JP2627389B2 - 重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着防止に有効な重合器及びそれを利用する重合体の製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着防止に有効な重合器及びそれを利用する重合体の製造方法

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JP2627389B2
JP2627389B2 JP4307580A JP30758092A JP2627389B2 JP 2627389 B2 JP2627389 B2 JP 2627389B2 JP 4307580 A JP4307580 A JP 4307580A JP 30758092 A JP30758092 A JP 30758092A JP 2627389 B2 JP2627389 B2 JP 2627389B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性二重結合を
有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止剤、重
合体スケールの付着防止に有効な重合器及びそれを利用
する重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エチレン性二重結合を有する単量
体の重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合法、溶液
重合法、気相重合法あるいは塊状重合法等が知られてい
る。これらの重合法においては、いずれの場合にも重合
器内壁、撹拌装置等の単量体が接触する部位に重合体ス
ケールの付着が起こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器冷却能力等が低下するほか、この重合体スケ
ールが剥離して製品中に混入し、製品の品位を低下させ
るという不利がもたらされ、また、付着した重合体スケ
ールを除去するためには、過大な労力と時間を要するの
みならず、この重合体スケール中に未反応の単量体が含
まれているので、近年きわめて重大な問題となっている
単量体による人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物からなる重合体スケール付着防止剤を塗布する方法、
又はそれらの化合物を水性媒体中に添加する方法が公知
である(特公昭45-30343号)。しかし、これらの方法は
5〜6バッチ程度までの重合の繰り返しには重合体スケ
ール付着防止効果を示すが、重合バッチ数がそれよりも
多くなると防止効果がなくなってくる(持続性に劣る)
という不利がある。この点は、水溶性触媒を使用した場
合に特に影響が著しく、工業的には満足できるものでは
なかった。
【0005】この不利を克服すべく、特開昭53-13689号
公報において芳香族アミン化合物の縮合生成物を重合器
内壁等の単量体が接触する部分に塗布することが提案さ
れている。この芳香族アミン化合物の縮合生成物の塗膜
を重合器内壁面等に形成すると、 100〜200 バッチ程度
まで重合を繰り返し行っても、重合器内液相部へのスケ
ール付着は生じない。また、水溶性触媒を使用した場合
においても同様に液相部での重合体スケール付着は防止
される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、重合器内の上
層部に位置する気相部と液相部との界面付近には重合体
スケールが付着するという欠点があった。気相部と液相
部との界面付近に一旦重合体スケールが付着すると、重
合を繰り返していくにしたがって付着した重合体スケー
ルが徐々に成長していき、ついには剥離して、重合体中
に混入することがある。このように重合体スケールが重
合体に混入すると、その重合体をシート等の成形物に加
工したとき、その成形物に多くのフィッシュアイが発生
し、成形物の品質が著しく低下してしまうことになる。
【0007】また、重合により得られる重合体には高い
白色性が求められる。即ち、重合体を着色剤を何ら添加
せずにシート等に成形しても、得られる成形物は多少着
色される。この着色は初期着色と称され、できる限り少
ないことが望まれる。ところが、前記の芳香族アミン化
合物の縮合生成物からなる塗膜が剥離ないしは溶解して
重合体に混入することがあるため、成形物の白色度が低
下、即ち初期着色性が悪化する。
【0008】本発明の目的は、エチレン性二重結合を有
する単量体を重合する際に、重合器内の液相部ばかりで
なく気相部と液相部との界面付近においても効果的に重
合体スケールの付着を防止することができる上、シート
等に成形した場合、フィッシュアイが極めて少なく、か
つ、初期着色性が良好である成形物が得られる重合体を
製造することができる重合体スケール付着防止剤、該防
止剤を利用する重合器及び重合体の製造方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、上記目
的を達成するものとして、(A)芳香族アミン化合物
(B)キノン化合物との縮合生成物が水又はアルコール
溶剤を50重量%以下で含有する水−アルコール混合溶
媒に溶解された、pH7.5〜13.5のアルカリ性溶
液からなる、エチレン性二重結合を有する単量体の重合
用の重合体スケール付着防止剤を提供する。また、本発
明は、エチレン性二重結合を有する単量体の重合用重合
器であって、内壁面に、(A)芳香族アミン化合物
(B)キノン化合物との縮合生成物が水又はアルコール
溶剤を50重量%以下で含有する水−アルコール混合溶
媒に溶解された、pH7.5〜13.5のアルカリ性溶
液を塗布し、乾燥して形成された塗膜を有する重合器を
提供する。更に、本発明は、エチレン性二重結合を有す
る単量体の重合器内における重合による重合体の製造方
法であって、内壁面に、(A)芳香族アミン化合物
(B)キノン化合物との縮合生成物が水又はアルコール
溶剤を50重量%以下で含有する水−アルコール混合溶
媒に溶解された、pH7.5〜13.5のアルカリ性溶
液を塗布、乾燥して形成された塗膜を有する重合器ない
で前記重合を行う工程を有し、これにより重合体スケー
ルの付着が防止される製造方法を提供する。
【0010】(A) 芳香族アミン化合物 芳香族アミン化合物(A) は、ヒドロキシル基、カルボキ
シル基及びスルホン基からなる群から選ばれる少なくと
も1種を有する芳香族アミン化合物(A-1) 、並びにヒド
ロキシル基、カルボキシル基及びスルホン基のいずれも
有しない芳香族アミン化合物(A-2) に分けられる。
【0011】(A-1) ヒドロキシル基、カルボキシル基及
びスルホン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を
有する芳香族アミン化合物 化合物(A-1) は、例えば、下記のような一般式(1) 〜
(3) で表される化合物である。
【化1】 (ここで、mは1〜5の整数であり、R1 は−OH,−CO
OH,及び−SO3 H からなる群から選ばれる少なくとも1
種であり、R2 は−H,−NH2 ,−Cl,−NO2 ,−COCH
3 ,− OCH3 ,−N(CH3 ) 2 及び炭素原子数1〜3のア
ルキル基からなる群から選ばれる少なくとも1種であ
る。R1 が複数存在する場合にはそれらは同一でも異な
ってもよく、R2 が複数存在する場合にはそれらは同一
でも異なってもよい。)
【0012】具体的には、o-, m-もしくはp-アミノフェ
ノール、2-アミノ-4- クロロフェノール、5-ニトロ-2-
アミノフェノール、2-ニトロ-4- アミノフェノール、4-
ニトロ-2- アミノフェノール、o-, m-もしくはp-アミノ
安息香酸、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-、3,5-もしく
は4,6-ジアミノ安息香酸、3-もしくは4-アミノフタル
酸、2-、4-もしくは5-アミノイソフタル酸、4,6-ジアミ
ノイソフタル酸、2,5-もしくは2,6-ジアミノテレフタル
酸、3-、4-もしくは5-アミノサリチル酸、4-オキシアン
トラニル酸、o-, m-もしくはp-アミノベンゼンスルホン
酸、2,3-、2,4-、2,5-、2,6-、3,4-もしくは3,5-ジアミ
ノベンゼンスルホン酸、2-アミノ-1- フェノール-4- ス
ルホン酸、6-アミノ-4- ニトロ-1- フェノール-2- スル
ホン酸、6-アミノ-4- クロロ-1- フェノール-2- スルホ
ン酸等が例示される。
【0013】
【化2】 (ここで、m、R1 及びR2 は前記のとおりであり、n
は0〜5の整数であり、R1 が複数存在する場合にはそ
れらは同一でも異なってもよく、R2 が複数存在する場
合には、それらは同一でも異なってもよい。)具体的に
は、4-ヒドロキシジフェニルアミン、4-アミノ-4′- ヒ
ドロキシジフェニルアミン、4-カルボキシジフェニルア
ミン、4-アミノ-4′- カルボキシジフェニルアミン、4-
スルホジフェニルアミン、4-アミノ-4′- スルホジフェ
ニルアミン等が例示される。
【0014】
【化3】 (ここで、pは0〜4の整数であり、qは0〜3の整数
であり、pとqは同時に0とはならない。また、R2
前記のとおりであり、R3 は−OH,−COOH,−CH2 COO
H,−CH2 CH2 COOH,及び−SO3 H からなる群から選ば
れる少なくとも1種であり、R2 が複数存在する場合に
はそれらは同一でも異なってもよく、R3 が複数存在す
る場合には、それらは同一でも異なってもよい。)具体
的には、4-アミノ-1- ナフトール、1-アミノ-5- ナフト
ール、1,2-ナフチレンジアミン-7- カルボン酸、1,5-ナ
フチレンジアミン-2- カルボン酸、1,5-ナフチレンジア
ミン-4- カルボン酸、1,6-ナフチレンジアミン-4- カル
ボン酸、1,8-ナフチレンジアミン-4- カルボン酸、1,2-
ナフチレンジアミン-3- スルホン酸、1,2-ナフチレンジ
アミン-4- スルホン酸、1,2-ナフチレンジアミン-5- ス
ルホン酸、1,2-ナフチレンジアミン-6- スルホン酸、1,
2-ナフチレンジアミン-7- スルホン酸、1,3-ナフチレン
ジアミン-5- スルホン酸、1,3-ナフチレンジアミン-6-
スルホン酸、1,4-ナフチレンジアミン-2- スルホン酸、
1,4-ナフチレンジアミン-7- スルホン酸、1,5-ナフチレ
ンジアミン-2- スルホン酸、1,5-ナフチレンジアミン-4
- スルホン酸、1,5-ナフチレンジアミン-7- スルホン
酸、1,6-ナフチレンジアミン-2- スルホン酸、1,6-ナフ
チレンジアミン-4- スルホン酸、1,6-ナフチレンジアミ
ン-7- スルホン酸、1,8-ナフチレンジアミン-4- スルホ
ン酸、1,8-ナフチレンジアミン-3,6- ジスルホン酸、1,
8-ナフチレンジアミン-4,5- ジスルホン酸、α- アミノ
- β- ナフタレンプロピオン酸、α- アミノ- β- ナフ
タレンカルボン酸、2-ナフチルアミン-1- スルホン酸、
8-ナフチルアミン-1- スルホン酸、5-ナフチルアミン-1
- スルホン酸、1-アミノ-2- ナフトール-4- スルホン
酸、2-アミノ-8- ナフトール-6- スルホン酸 (γ酸) 、
2-アミノ-5- ナフトール-7- スルホン酸 (J酸)、1-ア
ミノ-8- ナフトール-3,6- ジスルホン酸 (H酸)等が例
示される。
【0015】化合物(A-1) の中で好ましいものは、o-,
m-もしくはp-アミノフェノール、2,4-もしくは2,5-ジア
ミノベンゼンスルホン酸、2,3-、2,4-、2,5-、3,4-もし
くは3,5-ジアミノ安息香酸、4,6-ジアミノイソフタル
酸、2,5-もしくは2,6-ジアミノテレフタル酸、2,5-もし
くは2,6-ジアミノテレフタル酸、1,2-ナフチレンジアミ
ン-7- スルホン酸、1,5-もしくは1,6-ナフチレンジアミ
ン-4- スルホン酸及び1,5-もしくは1,6-ナフチレンジア
ミン-4- カルボン酸である。
【0016】(A-2) ヒドロキシル基、カルボキシル基及
びスルホン基のいずれも有しない芳香族アミン化合物 化合物(A-2) は、例えば、下記のような一般式(4) 〜
(6) で表される化合物である。
【化4】 (ここで、複数のR2 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりである。)
【0017】具体的には、アニリン、o-, m-もしくはp-
フェニレンジアミン、o-, m-もしくはp-クロロアニリ
ン、o-,m- もしくはp-ニトロアニリン、o-,m- もしくは
p-メチルアニリン、N,N-ジメチル- p-フェニレンジアミ
ン、4-クロロ- o-フェニレンジアミン、4-メトキシ- o-
フェニレンジアミン、2,3-ジアミノトルエン等が例示さ
れる。
【0018】
【化5】 (ここで、複数のR2 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりである。)具体的には、4-アミノジフェニルア
