま
た、化合物半導体であるi-GaAs導波路において、i-GaAs
導波路とn-AlGaAs下部クラッド層との間にi-AlGaAsクラ
ッド層が挿入され、n-AlGaAs下部クラッド層への電磁界
の染みだしを防ぐことにより、n-AlGaAs下部クラッド層
のフリー・キャリアによる吸収を回避する方法がとられ
ている。しかし、化合物半導体とは全く異なる材料であ
り、エピタキシャル成長が容易ではなく、比誘電率は数
十から数千に及ぶ電気光学効果を有する酸化物光導波路
において同様の構造を設ける方法は知られていなかっ
た。このため、本発明者等は導電性基板上に高誘電率の
エピタキシャルまたは単一配向性のバッファ層を設け、
その上にエピタキシャルまたは単一配向性の電気光学効
果を有する酸化物薄膜光導波路を設け、さらにその上に
電極を設けた構造を提案し、低駆動電圧特性と低光伝播
損失特性とを両立することを可能にした。
【0007】しかし、以上のいずれの光偏向素子も光の
1次元偏向を行うだけであり、2次元偏向を行うには2
つの偏向手段を組み合わせる必要があるため、少なくと
も光軸調整が必要になったり、装置構成が複雑になる問
題があった。例えば、特開平9 -5797号公報に示された
方法を用いて2次元偏向をするためにポリゴンミラー、
ガルバノミラ−、カンチレバ−ミラ−、バルク型の音響
光学素子、あるいはバルク型の電気光学素子と組み合わ
せることが考えられるが、結局各々の従来の問題が発生
することとなる。従って、1つの光導波路素子によって
2次元偏向を行うことが不可欠である。
【0008】このような2次元偏向素子としては、特開
昭62-238537号公報に基板面内での偏向角度と出射部で
の出射角度とを各々変化させるための2つの表面弾性波
による音響光学効果による手段を組み合わせた2次元偏
向可能な光導波路素子が示されているが、音響光学偏向
の音速限界によるレーザ偏向速度の上限の問題、回折効
率が数十%であるために光利用効率が低下したり複数次
の光を処理しなければならない問題、数百MHzの周波数
を制御するための駆動回路が高価で大型である問題等は
依然として解決できていない。また、特開昭58-130327
号公報には表面弾性波による音響光学効果によって基板
面内での偏向を行い、出射用グレーティング部に電圧を
印加することによって電気光学効果によって出射角度を
変化させる2次元偏向素子が示されている。しかし、音
響光学偏向の音速限界によるレーザ偏向速度の上限の問
題、数百MHzの周波数を制御するための電源が高価で大
型である問題等は同様である。また、グレーティング部
の屈折率を制御する電極が光導波路表面に設けられた構
造であるため電極間隔が大きくなり、100Vを印加しても
出射角度変化は0.04 mrad(0.002度)程度と先の文献及
び公報の例と同様に実用的な偏向角度を得ることはでき
ない問題があり、またグレーティング部でも結局回折を
用いるために、光利用効率が低下したり0次光や複数次
の光を処理しなければならない問題もあった。さらに、
音響光学効果と電気光学効果を用いるためにそれぞれの
駆動回路を用いなければならない新たな問題も生じる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解消するためになされたもので、1つの基板を用いる
ことによって、光軸調整を必要とせず小型で、低駆動電
圧、高光利用効率、かつ高速に光ビームを2次元偏向す
ることが可能な光導波路素子を提供することを目的とす
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、下部電極となる導電性または半導電性の単
結晶基板上、または表面に下部電極となる導電性または
半導電性の単結晶薄膜が形成された基板上に設けられた
エピタキシャルまたは単一配向性の電気光学効果を有す
る光導波路と、前記光導波路上に配置され、前記単結晶
基板または単結晶薄膜との間に、印加された電圧に応じ
て屈折率が変化すると共に前記光導波路を伝搬する光ビ
ームを印加された電圧に応じて第1の方向に偏向するた
めの領域を形成する光導波路内光ビーム制御用電極と、
光導波路内の光ビームを前記第1の方向と交差する第2
の方向に出射する出射用プリズムと、前記出射用プリズ
ムと前記光導波路との間に配置され、前記単結晶基板ま
たは単結晶薄膜との間に、印加された電圧に応じて屈折
率が変化すると共に印加された電圧に応じて前記出射用
プリズムから出射される光ビームを前記第2の方向に偏
向するための領域を形成する出射光ビーム制御用透明電
極と、を含んで構成したものである。
【0011】ここで、単一配向性とは、薄膜のX線回折
パターンにおいて基板面に平行な特定の結晶面の強度が
他の結晶面の強度に対して1%以下である場合を言い、
エピタキシャルとは単一配向性の薄膜がさらに基板の面
内方向にも単一配向性を有している場合を言う。
【0012】本発明によれば、光導波路を伝搬する光ビ
ームを印加された電圧に応じて第1の方向に偏向するた
めの領域と、出射用プリズムから出射される光ビームを
第1の方向と交差する第2の方向に偏向するための領域
とが設けられているため、光導波路内光ビーム制御用電
極と出射光ビーム制御用透明電極とに印加する電圧を制
御することにより、2次元偏向を行うことができる。ま
た、単一の単結晶基板または単結晶薄膜が形成された基
板を用いているため、光軸調整を必要とせず小型で、低
駆動電圧、高光利用効率、かつ高速に光ビームを2次元
偏向することができる。
【0013】本発明の光導波路内光ビーム制御用電極
は、三角形状に形成し、電圧が印加されることにより周
囲の領域と屈折率が異なるプリズム領域を光導波路内に
形成するようにすることができる。
【0014】また、光導波路に、プリズム形状の分極ド
メイン反転領域を設け、光導波路内光ビーム制御用電極
を、三角形状に形成し、電圧が印加されることにより周
囲の領域と屈折率が異なるプリズム形状の分極ドメイン
反転領域を光導波路内に形成するようにすることができ
る。
【0015】単結晶薄膜が形成された基板は、光導波路
よりも小さい屈折率を有し、エピタキシャルまたは単一
配向性の導電性または半導電性の酸化物を薄膜として表
面に設けた基板で形成することができる。
【0016】光導波路は、光導波路よりも小さい屈折率
を有するバッファ層を介して単結晶基板または単結晶薄
膜上に設けるようにしてもよい。
【0017】また、導電性または半導電性の単結晶基板
は、光導波路よりも小さい屈折率を有する透明酸化物で
形成することができる。
【0018】光導波路の表面には、光導波路よりも小さ
い屈折率を有するクラッド層を設けてもよく、光導波路
は、酸化物強誘電体で形成することも可能である。そし
て、本発明においては、光導波路内光ビーム制御用電極
及び出射光ビーム制御用の透明電極の各々を、複数個設
置することができる。この場合には、光導波路内光ビー
ム制御用電極の各々に対応させて、光導波路内に複数の
光ビームを入射させることができる。
【0019】本発明において、下部電極基板となる導電
性または半導電性の単結晶基板、または下部電極となる
導電性または半導電性単結晶薄膜、特に、エピタキシャ
ルまたは単一配向性の薄膜として用いることが可能な材
料として、Nb等をドープしたSrTiO3、AlドープZnO、In2
O3、RuO2、BaPbO3、SrRuO3、YBa2Cu3O7-x、SrVO3、LaNi
O3、La0.5Sr0.5CoO3、ZnGa2O4、CdGa2O4、CdGa2O4、Mg2
TiO4、MgTi2O4等の酸化物、Si, Ge, ダイアモンド等の
単体半導体、AlAs, AlSb, AlP, GaAs, GaSb, InP, InA
s, InSb, AlGaP, AlL nP, AlGaAs, AlInAs, AlAsSb, Ga
InAs, GaInSb, GaAsSb, InAsSb等のIII-V系の化合物半
導体、ZnS, ZnSe, ZnTe, CaSe, Cdte, HgSe, HgTe, CdS
等のII-VI系の化合物半導体、Pd、Pt、Al、Au、Ag等の
金属等を用いることができるが、酸化物を用いることが
上部に配置する酸化物薄膜光導波路の膜質にとって有利
なことが多い。これらの導電性または半導電性の単結晶
基板、あるいは導電性または半導電性のエピタキシャル
または単一配向性の薄膜は、強誘電体薄膜の結晶構造、
及び偏向速度、スイッチング速度、または変調速度によ
って必要とされるキャリア・モビリティに応じて選ばれ
ることが望ましい。また、薄膜の抵抗率としては、108
Ω・cm以下、望ましくは106 Ω・cm以下がRC時定数の点
より有効であるが、電圧降下が無視できる程度の抵抗率
であれば下部電極として利用可能である。薄膜の屈折率
としては、通常の光導波路材料よりも高い、例えば3.45
と大きな屈折率を有するシリコン基板を用いる場合に
