以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明による投射型映像表示装置の一実施形態を示す構成図であって、1RR,1GG,1BBは光源ユニットアレイ、2RR,2GG,2BBはライトパイプアレイ、3R,3G,3Bはレンズ部、4はクロスダイクロイックプリズム、4R,4Bは反射ダイクロイック膜、5はアレイレンズ、6は偏光変換素子、6aは偏光分離膜、6bは1/2波長位相差板、7はコリメータレンズ、8a,8bはダイクロイックミラー、9a,9b,9cは反射ミラー、10a,10b,10cはリレーレンズ、11Rは透過型赤色映像表示素子、11Gは透過型緑色映像表示素子、11Bは透過型青色映像表示素子、12R,12G,12Bは入力側偏光板、13R,13G,13Bは透過型液晶表示素子、14R,14G,14Bは出射側偏光板、15はクロスダイクロイックプリズム、15R,15Bは反射ダイクロイック膜、16は投射レンズである。
また、図2は図1における光源部を拡大して示す図であって、1R,1G,1Bは夫々R光,G光,B光の光源ユニット、2R,2G,2Bはライトパイプ、17R,17G,17Bは支持部材であり、図1に対応する部分には同一符号をつけている。
図1において、この実施形態は、ライトバルブとしてR(赤色)光の透過型映像表示素子11RとG(緑色)光の透過型映像表示素子11GとB(青色)光の透過型映像表示素子11Bとを用いた投射型映像表示装置である。
かかる投射型映像表示装置の光源としては、R光を発光する光源ユニットアレイ1RRとG光を発光する光源ユニットアレイ1GGとB光を発光する光源ユニットアレイ1BBとが用いられる。図2に示すように、光源ユニットアレイ1RRは、R光の発光素子としてR用のLED(Light-Emitting-Diode)チップを用いた光源ユニット1Rが複数個縦横に(即ち、アレイ状に)配列されて支持部材17Rで支持された構成をなし、同様に、光源ユニットアレイ1GGは、G光の発光素子としてG用のLEDチップを用いた光源ユニット1Gが複数個アレイ状に配列されて支持部材17Gで支持された構成をなし、光源ユニットアレイ1BBは、B光をの発光素子としてB用のLEDチップを用いた光源ユニット1Bが複数個アレイ状に配列されて支持部材17Bで支持された構成をなしている。ここでは、一例として、発光効率の高いR用のLEDチップを用いた光源ユニットアレイ1RRは2列×3行=6個のアレイ構造をなすが、G用,B用のLEDチップを用いた光源ユニットアレイ1GG,1BBは、3列×3行=9個のアレイ構造をなすものとしている。
図1において、光源ユニットアレイ1RRには、ライトパイプアレイ2RRが設けられ、光源ユニットアレイ1GG,1BBには夫々、ライトパイプアレイ2GG,2BBが設けられている。図2に示すように、ライトパイプアレイ2RRは、光源ユニットアレイ1RRの光源ユニット1R毎にそれらの出射面に対向して配置された複数(上記の例では、2列×3行=6個)のライトパイプ2Rからなるものであり、夫々のライトパイプ2Rには、対向する光源ユニット1Rから出射されるR光が入射される。同様に、ライトパイプアレイ2GGも、光源ユニットアレイ1GGの光源ユニット1G毎にそれらの出射面に対向して配置された複数(上記の例では、3列×3行=9個)のライトパイプ2Gからなって、夫々のライトパイプ2Gには、対向する光源ユニット1Gから出射されるG光が入射され、ライトパイプアレイ2BBも、光源ユニットアレイ1BBの光源ユニット1B毎にそれらの出射面に対向して配置された複数(上記の例では、3列×3行=9個)のライトパイプ2Bからなり、夫々のライトパイプ2Bには、対向する光源ユニット1Bから出射されるB光が入射される。
夫々のライトパイプ2R,2G,2Bは、光源ユニット1R,1G,1Bの出射面に対向する側の端面を入射面とし、他方の端面を出射面として、その入射面側から出射面側に向かって断面積が徐々に広くなる末広がりの形状をなしている。各光源ユニット1R,1G,1Bは、夫々から出射される色光が平行光で出射されるように、構成されているが、それでも、20゜程度の拡散角を持つ発散光として出射される。ライトパイプ2R,2G,2Bは、この拡散角を低減し、R光,G光,B光をより平行光とするために用いられるものである。
図3はライトパイプ2R,2G,2Bのかかる作用を説明するための断面図であって、ライトパイプ2Gを代表して示すが、ライトパイプ2R,2Bについても同様である。また、2aは入射面、2bは出射面、2cは光軸、2dは一方の界面、2eは他方の界面、2f,2gは光軸2cに平行な軸、Lは光線である。
同図において、ライトパイプ2Gの入射面2aは光源ユニット1Gの光出射面(図示せず)に対向しており、この入射面2aに光源ユニット1Gの光出射面から出射されたG光が入射される。このG光の一部を光線Lとして示している。
ここで、ライトパイプ2Gの界面2d,2eは夫々、ライトパイプ2Gの光軸2cに対して角度θだけ傾いているものとする。ライトパイプ2Gの中心軸(図示せず)は光源ユニット1Gの光軸に連続したものであり、図示する光軸2cはこの中心軸に平行である。この光軸2cは入射面2aでの光線Lの入射点を通るものとしている。また、入射面2aと出射面2bとはこの光軸2cに垂直な面である。
いま、図示しない光源ユニット1Gの出射面からG光が拡散して出射し、これがライトパイプ2Gの入射面2aから入射するが、この入射時のこのG光の入射光線Lの光軸2cに対する角度(以下、光線角度という)をαとする。この光線Lは一方の界面2eの点Aに達するが、この点Aでの界面2eに対する入射角はα−θである。ここで、ライトパイプ2Gの硝材と空気の屈折率差から、90°−(α−θ)が全反射を生ずる臨界角よりも大きくなるように、界面2d,2eの傾斜角θが設定されており、このため、界面2eの点Aでは、この光線Lが全反射する。この全反射された光線Lの界面2eに対する角度はα−θであり、光軸2cに平行で点Aを通る軸2f、即ち、光線角度はα−2θである。従って、かかる全反射により、光線Lの光線角度は、入射時の光線角度αからα−2θに減少したことになる。
界面2eの点Aで反射した光線Lはライトパイプ2G内を進み、このライトパイプ2Gの他方の界面2dの点Bに達する。この点Bでは、光軸2cに平行でこの点Bを通る軸2gに対する光線Lの傾斜角、光線角度がα−2θであるから、界面2dに対する傾斜角は(α−2θ)−θ=α−3θとなり、光線Lはこの傾斜角α−3θを入射角として全反射することになる。この点Bでの全反射後の光線Lの軸2gに対する傾斜角、即ち、光線角度は(α−3θ)−θ=α−4θとなり、従って、光線角度がα−2θからさらにα−4θに減少したことになる。
このようにして、ライトパイプ2G内では、光線Lが全反射する毎に、この光線Lの光線角度が界面2d,2eの傾斜角θの2倍の角度2θずつ減少することになる。従って、この光線Lが光出射面2bから出射されるときに平行光として許容される光線角度の範囲を±Δαとすると、
α−2nθ≦±Δα
を満足する回数nだけ全反射させるように、界面2d,2eの傾斜角θ及びライトパイプ2Gの長さを決めればよいことになる。
なお、ライトパイプ2Gには、入射時の光線角度αが異なる光線Lが入射されるが、入射時の光線角度αが小さい光線Lほど反射点間の距離が長く、反射回数が少なくなり、入射時の光線角度αが大きい光線Lほど反射点間の距離が短く、反射回数が多くなるが、入射時の光線角度αが小さい光線Lは、この光線角度αの補正量は小さいから、反射回数も少なくすることができ、光線角度αが大きい光線Lに対しては、反射回数を多くすればよく、光線角度の許容範囲±Δαを超える入射時の光線角度αの光線Lに対して、光線角度がこの許容範囲±Δα内となるように、界面2d,2eの傾斜角θ及びライトパイプ2Gの長さを設定すればよい。