ミン、2-アミノジフェニルアミン、4,4 ′- ジアミノジ
フェニルアミン、4-アミノ-3′- メトキシジフェニルア
ミン等が例示される。
【0019】
【化6】 (ここで、複数のR2 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりである。)具体的には、α- ナフチルアミン、
β- ナフチルアミン、1,5-ジアミノナフタリン、1,8-ジ
アミノナフタリン、2,3-ジアミノナフタリン等が例示さ
れる。化合物(A-2) の中で好ましいものは、o-, m-もし
くはp-フェニレンジアミン、2-もしくは4-アミノジフェ
ニルアミン、 4,4′- ジアミノジフェニルアミン及び1,
5-もしくは1,8-ジアミノナフタリンである。
【0020】芳香族アミン化合物(A) は、一種単独でも
2種以上を組み合わせても使用可能である。芳香族アミ
ン化合物(A) としては、上記の化合物(A-1) 及び化合物
(A-2) の少なくとも1種を使用し、好ましくは、化合物
(A-1) を使用し、更に好ましくは、化合物(A-1) 及び化
合物(A-2) を併用する。
【0021】(B) キノン化合物 キノン化合物(B) は、例えば下記のような一般式(7) 〜
(10)で表される化合物である。
【化7】
【化8】 (ここで、R4 は、-H, -NH2 , -Cl, -Br, -OH, -NO2
, -COCH3 , -OCH3 ,-N(CH3 ) 2又は炭素原子数1〜3
のアルキル基を表し、R5 は -H, -NH2 , -OH,-CH3 , -
COOH 又は -SO3 H を表す。)
【0022】具体的には、o-, m-もしくはp-ベンゾキノ
ン、オキシ- p-ベンゾキノン、クロル- p-ベンゾキノ
ン、ブロム- p-ベンゾキノン、ジュロキノン、クロルア
ニル等が例示される。
【化9】
【化10】 (ここで、R4 及びR5 は前記のとおりであり、R6
-H, -OH, -CH3 , -Cl,-Br, -COCH3 , -OCH3 , -COOH
又は -SO3 H を表す。)具体的には、6-メチル-1,4- ナ
フトキノン、2-メチル-1,4- ナフトキノン、ローソン、
ユグロン、プルンバギン、α- ナフトキノン、β- ナフ
トキノン等が例示される。
【0023】上記のキノン化合物の中で好ましいもの
は、o-もしくはp-ベンゾキノン、α-もしくはβ- ナフ
トキノン及びローソンである。尚、上記のキノン化合物
は、単独でも2種以上の組合せであっても使用可能であ
る。
【0024】縮合反応 本発明の重合体スケール付着防止剤の有効成分である、
前記芳香族アミン化合物(A) とキノン化合物(B) との縮
合生成物は、(A) 成分及び(B) 成分を、適当な媒体中、
必要に応じて触媒存在下、通常、室温〜200 ℃で 0.5〜
100 時間、好ましくは室温〜150 ℃で3〜30時間反応さ
せることにより製造される。
【0025】キノン化合物(B) は縮合触媒としても作用
するので、通常特に他の縮合触媒を添加する必要はない
が、他の縮合触媒を添加する場合に使用可能な縮合触媒
としては、例えば、α,α′─アゾビスイソブチロニト
リル、α,α′─アゾビス─2,4-ジメチルバレロニトリ
ル等のアゾ化合物、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等の元
素ないし分子状の単体ハロゲン、過酸化水素、過酸化ナ
トリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の無
機過酸化物、過酢酸、ベンゾイルパーオキサイド、キュ
メンハイドロパーオキサイド、過安息香酸、p-メンタン
ハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物、ヨウ素酸、
過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム
等の酸素酸あるいは酸素酸塩、塩化第一鉄、塩化第二
鉄、硫酸銅、塩化第一銅等の金属塩、ニトロベンゼン、
o-, m-もしくはp-オキシニトロベンゼン、o-, m-もしく
はp-ニトロアニソール、o-, m-もしくはp-クロロニトロ
ベンゼン、o-, m-もしくはp-ニトロ安息香酸、o-, m-も
しくはp-ニトロベンゼンスルホン酸等の芳香族ニトロ化
合物等が挙げられる。
【0026】上記の縮合反応を行う媒体としては、例え
ば、アルコール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒
が挙げられ、その中でも、水と混和性を有する有機溶媒
を使用するのが好ましい。水と混和性を有する有機溶媒
としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノ
ール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン
等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル
類が挙げられ、その中でも特にアルコール類が好まし
い。また、前記の水と混和性を有する有機溶媒と水との
混合溶媒を使用することも可能である。
【0027】上記縮合反応を行う媒体のpHは、通常1〜
13の範囲であり、pH調整剤は特に制約なく使用すること
ができる。
【0028】縮合反応を行う際の芳香族アミン化合物
(A) とキノン化合物(B) の割合は、使用する芳香族アミ
ン化合物、キノン化合物及び溶媒の種類、反応温度、反
応時間等に影響されるが、通常、芳香族アミン化合物
(A) 1重量部当たり、キノン化合物(B) を0.01〜10重量
部とすることが好ましく、更に、 0.1〜5重量部とする
ことが好ましい。キノン化合物(B) が多すぎても少なす
ぎても得られる縮合生成物の重合体スケール付着防止効
果が低下する。
【0029】本発明の重合体スケール付着防止剤の重合
体スケール付着防止効果をより向上させるためには、上
記したように(A) 成分として(A-1) を使用するのが好ま
しく、更に、(A-1) 及び(A-2) を併用するのが好まし
い。(A) 成分として(A-1) 及び(A-2) を併用すると、恐
らく、得られる化合物(A-1) 、化合物(A-2) 及びキノン
化合物(B) の縮合生成物を後述のアルカリ性溶液として
重合器内壁面等に塗布した場合に、該縮合生成物の該重
合器内壁面等への付着性が向上するためであると推定さ
れる。上記2種類の芳香族アミン化合物(A-1) 及び(A-
2) を併用する場合、化合物(A-1) 1重量部当たり、化
合物(A-2) を0.01〜10重量部使用するのが好ましく、更
に、 0.1〜5重量部使用するのが好ましい。
【0030】(C) 反応停止剤 上記の(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物の縮合度が高
すぎると、縮合生成物を後述のアルカリ性溶液とした場
合に縮合生成物の沈殿が生じ、塗布液が不均一になり、
重合体スケール付着防止効果が低下することがある。そ
こで、(A) 成分と(B) 成分との縮合反応中の適当な時期
に反応停止剤(C) を添加して、縮合生成物の縮合度を調
節するのが好ましい。また、反応停止剤(C) を添加して
おくと、縮合生成物の長期保存も可能となる。
【0031】上記の反応停止剤(C) としては、例えば、
下記のような無機還元剤(C-1) 、芳香族ヒドロキシ化合
物(C-2) 及び芳香族ヒドロキシ化合物系縮合生成物(C-
3) が挙げられる。(C-1) 無機還元剤 無機還元剤(C-1) としては、具体的には、水素、ヨウ化
水素、臭化水素、硫化水素、水素化アルミニウムリチウ
ム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カルシウ
ム、水素化ホウ素亜鉛、水素化ホウ素テトラアルキルア
ンモニウム、トリクロロシラン、トリエチルシラン等の
水素化物、一酸化炭素、二酸化イオウ、チオ硫酸ナトリ
ウム、チオ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫
酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、ヒドロ亜硫酸ナトリ
ウム等の低級酸化物又は低級酸素酸塩、ロンガリット、
硫化ナトリウム、ポリ硫化ナトリウム、硫化アンモニウ
ム等のイオウ化合物、ナトリウム、リチウム等のアルカ
リ金属、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、亜
鉛等の電気的陽性の大きい金属又はそれらのアマルガ
ム、硫酸鉄(II)、塩化すず(II)、三塩化チタン(III) 等
の低原子価状態にある金属の塩類、三塩化リン、三ヨウ
化リン、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィ
ン、トリメチルホスフィット、ヘキサメチルホスホラス
トリアミド等のリン化合物、ヒドラジン、ジボラン、エ
タン─1,2 ─ジアミノボラン、ジメチルアミン─ボラ
ン、ピリジンボラン等のジボラン及び置換ボラン等が例
示される。これらの中で好ましいものは、ヨウ化水素、
臭化水素、水素化ホウ素ナトリウム、二酸化イオウ、チ
オ硫酸ナトリウム、チオ亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナト
リウム、亜硫酸カリウム、重亜硫酸ナトリウム、ヒドロ
亜硫酸ナトリウム、ロンガリットである。
【0032】(C-2) 芳香族ヒドロキシ化合物 芳香族ヒドロキシ化合物(C-2) は、例えば下記のような
一般式(11)〜(12)で表される化合物である。
【化11】 (ここで、R7 は、−H,−Cl,−OH,−COCH3 ,− O
CH3 ,−COOH,−SO3 H又は炭素数1〜3のアルキル基
を表し、R8 は、−H,−Cl,−OH,− OCH3 ,−OC2
H 5 又は−COOHを表す。)具体的には、フェノール、ヒ
ドロキノン、レゾルシノール、カテコール、ヒドロキシ
ヒドロキノン、ピロガロール、o-, m-もしくはp-クロロ
フェノール、o-,m-もしくはp-ヒドロキシ安息香酸、2,4
-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、
2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香
酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-、2,6-もしくは3,
5-ジヒドロキシトルエン等が例示される。これらの中で
好ましいものは、ヒドロキノン、レゾルシノール、カテ
コール、ヒドロキシヒドロキノン、o-, m-もしくはp-ヒ
ドロキシ安息香酸及びピロガロールである。
【0033】
【化12】 (ここで、二つのR7 は同一でも異なってもよく、前記
のとおりであり、R8 も前記のとおりである。)具体的
には、α- ナフトール、β- ナフトール、1,3-、1,4-、
1,5-、2,3-、2,6-もしくは2,7-ジヒドロキシナフタリ
ン、1-ヒドロキシ-2- ナフトエ酸、3-ヒドロキシ-2- ナ
フトエ酸等が例示される。これらの中で好ましいもの
は、α- ナフトール、β- ナフトール及び1,3-もしくは
2,7-ジヒドロキシナフタリンである。
【0034】(C-3) 芳香族ヒドロキシ化合物系縮合体 芳香族ヒドロキシ化合物系縮合体は、上記の芳香族ヒド
ロキシ化合物(C-2) を必須の縮合成分とする縮合体であ
り、上記の芳香族ヒドロキシ化合物(C-2) 単独の縮合
体、該化合物(C-2) と他の化合物、例えばアセトン、ア
ルデヒド、芳香族アミン化合物等との縮合体、芳香族系
ヒドロキシル基含有天然有機化合物及びフラボノイド系
ヒドロキシル基含有天然有機化合物が挙げられる。(C-3-1) 芳香族ヒドロキシ化合物単独の縮合体 前記に例示のいずれの芳香族ヒドロキシ化合物(C-2) も
縮合反応により縮合体がえられるが、代表的な例として
は、ピロガロール、レゾルシノール、カテコール、2,7-
ジヒドロキシナフタリン、2-ヒドロキシナフトキノン等
のそれぞれの縮合体が挙げられる。この縮合体は、芳香
族ヒドロキシ化合物を水中、アルコール類、ケトン類、
及びエステル類等の有機溶媒中又は水と前記有機溶媒と
の混合溶媒中で、過酸化物、アゾ化合物、ニトロ化合
物、ハロゲン化合物、キノン類、金属塩等の触媒存在
下、室温〜100 ℃程度で反応させることにより得られ
る。前記触媒としては、具体的には、過ヨウ素酸、過ヨ
ウ素酸カリウム、過酸化水素等の過酸化物;α、α′−
アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;塩化第二
鉄等の金属塩;ニトロベンゼン等の芳香族ニトロ化合
物;p-ベンゾキノン等の芳香族キノン化合物が例示され
る。
【0035】(C-3-2) 芳香族ヒドロキシ化合物─アセト
