JP3968219B2 - 現像ローラ、該現像ローラの製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置、当該画像形成装置に装着される現像装置の現像ローラ、その現像ローラの製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真その他の、粉体トナーを用いた画像形成方法において、二成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像は周知であり、画像形成装置において広く利用されている。
【0003】
この磁気ブラシ現像では、現像ローラ外周面に現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、現像領域(現像ローラと像担持体の間で現像可能電界が確保されている領域)において、静電潜像が形成された像担持体と電気的バイアスが印加されたスリーブとの間の電界によって、前記磁気ブラシから対向する像担持体の潜像面へトナーを選択的に供給付着することにより、現像が行われる。
【0004】
現像ローラは、通常、円筒状のスリーブ(現像スリーブ)として構成され、このスリーブ表面に現像剤の穂立ちを生じさせるように磁界を形成する磁石体(磁石ローラ)をスリーブ内部に備えている。穂立ちの際、キャリアが磁石ローラで生じる磁力線に沿うようにスリーブ上に穂立ちすると共に、この穂立ちに係るキャリアに対して帯電トナーが付着されている。前記磁石ローラは、複数の磁極を有し、夫々の磁極を形成する磁石が棒状などに構成されていて、特にスリーブ表面の現像領域部分では現像剤を立ち上げる現像主磁極を備えている。前記スリーブと磁石ローラの少なくとも一方が動くことでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動するようになっており、現像領域に搬送された現像剤は前記現像主磁極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行う。
【0005】
従来の磁気ブラシ現像装置においては、画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とが両立せず、高濃度部と低濃度部との双方を同時に改善することが困難である。即ち、画像濃度を高くするための現像条件としては、(i)像担持体と現像スリーブとの間隔である現像ギャップを狭くすること、あるいは(ii)現像領域幅を広くすることなどが挙げられる。一方、低コントラスト画像を良好に得るための現像条件としては、(i')現像ギャップを広くすること、あるいは(ii')現像領域幅を狭くすることなどがある。つまり、双方の現像条件は相対するものであって両立せず、全濃度域にわたって双方の条件を満たして良質な画像を得ることは一般に困難とされている。
【0006】
例えば、低コントラスト画像を重視する場合には、ベタラインのクロス部や黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に白抜けを生じる所謂「後端白抜け」と称される異常画像が発生しやすい。また同じ幅で形成した格子画像の横線が縦線よりも細くなったり、1ドットなどの小さい点画像が現像されないなどの現象も発生している。
【0007】
このような従来からの課題であった画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とを高い時点で満足させ、全濃度域にわたって良質な画像を得るための現像方法及び現像装置等を本願出願人は先に提案している(特願2000−29637)。
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記の本願出願人が先に提案した現像装置においては、現像ローラの主極部は極間角度が従来の現像ローラに比べて狭いため、マグネット材料に高い磁気特性が必要である。また、主極部の精度が従来の現像ローラに比べて高い精度(従来の±2度に対して±1度)が要求される。
【0009】
ここで、従来の現像ローラの製造方法について説明する。
本願出願人が先に提案した現像装置の現像ローラの製造方法において、図11に示す方法では、芯金一体型のホルダ63に現像極を構成する3つの希土類マグネットブロック68と主極以外の磁極を構成する複数のフェライトブロック64とを貼り付けた磁石ローラをスリーブ62内に配設して現像ローラ61となる。この場合のメリットは磁極の位置精度が高いことであり、デメリットはマグネットブロックを貼り付ける部品のコストが高く、また工数が多く製造コストが高いことである。
【0010】
図12に示す現像ローラの製造方法は、芯金75に現像極を構成する3つの希土類マグネットブロック78を貼り付けたフェライトブロック73と主極以外の磁極を構成する複数のフェライトブロック74とを貼り付けた磁石ローラをスリーブ72内に配設して現像ローラ71とする。この場合のメリットは工数がほぼ図11の場合と同様で、図11で説明した製造方法と比べて芯金のコストが安いということである。しかしながら、全体的に磁極位置精度の確保が難しく、主極も複雑な形状のため成形品形状に高精度が要求されることである。
