JP3964675B2 - 非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄 - Google Patents

非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄 Download PDF

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Description

【0001】
技術分野
本発明は、オーステンパー処理を行わずに得られる非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄に関する。
【0002】
背景技術
鋳鉄として、黒鉛形態が球状の球状黒鉛鋳鉄が知られており、この球状黒鉛鋳鉄は、引張強さが400〜800MPaの範囲であって、引張強さが大きくなれば伸びが低く、逆に伸びを高くしようとすると引張強さが小さくなるという傾向を有している。
【0003】
近年になり、軽量化が強く要請されている自動車用部品などの分野においては、引張強さと伸びの両方の機械的性質をバランス良く兼備した球状黒鉛鋳鉄が求められている。このような機械的性質を有する球状黒鉛鋳鉄として、次のベイナイト球状黒鉛鋳鉄が知られていた。
【0004】
一つは、鋳造物をオーステナイト化温度(約800〜950℃)に加熱後、約300〜400℃の塩浴炉中に急冷し、そのまま同炉中で恒温保持した後取り出して得られるベイナイト球状黒鉛鋳鉄であり、また、例えばNiを1〜4質量%、Moを0.5〜1.0質量%添加して、熱処理をしない、いわゆる鋳放しの状態で得られるベイナイト球状黒鉛鋳鉄である。
【0005】
しかしながら、前者のベイナイト球状黒鉛鋳鉄は、肉厚の大なる製品では内部まで十分なベイナイト組織が得られないことから、薄肉製品に使用されることはあるが、その場合でも、熱処理による歪みが発生したり、塩浴炉を用いた熱処理によりコストが高いという問題があった。また、後者のベイナイト球状黒鉛鋳鉄は、高価なMoを添加することからコストアップとなるという問題があった。
【0006】
また、上記のベイナイト球状黒鉛鋳鉄は、例えば、耐蝕性を得るために溶融亜鉛めっきを施す(例えば、460℃で120秒間保持)と、下記表1に示すように、その加熱処理によって引張強さと伸びが低下するという欠点を有している。
【0007】
【表1】
Figure 0003964675
【0008】
表1はベイナイト組織を有する球状黒鉛鋳鉄の熱(約460℃)による影響を説明したものである。ここで熱処理とは900℃で1時間保持しその後380℃で一時間保持することであり、溶融亜鉛メッキ処理とは460℃で120秒間保持することである。
【0009】
したがって、本発明は上記した従来の問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、引張強さと伸びの両方の機械的性質をバランス良く兼備し、かつ引張強さと伸びを従来よりも向上させた高強度、高靭性の球状黒鉛鋳鉄を提供するものである。
【0010】
また、本発明の目的は、溶融めっき等の処理を施しても機械的性質が低下せず、しかもMoを添加しなくても引張強さと伸びを向上させた球状黒鉛鋳鉄を提供するものである。
【0011】
さらに、本発明の目的は、オーステナイト化温度に加熱後、約300〜400℃に急冷し、そのまま恒温保持するというオーステンパー処理を行わないで得られる非オーステンパー処理の球状黒鉛鋳鉄を提供するものである。
【0012】
発明の開示
すなわち、本発明によれば、オーステンパー処理を行わずに得られる非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄であって、Moを添加せず、Mnを0.05〜0.45質量%含有し、Niを2.0〜4.0質量%含有し、Cを3.1〜4.0質量%含有し、Siを1.8〜3.0質量%含有し、Pを0.05質量%以下含有し、Sを0.02質量%以下含有し、Mgを0.02〜0.06質量%含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり肉厚が50mm以下で、引張強さが650〜850MPa、及び伸びが7.0〜14.5%であることを特徴とする非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄が提供される。
【0013】
また、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、オーステンパー処理を行わずに得られる非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄であって、Vノッチ切欠き材の疲労限度が290MPa以上であることが好ましい。
【0014】
また、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、ブリネル硬度が230〜285HBであることが好ましく、また、切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗量が0.13mm以下であることが好ましい。
【0015】
