JP3515650B2 - 塩化ビニル系重合体の製造方法 - Google Patents

塩化ビニル系重合体の製造方法

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JP3515650B2
JP3515650B2 JP27199295A JP27199295A JP3515650B2 JP 3515650 B2 JP3515650 B2 JP 3515650B2 JP 27199295 A JP27199295 A JP 27199295A JP 27199295 A JP27199295 A JP 27199295A JP 3515650 B2 JP3515650 B2 JP 3515650B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、塩化ビニル系重合
体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、塩化ビニル単量体又は塩化ビニル
単量体を主体とするビニル系単量体混合物の重合方法と
しては、懸濁重合、乳化重合法、溶液重合法、気相重合
法、塊状重合法等が知られている。これらのいずれの重
合法においても重合器内の撹拌装置等の単量体が接触す
る部位に重合体スケールの付着が起こり易い。重合体ス
ケールが付着すると、重合体の収率、重合器冷却能力等
が低下するほか、重合体スケールが剥離して目的とする
重合体中に混入する結果、重合体を成形することにより
得られる成型品の品位が低下するという不利がもたらさ
れる。また、付着した重合体スケールを除去するために
は、過大な労力と時間を要するのみならず、この重合体
スケール中に未反応の単量体が含まれているので、近年
きわめて重大な問題となっている単量体により人体障害
の危険性がある。
【0003】このような重合体スケールの付着を防止す
る方法として重合器内壁等にスケール付着防止剤を塗布
する方法が知られており、種々のスケール付着防止剤が
提案されている。例えば、染料または顔料を塗布する
(特公昭45-30835)、分子量約250より大の特定構造
のポリ芳香族アミンを塗布する(特公昭59-16561)、多
価フェノールの自縮合物及び/又は多価フェノールの自
縮合物を塗布する(特開昭54-7487)、フェノール化合物
と芳香族アルデヒドとの反応生成物を塗布する(特公平
2-363)、1-ナフトールとホルムアルデヒドとの反応生成
物を塗布する(特開昭57-1641)、更には、重合器内壁面
及び重合器付属設備の単量体が接触する部分の表面あら
さ1μm以下とし、それらの表面に染料または顔料を塗
布する(特公平2-36602)、共役π結合を5個以上有する
芳香族化合物または複素環式化合物を塗布し、かつ重合
中の反応混合物の塩素イオン濃度を100ppm以下に制御す
る(特公平4-30405)、染料または顔料を塗布し重合中の
塩素イオン濃度を100ppm以下に制御する(特公平4-3040
4)、などの諸方法が知られている。特公平4-30405 に開
示の共役π結合を5個以上有する化合物は、分子量が1,
000 未満のものである。
【0004】これらの方法により同一の重合器を使用し
て重合体スケールの付着を防止しつつ重合を繰り返し実
施するには、一回の重合終了後に重合体スラリーを重合
器から抜き出した後、通常水洗してから重合器内壁面等
に重合体スケール付着防止剤を塗布し、しかるのちに再
度単量体等の原材料を仕込み、次の重合が行われる。そ
の際、重合は重合器を密閉し器外雰囲気から器内を遮断
した状態で行われるが、重合体スラリーの抜き出し及び
重合体スケール付着防止剤の塗布作業は、通常重合器の
マンホールを開け、重合器内を外気に開放した状態で行
われている。これらの従来の方法によって重合を100 〜
200 バッチ程度繰り返し行っても、重合器内の重合中に
液相と接触する部分(以下、液相部という)には重合体
スケールは生じない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、これらの従来
の方法には、重合器内壁などの、重合中に気相と液相の
界面にあたる部分及びその付近(以下、気液界面部とい
う)には重合体スケールが付着するという欠点がある。
気液界面部に一旦重合体スケールが付着すると、重合を
繰り返していくにしたがって付着した重合体スケールが
徐々に成長していき、ついに剥離して重合体に混入する
ことがある。このように重合体スケールが重合体に混入
すると、その重合体をシート等の成形物にしたときに得
られる成形物に多くフィシュアイが発生し、成形物の品
質が著しく低下してしまうことになる。したがって、気
液界面部への重合体スケールの付着防止は、塩化ビニル
系重合体の製造上極めて重要な技術課題となっている。
【0006】また、重合により得られる重合体をシート
等の成形物に加工した場合、得られる成形物には高い白
色性が求められる。即ち、重合体に着色剤を何ら添加せ
ずにシート等に成形しても得られる成形物は多少着色さ
れる。この着色は初期着色と称され、できる限り少ない
ことが望まれる。ところが、スケール防止剤の塗膜は剥
離ないしは溶解して重合体に混入することがあるが、そ
のスケール防止剤が例えば染料や顔料有効成分として含
む場合には、成形物の白色度が低下、即ち初期着色が悪
化する。即ち、染料、顔料はスケール付着防止能力は高
いものの、初期着上問題がある。
【0007】そこで、本発明の課題は、液相部のみでな
く気液界面部での重合体スケールの付着も効果的に防止
しつつ、初期着色が極めて少ない塩化ビニル系重合体を
製造することができる製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記課題
を達成するものとして、以下の製造方法が有効であるこ
とを見いだした。即ち、本発明によれば、重合器内で塩
化ビニル単量体又は塩化ビニル単量体を主体とするビニ
ル系単量体混合物を重合するバッチを繰り返す、塩化ビ
ニル系重合体の製造方法にして、(A) 水性媒体中に前記
単量体又は単量体混合物を含む反応混合物を、少なくと
も内壁面に重合体スケール付着防止性塗膜が形成された
重合器内で重合反応に供する工程、(B) 生じた重合体ス
ラリーを重合器から抜き出す工程、(C) 重合器内壁面に
重合体スケール付着防止剤液を塗布し、乾燥して重合体
スケール付着防止性塗膜を形成する工程、(D) 前記重合
に必要な原材料を重合器に仕込む工程、次いで再び前記
の工程(A) 〜(D) を同様に繰り返すことからなる塩化ビ
ニル系重合体の製造方法において、
【0009】(1) 前記工程(A) を通じて前記反応混合物
中の塩素イオン濃度を50ppm 以下に制御すること
【0010】(2) 前記工程(B) 及び工程(C) が、重合器
内を器外雰囲気から遮断した状態で行われること、並び
(3) 前記重合体スケール付着防止剤が、共役π結合を5
個以上有する分子量500 以上の化合物を含有するもので
あり、かつ、前記化合物が、 1) ジヒドロキシビフェニル類とアルデヒド類とを酸性
触媒の存在下で縮合反応させて得られた反応生成物、 2) 1-ナフトールとホルムアルデヒドとを酸性触媒の存
在下で縮合反応させて得られた反応生成物、 3) フェノール化合物とホルムアルデヒド又はベンズア
ルデヒドとの縮合物、 4) ポリ芳香族アミン、 5) 多価フェノールの自己縮合生成物及び多価ナフトー
ルの自己縮合生成物の群から選定された縮合生成物、 6) ケトン樹脂とフェノール性化合物と、更に必要に応
じてアルデヒド化合物との反応生成物、 7) フェノチアジンとホルムアルデヒドとの縮合物、 8) 芳香族アミン化合物と芳香族ニトロ化合物との縮合
物、 9) ピロガロールとアセトンとのとの縮合物、 10) 芳香族アミン化合物とキノン化合物と芳香族ヒドロ
キシ化合物との縮合物、及び 11) 芳香族アミン化合物とキノン化合物との縮合物、か
ら選択されるものであること、 を特徴とする塩化ビニル
系重合体の製造方法が提供される。
【0011】この方法によれば、重合中の塩素イオン濃
度が制御され、かつ、重合工程のみでなく、(A) 〜(D)
の全過程を通じて重合器内が器外雰囲気から遮断された
状態に維持される。しかも、そのような状態で工程(A)
〜(D) からなる重合バッチが繰り返される。その結果、
得られる重合体は初期着色が著しく少なく、有効かつ確
実にスケールの付着、特に重合器の気液界面部における
重合体スケールの付着を防止することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の方法は、上記の工程(A)
〜(D) からなる重合バッチを必要な回数繰り返すことか
らなる。
【0013】工程(A) スケール防止性塗膜が少なくとも内壁面に予め形成され
た重合器内で塩化ビニル単量体又は該単量体を主体とす
るビニル系単量体混合物を重合する。ここで予め形成さ
れているスケール付着防止性塗膜は、工程(C) に関して
詳しく後述するスケール防止剤の塗布により形成された
ものである。
【0014】本発明の重要な特徴の一つは、この重合工
程を通じて反応混合物中の塩素イオン濃度が50ppm 以
下、好ましくは30ppm 以下に制御されることである。こ
の重合過程における反応混合物中の塩素イオン濃度が50
ppm を超えると、重合器内壁面等に塗布されているスケ
ール付着防止剤の作用が十分に発揮されず、スケールの
付着を効果的に防止することができない。
【0015】塩化ビニル単量体又はそれを主体とする単
量体混合物の水性媒体中における重合においては、反応
混合物中の塩素イオン濃度は一般に重合の初期段階に急
速に高まり、その後重合終了までわずかに上昇し続ける
かあるいは横ばいの傾向を示す。この塩素イオンの濃度
には、原料として用いられる塩化ビニル単量体に含まれ
るメチルクロライド及び塩酸の量、仕込みに用いられる
水の温度などの各種の要素が影響すると考えられるが、
通常工業的に用いられるレベルの品位を有する塩化ビニ
ル単量体では、例えば、仕込まれる水の温度を10〜80℃
の間で調節することにより、また仕込み後の重合器内の
真空度を調節することにより反応混合物中の塩素イオン
濃度を50ppm 以下に制御することができる。一般に、仕
込み水の温度を高くする程、塩素イオン濃度は低下す
る。より具体的には、例えば、工業的に使用される標準
的な品質である、メチルクロライド含有量60ppm 以下、
塩化水素含有量0.03ppm 以下の塩化ビニル単量体を原料
として使用する場合、一般に、重合終了後、重合器から
重合体スラリーを排出した後に、重合器を開放すること
なく、未反応の塩化ビニル単量体を重合器内に100ppm以
上、5%以下(容量基準)の濃度で存在させた状態で塗
布し、仕込みに用いられる水の温度を20〜60℃に調節し
て仕込んだ後、重合器内の真空度を-750〜100 mmHg(1.