また、ライトパイプ2Gの界面2d,2eの傾斜角θを大きくすると、1回の反射で得られる光線Lの光線角度の補正量が大きくなって光線角度の低減効果が大きくなり、この分ライトパイプ2Gを短くできて光学系の小型化が図れることになる。しかし、ライトパイプ2Gの界面2d,2eの傾斜角θをあまり大きくすると、光線Lの界面2d,2eで反射する回数が減少し、かえって低減効果が低下する。このため、光学系の小型化と低減効果の観点から、ライトパイプ2Gの長さとその界面2d,2eの傾斜角度θとを最適に設定することが必要となる。入射された光線Lを界面2d,2eで全反射させるためには、これら界面2d,2eの傾斜角θを光線Lの入射時の光線角度αの最大値よりも小さくしなければならない。光源ユニットのLEDチップから出射される光は、その出射角度が凡そ20°以内の発散光であり、光源ユニット1GのLEDチップから直接ライトパイプ2Gに入射される光線Lは、その光線角度αが凡そ20°のものもあるから、界面2d,2eの傾斜角θとしては、すくなくとも20°よりも小さくすることが必要がある。
図2において、ライトパイプアレイ2RRの各ライトパイプ2Rの光出射面から出射されるほぼ平行光のR光は、この光出射面に設けられたレンズ部3Rを介して、クロスダイクロイックプリズム4に入射され、赤色光反射ダイクロイック膜4Rで反射されることにより、光路が90゜変更されて出射される。また、ライトパイプアレイ2BBの各ライトパイプ2Bの光出射面から出射されるほぼ平行光のB光は、この光出射面に設けられたレンズ部3Bを介して、クロスダイクロイックプリズム4に入射され、青色光反射ダイクロイック膜4Bで反射されることにより、光路が90゜変更されてR光と合成される。さらに、ライトパイプアレイ2GGの各ライトパイプ2Gの光出射面から出射されるほぼ平行光のG光は、この光出射面に設けられたレンズ部3Gを介して、クロスダイクロイックプリズム4に入射され、赤色光反射ダイクロイック膜4Rと青色光反射ダイクロイック膜4Bとを透過してR光,B光と合成される。
このように合成されたR光とG光とB光とはクロスダイクロイックプリズム4から出射されて、レンズ部3G,3Bと同数のレンズがレンズ部3G,3Bと同様にマトリックス状に配列されてなるアレイレンズ5に入射する。このとき、レンズ部3R,3G,3Bとアイレンズ5との組み合わせにより、従来からのインテグレータレンズと同様、R光,G光及びB光は夫々映像表示素子上で均一な照度分布を得ることができる。
ここで、図4でもってG光について説明すると、G光のライトパイプアレイ2GGの各ライトパイプ2Gの出射面側には、レンズ部3Gが設けられており、また、クロスダイクロイックプリズム4のライトパイプアレイ2GGとは反対側に、レンズ部3Gのアレイと対向してレンズセル5aのアレイからなるアレイレンズ5が設けられている。アレイレンズ5でのレンズセル5aの縦,横の個数は、レンズ部3Gの縦,横の個数に等しい。各ライトパイプ2Gから出射されるG光は、アレイレンズ5の近傍に焦点を持つレンズ部3Gによって集光され、アイレンズ5に入射される。アレイレンズ5では、レンズ部3Gの各レンズセルをアイレンズ5の各レンズセル5aによって映像表示素子に結像させることにより、映像表示素子上にライトパイプ2Gの出射開口に略相似形式で略均一な照度分布を得ることができる。また、同時に、アイレンズ5の各レンズセル5aにより、入射されたG光のうちの発散成分が略平行光に変換される。このことは、R光,B光についても同様である。
ところで、光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBでの夫々の光源ユニット1R,1G,1Bから出射されるR光,G光,B光を直接レンズ部3R,3G,3Bで発散させることにより、アレイレンズ5にその開口全体に広げて入射させると、光源ユニット1R,1G,1Bの出射光R,G,Bが全く平行光であれば問題はないが、これら光源ユニット1R,1G,1BのLEDチップから直接レンズ部3R,3G,3Bに出射される光R,G,Bは発散しているため、かかる出射光R,G,Bは発散する成分も含んでいる。このような発散する光成分は、レンズ部3R,3G,3Bを通るとき、さらに発散してしまい、アレイレンズ5の開口内に入射することができず、入射漏れが生じて光の利用率が低下する。かかる入射漏れする光量は、光源ユニット1R,1G,1Bの出射光R,G,Bの発散の度合い、即ち、図3での光線角度αに依存し、この光線角度αが大きい程アレイレンズ5での入射漏れする(即ち、アレイレンズ5の開口からはずれる)光量が大きくなる。
これに対し、この実施形態では、上記のように、光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBとクロスダイクロイックプリズム4との間にライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBを設け、これらによって光源ユニット1R,1G,1Bから発散して出射される光成分の発散角度を低減し、全体としてほぼ平行光とするものであるから、レンズ部3R,3G,3Bで発散されても、アレイレンズ5の開口をはずれて入射漏れする光が低減してこれに入射されるR光,G光,B光の光量が増加し、色光の利用効率が向上する。
図1において、アレイレンズ5でその開口いっぱいの平行光となったR光,G光,B光は偏光変換素子6に入射される。偏光変換素子6は偏光分離膜6aと1/2波長位相差板6bとからなり、円偏光の光線を偏光分離膜6aによって互いに直交する直線偏光の2種の光線、即ち、p偏光光線とs偏光光線とに分離し、このp偏光光線を1/2波長位相差板6bで偏光面を90゜回転させることにより、s偏光光線となる。これにより、偏光変換素子6では、入射される円偏光のR光,G光,B光が全て同じ直線偏光、即ち、s偏光のR光,G光,B光に変換されて出力される。従って、光量の損失なく、s偏光のR光,G光,B光が得られることになる。
なお、偏光変換素子6の偏光分離膜6aは角度特性を有しており、入射角の光軸からの広がりが狭いほど(即ち、入射光の発散が少ないほど)分離効率が高い。この実施形態では、ライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBでR光,G光,B光の発散角度が抑圧されているので、アレイレンズ5から偏光変換素子6に入射されるR光,G光,B光の入射角の広がりが狭くなっており、偏光分離膜6aの分離機能が向上することになる。従って、偏光変換素子6では、入射されるR光,G光,B光の円偏光から直線偏光への変換効率が向上し、光量の損失を抑えてかかる偏光変換をすることができる。
また、クロスダイクロイックプリズム4の色合成膜(即ち、反射ダイクロイック膜4R,4B)では、入射光線の光軸に対する角度に応じて半値シフトが発生する。半値シフトが発生した場合、本来、合成されてしかるべき色光が合成されず、損失となる。この実施形態では、ライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBによって色光R,G,Bの光軸に対する光線の角度、即ち、光線角度の広がりを低減しているものであるから、半値シフトが抑圧され、これによる損失を低減できる。
