JP3840415B2 - 現像ローラの製造方法及び現像ローラ並びに画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、現像ローラの製造方法及び現像ローラ並びに複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式の画像形成装置において、トナーとキャリアからなる二成分現像剤を用いて像担持体に形成された潜像を現像する現像装置が広く利用されている。この種の現像装置では、現像ローラ外周面に現像剤を磁気吸着させて磁気ブラシを形成し、現像領域(現像ローラと像担持体の間で現像可能な電界が確保されている領域)において、静電潜像が形成された像担持体と電気的バイアスが印加されたスリーブとの間の電界によって、前記磁気ブラシから対向する像担持体の潜像面へトナーを選択的に供給付着することにより、現像が行われる。
【0003】
現像ローラは、通常、非磁性体よりなる円筒状の現像スリーブと、該スリーブ内に固定配置され磁界を発生させる複数の磁極を備えたマグネットロールとで構成され、現像スリーブとマグネットロールの少なくとも一方が回転駆動することでスリーブ表面に穂立ちを起こした現像剤が移動される。そして、現像領域に搬送された現像剤は現像主極から発せられる磁力線に沿って穂立ちを起こし、この現像剤のチェーン穂は撓むように像担持体表面に接触し、接触した現像剤のチェーン穂が像担持体との相対線速差に基づいて静電潜像と擦れ合いながら、トナー供給を行う。
【0004】
従来の磁気ブラシ現像方式においては、画像濃度を高くするための現像条件とコントラスト画像を良好に得るための現像条件とが両立せず、高濃度部と低濃度部との双方を同時に改善することが困難とされている。即ち、画像濃度を高くするための現像条件としては、(i)像担持体と現像スリーブとの間隔である現像ギャップを狭くすること、あるいは(ii)現像領域幅を広くすることなどが挙げられる。一方、低コントラスト画像を良好に得るための現像条件としては、(i')現像ギャップを広くすること、あるいは(ii')現像領域幅を狭くすることなどがある。つまり、双方の現像条件は相対するものであって両立せず、全濃度域にわたって双方の条件を満たして良質な画像を得ることは一般に困難とされている。
【0005】
例えば、低コントラスト画像を重視する場合には、ベタラインのクロス部や黒ベタ、ハーフトーンベタ画像の後端部に白抜けを生じる所謂「後端白抜け」と称される異常画像が発生しやすい。また同じ幅で形成した格子画像の横線が縦線よりも細くなったり、1ドットなどの小さい点画像が現像されないなどの現象も発生している。
【0006】
このような従来からの課題であった画像濃度を高くするための現像条件と低コントラスト画像を良好に得るための現像条件とを高い時点で満足させ、全濃度域にわたって良質な画像を得るための現像ローラ及びその製造方法、現像装置等を本願出願人は先に提案している(特開2001−296744号公報等)。
【0007】
該公報等で記載されている現像装置においては、現像ローラの現像主極部は、現像主極の磁気特性を高め、かつ隣接極との極間角度が従来の現像ローラに比べて狭くすることが要求される。このような現像ローラのマグネットロールを製造する場合、ブロック形状に成形した各磁極を構成するマグネットを円筒状の芯金に貼り付ける方法と、高分子化合物に磁性紛を分散し円筒形状に形成されたマグネットロールの現像主極に相当する部分に、該マグネットロールの軸線方向全長に亘る高磁力のマグネットブロックを取り付ける方法とがある。
【0008】
前者の方法は、マグネットピースの大きさを小さくすれば、理論上、隣接極との極間角度を狭くすることが可能であるが、構造が複雑になり、貼り付け精度を確保することが難しいという問題があった。よって、マグネットロールは構造的に簡素な構造となる後者の方法が広く採用されている。この方法を用いるとき、マグネットロール成形時に高分子化合物に分散するフェライト等の磁性粉の向きを揃えるための磁場配向を行うことが高磁力を得るために必要されている。この磁場配向は、隣接極と逆極性の磁極を用いて異方化を行うことで磁気特性を高めており、このため、従来では図11に示すように、現像主極部分の配向ヨーク101の極性を例えばS極とすると、隣接極の配向ヨーク102,103をN極とした金型により磁場配向を行っている。そして、成形後のマグネットロール100は、着磁ヨーク等により複数の磁極を着磁させて作られる。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成形時に上記した配向装置によって磁場配向を行うと、マグネットロールは着磁工程により磁極を形成したときに、図12に示すように、極間角度が広く、現像主極の幅も広がってしまった。したがって、上記した現像主極の磁気特性を高め、かつ隣接極との極間角度が狭い現像ローラが得られにくいと言う問題があった。