3 〜113kPa)、より代表的には、-730〜-200mmHg(4.0
〜75kPa )に調節し、続いて前記の塩化ビニル単量体を
仕込むことにより、反応混合物中の塩素イオン濃度を50
ppm 以下に制御することができる。
【0016】工程(B) 重合終了後、重合器内に生成した重合体スラリーが重合
器から抜き出される。本発明の方法では、この抜き出し
工程(B) は、重合器内を器外雰囲気から遮断した状態で
(即ち、重合器内を大気に開放することなく)行う必要
がある。即ち、重合器に備わるマンホール等の開放を行
わず、外気が進入する恐れのある器内へ通じる配管の弁
は閉じなければならない。
【0017】具体的には、器内圧力が未だ大気圧に比し
てある程度高い状態で重合体スラリーをブローダウンタ
ンクに排出するか、あるいは器内を概ね大気圧の圧力状
態にあるガスホルダーとつないで大気圧と概ね均圧にし
たのち、重合体スラリーを重合器よりブローダウンタン
クに排出する。こうした排出操作は、重合器内に空気が
進入しないように行われなければならない。重合体スラ
リーの排出終了時には、重合器内は塩化ビニル単量体ガ
ス100 %で充満している。
【0018】工程(C) 次に、重合体スケール付着防止性膜の形成が行われる。
通常、重合体スケール付着防止剤を少なくとも重合器内
壁面に塗布し、乾燥して塗膜を形成する。本発明の方法
では、この塗膜形成作業も、工程(B) に引き続き、重合
器内を器外雰囲気から遮断した状態で(即ち、重合器を
外気に開放しないで)行われる必要がある。
【0019】より具体的には、重合器を開放せず、単量
体ガスが器内に充満した状態でスケール付着防止剤を塗
布するか、または器内に少量残存する重合物を除去する
ために水洗した後にスケール付着防止剤の塗布を行う。
水洗した場合には、器内の塩化ビニル単量体のガス濃度
は水の蒸気圧に相当する分圧分だけ低下する。したがっ
て、重合体スケール付着防止剤液を塗布し、塗膜を形成
する作業は単量体が重合器内に10〜100 %、好ましく
は、50〜100 %(残部は水蒸気)で満たされた状態で行
われる。ただし、最初の重合前の塗布は、重合器内を減
圧にした後に行うか、または減圧下で塩化ビニル単量体
を少量仕込んで器内を塩化ビニル単量体雰囲気として行
うことが望ましい。
【0020】重合体スケール付着防止剤は、重合器内壁
面ばかりでなく、重合器付属設備のスケールが付着する
恐れのある部分、即ち重合過程で単量体が接触する部分
(接触する可能性のある部分を含む)にも塗布され、塗
膜が形成されることが好ましい。重合器付属設備で単量
体が接触するものとしては、例えば、撹拌翼、撹拌軸、
コンデンサー、ヘッダー、バッフル、サーチコイル、ボ
ルト、ナット等がある。これら付属設備の材質には特に
制約はなく、例えばステンレスあるいはグラスライニン
グしたものを用いることができる。
【0021】重合器内壁面及び場合により塗膜が形成さ
れるその他の部分は表面あらさ(JIS B0106 規定のRma
x)が10μm以下であることが好ましく、さらに5μm
以下であることがより好ましい。
【0022】スケール付着防止剤を重合器内壁面等に塗
布する方法は制限されず、例えば特開昭57-61001号、同
55-36288号、特公昭56-501116 号、同56-501117 号、特
開昭59-11303号等に記載の自動塗布方法を用いることが
できる。塗布を行う際の重合器のジャケット温度は、通
常10〜95℃の範囲でよく、好ましくは40〜80℃である。
塗布後の乾燥は、ジャケット温度30〜95℃、好ましくは
40〜80℃で器内を開放することなく器内を減圧にし乾燥
する。
【0023】塗布に使用される重合体スケール付着防止
剤は、有効成分として共役π結合を5以上有する有機化
合物(以下、共役π結合化合物という)を含有するもの
である。本明細書において「π結合」とは、二重結合お
よび三重結合を意味し、例えば、C=C、C≡C、N=
N、C=N等が挙げられる。「共役π結合」とは隣接す
る他のπ結合と相互に共役関係にあるπ結合を意味す
る。かかる共役π結合化合物の中でもより好ましいもの
は、共役関係にあるπ結合が5以上連なっているもので
ある。
【0024】また、この共役π結合化合物は、ゲルパー
ミエーションクロマトグラフィ(GPC) により測定された
分子量が500 以上であり、好ましくは1000以上の化合物
である。
【0025】分子量が500 以上の共役π結合化合物は、
以下から選択されるものである。 1)特公平6-62709に記載のジヒドロキシビフェニル類
とアルデヒド類とを酸性触媒の存在下で縮合反応させて
得られた反応生成物の内、分子量が1000以上のもの:ジ
ヒドロキシビフェニル類の例としては、2,2’−ジヒ
ドロキシビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−5
5’−ジメチルビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−
4,4’5,5’−テトラメチルビフェニル、2,
2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジクロロビフェニル、
2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジシクロヘキシル
ビフェニル、2,2’−ジヒドロキシ−5,5’−ジ−
tert−ブチルビフェニル等が挙げられ、なかでも工業的
には2,2’−ジヒドロキシフェニルがとくに好適で
ある。
【0026】アルデヒド類としては、例えばホルマリ
ン、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチル
アルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド、ベン
ズアルデヒド、フルフラール、フェニルアセトアルデヒ
ド、3−フェニルプロピオンアルデヒド、2−フェニル
プロピオンアルデヒド等が挙げられるが、ホルマリン、
アセトアルデヒドが工業的、経済的に有利である。ジヒ
ドロキシビフェニル類およびアルデヒド類は、酸性触媒
の存在下で反応して反応生成物を形成する。この反応の
ために好ましい触媒は、強酸性のものであり、例えば硫
酸、塩酸、過塩素酸、P−トルエンスルホン酸、メタン
スルホン酸、トリフルオルメタンスルホン酸等が含まれ
るが、より好ましくは塩酸およびP−トルエンスルホン
酸である。
【0027】より好ましいジヒドロキシビフェニル類と
アルデヒド類との反応生成物は、ジヒドロキシビフェニ
ル類に対するアルデヒド類のモル比が1.0 よりも大きく
ない場合に得られる。好ましい範囲は、ジヒドロキシビ
フェニル類1モルに対し、アルデヒド類のモル比は0.5
〜1.0 モル、さらに好ましくは0.6 〜0.9 モルの範囲で
ある。
【0028】ジヒドロキシビフェニル類とアルデヒド類
との反応は、50〜200 ℃の範囲、反応時間5〜30時間で
有利に行われ、さらに好ましくは 100〜150 ℃で行われ
る。この反応において、一般的な溶剤の存在が望ましい
場合もある。好ましい溶剤の例として、例えば、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;ジクロ
ロエタン、トリクロロエタン、モノクロロベンゼン等の
ハロゲン化炭化水素類;ブチルメチルエーテル、エチレ
ングリコールジメチルエーテル、ジメチルエーテル等の
エーテル類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケ
トン等のケトン類が挙げられるがこれらに限定されるも
のではない。
【0029】2)特開昭57-164107 に記載の、1−ナフ
トールとホルムアルデヒドを触媒存在下で縮合反応させ
て得られる縮合反応生成物の内、分子量1,000 以上のも
の:1−ナフトールは次式で表わされる化合物の中から
選ばれる。
【0030】
【化1】 〔上式において、aは0または1であり;mは0、1、
2または3であり(好ましくは0、1または2であ
る);R1およびR2は同一であっても相違してもよく、こ
れらはハロゲン(好ましくはCl)、ヒドロカルビル(好
ましくは炭素数1〜5のアルキル)、ヒドロキシおよび
ヒドロカルビルオキシ(好ましくは1〜5個の炭素原子
を有するアルコキシル)の中から選ばれる。aまたはm
が0であることは置換基がないことを意味する。〕
【0031】1−ナフトールの例としては、1−ナフト
ール自身、1,3−ジヒドロキシ−ナフタレン、及び
1,5−ジヒドロキシ−ナフタレンおよび1,7−ジヒ
ドロキシ−ナフタレンが挙げられる。上記の縮合反応を
行う媒体としては、例えば、水、アルコール類、ケトン
類、エステル類等の有機溶媒が挙げられ、例えば、メタ
ノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、
アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類及び酢酸メ
チル、酢酸エチル等のエステル類が挙げられる。
【0032】触媒としては、塩酸等の酸性触媒、NaOH、
KOH 、NH4OH などの塩基性触媒等が用いられ、これらは
1−ナフトール類1モル当り 0.5〜0.9 モル添加され
る。
【0033】縮合反応を行う際の1−ナフトール類とホ
ルムアルデヒドの割合は、使用する1−ナフトール類及
び溶媒の種類、反応温度、反応時間等に影響されるが、
通常、1−ナフトール類1モル当たり、ホルムアルデヒ
ドを 0.2〜10モルとすることが好ましく、更に、0.5 〜
5モルとすることが好ましい。縮合反応は、1−ナフト
ール類とホルムアルデヒドとを、適当な媒体中、触媒存
在下、通常、50〜200℃で1〜30時間、好ましくは70〜1
50 ℃で3〜10時間反応させればよい。媒体としては、
例えば水、アルコール類、ケトン類、エステル類、等の
有機溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル
等のエステル類が挙げられる。
【0034】3)特開昭57-192413 及び特公平2-363 に
記載のフェノール化合物とホルムアルデヒドあるいはベ
ンズアルデヒドとの縮合物の内、分子量が1,000 以上の
もの:フェノール化合物としては、ピロガロール、ヒド
ロキシヒドロキノン、ヒドロキシ安息香酸、サリチル
酸、またはこれらの混合物が好適である。上記のフェノ
ール化合物とホルマリンあるいはベンズアルデヒドとの
縮合生成物は、これらの反応成分を、適当な媒体中、触
媒存在下、通常、室温〜200 ℃で2〜100 時間、好まし
くは30〜150 ℃で3〜30時間反応させることにより製造
される。
【0035】上記の縮合反応を行う媒体としては、例え
ば、水、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機
溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プ
ロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチル
ケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエ
ステル類が挙げられる。上記縮合反応を行う媒体のpH
は、通常1〜13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく
使用することができる。
【0036】縮合反応を行う際のフェノール化合物とホ
ルマリンあるいはベンズアルデヒドの割合は、使用する
フェノール化合物、ホルマリンあるいはベンズアルデヒ
ド及び溶媒の種類、反応温度、反応時間等に影響される
が、通常、フェノール化合物1重量部当たり、ホルムア
ルデヒドあるいはベンズアルデヒドを 0.5〜10重量部と
することが好ましく、更に、 0.1〜5重量部とすること
が好ましい。
【0037】4)特公昭59-16561に記載のポリ芳香族ア
ミンのうち分子量が1,000 以上のもの:該ポリ芳香族ア
ミンは、下記の化合物のいずれか1つの縮合反応、ある
いは2種以上を一緒に反応させることにより得られる。 (a) 式
【0038】
【化2】 (式中、R1およびR2は−H、ハロゲン、−NH2 、−OHま
たは炭素原子1〜8個を有するアルキル基であり、同一
または異なってもよい)により示されるポリアミノベン
ゼン、例えばオルソ−、メタ−およびパラフェニレンジ
アミン;ジアミノトルエン、ジアミノキシレン、ジアミ
ノフェノール、トリアミノベンゼン、トルエンおよびキ
シレン;エチル、プロピル、ブチルおよびペンチルジ−
およびトリアミノベンゼン等であり、最も好適な化合物
は、R1が−Hであり、R2が−H、メチル基、またはエチ
ル基であるものであり;(b) 式
【0039】
【化3】 (式中、R3およびR4は−H、ハロゲン、−NH2 、−OH、
または炭素原子1〜8個を含むアルキル基であり、そし
て同一または異なってもよい)にて示される多価フェノ
ール、例えばカテコール、レゾルシノール、クロロレゾ
ルシノール、ヒドロキノン、フロログルシノール、ピロ
ガロール等;ジヒドロキシトルエンおよびキシレン;ト
リヒドロキシトルエンおよびキシレン;エチル、プロピ
ル、ブチルおよびペンチルジ−およびトリヒドロキシベ
ンゼン等であり、最も好適な化合物は、R3が−Hであ
