JP3991764B2 - 照明装置および投射型表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、照明装置および投射型表示装置に関し、特に、光利用効率に優れた照明装置の構成に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
液晶ライトバルブ等の光変調装置を用いて映像光を合成し、合成された映像光を投射レンズ等からなる投射光学系を通じてスクリーンに拡大投射する投射型表示装置が従来から知られている。この種の投射型表示装置に用いられる照明光学系において、メタルハライドランプ等の光源から出射される光は通常、偏光状態がランダムな光である。ところが、偏光を利用する液晶ライトバルブを用いた投射型液晶表示装置の場合、表示には一方向の偏光しか利用しないため、光源からの光をそのまま液晶ライトバルブに入射させると、略半分の光が入射側偏光板で吸収されてしまい、ここで吸収された光はそれ以降、表示には利用されないことになる。
【0003】
そこで、従来の投射型液晶表示装置では、光の利用効率を改善する目的で、光源からのランダムな偏光状態の光を表示に利用する一方向の偏光に揃える偏光変換手段が、光源と液晶ライトバルブとの間に設置されている。偏光変換手段には、偏光ビームスプリッタ(Polarized Beam Splitter,以下、PBSと略記する)アレイが一般的に用いられる。PBSアレイは、偏光分離膜と反射膜とを有する複数のPBSと1/2波長板等の位相差板とが組み合わされたものであって、光源からの光に含まれるp偏光、s偏光(直線偏光)のうちの一方を偏光変換して他方の偏光に揃える機能を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、PBSアレイを用いた従来の投射型表示装置の偏光変換手段には、以下のような問題点があった。
個々のPBS自体がある程度の寸法を持った素子であるため、これをアレイ状に配列したPBSアレイはかなりの大きさになってしまい、最近の投射型表示装置の小型化、薄型化、軽量化の要求にそぐわないものとなる。また、PBSアレイの入射面のうち、偏光分離膜に相当する位置に光を入射させなければならず、その位置に光を集光させるためのレンズ系が必要であった。このことが偏光変換手段の構成を複雑にしていた。また、偏光分離膜で分離したp偏光とs偏光とで光路長が異なるため、ライトバルブ上での照明条件にずれが生じ、光の利用効率が低下する、という問題があった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、光の利用効率に優れ、簡単な構成で小型化、薄型化、軽量化が図れる照明装置、およびこの照明装置を備えた小型、薄型、軽量の投射型液晶表示装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の照明装置は、光源と、前記光源から入射される光を一方向の偏光に揃える偏光変換手段とを備えた照明装置であって、前記光源が、光源本体に対する側の面が反射面となるように前記光源本体の光出射方向に対して後方側に設けられた反射板を備え、前記偏光変換手段が、前記光源の光出射側に設けられ、所定の振動方向の偏光を透過させるとともに前記振動方向と異なる振動方向の偏光を反射させる反射型偏光板を備えたことを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、一つの偏光(例えばp偏光)を透過させるとともに他の偏光(例えばs偏光)を反射させる反射型偏光板が光源の光出射側に設けられているので、光源からのランダムな偏光状態の光が反射型偏光板に入射された際に例えばp偏光は反射型偏光板を透過し、s偏光は反射して光源側に戻る。そして、光源側に戻った光は、光源本体の後方に設けられた反射板で反射し、再度反射型偏光板に向けて伝播する。そうすると、最初に反射型偏光板を透過できなかった光は、偏光状態が変わらない限り反射型偏光板と反射板との間を往復することになる。しかしながら、実際には光は反射を繰り返すうちに偏光状態が少しずつ変化するので、光の一部は反射型偏光板を透過するようになり、吸収されなかった全ての光がいずれは反射型偏光板を透過する。したがって、本照明装置を投射型表示装置に適用した場合、最初に反射型偏光板で反射された光もいつかは偏光状態が揃った状態で反射型偏光板を透過し、液晶ライトバルブ等の光変調手段に入射される。このようにして、従来に比べて光の利用効率の高い照明装置を実現することができる。
