以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1,2に示されているように、本発明の磁界発生部材(マグネットローラ)140は、円柱状に形成された本体部140aと、前記本体部140aの両端に設けられた支持部140bと、前記本体部140aの外周面に該本体部140aの中心軸151に沿って設けられた断面矩形状に形成された溝144と、前記本体部140aの溝144に固定される断面コの字形状に形成された溝形部材142と、前記溝形部材142の溝144に固定される長尺磁石成形体141と、を有している。そして、図3〜6に示されているように、前記磁界発生部材140においては、(イ)前記本体部140aの溝底面144a及び溝側面144b、144bが、曲面形状に形成され、(ロ)前記本体部140aの溝底面144aから外周面までの高さについては、前記本体部140aの両端部における高さよりも前記本体部140aの中央部における高さの方が低くされ、(ハ)前記本体部140aの溝144における向かい合う側面間の幅については、前記本体部140aの両端部における幅よりも前記本体部140aの中央部における幅の方が狭くされ、かつ、(ニ)前記本体部140aの溝144と対向する該本体部140aの表面には、微小な凹凸154が設けられている。
このように、円柱状に形成された本体部140aと、前記本体部140aの両端に設けられた支持部140bと、前記本体部140aの外周面に該本体部140aの中心軸151に沿って設けられた断面矩形状に形成された溝144と、前記本体部140aの溝144に固定される断面コの字形状に形成された溝形部材142と、前記溝形部材142の溝144に固定される長尺磁石成形体141と、を有する磁界発生部材140において、(イ)前記本体部140aの溝底面144a及び溝側面144b、144bが、曲面形状に形成され、(ロ)前記本体部140aの溝底面144aから外周面までの高さについては、前記本体部140aの両端部における高さよりも前記本体部140aの中央部における高さの方が低くされ、(ハ)前記本体部140aの溝144における向かい合う側面間の幅については、前記本体部140aの両端部における幅よりも前記本体部140aの中央部における幅の方が狭くされ、かつ、(ニ)前記本体部140aの溝144と対向する該本体部140aの表面には、微小な凹凸154が設けられていると、前記本体部140aの両端部よりも中央部の方の断面積が大きなって該本体部140aの中央部の冷却速度が遅くなる共に、前記本体部140aの溝144と対向する該本体部140aの表面に設けられた微小な凹凸154によって、前記本体部140aの溝144と対向する該本体部140aの表面積が大きなって、該本体部140aの表面の冷却速度が早くなり、それらのために、成形効率を高めるためにハイサイクル成形しても、ソリ(真直度)を小さくすることができると共に、剛性を高めて小型化した初期精度の高い磁界発生部材140を提供することができる。
図6に示されているように、本発明においては、好ましくは、前記本体部140aの溝144における両端部に堰部140cが設けられる。このように、前記本体部140aの溝144における両端部に堰部140cが設けられると、前記本体部140aの溝144の両端部の冷却速度を遅くすることができ、かつ、支持部140bの倒れを抑制することができるので、さらに、ソリ(真直度)を小さくした初期精度の高い磁界発生部材140を提供することができる。
前記微小な凹凸154における凸部と凹部との高低差は、好ましくは、1〜300μmにされている。このように、前記微小な凹凸154における凸部と凹部との高低差が、1〜300μmにされていると、凹凸が形成されている領域の磁束密度のばらつきを10mT以内に制御することができ、そのために、磁気特性に副作用を及ぼすことがない。
図22,23に示されているように、本発明の磁性粒子担持体(現像ローラ)115は、請求項1〜3のいずれか1項に記載された磁界発生部材(マグネットローラ)140と、前記磁界発生部材140を内包して該磁界発生部材140の磁力により外表面に磁性粒子を吸着すると共に、静電潜像担持体(感光体ドラム)108に磁性粒子中のトナーを受け渡す現像領域が外表面に形成された現像スリーブ132と、を有している。このように、請求項1〜3のいずれか1項に記載された磁界発生部材(マグネットローラ)140と、前記磁界発生部材140を内包して該磁界発生部材140の磁力により外表面に磁性粒子を吸着すると共に、静電潜像担持体(感光体ドラム)108に磁性粒子中のトナーを受け渡す現像領域が外表面に形成された現像スリーブ132と、を有していると、経時に安定した現像能力を有する磁性粒子担持体115を提供することができる。
次ぎに、本発明の磁性粒子担持体(現像ローラ)115について詳しく説明する。
前記磁性粒子担持体(現像ローラ)115は、磁界発生部材(マグネットローラ)140と、現像スリーブ132とを備えている。従来あった芯金は図示していないが、あっても何ら問題ない。円柱状磁界発生部材140は、現像スリーブ132内に収容されている(内包されている)。円柱状磁界発生部材140は、図2,3に示すように、本体部140a軸方向に溝144を持つ円柱状磁界発生部材140と、その溝144に配置される断面コの字状の溝形部材142と、その溝形部材142の溝144内部に配置される長尺磁石成形体141を備えている。円柱状磁界発生部材140は円柱の一部をカットしてあっても何ら問題ない。
前記円柱状磁界発生部材140の溝144は、円柱状磁界発生部材140の外周面から凹に形成されていると共に、断面矩形状に形成されている。前記溝144は、円柱状磁界発生部材140の長手方向に沿って直線状に延在しているとともに、該円柱状磁界発生部材140の全長に亘って設けられている。前記溝144の底面144aや側面144b、144bは、好ましくは、急激な段差や変曲点、鋭角的な切れ込みなどのない緩やかな曲線形状に形成されている。急激な段差や変曲点、鋭角的な切れ込みなどは、成形時の材料の流れを阻害し、成形不良の要因になるだけでなく、溝形部材の固定配置においても不具合を生じやすいからである。図3,4に示されているように、溝144の断面は、好ましくは、両端面よりも中央の方が浅く、細くなっている。その方がソリ(真直度)の低減には効果がある。例えば、溝144の深さは両端面より中央の方が0.3mm浅く、そして、溝144の幅は両端面より中央の方が0.3mm細くなっているが、これに限定されるものではない。溝144の深さが0.3mmより低くなる、即ち、両端部における高さと中央における高さの差が小さくなると、ソリ(真直度)の低減効果は少なくなるが、許容されるソリ(真直度)の大きさやマグネットローラの材質、成形条件などで調整することも可能である。逆に、溝144の深さが0.3mmより大きくなる、即ち、両端部における高さと中央における高さの差が大きくなると、ソリ(真直度)の低減効果は大きくできるが、本体部140aの溝144には、長尺磁石成形体(希土類マグネットブロック)が固定配置されるので、この長尺磁石成形体の磁気特性を損なわない範囲で溝144の深さを深くことができる。
