JP6954846B2 - 球状黒鉛鋳鉄 - Google Patents
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Description
(1)C:3.5質量%〜4.2質量%、
Si:2.0質量%〜2.8質量%、
Mn:0.2質量%〜0.4質量%、
Cu:0.1質量%〜0.7質量%、
Mg:0.02質量%〜0.06質量%、
Cr:0.01質量%〜0.15質量%、並びに
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
Mn+Cr+Cuが、0.431質量%〜1.090質量%であり、
黒鉛粒数が、230個/mm2以下であり、
パーライト率が、30%〜85%である、
球状黒鉛鋳鉄。
(2)(i)鋳鉄溶湯を調製するステップと、
(ii)(i)において調製した鋳鉄溶湯を冷却するステップと、を含み、
(ii)の冷却ステップが、
(a)注湯温度から鉄−炭素系状態図におけるA1変態点の温度までの冷却速度を、15℃/分〜25℃/分に調節する第1の冷却ステップ、及び
(b)A1変態点の温度から球状黒鉛鋳鉄における鉄の変態がこれ以上起こることのない温度までの冷却速度を、5℃/分〜20℃/分に調節する第2の冷却ステップ
を含む、(1)に記載の球状黒鉛鋳鉄を製造する方法。
本明細書では、適宜図面を参照して本発明の特徴を説明する。図面では、明確化のために各部の寸法及び形状を誇張しており、実際の寸法及び形状を正確に描写してはいない。それ故、本発明の技術的範囲は、これら図面に表された各部の寸法及び形状に限定されるものではない。なお、本発明の球状黒鉛鋳鉄及びその製造方法は、下記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者が行い得る変更、改良などを施した種々の形態にて実施することができる。
本発明の(i)のステップでは、C、Si、Mn、Cu、Mg及びCr、並びにMn+Cr+Cuの含有量を、前記の本発明の球状黒鉛鋳鉄において説明した含有量になるように鋳鉄溶湯を調製する。本発明の(i)のステップでは、好ましくは、C:3.5質量%〜4.2質量%、Si:2.0質量%〜2.8質量%、Mn:0.2質量%〜0.4質量%、Cu:0.1質量%〜0.7質量%、Mg:0.02質量%〜0.06質量%、及びCr:0.01質量%〜0.15質量%、並びにMn+Cr+Cu:0.431質量%〜1.090質量%になるように鋳鉄溶湯を調製する。
本発明の(ii)のステップでは、(i)において調製した鋳鉄溶湯を、(a)第1の冷却ステップ及び(b)第2の冷却ステップを含む冷却ステップにより冷却する。
本発明の(ii)の冷却ステップにおける(a)第1の冷却ステップでは、注湯温度から鉄−炭素系状態図におけるA1変態点の温度までの冷却速度が、15℃/分〜25℃/分、好ましくは20℃/分〜25℃/分に調節される。
本発明の(ii)の冷却ステップにおける(b)第2の冷却ステップでは、A1変態点の温度から球状黒鉛鋳鉄における鉄の変態がこれ以上起こることのない温度までの冷却速度が、5℃/分〜20℃/分、好ましくは10℃/分〜15℃/分に調節される。
実施例1
高周波誘導溶解炉に、球状化剤及びカバー材を入れ、さらに原料となるスクラップ鉄を加え、1550℃に加熱することにより材料を溶解させた。20分後、接種剤を加え、5分間静置後、鋳鉄溶湯を得た。得られた鋳鉄溶湯を、図1に示すYブロック形状の型に注湯し、第1の冷却ステップの冷却速度(注湯温度から鉄−炭素系状態図におけるA1変態点の温度までの冷却速度)が20℃/分、第2の冷却ステップの冷却速度(A1変態点の温度から球状黒鉛鋳鉄における鉄の変態がこれ以上起こることのない温度までの冷却速度)が10℃/分になるように調節して冷却した。バラシ温度まで鋳型内冷却した後、鋳型内より鋳造品を取り出した。鋳造条件の詳細を表1に示す。
使用する原材料の量を変更すること以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜6及び比較例1〜3を製造した。
