JPH05331209A - 重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法 - Google Patents

重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法

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JPH05331209A
JPH05331209A JP17009792A JP17009792A JPH05331209A JP H05331209 A JPH05331209 A JP H05331209A JP 17009792 A JP17009792 A JP 17009792A JP 17009792 A JP17009792 A JP 17009792A JP H05331209 A JPH05331209 A JP H05331209A
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ヒドラジンとキノン化合物との縮合生成物を
含有してなる、エチレン性二重結合を有する単量体の重
合用の重合体スケール付着防止剤。内壁に、該防止剤の
塗膜を有する重合器、及び該重合器を用いて前記の重合
を行うことによりスケール付着が防止される重合体製造
方法。 【効果】 重合器内の液相部だけでなく気相部と液相部
との界面付近においても重合体スケールの付着を効果的
に防止することができる上、得られる製品重合体の成形
後のフィッシュアイが少なく、初期着色性が良好であ
る。また、上記の防止剤からなる塗布液は、水を主成分
とするため、有機溶媒の引火、爆発等の危険が少なく、
毒性等も問題にならない。更に、重合体スケールの除去
作業を重合ごとに行う必要がなく、それによって生産性
が向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、エチレン性二重結合を
有する単量体の重合用のスケール付着防止剤、重合器及
びそれを使用する重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ビニル系単量体の重合方法として
は懸濁重合法、乳化重合法、溶液重合法、気相重合法、
あるいは塊状重合法等が知られている。これらの重合法
においては、いずれの場合にも重合器内壁、攪拌装置部
等の単量体が接触する部位に重合体スケールの付着が起
こり易い。
【0003】重合体スケールが付着すると、重合体の収
率、重合器冷却能力等が低下するほか、このスケールが
剥離して製品中に混入し、製品の品位を低下させるとい
う不利がもたらされ、又付着した重合体スケールを除去
するためには、過大な労力と時間を要するのみならず、
このスケール中に未反応の単量体が含まれているので、
近年きわめて重大な問題となっている単量体(塩化ビニ
ル等)による人体障害の危険性がある。
【0004】従来からこのような重合器内壁等への重合
体スケールの付着防止に関して、例えば塩化ビニルの懸
濁重合において一部実施されているように、アミン化合
物、キノン化合物、アルデヒド化合物等の極性有機化合
物を塗布する方法、又はそれら化合物を水性媒体中に添
加する方法が公知である(特公昭45−30343 公報)。し
かし、これらの方法は5〜6バッチ程度までの重合の繰
り返しにはスケール防止効果を示すが、重合バッチ数が
それよりも多くなると防止効果がなくなってくる(持続
性に劣る)という不利がある。この点は、水溶性触媒を
使用した場合に特に影響が著しく、工業的には満足でき
るものではなかった。
【0005】この不利を克服すべく、特開昭53−13689
号公報において芳香族アミン化合物の縮合生成物が提案
されている。この芳香族アミン化合物の縮合生成物の塗
膜を重合器内壁等の単量体が接触する部分に形成する
と、重合を 100〜200 バッチ程度繰り返し行っても、重
合器内液相部へのスケール付着は生じない。また水溶性
触媒を使用した場合においても同様に液相部でのスケー
ル付着は防止される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、重合器内の上
層部に位置する気相部と液相部との界面付近にはスケー
ルが付着するという欠点があった。気相部と液相部との
界面付近に一旦スケールが付着すると、重合を繰り返し
ていくにしたがって付着したスケールが徐々に成長して
いき、ついには剥離して製品重合体に混入することがあ
る。そして、このようにスケールが製品重合体に混入す
ると、その製品重合体をシート等の成形品に加工したと