【0008】
また、本発明の照明装置では、偏光変換機能を持つ素子として、従来のPBSアレイに代えて、反射型偏光板を用いている。反射型偏光板には、例えばフィルム多層積層型偏光板を用いることができるので、PBSアレイの場合とは全く異なり、装置の小型化、薄型化、軽量化に寄与することができる。また、反射型偏光板の場合、面全体に光を入射させることができ、PBSアレイのように特定の位置に光を集光させる必要がない。よって、偏光変換光学系にレンズを用いる必要がなく、構成が簡単になる。また、PBSアレイで用いるような波長板も不要となり、部品点数を削減することができる。
【0009】
本発明の照明装置においては、前記光源と前記反射型偏光板との間に位相差板を備えることが望ましい。
【0010】
この構成によれば、反射型偏光板上や反射板上で光が反射する際の自然な偏光変化にまかせるのではなく、位相差板の作用によって偏光状態を積極的に変換するので、光が反射型偏光板と反射板との間を往復する間の偏光状態の変化がより大きくなる。その結果、光が反射型偏光板を透過する割合を大きくすることができ、光の利用効率をより高めることができる。ここで、位相差板として1/2波長板や1/4波長板のように均一な位相差を発生するものでなく、光の透過する位置によって異なる位相差を発生する位相差板とすることが望ましい。この構成によれば、反射板と反射型偏光板の間を往復する光は往きと戻りで異なる位相変調作用を受けることになり、偏光状態の変化がより大きくなる。
【0011】
さらに、前記光源と前記反射型偏光板との間に、棒状の導光体、もしくは内面が反射面とされた管状の導光体を備えることが望ましい。ここで言う「棒状の導光体」、もしくは「内面が反射面とされた管状の導光体」は、いわゆる従来からのロッドレンズのことである。
【0012】
この構成によれば、導光体(ロッドレンズ)が光源から出射された光をただ単に反射型偏光板に導く機能を果たすのみならず、光が導光体中を透過する間に導光体内面で反射し、様々な角度で反射した光が導光体の出射端面で重畳されることによって光の照度分布を均一化する機能をも果たす。すなわち、光はこの照明装置を出射した時点で偏光状態が一方向に揃っており、かつ照度分布が均一化されている。投射型表示装置には、通常、光源光の照度分布を均一化するためにフライアイインテグレータ、ロッドインテグレータ等の均一照明手段が備えられていることが多いが、上記構成の照明装置を採用することによって均一照明手段と偏光変換手段を兼用することができる。
【0013】
前記反射型偏光板は、上述のフィルム多層積層型偏光板の他、入射光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を有するグリッド偏光子で構成することができる。
この構成によれば、反射型偏光板が無機材料で構成できるので、耐熱性、耐光性に優れたものとなる。したがって、高輝度の光が照射される投射型表示装置に用いて好適なものとなる。
【0014】
本発明の投射型表示装置は、上記本発明の照明装置を備えた投射型表示装置であって、前記光源は、異なる色の色光を時間順次に出射可能な複数の前記光源本体が平面状または曲面状に配列された面状光源であり、前記光源から時間順次に出射される各色光の出射タイミングに同期して時分割駆動されるライトバルブからなる光変調手段と、前記光変調手段によって変調された光を投射する投射手段とが備えられたことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、上記本発明の照明装置を備えたことにより、投射型表示装置の小型化、薄型化、軽量化を実現できるとともに、光の利用効率が向上することから高輝度化、低消費電力化を図ることができる。また、この投射型表示装置は、「色順次駆動(カラーシーケンシャル)方式」と呼ばれる駆動方式を採用したものである。したがって、各色光毎の3個のライトバルブを用いる従来の3板方式の投射型表示装置と異なり、ライトバルブが1個で済み(単板方式となる)、さらに光変調手段への照明光学系も1系統で済む。そして、色分離光学系や色合成光学系が不要となるため、部品点数を大きく削減できるとともに装置構成を簡単にでき、コスト低減を図ることができる。