は、基板への光のリークを阻止するためにバッファ層の
膜厚をかなり厚くする必要が生じるため、光導波路材料
よりも低い屈折率を有することがバッファ層の厚さを低
減し、低電圧駆動化するために望ましい。
【0020】表面に下部電極となる導電性または半導電
性のエピタキシャルまたは単一配向性の薄膜が形成され
た基板として用いることが可能な材料としては、SrTi
O3、BaTiO3、BaZrO3、LaAlO3、ZrO2、Y2O38%-ZrO2、Mg
O、MgAl2O4、LiNbO3、LiTaO3、Al2O3、ZnO等の酸化物、
Si, Ge, ダイアモンド等の単体半導体、AlAs, AlSb, A
lP, GaAs, GaSb, InP, InAs, InSb, AlGaP, AlLnP, AlG
aAs, AlInAs, AlAsSb, GaInAs, GaInSb, GaAsSb, InAsS
b等のIII-V系の化合物半導体、ZnS, ZnSe, ZnTe,CaSe,
Cdte, HgSe, HgTe, CdS等のII-VI系の化合物半導体等を
用いることができるが、酸化物を用いることが上部に配
置する酸化物薄膜光導波路の膜質にとって有利なことが
多い。
【0021】バッファ層を用いる場合にはバッファ層は
薄膜光導波路材料よりも小さい屈折率を有し、かつバッ
ファ層の比誘電率と光導波路の比誘電率の比が0.002以
上、望ましくはバッファ層の比誘電率と光導波路の比誘
電率の比が0.006以上であり、かつバッファ層の比誘電
率が8以上である材料が選ばれる。また、バッファ層材
料は導電性基板材料と光導波路材料とのエピタキシ関係
を保持できることが必要である。このエピタキシ関係を
保持できる条件としては、バッファ層材料が導電性基板
材料と光導波路材料の結晶構造に類似で、格子定数の差
が10%以下であることが望ましいが、必ずしもこの関係
に従わなくともエピタキシ関係を保持できれば良い。具
体的には、ABO3型のペロブスカイト型酸化物では、正方
晶、斜方晶または擬立方晶系として例えばSrTiO3、BaTi
O3、(Sr1-xBax)TiO3 (0<x<100)、PbTiO3、Pb1-xLax(Zry
Ti1-y)1-x/4O3 (0<x<30、0<y<100、x及びyの値によりPZ
T、PLT、PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3、KNbO3等、六方晶系
として例えばLiNbO3、LiTaO3等に代表される強誘電体、
タングステンブロンズ型酸化物ではSrxBa1-xNb2O 6、Pbx
Ba1-xNb2O6等、またこの他に、Bi4Ti3O12、Pb2KNb
5O15、K3Li2Nb5O15、ZnOさらに以上の置換誘導体より選
ばれる。バッファ層の膜厚と光導波路の膜厚の比は0.1
以上、望ましくは0.5以上であり、かつバッファ層の膜
厚が10 nm以上であることが有効である。
【0022】光導波路は薄膜状に形成され、薄膜光導波
路材料としては酸化物から選択され、具体的にはABO3
のペロブスカイト型では正方晶、斜方晶または擬立方晶
系として例えばBaTiO3、PbTiO3、Pb1-x Lax(ZryTi1-y)
1-x/4O3 (x及びyの値によりPZT、PLT、PLZT)、Pb(Mg1/3
Nb2/3)O3、KNbO3等、六方晶系として例えばLiNbO3、LiT
aO3等に代表される強誘電体、タングステンブロンズ型
ではSrxBa1-xNb2O6、PbxBa1-xNb2O6等、またこの他に、
Bi4Ti3O12、Pb2KNb5O15、K3Li2Nb5O15、さらに以上の置
換誘導体等より選ばれる。薄膜光導波路の膜厚は通常0.
1 μmから10μmの間に設定されるが、これは目的によっ
て適当に選択することができる。
【0023】クラッド層を用いる場合にはクラッド層は
バッファ層と同様のものを用いることができる。すなわ
ち、薄膜光導波路材料よりも小さい屈折率を有し、かつ
クラッド層の比誘電率と前記光導波路の比誘電率の比が
0.002以上、望ましくはクラッド層の比誘電率と前記光
導波路の比誘電率の比が0.006以上であり、かつクラッ
ド層の比誘電率が8以上である材料が選ばれる。クラッ
ド層材料については光導波路に対してエピタキシ関係を
保持できることは必ずしも必要ではなく多結晶薄膜でも
良いが、均一な界面を得る必要がある場合には光導波路
材料とのエピタキシ関係を保持できることが必要であ
る。このエピタキシ関係を保持できる条件としては、ク
ラッド層材料が薄膜光導波路材料の結晶構造に類似で、
格子常数の差が10%以下であることが望ましいが、必ず
しもこの関係に従わなくともエピタキシ関係を保持でき
れば良い。具体的には、ABO3型のペロブスカイト型酸化
物では、正方晶、斜方晶または擬立方晶系として例えば
SrTiO3、BaTiO3、(Sr1-xBax)TiO3 (0<x<100) 、P bTi
O3、Pb1-xLax(ZryTi1-y)1-x/4O3 (0<x<30、0<y<100、x
及びyの値によりPZT、PLT、PLZT)、Pb(Mg1/3Nb2/3)O3
KNbO3等、六方晶系として例えばLiNbO3、LiTaO3等に代
表される強誘電体、タングステンブロンズ型酸化物では
SrxBa1-xNb2O6、PbxBa1-xNb2O6等、またこの他に、Bi4T
i3O12、Pb2KNb5O1 5、K3Li2Nb5O15、ZnOさらに以上の置
換誘導体より選ばれる。クラッド層の膜厚と前記光導波
路の膜厚の比は0.1以上、望ましくは0.5以上であり、か
つクラッド層の膜厚が10 nm以上であることが有効であ
る。
【0024】光導波路内光ビーム制御用電極は、Al、T
i、Cr、Ni、Cu、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Ir、Pt、Au等
の各種金属または合金や、光導波路よりも小さい屈折率
を有するITOやAlドープZnO等の透明酸化物電極を用いる
ことが可能である。また、光導波路と上部電極との間に
前記光導波路よりも小さい屈折率を有するクラッド層を
設ける場合には、上部電極は任意の材料を用いることが
できるが駆動電圧の増加を招くのでITOやAlドープZnO等
の等の透明酸化物電極を用いることが望ましい。光導波
路内光ビーム制御用電極は、三角形状に形成し、電圧を
印加することにより周囲の領域と屈折率が異なるプリズ
ム領域を形成することができる。光導波路がプリズム形
状の分極ドメイン反転領域を有する場合には、光導波路
内光ビーム制御用電極に電圧を印加することによりプリ
ズム形状の分極ドメイン反転領域とそれ以外の領域にお
いて屈折率を異ならせることができる。
【0025】出射用プリズムは光導波路よりも高い屈折
率を有するものを光導波路材料及び光の波長に応じて用
いることができるが、多くの場合にはルチル(TiO2)、
GaP、GaAs、あるいは屈折率ガラスから選択することが
できる。プリズムの底角の角度、または斜面の底面に対
する角度は光導波路の屈折率、光導波路の電気光学効果
による屈折率変化、プリズムの屈折率によって適切に設
定することができる。
【0026】出射光ビーム制御用の透明電極上部は、A
l、Ti、Cr、Ni、Cu、Pd、Ag、In、Sn、Ta、W、Ir、Pt、
Au等の各種金属または合金のうち光導波路よりも小さい
屈折率を有するものを用い、さらに薄膜化して透明性を
保持したもの、または光導波路よりも小さい屈折率を有
するITOやAlドープZnO等の透明酸化物電極を用いること
が可能である。しかし、ITOやAlドープZnO等の透明酸化
物電極を用いることが望ましい。出射光ビーム制御用の
透明電極は出射用プリズムと光導波路との間に設けら
れ、出射光ビーム制御用透明電極と下部電極との間に電
圧を印加することにより出射用プリズムと単結晶基板ま
たは単結晶薄膜とで挟まれた領域とそれ以外の領域にお
いて異なる屈折率を発生させることができる。
【0027】薄膜光導波路には入射光ビームの制御等の
目的により、薄膜レンズを設けるこことができる。レン
ズ部の実効屈折率を薄膜光導波路部よりも大きくし、モ
ード・インデックス方式の円形や瞳形の凸レンズ、フレ
ネル方式、あるいはグレーティング方式のレンズを設け
ることが可能であり、例えば薄膜光導波路よりも大きい
屈折率を有するレンズ形状の強誘電体薄膜を作製した
後、薄膜光導波路をその上部に作製することにより形成
することができる。
【0028】クラッド層、薄膜光導波路、バッファ層、
及びレンズ層は電子ビーム蒸着、フラッシュ蒸着、イオ
ン・プレーティング、Rf-マグネトロン・スパッタリン
グ、イオン・ビーム・スパッタリング、レーザー・アブ
レーション、MBE、CVD、プラズマCVD、MOCVD等より選ば
れる気相成長法及びゾルゲル法、MOD法等のウエット・
プロセスにより作製された薄膜の固相成長法によって作
製される。このうちゾルゲル法やMOD法等のウエット・
