JP3833012B2 - エチレン性二重結合を有する単量体の重合体を製造する方法 - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明はエチレン性二重結合を有する単量体を重合器内において重合することにより重合体を製造する方法において、重合器内壁面などへの重合体スケールの付着を防止し、品質の良好な重合体を製造することができる重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
重合器内で単量体を重合して重合体を製造する方法においては、重合体が重合器内壁面などにスケールとして付着する問題が知られている。
重合体スケールが重合器内壁面などに付着すると、重合体の収率低下、重合器内の冷却能力の低下、及び付着した重合体スケールが剥離して重合体製品に混入することにより製品の品質低下を招き、更に重合体スケールの除去に多大の労力と時間が必要となるなどの不利が生じる。
その上、重合体スケールは未反応単量体を含んでいるので、作業者がこれにさらされ、身体的な障害を引き起こす恐れもある。
【0003】
このため、エチレン性二重結合を有する単量体の重合においては、重合器内壁面などへの重合体スケールの付着を防止する目的で、例えば重合器内壁及び攪拌機などに、重合体スケール付着防止剤(以下、スケール防止剤という)を
1段階の塗布作業で塗布して塗膜を形成する方法(以下、1液塗布方法という)が種々知られており、スケール防止剤としては具体的には、例えば、アミン化合物、キノン化合物、アルデヒド化合物などの極性有機化合物、或いは染料、顔料など(特公昭45−30343、特公昭45−30835);極性有機化合物或いは染料を金属塩で処理したもの(特公昭52−24953);電子供与性化合物と電子受容性化合物との混合物(特公昭53−28347);1−ナフトールとホルムアルデヒドとの縮合反応生成物(特開昭57−164107);フェノール化合物とホルムアルデヒドとの縮合反応生成物(特開昭57−192413);ポリ芳香族アミン(特公昭59−16561);多価フェノールの自己縮合生成物や多価ナフトールの自己縮合生成物(特開昭54−7487);ケトン樹脂とフェノール化合物との縮合反応生成物(特開昭62−236804);芳香族アミンと芳香族ニトロ化合物との縮合反応生成物及びこれをベ−ス化したもの(特公昭60−30681);芳香族アミン化合物とキノン化合物との縮合反応生成物(特開昭61−7309)等が用いられている。
【0004】
この1液塗布方法で得られる重合スケール付着防止性塗膜では、重合中に重合器内の気液界面付近にスケールが付着しやすかったり、重合反応液の組成によってはスケールが壁面全面に付着することがあるため、これを防止するためにスケール防止剤の塗布液に、アニオン性高分子化合物、両性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ヒドロキシル基含有高分子化合物等の水溶性高分子化合物;無機コロイド;アルカリ金属塩のような無機塩等の、単量体に対して親和性を有しない物質(以下、スケール防止助剤という)を混合することも知られている。これらの1液塗布方法はエチレン性二重結合を有する単量体の重合器内における重合において、重合体スケール付着防止に有効である。
【0005】
スプレー塗布方法によるスケール防止剤の1液塗布法における塗膜の形成は、
・ステップ1:スプレー塗布方法により、スケール防止剤を含む塗布液を重合器内壁面及びその他の単量体が接触する部分に塗布する、
・ステップ2:塗布面を乾燥させて乾燥塗膜を形成する、
・ステップ3:形成された塗膜面を洗浄して余分な塗布液を除去する、
のステップ1〜3を有するものである。
【0006】
上記のスプレー塗布方法を用いた場合、バッフル、攪拌翼の重合器内壁面に対面している面は、スプレーノズルから見て死角となっている。このようなスプレーノズルから見て陰になっていたり隠れている部分の表面には塗布液が到達しにくいためスケール防止剤をその他の陰にならない表面と同様に塗布することはできない。したがって、陰になる表面と陰にならない表面とに均一な塗膜を形成することは難しい。また、陰になる表面にスケールの付着を防止するのに、有効量の塗膜を形成しようとすると他の表面よりも多量のスケール防止剤を含む塗布液を使用せざるを得ない。陰にならない表面には必要以上の過剰なスケール防止剤を適用することになる。そのため、こうして形成される塗膜は、塗布ムラがあり、塗膜は部分的に必要以上に厚いものであった。
【0007】
さらに、スプレー塗布方法を用いたスケール防止性塗膜の形成には次のような問題もあった。
▲1▼スケール防止剤の塗膜は、通常重合バッチごとにその前に形成される。スケール防止剤は一般に着色しているので、重合バッチの繰り返し数が多くなると、スケール防止剤が繰り返し塗布される結果、塗膜が厚い部分が生じ得る。このような塗膜の厚い部分が剥離して反応混合物に取り込まれたり、スケール防止剤が重合器の内壁等に既に生じている重合体スケールの上に塗布されてスケールの一部とともに剥離して、得られる重合体製品中に混入し、その成型品中に着色粒子或いはフィッシュアイをもたらす原因となったり、成形品の初期着色を高めるなど製品の品質低下を招く欠点がある。
▲2▼上記のように、スプレーノズルから見て死角になっている重合器内の隠れた部分又は陰になっている表面での重合体スケール付着防止効果は、他の表面に比してかなり多量のスケール防止剤を適用した割には十分とはいえるものではない。
▲3▼スプレー塗布方法は、塗布後、その塗布面を乾燥する乾燥工程を必要とし、スケール防止剤の塗膜形成に要する時間がかかる。そこで、生産性向上の面から、その塗膜形成に要する時間の短縮が望まれている。
【0008】
上記スプレー塗布方法の欠点を解決する方法として、キャリアーとして水蒸気を用いてスケール防止剤の塗布液を塗布する方法(以下、水蒸気塗布という)(特公平01−5044)が提案されている。この場合の塗布液としては、スケール防止剤単独の塗布液や、これに前記スケール防止助剤を添加した塗布液が使用されている。
【0009】
この水蒸気塗布方法は、次のような利点がある。
▲1▼少量の塗布液で、スケールの付着を効果的に防止するのに必要なスケール防止剤を薄い均一な塗膜として形成することができる。
▲2▼少量の塗布液の使用量で、スプレーノズルから見て死角になっている重合器内の隠れた部分、又は陰になっている部分にも、スケール付着防止効果を得る上で必要なスケール防止剤の塗膜を形成することができるので、これらの部分でも重合体スケール付着防止効果を得ることができる。
▲3▼塗膜形成工程での乾燥工程が不要となり、スケール防止剤等の塗膜形成に要する時間が短縮される。
【0010】
ところで、水蒸気塗布方法では塗布液と水蒸気とを混合し、水蒸気により運ばれる形で塗布液を重合器内壁面などに適用される。従って、塗布液中のスケール防止剤の濃度は、水蒸気で稀釈されることを考慮して設定される。通常、塗布液中のスケール防止剤の濃度は、水蒸気塗布用はスプレー塗布用の4〜40倍である。但し、水蒸気塗布で必要なスケール防止剤の量はスプレー塗布の場合とほぼ同じである。
【0011】
水蒸気塗布方法には上記の利点がある反面、次の点において問題がある。
▲1▼水蒸気塗布では重合器内の均一な塗布が可能であるが、重合器内の気液界面付近におけるスケール付着防止効果は不十分である。
▲2▼重合器内の気液界面付近におけるスケール付着防止効果が不十分である為、重合バッチの繰り返し数が多くなると気液界面付近で重合体スケールの堆積が成長し、堆積したスケールが重合中に剥離して重合体製品中に混入し、フィッシュアイ発生の原因となることがある。
▲3▼また、重合バッチの繰り返し数が多くなると、スケール防止剤が繰り返し塗布される結果、スケール防止剤層が次第に厚くなり、この層が部分的に剥離して重合体製品中に混入して着色粒子の原因となり、重合体製品の抗初期着色性が低下する(特に明度指数が低下する)という問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、スケール防止剤等の塗膜形成時間を短縮して生産性を高めると共に、重合体スケール付着防止効果を向上し、これにより得られる重合体製品への着色粒子の混入を低減し、成形品のフィッシュアイ及び抗初期着色性を高め、重合体及びその加工製品の品質を向上できる、エチレン性二重結合を有する単量体の重合による重合体の製造方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
そこで、本発明は上記課題を解決する手段として、
エチレン性二重結合を有する単量体を重合器内において重合することからなる重合体の製造方法であって、
前記重合器はその内壁面及び重合中に前記単量体が接触するその他の表面に重合体スケール付着防止性の塗膜を有するものであり;
該塗膜は、
(A)共役π結合を5個以上有する芳香族化合物及び共役π結合を5個以上有する複素環式化合物からなる群から選ばれた化合物、並びに
(B)無機コロイド、キレート試薬、配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物、及び酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する塗布液を、キャリアーとして水蒸気を用いて塗布して形成されたものである;
ことを特徴とする重合体の製造方法を提供する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。以下において、重合体スケール付着防止剤を「スケール防止剤」と略称する。
[(A)成分]
塗布液に使用される芳香族化合物及び複素環式化合物は、共役π結合を5個以上有する。本明細書において「π結合」とは二重結合及び三重結合を意味し、例えば、C=C、C≡C、N=N、C=N、C=S、C=O等が挙げられ、「共役π結合」とは、一連のπ結合であって、その中のどの一対の隣り合う2つのπ結合も単結合で連結されていて、すべてのπ結合が相互に共役関係にあるものを意味する。また、共役π結合を5個以上有する芳香族化合物及び共役π結合を5個以上有する複素環式化合物を合わせて以下一般的に「共役π結合化合物」と称する。該共役π結合化合物に含まれる5個以上のπ結合は1群の共役関係を形成してもよいし、2群以上の共役関係を形成してもよい。
【0015】
・共役π結合を5個以上有する芳香族化合物:
共役π結合を5個以上有する芳香族化合物としては、ベンゼン誘導体、ナフタリン誘導体、多核芳香族化合物、キノン類、非ベンゼン系芳香族化合物、芳香族化合物の縮合物であって重量平均分子量(本明細書では、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量を意味する)が500以上であるもの等が挙げられる。