【0011】
図13に示す現像ローラの製造方法は、フェライトマグネット成形品であるマグネットロール83の現像極に相当する部分に3つの希土類マグネットブロック88を貼り付けた磁石ローラをスリーブ82内に配設して現像ローラ81となる。符号85は芯金である。射出成形のメリットとして高磁力が得やすく磁極位置等比較的安定した特性が得られるが設備が煩雑となり加工タクトもかかる。また押出成形のメリットとして加工タクトが短い反面デメリットとして成形品特性の制御が困難であることが挙げられる。
【0012】
また、他の現像ローラの製造方法として、フェライトマグネットロールに非磁性ホルダを介して希土類マグネットを貼り付ける工法のものがあり、かかる工法では希土類マグネットを、非磁性ホルダを介して貼り付けることにより、磁極位置の高精度化が図れる。
【0013】
しかし、上記した製造と同様に成型品希土類磁石の加工精度が充分でなく、さらに機械的強度が充分でない上に、コストが高いという問題が残る。
現像ローラは、幅が約30cmの長尺となっており、30cmの全長にわたって、均一な寸法精度が要求される。焼結タイプの希土類磁石は、長さ10cmが限界であり、30cm幅の成型は実現不可能となっている。エポキシ樹脂を用いた圧縮成型品も長尺が難しく、30cmは実現不可能である。
【0014】
押し出し成型や射出成型は、長尺が可能であるが、機械強度が充分でなく、貼り付け加工時に磁石が折れやすいという問題が発生する。一般に高磁力を達成するためには、プラスチックマグネット中の磁石粉の充填率を高めることが肝要である。磁石の含有率が80wt%以上あるため、機械的強度、特に曲げ強度は非常に弱いものとなっている。
【0015】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、高い磁気特性と主極部の高精度を備えた現像ローラ、及び低コスト且つ容易に製造できる方法及び装置を提供することを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材を有し、該構成部材の少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分が配設され、該収納部分に前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉が圧縮成型されて埋め込まれていることを特徴とする現像ローラを提案する。
【0017】
なお、本発明の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は表面に紫外線硬化型接着剤が被覆されて前記現像ローラの構成部材と接着されていると、効果的である。
【0018】
また、上記課題を解決するため、本発明は、高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材を有し、該構成部材の少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分が配設され、該収納部分には溝状の収納部が形成された非磁性材料からなるホルダが埋め込まれ、該ホルダの収納部に前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉が圧縮成型されて埋め込まれていることを特徴とする現像ローラを提案する。
【0019】
なお、本発明の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は表面に紫外線硬化型接着剤が被覆されて前記ホルダと接着されていると、効果的である。
さらに、本発明の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は表面に酸素透過率が1cc/(m2・24hr・atm)以下のガスバリヤー膜が被覆されていると、効果的である。
【0020】
さらにまた、本発明の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は希土類元素からなる磁石であると、効果的である。
さらにまた、本発明の現像ローラにおいて、現像極の磁気特性が残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mであると、効果的である。
【0021】
また、上記課題を解決するため、本発明は、高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材における少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分を形成し、該収納部分に直接または溝状の収納部が形成された非磁性材料からなるホルダを介して前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉を100〜1000kg/cm2の圧力で圧縮成型して埋め込むことを特徴とする現像ローラの製造方法を提案する。
