JP2020002402A - 球状黒鉛鋳鉄 - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた引張り強さと伸び特性とを両立した球状黒鉛鋳鉄を提供する。【解決手段】球状黒鉛鋳鉄は、C:3.0〜4.0質量%、Si:4.0〜4.5質量%、Mn:0.20〜0.40質量%、Cu:0.20〜0.40質量%、Ni:1.65〜1.90質量%、Mg:0.02〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、特にMnとCuの合計の含有量が、0.50〜0.65質量%である。【選択図】図2
Description
本発明は、球状黒鉛鋳鉄に関し、特に、引張り強さ、耐力、伸びなどの機械的特性に優れた球状黒鉛鋳鉄に関する。
従来、自動車部品などの分野において球状黒鉛鋳鉄が使用されており、部品毎に種々の特性が要求されている。球状黒鉛鋳鉄は、鋳鉄基地内に球状黒鉛粒子を含むので、普通鋳鉄に比べ高い強度が期待できる。球状黒鉛鋳鉄の機械的特性として、一般に、引張り強さ、耐力、伸びなどが評価されている。
例えば、特許文献1には、引張り強さが700N/mm2以上で、伸びが2%以上の高強度の球状黒鉛鋳鉄が記載されている。特許文献1に記載された技術では、合金元素として、MnおよびCuとともに希土類元素を含有させて、パーライト組織を緻密にすることで鋳鉄の強度を向上させている。
近年では、自動車の懸架装置部品や機械部品として、かしめ加工や塑性加工を施す必要性が高まってきており、優れた強度と伸び特性とを兼備した球状黒鉛鋳鉄が要求されている。しかしながら、球状黒鉛鋳鉄では一般に、強度を重視すると伸び特性が低くなり、また、伸び特性を重視すると強度が低くなる傾向がある。そのため、これらの特性を高いレベルで両立することは容易ではない。引張り強さと伸び特性の両立を図るため、例えば、伸び特性が良好な高靭性の球状黒鉛鋳鉄を用い、その鋳鉄の肉厚を厚くすることで強度不足を補うことなどが行われるが、肉厚化に伴う重量増大やコスト増大が懸念される。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、優れた引張り強さと伸び特性とを両立した球状黒鉛鋳鉄を提供することを目的とする。
本発明の球状黒鉛鋳鉄は、C:3.0〜4.0質量%、Si:4.0〜4.5質量%、Mn:0.20〜0.40質量%、Cu:0.20〜0.40質量%、Ni:1.65〜1.90質量%、Mg:0.02〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、MnとCuの合計の含有量が、0.50〜0.65質量%であることを特徴とする。
引張り強さが700MPa以上であり、伸びが10%以上であることを特徴とする。また、0.2%耐力が420MPa以上であり、耐力比(0.2%耐力/引張り強さ)が0.75〜0.80であることを特徴とする。
基地組織がパーライト組織とフェライト組織から構成され、該基地組織において、パーライト組織の面積率が2〜15%であり、フェライト組織の面積率が85〜98%であることを特徴とする。ここで、「パーライト組織の面積率」および「フェライト組織の面積率」は、所定の大きさの視野において黒鉛を除いた基地組織(パーライト組織およびフェライト組織)の面積を100%とした場合の各組織の面積の割合(%)を示す。
本発明の球状黒鉛鋳鉄は、所定の組成を有するので、優れた引張り強さと伸び特性とを両立できる。具体的には、引張り強さが700MPa以上(FCD700と同等)であり、かつ、伸びが10%以上(FCD450と同等)であるので、特に、高い引張り強さと伸び特性が要求される自動車の懸架装置部品や機械部品に適している。
球状黒鉛鋳鉄として、一般に、JIS規格のFCD350、FCD400、FCD450などの高靭性のものや、FCD600、FCD700、FCD800などの高強度のものが知られている。例えば、高強度タイプのFCD700は、引張強さが700MPa以上、伸びが2%以上である。また、高靭性タイプのFCD450は、引張強さが450MPa以上、伸びが10%以上である。一般に、強度および伸びの一方を増大させると他方が低減する傾向にあるため、高強度かつ高靭性のものを取得することは容易でない。本発明者らは、FCD700と同等の引張強さを備えつつも、FCD450と同等の伸び特性を有する球状黒鉛鋳鉄を取得するべく鋭意検討を行なった。