ン縮合体 上で例示の芳香族ヒドロキシ化合物(C-2) とアセトンと
の縮合体はいずれも使用することができる。代表的な例
としては、ピロガロール−アセトン縮合体、レゾルシノ
ール−アセトン縮合体、2,7-ジヒドロキシナフタリン−
アセトン縮合体、1,5-ジヒドロキシナフタリン−アセト
ン縮合体、2,6-ジヒドロキシナフタリン−アセトン縮合
体、2,3-ジヒドロキシナフタリン−アセトン縮合体、2-
ヒドロキシナフトキノン−アセトン縮合体、アリザリン
−アセトン縮合体等が挙げられる。上記縮合体は、芳香
族ヒドロキシ化合物をアセトンに溶解し、触媒の存在
下、室温〜100 ℃程度で反応させることにより得られ
る。前記触媒としては、オキシ塩化リン等が例示され
る。
【0036】(C-3-3) 芳香族ヒドロキシ化合物─アルデ
ヒド縮合体 縮合体の他方の成分であるアルデヒドとしては、例え
ば、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、グリオキサ
ール、グルタルアルデヒド、ベンドアルデヒド等が挙げ
られる。上で例示の芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒ
ドとの縮合体はいずれも使用することができる。代表的
な例としては、フェノール、ヒドロキノン、カテコー
ル、ピロガロール、2,7-ジヒドロキシナフタリン、1,5-
ジヒドロキシナフタリン、2,3-ジヒドロキシナフタリ
ン、アリザリン、アントラフラビン酸、又は1,4,5,8-テ
トラヒドロキシナフタリン等とホルムアルデヒドとの縮
合体、ピロガロール−ベンズアルデヒド縮合体、フェノ
ール−ベンズアルデヒド縮合体、2,3-ジヒドロキシナフ
タリン−ベンズアルデヒド縮合体、カテコール−ベンズ
アルデヒド縮合体、アントラフラビン酸−ベンズアルデ
ヒド縮合体、2,7-ジヒドロキシナフタリン−ベンズアル
デヒド縮合体、1,4,5,8-テトラヒドロキシナフタリン−
ベンズアルデヒド縮合体、1,5-ジヒドロキシナフタリン
−ベンズアルデヒド縮合体等が挙げられる。この縮合体
は、芳香族ヒドロキシ化合物とアルデヒドとを水性又は
アルコール性溶媒中、触媒の存在下、室温〜200 ℃程度
で反応させることにより得られる。前記触媒としては、
リン酸、塩酸等の酸性化合物、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、アンモニア等のアルカリ性化合物等が例示
される。
【0037】(C-3-4) 芳香族ヒドロキシ化合物─芳香族
アミン化合物縮合体 この縮合体の他方の縮合成分である芳香族アミン化合物
としては、本発明の重合体スケール付着防止剤の (A)成
分として既に説明したものが挙げられる。芳香族ヒドロ
キシ化合物と芳香族アミン化合物との組み合せは特に制
約されない。代表的な例としては、ピロガロール−p-フ
ェニレンジアミン縮合体、レゾルシノール−m-フェニレ
ンジアミン縮合体、ピロガロール−1,8-ジアミノナフタ
リン縮合体、カテコール−1,8-ジアミノナフタリン縮合
体、2,7-ジヒドロキシナフタリン─p-アミノフェノール
縮合体、4-アミノジフェニルアミン−ピロガロール縮合
体、2,3-ジヒドロキシナフタリン─1,5-ジアミノナフタ
リン縮合体等が挙げられる。この縮合体は、芳香族ヒド
ロキシ化合物と芳香族アミン化合物とを水中、アルコー
ル類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒中又は水と前
記有機溶媒との混合溶媒中、触媒の存在下、室温〜200
℃程度で反応させることにより得られる。前記触媒とし
ては、過ヨウ素酸、過ヨウ素酸カリウム、過酸化水素等
の過酸化物;α、α′−アゾビスイソブチロニトリル等
のアゾ化合物;塩化第二鉄等の金属塩;ニトロベンゼン
等の芳香族ニトロ化合物;p-ベンゾキノン等の芳香族キ
ノン化合物が例示される。
【0038】(C-3-5) 芳香族系ヒドロキシル基含有天然
有機化合物 芳香族系ヒドロキシル基含有天然有機化合物としては、
五倍子タンニン、スマックタンニン、タラタンニン、バ
ロニアタンニン、チェスナットタンニン、ミロバランタ
ンニン、オークタンニン、ディビディビタンニン、アル
ガロビアタンニン、ガンビアタンニン、ケブラチョタン
ニン、ワットルタンニン、ミモザタンニン、マングロー
ブタンニン、ヘムロックタンニン、スプルースタンニ
ン、ビルマカッチタンニン、カシワ樹皮タンニン、カキ
渋タンニン、クルクミン、ウルシオール、リグニン、リ
グニンスルホン酸ナトリウム塩、アルカリ・リグニン等
が例示される。
【0039】(C-3-6) フラボノイド系ヒドロキシル基含
有天然有機化合物 フラボノイド系ヒドロキシル基含有天然有機化合物とし
ては、具体的には、シソ色素、ブドウ果汁色素、ブドウ
果皮色素、赤キャベツ色素、コーン色素、コーリャン色
素、紅花色素、カカオ色素等が例示される。
【0040】上記した芳香族ヒドロキシ化合物系縮合体
(C-3-1) 〜(C-3-6) の中で好ましいものは、ピロガロー
ル−アセトン縮合体、2,7-ジヒドロキシナフタリン−ア
セトン縮合体、2,3-ジヒドロキシナフタリン−アセトン
縮合体、レゾルシノール−アセトン縮合体、2,7-ジヒド
ロキシナフタリン−ベンズアルデヒド縮合体、2,3-ジヒ
ドロキシナフタリン−ホルムアルデヒド縮合体、1,4,5,
8-テトラヒドロキシナフタリン−ベンズアルデヒド縮合
体、ピロガロール─ホルムアルデヒド縮合体、2,7-ジヒ
ドロキシナフタリン縮合体、ピロガロール縮合体、2,7-
ジヒドロキシナフタリン─p-アミノフェノール縮合体、
カテコール−4-アミノジフェニルアミン縮合体、ピロガ
ロール−1,8-ジアミノナフタリン縮合体、五倍子タンニ
ン、ワットルタンニン、ミモザタンニン、オークタンニ
ン、ヘムロックタンニン、ケブラチョタンニン、チェス
ナットタンニン、カキ渋タンニン及びマングローブタン
ニンである。
【0041】反応停止剤は、そのままか、或いは上記し
た縮合反応に使用する溶媒などの適当な溶媒に溶解して
添加すればよい。反応停止剤(C) は、(A) 成分と(B) 成
分との縮合反応を開始させた後に添加すればよく、好ま
しくは、(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物析出直前、
即ち、(A) 成分及び(B) 成分の種類、反応速度等により
異なるが、(A) 成分及び(B) 成分の縮合反応転化率が50
〜99重量%に達したとき、特に、70〜95重量%に達した
ときに添加する。また、反応停止剤(C) を添加すると、
添加した時点で縮合反応はほぼ停止するが、(C) 成分添
加後、更に、通常、縮合反応を行った温度に維持したま
ま0〜50時間攪拌を続ける。ここで、縮合反応転化率と
は、(A) 成分及び(B) 成分(単量体として) の合計仕込
み量に対する、仕込まれた(A) 成分及び(B) 成分の中の
縮合反応により消失した量の割合である。即ち、(A) 成
分及び(B) 成分 (単量体として) の合計仕込み量をa重
量部とし、(A) 成分と(B) 成分との縮合反応開始後の未
反応の(A) 成分及び(B) 成分の合計量をb重量部とする
と、縮合反応により消失した量は (a−b) 重量部であ
るから、縮合反応転化率は、下記式により求められる。
縮合反応転化率(重量%)={(a−b)/a}× 100
【0042】(A) 成分と(B) 成分との縮合反応転化率が
50〜99重量%に達するのに要する時間は、(A) 成分及び
(B) 成分の種類等により異なるが、通常、縮合反応開始
から0.1〜80時間である。
【0043】反応停止剤(C) の添加量は、(A) 成分と
(B) 成分の合計1重量部当たり、0.01〜10重量部とする
のが好ましく、更に、 0.1〜5重量部とするのが好まし
い。
【0044】(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物のアル
カリ性溶液からなる重合体スケール付着防止剤 本発明の重合体スケール付着防止剤は、上記(A) 成分と
(B) 成分との縮合生成物のアルカリ性溶液からなる。前
記重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面などに塗布
し、乾燥して塗膜を形成することにより重合器内壁面な
どへの重合体スケール付着を防止することができる。
【0045】前記重合体スケール付着防止剤は、上記の
縮合反応を行った縮合生成物含有液に必要に応じて下記
の溶媒を添加し、pHを7.5〜13.5のアルカリ性
に調節することにより調製される。また、該重合体スケ
ール付着防止剤は、前記縮合生成物含有溶液を冷水に投
入して縮合生成物を沈殿させた後、その沈殿物を濾別、
乾燥したものに下記の溶媒を添加し、pHをアルカリ性
に調節することにより調製してもよい。
【0046】本発明の重合体スケール付着防止剤は、上
記のようにアルカリ性としたことにより、(A)成分と
(B)成分の縮合生成物の溶媒に対する溶解性が向上し
て溶液が均一となるため、重合器内壁面などに塗布する
場合に重合体スケール付着防止効果を向上させることが
できる。本発明の重合体スケール付着防止剤は、pH
7.5〜13.5であるが、このpH調整に使用するア
ルカリ化合物としては、例えば、LiOH、NaOH、
KOH、NaCO、NaHPO、NHOH等
のアルカリ金属化合物或いはアンモニア化合物、エチレ
ンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミ
ン、トリエタノールアミン等の有機アミン化合物等が使
用可能である。
【0047】重合体スケール付着防止剤の調製に使用す
る溶媒としては、水又は水−アルコール系溶剤の混合溶
が使用される。
【0048】アルコール系溶剤としては、メタノール、
エタノール、プロパノール等が挙げられる。アルコール
系溶剤の含有量は、引火、爆発等の危険がなく、毒性等
の取扱上の安全の問題がない量とするのが好ましく、
合溶媒中で50重量%以下であり、30重量%以下であ
ることが好ましい。
【0049】上記アルカリ性溶液中の縮合生成物の濃度
は、後記の総塗布量が得られる限り、特に制限されない
が、通常、 0.001〜5重量%程度、好ましくは0.01〜1
重量%程度である。
【0050】また、重合体スケール付着防止効果をより
向上させるため、上記防止剤に、(D) 水溶性高分子化合
物及び/又は(E) コロイドシリカ及びアルカリ金属のケ
イ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加す
るのが好ましい。より好ましくは、(D) と(E) を併用す
る。これらの添加剤(D) 及び(E) は、恐らく、縮合生成
物と相互作用して、塗布面の親水性を高めたり((D) 水
溶性高分子化合物)、重合器壁への付着を高めたり
((E) コロイドシリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩から
なる群から選ばれる少なくとも1種)するためであると
推定される。
【0051】(D) 水溶性高分子化合物 水溶性高分子化合物(D) としては、例えば、ゼラチン、
カゼイン等の両性高分子化合物、ポリアクリル酸、ポリ
スチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロース、ア
ルギン酸等のアニオン性高分子化合物、ポリビニルピロ
リドン、ポリアクリルアミド等のカチオン性含窒素高分
子化合物、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセ
ルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ペクチン等
のヒドロキシル基含有高分子化合物等が挙げられる。上
記の水溶性高分子化合物の中で好ましいものは、ゼラチ
ン、カゼイン、ポリアクリル酸、カルボキシルメチルセ
ルロース、ポリビニルピロリドン及びペクチンである。
これらの水溶性高分子化合物の添加量は(A) 成分と(B)
成分の縮合生成物1重量部当たり、通常0.01〜10重量
部、好ましくは0.05〜2重量部である。
【0052】(E) コロイドシリカ及びアルカリ金属のケ
イ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種 コロイドシリカは、水性媒体又は、例えば、メタノー
ル、プロパノール、エチレングリコール等の非水性媒体
からなる分散媒中に二酸化ケイ素(シリカ)の超微粒子
が分散してなるコロイドである。コロイド粒子は一般に
粒径1〜100mμである。コロイドシリカ、例えば水性媒
体に分散したものは、代表的な製造法として、ケイ酸ナ
トリウムの水溶液に塩酸を加えることにより得られるこ
とがよく知られているが、これに限られない。上記のコ
ロイドシリカが得られる限り、いずれの製造方法でもよ
い。また、アルカリ金属のケイ酸塩としては、例えば、
リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属のメ