プロセスにより金属アルコキシドや有機金属塩等の金属
有機化合物の溶液を基板に塗布し、さらに焼成すること
によって前記バッファ層、薄膜光導波路、及びクラッド
層を固相エピタキシャル成長することが最も有効であ
る。これらの固相エピタキシャル成長は、各種気相成長
法と比較して設備コストが低く、基板面内での均一性が
良いだけでなく、バッファ層、薄膜光導波路、及びクラ
ッド層の構造制御にとって重要な屈折率の制御が、バッ
ファ層、薄膜光導波路、及びクラッド層に必用な屈折率
を有する薄膜組成に応じて金属有機化合物前駆体の組成
を配合するだけで容易に、再現性良く実現でき、さらに
光伝搬損失も低いバッファ層、薄膜光導波路、及びクラ
ッド層の成長が可能である。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態について詳細に説明する。図1に示すように、
第1の実施の形態の光偏向素子は、下部電極としての導
電性基板1上に形成された薄膜光導波路3を備えてい
る。薄膜導波路3の光入射側上面には、底辺が光伝搬方
向に直交しかつ光入射側に位置するように、光導波路内
光ビーム制御用電極である直角三角形状の上部電極5が
形成されている。この上部電極5の光伝搬方向下流側に
は、出射光ビーム制御用の透明電極である四角形状の透
明上部電極10が形成されている。この透明上部電極1
0の上面には、透明上部電極10の入射側の一部分が露
出するように、透明上部電極10の面積より大きな底面
を有する底角α、屈折率npの出射用直角プリズム9が固
定されている。そして、上部電極5と導電性基板1との
間、及び透明上部電極10と導電性基板1との間には、
図4及び図5に示すように電圧が印加される。なお、上
部電極は、直角三角形状に限らず、その他の三角形状
や、光伝搬方向に向かって徐々に幅狭になる形状、徐々
に幅広になる形状、あるいは徐々に幅広になった後幅狭
になる形状に形成することができる。
【0030】上記導電性基板1は、透明導電性基板で形
成することができるが、透明導電性基板でない場合は、
導電性基板上に設けられた光導波路に光が導入される
と、全光強度の一部が導電性基板へ染み出し、この基板
の透明性が低い場合には基板へ染みだした成分が吸収さ
れ、光伝搬に伴い伝搬損失となる。このため、透明導電
性基板を用いることができない場合には、図2(A)に
示すように、導電性基板1の光が染み出している領域の
厚さ分を光吸収のないバッファ層2で置き換えれば、導
電性基板1による光吸収がなくなり、伝搬損失の低減が
可能となる。
【0031】バッファ層2が、薄膜光導波路3と導電性
基板1との隔離層として機能するためには、バッファ層
材料の屈折率が薄膜光導波路材料の屈折率よりも小さい
ことが必要である。また、薄膜光導波路表面や薄膜光導
波路中の粒界等による散乱に起因する光伝搬損失を実用
レベルに低減するためには、バッファ層材料は導電性基
板材料と光導波路材料とのエピタキシ関係を保持できる
材料であることが不可欠である。また、薄膜光導波路材
料は高い電気光学係数を有することが望ましく、導電性
基板材料は低い抵抗率を有することが望ましい。バッフ
ァ層2と薄膜光導波路3の膜厚比は、伝搬損失を1 dB
/cm以下に低減するためには、少なくとも0.1以上が
必要である。また、TE0のシングルモードでの動作を
前提とする際にはバッファ層2と薄膜光導波路3の膜厚
比は、0.5以上とすることが適切である。
【0032】次に、上部電極は金属で形成することがで
きるが、薄膜光導波路3の上に金属電極が設けられた
際、薄膜光導波路中の光の振動数が金属電極のプラズマ
振動数を越えると、光伝搬に伴い金属電極中へ染みだし
た成分が金属中のキャリアによって強く吸収され、伝搬
損失となる。しかしながら、図3に示すように、この染
みだしの起こる領域を吸収の小さいクラッド層4で置き
換えれば上部の金属電極による吸収はなくなり、伝搬損
失の低減が可能となる。クラッド層がこのように薄膜光
導波路と金属電極の隔離層として機能するためには、一
般に、クラッド層材料の屈折率が薄膜光導波路材料の屈
折率よりも小さいことが必要である。上部電極として透
明導電性薄膜を用いることができる場合には、このよう
なクラッド層を用いなくとも伝搬損失は生じない。
【0033】一方、導電性基板1と薄膜光導波路3との
間に上記で説明したバッファ層2が存在すると、電極間
に印加した電圧は、図2(B)の等価回路で示すよう
に、薄膜光導波路とバッファ層との各々の容量を直列に
接続した直列回路によって分配され、薄膜光導波路に印
加できる実効電圧は低下する。しかしながら、バッファ
層3を、一定の膜厚を有する高誘電率材料で構成するこ
とにより、高い実効電圧を薄膜光導波路に印加すること
が可能となる。
【0034】すなわち、薄膜光導波路3の容量をCw
バッファ層2の容量をCb、全印加電圧をV0、薄膜光導
波路の比誘電率をεw、膜厚をdw、バッファ層の比誘電
率をεb、膜厚をdb、真空の誘電率をε0(8.854×10
-14 (F/ cm))、電極面積をSとすると、薄膜光導波路に
印加される実効電圧Vwは次式のように表される。
【0035】 Vw=Cb/(Cw+Cb)×V0=εbw/(εwb+εbw)×V0 ・・・(1) 本実施の形態では、db/dwは0.1以上とするので、
w/V0が0.02以上の値、すなわち実効電圧が印加
電圧の2%以上となるεbwとして0.002以上、
望ましくはVw/V0が0.1以上の値、すなわち実効電
圧が印加電圧の10%以上となるεbwとして0.0
06以上とすることができる。εbwの上限として
は、バッファ層と薄膜光導波路に用いることができる材
料の組合せで決まり、10程度となる。バッファ層の比
誘電率は、光導波路の比誘電率として4000近くの材
料があるため、εbwとして0.002以上を確保で
きる8以上の値を有することが望ましい。これは、実効
電圧が印加電圧の2%以下となる条件では、導電性基板
上に電気光学効果を有するエピタキシャル光導波路を設
け、駆動電圧を大幅に低減する目的に対し有効ではなく
なるからである。以上の原理はクラッド層についてもま
ったく同様である。
【0036】以上のように、下部電極となる透明性を有
する導電性または半導電性の単結晶基板上にエピタキシ
ャルまたは単一配向性の電気光学効果を有する酸化物薄
膜光導波路を設け、さらにその上に透明性を有する上部
電極を設けるか、下部電極となる導電性または半導電性
の単結晶基板上に高誘電率のエピタキシャルまたは単一
配向性のバッファ層を設け、その上にバッファ層よりも
大きい屈折率を持ちエピタキシャルまたは単一配向性の
電気光学効果を有する酸化物薄膜光導波路を設け、その
上に必要に応じて光導波路よりも小さい屈折率を持つ高
誘電率のクラッド層を設け、さらにその上に上部電極を
設けることにより、酸化物強誘電体材料でも光導波路を
上下電極でサンドイッチ状に挟んだ構造を可能とし、低
光伝搬損失特性を損なうことなく低駆動電圧とすること
が可能となる。なお、単結晶基板にかえて、エピタキシ
ャルまたは単一配向性の導電性または半導電性の酸化物
を薄膜として表面に設けた基板を用いてもよい。
【0037】ここで、図4に示すように、上部電極5
と、バッファ層2、薄膜光導波路3、及び必要に応じて
クラッド層4を介して距離dの位置にある下部電極であ
る導電性基板1との間、すなわちZ軸方向に電圧Vが印
加されると、薄膜光導波路3が1次の電気光学効果であ
るPockels効果を有する場合には、上部電極5と基板1
とで挟まれた領域とそれ以外の領域において次式に従っ
た屈折率変化が生じる。
【0038】Δn=1/2・r・n3・(V/d) ・・・(2) また、薄膜光導波路3が2次の電気光学効果であるKerr
効果を有する場合には次式に従った屈折率変化が生じ
る。
【0039】Δn=1/2・R・n3・(V/d) 2 ・・・(3) なお、(2)、(3)式のr,Rは電気光学係数であ
る。
【0040】従って、上部電極と下部電極との間に電圧
を印加することにより、図4に示すように、上部電極と
下部電極とによって挟まれた部分に、周囲の領域と屈折
率が異なる直角プリズム状のプリズム領域が形成され
る。直角三角形状の上部電極5の底辺の長さをW、高さ
をLとすると、電極間に形成されたプリズム領域を通過
後に、基板表面と平行な面内で次式の偏向角θで示され
る偏向が生じる。なお、偏向角θは、レーザビームの直
進方向を基準とした角度である。
【0041】θ=Δn×L/W ・・・(4) このように上部電極として三角形状電極を設けて電圧を
印加するとプリズム領域が形成され、このプリズム領域
によりレーザビームの偏向が得られ、偏向状態では未偏
向成分(0次光)が存在せず、また散乱光も極めて少な
いため、挿入損失やクロストークの問題も解決できる。
【0042】薄膜光導波路3がプリズム状の分極ドメイ
ン反転領域を有する場合には、光導波路内光ビーム制御