図6に示されているように、前記本体部140aの溝144における両端部に堰部140c、即ち、溝144の形成されていない部分が設けられていてもよい。その方が円柱状磁界発生部材140のソリ(真直度)の低減には効果がある。前記堰部140cは、例えば、両端面から3mmの範囲に形成されたものであるが、これに限定されるものではない。前記堰部140cの長さが3mmより短いと、前記円柱状磁界発生部材140のソリ(真直度)の低減効果は少なくなるが、画像領域外の範囲を狭くできるので、マグネットローラ全長を短くすることができ、現像装置の小型化に繋がる。前記堰部140cの長さが3mmを越えると、前記円柱状磁界発生部材140のソリ(真直度)の低減効果は大きくできるが、画像領域外の範囲が長くなって、マグネットローラ全長が長くなり、そのために、材料費がアップ、また、現像装置が大型化してしまう。前記溝144は、感光体ドラム108と相対する位置(即ち、後述の現像領域131に対応する部分)に設けられている。
図5に示されているように、前記円柱状磁界発生部材140の溝144に対向する位置の本体部140aの表面には微小な凹凸154が形成されている。前記微小な凹凸154とは、例えば、いわゆるディンプル形状のもの(小さな丸いくぼみ)や、その逆のもの(小さな丸い突起)が好ましいが、形状の規定(径、くぼみ深さ、突起高さなど)は緩く、磁気特性に悪影響が出ない程度であって、反溝側の表面積を稼ぐことで冷却速度を速くできればよい。具体的には、凸部と凹部の高低差が1〜300μmであれば、凹凸が形成されている領域の磁束密度のばらつき(最大値と最小値の差)は10mT以下であり、問題は生じない。この形状は、微小な凹凸を付けた放電電極で入子を加工することで具現化したが、これに限定されるものではない。
図7に示されているように、溝144の断面が拡大すると、表面近傍がストレート145で、内側がテーパ146になっている。前記ストレート145の長さは、溝形状によって適正値が異なるが、例えば、0.17mmである。前記ストレート145の長さが、短すぎる抜け防止効果が十分に得られず、長すぎると成形時に後述の置き駒148が抜けなくなる。また、溝形部材の側面長さが短くなると、補強効果が十分に得られなくなる。図7は拡大して分かりやすく示しているために、溝形部材142と高磁力長尺磁界発生部材140と間には隙間があるように見えるが、実際には極微小な空隙があるのみである。
図10に示されているように、前記円柱状磁界発生部材140は、磁性材料で構成され、射出磁場成形にて製造されている。前記溝144の形状は、金型の該当位置に置き駒148を配置して形成している。前記置き駒148は、円柱状磁界発生部材140から取り外しやすく(抜きやすく)するために、いわゆる、抜き勾配(テーパ角度)を3〜10度程度付けている。この抜き勾配が溝形状のテーパ146形状を作り出している。置き駒148の形状によって所望の溝形状を得ることができる。射出成形が完了すると、図11に示す金型構造においては、固定側(キャビ側)の入子150Aと150Bとは移動しないが、可動側(コア側)の入子150Cと150Dと置き駒148とEJピン149と円柱状磁界発生部材140とは、図11における右方向に移動する(型開き)。次いで、EJピン149が図11における左方向に移動して、円柱状磁界発生部材140と置き駒148とを押出す(エジェクト)。次いで、置き駒148を円柱状磁界発生部材140から取り外すことで、円柱状磁界発生部材140を得ることができる。前記入子は、図11や図12に示すような、直線入子と曲線置き駒の組合わせや、図13や図14に示すような曲線入子と曲線置き駒の組合わせとした。図15に示されているものは、従来構造のものであって、直線入子と直線置き駒との組合わせたものである。
前記円柱状磁界発生部材140は、図16、17に示す成形品冷却装置161にて冷却される。前記成形品冷却装置161は、成形品の溝形状に対応する溝側冷却プレート158と、成形品の円弧形状に対応する反溝側冷却プレート159と、両プレートを加熱するカートリッジヒータ160と、両プレートを冷却する水冷式ペルチェモジュール157とで構成されている。水冷式ペルチェモジュールには、図示しない水管が接続され、チラーから一定温度の冷却水が供給されている。溝側冷却プレート158は、カートリッジヒータ160によって所定温度に加熱されている。反溝側冷却プレート159は、カートリッジヒータ160と水冷式ペルチェモジュール157とを併用して所定温度に保温されている。
成形された円柱状磁界発生部材140は、溝側を下向きにして溝側冷却プレート158に配置される。同時に反溝側冷却プレートが下降し、加圧矯正される。その後、溝側冷却プレート158のカートリッジヒータ160がオフされるとともに、水冷式ペルチェモジュール157がオンされる。溝側冷却プレート158が所定の温度に到達して、冷却が完了する。溝形状を持たない対称形状の丸型成形品の場合は、冷却工程における内部温度分布は、理想的には図18に示すように、最外周のD層が最も低温で、次いでC層、B層、最内層のA層が最も高温になる。理想的な同心円の場合、成形品はどちらの方向にも反ることはない。
溝形状を持つ非対称形状の溝型成形品の場合には、図19に示すように、溝側の方がより早く低温になり、最も高温になるA層が中心から反溝側にシフトする。最終的には最も高温な部分に引き付けられるので、結果として溝側が延伸する。これを回避するには、前述の通り、溝側を高温にして、反溝側を低温にして、A層をより溝側にシフトさせる必要がある(図20を参照。)。
円柱状磁界発生部材140の磁場配向(磁気異方性)の向き143は、図8に示す通り、一方向の場合には溝の底面と略平行方向である。等分4極の場合にも、ある一方向が溝の底面と略平行方向であることが好ましいがそれに限定されるものではない。円柱状磁界発生部材140は、原料としてはSr又はBaを含む磁性粉に高分子化合物を混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。また、円柱状磁界発生部材140は、高分子化合物としてはPA6(6ナイロン)もしくはPA12(12ナイロン)等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン−ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料が使用できる。また、前記プラスチックマグネットに芳香族骨格を有する繊維状ポリマーを混合分散してもよい。その含有率が低いとソリ改善効果が認められないが、逆に、その含有率が高すぎると射出成形できなくなる。前記繊維状ポリマー含有率は、好ましくは、0.01wt〜7.5wt%であが、この配合率に限定されるものではない。
芳香族骨格を有する繊維状ポリマーとしては、全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)、全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)、PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維が挙げられる。これらの繊維状ポリマーはスーパー繊維と呼ばれており、高強力、高弾性率、高耐熱性とあらゆる面で優れた特性を示す。