【0016】
まず、ベンゼン誘導体としては、フェノール類及びそれらの誘導体、例えば、3,7−ジヒドロキシ10−メチルキサンテン、ヒドロキシアントラキノン;芳香族アミン類及びそれらの誘導体、例えば、キノリン、カルバゾール、o−フェナントロリン、p−フェナントロリン、3,6−ジアミノアクリジン、3、−アミノフェノチアジン、2−アミノフェナジン、フェノチアジン、2−ヒドロキシ4−メチルキノリン、;ニトロ及びニトロソ誘導体、例えば、フェナジン、フェナジンオキシド、1−フェニルアゾ−2−ナフトール、トリフノジオキサジン、4−ニトロキサントン;芳香族アルデヒド、例えば、ベンゾフラビン;アルデヒド基以外に更に1種の置換基を有するベンゼン誘導体、例えば、1−ヒドロキシ2,4−メチルフルオロン、3−フェニルクマロン、クマリン−3−カルボン酸エチルエステル、3−アセチルクマリン、5−クロロ−3−(4−ヒドロキシフェニル)アントラニル、3−ニトロアクリドン;アシル基以外に更に1種の置換基を有するベンゼン誘導体、例えば、キサントン、2−ベンゾイルキサントン、キサンテン、フルオレン;3種類以上異なった置換基を有するベンゼン、トルエン誘導体、例えば、7−アセトキシ−8−メトキシ−3−(2−ニトロフェニル)カルボステリル;アラルキル化合物、例えば、9−ベンジルアクリジン;ジアゾ化合物及びアゾ化合物、例えば、1,1’−アゾナフタリン、アゾキシフェノール等を挙げられる。
【0017】
次にナフタリン誘導体としては、
アルキル、アルケニル及びフェニルナフタリン類、例えば、2−メチルナフタリン、1−エチルナフタリン、2−エチルナフタリン、1,2−ジメチルナフタリン;ジナフチル類、例えば、1,1’−ジナフチル、1,2'−ジナフチル、2,2'−ジナフチル;
ナフチルアリールメタン類、例えば、1−ベンジルナフタリン、2−ベンジルナフタリン、1−(α、α−ジクロールベンジル)ナフタリン、ジフェニル−α−ナフチルメタン、ジフェニル−β−ナフチルメタン、ジ−α−ナフチルメタンβ;
ナフチルアリールエタン類、例えば、1,2−ジ−α−ナフチルエタン、1,2−ジ−β−ナフチルエタン;
ヒドロナフタリン類、例えば、1,2−ジヒドロナフタリン、1,4−ジヒドロナフタリン、1,2,3,4−テトラヒドロナフタリン;
ニトロナフタリンとその誘導体、例えば、ニトロメチルナフタリン、ニトロアルキルナフタリン、ニトロフェニルナフタリン、ハロニトロナフタリン、ハロジニトロナフタリン、ニトロソナフタリン、ジアミノナフタリン、トリアミノナフタリン、テトラアミノナフタリン;
ハロゲン化ナフタリン類、例えば、1−フルオルナフタリン、1−クロールナフタリン、1−クロール3,4−ジヒドロナフタリン;ナフチルヒドロキシルアミン、ナフチルピラジン及びナフチル尿素類、例えば、α−ナフチルヒドロキシルアミン、β−ナフチルチオヒドロキシルアミン、N−ニトロソ−α−ナフチルヒドロキシルアミン、α−ナフチルヒドラジン、1,2−ジベンゾカルバゾール;ナフタリン系アラールキル化合物、例えば、ジベンゾアントラセン、アセナフテン、ジフェニルナフチルクロールメタン、ニトロメチルナフタリン;ナフトアルデヒド類及びその誘導体、例えば、α−ナフトアルデヒド、2−(2,4−ジニトロフェニル)−1−(α−ナフチル)エチレン;
アセトナフテン、ベンゾイルナフタリン類、例えば、1,2;5,6−ジベンズアントラセン、2'−メチル−2,1'−ジナフチルケトン、2−メチル−1,1'−ジナフチルケトン、スチリル−2−ナフチルケトン、などが挙げられる。
【0018】
多核芳香族化合物としては、
アントラセン類及びその誘導体、例えば、アントラセン、1,2−ジヒドロアントラセン、1−クロールアントラセン、1,4−ジクロールアントラセン、1−ニトロアントラセン、9,10−ジニトロアントラセン、1−アミノアントラセン、2−ジメチルアミノアントラセン、2−アニリノアントラセン、9−メチルアミノアントラセン、1,4−ジアミノアントラセン;
フェナントレン類およびその誘導体、例えば、フェナントレン、9,10−ジヒドロフェナントレン、1,2,3,4−テトラヒドロフェナントレン、1−クロールフェナントレン;
フェナントレンキノン類、例えば、フェナントレン−1,2−キノン、フェナントレン−1,4−キノン;
ならびに、多核芳香族化合物及びその誘導体、例えば、ペンタセン、ヘキサセン、ベンゾフェナントレン、ベンゾ〔a〕アントラセン、ピレン、コロネン等が挙げられる。
【0019】
また、キノン類及びその誘導体としては、
ナフトキノン類及びその誘導体、例えば、1,2−ナフトキノン、3−ヒドロキシ2,2'−ビナフチル−1,4;3',4'−ジキノン、5,6−ベンゾキノキサリン、1,2−ベンゾフェナジン、2−ベンゼンアゾ−1−ナフトール、4−(2,4−ジヒドロキシフェニル)−1,2−ジヒドロキシナフタリン、4−(3,4,5−トリヒドロキシフェニル)−1,2−ジヒドロキシナフタリン、1,4−ナフトール;
ならびに、アントラキノン類およびその誘導体、例えば、1,2−アントラキノン、2,3−アントラキノン、1,4−アントラキノン、アリザリン、キニザリン、クリサジン、ヒスタザリン、アントラフラビン、イソアントラフラビン、アントラガロール、パープリン、ヒドロキシアントラールフィン、ヒドロキシクリサジン、ヒドロキシフラボパープリン、キナリザリン、アリザリペンタシアニン等が挙げられる。
【0020】
更に、非ベンゼン系芳香族化合物としては、例えば、アズレン、シクロデカペンタン、シクロテトラデカヘプタン、シクロオクタデカノナエン、シクロテトラコサドデカエン、ヘプタレン、フルバレン、セスキフルバレン、ヘプタフルバレン、ペリナフテン等が挙げられる。
【0021】
芳香族化合物の重量平均分子量が500以上である縮合物としては、重量平均分子量が好ましくは500から70,000、更には好ましくは1,500〜30,000である芳香族化合物の縮合物が適当である。
このような芳香族化合物の縮合物として好ましいものを以下例示する。
【0022】
<アルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成物>
アルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成物はアルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ系化合物との縮合生成物である。このようなアルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成物をスケール防止剤に用いることについては、例えば特開昭57-192413、特公平06-62709、特開昭57-164107、WO98/24820等に記載されている。
【0023】
アルデヒド化合物としては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド等が挙げられるが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドが工業的、経済的に有利である。
【0024】
芳香族ヒドロキシ系化合物としては、例えばジヒドロキシビフェニル系化合物、ナフトール系化合物、フェノール系化合物、タンニン類、2,3−ジヒドロキシナフタレンの2量体化合物等が挙げられる。
【0025】
ジヒドロキシビフェニル系化合物の例としては、2,2′−ジヒドロキシビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジメチルビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−4,4′、5,5′−テトラメチルビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジクロロビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジクロロヘキシルビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジ−tert−ブチルビフェニル等が挙げられ、なかでも工業的には2,2′−ジヒドロキシビフェニルがとくに好適である。
【0026】
ナフトール系化合物の例としては1−ナフトール、2−ナフトール、1,3−ジヒドロキシ−ナフタレン、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよび1,7−ジヒドロキシナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−8−ナフトエ酸等が挙げられる。
【0027】
フェノール系化合物の例としては、フェノール、クレゾール、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキノン、レゾールシン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息香酸、2−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸、サリチル酸等が挙げられる。
【0028】
タンニン類の例としては、タンニン酸、五倍子タンニン、没食子タンニン、スマックタンニン、ケブラチョタンニン、カキ渋タンニン等が挙げられる。
3−ジヒドロキシナフタレンの2量体化合物の例としては、2,3,2′,3′−テトラヒドロキシビナフチル等が挙げられる。
【0029】
上記アルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ系化合物との縮合生成物はこれらの反応成分を適当な媒体中、触媒存在下、通常、室温〜200 ℃で2〜100 時間、好ましくは30〜150 ℃で3〜30時間反応させることにより製造される。又、アルデヒド化合物及び芳香族ヒドロキシ系化合物の各々を1種単独でも2種類以上組合せて使用してもよい。
【0030】
上記の縮合反応を行う媒体としては、例えば、水、又はアルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類が挙げられる。
上記縮合反応を行う媒体のpHは通常1〜13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用することができる。
上記縮合反応に使用される触媒としては例えば硫酸、塩酸、過塩素酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等の酸性触媒;NaOH、KOH 、NH4 OH等の塩基性触媒等が用いられる。
【0031】