タケイ酸塩( M2 SiO 3 )、オルトケイ酸塩( M4SiO 4
)、二ケイ酸塩( M2 Si2 O 3)、三ケイ酸塩( M3 Si
3 O 7)、セスキケイ酸( M4 Si3 O 10)等(なお、ここ
でMはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金
属を示す)、並びに水ガラス、が挙げられる。これらの
(E) 成分の合計添加量は(A) 成分と(B) 成分の縮合生成
物1重量部当たり、通常0.01〜10重量部、好ましくは0.
05〜5重量部である。
【0053】上記の(D) 成分と(E) 成分は、水溶性高分
子化合物とコロイドシリカ、又は水溶性高分子化合物と
アルカリ金属のケイ酸塩の組合せで使用するのが好まし
い。水溶性高分子化合物とコロイドシリカの組合せで使
用する場合、水溶性高分子化合物 100重量部に対してコ
ロイドシリカを5〜3000重量部使用するのが好ましく、
更に、50〜1000重量部使用するのが好ましい。水溶性高
分子化合物とアルカリ金属のケイ酸塩を使用する場合、
水溶性高分子化合物 100重量部に対してアルカリ金属の
ケイ酸塩を5〜3000重量部使用するのが好ましく、更
に、50〜1000重量部使用するのが好ましい。
【0054】また、本発明の重合体スケール付着防止剤
には、無機コロイドを添加することも可能である。無機
コロイドとしては、例えば、アルミニウム、トリウム、
チタン、ジルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等の金属
酸化物又は水酸化物、タングステン酸、五酸化バナジウ
ム、金又は銀コロイド、ヨウ化銀ゾル、セレン、イオウ
等のコロイドが例示される。
【0055】塗膜の形成 上記のようにして調製される(A) 成分と(B) 成分との縮
合生成物のアルカリ性溶液からなる重合体スケール付着
防止剤を用いて重合器内壁面に塗膜を形成するには、ま
ず、該防止剤を重合器内壁面に塗布し、次いで、例えば
室温から 100℃までの温度範囲で充分に乾燥させた後、
さらに必要に応じて水洗する。
【0056】また、前記塗膜は、重合器内壁面だけでな
く、重合中に単量体が接触する他の部位にも塗布するこ
とが好ましい。例えば、撹拌翼、撹拌軸、バッフル、コ
ンデンサ、ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナット等が
挙げられる。さらに好ましくは、前記防止剤は重合中に
単量体が接触する部位以外であっても、重合体スケール
が付着する恐れのある部位、例えば未反応単量体の回収
系統の機器及び配管の内面等には、前記塗膜を形成した
方がよい。具体的には、モノマー蒸留塔、コンデンサ、
モノマー貯蔵タンク、バルブ等の内面が挙げられる。
【0057】なお、前記防止剤を重合器内壁面に塗布す
る方法は、特に限定されず、例えばハケ塗り、スプレー
塗布、前記防止剤で重合器を満たした後に抜き出す方法
等を始めとして、そのほか特開昭57-61001号、同55-362
88号、特公昭56-501116 号、同56-501117 号、特開昭59
-11303号等に記載の自動塗布方法を用いることもでき
る。
【0058】また、前記防止剤が塗布されたことによ
り、濡れた状態の表面を乾燥する方法も限定されること
はなく、例えば次のような方法を使用することができ
る。すなわち、前記防止剤の塗布後、適当に昇温した温
風を塗布面に当てる方法、あるいは前記防止剤を塗布す
べき重合器内壁面及びその他の表面を予め、例えば30〜
80℃に加熱しておき、その加熱した表面に前記防止剤を
直接塗布する方法等を使用することができる。そして塗
布面の乾燥後は、その塗布面を必要に応じて水洗する。
【0059】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、 0.001〜5g/m2、特に0.05〜2g/m2
であることが好ましい。
【0060】以上の塗布作業は、1〜10数バッチの重合
ごとに行えばよい。形成された塗膜は高い耐久性を有
し、重合体スケールの付着防止作用が持続するので、必
ずしも1バッチの重合ごとに行う必要はないため、生産
性が向上する。
【0061】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性二重結合を有する単量体及び
重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等の重合
媒体、及び懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性、アニオン
性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法により重
合を行う。
【0062】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性二重結合を有する単量体としては、例えば、塩化ビ
ニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル
酸、及びこれらのエステル又は塩;マレイン酸、フマル
酸、及びこれらのエステル又は無水物;ブタジエン、ク
ロロプレン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレ
ン、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニリデン、ビニル
エーテル等が挙げられる。
【0063】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。
【0064】以下、懸濁重合及び乳化重合の場合を例に
挙げて、一般的な重合方法を具体的に説明する。まず、
水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を
仕込む。次に、重合器内を排気して 0.1〜760mmHg に減
圧した後、単量体を仕込み(この時、重合器の内圧は、
通常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる)、その後、30〜150
℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、
水、分散剤及び重合開始剤の一種又は二種以上を添加す
る。また、重合時の反応温度は、重合される単量体の種
類によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合に
は30〜80℃で重合を行い、スチレンの重合の場合には50
〜150 ℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kg
f/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備
されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温
度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち重合
反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断さ
れる。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開始剤
は、通常、単量体 100重量部に対して、水20〜500 重量
部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重量部
である。
【0065】溶液重合の場合には、重合媒体として水の
代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有
機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。
その他の重合条件は、一般に懸濁重合及び乳化重合につ
いての重合条件と同様である。塊状重合の場合には、重
合器内を約0.01〜760mmHg の圧力に排気した後、その重
合器内に単量体及び重合開始剤を仕込み、−10〜250 ℃
の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニルの重合の場
合には30〜80℃で、スチレンの重合の場合には50〜150
℃で実施される。
【0066】本発明の重合体スケールの付着防止方法を
適用して重合を行った場合には、重合器内壁面等の材質
にかかわらず重合体スケールの付着を防止することがで
き、例えば、ステンレス製その他のスチール製の重合
器、グラスライニングされた重合器等で重合を行う場合
にも重合体スケールの付着を防止することができる。
【0067】また、重合系に添加されるものは、何ら制
約なく使用することができる。すなわち、例えば、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチル
ヘキシル)パーオキシジカーボネート、3,5,5 −トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキ
シネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイト、
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シピバレート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシ
ジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、2,4 −ジクロルベンゾイルパーオキ
サイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−ア
ゾビス−2,4 −ジメチルバレロニトリル、ベルオキソ二
硫酸カリウム、ベルオキソ二硫酸アンモニウム、p−メ
ンタンハイドロパーオキサイド等の重合開始剤;部分ケ
ン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、酢酸ビニ
ルと無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキシプロピルメ
チルセルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン等の天
然又は合成高分子化合物等の懸濁剤;リン酸カルシウ
ム、ヒドロキシアパタイト等の固体分散剤;ソルビタン
モノラウレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシ
エチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;ラウ
リル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジ
オクチルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性乳化
剤;炭酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤;三塩基性
硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチルすずジラウ
レート、ジオクチルすずメルカプチド等の安定剤;ライ
スワックス、ステアリン酸、セチルアルコール等の滑
剤;DDP :DBP 等の可塑剤;t−ドデシルメルカプタン
等のメルカプタン類、トリクロロエチレン等の連鎖移動
剤;pH調節剤等が存在する重合系においても、本発明の
方法は重合体スケールの付着を効果的に防止することが
できる。
【0068】なお、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合器内壁面等への塗膜形成に用いた上で、さらに
直接重合系に添加してもよく、これによってスケール防
止効果を向上させることもできる。その場合、重合体ス
ケール付着防止剤の添加量は、仕込まれる単量体全重量
に対して約10〜1000ppm 程度が適当である。添加に際し
ては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分布等の製品重合
体の品質に影響を与えないように配慮する。
【0068】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明する。尚、以下の各表において*印を付した実
験No. は比較例であり、それ以外の実験No. は本発明の
実施例である。製造例1 縮合生成物No.1の製造 耐圧反応器に、メタノール 980g及び芳香族アミン化合
物(A-2) として1,8-ジアミノナフタリン10gを仕込み、
それらを室温で攪拌して1,8-ジアミノナフタリンをメタ
ノールに溶解した。こうして得られたメタノール溶液に