偏光変換素子6から出射される略直線偏光のR,G,B光は、コリメータレンズ7を透過し、ダイクロイックミラー8aに入射される。このダイクロイックミラー8aでは、R光が反射され、B光及びG光が透過されてR,G,B光の合成光からR光が分離される。
ダイクロイックミラー8aで分離されたR光は、反射ミラー9aで反射されてその光路が略90゜変更され、入射側偏光板12Rと透過型液晶表示素子13Rと出射側偏光板14Rとからなる透過型赤色映像表示素子11Rに入射される。この透過型赤色映像表示素子11Rでは、入射されたR光の略s偏光のみが入射側偏光板12Rを透過し、透過型液晶表示素子13Rに照射される。透過型液晶表示素子13Rは、液晶層を有する各画素毎に液晶層を駆動するトランジスタとが設けられた、例えば、横1024画素,縦768画素からなる液晶表示素子であって、画素毎に照射される略s偏光のR光の偏光面がトランジスタの駆動電圧に応じた回転角で回転させられる。透過型液晶表示素子13Rの各画素からのR光は出射側偏光板14Rに照射され、偏光面が所定の範囲の、即ち、偏光面がほぼ揃ったR光が検光される。これにより、画素毎にトランジスタの駆動電圧に応じて強度変調されたR光がこの透過型赤色映像表示素子11Rから出射されることになり、夫々のトランジスタがカラー映像信号の赤色成分の画素電圧に応じて駆動されることにより、かかる赤色成分の映像(赤色映像)を表わすR光(即ち、R映像光)が得られることになる。
また、ダイクロイックミラー8aを透過したG光とB光とは、リレーレンズ10aを透過し、ダイクロイックミラー8bに入射される。このダイクロイックミラー8bはG光を反射し、B光を透過させてG光とB光とを分離する。ダイクロイックミラー8bで分離されたG光は、入射側偏光板12Gと透過型液晶表示素子13Gと出射側偏光板14Gとからなる透過型緑色映像表示素子11Gに照射される。透過型緑色映像表示素子11Gも、上記の透過型赤色映像表示素子11Rと同様、入射されたG光の略s偏光のみが入射側偏光板12Gを透過し、透過型液晶表示素子13Gに照射される。透過型液晶表示素子13Gは、透過型液晶表示素子13Rと同様の構成をなし、各画素毎に照射される略s偏光のG光の偏光面がトランジスタの駆動電圧に応じた回転角で回転させられる。透過型液晶表示素子13Gの各画素からのG光は出射側偏光板14Gに照射され、偏光面が所定の範囲の、即ち、偏光面がほぼ揃ったG光が検光される。これにより、画素毎にトランジスタの駆動電圧に応じて強度変調されたG光がこの透過型緑色映像表示素子11Gから出射されることになり、夫々のトランジスタがカラー映像信号の緑色成分の画素電圧に応じて駆動されることにより、かかる緑色成分の映像(緑色映像)を表わすG光(即ち、G映像光)が得られることになる。
さらに、ダイクロイックミラー8bで分離されたB光は、リレーレンズ10bを透過して反射ミラー9bで反射され、さらに、リレーレンズ10cを透過して反射ミラー9cで反射され、入射側偏光板12Bと透過型液晶表示素子13Bと出射側偏光板14Bとからなる透過型青色映像表示素子11Bに照射される。この透過型青色映像表示素子11Bも、上記の透過型赤色映像表示素子11Rと同様、入射されたB光の略s偏光のみが入射側偏光板12Bを透過し、透過型液晶表示素子13Bに照射される。透過型液晶表示素子13Bは、透過型液晶表示素子13Rと同様の構成をなし、各画素毎に照射される略s偏光のB光の偏光面がトランジスタの駆動電圧に応じた回転角で回転させられる。透過型液晶表示素子13Bの各画素からのB光は出射側偏光板14Bに照射され、偏光面が所定の範囲の、即ち、偏光面がほぼ揃ったB光が検光される。これにより、画素毎にトランジスタの駆動電圧に応じて強度変調されたB光がこの透過型赤色映像表示素子11Bから出射されることになり、夫々のトランジスタがカラー映像信号の青色成分の画素電圧に応じて駆動されることにより、かかる青色成分の映像(青色映像)を表わすB光(即ち、B映像光)が得られることになる。
これら赤色,緑色,青色の透過型映像表示素子11R,11G,11Bでは夫々、以上のように、透過型液晶表示素子13R,13G,13Bを挟んで入射側偏光板12R,12G,12Bと出射側偏光板14R,14G,14Bが設けられているので、夫々から出射されるR,G,B光による映像のコントラスト性能が確保できる。
また、透過型液晶表示素子13R,13G,13Bでは、液晶層を駆動するトランジスタが画素毎に設けられており、これらトランジスタが画素の光路上にあるため、各画素の開口が狭くなり、この開口で光がカットされて光損失が大きくなる。具体的には、トランジスタの光源側に光を遮光する遮光部材が設けてあり、これにより遮光する構成をなしている。そこで、この実施形態では、透過型液晶表示素子13R,13G,13Bには、その画素毎に光源側にマイクロレンズを設け、入射側偏光板12R,12G,12Bからの光をこのマイクロレンズで各画素の開口部に集光し、遮光部材には光が当らないようにして光損失を低減する構成としている。
赤色,緑色,青色の透過型映像表示素子の出射側偏光板14R,14G,14Bから出射されるR,G,B映像光はクロスダイクロイックプリズム15に入射され、R映像光が赤反射ダイクロイック膜15Rで反射され、B映像光が青反射ダイクロイック膜15Bで反射され、G映像光が赤反射ダイクロイック膜15Rと青反射ダイクロイック膜15Bとを透過することにより、これらR,G,B光映像が合成される。この合成映像光はクロスダイクロイックプリズム15から出射され、投射レンズ16によって図示しないスクリーン上に拡大投影されることにより、このスクリーン上にカラー映像が拡大表示される。
図5は図2における光源ユニット1R,1G,1Bの具体例を示す図であって、ここでは、光源ユニット1Gを代表して示しているが、光源ユニット1R,1Bについても同様である。また、1aはLEDチップ、1bは反射ミラー、1cはリフレクタであり、図3に対応する部分には同一符号を付けている。
図5(a)に示す具体例は、光を放射するLEDチップ1aの周囲に反射ミラー1bを配置した構成をなすものである。この反射ミラー1bは、LEDチップ1aの光軸に沿う断面から見て、その反射面が傾斜し、LEDチップ1aからその光軸に沿って離れるにつれて光軸に垂直な断面積が順次大きくなっていく筒状をなしている。また、この反射ミラー1bの開口はライトパイプ2Gの入射面2aの開口と略同一サイズ,同一形状であり、反射ミラー1bの開口がライトパイプ2Gの入射面2aの開口と対向している。
LEDチップ1aから出射される色光は発散するが、この一部が反射ミラー1bで反射されて、図3で説明したライトパイプ2Gの作用と同様にして、光線角度を低減し、ライトパイプ2Gにその入射面2aから入射される。このため、光源ユニット1からライトパイプ2Gに入射される色光の光線角度(光軸に対する光線の傾斜角度)の範囲は、LEDチップ1aから出射されるときの色光の光線角度の範囲よりも狭くなって、LEDチップ1aから出射されのとほぼ同光量の色光がライトパイプ2Gに入射されることなり、光の利用効率が向上する。
なお、ライトパイプ2Gでは、図3で説明したように、入射した光線が全反射されることにより、さらに色光の光線角度の範囲が狭くなってほぼ並行光線となる。
図5(b)に示す具体例は、LEDチップ1aをライトパイプ2Gの入射面2aに埋め込んである。これにより、損失なく色光を取込むことがきできるので、光の利用効率がさらに向上する。