縮合反応を行う際のアルデヒド類と芳香族ヒドロキシ系化合物との比は、使用するアルデヒド化合物、芳香族ヒドロキシ系化合物、溶媒、及び触媒の種類、反応時間、反応温度等に影響されるが、通常、芳香族ヒドロキシ系化合物1モルに対してアルデヒド化合物を0.1 〜10モルとすることが好ましい。
【0032】
<ピロガロール/アセトン縮合生成物>
ピロガロール/アセトン縮合生成物は、ピロガロールとアセトンとの縮合生成物であり、通常、ピロガロール/アセトンのモル比が1/0.1 〜1/10の範囲にあり、通常、融点100 〜500 ℃である。融点は分子量が大きいほど高く、例えば、融点160 〜170 ℃は分子量1,450〜1,650に、融点200 〜220 ℃は分子量2,600〜4,000に相当する。このようなピロガロール/アセトン縮合生成物をスケール防止剤に用いることについては、例えば特開平4-328104等に記載されている。
ピロガロール/アセトン縮合生成物は、ピロガロールをアセトンに溶解し、縮合触媒の存在下で縮合させることにより製造される。このとき、ピロガロールは、アセトン100 重量部当り、通常、1〜100 重量部用いられ、縮合触媒としては例えば、オキシ塩化リン等が使用される。反応は、室温〜100 ℃で行えばよい。
【0033】
<多価フェノール自己縮合生成物及び多価ナフトール自己縮合生成物>
多価フェノールは、例えばカテコール、レゾールシノール、クロロレゾールシノール、ヒドロキノン、フロログルシノール、ピロガロール等;ジヒドロキシトルエンおよび−キシレン;トリヒドロキシ−トルエンおよび−キシレン;エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルジ−およびトリ−ヒドロキシベンゼン等であり、多価ナフトールは1,3−、1,4−、1,5−、又は1,7−ジヒドロキシナフタレン等のナフトール誘導体が例示される。このような多価フェノール自己縮合生成物又は多価ナフトール自己縮合生成物をスケール防止剤に使用することについては、例えば特開昭54−7487等に記載されている。
多価フェノールの自己縮合生成物又は多価ナフトールの自己縮合生成物は、多価フェノールもしくは多価ナフトールを窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下200 〜350 ℃の温度範囲において4〜100 時間加熱することにより製造される。この反応には、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、水酸化ナトリウムなどの種々な触媒を使用できる。
【0034】
<キノン系化合物縮合生成物>
キノン系化合物縮合生成物としては、
(A)キノン系化合物自己縮合生成物、または、(B)キノン系化合物と、芳香族ヒドロキシ系化合物及び芳香族アミン系化合物の中から選択される1種の化合物との縮合生成物が挙げられる。このようなキノン系化合物縮合生成物をスケール防止剤に用いることについては、例えば特開平5-112603、同6-56911等に記載されている。
【0035】
キノン系化合物としては、例えば、オルソ−,メタ−もしくはパラ−ベンゾキノン、トル−パラ−キノン、オルソ−キシロ−パラ−キノン、チモキノン、2−メトキベンゾキノン、ゲンチシルキノン、ポリポ−ル酸、ユビキノンn等のベンゾキノン類及びこれらの誘導体;6−メチル−1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,4ナフトキノン、α−ナフトキノン、ユグロン、ロ−ソン、プルンバギン、アルカンニン、エキノクロムA、ビタミンK1 、ビタミンK2 、シコニン、β,β′−ジメチルアクリルシコニン、β−ヒドロキシイソワレルシコニン、テラクリルシコニン等のナフトキノン類及びこれらの誘導体;テクトキノン、3−ヒドロキシ−2−メチルアントラキノン、アントラキノン、2−ヒドロキシアントラキノン、アリザリン、キサントプルプリン、ルビアジン、ムンジスチン、クリソフェン酸、カルミン酸、ケルメシン酸、ラッカイン酸A等のアントラキノン類及びこれらの誘導体;フェナントレンキノン等のフェナントレンキノン類が挙げられる。
【0036】
芳香族アミン化合物としては、具体的には、アニリン、オルソ−,メタ−もしくはパラ−フェニレンジアミン、オルソ,メタもしくはパラ−クロロアリニン、オルソ−,メタ−もしくはパラ−メチルアニリン、N,N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、4−クロロ−オルソフェニレンジアミン、4−メトキシ−オルソ−フェニレンジアミン、2−アミノ−4−クロロフェノール、2,3−ジアミノトルエン、4−アミノ−2−アミノフェノール;o−、m−もしくはp−アミノフェノール、o−、m−もしくはp−アミノ安息香酸、2,3−、2,4−、2,5−、2,6−、3,4−、3,5−もしくは4、6−ジアミノ安息香酸、3−もしくは4−アミノフタル酸、2−、4−もしくは5−アミノイソフタル酸、4,6−ジアミノイソフタル酸、2,5−もしくは2,6−ジアミノテレフタル酸、3−、4−もしくは5−アミノサリチル酸、4−ヒドロキシアントラニル酸、o−、m−もしくはp−アミノベンゼンスルホン酸、2,3−、2,4−,2,5−、2,6−、3,4−もしくは3,5−ジアミノベンゼンスルホン酸、2−アミノ−1−フェノール−4−スルホン酸、6−アミノ−4−クロロ−1−フェノール2−スルホン酸等が例示される。
【0037】
また、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミン、1,5−ジアミノナフタレン、1−アミノ−5−ヒドロキシナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン、4−アミノ−1−ナフトール、1−アミノ−5−ナフトール、1,2−ナフチレンジアミン−7−カルボン酸、1,5−ナフチレンジアミン−2−カルボン酸、1,5−ナフチレンジアミン−4−カルボン酸、1,6−ナフチレンジアミン−4−カルボン酸、1,8−ナフチレンジアミン−4−カルボン酸、1,2−ナフチレンジアミン−3−スルホン酸、1,2−ナフチレンジアミン−4−スルホン酸、1,2−ナフチレンジアミン−5−スルホン酸、1,2−ナフチレンジアミン−6−スルホン酸、1,2−ナフチレンジアミン−7−スルホン酸、1,3−ナフチレンジアミン−5−スルホン酸、1,3−ナフチレンジアミン−6−スルホン酸、1,4−ナフチレンジアミン−2−スルホン酸、1,4−ナフチレンジアミン−7−スルホン酸、1,5−ナフチレンジアミン−2−スルホン酸、1,5−ナフチレンジアミン−4−スルホン酸、1,5−ナフチレンジアミン−7−スルホン酸、1,6−ナフチレンジアミン−2−スルホン酸、1,6−ナフチレンジアミン−4−スルホン酸、1,6−ナフチレンジアミン−7−スルホン酸、1,8−ナフチレンジアミン−4−スルホン酸、1,8−ナフチレンジアミン−3,6−ジスルホン酸、1,8−ナフチレンジアミン−4,5−ジスルホン酸、α−アミノ−β−ナフタレンプロピオン酸、α−アミノ−β−ナフタレンカルボン酸、2−ナフチルアミン−1−スルホン酸、8−ナフチルアミン−1−スルホン酸、5−ナフチルアミン−1−スルホン酸、1−アミノ−2−ナフトール−4−スルホン酸、2−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸(γ酸)、2−アミノ−5−ナフトール7−スルホン酸(J酸)、1−アミノ−8−ナフトール3,6−ジスルホン酸(H酸)、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノジフェニルアミン、4,4′−ジアミノジフェニルアミン、4−ヒドロキシジフェニルアミン、4−アミノ−3′−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルアミン、4−カルボキシジフェニルアミン、4−アミノ−4′−カルボキシジフェニルアミン、4−スルホジフェニルアミン、4−アミノ−4′−スルホジフェニルアミン等のジフェニルアミン類が例示される。
【0038】
また、芳香族ヒドロキシ系化合物としては、フェノール、ヒドロキノン、レゾールシノール、カテコール、ヒドロキシヒドロキノン、ピロガロール、オルソ−,メタ−もしくはパラ−クロロフェノール、オルソ−,メタ−もしくはパラ−ヒドロキシ安息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ安息香酸、(2,5−、2,6−,3,5−)ジヒドロキシトルエン等のフェノール誘導体が例示される。
【0039】
また、α−ナフトール、β−ナフトール、(1,3−、1,4−、1,5−、2,3−、2,6−、2,7−)ジヒドロキシナフタリン、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフトール誘導体が例示される。
【0040】
前記したキノン系化合物単独の自己縮合反応、又はキノン系化合物と、芳香族ヒドロキシ系化合物及び/又は芳香族アミン系化合物との縮合反応は、有機溶媒系媒体中、必要に応じて縮合触媒の存在下で行われる。上記有機溶媒系媒体のpHは1〜13、好ましくは、pH4〜10である。pH調整剤は特に制約されることなく使用することができ、酸性化合物としては、例えば、リン酸、硫酸、フィチン酸、酢酸等が使用され、アルカリ性化合物としては、例えば、LiOH、KOH 、NaOH、Na2 CO3 、Na2 SiO 3 、Na2HPO 4 、NH4 OH等のアルカリ金属化合物或いはアンモニウム化合物;エチレンジアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン化合物等が使用される。
【0041】
縮合反応の媒体としては、有機溶媒、例えばアルコール類、ケトン類、エステル類等;水と混和性を有する親水性有機溶媒と水との混合溶媒が好ましい。親水性有機溶媒と混和性を有する媒体としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類が使用できる。
【0042】
また、必要に応じて縮合触媒が使用されるが、縮合触媒としては、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル等のアゾ触媒;ヨウ素、臭素、塩素等の元素ないし分子状の単体ハロゲン;過酸化水素、過酸化ナトリウム、ベンゾイルパーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過酢酸、キュメンハイドロパーオキサイド、過安息香酸、p−メンタンハイドロパーオキサイド等の過酸化物;ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等の酸素酸あるいは酸素酸塩が例示される。なお、キノン化合物が縮合触媒として作用するので、特に縮合触媒を使用しなくても縮合反応は行われる。