り、R4が−Hまたは−OHであるものであり;(c) 式
【0040】
【化4】 (式中、R5およびR6は−H、ハロゲン、−NH2 、−OHま
たは炭素原子1〜8個を有するアルキル基であり、そし
て同一または異なってもよい)にて示されるアミノフェ
ノールおよびアルキル置換アミノフェノール、例えばオ
ルソ、メタ、およびパラ−アミノフェノール;ジアミノ
−およびトリアミノ−フェノール;メチル、エチル、プ
ロピル、ブチルおよびペンチルアミノおよびジアミノフ
ェノール等であり;最も好適な化合物は、R5が−Hであ
り、R6が−Hまたは−NH2 であるものであり;および
(d) ジフェニルアミン、アルキル置換ジフェニルアミン
および式
【0041】
【化5】 (式中、Rは
【0042】
【化6】 または炭素原子1〜5個を有する直鎖または分枝鎖アル
キル基であり、そしてR1、R2、R3およびR4は各々−H、
−NH2 、−OH、ハロゲンまたは炭素原子1〜8個を有す
るアルキル基であり、そして少なくとも2つが−NH2
−OHまたは各々のうちの1つである)にて示される他の
化合物、例えばビスフェノールA等であり、最も好適な
化合物は、R1およびR4が−OHまたは−NH2 であり、R2
よびR3が−Hであるものである。
【0043】前記の式におけるハロゲンは塩素、臭素、
沃素または弗素であってよい。縮合反応によって前記化
合物の2つまたはそれ以上を一緒に反応させる時には、
少なくとも1つの化合物がアミノ基を有せねばならず、
そして2つより多くの化合物が反応に包含される場合に
は該化合物の少なくとも2つがアミノ基を有することが
好適である。例えば、有用なポリ芳香族アミンは、m−
フェニレンジアミン、レゾルシノールおよびp−アミノ
フェノールを一緒に縮合させることにより形成された、
およびm−フェニレンジアミン、レゾルシノール、フロ
ログルシノールおよびm−アミノフェノールを一緒に縮
合させることにより形成されたもの等である。
【0044】特に有用なポリ芳香族アミンは、芳香族ジ
アミンおよび多価フェノールが一緒に反応せしめられる
時に得られるものである。通常、これらの化合物はほぼ
等モル比にて一緒に反応せしめられる。しかし、ジアミ
ンまたはフェノールのいずれかを過剰量にて使用するこ
ともできる。
【0045】前記に示される如く、前記の化合物のいず
れかが自己縮合せしめられまたは1つまたはそれ以上の
他の化合物と反応せしめられる時には、酸性触媒が使用
される。例えば、HCl 、メタンスルホン酸、ベンゼンス
ルホン酸、スルファニル酸、燐酸、沃素、ベンゼンジス
ルホン酸、臭化水素(HBr)、沃化水素(HI)、塩化アルミ
ニウム等が使用できる。触媒濃度は、使用される特定の
触媒に依存して変化するであろう。しかし化合物が自己
縮合せしめられる場合には化合物1モル当り、または1
つまたはそれ以上の化合物が反応せしめられる場合には
アミノ化合物1モル当り、約0.005 モル〜約0.20モルの
触媒濃度が望ましい。
【0046】単独でまたは他の化合物と反応せしめられ
る化合物の反応温度は、反応時間および所望の最終製品
分子量に依存して変化するであろう。例えば反応成分を
315℃まで急速に加熱し次に該温度に種々の時間の間保
つことができる。また反応成分を 300℃より上の種々の
温度に加熱しそして直ぐに冷却することもできる。該後
者の方法を用いる場合には、反応時間は0時間として示
される。従って反応温度は約250 ℃〜360 ℃にて変化し
そして反応時間は約0時間〜約3時間にて変化するであ
ろう。好適な反応温度範囲は275 ℃〜330 ℃であり、そ
して反応時間は0時間〜1時間である。
【0047】5)特開昭54-7487 に記載の多価フェノー
ルの自己縮合生成物、及び多価ナフトールの自己縮合生
成物の群から選定された縮合生成物のうち分子量1,000
以上のもの:多価フェノールの自己縮合生成物はレゾル
シノール、ヒドロキノン、カテコールもしくはフロログ
ルシノールの任意の1種もしくはそれ以上を、触媒なし
で又は適当な触媒の存在下に加熱することによって製造
される。多価ナフトールの自己縮合物、例えば2,7−
ジヒドロキシナフタレン、3,7−ジヒドロキシナフタ
レン、2,6−ジヒドロキシナフタレンなどの自己縮合
物についても同じである。多価フェノールもしくは多価
ナフトールは、窒素、アルゴンなどの不活性雰囲気下 2
00〜350 ℃の温度範囲において4〜20時間加熱する。こ
の反応には、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、水酸化ナト
リウムなどの種々な触媒を使用できる。使用触媒濃度は
縮合させる1又はそれ以上の化合物1モル当り約0.05モ
ル〜0.50モルで充分である。
【0048】6)特開昭62-236804 に記載のケトン樹脂
とフェノール性化合物と、さらに必要に応じてアルデヒ
ド化合物との反応生成物の内、分子量1,000 以上のも
の:用いるケトン樹脂は、一般的にケトン類とアルデヒ
ド類とを縮合させて得られる樹脂であり、軟化点が80〜
130 ℃の常温で固形の物質である。特に、原料のケトン
類としてシクロヘキサノンあるいはアセトフェノンとホ
ルムアルデヒドを用いて製造された物である。
【0049】フェノール性化合物としては、芳香族化合
物にフェノール性の−OH基を1個以上有する化合物であ
る。例えば、フェノール、クレゾール等の一価フェノー
ル、レゾルシン、カテコール、ヒドロキノン、ビスフェ
ノールA等の二価フェノール、ピロガロール、ヒドロキ
シヒドロキノン等の三価フェノール又は、上記の化合物
にアルキル基、カルボン酸基等の置換基を有する化合物
が例示出来る。また、アルデヒド化合物は例えば、ホル
ムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド等の脂肪族のアルデヒド類あるいはベンズアルデヒド
に代表される芳香族のアルデヒド類等が例示される。
【0050】ケトン樹脂とフェノール性化合物との反応
生成物の製造法としては、ケトン樹脂とフェノール性化
合物とをフリーデルクラフト型触媒あるいは酸触媒にて
窒素雰囲気下50〜250 ℃好ましくは 100〜200 ℃で1時
間〜10時間反応をさせる事により製造される。また、所
望に応じてアルデヒド化合物を加えて反応させてもよい
が、この時のアルデヒド化合物を加えて反応させる方法
としては、(1) ケトン樹脂とフェノール性化合物及びア
ルデヒド化合物を同時に反応させる方法、(2)ケトン樹
脂とフェノール性化合物とを反応させた後、これにアル
デヒド化合物を加えて反応させる方法、(3) フェノール
性化合物とアルデヒド化合物を反応させた後、ケトン樹
脂を反応させる方法がある。
【0051】フリーデルクラフト型触媒あるいは酸触媒
としては、通常用いられる塩化アルミニウム、ふっ化硼
素、塩化亜鉛、塩化鉄などのハロゲン化物もしくはこれ
らの錯化合物又は、塩酸、硫酸等の無機酸、パラトルエ
ンスルホン酸等の有機酸が使用出来る。
【0052】ケトン樹脂とフェノール性化合物は、フェ
ノール性化合物 100重量部に対してケトン樹脂5〜200
重量部、好ましくは30〜150 重量部が使用される。ま
た、アルデヒド化合物はフェノール性化合物1モルに対
して0〜2モル好ましくは 0.5〜1.5 モルが使用され
る。
【0053】触媒はフェノール性化合物 100重量部に対
して0.01〜30重量部好ましくは 0.1〜20重量部使用され
る。触媒量が上記範囲より少ないと反応性が低下し、一
方多くなると溶剤あるいはアルカリ溶液への溶解性が低
下する。上記の縮合反応を行う媒体としては、例えば、
水、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒
が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエステ
ル類が挙げられる。上記縮合反応を行う媒体のpHは、通
常1〜13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用す
ることができる。
【0054】7)特開平2-500845に記載のフェノチアジ
ンとホルムアルデヒドとの縮合物の内、分子量1,000 以
上のもの:フェノチアジンとホルムアミドとの反応にお
いて、ホルムアルデヒドのフェノチアジンに対するモノ
比は一般に約0.1 乃至1未満、好ましくは約 0.4乃至1
未満である。反応はフェノチアジンに対して溶媒である
が、所望生成物に対しては非溶媒である液体希釈剤の存
在下で行われる。例えば、テトラヒドロフラン(THF) 、
ジメチルホルムアミド(DMF) 、シクロヘキサノン及びジ
メチルスルホキシド(DMSO)のような非極性溶媒が用いら
れる。
【0055】反応の触媒として酸性又はアルカリ性のい
ずれかの化合物を用いうる。しかしながら、酸性化合物
の方が好ましく、とりわけ強酸が好ましい。好ましい化
合物には、塩酸、硫酸、硝酸及びリン酸が含まれる。適
する苛性アルカリ化合物には水酸化ナトリウム及びその
他のアルカリ金属水酸化物が含まれる。好ましい反応温
度は室温乃至最も沸点の低い溶媒の還流温度であり、好
ましくは約60乃至80℃である。
【0056】8)特公昭60-30681に記載の芳香族アミン
と芳香族ニトロ化合物との縮合物及びこれをベース化し
たものの内、分子量1,000 以上のもの:(1) 芳香族アミ
ン化合物と芳香族ニトロ化合物とを縮合触媒の存在下 1
00〜250 ℃の温度範囲で反応させて得られる縮合物、お
よび(2) この縮合物をアルカリ金属塩もしくはアンモニ
ウム化合物によりベース化したものである。
【0057】芳香族アミン化合物と芳香族ニトロ化合物
とを鉱酸、縮合触媒の存在下で反応させて得られる縮合
物および/またはこの縮合物をNaOH、Na2CO3、KOH など
のアルカリ金属塩あるはNH4OH 、(NH4)2CO3 などのアン
モニウム化合物でベース化したものであるが、この縮合
物とは厳密な意味を有するものではなく、最終縮合物に
いたる中間体も当然にこの縮合物に包含されるものであ
る。ここで使用される芳香族アミン化合物は、下記のよ
うな一般式で表わされる化合物である。
【0058】
【化7】 上式において、R1は−H、−NH2 、−Cl、−N=N−C6
H5、−OH、−COCH3 、−OCH3、−NH−C6H5、−NH−C6H4
−NH2 、−NH−C6H4−OCH3、−N(CH3)2 、−NH−C6H4
OH、−NH−CO−CH3 または炭素数1〜3のアルキル基を
表わし、R2は−H、−NH2 、−OH、−CH3 を表わす。
【0059】このような芳香族アミン化合物としては、
アニリン、(オルソ,メタ,パラ)フェニレンジアミ
ン、(オルソ,メタ,パラ)アミノフェノール、(オル
ソ,メタ,パラ)クロロアニリン、(パラ)アミノアゾ
ベンゼン、2,4−ジアミノアゾベンゼン、パラ−アミ
ノアセトアニリド、(オルソ,メタ,パラ)メチルアニ
リン、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノジフェ
ニルアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミン、N,
N−ジメチル−パラ−フェニレンジアミン、4−アミノ
−3′−メトキシジフェニルアミン、4−アミノ−4′
−ヒドロキシジフェニルアミン、4−クロロ−オルソ−
フェニレンジアミン、4−メトキシ−オルソ−フェニレ
ンジアミン、2−アミノ−4−クロロフェノール、2,
3−ジアミノトルエンなどが例示される。また、芳香族
アミン化合物と縮合反応される芳香族ニトロ化合物は下
記のような一般式で表わされる化合物である。
【0060】
【化8】 上式において、R3は−H、−OH、−OCH3、−OC2H5 、−
Cl、−NH2 、−COOH、−SO3Hを表わす。
【0061】このような芳香族ニトロ化合物としては、
ニトロベンゼン、(オルソ,メタ,パラ)オキシニトロ
ベンゼン、(オルソ,メタ,パラ)ニトロアニソール、
(オルソ,メタ,パラ)ニトロフェネトール、(オル
ソ,メタ,パラ)クロロニトロベンゼン、(オルソ,メ
タ,パラ)アミノニトロベンゼン、(オルソ,メタ,パ
ラ)ニトロ安息香酸、(オルソ,メタ,パラ)ニトロベ
ンゼンスルホン酸、(オルソ,メタ,パラ)ニトロアニ
リン,2−ニトロ−パラ−フェニレンジアミン、2−ア
ミノ−4−ニトロフェノール、2−アミノ−5−ニトロ
フェノール、4−アミノ−2−ニトロフェノールなどが
例示される。前記した芳香族アミン化合物と芳香族ニト
ロ化合物とを縮合反応させるには、鉱酸および縮合触媒
が使用されるが、この鉱酸としては塩酸、硝酸、臭化水
素酸、リン酸および硫酸などが例示される。
【0062】また好適とされる縮合触媒としては、過マ
ンガン酸、過マンガン酸カリウムのような過マンガン酸
およびその塩、三酸化クロム、重クロム酸カリウム、塩
化クロム酸ナトリウムのようなクロム酸関連化合物、硝
酸銀、硝酸鉛のような金属硝酸塩、ヨウ素、臭素のよう
なハロゲン、過酸化水素、過酸化ナトリウム、ベンゾイ
ルパーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウ
ム、過酢酸、キュメンハイドロパーオキサイド、過安息
香酸、p−メンタンハイドロパーオキサイドのような過
酸化物、ヨウ素酸、ヨウ素酸カリウム、塩素酸ナトリウ
ムのような酸素酸あるいは酸素酸塩、塩化第一鉄、塩化