【0022】
なお、本発明の現像ローラの製造方法において、前記高磁力の磁性粉として平均粒径を50μm以下に微粉砕されているものを用いると、効果的である。
さらに、本発明の現像ローラの製造方法において、前記高磁力の磁性粉が音波ふるい器で分級すると、効果的である。
【0023】
また、上記課題を解決するため、本発明は、高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材における少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分を形成し、平均粒径を50μm以下に微粉砕し、かつ、音波ふるい器で分級した前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉を、該収納部分に直接または溝状の収納部が形成された非磁性材料からなるホルダの収納部に、100〜1000kg/cm2の圧力で圧縮成型し、その表面に紫外線硬化型接着剤を被覆して接着し、その硬化後、磁気特性が残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mになるように着磁することを特徴とする現像ローラの製造方法を提案する。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面にしたがって説明する。
先ず、本発明に係る現像装置が装着された画像形成装置の作像部を、図1に基づいて説明する。
【0027】
図1において、静電潜像担持体である感光体ドラム1の周囲には、当該ドラム表面を帯電するための帯電装置2、一様帯電処理面に潜像を形成するためのレーザー光線でなる露光3、ドラム表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー像を形成する現像装置4、形成されたドラム上のトナー像を記録紙へ転写するための転写装置5、ドラム上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置7、ドラム上の残留電位を除去するための除電ランプ8が順に配設されている。
【0028】
このような構成において、帯電装置2の帯電ローラによって表面を一様に帯電された感光体1は、露光3によって静電潜像を形成され、現像装置4によってトナー像を形成される。当該トナー像は、転写ベルトなどでなる転写装置5によって、感光体ドラム1表面から、不図示の給紙トレイから搬送された記録紙へ転写される。この転写の際に感光体ドラムに静電的に付着した記録紙は、分離爪によって感光体ドラム1から分離される。そして未定着の記録紙上のトナー像は定着器9によって記録紙に定着される。一方、転写されずに感光体ドラム上に残留したトナーは、クリーニング装置7によって除去され回収される。残留トナーを除去された感光体ドラム1は除電ランプ8で初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。なお、符号6は、図示しない給紙トレイからの記録紙を、感光体1上のトナー像にタイミングを合わせて送出するためのレジストローラである。
【0029】
現像装置4内には、現像ローラである現像ローラ41が感光体ドラム1に近接するように配置されていて、双方の対向部分には、感光体ドラムと磁気ブラシが接触する現像領域が形成されている。現像ローラ41は、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成してなる現像スリーブが不図示の回転駆動機構によって図中時計回りに回転されるようになっている。なお、符号42は現像剤チェーン穂の穂高さ、即ち、現像スリーブ上の現像剤量を規制するドクタブレード、符号43は入口シール部材、符号44は現像装置ケーシング内の現像剤を攪拌しながら現像ローラ41へ汲み上げるためのスクリューである。
【0030】
現像ローラ41は、図2に示すように、現像スリーブ45内にその周表面に現像剤の穂立ちを生じるように磁界を形成する磁石体(以下、マグネットローラ46という。)が固定状態で備えられる。マグネットローラ46は、現像領域部分に現像剤の穂立ちを生じさせる主磁極と、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための搬送極と、現像後の領域で現像剤を搬送する搬送極とを有する。本実施形態では、主磁極が1つのマグネットブロック48により形成しているが、マグネットブロック48は複数(2極もしくは3極)のマグネットブロックにより現像極を形成してもよい。そして、主磁極を1つのマグネットブロック48により形成した場合、主磁極の半値幅は25°以下とし、現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率を40%以下としている。なお、半値幅とは現像主磁極の法線方向の磁力分布曲線の最高法線磁力(頂点)の半分の値を指す部分の角度幅のことであり、例えばN極によって作成されている磁石の最高法線磁力が120mTであれば60mTの値を指す部分の角度幅のことである。また、現像磁極の法線方向磁束密度の減衰率とは法線方向磁束密度xに対して現像ローラ表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度yがどの程度減衰したかを表す数値(x−y)÷x×100%であり、例えば現像ローラ表面の法線方向磁束密度が100mT、現像ローラ表面から1mm離れた部分での法線方向磁束密度が80mTのとき減衰率は20%となる。