縮合反応は、室温〜200℃で0.5〜100時間行われる。
【0043】
また、(a)成分と(b)成分との縮合反応は、芳香族アミン系化合物、キノン系化合物、芳香族ヒドロキシ系化合物の種類、及び反応温度、反応時間に影響される。(a)成分1モル当り、(b)成分0.01〜10.0モルが好ましい。
【0044】
<芳香族ヒドロキシ系化合物のスルフィド化合物>
芳香族ヒドロキシ系化合物のスルフィド化合物とは、芳香族ヒドロキシ系化合物と一塩化イオウまたは二塩化イオウのごとき塩化イオウとの縮合生成物である。このような芳香族ヒドロキシ系化合物のスルフィド化合物をスケール防止剤に用いることについては、例えば、特開平4−311702、特開平4−339801、特開平5−155905、特開平6−9711等に記載されている。
芳香族ヒドロキシ系化合物としては、前記記載のナフトール系化合物、フェノール系化合物等の芳香族ヒドロキシ系化合物が挙げられる。
【0045】
該スルフィド化合物を得るには、種々の方法がある。例えば、前述のフェノール類と、一塩化イオウまたは、二塩化イオウのごとき塩化イオウとを、縮合反応させる方法である。この反応は、多価フェノール類を溶解させ、塩化イオウに不活性な有機溶媒中で行わしめる。該有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン、クロールベンゼン等の芳香族炭化水素:二塩化エチレン、クロロホルム、酢酸エチル等である。 該フェノール類と、塩化イオウの比率は、前者1モルに対して、後者0.5〜2モル程度、好ましくは0.9〜1.2モル程度である。反応温度は、50℃〜150℃程度である。副生する塩化水素は、揮散させればよいが、密閉系ではトリエチレンアミンのごとき脱塩酸剤を用いてもよい。反応終了後は、反応生成物が、溶媒に溶存している場合は、溶媒を蒸発して除き反応生成物を取り出す。反応生成物が析出している場合には、ろ過のごとき固−液分離操作で反応生成物を取り出す。
【0046】
該スルフィド化合物を得るその他の方法として、多価フェノール類と少量の苛性アルカリとを加熱溶融し、これに硫黄粉末を徐々に加えて更に150℃〜200℃程度まで昇温し、発生する硫化水素を系外に放出させながら反応させ、冷却後、後述の溶剤に溶解して、不溶物をろ別し、それを希酸で中和し、水相を除去して、溶液の形態で得る方法がある。
【0047】
・共役π結合を5個以上有する複素環式化合物:
また、共役π結合を5個以上有する複素環式化合物としては、例えば、含酸素複素環式化合物、含窒素複素環式化合物、含イオウ複素環式化合物、窒素原子を二環が共有する二環式化合物、アルカロイド等が挙げられる。
【0048】
次に、共役π結合を5個以上有する複素環式化合物の具体例としては、次の化合物が挙げられる。
まず、含酸素複素環式化合物としては、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ジベンゾフランおよびその誘導体、例えば、フラノ[ 2’,3’−7,8]フラボン、9−フェニルアンスラセン、o−ヒドロキシメチルトリフェニルカルビノール、3,3’−ジフェニルフタリド、ルブレン、α−ソリニン、フェナゾン;
ピラン誘導体およびピロン誘導体、例えば、2−p−ヒドロキシヒドロキシフェニル−4,6−ジフェニルピリリウムフェリクロリド、アンヒドロベース、ベンゾピラン、6−フェニルクマリン;
クロメノール誘導体およびクロメン誘導体、例えば、6−メチル−2,3−ジフェニルクロモン、6−メチル−2,3−ジフェニル−4−(p−トリル)−1,4−ベンゾピラン−4−オール、クロマノール、γ−クロメン、ヒドロキシクマロン、クロメン、シアニジンクロリド、フィセチン、クリシニジン、アピゲニジン、ロトフラビニジン;
フラボン、フラボノールおよびイソフラボン誘導体、例えば、フラボノール、フラボン、フクゲチン;
【0049】
クマリン、その誘導体、イソクマリンおよびその誘導体、例えば、7−ヒドロキシ3,4−ベンゾクマリン、ジクマロール、アンゲリシン、ブソラレン、ベルガプテン、ベルカプトール、キサントトキシン、キサントトキサール、イソピンピネリン、ピンピネリン、オロセロール、オロセロン、ペウセダニン、ヒドロキシペウセダニン、オストールトール、メダケニン、ノダケネチン、セセリン、キサンチレチン、キサントキシレチン;ならびに、
キサントンおよび関連化合物、例えば、ジキサンチレン、9−フェニルキサンテン、イソキサントン、1,2,7,8−ジベンゾキサンテン、3,9−ジフェニルキサンテン、9,9−ジフェニルキサンテン
等が挙げられる。
【0050】
次に、含窒素複素環式化合物としては、
インドール類、例えば、インドロ[3,2−c ]キノリン、インドロ[1,2−c]キナゾリン、2−(1−ナフチル)−3−トリフェニルメチルインドール、2−(2−ナフチル)−3−トリフェニルメチルインドール、3,3’−ジインドリル、3,2’−ジインドリル、;
インドールのオキソ誘導体、例えば、3−(4−エトキシ−1−ナフチル)ヒドロキシンドール、インドフェニン;
カルバゾール類、例えば、1−フェニル−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2,2’−ジアミノジフェニル、1,1’ジカルバゾール;
ポリフィリン類、例えば、ポリフィラジン、マグネシウムオクタメチルテトラアザポルフィリン、アザジピロメチン、ジアザコプロポルフィリン、ポルフィン、メソテトラフェニルポルフィリン;
オキサゾール類、例えば、フェナントロオキサゾール;
チアゾール類、例えば、α−ナフトチアゾール、β−ナフトチアゾール、ナフト[1,2]チアゾール、2−メチル[1,2]チアゾール、2−フェニルナフト[1,2]チアゾール、2−メチルナフト[2,1]チアゾール、2−ヒドロキシナフト[2,1]チオゾール、2−アミノナフト[1,2]チアゾール、2−メルカプトナフト[1,2]チアゾール;
オキサジアゾール類、例えば、ナルト[1,2]フラザン;
キノリンおよび関連化合物、例えば、キノリン、キナルジン、キナルジン−N−オキシド、エチルキナリン、2−フェニルキナリン、3−メチルキナリン、4−フェニルキノリン、6−メチルキノリン、2,4−ジメチルキノリン;
イソキノリンおよび関連化合物、例えば、1−メチルイソキノリン、1−フェニルイソキノリン、4−フェニルイソキノリン、1,1’−ビイソキノリン、5,5’−ビイソキノリン;
アクリジンおよび関連化合物、例えば、アクリジン、1−メチルアクリジン、9−フェニルアクリジン、9−(3−ピリジニル)アクリジン、2−アクリジノール、アクリジン−3,6−ジオール、4−メトキシアクリジン、9−フェノキシアクリジン、1−ニトロアクリジン、4−アミノアクリジン、1−アミノアクリジン、9−フェニルアミノアクリジン、9−アクリジン、3,6−ジアミノ−4,5−ジメチルアクリジン、;
フェナントリジン類、例えば、3,4−ベンゾキノリン、6−メチルフェナントリジン、6−アミノメチルフェナントリジン、6−フェニルフェナントリジン;
アントラゾリン類、例えば、ピリド[2,3−g]キノリン、2,7−ジフェニル[2,3−g]キノリン、2,8−ジフェニルピリド[3,2−g]キノリン;
フェナントロリンおよび関連化合物、例えば、1,7−フェナントロリン、1,10−フェナントロリン、;
ピリドインドール類、例えば、1,9−ピリドインドール、2,9−ピリドインドール、4,9−ピリドインドール;
ナフチリジンおよび関連化合物、例えば、1,5−ナフチリジン、1,7ナフチリジン、1,8−ナフチリジン、3−アミノ−1,5−ナフチリジン、2−アミノ−1,5−ナフチリジン、2−ヒドロキシ7−ナフチリジン;
オキサジンおよび関連化合物、例えば、フェノキサジノン、レサズリン、;
チアジンおよび関連化合物、例えば、フェノチアジン、ニトロフェノチアジン、4−アミノ−4’−アニリノジフェニルジスルフィド、2−クロール10−(3−ジメチルアミノプロピル)フェノチアジン、10−(1−メチル−3−ピペリジルメチル)フェノチアジン、2−アセチル−10−(3−ジメチルアミノプロピル)フェノチアジン;
ピリダジンおよび関連化合物、例えば、シンノリン、3−メチルシンノリン、4−クロールシンノリン、3−ブロムシンノリン、4−シンノリノール、4−アミノシンノリン、フタラジン、4−エチル−2−フェニルフタラジノン、フタラジンチオ−ル、;
ピリミジンおよび関連化合物、例えば、スルファジアジン、スルフイソミジン、プテリジン、2,4−プテリンジオール、2−アミノ−6−メチル−4−プテリジノール、キサントプテリン、キナゾリン、2,4−ジクロールキナゾリン、2,3−ジフェニル−4−キナゾリン;
ピラジン関連化合物、例えば、キノキサリン、2−メチルキノキサリン、
トリ−およびテトラ−ヘテロ六員環式化合物、例えば、1,2,4−ベンゾトリアジン、1,2,4−ベンゾトリアジン−3−オール、;
等が挙げられる。
【0051】
さらに、含イオウ複素環式化合物としては、
縮合チオフェン系化合物、例えば、ジヒドロナフト[2,1−b]チアナフテン、1,3−ジフェニルイソチアナフテン、ジベンゾチオフェン、
2個のヘテロ原子を含む五員単環化合物、例えぱ、3,4−ジヒドロナフト−2,1−トリチオン、チアフラボン、チアクマリン、チアキサンテン、チアキサントヒドロール、チアキサントン、ミラシルD、ビスチアキサンチレン;
2個以上のヘテロ原子を有する六員環式化合物、例えば、チアントレン、2,7−ジメチルチアントレン、1−チアントレニルリチウム、1−クロールチアントレン、フェノキサチイン、等が挙げられる。
【0052】
またさらに、その他の化合物として、窒素原子を共有する二環状化合物、例えば、2:3−ベンゾピロコリン、1,5,8−トリメチル−2:3,−ベンゾピロコリン、1−エチル−5,8−ジメチル−2:3−ベンゾピロコリン、;
アルカロイド類、例えば、カシミロイン、2−ペンチルキノリン、4−ヒドロキシ2−ペンチルキノリン、4−メトキシ−2−ペンチルキノリン、
等が挙げられる。
【0053】
共役π結合化合物の中、芳香族化合物の縮合物であって重量平均分子量が500以上であるものを用いることが好ましい。
芳香族化合物の縮合物の中でも、特にアルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成物、及びキノン化合物縮合生成物が好ましい。
【0054】
[(B)成分]
次に塗布液に使用される(B)成分を説明する。(B)成分は、無機コロイド、キレート試薬、配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物、及び酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。以下、各化合物を順次説明する。