【0016】
本発明のさらに他の投射型表示装置は、上記本発明の照明装置を備えた投射型表示装置であって、前記光源は、互いに異なる色の色光を出射可能な複数の面状光源であり、 前記光源から前記偏光変換手段を経て出射される各色光を変調するライトバルブからなる複数の光変調手段と、前記複数の光変調手段により変調された色光を合成する色合成手段と、前記色合成手段により合成された光を投射する投射手段とが備えられたことを特徴とする。
【0017】
本構成の投射型表示装置も、上記本発明の照明装置を備えたことにより、投射型表示装置の小型化、薄型化、軽量化を実現できるとともに、光の利用効率が向上することで高輝度化、低消費電力化が図れるが、上で述べた投射型表示装置と異なり、複数のライトバルブを必要とするものである。しかしながら、従来の装置とは異なり、複数の光源が互いに異なる色の色光を出射するように構成され、各色光毎にライトバルブが設けられているので、色分離手段を必要としない。その分、従来の装置に比べて装置構成が簡単になる。また、上で述べた装置のように光源とライトバルブの駆動を同期させる必要はないため、駆動が複雑にならず、ライトバルブの応答速度もそれ程速いものを必要としなくて済む。
【0018】
【発明の実施の形態】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1の実施の形態を、図1〜図5を参照して説明する。
本実施の形態では、色順次駆動方式の投射型カラー液晶表示装置の例を示す。図1は投射型表示装置1の全体構成を示す概略図であって、図中符号2はLEDアレイ(光源)、3は位相差板、4はテーパロッドレンズアレイ、7はロッドレンズアレイ、8は反射型偏光板、5は液晶ライトバルブ(光変調手段)、6は投射レンズ、である。
【0019】
本実施の形態の投射型表示装置1は、図1に示すように、R、G、Bの各色光を出射可能な複数(図1では図面を見やすくするため、4個のみ示す)の発光ダイオード14R,14G,14B(Light Emitting Diode, 以下、LEDと略記する)が配列されたLEDアレイ2、LEDアレイ2の出射側に設けられた位相差板3、各LED14R,14G,14Bから出射される各色光の照度を均一化するためのテーパロッドレンズアレイ4およびロッドレンズアレイ7、ロッドレンズアレイ7から出射される光の偏光変換を行う反射型偏光板8、反射型偏光板8から入射される各色光を変調して画像を合成する液晶ライトバルブ5、液晶ライトバルブ5によって合成された画像をスクリーン9に拡大投射する投射レンズ6から概略構成されている。このうち、本実施の形態の照明装置は、LEDアレイ2、位相差板3、テーパロッドレンズアレイ4、ロッドレンズアレイ7、反射型偏光板8によって構成されている。なお、図2は、本実施の形態の照明装置のうち、1個のLEDに対応する部分のみを取りだして示す図である。
【0020】
LEDアレイ2は光源駆動回路10に接続されており、この光源駆動回路10によって各LED14R,14G,14Bが発光するタイミングが制御され、各LED14R,14G,14Bから例えばR、G、B、R、G、B、…というように時間順次に異なる色の色光を発光可能な構成となっている。また、図2において各LED14R,14G,14Bの右側の面が光出射面となっており、各LED14R,14G,14Bから右方向に光が出射されるようになっている。そして、各LED14R,14G,14Bの光出射方向に対して後方側(図2におけるLEDの左側)に、金属膜等からなる曲面状の反射板15が、各LED14R,14G,14Bに対する側の面が反射面となるように設置されている。
【0021】
テーパロッドレンズアレイ4は、楔形のガラス柱からなる複数のテーパロッドレンズ16が位相差板3を介して各LED14R,14G,14Bに対応して配置されたものである。図2において、テーパロッドレンズ16の左側の面が入射端面、右側の面が出射端面である。個々のテーパロッドレンズ16は入射端面側から出射端面側に向けて先拡がりのテーパ状の形状となっている。同様に、テーパロッドレンズアレイ4の出射端面側に設けられたロッドレンズアレイ7は、入射端面側と出射端面側とで同径のガラス柱からなる複数のロッドレンズ17が、各LED14R,14G,14B(各テーパロッドレンズ16)に対応して配置されたものである。