その結果、合金元素として、C、Si、Mn、Cu、Ni、Mgをそれぞれ所定量含有させることで、基地組織の大部分がフェライト組織となり、高強度かつ高靭性の球状黒鉛鋳鉄が得られることを見出した。本発明は、このような知見に基づくものである。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の成分組成は、C:3.0〜4.0質量%、Si:4.0〜4.5質量%、Mn:0.20〜0.40質量%、Cu:0.20〜0.40質量%、Ni:1.65〜1.90質量%、Mg:0.02〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物であり、MnとCuの合計の含有量が、0.50〜0.65質量%である。上記成分組成の詳細を以下に説明する。
C:3.0〜4.0質量%
C(炭素)は、球状黒鉛の晶出量や溶湯の流動性などに影響する重要な元素である。C含有量が3.0質量%未満では、流動性の不足により引け巣が発生しやすく、また黒鉛量が不足し、所望の機械的特性を確保する球状黒鉛鋳鉄とすることが困難となる。一方、C含有量が4.0質量%を超えると、黒鉛量が過多となり、強度が低下するおそれがある。C含有量は、好ましくは3.0〜3.4質量%である。
C(炭素)は、球状黒鉛の晶出量や溶湯の流動性などに影響する重要な元素である。C含有量が3.0質量%未満では、流動性の不足により引け巣が発生しやすく、また黒鉛量が不足し、所望の機械的特性を確保する球状黒鉛鋳鉄とすることが困難となる。一方、C含有量が4.0質量%を超えると、黒鉛量が過多となり、強度が低下するおそれがある。C含有量は、好ましくは3.0〜3.4質量%である。
Si:4.0〜4.5質量%
Si(珪素)は、黒鉛の生成を促進するとともに、フェライト組織の析出を促進し、高延性の確保に寄与する元素である。Si含有量が4.0質量%未満では、これらの作用が不十分である。一方、Si含有量が4.5質量%を超えると、シリコフェライトを生成して、靭性を低下させるおそれがある。Si含有量は、好ましくは4.1〜4.4質量%である。
Si(珪素)は、黒鉛の生成を促進するとともに、フェライト組織の析出を促進し、高延性の確保に寄与する元素である。Si含有量が4.0質量%未満では、これらの作用が不十分である。一方、Si含有量が4.5質量%を超えると、シリコフェライトを生成して、靭性を低下させるおそれがある。Si含有量は、好ましくは4.1〜4.4質量%である。
Mn:0.2〜0.4質量%
Mn(マンガン)は、パーライト組織を緻密化するととともに、基地の高強度化に寄与する元素である。Mn含有量が0.2質量%未満では強度が低下し、所望の高強度を確保できなくなる。一方、Mn含有量が0.4質量%を超えると、凝固セルの粒界にMnが偏析して材質を脆化させる。Mn含有量は、好ましくは0.25〜0.35質量%である。
Mn(マンガン)は、パーライト組織を緻密化するととともに、基地の高強度化に寄与する元素である。Mn含有量が0.2質量%未満では強度が低下し、所望の高強度を確保できなくなる。一方、Mn含有量が0.4質量%を超えると、凝固セルの粒界にMnが偏析して材質を脆化させる。Mn含有量は、好ましくは0.25〜0.35質量%である。
Cu:0.2〜0.4質量%
Cu(銅)は、パーライト組織を緻密化するととともに、基地の高強度化に寄与する元素である。Cu含有量が0.2質量%未満では強度が低下し、所望の高強度を確保できなくなる。一方、Cu含有量が0.4質量%を超えると、伸びの低下を招くおそれがある。Cu含有量は、好ましくは0.25〜0.35質量%である。
Cu(銅)は、パーライト組織を緻密化するととともに、基地の高強度化に寄与する元素である。Cu含有量が0.2質量%未満では強度が低下し、所望の高強度を確保できなくなる。一方、Cu含有量が0.4質量%を超えると、伸びの低下を招くおそれがある。Cu含有量は、好ましくは0.25〜0.35質量%である。
パーライト安定化元素であるMnとCuの合計の含有量は、0.50〜0.65質量%であり、0.55〜0.65質量%が好ましい。MnとCuの含有量が0.50質量%未満になると引張り強さが十分に向上せず、0.65質量%を超えると、伸びが低下して所望の機械的性質が得られないことがある。また、Siの含有量と、MnとCuの合計の含有量との比(Si/(Mn+Cu))を6.5〜8.0とすることで、強度と伸びをバランス良く向上させ、かつMnとCuの添加量を最小限に抑えることができる。