【0055】
<無機コロイド>
無機コロイドとしては、例えば、アルミニウム、トリウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等から選択される金属の酸化物及び水酸化物のコロイド;タングステン酸、五酸化バナジウム、セレン、イオウ、シリカ、金及び銀のコロイド;ヨウ化銀ゾール等が挙げられる。これらの中で好ましいものは、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ及び鉄から選択される金属の酸化物及び水酸化物のコロイド、並びにコロイドシリカである。無機コロイドはどのような製造方法で得られたものでもよく、製造方法は特に限定されない。例えば、水を分散媒とする分散法や、凝集法により製造される粒子コロイドでよい。コロイド粒子の大きさは1〜500nmが好ましい。
【0056】
<キレート試薬>
キレート試薬としては、(a)酸性配位基を有さない化合物、
例えば、−NH2基(第1級アミン、アミド、ヒドラジン)、=NH基(第2級アミン、ヒドラジン)、≡N基(第3級アミン)、−N=N−基(アゾ化合物、複素環化合物)、−NO2基(ニトロ化合物)、−N=O基(ニトロソ化合物)、=C=N基(シツフ塩基、複素環化合物)、=C=NH基(アルデヒド、ケトンイミン、エナミン類)−S−基(チオエーテル)、=C=S基(チオケトン、チオアミド)、≡S基(複素環化合物)、−SCN基(チオシアナート、イソチオシアナート)、=C=O基(アルデヒド、ケトン、キノン)、−O−基(エーテル)、−COOR基(エステル)、−N=O基(ニトロソ化合物)、−NO2基(ニトロ化合物)、≡N→O基(N−オキシド)のごとき配位基を有するカチオン性のキレート試薬;並びに(b)酸性配位基を有する化合物、例えば、−OH基(アルコール)、−COOH基(カルボン酸)、−SO2H基(スルホン酸)、=N−OH基(オキシム)、−SH基(チオール)、式:
【0057】
【化1】
(チオカルボン酸)で表される配位基を有するアニオン性のキレート試薬が好適であり、具体的例示を挙げれば次の通りである。
【0058】
ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、トリアミノトリエチルアミン、テトラキス(β−アミノエステル)エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、N,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、1,2−ジアミノプロパン、ピピリジン、ターピリジン、O−フェナントロリン、チオ尿素、グリオキザルビス(メチルイミン)、アセチルアセトン、テノイルトリフルオロアセトン、プリン、ピペリジン、ヒスタミン、イミダゾール、2,2’−ジキノリル、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、O−フェニレンジアミン、3,3'−ジアミノベンジジン、ジフェニルカルパジド、ジフェニルカルバゾン、ベンゾイルメタン、ジチゾン、ジフェニルチオカルボジアゾン、イソニコチン酸ヒドラジド、N−ジヒドロキシエチルグリシン、イミノジアセテイックアシッド、ニトリロトリアセテイックアシッド、N−ヒドロキシエチルイミノジアセテイックアシッド、エチレンジアミンテトラアセテイックアシッド、N,N’−エチレンジアミンジアセテイックアシッド、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミントリアセテイックアシッド、ジエチレントリアミンペンタアセテイックアシッド、1,2−シクロヘキサンジアミンテトラアセテイックアシッド、トリメチレンジアミンテトラアセテイックアシッド、エチレンビス(β−アミノエチルエーテル)−N,N,N’,N’−テトラアセテイックアシッド、エチレンジアミンテトラプロピオニックアシッド、エチレンジアミンジプロピオニックジアセテイックアシッド、β−アミノエチルホスホニック−N、N−ジアセテイックアシッド、アミノメチルホスホニック−N,N’−ジアセテイックアシッド、2,3−ジメチルカプトプロパノール、ソジウムジエチルジチオカルパメート、8−ヒドロキシキノリン、ジメチルグリオキシム、グリシン、アスパルテイックアシッド、N,N’−ジヒドロキシエチルエチレンジアミン、トリエタノールアミン、α−フリルジオキシム、1,2−ジメルカプトプロパノール、α−ベンゾインオキシム、チオオキシン、2−メルカプトベンゾチアゾール、など。
【0059】
<配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物>
配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物としては、Cu(I)、Ag(I)、HG(I)、HG(II)のごとき配位数2の金属イオン、Be(II)、B(III)、Zn(II)、Cd(II)、Hg(II)、Al(III)、Co(II)、Ni(II)、Cu(II)、Ag(II)、Au(III)、Pd(II)、Pt(II)のごとき配位数4の金属イオン、Ca(II)、Sr(II)、Ba(II)、Ti(IV)、V(III)、V(IV)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Ni(II)、Pd(IV)、Cd(II)、Al(III)、Sc(III)、Y(III)、Si(IV)、Sn(II)、Sn(IV)、Pb(II)、Pb(IV)、Ru(III)、Rh(III)、Os(III)、Ir(III)、ランタニドのごとき配位数6の金属イオン、Zr(IV)、Hf(IV)、Mo(IV)、W(IV)、U(IV)、アクチニドのごとき配位数8の金属イオンを生成する金属化合物、たとえばそれら金属元素のハロゲン化物、硝酸塩、硫酸炎、水酸化物、酸化物さらには有機酸塩(シュウ酸塩、酢酸塩など)が例示される。
【0060】
<酸>
酸としては、リン酸、ピロリン酸、ポリリン酸などの無機酸;テレフタル酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1−ドデカンジスルホン酸、安息香酸、ラウリン酸、スルファニル酸、p−スチレンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ウロカニン酸、L−アスコールビン酸、D−イソアスコールビン酸、クロロゲン酸、カフェイン酸、p−トルエンスルホン酸、ソルビン酸、β−ナフトキノン−4−スルホン酸、フィチン酸、タンニン酸などの有機酸が挙げられる。
上記(B)成分は、2種類以上併用すると、さらに好ましく、例えば、キレート試薬と、配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物の併用、及び、キレート試薬と酸との併用が好ましい。
【0061】
[塗布液]
塗布液は、上記(A)成分と(B)成分とを適当な溶媒に溶解もしくは分散して調製される。この溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、2−メチル−2−プロパノール、3−メチル−1−ブタノール、2−メチル−2−ブタノール2−ペンタノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;ギ酸メチル、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のエステル系溶剤;4−メチルジオキソラン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;フラン類;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系溶剤等が挙げられる。これらは適宜単独で又は二種以上の混合溶媒として使用される。上記溶媒の中で好ましいものは、水、及び水と混和性を有する親水性有機溶媒と水との混合溶媒である。上記した有機溶媒の中で親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル系溶剤;N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の非プロトン系溶剤が挙げられる。さらには、上記溶媒の中でアルコール系溶剤及び非プロトン系溶剤を用いるのが好ましい。親水性有機溶媒と水との混合溶媒を使用する場合の親水性有機溶媒の含有量は、引火、揮発等の危険がなく、毒性等の取扱上の安全の問題がない量とするのが好ましく、具体的には、親水性有機溶媒が50重量%以下であることが好ましく、更に、30重量%以下であることが好ましい。
【0062】
塗布液のpHは、使用される化合物の種類により、適宜選択される。pH調整が必要とされる場合は、pH調整剤として酸及びアルカリ化合物が適宜使用される。酸としては、塩酸、硫酸、硝酸等が例示される。アルカリ化合物としては、LiOH,NaOH,KOH,Na2CO3,Na2HPO4,NH4OH等のアルカリ金属化合物が例示される。
【0063】
塗布液中の(A)成分の濃度は0.5〜20.0wt%の範囲が好ましく、さらに好ましくは1.0〜10.0wt%である。この濃度が低すぎると有効量の塗膜を形成するのに多量の水蒸気が必要となる等の不都合が生じる。濃度が高すぎると、塗布液が不安定となり、貯蔵タンク中で貯蔵中に沈殿を生じたり、また、内壁面などに塗布して得られる塗膜は塗布ムラのあるものとなり、スケール付着防止効果の低下原因となる。
【0064】
(B)成分の(A)成分に対する比率は、(A)成分100重量部当たり、1〜500重量部が好ましく、さらに好ましくは10〜300重量部である。
尚、(A)成分と(B)成分の合計濃度は1.0〜25.0wt%の範囲が好ましく、より好ましくは1.5〜15.0wt%である。
塗布液には、(A)成分及び(B)成分の他に、塗布液の貯蔵安定性及び壁面に対する接着性、均一な塗膜形成性を損なったり本発明の効果を損なわない程度に水溶性高分子化合物、界面活性剤、架橋剤などを添加してもよい。
【0065】
[水蒸気キャリアー]
本発明の方法によると、前記塗布液をキャリアーとして水蒸気を使用して、同時に、重合器内壁面に適用することにより形成される。使用される水蒸気は、通常の水蒸気であっても或いは過熱水蒸気であってもよく、2〜35 kgf/cm2・G(0.294〜3.53 Mpa)の圧力を有するものが好ましく、2.8〜20 kgf/cm2・G(0.373〜2.06 Mpa)の圧力を有するものが更に好ましい。水蒸気の温度は好ましくは120〜260℃であり、130〜200℃が更に好ましい。