図5(c)に示す具体例は、LEDチップ1aを放物面形状のリフレクタ1cの焦点位置に配置し、このリフレクタ1cの開口にライトパイプ2Gの入射面2aを取り付けたものである。勿論、リフレクタ1cの開口とライトパイプ2Gの入射面2aの開口とは略同一サイズ,同一形状である。ここでは、リフレクタ1cの形状に合わせてライトパイプ2Gを円錐形状としている。これにより、LEDチップ1aとライトパイプ2Gの間での色光の漏れを少なくすることができて、損失を少なくできるので、LEDチップ1aから出射された色光のライトパイプ2Gへの集光率が高まり、スクリーンで表示される映像を明るくすることができる。
図6は図2における光源ユニット1R,1G,1Bの他の具体例を示す図であって、ここでは、光源ユニット1Gを代表して示しているが、光源ユニット1R,1Bについても同様である。また、図5(a)は一方の側面図、図6(b)は図6(a)に対して90゜回転させたときの側面図、図6(c)は斜視図であり、1aはLEDチップ、1dはリフレクタ、1eは導風路である。
図6(a)〜(c)において、回転放物面形状のリフレクタ1dには、透明な樹脂が充填されているが、この開口には、その中心を通って一方の端から他方の端に連通する溝状の導風路1fが設けられている。また、このリフレクタ1dの開口と同じ形状で同じ大きさの透明板1eの中央には、LEDチップ1aが固定されており、この透明板1eが、LEDチップ1aがリフレクタ1dでの導風路1f内に配置されるようにして、リフレクタ1dの開口に密着されている。
このように配置されたLEDチップ1aは、リフレクタ1dの焦点位置(即ち、リフレクタ1dの形状である回転放物面の焦点位置)に位置付けられており、LEDチップ1aから出射されてリフレクタ1dで反射される色光は光軸(即ち、この回転放物面による放物線の上記焦点位置を通る座標軸)に平行な光線となる。この透明板1eに図3に示すライトパイプ2Gの入射面2aが対向しており、この透明板1eから出射する色光がこの入射面2aからライトパイプ2Gに入射される。
導風路1fは、リフレクタ1dの一方の側面から他方の側面にこのリフレクタ1dを貫通しており、この導風路1f内にLEDチップ1aが設けられている。この導風路1f内に直接風を導き、この風をLEDチップ1aに吹き付けることにより、LEDチップ1aを冷却する。これにより、LEDの冷却効率を向上させる。LEDはそれ自体が発光時に発熱し、これによってその寿命や明るさが影響を受ける。そこで、LEDの温度をある値以下に抑える必要があり、通常、冷却ファンを用いてLEDチップを備えた光源全体を冷却するようにしている。しかし、冷却ファンを用いて冷却する場合、冷却ファンによる騒音が問題となる場合がある。従って、騒音を抑えて効率良く冷却することが必要がある。
図6に示す具体例では、LEDチップ1aに直接風を当てることができるため、冷却効率が高くてLEDチップ1aの寿命,発光効率を上げることができ、しかも、風を送り込むファンの騒音を低減できる。また、リフレクタ1dでは、透明な樹脂で導風路1fを形成しているために、リフレクタ1d内で反射する際の光の損失は低減できる。また、導風路1fの断面形状を略円柱形とすることにより、リフレクタ1d内の樹脂に光が入射時の光線角度の変化、そして、その変化に基づく光の損失をできるだけ低減する構成することができる。
なお、LEDチップ1aの冷却には、上記のように風を用いる代わりに、冷却液を用いてもよい。
図7は図6に示す光源ユニットを複数組み合わせて構成される図1での光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBの具体例を示す図であって、18は流通管であり、図6に対応する部分には同一符号を付けて重複する説明を省略する。
同図において、9個の光源ユニット1が縦,横3個ずつアレイ状に配列されている。これら光源ユニット1では夫々、LEDチップ1aの位置を通る互いに直行する2つの導風路1fが設けられており、縦,横方向の隣り同士の光源ユニット1間では、夫々の導風路1fが流通管18で連結されている。従って、横方向に配列された3個の光源ユニット間毎に、夫々の導風路1fが順次流通管18で連なる流路が形成され、また、縦方向に配列された3個の光源ユニット間毎でも、夫々の導風路1fが順次流通管18で連なる流路が形成される。
このように構成された光源ユニットアレイにおいて、横方向に沿う流路毎に一方側から風を送り込み、また、縦方向に沿う流路毎に一方側から風を送り込むことにより、全ての光源ユニット1でのLEDチップ1aを同時に、かつ直接冷却することができるし、通路を流れているときには、風は外に漏れることがないから、冷却ファンと光源ユニット1との位置関係にかかわらず、全ての光源ユニット1のLEDチップ1aを効率良く冷却できる。かかる冷却には、風の代わりに冷却液を用いてもよい。また、ここでは、縦横3×3個の光源ユニット1からなる光源ユニットアレイを例にしたが、縦横3×3個の光源ユニット1からなる光源ユニットアレイなど、他の個数の光源ユニットからなる光源ユニットアレイであってもよい。
図8は図2における光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBでの各光源ユニットの冷却方法の他の具体例を示す図であり、1aは図5〜図7に示すLEDチップ、19は導液管、20は配管、21は冷却器である。
この具体例は、冷却水などの冷却液で各LEDチップ1aを冷却するものである。図8に示すように、各光源ユニットは、図6と同様、各LEDチップ1aが縦横3×3に配列されるように、アレイ状に配列されており、LEDチップ1aの横方向の配列毎に、これら横方向に配列されたLEDチップを全て含むように、導液管19が設けられており、これら導液管19が配管20を介して冷却器21に連結されている。
かかる構成において、冷却器21から放出される冷却液は、配管20を介して夫々の導液管19に供給され、夫々のLEDチップ1aを冷却する。各導液管19を通った冷却液は、配管20を介して冷却器21に戻され、ここで再度冷却されて配管に放出され、導液管19に供給されて夫々のLEDチップ1aの冷却に用いられる。このようにして、冷却液が循環することにより、LEDチップ1aが効果的に冷却される。
なお、冷却器21では、配管20を介して戻った冷却液を、ファンによって空冷し、あるいは圧縮機と放熱管を用いて冷却してもよい。
図9は図2におけるライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBの具体例を示す斜視図であって、22は平板であり、図3に対応する部分には同一符号を付けている。ここでは、ライトパイプアレイ2GGを代表して示しているが、ライトパイプアレイ2RR,2BBについも同様である。
同図において、各ライトパイプ2Gは、それらの出射面側で透明な平板22と一体化されている。この平板22では、所定数のライトパイプ2Gがマトリックス状に配列されており、ここでは、縦,横3×3個配列されてライトパイプアレイが形成されているが、これに限るものではない。
ライトパイプ2Gの入射面2aの形状を、光源ユニットでのLEDチップ(図示せず)の出射面の輪郭形状と略相似形とすることにより、光源ユニットからの色光の取り込み効率を最大にすることができる。即ち、LEDチップの出射面の輪郭形状が正方形であれば、ライトパイプ2Gの入射面2aも略正方形とし、LEDチップの出射面の輪郭形状が縦横比a:bの長方形であれば、ライトパイプ2Gの入射面2aもこの縦横比の長方形とする。
