JP3183602B2 - 重合体スケール付着防止剤及びそれを使用する重合体製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤及びそれを使用する重合体製造方法

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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F2/00Processes of polymerisation
    • C08F2/002Scale prevention in a polymerisation reactor or its auxiliary parts
    • C08F2/004Scale prevention in a polymerisation reactor or its auxiliary parts by a prior coating on the reactor walls

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性不飽和二重
結合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止
剤及びそれを利用する重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、エチレン性不飽和二重結合を有す
る単量体の重合方法としては、懸濁重合法、乳化重合
法、溶液重合法、気相重合法、塊状重合法等が知られて
いる。これらの重合法においては、いずれの場合にも重
合器内壁、撹拌装置等の単量体が接触する部位に重合体
スケールの付着が起こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器冷却能力等が低下するほか、この重合体スケ
ールが剥離して重合体中に混入し、重合体を成形するこ
とにより得られる成形物の品位を低下させるという不利
がもたらされる。また、付着した重合体スケールを除去
するためには、過大な労力と時間を要するのみならず、
この重合体スケール中に未反応の単量体が含まれている
ので、近年きわめて重大な問題となっている単量体によ
る人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物からなる重合体スケール付着防止剤を重合器内壁に塗
布し、塗膜を形成する方法、又はそれらの化合物を水性
媒体中に添加する方法が公知である(特公昭45-30343
号)。
【0005】しかし、これらの方法は5〜6バッチ程度
までの重合の繰り返しには重合体スケール付着防止効果
を示すが、重合バッチ数がそれよりも多くなると防止効
果がなくなってくる(持続性に劣る)という不利があ
る。この点は、水溶性触媒を使用した場合に特に影響が
著しく、工業的には満足できるものではない。
【0006】この不利を克服すべく、特開昭53-13689号
公報において芳香族アミン化合物の縮合生成物を重合体
スケール付着防止剤として使用することが提案されてい
る。この芳香族アミン化合物の縮合生成物を含有する塗
膜を重合器内壁等の単量体が接触する部分に形成する
と、重合を 100〜200 バッチ程度繰り返し行っても、重
合器内液相部への重合体スケール付着は生じない。ま
た、水溶性触媒を使用した場合においても同様に液相部
での重合体スケール付着は防止される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、重合器内の上
層部に位置する気相部と液相部との界面付近には重合体
スケールが付着するという欠点がある。気相部と液相部
との界面付近に一旦重合体スケールが付着すると、重合
を繰り返していくにしたがって付着した重合体スケール
が徐々に成長していき、ついには剥離して、重合体に混
入することがある。このように重合体スケールが重合体
に混入すると、その重合体をシート等の成形物に加工し
た場合、得られる成形物に多くのフィッシュアイが発生
し、成形物の品質が著しく低下してしまうことになる。
【0008】また、重合により得られる重合体をシート
等の成形物に加工した場合、得られる成形物には高い白
色性が求められる。即ち、重合体を着色剤を何ら添加せ
ずにシート等に成形しても、得られる成形物は多少着色
される。この着色は初期着色と称され、できる限り少な
いことが望まれる。ところが、前記の芳香族アミン化合
物の縮合生成物からなる塗膜が剥離ないしは溶解して重
合体に混入することがあるため、成形物の白色度が低
下、即ち初期着色性が悪化する。
【0009】従って、本発明の課題は、エチレン性不飽
和二重結合を有する単量体を重合する際に、重合器内の
液相部ばかりでなく気相部と液相部との界面付近におい
ても効果的に重合体スケールの付着を防止することがで
きる上、シート等に成形した場合、フィッシュアイが極
めて少なく、かつ、初期着色性が良好である成形物が得
られる重合体を製造することができる重合体スケール付
着防止剤及び重合体の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前記課題を達
成するものとして、(A) アミノ基を少なくとも2個有す
るアントラキノン化合物と、(B) ベンゾキノン化合物及
びナフトキノン化合物からなる群から選ばれる少なくと
も1種との縮合生成物を含有するアルカリ性溶液からな
る、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体の重合用
の重合体スケール付着防止剤を提供する。
【0011】また、本発明は、エチレン性不飽和二重結
合を有する単量体の重合器内における重合による重合体