用の上部電極5に電圧を印加することによりプリズム形
状の分極ドメイン反転領域とそれ以外の領域において異
なる屈折率を発生させることができ、同様にレーザビー
ムの偏向が得られる。
【0043】一方、底角α、屈折率npの出射用プリズム
を実効屈折率Nの薄膜光導波路3表面に設けると、レー
ザビームは次式に従って角度γ0で出射される。
【0044】 γ0=cos-1[np×sin[sin-1 (N/np)-α]]-α ・・・(5) 本実施の形態では、図5に示すように、出射用プリズム
9と薄膜光導波路3との間に出射光ビーム制御用の透明
電極10が設けられているので、出射用プリズム9と薄
膜光導波路3との間の電極を介しても出射用プリズム9
からの光ビームの出射が可能となる。また、出射光ビー
ム制御用透明電極と下部電極である基板1との間に電圧
を印加することにより、出射用プリズム9と導電性基板
1とで挟まれた領域において、上記の(3)式に従って
屈折率を変化させて、薄膜光導波路3の実効屈折率を変
化させることができる。この屈折率変化により出射角度
は次式のように基板表面と直交する面内で変化する。
【0045】 γ1=cos-1[np×sin[sin-1 ((N+Δn )/np)-α]]-α ・・・(6) 以上説明したように、本実施の形態によれば、直角三角
形状上部電極と下部電極とで挟まれたプリズム領域の屈
折率変化による水平偏向方向と、出射用プリズムと導電
性基板1とで挟まれた領域の屈折率変化による垂直偏向
方向との組み合わせで表される次の(7)式に従った2次
元偏向が可能となる。
【0046】θ=γ01 ・・・(7) 次に、上記の第1の実施の形態の光偏向素子を製造した
実施例について説明する。実施例1 実施例1においては、不透明であるが低抵抗のNbドープ
SrTiO3(100)単結晶の下部電極基板上へ、膜厚400 nmの
エピタキシャルPZT(95/5)バッファ層を成長させ、次に
膜厚1000 nmのエピタキシャルPLZT(9/65/35)薄膜光導波
路を成長させ、さらに光導波路内光ビーム制御用の三角
形状ITO電極と出射光ビーム制御用のITO電極を形成し、
入射用端面と出射用プリズムを設けることによって図1
のような2次元偏向素子を作製した。
【0047】バッファ層及び光導波路は、固相エピタキ
シャル成長によって次のように作製した。まず、無水酢
酸鉛 Pb(CH3COO)2、ジルコニウム・イソプロポキシド Z
r(O-i-C3H7)4、及びチタン・イソプロポキシド Ti(O-i-
C3H7)4を出発原料として、2-メトキシエタノールに溶解
し、6時間の蒸留を行ったのち18時間の還流を行い、最
終的にPb濃度で0.6 M のPZT(95/5)用前駆体溶液を得
た。さらに、この前駆体溶液を10 mm角のNbドープSrTiO
3基板へスピンコーティングを行った。以上の操作はす
べてN2雰囲気中にて行った。次に、O2雰囲気中で10℃/s
ecにて昇温して350℃にて保持の後、100℃/secにて昇温
して750℃に保持し、最後に電気炉の電源を切り冷却し
た。これにより膜厚100 nmの第一層目のPZT薄膜を固相
エピタキシャル成長した。これをさらに3回繰り返すこ
とにより総膜厚400 nmのエピタキシャルPZTバッファ層
が得られた。バッファ層を成長した後、PLZT(9/65/35)
光導波路層を固相エピタキシャル成長によって同様に作
製した。まず、無水酢酸鉛 Pb(CH3COO)2、ランタン・イ
ソプロポキシド La(O-i-C3H7)3、ジルコニウム・イソプ
ロポキシド Zr(O-i-C3H7)4、及びチタン・イソプロポキ
シド Ti(O-i-C3H7)4を出発原料として、2-メトキシエタ
ノールに溶解し、6時間の蒸留を行ったのち18時間の還
流を行い、最終的にP b濃度で0.6 M のPLZT(9/65/35)用
前駆体溶液を得た。さらに、この前駆体溶液をバッファ
層を有するNbドープSrTiO3基板へスピンコーティングを
行った。以上の操作はすべてN2雰囲気中にて行った。次
に、O2雰囲気中で10℃/secにて昇温して350℃にて保持
の後、100℃/secにて昇温して750℃に保持し、最後に電
気炉の電源を切り冷却した。これにより膜厚100 nmの第
一層目のPLZT薄膜を固相エピタキシャル成長した。これ
をさらに9回繰り返すことにより総膜厚1000 nmのエピタ
キシャルPLZ T薄膜光導波路が得られた。結晶学的関係
は単一配向のPLZT(100) // PZT(100) // Nb-SrTiO3(10
0)、面内方位PLZT[001]// PZT[001] // Nb-SrTiO3[001]
の構造が得られた。PLZT薄膜光導波路上にはスパッタ
リングによる膜厚200 nmのITO薄膜による底辺100μm、
高さ1000μmの光導波路内光ビーム制御用三角形状電極
5と、1000μm角の出射光ビーム制御用の電極10とをリ
フトオフ法によって形成した。さらに、端面を研磨する
ことによって光ビーム入射部を形成し、また、出射光ビ
ーム制御用電極10の上部には底角の角度が60度、底辺
が5 mmのルチル・プリズム9を固定し、2次元偏向素子
を作製した。
【0048】まず、光導波路特性の評価を行なうため、
プリズム・カップリングによって633 nmのレーザビーム
を本実施例のPLZT薄膜光導波路に導入し、光伝搬方向の
TE0モードの散乱光強度分布を光ファイバーによって測
定した。散乱光強度の対数と光伝搬距離の関係の傾きよ
り、光伝搬損失を求めたところ、光伝搬損失は3.6 dB/c
mと実用レベルに入る特性を示した。また、PLZT薄膜光
導波路の屈折率はn=2.51であった。一方、本実施例のPZ
Tバッファ層のみをNbドープSrTiO3基板上へ直接成膜し
た状態で膜厚400 nmのバッファ層の比誘電率を測定した
ところ400を示した。一方、NbドープSrTiO3基板上へ成
長したPLZT薄膜光導波路において比誘電率を測定した結
果、900であった。従って、上記(1)式より求められ
るPLZT薄膜光導波路の実効電圧は53%となった。
【0049】本実施例の2次元偏向素子のPLZT薄膜光導
波路3へ入射用端面から幅100μmにコリメートした波長
633 nmのレーザビームを導入した。入射したレーザビー
ムは光導波路内光ビーム制御用の三角形状電極5と下部
NbドープSrTiO3基板1からなる電極との間に電圧を印加
することにより電極直下部分とそれ以外の部分において
異なる屈折率が発生し、レーザビームが偏向された。投
影面上でのレーザ・スポット位置の変位より偏向角度を
求めた電圧と偏向角度の関係を図6に示す。バッファ層
と薄膜光導波路の誘電特性の差異によって薄膜光導波路
への電圧分配が電圧依存性を示すため、偏向特性も5V以
下では電圧依存性を示したが、5V以上では上記(4)式
に従った1次の電気光学効果を示し、20Vでの偏向角度
は50 mrad(2.9度)、実効電気光学係数は約60 pm/Vであ
った。また、応答速度は約10 MHzが得られた。さらに、
出射用プリズムと光導波路との間に設けられた出射光ビ
ーム制御用の電極10と下部NbドープSrTiO3基板1から
なる電極との間に電圧を印加することにより、出射用プ
リズム9直下の光導波路3の屈折率が変化し、この屈折
率変化により出射用プリズム9からの出射角度が変化し
た。やはり、バッファ層と薄膜光導波路の誘電特性の差
異によって薄膜光導波路への電圧分配が電圧依存性を示
すため、偏向特性も10V以下では電圧依存性を示した
が、10V以上では(7)式に従った1次の電気光学効果
を示し、20Vでの偏向角度は6 mrad (0.3度)、実効電気
光学係数は約60 pm/Vであった。電圧と偏向角度の関係
を図7に示す。応答速度は約0.5 MHzが得られた。このよ
うにして出射した光ビームは電圧に応じて図1に示すよ
うに2次元に偏向された。以上のように、従来技術と比
較して2桁程度低い電圧で、高速の2次元偏向が可能で
あることが確認され、レーザー・プリンター、デジタル
複写機、ファクシミリ、ディスプレイ、光インターコネ
クション、バーコードリーダ、グリフコードリーダ、光
ディスク用のピックアップ、表面検査用光スキャナー、
表面形状想定用光スキャナー等への応用が可能となるこ
とが分かった。実施例2 本実施例においては実施例1と同様にして不透明である
が低抵抗のNbドープSrTiO3(100)単結晶の下部電極基板
上へ、膜厚400 nmのエピタキシャルPZT(85/15)バッファ
層を成長させ、次に膜厚1000 nmのエピタキシャルPZT(5
2/48)薄膜光導波路を成長させ、さらに光導波路内光ビ
ーム制御用の三角形状ITO電極と出射光ビーム制御用のI
TO電極を形成し、入射用端面と出射用プリズムを設ける
ことによって図1のような2次元偏向素子を作製した。
【0050】バッファ層及び光導波路は実施例1と同様
にして固相エピタキシャル成長によって作製した。ま