き、その成形品に多くのフィッシュアイが発生し、成形
品の品質が著しく低下してしまうことになる。
【0007】また、重合体を成形品に加工する際に生じ
る着色は初期着色と称され、小さい程好ましい。ところ
が、前記の芳香族アミン化合物の縮合生成物からなる塗
膜が剥離ないしは溶解して製品重合体に混入することが
あり、初期着色性が低下する。更に、前記の芳香族アミ
ン化合物の縮合生成物の塗膜を形成する際、該縮合生成
物は有機溶媒又は有機溶媒を主成分とする水との混合物
に溶解した塗布液として使用されるため、有機溶媒の引
火、爆発の危険があり、その毒性等の取扱上の安全にも
問題がある。
【0008】従って、本発明の目的は、重合器内の液相
部ばかりでなく気相部と液相部との界面付近においても
効果的に重合体スケールの付着を防止し、成形後のフィ
ッシュアイが極めて少なく、かつ、初期着色性が良好で
ある製品重合体を製造することができ、更に、塗膜を形
成する際に有機溶媒の引火、爆発の危険が少なく、取扱
上も安全であるスケール付着防止剤、該防止剤を利用す
る重合器及び重合体の製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は前記
目的を達成するものとして、ヒドラジンとキノン化合物
との縮合生成物を含有してなる、エチレン性二重結合を
有する単量体の重合用の重合体スケール付着防止剤を提
供する。
【0010】また、本発明は、上記縮合生成物を含有す
る塗膜を有する重合器を提供する。さらに、エチレン性
二重結合を有する単量体の重合器内における重合により
重合体を製造する方法であって、内壁面に上記の塗膜を
有する重合器内で、前記重合を行う工程を有する重合体
の製造方法を提供する。
【0011】本発明の重合体スケール防止剤の必須成分
である前記の縮合生成物は、ヒドラジンとキノン化合物
とを縮合することにより得られる物質である。以下、原
料及び合成について説明する。
【0012】キノン化合物 キノン化合物は、例えば下記のような一般式 (1)〜(4)
で表される化合物である。
【化1】
【化2】 〔ここで、R1 は−H,−NH2 ,−Cl,−OH,−NO2
−COCH3 ,− OCH3 ,−N(CH3 ) 2 又は炭素原子数1〜
3のアルキル基を表し、R2 は、−H,−NH2 ,−OH,
−CH3 ,−COOH,−SO3 H を表す。〕具体的には、オル
ソもしくはパラ−ベンゾキノン、オキシ−パラ−ベンゾ
キノン、クロル−パラ−ベンゾキノン、ジュロキノン、
クロルアニル等が例示される。
【0013】
【化3】
【化4】 〔ここで、R1 及びR2 は、同一でも異なってもよく、
前記のとおりである。またR3 は、−H,−OH,−C
H3 ,−Cl,−COCH3 ,− OCH3 ,−COOH,−SO3 Hを表
す。〕具体的には、6−メチル− 1,4−ナフトキノン、
2−メチル− 1,4−ナフトキノン、ローソン、ユグロ
ン、プルンバギン、α−ナフトキノン、β−ナフトキノ
ン等が例示される。
【0014】上記のキノン化合物の中で好ましいもの
は、パラ−ベンゾキノン、ジュロキノン、ローソン、ユ
グロン、α−ナフトキノン及びβ−ナフトキノンであ
る。なお、本発明において、上記のキノン化合物は、単
独でも二種以上の混合物としても使用可能である。
【0015】縮合生成物 ヒドラジンと前記したキノン化合物との縮合は、適当な
溶媒中で、通常、室温〜100 ℃で 0.1〜300 時間、好ま
しくは、室温〜50℃で 0.5〜100 時間反応させることに
より行われる。
【0016】縮合反応の溶媒としては、水、有機溶媒、
水と有機溶媒との混合溶媒が用いられる。有機溶媒とし
ては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール
等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等の
ケトン類;酢酸メチル、酢酸エステル等のエステル類が
挙げられる。
【0017】上記の水性媒体のpHは、 7.5〜13.5の範囲
が好ましく、更に、 9.0〜13.0の範囲が好ましい。な
お、上記のヒドラジンがアルカリ性を示すので、ほとん
どの場合、特にpHを調整する必要がない。pHの調整を行
う必要がある場合に使用するアルカリ性化合物として
は、例えば、LiOH、NaOH、KOH 、Na2 CO3 、Na2 SiO
3 、Na2 HPO4 、NH4 OH等のアルカリ金属化合物あるい
はアンモニウム化合物が挙げられる。
【0018】縮合生成物はヒドラジン、キノン化合物の
種類、組成比及び反応温度、反応時間に影響されるが、
本発明においては、ヒドラジン1重量部当り、キノン化
