JP3974882B2 - 重合体スケール付着防止剤 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、エチレン性二重結合を有する単量体を重合器内において重合し、重合体を製造する際に、重合器内壁面等への重合体スケールの付着を防止する重合体スケール付着防止剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
エチレン性二重結合を有する単量体を重合すると、重合体がスケールとして重合器内壁面等に付着することが知られている。
この重合体スケールの付着は、重合バッチ数を重ねるに従い顕著なものとなり、重合体の収率、重合器内の冷却能力等を低下させる。また、重合器内壁面等から剥離した重合体スケールが得られた重合体に混入して製品の品質が低下するという問題がある。そして、重合器内壁面等に付着した重合体スケールの除去作業は、過大な労力と時間を要するのみならず、重合体スケール中に含まれる未反応の単量体が人体に傷害を及ぼす危険性もある。
【0003】
従来、エチレン性二重結合を有する単量体の重合に際し、重合体スケールが重合器内壁面等へ付着することを防止するために、重合器内壁面、攪拌機等に、重合体スケール付着防止剤を塗布して塗膜を形成する方法が知られている。この重合体スケール付着防止剤としては、例えば、ナフトール類とアルデヒド化合物との縮合反応生成物および無機コロイド(更に、水溶性高分子化合物)の混合物(特許文献1)、ヒドロキシメタンスルフィン酸ナトリウム塩とナフトール類との反応生成物(特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5)、前記反応生成物およびポリビニルアルコールの混合物(特許文献6)等が知られている。
【0004】
しかし、例えば、前記特許文献1に記載の重合体スケール付着防止剤を用いて形成される重合体スケール付着防止性塗膜は、特に重合温度が約 60℃以上の重合反応の場合に、重合器内の気液界面付近における重合体スケール付着防止効果が不十分であることが明らかとなった。更に、重合バッチ数が約 150バッチ以上と多くなると気液界面付近に付着した重合体スケールが成長していき、成長の度合いが増すと、ついに剥離して得られた重合体に混入し、重合体製品のフィッシュアイを生じさせる原因となるという問題があった。
【0005】
また、従来、重合バッチの繰り返し数が多くなると、重合器内面等へ重合体スケール付着防止剤が繰り返し塗布される結果、スケール防止剤層が次第に厚くなり、この層が部分的に剥離して得られた重合体に混入し、重合体製品中に着色粒子として含まれたり、成形後の製品が黄ばむなどの変色を示すという問題があった。なお、前記現象は初期着色と称されている。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−206909号公報
【特許文献2】
特表平11−505557号公報
【特許文献3】
特表平11−505558号公報
【特許文献4】
特表平11−507088号公報
【特許文献5】
特表平11−511495号公報
【特許文献6】
特表平11−506495号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、エチレン性二重結合を有する単量体の重合による重合体の製造用の重合体スケール付着防止剤であって、重合器内壁面等への重合体スケール付着防止性塗膜(以下、「スケール防止性塗膜」という)の形成が重合体スケール付着防止剤の一段塗布で完了できるため生産性を向上させることができ、形成されたスケール防止性塗膜は、約 60℃以上の高温度での重合反応においても、また、重合バッチ数が約 150バッチ以上に増大しても、重合体スケール付着防止効果を十分に発揮し、得られる重合体製品への剥離スケールおよび着色粒子の混入を低減し、その結果、フィッシュアイおよび初期着色を著しく減少させるなど、製品の品質を向上させることができる、前記重合体スケール付着防止剤を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明等は、上記目的を達成するため、鋭意検討した結果、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、(A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および(B)水溶性メトキシル基置換セルロースエーテルを含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤(以下、「スケール防止剤」という)を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「初期着色」とは、重合体製品を加熱加圧下で成形した時に起こる変色を意味し、「抗初期着色性」とは、このような変色に対する抵抗性を意味する。
[(A)縮合反応生成物]
上記(A)成分は、アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物とを溶媒の存在下で縮合反応させて得られた縮合反応生成物である。
この(A)成分を得る縮合反応等について、以下、詳しく説明する。
【0010】
<アルデヒド化合物>
(A)成分の反応原料であるアルデヒド化合物としては、アルデヒド基(-CHO)を有する有機化合物であれば、特に制限なく使用することができる。このアルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、3-フェニルプロピオンアルデヒド、2-フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記に例示したアルデヒド化合物の中でも、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドが工業的および経済的観点からみて好適である。
【0011】
<ヒドロキシナフタリン系化合物>
(A)成分の反応原料であるヒドロキシナフタリン系化合物としては、ナフタリン環骨格を有する有機化合物であって、前記骨格を形成する炭素原子に結合した少なくとも1個の水素原子がヒドロキシル基によって置換された化合物であれば、特に制限なく使用することができる。このヒドロキシナフタリン系化合物としては、例えば、1-ナフトール、2-ナフトール、1,3−ジヒドロキシナフタリン、1,5-ジヒドロキシナフタリン、1,7-ジヒドロキシナフタリン、6-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、2-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸、1-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、8-ヒドロキシ-1-ナフトエ酸等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。
上記に例示したヒドロキシナフタリン系化合物の中でも、1-ナフトールおよび 2-ナフトールが好適である。
【0012】
<反応原料の使用割合>
縮合反応に供するアルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との使用割合は、前記両者の種類、溶媒および触媒の種類、縮合反応条件等によって調整することが必要となる場合があるので、一概にいえないが、ヒドロキシナフタリン系化合物中に含まれるヒドロキシル基1モルに対する、アルデヒド化合物中に含まれるアルデヒド基(-CHO)のモル数が、通常、0.1〜10モル、特に 0.5〜5モルとなる割合とすることが好ましい。