ず、PZT (85/15)用前駆体溶液をを10 mm角のNbドープSr
TiO3基板へスピンコーティングを行い、O2雰囲気中で10
℃/secにて昇温して350℃にて保持の後、80℃/secにて
昇温して750℃に保持し、最後に電気炉の電源を切り冷
却した。これにより膜厚100 nmの第一層目のPZT薄膜を
固相エピタキシャル成長した。これをさらに3回繰り返
すことにより総膜厚400 nmのエピタキシャルPZTバッフ
ァ層が得られた。次に、PZT(52/48)用前駆体溶液をバッ
ファ層を有するNbドープSrTiO3基板へスピンコーティン
グを行い、O2雰囲気中で10℃/secにて昇温して350℃に
て保持の後、10℃/secにて昇温して650℃に保持し、最
後に電気炉の電源を切り冷却した。これにより膜厚100
nmの第一層目のPZT薄膜を固相エピタキシャル成長し
た。これをさらに9回繰り返すことにより総膜厚1000 nm
のエピタキシャルPZT薄膜光導波路が得られた。結晶学
的関係は単一配向のPZT(100) // PZT(100) // Nb-SrTiO
3(100)、面内方位PZT[001] // PZT[001] // Nb-SrTiO
3[001]の構造が得られた。PZT薄膜光導波路上にはスパ
ッタリングによる膜厚200 nmのITO薄膜による底辺100μ
m、高さ1000μmの光導波路内光ビーム制御用三角形状電
極5と、1000μm角の出射光ビーム制御用電極10とを
リフトオフ法によって形成した。さらに、端面を研磨す
ることによって光ビーム入射部を形成し、また、出射光
ビーム制御用電極10の上部には底角の角度が45度、底
辺が5 mmのルチル・プリズム9を固定し、2次元偏向素
子を作製した。
【0051】まず、光導波路特性の評価を行なうため、
プリズム・カップリングによって633 nmのレーザビーム
を本実施例のPLZT薄膜光導波路に導入し、光伝搬方向の
TE0モードの散乱光強度分布を光ファイバーによって測
定した。散乱光強度の対数と光伝搬距離の関係の傾きよ
り、光伝搬損失を求めたところ、光伝搬損失は3.1 dB/c
mと実用レベルに入る特性を示した。また、PZT薄膜光導
波路の屈折率はn=2.56であった。一方、本実施例のPZT
バッファ層のみをNbドープSrTiO3基板上へ直接成膜した
状態で膜厚400 nmのバッファ層の比誘電率を測定したと
ころ400を示した。一方、NbドープSrTiO3基板上へ成長
したPZT薄膜光導波路において比誘電率を測定した結
果、600であった。従って、上記(1)式より求められ
るPZT薄膜光導波路の実効電圧は63%となった。
【0052】本実施例の2次元偏向素子のPZT薄膜光導波
路3へ入射用端面から幅100μmにコリメートした波長63
3 nmのレーザビーム6を導入した。入射したレーザビー
ムは光導波路内光ビーム制御用の三角形状電極5と下部
NbドープSrTiO3基板1からなる電極との間に電圧を印加
することにより電極直下部分とそれ以外の部分において
異なる屈折率が発生し、レーザビームが偏向された。投
影面上でのレーザ・スポット位置の変位より偏向角度を
求めた電圧と偏向角度の関係は図8に示すように上記
(4)式に従った1次の電気光学効果を示し、20Vでの
偏向角度は60 mrad(3.4度)、実効電気光学係数は約50 p
m/Vであった。また、応答速度は約10 MHzが得られ、100
Vを印加した場合は300 mrad (17.2度)の偏向が得られ
た。さらに、出射用プリズムと光導波路との間に設けら
れた出射光ビーム制御用電極10と下部NbドープSrTiO3
基板1からなる電極との間に電圧を印加することによ
り、出射用プリズム9直下の光導波路3の屈折率が変化
し、この屈折率変化により上記(7)式に従って出射用
プリズム9からの出射角度が変化した。本実施例では図
9に示すように20Vでの偏向角度は27 mrad (1.5度)であ
った。また、応答速度は約0.5 MHzが得られ、さらに、1
00Vを印加した場合は135 mrad (7.7度)の偏向が得られ
た。このようにして出射した光ビームは電圧に応じて図
1に示すように2次元に偏向された。以上のように、本
実施例では、従来技術と比較して2桁程度低い電圧で、
高速の2次元偏向が可能であることが確認された。比較例1 この比較例は、導電性または半導電性基板に代えて、絶
縁性基板を用いたものであり、本比較例においては絶縁
性で厚さ500μmのS rTiO3(100)単結晶基板上へ、膜厚10
00 nmのエピタキシャルPZT(52/48)薄膜光導波路を成長
させ、さらに光導波路内光ビーム制御用の三角形状ITO
電極と出射光ビーム制御用のITO電極を形成し、入射用
端面と出射用プリズムを設けることによって図1と同様
な2次元偏向素子を作製した。
【0053】光導波路は実施例1と同様にして固相エピ
タキシャル成長によって作製し、結晶学的関係は単一配
向のPZT(100) // SrTiO3(100)、面内方位PZT[001] // S
rTiO 3[001] の構造が得られた。PZT薄膜光導波路上には
スパッタリングによる膜厚200 nmのITO薄膜による底辺1
00μm、高さ1000μmの光導波路内光ビーム制御用三角形
状電極5と1000μm角の出射光ビーム制御用電極10と
をリフトオフ法によって形成した。SrTiO3基板裏面には
In電極を蒸着した。さらに、端面を研磨することによっ
て光ビーム入射部を形成し、また、出射光ビーム制御用
電極10の上部には底角の角度が45度、底辺が5 mmのル
チル・プリズム9を固定し、2次元偏向素子を作製し
た。
【0054】本比較例のSrTiO3基板の比誘電率は250、P
ZT薄膜光導波路の比誘電率は600であった。SrTiO3(100)
単結晶基板の厚さは500μm、PZT(52/48)薄膜光導波路の
膜厚は1000 nmであるため、上記(1)式より求めたPZT
薄膜光導波路の実効電圧はわずか0.1%となった。本比較
例の2次元偏向素子のPZT薄膜光導波路3へ入射用端面
から幅100μmにコリメートした波長633 nmのレーザビー
ムを導入した。入射したレーザビームは光導波路内光ビ
ーム制御用の三角形状電極5とSrTiO3基板裏面のIn電極
との間に電圧を印加したが、20Vでもわずか0.1 mradの
偏向しか観察できなかった。また、出射用プリズムと光
導波路との間に設けられた出射光ビーム制御用電極9と
SrTiO3基板裏面のIn電極との間に電圧を印加したが、や
はり20Vでも0.1 mrad未満の出射角度の変化しかみられ
なかった。比較例2 この比較例は、出射用プリズムに代えてグレーティグを
用いたものであり、本比較例においては実施例1と同様
にして不透明であるが低抵抗のNbドープSrTiO3(100)単
結晶の下部電極となる基板上へ、膜厚400 nmのエピタキ
シャルPZT(85/15)バッファ層を成長させ、次に膜厚1000
nmのエピタキシャルPZT(52/48)薄膜光導波路を成長さ
せ、さらに光導波路内光ビーム制御用の三角形状ITO電
極と入射用端面、及び出射用のグレーティングとその上
部への光ビーム制御用のITO電極を形成することによっ
て2次元偏向素子を作製した。
【0055】バッファ層及び光導波路は実施例1と同様
にして固相エピタキシャル成長によって作製した。結晶
学的関係は単一配向のPZT(100) // PZT(100) // Nb-SrT
iO3(100 )、面内方位PZT[001] // PZT[001] // Nb-SrTi
O3[001] の構造が得られた。PZT薄膜光導波路上には出
射用の周期2μmのグレーティングを設けた。PZT薄膜光
導波路上にはスパッタリングによる膜厚200 nmのITO薄
膜による底辺100μm、高さ1000μmの光導波路内光ビー
ム制御用三角形状電極を、出射用グレーティング上には
1000μm角の出射光ビーム制御用の電極とをリフトオフ
法によって形成した。さらに、端面を研磨することによ
って光ビーム入射部を形成した。
【0056】本比較例の2次元偏向素子のPZT薄膜光導
波路3へ入射用端面から幅100μmにコリメートした波長
633 nmのレーザビームを導入した。入射したレーザビー
ムは光導波路内光ビーム制御用の三角形状電極と下部Nb
ドープSrTiO3基板電極との間に電圧を印加することによ
りレーザビームが偏向された。さらに、出射用グレーテ
ィング上に設けられた出射光ビーム制御用の電極と下部
NbドープSrTiO3基板電極との間に電圧を印加することに
より、出射用グレーティング部の屈折率が変化し、この
屈折率変化により出射角度が変化した。しかし、出射さ
れたレーザは複数のビームへ分割されてしまうために1
次ビームの強度が弱く、また出射角度変化も20 Vで6 mr
ad程度と実施例2と比較して小さかった。
【0057】次に、本発明の第2の実施の形態について
説明する。本実施の形態の光偏向素子は、図10に示す
