JP2001354706A - エチレン性二重結合を有する単量体の重合体を製造する方法 - Google Patents

エチレン性二重結合を有する単量体の重合体を製造する方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】エチレン性二重結合を有する単量体の重合にお
いて、スケール防止剤等の塗膜形成時間を短縮して生産
性を高めると共に、重合体スケール付着防止効果を向上
し、重合体製品への着色異物の混入を低減し、成形品の
フィッシュアイ及び抗初期着色性を高め、重合体及びそ
の加工製品の品質を向上させる。 【解決手段】エチレン性二重結合を有する単量体を重合
器内において重合するに当り、前記重合器の内壁面等に
第一層と第二層とからなる塗膜を形成する。第一層は、
アルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ系化合物との縮合
反応を亜りん酸塩の存在下で行うことにより得られた縮
合物(A)を含有する第一塗布液をキャリアーとして水蒸
気を用いて塗布して形成する。第二層は、第一層の上
に、水溶性高分子化合物、無機コロイド、無機塩及び酸
よりなる群から選択される少なくとも1種(B)を含有
する第二塗布液をキャリアーとして、水蒸気を用いて塗
布して形成する。このような重合器内で重合を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はエチレン性二重結合
を有する単量体を重合器内において重合することにより
重合体を製造する方法において、重合器内壁面などへの
重合体スケールの付着を防止し、品質の良好な重合体を
製造することができる重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】重合器内で単量体を重合して重合体を製
造する方法においては、重合体が重合器内壁面などにス
ケールとして付着する問題が知られている。重合体スケ
ールが重合器内壁面などに付着すると、重合体の収率低
下、重合器内の冷却能力の低下、及び付着した重合体ス
ケールが剥離して重合体製品に混入することにより製品
の品質低下を招き、更に重合体スケールの除去に多大の
労力と時間が必要となるなどの不利が生じる。その上、
重合体スケールは未反応単量体を含んでいるので、作業
者がこれにさらされ、身体的な障害を引き起こす恐れも
ある。
【0003】このため、エチレン性二重結合を有する単
量体の重合においては、重合器内壁面などへの重合体ス
ケールの付着を防止する目的で、例えば重合器内壁及び
攪拌機などに、重合体スケール付着防止剤(以下、スケ
ール防止剤という)を1段階の塗布作業で塗布して塗膜
を形成する方法(以下、1液塗布方法という)が種々知
られており、スケール防止剤としては具体的には、例え
ば、アミン化合物、キノン化合物、アルデヒド化合物な
どの極性有機化合物、或いは染料、顔料など(特公昭45
−30343、特公昭45−30835);極性有機化合物或いは染
料を金属塩で処理したもの(特公昭52−24953);電子
供与性化合物と電子受容性化合物との混合物(特公昭53
−28347);1−ナフトールとホルムアルデヒドとの縮
合反応生成物(特開昭57−164107);フェノール化合物
とホルムアルデヒドとの縮合反応生成物(特開昭57−19
2413);ポリ芳香族アミン(特公昭59−16561);多価
フェノールの自己縮合生成物や多価ナフトールの自己縮
合生成物(特開昭54−7487);ケトン樹脂とフェノール
化合物との縮合反応生成物(特開昭62−236804);芳香
族アミンと芳香族ニトロ化合物との縮合反応生成物及び
これをベ−ス化したもの(特公昭60−30681);芳香族
アミン化合物とキノン化合物との縮合反応生成物(特開
昭61−7309)等が用いられている。
【0004】この1液塗布方法で得られる重合スケール
付着防止性塗膜(以下、スケール防止性塗膜という)で
は、重合中に重合器内の気液界面付近にスケールが付着
しやすかったり、重合反応液の組成によってはスケール
が壁面全面に付着することがあるため、これを防止する
ためにスケール防止剤の塗布液に、アニオン性高分子化
合物、両性高分子化合物、カチオン性高分子化合物、ヒ
ドロキシル基含有高分子化合物等の水溶性高分子化合
物;無機コロイド;アルカリ金属塩のような無機塩等
の、単量体に対して親和性を有しない物質(以下、スケ
ール防止助剤という)を混合することも知られている。
これらの1液塗布方法はエチレン性二重結合を有する単
量体の重合器内における重合において、重合体スケール
付着防止に有効である。
【0005】上記1液塗布方法では、重合体スケール付
着防止効果が十分に得られない場合は、(a)上記のよ
うなスケール防止剤を含む塗布液を塗布して第一層を形
成し、更にその上に、(b)上述の重合体スケール付着
防止助剤を含有する塗布液を塗布して第二層を形成する
という、二種類の塗布液を2段階で塗布して塗膜を形成
する方法(以下、2液2段階塗布方法という)(特開平
03−74404、特開平02−80403、特開平02−80402、特開
平02−80401、特開平02−47102)が提案されている。
【0006】前記に説明した1液塗布による重合体スケ
ールの付着防止方法も2液2段階塗布による重合体スケ
ールの付着防止方法も、塗布方法としては、作業性の点
などの生産性の面からスプレー塗布方法が通常用いられ
ている。
【0007】スプレー塗布方法によるスケール防止剤の
1液塗布法における塗膜の形成は、 ・ステップ1:スプレー塗布方法により、スケール防止
剤を含む塗布液を重合器内壁面及びその他の単量体が接
触する部分に塗布する、 ・ステップ2:塗布面を乾燥させて乾燥塗膜を形成す
る、 ・ステップ3:形成された塗膜面を洗浄して余分な塗布
液を除去する、のステップ1〜3を有するものである。
また、スプレー塗布方法による、スケール防止剤の塗布
及びスケール防止助剤の塗布からなる2液2段階塗布方
法は、2段目の塗布においても上記と同様のステップ1
〜3からなる塗膜形成作業が行われる。
【0008】上記のスプレー塗布方法を用いた場合、バ
ッフル、攪拌翼の重合器内壁面に対面している面は、ス
プレーノズルから見て死角となっている。このようなス
プレーノズルから見て陰になっていたり隠れている部分
の表面には塗布液が到達しにくいためスケール防止剤を
その他の陰にならない表面と同様に塗布することはでき
ない。したがって、陰になる表面と陰にならない表面と
に均一な塗膜を形成することは難しい。また、陰になる
表面にスケールの付着を防止するのに、有効量の塗膜を
形成しようとすると他の表面よりも多量のスケール防止
剤を含む塗布液を使用せざるを得ない。陰にならない表
面には必要以上の過剰なスケール防止剤を適用すること
になる。そのため、こうして形成される塗膜は、塗布ム
ラがあり、塗膜は部分的に必要以上に厚いものであっ
た。
【0009】さらに、スプレー塗布方法を用いたスケー
ル防止性塗膜の形成には次のような問題もあった。 スケール防止剤の塗膜は、通常重合バッチごとにその
前に形成される。スケール防止剤は一般に着色している
ので、重合バッチの繰り返し数が多くなると、スケール
防止剤が繰り返し塗布される結果、塗膜が厚い部分が生
じ得る。このような塗膜の厚い部分が剥離して反応混合
物に取り込まれたり、スケール防止剤が重合器の内壁等
に既に生じている重合体スケールの上に塗布されてスケ
ールの一部とともに剥離して、得られる重合体製品中に
混入し、その成型品中に着色異物或いはフィッシュアイ
をもたらす原因となったり、成形品の初期着色を高める