合物を0.01〜10重量部とすることが好ましく、更に、
0.1〜3重量部とすることが好ましい。キノン化合物が
多すぎても少なすぎても、得られる縮合生成物のスケー
ル付着防止効果が低下する。
【0019】塗布液の調製 上記縮合反応により製造した縮合生成物を含有してなる
塗布液は、例えば、上記縮合反応を行った縮合生成物含
有溶液をそのまま使用するか、下記の水等の溶媒で希釈
したものを使用すればよい。
【0020】塗布液の調製に使用される溶媒としては、
水又は水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒が
挙げられる。水と混和性を有する有機溶媒としては、例
えば、メタノール、エタノール、プロパノール等のアル
コール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン
類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類が挙げられ
る。水と混和性を有する有機溶媒と水との混合溶媒を使
用する場合、有機溶媒の含有割合は、引火、爆発等の危
険がなく、毒性等の取扱上の安全の問題がない割合とす
ればよく、具体的には、50重量%以下であることが好ま
しく、更に、30重量%以下であることが好ましい。有機
溶媒が多すぎると、前記のように、塗膜を形成する際に
引火、爆発等の危険があり、また、毒性等の取扱上の安
全も問題となる。
【0021】塗布液中の (A)成分と (B)成分との縮合生
成物の濃度は、後記の総塗布量が得られる限り、特に制
限されないが、通常 0.005〜10重量%程度、好ましくは
0.01〜5重量%である。
【0022】また、この塗布液には、スケール防止作用
を害しない限り、例えば、カチオン性、ノニオン性及び
アニオン性の界面活性剤等を添加することができ、ま
た、必要に応じて、カチオン性高分子化合物、アニオン
性高分子化合物、両性高分子化合物等の水溶性高分子化
合物を添加することができる。
【0023】カチオン性高分子化合物としては、例え
ば、ポリビニルアミン、ポリエチレンアミン、ポリエチ
レンイミン、ポリアクリルアミド、N−ビニル−2−ピ
ロリドン−アクリルアミド共重合体、ジメチルジアミル
アンモニウムクロライドの環化重合体、ジメチルジエチ
ルアンモニウムブロマイドの環化重合体、ジアリルアミ
ン塩酸塩の環化重合体、ジメチルジアリルアンモニウム
クロライドと二酸化イオウとの環化共重合体、ポリビニ
ルピリジン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルカルバ
ゾール、ポリビニルイミダゾリン、ポリジメチルアミノ
エチルアクリレート、ポリジメチルアミノエチルメタク
リレート、ポリジエチルアミノエチルアクリレート、ポ
リジエチルアミノエチルメタクリレート等の側鎖に窒素
原子を有し、その窒素原子が正の荷電を帯びたカチオン
性高分子電解質等が挙げられる。
【0024】両性高分子化合物としては、例えば、にか
わ、ゼラチン、カゼイン、アルブミン等の両性高分子化
合物が挙げられる。アニオン性高分子化合物としては、
例えば、ポリアクリルアミドのスルホメチル化物;ポリ
アクリル酸;アルギン酸、アクリルアミド−ビニルスル
ホン酸共重合体、ポリメタクリル酸、ポリスチレンスル
ホン酸等、又はこれらのアルカリ金属塩あるいはアンモ
ニウム塩;カルボキシメチルセルロースのような側鎖に
カルボキシル基あるいはスルホン酸基を有するアニオン
性高分子化合物が挙げられる。
【0025】さらに、塗布液には、そのスケール防止作
用を害しない限り、無機化合物を適宜必要に応じて添加
することもできる。添加できる無機化合物としては、オ
ルトケイ酸、メタケイ酸、メソ二ケイ酸、メソ三ケイ
酸、メソ四ケイ酸、メタケイ酸ナトリウム、オルトケイ
酸ナトリウム、二ケイ酸ナトリウム、四ケイ酸ナトリウ
ム、水ガラス等のケイ酸類又はケイ酸塩;マグネシウ
ム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛
等の亜鉛族金属、アルミニウム等のアルミニウム族金
属、白金等の白金族金属から選択される金属の酸素酸
塩、酢酸塩、硝酸塩、水酸化物又はハロゲン化物等の金
属塩;水酸化第二鉄コロイド、ケイ酸コロイド、硫酸バ
リウムコロイド、水酸化アルミニウムコロイド等の無機
コロイドが挙げられる。上記の無機コロイドは、例え
ば、機械的粉砕、超音波の照射、電気的分散及び化学的
方法によって調製されたものでよい。
【0026】塗膜の形成 上記のようにして調製される塗布液を用いて重合器内壁
面に塗膜を形成するには、まず、塗布液を重合器内壁面