ように、直角三角形状の上部電極5のレーザビーム入射
側に薄膜レンズで構成されたコリメートレンズ11を形
成すると共に、薄膜光導波路3の端面に半導体レーザダ
イオード12を光結合させたものである。なお、その他
の構成は第1の実施の形態と同様であるので、説明は省
略する。
【0058】本実施の形態によれば、半導体レーザダイ
オード12から薄膜光導波路3に入射されたレーザビー
ムは、コリメートレンズ11で平行にされ、電極間に形
成されたプリズム領域、透明電極、及び出射用プリズム
を通過し、第1の実施の形態と同様に2次元偏向を行う
ことができる。
【0059】次に、上記の第1の実施の形態の光偏向素
子を製造した実施例について説明する。実施例3 本実施例においては実施例1と同様にして不透明である
が低抵抗のNbドープSrTiO3(100)単結晶の下部電極基板
上へ、膜厚400 nmのエピタキシャルPZT (95/5)バッファ
層を成長させ、次にモードインデックスレンズとなるレ
ンズ形状のエピタキシャルPZT(30/70)薄膜を形成してコ
リメートレンズ11とし、次に膜厚1000 nmのエピタキ
シャルPLZT(9/65/35)薄膜光導波路を成長させ、さらに
光導波路内光ビーム制御用の三角形状ITO電極と出射光
ビーム制御用のITO電極を形成し、半導体レーザ・ダイ
オードと入射用端面、及び出射用プリズムを設けること
によって図10のような2次元光偏向素子を作製した。
【0060】バッファ層、レンズ層、及び薄膜光導波路
は実施例1と同様にして固相エピタキシャル成長によっ
て作製した。まず、PZT(95/5)用前駆体溶液をNbドープS
rTiO 3基板へスピンコーティングを行い、O2雰囲気中で1
0℃/secにて昇温して350℃にて保持の後、100℃/secに
て昇温して750℃に保持し、最後に電気炉の電源を切り
冷却した。これにより膜厚100 nmの第一層目のPZT薄膜
を固相エピタキシャル成長した。これをさらに3回繰り
返すことにより総膜厚400 nmのエピタキシャルPZTバッ
ファ層が得られた。バッファ層を成長した後、PZT(30/7
0)用前駆体溶液をスピンコーティングを行い、O2雰囲気
中で昇温して350℃にて保持の後、電気炉の電源を切り
冷却した。これをさらに7回繰り返すことによりアモル
ファスPZT(30/70)薄膜を得た。次に、ネガ電子線レジス
トをスピンコートし、プリベークの後、開口径400μmの
瞳形レンズ形状に電子線露光した。さらにポストベーク
に続いて現像を行うことにより、瞳形レンズ形状のレジ
スト・パターンを形成した。さらに、ハードベークの
後、HCl水溶液でアモルファスPZT(30/70)薄膜をエッチ
ングすることによって瞳形レンズ形状のアモルファスPZ
T(30/70)薄膜を形成した。リムーバによってレジストを
剥離した後、O2雰囲気中で昇温して350℃にて保持の
後、650℃にて保持することにより固相エピタキシャル
成長を行い、膜厚800 nmのエピタキシャルPZT(30/70)レ
ンズ層を形成し、コリメートレンズ11とした。次に、
PLZT(9/65/35)用前駆体溶液をスピンコーティングを行
い、O2雰囲気中で10℃/secにて昇温して350℃にて保持
の後、100℃/secにて昇温して750℃に保持し、最後に電
気炉の電源を切り冷却した。これにより膜厚100 nmの第
一層目のPLZT薄膜を固相エピタキシャル成長した。これ
をさらに9回繰り返すことにより総膜厚1000 nmのエピタ
キシャルPLZT薄膜光導波路をレンズ層を有するバッファ
層上に得た。結晶学的関係は単一配向のPLZT(100)薄膜
光導波路 // PZT(100)レンズ層 // PZT(100)バッファ層
// Nb-SrTiO3(100)基板、面内方位PLZT[001]薄膜光導
波路 // PZT[001]レンズ層 // PZT [001]バッファ層 //
Nb-SrTiO3[001]基板の構造が得られた。PLZT薄膜光導
波路上にはスパッタリングによる膜厚200nmのITO薄膜に
よる底辺200μm、高さ2000μmの光導波路内光ビーム制
御用三角形状電極5と、1000μm角の出射光ビーム制御
用の電極10とをリフトオフ法によって形成した。さら
に、端面を研磨することによって光ビーム入射部を形成
した後、半導体レーザ12を設置した。また、出射光ビ
ーム制御用電極10の上部には底角の角度が60度、底辺
が2 mmのルチル製のプリズム9を固定し、2次元偏向素
子を製造した。
【0061】本実施例の2次元偏向素子においては、PL
ZT薄膜光導波路3へ入射用端面に設けられた半導体レー
ザ12から入射したレーザビームは薄膜レンズで構成さ
れたコリメートレンズ11によって幅200μmにコリメー
トされた。そのコリメートされたレーザビームは、光導
波路内光ビーム制御用の三角形状電極5と下部Nbドープ
SrTiO3基板電極との間に電圧を印加することにより偏向
される。さらに、出射用プリズムと光導波路との間に設
けられた出射光ビーム制御用の電極9と下部NbドープSr
TiO3基板電極との間に電圧を印加することにより、出射
用プリズム9からの出射角度が変化する。以上のよう
に、薄膜レンズを設けることにより半導体レーザを実装
した2次元偏向素子を作製できる。
【0062】次に、本発明の第3の実施の形態について
説明する。本実施の形態の光偏向素子は、図11に示す
ように、直角三角形状の上部電極5のレーザビーム入射
側にプリズム9の向きと逆向きに斜面が入射面となるプ
リズム13を設けたものである。なお、その他の構成は
第1の実施の形態と同様であるので、説明は省略する。
【0063】本実施の形態によれば、プリズム13の斜
面から薄膜光導波路3に入射されたレーザビームは、電
極間に形成されたプリズム領域を通過し、第1の実施の
形態と同様に2次元偏向を行うことができる。なお、本
実施の形態では、レーザビームが入射されるプリズムの
斜面が広いため太いビーム系のレーザビームを効率よく
入射させることができる。
【0064】次に、上記の第3の実施の形態の光偏向素
子を製造した実施例について説明する。実施例4 本実施例では、実施例2よりもNbドープ量を低減し透明
性と導電性を付与したNbドープSrTiO3(100)単結晶の下
部電極となる基板上へ、膜厚1000 nmのエピタキシャルP
ZT(52/48)薄膜光導波路を成長させ、さらに光導波路内
光ビーム制御用の三角形状AlドープZnO電極と出射光ビ
ーム制御用のAlドープZnO電極を形成し、入射用及び出
射用プリズムを設けることによって図11のような2次
元偏向素子を構成した。
【0065】PZT(52/48)薄膜光導波路はRfマグネトロン
・スパッタリングによってエピタキシャル成長できる。
結晶学的関係は単一配向のPZT(100)薄膜光導波路 // Nb
-SrTiO3(1 00)基板の構造が得られる。PZT薄膜光導波路
上にはスパッタリングによる膜厚200 nmのAlドープZnO
薄膜による底辺100μm、高さ2000μmの光導波路内光ビ
ーム制御用三角形状電極5と、1000μm角の出射光ビー
ム制御用の電極10とをリフトオフ法によって形成でき
る。さらに、底角の角度が60度、底辺が2 mmのルチル・
プリズム13を固定することによって光ビーム入射部を
形成し、また、出射光ビーム制御用電極10の上部には
底角の角度が80度、底辺が2 mmのルチル・プリズム9を
固定し、2次元偏向素子を作製した。
【0066】本実施例の2次元偏向素子においては、PL
ZT薄膜光導波路3へ入射用のルチル・プリズム13から
入射したコリメートされたレーザビームは、光導波路内
光ビーム制御用の三角形状電極5と下部NbドープSrTiO3
基板電極との間に電圧を印加することにより偏向され
る。さらに、出射用プリズムと光導波路との間に設けら
れた出射光ビーム制御用の電極10と下部NbドープSrTi
O3基板電極との間に電圧を印加することにより、出射用
プリズム9からの出射角度が変化する。以上のようにし
て2次元偏向素子を構成することができる。
【0067】次に、本発明の第4の実施の形態について
説明する。本実施の形態の光偏向素子は、図12に示す
ように、直角三角形状の上部電極5のレーザビーム入射
側に入射用グレーティング14を設けたものである。な
お、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるの
で、説明は省略する。
【0068】本実施の形態によれば、入射用のグレーテ
ィング14から入射したコリメートされたレーザビーム
は、電極間に形成されたプリズム領域を通過し、第1の
実施の形態と同様に2次元偏向を行うことができる。な
お、本実施の形態では、レーザビームが入射されるグレ
ーティングの面が広いため太いビーム系のレーザビーム
を効率よく入射させることができる。
【0069】次に、上記の第4の実施の形態の光偏向素