【0010】
本発明は、上記した従来の問題を解消し、高分子化合物に磁性紛を分散し円筒形状に形成されたマグネットロールの現像主極に相当する部分に、該マグネットロールの軸線方向全長に亘る高磁力のマグネットブロックを取り付ける方法を採用しても現像主極の磁気特性を高められ、しかも極間角度を狭くすることができる現像ローラの製造方法及び現像ローラ並びに画像形成装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、高分子化合物に磁性紛を分散し円筒形状に形成されたマグネットロールの現像主極に相当する部分に、該マグネットロールの軸線方向全長に亘る高磁力のマグネットブロックを有する現像ローラの製造方法において、前記マグネットロールを成形するときに、前記現像主極の部分及びその隣接極を二股に分かれた磁極により磁場配向した後、前記現像主極の部分と隣接極を逆極性に磁化してから、当該現像主極の部分に前記高磁力のマグネットブロックを取り付ける、ことを特徴とする現像ローラの製造方法を提案する。
【0012】
なお、本発明は、前記マグネットロールの前記現像主極の部分は取り付けるマグネットブロックと同極性に磁化すると、効果的である。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本発明の現像ローラは、請求項1または2に記載の現像ローラの製造方法を用いた製造されたことを特徴としている。
【0014】
さらにまた、上記課題を解決するため、本発明の画像形成装置は、請求項3に記載の現像ローラを現像装置に用いることを特徴としている。
【0015】
以下、本発明の好ましい実施の形態について添付図面にしたがって説明する。先ず、本発明に係る現像ローラを用いた画像形成装置の作像部を、図1に基づいて説明する。
【0016】
図1において、静電潜像担持体である感光体ドラム1の周囲には、当該ドラム表面を帯電するための帯電装置2、一様に帯電処理された面に潜像を形成するためのレーザー光線でなる露光3、ドラム表面の潜像に帯電トナーを付着することでトナー像を形成する現像装置4、ドラム上に形成されたトナー像を記録紙へ転写するための転写装置5、ドラム上の残留トナーを除去するためのクリーニング装置7、ドラム上の残留電位を除去するための除電ランプ8が順に配設されている。
【0017】
このような構成において、帯電装置2の帯電ローラによって表面を一様に帯電された感光体1は、露光3によって静電潜像を形成され、現像装置4によってトナー像を形成される。当該トナー像は、転写ベルトなどでなる転写装置5によって、感光体ドラム1表面から、図示していない給紙トレイから搬送された転写材へ転写される。この転写の際、感光体ドラムに静電的に付着した転写材は、分離爪によって感光体ドラム1から分離される。そして、未定着のトナー像を担持した転写材は定着装置9を通過するとき、熱、圧力等の作用を受けて転写材に定着される。一方、転写されずに感光体ドラム1上に残留したトナーは、クリーニング装置7によって除去され回収される。残留トナーが除去された感光体ドラム1は、除電ランプ8で初期化され、次回の画像形成プロセスに供される。なお、符号6は、図示しない給紙トレイからの転写材を、感光体ドラム1上のトナー像にタイミングを合わせて給送するためのレジストローラである。
【0018】
現像装置4内には、感光体ドラム1に近接するように対向配置された現像ローラ41を有し、該現像ローラと感光体ドラムとの対向部分が現像領域である。なお、符号42は現像剤チェーン穂の穂高さ、即ち、現像スリーブ上の現像剤量を規制するドクタブレード、符号43は入口シール部材、符号44は現像装置ケーシング内の現像剤を攪拌しながら現像ローラ41へ汲み上げるためのスクリューである。