キノン化合物(B) としてp-ベンゾキノン1gを添加し
て、50℃に昇温し、50℃で5時間反応させた後冷却し
た。このようにして縮合生成物No.1のメタノール溶液が
得られた。
【0069】縮合生成物No.2〜15の製造 各製造において、表1に示した芳香族アミン化合物(A-
2) 、キノン化合物(B)及び表2に示した溶媒を用いて、
表2に示した条件(合計濃度、(A-1):(A-2):(B) 比、反
応温度及び反応時間) 下で前記縮合生成物No.1と同様の
方法で縮合反応を行わせた。このようにして縮合生成物
No.2〜15が得られた。
【0070】縮合生成物No.16 の製造 特公昭60-30681号公報に記載された縮合生成物No.1 (ア
ニリンとニトロベンゼンの縮合生成物) を同号に従って
製造した。得られた縮合生成物を縮合生成物No.16 とし
た。
【0071】縮合生成物No.17 の製造 特開昭61-7309 号公報に記載された実施例1の実験No.1
2 の製造例8の1,8-ジアミノナフタリン及びβ- ナフト
キノンの縮合生成物を同号に従って製造した。得られた
縮合生成物を縮合生成物No.17 とした。
【0072】
【表1】
【表2】
【0073】実施例1(実験No.101〜118 ) 内容積1000リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を
用いて次のようにして重合を行った。各実験において、
表3に示した条件(溶媒組成、濃度及びpH)になるよう
に、表3に示した縮合生成物、溶媒及びアルカリ化合物
を用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これら
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0074】その後、各実験において、上記のように塗
布処理して塗膜が形成された重合器中に、水 400kg、塩
化ビニル200kg 、部分ケン化ポリビニルアルコール 250
g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース25g及び3,5,
5 −トリメチルヘキサノイルパーオキサイド70gを仕込
み、撹拌しながら66℃で6時間重合した。重合終了後、
生成重合体及び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗
して残存樹脂を除去した。
【0075】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を5バッチ繰り返し、5バッチ目の重合器内液相
部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量を各実験について下記の
方法で測定した。その結果を表4に示す。
【0076】・重合体スケールの測定 重合器内壁の所定箇所の10×10cmの区域に付着したスケ
ールをへらで掻き落とし、天秤で計量した。計量値を 1
00倍して1m2当たりのスケール付着量を求めた。
【0077】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合のフィッシュアイを、下記の方法で測定し
た。その結果を表4に示す。 ・フィッシュアイの測定 得られた重合体 100重量部、ジオクチルフタレート(DO
P )50重量部、ジブチルすずジラウレート1重量部、セ
チルアルコール1重量部、酸化チタン0.25重量部、カー
ボンブラック0.05重量部の配合割合で調製した混合物を
6インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚
さ 0.2mmのシートに成形し、得られたシート 100cm2
たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により
調べた。
【0078】更に、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表4に示
す。 ・明度指数(L値)の測定 得られた重合体 100重量部、安定剤(昭島化学社製、TS
−101)1重量部、安定剤(勝田化工社製、C-100J) 0.5
重量部及び可塑剤としてジオクチルフタレート50重量部
を2本ロールミルを用いて 160℃で5分間混練した後、
厚さ1mmのシートを成形する。次に成形したシートを4
×4×1.5cm の型枠に入れ、 160℃、65〜70kgf/cm2
加熱、加圧成形して測定用試料を作成する。この試料に
ついて、JIS Z 8730(1980)に記載のハンターの色差式に
おける明度指数Lを求め、L値が大きい程白色度が高
い、即ち初期着色性が良好であると評価した。L値は次
のようにして求める。JIS Z 8722の記載に従って、標準
光C、光電色彩計(日本電色工業株式会社製、Z-1001DP
型測色色差計)を用い、刺激値直読方法により、XYZ 表
色系の刺激値Yを求める。照明及び受光の幾何学的条件
としては、JIS Z 8722の4.3.1 項に記載の条件dを採用
した。求められた刺激値Yから、JIS Z 8730(1980)に記
載の式:L=10Y1/2 により、L値が算出される。
【0079】
【表3】
【表4】
【0080】実施例2(実験No.201〜216 ) 内容積20リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を使
用して次のようにして重合を行った。各実験において、
表5に示した条件(溶媒組成、濃度及びpH)になるよう
に、表5に示した縮合生成物、溶媒及びアルカリ化合物
を用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これら
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0081】次に、各実験において、上記のように塗布
処理して塗膜が形成された重合器中に、水9kg、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム 225g、t−ドデシル
メルカプタン12g及びベルオキソ二硫酸カリウム13gを
仕込み、重合器内を窒素ガス置換した後、スチレン 1.3
kg及びブタジエン 3.8kgを仕込んで50℃で20時間重合し
た。重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を回収
し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去した。上記のよ
うな塗膜の形成から重合を経て重合器内壁の水洗に到る
までの操作を1バッチとして、同じ操作を3バッチ繰り
返し、3バッチ目の重合器内液相部の重合体スケール付
着量、及び気相部と液相部との界面付近の重合体スケー
ル付着量を各実験について実施例1と同様の方法で測定
した。その結果を表6に示す。
【0082】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表6に示
す。 ・明度指数(L値)の測定 得られた重合体ラテックス1kgに2%硫酸マグネシウム
溶液を1kgを加え、凝集沈澱を行った後、沈澱物を濾別
する。濾別した沈澱物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗浄
した後、減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥し、樹脂
を得た。得られた樹脂を9×9cm、厚さ 0.1cmの型枠に
入れ、 195℃、50〜60kgf/cm2で加熱し、最終圧力80kgf
/cm2 で加圧成形して測定用試料を作製した。この試料
について、実施例1と同様にして明度指数Lを求めた。
【0083】
【表5】
【表6】
【0084】製造例2 縮合生成物No.18 の製造 耐圧反応器に、メタノール 490g、芳香族アミン化合物
(A-1) として3,5-ジアミノ安息香酸5g及びキノン化合
物(B) としてp-ベンゾキノン5gを仕込み、それらを30
℃に昇温し、30℃で20時間反応させた後冷却した。この
ようにして縮合生成物No.18 の溶液が得られた。
【0085】縮合生成物No.19 〜43の製造 各製造において、表7に示した芳香族アミン化合物(A-
1) 又は(A-2) 及びキノン化合物(B) 並びに表8に示し
た溶媒を用いて、表8に示した条件(合計濃度、(A-1):
(A-2):(B) 比、反応温度、反応時間) 下で前記縮合生成
物No.18 と同様の方法で縮合反応を行わせた。このよう
にして、縮合生成物No.19 〜43の溶液が得られた。
【0086】
【表7】
【表8】
【0087】実施例3 (実験No.301〜327 ) 内容積2000リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を
用いて次のようにして重合を行った。各実験において、
表9に示した条件 (溶媒組成、濃度及びpH) になるよう
に、表9に示した縮合生成物、溶媒及びアルカリ化合物
を用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これら
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
50℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0088】各実験において、上記のようにして塗布処
理して塗膜が形成された重合器内で実施例1と同様の方
法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0089】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を20バッチ繰り返し、20バッチ目の重合器内液相
部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量を各実験について実施例
1と同様の方法で測定した。但し、表中*印を付した実
験No.327は、10バッチ目の重合体スケール付着量を測定
したものである。その結果を表10に示す。また、各実験
で得られた重合体をシートに成形した場合のフィッシュ
アイを、実施例1と同様の方法で測定した。その結果を
表10に示す。更に、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を実施例1と同様の方法で測定した。その結果
を表10に示す。
【0090】
【表9】
【表10】
【0091】実施例4 (実験No.401〜422 ) 内容積20リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において、表
11に示した条件 (溶媒組成、濃度及びpH) になるよう
に、表11に示した縮合生成物、溶媒及びアルカリ化合物
を用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これら
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
50℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0092】各実験において、上記のようにして塗布処
理して塗膜が形成された重合器内で実施例2と同様の方
法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0093】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を10バッチ繰り返し、10バッチ目の重合器内液相
部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量を各実験について実施例
1と同様の方法で測定した。その結果を表12に示す。ま
た、各実験で得られた重合体をシートに成形した場合の
初期着色性を評価するために明度指数(L値)を実施例
2と同様の方法で測定した。その結果を表12に示す。
【0094】
【表11】
【表12】
【0095】製造例3縮合生成物No.44 の製造 耐圧反応器に、メタノール 980g、芳香族アミン化合物
(A-1) としてp-アミノフェノール10g、芳香族アミン化
合物(A-2) として4-アミノジフェニルアミン8gを仕込
み、それら混合物を室温で攪拌してp-アミノフェノール
及び4-アミノジフェニルアミンをメタノールに溶解し
た。こうして得られたメタノール溶液にキノン化合物
(B) としてp-ベンゾキノン2gを添加して、30℃に昇温
し、30℃で50時間反応させた後冷却した。このようにし
て縮合生成物No.44 のメタノール溶液が得られた。
【0096】縮合生成物No.45 〜54の製造 各製造において、表13に示した芳香族アミン化合物(A-
1) 、(A-2) 及びキノン化合物(B) 並びに表14に示した
溶媒を用いて、表14に示した条件 (合計濃度、(A-1):(A