子を製造した実施例について説明する。実施例5 実施例5としてAl2O3(0001)単結晶基板上へ、下部電極
となる膜厚200 nmのAlドープZnO導電性薄膜をエピタキ
シャル成長し、次に膜厚600 nmのエピタキシャルLiNbO3
薄膜光導波路を成長させ、さらに光導波路内光ビーム制
御用の三角形状AlドープZnO電極と出射光ビーム制御用
のAlドープZnO電極を形成し、入射用グレーティングと
出射用プリズムを設けることによって図12のような2
次元偏向素子を構成した。
【0070】AlドープZnO薄膜はRfマグネトロン・スパ
ッタリングによってエピタキシャル成長し、次にin-sit
uでLiNbO3薄膜光導波路をRfマグネトロン・スパッタリ
ングによってエピタキシャル成長できる。結晶学的関係
は単一配向のLiNbO3 (0001)薄膜光導波路 // Al-ZnO(00
1)導電性薄膜 // Al2O3(0001)基板の構造が得られる。L
iNbO3薄膜光導波路には底辺100μm、高さ1000μmのプリ
ズム形状のドメイン反転領域を形成した後、その上部に
はスパッタリングによって膜厚200 nmのAlドープZnO薄
膜による底辺100μm、高さ1000μmの光導波路内光ビー
ム制御用三角形状電極5をエッチングによって形成す
る。また、同様にして2000μm角の出射光ビーム制御用
電極10をエッチングによって形成する。さらに、TiO2
をパターンニングすることによって光ビーム入射用のグ
レーティング14を形成し、出射光ビーム制御用電極1
0の上部には底角の角度が60度、底辺が3 mmのルチル・
プリズム9を固定し、2次元偏向素子を作製した。
【0071】本実施例の2次元偏向素子においては、Li
NbO3薄膜光導波路3へ入射用のグレーティング14から
入射したコリメートされたレーザビームは、光導波路内
光ビーム制御用の三角形状電極5と下部導電性Alドープ
ZnO薄膜電極との間に電圧を印加することにより偏向さ
れる。さらに、出射用プリズムと光導波路との間に設け
られた出射光ビーム制御用電極10と下部導電性Alドー
プZnO薄膜電極との間に電圧を印加することにより、出
射用プリズム9からの出射角度が変化する。以上のよう
にして2次元偏向素子を構成することができる。
【0072】次に、本発明の第5の実施の形態について
説明する。本実施の形態の光偏向素子は、図13に示す
ように、直角三角形状の上部電極5R、5G、5Bが設
けられ、各々の上部電極5R、5G、5Bのレーザビー
ム伝搬側には四角形状の上部透明電極10R、10G、
10Bが設けられている。上部電極5R、5G、5B及
び上部透明電極10R、10G、10Bは、第1の実施
の形態の上部電極5及び上部透明電極10と同様のもの
である。上部電極5R、5G、5Bの各々、及び上部透
明電極10R、10G、10Bの各々には、独立して印
加電圧が制御可能に電源が接続される。出射用プリズム
9は、上部透明電極10R、10G、10B各々の一部
が露出するように上部透明電極の上に設けられている。
なお、その他の構成は第1の実施の形態と同様であるの
で説明は省略する。本実施の形態実施例では、R、G、
B3色のレーザビームを2次元偏向するために、3つの
上部電極及び上部透明電極を設けたが、上部電極及び上
部透明電極は、2次元偏向するレーザビームの個数に応
じて設けることができる。
【0073】本実施の形態によれば、3つの波長の光ビ
ームが2次元偏向可能であるため、カラー・ディスプレ
イへの応用が可能となる。
【0074】なお、上記第2〜第4の実施の形態におい
ても、直角三角形状の上部電極5、及び上部透明電極1
0を各々3つ設ければ、3つの波長の光ビームを2次元
偏向するカラー・ディスプレイへ応用することができ
る。
【0075】次に、上記の第5の実施の形態の光偏向素
子を製造した実施例について説明する。実施例6 実施例6は、SrTiO3(100)単結晶基板上へ、下部電極と
なる膜厚200 nmのSrRuO 3導電性薄膜をエピタキシャル成
長し、膜厚1600 nmのエピタキシャルPZT(85/15)バッフ
ァ層を成長させ、次に膜厚1000 nmのエピタキシャルPZT
(52/48)薄膜光導波路を成長させ、さらに光導波路内光
ビーム制御用の三角形状ITO電極と出射光ビーム制御用
のITO電極を形成し、入射用端面と出射用プリズムを設
けることによって、図13に示すように波長の異なる3
つの光ビームの2次元偏向素子を構成したものである。
【0076】本実施例のSrRuO3導電性薄膜はスパッタリ
ングによってエピタキシャル成長することができる。バ
ッファ層及び光導波路は実施例1と同様にして固相エピ
タキシャル成長によって作製できる。結晶学的関係は単
一配向のPZT (100) // PZT(100) // SrRuO3(100) // Sr
TiO3 (100)の構造が得られる。PZT薄膜光導波路上には
スパッタリングによる膜厚200 nmのITO薄膜による底辺2
00μm、高さ2000μmの3つの光導波路内光ビーム制御用
三角形状電極5R、5G、5Bと、1000μm角の3つの
出射光ビーム制御用の電極10R、10G、10Bとを
1000μmの間隔でリフトオフ法によって形成する。さら
に、端面を研磨することによって光ビーム入射部を形成
し、また、出射光ビーム制御用電極10R、10G、1
0Bの上部には底角の角度が50度、底辺が5 mmのルチル
・プリズム9を固定し、2次元偏向素子を作製した。
【0077】本実施例の2次元偏向素子のPZT薄膜光導
波路3へ入射用端面から幅200μmにコリメートしたRGB
カラーに相当する647 nm、515 nm、及び488 nmの3つの
波長のレーザビームを3つの三角形状電極直下のプリズ
ム領域の各々へ導入した。入射した各レーザビームは光
導波路内光ビーム制御用の三角形状電極の各々と下部Nb
ドープSrTiO3基板電極との間に独立に電圧を印加するこ
とにより偏向された。さらに、出射用プリズムと光導波
路との間に設けられた出射光ビーム制御用の電極と下部
NbドープSrTiO3基板電極との間に独立に電圧を印加する
ことにより、各レーザビームの出射用プリズム9からの
出射角度が変化した。このようにして出射した3つの波
長の光ビームは電圧に応じて独立に偏向された。以上の
ように、3つの波長の光ビームが2次元偏向可能である
ため、カラー・ディスプレイへの応用が可能となる。
【0078】次に本発明の第6の実施の形態について説
明する。本実施の形態の光偏光素子は、図14に示すよ
うに、複数の光ファイバ151〜154からなる光ファイ
バアレイを設けると共に、複数の光ファイバから照射さ
れかつ端面から薄膜光導波路3に入射した複数のレーザ
ビーム61〜64の各々に対応して、複数の薄膜レンズ1
1〜114、複数の三角形状の上部電極51〜54、及び
複数の出射光ビーム制御用電極101〜104を設けたも
のである。また、プリズム9の光出射側には、レンズ1
7を介して複数の光ファイバ対161〜164からなる光
ファイバアレイが配置されている。各光ファイバ対は、
光の偏向方向に配置された一対の光ファイバで構成され
ている。なお、その他の点は第1の実施の形態と同様で
あるので説明は省略する。
【0079】本実施の形態によれば、複数の光ファイバ
から入射したレーザビームを2次元方向に出射制御し、
複数の光ファイバ対を構成する光ファイバの各々に選択
的に入射させることができるので、多ファイバ間で光ク
ロスコネクトを行うことができる。
【0080】なお、上記では、光ファイバ、薄膜レン
ズ、上部電極、及び出射光ビーム制御用電極を4個設け
た例について説明したが、これらは任意の個数設けるこ
とができる。また、1つのプリズムを用いた例について
説明したが、出射光ビーム制御用電極毎に小プリズムを
設けてもよく、出射光ビーム制御用電極のグループ毎に
プリズムを設けるようにしてもよい。
【0081】次に、上記の第6の実施の形態の光偏向素
子を製造した実施例について説明する。実施例 7 実施例7は、実施例1等と同様にして不透明でかつ低抵
抗のNbドープSrTi O3(100)単結晶の下部電極基板上へ、
膜厚1400 nmのエピタキシャルPLZT(9/65/35)バッファ層
を成長させ、次にモードインデックスレンズとなるレン
ズ形状の膜厚2000 nmのエピタキシャルPZT(30/70)薄膜
を形成し、さらに膜厚2200 nmのエピタキシャルPZT(52/
48)薄膜光導波路を成長させ、図14に示すように4つ
の光ビームを2次元偏向する2次元偏向素子を構成した
ものである。PZT薄膜光導波路上にはスパッタリングに
よる膜厚200 nmのITO薄膜による底辺500μm、高さ5000
μmの光導波路内光ビーム制御用三角形状の上部電極を4
つと、500μm角の出射光ビーム制御用の電極4つとがリ
フトオフ法によって形成されている。さらに、端面を研
磨することによって光ビーム入射部を形成した後、250