の製造方法であって、内壁面に、(A) アミノ基を少なく
とも2個有するアントラキノン化合物と、(B) ベンゾキ
ノン化合物及びナフトキノン化合物からなる群から選ば
れる少なくとも1種との縮合生成物を含有するアルカリ
性溶液を塗布し、乾燥して形成された塗膜を有する重合
器内で前記重合を行う工程を有し、これにより重合器内
での重合体スケールの付着が防止される製造方法を提供
する。
【0012】(A) アミノ基を少なくとも2個有するアン
トラキノン化合物 アミノ基を少なくとも2個有するアントラキノン化合物
(A) は、例えば、下記のような一般式(1) で表される化
合物である。
【0013】
【化1】
【0014】(式中、複数のR1 は同一でも異なっても
よく、−H,−OH,−COOH,−SO3 H,−NH2 ,−Cl,
−Br,−I,−NO2 ,−COCH3 ,−OCH 3 ,−N(CH3 )
2 及び炭素原子数1〜3のアルキル基からなる群から選
ばれる基であり、nは1〜2の整数である。)
【0015】具体的には、1,2-,1,4-,1,5-及び2,6-ジア
ミノアントラキノン、1,4-ジアミノ-2- ヒドロキシアン
トラキノン、1,5-ジアミノ-2- ヒドロキシアントラキノ
ン、1,4-ジアミノアントラキノン-2- カルボン酸、1,5-
ジアミノアントラキノン-2-カルボン酸、1,4-ジアミノ
アントラキノン-2- スルホン酸、1,5-ジアミノアントラ
キノン-2- スルホン酸、1,4-ジアミノ-5,8- ジヒドロキ
シアントラキノン、1,5-ジアミノ-4,8- ジヒドロキシア
ントラキノン等が例示される。これらの中で好ましいも
のは、1,4-,1,5- 及び2,6-ジアミノアントラキノン、1,
4-ジアミノ-2-ヒドロキシアントラキノン、1,5-ジアミ
ノアントラキノン-2- カルボン酸並びに1,4-ジアミノ-
5,8- ジヒドロキシアントラキノンである。上記アミノ
基を少なくとも2個有するアントラキノン化合物(A)
は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用可能で
ある。
【0016】(B) ベンゾキノン化合物及びナフトキノン
化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種 ベンゾキノン化合物及びナフトキノン化合物からなる群
から選ばれる少なくとも1種 (以下、単に「キノン化合
物」という。)(B)は、例えば下記のような一般式(2) 〜
(5) で表される化合物である。
【0017】
【化2】
【0018】
【化3】 (式中、R2 は、−H,−NH2 , −Cl, −Br, −OH, −
NO2 , −COCH3 , −OCH3 , −N(CH3 ) 2 又は炭素原子
数1〜3のアルキル基を表し、R3 は、−H,−NH2 ,
−OH, −CH3 ,−COOH又は−SO3 H を表す。)
【0019】具体的には、o-, m-及びp-ベンゾキノン、
オキシ-p- ベンゾキノン、クロル-p- ベンゾキノン、ブ
ロム-p- ベンゾキノン、ジュロキノン、クロルアニル等
のベンゾキノン化合物が例示される。
【0020】
【化4】
【0021】
【化5】 (式中、R2 及びR3 は、前記のとおりである。またR
4 は、−H,−Cl, −Br, −OH, −COCH3 , −OCH 3 ,
−CH3 ,−COOH又は−SO3 H を表す。)
【0022】具体的には、6-メチル-1,4- ナフトキノ
ン、2-メチル-1,4- ナフトキノン、ローソン、ユグロ
ン、プルンバギン、α−ナフトキノン、β−ナフトキノ
ン等のナフトキノン化合物が例示される。
【0023】上記のキノン化合物の中で好ましいもの
は、o-及びp-ベンゾキノン、α−ナフトキノン、β−ナ
フトキノン及びローソンである。上記キノン化合物(B)
は、1種単独でも2種以上を組み合わせても使用可能で
ある。
【0024】縮合反応 本発明の重合体スケール付着防止剤の必須成分であるア
ミノ基を少なくとも2個有するアントラキノン化合物
(A) とキノン化合物(B) との縮合生成物は、(A)成分及
び(B) 成分を適当な溶媒中、必要に応じて触媒存在下、
通常、室温〜200℃で 0.5〜100 時間、好ましくは室温
〜150 ℃で3〜30時間反応させることにより製造され
る。
【0025】キノン化合物(B) は縮合触媒としても作用
するので、通常特に他の縮合触媒を添加する必要はない
が、他の縮合触媒を添加する場合に使用可能な縮合触媒
としては、ヨウ素、臭素、塩素、フッ素等の元素ないし
分子状の単体ハロゲン;例えば、ヨウ素酸、過ヨウ素
酸、過ヨウ素酸カリウム、過塩素酸ナトリウム等のハロ
ゲンの酸素酸及び酸素酸塩;例えば、過酸化水素、過酸
化ナトリウム、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等
の無機過酸化物;例えば、過酢酸、ベンゾイルパーオキ
サイド、キュメンハイドロパーオキサイド、過安息香
酸、p-メンタンハイドロパーオキサイド等の有機過酸化
物;例えば、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸銅、塩化第
一銅等の鉄及び銅から選択される金属の塩化物及び硫酸
塩;例えば、α,α′- アゾビスイソブチロニトリル、
α,α′- アゾビス- 2,4-ジメチルバレロニトリル等の
アゾ化合物;例えば、ニトロベンゼン、o-, m-及びp-オ
キシニトロベンゼン、o-, m-及びp-ニトロアニソール、
o-, m-及びp-クロロニトロベンゼン、o-, m-及びp-ニト
ロ安息香酸、o-, m-及びp-ニトロベンゼンスルホン酸等
の芳香族ニトロ化合物等が例示される。
【0026】縮合反応の溶媒としては、例えば、アルコ