全芳香族ポリアミド繊維(アラミド繊維)は、通常のナイロンと違ってベンゼン環を含み、これをアミド結合で結んだ固い構造の高分子を原料としている。普通のナイロンを脂肪族ナイロン、アラミドを芳香族ナイロンと呼ぶこともある。アラミド繊維には分子骨格が全体に直線状のパラ型タイプと、ジグザグ上のメタ型タイプに大別される。パラ型タイプは非常に強く、引張り強さはナイロンの約2.5倍ある。ポリエステル並みの繊維性能(強伸度、弾性率、比重など)を持ち、空気中で溶融せず、400℃で始めて分解、炭化を開始する。パラ型タイプは、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)(ケブラー、東レ社製)、ポリパラフェニレンテレフタラミド(PPTA)(トワロン、帝人社製)、コポリパラフェニレン・3.4‘オキシジフェニレン・テレフタラミド)等が知られている。メタ型タイプとしては、ポリメタフェニレンイソフタラミド(MPIA)(コーネックス、帝人社製)が知られている。全芳香族ポリエステル繊維(ポリアリレート繊維)は、ベンゼン環などで構成され、その結合部分がエステル結合からなる高分子を溶融紡糸法により繊維にしたものである。原料の高分子は液晶高分子であり、繊維形状にしたものは熱処理して強度を向上させている。この繊維は、強度が普通のポリエステルの約4倍あり、伸びなどの変形が非常に小さく、更に吸湿性が低い、摩耗に強い、切断しにくい、衝撃吸収性に優れるなどの特徴がある。ポリアリレート繊維は、「クラレのベクトラン」が世界で唯一生産されている。PBO(ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール)繊維(ザイロン、東洋紡社製)は、引っ張り強さはナイロンの約5倍、弾性率も炭素繊維に匹敵する高い性能を持つ。
前記磁界発生部材(マグネットローラ)140には、図9に示すように、固定磁石(長尺磁石成形体)141が形成されている。このマグネットローラ140に設けられた固定磁石141は、該マグネットローラ140の一部がN極又はS極に直されて形成されている。前記固定磁石141は、前記マグネットローラ140の長手方向に沿って延在しているとともに、該マグネットローラ140の全長に亘って設けられている。それらの固定磁石141の一つは、前述した攪拌スクリュー118と相対している。前記一つの固定磁石141は、汲み上げ磁極をなしており、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、収容槽117の第2空間121内の現像剤を現像スリーブ132の外表面に吸着する。前記汲み上げ磁極と前記溝144との間には、少なくとも一つの固定磁石141が設けられている。この少なくとも一つの固定磁石141は、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像前の現像剤を感光体ドラム108に向けて搬送する。前記固定磁石141は、現像スリーブ132の外表面に現像剤を吸着すると、現像剤の磁性キャリア135が該固定磁石で生じる磁力線に沿って複数重ねさせて、該現像スリーブ132の外表面上に立設(穂立ち)させる。このように、磁性キャリア135が磁力線に沿って複数重なって現像スリーブ132の外表面上に立設する状態を、磁性キャリア135が現像スリーブ132の外表面上に穂立ちするという。すると、この穂立ちした磁性キャリア135に前述したトナーが吸着する。則ち、現像スリーブ132は、マグネットローラ140の磁力により外表面に現像剤を吸着する。
前記コの字型の溝形部材142は、一般的なプラスチック材料の成形品や金属材料の曲げ加工品で構成される。いずれも非磁性材質の方が、内包する長尺磁石成形体(例えば、希土類マグネットブロック)141の磁極において、接線方向の磁気力が強くなるので、キャリア付着に有利となるが、磁性材質でも何ら問題はない。
前記コの字型の溝形部材142の補強強度アップには、当然ながら、金属材料の方が有利である。前記非磁性金属材料のうちでも、SUS301やSUS304のバネ材が特性とコストの面からさらに有利である。さらに、SUS301バネ材の中でも、1/2H(310HV以上)や3/4H(370HV以上)やH(430HV以上)やEH(490HV以上)が好ましいが、硬度が高くなるに連れて曲げ加工時にエッジ部にクラックが入りやすくなるので、注意が必要になる。SUS304バネ材では、1/2H(250HV以上)や3/4H(310HV以上)、H(370HV以上)のいずれも問題なく使用できる。磁性金属材料ではSUS420J2(247HV以下)が使用される。
前記コの字型の溝形部材142の肉厚は、円柱状磁界発生部材140の形状によって、適正値が異なる。薄すぎると補強効果が得られない。補強強度アップには厚肉が有利だが、厚すぎると所望の固定磁極波形が得られにくくなる。本願発明では肉厚0.3mmのSUS301−3/4Hを用いている。両端部に配置している溝形部材の外寸は幅2.8mm、高さ2.2mmであるが、中央部に配置している溝形部材の外寸は幅2.5mm、高さ1.9mmである。溝144の断面形状に合わせて断面形状を変更している。
前記長尺磁石成形体(例えば、希土類マグネットブロック)141は、長尺の棒状に形成されている。前記希土類マグネットブロック141は、着磁された後、コの字型の溝形部材142に圧入あるいは接着されても、コの字型の溝形部材142に圧入あるいは接着された後、着磁されても、どちらでもよい。希土類マグネットブロック141が配置された溝形部材142は、次いで円柱状磁界発生部材140の溝144内に圧入あるいは接着されている。希土類マグネットブロック141は、円柱状磁界発生部材140即ちマグネットローラ133の長手方向に沿って直線状に延びており、円柱状磁界発生部材140即ちマグネットローラ133の全長に亘って設けられている。
前記磁界発生部材(マグネットローラ)140の両端部に配置されている希土類マグネットブロック141の外寸は、幅2.0mm、高さ2.3mmであるが、その中央部に配置されている希土類マグネットブロック141の外寸は、幅1.7mm、高さ2.0mmである。前記溝144の断面形状に合わせて、希土類マグネットブロック141の断面形状も変更される。
長尺磁石成形体(例えば、希土類マグネットブロック)141は、前述したコの字型の溝形部材142に圧入あるいは接着され、次いで、円柱状磁界発生部材(マグネットローラ)140の溝144内に圧入あるいは接着され、組み付けられている。前記希土類マグネットブロック141は、前述した感光体ドラム108と相対している。この希土類マグネットブロック141は、現像磁極をなしており、現像スリーブ132、即ち、現像ローラ115の外表面上に磁気力を生じて、現像スリーブ132と感光体ドラム108との間に磁界を形成する。この希土類マグネットブロック141は、該磁界によって磁気ブラシを形成することで、現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤のトナーを感光体ドラム108に受け渡すようになっている。このように、希土類マグネットブロック141は、現像スリーブ132の外表面に付着した現像剤のトナーを感光体ドラム108に受け渡す現像領域131を前述した現像スリーブ132の外表面に形成する。