ライトパイプ2Gを1つ1つ保持する場合、その傾斜部で保持することになるが、保持する部分での破損を招いたり、また、ライトパイプ2Gの入出射面は、色光の光路をなすものであるから、そこでライトパイプを保持することは難しい。これに対し、この具体例では、全てのライトパイプ2Gが同じ平板22と一体化されているので、この平板22の縁を保持するのに使用することができ、投射型表示装置への保持を容易にでき、組み立て時間の短縮、ひいては、コスト削減が可能となる。
平板22とライトパイプ2Gとはともにガラスで作成し、その後、接着材で貼り合わせてもよいし、平板22とライトパイプ2Gをプラスチックで一体成型してもよい。
図10は図2におけるライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBの他の具体例を示す斜視図であって、23は平板であり、図3に対応する部分には同一符号を付けている。ここでも、ライトパイプアレイ2GGを代表して示しているが、ライトパイプアレイ2RR,2BBについても同様である。
同図において、各ライトパイプ2Gは、断面形状を略円形とした入射面2aから出射面へ末広がりの形状をなしており、出射面側で透明な平板23と一体化されている。この平板23では、所定数のライトパイプ2Gがマトリックス状に配列されており、ここでは、縦,横3×3個配列されてライトパイプアレイが形成されているが、これに限るものではない。
かかるライトパルプアレイを用いる光源ユニットアレイでは、光源ユニットアレイを構成する光源ユニットでのLEDチップとしては、LEDチップからライトパルプへの色光の伝播効率を高めるために、その出射面形状がライトパルプの入射面2aと略等しい大きさで略円形か略正方形の方が好ましい。
この具体例においても、図9で示した具体例と同様の効果が得られるが、さらに、各ライトパイプ2Gの形状をこのようにした場合、角部を有しないため、成型するときの型からの抜き取りが容易であるし、コストも低減できる。また、ライトパイプ2G内では、光線がライトパイプ2Gの円周方向のどの方向に進んでも、光線角度の低減効果が同じとなり、より均一な平行光が得られることになる。
ところで、図9に示す具体例のように、ライトパイプ2Gの出射面の形状が略正方形あるいは略矩形状をなしている場合には、夫々のライトパイプ2Gをその出射面側で互いに接するように配置し、これにより、これらライトパイプ2Gからなるライトパルプアレイからは、平板22のほぼ全体にわたって、ほぼ均一な照度分布の色光が出射される。これに対し、図10に示す具体例では、各ライトパイプ2Gの出射面の輪郭形状が略円形であるため、これらライトパイプ2Gの出射面が互いに接するように平板23に対して配置しても、これら出射面の間に隙間が生ずることになり、かかるライトパイプ2Gからなるライトパルプアレイから出射される色光の照度分布は不均一となる。このために、平板23の厚さtを厚くして各ライトパイプ2Gからの出射光がこの平板23内で広がるようにし、この平板23から全体として均一な照度分布に色光が得られるようにする。
なお、この具体例においても、平板23とライトパイプ2Gとはともにガラスで作成し、その後、接着材で貼り合わせてもよいし、平板23とライトパイプ2Gをプラスチックで一体成型してもよい。
図11は図2におけるライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBのさらに他の具体例を示す斜視図であって、24は平行部であり、図3に対応する部分には同一符号を付けている。ここでも、ライトパイプアレイ2GGを代表して示しているが、ライトパイプアレイ2RR,2BBについても同様である。
この具体例は、図11(a)に示すように、断面が略正方形状もしくは略矩形状をなすライトパイプ2Gの出射面に、この出射面と同一大きさで同一形状の平行部24を設けたものである。この平行部24は一定の厚さであり、また、同じライトパルプアレイを構成するライトパイプ2Gでは、全て同じ厚さである。
かかるライトパイプ2Gを互いに、その平行部24で、接着剤により、接着することにより、図11(b)に示すように、一体化し、ライトパルプアレイを形成する。このように構成した具体例では、図9,図10で示した具体例のような平板部は必要なく、これら具体例と同様の効果が得られて、しかも、コストの削減が可能となる。
図12は図1,図2に示す第1の実施形態の一変形例の要部を示す構成図であって、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。また、ここでは、G光の光源部を代表して示しているが、R,B光の光源部についても同様である。
同図において、この変形例は、G光の光源部において、偏光変換素子6をライトパルプアレイ2GGとクロスダイクロイックプリズム4との間に設けたものである。R光やB光の光源部についても同様である。また、クロスダイクロイックプリズム4から出射されてアレイレンズ5で均一な照度分布となったR,G,B光の合成光を処理する構成は、図1での構成と同様であるので、省略している。
ライトパイプ2Gから出射される略平行光のG光は偏光変換素子6に入射され、そのs偏光は偏光分離膜6aを透過し、そのp偏光は偏光分離膜6aで反射されることにより、s偏光とp偏光とに分離される。s偏光はそのまま偏光変換素子6から出射され、p偏光は偏光分離膜6aとは反対側の反射面で反射されて1/2波長位相差板6bでs偏光に変換されて偏光変換素子6から出射される。これにより、偏光変換素子6からは、s偏光のみからなるG光が出射される。
偏光変換素子6の出射面側には、各ライトパイプ2Gの偏光変換素子6をそのまま透過したs偏光とp偏光から変換したs偏光との夫々毎にレンズ部3Gが設けられ、これらレンズ部3Gによりこれらs偏光が発散されてクロスダイクロイックプリズム4に入射され、図1でのクロスダイクロイックプリズム4と同様に、同様に偏光変換素子でs偏光に変換された図示しないR,B光と合成される。かかる合成光はアレイレンズ5に入射され、このアレイレンズ5のレンズセル5aによって均一な照度分布の平行光となる。
偏光変換素子6の偏光分離膜6aは角度特性を有し、入射角(偏光分離膜6aに対する光線の傾斜角)が狭いほど効率が高い。従って、偏光分離膜6aへの光線の入射角度が狭いほど、この偏光分離膜6aの分離特性を向上させることができる。この具体例によると、ライトパイプ2Gによって、より平行度の高いG光が得られ、かかるG光の光線角度の拡がりが狭くなり、偏光分離膜6aでのs偏光,p偏光の分離特性がより向上してG光の利用効率が向上し、装置での表示画面をより明るくすることができる。
図13は本発明による投射型映像表示装置の第2の実施形態を示す構成図であって、同図(a)はその全体構成図、同図(b)は光源ユニットアレイの構成図であり、1は光源ユニットアレイ、2はライトパイプアレイ、11は透過型カラー映像表示素子、12は入射側偏光板、13は透過型カラー液晶表示素子、14は出射側偏光板、25は結合ライトパイプ、25aは反射面、25bは出射面である。また、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
図13(a)において、光源ユニットアレイ1の各光源ユニットからの色光は、ライトパルプ2の夫々のライトパイプでほぼ平行光とされた後、同じ偏光変換素子6に入射される。