【0066】
[塗膜の形成]
本発明方法による塗膜の形成を図1に即して説明する。図1は塗布装置を付設した重合装置の構成の概略を示す。
工程1.(水蒸気による重合器内壁面等の予熱)
重合器1に取り付けられたジャケット2に熱水などを通して重合器内壁面の温度を50℃以上(好ましくは50〜95℃)に予め加熱する。この重合器の上部には環状のパイプからなり下方向きのノズル3aと上方向きのノズル3bを有する塗布リング4が設けられている。該塗布リング4には重合器1の外部から水蒸気及び塗布液を供給するライン5が接続している。ライン5には水蒸気供給ライン6、塗布液供給ライン7がバルブを介して接続している。必要に応じて、この塗布リング4の塗布ノズル3a、3bから、水蒸気(水蒸気又は過熱水蒸気)を器内に吹き込み、バッフル(図示せず)及び攪拌翼(図示せず)等も予め加熱する。この装置では水蒸気は水蒸気供給器8から流量計9を経てライン6と5を通って塗布リング4に供給される。
【0067】
工程2.(塗布液塗布)
水蒸気を塗布リング4に供給し、塗布液タンク10内に収納された塗布液をポンプ11又はアスピレーターバルブ(図示せず)によりライン7と5を介して塗布リング4に供給する。Pは圧力計である。塗布液は水蒸気に運ばれてミスト状態で重合器内壁面、バッフル表面、撹拌翼表面等の重合中に単量体が接触する表面に適用され、塗布される。この塗布と同時にこれら表面上で塗布された塗布液は乾燥(同時乾燥)され、塗膜が形成される。したがって、乾燥のための特別の操作は必要ない。
水蒸気(G)と塗布液(L)との混合割合(L/G)は、重量基準の流量比で0.005〜0.8が好ましく、0.01〜0.2が更に好ましい。
【0068】
工程3.(水洗)
水蒸気及び塗布液の供給を止めた後、水タンク12に収容された洗浄水で重合器1内の水洗を行う。洗浄水はポンプ13によりライン14を介してノズル15から重合器内に供給される。但し、品質への影響が少なければ水洗は行う必要はない。
このようにして形成される塗膜の乾燥塗布量は、0.0005〜3g/m2が好ましく、より好ましくは0.0005〜1g/m2である。
【0069】
重合
本発明方法は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合に適用される。この単量体の例としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらのエステル又は塩;マレイン酸、フマル酸、及びこれらのエステル又は無水物;ブタジエン、クロロプレン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレン;アクリロニトリル;ハロゲン化ビニリデン;ビニルエーテル等が挙げられる。
【0070】
本発明方法が特に好適に実施される例としては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル若しくはハロゲン化ビニリデン、又は、それらを主体とする単量体混合物の水性媒体中における懸濁重合若しくは乳化重合によるそれら重合体の製造がある。また本発明方法で形成される塗膜は、α−メチルスチレン、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の従来の塗膜に対して高い溶解能を有する単量体に対しても、高い耐久性を示すので、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリアクリロニトリル等の重合体ビ−ズ、ラテックスの製造、SBR,NBR,CR,IR,IIR等の合成ゴムの製造(これら合成ゴムは通常乳化重合によって製造される。)、ABS樹脂の製造にも好適に実施することができる。
【0071】
これら単量体の1種又は2種以上の重合に際し、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等の重合形式にかかわらず、また、乳化剤、安定剤、滑剤、可塑剤、pH調整剤、連鎖移動剤等のいずれの添加剤の存在下であっても、スケール防止の目的が有効に達成される。例えば、ビニル系単量体の懸濁重合や、乳化重合では、重合系に必要に応じて種々の添加剤が加えられる。添加剤としては例えば、部分けん化ポリビニルアルコール、メチルセルロース等の懸濁剤;ラウリル硫酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;ソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチルすずジラウレート、ジオクチルすずメルカプチド等の安定剤;トリクロロエチレン、メルカプタン類等の連鎖移動剤;pH調整剤等が挙げられる。本発明の方法によれば、このような添加剤が重合系に存在しても効果的にスケールの付着が防止される。
【0072】
また、本発明の顕著な重合体スケール付着防止効果は重合触媒の種類に影響されることなく、いずれの触媒を使用した場合でも発揮される。触媒としては、具体的には、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキシネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロールベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α,α’−アゾビスイソブチロニトリル、α,α’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、ジ−2−エチルヘキシルジパーオキシイソフタレート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が例示される。
【0073】
重合の他の条件は、従来通常行われるとおりでよく、本発明の効果が損われない限り特に制約されない。以下、懸濁重合、溶液重合及び塊状重合の場合を例に挙げて、典型的な重合条件を具体的に説明するが、何らこれに限定するものではない。懸濁重合の場合には、まず、水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を仕込む。次に、重合器内を排気して0.1〜760mmHg(0.01〜101 kPa)に減圧した後、単量体を仕込み〔この時、重合器の内圧は、通常0.5〜30kgf/cm2・G(150〜3,040 kPa)になる〕、その後、30〜150℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、水、分散剤及び重合開始剤の1種又は2種以上を添加する。また、重合時の反応温度は、重合される単量体の種類によって異なり、例えば塩化ビニルの重合の場合には30〜80℃で行い、スチレンの重合の場合には50〜150℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kgf/cm2・G(100〜790 kPa)に低下した時に、或いは重合器外周に装備されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温度と出口温度との差がほぼなくなった時(即ち重合反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断される。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び開始剤は、通常単量体100重量部に対して、水20〜500重量部、分散剤及び開始剤は、通常単量体100重量部に対して、水20〜500重量部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重量部である。
【0074】
溶液重合の場合には、重合媒体として水の代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。その他の重合条件は、一般に懸濁重合についての重合条件と同様である。
塊状重合の場合には、重合器内を約0.01〜760mmHg(0.001〜101 kPa)の圧力に排気した後、その重合器内に単量体及び重合開始剤を仕込み、−10〜250℃の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニルの重合の場合には、30〜80℃で行い、スチレンの重合の場合には50〜150℃で重合を行う。
【0075】
【実施例】
以下実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、「部」は「重量部」を意味し、また表中の「助剤」は「重合体スケール付着防止助剤」を意味する。
【0076】
[縮合生成物の製造]
以下の製造例において、得られた縮合生成物の重量平均分子量は次のようにして測定した。
・重量平均分子量の測定
ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)により、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定した。
【0077】
製造例1
縮合生成物 No.1 の製造
特公平6−62709 の製造例3を参照してスケール防止剤を製造した。
耐圧反応器に2,2′−ジヒドロキシビフェニル30モル(5.59kg) 、純度95%のパラホルムアルデヒド30モル(0.948kg) 、パラトルエンスルホン酸0.19kg及びエチレングリコールジメチルエーテル10Lを仕込み、撹拌しながら130 ℃に昇温した。130 ℃で17時間反応させた後、50℃に冷却し、反応混合物を水50L中に投入した。水に投入することにより析出した樹脂を濾別、水洗後乾燥して、5.1kg の2,2′−ジヒドロキシビフェニル−ホルムアルデヒド縮合樹脂(縮合生成物No. 1)を得た。縮合生成物No. 1の重量平均分子量は5,400であった。
【0078】
製造例2
縮合生成物 No. 2の製造
特開昭57−164107 の製造例1を参照してスケール防止剤を製造した。
耐圧反応器に1−ナフトール250 モル(36.0kg)と1規定NaOH水溶液(NaOH 180モル、7.2kg 含有) 180 Lを仕込み、撹拌しながら、70℃に昇温した。次に、反応混合物にホルムアルデヒド(38w/v %水溶液19.75 L、250 モル)を1.5 時間に亘って滴下した。この間反応器の内温が80℃を越えないようにした。次に撹拌を続けながら反応混合物を3時間かけて60℃に冷却した。次に、反応混合物を98℃に昇温し、98℃で1.5 時間反応させた。その後反応混合物を冷却し縮合生成物(縮合生成物 No.2)のアルカリ性溶液を得た。縮合生成物 No.2の重量平均分子量は2,400 であった。