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明を詳しく説明する。本発明は、従来行われているオーステンパー処理を用いずに得ることができる高強度、高靭性の球状黒鉛鋳鉄であり、具体的には、その引張強さが650〜850MPaで、伸びが7.0〜14.5%であって、Moを添加せず、Mnを0.05〜0.45質量%含有し、Niを2.0〜4.0質量%含有し、Cを3.1〜4.0質量%含有し、Siを1.8〜3.0質量%含有し、Pを0.05質量%以下含有し、Sを0.02質量%以下含有し、Mgを0.02〜0.06質量%含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり肉厚が50mm以下で、引張強さと伸びの両方の機械的性質がバランス良く兼備され、しかも引張強さと伸びが従来に比して向上しているものである。
【0016】
このような高強度、高靭性の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄は、熱処理をせずに引張強さ及び伸びが所定以上に大きく、かつ溶融めっき等を施しても機械的性質が低下しない。
【0017】
本発明に係る非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄は、その引張強さが650〜850MPa、好ましくは700〜850MPa、特に好ましくは750〜850MPaである。また、伸びは7.0〜14.5%、好ましくは9.5〜14.5%、特に好ましくは12.0〜14.5%である。
【0018】
ここで、球状黒鉛鋳鉄の引張強さ、及び伸びという機械的性質は、JIS Z2201で規定されている試験法に従って求めたものである。
【0019】
上記のような高強度、高靭性の機械的性質を有する本発明の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄は、成分的には、Mnを0.05〜0.45質量%含有するものであり、Mnを0.10〜0.35質量%含有すること好ましい。Mnの添加量を上記範囲内において変えることにより、球状黒鉛鋳鉄の引張強さと伸びの関係を制御することができる。すなわち、Mnの含有量を少なくすれば引張強さは落ちるが、伸びは上昇し、逆にMnの含有量を多くすれば引張強さは大きくなるが、伸びは低下することになる。Mnの含有量が0.45質量%を超えると硬くなり過ぎて伸びが7.0%未満になる。なお、Mnは材料や製造工程から不可避的に混入してくるものであり、その含有量を0.05質量%未満まで低下させることは現在の技術上からは困難である。また、他の成分としては、Niを2.0〜4.0質量%含有するものである。Niが上記範囲外の場合には、伸びが低下する傾向がある。
【0020】
更に、本発明の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄の他の構成成分としては、Cを3.1〜4.0質量%、Siを1.8〜3.0質量%、Pを0.05質量%以下、Sを0.02質量%以下、Mgを0.02〜0.06質量%の範囲に含有し、残部としてFeを含有するものである。その理由は下記の通りである。なお、Moを添加しないものである。
【0021】
(1)Cが3.1質量%未満では、炭化物が現れて伸びが著しく減少する。Cが4.0質量%を超えると、初晶黒鉛が浮上して介在し、引張強さの低下の原因となる。
(2)Siが1.8質量%未満では、炭化物が現れて伸びが著しく減少する。Siが3.0質量%を超えると、初晶黒鉛が浮上して介在し、引張強さの低下の原因となる。
(3)Pが0.05質量%を超えると、ステダイト相が現れて脆化する。
(4)Sが0.02質量%を超えると、Mg処理時にMgSを生成し、溶存Mg量が低下して黒鉛球状化が阻害され、ノロも増えて好ましくない。
(5)Mgが0.02質量%未満では、黒鉛を球状化することができず、引張強さが確保できない。Mgが0.06質量%を超えると、炭化物が現れやすくなり、処理時のMg合金が高価で好ましくない。
【0022】
また、本発明の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄は、Vノッチ切欠き材の疲労限度が290MPa以上という特性を有することが好ましい。本発明の球状黒鉛鋳鉄は、上記のように特に伸び特性に優れるため、Vノッチ切欠き材であっても疲労限度が所定以上に高くなると考えられる。
【0023】
さらに、本発明の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄は、加工性に優れている。加工性を示す指標として、切削試験を行った場合の逃げ面磨耗量を用いると、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗量が0.13mm以下である。
【0024】
なお、切削試験の切削条件としては、図1に示す形状の切削試験片10に対して、切削速度が100m/min、送り量が0.2mm/回転、切込みが1.5mmとし、刃物として三菱マテリアル製UC6010を用いて乾式切削を行った。
【0025】
さらにまた、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、その硬度が230〜285HB、好ましくは235〜280HB、特に好ましくは240〜275HBと、高い硬度を示すものである。このように、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、硬度も所定以上であり、強度、靭性に加えて硬度的にもバランスが取れている。
【0026】
ここで、硬度試験としては、JIS Z2245に規定された試験法を用い、ブリネル硬さを測定した。
【0027】
上記した本発明の球状黒鉛鋳鉄は、従来公知の工程を用いて製造することができる。鋳鉄製造工程の一例を説明すると、材料ヤードから銑鉄、鋼屑など各種の鉄合金を、配合成分量を考慮して配合し、これを原料として電気炉(低周波炉又は高周波炉)あるいはキュポラを用いて鋳鉄溶湯が溶製される。目標組成通りに溶製された溶湯は、黒鉛球状化剤を用いて取鍋内で溶湯処理が行われる。この際、必要に応じて接種剤を添加する。