Ni:1.65〜1.90質量%
Ni(ニッケル)は、基地中に固溶して炭素の拡散を抑制し、基地のパーライト変態を促進し、強度を増加させる効果を有する元素である。一方、1.90質量%を超える含有はオーステナイトを安定化させ、基地組織を一部、ベイナイト化、あるいはマルテンサイト化させて、強度のばらつきを大きくする悪影響を及ぼす。Ni含有量は、好ましくは1.70〜1.85質量%である。
Ni(ニッケル)は、基地中に固溶して炭素の拡散を抑制し、基地のパーライト変態を促進し、強度を増加させる効果を有する元素である。一方、1.90質量%を超える含有はオーステナイトを安定化させ、基地組織を一部、ベイナイト化、あるいはマルテンサイト化させて、強度のばらつきを大きくする悪影響を及ぼす。Ni含有量は、好ましくは1.70〜1.85質量%である。
Mg:0.02〜0.06質量%
Mg(マグネシウム)は、黒鉛の球状化に必要な元素であり、球状黒鉛鋳鉄では必須元素である。Mg含有量が0.02質量%未満では十分な効果が得られないおそれがある。一方、Mg含有量が0.06質量%を超えると、Mgの酸化物が多量のドロスを発生させ、表面欠陥を増加させるおそれがある。Mg含有量は、好ましくは0.03〜0.05質量%である。
Mg(マグネシウム)は、黒鉛の球状化に必要な元素であり、球状黒鉛鋳鉄では必須元素である。Mg含有量が0.02質量%未満では十分な効果が得られないおそれがある。一方、Mg含有量が0.06質量%を超えると、Mgの酸化物が多量のドロスを発生させ、表面欠陥を増加させるおそれがある。Mg含有量は、好ましくは0.03〜0.05質量%である。
上記各合金元素のほかには、P、S、Crなどの不可避的不純物が含有される。例えば、Pは0.08質量%以下、Sは0.02質量%以下、Crは0.06質量%以下とすることが好ましい。また、一般に、黒鉛球状化剤として使用されるFe−Si−Mg合金や、接種剤として使用されるFe−Si合金、Ca−Si合金中に含有される、Al、Ca、Ba、Bi、REMなども不可避的不純物として許容される。
本発明の球状黒鉛鋳鉄は、上記の組成を有するため、高強度かつ高靭性の機械的特性を示す。具体的な数値としては、引張強さが700MPa以上、0.2%耐力が420MPa以上、伸びが10%以上である。より好ましくは、引張強さが710MPa以上、0.2%耐力が450MPa以上、伸びが12%以上である。引張強さ、0.2%耐力、伸びは、JIS Z 2241に準拠した方法で測定される。また、従来の球状黒鉛鋳鉄では、耐力比(0.2%耐力/引張強さ)が0.6〜0.65程度であるところ、本発明の球状黒鉛鋳鉄では0.75〜0.8と優れた耐力比を有する。本発明の球状黒鉛鋳鉄は、従来の高強度の球状黒鉛鋳鉄(例えば、FCD700など)に比べて伸びが極めて高く、肉薄化による軽量化に大いに貢献できる。
このため、本発明の球状黒鉛鋳鉄は、高強度かつ高靭性が求められる、ステアリングナックル、ロアアーム、アッパーアーム、サスペンションなどの足回り部品や、シリンダーヘッド、クランクシャフト、ピストンなどのエンジン部品への適用が可能となる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の組織の性状について説明する。本発明の球状黒鉛鋳鉄は、パーライト組織の面積率が1〜30%であり、フェライト組織の面積率が70〜99%である。また、パーライト組織の面積率が2〜20%、フェライト組織の面積率が80〜98%であることが好ましく、パーライト組織の面積率が2〜15%、フェライト組織の面積率が85〜98%であることがより好ましい。例えば、各組織の面積率は、画像解析ソフトを用いて、5視野の平均から求められる。本発明の球状黒鉛鋳鉄は、フェライト組織が高割合であるため、従来のパーライト組織が高割合の球状黒鉛鋳鉄に比べて肉厚による硬度差が少ないため、切削性にも優れる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の黒鉛粒数は300個/mm2以上、かつ、黒鉛球状化率が90%以上であることが好ましい。また、黒鉛の平均粒径が20μm以下であることが好ましい。