【0019】
現像ローラ41は、図2に示すように、アルミニウム、真鍮、ステンレス、導電性樹脂などの非磁性体を円筒形に形成してなる現像スリーブ45を有し、該現像スリーブ45が図示していない回転駆動機構によって図中時計回りに回転されるようになっている。現像スリーブ45内にその周表面に現像剤の穂立ちを生じるように磁界を形成するマグネットロール46が固定配置されている。マグネットロール46は、現像領域部分に現像剤の穂立ちを生じさせる現像主極47と、汲み上げられた現像剤を現像領域まで搬送するための搬送極と、現像後の領域で現像剤を搬送する搬送極との複数の磁極を有する。現像主極47には、1つのマグネットブロックが設けられているが、現像主極47は隣極が相反する磁極性の2極以上のマグネットブロックを設けて構成することもできる。
【0020】
現像ローラ41は、マグネットロール46が現像主極47以外の搬送極が形成される部分であり、射出成形及び押し出し成形によって製造したものである。マグネットロール46の原料としては、SrフェライトもしくはBaフェライトからなる磁性粉に高分子化合物を混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることが多い。また、高分子化合物としては6PAもしくは12PA等のPA系材料、EEA(エチレン・エチル共重合体)・EVA(エチレン・ビニル共重合体)等のエチレン系化合物、CPE(塩素化ポリエチレン)等の塩素系材料、NBR等のゴム材料が使用できる。
【0021】
ところで、マグネットロール46を成形するとき、混合するフェライトの向き等を揃えるための磁場配向を行うことが高磁力の現像ローラを得るために必要である。しかし、磁場配向を行うと、現像主極の磁気特性が高く、しかも極間角度を狭くすることができる現像ローラが得られ難い問題があることは先に説明した。
【0022】
かかる原因について、発明者は種々の実験・研究を行った結果、図11に示す金型で磁場配向を行うと、配向方向が図13に示すように、概ね現像主極から隣接極に向かうことが原因になっていることを見出した。そして、現像主極付近の磁場配向が隣接極でなく半径方向に向かえば、現像主極の磁気特性が高く、しかも極間角度を狭くすることができる現像ローラが得られることが判明した。
【0023】
そこで、本発明ではマグネットロールの成形時に、図3に示すような配向装置50を用いて成形する。この配向装置50は、図3におけるマグネットロール46の上下左右に配向ヨーク51,52,53,54を配しており、マグネットロール46の上部を現像主極47とすると、上部の配向ヨーク51を途中から二股に分かれたものを用いる。この配向ヨーク51は、途中から二股に分けているため、成形時の磁場配向によって2ピークの反発極となる磁力分布が得られる。このとき、現像主極47付近では、その配向方向が隣接極でなく、図4の矢印で示すように、概ね半径方向へ向いている。なお、図3において、符号55は磁場発生コイルである。
【0024】
このようにして成形したマグネットロール46は、現像主極47付近において、図5に示すように、着磁ヨーク60,61,62により着磁を行う。この着磁によりマグネットロール46は、現像主極付近において図6に示すような磁気特性が得られ、その後、現像主極47のマグネットブロックを埋め込むことにより、図7に示すような磁気特性が得られる。よって、マグネットロール46にマグネットブロックを取り付け、そしてそれをスリーブ45に組み付けて作られた現像ローラ41は、図8に示すような現像主極47の磁気特性が高く、極間角度の狭い、良好な現像ローラが得られる。なお、現像主極47の磁力はマグネットブロックとマグネットロール46の和になるため、現像主極部分の着磁は当該主極と同極性することが好ましい。また、マグネットロール46を着磁するとき、現像主極となるマグネットブロックを取り付け前でも取り付け後であっても同様の効果が得られる。
【0025】
ところで、成形時の磁場配向によって現像主極の二股に分かれた磁極で図9に示すような反発磁界を発生させることもできるが、この状態でマグネットブロックを取り付けても主極の磁力が不十分で、磁幅や隣接極の磁力に影響がでてしまう。よって、マグネットロール46は成形後に着磁することが望ましい。
【0026】