【0028】
溶湯処理が行われた後、溶湯は取鍋から造型機により造型された鋳型に注湯されて鋳込まれ、鋳型内でそのまま凝固、冷却される。鋳型内の物品が冷却されると、次にシェイクアウトマシンにて型ばらしが行われて物品と造型砂が分離され、物品はドラムクーラーで冷却された後、ショットブラストで物品の表面に付着した砂を除去し、鋳仕上げ工程に掛けられる。この鋳仕上げ工程において堰、ばり取りなどの仕上げが行われて製品たる鋳鉄鋳物が得られることになる。
【0029】
上記工程のうち、保持炉で行う接種及び球状化の溶湯処理において、添加する物質の種類、添加量を所定とすることにより、所望の球状黒鉛鋳鉄が製造できる。本発明では、成分的に、Mn、Ni、C、Si、P、S、Mg、及びFeを所定量に調整し、Moを添加しないことにより、製造法としては、従来公知のオーステンパー処理を除く各種の方法において、鋳型に注湯後の冷却速度を制御することにより、引張強さと伸びの両方の機械的性質が従来に比して大きく、かつバランス良く兼備された高強度、高靭性の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄を得ることができる。
【0030】
すなわち、本発明では、その製造法として、目標成分に調整した球状黒鉛鋳鉄溶湯を鋳型に注湯後、その後の冷却速度を制御するものであるが、その態様としては次の通り、各種の方法がある。
【0031】
(1)代表的には、肉厚が25〜50mm程度の製品の場合、鋳型内で自然放冷(鋳放し)させることである。
(2)薄い製品、例えば、肉厚が10mm以下の製品については速く冷却し過ぎて本発明のような所望の機械的性質を有する鋳鉄が得られないので、鋳型を保温するなど(冷却しにくい鋳型材を選択することや、鋳型を集合させること、または鋳型を加熱する等)により冷却速度を制御して、肉厚が25〜50mm程度の製品とほぼ同様の冷却プロセスとなるようにする。
(3)型ばらし後、製品を加熱しながら冷却速度を制御して、上記(2)と同様に、肉厚が25〜50mm程度の製品とほぼ同様の冷却プロセスとなるようにする。
【0032】
以上をまとめると、本発明の製造法は、従来公知のオーステンパー処理のような、オーステナイト化温度から約300〜400℃に急冷するという急冷操作を行わずに、鋳造後連続的に徐冷するか、あるいは鋳造後常温付近まで冷却された後に加熱し、次いで加熱しながら冷却することにより、冷却速度を制御するものである。そして、製品の肉厚により冷却速度に相違が生じる(肉薄では冷却が速く、肉厚では冷却が遅くなる)ことに鑑み、冷却速度を制御して、引張強さと伸びの両方の機械的性質をバランス良く兼備した高強度、高靭性の球状黒鉛鋳鉄を得るものである。
【0033】
以下、本発明を実施例に基づき、更に具体的に説明する。
【0034】
(実施例1)
従来公知の鋳鉄製造工程に従って、球状黒鉛鋳鉄の溶湯を溶製した。すなわち、鋳鉄原料を配合し、高周波炉にて、C 3.55質量%、Si 2.50質量%、Mn 0.29質量%、P 0.018質量%、S 0.007質量%、Mg 0.039質量%、Cr 0.036質量%、Cu 0.08質量%、Ni 3.1質量%に成分調整した球状黒鉛鋳鉄の溶湯を溶製した。
【0035】
この球状黒鉛鋳鉄溶湯を、図2に示すY形供試材(B号)30用の鋳型に約1400℃で注湯し、鋳型内で常温まで自然放冷(鋳放し)した。得られたY形供試材(B号)30(JIS G 5502)の下部31から試験片を採取した。引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)については、JIS Z 2201の4号試験片で測定し、その結果を図4に示す。
【0036】
さらに、Y形供試材(B号)30から図3に示すVノッチ切り欠き材32を採取し、回転曲げ疲労試験を行い、疲労限度を求めた。ここで、回転曲げ疲労試験は、JIS Z 2274に基づいて、小野式回転曲げ疲労試験機を用い、室温、大気中において、Vノッチ切り欠き材32を2500rpmで回転させながら応力を掛け、破壊するまでの応力と繰り返し数の関係から疲労限度を測定した。結果を図5に示す。
【0037】
(実施例2)
実施例1と同様にして、図1に示す形状の球状黒鉛鋳鉄からなる切削試験片10を採取した。この切削試験片10について、切削試験を行い、逃げ面磨耗量を測定したところ、切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗量が0.12mmであった。
【0038】
一方、従来の球状黒鉛鋳鉄(FCD700相当)(組成:C 3.6質量%、Si 2.5質量%、Mn 0.4質量%、P 0.03質量%、S 0.003質量%、Mg 0.03質量%、Cu 0.8質量%、残部がFe)の場合には、逃げ面磨耗量が0.16mmであり、本発明の球状黒鉛鋳鉄が加工性に優れていることがわかった。
【0039】
(実施例3)
Mn 0.05〜0.45質量%、Ni 2.0〜4.0質量%、C 3.1〜4.0質量%、Si 1.8〜3.0質量%、P 0.05質量%以下、S 0.02質量%以下、Mg 0.02〜0.06質量%、残部がFeの範囲において、多数の成分組成の球状黒鉛鋳鉄溶湯からY形供試材(B号)を得、実施例1と同様にして、引張特性(引張強さ及び伸び)を測定するとともに硬度を測定した。結果を図6に示す。
【0040】
(実施例4)
図7に示す電力製品である連結金具について、実施例1と同様に、引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)を測定した。なお、試験片採取位置は、図7の(1)〜(5)である。その結果を図8(a)に示す。