【0013】
<縮合反応溶媒>
上記両反応原料の縮合反応に際して用いられる溶媒は、水、有機溶媒またはこれらの混合溶媒である。
前記有機溶媒としては、上記両反応原料を溶解し、均一な溶液を形成できるものであればよく、特に制限されないが、水溶性有機溶媒が好ましい。この有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;下記一般式(1):
【0014】
【化2】
(式中、R1 は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、Xはメチレン基(-CH2-)または式:-NR2-(R2 は炭素原子数1〜3のアルキル基である)で表される2価の基である)
で表される化合物、等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上の混合溶媒としても使用することができる。また、上記のとおり、これらの有機溶媒と水との混合溶媒を用いることもできる。
【0015】
上記一般式(1)中、R1 は炭素原子数1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられ、これらの中でもメチル基が好ましい。Xが式:-NR2-で表される基である、場合にはR2はR1について説明したと同様のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
この上記一般式(1)で表される化合物としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N'-ジエチル-2-イミダゾリドン、N-プロピル-2-ピロリドン、N,N'-ジプロピル-2-イミダゾリドン等を挙げることができ、好ましくは N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドンである。上記のとおり、該化合物は1種単独でも2種以上を併用しても用いることができる。
【0016】
上記溶媒の中でも、上記一般式(1)で表される化合物、特に N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドンまたはこれらの混合溶媒、或いは該一般式(1)で表される化合物と水との混合溶媒が好ましい。その理由は、反応原料であるヒドロキシナフタリン系化合物の溶解性が良好であり、また、縮合反応において析出物を生成させることなく、縮合反応終了後に縮合反応生成物の均一な溶液を得ることができることから、重合体製品中に前記縮合反応由来の析出物が混入することが効果的に回避できるからである。
【0017】
上記一般式(1)で表される化合物と水との混合溶媒を用いる場合、その使用割合は、特に制限されないが、水 100重量部に対して、通常、2〜500重量部、好ましくは5〜200重量部の範囲とするのがよい。
また、溶媒の使用量も、上記両反応原料を溶解し、均一な溶液を形成することができ、縮合反応終了後に縮合反応生成物の均一な溶液を得ることができる量であればよく、特に制限されないが、上記両反応原料の合計 100重量部に対して、通常、2〜500重量部、好ましくは5〜200重量部の範囲とするのがよい。
【0018】
<縮合反応>
縮合反応は、上記両反応原料を上記溶媒に均一に溶解させた後に、触媒存在下で、通常、室温〜200℃、好ましくは 30〜150℃の温度条件において行われる。縮合反応に要する時間は、上記両反応原料の合計量により調整される場合があるが、通常、2〜100時間、好ましくは3〜30時間程度である。
【0019】
上記縮合反応には触媒を使用することが好ましい。この触媒としては、例えば硫酸、塩酸、過塩素酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸性触媒;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の塩基性触媒;等を用いることができる。この触媒の使用量は、触媒としての有効量でよく特に制限されないが、上記両反応原料の合計 100重量部に対して、通常、1〜20重量部、好ましくは2〜15重量部程度である。前記使用量で経済的にみても有利に、かつ、十分に縮合反応を促進することができる。
【0020】
また、上記縮合反応の反応系のpH条件は、特に制限されないが、通常、1〜13、好ましくは7〜13の範囲である。なお、必要に応じてpH調整剤をその種類および添加量を制限することなく反応系へ添加することができる。
【0021】
上記縮合反応によって、アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物を均一な溶液の状態で得ることができる。次いで、前記溶液から溶媒等を除去して、本発明の(A)成分である縮合反応生成物が得られる。なお、スケール防止剤の調製上支障がないのであれば、前記溶液をそのまま用いて本発明のスケール防止剤の調製に供してもよい。この場合は、工程の簡略化という利点がある。
【0022】
<還元剤>
上記縮合反応において、縮合反応の開始前、縮合反応中および縮合反応終了後から成る群から選ばれる少なくとも1つの段階で、反応系もしくは縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加することが好ましい。特に、縮合反応終了後に、縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加することが好ましい。還元剤の添加によって、縮合反応によって得られる縮合反応生成物溶液の均一安定性が向上し、また、長期間保存してもゲル化物を生成することがなく、ゲル化物が重合体製品中に混入することを未然に防止して製品の品質に影響を及ぼすことがないという利点がある。更に、本発明のスケール防止剤から得られるスケール防止性塗膜のスケール付着防止効果が向上するいう利点もある。
【0023】
なお、前記「縮合反応の開始前」とは、上記両反応原料等の溶液の調製後に、室温から所定の反応温度にまで反応系の温度を昇温させる工程が終了する時点の前を意味する。また、「縮合反応中」とは、反応系の温度が所定の反応温度に達した後であって、かつ、反応系中に未反応の反応原料が残存しており縮合反応が完了していない段階を意味する。更に、「縮合反応終了後」とは、縮合反応が完了した後であって、かつ、縮合反応生成物が溶液の状態で存在している段階を意味する。
【0024】
還元剤としては、亜硫酸塩、亜リン酸塩、亜硝酸塩、還元糖類、および二酸化チオ尿素が挙げられる。
亜硫酸塩としては、例えば、亜硫酸アンモニウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素アンモニウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム(Na2S2O4)、ロンガリット等が挙げられる。
【0025】
亜リン酸塩としては、例えば、亜リン酸アンモニウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウム、亜リン酸ウラニル、亜リン酸コバルト、亜リン酸第一鉄、亜リン酸第二鉄、亜リン酸銅、亜リン酸バリウム、亜リン酸ヒドラジニウム、亜リン酸水素アンモニウム、亜リン酸水素ナトリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸水素カリウム、亜リン酸水素カルシウム、亜リン酸水素コバルト、亜リン酸水素第一銅、亜リン酸水素第二銅、亜リン酸水素第一鉄、亜リン酸水素第二鉄、亜リン酸水素鉛、亜リン酸水素バリウム、亜リン酸水素マグネシウム、亜リン酸水素マンガン、亜リン酸水素ヒドラジニウム等が挙げられる。