など製品の品質低下を招く欠点がある。 上記のように、スプレーノズルから見て死角になって
いる重合器内の隠れた部分又は陰になっている表面での
重合体スケール付着防止効果は、他の表面に比してかな
り多量のスケール防止剤を適用した割には十分とはいえ
るものではない。 スプレー塗布方法は、塗布後、その塗布面を乾燥する
乾燥工程を必要とし、スケール防止剤の塗膜形成に要す
る時間がかかる。そこで、生産性向上の面から、その塗
膜形成に要する時間の短縮が望まれている。
【0010】上記スプレー塗布方法の欠点を解決する方
法として、キャリアーとして水蒸気を用いてスケール防
止剤の塗布液を塗布する方法(以下、水蒸気塗布とい
う)(特公平01−5044)が提案されている。この場合の
塗布液としては、スケール防止剤単独の塗布液や、これ
に前記スケール防止助剤を添加した塗布液が使用されて
いる。
【0011】この水蒸気塗布方法は、次のような利点が
ある。 少量の塗布液で、スケールの付着を効果的に防止する
のに必要なスケール防止剤を薄い均一な塗膜として形成
することができる。 少量の塗布液の使用量で、スプレーノズルから見て死
角になっている重合器内の隠れた部分、又は陰になって
いる部分にも、スケール付着防止効果を得る上で必要な
スケール防止剤の塗膜を形成することができるので、こ
れらの部分でも重合体スケール付着防止効果を得ること
ができる。 塗膜形成工程での乾燥工程が不要となり、スケール防
止剤等の塗膜形成に要する時間が短縮される。
【0012】ところで、水蒸気塗布方法では塗布液と水
蒸気とを混合し、水蒸気により運ばれる形で塗布液を重
合器内壁面などに適用される。従って、塗布液中のスケ
ール防止剤の濃度は、水蒸気で稀釈されることを考慮し
て設定される。通常、塗布液中のスケール防止剤の濃度
は、水蒸気塗布用はスプレー塗布用の4〜40倍であ
る。但し、水蒸気塗布で必要なスケール防止剤の量はス
プレー塗布の場合とほぼ同じである。
【0013】水蒸気塗布方法には上記の利点がある反
面、次の点において問題がある。 水蒸気塗布では重合器内の均一な塗布が可能である
が、重合器内の気液界面付近におけるスケール防止効果
は不十分である。 重合器内の気液界面付近におけるスケール付着防止効
果が不十分である為、重合バッチの繰り返し数が多くな
ると気液界面付近で重合体スケールの堆積が成長し、堆
積したスケールが重合中に剥離して重合体製品中に混入
し、フィッシュアイ発生の原因となることがある。 また、重合バッチの繰り返し数が多くなると、スケー
ル防止剤が繰り返し塗布される結果、スケール防止剤層
が次第に厚くなり、この層が部分的に剥離して重合体製
品中に混入して着色異物の原因となり、重合体製品の抗
初期着色性が低下する(特に明度指数が低下する)とい
う問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スケ
ール防止剤等の塗膜形成時間を短縮して生産性を高める
と共に、重合体スケール付着防止効果を向上し、これに
より得られる重合体製品への着色異物の混入を低減し、
成形品のフィッシュアイ及び抗初期着色性を高め、重合
体及びその加工製品の品質を向上できる、エチレン性二
重結合を有する単量体の重合による重合体の製造方法を
提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題は、エチレン性
二重結合を有する単量体を重合器内において重合するこ
とからなる重合体の製造方法であって、前記重合器はそ
の内壁面及び重合中に前記単量体が接触するその他の表
面に重合体スケール付着防止性の塗膜を有するものであ
り;該塗膜は、前記内壁面及びその他の表面の上に形成
された第一層と、該第一層の上に形成された第二層とか
らなり、前記第一層は、アルデヒド化合物と芳香族ヒド
ロキシ系化合物との縮合反応を亜りん酸塩の存在下で行
うことにより得られた縮合物(A)を含有する塗布液を、
キャリアーとして水蒸気を用いて塗布して形成されたも
のであり、前記第二層は、第一層の上に、水溶性高分子
化合物、無機コロイド、無機塩及び酸よりなる群から選
択される少なくとも1種の重合体スケール付着防止助剤
(B)を含有する第二塗布液をキャリアーとして、水蒸
気を用いて塗布して形成されたものである;ことを特徴
とするエチレン性二重結合を有する単量体の重合方法に
よって達成される。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明の方法で使用されるスケール防止性の塗膜
は重合器内壁面などの表面上に形成される第一層とその
上に形成される第二層とからなる。
【0017】[塗膜の第一層]第一層形成用塗布液に使
用される縮合物(A)は、アルデヒド化合物と芳香族ヒ
ドロキシ系化合物との縮合反応を亜りん酸塩の存在下で
行うことにより得られる。以下、詳しく説明する。
【0018】<アルデヒド化合物>アルデヒド化合物と
しては、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アクロレイ
ン、クロトンアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラ
ール、フェニルアセトアルデヒド、3−フェニルプロピ
オンアルデヒド、2−フェニルプロピオンアルデヒド等
が挙げられるが、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド
が工業的、経済的に有利である。
【0019】<芳香族ヒドロキシ系化合物>芳香族ヒド
ロキシ系化合物としては、例えばジヒドロキシビフェニ
ル系化合物、ナフトール系化合物、フェノール系化合
物、タンニン類、2,3−ジヒドロキシナフタレンの2
量体化合物等が挙げられる。
【0020】ジヒドロキシビフェニル系化合物の例とし
ては、2,2′−ジヒドロキシビフェニル、2,2′−
ジヒドロキシ−5,5′−ジメチルビフェニル、2,
2′−ジヒドロキシ−4,4′、5,5′−テトラメチ
ルビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′−ジ
クロロビフェニル、2,2′−ジヒドロキシ−5,5′
−ジクロロヘキシルビフェニル、2,2′−ジヒドロキ
シ−5,5′−ジ−tert−ブチルビフェニル等が挙げら
れ、なかでも工業的には2,2′−ジヒドロキシビフェ
ニルがとくに好適である。
【0021】ナフトール系化合物の例としては1−ナフ
トール、2−ナフトール、1,3−ジヒドロキシ−ナフ
タレン、1,5−ジヒドロキシナフタレンおよび1,7
−ジヒドロキシナフタレン、6−ヒドロキシ−2−ナフ
トエ酸、2−ヒドロキシ−1−ナフトエ酸、1−ヒドロ
キシ−2−ナフトエ酸、1−ヒドロキシ−8−ナフトエ
酸等が挙げられる。
【0022】フェノール系化合物の例としては、フェノ
ール、クレゾール、ピロガロール、ヒドロキシヒドロキ
ノン、レゾールシン、カテコール、ヒドロキノン、ビス
フェノールA、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシ安息
香酸、2−ヒドロキシ−5−メトキシ安息香酸、サリチ
ル酸等が挙げられる。
【0023】タンニン類の例としては、タンニン酸、五
倍子タンニン、没食子タンニン、スマックタンニン、ケ
ブラチョタンニン、カキ渋タンニン等が挙げられる。
【0024】2,3−ジヒドロキシナフタレンの2量体
化合物の例としては、2,3,2′,3′−テトラヒド
ロキシビナフチル等が挙げられる。
【0025】<亜りん酸塩>亜りん酸塩の例としては、