ール類、ケトン類、エステル類等の有機溶媒を使用し、
その中でも、水と混和性を有する有機溶媒を使用するの
が好ましい。水と混和性を有する有機溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアル
コール類;例えば、アセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類;例えば、酢酸メチル、酢酸エチル等のエステ
ル類等が例示され、その中でも特にアルコール類が好ま
しい。また、前記水と混和性を有する有機溶媒と水との
混合溶媒を使用することも可能である。
【0027】縮合反応を行う媒体のpHは、通常、1〜13
であり、pH調整剤は、特に制約なく使用することができ
る。
【0028】縮合反応を行う際のアミノ基を少なくとも
2個有するアントラキノン化合物(A) とキノン化合物
(B) の割合は、使用するアミノ基を少なくとも2個有す
るアントラキノン化合物、キノン化合物及び溶媒の種
類、反応温度、反応時間等に影響されるが、通常、アミ
ノ基を少なくとも2個有するアントラキノン化合物(A)
1重量部当たり、キノン化合物(B) を0.01〜10重量部と
するのが好ましく、更に、0.1〜5重量部とするのが好
ましい。キノン化合物(B) が多すぎても少なすぎても得
られる縮合生成物の重合体スケール付着防止効果が低下
する。
【0029】(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物を含有
するアルカリ性溶液からなる重合体スケール付着防止剤 本発明の重合体スケール付着防止剤は、上記(A) 成分と
(B) 成分との縮合生成物を含有するアルカリ性溶液から
なる。かかる重合体スケール付着防止剤を重合器内壁面
などに塗布し、乾燥して塗膜を形成することにより重合
器内壁面などへの重合体スケールの付着を防止すること
ができる。
【0030】重合体スケール付着防止剤は、例えば、上
記の縮合反応を行った縮合生成物含有液に必要に応じて
下記の溶媒を添加し、pHをアルカリ性に調節することに
より調製される。また、重合体スケール付着防止剤は、
前記縮合生成物含有液を冷水に投入して縮合生成物を沈
殿させた後、その沈殿物を濾別、乾燥したものに下記の
溶媒を添加し、pHをアルカリ性に調節することにより調
製してもよい。
【0031】本発明の重合体スケール付着防止剤は、ア
ルカリ性としたことにより、(A) 成分と(B) 成分の縮合
生成物の溶媒に対する溶解性が向上する。従って、重合
体スケール付着防止剤が均一な溶液となるため、重合器
内壁面などに塗布する場合に重合体スケール付着防止効
果を向上させることができる。本発明の重合体スケール
付着防止剤は、更に、pH 7.5〜13.5であることが好まし
く、特に、pH 8.0〜12.5であることが好ましい。pH調整
に使用するアルカリ性化合物としては、例えば、LiOH、
NaOH、KOH 、Na2 CO3 、Na2 HPO 4 、NH4 OH等のアルカ
リ金属化合物及びアンモニア化合物、並びに、例えば、
エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノー
ルアミン、トリエタノールアミン等の有機アミン化合物
等が例示される。
【0032】重合体スケール付着防止剤の調製に使用す
る溶媒としては、例えば、水;例えば、メタノール、エ
タノール、プロパノール、ブタノール、2-ブタノール、
2-メチル-1- プロパノール、2-メチル-2- プロパノー
ル、3-メチル-1- ブタノール、2-メチル-2- ブタノー
ル、2-ペンタノール等のアルコール系溶剤;例えば、ア
セトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン
等のケトン系溶剤;例えば、ギ酸メチル、ギ酸エチル、
酢酸メチル、酢酸エチル、アセト酢酸メチル等のエステ
ル系溶剤;例えば、4-メチルジオキソラン、エチレング
リコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;フラン
類;例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキ
シド、アセトニトリル等の非プロトン系溶剤等が例示さ
れる。これらの溶媒は適宜単独で又は二種以上の混合溶
媒として使用される。
【0033】上記溶媒の中で好ましいものは、水、及び
水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒である。
上記した有機溶媒の中で水と混和性を有する有機溶媒と
しては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノー
ル等のアルコール系溶剤;例えば、アセトン、メチルエ
チルケトン等のケトン系溶剤;例えば、酢酸メチル、酢
酸エチル等のエステル系溶剤等が例示される。水と混和
性を有する有機溶媒と水との混合溶媒を使用する場合の
有機溶媒の含有量は、引火、爆発等の危険がなく、毒性
等の取扱上の安全に問題がない量とするのが好ましく、
具体的には、有機溶媒が50重量%以下であることが好ま
しく、更に、30重量%以下であることが好ましい。
【0034】上記アルカリ性溶液中の縮合生成物の濃度
は、後記の総塗布量が得られる限り、特に制限されない
が、通常、 0.001〜5重量%程度、好ましくは0.01〜1
重量%程度である。
【0035】また、重合体スケール付着防止効果をより
向上させるため、上記防止剤に、(C) 水溶性高分子化合
物及び/又は(D) 無機コロイド及びアルカリ金属のケイ
酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種を添加する