【0026】
亜硝酸塩としては、例えば、亜硝酸アンモニウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、亜硝酸カルシウム、亜硝酸亜鉛、亜硝酸銀、亜硝酸コバルトカリウム、亜硝酸コバルトナトリウム、亜硝酸ストロンチウム、亜硝酸セシウム、亜硝酸セリウム、亜硝酸第二銅、亜硝酸ニッケル、亜硝酸バリウム、亜硝酸マグネシウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ルビジウム等が挙げられる。
【0027】
還元糖類とは、遊離のアルデヒド基またはカルボニル基を有し、かつ還元性を示す糖類である。そとしては、例えば、マルトース、ラクトース、ぶどう糖(グルコース)等が挙げられる。
【0028】
上記に例示した亜硫酸塩、亜リン酸塩、亜硝酸塩、還元糖類、および二酸化チオ尿素は、各々1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができ、また、例えば、亜硫酸塩と亜リン酸塩との組み合わせ等のように2種以上の還元剤を組み合わせても使用することができる。
また、上記に例示した還元剤の中でも、亜硫酸塩および二酸化チオ尿素が好ましい。
【0029】
この還元剤を使用する場合、その使用量は、上記両反応原料の合計 100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは 0.1〜3重量部程度である。
【0030】
[(B)水溶性メトキシル基置換セルロースエーテル]
本発明のスケール防止剤は、上記(A)成分の縮合反応生成物とともに、(B)成分として水溶性メトキシル基置換セルロースエーテルを組み合わせた点に、最大の特徴を有する。前記組み合わせにより、一段塗布のみによってスケール防止効果が顕著に優れたスケール防止性塗膜の形成が可能となり、品質上全く問題のない重合体製品を製造することができる。
【0031】
本明細書において、「水溶性メトキシル基置換セルロースエーテル」とは、各々3個のヒドロキシル基を有するグルコース環を含むセルロース分子中のヒドロキシル基の少なくとも一個がメトキシル基によって置換されており、かつ水溶性であるセルロースエーテルを意味する。従って、メトキシル基の他に、前記ヒドロキシル基が他の基によって置換されているものをも包含する。
【0032】
また、「置換度」とは、「メトキシル基置換度」を例に挙げて説明すると次のとおりの意味である。即ち、「メトキシル基置換度」とは、セルロース分子中のグルコース環単位当たりのメトキシル基で置換された水酸基の平均の個数を意味する。メトキシル基以外の置換基を有する場合も同様である。従って、「置換度」は、0〜3の範囲内の数で表示される。
【0033】
この(B)成分としては、例えば、メチルセルロース、2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース、3-ヒドロキシプロピルメチルセルロース、2-ヒドロキシエチルメチルセルロース等が挙げられる。これらの中でも、スケール防止効果をより向上させる点で、メチルセルロースおよび 2-ヒドロキシプロピルメチルセルロースが好ましい。
【0034】
また、(B)成分のメトキシル基置換度は、(B)成分が水溶性のものであればよく、特に限定されないが、通常、0.5〜2.5、特に 1.3〜2.0のものがよい。
この(B)成分は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。例えば、メトキシル基置換度が異なる2種以上のメチルセルロースの組み合わせであっても差し支えない。
【0035】
本発明では、この(B)成分として、特に、その2重量%水溶液の 20℃における粘度が 2000 mPa・s以下、更に 30〜1000 mPa・sであるものを採用することが好ましい。このような粘度の水溶性セルロースエーテルを使用することにより、本発明のスケール防止剤の塗布液の粘度も、塗布作業性について良好なものとなり、スケール付着防止効果に優れた均一かつ十分な厚さのスケール防止性塗膜を容易に形成させることができる。
【0036】
この(B)成分の使用量は、上記(A)成分の縮合反応生成物 100重量部に対して、通常、0.1〜150重量部、特に1〜30重量部の範囲内の量とすることが好ましい。前記範囲内の量とすることが、良好なスケール付着防止剤の塗膜が得られるという点で望ましい。
【0037】
[(C)無機コロイド、アルカリ金属ケイ酸塩]
本発明のスケール防止剤には、上記(A)および(B)成分に加えて、更に(C)無機コロイドおよび非コロイド状アルカリ金属ケイ酸塩から成る群から選ばれる少なくとも1種を配合してもよい。この(C)成分を併用すると、スケール防止性塗膜の重合器内壁面への吸着力が強くなり、スケール防止効果が向上するという効果があるので、好ましい場合がある。
【0038】
無機コロイドとしては、例えば、アルミニウム、トリウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等の金属の酸化物のコロイド;前記金属の水酸化物のコロイド;セレン、イオウ、金、銀等の元素のコロイド;シリカ、タングステン酸、五酸化バナジウム、ヨウ化銀等の化合物のコロイド等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。これらの中で好ましいものは、アルミニウム、チタン、アンチモン、スズ、または鉄の酸化物および前記金属の水酸化物のコロイド、並びにコロイダルシリカである。
【0039】
無機コロイドの製造方法は特に限定されない。例えば、水を分散媒とする分散法または凝集法により製造される粒子コロイドで差し支えない。コロイド粒子の粒径も特に限定されないが、通常、1〜500mμ、特に4〜100mμのものが好ましい。
【0040】
アルカリ金属ケイ酸塩としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のメタケイ酸塩:M2SiO3(前記Mはアルカリ金属である、以下同様)、オルトケイ酸塩:M4SiO4、二ケイ酸塩:M2Si2O3、三ケイ酸塩:M3Si3O7、セスキケイ酸塩:M4Si3O10等;固体水ガラス:Na2O・nSiO2(nは2〜4の正数である)等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。これらの中で好ましいものは、固体水ガラス:Na2O・nSiO2である。
【0041】
この(C)成分を併用する場合、その使用量は、(A)成分の縮合反応生成物 100重量部に対して、通常、0.1〜100重量部、特に1〜30重量部の範囲内の量とすることが好ましい。
【0042】
[スケール防止剤の調製]
スケール防止剤を調製するに際しては、例えば、上記(A)成分と、上記(B)成分の溶液とを混合する。なお、上記(A)成分の縮合反応によって得られた縮合反応生成物の溶液をそのまま用いて、上記(B)成分の溶液と混合しても差し支えない。また、必要であれば、この混合工程において、任意配合成分である上記(C)成分をも一緒に混合する。
【0043】