亜りん酸アンモニウム、亜りん酸ウラニル、亜りん酸カ
リウム、亜りん酸カルシウム、亜りん酸コバルト、亜り
ん酸水素アンモニウム、亜りん酸水素カリウム、亜りん
酸水素カルシウム、亜りん酸水素コバルト、亜りん酸第
二銅、亜りん酸水素鉄、亜りん酸水素ナトリウム、亜り
ん酸水素鉛、亜りん酸水素バリウム、亜りん酸水素ヒド
ラジニウム、亜りん酸水素マグネシウム、亜りん酸水素
マンガン、亜りん酸第一鉄、亜りん酸第二鉄、亜りん酸
銅、亜りん酸ナトリウム、亜りん酸バリウム、亜りん酸
ヒドラジニウム等が挙げられる。
【0026】上記アルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ
系化合物との縮合物はこれらの反応成分を適当な媒体
中、触媒存在下、通常、室温〜200 ℃で2〜100 時間、
好ましくは30〜150 ℃で3〜30時間反応させることによ
り製造される。又、アルデヒド化合物及び芳香族ヒドロ
キシ系化合物の各々を1種単独でも2種類以上組合せて
使用してもよい。亜りん酸塩の添加時期は、縮合反応開
始直前から該反応の中期までの間に反応混合物に添加す
るのが好ましい。ここで、縮合開始直前とは、触媒を加
える前及び又は加熱を始める前であり、反応中期とは、
反応が終了せずに未反応物が残っている状態である。
【0027】上記の縮合反応を行う媒体としては、例え
ば、水、又はアルコール類、ケトン類、エステル類等の
有機溶媒が挙げられ、例えば、メタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチル
エチルケトン等のケトン類及び酢酸メチル、酢酸エチル
等のエステル類が挙げられる。上記縮合反応を行う媒体
のpHは通常1〜13の範囲であり、pH調整剤は特に制約な
く使用することができる。上記縮合反応に使用される触
媒としては、例えば硫酸、塩酸、過塩素酸、p−トルエ
ンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタン
スルホン酸等の酸性触媒;NaOH、KOH 、NH4OH等の塩基
性触媒等が用いられる。
【0028】縮合反応を行う際のアルデヒド化合物と芳
香族ヒドロキシ系化合物との比は、使用するアルデヒド
化合物、芳香族ヒドロキシ系化合物、溶媒、及び触媒の
種類、反応時間、反応温度等に影響されるが、通常、芳
香族ヒドロキシ系化合物1モルに対してアルデヒド化合
物を0.1 〜10モル、特に0.5〜5モルとすることが好まし
い。亜りん酸塩とアルデヒド化合物との比は、通常、ア
ルデヒド化合物1モルに対して、亜りん酸塩を0.1〜10
モルとすることが好ましい。
【0029】[塗膜の第二層]第二層形成用塗布液は、
水溶性高分子化合物(b−1)、無機コロイド(b−
2)、無機塩(b−3)及び酸(b−4)よりなる群か
ら選択される少なくとも1種のスケール防止助剤(B)
を含有する塗布液が使用される。
【0030】<水溶性高分子化合物(b−1)>水溶性
高分子化合物(b−1)としては、例えば、ヒドロキシ
ル基を含有する水溶性高分子化合物、水溶性の両性高分
子化合物、水溶性アニオン高分子化合物、水溶性カチオ
ン高分子化合物が挙げられる。
【0031】ヒドロキシル基を含有する水溶性高分子化
合物として、例えばアミロース、アミロペクチン、デキ
ストリン酸化デンプン等のデンプン類、キチン等の動物
性粘性物質;メチルセルロース、グリコールセルロー
ス、エチルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロ
ース、ヒドロキシエチルメチルセルロース等のセルロー
ス誘導体;キシラン、マンナン、アラボガラクタン、ガ
ラクタン、アラバンのようなヘミセルロース類;アルコ
ールリグニン、ジオキサンリグニン、フェノールリグニ
ン、ハイドロトロピックリグニン、メルカプトリグニ
ン、アルカリリグニン、チオアルカリリグニン、酸リグ
ニン、酸化銅−アンモニアリグニン、過ヨウ素酸リグニ
ンのようなリグニン類;部分ケン化ポリビニルアルコー
ル;ポリビニルアルコールが挙げられる。水溶性の両性
高分子化合物として、例えば、にかわ、ゼラチン、カゼ
イン、アルブミン、リボ核酸、デオキシリボ核酸、キト
サンが挙げられる。
【0032】水溶性のアニオン高分子化合物としては、
側鎖にカルボキシル基或いはスルホン酸基を有する水溶
性のアニオン高分子化合物が使用され、例えば、ポリア
クリルアミドのスルホメチル化物、ポリアクリル酸、ア
ルギン酸、アクリルアミド−ビニルスルホン酸誘導体、
ポリメタクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、カルボキ
シメチルデンプン、ペクチン酸、ペクチニオン酸、プロ
トペクチン酸、カラゲニン酸、ヒアルロン酸、コンドロ
イチン硫酸、ヘパリン、ケラド硫酸、チオグリコール酸
リグニンスルホン酸、スチレン−無水マレイン酸共重合
体、アクリル酸−無水マレイン酸共重合体、カルボキシ
メチルセルロースが挙げられる。
【0033】また水溶性カチオン高分子化合物として、
側鎖に窒素原子を有し、且つ前記窒素原子が正の荷重を
帯びたカチオン性高分子電解質、例えば、ポリエチレン
イミン、ポリビニルアミン、ポリアクリルアミド、N−
ビニル−2−ピロリドン/アクリルアミド共重合体、ジ
メチルジアミルアンモニウムクロライドの環化重合体、
ジメチルジエチルアンモニウムブロマイドの環化重合
体、ジアリルアミン塩酸塩の環化重合体、ジメチルジア
リルアンモニウムクロライドと二酸化イオウとの環化共
重合体、ポリビニルビリジン、ポリビニルピロリドン、
ポリビニルカルバゾール、ポリビニルイミダゾリン、ポ
リジメチルアミノエチルアクリレート、ポリジエチルア
ミノエチルアクリレート、ポリジエチルアミノエチルメ
タクリレートが挙げられる。
【0034】上記例示された水溶性高分子化合物の中、
メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒド
ロキシエチルメチルセルロース、ポリビニルアルコー
ル、部分けん化ポリビニルアルコール、にかわ、カゼイ
ン、ゼラチン、キトサン、ポリアクリル酸、アルギン
酸、ポリメタクリル酸、ペクチン酸、カラゲニン酸、ヒ
アルロン酸、カルボキシメチルセルロース、ポリビニル
ピロリドン、スチレン−無水マレイン酸共重合体が好ま
しい。
【0035】<無機コロイド(b−2)>無機コロイド
としては、例えば、アルミニウム、トリウム、チタン、
ジルコニウム、アンチモン、スズ、鉄等から選択される
金属の酸化物及び水酸化物のコロイド;タングステン
酸、五酸化バナジウム、セレン、イオウ、シリカ、金及
び銀のコロイド;ヨウ化銀ゾル等が挙げられる。これら
の中で好ましいものは、アルミニウム、チタン、ジルコ
ニウム、スズ及び鉄から選択される金属の酸化物及び水
酸化物のコロイド、並びにコロイドシリカである。無機
コロイドはどのような製造方法で得られたものでもよ
く、製造方法は特に限定されない。例えば、水を分散媒
とする分散法や、凝集法により製造される粒子コロイド
でよい。コロイド粒子の大きさは1〜500nmが好まし
い。
【0036】<無機塩(b−3)>無機塩としては、ア
ルカリ金属のケイ酸塩、及びアルカリ土類金属の無機塩
が挙げられる。アルカリ金属のケイ酸塩としては、例え
ば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属
のメタケイ酸塩(M2SiO3)、オルトケイ酸塩(M4Si
O4)、二ケイ酸塩(M2Si2O3)、三ケイ酸塩(M3Si
3O7)、セスキケイ酸(M4Si3O10)等(式中、Mはリチ
ウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を示
す。)、並びに水ガラスが挙げられる。
【0037】アルカリ土類金属の無機塩としては、例え
ば、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ
土類金属のケイ酸塩、炭酸塩、リン酸塩、硫酸塩、硝酸
塩、ホウ酸塩、酢酸塩、水酸化物、酸化物、ハロゲン化
物などが挙げられる。これらのアルカリ土類金属化合物
のうち、特に好ましいものは、炭酸マグネシウム、炭酸
カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、
ピロリン酸カルシウム、ピロリン酸二水素カルシウム、
リン酸バリウム、硫酸カルシウム、ホウ酸カルシウム、
水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウ
ム、塩化マグネシウム、塩化カルシウムである。
【0038】<酸(b−4)>酸としては、リン酸、ピ
ロリン酸、ポリリン酸、リンモリブデン酸、ケイモリブ
デン酸、リンタングステン酸、ケイタングステン酸、モ
リブデン酸、タングステン酸などの無機酸;テレフタル
酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、1-ドデカンジスルホ
ン酸、安息香酸、ラウリン酸、スルファニル酸、p-スチ
レンスルホン酸、プロピオン酸、サリチル酸、銅フタロ
シアニンテトラスルホン酸、ウロカニン酸、L-アスコル
ビン酸、D-イソアスコルビン酸、クロロゲン酸、カフェ
イン酸、p-トルエンスルホン酸、ソルビン酸、β-ナフ
トキノン-4-スルホン酸、フィチン酸、タンニン酸など
の有機酸が挙げられる。上記(b−1)〜(b−4)成
分から選ばれる少なくとも1種のスケール防止助剤
(B)の中、水溶性高分子化合物(b−1)、無機コロ
イド(b−2)、無機塩(b−3)が好ましく、特に水
溶性高分子化合物(b−1)が好ましい。
【0039】2段目塗布用の塗布液は、上記(b−1)
〜(b−4)成分から選ばれる少なくとも1種のスケー
ル防止助剤(B)を適当な溶媒に溶解して調製される。
この溶媒としては、水、又は水と混和性を有する親水性
有機溶媒と水との混合溶媒が使用される。上記有機溶媒
の中で親水性有機溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、プロパノール等のアルコール系溶剤;アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸
エチル等のエステル系溶剤が挙げられる。更には、上記
溶媒の中で、アルコール系溶剤を用いるのが好ましい。
水と親水性有機溶媒と水との混合溶媒を使用する場合の
親水性有機溶媒の含有量は、引火、揮発等の危険がな
く、毒性等の取扱上の安全の問題がない量とするのが好
ましく、具体的には、親水性有機溶媒が50重量%以下で
あることが好ましく、更に、30重量%以下であることが
好ましい。また、必要に応じて、NaOH、エチレンジアミ
ン等のpH調整剤を使用してもよい。なお、上記(b−
1)〜(b−4)成分から選ばれる少なくとも1種のス
ケール防止助剤(B)を塗布する際の塗布液中のスケー
ル防止助剤(B)の濃度は、0.01〜20重量%の範囲が好
ましく、更に好ましくは0.1〜15重量%である。
【0040】[水蒸気キャリアー]塗布液をキャリアー
として使用される水蒸気は、通常の飽和水蒸気であって
も、過熱水蒸気であってもよく、0.196〜3.43MPa・G(2
〜35kgf/cm2・G)の圧力を有するものが更に好ましい。
水蒸気の温度は好ましくは120〜260℃であり、130〜200
℃が更に好ましい。上記の水蒸気の圧力及び温度は水蒸
気が塗布液と混合される前、例えば後述の図1において
スチーム供給ライン6内において測定される値である。
【0041】[塗膜の形成]本発明方法による第一層及
び第二層からなる塗膜の形成を図1の塗布装置に従って
説明する。図1は重合装置の構成の概略を示す。 工程1.(スチームによる重合器内壁面等の予熱) 重合器1に取り付けられたジャケット2に熱水などを通
して重合器内壁面の温度を50℃以上(好ましくは50〜95
℃)に予め加熱する。この重合器の上部には環状のパイ
プからなり下方向きのノズル3aと上方向きのノズル3
bを有する塗布リング4が設けられている。該塗布リン
グ4には重合器1の外部からスチーム及び塗布液を供給
するライン5が接続している。ライン5にはスチーム供
給ライン6、第一塗布液供給ライン7及び第二塗布液供
給ライン8がバルブを介して接続している。必要に応じ
て、この塗布リング4の塗布ノズル3a、3bから、ス
チーム(水蒸気又は過熱水蒸気)を器内に吹き込み、バ
ッフル(図示せず)及び攪拌翼(図示せず)等も予め加
熱する。この装置ではスチームはスチーム供給器9から
流量計10を経てライン6と5を通って塗布リング4に
供給される。
【0042】工程2.(1段目塗布) スチームを塗布リング4に供給し、第一塗布液タンク1
1内に収納された第一塗布液をポンプ12又はアスピレ
ーターバルブ(図示せず)によりライン7と5を介して
塗布リング4に供給する。Pは圧力計である。第一塗布
液はスチームに運ばれてミスト状態で重合器内壁面、バ
ッフル表面、攪拌翼表面等の重合中に単量体が接触する
表面に適用され、塗布される。この塗布と同時にこれら
表面上で塗布された第一塗布液は乾燥(同時乾燥)さ
れ、第一層が形成される。したがって、乾燥の為の特別
の操作は必要ない。スチーム(G)と塗布液(L)との
混合割合(L/G)は、重量基準の流量比で0.005〜0.8
が好ましく、0.01〜0.2が更に好ましい。
【0043】工程3.(2段目塗布) 引き続きスチームを流したまま第二塗布液タンク13内
に収納された第二塗布液をポンプ14を用いてライン8
と5を介して同様に塗布リング4に供給し、第一層面上
に塗布し、第二層(図示せず)を形成する。1段目塗布
の場合と同様に、塗布と同時に第一層上に塗布された第
二塗布液は乾燥(同時乾燥)され、第二層が形成される
ので、特別の乾燥操作は必要はない。この二段目塗布に
おいても、スチーム(G)と塗布液(L)との混合比
(L/G)は、重量基準の流量比で0.005〜0.8が好まし
く、0.01〜0.2が更に好ましい。
【0044】工程4.(水洗) スチーム及び塗布液の供給を止めた後、水タンク15に
収納された洗浄水で重合器1内の水洗を行う。洗浄水は
ポンプ16によりライン17を介してノズル18から重
合器内に供給される。但し、品質への影響が少なければ
水洗は行う必要はない。このようにして形成される第一
層の乾燥塗布量は0.0005〜3g/m2が好ましく、より
好ましくは0.0005〜1g/m2である。第二層の乾燥塗
布量は0.0005〜2g/m2が好ましく、より好ましくは
0.0005〜1g/m2である。第一及び第二層の合計乾燥
塗布量は、0.001〜5g/m2であることが好ましく、より
好ましくは0.001〜2g/m2である。
【0045】重合 本発明方法は、エチレン性不飽和二重結合を有する単量
体の重合に適用される。この単量体の例としては、塩化
ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン
酸ビニル等のビニルエステル;アクリル酸、メタクリル
酸、及びこれらのエステル又は塩;マレイン酸、フマル
酸、及びこれらのエステル又は無水物;ブタジエン、ク
ロロプレン、イソプレン等のジエン系単量体;スチレ