のが好ましい。より好ましくは、(C) と(D) を併用す
る。これらの添加剤(C) 及び(D) は、恐らく、縮合生成
物と相互作用して、塗布面の親水性を高めたり((C) 水
溶性高分子化合物)、重合体スケール付着防止剤の重合
器内壁への付着を高めたり((E) 無機コロイド及びアル
カリ金属のケイ酸塩からなる群から選ばれる少なくとも
1種)する作用があると推定される。
【0036】(C) 水溶性高分子化合物 水溶性高分子化合物(C) としては、例えば、ゼラチン、
カゼイン等の両性高分子化合物;例えば、ポリアクリル
酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキシメチルセルロ
ース、アルギン酸等のアニオン性高分子化合物;例え
ば、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド等のカ
チオン性含窒素高分子化合物;例えば、ポリビニルアル
コール、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロ
ピルセルロース、ペクチン等のヒドロキシル基含有高分
子化合物等が例示される。上記の水溶性高分子化合物の
中で好ましいものは、ゼラチン、カゼイン、ポリアクリ
ル酸、カルボキシルメチルセルロース、ポリビニルピロ
リドン及びペクチンである。
【0037】上記水溶性高分子化合物(C) は、1種単独
でも2種以上を組み合わせても使用可能である。また、
上記水溶性高分子化合物(C) の重合体スケール付着防止
剤への添加量は、(A) 成分と(B) 成分との縮合生成物1
重量部当たり、通常0.01〜10重量部であり、好ましくは
0.05〜2重量部である。
【0038】(D) 無機コロイド及びアルカリ金属のケイ
酸塩からなる群から選ばれる少なくとも1種 無機コロイドは、例えば、水を分散媒とする分散法や、
凝集法により製造される粒子コロイドであり、コロイド
粒子の大きさは1〜500 mμである。無機コロイドとし
ては、具体的には、アルミニウム、トリウム、チタン、
ジルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等から選択される
金属の酸化物及び水酸化物のコロイド、タングステン
酸、五酸化バナジウム、金及び銀のコロイド、ヨウ化銀
ゾル、セレン、イオウ、シリカ等のコロイド等が例示さ
れる。これらの中で好ましいものは、アルミニウム、チ
タン、ジルコニウム、スズ及び鉄から選択される金属の
酸化物及び水酸化物のコロイド、並びにコロイドシリカ
である。
【0039】また、アルカリ金属のケイ酸塩としては、
例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属のメタケイ酸塩( M2 SiO 3 )、オルトケイ酸塩
( M4SiO 4 )、二ケイ酸塩( M2 Si2 O 3 )、三ケイ
酸塩( M3 Si3 O 7 )、セスキケイ酸( M4 Si3 O 10
等(なお、ここでMはリチウム、ナトリウム、カリウム
等のアルカリ金属を示す。)、並びに水ガラスが挙げら
れる。
【0040】上記(D) 成分は、1種単独でも2種以上を
組み合わせても使用可能である。また、上記(D) 成分の
重合体スケール付着防止剤への添加量は、(A) 成分と
(B) 成分との縮合生成物1重量部当たり、通常、0.01〜
10重量部であり、好ましくは、0.05〜5重量部である。
【0041】上記の(C) 成分と(D) 成分を併用する場
合、水溶性高分子と無機コロイドの組合せ、又は水溶性
高分子とアルカリ金属のケイ酸塩の組合せで使用するの
が好ましい。水溶性高分子化合物と無機コロイドの組合
せで使用する場合には、水溶性高分子化合物 100重量部
当たり、無機コロイドを5〜3000重量部使用するのが好
ましく、更に、50〜1000重量部使用するのが好ましい。
水溶性高分子化合物とアルカリ金属のケイ酸塩に組合せ
で使用する場合には、水溶性高分子化合物 100重量部当
たり、アルカリ金属のケイ酸塩を5〜3000重量部使用す
るのが好ましく、更に、50〜1000重量部使用するのが好
ましい。
【0042】塗膜の形成 上記のようにして調製される(A) 成分と(B) 成分との縮
合生成物を含有するアルカリ性溶液からなる重合体スケ
ール付着防止剤を用いて重合器内壁面に塗膜を形成する
には、まず、該防止剤を重合器内壁面に塗布し、次い
で、例えば室温から 100℃までの温度範囲で充分に乾燥
させた後、さらに必要に応じて水洗する。
【0043】また、前記重合体スケール付着防止剤は、
重合器内壁面だけでなく、重合中に単量体が接触する他
の部位にも塗布することが好ましい。例えば、撹拌翼、
撹拌軸、バッフル、コンデンサ、ヘッダ、サーチコイ
ル、ボルト、ナット等が挙げられる。
【0044】更に好ましくは、前記重合体スケール付着
防止剤は重合中に単量体が接触する部位以外であって
も、重合体スケールが付着する恐れのある部位、例えば
未反応単量体の回収系統の機器及び配管の内面等には、
前記塗膜を形成した方がよい。具体的には、モノマー蒸
留塔、コンデンサ、モノマー貯蔵タンク、バルブ等の内
面が挙げられる。
【0045】なお、重合体スケール付着防止剤を重合器
内壁面に塗布する方法は、特に限定されず、例えばハケ
塗り、スプレー塗布、重合体スケール付着防止剤で重合
器を満たした後に抜き出す方法等を始めとして、そのほ
か特開昭57−61001 号、同55−36288 号、特公表昭56−
501116号、同56−501117号、特開昭59−11303 号等に記
載の自動塗布方法を用いることもできる。
【0046】また、重合体スケール付着防止剤が塗布さ