上記(B)成分の溶液を調製するには、溶媒として、水または水と混和性を有する親水性有機溶媒と水との混合溶媒が使用される。前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶媒;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;N-メチル-2-ピロリドン、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン等の上記一般式(1)で表される化合物;等が挙げられる。これらは1種単独でも2種以上の混合溶媒としても使用することができる。
上記溶媒の中でも、水、水と上記アルコール性溶媒との混合溶媒、または水と上記一般式(1)で表される化合物との混合溶媒を用いることが、上記(B)成分の溶解性が良好な点および臭気が比較的少ない点から好ましい。
【0044】
水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合、親水性有機溶媒の含有量は、親水性有機溶媒の揮発による濃度変化に起因する配合成分の析出の可能性を低減し、かつ、引火、毒性等の危険性および取扱上の安全性の点から問題とならない量に止めることが好ましい。具体的には、前記含有量は、水との混合溶媒中で 50重量%以下であることが好ましく、更に、30重量%以下であることが好ましい。
また、上記(B)成分の溶液の調製に際し、必要に応じて、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン等のpH調整剤を添加して混合してもよい。
【0045】
なお、上記(B)成分の溶液中に含有される(B)成分の濃度は、用いられる(B)成分の種類により調整される必要があるが、通常 1.0〜15重量%の範囲が好ましく、更に好ましくは 2.0〜10重量%である。
【0046】
上記のとおりにして、各成分を含有するスケール防止剤を均一な液状体として得ることができ、その混合操作自体は特に制限されない。混合機も通常に用いられるものでよく、例えば、攪拌機を有する加熱用のジャケット付き反応器等の装置を使用することができる。
このようにして得られた本発明のスケール防止剤の均一な液状体は、重合器内壁面等に塗布される塗布液として用いられる。
【0047】
なお、前記塗布液に含まれる上記(A)〜(C)成分の合計量は、縮合物が析出しない範囲とすることが望ましいことから、通常、4〜25重量%、好ましくは8〜20重量%の範囲内とすることが望ましい。
また、塗布液のpHは、縮合物が析出しない程度のアルカリ性とすることが望ましいことから、通常、9〜13.5、好ましくは 10.5〜13.0の範囲内とすることが望ましい。このpH値は、必要に応じ、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、エチレンジアミン等のpH調整剤の量を調整することにより設定することができる。
【0048】
[スケール防止性塗膜の形成]
本発明のスケール防止剤を用いるスケール防止性塗膜の形成工程について、図1を参照しながら説明する。なお、本発明のスケール防止剤の塗布方法は特に限定されないが、例えば水蒸気をキャリアーとして用い、重合器の内壁面等に塗布されることが好ましい。また、図1はスケール防止性塗膜形成に用いる装置の概略図である。
【0049】
<水蒸気キャリアー>
塗布液のキャリアーとして使用される水蒸気は、通常の飽和水蒸気であっても、過熱水蒸気であってもよく、通常、0.196〜3.43 MPa・G(2〜35 kgf/cm2・G)、特に0.196〜1.96 MPa・G(2〜20 kgf/cm2・G)の圧力を有するものが好ましい。水蒸気の温度は、通常、120〜260℃、特に 130〜200℃であることが好ましい。
【0050】
なお、水蒸気の上記圧力および温度の値は、水蒸気が塗布液と混合される時点より前、例えば、後述するように、図1に記載の水蒸気供給ライン6内において測定される値を意味する。
【0051】
<塗布工程>
工程1.(水蒸気による重合器内壁面等の予熱等)
重合器1に付設されているジャケット2に熱水等を通して重合器内壁面の温度を 50℃以上、好ましくは 50〜95℃の温度に予め加熱しておく。この重合器の上部には、環状のパイプからなり下方向きのノズル3aと上方向きのノズル3bを有する塗布リング4が設けられている。該塗布リング4には重合器1の外部から水蒸気および塗布液を一体的に供給できるライン5が接続している。
【0052】
ライン5には、水蒸気供給ライン6および塗布液供給ライン7がバルブを介して接続している。必要に応じて、この塗布リング4の塗布ノズル3a、3bから、水蒸気供給ライン6およびライン5を介して供給される水蒸気のみを、重合器内に吹き込み、重合器内に収容されているバッフル(図示せず)、攪拌翼(図示せず)等も予め加熱することもできる。この装置では水蒸気は水蒸気供給器8から流量計9を経てライン6とライン5を通って塗布リング4に供給される。
【0053】
工程2.(スケール防止剤の塗布)
水蒸気を塗布リング4に供給し、更に塗布液タンク10内に収納された塗布液11をポンプ12またはアスピレーターバルブ(図示せず)によりライン7とライン5を介して塗布リング4に供給する。図中Pは圧力計である。塗布液は水蒸気と一体となったミスト状態で、重合器内壁面、バッフル表面、攪拌翼表面等の重合反応中に単量体が接触する表面に適用され、塗布される。この塗布と同時にこれら表面上で塗布された塗布液は塗布と同時に乾燥されて、スケール防止剤途膜が形成される。したがって、乾燥のための特別の操作は必要ない。
【0054】
ライン5中における、水蒸気(G)と塗布液(L)との混合割合(L/G)が、単位時間当たりの流量比(重量基準)として、通常、0.005〜0.8、特に 0.01〜0.2となるように制御することが好ましい。前記混合割合を前記範囲内のものとすることによって、重合器内壁面等にスケール防止性塗膜を形成するために好適な状態の上記ミストを形成することができる。
【0055】
工程3.(水洗)
水蒸気および塗布液の供給を止めた後、水タンク13に収納された洗浄用水14で重合器1内の水洗を行う。洗浄水はポンプ15によりライン16を介してノズル17から重合器内に供給される。なお、途膜の形成状態が良好であり、該水洗工程を省略しても、重合体製品の品質に影響を与えない場合は、該水洗を行わず、工程の簡略化および生産性の向上を図ることができる。
【0056】
上記工程を経て、形成されるスケール防止剤の塗布量(乾燥後)は、通常、0.0005〜3g/m2、特に 0.0005〜1g/m2とすることが好ましい。前記塗布量を前記範囲内とすることにより、重合器内壁面等に必要かつ十分な厚さの途膜が形成され、良好なスケール防止効果を発揮することができる。更に、重合器内壁面等からの途膜の剥離に伴う問題も低減できる。
【0057】
[重合]
本発明のスケール防止剤は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合時に適用される。この単量体の例としては、例えば、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニリデン;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、およびこれらのエステルまたは塩;マレイン酸、フマル酸、およびこれらのエステルまたは酸無水物;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等の共役ジエン系単量体;スチレン;アクリロニトリル;ビニルエーテル等が挙げられる。
【0058】
本発明のスケール防止剤が特に好適に実施される例としては、塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニルもしくはハロゲン化ビニリデン、または、それらを主体とし他の単量体との単量体混合物の水性媒体中における懸濁重合もしくは乳化重合による前記単量体もしくは単量体混合物の重合体もしくは共重合体の製造工程を挙げることができる。