ン;アクリロニトリル;ハロゲン化ビニリデン;ビニル
エーテル等が挙げられる。
【0046】本発明方法が特に好適に実施される例とし
ては、塩化ビニル等のハロゲン化ビニル若しくはハロゲ
ン化ビニリデン、又は、それらを主体とする単量体混合
物の水性媒体中における懸濁重合若しくは乳化重合によ
るそれら重合体の製造がある。また本発明方法で形成さ
れる塗膜は、α−メチルスチレン、アクリル酸エステ
ル、アクリロニトリル、酢酸ビニル等の従来の塗膜に対
して高い溶解能を有する単量体に対しても、高い耐久性
を示すので、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリ
アクリロニトリル等の重合体ビ−ズ、ラテックスの製
造、SBR,NBR,CR,IR,IIR等の合成ゴム
の製造(これら合成ゴムは通常乳化重合によって製造さ
れる。)、ABS樹脂の製造にも好適に実施することが
できる。
【0047】これら単量体の1種又は2種以上の重合に
際し、懸濁重合、乳化重合、塊状重合、溶液重合等の重合
形式にかかわらず、また、乳化剤、安定剤、滑剤、可塑
剤、pH調整剤、連鎖移動剤等のいずれの添加剤の存在下
であっても、スケール防止の目的が有効に達成される。例
えば、ビニル系単量体の懸濁重合や、乳化重合では、重
合系に必要に応じて種々の添加剤が加えられる。添加剤
としては例えば、部分けん化ポリビニルアルコール、メ
チルセルロース等の懸濁剤;ラウリル硫酸ナトリウム等
のアニオン性乳化剤;ソルビタンモノラウレート、ポリ
オキシエチレンアルキルエーテル等のノニオン性乳化
剤;三塩基性硫酸鉛、ステアリン酸カルシウム、ジブチ
ルすずジラウレート、ジオクチルすずメルカプチド等の
安定剤;トリクロロエチレン、メルカプタン類等の連鎖
移動剤;pH調整剤等が挙げられる。本発明の方法によれ
ば、このような添加剤が重合系に存在しても効果的にス
ケールの付着が防止される。
【0048】また、本発明の顕著な重合体スケール付着
防止効果は重合触媒の種類に影響されることなく、いず
れの触媒を使用した場合でも発揮される。触媒として
は、具体的には、t−プチルパーオキシネオデカノエー
ト、ビス(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネ
ート、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイ
ド、α−クミルパーオキシネオデカノエート、クメンハ
イドロパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイ
ド、t−プチルパーオキシピバレト、ビス(2−エトキ
シエチル)パーオキシジカーボネート、ベンゾイルパー
オキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキ
サイド、ラウロイルパーオキサイド、2,4−ジクロー
ルベンゾイルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキ
シジカーボネート、α,α’−アゾビスイソブチロニトリ
ル、α,α’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニト
リル、ジ−2−エチルヘキシルジパーオキシイソフタレ
ート、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等が例示さ
れる。
【0049】重合の他の条件は、従来通常行われるとお
りでよく、本発明の効果が損われない限り特に制約され
ない。以下、懸濁重合、溶液重合及び塊状重合の場合を
例に挙げて、典型的な重合条件を具体的に説明するが、
何らこれに限定するものではない。懸濁重合の場合に
は、まず、水及び分散剤を重合器に仕込み、その後、重
合開始剤を仕込む。次に、重合器内を排気して0.01〜10
1kPa(0.1〜760mmHg)に減圧した後、単量体を仕込み
〔この時、重合器の内圧は、通常150〜3040kPa(0.5
〜30kgf/cm2・G)になる〕、その後、30〜150℃の反応温
度で重合する。重合中には、必要に応じて、水、分散剤
及び重合開始剤の1種又は2種以上を添加する。また、
重合時の反応温度は、重合される単量体の種類によって
異なり、例えば塩化ビニルの重合の場合には30〜80℃で
行い、スチレンの重合の場合には50〜150℃で重合を行
う。重合は重合器の内圧が100〜790kPa(0〜7kgf/cm2
・G)に低下した時に、或いは重合器外周に装備されたジ
ャケット内に流入、流出させる冷却水の入口温度と出口
温度との差がほぼなくなった時(即ち重合反応による発
熱がなくなった時)に、完了したと判断される。重合の
際に仕込まれる水、分散剤及び開始剤は、通常単量体10
0重量部に対して、水20〜500重量部、分散剤0.01〜30重
量部、重合開始剤0.01〜5重量部である。
【0050】溶液重合の場合には、重合媒体として水の
代わりに、例えばトルエン、キシレン、ピリジン等の有
機溶媒を使用する。分散剤は必要に応じて用いられる。
その他の重合条件は、一般に懸濁重合についての重合条
件と同様である。
【0051】塊状重合の場合には、重合器内を約0.001
〜101kPa(約0.01〜760mmHg)の圧力に排気した後、そ
の重合器内に単量体及び重合開始剤を仕込み、−10〜25
0℃の反応温度で重合する。例えば、塩化ビニルの重合
の場合には、30〜80℃で行い、スチレンの重合の場合に
は50〜150℃で重合を行う。
【0052】
【実施例】以下実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細
に説明する。なお、「部」は「重量部」を意味し、また
表中の「助剤」は「重合体スケール付着防止助剤」を意
味する。縮合生成物の製造 以下の製造例において、得られた縮合生成物の重量平均
分子量は次のようにして測定した。
【0053】・重量平均分子量の測定 ゲルパーミエイションクロマトグラフィー(GPC)に
より、下記の測定条件で、ポリスチレン換算の重量平均
分子量を測定した。 カラム: ガードカラム 商品名 shim−pack GPC−800DP、島津製作所社製 分析カラム 商品名 shim−pack GPC−803D 、802D、島津製作所社製 移動相: 10mM LiBr/DMF 流量 : 1.0ml/min 検出器: RI 温度 : 60℃
【0054】製造例1 縮合物 No.1の製造 (亜りん酸塩を使用していない比較
製造例) 特開昭57−164107 の製造例1を参照して重合体スケー
ル付着防止剤を製造した。耐圧反応器に1−ナフトール
250 モル(36.0kg)と1規定NaOH水溶液(NaOH 180モル、
7.2kg 含有) 180 Lを仕込み、撹拌しながら、70℃に昇
温した。次に、反応混合物にホルムアルデヒド(38w/v
%水溶液19.75 L、250 モル)を1.5 時間に亘って滴下
した。この間反応器の内温が80℃を越えないようにし
た。次に撹拌を続けながら反応混合物を3時間かけて60
℃に冷却した。次に、反応混合物を98℃に昇温し、98℃
で1.5 時間反応させた。その後反応混合物を冷却し縮合
物(縮合物 No.1)のアルカリ性溶液を得た。縮合物 N
o.1の重量平均分子量は2,400 であった。
【0055】製造例2 縮合物 No.2の製造 耐圧反応器に1−ナフトール250 モル(36.0kg)と1規定
NaOH水溶液(NaOH 180モル、7.2kg 含有) 180 Lを仕込
み、撹拌しながら、70℃に昇温した。次に、反応混合物