前記希土類マグネットブロック141は、磁石コンパウンドを磁場中でプレス金型内に充填し、圧縮成形して得られる。圧縮成形は、結合樹脂が少量で成形可能であるため、磁性粉の配合比率を高めることができる。また、前記圧縮成形は、圧縮によって前記希土類マグネットブロック141の成形密度を高めることができるので、高磁力化には優れた工法といえる。しかし、前記希土類マグネットブロック141においては、結合樹脂の量が少ないので、その強度が不足しがちになる。圧縮成形される磁石コンパウンドは、角のとれた平均粒径80〜150μmであって、嵩密度が、3.3g/cm3〜4.0g/cm3の磁性粉と熱可塑性樹脂微粒子から構成されている。圧縮成形された磁石コンパウンドは、その後加熱されて、熱可塑性樹脂微粒子が溶融することで磁性粉との結合力が増大する。前記磁石コンパウンドにおける磁性粉の配合比率は、好ましくは、90〜99wt%であり、さらに好ましくは、92〜97wt%である。磁性粉の含有量が少なすぎると、磁気特性の向上が図れず、また、磁性粉の含有量が多すぎると、結合樹脂の含有量が少なくなり、希土類マグネットブロック141の成形性が低下(割れなどの発生)する。
前記希土類マグネットブロック141は、磁石コンパウンドを磁場中で射出成形して得られる。射出成形は、圧縮成形よりも結合樹脂の量が多く必要となり、磁性粉の配合比率を高めにくい。また、前記射出成形は、結合樹脂を高温で溶融させるので、希土類元素を含んだ磁性粉は熱減磁し、そのために、高磁力の点からは、圧縮成形よりも劣る。しかし、前記射出成形においては、結合樹脂の量が多く、また、成形物が溶融固化させているので、結合力は強く、強度アップには優れた工法である。射出成形される磁石コンパウンドは、角のとれた平均粒径80〜150μmであって、嵩密度が、3.3g/cm3〜4.0g/cm3の磁性粉と熱可塑性樹脂から構成されている。前記射出成形では溶融した熱可塑性樹脂内に、希土類元素を含んだ磁性粉が分散した状態で成形され、冷却固化される。圧縮成形よりも高強度な希土類マグネットブロックを得ることができる。磁石コンパウンドにおける磁性粉の配合比率は、好ましくは、80〜95wt%であり、さらに好ましくは、87〜93wt%である。磁性粉の含有量が少なすぎると、磁気特性の向上が図れず、また、磁性粉の含有量が多すぎると流動性が低下して射出成形されにくくなる。
磁性粉は、高磁力化(13MGOe以上)が可能な希土類磁性体よりなる磁性粒子で構成されている。希土類磁性体は、好ましくは、希土類元素と遷移金属とを含む合金よりなる次の1)〜3)のものであるが、特に、1)のものが好ましい。
1)R(ただし、RはYを含む希土類元素のうち少なくとも1種である)と、Feを主とする遷移金属と、Bとを基本成分とするもの(R−Fe−B系合金といわれているもの)。代表的なものとしては、Nd−Fe−B系合金、Pr−Fe−B系合金、Nd−Pr−Fe−B系合金、Ce−Nd−Fe−B系合金、Ce−Pr−Nd−Fe−B系合金、及び、これらにおけるFeの一部をCo、Niなどのほかの遷移金属で置換したものがあげられる。
2)Smを主とする希土類元素と、Coを主とする遷移金属と、を基本成分とするもの(Sm−Co系合金といわれているもの)。代表的なものとしては、SmCo5 、及び、Sm2TM17(TMは遷移金属)があげられる。
3)Smを主とする希土類元素と、Feを主とする遷移金属と、Nを主とする格子間元素と、を基本成分とするもの(Sm−Fe−N系合金といわれているもの)。代表的なものとしては、Sm2TM17合金を窒化して作製したSm2Fe17N3があげられる。
前記希土類元素としては、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、ミッシュメタルなどがあげられ、そして、これらを1種または2種以上含むことができる。また、遷移金属としては、Fe、Co、Niなどがあげられ、そして、これらを1種または2種以上含むことができる。また、磁気特性を向上させるために、磁性粉には、必要に応じ、B、Al、Mo、Cu、Ga、Si、Ti、Ta、Zr、Hf、Ag、Zn等を含有させることもできる。磁性粉を構成する磁性粒子の体積平均粒径は、好ましくは、80〜150μmであり、さらに好ましくは、90〜140μmである。前記平均粒径の測定は、シスメックス株式会社製のMastersizer2000のDRYユニットで測定される。
熱可塑性樹脂微粒子の平均粒径は、好ましくは、前記磁性粉の磁性粒子の平均粒径の1/10以下である。このように、平均粒径が、前記磁性粉の磁性粒子の1/10以下であると、磁石成形体の成形密度を高くすることが可能になり、そのために、磁気特性を向上させることができる。熱可塑性樹脂微粒子は、好ましくは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。このように、熱可塑性樹脂微粒子が乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子であると、圧縮成形物の高密度化が可能になり、そのために、磁気特性をさらに向上させることができる。また、このように、球状の微粒子とすると、磁性粉への被覆面積が向上するので、磁石成形体表面への磁性粉の露出面積が低減でき、そのために、防錆効果が生じる。
前記熱可塑性樹脂微粒子を構成する熱可塑性樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリクロロエチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン系化合物及びその置換体よりなる単重合体、並びに、スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタレン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル重合体、スチレン−ビニルメチルケトン重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン-イソプレン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体があげられる。また、前記「熱可塑性樹脂」は、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリビニルブチルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、エポキシポリオール系樹脂等の樹脂であってもかまわない。これらの樹脂は、1種又は2種以上混合して使用することができる。
前記熱可塑性樹脂微粒子は、前述したように、結合樹脂(バインダー)として用いられるものであるが、例えば、ポリエステル、ポリオ−ル等の熱可塑性樹脂に帯電制御剤(CCA)、顔料、低軟化点物質(ワックス)を分散混合し、その周囲にシリカ、酸化チタン等の物質を外添して、流動性を高めたものである。顔料の添加量は、1〜20wt%、好ましくは、5〜10wt%である。帯電制御剤は、磁石粒子と熱可塑性樹脂微粒子の分散性を向上するために添加される。帯電制御剤の添加量は、1〜20wt%、好ましくは、0.5〜10wt%である。離型剤は、成形後の型離れ性を良くするために添加される。離型剤の添加量は、1〜20wt%、好ましくは、2〜10wt%である。この熱可塑性樹脂微粒子153は、マイナスに帯電しやすく、かつ流動性に優れるので、磁性粉との静電気的付着力に優れ、磁石粒子間の隙間を埋めることが十分可能になる。