【0059】
また、本発明のスケール防止剤から形成されるスケール防止性塗膜は、α-メチルスチレン、(メタ)アクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の従来から公知のスケール防止性塗膜に対して高い溶解能を有する単量体の重合に適用しても、高い耐久性を示すので、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の重合体ビ−ズもしくはラテックスの製造、SBR、NBR、CR、IR、IIR等の合成ゴムの製造(なお、これらの合成ゴムは通常乳化重合によって製造される)、ABS樹脂の製造に際しても好適に適用することができる。
【0060】
これら単量体の1種または2種以上の重合に際し、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等の重合形式にかかわらず、また、乳化剤、安定剤、滑剤、可塑剤、pH調整剤、連鎖移動剤等のいずれの添加剤の存在下であっても、スケール防止の目的が有効に達成される。例えば、ビニル系単量体の懸濁重合や、乳化重合では、重合系に必要に応じて種々の添加剤が加えられる。前記添加剤としては例えば、部分けん化ポリビニルアルコール、メチルセルロース等の懸濁安定剤;ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずメルカプチド等の安定剤;トリクロロエチレン、メルカプタン類等の連鎖移動剤;各種pH調整剤等が挙げられる。本発明のスケール防止剤の適用によれば、このような添加剤が重合系に存在しても効果的にスケールの付着が防止される。
【0061】
また、本発明のスケール防止剤の顕著な重合体スケール付着防止効果は、重合開始剤の種類に影響されることなく、いずれの重合開始剤を使用した場合でも発揮される。前記重合開始剤としては、具体的には、例えば、t-プチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、α-クミルパーオキシネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、ビス(2-エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ジベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α,α'-アゾビスイソブチロニトリル、α,α'-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、ジ-2-エチルヘキシルジパーオキシイソフタレート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が例示される。
【0062】
重合の他の条件は、従来から通常に行われるとおりでよく、本発明の効果が損われない限り特に制約されない。以下、懸濁重合、溶液重合および塊状重合の場合を例に挙げて、典型的な重合条件を具体的に説明するが、何らこれに限定するものではない。
【0063】
懸濁重合の場合には、まず、水および分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を仕込む。次に、重合器内を排気して約 0.001〜101 kPa・G(約0.01〜760 mmHg)に減圧もしくは大気圧にした後、重合器の内圧が、通常、49〜2940 kPa・G(0.5〜30 kgf/cm2・G)となる量の単量体を仕込み、その後、 30〜150℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、水、分散剤および重合開始剤の一種または二種以上を添加する。また、重合時の反応温度は、重合される単量体の種類によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合には 30〜80℃で行い、スチレンの重合の場合には 50〜150℃で重合を行う。重合は、重合器の内圧が0〜686 kPa・G(0〜7kgf/cm2・G)に低下した時に、或いは重合器外周に付設された冷却用ジャケット内に流入および流出させる冷却水の入口温度と出口温度との差がほぼなくなった時(即ち、重合反応による発熱がなくなった時)に、完了したとみなされる。重合の際に仕込まれる水、分散剤および開始剤の量は、通常、単量体 100重量部に対して水 20〜500重量部、分散剤 0.01〜30重量部および重合開始剤 0.01〜5重量部である。
【0064】
溶液重合の場合には、重合媒体として水の代わりに、例えば、トルエン、キシレン、ピリジン等の有機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。その他の重合条件は、一般に懸濁重合についての上記重合条件と同様である。
【0065】
塊状重合の場合には、重合器内を約 0.001〜101 kPa・G(約0.01〜760 mmHg)の圧力に排気もしくは大気圧にした後、その重合器内に単量体および重合開始剤を仕込み、−10〜250℃の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニルの重合の場合には、30〜80℃で行い、スチレンの重合の場合には 50〜150℃で重合を行う。
【0066】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。
なお、表1の「塗布液No.」等に*を付したものは、本発明の条件を満たさない比較例であり、それ以外は実施例である。
【0067】
以下、「部」は「重量部」を意味する。また、表1中の「縮合物(A)」は、上記(A)成分のアルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物を意味する。「助剤(B)」は、実施例である場合上記(B)成分の水溶性セルロースエーテルを意味する(比較例の場合については、表1中に特記してあるとおりである)。「助剤(C)」は、上記(C)成分の無機コロイドまたはアルカリ金属ケイ酸塩を意味する。表1および表2に記載の、(A)、(B)および(C)は、前記に準じて各成分を意味する。表3および表5の記載についても同様である。
【0068】
[縮合反応生成物の調製]
以下の(A)成分である縮合反応生成物の調製例において、得られた生成物の縮合生成物の重量平均分子量は次のようにして測定した。
・重量平均分子量の測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0069】
カラム:ガードカラム
商品名:shim−pack GPC−800DP(島津製作所社製)
分析カラム
商品名:shim−pack GPC−803D、802D(島津製作所社製)
キャリア:LiBr/DMF=10 mmol/L
流量:1.0 mL/min
検出器:紫外線吸収スペクトル(波長=290 nm)
温度:60℃
【0070】
<調製例1> 縮合物 No.1の調製(水溶媒系)