第二鉄、硫酸銅、塩化第一銅、塩化第二銅、酢酸鉛のよ
うな金属塩類、オゾンおよび酸化銅、酸化水銀、酸化セ
リウム、二酸化マンガン、オスミウム酸のような酸化物
などが例示される。また、過酸化水素を塩化第一鉄と組
み合せて使用することも有効である。
【0063】縮合触媒としては、重金属塩類、過酸化物
あるいはハロゲンとその酸素酸のごとき酸化触媒が用い
られる。芳香族アミン化合物の少なくとも1種と芳香族
ニトロ化合物の少なくとも1種を前記した鉱酸および縮
合触媒の存在下で、 100〜250 ℃で10〜30時間加熱する
ことによって縮合物が得られる。最終生成物は芳香族ア
ミン化合物、芳香族ニトロ化合物、縮合触媒および鉱酸
の種類、組成比および反応温度、反応時間に影響され
る。混合比率は芳香族アミン化合物1モル当り、芳香族
ニトロ化合物は0.10モル〜0.50モルが好ましく、この範
囲の下限未満であると油溶性の重合触媒系でスケール防
止効果が低下し、上限を超えると最終生成物中に芳香族
ニトロ化合物が残存しスケール防止効果が低下する。ま
た、芳香族アミン化合物1モル当り、縮合触媒は0.03モ
ル〜0.50モル、鉱酸は0.20モル〜0.50モルが好ましい。
【0064】上記した縮合物をNaOH、KOH 、Na2CO3、NH
4OH 、(NH4)2CO3 などのアルカリもしくはアンモニウム
化合物でベース化したものも好適に使用される。このベ
ース化の方法としては、例えば、その対象縮合物 100重
量部を水に分散させ、これにアルカリもしくはアンモニ
ウム化合物10〜20重量部を加え、混合物を90〜140 ℃で
加熱処理する。アルカリもしくはアンモニウム化合物は
縮合時に使用した鉱酸を中和するのに足りる量であれば
よい。
【0065】ベース化物はトルエンあるいは塩化メチレ
ン、トリクロロエチレン、パークロロエチレンのごとく
不燃性溶剤である塩素化炭化水素に溶解する。したがっ
てベース化物は塗布に際し不燃性溶媒を使用できるとい
う利点がある。
【0066】9)特開平4-328104に記載のピロガロール
とアセトンとの縮合物:用いられるピロガロール−アセ
トンレジンは、ピロガロール−アセトンの縮合ポリマー
であり、通常、ピロガロール/アセトンのモル比が1/
0.1 〜1/10の範囲にあり、通常、融点 100〜500 ℃で
ある。融点は分子量が大きいほど高く、例えば、融点 1
60〜170 ℃は分子量1450〜1650に、融点 200〜220 ℃は
分子量2600〜4000に相当する。
【0067】このピロガロール−アセトンレジンは、ピ
ロガロールをアセトンに溶解し、縮合触媒の存在下で縮
合させることにより製造される。このとき、ピロガロー
ルは、アセトン 100重量部当り、通常、1〜100 重量部
用いられ、縮合触媒としては例えば、オキシエンカリン
等が使用される。反応は、室温〜100 ℃で行えばよい。
ピロガロール−アセトンレジンは、市販品(富士化学工
業(株)製)を入手して使用することもできる。
【0068】10)特開平5-112603に記載の芳香族アミン
化合物とキノン化合物と芳香族ヒドロキシ化合物との縮
合物:該縮合生成物は、(A) 芳香族アミン化合物と(B)
キノン化合物と(C) 芳香族ヒドロキシ化合物とを縮合す
ることにより得られる物質である。芳香族アミン化合物
(A) は、例えば下記のような一般式(1) 〜(3) で表され
る化合物である。
【0069】
【化9】 〔ここで、R1は−H、−NH2 、−Cl、−OH、−NO2 、−
COCH3 、−OCH3、−N(CH3)2 又は炭素原子数1〜3のア
ルキル基を表し、R2は、−H、−NH2 、−OH、−CH3
−COOH、−SO3Hを表す。〕
【0070】具体的には、アニリン、オルソ,メタもし
くはパラ−フェニレンジアミン、オルソ,メタもしくは
パラ−アミノフェノール、オルソ,メタもしくはパラ−
クロロアニリン、オルソ,メタもしくはパラ−ニトロア
ニリン、オルソ,メタもしくはパラ−メチルアニリン、
N,N−ジメチルパラフェニレンジアミン、4−クロロ
−オルソフェニレンジアミン、4−メトキシオルソフェ
ニレンジアミン、2−アミノ−4−クロロフェノール、
2,3−ジアミノトルエン、5−ニトロ−2−アミノフ
ェノール、2−ニトロ−4−アミノフェノール、4−ア
ミノ−2−アミノフェノール、オルソ,メタもしくはパ
ラ−アミノサリチル酸等が例示される。
【0071】
【化10】 〔ここで、二つのR1は、同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、二つのR2も同一でも異なってもよく、
前記のとおりである。〕 具体的には、4−アミノジフェニルアミン、2−アミノ
ジフェニルアミン、4,4′−ジアミノジフェニルアミ
ン、4−アミノ−3′−メトキシジフェニルアミン、4
−アミノ−4′−ヒドロキシジフェニルアミン等のジフ
ェニルアミン類が例示される。
【0072】
【化11】 〔ここで、二つのR1は、同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、R2も前記のとおりである。〕 具体的には、α−ナフチルアミン、β−ナフチルアミ
ン、1,5−ジアミノナフタリン、1−アミノ−5−ヒ
ドロキシナフタリン、1,8−ジアミノナフタリン、
2,3−ジアミノナフタリン等が例示される。
【0073】キノン化合物(B) は、例えば、オルソ, メ
タもしくはパラ−ベンゾキノン、トル−パラ−キノン、
オルソ−キシロ−パラ−キノン、チモキノン、2−メト
キシベンゾキノン、ゲンチシルキノン、ポリポール酸、
ユビキノンn等のベンゾキノン類及びこれらの誘導体;
6−メチル−1,4−ナフトキノン、2−メチル−1,
4ナフトキノン、ナフトキノン、ユグロン、ローソン、
ブルンバギン、アルカンニン、エキノクロムA、ビタミ
ンK1、ビタミンK2、シコニン、β, β′−ジメチルアク
リルシコニン、β- ヒドロキシイソワレルシコニン、テ
ラクリルシコニン等のナフトキノン類及びこれらの誘導
体; テクトキノン、3−ヒドロキシ−2−メチルアント
ラキノン、アントラキノン、2−ヒドロキシアントラキ
ノン、アリザリン、キサントブルブリン、ルビアジン、
ムンジスチン、クリソファン酸、カルミン酸、ケルメシ
ン酸、ラッカイン酸A等のアントラキノン類及びこれら
の誘導体;フェナントレンキノン等のフェナントレンキ
ノン類が挙げられる。これらの中で、ベンゾキノン類が
特に好ましい。芳香族ヒドロキシ化合物(C) は、例えば
一般式(4) 、(5) で表される化合物である。
【0074】
【化12】 〔ここで、R4は、−H、−Cl、−OH、−COCH3 、−OC
H3、−COOH、−SO3H又は炭素原子数1〜3のアルキル基
を表し、R5は、−H、−Cl、−OH、−OCH3、−OC2H5
は−COOHを表す。〕
【0075】具体的には、フェノール、ヒドロキノン、
レゾルシノール、カテコール、ヒドロキシヒドロキノ
ン、ピロガロール、オルソ,メタもしくはパラ−クロロ
フェノール、オルソ,メタもしくはパラ−ヒドロキシ安
息香酸、2,4−ジヒドロキシ安息香酸、2,5−ジヒ
ドロキシ安息香酸、2,6−ジヒドロキシ安息香酸、
3,4−ジヒドロキシ安息香酸、3,5−ジヒドロキシ
安息香酸、(2,5−、2,6−、3,5−)ジヒドロ
キシトルエン等のフェノール誘導体が例示される。
【0076】
【化13】 〔ここで、R4及びR5は前記のとおりである。〕 具体的には、α−ナフトール、β−ナフトール、(1,
3−、1,4−、1,5−、2,3−、2,6−,2,
7−)ジヒドロキシナフタリン、1−ヒドロキシ−2−
ナフトエ酸、3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸等のナフ
トール誘導体が例示される。
【0077】前記した芳香族アミン化合物(A) 、キノン
化合物(B) 及び芳香族ヒドロキシ化合物(C) の縮合は、
有機溶媒系媒体中、必要に応じて縮合触媒の存在下で行
われる。上記有機溶媒系媒体のpHは1〜13の範囲であ
り、好ましくは、pH4〜10である。pH調製剤は特に制約
されることなく使用することができ、酸性化合物として
は、例えば、リン酸、硫酸、フィチン酸、酢酸等が使用
され、アルカリ性化合物としては、例えば、LiOH、KOH
、NaOH、Na2CO3、Na2SiO3 、Na2HPO4 、NH4OH 等のア
ルカリ金属化合物或いはアンモニウム化合物、エチレン
ジアミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミ
ン等の有機アミン化合物等が使用される。
【0078】縮合反応の媒体としては、有機溶媒、例え
ばアルコール類、ケトン類、エステル類等;水と混和性
を有する有機溶媒と水の混合溶媒が好ましい。水と混和
性を有する媒体としては、例えばメタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル
等のエステル類が使用できる。
【0079】また、必要に応じて縮合触媒が使用される
が、縮合触媒としては、α,α′−アゾビスイソブチロ
ニトリル、α,α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレ
ロニトリル等のアゾ触媒、ヨウ素、臭素、塩素等の元素
ないし分子状の単体ハロゲン、過酸化水素、過酸化ナト
リウム、ベンゾイルパーオキサイド、過硫酸カリウム、
過硫酸アンモニウム、過酢酸、キュメンハイドロパーオ
キサイド、過安息香酸、p−メンタンハイドロパーオキ
サイド等の過酸化物、ヨウ素酸、過ヨウ素酸、過ヨウ素
酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等の酸素酸あるいは酸
素酸塩が例示される。なお、キノン化合物が縮合触媒と
して作用するので、縮合触媒を使用しなくても縮合反応
は行われる。
【0080】芳香族アミン化合物(A) の少なくとも1種
以上、キノン化合物(B) の少なくとも1種以上及び芳香
族ヒドロキシ化合物(C) の少なくとも1種以上を、前記
した有機溶媒系媒体中で、必要に応じて縮合触媒下、室
温〜200 ℃で0.5 〜100 時間反応することにより、縮合
生成物が得られる。縮合生成物は芳香族アミン化合物、
キノン化合物、芳香族ヒドロキシ化合物の種類、組成比
及び反応温度、反応時間に影響されるが、本発明におい
ては、芳香族アミン化合物(A) 1モル当たり、キノン化
合物(B) を0.03〜1.0 モルとすることが好ましい。
【0081】11)特開平6-56911 に記載の芳香族アミン
化合物(A) とキノン化合物(B) との縮合物:芳香族アミ
ン化合物(A) は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及び
スルホン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有
する芳香族アミン化合物(A-1) 、並びにヒドロキシル
基、カルボキシル基及びスルホン基のいずれも有しない
芳香族アミン化合物(A-2) に分けられる。
【0082】〔(A-1) ヒドロキシル基、カルボキシル基
及びスルホン基からなる群から選ばれる少なくとも1種
を有する芳香族アミン化合物〕化合物(A-1) は、例え
ば、下記のような一般式(6) 〜(8) で表される化合物で
ある。
【0083】
【化14】 (ここで、mは1〜5の整数であり、R1 は−OH,−CO
OH,及び−SO3 H からなる群から選ばれる少なくとも1
種であり、R2 は−H,−NH2 ,−Cl,−NO2 ,−COCH
3 ,− OCH3 ,−N(CH3 ) 2 及び炭素原子数1〜3のア
ルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であ
る。R1 が複数存在する場合にはそれらは同一でも異な
ってもよく、R2 が複数存在する場合にはそれらは同一
でも異なってもよい。)
【0084】具体的には、o-, m-もしくはp-アミノフェ
ノール、2-アミノ-4- クロロフェノール、5-ニトロ-2-
アミノフェノール、2-ニトロ-4- アミノフェノール、4-
ニトロ-2- アミノフェノール、o-, m-もしくはp-アミノ
安息香酸、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-、3,5-もしく
は4,6-ジアミノ安息香酸、3-もしくは4-アミノフタル
酸、2-、4-もしくは5-アミノイソフタル酸、4,6-ジアミ
ノイソフタル酸、2,5-もしくは2,6-ジアミノテレフタル
酸、3-、4-もしくは5-アミノサリチル酸、4-オキシアン
トラニル酸、o-, m-もしくはp-アミノベンゼンスルホン
酸、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-もしくは3,5-ジアミ
ノベンゼンスルホン酸、2-アミノ-1- フェノール-4- ス
ルホン酸、6-アミノ-4- ニトロ-1- フェノール-2- スル
ホン酸、6-アミノ-4- クロロ-1- フェノール-2- スルホ
ン酸等が例示される。
【0085】
【化15】 (ここで、m、R1 及びR2 は一般式(6) に定義のとお
りであり、nは0〜5の整数であり、R1 が複数存在す
る場合にはそれらは同一でも異なってもよく、R2 が複
数存在する場合には、それらは同一でも異なってもよ
い。) 具体的には、4-ヒドロキシジフェニルアミン、4-アミノ