umピッチの4本の光ファイバー・アレイが設置されてい
る。出射光ビーム制御用電極の上部には底角の角度が45
度、底辺が5 mmのルチル・プリズム9が固定されて2次
元偏向素子が作製されている。ルチル・プリズムから出
射した光ビームは250 umピッチで4×2に配置した光ファ
イバー・アレイに集光されるようにレンズ17が設けられ
ている。
【0082】本実施例の2次元偏向素子のPZT薄膜光導波
路の入射用端面に配置された光ファイバー・アレイから
入射されたレーザー・ビーム6は4つの三角形状の電極へ
それぞれ導入される。入射した各レーザー・ビームは光
導波路内光ビーム制御用の三角形状の電極5と下部Nbド
ープSrTiO3基板電極との間に0〜20 Vの電圧を印加する
ことにより偏向した。さらに、出射用プリズムと光導波
路との間に設けられた出射光ビーム制御用の電極と下部
NbドープSrTiO3基板電極との間に0〜20 Vの電圧を印加
することにより、各レーザー・ビームの出射用プリズム
9からの出射角度を変化させた。このようにして出射し
た4つのレーザ・ビームは電圧に応じて偏向され、レー
ザ・ビームはレンズ17によって集光された後、任意の出
射光ファイバー・アレイに結合することが可能となっ
た。このようにして4×8の光ファイバー間の切り替えが
ひとつの偏向素子だけで可能となる。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、単
一の基板を用いて光導波路素子を構成しているため、光
軸調整を必要とせず小型で、低駆動電圧、高光利用効
率、かつ高速に光ビームを2次元偏向することが可能な
光導波路素子を提供することができる、という効果が得
られる。なお、本発明の光偏向素子は、レーザー・プリ
ンター、デジタル複写機、ファクシミリ、ディスプレ
イ、光インターコネクション、光クロスコネクト、バー
コードリーダ、グリフコードリーダ、光ディスク用のピ
ックアップ、表面検査用光スキャナー、表面形状想定用
光スキャナー等を含むオプト・エレクトロニクス全般へ
利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の光偏向素子を示す
斜視図である。
【図2】(A) はバッファ層を設けた光導波路の断面
図、(B)は(A)の光導波路/バッファ層/基板の等価
回路図である。
【図3】光導波路における電磁界分布を示したバッファ
層及びクラッド層を設けた光導波路の断面図である。
【図4】光導波路のプリズム領域における偏向方向を示
す斜視図である。
【図5】出射用プリズムと光導波路の間に設けた電極に
よる偏向方向を示す断面図である。
【図6】 実施例1の2次元偏向素子の三角形状電極に
よる光ビームの偏向特性を示す線図である。
【図7】 実施例1の2次元偏向素子の出射用プリズム
と光導波路の間に設けた電極による偏向特性を示す線図
である。
【図8】 実施例2の2次元偏向素子の三角形状電極に
よる光ビームの偏向特性を示す線図である。
【図9】 実施例2の2次元偏向素子の出射用プリズム
と光導波路の間に設けた電極による偏向特性を示す線図
である。
【図10】本発明の第2の実施の形態の光偏向素子を示
す斜視図である。
【図11】本発明の第3の実施の形態の光偏向素子を示
す斜視図である。
【図12】本発明の第4の実施の形態の光偏向素子を示
す斜視図である。
【図13】本発明の第5の実施の形態の光偏向素子を示
す斜視図である。
【図14】本発明の第7の実施の形態の光偏向素子を示
す斜視図である。
【符号の説明】
1 導電性基板 2 バッファ層 3 薄膜光導波路 4 クラッド層 5 上部電極 9 出射用プリズム 10 上部透明電極 11 コリメータレンズ 12 半導体レーザ・ダイオード 13 入射用プリズム 14 入射用グレーティング
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森川 尚 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 森山 弘朗 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 渡部 雅夫 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内 (72)発明者 長ケ部 英資 神奈川県足柄上郡中井町境430グリーンテ クなかい 富士ゼロックス株式会社内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下部電極となる導電性または半導電性の単
    結晶基板上、または表面に下部電極となる導電性または
    半導電性の単結晶薄膜が形成された基板上に設けられた
    エピタキシャルまたは単一配向性の電気光学効果を有す
    る光導波路と、 前記光導波路上に配置され、前記単結晶基板または単結
    晶薄膜との間に、印加された電圧に応じて屈折率が変化
    すると共に前記光導波路を伝搬する光ビームを印加され
    た電圧に応じて第1の方向に偏向するための領域を形成
    する光導波路内光ビーム制御用電極と、 光導波路内の光ビームを前記第1の方向と交差する第2
    の方向に出射する出射用プリズムと、 前記出射用プリズムと前記光導波路との間に配置され、
    前記単結晶基板または単結晶薄膜との間に、印加された
    電圧に応じて屈折率が変化すると共に印加された電圧に
    応じて前記出射用プリズムから出射される光ビームを前
    記第2の方向に偏向するための領域を形成する出射光ビ
    ーム制御用透明電極と、 を含む光偏向素子。
  2. 【請求項2】前記光導波路内光ビーム制御用電極は、三
    角形状に形成され、電圧が印加されることにより周囲の
    領域と屈折率が異なるプリズム領域を前記光導波路内に
    形成する請求項1に記載の光偏向素子。
  3. 【請求項3】前記光導波路は、プリズム形状の分極ドメ
    イン反転領域を有し、前記光導波路内光ビーム制御用電
    極は、三角形状に形成され、電圧が印加されることによ
    り周囲の領域と屈折率が異なるプリズム形状の分極ドメ
    イン反転領域を前記光導波路内に形成する請求項1に記
    載の光偏向素子。
  4. 【請求項4】前記単結晶薄膜が形成された基板は、前記
    光導波路よりも小さい屈折率を有し、エピタキシャルま
    たは単一配向性の導電性または半導電性の酸化物を薄膜
    として表面に設けた基板である請求項1乃至3のいずれ
    かに記載の光偏向素子。
  5. 【請求項5】前記光導波路は、前記光導波路よりも小さ
    い屈折率を有するバッファ層を介して前記単結晶基板ま
    たは単結晶薄膜上に設けらている請求項1乃至4のいず
    れかに記載の光偏向素子。
  6. 【請求項6】前記導電性または半導電性の単結晶基板
    を、前記光導波路よりも小さい屈折率を有する透明酸化
    物で形成した請求項1乃至5のいずれかに記載の光偏向
    素子。
  7. 【請求項7】前記光導波路の表面に、前記光導波路より
    も小さい屈折率を有するクラッド層を設けた請求項1乃
    至6のいずれかに記載の光偏向素子。
  8. 【請求項8】前記光導波路は、酸化物強誘電体で形成さ
    れている請求項1乃至7のいずれかに記載の光偏向素
    子。
  9. 【請求項9】前記光導波路内光ビーム制御用電極及び前
    記出射光ビーム制御用の透明電極の各々を、複数個設置
    した請求項1乃至8のいずれかに記載の光偏向素子。
  10. 【請求項10】前記光導波路内光ビーム制御用電極の各
    々に対応させて、前記光導波路内に複数の光ビームを入
    射する請求項9に記載の光偏向素子。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2377762A (en) * 2001-07-17 2003-01-22 Bookham Technology Plc Divergent beam steerer formed in a substrate
JPWO2004068235A1 (ja) * 2003-01-27 2006-05-25 富士通株式会社 光偏向素子およびその製造方法
JP2006133308A (ja) * 2004-11-02 2006-05-25 Fujitsu Ltd 光学素子
JP2016122062A (ja) * 2014-12-24 2016-07-07 日本放送協会 光偏向素子
CN110877456B (zh) * 2019-12-10 2023-08-08 杭州德迪智能科技有限公司 一种高效率旋转扫描平面成像装置及方法

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