れたことにより、濡れた状態の表面を乾燥する方法も限
定されることはなく、例えば次のような方法を使用する
ことができる。すなわち、重合体スケール付着防止剤の
塗布後、適当に昇温した温風を塗布面に当てる方法、あ
るいは重合体スケール付着防止剤を塗布すべき重合器内
壁面及びその他の表面を予め、例えば30〜80℃に加熱し
ておき、その加熱した表面に重合体スケール付着防止剤
を直接塗布する方法等を使用することができる。そして
塗布面の乾燥後は、その塗布面を必要に応じて水洗す
る。
【0047】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、 0.001〜5g/m2 であり、特に、
0.05〜2g/m2 であることが好ましい。
【0048】以上の塗布作業は、1〜10数バッチの重合
ごとに行えばよい。形成された塗膜は高い耐久性を有
し、重合体スケールの付着防止作用が持続するので、必
ずしも1バッチの重合ごとに行う必要はないため、生産
性が向上する。
【0049】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性不飽和二重結合を有する単量
体及び重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等
の重合媒体、及び懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性、ア
ニオン性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法に
より重合を行う。
【0050】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性不飽和二重結合を有する単量体としては、例えば、
塩化ビニル等のハロゲン化ビニル;例えば、酢酸ビニ
ル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;例えば、
アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらのエステル及び
塩;例えば、マレイン酸、フマル酸、並びにこれらのエ
ステル及び無水物;例えば、ブタジエン、クロロプレ
ン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレン;アクリ
ロニトリル;ハロゲン化ビニリデン;ビニルエーテル等
が例示される。これらは1種単独で、又は2種以上の組
合せで用いられる。
【0051】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。
【0052】以下、懸濁重合及び乳化重合の場合を例に
挙げて、一般的な重合方法を具体的に説明する。まず、
水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を
仕込む。次に、重合器内を排気して 0.1〜760 mmHgに減
圧した後、単量体を仕込み(この時、重合器の内圧は、
通常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる)、その後、30〜150
℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、
水、分散剤及び重合開始剤の一種又は二種以上を添加す
る。また、重合時の反応温度は、重合される単量体の種
類によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合に
は30〜80℃で重合を行い、スチレンの重合の場合には50
〜150 ℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kg
f/cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備
されたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温
度と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち重合
反応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断さ
れる。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開始剤
は、通常、単量体 100重量部に対して、水20〜500 重量
部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重量部
である。
【0053】溶液重合の場合には、重合媒体として水の
代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有
機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。
その他の重合条件は、一般に懸濁重合及び乳化重合につ
いての重合条件と同様である。
【0054】塊状重合の場合には、重合器内を約0.01〜
760 mmHgの圧力に排気した後、その重合器内に単量体及
び重合開始剤を仕込み、−10〜250 ℃の反応温度で重合
する。例えば、塩化ビニルの重合の場合には30〜80℃
で、スチレンの重合の場合には50〜150 ℃で実施され
る。
【0055】本発明の重合体スケールの付着防止方法を
適用して重合を行った場合には、重合器内壁面等の材質
にかかわらず重合体スケールの付着を防止することがで
き、例えば、ステンレス製その他のスチール製の重合
器、グラスライニングされた重合器等で重合を行う場合