-4′- ヒドロキシジフェニルアミン、4-カルボキシジフ
ェニルアミン、4-アミノ-4′- カルボキシジフェニルア
ミン、4-スルホジフェニルアミン、4-アミノ-4′- スル
ホジフェニルアミン等が例示される。
【0086】
【化16】 (ここで、pは0〜4の整数であり、qは0〜3の整数
であり、pとqは同時に0とはならない。また、R2
一般式(6) に定義のとおりであり、R3 は−OH,−COO
H,−CH2 COOH,−CH2 CH2 COOH,及び−SO3 H からな
る群から選ばれる少なくとも1種であり、R2 が複数存
在する場合にはそれらは同一でも異なってもよく、R3
が複数存在する場合には、それらは同一でも異なっても
よい。) 具体的には、4-アミノ-1- ナフトール、1-アミノ-5- ナ
フトール、1,2-ナフチレンジアミン-7- カルボン酸、1,
5-ナフチレンジアミン-2- カルボン酸、1,5-ナフチレン
ジアミン-4- カルボン酸、1,6-ナフチレンジアミン-4-
カルボン酸、1,8-ナフチレンジアミン-4- カルボン酸、
1,2-ナフチレンジアミン-3- スルホン酸、1,2-ナフチレ
ンジアミン-4- スルホン酸、1,2-ナフチレンジアミン-5
- スルホン酸、1,2-ナフチレンジアミン-6- スルホン
酸、1,2-ナフチレンジアミン-7- スルホン酸、1,3-ナフ
チレンジアミン-5- スルホン酸、1,3-ナフチレンジアミ
ン-6- スルホン酸、1,4-ナフチレンジアミン-2- スルホ
ン酸、1,4-ナフチレンジアミン-7- スルホン酸、1,5-ナ
フチレンジアミン-2- スルホン酸、1,5-ナフチレンジア
ミン-4- スルホン酸、1,5-ナフチレンジアミン-7- スル
ホン酸、1,6-ナフチレンジアミン-2- スルホン酸、1,6-
ナフチレンジアミン-4- スルホン酸、1,6-ナフチレンジ
アミン-7- スルホン酸、1,8-ナフチレンジアミン-4- ス
ルホン酸、1,8-ナフチレンジアミン-3,6- ジスルホン
酸、1,8-ナフチレンジアミン-4,5- ジスルホン酸、α-
アミノ- β- ナフタレンプロピオン酸、α- アミノ- β
- ナフタレンカルボン酸、2-ナフチルアミン-1- スルホ
ン酸、8-ナフチルアミン-1- スルホン酸、5-ナフチルア
ミン-1- スルホン酸、1-アミノ-2- ナフトール-4- スル
ホン酸、2-アミノ-8- ナフトール-6- スルホン酸 (γ
酸) 、2-アミノ-5- ナフトール-7- スルホン酸 (J
酸)、1-アミノ-8- ナフトール-3,6- ジスルホン酸 (H
酸)等が例示される。
【0087】化合物(A-1) の中で好ましいものは、o-,
m-もしくはp-アミノフェノール、2,4-もしくは2,5-ジア
ミノベンゼンスルホン酸、2,3-、2,4-、2,5-、3,4-もし
くは3,5-ジアミノ安息香酸、4,6-ジアミノイソフタル
酸、2,5-もしくは2,6-ジアミノテレフタル酸、2,5-もし
くは2,6-ジアミノテレフタル酸、1,2-ナフチレンジアミ
ン-7- スルホン酸、1,5-もしくは1,6-ナフチレンジアミ
ン-4- スルホン酸及び1,5-もしくは1,6-ナフチレンジア
ミン-4- カルボン酸である。
【0088】〔(A-2) ヒドロキシル基、カルボキシル基
及びスルホン基のいずれも有しない芳香族アミン化合
物〕化合物(A-2) は、例えば、下記のような一般式(9)
〜(11)で表される化合物である。
【0089】
【化17】 (ここで、複数のR2 は同一でも異なってもよく、一般
式(6) に定義のとおりである。)
【0090】具体的には、アニリン、o-, m-もしくはp-
フェニレンジアミン、o-, m-もしくはp-クロロアニリ
ン、o-,m- もしくはp-ニトロアニリン、o-,m- もしくは
p-メチルアニリン、N,N-ジメチル- p-フェニレンジアミ
ン、4-クロロ- o-フェニレンジアミン、4-メトキシ- o-
フェニレンジアミン、2,3-ジアミノトルエン等が例示さ
れる。
【0091】
【化18】 (ここで、複数のR2 は同一でも異なってもよく、一般
式(6) に定義のとおりである。) 具体的には、4-アミノジフェニルアミン、2-アミノジフ
ェニルアミン、4,4 ′- ジアミノジフェニルアミン、4-
アミノ-3′- メトキシジフェニルアミン等が例示され
る。
【0092】
【化19】 (ここで、複数のR2 は同一でも異なってもよく、一般
式(6) に定義のとおりである。) 具体的には、α- ナフチルアミン、β- ナフチルアミ
ン、1,5-ジアミノナフタリン、1,8-ジアミノナフタリ
ン、2,3-ジアミノナフタリン等が例示される。化合物(A
-2) の中で好ましいものは、o-, m-もしくはp-フェニレ
ンジアミン、2-もしくは4-アミノジフェニルアミン、
4,4′- ジアミノジフェニルアミン及び1,5-もしくは1,8
-ジアミノナフタリンである。
【0093】芳香族アミン化合物(A) は、一種単独でも
2種以上を組み合わせても使用可能である。芳香族アミ
ン化合物(A) としては、上記の化合物(A-1) 及び化合物
(A-2) の少なくとも1種を使用し、好ましくは、化合物
(A-1) を使用し、更に好ましくは、化合物(A-1) 及び化
合物(A-2) を併用する。
【0094】キノン化合物(B) は、例えば下記のような
一般式(12)〜(15)で表される化合物である。
【0095】
【化20】
【0096】
【化21】 (ここで、R4 は、-H, -NH2 , -Cl, -Br, -OH, -NO2
, -COCH3 , -OCH3 ,-N(CH3 ) 2又は炭素原子数1〜3
のアルキル基を表し、R5 は -H, -NH2 , -OH,-CH3 , -
COOH 又は -SO3 H を表す。)
【0097】具体的には、o-, m-もしくはp-ベンゾキノ
ン、オキシ- p-ベンゾキノン、クロル- p-ベンゾキノ
ン、ブロム- p-ベンゾキノン、ジュロキノン、クロルア
ニル等が例示される。
【0098】
【化22】
【0099】
【化23】 (ここで、R4 及びR5 は一般式(12)に定義のとおりで
あり、R6 は -H, -OH,-CH3 , -Cl, -Br, -COCH3 , -OC
H3 , -COOH又は -SO3 H を表す。) 具体的には、6-メチル-1,4- ナフトキノン、2-メチル-
1,4- ナフトキノン、ローソン、ユグロン、プルンバギ
ン、α- ナフトキノン、β- ナフトキノン等が例示され
る。
【0100】上記のキノン化合物の中で好ましいもの
は、o-もしくはp-ベンゾキノン、α-もしくはβ- ナフ
トキノン及びローソンである。尚、上記のキノン化合物
は、単独でも2種以上の組合せであっても使用可能であ
る。
【0101】前記芳香族アミン化合物(A) とキノン化合
物(B) との縮合生成物は、(A) 成分及び(B) 成分を、適
当な媒体中、必要に応じて触媒存在下、通常、室温〜20
0 ℃で 0.5〜100 時間、好ましくは室温〜150 ℃で3〜
30時間反応させることにより製造される。
【0102】キノン化合物(B) は縮合触媒としても作用
するので、通常特に他の縮合触媒を添加する必要はない
が、他の縮合触媒を添加する場合に使用可能な縮合触媒
としては、例えば、α,α′─アゾビスイソブチロニト
リル、α,α′─アゾビス─2,4-ジメチルバレロニトリ
ル等のアゾ化合物、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等の元
素ないし分子状の単体ハロゲン、過酸化水素、過酸化ナ
トリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無
機過酸化物、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、キュ
メンハイドロパーオキサイド、過安息香酸、p-メンタン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、ヨウ素酸、
過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム
等の酸素酸あるいは酸素酸塩、塩化第一鉄、塩化第二
鉄、硫酸銅、塩化第一銅等の金属塩、ニトロベンゼン、
o-, m-もしくはp-オキシニトロベンゼン、o-, m-もしく
はp-ニトロアニソール、o-, m-もしくはp-クロロニトロ
ベンゼン、o-, m-もしくはp-ニトロ安息香酸、o-, m-も
しくはp-ニトロベンゼンスルホン酸等の芳香族ニトロ化
合物等が挙げられる。
【0103】上記の縮合反応を行う媒体としては、例え
ば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒
が挙げられ、例えば、メタノール、エタノール、プロパ
ノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエステ
ル類、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジ
メチルアセトアミド、トルエン、キシレンなどが挙げら
れる。
【0104】上記縮合反応を行う媒体のpHは、通常1〜
13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用すること
ができる。
【0105】縮合反応を行う際の芳香族アミン化合物
(A) とキノン化合物(B) の割合は、使用する芳香族アミ
ン化合物、キノン化合物及び溶媒の種類、反応温度、反
応時間等に影響されるが、通常、芳香族アミン化合物
(A) 1重量部当たり、キノン化合物(B) を0.01〜10重量
部とすることが好ましく、更に、 0.1〜5重量部とする
ことが好ましい。キノン化合物(B) が多すぎても少なす
ぎても得られる縮合生成物の重合体スケール付着防止効
果が低下する。
【0106】重合体スケール付着防止効果をより向上さ
せるためには、上記したように(A)成分として(A-1) を
使用するのが好ましく、更に、(A-1) 及び(A-2) を併用
するのが好ましい。(A) 成分として(A-1) 及び(A-2) を
併用すると、恐らく、得られる化合物(A-1) 、化合物(A
-2) 及びキノン化合物(B) の縮合生成物を後述のアルカ
リ性溶液として重合器内壁面等に塗布した場合に、該縮
合生成物の該重合器内壁面等への付着性が向上するため
であると推定される。上記2種類の芳香族アミン化合物
(A-1) 及び(A-2) を併用する場合、化合物(A-1) 1重量
部当たり、化合物(A-2) を0.01〜10重量部使用するのが
好ましく、更に、 0.1〜5重量部使用するのが好まし
い。
【0107】上記の(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物
の縮合度が高すぎると、縮合生成物を後述のアルカリ性
溶液とした場合に縮合生成物の沈殿が生じ、塗布液が不
均一になり、重合体スケール付着防止効果が低下するこ
とがある。そこで、(A) 成分と(B) 成分との縮合反応中
の適当な時期に反応停止剤(C) を添加して、縮合生成物
の縮合度を調節するのが好ましい。また、反応停止剤
(C) を添加しておくと、縮合生成物の長期保存も可能と
なる。
【0108】上記の反応停止剤(C) としては、例えば、
下記のような無機還元剤(C-1) 、芳香族ヒドロキシ化合
物(C-2) 及び芳香族ヒドロキシ化合物系縮合生成物(C-
3) が挙げられる。
【0109】〔(C-1) 無機還元剤〕無機還元剤(C-1) と
しては、具体的には、水素、ヨウ化水素、臭化水素、硫
化水素、水素化アルミニウムリチウム、水素化ホウ素ナ
トリウム、水素化ホウ素カルシウム、水素化ホウ素亜
鉛、水素化ホウ素テトラアルキルアンモニウム、トリク
ロロシラン、トリエチルシラン等の水素化物、一酸化炭
素、二酸化イオウ、チオ硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナ
トリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、重亜硫
酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリウム等の低級酸化物
又は低級酸素酸塩、ロンガリット、硫化ナトリウム、ポ
リ硫化ナトリウム、硫化アンモニウム等のイオウ化合
物、ナトリウム、リチウム等のアルカリ金属、マグネシ
ウム、カルシウム、アルミニウム、亜鉛等の電気的陽性
の大きい金属又はそれらのアマルガム、硫酸鉄(II)、塩
化すず(II)、三塩化チタン(III) 等の低原子価状態にあ
る金属の塩類、三塩化リン、三ヨウ化リン、トリメチル
ホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリメチルホス
フィット、ヘキサメチルホスホラストリアミド等のリン
化合物、ヒドラジン、ジボラン、エタン─1,2 ─ジアミ
ノボラン、ジメチルアミン─ボラン、ピリジンボラン等
のジボラン及び置換ボラン等が例示される。これらの中
で好ましいものは、ヨウ化水素、臭化水素、水素化ホウ
素ナトリウム、二酸化イオウ、チオ硫酸ナトリウム、チ
オ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、重亜硫酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリウム、ロ