【0022】
位相差板3は、後述するように、反射型偏光板8と反射板15との間を往復する光の偏光状態の変化をより大きくするためのものである。この位相差板3は、これを透過する光にいくらかの位相差を付与することで、何もない場合と比べて偏光状態をより大きく変化させる点で意味がある。したがって、例えば1/2波長、1/4波長というような特定の位相差の値を持つものに限定されるわけではない。また、位相差板3として、1/2波長板や1/4波長板のように均一な位相差を発生するものでなく、光の透過する位置によって異なる位相差を発生する位相差板とすることが望ましい。その場合、反射板15と反射型偏光板8の間を往復する光は往きと戻りで異なる位相変調作用を受けることになり、偏光状態の変化をより大きくすることができる。
【0023】
反射型偏光板8は、LEDアレイ2から出射されるランダムな偏光方向の光のうち、例えばp偏光、s偏光(直線偏光)のうちの一方を透過し、他方を反射する機能を有している。この機能により、反射型偏光板8からは常に偏光方向が一方向に揃った光が出射される。反射型偏光板8としては、例えばフィルム多層積層型偏光板を用いることもできるし、無機材料からなるグリッド偏光子を用いた反射型偏光子を用いることもできる。
【0024】
後者の例としては、図5に示すように、アルミニウムなどの光反射性を有する金属からなる多数のリブ24(光反射体)が入射光の波長よりも小さいピッチでガラス基板25上に形成されたグリッド偏光子が挙げられる。すなわち、この反射型偏光子8は、異なる屈折率を有するAlリブ24と空気とが入射光の波長よりも小さいピッチで交互にストライプ状に配置されたことで透過光、反射光の強度が、偏光状態によって異なる挙動を示すようになり、その結果、偏光子として機能する。この構成により、Alリブ24が形成された側の面にランダムな偏光が入射されると、Alリブ24の延在方向に平行な方向に振動するS偏光が反射され、Alリブ24の延在方向に垂直な方向(Alリブが配列する方向)に振動するP偏光が透過する。
【0025】
本実施の形態の照明装置において、各LED14R,14G,14Bから出射された光は、LEDの中心部の輝度が高く、周縁部の輝度が低いという輝度分布を有している。ところが、各LED14R,14G,14Bの出射側にテーパロッドレンズ16、ロッドレンズ17が順次設けられているので、LED14R,14G,14Bからの入射光はこれらレンズ16,17の内面で反射を繰り返し、ロッドレンズ17の出射端面から出射される時点では照度が均一化された状態となる。
【0026】
そして、照度が均一化されたランダムな偏光状態の光が反射型偏光板8に入射されると、例えばp偏光は反射型偏光板8を透過し、s偏光は反射してLED14R,14G,14B側に戻る。そして、LED14R,14G,14B側に戻った光は反射板15で反射し、再度反射型偏光板8に向けて進む。そうすると、最初に反射型偏光板8を透過できなかった光は、偏光状態が変わらない限り反射型偏光板8と反射板15との間を往復することになるが、実際には光は反射を繰り返すうちに偏光状態が少しずつ変化する。また本実施の形態では、反射時の自然な偏光変化にまかせるだけでなく、反射型偏光板8と反射板15との間の光路上に位相差板3が設けられており、光が位相差板3を透過する際に偏光状態が強制的に変えられるため、偏光状態の変化がより大きくなる。このため、最初に反射型偏光板8で反射された光は、反射型偏光板8と反射板15との間を往復する間にその一部が反射型偏光板8を透過することができる。
【0027】
一方、液晶ライトバルブ5には、画素スイッチング用素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor, 以下、TFTと略記する)を用いたTNモードのアクティブマトリクス方式の透過型の液晶セル31が使用されている。そして、液晶セル31の外面には入射側偏光板32、出射側偏光板33がその透過軸が互いに直交するように配置されて設けられている。例えば、オフ状態では液晶ライトバルブ5に入射されたp偏光がs偏光に変換されて出射される一方、オン状態では光が遮断されるようになっている。以上の照明装置を構成するLEDアレイ2、位相差板3、テーパロッドレンズアレイ4、ロッドレンズアレイ7、反射型偏光板8、および液晶ライトバルブ5は離間して配置しても良いが、装置の小型化、薄型化のためには全てを密着させて配置することが望ましい。