耐圧反応器に 1-ナフトール 36.0kg(250モル)と1規定NaOH水溶液 180L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込み、撹拌しながら、70℃に昇温した。次に、反応混合物にホルムアルデヒドを溶解した水溶液 19.75kg(ホルムアルデヒド 1.92重量%含有)を 1.5時間かけて一定速度で滴下した。前記滴下が終了するまでの間、反応器の内温が80℃を越えないように調節した。次に、3時間かけて反応混合物の撹拌を続け、この間に温度を60℃にまで低下させた。次に、反応混合物を 98℃に昇温し、98℃で 1.5時間反応させた。その後、反応混合物を冷却し縮合反応生成物(縮合物 No.1)のアルカリ性溶液を得た。
次に、冷却した反応混合物の溶媒を除去した後残留物を洗浄して、50℃で減圧乾燥した。縮合物 No.1の重量平均分子量を測定した結果は、2,400であった。
【0071】
<調製例2> 縮合物 No.2の調製(水溶媒系、還元剤使用)
調製例1に記載の方法において、ホルムアルデヒドの滴下が終了した直後に、更に、亜硝酸ナトリウムの 20重量%水溶液 17.25kg(亜硝酸ナトリウム含量 50モル)を 0.1時間かけて一定速度で滴下し、かつ前記ホルムアルデヒドの滴下および亜硝酸ナトリウムの滴下が終了するまでの間、反応器の内温が80℃を越えないように調節したこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.2、重量平均分子量 2,300)を得た。
【0072】
<調製例3> 縮合物 No.3の調製(有機溶媒系)
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N-メチル-2-ピロリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.3、重量平均分子量 5,200)を得た。
【0073】
<調製例4> 縮合物 No.4の調製(有機溶媒系、還元剤使用)
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N-メチル-2-ピロリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例2と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.4、重量平均分子量 4,900)を得た。
【0074】
<調製例5> 縮合物 No.5の調製(有機溶媒系)
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、エタノール 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.5、重量平均分子量 4,700)を得た。
【0075】
<調製例6> 縮合物 No.6の調製(有機溶媒系、還元剤使用)
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、エタノール 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと、およびホルムアルデヒド水溶液に代えて、1L当たり 980gのフルフラールを溶解した水溶液 24.51L(フルフラール含量 250モル)を使用したこと以外は、調製例2と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.6、重量平均分子量 4,500)を得た。
【0076】
<調製例7> 縮合物 No.7の調製(有機溶媒系)
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))と2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと以外は、調製例1と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.7、重量平均分子量 5,600)を得た。
【0077】
<調製例8> 縮合物 No.8の調製(有機溶媒系、還元剤使用)
1規定NaOH水溶液 180Lに代えて、N,N'-ジメチル-2-イミダゾリドン 90kgと2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))と2規定NaOH水溶液 90L(NaOH含量 7.2kg(180モル))とを仕込んだこと、および亜硝酸ナトリウム水溶液に代えて、亜二チオン酸ナトリウムの 20重量%水溶液 43.53kg(亜二チオン酸ナトリウム含量 50モル)を使用したこと以外は、調製例2と同様にして、縮合反応生成物(縮合物 No.8、重量平均分子量 5,400)を得た。
なお、下記表1中において、上記調製例1〜調整例8で得られた縮合物 No.1〜縮合物 No.8を、順に、CP1〜CP8と表記する。
【0078】
[塗布液の調製]
塗布液 No.101 〜 119 の調製
下記表1に示した、縮合物(A)、助剤(B)および助剤(C)を下記表1に示した (A)/(B)/(C) の重量比で使用した。なお、使用した助剤(B)および助剤(C)は、後述のとおり、表3〜5に具体的に示すとおりである。
【0079】
更に、表2に記載の組成の溶媒を用いて、前記全成分を混合し溶解させた。前記溶解に際して、(A)成分〜(C)成分の合計の濃度およびpHを、表2に示すよに調整した。こうして、各成分が均一に溶解された塗布液 No.101〜No.119を得た。
【0080】
但し、塗布液 No.102*は、水溶性セルロースエーテルではあるが、本発明のスケール防止剤の(B)成分には該当しない 2-ヒドロキシエチルセルロースを前記(B)成分に代えて用いた比較例に相当する。同じく、塗布液 No.103*は 2-ヒドロキシプロピルセルロースを用いた比較例に相当する。前記 2-ヒドロキシエチルセルロースとしては、商品名:ヒドロキシエチルセルロース(和光純薬工業社製)を、また、前記 2-ヒドロキシプロピルセルロースとしては、商品名:ヒドロキシプロピルセルロース(和光純薬工業社製)を使用した。
【0081】
【表1】
*:比較例
【0082】
【表2】
*:比較例
【0083】
<助剤(B)>
上記表1記載の助剤(B)として略記したa〜gは、下記表3に記載のものである。また、それらの各々の置換度を表4に示した。(なお、下記表3に記載の助剤(B)a〜gは、いずれも信越化学工業社製のものである。)
【0084】
【表3】
【0085】
【表4】
【0086】
<助剤(C)>
上記表1記載の助剤(C)として略記したh〜nは、下記表5に記載のものである。
【0087】
【表5】
【0088】
[実施例、比較例]
図2に示す重合装置を用いて、以下の実験を行った。なお、図2において図1と共通する要素は同一番号で示す。
【0089】
図2において、内容積2m3の SUS 316 Lステンレス鋼製重合器1には、攪拌翼18を有する撹拌装置19(攪拌モーターは図示せず)、加熱・冷却用ジャケット2、マンホール20、バッフル21およびその他の塩化ビニル重合用の重合器に通常備わる付属設備(図示せず)が備えてある。重合器1の上部に接続されたライン22は原材料仕込み用ラインであり、該ライン22に図示のように塩化ビニル単量体(以下「VCM」という)の仕込みライン22a、触媒溶液の仕込みライン22b、懸濁剤溶液の仕込みライン22c、純水の仕込みライン22d等の分岐ラインが接続されている。この仕込みライン22およびライン22a〜22dには図示の位置にバルブV1、V2、V3、V4およびV5が設けられている。
【0090】