ンガリットである。
【0110】〔(C-2) 芳香族ヒドロキシ化合物〕芳香族
ヒドロキシ化合物(C-2) は、例えば下記のような一般式
(16)〜(18)で表される化合物である。
【0111】
【化24】 (ここで、R7 は、−H,−Cl,−OH,−COCH3 ,− O
CH3 ,−COOH,−SO3 H又は炭素数1〜3のアルキル基
を表し、R8 は、−H,−Cl,−OH,− OCH3 ,−OC2
H 5 又は−COOHを表す。)
【0112】具体的には、フェノール、ヒドロキノン、
レゾルシノール、カテコール、ヒドロキシヒドロキノ
ン、ピロガロール、o-, m-もしくはp-クロロフェノー
ル、o-,m-もしくはp-ヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒド
ロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒ
ドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジ
ヒドロキシ安息香酸、2,5-、2,6-もしくは3,5-ジヒドロ
キシトルエン等が例示される。これらの中で好ましいも
のは、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ヒ
ドロキシヒドロキノン、o-, m-もしくはp-ヒドロキシ安
息香酸及びピロガロールである。
【0113】
【化25】 (ここで、二つのR7 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、R8 も前記のとおりである。) 具体的には、α- ナフトール、β- ナフトール、1,3-、
1,4-、1,5-、2,3-、2,6-もしくは2,7-ジヒドロキシナフ
タリン、1-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2
- ナフトエ酸等が例示される。これらの中で好ましいも
のは、α- ナフトール、β- ナフトール及び1,3-もしく
は2,7-ジヒドロキシナフタリンである。
【0114】
【化26】 (ここで、二つのR7 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、R8 も前記のとおりである。) 具体的には、2-ヒドロキシビフェニル、3-ヒドロキシビ
フェニル、4-ヒドロキシビフェニル、2,2'−ジヒドロキ
シビフェニル、5,5'−ジヒドロキシビフェニル、4,4'−
ジヒドロキシビフェニル等が挙げられる。
【0115】〔(C-3) 芳香族ヒドロキシ化合物系縮合
体〕芳香族ヒドロキシ化合物系縮合体は、上記の芳香族
ヒドロキシ化合物(C-2) を必須の縮合成分とする縮合体
であり、上記の芳香族ヒドロキシ化合物(C-2) 単独の縮
合体、該化合物(C-2) と他の化合物、例えばアセトン、
アルデヒド、芳香族アミン化合物等との縮合体、芳香族
系ヒドロキシル基含有天然有機化合物及びフラボノイド
系ヒドロキシル基含有天然有機化合物が挙げられる。
【0116】〔(C-3-1) 芳香族ヒドロキシ化合物単独の
縮合体〕前記に例示のいずれの芳香族ヒドロキシ化合物
(C-2) も縮合反応により縮合体が得られるが、代表的な
例としては、ピロガロール、レゾルシノール、カテコー
ル、2,7-ジヒドロキシナフタリン、2-ヒドロキシナフト
キノン等のそれぞれの縮合体が挙げられる。この縮合体
は、芳香族ヒドロキシ化合物を水中、アルコール類、ケ
トン類、及びエステル類等の有機溶媒中又は水と前記有
機溶媒との混合溶媒中で、過酸化物、アゾ化合物、ニト
ロ化合物、ハロゲン化合物、キノン類、金属塩等の触媒
存在下、室温〜100 ℃程度で反応させることにより得ら
れる。前記触媒としては、具体的には、過ヨウ素酸、過
ヨウ素酸カリウム、過酸化水素等の過酸化物;α、α’
−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;塩化第
二鉄等の金属塩;ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合
物;p−ベンゾキノン等の芳香族キノン化合物が例示さ
れる。
【0117】〔(C-3-2) 芳香族ヒドロキシ化合物−アセ
トン縮合体〕上で例示の芳香族ヒドロキシ化合物(C-2)
とアセトンとの縮合体はいずれも使用することができ
る。代表的な例としては、ピロガロール−アセトン縮合
体、レゾルシノール−アセトン縮合体、2,7-ジヒドロキ
シナフタリン−アセトン縮合体、1,5-ジヒドロキシナフ
タリン−アセトン縮合体、2,6-ジヒドロキシナフタリン
−アセトン縮合体、2,3-ジヒドロキシナフタリン−アセ
トン縮合体、2-ヒドロキシナフトキノン−アセトン縮合
体、アリザリン−アセトン縮合体等が挙げられる。上記
縮合体は、芳香族ヒドロキシ化合物をアセトンに溶解
し、触媒の存在下、室温〜100 ℃程度で反応させること
により得られる。前記触媒としては、オキシ塩化リン等
が例示される。
【0118】〔(C-3-3) 芳香族ヒドロキシ化合物−アル
デヒド縮合体〕縮合体の他方の成分であるアルデヒドと
しては、例えば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒ
ド、グリオキサール、グルタルアルデヒド、ベンドアル
デヒド等が挙げられる。上で例示の芳香族ヒドロキシ化
合物とアルデヒドとの縮合体はいずれも使用することが
できる。代表的な例としては、フェノール、ヒドロキノ
ン、カテコール、ピロガロール、2,7-ジヒドロキシナフ
タリン、1,5-ジヒドロキシナフタリン、2,3-ジヒドロキ
シナフタリン、アリザリン、アントラフラビン酸、又は
1,4,5,8-テトラヒドロキシナフタリン等とホルムアルデ
ヒドとの縮合体、ピロガロール−ベンズアルデヒド縮合
体、フェノール−ベンズアルデヒド縮合体、2,3-ジヒド
ロキシナフタリン−ベンズアルデヒド縮合体、カテコー
ル−ベンズアルデヒド縮合体、アントラフラビン酸−ベ
ンズアルデヒド縮合体、2,7-ジヒドロキシナフタリン−
ベンズアルデヒド縮合体、1,4,5,8-テトラヒドロキシナ
フタリン−ベンズアルデヒド縮合体、1,5-ジヒドロキシ
ナフタリン−ベンズアルデヒド縮合体等が挙げられる。
この縮合体は、芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒドと
を水性又はアルコール性溶媒中、触媒の存在下、室温〜
200 ℃程度で反応させることにより得られる。前記触媒
としては、リン酸、塩酸等の酸性化合物、水酸化ナトリ
ウム、水酸化カリウム、アンモニア等のアルカリ性化合
物等が例示される。
【0119】〔(C-3-4) 芳香族ヒドロキシ化合物−芳香
族アミン化合物縮合体〕この縮合体の他方の縮合成分で
ある芳香族アミン化合物としては、本発明の重合体スケ
ール付着防止剤の(A) 成分として既に説明したものが挙
げられる。芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族アミン化合
物との組み合わせは特に制約されない。代表的な例とし
ては、ピロガロール−p−フェニレンジアミン縮合体、
レゾルシノール−m−フェニレンジアミン縮合体、ピロ
ガロール -1,8-ジアミノナフタリン縮合体、カテコール
-1,8- ジアミノナフタリン縮合体、2,7-ジヒドロキシナ
フタリン−p−アミノフェノール縮合体、4-アミノジフ
ェニルアミン−ピロガロール縮合体、2,3-ジヒドロキシ
ナフタリン-1,5- ジアミノナフタリン縮合体等が挙げら
れる。この縮合体は、芳香族ヒドロキシ化合物と芳香族
アミン化合物とを水中、アルコール類、ケトン類、エス
テル類等の有機溶媒中又は水と前記有機溶媒との混合溶
媒中、触媒の存在下、室温〜200 ℃程度で反応させるこ
とにより得られる。前記触媒としては、過ヨウ素酸、過
ヨウ素酸カリウム、過酸化水素等の過酸化物;α、α’
−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;塩化第
二鉄等の金属塩;ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合
物;p−ベンゾキノン等の芳香族キノン化合物が例示さ
れる。
【0120】〔(C-3-5) 芳香族系ヒドロキシル基含有天
然有機化合物〕芳香族系ヒドロキシル基含有天然有機化
合物としては、五倍子タンニン、スマックタンニン、タ
ラタンニン、バロニアタンニン、チェスナットタンニ
ン、ミロバランタンニン、オークタンニン、ディビディ
ビタンニン、アルガロビアタンニン、ガンビアタンニ
ン、ケブラチョタンニン、ワットルタンニン、ミモザタ
ンニン、マングローブタンニン、ヘムロックタンニン、
スプルースタンニン、ビルマカッチタンニン、カシワ樹
皮タンニン、カキ渋タンニン、クルクミン、ウルシオー
ル、リグニン、リグニンスルホン酸ナトリウム塩、アル
カリ・リグニン等が例示される。
【0121】〔(C-3-6) フラボノイド系ヒドロキシル基
含有天然有機化合物〕フラボノイド系ヒドロキシル基含
有天然有機化合物としては、具体的には、シソ色素、ブ
ドウ果汁色素、ブドウ果皮色素、赤キャベツ色素、コー
ン色素、コーリャン色素、紅花色素、カカオ色素等が例
示される。
【0122】上記した芳香族ヒドロキシ化合物縮合体(C
-3-1) 〜(C-3-6) の中で好ましいものは、ピロガロール
−アセトン縮合体、2,7-ジヒドロキシナフタリン−アセ
トン縮合体、2,3-ジヒドロキシナフタリン−アセトン縮
合体、レゾルシノール−アセトン縮合体、2,7-ジヒドロ
キシナフタリン−ベンズアルデヒド縮合体、2,3-ジヒド
ロキシナフタリン−ホルムアルデヒド縮合体、1,4,5,8-
テトラヒドロキシナフタリン−ベンズアルデヒド縮合
体、ピロガロール−ホルムアルデヒド縮合体、2,7-ジヒ
ドロキシナフタリン縮合体、ピロガロール縮合体、2,7-
ジヒドロキシナフタリン−p−アミノフェノール縮合
体、カテコール-4- アミノジフェニルアミン縮合体、ピ
ロガロール−1,8-ジアミノナフタリン縮合体、五倍子タ
ンニン、ワットルタンニン、ミモザタンニン、オークタ
ンニン、ヘムロックタンニン、ケブラチョタンニン、チ
ェスナットタンニン、カキ渋タンニン及びマングローブ
タンニンである。
【0123】反応停止剤は、そのままか、或いは上記し
た縮合反応に使用する溶媒などの適当な溶媒に溶解して
添加すればよい。反応停止剤(C) は、(A) 成分と(B) 成
分との縮合反応を開始させた後に添加すればよく、好ま
しくは、(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物析出直前、
即ち、(A) 成分及び(B) 成分の種類、反応速度等により
異なるが、(A) 成分及び(B) 成分の縮合反応転化率が50
〜99重量%に達したときに添加する。縮合反応転化率
は、下記式により求められる。 縮合反応転化率(重量%)={(a−b)/a}× 100
【0124】反応停止剤(C) の添加量は、(A) 成分と
(B) 成分の合計1重量部当たり、0.01〜10重量部とする
のが好ましく、更に、 0.1〜5重量部とするのが好まし
い。12)WO 88/05055 に記載のポリビニルアルコールと
アミノ安息香酸との反応生成物:即ち式:
【0125】
【化27】 [式中、R1 ,R2 及びR3 は同一でも異なってもよ
く、水素原子又はアミノ基(NH2 )であり、ただしこ
れら置換基の少なくとも1つはアミノ基である。m,n
及びpは、それぞれ、m>2,n≧0及びp≧0の整数
である。]で表される部分ケン化ポリビニルアセテート
のアミノ安息香酸エステル。
【0126】このエステルは、次のようにして得られ
る。まず、部分ケン化ポリビニルアセテートと式(i)
【0127】
【化28】 [式中、R' ,R''及びR''' は同一でも異なってもよ
く、水素原子又はニトロ基(−NO2 )であり、ただし
これら置換基のすくなくとも1つはニトロ基である。]
で表される酸ハロゲン化物とを、適当な媒体中、触媒の
存在下、室温〜200 ℃で1〜50時間反応させ、式(ii):
【0128】
【化29】 [式中、R' ,R''及びR''' は前記のとおりであり、
m,n及びpはそれぞれm>2,n≧0,p≧0の整数
である。]で表される化合物を得る。次に、この化合物
を、パラジウム触媒の存在下、トリエタノールアンモニ
ウム一蟻酸により還元することにより、所要のアミノ安
息香酸エステルが得られる。
【0129】これらの共役π結合化合物の中でも好まし
いものは、芳香族アミン化合物とキノン化合物との縮合
物、芳香族アミン化合物と芳香族にニトロ化合物との縮
合物、及び芳香族アミン化合物とキノン化合物と芳香族
ヒドロキシ化合物との縮合物である。
【0130】スケール付着防止剤を塗布する際の塗布液
中の共役π結合化合物の濃度は0.01〜5.0 の範囲が好ま
しく、より好ましくは0.05〜2.0 である。
【0131】上記の重合体スケール付着防止剤は、スケ
ールの付着防止効果をより向上させるため、無機コロイ
ド及びアルカリ金属のケイ酸塩からなる群から選ばれる
少なくとも1種を含有することが好ましい。該添加剤
は、恐らく共役π結合化合物と相互作用して、得られる
スケール付着防止剤からなる塗膜の表面の親水性を高め