に塗布し、次いで、例えば室温から 100℃までの温度範
囲で充分に乾燥させた後、さらに必要に応じて水洗す
る。
【0027】また、前記塗布液は、重合器内壁面だけで
なく、重合中に単量体が接触する他の部位にも塗布する
ことが好ましい。例えば、攪拌翼、攪拌軸、バッフル、
コンデンサ、ヘッダ、サーチコイル、ボルト、ナット等
が挙げられる。更に好ましくは、前記塗布液は重合中に
単量体が接触する部位以外であっても、重合体スケール
が付着する恐れのある部位、例えば未反応単量体の回収
系統の機器及び配管の内面等には、前記塗膜を形成した
方がよい。具体的には、モノマー蒸留塔、コンデンサ、
モノマー貯蔵タンク、バルブ等の内面が挙げられる。
【0028】このようにして、重合中に単量体が接触す
る部位、及びそれ以外の重合体スケールが付着する恐れ
のある部位に塗膜を形成すると、それらの部位への重合
体スケールの付着が防止される。なお、塗布液を重合器
内壁面に塗布する方法は、特に限定されず、例えばハケ
塗り、スプレー塗布、塗布液で重合器を満たした後に抜
き出す方法等を始めとして、そのほか特開昭57−61001
号、同55−36288 号、特公表昭56−501116号、同56−50
1117号、特開昭59−11303 号等に記載の自動塗布方法を
用いることもできる。
【0029】また、塗布液が塗布されたことにより、濡
れた状態の表面を乾燥する方法も限定されることはな
く、例えば次のような方法を使用することができる。す
なわち、塗布液の塗布後、適当に昇温した温風を塗布面
に当てる方法、あるいは塗布液を塗布すべき重合器内壁
面及びその他の表面を予め、例えば30〜80℃に加熱して
おき、その加熱した表面に塗布液を直接塗布する方法等
を使用することができる。そして塗布面の乾燥後は、そ
の塗布面を必要に応じて水洗する。
【0030】このようにして得られた塗膜は、乾燥後の
総塗布量が、通常、 0.001g/m2以上、特に0.05〜2
g/m2 であることが好ましい。以上の塗布作業は、形
成された塗膜が高い耐久性を有し、重合体スケールの付
着防止作用が持続するので、必ずしも1バッチの重合ご
とに行う必要はない。このため、製品重合体の生産性が
向上する。
【0031】重合 上記のようにして、重合器内壁、及び好ましくはその他
重合中に単量体が接触する部位等に塗布処理を施して塗
膜を形成した後、その重合器内で常法により重合を行
う。すなわち、エチレン性二重結合を有する単量体及び
重合開始剤(触媒)のほか、必要に応じて、水等の重合
媒体、及び懸濁剤、固体分散剤、ノニオン性、アニオン
性乳化剤等の分散剤等を仕込み、次いで、常法により重
合を行う。
【0032】本発明の方法を適用して重合を行うエチレ
ン性二重結合を有する単量体としては、例えば、塩化ビ
ニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸
ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル
酸、及びこれらのエステル又は塩;マレイン酸、フマル
酸、及びこれらのエステル又は無水物;ブタジエン、ク
ロロプレン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレ
ン、アクリロニトリル、ハロゲン化ビニリデン、ビニル
エーテル等が挙げられる。
【0033】また、本発明の方法が適用される重合の形
式は特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、溶液重合、
塊状重合及び気相重合のいずれの重合形式においても有
効であり、特に、懸濁重合、乳化重合等のように水性媒
体中での重合に、より適する。
【0034】以下、懸濁重合及び乳化重合の場合を例に
挙げて、一般的な重合方法を具体的に説明する。まず、
水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重合開始剤を
仕込む。次に、重合器内を排気して 0.1〜760 mmHgに減
圧した後、単量体を仕込み(この時、重合器の内圧は、
通常 0.5〜30kgf/cm2 ・Gになる)、その後、30〜150
℃の反応温度で重合する。重合中には、必要に応じて、
水、分散剤及び重合開始剤の一種又は二種以上を添加す
る。又、重合時の反応温度は、重合される単量体の種類
によって異なり、例えば、塩化ビニルの重合の場合には
30〜80℃で重合を行い、スチレンの重合の場合には50〜
150 ℃で重合を行う。重合は重合器の内圧が0〜7kgf/
cm2 ・Gに低下した時に、あるいは重合器外周に装備さ
れたジャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温度
と出口温度との差がほぼなくなった時(すなわち重合反
応による発熱がなくなった時)に、完了したと判断され
る。重合の際に仕込まれる水、分散剤及び重合開始剤
は、通常、単量体 100重量部に対して、水20〜500 重量
部、分散剤0.01〜30重量部、重合開始剤0.01〜5重量部
である。
【0035】また、溶液重合の場合には、重合媒体とし
て水のかわりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン
等の有機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いら
れる。その他の重合条件は、一般に懸濁重合及び乳化重
合についての重合条件と同様である。また、塊状重合の
場合には、重合器内を約0.01〜760 mmHgの圧力に排気し
た後、その重合器内に単量体及び重合開始剤を仕込み、
−10〜250 ℃の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニ
ルの重合の場合には30〜80℃で、スチレンの重合の場合
には50〜150 ℃で実施される。
【0036】本発明の重合体スケールの付着防止方法を
適用して重合を行った場合には、重合器内壁面等の材質
にかかわらず重合体スケールの付着を防止することがで
き、例えば、ステンレス製その他のスチール製の重合
器、グラスライニングされた重合器等で重合を行う場合
にも重合体スケールの付着を防止することができる。
【0037】重合系に添加されるものは、何ら制約なく
使用することができる。すなわち、例えば、t−ブチル
パーオキシネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキシ
ル)パーオキシジカーボネート、 3,5,5−トリメチルヘ
キサノイルパーオキサイド、α−クミルパーオキシネオ
デカノエート、クメンハイドロパーオキサイト、シクロ
ヘキサノンパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバ
レート、ビス(2−エトキシエチル)パーオキシジカー
ボネート、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパー
オキサイド、 2,4−ジクロルベンゾイルパーオキサイ
ド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、α,
α′−アゾビスイソブチロニトリル、α,α′−アゾビ
ス− 2,4−ジメチルバレロニトリル、ペルオキソ二硫酸
カリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、p−メンタ
ンハイドロパーオキサイド等の重合開始剤;部分ケン化
ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、酢酸ビニルと
無水マレイン酸の共重合体、ヒドロキシプロピルメチル
セルロース等のセルロース誘導体、ゼラチン等の天然又
は合成高分子化合物等の懸濁剤;リン酸カルシウム、ヒ
ドロキシアパタイト等の固体分散剤;ソルビタンモノラ
ウレート、ソルビタントリオレート、ポリオキシエチレ
ンアルキルエーテル等のノニオン性乳化剤;ラウリル硫
酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム
等のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ジオクチ
ルスルホコハク酸ナトリウム等のアニオン性乳化剤;炭
酸カルシウム、酸化チタン等の充填剤;三塩基性硫酸
鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチルすずジラウレー
ト、ジオクチルすずメルカプチド等の安定剤;ライスワ
ックス、ステアリン酸、セチルアルコール等の滑剤; D
OP: DBP等の可塑剤;t−ドデシルメルカプタン等のメ
ルカプタン類、トリクロロエチレン等の連鎖移動剤;pH
調整剤等が存在する重合系においても、本発明の方法は
重合体スケールの付着を効果的に防止することができ
る。
【0038】なお、本発明の重合体スケール付着防止剤
は、重合器内壁面等への塗膜形成に用いた上で、さらに
直接重合系に添加してもよく、これによってスケール防
止効果を向上させることもできる。その場合、重合体ス
ケール付着防止剤の添加量は、仕込まれる単量体全重量
に対して約10〜1000 ppm程度が適当である。添加に際し