また、現像主極47に用いるマグネットブロック48は、幅が狭く高い磁気特性を得るために残留磁束密度Br>0.5Tの材料を用いることが望ましく、多くはNe系(Ne―Fe−B等)またはSm系(Sm―Co、Sm―Fe―N等)の希土類マグネット粉、もしくはこれらのマグネット粉を上記と同様の高分子化合物と混合したプラスチックマグネットもしくはゴムマグネットを用いることができる。
【0027】
【実施例】
次に、本発明の一実施例について説明をする。
マグネットロール46の材料としてEEAにSrフェライトを91wt%含有させた材料を外径φ14×内経φ6で磁場中押出し成形を行った。
【0028】
配向磁極は、全体で4極構成とし、そのうちの1極は磁極の先端が二股に分かれた構造とした。二股の各磁極の幅は、図10に示すように、3mm及び4mmで、その間を4mmとし、またロールの中央に幅2mm×深さ2mmの溝を形成した。成形して得られた円筒状マグネットは、その溝部に幅2mm×高さ2mmの異方性のNd−Fe−Bプラスチック磁石(Br0.7T、Bhmax12MGOe)を貼り付けた後、円周を6極構成となるように着磁を行い外径φ16の非磁性体スリーブに組立てた。この結果、現像主極のピーク磁束密度100mT、半値幅17°、隣接極との極間角度37°の好ましい現像ローラ41を得ることができた。半値幅とは、法線方向の磁力分布曲線の最高法線磁力(頂点)のおける半分の値を指す部分の角度幅のことである。
【0029】
【発明の効果】
請求項1の構成によれば、現像主極部分に形成された溝にブロック状マグネットが埋め込まれかつ、成形時に現像主極及びその隣接極が二股に分かれた磁極により磁場配向されているため、現像主極付近の磁化方向を半径方向にそろえることが可能であるため現像主極の半値幅が狭く、隣接極との極間角度の狭い現像ローラを得ることができる。
【0031】
請求項2の構成によれば、請求項1ないし3の効果を有する現像ローラを提供することができる。
請求項3の構成によれば、上記効果を有する画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の主要部を示す概略構成図である。
【図2】その画像形成装置に用いられた現像ローラを示す構成図である。
【図3】本発明のマグネットロール成形時に用いる磁場配向装置の全体を示す説明図である。
【図4】本発明のマグネットロールの配向方向を示す説明図である。
【図5】マグネットロールの着磁工程を示す説明図である。
【図6】着磁後のマグネットロールの磁気特性を示す説明図である。
【図7】図6のマグネットロールにマグネットブロックを取り付けた後の磁気特性を示す説明図である。
【図8】本発明により製造した現像ローラを示す説明図である。
【図9】磁場配向を行った後のマグネットロールの発生磁界を示す説明図である。
【図10】本発明の一実施例でマグネットロールの磁場配向時の状態を示す説明図である。
【図11】従来のマグネットロールの磁場配向時の状態を示す説明図である。
【図12】図11の磁場配向を行った現像ローラを示す説明図である。
【図13】図12のマグネットロールの配向方向を示す説明図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム(潜像担持体)
2 現像装置
41 現像ローラ
46 マグネットロール
47 現像主極
51 磁場発生ヨーク
Claims (3)
- 高分子化合物に磁性紛を分散し円筒形状に形成されたマグネットロールの現像主極に相当する部分に、該マグネットロールの軸線方向全長に亘る高磁力のマグネットブロックを有する現像ローラの製造方法において、
前記マグネットロールを成形するときに、前記現像主極の部分を挟んだその隣接極の部分を二股に分かれた磁極により磁場配向した後、
前記現像主極の部分と隣接極の磁化を行い、このとき前記現像主極の部分は上記マグネットブロックと同極性に磁化し、その後当該現像主極の部分に前記高磁力のマグネットブロックを取り付ける、
ことを特徴とする現像ローラの製造方法。 - 請求項1に記載の現像ローラの製造方法を用いて製造されたことを特徴としている現像ローラ。
- 請求項2に記載の現像ローラを現像装置に用いることを特徴とする画像形成装置。
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