たり、重合体スケール付着防止剤の重合器内壁への付着
を高めたりする作用があると推定される。
【0132】無機コロイドとしては、例えば、アルミニ
ウム、トリウム、チタン、ジルコニウム、アンチモン、
スズ、鉄等から選択される金属の酸化物及び水酸化物の
コロイド、タングステン酸、五酸化バナジウム、金及び
銀のコロイド、ヨウ化銀ゾル、セレン、イオウ、シリカ
等のコロイド等が挙げられる。これらの中で好ましいも
のは、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ及び
鉄から選択される金属の酸化物及び水酸化物のコロイ
ド、並びにコロイドシリカである。無機コロイドはどの
ような製造方法で得られたものでもよく、製造方法は特
に限定されない。例えば、水を分散媒とする分散法や、
凝集法により製造される粒子コロイドでよい。コロイド
粒子の大きさは1〜500mμが好ましい。
【0133】アルカリ金属のケイ酸塩としては、例え
ば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
のメタケイ酸塩(M 2 SiO 3 ) 、オルトケイ酸塩(M 4 S
iO4 )、二ケイ酸塩(M2 Si2 O 3 ) 、三ケイ酸塩(M3 Si
3 O 7 ) 、セスキケイ酸(M4 Si3 O 10) 等(なお、ここ
でMはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属を示す。)、並びに水ガラスが挙げられる。
【0134】無機コロイド及びアルカリ金属ケイ酸塩
は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用可能で
ある。
【0135】また、無機コロイド及びアルカリ金属ケイ
酸塩から選ばれる成分の量は、前記共役π結合化合物1
重量部当たり、通常、0.01〜10重量部であり、好ましく
は、0.05〜5重量部である。
【0136】また、上記の重合体スケール付着防止剤
は、重合体スケール付着防止効果をより向上させるた
め、水溶性高分子化合物を含有することが好ましい。こ
れも、恐らく共役π結合化合物と相互作用して塗膜表面
の親水性を高める作用があるためと推定される。
【0137】水溶性高分子化合物としては、例えば、ゼ
ラチン、カゼイン等の両性高分子化合物;例えば、ポリ
アクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメチ
ルセルロース、アルギン酸等のアニオン性高分子化合
物;例えば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミ
ド等のカチオン性含窒素高分子化合物;例えば、ポリビ
ニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロ
キシプロピルセルロース、ペクチン等のヒドロキシル基
含有高分子化合物等が例示される。さらに、上記の重合
体スケール付着防止剤は得られる重合体製品の初期着色
が悪化しない程度に染料及び/顔料を含有してもよい。
【0138】工程(D) こうして重合体スケール防止性の塗膜が形成された重合
器に次重合のための原原材料が通常行われる如く仕込ま
れる。次いで、前記の工程(A) 〜(D) が必要な回数繰り
返される。本発明の方法は、水性媒体中における塩化ビ
ニル単量体の単独重合および塩化ビニル単量体を含むビ
ニル系単量体混合物(通常、塩化ビニルを50重量%以
上含む)の共重合に適用することができる。重合の形式
は懸濁重合でも乳化重合でもよい。塩化ビニル単量体と
の共重合に供し得るビニル系単量体としては、例えば、
酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステ
ル、アクリル酸、メタクリル酸あるいはそれらのエステ
ルまたは塩、マレイン酸またはフマル酸、およびそれら
のエステルまたは無水物、ブタジエン、クロロプレン、
イソプレンのようなジエン系単量体、さらにスチレン、
アクリロニトリル、ハロゲン化ビニリデン、ビニルエー
テルなどが挙げられる。
【0139】本発明の方法を実施する際のその他の条件
は塩化ビニル単量体又はそれを主体とするビニル系単量
体混合物の水性媒体中での懸濁重合や乳化重合で通常用
いられている条件でよい。重合触媒として、例えば、t
−ブチルパーオキシネオデカネート、ジ−2−エチルヘ
キシルパーオキシジカーボネート、3,5,5−トリメ
チルヘキサノエルパーオキサイド、α−クミルパーオキ
シネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイド、
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シピバレート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカ
ーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパ
ーオキサイド、2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサ
イド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネートおよび
アセチルシクロヘキシルパーオキサイドのごとき有機過
酸化物、α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α、
α′−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリルのご
ときアゾ触媒、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの
ごとき水溶性過酸化物等が用いることはできる。また、
分散剤としては、例えば、ポリ酢酸ビニルの部分酸化
物、ポリアクリル酸、酢酸ビニルと無水マレイン酸の共
重合体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースのごとき
セルロース誘導体、およびゼラチンのごとき天然および
合成高分子化合物等のごとき懸濁剤、ソルビタンモノラ
ウレート、ソルビタントリオレートのごときノニオン性
乳化剤、ラウリルスルフォン酸ソーダ、アルキルベンゼ
ンスルフォン酸ソーダのごときアニオン性乳化剤等の乳
化剤が用いられ、その他添加剤として炭酸カルシウム、
酸化チタンなどの充てん剤、三塩基性硫酸鉛、ステアリ
ン酸カルシウム、ジブチルすずジラウレート、ジオクチ
ルすずメルカプチドなどの安定剤、ライスワックス、ス
テアリン酸、セチルアルコールなどの滑剤、DOP 、DBP
などの可塑剤、トリクロロエチレン、メルカプタン類な
どの連鎖移動剤、pH調節剤などが重合系に加えられる。
本発明の方法によれば、このような触媒、分散剤、添加
物の種類によらず、重合体スケールの付着を効果的に防
止することができる。
【0140】
【作用】工程(B) 及び(C) を重合器内を器外雰囲気から
遮断した状態で行うことがどのようにスケール付着防止
の向上に寄与するかは不明である。通常スケール付着防
止剤液は重合器が外気に開放された状態で器内に塗布さ
れているので器内は空気で置換されている事実を考慮す
ると、恐らく本発明の方法によれば、重合器の内壁面に
吸着する酸素や微少なゴミが減少すること、あるいはス
ケール付着防止剤膜に吸着する酸素が減少することと、
反応混合物中の塩素イオン濃度が50ppm 以下に制御され
ることとが何らかの相乗作用をもたらし、その結果得ら
れる重合体の初期着色が減少し、スケール付着量が顕著
に減少するものと推定される。
【0141】
【実施例】以下実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細
に説明する。なお、「部」は「重量部」を意味する。
【0142】縮合生成物の製造 以下の製造例において、得られた縮合生成物の分子量は
次のようにして測定した。
【0143】・分子量の測定 ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)によ
り、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均分
子量を測定した。 カラム: ガードカラム 商品名 slim-pack GPC-800DP、島津製作所社製 分析カラム 商品名 slim-pack GPC-803D 、802D、島津製作所社製 移動相: 10mM LiBr/DMF 流量 : 1.0ml/min 検出器: RI 温度 : 60℃
【0144】製造例1 縮合生成物No.1の製造 耐圧反応器にメタノール30,000モル(960kg)、1,8−
ジアミノナフタリン100 モル(15.8kg)、パラベンゾキノ
ン50モル(5.4kg) 、ピロガロール250 モル(31.5kg)を仕
込み、撹拌しながら80℃に昇温した。80℃で5時間反応
させた後、冷却し、縮合生成物のメタノール溶液を得
た。このようにして縮合生成物No.1の溶液を得た。縮合
生成物No.1の重量平均分子量は2,000 であった。
【0145】製造例2 縮合生成物No.2の製造 特公平6-62709 の製造例3を参照して、スケール付着防
止剤を製造した。耐圧反応器に2,2′−ジヒドロキシ
ビフェニル30モル(5.59kg) 、純度95%のパラホルムア
ルデヒド22.5モル(0.711kg) 、パラトルエンスルホン酸
0.19kgおよびエチレングリコールジメチルエーテル10
Lを仕込み、撹拌しながら130 ℃に昇温した。130 ℃で
17時間反応させた後、50℃に冷却し、反応混合物を水50
L中に投入した。水に投入することにより析出した樹脂
をろ過、水洗後乾燥して、5.1kg の2,2′−ジヒドロ
キシビフェニル−ホルマリン縮合樹脂(縮合生成物No.
2)を得た。縮合生成物No. 2の重量平均分子量は4300
であった。
【0146】製造例3 縮合生成物No.3の製造 特開昭57-164107 の製造例1を参照して、スケール付着
防止剤を製造した。耐圧反応器に1−ナフトール250 モ
ル(36.0kg)と1規定NaOH水溶液(NaOH 180モル、7.2kg
含有) 180 Lを仕込み、撹拌しながら、70℃に昇温し
た。次に、反応混合物にホルムアルデヒド(38w/v %水
溶液19.75 L、250 モル)を1.5 時間に亘って滴下し
た。この間反応器の内温が80℃を越えないようにした。
次に撹拌を続けながら反応混合物を3時間かけて60℃に
冷却した。次に、反応混合物を98℃に昇温し、98℃で0.
5 時間反応させた。その後反応混合物を冷却し縮合生成
物(縮合生成物No.3)のアルカリ性溶液を得た。縮合生
成物No.3の重量平均分子量は700 であった。
【0147】製造例4 縮合生成物No.4の製造 特開昭57-192413 の塗布化合物の合成2を参照してスケ
ール付着防止剤を製造した。耐圧反応器にピロガロール
100 モル(12.6kg)及び水100 Lを仕込み、ピロガロール
を水に溶解させた。次に、得られた溶液にベンズアルデ
ヒド 200モル(21.2kg)及びりん酸 300モル(29.4kg)を加
え、それらの混合物を100 ℃で6時間反応させたとこ
ろ、水に不溶な赤褐色の生成物が得られた。この水不溶
性生成物をエーテルで洗浄後、該水不溶性生成物中から
メタノールでメタノール可溶性成分を抽出し、次に抽出
液からメタノールを乾燥により除去して残渣として縮合
生成物No.4(ピロガロール−ベンズアルデヒド縮合物)
を得た。重量平均分子量は4000であった。
【0148】製造例5 縮合生成物No.5の製造 特公昭59-16561の製造例Iを参照して、スケール付着防
止剤を製造した。耐圧反応器にm−フェニレンジアミン
100 モル(10.8kg)、レゾルシノール200モル(22.0kg)及
び触媒として35%塩酸1.04kg(HClとして10モル) を仕込
み、305℃に昇温した。反応容器内の混合物が305 ℃に
達したら、直ちに冷却した。昇温及び反応の過程で生成
した水蒸気は除去し、内圧は150kPa以下に保った。冷却
後、得られたm−フェニレンジアミン−レゾルシノール
縮合物を粉砕して縮合生成物No.5を得た。重量平均分子
量は3000であった。
【0149】製造例6 縮合生成物No.6の製造 特公昭59-16561の製造例VIを参照して、スケール付着防
止剤を製造した。耐圧反応器にp−アミノフェノール10
0 モル(10.9kg)及び30%塩酸0.99kg(HClとして9.5 モ
ル) を仕込み、169 ℃に昇温した。169 ℃に達したら、
キシレン18Lを徐々に添加した。キシレンの添加目的は
縮合反応中に生成する水を共沸混合物として除去するた
めである。次に、反応混合物を222 ℃に昇温し、222 ℃
で3時間反応させた。反応中に発生するキシレンと水と
の混合蒸気を除去し、内圧は150KPa以下に保った。3時
間の反応後、反応混合物を冷却した。得られた反応生成
物は固体であった。次に、該反応生成物を粉砕し微粒状
態にした後、水で洗浄し、ろ過しそして乾燥して縮合生
成物No.6を得た。重量平均分子量は2500であった。
【0150】製造例7 縮合生成物No.7の製造 特開昭54-7487 の実施例1を参照して、スケール付着防
止剤を製造した。反応器にレゾルシノール200 モル(22.