ここで、光源ユニットアレイ1では、3個ずつのR光の光源ユニット1RとG光の光源ユニット1GとB光の光源ユニット1Bとが均等な配置分布で縦,横方向に、即ち、光源ユニット1Rも、光源ユニット1Gも、光源ユニット1Bも縦方向、横方向に夫々1個ずつ存在するようにして配置されている。また、光源ユニット1Rに対向してライトパイプ2Rが、光源ユニット1Gに対向してライトパイプ2Gが、光源ユニット1Bに対向してライトパイプ2Bが夫々配置されている。これにより、ライトパイプ2Rから略平行なR光が、ライトパイプ2Gから略平行なG光が、ライトパイプ2Bから略平行なB光が夫々出射され、同じ偏光変換素子6に入射される。
偏光変換素子6では、ライトパイプ2R,2G,2Bからの略平行なR光,G光,B光が入射されてそれらのs偏光が偏光分離膜6aを透過し、それらの略p光が偏光分離膜6aで反射されることにより、s偏光とp偏光とに分離される。s偏光はそのまま偏光変換素子6から出射され、p偏光は偏光分離膜6aとは反対側の反射面で反射されて1/2波長位相差板6bで略s偏光に変換されて偏光変換素子6から出射される。これにより、偏光変換素子6からは、s偏光のみからなるR,G,B光が出射される。
偏光変換素子6からそのまま出射されるs偏光とp偏光から変換されたs偏光とは、結合ライトパイプ25に入射される。この結合ライトパイプ25は、傾斜した反射面25aが設けられた出射面25bへ次第に断面積が小さくなる形状をなしており、かかる反射面25aでp偏光から変換されたs偏光が全反射されることにより、偏光変換素子6からそのまま出射されたs偏光と合成される。なお、偏光変換素子6からそのまま出射されたs偏光は、そのまま結合ライトパイプ25を透過してその出射面25bから出射される。
結合ライトパイプ25の出射面25bから出射されたs偏光のR,G,B光は透過型カラー映像表示素子11に入射される。ここで、結合ライトパイプ25の出射面25bを透過型カラー映像表示素子11の開口と同一形状,同一サイズとし、かかる出射面25bと透過型カラー映像表示素子11の開口とを対向させることにより、結合ライトパイプ25の出射面25bから出射される色光の利用効率を高める。
この透過型カラー映像表示素子11では、入射されたR,G,B光の略s偏光のみが入射側偏光板12を透過し、透過型カラー液晶表示素子13に照射される。この透過型カラー液晶表示素子13は、液晶層や色フィルタを備えたR,G,Bの画素を有し、液晶層と各画素毎に液晶層を駆動するトランジスタとが設けられた所定画素数の表示素子であって、画素毎に該当する色の映像に応じた駆動電圧がこのトランジスタに印加されることにより、画素毎に照射される略s偏光の偏光面がトランジスタの駆動電圧に応じた回転角で回転させられる。透過型カラー液晶表示素子13の各画素からの色光は出射側偏光板14に照射され、偏光面が所定の範囲の、即ち、偏光面がほぼ揃ったR,G,B光が検光される。これにより、画素毎にトランジスタの駆動電圧に応じて強度変調されたR,G,B光がこの透過型カラー映像表示素子11から出射されることになり、夫々のトランジスタがカラー映像信号の色成分の画素電圧に応じて駆動されることにより、かかるカラー映像を表わすR,G,B光が得られることになる。
この透過型カラー映像表示素子11では、以上のように、透過型カラー液晶表示素子13を挟んで入射側偏光板12と出射側偏光板14が設けられているので、夫々から出射されるR,G,B光によるカラー映像のコントラスト性能が確保できる。
また、透過型カラー液晶表示素子13では、液晶層を駆動するトランジスタが画素毎に設けられており、これらトランジスタが画素の光路上にあるため、各画素の開口が狭くなり、この開口で光がカットされて光損失が大きくなる。具体的には、トランジスタの光源側に光を遮光する遮光部材が設けてあり、これにより遮光する構成をなしている。そこで、この第2の実施形態では、透過型カラー液晶表示素子13に、その画素毎に光源側にマイクロレンズを設け、入射側偏光板12Rからの光をこのマイクロレンズで各画素の開口部に集光し、遮光部材には光が当らないようにして光損失を低減する構成としている。
透過型カラー映像表示素子11の出射側偏光板14から出射されるR,G,B光によるカラー映像は、投射レンズ16によって図示しないスクリーン上に拡大投影される。これにより、このスクリーン上にカラー映像が拡大表示される。
以上説明した第2の実施形態では、R,G,B光を発光する光源ユニット1R,1G,1Bを同じ光源ユニットアレイ1に組み込んで構成するものであるから、ライトパイプユニット2もこの光源ユニット2に対して設ければよく、図1に示す第1の実施形態のように、クロスダイクロイックプリズム4に対して異なるスペースにR,G,B光のための光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBやライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBを設けるのに比べ、小型化が図れるし、さらに、図1に示す実施形態のように、合成光からR,G,B光を分離するためのダイクロイックミラー7a,7bなどの光学系やR,G,Gの映像光を合成するクロスダイクロイックプリズム16が不要となるので、、さらなる小型化が図れ、部品点数も大幅に削減できて低コスト化が可能である。
また、ライトパイプアレイ2でR,G,B光をその光線角度を低減して出射するので、第1の実施形態1と同様、偏光分離素子6の偏光分離膜6aのs偏光,p偏光の分離特性が向上し、また、これら分離されたs偏光とp偏光から変換されたs光とが結合ライトパイプ25で合成されてカラー映像の表示に利用されるものであるから、装置で表示するカラー映像をより明るくできる、という効果が得られる。
さらに、この第2の実施形態では、図13(b)に示すように、光源ユニットアレイ1において、各色のLEDチップが、夫々の色光が部分的に集中しないように、配置されるものであり、これにより、透過型カラー映像表示素子11では、R,G,B光が充分混色されることになり、スクリーン上で表示されるカラー映像での色むらを低減できる。
図14は本発明による投射型映像表示装置の第3の実施形態を示す構成図であって、同図(a)は上面図、同図(b)は光源ユニットアレイ1BB側からみた側面図である。ここで、6R,6G,6Bは偏光変換素子であり、図1に対応する部分には同一符号をつれて重複する説明を省略する。
同図(a),(b)において、この第3の実施形態は、各光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BB毎に、これらからのR,G,B信号を略平行光とするライトパルプ2RR,2GG,2BBと、これらライトパルプ2RR,2GG,2BBから出射したR,G,B光夫々のs,p偏光分離を行なってp偏光をs偏光に変換する偏光変換素子6R,6G,6Bと、偏光変換素子6R,6G,6BからのR,G,B光を夫々映像光にする投射型映像表示素子11R,11G,11Bとを備え、これら投射型映像表示素子11R,11G,11Bから出射される映像光をクロスダイクロイックプリズム15で合成し、これによって得られた各色映像光の合成光によるカラー映像を投射レンズ16によって図示しないスクリーンに拡大照射するものである。
ここで、偏光変換素子6R,6G,6Bは図12で説明した偏光変換素子6と同様のものであり、投射型映像表示素子11R,11G,11Bは前出の各実施形態のものと同様のものである。