【0028】
図1に示すように、液晶ライトバルブ5は液晶ライトバルブ駆動回路11に接続されており、この液晶ライトバルブ駆動回路11によって、入射される各色光に対応させて液晶ライトバルブ5を時間順次に駆動することが可能な構造になっている。また、本実施の形態の投射型表示装置1においては、同期信号発生回路12が備えられており、この同期信号発生回路12により、同期信号SYNCを発生させ、光源駆動回路10および液晶ライトバルブ駆動回路11に入力することにより、各LED14R,14G,14Bから色光を出射するタイミングと、その色光に対応して液晶ライトバルブ5を駆動するタイミングとを同期させることができる構造になっている。
【0029】
すなわち、本実施の形態の投射型表示装置1では、1フレームを時分割し、LED14R,14G,14Bから時間順次にR、G、Bの各色光を出射させ、各LED14R,14G,14Bから色光を出射するタイミングと液晶ライトバルブ5を駆動するタイミングとを同期させることにより、各LED14R,14G,14Bから出射される色光に対応させて液晶ライトバルブ5を時間順次に駆動し、各LED14R,14G,14Bから出射される色光に対応する画像信号を出力することにより、カラー画像を合成することが可能な構成になっている。
【0030】
本実施の形態の投射型表示装置は、いわゆる「色順次駆動(カラーシーケンシャル)方式」と呼ばれる駆動方式を採用したものである。したがって、各色光毎の3個の液晶ライトバルブを用いる従来の3板方式の投射型表示装置と異なり、液晶ライトバルブが1個で済み(単板方式となる)、さらに光変調手段への照明光学系も1系統で済む。そして、色分離光学系や色合成光学系が不要となるため、部品点数を大きく削減できるとともに装置構成を簡単にでき、コスト低減を図ることができる。
【0031】
本実施の形態では、上述したように、照明装置の出射側に反射型偏光板8、各LED14R,14G,14Bの後方に反射板15が設けられており、最初に反射型偏光板8で反射された光もその後、反射板15との間で反射を繰り返すうちに偏光状態が一定に揃った状態で反射型偏光板8を透過し、液晶ライトバルブ5に入射される。このようにして、従来に比べて光の利用効率の高い照明装置を実現することができる。
【0032】
また、本実施の形態の照明装置では、偏光変換機能を持つ素子として、従来のPBSアレイに代えて、反射型偏光板8を用いている。反射型偏光板8として市販の偏光フィルムを用いた場合、特に装置の小型化、薄型化、軽量化に寄与することができる。構造複屈折体からなる反射型偏光子8を用いた場合、耐光性、耐熱性に優れ、投射型表示装置に特に好適なものとなる。また、反射型偏光板8の場合、PBSアレイと異なり、面全体に光を入射させることができ、特定の位置に光を集光させる必要がない。よって、偏光変換光学系にレンズを用いる必要がなく、構成が簡単になる。また、PBSアレイで用いるような波長板も不要となり、部品点数を削減することができる。すなわち、均一照明機能と偏光変換機能を兼ね備えた非常にコンパクトな照明装置を実現することができる。
【0033】
[第2の実施の形態]
以下、本発明の第2の実施の形態を、図6を参照して説明する。
本実施の形態も投射型カラー液晶表示装置の例であるが、第1の実施の形態が色順次駆動方式の単板方式の例であったのに対し、本実施の形態では3板方式の例を示す。図6は投射型表示装置の概略構成を示す拡大図である。なお、図6において図1と共通の構成要素には同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0034】
第1の実施の形態では、光源としてR、G、Bの異なる色の色光を発光し得るLED14R,14G,14Bを同一面内に配列したLEDアレイ2を用いたのに対し、本実施の形態の投射型液晶表示装置36では、図6に示すように、Rの色光を発光し得るLED14Rを同一面内に配列したLEDアレイ2R、Gの色光を発光し得るLED14Gを同一面内に配列したLEDアレイ2G、Bの色光を発光し得るLED14Bを同一面内に配列したLEDアレイ2B、の3個を面状光源として用いている。そして、各LEDアレイ2R,2G,2Bの出射側には、第1の実施の形態と同様、位相差板3、テーパロッドレンズアレイ4およびロッドレンズアレイ7、反射型偏光板8がそれぞれ配置されている。したがって、本実施の形態の投射型表示装置は各色光毎に3系統の照明装置を有している。