-2):(B) 比、反応温度及び反応時間) 下で前記縮合生成
物No.44 と同様の方法で縮合反応を行わせた。このよう
にして縮合生成物No.45 〜54が得られた。
【0097】縮合生成物No.55 の製造 耐圧反応器に、メタノール 980g、芳香族アミン化合物
(A-2) として4-アミノジフェニルアミン5g、芳香族ア
ミン化合物(A-1) としてp-アミノ安息香酸10gを仕込
み、それらを室温で攪拌して、4-アミノジフェニルアミ
ン及びp-アミノ安息香酸をメタノールに溶解した。こう
して得られたメタノール溶液にキノン化合物(B) として
2-ヒドロキシ-1,4- ナフトキノン5gを添加して混合
後、50℃に昇温し、50℃で5時間反応させた後、反応混
合物を冷却してその5倍量の水を添加した。更に、1%
硫酸でpHを2〜3に調整して縮合生成物を沈殿させた。
得られた沈殿物を濾過して水で洗浄後、乾燥した。これ
を縮合生成物No.55 とした。
【0098】縮合生成物No.56 〜65の製造 各製造において、表13に示した芳香族アミン化合物(A-
1) 、(A-2) 及びキノン化合物(B) 並びに表14に示した
溶媒を用いて、表14に示した条件 (合計濃度、(A-1):(A
-2):(B) 比、反応温度及び反応時間) 下で前記縮合生成
物No.55 と同様の方法で縮合反応を行わせた。このよう
にして縮合生成物No.56 〜65が得られた。
【0099】
【表13】
【表14】
【0100】実施例5(実験No.501〜522) 内容積1000リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を
用いて次のようにして重合を行った。各実験において、
表15に示した条件 (溶媒組成、濃度及びpH) になるよう
に、表15に示した縮合生成物、溶媒及びアルカリ化合物
を用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これら
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0101】各実験において、上記のようにして塗布処
理して塗膜が形成された重合器内で実施例1と同様の方
法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0102】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を50バッチ繰り返し、50バッチ目の重合器内液相
部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量を各実験について実施例
1と同様の方法で測定した。その結果を表16に示す。ま
た、各実験で得られた重合体をシートに成形した場合の
フィッシュアイを、実施例1と同様の方法で測定した。
その結果を表16に示す。更に、各実験で得られた重合体
をシートに成形した場合の初期着色性を評価するために
明度指数(L値)を実施例1と同様の方法で測定した。
その結果を表16に示す。
【0103】
【表15】
【表16】
【0104】実施例6(実験No.601〜622) 内容積20リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において、表
17に示した条件 (溶媒組成、濃度及びpH) になるよう
に、表17に示した縮合生成物、溶媒及びアルカリ化合物
を用いて重合体スケール付着防止剤を調製した。これら
重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、
攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、
40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を
水洗した。
【0105】各実験において、上記のようにして塗布処
理して塗膜が形成された重合器内で実施例2と同様の方
法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0106】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を15バッチ繰り返し、15バッチ目の重合器内液相
部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量を各実験について実施例
1と同様の方法で測定した。その結果を表18に示す。ま
た、各実験で得られた重合体をシートに成形した場合の
初期着色性を評価するために明度指数(L値)を実施例
2と同様の方法で測定した。その結果を表18に示す。
【0107】
【表17】
【表18】
【0108】製造例4 縮合生成物No.66 の製造 耐圧反応器に、メタノール 882g、芳香族アミン化合物
(A-2) として4-アミノジフェニルアミン4g及び芳香族
アミン化合物(A-1) として4-アミノサリチル酸10gを仕
込み、それらを室温で攪拌して、4-アミノジフェニルア
ミン及び4-アミノサリチル酸をメタノールに溶解した。
こうして得られたメタノール溶液にキノン化合物(B) と
して1,4-ナフトキノンを2g添加して、40℃に昇温し
た。40℃で10時間反応させた後、反応停止剤(C)として
ヒドロ亜硫酸ナトリウム4gを水98gに溶解した溶液を
添加した。(C) 成分の添加を開始した時の芳香族アミン
化合物とキノン化合物の縮合反応転化率を下記の方法で
測定したところ、97重量%であった。上記にようにして
反応停止剤(C) を添加した溶液を、更に10時間攪拌した
後、該溶液を冷却した。このようにして縮合生成物No.6
6 の溶液が得られた。
【0109】・縮合反応転化率の測定 液体クロマトグラフィーを用いて縮合反応液中の未反応
の芳香族アミン化合物(縮合生成物No.66 では、4-アミ
ノジフェニルアミン及び4−アミノサリチル酸)及びキ
ノン化合物(縮合生成物No.66 では、1,4-ナフトキノ
ン)を定量した。縮合反応転化率は、次のようにして求
めた。芳香族アミン化合物とキノン化合物の仕込み合計
量をagとする。また、上記により定量した未反応の芳
香族アミン化合物及びキノン化合物の合計量をbgとす
る。式: 縮合反応転化率(重量%)={(a−b)/a}×100
により縮合反応転化率が算出される。
【0110】縮合生成物No.67 〜82の製造 各製造において、表19に示した芳香族アミン化合物(A-
1) 、(A-2) 、キノン化合物(B) 及び反応停止剤(C) 並
びに表20に示した溶媒を用いて、縮合生成物No.66 の製
造と同様の方法で縮合生成物を製造した。表20には、合
計濃度、(A-1):(A-2):(B):(C) 比、反応温度、(A) 成分
と(B) 成分との縮合反応開始から(C) 成分の添加を開始
するまでの経過時間((C)成分添加開始時間) 、(C) 成分
の添加を開始した時の(A) 成分と(B) 成分の縮合反応転
化率、(C) 成分の添加後の攪拌時間、(A) 成分と(B) 成
分との縮合反応開始から(C) 成分の添加を経て攪拌を終
了するまでに要した時間 (合計反応時間) を示す。
【0111】縮合生成物No.83 〜111 の製造 各製造において、表21、23及び25に示した芳香族アミン
化合物(A-1) 、(A-2)、キノン化合物(B) 及び反応停止
剤(C) 並びに表22、24及び26に示した溶媒を用いて、前
記縮合生成物No.66 の製造と同様の方法で縮合生成物を
製造した。表22、24及び26には、合計濃度、(A-1):(A-
2):(B):(C) 比、反応温度、(A) 成分と(B) 成分との縮
合反応開始から(C) 成分の添加を開始するまでの経過時
間((C)成分添加開始時間) 、(C) 成分の添加を開始した
時の(A) 成分と(B) 成分の縮合反応転化率、(C) 成分の
添加後の攪拌時間、(A) 成分と(B) 成分との縮合反応開
始から(C) 成分の添加を経て攪拌を終了するまでに要し
た時間 (合計反応時間) を示す。尚、上記のようにして
得られた縮合生成物のうち、No.92 〜95は、(A) 成分と
して芳香族アミン化合物(A-1) のみを使用した例であ
る。
【0112】
【表19】
【表20】
【表21】
【表22】
【表23】
【表24】
【表25】
【表26】
【0113】実施例7(実験No.701〜746) 内容積1000リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を
用いて次のようにして重合を行った。各実験において、
表27及び28に示した条件 (溶媒組成、濃度及びpH) にな
るように、表27及び28に示した縮合生成物、溶媒及びア
ルカリ化合物を用いて重合体スケール付着防止剤を調製
した。これら重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁
及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部
分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成
後、重合器内を水洗した。
【0114】各実験において、上記のようにして塗布処
理して塗膜が形成された重合器内で実施例1と同様の方
法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0115】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を 100バッチ繰り返し、 100バッチ目の重合器内
液相部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部と
の界面付近の重合体スケール付着量を各実験について実
施例1と同様の方法で測定した。その結果を表29及び30
に示す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形
した場合のフィッシュアイを、実施例1と同様の方法で
測定した。その結果を表29及び30に示す。更に、各実験
で得られた重合体をシートに成形した場合の初期着色性
を評価するために明度指数(L値)を実施例1と同様の
方法で測定した。その結果を表29及び30に示す。
【0116】
【表27】
【表28】
【表29】
【表30】
【0117】実施例8(実験No.801〜844) 内容積20リットルの攪拌機付きステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において、表
31及び32に示した条件 (溶媒組成、濃度及びpH) になる
ように、表31及び32に示した縮合生成物、溶媒及びアル
カリ化合物を用いて重合体スケール付着防止剤を調製し
た。これら重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及
び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体が接触する部分
に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、
重合器内を水洗した。
【0118】各実験において、上記のようにして塗布処
理して塗膜が形成された重合器内で実施例2と同様の方
法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去し
た。
【0119】上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内壁の水洗に到るまでの操作を1バッチとして、同
じ操作を50バッチ繰り返し、50バッチ目の重合器内液相
部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量を各実験について実施例
1と同様の方法で測定した。その結果を表33及び34に示
す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形した
場合の初期着色性を評価するために明度指数(L値)を
実施例2と同様の方法で測定した。その結果を表33及び
34に示す。
【0120】
【表31】
【表32】
【表33】
【表34】
【0121】実施例9(実験No.901〜923) 内容積1000リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において、表
35及び36に示した条件 (溶媒組成、合計濃度、縮合生成
物(F):(D):(E) 比及びpH) になるように、表35及び36に
示した縮合生成物(F) 、水溶性高分子化合物(D) 、コロ
イドシリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩の少なくとも1
種(E) 、溶媒及びアルカリ化合物を用いて重合体スケー
ル付着防止剤を調製した。尚、本実施例9及び以下に示
す実施例10〜12で使用したコロイドシリカ (表35、36、