図14(b)に示すように、光源ユニットアレイ1GGの各光源ユニットから出射されたG光は共通の偏光変換素子6Gに入射され、偏光分離膜6aによってs偏光とp偏光とに分離され、s偏光はそのまま偏光分離膜6aを透過して偏光変換素子6Gから出射され、p偏光は1/2波長位相差板6bでs偏光に変換されて偏光変換素子6Gから出射されるが、これらs偏光とp偏光から変換されたs偏光とは、図13に示す第2の実施形態のように合成されることなく、投射型緑色映像表示素子11Gに入射される。このことは、R,B光についても同様である。
この第3の実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、各光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBからR,G,B光を投射型映像表示素子11R,11G,11Bに直接入射させるものであるから、クロスダイクロイックプリズムを1個に減らせることができ(即ち、例えば、図1でのクロスダイクロイックプリズム4が不要となり)、そこでの透過率や反射率の損失を低減することができる。
図15は本発明による投射型映像表示装置の第4の実施形態を示す構成図であって、26は結合ライトパイプ、27は凸レンズ、28は反射ミラー、29は反射型のマイクロミラー型映像表示素子、30は凸レンズ、31はTIR(Total Internal Reflection:全反射)プリズムであり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけている。
同図において、光源ユニットアレイ1RRから出射されるR光は、ライトパイプアレイ2RRで略平行光とされ、偏光変換素子6Rでs偏光のR光とされた後、クロスダイクロイックプリズム4の反射ダイクロイック膜4Rで反射され、結合ライトパイプ26により、偏光変換素子6Rでそのまま透過したs偏光とp偏光から変換されたs偏光とが合成される。同様にして、光源ユニットアレイ1BBから出射されるB光も、ライトパイプアレイ2BBで略平行光とされ、偏光変換素子6Bでs偏光のB光とされた後、クロスダイクロイックプリズム4の反射ダイクロイック膜4Bで反射され、結合ライトパイプ26により、偏光変換素子6Bでそのまま透過したs偏光とp偏光から変換されたs偏光とが合成され、光源ユニットアレイ1GGから出射されるG光も、ライトパイプアレイ2GGで略平行光とされ、偏光変換素子6Gでs偏光のG光とされた後、クロスダイクロイックプリズム4の反射ダイクロイック膜4R,4Bを透過し、結合ライトパイプ26により、偏光変換素子6Gでそのまま透過したs偏光とp偏光から変換されたs偏光とが合成される。結合ライトパイプ26から出射されるs偏光のR,G,B光は、凸レンズ27を通り、反射ミラー28で反射されて2つのプリズムを貼り合わせてなるTIRプリズム31に入射される。このTIRプリズム31では、2つのプリズムの貼り合わせ面が入射されるR,G,B光の全反射面をなしており、これで反射されたR,G,B光が、凸レンズ30を通して、反射型の映像表示素子29に照射される。
なお、この第4の実施形態においても、前述の実施形態と同様、ライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBによってR,G,B光の光線角度を低減し、クロスダイクロイックプリズム4の反射ダイクロイック膜4R,4Bで発生する半値シフトの発生を抑圧して、これによる損失を低減する。また、クロスダイクロイックプリズム4での光入射や光出射が行なわれない上面及び下面に色光が当たると、外部に出射されて光の損失が生ずることになるが、全面を研磨することにより、上面や下面に当った色光がクロスダイクロイックプリズム4内に全反射するようにし、あるいは上面や下面に反射ミラーを設けてかかる面に当った色光がクロスダイクロイックプリズム4内に反射するようにして、光の損失をなくし、スクリーンに表示されるカラー映像の明るさを向上させる。このことは、先の各実施形態においても、同様である。さらに、クロスダイクロイックプリズム4からの出射光のサイズを小さくすることにより、映像表示素子29への光線の入射角度を低減できる。
反射型の映像表示素子29としては、マイクロミラー型映像表示素子を用いている。R,G,B光はこのマイクロミラー型映像表示素子29で反射され、R,G,Bの映像光として凸レンズ30,TIRプリズム31及び投射レンズ16を介して図示しないスクリーンに投射されることにより、このスクリーン上にカラー映像が拡大表示される。
このマイクロミラー型映像表示素子29は映像の画素夫々に対応するセル(以下、画素セルという)毎に小さいミラー、即ち、マイクロミラーが設けられており、これらマイクロミラーが電圧の印加によって30゜程度回転するように構成されている。これらマイクロミラーはTIRプリズム31からの色光を反射するが、この反射色光は、マイクロミラーが回転しないとき(即ち、回転角が0゜のとき)には、凸レンズ30,TIRプリズム31及び投射レンズ16を通して図示しないスクリーンに投射されるが(マイクロミラーのかかる状態をON状態という)、マイクロミラーが30度回転すると(即ち、回転角が30゜のとき)、このマイクロミラーからの反射色光は方向が変わり、投射レンズ16の方向には向かない。このため、このときの反射色光はスクリーンに投射されない(マイクロミラーのかかる状態をOFF状態という)。
マイクロミラー型映像表示素子29には、R光とG光とB光とが順番に、かつ繰り返し入射される。従って、マイクロミラー型映像表示素子29の各画素セルは、R光が入射されたときには、R映像の画素に対する画素セルとなり、G光が入射されたときには、G映像の画素に対する画素セルとなり、B光が入射されたときには、B映像の画素に対する画素セルとなる。このため、光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBは順番に、かつ繰り返し該当する色光を発光する。ここで、これら光源ユニットアレイ1RR,1GG,1BBは、カラー映像の1フィールド(もしくは1フレーム)の周期で1/3フィールド(もしくは1/3フレーム)期間ずつ該当する色光を発光する。つまり、1フィールド期間を例にとると、その最初の1/3フィールド期間光源ユニットアレイ1RRがR光を発光し、次の1/3フィールド期間光源ユニットアレイ1GGがG光を発光し、最後の1/3フィールド期間光源ユニットアレイ1BBがB光を発光し、この動作がフィールド期間毎に繰り返される。従って、マイクロミラー型映像表示素子29の各画素セルは、R光が入射される1/3フィールド期間、R映像に対する画素セルとなり、G光が入射される1/3フィールド期間、G映像に対する画素セルとなり、B光が入射される1/3フィールド期間、B映像に対するセル画素となる。
そして、表示しようとする映像信号の各画素の強度(レベル)に応じて、マイクロミラー型映像表示素子29の該当する画素セルでの印加する電圧の印加期間を変化させ、その画素セルでのマイクロミラーのON状態とOFF状態とでの時間の割合を変化させる。即ち、映像信号の画素の強度(レベル)が零である場合には、これに該当する画素セルでのマイクロミラーは、この画素の表示期間、OFF状態に保持され、このマイクロミラーからの反射色光はスクリーンに投射されないOFF光のみとなる。映像信号の画素の強度(レベル)が高くなるほど、該当する画素セルでのマイクロミラーのON状態の期間の割合が長くなり、スクリーンに投射されるこの画素に対する色光の光量が増加する。