【0079】
製造例3
縮合生成物 No. 3の製造
特開昭57−192413 の塗布化合物の合成2を参照してスケール防止剤を製造した。
耐圧反応器にピロガロール100 モル(12.6kg)及び水100 Lを仕込み、ピロガロールを水に溶解させた。次に、得られた溶液にベンズアルデヒド 200モル(21.2kg)及びリン酸 300モル(29.4kg)を加え、それらの混合物を95 ℃で10時間反応させたところ、水に不溶な赤褐色の生成物が得られた。この水不溶性生成物をエ−テルで洗浄後、該水不溶性生成物中からメタノールでメタノール可溶性成分を抽出し、次に抽出液からメタノールを乾燥により除去して残渣として縮合生成物No.3(ピロガロールベンズアルデヒド縮合物)を得た。この縮合生成物No.3の重量平均分子量は4,500であった。
【0080】
製造例4
縮合生成物 No. 4の製造
特開昭54−7487 の実施例1を参照してスケール防止剤を製造した。
反応器にレゾールシノール200 モル(22.0kg)を仕込み、窒素雰囲気下で加熱した。レゾールシノールを300 ℃に昇温し、300 ℃で8時間反応させた後、冷却した。得られた固体状の自己縮合レゾールシノール(縮合生成物No.4)を粉砕した。縮合生成物 No.4の重量平均分子量は1,700であった。
【0081】
製造例5
縮合生成物 No. 5の製造
(1)(2,3−ジヒドロキシナフタレンの2量体化合物の合成)
還流コンデンサー付きの3Lのフラスコに、メタノール1,350mLを仕込み、次いで2,3−ジヒドロキシナフタレン144g(0.9mol)を溶解させた。溶解後、℃に昇温して還流しながら、塩化第2鉄6水和物243g(0.9mol)をメタノール450mLに溶解させたものを、30分間かけて滴下した。滴下終了後、還流状態のまま、5時間反応を続けた。次いで、反応液を希塩酸4.5L中に移し、12時間撹拌し、2,3−ジヒドロキシナフタレンの2量体化合物を生成した。得られた反応液をろ過して溶媒を除去した後、残留物を2Lの純水で2時間水洗し、次いで、再びろ過して塩化第2鉄6水和物を除去した。
得られた2,3−ジヒドロキシナフタレンの2量体化合物を40℃の乾燥機内で乾燥した。
(2)還流コンデンサー付の3Lフラスコに純水1Lを仕込み、次いで水酸化ナトリウム5g、及び上記の(1)で得られた2,3−ジヒドロキシナフタレン2量体化合物50gを仕込んだ。次いで、70℃に昇温した後、37%ホルムアルデヒド水溶液12.75gを蒸留水237.3gに溶解させたものを、30分間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で5時間反応させ、その後、95℃に昇温し、更に2時間反応を続け、縮合生成物 No.5を得た。なお、この反応は、すべてN2雰囲気中で行った。
反応終了後、得られた縮合生成物 No.5を25℃に冷却し、N2雰囲気中で保存した。重量平均分子量は、22,000であった。
【0082】
製造例6
縮合生成物 No. 6の製造
還流冷却器を備えた内容積2Lの反応器に、メタノール450g及び水450gの混合溶媒を仕込み、続いてキノン化合物としてα−ナフトキノン100gと、水酸化ナトリウム10gを添加した。次に、前記反応器内を50℃に昇温して、該反応器内の混合物を50℃で24時間反応させた後、室温まで冷却した。このようにして縮合生成物 No.6の溶液を得た。縮合生成物 No.6の重量平均分子量は、3,000であった。
【0083】
製造例7
縮合生成物 No. 7の製造
還流冷却器を備えた内容積20Lの反応器に、1−ナフトール1.5kgとトルエン7.5Lを入れ、得られた混合物を攪拌しながらトルエンが還流するまで昇温し加熱した。この温度で還流下、一塩化硫黄930mlを6時間かけて滴下した後、1時間そのままの温度で保持した。反応混合物を冷却後、ヘキサン5Lを撹拌下で添加し、反応生成物を沈殿させた。その後、濾過し、そして乾燥して、縮合生成物No.7を得た。縮合生成物No.7の重量平均分子量は、1,200であった。
【0084】
製造例8
縮合生成物 No. 8の製造
還流冷却器を備えた内容積20Lの反応器に、水6.7L、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸1,786g(9.5モル)、レゾールシノール55g(0.5モル)及び NaOH 620g(15.5モル)を投入した後、撹拌しながら50℃に昇温した。50℃に達したら、反応混合物にホルムアルデヒドの30w/v%水溶液1.0L(ホルムアルデヒド10モル)を1時間にわたって滴下した。この間反応器の内温が55℃を超えないようにした。次にこうして得られた反応混合物を85℃に昇温し、85℃で3時間反応させた。その後得られた反応混合物を冷却し、縮合生成物(縮合生成物 No.8)のアルカリ性溶液を得た。縮合生成物 No.8の重量平均分子量は、2,200であった。
【0085】
<塗布液の調製>
塗布液 No.101 〜 129 の調製
表1及び2に示した条件〔共役π結合化合物(A)、助剤(B)、pH調整剤、(A)/(B)▲1▼/(B)▲2▼/(B)▲3▼/(B)▲4▼の重量比、(A)+(B)の合計濃度、溶媒組成、及び塗布液のpH〕になるように、表1及び2に示した共役π結合化合物、無機コロイド、キレート試薬、配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物、酸、pH調整剤及び溶媒を用いて、塗布液を調製した。
但し、塗布液 No.102はスプレー塗布用に低濃度に調製されたスケール防止剤であり、No.103、No.104、No.105、No.106、No.107、No.108、No.109、No.110は(B)成分を加えていない従来の水蒸気塗布用スケール防止剤である。
【0086】
塗布液 No.130 〜 134 の調製
共役π結合化合物として下記の化合物I〜V:
I :3,6−ジアミノアクリジン
II :フェナントレン−1,4−キノン
III :キニザリン
IV :1,8−ジアミノナフタリン
V :フラボノール
を使用し、表2に示す条件〔共役π結合化合物(A)、助剤(B)、pH調整剤、(A)/(B)▲1▼/(B)▲2▼/(B)▲3▼/(B)▲4▼ の重量比、(A)+(B)の合計濃度、溶媒組成、及び pH〕となるように表2に示した化合物、pH調整剤及び溶媒を用いて塗布液を調整した。
なお、以下の表では縮合生成物をCPと略記する。例えば、“CP1”は「縮合生成物 No.1」を意味する。
【0087】
【表1】
【0088】
【表2】
【0089】
[実施例1]
図2は重合装置の構成の概略を示す。重合器については図1と共通する要素は同一番号で示す。図2に示す重合装置を用いて以下の実験を行った。図2において、内容積2m3の SUS 316 Lステンレス鋼製重合器1には攪拌翼20を有する撹拌装置21(駆動モーターは図示せず)、加熱・冷却用ジャケット2、マンホール22、バッフル23及びその他塩化ビニル重合用の重合器に通常備わる付属設備(図示せず)が備えてある。重合器1の上部に接続されたライン24は原材料仕込用ラインであり、該ライン24に図示のように塩化ビニル単量体(VCM)仕込ライン24a、触媒溶液仕込ライン24b、懸濁剤溶液仕込ライン24c、純水仕込ライン24d等の分岐ラインが接続されている。この仕込ライン24及び24a〜24dには図示の位置にバルブV1、V2、V3、V4及びV5が設けられている。また、重合器1の上部に接続されたライン25は重合器1内の排気、単量体の回収等のために設けられ、ライン25から分岐したライン26を経てガスホルダー27に導かれる。ガスホルダー27から単量体回収ライン28が導出され、またガスホルダー27から導出されたライン29はライン25に接続され、後述の均圧操作に用いられる。これらのライン25、26、28及び29には、図示の位置にバルブV6、V7、V8、V9、V10、V11、V12及びV13が設けられている。ライン26は、重合器1内の排気、単量体の回収などのために使用される真空ポンプ30が設けられているライン26aとそのようなポンプが設けられていないライン26bに分岐した後再び一つのラインになってガスホルダー27に接続している。また、重合器1の上部には、重合器内の水洗を行うために、ライン31が接続されている。ライン31には図示の位置にバルブV14が設けられ、器内に導かれた先端にノズル32が設けられている。更に、重合器1の上部には、塗布液の供給ライン33に塗布液供給ライン34が図示のようにそれぞれバルブV17とV18を介して接続している。さらに、ライン33には水蒸気供給ライン35がバルブV19を介して接続している。ライン33の器内にある先端には、塗布ノズル3a,3bが付設された塗布リング4が設けられている。これらのラインには図示の位置にバルブV15、V16、V17が設けられている。水蒸気供給ライン35には、図示の位置にバルブ18が設けられている。重合器1の其処にはライン36が接続され、これは重合体スラリーをブローダウンタンクへ導くライン37aと塗布液等や洗浄水を廃水タンクへ排出するライン37bとに分かれている。これらのライン36、37a、37bのそれぞれに図示の位置にバルブV19、V20及びV21が設けられている。
【0090】
各実験において使用した塗布液のNo.を表4及び5に示す。予め、後述する方法で重合器の内壁等の表面に塗布液を塗布し、必要ならば乾燥して塗膜を形成した重合器中で次のようにして塩化ビニル単量体の重合を繰返し行った。
【0091】
(1) 塗布及び乾燥
図2に示す重合装置の重合器の内壁等に下記a)又はb)の方法で塗膜を形成する。なお、a)の方法は比較例の方法である。各方法の説明において、当初すべてのバルブは閉じているものとする。
a).スプレー塗布及び乾燥
ジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面を温度70℃に加熱しておく。(ジャケットでの予熱時間;10分)バルブV17、V16、V15、V19、V21を開き、塗布液を5L(リットル)/minの流量で1.5分間塗布する。バルブV17、V16、V15、V19、V21を閉じ、バルブV6、V8、V13、V9を開き、真空ポンプ30を起動し、−700mmHgに減圧し、湿潤状態の塗膜を乾燥し(乾燥が必要;乾燥時間:25分)、塗膜を形成する。その後、真空ポンプを停止し、バルブV8、V13、V9を閉じる。次に、バルブV7、V10を開け、重合器1の内圧をガスホルダー27の内圧と同圧にする。その後、バルブV6、V7、V10を閉じる。ジャケット2への熱水の通水を停止する。
【0092】
b).水蒸気塗布(及び同時乾燥)
予めジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面の温度を70℃に加熱しておく(ジャケットでの予熱時間:10分)。バルブV18、V21、V19、V15、V16を開き、4kgf/cm2G(143℃)の水蒸気を240kg/Hrの流量で3分間、重合器内に吹込み、器内を予熱後、バルブ17を開き、塗布液を0.2L/minの流量で2分間、前記水蒸気をキャリアーとして利用して塗布及び同時乾燥する。その後、バルブV18、V21、V19、V15、V16、V17を閉じる。ジャケット2への熱水の通水を停止する。
【0093】
(2)器内第2水洗
バルブV14、V19、V21、V6、V7、V10を開き、器内を水洗し、水洗後の水を廃水タンクに排出する。バルブV14、V19、V21を閉じる。
上記a)の方法を用いた場合は、この水洗時間は4分間である。上記b)の方法を用いた場合は、この水洗時間は1分間である。
(3) 仕込み
バルブV1、V2、V3を開き、純水200重量部、部分ケン化ポリビニルアルコール0.022重量部、ヒドロキシメチルセルロース0.028重量部を重合器1内に仕込む。バルブV1、V2、V3、V6、V7、V10を閉じる。
次にバルブV1、V5を開き、塩化ビニル単量体(VCM)100重量部を仕込み、バルブV5を閉じる。次に仕込んだ原材料を攪拌しながら、バルブV4を開き、t−ブチルパーオキシネオデカネート0.03重量部を仕込み、バルブV1、V4を閉じる。
【0094】
(4) 重合
仕込んだ原材料を攪拌しながら、ジャケット2に熱水を通水して昇温し、内温が52℃に到達した時点でジャケット2に冷却水を通して内温を52℃に維持し重合を行った。器内の圧力が5kgf/cm2に降圧した時点で重合を終了した。
(5) 排ガス
バルブV6、V8、V12、V9を開とし、器内圧がほぼ大気圧となるまで、ガスホルダー27に排ガスする。その後バルブV12、V8、V9を閉じる。バルブV11、V10を開いてガスホルダー27内に回収された単量体をライン28を介してVCM回収工程へ送り、その後、バルブV11、V10を閉じる。
(6) 均圧
バルブV7、V10を開き、重合器1の内圧とガスホルダー27の内圧とを同圧(均圧)にする。
【0095】
(7) スラリー抜出し
バルブV19、V20を開き、重合体スラリーを器内からブローダウンタンク(図示せず)に抜出す。ブローダウンタンクに抜出された重合体スラリーは、その後、脱水乾燥されて塩化ビニル重合体製品となる。
(8) 器内第1水洗
バルブV14を開き重合器1内を水洗し、洗浄水をブローダウンタンクに送る。その後バルブV14、V19、V20、V6、V7、V10を閉じる。この器内の水洗中に、ジャケット2に熱水を通して重合器壁面の温度を70℃にしておく。
上記の塗布及び乾燥(1)から重合終了後の第1水洗(8)までの操作を1バッチとして、同じ操作を表4及び5に示すバッチ数繰返した。
【0096】
<評価>
・塗膜形成所要時間
実施例及び比較例で塗膜の形成に要した所要時間を表3に示す。
・重合体スケール付着量の測定
各実験で、最終バッチ終了後に重合器内液相部の重合体スケール付着量、撹拌翼及びバッフル表面及び気層部と液相部との界面付近の重合体スケール付着量を下記の方法で求めた。
対象表面の10cm×10cmの区域に付着したスケールを、肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落して、天秤で計量した。その計量値を100倍することにより、1m2当たりのスケール付着量を求めた。その結果を表4及び5に示す。
【0097】
・フィッシュアイの測定
また、各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体をシートに成形したときのフィッシュアイを、下記の方法で測定した。結果を表5及び6に示す。
重合体100重量部、ジオクチルフタレート50重量部、ジブチルすずジラウレート1重量部、セチルアルコール1重量部、酸化チタン0.25重量部及びカーボンブラック0.05重量部を、6インチロールを用いて150℃で7分間混練した後、厚さ0.2mmのシートに成形した。得られたシートの100cm2当たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により調べた。
【0098】
・明度指数(L値)の測定
重合体をシ−トに成形した時の、初期着色を評価するため、明度指数(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表5及び6に示す。
得られた重合体100 重量部、ジブチル錫ラウレ−ト系安定剤(昭島化学(株)製、TS−101) 1重量部及びカドミウム有機複合体系安定剤(勝田化工(株)製、C−100J) 0.5 重量部並びに可塑剤としてジオクチルフタレ−ト50重量部の混合物を、2本ロールミルを用いて160℃で5分間混練した後、厚さ1mmのシ−トに成形した。得られたシ−トを4×4×1.5cm の型枠に入れ、次いで160℃の温度で65〜70kgf/cm2に加圧することにより、測定用試料を作製した。この試料の明度指数Lを、以下のようにして求めた。
【0099】
まず、JIS Z 8722に従い、標準光C及び光電色彩計〔日本電色工業(株)製、Z−1001 DP 型測色色差計〕を用いて、刺激値直読方法により、XYZ 表色系の刺激値Yを求めた。ここで、照明及び受光の幾何学的条件は、JIS Z 8722の4.3.1 項に記載の条件dを採用した。
次いで、得られた刺激値Yを、JIS Z 8730(1980)に記載のハンタ−の色差式:
L=10Y1/2
に代入して、L値を算出した。なお、L値が大きいほど白色度が高い、すなわち、初期着色が良好であることを示す。
【0100】
・着色粒子の測定
各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体100重量部、安定剤として〔日東化成(株)製、TVS N−2000E〕2重量部、及び可塑剤としてジオクチルフタレート20重量部の混合物を、十分に混錬した後、160mm×130mm×3mmの型枠に入れ、175℃の温度、35kgf/cm2の圧力で加圧成形することにより、測定用試料を作製した。この試料について、着色粒子の個数を目視により調べた。その結果を表5及び6に示す。
【0101】
【表3】
【0102】
【表4】
*:比較例
【0103】
【表5】
【0104】
【表6】
(注)*:比較例
【0105】
【表7】
【0106】
【発明の効果】
本発明の重合方法によれば、スケール防止剤等の塗膜形成工程時間を短縮して生産性を向上すると共に、塩化ビニル単量体を重合する際に、重合器内の液相部壁面ばかりでなく、攪拌装置、壁面に対面しているバッフル表面、気相と液相との界面付近などにおいても、重合体スケールの付着を効果的に防止することができる。このため、得られる重合体製品の品質が向上し、重合体中の着色粒子を従来に比し著しく少なくすることができる上、該重合体をシ−ト等に成形した成形物には、フィッシュアイが極めて少なく、且つ初期着色も極めて少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する重合装置の概略図である。
【図2】本発明の方法を実施する別の重合装置の概略図である。
【符号の説明】
1.重合器
4.塗布リング
6.水蒸気供給ライン
7.塗布液供給ライン
8.第二塗布液供給ライン
17.洗浄水供給ライン
20.撹拌翼
23.バッフル
24.原材料供給ライン
27.ガスホルダー
31.洗浄水供給ライン
34.塗布液供給ライン
35.水蒸気供給ライン
Claims (8)
- エチレン性二重結合を有する単量体を重合器内において重合することからなる重合体の製造方法であって、
前記重合器はその内壁面及び重合中に前記単量体が接触するその他の表面に重合体スケール付着防止性の塗膜を有するものであり;
該塗膜は、
(A)共役π結合を5個以上有する芳香族化合物及び共役π結合を5個以上有する複素環式化合物からなる群から選ばれた化合物、並びに
(B)無機コロイド、キレート試薬、配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物、及び酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有する塗布液を、キャリアーとして水蒸気を用いて塗布して形成されたものである;
ことを特徴とする重合体の製造方法。 - 請求項1に記載の方法であって、塗布液に含まれる前記(A)の共役π結合含有化合物が、芳香族化合物の重量平均分子量500以上である縮合生成物であることを特徴とする方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記の縮合生成物の重量平均分子量500〜70,000であることを特徴とする方法。
- 請求項2に記載の方法であって、前記の芳香族化合物の縮合生成物が、アルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成物、ピロガロール/アセトン縮合生成物、多価フェノール自己縮合生成物、多価ナフトール自己縮合生成物、キノン系化合物縮合生成物、および芳香族ヒドロキシ系化合物のスルフィド化合物からなる群から選ばれることを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記塗布液が、水、又は水と混和性を有する親水性有機溶媒と水との混合溶媒中にピロガロール/アセトン縮合生成物、多価フェノール自己縮合生成物及び多価ナフトール自己縮合生成物からなる群から選ばれる化合物を含み、pH=2.0〜6.5の溶液であることを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記塗布液が、水、又は水と混和性を有する親水性有機溶媒と水との混合溶媒中にアルデヒド化合物/芳香族ヒドロキシ系化合物縮合生成物、及びキノン系化合物縮合生成物からなる群から選ばれる化合物を含み、pH4〜13.0の溶液であることを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法であって、塗布液の塗布のキャリアーとして使用される水蒸気(G)と塗布液(L)との混合比(L/G)が重量基準の流量比で0.005〜0.8であることを特徴とする方法。
- 請求項1に記載の方法であって、前記塗布液の(B)成分が、キレート試薬及び配位数2以上の錯体を形成しうる金属イオンを生成する金属化合物の両方を含有する塗布液であることを特徴とする方法。
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