【0041】
(実施例5)
実施例4と同じ連結金具に対し、溶融亜鉛めっき処理(460℃で120秒間保持)を施したものについて、実施例1と同様に、引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)を測定した。その結果を図8(b)に示す。その結果、引張特性はめっき処理前後において、ほとんど差がないことが確認された。
【0042】
(実施例6)
図9に示す自動車部品である車輪支持部品について、実施例1と同様に、引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)を測定した。なお、試験片採取位置は、図9のA、B、C、D、Eである。その結果を図10に示す。
【0043】
(比較例1)
球状黒鉛鋳鉄の溶湯成分のうち、Mnを0.53質量%とした以外は実施例1と同一方法により、Y形供試材(B号)を鋳造し同様に試験片を採取して、その引張強さと伸びを測定した。その結果、引張強さは850〜900MPaと大きくなるものの、伸びが6%以下まで低下したことが分かった。
【0044】
(考察)
上記の実施例1、4〜6及び比較例1の結果から明らかなように、実施例1、4〜6により得られた球状黒鉛鋳鉄は、引張強さが750〜800MPa、0.2%耐力が500MPa以上、伸びが7.0%以上となり、所期の機械的性質を有していることがわかる。また、実施例1で得られたVノッチ切欠き材の繰り返し数10回での疲労限度が295MPaという高い数値を得た。
【0045】
さらに、実施例2からわかるように、本発明の球状黒鉛鋳鉄は加工性に優れており、しかも、硬度が230〜285HBと所定以上であり、高強度、高靭性に加えて機械的特性として極めてバランスが取れていることがわかる。
【0046】
産業上の利用可能性
以上説明したように、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、オーステンパー処理を行わないで得られるものであって、引張強さと伸びの両方の機械的性質をバランス良く兼備し、かつ引張強さと伸びを従来よりも向上させた高強度、高靭性のものである。また、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、溶融めっき等の処理を施しても機械的性質が低下せず、しかもMoを添加しなくても引張強さと伸びを向上させることができる。したがって、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、連結金具などの電力製品や、車輪支持部品などの自動車部品に好ましく適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、切削試験片形状を示す説明図である。
【図2】図2は、Y形供試材(B号)の形状を示す説明図である。
【図3】図3は、回転曲げ疲労試験に用いたVノッチ切り欠き材の形状及び寸法を示す説明図である。
【図4】図4は、実施例1における引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)を示すグラフである。
【図5】図5は、実施例1における疲労限度を示すグラフである。
【図6】図6は、硬度と引張強度/伸びの関係を示すグラフである。
【図7】図7は、電力製品の連結金具を示す説明図である。
【図8】図8(a)(b)は、めっき処理前後の引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)を示すもので、図8(a)はめっき処理前、図8(b)はめっき処理後を示すグラフである。
【図9】図9は、自動車製品の車輪支持部品を示す説明図である。
【図10】図10は、実施例6における引張特性(引張強さ、0.2%耐力および伸び)を示すグラフである。

Claims (4)

  1. オーステンパー処理を行わずに得られる非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄であって、
    Moを添加せず、Mnを0.05〜0.45質量%含有し、Niを2.0〜4.0質量%含有し、Cを3.1〜4.0質量%含有し、Siを1.8〜3.0質量%含有し、Pを0.05質量%以下含有し、Sを0.02質量%以下含有し、Mgを0.02〜0.06質量%含有し、残部がFe及び不可避的不純物からなり
    肉厚が50mm以下で、引張強さが650〜850MPa、及び伸びが7.0〜14.5%であることを特徴とする非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄。
  2. オーステンパー処理を行わずに得られる非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄であって、
    Vノッチ切欠き材の疲労限度が290MPa以上である請求項1に記載の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄。
  3. ブリネル硬度が230〜285HBである請求項1または2に記載の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄。
  4. 切削距離1.7kmにおいて逃げ面磨耗量が0.13mm以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の非オーステンパー処理球状黒鉛鋳鉄。
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