マイクロミラー型映像表示素子29にR光が入射される1/3フィールド(もしくは1/3フレーム)期間、マイクロミラー型映像表示素子29での各画素セルでは、カラー映像信号のうちのRの原色信号の画素の強度に応じた期間、マイクロミラーがON状態となり、この期間が経過すると、マイクロミラーはOFF状態に戻る。G光が入射される次の1/3フィールド(もしくは1/3フレーム)期間も、また、B光が入射されるさらに次の1/3フィールド(もしくは1/3フレーム)期間も同様である。
このようにして、映像信号の1フィールド(もしくは1フレーム)毎に1/3フィールド(もしくは1/3フレーム)期間ずつ、R,G,Bの映像が順にスクリーンに拡大表示されることになり、これら色映像が視覚的に合成されることにより、スクリーン上では、カラー映像が見えるように表示されることになる。このカラー映像の各画素の色相はスクリーンに投射されるR,G,Bの色映像の該当する画素の光量の比率、従って、R,G,B光の入射時でのマイクロミラーのON状態の期間の比率に応じて変化するが、投射表示されるカラー映像の明るさも、R,G,B光の入射時でのマイクロミラーのON状態の期間を、それらの比率を一定にしながら、変化させることにより、調整することができる。例えば、スクリーンに黒を表示する場合には、同じ画素セルでのR,G,B光の入射時でのマイクロミラーの状態をOFF状態とし、最も明るい白を表示する場合には、同じくR,G,B光の入射時でのマイクロミラーのON状態を可能な最大の時間に設定し、白を表示するときのR,G,B光の入射時でのマイクロミラーのON状態の期間の比率を一定に保持しながら、ON状態の期間を短くしていくことにより、白の表示状態から灰色の表示状態となり、次第に暗い表示状態に変化させることができる。このようにして、明るさの階調を制御することができ、かつこのような表示映像の明るさの調整はユーザの手動によって行なわせるようにすることができる。
反射型のマイクロミラー型映像表示素子29を用いた表示装置では、映像表示を光路の変更により行なう都合上、利用できる光線角度に制限があり、この制限を超えて大きくすると、コントラストが劣化する。この第4の実施形態では、クロスダイクロイックプリズム4の出射側の開口面積を小さくして光線角度を制限内に収めるために、ライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBを用い、これらライトパイプアレイ2RR,2GG,2BB夫々の出射側の開口とクロスダイクロイックプリズム4の夫々の入射側開口は略同一として、反射型のマイクロミラー型映像表示素子29へのR,G,B光の光線角度を低減して制限内に収めており、これにより、コントラストを劣化させることなく、色光の利用効率を向上させている。
図16は上記の各実施形態に適用可能な明るさ調整機能を備えた光源ユニットアレイ1の一具体例を示す概略構成図であって、32a,32bは発光領域であり、前出図面に対応する部分には同一符号をつけて重複する説明を省略する。
同図において、光源ユニットアレイ1は、LEDチップ1a、従って、光源ユニットが縦,横所定数ずつマトリックス状に配設された構成をなしており、光源ユニットアレイ1での発光状態を変化させることができるようにしている。これによると、スクリーンでの映像の表示状態を適宜変化させることができる。
例えば、コントラストが必要なときには、光源ユニットアレイ1の中心部の発光領域32a内のLEDチップ1aのみを発光させるようにする。この場合には、この発光領域32aが発光源となり、これによる色光の断面積が狭いので、上記のライトパイプアレイ2RR,2GG,2BBで光線角度を充分狭く抑えることができ、充分平行光とすることができる。このため、透過型映像表示素子や反射型の映像表示素子に入射するR,G,B光の光線角度を狭くすることができ、これら色光が非常に有効に利用されることになって、スクリーンに投射される映像のコントラストが改善されて良好になる。
コントラストに加え、明るさも必要なときには、さらに発光するLEDチップ1aを増加させて、発光領域32b内のLEDチップを発光させるようにする。これにより、R,G,B光の光量が増加し、スクリーンに投射表示される映像の明るさが増加する。しかし、発光する光源ユニットの数が増える分、色光の断面関が増えるから、透過型映像表示素子や反射型の映像表示素子に入射するR,G,B光の光線角度がより大きくなり、コントラストは劣化することになる。
そして、スクリーンに投射表示される映像を最も明るくする必要があるときには、光源ユニットアレイ1全体のLEDチップ一aが発光するようにする。このときには、発光する光源ユニット数は最大となるので、スクリーンに表示される映像は最も明るくする。
以上のような光源ユニットアレイ1の発光モードはユーザが選択可能であり、あるいは映像信号に応じて自動的に切り替えることができるようにすることができる。これにより、明るさが必要とされるときには、明るい画面を、コントラストが必要とされるときには、コントラストの良好な画面を夫々表示させることが可能となる。
図17(a),(b)は図14(b)に示す投射型映像表示装置に用いるライトパイプアレイの他の具体例を示す構成図であって、2Ga〜2Geはライトパイプであり、図14(b)に対応する部分には同一符号をつけている。
まず、図17(a)に示す具体例について説明する。
図17(a)において、投射レンズの光軸の近傍にあるライトパイプ2Gbから見た投射レンズの実効的な瞳は大きく、周辺に位置するライトパイプ2Gaから見た実効的な瞳は小さい。従って、ライトパイプ2Gbから出射する光は、ライトパイプ2Gaに比べて、光線角度がより広くても、投射レンズを通過することができ、これに対して、ライトパイプ2Gaからの出射光は、投射レンズの開口を通過することができず、損失が大きい。このために、ここでは、周辺に位置するライトパイプ2Gaのテーパをより急峻にして、ライトパイプ2Gaから出射する光の光線角度を低減し、投射レンズでのけられを防止する。
また、映像表示素子に光を集光させる必要から、ライトパイプアレイ全体の出射面積は、小さいほど効率が良くなる。ここでは、光線角度が相対的に広くても、投射レンズの通過の効率が確保できるライトパイプ2Gbのテーパをライトパイプ2Gaよりも穏やかにして、ライトパイプアレイ全体の出射面積を小さくしている。これにより、さらに効率の改善が可能である。
次に、図17(b)に示す具体例について説明する。
周辺に位置するライトパイプ2Gcとライトパイプ2Gdとを対向させる形で配置している。そして、これとともに、これらライトパイプ2Gc,2Gdの中央側(即ち、これらの互いに対向する側)のテーパの傾斜角を緩やかにし、これとは反対の周辺側のテーパの傾斜角を急峻にしている。これにより、ライトパイプアレイ全体の出射面積を広げることなく、投射レンズの開口の通過の効率が向上する。
また、さらに他の具体例として、投射レンズを映像表示素子に対してシフトさせたときに、有効なライトパイプアレイ(図示せず)について説明する。
フロントプロジェクタでは、映像を斜め上に投射するために、映像表示素子の光軸に対して投射レンズの光軸を上側にシフトさせる構成を採る。これに伴って、ライトパイプから見た投射レンズの実効的な瞳が上側にシフトしているので、投射レンズの開口の下側で光が通過しにくい。
そこで、この具体例では、投射レンズのシフトさせた方向を上方向とし、下側に位置するライトパイプのテーパの傾斜角を急峻にして、上側に位置するライトパイプのテーパを緩やかにする。これにより、下側に位置するライトパイプからの出射光の光線角度を低減でき、ライトパイプの出射面積を広くすることなく、投射レンズでの光線の通過の効率を向上させることができる。