【0031】
本発明に係る現像ローラ41は、マグネットローラ46が高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットであり、磁性粉としてはSrフェライトないしBaフェライトを用い、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA(ポリアミド)系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)又はEVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料を使用することができる。このマグネットローラ46には円筒形状の現像ローラの現像極48に相当する部分に他の部材が埋め込みできるような収納部分としての収納溝49が形成され、該収納溝49にマグネットローラ46よりも高磁力の希土類磁石粉を充填して現像極48を圧縮成型している。
【0032】
このように現像ローラ40の現像極48を、希土類磁石粉を充填して圧縮成型して得た場合、希望の磁気特性になるように圧力をかけてその充填率を高め、密度を向上させることできる。しかも、この現像極48はマグネットローラ46のように非磁性の材料が添加していないため、磁石粉材料の充填率を高めることができ、少体積でも良好な磁気特性が得られる。
【0033】
具体的には、高磁力の磁石粉は100〜1000kg/cm2の圧力で圧縮成型することで、残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mと、本願出願人が提案した現像ローラに最適な磁気特性の現像極48が得られる。このとき、高磁力の磁石粉の圧縮成形では材料の強度がでないため、一般的にはつなぎ材料となるプラスチックを添加することで材料の強度を確保している。しかし、本発明の現像ローラでは収納溝49に充填するため、現像ローラと接触する部分の強度は必要とならない。
【0034】
また、本発明の他の実施形態としては、図3に示すように、マグネットローラ46の現像極を配置する位置に収納溝51を形成した非磁性体からなるホルダ50を設けている。そして、このホルダ50に形成した収納溝51にマグネットローラ46よりも高磁力の磁性粉を圧縮成型して現像極48が形成されている。
【0035】
すなわち、本実施形態では溝形状の加工がなされているマグネットローラ46の現像極を配置する位置に、非磁性のホルダ50を配設し、ホルダ50に形成した収納溝51に希土類磁石粉を充填して希望の磁気特性になるように圧力をかけて、充填率を高め、密度を向上させることにある。ホルダ50内に磁石を成型するため、強度の強いホルダ材料を用いれば、現像ローラ41に直接充填する上記実施形態の場合よりは圧力を大きくでき、高密度充填が可能となり、より高い磁気特性が得られることになる。
【0036】
このようにして圧縮成形された高磁力の磁性粉からなる現像極48の表面には、図1及び図2の何れの実施形態においても紫外線硬化樹脂である紫外線硬化型接着剤52で被覆する。圧縮成型した希土類磁石粉よりなる磁石の表面に紫外線硬化型樹脂52を被覆することで、希土類磁石と現像ローラ41の接着を行うものである。そして、紫外線硬化型接着剤52の被覆化により、希土類磁石の劣化を防止できる利点も得られる。なお、紫外線硬化型接着剤52の塗布する厚さは0.02〜0.1mmで、塗布後紫外線照射により硬化させて圧縮成型した希土類磁石粉の現像極の接着・固定を行う。
【0037】
ところで、希土類磁石、特に希土類-鉄系の磁石は極めて錆びやすく耐触性に劣り、粉落ちしやすいという性質を有するため、よって経時において次第に磁気特性が低下するという不具合があり、上記現像極48にも当然当てはまる。
そこで、かかる不具合を解消するため、現像極48の表面には酸素透過率が1cc/(m2・24hr・atm)以下のガスバリヤー膜53を被覆している。このように、現像極48の表面に酸素透過率が1cc/(m2・24hr・atm)以下と低い、有機膜を形することで、希土類磁石の劣化を防止することができる。なお、ガスバリヤー膜材料としては、ポリ塩化ビニリデン(サラン)、エチレンビニルアルコール共重合体(EvOH)、ポリアクリロニトリル等の有機膜が好ましい。また、ガスバリヤー膜の厚さは厚いほど、酸素透過率は向上するが、10μm以上であれば、1cc/(m2・24hr・atm)以下にすることについて容易に達成することができる。
【0038】