前記熱可塑性樹脂微粒子には、外添剤としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、酸化セルウム、酸化マグネシウム、酸化クロム、酸化スズ、酸化亜鉛等の金属酸化物、窒化ケイ素等の窒化物、炭化ケイ素等の炭化物、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウム等の金属塩、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等の脂肪酸金属塩、カーボンブラック、及び、シリカを挙げることができる。外添剤の粒径は、通常0.1〜1.5μmの範囲であり、添加量としては、外添前100重量部に対し、好ましくは、0.01〜10重量部、さらに好ましくは、0.05〜5重量部である。これらの外添剤は、単独で用いてもよいが、複数を併用しても構わない。また、これらの外添剤は、好ましくは、疎水化処理されたものである。
前記顔料は、例えば、カ−ボンブラック、ランプブラック、マグネタイト、チタンブラック、クロムイエロー、群青、アニリンブルー、フタロシアニンブル−、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、マラカイトグリーンレーキ、キノリンイエロー、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・レッド184、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー180、C.I.ソルベント・イエロー162、C.I.ピグメント・ブルー5:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3、カ−ミン等を挙げることができる。
また、前記熱可塑性樹脂微粒子には、その内部に低軟化物質を内添することも可能である。かかる低軟化物質としては、パラフィンワックス、ポリオレフィンワックス、フィッシャートロピッシュワックス、アミドワックス、高級脂肪酸、エステルワックス及びこれらの誘導体又はこれらのグラフト/ブロック化合物等をあげることができる。この様な低軟化物質を添加する場合は、5〜30質量%程度添加することが好ましい。前記希土類マグネットブロック141は、最高磁束密度が100〜130mTの最高磁束密度が80〜120mTの従来のプラスチックマグネットよりも高磁力化(13〜16MGOe)となっている。
前記現像スリーブ132は、前記マグネットローラ133を内包し(収容し)て、軸芯回りに回転自在に設けられている。前記現像スリーブ132は、その内周面が固定磁極に順に相対するように回転される。前記現像スリーブ132は、外表面に粗面化処理(SWB)が施されている。平面形状が楕円形状の凹みが多数設けられている。凹みは、現像スリーブ132の外表面にランダムに多数(複数)配置されている。勿論、凹みは、長手方向が現像スリーブ132の軸方向に沿う凹みと、長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う凹みとを含んでいる。長手方向が現像スリーブ132の軸方向に沿う凹みが、長手方向が現像スリーブ132の周方向に沿う凹みより多い。さらに、凹みの長手方向の長さ(長径)は、0.05mm以上でかつ0.3mm以下となっており、幅方向の幅(端径)は、0.02mm以上でかつ0.1mm以下となっている。前記現像スリーブ132は、例えば、アルミニウム、SUS(ステンレス)等で構成されている。加工性、軽さの面でアルミニウムが用いられることが多い。アルミニウムを用いる場合には、A6063、A5056、A3003等、SUSの場合、303、304、316等が用いられる。
図22に示されているように、本発明の現像装置113は、磁性粒子担持体(現像ローラ)115、現像剤供給部材114、及び、現像剤規制部材(現像剤規制ブレード)116を少なくとも有している。そして、前記現像装置113においては、前記磁性粒子担持体115は、請求項4に記載の磁性粒子担持体で構成されている。このように、磁性粒子担持体115、現像剤供給部材114、及び、現像剤規制部材116を少なくとも有する現像装置113において、前記磁性粒子担持体115が請求項4に記載の磁性粒子担持体で構成されていると、経時に安定した現像能力を有する小型の現像装置113を提供することができる。
図21,22に示されているように、本発明のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kは、現像装置113、静電潜像担持体(感光体ドラム)108、及び、帯電部材(帯電ローラ)109を少なくとも有している。そして、前記プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kにおいて、前記現像装置113が、請求項5に記載の現像装置で構成されている。このように、現像装置113、静電潜像担持体108、及び、帯電部材109を少なくとも有するプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kにおいて、前記現像装置113が、請求項5に記載の現像装置113で構成されていると、経時に安定した現像能力を有する小型の現像装置113を提供することができる。
図21,22に示されているように、本発明の画像形成装置101は、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106K、光書き込み手段(レーザ書き込みユニット)122Y、112M、122C、122K、転写部材(転写ユニット)104、及び、定着装置(定着ユニット)105を少なくとも有している。そして、前記画像形成装置101において、前記プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kが、請求項6に記載のプロセスカートリッジで構成されている。このように、プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106K、光書き込み手段122Y、112M、122C、122K、転写部材104、及び、定着装置105を少なくとも有する画像形成装置101において、前記プロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kが、請求項6に記載のプロセスカートリッジで構成されていると、経時に安定した現像能力を有する小型の現像装置101を提供することができる。
次に、本発明の現像装置113について詳細に説明する。