40〜42、46、47、及び50〜52中のa〜g)は、表39に示
すとおりである。各実験において、調製した重合体スケ
ール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その
他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15分
間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0122】その後、各実験において、上記のように塗
布処理して塗膜が形成された重合器中で実施例1と同様
の方法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未
反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを
除去した。そして、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を1バッチとし
て、以後、同じ操作を 100バッチ繰り返し、 100バッチ
目の重合器内液相部、及び気相部と液相部との界面付近
の重合体スケール付着量を各実験について実施例1と同
様の方法で調べた。その結果を表37及び38に示す。ま
た、各実験で得られた重合体をシートに成形した場合の
フィッシュアイを実施例1と同様の方法で測定した。そ
の結果を表37及び38に示す。更に、各実験で得られた重
合体をシートに成形した場合の明度指数(L値)の測定
を実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表37及
び38に示す。
【0123】
【表35】
【表36】
【表37】
【表38】
【表39】
【0124】実施例10(実験No.1001 〜1040) 内容積1000リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において、表
40〜42に示した条件 (溶媒組成、合計濃度、縮合生成物
(F):(D):(E) 比及びpH) になるように、表40〜42に示し
た縮合生成物(F) 、水溶性高分子化合物(D) 、コロイド
シリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩の少なくとも1種
(E) 、溶媒及びアルカリ化合物を用いて重合体スケール
付着防止剤を調製した。これら重合体スケール付着防止
剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単
量体が接触する部分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥
して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0125】その後、各実験において、上記のように塗
布処理して塗膜が形成された重合器中で実施例1と同様
の方法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未
反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを
除去した。そして、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を1バッチとし
て、以後、同じ操作を 150バッチ繰り返し、 150バッチ
目の重合器内液相部、及び気相部と液相部との界面付近
の重合体スケール付着量を各実験について実施例1と同
様の方法で測定した。その結果を表43〜45に示す。ま
た、各実験で得られた重合体をシートに成形した場合の
フィッシュアイを実施例1と同様の方法で測定した。そ
の結果を表43〜45に示す。更に、各実験で得られた重合
体をシートに成形した場合の明度指数(L値)の測定を
実施例1と同様の方法で測定した。その結果を表43〜45
に示す。
【0126】
【表40】
【表41】
【表42】
【表43】
【表44】
【表45】
【0127】実施例11(実験No.1101 〜1121) 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を使用
して次のようにして重合を行った。各実験において、表
46及び47に示した条件 (溶媒組成、合計濃度、縮合生成
物(F):(D):(E) 比及びpH) になるように、表46及び47に
示した縮合生成物(F) 、水溶性高分子化合物(D) 、コロ
イドシリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩の少なくとも1
種(E) 、溶媒及びアルカリ化合物を用いて重合体スケー
ル付着防止剤を調製した。これら重合体スケール付着防
止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に
単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾
燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0128】次に、各実験において、上記のように塗布
処理して塗膜が形成された重合器中で実施例2と同様の
方法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反
応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除
去した。以後、上記のような塗膜の形成から重合を経て
重合器内の水洗に至るまでの操作を1バッチとして、以
後同じ操作を50バッチ繰り返し、50バッチ目の重合器内
液相部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部と
の界面付近の重合体スケール付着量を各実験について実
施例1と同様に測定した。その結果を表48及び49に示
す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形した
場合の明度指数(L値)の測定を実施例2と同様の方法
で測定した。その結果を表48及び49に示す。
【0129】
【表46】
【表47】
【表48】
【表49】
【0130】実施例12(実験No.1201 〜1242) 各実験において、表50〜52に示した条件 (溶媒組成、合
計濃度、縮合生成物(F):(D):(E) 比及びpH) になるよう
に、表50〜52に示した縮合生成物(F) 、水溶性高分子化
合物(D) 、コロイドシリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩
の少なくとも1種(E) 、溶媒及びアルカリ化合物を用い
て重合体スケール付着防止剤を調製した。これら重合体
スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼
その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で
15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗し
た。
【0131】次に、各実験において、上記のように塗布
処理して塗膜が形成された重合器中で実施例2と同様の
方法で重合を行った。重合終了後、生成重合体及び未反
応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除
去した。以後、上記のような塗膜の形成から重合を経て
重合器内の水洗に至るまでの操作を1バッチとして、以
後同じ操作を80バッチ繰り返し、80バッチ目の重合器内
液相部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部と
の界面付近の重合体スケール付着量を各実験について実
施例1と同様に測定した。その結果を表53〜55に示す。
また、各実験で得られた重合体をシートに成形した場合
の明度指数(L値)の測定を実施例2と同様の方法で測
定した。その結果を表53〜55に示す。
【0132】
【表50】
【表51】
【表52】
【表53】
【表54】
【表55】
【0133】実施例13 内容積1000リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。実験No.1213 で使用
した重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、50℃で10分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後、このように塗布処理して塗膜が形成された
重合器中に、水400kg 、スチレン260kg 、アクリロニト
リル140kg 、ポリアクリルアミド部分ケン化物400g及び
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル1.2kg を仕込
み、撹拌しながら90℃で5時間重合した。 重合終了
後、生成重合体及び未反応単量体を回収し、重合器内を
水洗して残存レジンを除去した。以後、上記のような塗
膜の形成から重合を経て重合器内の水洗に到るまでの操
作を50バッチ繰り返し、50バッチ目の重合器内液相部の
重合体スケール付着量、及び気相部と液相部との界面付
近の重合体スケール付着量を実施例1と同様に測定し
た。その結果、液相部の重合体スケール付着量は0 g/m
2 であり気相部と液相部との界面付近の重合体スケール
付着量は12 g/m2 であった。
【0134】実施例14 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用い
て次のようにして重合を行った。実験No.1207 で使用し
た重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、50℃で10分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後、このように塗布処理して塗膜が形成された
重合器中に水9.5kg 、ドデシルベンゼンスルホン酸ナト
リウム240g、t−ドデシルメルカプタン15g 、ブタジエ
ン2.1kg 、メチルメタクリレート2.8g、スチレン320g及
び過硫酸カリウム16g を仕込み60℃で10時間重合した。
重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を回収し、重
合器内を水洗して残存レジンを除去した。以後、上記の
ような塗膜の形成から重合を経て重合器内の水洗に到る
までの操作を80バッチ繰り返し、80バッチ目の重合器内
液相部の重合体スケール付着量、及び気相部と液相部と
の界面付近の重合体スケール付着量を実施例1と同様に
測定した。その結果、液相部の重合体スケール付着量は
0 g/m2 であり気相部と液相部との界面付近の重合体ス
ケール付着量は9 g/m2 であった。
【0135】実施例15 内容積 100リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。実験No.1233 で使用
した重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、50℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後、このように塗布処理して塗膜が形成された
重合器中に水40kg、不均化ロジン酸カリウム500g、ポリ
ブタジエンラテックス(固形分45%)13kg、スチレン単
量体9kg、アクリロニトリル単量体5kg、t−ドデシル
メルカプタン40g 、及びクメンハイドロパーオキサイド
140gを仕込み、重合器内温47℃でブドウ糖200g、硫酸第
1鉄2g及びピロリン酸ソーダ100gを仕込み、撹拌しなが
ら65℃で4時間重合した。重合終了後、生成重合体及び
未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジン
を除去した。以後、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を80バッチ繰り返
し、80バッチ目の重合器内液相部の重合体スケール付着
量、及び気相部と液相部との界面付近の重合体スケール
付着量を実施例1と同様に測定した。その結果、液相部
の重合体スケール付着量は0 g/m2 であり気相部と液相
部との界面付近の重合体スケール付着量は8 g/m2 であ
った。
【0136】実施例16 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用い
て次のようにして重合を行った。実験No.1218 で使用し
た重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、50℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後、このように塗布処理して塗膜が形成された