現像極48となる高磁力の磁性粉は、希土類元素からなる磁石粉を使用すれば、狭幅でも高磁力の磁気特性を達成し、後端白抜け等のない良好な現像特性が得られ、他の材料系では磁気力が不足気味になることが否めない。その具体例としては、等方性のMAGNEQUENCH社のMQP‐Bパウダー(Nd2Fe14B)を使用する。
【0039】
また、本発明では良好な現像品質を得るために現像極に求められる磁気特性を、残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mになるように着磁するように規定している。この場合、収納溝49もしくは51の部分に充填された希土類磁石の下部(希土類磁石と芯金の間)には、Fe系のプラスチックマグネットが存在し、着磁によりある程度の磁気力を有しているので、現像極48の磁気特性は(希土類磁石+Fe系プラスチックマグネット)となり、この値における残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mを満足するようにしている。
【0040】
希土類磁石の粉体、たとえばMQP‐Bパウダーは粒径が大きく100〜300μmとなっており、そのままの粒径で充填して圧縮成型しても、低い圧力(1000kg/cm2以下)では、粒径分布の影響でポーラスな構造となり、空気の間隙が多く、充填密度が向上せずに磁気特性が不足する。そこで、低い圧縮圧力でも充填密度が向上するように、粒径を細粒化している。その結果、粒径を細かく砕くことにより、1000kg/cm2以下の低い圧力でも充填密度が向上することがわかった。
【0041】
希土類磁石の粉体の平均粒径が200〜300μmの時、3.2〜3.5g/cm3であったものが、平均粒径50〜30μmで5.0〜5.3g/cm3、平均粒径10〜30μmで5.5〜5.7g/cm3であった。ただし、圧縮圧力は500kg/cm2で行った。
【0042】
次に、希土類磁石を細粒化する方法であるが、圧縮機構による粉砕法としてはローラミル、衝撃機構による微粉砕法としては、衝撃式粉砕機(ターボ形粉砕機、スクリーンミル、遠心分級ミル)、ジェット粉砕機、ボールミル等がある。何れの方法でも微粉砕化は可能であるが、セラミック材料から成る3本ロールミルは特に容易に微粉砕化が可能で、湿式、乾式いずれの方法も用いることが可能である。
【0043】
現像ローラの溝形成部分に希土類磁石を充填し、圧縮形成する場合、マグネットローラの形状、肉厚によっては、圧力で変形し、軸ぶれ、フレ発生等の不良が発生する。従って、現像ローラの種類によっては、できる限り低圧で圧縮成型する必要がある。そのような場合、磁石粒径を小さくし、さらに粒径をそろえ、大きな粒子を取り除くことにより低圧化が可能となる。
【0044】
大きな粒子を取り除く方法として、音波ふるい法が有効である。たとえば、希土類磁石の粉末を3本ロールミル20μmギャップ゜で粉砕したものを、音波ふるい器でオープニングが32μmのメッシュを利用し分級した。印加する周波数は80〜280Hz間で、連続的に可変して行い、合計10分ほど行う。これによって、32μmメッシュ以下のものがフィルタリングされて得られる。これを圧縮して、5.7g/cm3の密度を得るための圧力を求めたところ、200kg/cm2であった。音波ふるいしていないものが500kg/cm2であった。
【0045】
上記現像ローラを製造するの最適な装置について図4ないし図10を用いて説明する。
図4及び図5において、製造装置20は芯金軸47よりマグネットローラ46を受けるVの字状のローラ受け部21が設けられ、このローラ受け21を介して支持されたマグネットローラ46は駆動手段としてのモータ22によって回転駆動される。また、23はローラを拘束する手段としてのチャックであり、マグネットローラ46が所定の姿勢になったとき、これを不回転に固定保持する用をなす。24はマグネットローラ46の芯金軸47に形成された面取り部47aを利用してマグネットローラ46の姿勢を検出する平面検出手段24である。この平面検出手段24は、図6に示すように、発光部24aと受光部24bからなり、図6(c)のように芯金軸47の面取り部47aの面が検出光とほぼ平行になれば、検出光が芯金軸47で遮られないが、図6(a)や図6(b)のように平行でないと光は受光部24bに届かない。これにて、マグネットローラ46が一姿勢のときを検出することができ、本例では収納溝49が真上を向いたときを検出する。
【0046】
ローラ受け21に支持されたマグネットローラ46は、モータ22によって回転されて、所定の姿勢になったことが平面検出手段24によって検出されると、チャック23によって固定される。すなわち、本実施形態ではモータ22、平面検出部及びチャック23によって現像ローラ41を予め定めた位置に保持する手段を構成している。
【0047】
符号25は、真上を向いた収納溝49に粉末状の希土類を供給する手段としての供給装置であり、供給装置25は収納溝49に沿って水平方向に移動し、その移動中に粉末状の希土類を供給する。なお、この供給装置25は後述する紫外線硬化樹脂を供給する手段も兼ねている。また、符号26は収納溝49に供給された粉末状の希土類の固形状体に成形せしめる押圧手段としてのプレスである。該プレス26には、収納溝49の全長に嵌り込むプレス板27が設けられている。