また、重合器1の上部に接続されたライン23は重合器1内の排気、VCMの回収等のために設けられ、ライン23から分岐したライン24を経てガスホルダー25に導かれる。ガスホルダー25からVCM回収ライン26が導出され、またガスホルダー25から導出されたライン27はライン23に接続され、後述の均圧操作に用いられる。これらのライン23、24、26および27には、図示の位置にバルブV6、V7、V8、V9、V10、V11、V12およびV13が設けられている。ライン24は、重合器1内の排気、VCMの回収等のために使用される真空ポンプ28が設けられているライン24aとそのようなポンプが設けられていないライン24bに分岐した後、再び一つのラインになってガスホルダー25に接続している。
【0091】
また、重合器1の上部には、重合器内の水洗を行うために、洗浄用水の供給用ライン16が接続されている。ライン16には図示の位置にバルブ14が設けられ、重合器内に導かれた先端にノズル17が設けられている。更に、重合器1の上部には、塗布液の供給ライン7が図示のようにバルブV17を介して接続している。さらに、ライン5には水蒸気の供給ライン6がバルブを介して接続している。ライン5の重合器内にある先端には、塗布ノズル3a,3bが付設された塗布リング4が設けられている。これらのラインには図示の位置にバルブV15およびV16が設けられている。水蒸気供給ライン6には、図示の位置にバルブ18が設けられている。重合器1の底にはライン29が接続され、これはフィルター30を介して重合体スラリーをスラリータンクへ導くライン29aと塗布液等や洗浄水を廃水タンクへ排出するライン29bとに分かれている。これらのライン29、29aおよび29bのそれぞれに図示の位置にバルブV19、V20およびV21が設けられている。
【0092】
実験No.101〜実験No.119において、それぞれ、上記塗布液No.101〜塗布液No.119を用いて、次のようにして、塩化ビニルの重合を繰り返し行った。なお、塗布液を塗布した後に乾燥させること自体は必要であるが、通常、そのための特別な操作は不要であり、本実施例においても乾燥操作(工程)は行わない。
【0093】
(1)重合器内の前処理
図2に示す重合装置の重合器の内壁等に下記の方法でスケール防止性塗膜を形成する。なお、当初すべてのバルブは閉じているものとする。
該前処理工程では、ジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面を予め加熱することなく塗布液の塗布を行う。これにより工程の簡略化が可能となる。
【0094】
バルブV18、V21、V19、V15およびV16を開き、392 kPa・G(4kgf/cm2・G)(143℃)の水蒸気を4kg/minの流量で1分間、重合器内に吹込んで、重合器内を予熱した後、バルブV17を開き、スケール防止剤を含有する塗布液をライン7を介して 0.2 kg/minの流量で1分間供給する。これにより、ライン5中で前記塗布液は前記水蒸気と一体となる。前記水蒸気をキャリアーとして利用して重合器内壁表面等へのスケール付着防止剤の塗布を行うとともに同時に乾燥させる。なお、このとき、水蒸気(G)と塗布液(L)との混合割合(G/L)は、流量比(重量基準)として 0.05である。その後、バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を閉じる。
バルブV14、V19、V21、V6、V7およびV10を開き、重合器内を1分間水洗し、水洗後の水を廃水タンクMに排出する。その後、バルブV14、V19およびV21を閉じる。
【0095】
(2)仕込み
バルブV1、V2およびV3を開き、純水 200部、部分ケン化ポリビニルアルコール 0.020部および 2-ヒドロキシプロピルメチルセルロース(表3に記載のaと同じものを使用した)0.026部を重合器1内に仕込む。その後、バルブV1、V2、V3、V6、V7およびV10を閉じる。
【0096】
次にバルブV1およびV5を開き、VCM 100部を仕込み、バルブV5を閉じる。次に、仕込んだ原材料を攪拌しながら、バルブV4を開き、t-ブチルパーオキシネオデカノエート 0.03部を仕込み、バルブV1およびV4を閉じる。
【0097】
(3)重合
仕込んだ原材料を攪拌しながら、ジャケット2に熱水を通水して昇温し、内温が 66℃に到達した時点で、ジャケット2への冷却水の通水を開始して内温を 66℃に維持し重合を行う。重合器内の圧力が 490 kPa・G(5kgf/cm2・G)に降圧した時点で重合終了とする。
【0098】
(4)排ガス
バルブV6、V8、V12およびV9を開き、重合器内圧がほぼ大気圧(101 kPa・G)となるまで、未反応VCMをガスホルダー25に排ガスする。その後バルブV12、V8およびV9を閉じる。バルブV11およびV10を開いてガスホルダー25内に回収されたVCMをライン26を介してVCM回収装置へ送り、その後、バルブV11およびV10を閉じる。
【0099】
(5)均圧
バルブV7およびV10を開き、重合器1の内圧とガスホルダー25の内圧とを同圧にする。
【0100】
(6)スラリー抜出し
バルブV19およびV20を開き、重合体スラリーを、フィルター30を介して重合器内からスラリータンクに抜出す。なお、該フィルター30は、5〜7メッシュ(目開き 約3〜4mm)の金網状のものである。重合体スラリー中に重合器内壁面等から剥離したスケールが含まれる場合は、このフィルター30に捕集される。
スラリータンク(図示せず)に抜出された重合体スラリーは、その後、脱水乾燥されて塩化ビニル重合体製品となる。重合体スラリーの抜き出し後、バルブV20を閉じる。
【0101】
(7)重合器内第1水洗
バルブ21を開ける。次いで、バルブV14を開き重合器1内を5分間水洗し、洗浄水をフィルター30を介して廃水タンクへ送る。この重合器内の水洗中に、ジャケット2に熱水を通して重合器壁面の温度を 70℃にしておく。この水洗時に、重合器内壁面、特に気液界面付近、攪拌翼、バッフルの頭頂部およびサポート部等から剥離したスケールが洗浄水中に含まれる場合は、このフィルター30に捕集される。
その後、バルブV14、V19、V21、V6、V7およびV10を閉じる。
【0102】
(8)水蒸気塗布および同時乾燥
ジャケット2への熱水の通水を停止する。バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を開き、240 kg/Hrの流量の 392 kPa・G(4kgf/cm2・G)(143℃)の水蒸気と、0.2 L/minの流量のスケール防止剤を含有する塗布液とをライン5を介して1分間供給し、水蒸気塗布および同時乾燥を行う。その後、バルブV18、V21、V19、V15、V16およびV17を閉じる。
【0103】
(9)重合器内第2水洗
バルブV14、V19およびV21を開き、重合器1内を1分間水洗し、水洗後の水を廃水タンクに排出する。その後、バルブV14、V19およびV21を閉じる。
上記の(2)仕込み工程から(9)重合器内第2水洗工程までの操作を1バッチとして、VCMの重合を各実験において表6に記載の合計バッチ数となるだけ繰返して実施した。
【0104】
<評価手法>
・重合体スケール付着量の測定
各実験で、最終バッチ(例えば、200バッチの重合を行った場合は、200バッチ目)終了後に重合器内液相部の重合体スケール付着量、攪拌翼およびバッフル表面、並びに、気相部と液相部との界面付近の重合体スケール付着量を下記の方法で求めた。
上記各対象表面の10cm×10cmの面積に付着したスケールを、肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量値を 100倍することにより、1m2当たりのスケール付着量(g)を求めた。その結果を表6に示す。
【0105】
・フィルターのスケール捕集量の測定