0kg)を仕込み、窒素雰囲気下で加熱した。レゾルシノー
ルを300 ℃に昇温し、300 ℃で8時間反応させた後、冷
却した。得られた固体状の自己縮合レゾルシノールを粉
砕して縮合生成物No.7を得た。重量平均分子量は1700で
あった。
【0151】実施例1 図1に示す重合装置を用いて以下の実験を行った。図1
において、内容積130M3 のステンレス製重合器1には
撹拌手段2、加熱・冷却用ジャケット3、マンホール
4、及びその他塩化ビニル重合用の重合器に通常備わる
付属設備(図示せず)が備わっている。重合器1の上部
に接続されたライン5は原材料仕込み用ラインであり、
図示のように塩化ビニル単量体(VCM)仕込ライン5
a、触媒溶液仕込ライン5b、懸濁剤溶液仕込ライン5
c、純水仕込ライン5d等の分岐ラインが接続されてい
る。この仕込ラインには図示の位置にバルブV1、V
2、V3、V4及びV5が設けられている。また、重合
器1の上部に接続されたライン6は重合器1内の排気、
単量体の回収等のために設けられ、分岐したライン7に
より真空ポンプ12、ガスホルダー13に導かれる。ガ
スホルダー13から単量体回収ライン8が導出され、該
ラインから分岐したライン9はライン6に接続され、後
述の均圧操作に用いられる。これらのライン6、7、8
及び9には、図示の位置にバルブV6、V7、V8、V
9、V10及びV18が設けられている。さらに、重合器1
の上部には、重合器内の水洗及びスケール付着防止剤塗
布を行うための装置11を介してライン10が接続さ
れ、該ライン10には純水供給ライン10a及びスケール
付着防止剤供給ライン10bが図示のように接続されてい
る。これらのラインには図示の位置にバルブV14、V1
5、V16及びV17が設けられている。重合器1の底には
ライン14が接続され、これは重合体スラリーをブロー
ダウンタンクへ導くライン14aとスケール付着防止剤液
や洗浄水を廃水タンクへ排出するライン14bに分かれて
いる。各実験において使用した重合体スケール付着防止
剤塗布液の組成を表1に示す。各実験において、次のよ
うにして塩化ビニル単量体の重合を繰返し行った。ただ
し、表1〜3の*印を付した実験No. は比較例であり、
一部下記の手順に従わなかった。即ち、No.101〜106 の
実験では、重合終了後、重合器を大気に開放してスケー
ル付着防止剤液の塗布を行った。まず、重合器のすべて
のバルブ及びマンホールを閉とする。
【0152】(1) 器内の前処理 バルブV6、V8、V9を開として真空ポンプを起動
し、重合器内の圧を−700mmHg に減圧した。バルブV6
を閉じて、バルブV14、V15、V17を開としスケール付
着防止剤塗布液を重合器の内壁、撹拌手段その他単量体
が接触する全面に塗布する。塗布終了後バルブV14、V
15、V17を閉としバルブV6を開とし真空ポンプを稼働
し、ジャケット温度60℃で−650mmHg に減圧し、塗布液
を乾燥する。真空ポンプを停止し、バルブV6、V8、
V9を閉じた。バルブV14、V15、V16を開とし器内を
10kg/cm2(ゲージ圧)の水で水洗し、バルブV11、V13
を開とし洗浄水を廃水タンクに送った後、バルブV14、
V15、V16、V11、V13を閉じる。
【0153】(2) 仕込み バルブV1、V2、V3、V4、V5を開き、塩化ビニ
ル単量体100 部、純水200 部、部分ケン化ポリビニルア
ルコール0.022 部、ヒドロキシメチルセルロース0.028
部、t−ブチルパーオキシネオデカネート0.03部を仕込
み、バルブV1、V2、V3、V4、V5を閉じる。
【0154】(3) 重合 仕込んだ原材料を内温52℃で撹拌しながら7時間重合を
行うと、器内の圧が5kg/cm 2 まで降圧する。この時点
で重合終了とする。
【0155】(4) 排ガス バルブV6、V8、V9を開とし、器内圧がほぼ大気圧
となるまで、ガスホルダーに排ガスする。その後バルブ
V8、V9を閉じる。
【0156】(5) 均圧 バルブV7、V10を開き、均圧をとる。
【0157】(6) スラリー抜出し バルブV11、V12を開き、重合体スラリーをブローダウ
ンタンクに抜出す。
【0158】(7) 器内第1水洗 バルブV14、V15、V16を開き器内を水洗し、洗浄水を
ブローダウンタンクに送る。その後バルブV12、V16を
閉じる。
【0159】(8) 塗布 バルブV17、V13を開き、スケール付着防止剤塗布液を
塗布する。
【0160】(9) 乾燥 バルブV14、V15、V17、V11、V13、V7、V10を閉
じ、バルブV8、V9を開き、真空ポンプを起動し、ジ
ャケット温度60℃で−700mmHg に減圧し、塗布液を乾燥
する。その後、真空ポンプを停止し、バルブV6、V
8、V9を閉じる。
【0161】(10)器内第2水洗 バルブV14、V15、V16、V11、V13を開き、器内を水
洗し、水洗水をウェストウォータータンクに排出する。
バルブV14、V15、V16、V11、V13を閉じる。上記の
仕込み(2) から重合後の第2水洗(10)までの操作を1バ
ッチとして、最高800 バッチ繰返し実施した。
【0162】各実験おける重合中の塩素イオン濃度は原
料である塩化ビニル単量体に含まれるメチルクロライド
と塩酸分の含有量、仕込みイオン交換水の温度(10〜80
℃の範囲)等により変化する。また本願のごとく、外気
と遮断すると塩素イオン濃度は低下する。
【0163】各実験に用いた原料の塩化ビニル単量体
は、メチルクロライド含有量50ppm 以下、塩化水素含有
量0.03ppm 以下のものを用い、仕込み用水として温度50
℃に調節したものを使用した。ただし、実験No.101〜12
1 は内壁面の材質がSUS404の重合器を使用したものであ
り、実験No.122〜130 はSUS316L の重合器を使用したも
のである。各実験において、第50、100 、200 、300 、
400 、500 、600 、700 及び800バッチの各バッチ終了
後の重合器内壁の、液相部及び気液界面部におけるスケ
ール付着状態を目視により下記(a) の基準で評価した。
さらに最終バッチ終了後については、液相部と、気液の
界面部のスケール付着量を下記の方法(b) で求めた。そ
の結果を表2に示す。また、各実験で得られた重合体を
シートに成形した場合のフィッシュアイを、下記の方法
(c) で測定した。その結果を表3に示す。更に、各実験
で得られた重合体をシートに成形した場合の明度指数
(L値)の測定を下記の方法で測定した。その結果を表
3に示す。
【0164】(a) 重合体スケール付着の評価基準 A:スケールの付着はない B:砂状のスケールが数%付着 C:部分的にうすくスケールが付着(付着率10%程度) D:部分的に厚くスケールが付着(付着率10%程度) E:部分的にうすくスケールが付着(付着率50%程度) F:部分的に厚くスケールが付着(付着率50%程度) G:全面にうすくスケールが付着 H:全面に厚くスケールが付着
【0165】(b) 重合体スケール付着量の測定法 重合器内壁の所定箇所の10cm四方の区域に付着したスケ
ールをへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量
値を100 倍して、1m 2 当たりのスケール付着量を求め
た。
【0166】(c) フィッシュアイの測定 重合体100 重量部、ジオクチルフタレート(DOP) 50重量
部、ジブチルすずジラウレート1重量部、セチルアルコ
ール1重量部、酸化チタン0.25重量部、カーボンブラッ
ク0.05重量部の配合割合で調製した混合物を6インチロ
ールを用いて150 ℃で7分間混練した後、厚さ0.2mm の
シートに成形し、得られたシート100cm2 当たりに含ま
れるフィッシュアイの個数を光透過法により調べた。
【0167】(d) 明度指数(L値)の測定 得られた重合体100 重量部、安定剤(昭島化学社製、TS
-101) 1重量部、安定剤(勝田化工社製、C-100J) 0.5
重量部及び可塑剤としてDOP 50重量部を2本ロールミル
を用いて160 ℃で5分間混練した後、厚さ1mmのシート
に成形する。次に成形したシートを4×4×1.5cm の型
枠に入れ、160 ℃、65〜70kgf/cm2 で0.2 時間加熱、加
圧成形して測定用試料を作製する。この試料について、
JIS Z 8730(1930)に記載のハンターの色差式における明
度指数Lを求め、L値が大きい程白色度が高い、即ち、
初期着色が低いと評価した。L値は次のようにして求め
る。JIS Z 8722の記載に従って、標準光C、光電色彩計
(三本電色工業株式会社製、Z-1001 DP 型測色色差計)
を用い、刺激値直読方法により、XYZ 表色系の刺激値Y
を求める。照明及び受光の幾何学的条件としては、JIS
Z 8722の4.3.1 項に記載の条件cを採用した。求められ
た刺激値Yから、JIS Z 8730(1980)に記載の式:L=10
Y 1/2 により、L値が算出される。
【0168】
【表1】
【0169】
【表2】
【0170】
【表3】
【0171】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、重合器内の
液相部のみでなく気液界面部での重合体スケールの付着
も効果的に防止しつつ、初期着色が極めて少ない高品質
の塩化ビニル系重合体を製造することができる。また、
重合体スケールの付着が効果的に防止される結果、重合
器の冷却能力を良好かつ安定して維持でき、スケールが
製品に混入する恐れがなく、フィシュアイの発生も少な
いため、製品重合体の品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するために実施例で使用し
た重合装置の概略を示した図である。
【符合の説明】
1 重合器 5 原材料仕込み用ライン 6 排気、単量体回収用ライン 10 真空ポンプ 11 ガスホルダー
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平7−126305(JP,A) 特開 昭61−34006(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C08F 2/00 - 2/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重合器内で塩化ビニル単量体又は塩化ビ
    ニル単量体を主体とするビニル系単量体混合物を重合す
    るバッチを繰り返す、塩化ビニル系重合体の製造方法に
    して、(A) 水性媒体中に前記単量体又は単量体混合物を
    含む反応混合物を、少なくとも内壁面に重合体スケール
    付着防止性塗膜が形成された重合器内で重合反応に供す
    る工程、(B) 生じた重合体スラリーを重合器から抜き出
    す工程、(C) 重合器内壁面に重合体スケール付着防止剤
    液を塗布し、乾燥して重合体スケール付着防止性塗膜を
    形成する工程、(D) 前記重合に必要な原材料を重合器に
    仕込む工程、次いで再び前記の工程(A) 〜(D) を同様に
    繰り返すことからなる塩化ビニル系重合体の製造方法に
    おいて、 (1) 前記工程(A) を通じて前記反応混合物中の塩素イオ
    ン濃度を50ppm 以下に制御すること (2) 前記工程(B) 及び工程(C) が、重合器内を器外雰囲
    気から遮断した状態で行われること、並びに (3) 前記重合体スケール付着防止剤が、共役π結合を5
    個以上有する分子量500 以上の化合物を含有するもので
    あり、かつ、前記化合物が、 1) ジヒドロキシビフェニル類とアルデヒド類とを酸性
    触媒の存在下で縮合反応させて得られた反応生成物、 2) 1-ナフトールとホルムアルデヒドとを酸性触媒の存
    在下で縮合反応させて得られた反応生成物、 3) フェノール化合物とホルムアルデヒド又はベンズア
    ルデヒドとの縮合物、4) ポリ芳香族アミン、 5) 多価フェノールの自己縮合生成物及び多価ナフトー
    ルの自己縮合生成物の群から選定された縮合生成物、 6) ケトン樹脂とフェノール性化合物と、更に必要に応
    じてアルデヒド化合物との反応生成物、 7) フェノチアジンとホルムアルデヒドとの縮合物、 8) 芳香族アミン化合物と芳香族ニトロ化合物との縮合
    物、 9) ピロガロールとアセトンとのとの縮合物、 10) 芳香族アミン化合物とキノン化合物と芳香族ヒドロ
    キシ化合物との縮合物、及び 11) 芳香族アミン化合物とキノン化合物との縮合物、 から選択されるものであること、 を特徴とする塩化ビニル系重合体の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記重合体スケール付着防止剤が、共役
    π結合を5個以上有する分子量1000 以上の化合物を含
    有するものである請求項に記載の方法。
  3. 【請求項3】 前記重合体スケール付着防止剤がさらに
    無機コロイド及びアルカリ金属ケイ酸塩からなる群から
    選ばれる少なくとも1種を含有するものである請求項
    または2に記載の方法。
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