本発明の現像装置113は、図22に示すように、現像剤供給部材114と、ケース125と、磁性粒子担持体としての現像ローラ115と、現像剤規制部材としての現像剤規制ブレード116と、を少なくとも備えている。前記現像剤供給部114は、収容槽117と、攪拌部材としての一対の攪拌スクリュー118と、を備えている。前記収容槽117は、感光体ドラム108と長さが略等しい箱状に形成されている。また、前記収容槽117内には、該収容槽117の長手方向に沿って延びた仕切壁119が設けられている。仕切壁119は、前記収容槽117内を第1空間120と、第2空間121とに区画している。また、前記第1空間120と前記第2空間121とは、両端部が互いに連通している。前記収容槽117は、前記第1空間120と前記第2空間121との双方に現像剤を収容する。現像剤は、トナーと、磁性キャリア135とを含んでいる。前記トナーは、前記第1空間120と、前記第2空間121とのうち前記現像ローラ115から離れた側の該第1空間120の一端部に、適宜供給される。前記トナーは、乳化重合法又は懸濁重合法により製造された球状の微粒子である。なお、前記トナーは、種々の染料又は顔料を混入・分散した合成樹脂で構成される塊を粉砕して得られても良い。前記トナーの平均粒径は、3μm以上でかつ7μm以下である。また、トナーは、粉砕加工などにより形成されても良い。
前記磁性キャリア135は、前記第1空間120と前記第2空間121との双方に収容されている。前記磁性キャリア135の平均粒径は、好ましくは、20〜50μmである。前記磁性キャリア135は、図24に示すように、芯材136と、該芯材136の外表面を被覆した樹脂コート膜137と、樹脂コート膜137に分散されたアルミナ粒子138と、を備えている。前記芯材136は、磁性材料としてのフェライトで構成されているとともに、球形に形成されている。前記樹脂コート膜137は、前記芯材136の外表面全体を被覆している。前記樹脂コート膜137は、アクリルなどの熱可塑性樹脂とメラミン樹脂とを架橋させた樹脂成分と、帯電調整剤とを含有している。この樹脂コート膜137は、弾力性と強い接着力を有している。前記アルミナ粒子138は、外径が前記樹脂コート膜137の厚みより大きな球形に形成されている。アルミナ粒子138は、樹脂コート膜137の強い接着力で保持されている。前記アルミナ粒子138は、前記樹脂コート膜137より前記磁性キャリア135の外周側に突出している。
攪拌スクリュー118は、第1空間120と第2空間121それぞれに収容されている。前記攪拌スクリュー118の長手方向は、前記収容槽117、前記現像ローラ115及び前記感光体ドラム108の長手方向と平行である。前記攪拌スクリュー118は、軸芯周りに回転自在に設けられており、軸芯周りに回転することで、トナーと磁性キャリア135とを攪拌するとともに、該軸芯に沿って現像剤を搬送する。図22においては、第1空間120内の攪拌スクリュー118は、現像剤を前述した一端部から他端部に向けて搬送する。前記第2空間121内の攪拌スクリュー118は、現像剤を他端部から一端部に向けて搬送する。前記した構成によれば、前記現像剤供給部材114は、前記第1空間120の一端部に供給されたトナーを、磁性キャリア135と攪拌しながら、他端部に搬送し、この他端部から第2空間121の他端部に搬送する。そして、現像剤供給部114は、前記第2空間121内でトナーと前記磁性キャリア135とを攪拌し、軸芯方向に搬送しながら、前記現像ローラ115の外表面に供給する。
ケース125は、箱状に形成され、前記現像剤供給部材114の収容槽117に取り付けられて、該収容槽117とともに、現像ローラ115などを覆う。また、前記ケース125の感光体ドラム108と相対する部分には、開口部126が設けられている。現像ローラ115は、円柱状に形成され、前記第2空間121と、前記感光体ドラム108との間でかつ前記開口部126の近傍に設けられている。前記現像ローラ115は、前記感光体ドラム108と収容槽117との双方と平行に設けられているである。前記現像ローラ115は、前記感光体ドラム108と間隔をあけて配されている。
現像剤規制部材(現像剤規制ブレード)116は、前記現像装置113における感光体ドラム108寄りの端部に設けられている。前記現像剤規制ブレード116は、現像スリーブ132の外表面と間隔をあけた状態で、前記ケース125に取り付けられている。前記現像剤規制ブレード116は、所望の厚さを越える現像スリーブ132の外表面上の現像剤を収容槽117内にそぎ落として、現像領域131に搬送される現像スリーブ132の外表面上の現像剤を所望の厚さにする。
前記現像装置113は、前記現像剤供給部材114でトナーと磁性キャリア135とを十分に攪拌し、この攪拌した現像剤を固定磁極により現像スリーブ132の外表面に吸着する。そして、前記現像装置113は、前記現像スリーブ132が回転することによって、複数の固定磁極により吸着した現像剤を現像領域131に向かって搬送する。現像装置113は、現像剤規制ブレード116で所望の厚さになった現像剤を感光体ドラム108に吸着させる。こうして、現像装置113は、現像剤を現像ローラ115に担持し、現像領域131に搬送し、感光体ドラム108上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。そして、前記現像装置113は、現像済みの現像剤を、収容槽117に向かって離脱させる。そして、前記収容槽117内に収容された現像済みの現像剤は、再度、前記第2空間121内で他の現像剤と十分に攪拌されて、前記感光体ドラム108の静電潜像の現像に用いられる。
次に、本発明のプロセスカートリッジ106Y,106M,106C,106Kについて詳細に説明する。
本発明のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、それぞれ、転写ユニット(転写装置)104と、レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kとの間に設けられている。前記プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、装置本体102に着脱自在である。プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、記録紙107の搬送方向に沿って、互いに並設されている。プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kは、図22に示すように、前記カートリッジケース111と、帯電装置としての帯電ローラ109と、静電潜像担持体としての感光体ドラム108と、クリーニング装置としてのクリーニングブレード112と、現像装置113と、を備えている。このため、画像形成装置101は、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、を少なくとも備えている。
前記カートリッジケース111は、前記装置本体102に着脱自在に設けられている。そして、前記カートリッジケース111には、帯電ローラ109と、感光体ドラム108と、クリーニングブレード112と、現像装置113と、が収容されている。前記帯電ローラ109は、前記感光体ドラム108の外表面を一様に帯電させる。前記感光体ドラム108は、前記現像装置113における現像ローラ115と間隔をあけて配されている。前記感光体ドラム108は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。前記感光体ドラム108の外表面には、対応するレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kにより、静電潜像が形成される。前記感光体ドラム108の外表面上に形成されかつ担持された静電潜像に、トナーが吸着されることによって、トナー像が形成され、そして、こうして得られたトナー像は、搬送ベルト129との間に位置付けられた記録紙107に転写される。クリーニングブレード112は、前記記録紙107にトナー像を転写した後に、前記感光体ドラム108の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