ては、フィッシュアイ、嵩比重、粒度分布等の製品重合
体の品質に影響を与えないように配慮する。
【0039】
【実施例】製造例1 縮合生成物No.1の製造 耐圧反応器に、水 990g、ヒドラジン5g及びキノン化
合物としてα−ナフトキノン5gを仕込み、25℃で攪拌
しながら10時間反応させた。該溶液を縮合生成物No.1と
した。
【0040】縮合生成物No.2〜10の製造 ヒドラジン、表1に示したキノン化合物及び溶媒を用い
て、同表に示した反応温度、反応時間で前記縮合生成物
No.1と同様の方法で縮合反応を行わせ、縮合生成物No.2
〜10を得た。ただし、表1の*印を付したNo.2及び3の
縮合生成物は本発明の条件を満たさない化合物である。
【0041】
【表1】
【0042】実施例1(実験No.101〜110) 内容積1000リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を用
いて次のようにして重合を行った。各実験において使用
した縮合生成物及び溶媒を表2に示す。縮合生成物に溶
媒を添加して、表2に示した溶媒比及び縮合生成物濃度
になるように塗布液を調製した。これら塗布液を重合器
の内壁及び攪拌軸、攪拌翼その他重合中に単量体が接触
する部分に塗布し、40℃で15分間加熱、乾燥して塗膜を
形成後、水洗した。
【0043】ただし、表2の*印を付したNo.102及び 1
03の実験は、本発明の条件を満たさない塗布液を塗布し
た比較例である。その後、このように塗布処理して塗膜
が形成された重合器中に、水 400kg、塩化ビニル 200k
g、部分ケン化ポリビニルアルコール 250g、ヒドロキ
シプロピルメチルセルロース25g及び 3,5,5−トリメチ
ルヘキサノイルパーオキサイド70gを仕込み、攪拌しな
がら66℃で6時間重合した。重合終了後、生成重合体及
び未反応単量体を回収し、重合器内を水洗して残存レジ
ンを除去した。
【0044】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内壁の水洗の操作を1バッチとして、同じ操
作を表2に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後
に重合器内液相部と、気相部と液相部との界面付近のス
ケール付着量を下記の方法で求めた。その結果を表2に
示す。また、各実験で得られた重合体をシートに成形し
た場合のフィッシュアイを、下記の方法で測定した。そ
の結果を表2に示す。 ・重合体スケール付着量の測定 重合器内壁の所定箇所の10cm四方の区域に付着したスケ
ールをへらで掻き落として、天秤で計量した。その計量
値を 100倍して、1m2 当たりのスケール付着量を求め
た。
【0045】・フィッシュアイの測定 重合体 100重量部、DOP 50重量部、ジブチルすずジラウ
レート1重量部、セチルアルコール1重量部、酸化チタ
ン0.25重量部、カーボンブラック0.05重量部の配合割合
で調製した混合物を6インチロールを用いて 150℃で7
分間混練した後、厚さ 0.2mmのシートに成形し、得られ
たシート 100cm2 当たりに含まれるフィッシュアイの個
数を光透過法により調べた。更に、各実験で得られた重
合体をシートに成形した場合の明度指数(L値)の測定
を下記の方法で測定した。その結果を表2に示す。
【0046】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体 100重量部、安定剤(昭島化学社製、TS
-101)1重量部、安定剤(勝田化工社製、C-100 J )
0.5重量部及び可塑剤としてジオクチルフタレート50重
量部を2本ロールミルを用いて 160℃で5分間混練した
後、厚さ1mmのシートに成形する。次に成形したシート
を4×4× 1.5cmの型枠に入れ、 160℃、65〜70kgf/cm
2 で 0.2時間加熱、加圧成形して測定用試料を作製す
る。この試料について、JIS Z 8730(1980)に記載のハン
ターの色差式における明度指数Lを求め、L値が大きい
程白色度が高い、即ち、初期着色性が良好であると評価
した。
【0047】L値は次のようにして求める。JIS Z 8722
の記載に従って、標準光C、光電色彩計(日本電色工業
株式会社製、Z-1001DP型測色色差計)を用い、刺激値直
読方法により、 XYZ表色系の刺激値Yを求める。照明及
び受光の幾何学的条件としては、JIS Z 8722の 4.3.1項
に記載の条件dを採用した。求められた刺激値Yから、
JIS Z 8730 (1980) に記載の式:L= 10 Y1/2 によ