にも重合体スケールの付着を防止することができる。
【0056】また、重合系に添加されるものは、何ら制
約なく使用することができる。すなわち、例えば、t−
ブチルパーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチル
ヘキシル)パーオキシジカーボネート、 3,5,5−トリメ
チルヘキサノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキ
シネオデカノエート、クメンハイドロパーオキサイト、
シクロヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキ
シピバレート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシ
ジカーボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイ
ルパーオキサイド、 2,4−ジクロルベンゾイルパーオキ
サイド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、
α,α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−ア
ゾビス− 2,4−ジメチルバレロニトリル、ベルオキソ二
硫酸カリウム、ベルオキソ二硫酸アンモニウム、p−メ
ンタンハイドロパーオキサイド等の重合開始剤;例え
ば、部分ケン化ポリビニルアルコール、ポリアクリル
酸、酢酸ビニルと無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース等のセルロース誘導体、ゼ
ラチン等の天然及び合成高分子化合物等の懸濁剤;例え
ば、リン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト等の固体
分散剤;例えば、ソルビタンモノラウレート、ソルビタ
ントリオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル
等のノニオン性乳化剤;例えば、ラウリル硫酸ナトリウ
ム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチルスルホコ
ハク酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;例えば、炭酸
カルシウム、酸化チタン等の充填剤;例えば、三塩基性
硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチルすずジラウ
レート、ジオクチルすずメルカプチド等の安定剤;例え
ば、ライスワックス、ステアリン酸、セチルアルコール
等の滑剤;例えば、DDP、DBP等の可塑剤;例え
ば、t−ドデシルメルカプタン等のメルカプタン類、ト
リクロロエチレン等の連鎖移動剤;pH調節剤等が存在
する重合系においても、本発明の方法は重合体スケール
の付着を効果的に防止することができる。
【0057】なお、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合器内壁面等への塗膜形成に用いた上で、さらに
直接重合系に添加してもよく、これによってスケール防
止効果を向上させることもできる。その場合、重合体ス
ケール付着防止剤の添加量は、仕込まれる単量体全重量
に対して約10〜1000ppm 程度が適当である。添加に際し
ては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分布等の重合体の
品質に影響を与えないように配慮する。
【0058】
【実施例】以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を詳
細に説明する。尚、以下の各表において*印を付した実
験No. は比較例であり、それ以外の実験No. 本発明の実
施例でる。製造例1 縮合生成物No.1の製造 還流冷却器を備えた内容積2リットルの反応器に、メタ
ノール 900g及びアミノ基を少なくとも2個有するアン
トラキノン化合物(A) として1,5-ジアミノアントラキノ
ン50gを仕込み、室温で攪拌して1,5-ジアミノアントラ
キノンをメタノールに溶解した。こうして得られたメタ
ノール溶液に、キノン化合物(B) としてα- ナフトキノ
ン50gを添加して、65℃に昇温し、65℃で10時間反応さ
せた後、冷却した。このようにして縮合生成物No.1のメ
タノール溶液が得られた。
【0059】縮合生成物No.2〜8 の製造 各製造において、表1に示したアミノ基を少なくとも2
個有するアントラキノン化合物(A) 及びキノン化合物
(B) 並びに表2に示した溶媒を用いて、縮合生成物No.1
の製造と同様の方法で縮合生成物を製造した。表2に
は、(A)+(B) 合計濃度、(A):(B) 比、反応温度及び反応
時間を示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】実施例1(実験No.101〜108) 内容積1000リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において、表
3に示した条件 (溶媒組成、縮合生成物(E)+(C)+(D) 合
計濃度、(E):(C):(D) 比及びpH) になるように、表3に
示した縮合生成物、水溶性高分子化合物(C) 、無機コロ
イド及びアルカリ金属のケイ酸塩からなる群から選ばれ
る少なくとも1種(D) 、pH調整剤及び溶媒を用いて重合
体スケール付着防止剤を調製した。尚、本実施例及び以
下に示す実施例2で使用した(D) 成分の無機コロイド
(表3及び6中のa〜g)は、表5に示すとおりであ