次に、本発明の画像形成装置101について詳細に説明する。
図21に示されているように、本発明の画像形成装置101は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙107に形成する。本明細書においては、図21に示される、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどには、それらの符号の末尾に各々Y、M、C、Kが付されている。
図21に示されているように、本発明の画像形成装置101は、装置本体102と、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写装置(転写ユニット)104と、定着装置(定着ユニット)105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kとを少なくとも備えている。前記装置本体102は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。前記装置本体102は、給紙ユニット103と、レジストローラ対110と、転写ユニット104と、定着ユニット105と、複数のレーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kと、複数のプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kを収容している。
前記給紙ユニット103は、前記装置本体102の下部に複数設けられている。前記給紙ユニット103は、前述した記録紙107を重ねて収容するとともに該装置本体102に出し入れ自在な給紙カセット123と、給紙ローラ124とを備えている。前記給紙ローラ124は、給紙カセット123内の一番上の記録紙107に押し当てられている。前記給紙ローラ124は、一番上の記録紙107を、転写ユニット104の搬送ベルト129と、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの現像装置113の感光体ドラム108との間に送り出す。レジストローラ対110は、給紙ユニット103から転写ユニット104に搬送される記録紙107の搬送経路に設けられていいる。そして、前記レジストローラ対110は、一対のローラ110a、110bを備えている。前記レジストローラ対110は、一対のローラ110a、110b間に記録紙107を挟み込み、該挟み込んだ記録紙107を、トナー像を重ね合わせ得るタイミングで、転写ユニット104とプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kとの間に送り出す。
前記転写ユニット104は、前記給紙ユニット103の上方に設けられている。前記転写ユニット104は、駆動ローラ127と、従動ローラ128と、搬送ベルト129と、転写ローラ130Y、130M、130C、130Kとを備えている。前記駆動ローラ127は、記録紙107の搬送方向の下流側に配置されていて、駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。従動ローラ128は、装置本体102に回転自在に支持されていて、記録紙107の搬送方向の上流側に配置されている。搬送ベルト129は、無端環状に形成されていて、前記駆動ローラ127と従動ローラ128との双方に掛け渡されている。前記搬送ベルト129は、前記駆動ローラ127が回転駆動されることにより、前記駆動ローラ127と従動ローラ128との回りを図中半時計回りに循環(無端走行)する。
前記転写ローラ130Y、130M、130C、130Kは、それぞれ、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108との間に搬送ベルト129と該搬送ベルト129上の記録紙107とを挟む。転写ユニット104は、転写ローラ130Y、130M、130C、130Kが、給紙ユニット103から送り出された記録紙107を各プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108の外表面に押し付けて、感光体ドラム108上のトナー像を記録紙107に転写する。転写ユニット104は、トナー像を転写した記録紙107を定着ユニット105に向けて送り出す。
前記定着ユニット105は、前記転写ユニット104の記録紙107の搬送方向下流に設けられ、互いの間に記録紙107を挟む一対のローラ105a、105bを備えている。前記定着ユニット105は、一対のローラ105a、105b間に転写ユニット104から送り出されてきた記録紙107を押圧加熱することで、感光体ドラム108から記録紙107上に転写されたトナー像を、該記録紙107に定着させる。前記レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、それぞれ、装置本体102の上部に取り付けられている。前記レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、それぞれ一つのプロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kに対応している。前記レーザ書き込みユニット122Y、122M、122C、122Kは、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの帯電ローラ109により一様に帯電された感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。
前記画像形成装置101は、記録紙107に画像を形成する。まず、画像形成装置101は、感光体ドラム108を回転して、この感光体ドラム108の外表面を一様に帯電ローラ109により帯電する。前記感光体ドラム108の外表面にレーザ光を照射して、該感光体ドラム108の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域131に位置付けられると、現像装置113の現像スリーブ132の外表面に吸着された現像剤が感光体ドラム108の外表面に吸着されて、前記静電潜像が現像されることによって、トナー像が前記感光体ドラム108の外表面に形成される。
そして、前記画像形成装置101においては、給紙ユニット103の給紙ローラ124などで搬送されてきた記録紙107が、プロセスカートリッジ106Y、106M、106C、106Kの感光体ドラム108と転写ユニット104の搬送ベルト129との間にやってくると、感光体ドラム108の外表面上に形成されたトナー像が、記録紙107に転写される。前記画像形成装置101においては、前記定着ユニット105によって、トナー像が記録紙107に定着される。こうして、前記画像形成装置101が記録紙107に画像を形成する。