実施例1〜6及び比較例1〜3の球状黒鉛鋳鉄の化学成分を測定した。C及びSについては、JIS G 1211に基づいたC−S計により測定し、それ以外の元素についてはJIS 1258:2014の規格に基づいて、ICP発光分光分析方法により測定した。
結果を表2に示す。
組織写真は、鋳鉄の断面の金属組織写真であり、光学顕微鏡(オリンパス社製)により撮影した。
パーライト率は、鋳鉄の断面の金属組織写真から画像処理によって、(1)黒鉛を除いた組織を抽出し、(2)黒鉛及びフェライトを除き、パーライト組織を抽出し、(パーライトの面積)/(パーライト+フェライトの面積)によって算出した。
黒鉛球状化率は、JIS G 5502:2007の規格に基づいて測定した。
黒鉛粒数は、光学顕微鏡の倍率を100倍として観察箇所を画像として取り込み、画像解析システムにより2値化を行ない、1mm×0.6mmにおけるマトリクスより暗い部分(黒鉛に相当)の個数を測定することにより算出した。測定は、3箇所で行い、球状黒鉛鋳鉄の黒鉛粒数は、それらの平均値とした。
黒鉛平均粒径は、光学顕微鏡の倍率を100倍として観察箇所を画像として取り込み、画像解析システムにより2値化を行ない、マトリクスより暗い部分(黒鉛に相当)の粒径(円相当径)を100個以上測定し、それらを平均化することにより算出した。
結果を図3に示す。
3−1.試験片の調製
実施例1〜6及び比較例1〜3について、1.サンプル製造において製造したYブロックの製品部分から、8つの試験片を切り出した。図4に8つの試験片の切り出し位置を示す。なお、図4中の寸法の単位はmmであり、Aは押し湯側を示す。
8つの試験片から2つの試験片を取り出して、ビッカース硬さ、引張強さ、0.2%耐力、及び破断伸びを測定した。
各物性は以下のように測定した。
ビッカース硬さは、JIS Z 2244:2009の規格に基づいて、測定した。
引張強さは、JIS Z 2241:2011の規格に基づいて、測定した。
0.2%耐力は、JIS Z 2241:2011の規格に基づいて、オフセット法により測定した。
破断伸びは、JIS Z 2241:2011の規格に基づいて、永久伸び法により測定した。
結果を表3に示す。
3−2.試験片の室温静的引張試験で使用した試験片とは別の2つの試験片を使用して、−40℃衝撃強度及び室温衝撃強度を測定した。ひずみ速度は5秒−1(sec−1)とした。
−40℃衝撃強度は、JIS Z 2241:2011の規格に基づく引張強さを測定する条件において、温度を−40℃とし、ひずみ速度を5秒−1にすることで測定した。
室温衝撃強度は、JIS Z 2241:2011の規格に基づく引張強さを測定する条件において、温度を25℃とし、ひずみ速度を5秒−1にすることで測定した。
結果を図5に示す。
Claims (2)
- C:3.5質量%〜4.2質量%、
Si:2.0質量%〜2.8質量%、
Mn:0.2質量%〜0.4質量%、
Cu:0.1質量%〜0.7質量%、
Mg:0.02質量%〜0.06質量%、
Cr:0.01質量%〜0.15質量%、並びに
残部:Fe及び不可避的不純物からなり、
Mn+Cr+Cuが、0.431質量%〜1.090質量%であり、
黒鉛粒数が、230個/mm2以下であり、
パーライト率が、30%〜85%である、
球状黒鉛鋳鉄。 - (i)鋳鉄溶湯を調製するステップと、
(ii)(i)において調製した鋳鉄溶湯を冷却するステップと、を含み、
(ii)の冷却ステップが、
(a)注湯温度から鉄−炭素系状態図におけるA1変態点の温度までの冷却速度を、15℃/分〜25℃/分に調節する第1の冷却ステップ、及び
(b)A1変態点の温度から球状黒鉛鋳鉄における鉄の変態がこれ以上起こることのない温度までの冷却速度を、5℃/分〜20℃/分に調節する第2の冷却ステップ
を含む、請求項1に記載の球状黒鉛鋳鉄を製造する方法。
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