【0048】
かかる製造装置20では、まず、芯金軸47がローラ受け部21に跨るようにしてマグネットローラ46を供給する。供給されたマグネットローラ46は、回転して上記の如く平面検出手段24によって収納溝49が真上を向いた位置を検出して位置決めされると、そしてチャック23により固定される。マグネットローラ46が所定位置で固定されると、その収納溝49へ供給装置25によって粉末状の希土類が供給される。このとき、供給した希土類が不要部に付着することを防止するため、収納溝49の近傍に、該溝に沿って対向して立設された平面を備えた一対の平面部材としての昇降可能なガイド28が設けており、該ガイド28は希土類供給時及びプレス時に降下して図7に示すように、収納溝49上に位置される。このガイド28は、図8に示すように、対向する平面間の幅dが収納溝49の幅Dよりも僅かに小さく、また上部には断面漏斗状となる開口部が形成されているので、ガイド28を介して供給装置25から供給された希土類は不要な部分に付着されることなく、収納溝49に供給される。
【0049】
かくして、マグネットローラ46の収納溝49に所定量の希土類が供給されると、図9に示すように、プレス26により押し固められる。このとき、上記ガイド28は希土類供給時と同位置に保持され、プレス26が降下しそのプレス板27がガイド28に案内されて押し固めが行われる。なお、プレス条件の一例を示せば、プレス圧:1000N/cm2、プレス時間:5sec/回であり、これを3回実施する。
【0050】
このようにしてプレス成形が行われ、このときの希土類供給時とプレス時に使用されるガイド28と収納溝49の寸法関係はガイド28が小さいので、プレス成形後の希土類の形状は図10に示す形状となる。
【0051】
プレス後、プレス26及びガイド28が上方へ回避し、次に供給装置25によって紫外線硬化型接着剤を塗布される。塗布後はマグネットローラ46を取り外し、別装置で紫外線光源による表面のみをコーティングする。なお、紫外線硬化型樹脂の供給装置は紫外線光源と同様に別装置であってもよい。
【0052】
上記の動作により、高精度のマグネットローラ46を安定して製造することができる。
【発明の効果】
【0053】
以上説明したように、本発明によれば、希土類磁石等の高磁力の磁石粉を直接現像ローラに一体成型できるため、生産工数を削減でき、低コストな現像ローラが達成できる。現像ローラの溝部分に圧縮成型により、磁石を一体成型でき、つなぎ材料(プラステイック材料)なしでも、高磁力の材料を成型できるため、低コスト化が可能で、つなぎ材料がない分高磁力が達成できる。
【0054】
さらに、非磁性のホルダに磁石粉を形成するため、圧縮圧力を高くでき、より充填密度が向上するので、高磁力の磁石が成型でき、磁石厚さを低減できる等の現像ローラの設計余裕度が広がる。しかも、磁性ホルダの固定接着時に磁石の極位置を調整できるため、高精度な極位置が確保できる。
さらに、紫外線硬化型接着剤により、磁性粉と現像ローラ、もしくは磁性粉とホルダが接着できることにより、信頼性の高い現像ローラを提供できる。また、紫外線硬化型接着剤の採用により、硬化時間が短縮できるため、生産性の高い生産工程が可能になる。
【0055】
さらに、ガスバリヤー性の高い材料を被覆することにより、磁石の劣化が防止でき、磁気特性の経時変化がない現像ローラを提供することができる。
さらに、希土類磁石を用いることにより、狭幅、狭体積での磁力が高くすることができやすくなる。
【0056】
さらに、磁気特性を規定することにより、効果的な現像ローラを提供することができる。
さらにまた、圧縮圧力を最適化することにより、製品仕様に応じた磁気特性を有する現像ローラの提供が可能となる。
【0057】
さらにまた、磁石粉平均粒径を設定値以下にすることにより、低圧縮圧力でも充填密度を高めることが可能となり、一体構造の現像ローラが達成できる。
さらにまた、粒径分布をシャープにし、大粒径の磁石粉を取り除くことが可能となり、より低圧力での圧縮が可能となる。
【0058】
さらにまた、効果的な現像ローラを低コスト材料を用いて、生産性の高い工程で製造が可能となり、低コストな現像ローラの製造方法を提供できる。
さらにまた、希土類磁石の部品精度のバラツキの影響(そり、曲がり)を受けずに安定して、マグネットローラ46を生産することができる。
【0059】
さらにまた、供給及びプレス時に、不要部(溝部以外のローラ表面)への付着を防止でき、不良の原因(磁気特性不良)を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る現像装置が装着された画像形成装置の作像部付近を示す概略構成図である。
【図2】本発明による現像ローラの一例を示す説明図である。
【図3】本発明による現像ローラの別の例を示す説明図である。
【図4】本発明による現像ローラ製造装置を示す正面説明図である。