【0035】
各色光毎の反射型偏光板8の出射側に、R、G、Bの各色光を変調する液晶ライトバルブ5がそれぞれ設けられている。そして、各液晶ライトバルブ5によって変調された3つの色光が、クロスダイクロイックプリズム25(色合成手段)に入射するように構成されている。このプリズム25は4つの直角プリズムが貼り合わされたものであり、内面に赤色光を反射する誘電体多層膜と青色光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光Lr、Lg、Lbが合成されてカラー画像を表す光が形成される。色合成された光は投射レンズ6によりスクリーン9上に投射され、拡大された画像が表示される。
【0036】
本実施の形態の投射型表示装置は、第1の実施の形態の装置と異なり、3個の液晶ライトバルブ5を必要とするものである。しかしながら、従来の装置とは異なり、3つの照明装置が互いに異なる色の色光を出射するように構成され、各色光毎に液晶ライトバルブ5が設けられているので、従来の装置におけるダイクロイックミラーのような色分離手段を必要としない。その分、従来の装置に比べて装置構成が簡単になる。また、第1の実施の形態の装置のようにLEDアレイ2r,2g,2bと液晶ライトバルブ5の駆動を同期させる必要はないため、駆動が複雑にならず、液晶ライトバルブの応答速度もそれ程速いものを必要としなくて済む。
【0037】
そして、本実施の形態においても、照明装置の出射側に反射型偏光板8、各LED14R,14G,14Bの後方に反射板15が設けられたことで光の利用効率の高い照明装置を実現できる、集光レンズが不要となることで偏光変換光学系の構成が簡単になる、波長板も不要となることで部品点数を削減できる、という第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。
【0038】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。例えば上記実施の形態では、図2に示したように、LED14R,14G,14Bの出射側に位相差板3、テーパロッドレンズ16、ロッドレンズ17、反射型偏光板8を順次備えた照明装置を例示したが、この構成に代えて、例えば図3に示すように、図2の構成からロッドレンズ17を省いた構成としてもよい。これにより、照明装置をより薄型にすることができる。さらに、図4に示すように、テーパロッドレンズ16も省き、LED14R,14G,14Bの出射面に位相差板3と反射型偏光板8とを直接積層した構成としてもよい。これにより、照明装置を大幅に薄型化することが可能となる。
【0039】
また、上記実施の形態では、各LED14R,14G,14Bと各ロッドレンズ16,17を1:1に対応させたが、必ずしも1:1に対応している必要はなく、例えば複数個のLEDに1個のロッドレンズが対応していても良い。さらに、光源として複数のLED14R,14G,14Bをアレイ状に配置したものを用いたが、必要充分な光量さえ得られれば、LEDを1個のみ用いてもよい。上記実施の形態では本発明の照明装置を投射型表示装置に用いた例を示したが、直視型の表示装置に用いることもできる。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、最初に反射型偏光板で反射された光もいつかは偏光状態が一定に揃った状態で反射型偏光板を透過し、ライトバルブ等の光変調手段に入射される。このようにして、従来に比べて光の利用効率の高い照明装置を実現することができる。また、本発明の照明装置では、偏光変換素子として従来のPBSアレイに代えて、反射型偏光板を用いたことにより装置の小型化、薄型化、軽量化に寄与することができ、投射型表示装置に用いて好適なものとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施形態の投射型表示装置を示す概略構成図である。
【図2】 同、投射型表示装置における照明装置の一つのLEDに対応する部分のみを取りだして示す断面図である。