り、L値が算出される。
【0048】
【表2】
【0049】実施例2(実験No.201〜208) 内容積20リットルの攪拌機付ステンレス製重合器を使用
して次のようにして重合を行った。各実験において、表
3に示した縮合生成物及び溶媒を用いて同表に示した溶
媒比及び濃度になるように塗布液を調製した。これら塗
布液を実施例1と同様に重合器の内壁及び攪拌軸、攪拌
翼その他重合中に単量体が接触する部分に塗布し、塗膜
を形成して水洗した。ただし、表3の*印を付したNo.2
02及び 203の実験は、本発明の条件を満たさない塗布液
を塗布した比較例である。
【0050】次に、このように塗布処理した重合器中
に、水9kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム 2
25g、t−ドデシルメルカプタン12g及びペルオキソ二
硫酸カリウム13gを仕込み、窒素ガス置換した後、スチ
レン 1.3kg、ブタジエン 3.8kgを仕込んで50℃で20時間
重合した。重合終了後、生成重合体及び未反応単量体を
回収し、重合器内を水洗して残存レジンを除去した。
【0051】以後、塗布作業は行わないで、上記の重合
及び重合器内壁の水洗の操作を1バッチとして、同じ操
作を表3に示したバッチ数繰り返し、最終バッチ終了後
に重合器内液相部のスケール付着量、及び気相部と液相
部との界面付近のスケール付着量を実施例1と同様の方
法で求めた。その結果を表3に示す。また、各実験で得
られた重合体をシートに成形した場合の明度指数(L
値)の測定を下記の方法で測定した。その結果を表3に
示す。
【0052】・明度指数(L値)の測定 得られた重合体1kgに2%硫酸マグネシウム溶液を1kg
を加えて、凝集沈澱を行った後、沈澱物を濾別する。濾
別した沈澱物を80〜90℃の熱水で2〜3回洗浄した後、
減圧乾燥器を用いて40℃で25時間乾燥して樹脂を得た。
得られた樹脂を9×9cm、厚さ 0.1cmの型枠に入れ、 1
95℃、50〜60kgf/cm2 で 0.2時間加熱し、最終圧力80kg
f/cm2 で加圧成形して測定用試料を作製する。この試料
について、前記と同様にして明度指数L値を求めた。
【0053】
【表3】
【0054】
【発明の効果】本発明によれば、重合器内の液相部ばか
りでなく気相部と液相部との界面付近においても重合体
スケールの付着を効果的に防止することができる上、得
られる製品重合体の成形後のフィッシュアイが少なくな
る。更に、本発明により重合器内壁面に形成された塗膜
は、重合中に剥離したり、重合系に溶解したりすること
がないため、製品重合体の成形後の白色度が高く、初期
着色性が良好である。
【0055】また、本発明によれば、塗膜の形成に使用
する塗布液は、水を主成分とするため、有機溶媒の引
火、爆発等の危険が少なく、また、毒性等も問題になら
ない範囲で使用することができる。更に、本発明を適用
して重合を行った場合には、重合体スケールの除去作業
を、重合ごとに行う必要がなく、それによって生産性が
向上する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヒドラジンとキノン化合物との縮合生成
    物を含有してなる、エチレン性二重結合を有する単量体
    の重合用の重合体スケール付着防止剤。
  2. 【請求項2】 ヒドラジンとキノン化合物との縮合生成
    物を含有する塗膜が形成されている、エチレン性二重結
    合を有する単量体の重合用重合器。
  3. 【請求項3】 エチレン性二重結合を有する単量体の、
    重合器内における重合による重合体の製造方法であっ
    て、重合器内壁に、 ヒドラジンとキノン化合物との縮合生成物を含有する塗
    膜を有する重合器内で、前記重合を行う工程を有し、こ
    れにより重合器内での重合体スケールの付着が防止され
    る製造方法。
JP17009792A 1992-06-04 1992-06-04 重合体スケール付着防止剤、重合体スケールの付着を防止する重合器及びそれを使用する重合体製造方法 Expired - Lifetime JP2962617B2 (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6001937A (en) * 1998-11-17 1999-12-14 Occidental Chemical Corporation Reducing scale in vinyl polymerizations

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