にホルムアルデヒド(38w/v %水溶液19.75 L、250 モ
ル)を1.5 時間に亘って滴下した。ホルムアルデヒド滴
下終了直後に、亜りん酸水素ナトリウム(20w/w %水溶
液26.0 kg、50 モル)を0.1時間に亘って添加した。こ
の間反応器の内温が80℃を越えないようにした。次に撹
拌を続けながら反応混合物を3時間かけて60℃に冷却し
た。次に、反応混合物を98℃に昇温し、98℃で1.5 時間
反応させた。その後反応混合物を冷却し縮合物(縮合物
No.2)のアルカリ性溶液を得た。縮合物 No.2の重量平
均分子量は2,300 であった。
【0056】製造例3 縮合物 No.3の製造 耐圧反応器に1−ナフトール250 モル(36.0kg)、亜りん
酸カリウム50モル(7.9kg)及び1規定NaOH水溶液(NaOH
180モル、7.2kg 含有) 180 Lを仕込み、撹拌しなが
ら、70℃に昇温した。次に、反応混合物にホルムアルデ
ヒド(38w/v %水溶液19.75 L、250 モル)を1.5 時間
に亘って滴下した。この間反応器の内温が80℃を越えな
いようにした。次に撹拌を続けながら反応混合物を3時
間かけて60℃に冷却した。次に、反応混合物を98℃に昇
温し、98℃で1.5 時間反応させた。その後反応混合物を
冷却し縮合物(縮合物 No.3)のアルカリ性溶液を得
た。縮合物 No.3の重量平均分子量は2,100 であった。
【0057】製造例4 縮合物 No.4の製造 特開昭57−192413 の塗布化合物の合成2を参照してス
ケール防止剤を製造した。耐圧反応器にピロガロール10
0 モル(12.6kg)、亜りん酸アンモニウム30モル(3.5kg)
及び水100 Lを仕込み、ピロガロールを水に溶解させ
た。次に、得られた溶液にベンズアルデヒド 200モル(2
1.2kg)及びリン酸 300モル(29.4kg)を加え、それらの混
合物を95 ℃で10時間反応させたところ、水に不溶な赤
褐色の生成物が得られた。この水不溶性生成物をエ−テ
ルで洗浄後、該水不溶性生成物中からメタノールでメタ
ノール可溶性成分を抽出し、次に抽出液からメタノール
を乾燥により除去して残渣として縮合物No.4を得た。こ
の縮合物No.4の重量平均分子量は4,000であった。
【0058】製造例5 縮合物 No.5の製造 反応中に亜りん酸塩を反応混合物に添加した以外は、特
公平6−62709の製造例3を参照して重合体スケール付着
防止剤を製造した。耐圧反応器に2,2′−ジヒドロキ
シビフェニル30モル(5.59kg) 、純度95%のパラホルム
アルデヒド30モル(0.948kg) 、パラトルエンスルホン酸
0.19kg及びエチレングリコールジメチルエーテル10Lを
仕込み、撹拌しながら130 ℃に昇温した。130℃に到達
したら、亜りん酸水素ナトリウム(20w/w%水溶液13.0k
g、25モル)を0.1時間に亘って添加した。次に、130 ℃
で17時間反応させた後、50℃に冷却し、反応混合物を水
50L中に投入した。水に投入することにより析出した樹
脂を濾過、水洗後乾燥して、5.1kg の2,2′−ジヒド
ロキシビフェニル−ホルマリン縮合樹脂(縮合物No.5)
を得た。縮合物No.5の重量平均分子量は5,200であっ
た。
【0059】<第一塗布液の調製>第一塗布液 No.101〜111の調製 表1に示した条件〔縮合物(A)、助剤(B)、pH調整
剤、(A)/(B)の重量比、(A)+(B)の合計濃
度、溶媒組成、及びpH〕になるように、表1に示した、
pH調整剤及び溶媒を用いて、第一層形成用の第一塗布液
を調製した。但し、塗布液 No.102はスプレー塗布用に
低濃度に調製されたスケール防止剤含有塗布液である。
なお、以下の表では縮合物をCPと略記する。例えば、
“CP 5”は「縮合物No.5」を意味する。
【0060】
【表1】
【0061】<第二塗布液の調製>第二塗布液 No.201〜218の調製 表2、表3に示した条件〔(b−1)〜(b−4)の助
剤(B)、(b−1)/(b−2)〜(b−4)重量
比、(B)の合計濃度、溶媒、pH調整剤及びpH〕になる
ように、表2、表3に示したスケール防止助剤(B)、
pH調整剤及び溶媒を用いて、スケール防止助剤含有塗布
液(2段目塗布用)を調製した。但し、塗布液No.202*
は、スプレー塗布用に使用する比較用の重合体スケール
付着防止助剤含有塗布液である。なお、水溶性高分子化
合物を使用する塗布液は、室温では、水溶性高分子化合
物(b−1)が溶解し難いので、約70℃に溶媒を加熱
し、溶解した。
【0062】
【表2】〔2段目塗布用(その1)〕
【0063】
【表3】〔2段目塗布用(その2)〕
【0064】実施例1 図2は重合装置の構成の概略を示す。重合器については
図1と共通する要素は同一番号で示す。図2に示す重合
装置を用いて以下の実験を行った。図2において、内容
積2m3の SUS 316 Lステンレス鋼製重合器1には攪拌
翼20を有する撹拌装置21(攪拌モーターは図示せ
ず)、加熱・冷却用ジャケット2、マンホール22、バ
ッフル23及びその他塩化ビニル重合用の重合器に通常
備わる付属設備(図示せず)が備えてある。重合器1の
上部に接続されたライン24は原材料仕込用ラインであ
り、該ライン24に図示のように塩化ビニル単量体(V
CM)仕込ライン24a、触媒溶液仕込ライン24b、
懸濁剤溶液仕込ライン24c、純水仕込ライン24d等
の分岐ラインが接続されている。この仕込ライン24及
び24a〜24dには図示の位置にバルブV1、V2、
V3、V4及びV5が設けられている。また、重合器1
の上部に接続されたライン25は重合器1内の排気、単
量体の回収等のために設けられ、ライン25から分岐し
たライン26を経てガスホルダー27に導かれる。ガス
ホルダー27から単量体回収ライン28が導出され、ま
たガスホルダー27から導出されたライン29はライン
25に接続され、後述の均圧操作に用いられる。これら
のライン25、26、28及び29には、図示の位置に
バルブV6、V7、V8、V9、V10、V11、V1
2及びV13が設けられている。ライン26は、重合器
1内の排気、単量体の回収などのために使用される真空
ポンプ30が設けられているライン26aとそのような
ポンプが設けられていないライン26bに分岐した後再
び一つのラインになってガスホルダー27に接続してい
る。また、重合器1の上部には、重合器内の水洗を行う
ために、ライン31が接続されている。ライン31には
図示の位置にバルブ14が設けられ、器内に導かれた先
端にノズル32が設けられている。更に、重合器1の上
部には、塗布液の供給ライン33に第一塗布液供給ライ
ン34と第二塗布液供給ライン35が図示のようにバル
ブを介して接続している。さらに、ライン33にはスチ
ーム供給ライン36がバルブを介して接続している。ラ
イン33の器内にある先端には、塗布ノズル3a,3b
が付設された塗布リング4が設けられている。これらの
ラインには図示の位置にバルブV15、V16、V17
及びV18が設けられている。スチーム供給ライン36
には、図示の位置にバルブ19が設けられている。重合
器1の底にはライン37が接続され、これは重合体スラ
リーをブローダウンタンクへ導くライン38aと塗布液
等や洗浄水を廃水タンクへ排出するライン38bとに分
かれている。これらのライン38、38a、38bのそ
れぞれに図示の位置にバルブV20、V21及びV22
が設けられている。
【0065】各実験において使用した塗布液の No.を表
4に示す。予め、後述する方法で重合器の内壁等の表面
に塗布液を塗布し、必要ならば乾燥して塗膜を形成した