【図3】 同、他の例を示す断面図である。
【図4】 同、さらに他の例を示す断面図である。
【図5】 同、照明装置に用いる反射型偏光板の一例を示す斜視図である。
【図6】 本発明の第2の実施形態の投射型表示装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1 投射型表示装置
2 LEDアレイ(光源)
3 位相差板
4 テーパロッドレンズアレイ
5 液晶ライトバルブ(光変調手段)
6 投射レンズ
7 ロッドレンズアレイ
8 反射型偏光板
14R,14G,14B LED(光源本体)
15 反射板
16 テーパロッドレンズ
17 ロッドレンズ

Claims (5)

  1. 光源と、前記光源から入射される光を一方向の偏光に揃える偏光変換手段とを備えた照明装置であって、
    発光ダイオードと、前記発光ダイオードに対する側の面が反射面となるように前記発光ダイオードの光出射方向に対して後方側に設けられた反射板と、を備えた光源と、
    前記光源の光出射側に設けられ、所定の振動方向の偏光を透過させるとともに前記振動方向と異なる振動方向の偏光を反射させる反射型偏光板を備えた偏光変換手段と、
    前記光源と前記反射型偏光板との間に設けられ、光の透過する位置によって異なる位相差を発生する位相差板と、
    前記光源と前記反射型偏光板との間に設けられ、入射端面側から出射端面側に向けて先拡がりのテーパ形状を有する、棒状の第1導光体もしくは内面が反射面とされた管状の第1導光体と、が備えられ、
    前記光源の前記発光ダイオードの光出射面と前記位相差板と前記第1導光体と前記反射型偏光板とが密着されて配置されていることを特徴とする照明装置。
  2. 光源と、前記光源から入射される光を一方向の偏光に揃える偏光変換手段とを備えた照明装置であって、
    発光ダイオードと、前記発光ダイオードに対する側の面が反射面となるように前記発光ダイオードの光出射方向に対して後方側に設けられた反射板と、を備えた光源と、
    前記光源の光出射側に設けられ、所定の振動方向の偏光を透過させるとともに前記振動方向と異なる振動方向の偏光を反射させる反射型偏光板を備えた偏光変換手段と、
    前記光源と前記反射型偏光板との間に設けられ、光の透過する位置によって異なる位相差を発生する位相差板と、
    前記光源と前記反射型偏光板との間に設けられ、入射端面側から出射端面側に向けて先拡がりのテーパ形状を有する、棒状の第1導光体もしくは内面が反射面とされた管状の第1導光体と、
    前記第1導光体と前記反射型偏光板との間に設けられ、入射端面側と出射端面側とで同径の第2導光体と、が備えられ、
    前記光源の前記発光ダイオードの光出射面と前記位相差板と前記第1導光体と前記第2導光体と前記反射型偏光板とが密着されて配置されていることを特徴とする照明装置。
  3. 前記反射型偏光板が、入射光の波長よりも小さいピッチでストライプ状に配列された複数の光反射体を有するグリッド偏光子からなることを特徴とする請求項1または2に記載の照明装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の照明装置を備えた投射型表示装置であって、
    前記光源は、異なる色の色光を時間順次に出射可能な複数の前記光源本体が平面状または曲面状に配列された面状光源であり、
    前記光源から時間順次に出射される各色光の出射タイミングに同期して時分割駆動されるライトバルブからなる光変調手段と、前記光変調手段によって変調された光を投射する投射手段とが備えられたことを特徴とする投射型表示装置。
  5. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の照明装置を備えた投射型表示装置であって、
    前記光源は、互いに異なる色の色光を出射可能な複数の面状光源であり、
    前記光源から前記偏光変換手段を経て出射される各色光を変調するライトバルブからなる複数の光変調手段と、前記複数の光変調手段により変調された色光を合成する色合成手段と、前記色合成手段により合成された光を投射する投射手段とが備えられたことを特徴とする投射型表示装置。
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