(実施例1)
異方性Srフェライト92.5wt%及びPA12(12ナイロン)7.5wt%を含むコンパウンド(戸田工業製)を、成形型において成形される磁界発生部材(マグネットローラ)の溝の底面と略平行な一方向に0.6Tの磁場を印加しながら、樹脂温度300℃で射出成形した後、0.1Tの磁場を射出時とは逆方向に印加して脱磁して、外径φ10mm、胴部および溝全長326mmで、両端部の溝形状が底面長さ2.8mm、テーパ角度5度、テーパ部長さ2.3mm、ストレート部長さ0.17mm、中央部の溝形状が底面長さ2.5mm、テーパ角度5度、テーパ部長さ2.0mm、ストレート部長さ0.17mmの溝を有する軸一体型の磁界発生部材(マグネットローラ)(図1〜5を参照。)を得た。
その際に用いた成形金型としては、金型の温度が80℃のものを用いると共に、反溝側に微小な凹凸、即ち、凸部と凹部との差を300μmとした微小な凹凸を付けた直線入子を有するものを用いた。また、80℃に加熱された溝側冷却プレートに前記成形品の溝側を配置し、20℃に調整された反溝側冷却プレートを加圧当接して、溝側冷却プレートを25℃まで冷却した。冷却には水冷式のペルチェモジュールを用いた。このときの冷却水温度は25℃とした。そして、8分後(25℃到達から2分後)、反溝側プレートを上昇させて、前記軸一体型のマグネットローラとした。また、前記溝形状は配向磁場の方向と直角に配置した「置き駒」の形状で具現化した。
(実施例2)
前記「置き駒」の形状を変更して、前記溝における両端から3mmまでの両端部分には、溝を形成した部分、即ち、堰部(図6における140cを参照。)を形成した以外は、実施例1と同様にしてマグネットローラを得た。
(実施例3)
反溝側に凸部と凹部の差を300μmとした微小な凹凸を設けた、予め溝側とは逆方向に1.2mm反らせた、曲線入子を用いて形成した以外は、実施例1と同様にしてマグネットローラを得た。この際、溝側冷却プレートの初期温度は、35℃に下げることができ、また、冷却時間も5分(25℃到達から2分後)に短縮することができた。
(実施例4)
反溝側に凸部と凹部の差を300μmとした微小な凹凸を設けた、予め溝側とは逆方向に1.2mm反らせた、曲線入子を用いて形成した以外は、実施例2と同様にしてマグネットローラを得た。この際、溝側冷却プレートの初期温度は、35℃に下げることができ、また、冷却時間も5分(25℃到達から2分後)に短縮することができた。
(比較例1)
反溝側に微小な凹凸のない直線入子を用い、そして、置き駒も溝底面や溝側面の形状が軸方向で同じ形状になるフラット形状のものを用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネットローラを得た。
(比較例2)
置き駒として、溝底面及び溝側面の形状が軸方向で同じ形状になるフラット形状のものを用いて成形した以外は、実施例1と同様にしてマグネットローラを得た。
(比較例3)
反溝側に微小な凹凸のない直線入子を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネットローラを得た。
(比較例4)
成形品を冷却する冷却装置を使わずに、室温放置で冷却した以外は、比較例1と同様にしてマグネットローラを得た。
(比較例5)
反溝側に凸部と凹部の差を500μmとした微小な凹凸を設けた直線入子を用いた以外は、実施例1と同様にしてマグネットローラを得た。
(1)前記実施例1〜4及び比較例1〜3、5で得たマグネットローラの溝に固定される溝形部材として、幅6.0mm、長さ100mm、厚さ0.3mmの非磁性金属のバネ材であるSUS301−3/4Hを曲げ加工して、底面最外長さ2.8mm、側面最外長さ2.2mm、開き角度5度の溝形部材を得た。また、幅5.0mm、長さ100mm、厚さ0.3mmの非磁性金属のバネ材であるSUS301−3/4Hを曲げ加工して、底面最外長さ2.5mm、側面最外長さ1.9mm、開き角度5度の溝形部材を得た。
(2)前記溝形部材に固定される長尺磁石成形体(希土類マグネットブロック)は、異方性Nd−Fe−Bとナイロン6のコンパウンドからなる射出成形品を用いた。その断面形状は幅2.0mm、高さ2.3mm、長さ326mmとした。各々の実施例および比較例の溝形状に対応した形状に追加工して使用した。
(3)前記希土類マグネットブロックは、空芯コイルで着磁した後、前記溝形部材に接着し、次いで、前記溝形部材を前記実施例1〜4及び比較例1〜3、5で得た軸一体型マグネットローラに圧入して固定した。
(4)そして、軸一体型マグネットローラと前記SWB処理されてRzが15〜25μmのALスリーブ(外径φ12、内径φ11)とを、軸受けとフランジと併せて組付けて、現像ローラとし、この現像ローラを現像装置に組付けてランニング試験を行って、試験中に感光体上に飛散したキャリアの数を計測した。同時に、現像剤の剤切れ性(現像スリーブからの離れやすさ)を評価した。
以上、実施例1〜4および比較例1〜5で得たマグネットローラを、温度23℃、湿度50%RHの環境で24hr以上調湿した後、成形品の溝側の形状を軸方向全域に渡り、透過型レーザでナイフエッジからの距離として測定して、真直度を算出した。測定数はn=10とし、最も悪い値を各実施例および比較例の真直度とした。評価結果は、次の表1に示される。
次に、実施例1〜4および比較例1〜5で得たマグネットローラのソリ(真直度)、及び、微少な凹凸が形成されている領域の磁束密度のばらつき、並びに、前記マグネットローラを有する現像ローラにおけるキャリア付着、及び、剤切れ性を評価した。評価基準は、
(1)ソリ(真直度)
○:40μm以下
×:40μmより大きい
(2)微少な凹凸が形成されている領域の磁束密度のばらつき
○:10mT以下
×:10mTより大きい
(3)キャリア付着
○:10個以下
×:10個より多い
(4)剤切れ性
○:剤の連れ回りなし
×:本体部の中央で剤の連れ回りあり
××:本体部の全体で剤の連れ回りあり
とした。
評価結果は、次の表2に示される。
表1に示されているように、実施例1〜4、及び、比較例5で得たマグネットローラは、いずれも、真直度が40μm以下と小さく、高精度である。比較例1〜3で得たマグネットローラの真直度も比較的良好であるが、実施例1〜4より大きい。冷却を室温放置とした比較例4で得たマグネットローラの真直度は、1200μmであった。また、表2に示されているように、実施例1〜4で得た現像ローラは、内包するマグネットローラの真直度が十分高精度であるので、スリーブ上の磁束密度偏差が十分小さく、そのために、キャリア付着及び剤切れ性ともに問題ないレベルである。一方、比較例1〜3の現像ローラは、内包するマグネットローラの真直度がやや大きいので、スリーブ上の磁束密度偏差が大きく、そのために、キヤリア付着及び剤切れ性ともに実用的なレベルに幾分不足している。また、比較例5で得た現像ローラは、微小な凹凸の凸部と凹部の高低差が500μmあるので、この部分(剤切れ部に相当する)における磁束密度のばらつき(最大値と最小値との差)は、16mTとなっており、その剤切れ性が実用的なレベルに到達していない。