重合器中で次のようにして塩化ビニル単量体の重合を繰
返し行った。 (1) 塗布及び乾燥 図2に示す重合装置の重合器の内壁等に下記a),
b),c)又はd)の方法で塗膜を形成する。なお、
a),b)及びc)の方法は比較例の方法である。各方
法の説明において、当初すべてのバルブは閉じているも
のとする。
【0066】a).スプレー1段塗布及び乾燥 ジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面を温度
70℃に加熱しておく。(ジャケットでの予熱時間;10
分)バルブV17、V16、V15、V20、V22を
開き、スケール付着防止剤含有の第一塗布液を5L(リット
ル)/minの流量で1.5分間塗布する。バルブV17、V1
6、V15、V20、V22を閉じ、バルブV6、V8、V
13、V9を開き、真空ポンプ30を起動し、8.0kPa(−7
00mmHg)に減圧し、湿潤状態の塗膜を乾燥し(乾燥が必
要;乾燥時間:25分)、塗膜を形成する。その後、真空
ポンプを停止し、バルブV8、V13、V9を閉じる。次
に、バルブV7、V10を開け、重合器1の内圧をガスホル
ダー27の内圧と同圧にする。その後、バルブV6、V
7、V10を閉じる。ジャケット2への熱水の通水を停止
する。
【0067】b).スプレー2段塗布及び乾燥 予めジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面の
温度を70℃に加熱しておく(ジャケットでの予熱時
間:10分)。バルブV17、V16、V15、V20、
V22を開き、スケール付着防止剤含有塗布液(下塗
り)を5L/minの流量で1.5分間塗布する。バルブV1
7、V16、V15、V20、V22を閉じ、バルブV
6、V8、V13、V9を開き、真空ポンプ30を起動し、
8.0kPa(−700mmHg)に減圧し、塗布液を乾燥して(乾燥
が必要;乾燥時間:25分)、第一層を形成する。その
後、真空ポンプを停止し、バルブV8、V13、V9を閉
じる。次に、バルブV7、V10を開いて重合器1の内
圧をガスホルダー27の内圧と同圧にする。その後、V
6、V7、V10を閉じる。次に、バルブV18、V1
6、V15、V20、V22を開き、重合体スケール付
着防止助剤含有塗布液(上塗り)を5リットル/minの流量で
1.5分間、上記第一層上に塗布する。バルブV18、V
16、V15、V22、V20を閉じ、バルブV6、V
8、V13、V9を開き、真空ポンプ30を起動し、8.0k
Pa(−700mmHg)に減圧し、塗布液を乾燥し(乾燥が必要;
乾燥時間:25分)、第二層を形成する。その後、真空ポン
プを停止し、バルブV8、V13、V9を閉じる。次にV
7、V10を開いて重合器1の内圧をガスホルダー27
の内圧と同圧にする。その後、V6、V7、V10を閉じる。
ジャケット2への熱水の通水を停止する。
【0068】c).スチーム1段塗布(及び同時乾燥) 予めジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面を
70℃に加熱しておく(ジャケットでの予熱時間:10
分)。バルブV19、V22、V20、V15、V16を開
き、392kPa・Gauge(4kgf/cm2・G)(143℃)のスチームを2
40kg/Hrの流量で3分間、重合器内に吹込み、器内を予熱
後、バルブV17を開き、スケール付着防止剤を含有す
る塗布液を0.2 L/minの流量で2分間、前記スチームを
キャリアーとして利用して塗布及び同時乾燥する。その
後、バルブV19、V22、V20、V15、V16、
V17を閉じる。 ジャケット2への熱水の通水を停止す
る。
【0069】d).スチーム2段塗布(及び同時乾燥) (1)塗布及び乾燥 予めジャケット2に熱水を通水して重合器1の内壁面の
温度を70℃に加熱しておく(ジャケットでの予熱時
間:10分)。バルブV19、V22、V20、V15、V1
6を開き、392kPa・Gauge(4kgf/cm2・G)(143℃)のスチ
ームを240kg/Hrの流量で3分間、重合器1内に吹込み、
器内を予熱後、バルブV17を開き、スケール付着防止
剤含有第一塗布液(下塗り用)を0.2L/minの流量で2分
間、前記スチームをキャリアーとして塗布及び同時乾燥
して第一層を形成する。その後、バルブV17を閉じる。
次にバルブV18を開き、助剤含有第二塗布液(上塗り
用)を0.2リットル/minの流量で1分間、第一層上に前記ス
チームキャリアーを利用して塗布及び同時乾燥し、第二
層を塗布する。その後、バルブV19、V22、V2
0、V15、V16、V18を閉じる。 ジャケット2へ
の熱水の通水を停止する。
【0070】(2)器内第2水洗 バルブV14、V20、V22、V6、V7、V10を
開き、器内を水洗し、水洗後の水を廃水タンクに排出す
る。バルブV14、V20、V22を閉じる。上記a)
またはb)の方法を用いた場合はこの水洗時間は4分間
である。上記c)又はd)の方法を用いた場合はこの水
洗時間は1分間である。
【0071】(3) 仕込み バルブV1、V2、V3を開き、純水200重量部、部分
ケン化ポリビニルアルコール0.022重量部、ヒドロキシ
メチルセルロース0.028重量部を重合器1内に仕込む。
バルブV1、V2、V3、V6、V7、V10を閉じ
る。次にバルブV1、V5を開き、塩化ビニル単量体
(VCM)100重量部を仕込み、バルブV5を閉じる。
次に仕込んだ原材料を攪拌しながら、バルブV4を開
き、t−ブチルパーオキシネオデカネート0.03重量部を
仕込み、バルブV1、V4を閉じる。 (4) 重合 仕込んだ原材料を攪拌しながら、ジャケット2に熱水を
通水して昇温し、内温が52℃に到達した時点でジャケッ
ト2に冷却水を通して内温を52℃に維持し重合を行っ
た。器内の圧力が490kPa・Gauge(5kgf/cm2・G)に降圧し
た時点で重合を終了した。 (5) 排ガス バルブV6、V8、V12、V9を開とし、器内圧がほ
ぼ大気圧となるまで、ガスホルダー27に排ガスする。
その後バルブV12、V8、V9を閉じる。バルブV1
1、V10を開いてガスホルダー27内に回収された単
量体をライン28を介してVCM回収工程へ送り、その
後、バルブV11、V10を閉じる。
【0072】(6) 均圧 バルブV7、V10を開き、重合器1の内圧とガスホルダ
ー27の内圧とを同圧(均圧)にする。 (7) スラリー抜出し バルブV20、V21を開き、重合体スラリーを器内か
らブローダウンタンク(図示せず)に抜出す。ブローダ
ウンタンクに抜出された重合体スラリーは、その後、脱
水乾燥されて塩化ビニル重合体製品となる。 (8) 器内第1水洗 バルブV14を開き重合器1内を水洗し、洗浄水をブロ
ーダウンタンクに送る。その後バルブV14、V20、
V21、V6、V7、V10を閉じる。この器内の水洗
中に、ジャケット2に熱水を通して重合器壁面の温度を
70℃にしておく。上記の塗布及び乾燥(1)から重合終
了後の第1水洗(8)までの操作を1バッチとして、同じ
操作を表6に示すバッチ数繰返した。
【0073】<評価>・塗膜形成所要時間 実施例及び比較例で塗膜の形成に要した所要時間を表5
に示す。・重合体スケール付着量の測定 各実験で、最終バッチ終了後に重合器内液相部の重合体
スケール付着量、攪拌翼及びバッフル表面及び気相部と
液相部との界面付近の重合体スケール付着量を下記の方
法で求めた。対象表面の10cm×10cmの区域に付着したス
ケールを、肉眼で確認し得る限り完全にへらで掻き落と
して、天秤で計量した。その計量値を100倍することに