各実験で、上記各バッチの重合器内第2水洗工程後かつ仕込み工程前に、フィルター30に捕集された重合器内壁面等から剥離したスケールを分離・回収し、乾燥した後にその重量(g)を測定した。各実験の表6に記載の合計バッチ数分の合計重量(g)を表6に示す。
【0106】
・フィッシュアイの測定
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体をシ−トに成形したときのフィッシュアイ(個数)を、下記の方法で測定した。その結果を表7に示す。
重合体 100部、ジオクチルフタレート 50部、ジブチルすずジラウレート1部、セチルアルコール1部、酸化チタン 0.25部およびカーボンブラック 0.05部を、6インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚さ 0.2 mmのシートに成形した。得られたシートの100 cm2当たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により調べた。
【0107】
・明度指数(L値)の測定
重合体をシ−トに成形した際の抗初期着色性を評価するため、明度指数(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表7に示す。
得られた重合体 100部、ジブチル錫ラウレ−ト系安定剤(商品名:TS-101、昭島化学社製)1部、カドミウム有機複合体系安定剤(商品名:C-100J、勝田化工社製)0.5部、および可塑剤としてジオクチルフタレ−ト 50部の混合物を、2本ロールミルを用いて 150℃で5分間混練した後、厚さ 0.8mmのシ−トに成形した。得られたシ−トを4cm×4cmに裁断し、この裁断片を4cm×4cm×1.5 cmの型枠に入れ、次いで 160℃の温度で5分間予熱した後、2.84〜3.04 MPa(29〜31 kgf/cm2)の圧力をかけて5分間加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料の明度指数Lを、以下のようにして求めた。
【0108】
まず、JIS Z 8722の規定に従い、標準光Cおよび光電色彩計(商品名:Z−1001 DP 型測色色差計、日本電色工業社製)を用いて、刺激値直読方法により、XYZ表色系の刺激値Yを求めた。ここで、照明および受光の幾何学的条件は、JIS Z
8722の 4.3.1 項に記載の条件dを採用した。
【0109】
次いで、得られた刺激値Yを、JIS Z 8730(1980)に規定のハンタ−の色差式:
L=10Y1/2
に代入して、L値を算出した。その結果を表7に示す。なお、L値が大きいほど白色度が高い、即ち抗初期着色性が良好であることを意味する。
【0110】
・着色粒子の測定
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体 100部、安定剤として TVS N−2000E(商品名、日東化成社製)2部、および可塑剤としてジオクチルフタレート 20部の混合物を、十分に混錬した後、160mm×130mm×3mmの型枠に入れ、175℃の温度で、3.43 MPa(35 kgf/cm2)の圧力で加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料について、着色粒子の個数を目視により測定した。その結果を表7に示す。
【0111】
【表6】
*:比較例
【0112】
【表7】
*:比較例
【0113】
[評価]
表6に記載の結果から明らかなように、本発明の上記(A)および(B)成分を含有するスケール防止剤を用いて、一段塗布で重合器内壁面等へスケール防止性塗膜を形成した実験 No.101、No.104〜No.119 では、(B)成分のメトキシル基置換水溶性セルロースエーテルに代えて、前記(B)成分に該当しない水溶性セルロースエーテルである 2-ヒドロキシエチルセルロースまたは 2-ヒドロキシプロピルセルロースを用いた場合と比較して、66℃との高温の重合反応条件において、200バッチもの多数回の重合バッチを繰り返しても、特に、重合器内気液界面付近、攪拌翼部、およびバッフル部におけるスケール付着量が顕著に少ないことがわかる。
【0114】
フィルター30に捕集されたスケール量は、重合器内壁面等に付着乃至堆積したスケールの剥離量に相当する。このフィルター30に捕集されたスケール量をみても、本発明のスケール防止剤の重合器内壁面等へのスケール付着防止効果が顕著に優れていることがわかる。そして、表7に記載の結果からみても、本発明のスケール防止剤を用いた場合には、フィッシュアイ、またスケール防止性塗膜の剥離に起因すると解される着色粒子の量が少なく、抗初期着色性等の品質においても何ら問題のない重合体製品が得られていることがわかる。
【0115】
【発明の効果】
本発明のスケール防止剤は、一段塗布により十分なスケール付着防止性能を有するスケール防止性塗膜が形成でき、工程時間を短縮して生産性を向上させるとともに、高温の重合反応条件において多数回の重合バッチを繰り返しても、重合器内の液相部壁面ばかりでなく、気液界面付近、攪拌装置、壁面に対面しているバッフル表面等においても、重合体スケールの付着を効果的に防止することができる。このため、重合体中への着色粒子の混入を従来のものよりも極めて少なくすることができるだけでなく、該重合体をシ−ト等に成形した成形物は、フィッシュアイが極めて少なく、かつ抗初期着色性にも極めて優れており、品質の向上した重合体製品を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスケール防止剤を用いるスケール防止性塗膜形成に用いる装置の概略を示した図である。
【図2】本発明のスケール防止剤を用いる重合方法を実施するために、実施例で使用した重合装置の概略を示した図である。
【符号の説明】
1.重合器
2.ジャケット
4.塗布リング
6.水蒸気供給ライン
7.塗布液供給ライン
16.洗浄水供給ライン
18.撹拌翼
21.バッフル
22.原材料供給ライン
23.排気、単量体回収ライン
25.ガスホルダー
30.フィルター
Claims (6)
- (A)アルデヒド化合物とヒドロキシナフタリン系化合物との縮合反応生成物、および(B)水溶性メトキシル基置換セルロースエーテルを含有する、エチレン性二重結合を有する単量体重合用の重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1に係る重合体スケール付着防止剤であって、前記(B)成分の2重量%水溶液の 20℃における粘度が 2000 mPa・s以下である、重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1〜3の何れか1項に係る重合体スケール付着防止剤であって、前記(A)成分の縮合反応生成物が、縮合反応の開始前、縮合反応中および縮合反応終了後から成る群から選ばれる少なくとも1つの段階で、反応系もしくは縮合反応生成物の溶液に還元剤を添加して得られたものである、重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1〜4のいずれか1項に係る重合体スケール付着防止剤であって、更に、(C)無機コロイドおよび非コロイド状アルカリ金属ケイ酸塩から成る群から選ばれる少なくとも1種を含有する、重合体スケール付着防止剤。
- 請求項1〜5のいずれか1項に係る重合体スケール付着防止剤であって、前記(A)成分と、前記(B)成分と、前記(C)成分を含有する場合には前記(C)成分とを、合計8〜25重量%の量含有する、重合体スケール付着防止剤。
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