【図5】図4に示す現像ローラ製造装置の側面説明図である。
【図6】(a)〜(c)は平面検知装置の検知方法を説明する説明図である。
【図7】希土類供給時を示す説明図である。
【図8】ガイド部と収納部との関係を示す説明図である。
【図9】プレス時を示す説明図である。
【図10】プレス後の現像極を説明する図である。
【図11】従来の現像ローラ製造方法を適用した現像ローラとその製造方法を説明する断面図である。
【図12】従来の現像ローラ製造方法を適用した現像ローラの別例とその製造方法を説明する断面図である。
【図13】従来の現像ローラ製造方法を適用した現像ローラの更に別の例とその製造方法を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(像担持体)
4 現像装置
41 現像ローラ
45 現像スリーブ
46 マグネットローラ
47 芯金軸
48 現像極
49 収納溝
50 ホルダ
Claims (11)
- 高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材を有し、該構成部材の少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分が配設され、該収納部分に前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉が圧縮成型されて埋め込まれていることを特徴とする現像ローラ。
- 請求項1に記載の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は表面に紫外線硬化型接着剤が被覆されて前記現像ローラの構成部材と接着されていることを特徴とする現像ローラ。
- 高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材を有し、該構成部材の少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分が配設され、該収納部分には溝状の収納部が形成された非磁性材料からなるホルダが埋め込まれ、該ホルダの収納部に前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉が圧縮成型されて埋め込まれていることを特徴とする現像ローラ。
- 請求項3に記載の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は表面に紫外線硬化型接着剤が被覆されて前記ホルダと接着されていることを特徴とする現像ローラ。
- 請求項1ないし4の何れか一項に記載の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は表面に酸素透過率が1cc/(m2・24hr・atm)以下のガスバリヤー膜が被覆されていることを特徴とする現像ローラ。
- 請求項1ないし5の何れか一項に記載の現像ローラにおいて、前記高磁力の磁性粉は希土類元素からなる磁石であることを特徴とする現像ローラ。
- 請求項1ないし6の何れか一項に記載の現像ローラにおいて、現像極の磁気特性が残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mであることを特徴とする現像ローラ。
- 高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材における少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分を形成し、該収納部分に直接または溝状の収納部が形成された非磁性材料からなるホルダを介して前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉を100〜1000kg/cm2の圧力で圧縮成型して埋め込むことを特徴とする現像ローラの製造方法。
- 請求項8に記載の現像ローラの製造方法において、前記高磁力の磁性粉として平均粒径を50μm以下に微粉砕されているものを用いることを特徴とする現像ローラの製造方法。
- 請求項9に記載の現像ローラの製造方法において、前記高磁力の磁性粉が音波ふるい器で分級したことを特徴とする現像ローラの製造方法。
- 高分子化合物に磁性粉を分散したプラスチックマグネットからなる円筒形状の現像ローラの構成部材における少なくとも1極の現像極に相当する部分に溝形状の収納部分を形成し、平均粒径を50μm以下に微粉砕し、かつ、音波ふるい器で分級した前記プラスチックマグネットよりも高磁力で非磁性の材料を添加していない磁石粉を、該収納部分に直接または溝状の収納部が形成された非磁性材料からなるホルダの収納部に、100〜1000kg/cm2の圧力で圧縮成型し、その表面に紫外線硬化型接着剤を被覆して接着し、その硬化後、磁気特性が残留磁束密度Br>0.5T、保磁力iHc<1200kA/mになるように着磁することを特徴とする現像ローラの製造方法。
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