より、1m2当たりのスケール付着量を求めた。その結果
を表6に示す。・フィッシュアイの測定 また、各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体をシ
−トに成形したときのフィッシュアイを、下記の方法で
測定した。結果を表7に示す。重合体100 重量部、ジオ
クチルフタレート50重量部、ジブチルすずジラウレート
1重量部、セチルアルコール1重量部、酸化チタン0.25
重量部及びカーボンブラック0.05重量部を、6インチロ
ールを用いて150 ℃で7分間混練した後、厚さ0.2mm の
シートに成形した。得られたシートの100cm2当たりに含
まれるフィッシュアイの個数を光透過法により調べた。
【0074】・明度指数(L値)の測定 重合体をシ−トに成形した時の、初期着色を評価するた
め、明度指数(L値)を下記の方法で測定した。その結
果を表7に示す。得られた重合体100 重量部、ジブチル
錫ラウレ−ト系安定剤(昭島化学(株)製、TS−101)
1重量部及びカドミウム有機複合体系安定剤(勝田化工
(株)製、C−100J) 0.5 重量部並びに可塑剤としてジ
オクチルフタレ−ト50重量部の混合物を、2本ロールミ
ルを用いて160℃で5分間混練した後、厚さ1mmのシ−
トに成形した。得られたシ−トを4×4×1.5cm の型枠
に入れ、次いで160℃の温度で6.37〜6.87MPa・Gauge(65
〜70kgf/cm2・G)に加圧することにより、測定用試料を作
製した。この試料の明度指数Lを、以下のようにして求
めた。
【0075】まず、JIS Z 8722に従い、標準光C及び光
電色彩計〔日本電色工業(株)製、Z−1001 DP 型測色
色差計〕を用いて、刺激値直読方法により、XYZ 表色系
の刺激値Yを求めた。ここで、照明及び受光の幾何学的
条件は、JIS Z 8722の4.3.1項に記載の条件dを採用し
た。次いで、得られた刺激値Yを、JIS Z 8730(1980)に
記載のハンタ−の色差式: L=10Y1/2 に代入して、L値を算出した。なお、L値が大きいほど
白色度が高い、すなわち、初期着色が良好であることを
示す。
【0076】・着色粒子の測定 各実験で最終バッチ終了後に得られた重合体100重量部、
安定剤として〔日東化成(株)製、TVS N−2000E〕2
重量部、及び可塑剤としてジオクチルフタレート20重量
部の混合物を、十分に混錬した後、160mm×130mm×3mm
の型枠に入れ、175℃の温度、3.43MPa・Gauge(35kgf/cm2
・G)の圧力で加圧成形することにより、測定用試料を作
製した。この試料について、着色粒子の個数を目視によ
り調べた。その結果を表7示す。
【0077】
【表4】 *:比較例
【0078】
【表5】
【0079】
【表6】 *:比較例
【0080】
【表7】スケール付着量及び品質 *:比較例
【0081】
【発明の効果】本発明の重合方法によれば、スケール防
止剤等の塗膜形成工程時間を短縮して生産性を向上する
と共に、塩化ビニル単量体を重合する際に、重合器内の
液相部壁面ばかりでなく、攪拌装置、壁面に対面してい
るバッフル表面、気相と液相との界面付近などにおいて
も、重合体スケールの付着を効果的に防止することがで
きる。このため、得られる重合体製品の品質が向上し、
重合体中の着色粒子を従来より極めて少なくすることが
できる上、該重合体をシ−ト等に成形した成形物には、
フィッシュアイが極めて少なく、且つ初期着色も極めて
少ない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施する重合装置の概略図であ
る。
【図2】本発明の方法を実施する別の重合装置の概略図
である。
【符号の説明】
1.重合器 4.塗布リング 6.スチーム供給ライン 7.第一塗布液供給ライン 8.第二塗布液供給ライン 17.洗浄水供給ライン 20.撹拌翼 23.バッフル 24.原材料供給ライン 27.ガスホルダー 31.洗浄水供給ライン 34.第一塗布液供給ライン 35.第二塗布液供給ライン 36.スチーム供給ライン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J011 AA05 EB02 EB04 EB05 EB08 EB09 EB10 EB14 EC04 4J038 BA011 BA021 BA121 BA191 BA251 CC021 CC091 CE021 CE051 CG031 CG081 CG141 CG171 CH201 CK031 CK041 DA041 DJ011 DK011 GA08 GA09 GA13 HA046 HA066 HA116 HA126 HA216 HA236 HA286 HA336 HA376 HA406 HA416 HA446 HA456 HA476 JA39 JA41 JA46 JC13 KA04 KA08 LA02 MA14 NA05 PA06 PB06 PC02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレン性二重結合を有する単量体を重
    合器内において重合することからなる重合体の製造方法
    であって、 前記重合器はその内壁面及び重合中に前記単量体が接触
    するその他の表面に重合体スケール付着防止性の塗膜を
    有するものであり;該塗膜は、前記内壁面及びその他の
    表面の上に、形成された第一層と、該第一層の上に形成
    された第二層とからなり、 前記第一層は、アルデヒド化合物と芳香族ヒドロキシ系
    化合物との縮合反応を亜りん酸塩の存在下で行うことに
    より得られた縮合物(A)を含有する第一塗布液を、キャ
    リアーとして水蒸気を用いて塗布して形成されたもので
    あり、前記第二層は、第一層の上に、水溶性高分子化合
    物、無機コロイド、無機塩及び酸よりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種の重合体スケール付着防止助剤
    (B)を含有する第二塗布液をキャリアーとして、水蒸
    気を用いて塗布して形成されたものである;ことを特徴
    とするエチレン性二重結合を有する単量体の重合方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の方法であって、前記亜
    りん酸塩が前記縮合反応の開始直前から該反応の中期ま
    での間に反応混合物に添加されたことを特徴とする請求
    項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の方法であって、
    第一塗布液に含まれる前記縮合物(A)が、芳香族化合物
    の重量平均分子量500以上である縮合生成物であるこ
    とを特徴とする方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法であって、前記の
    縮合生成物の重量平均分子量が500〜70,000で
    あることを特徴とする方法。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載の方法であって、第一塗
    布液の塗布及び第二塗布液の塗布のいずれの場合も、キ
    ャリアーとして使用される水蒸気(G)と塗布液(L)
    との混合比(L/G)が重量基準の流量比で0.005
    〜0.8であることを特徴とする方法。
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