る。
【0063】各実験において、上記のように調製した重
合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪
拌翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40
℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水
洗した。
【0064】その後、各実験において、上記のように塗
布処理して塗膜が形成された重合器中に、水 400kg、塩
化ビニル 200kg、部分ケン化ポリビニルアルコール 250
g、ヒドロキシプロピルメチルセルロース25g及び 3,
5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド70gを仕
込み、攪拌しながら66℃で6時間重合した。重合終了
後、生成した重合体及び未反応単量体を回収し、重合器
内を水洗して残存樹脂を除去した。
【0065】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内の水洗の操作を1バッチとして、同じ操作
を表4に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後に
重合器内液相部の重合体スケール付着量、及び気相部と
液相部との界面付近の重合体スケール付着量を各実験に
ついて下記の方法で測定した。その結果を表4に示す。
【0066】・重合体スケールの測定 重合器内壁の所定箇所の10×10cmの区域に付着したスケ
ールをへらで掻き落とし、天秤で計量した。計量値を 1
00倍して1 m2 当たりのスケール付着量を求めた。
【0067】また、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合のフィッシュアイの個数を、下記の方法で
測定した。その結果を表4に示す。 ・フィッシュアイの測定 得られた重合体 100重量部、ジオクチルフタレート(DO
P )50重量部、ジブチルすずジラウレート1重量部、セ
チルアルコール1重量部、酸化チタン0.25重量部、カー
ボンブラック0.05重量部の配合割合で調製した混合物を
6インチロールを用いて 150℃で7分間混練した後、厚
さ 0.2mmのシートに成形し、得られたシート 100cm2
たりに含まれるフィッシュアイの個数を光透過法により
調べた。
【0068】更に、各実験で得られた重合体をシートに
成形した場合の初期着色性を評価するために明度指数
(L値)を下記の方法で測定した。その結果を表4に示
す。 ・明度指数(L値)の測定 得られた重合体 100重量部、安定剤(昭島化学社製、TS
−101)1重量部、安定剤(勝田化工社製、C-100J) 0.5
重量部及び可塑剤としてジオクチルフタレート50重量部
を2本ロールミルを用いて 160℃で5分間混練した後、
厚さ1mmのシートを成形する。次に成形したシートを4
×4×1.5cm の型枠に入れ、 160℃、65〜70kgf/cm2
0.2時間加熱、加圧成形して測定用試料を作成する。こ
の試料について、JIS Z 8730(1980)に記載のハンターの
色差式における明度指数Lを求め、L値が大きい程白色
度が高い、即ち初期着色性が良好であると評価した。L
値は次のようにして求める。
【0069】JIS Z 8722の記載に従って、標準光C、光
電色彩計(日本電色工業株式会社製、Z-1001DP型測色色
差計)を用い、刺激値直読方法により、XYZ 表色系の刺
激値Yを求める。照明及び受光の幾何学的条件として
は、JIS Z 8722の4.3.1 項に記載の条件dを採用した。
求められた刺激値Yから、JIS Z 8730(1980)に記載の
式:L=10Y1/2 により、L値が算出される。
【0070】
【表3】
【0071】
【表4】
【0072】
【表5】
【0073】実施例2(実験No.201〜208) 内容積20リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を使用
して次のようにして重合を行った。各実験において、表
6に示した条件 (溶媒組成、縮合生成物(E)+(C)+(D) 合
計濃度、(E):(C):(D) 比及びpH) になるように、表6に
示した縮合生成物、水溶性高分子化合物(C) 、コロイド
シリカ及びアルカリ金属のケイ酸塩からなる群から選ば
れる少なくとも1種(D) 、pH調整剤及び溶媒を用いて重
合体スケール付着防止剤を調製した。これら重合体スケ
ール付着防止剤を重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その
他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、40℃で15分
間加熱、乾燥して塗膜を形成後、重合器内を水洗した。
【0074】次に、各実験において、上記のように塗布
処理して塗膜が形成された重合器中に、水9kg、ドデシ
ルベンゼンスルホン酸ナトリウム 225g、t−ドデシル
メルカプタン12g及びペルオキソ二硫酸カリウム13gを
仕込み、重合器内を窒素ガス置換した後、スチレン 1.3
kg及びブタジエン 3.8kgを仕込んで50℃で20時間重合さ
せた。重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を回収
し、重合器内を水洗して残存樹脂を除去した。
【0075】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内の水洗の操作を1バッチとして、同じ操作