重合器中に水4.0kg 、及びドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム6gを仕込み、撹拌しながら60℃に昇温した。
次に重合器内気相部を窒素ガスで置換した後、アクリル
酸nブチル94g 、メタクリル酸メチル220g、アクリル酸
5g及びメタクリル酸5gを仕込み、続いて過硫酸アンモニ
ウム1g及びヒドロ亜硫酸ナトリウム1gを仕込んで60℃で
20分間撹拌した。更に、前記重合器に混合モノマー(ア
クリル酸nブチル2.1kg 、メタクリル酸メチル4.8kg 、
アクリル酸100g及びメタクリル酸100gを混合したも
の)、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液500g、1重量
%ヒドロ亜硫酸ナトリウム水溶液500g及び25重量%ポリ
オキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液2.0kg を
3時間かけて均一に添加した。添加終了後、前記重合器
を70℃に昇温して2時間重合した。重合終了後、生成重
合体及び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残
存レジンを除去した。以後、上記のような塗膜の形成か
ら重合を経て重合器内の水洗に到るまでの操作を50バッ
チ繰り返し、50バッチ目の重合器内液相部の重合体スケ
ール付着量、及び気相部と液相部との界面付近の重合体
スケール付着量を実施例1と同様に測定した。その結
果、液相部の重合体スケール付着量は0 g/m2 であり気
相部と液相部との界面付近のスケール付着量は13 g/m2
であった。
【0137】実施例17 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用い
て次のようにして重合を行った。実験No.1236 で使用し
た重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、60℃で10分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後、このように塗布処理して塗膜が形成された
重合器中に水4.5kg 、完全けん化ポリビニルアルコール
312g及び炭酸ナトリウム6gを仕込み撹拌しながら65℃に
昇温した。次に前記重合器に酢酸ビニル550g及び1重量
%過硫酸アンモニウム水溶液550gを仕込み、80℃に昇温
した。続いて、前記重合器中に酢酸ビニル5.0kg 及び1
重量%過硫酸アンモニウム水溶液1.0kg を4時間かけて
均一になるように添加した。酢酸ビニル及び過硫酸アン
モニウムの添加終了後、重合器内を90℃に昇温して90℃
で2時間重合した。重合終了後、生成重合体及び未反応
単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除去
した。以後、上記のような塗膜の形成から重合を経て重
合器内の水洗に到るまでの操作を80バッチ繰り返し、80
バッチ目の重合器内液相部の重合体スケール付着量、及
び気相部と液相部との界面付近の重合体スケール付着量
を実施例1と同様に測定した。その結果、液相部の重合
体スケール付着量は0 g/m2 であり、気相部と液相部と
の界面付近の重合体スケール付着量は5 g/m2 であっ
た。
【0138】実施例18 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用い
て次のようにして重合を行った。実験No.1209 で使用し
た重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、50℃で20分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後このように塗布処理して塗膜が形成された重
合器中に水7.0kg 、部分けん化ポリビニルアルコール43
0g、ピロリン酸ナトリウム7g、及びヒドロ亜硫酸ナトリ
ウム7gを仕込み、50℃に昇温した。次に重合器内気相部
を窒素ガスで置換した後、70℃に昇温し、エチレンを内
圧14 kg/cm2 ・G になるまで仕込んだ。続いて酢酸ビニ
ル6.0kg 及び2重量%過硫酸アンモニウム水溶液1.0kg
を4時間かけて均一に添加した。酢酸ビニル及び過硫酸
アンモニウムの添加終了後重合器内を80℃に昇温して80
℃で3時間重合した。重合終了後、生成重合体及び未反
応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除
去した。以後、上記のような塗膜の形成から重合を経て
重合器内の水洗に到るまでの操作を80バッチ繰り返し、
80バッチ目の重合器内液相部の重合体スケール付着量、
及び気相部と液相部との界面付近の重合体スケール付着
量を実施例1と同様に測定した。その結果、液相部の重
合体スケール付着量は0 g/m2 であり、気相部と液相部
との界面付近の重合体スケール付着量は7 g/m2 であっ
た。
【0139】実施例19 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用い
て次のようにして重合を行った。実験No.1021 で使用し
た重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び撹拌
軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布
し、60℃で20分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、水洗し
た。その後、このように塗布処理して塗膜が形成された
重合器中に、ケン化度99.4モル%、重合度2250のポリビ
ニルアルコール1.2kg を水15リットルに溶解した水溶液
を仕込んだ。該水溶液を撹拌しつつ、35%濃塩酸1kgを
加え、10分後、ブチルアルデヒド800gを15分間かけて滴
下した。その後重合器内を60℃に昇温し、3時間反応を
行った。重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を回
収し、重合器内を水洗して残存レジンを除去した。以
後、上記のような塗膜の形成から重合を経て重合器内の
水洗に到るまでの操作を 100バッチ繰り返し、 100バッ
チ目の重合器内液相部の重合体スケール付着量、及び気
相部と液相部との界面付近の重合体スケール付着量を実
施例1と同様に測定した。その結果、液相部の重合体ス
ケール付着量は0 g/m2 であり、気相部と液相部との界
面付近の重合体スケール付着量は8 g/m2 であった。
【0140】実施例20 プレポリマーの調製例 以下の本実施例20において使用するプレポリマーを、下
記の方法で調製した。重合器に、スチレン単量体6000g
、ポリブタジエンゴム720g、ミネラルオイル(出光興
産(株)製CP-50)480g及びn−ドデシルメルカプタン60
00g を仕込み、115 ℃で5時間反応させてプレポリマー
を調製した。
【0141】内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製
重合器を用いて次のようにして重合を行った。実験No.1
020 で使用した重合体スケール付着防止剤を重合器の内
壁及び撹拌軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する
部分に塗布し、60℃で10分間加熱、乾燥して塗膜を形成
後、水洗した。その後、このように塗布処理して塗膜が
形成された重合器中に、水7000g 、上記調製例で得られ
たプレポリマー7000g 、ヒドロキシアパタイト70g 、ド
デシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.14g 、過酸化ベ
ンゾイル17.5g 及び過安息香酸−t−ブチル10.5g を仕
込み、92℃で 3.5時間反応させた後、 135℃で1時間反
応させて重合体を製造した。重合終了後、生成重合体及
び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジ
ンを除去した。以後、上記のような塗膜の形成から重合
を経て重合器内の水洗に到るまでの操作を 100バッチ繰
り返し、 100バッチ目の重合器内液相部のスケール付着
量、及び気相部と液相部との界面付近のスケール付着量
を実施例1と同様に測定した。その結果、液相部の重合
体スケール付着量は0 g/m2 であり、気相部と液相部と
の界面付近のスケール付着量は22 g/m2 であった。
【0142】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相部と液相部との界面付近においても効果的
に重合体スケールの付着を防止することができる。従っ
て、本発明を適用して重合を行った場合には、重合体ス
ケールの除去作業を、重合ごとに行う必要がなく、それ
によって生産性が向上する。また、本発明を適用して重
合を行った場合に得られる重合体をシート等に成形した
場合、フィッシュアイが極めて少ない成形物を得ること
ができる。更に、上記成形物は、初期着色性が良好であ
る。具体的には、JIS Z 8730(1980)に記載のハンター色
差式における明度指数(L値)が、例えば、塩化ビニル
重合体の場合には70以上、SBRの場合には80以上であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平4 −72910 (32)優先日 平4(1992)2月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4 −72911 (32)優先日 平4(1992)2月24日 (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願平4 −177467 (32)優先日 平4(1992)6月11日 (33)優先権主張国 日本(JP)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)芳香族アミン化合物(B)キノ
    ン化合物との縮合生成物が水又はアルコール溶剤を50
    重量%以下で含有する水−アルコール混合溶媒に溶解さ
    れた、pH7.5〜13.5のアルカリ性溶液からな
    る、エチレン性二重結合を有する単量体の重合用の重合
    体スケール付着防止剤。
  2. 【請求項2】 前記(A)成分が (A−1)ヒドロキシル基、カルボキシル基及びスルホ
    ン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する芳
    香族アミン化合物である請求項1の重合体スケール付着
    防止剤。
  3. 【請求項3】 前記(A)成分が (A−1)ヒドロキシル基、カルボキシル基及びスルホ
    ン基からなる群から選ばれる少なくとも1種を有する芳
    香族アミン化合物、及び (A−2)ヒドロキシル基、カルボキシル基及びスルホ
    ン基のいずれも有しない芳香族アミン化合物である請求
    項1の重合体スケール付着防止剤
  4. 【請求項4】 前記縮合生成物が、前記(A)成分と
    (B)成分の縮合反応の途中に、 (C)反応停止剤を添加して縮合することにより得られ
    るものである請求項1、2又は3の重合体スケール付着
    防止剤。
  5. 【請求項5】 更に、 (D)水溶性高分子化合物、及び/又は (E)コロイドシリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩から
    なる群から選ばれる少なくとも1種を含有する請求項
    1、2、3又は4の重合体スケール付着防止剤。
  6. 【請求項6】 エチレン性二重結合を有する単量体の重
    合用重合器であって、内壁面に、 (A)芳香族アミン化合物(B)キノン化合物との縮
    合生成物が水又はアルコール溶剤を50重量%以下で含
    有する水−アルコール混合溶媒に溶解された、p H7.
    5〜13.5のアルカリ性溶液を塗布し、乾燥して形成
    された塗膜を有する重合器。
  7. 【請求項7】 エチレン性二重結合を有する単量体の重
    合器内における重合による重合体の製造方法であって、
    内壁面に、(A)芳香族アミン化合物(B)キノン化
    合物との縮合生成物が水又はアルコール溶剤を50重量
    %以下で含有する水−アルコール混合溶媒に溶解され
    た、pH7.5〜13.5のアルカリ性溶液を塗布、乾
    燥して形成された塗膜を有する重合器ないで前記重合を
    行う工程を有し、これにより重合体スケールの付着が防
    止される製造方法。
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