を表7に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後に
重合器内液相部の重合体スケール付着量、及び気相部と
液相部との界面付近の重合体スケール付着量を各実験に
ついて実施例1と同様の方法で求めた。その結果を表7
に示す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形
した場合の初期着色性を評価するために明度指数(L
値)を下記の方法で測定した。その結果を表7に示す。
【0076】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体ラテックス1kgに2%硫酸マグネシウム
溶液を1kgを加え、凝集沈澱を行った後、沈澱物を濾別
する。濾別した沈澱物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗浄
した後、減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥して樹脂
を得た。得られた樹脂を9×9cm、厚さ 0.1cmの型枠に
入れ、 195℃、50〜60kgf/cm2で 0.2時間加熱し、最終
圧力80kgf/cm2 で加圧成形して測定用試料を作製した。
この試料について、実施例1と同様にして明度指数Lを
求めた。
【0077】
【表6】
【0078】
【表7】
【0079】実施例3 内容積20リットルの撹拌機付ステンレス製重合器を用い
て次のようにして重合を行った。実施例2の実験No.201
で使用した重合体スケール付着防止剤を重合器の内壁及
び撹拌軸、撹拌翼その他重合中に単量体が接触する部分
に塗布し、50℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を形成後、
水洗した。
【0080】その後、このように塗布処理して塗膜が形
成された重合器中に水4.0kg 、及びドデシルベンゼンス
ルホン酸ナトリウム6gを仕込み、撹拌しながら60℃に昇
温した。次に重合器内気相部を窒素ガスで置換した後、
アクリル酸nブチル94g 、メタクリル酸メチル220g、ア
クリル酸5g及びメタクリル酸5gを仕込み、続いて過硫酸
アンモニウム1g及びヒドロ亜硫酸ナトリウム1gを仕込ん
で60℃で20分間撹拌した。更に、前記重合器に混合モノ
マー(アクリル酸nブチル2.1kg 、メタクリル酸メチル
4.8kg 、アクリル酸100g及びメタクリル酸100gを混合し
たもの)、1重量%過硫酸アンモニウム水溶液500g、1
重量%ヒドロ亜硫酸ナトリウム水溶液500g及び25重量%
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル水溶液2.0k
g を3時間かけてそれぞれ一定量ずつ添加した。添加終
了後、前記重合器を70℃に昇温して2時間重合した。重
合終了後、生成重合体及び未反応単量体を回収し、重合
器内を水洗して残存レジンを除去した。
【0081】以後、上記のような塗膜の形成から重合を
経て重合器内の水洗に到るまでの操作を50バッチ繰り返
し、50バッチ目の重合器内液相部の重合体スケール付着
量、及び気相部と液相部との界面付近の重合体スケール
付着量を実施例1と同様の方法で求めた。その結果、液
相部の重合体スケール付着量は0 g/m2 であり気相部と
液相部との界面付近のスケール付着量は8 g/m2 であっ
た。
【0082】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相部と液相部との界面付近においても効果的
に重合体スケールの付着を防止することができる。従っ
て、本発明を適用して重合を行った場合には、重合体ス
ケールの除去作業を、重合ごとに行う必要がなく、それ
によって生産性が向上する。また、本発明を適用して重
合を行った場合に得られる重合体をシート等に成形した
場合、フィッシュアイが極めて少ない成形物を得ること
ができる。更に、上記成形物は、初期着色性が良好であ
る。具体的には、JIS Z 8730(1980)に記載のハンター色
差式における明度指数(L値)が、例えば、塩化ビニル
重合体の場合には70以上、SBRの場合には80以上であ
る。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A) アミノ基を少なくとも2個有するアン
    トラキノン化合物と、 (B) ベンゾキノン化合物及びナフトキノン化合物からな
    る群から選ばれる少なくとも1種との縮合生成物を含有
    するアルカリ性溶液からなる、エチレン性不飽和二重結
    合を有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止
    剤。
  2. 【請求項2】 請求項1の重合体スケール付着防止剤で
    あって、更に、 (C) 水溶性高分子化合物、及び/又は (D) 無機コロイド及びアルカリ金属のケイ酸塩からなる
    群から選ばれる少なくとも1種を含有するもの。
  3. 【請求項3】 エチレン性不飽和二重結合を有する単量
    体の重合器内における重合による重合体の製造方法であ
    って、内壁面に、 (A) アミノ基を少なくとも2個有するアントラキノン化
    合物と、 (B) ベンゾキノン化合物及びナフトキノン化合物からな
    る群から選ばれる少なくとも1種との縮合生成物を含有
    するアルカリ性溶液を塗布し、乾燥して形成された塗膜
    を有する重合器内で前記重合を行う工程を有し、これに
    より重合器内での重合体スケールの付着が防止される製
    造方法。
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