本発明の球状黒鉛鋳鉄の製造方法について、以下に説明する。本発明の球状黒鉛鋳鉄の成分組成の各含有量を超えない範囲で、溶解炉(高周波炉、低周波炉)内で原料溶湯の成分を調整する。次に、溶解炉から取鍋へ注湯する際に、周知のサンドイッチ法を用いて、原料溶湯に黒鉛球状化剤(Fe−Si−Mg粉末)を接種・添加する。サンドイッチ法は、取鍋の底部に所定量の黒鉛球状化剤を配置し、その上を鉄屑などのカバー材で覆った状態で、溶解炉から原料溶湯を注ぐことで、取鍋内で原料溶湯と黒鉛球状化剤を反応させ鋳鉄溶湯内に球状黒鉛粒子を生成させる方法である。なお、必要に応じて、接種材を取鍋内添加または注湯流接種する。
なお、成分調整された原料溶湯の各元素の含有量と、取鍋内に配置される黒鉛球状化剤などの各添加元素の添加量とを合わせた総量が、本発明の球状黒鉛鋳鉄の成分組成となる。
取鍋内で鋳鉄溶湯に球状黒鉛粒子が生成された後、鋳鉄溶湯の表面に生成されたシリカなどの不要物(ノロ)を除去し、取鍋から鋳鉄溶湯を出湯する。このとき、所望の形状に形成された砂型、金型等の常用の鋳型に出湯する。その後、鋳型内で鋳鉄溶湯を冷却する。これにより、鋳鉄溶湯が冷却された鉄基地内に球状黒鉛粒子を形成した球状黒鉛鋳鉄を得ることができる。
本発明を実施例により具体的に説明するが、これらの例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1〜2、比較例1〜6>
原料として、従来材である球状黒鉛鋳鉄(DIN規格:FCD600−10)を準備し、これを100kg高周波溶解炉内で加熱して溶融して、原料溶湯を得た。ここで、表1の各含有量となるように、必要に応じて、Ni粉末、Mn粉末、およびCu粉末を溶解炉内に添加した。続いて、溶解炉から原料溶湯を取鍋に注入し、原料溶湯に所定量の黒鉛球状化剤(Fe−Si−Mg粉末)を接触させて、鋳鉄溶湯内に球状黒鉛粒子を生成した。球状黒鉛粒子が生成された鋳鉄溶湯を、図1に示すYブロック(JIS G 5502のY形供試材B号)の鋳型に注湯し、その後、鋳型内で2時間自然放冷(鋳放し)して、球状黒鉛鋳鉄を得た。なお、図1のY形供試材B号の寸法は、全高さa:150mm、奥行きb:210mm、上方柱部の高さc:105mm、下方柱部の高さd:45mm、上幅e:55mm、下幅f:25mmである。各球状黒鉛鋳鉄の成分組成を表1に示す。
原料として、従来材である球状黒鉛鋳鉄(DIN規格:FCD600−10)を準備し、これを100kg高周波溶解炉内で加熱して溶融して、原料溶湯を得た。ここで、表1の各含有量となるように、必要に応じて、Ni粉末、Mn粉末、およびCu粉末を溶解炉内に添加した。続いて、溶解炉から原料溶湯を取鍋に注入し、原料溶湯に所定量の黒鉛球状化剤(Fe−Si−Mg粉末)を接触させて、鋳鉄溶湯内に球状黒鉛粒子を生成した。球状黒鉛粒子が生成された鋳鉄溶湯を、図1に示すYブロック(JIS G 5502のY形供試材B号)の鋳型に注湯し、その後、鋳型内で2時間自然放冷(鋳放し)して、球状黒鉛鋳鉄を得た。なお、図1のY形供試材B号の寸法は、全高さa:150mm、奥行きb:210mm、上方柱部の高さc:105mm、下方柱部の高さd:45mm、上幅e:55mm、下幅f:25mmである。各球状黒鉛鋳鉄の成分組成を表1に示す。
得られた各球状黒鉛鋳鉄から試験片を採取し、それぞれについて機械的特性および組織特性を測定した。結果を表2に示す。また、実施例1および実施例2の試験片を光学顕微鏡でそれぞれ観察した組織写真を図2および図3に示す。
<引張強さ>
JIS Z 2201の4号試験片を図1の供試材の斜線を施した部分から採取して、JIS Z 2241の方法に準拠して引張強さを測定した。引張強さは、700MPa以上を合格とした。
JIS Z 2201の4号試験片を図1の供試材の斜線を施した部分から採取して、JIS Z 2241の方法に準拠して引張強さを測定した。引張強さは、700MPa以上を合格とした。
<耐力>
JIS Z 2201の4号試験片を図1の供試材の斜線を施した部分から採取して、JIS Z 2241の方法に準拠して0.2%耐力を測定した。0.2%耐力は、420MPa以上を合格とした。
JIS Z 2201の4号試験片を図1の供試材の斜線を施した部分から採取して、JIS Z 2241の方法に準拠して0.2%耐力を測定した。0.2%耐力は、420MPa以上を合格とした。
<伸び>
JIS Z 2201の4号試験片を図1の供試材の斜線を施した部分から採取して、JIS Z 2241の方法に準拠して伸びを測定した。伸びは、10%以上を合格とした。
JIS Z 2201の4号試験片を図1の供試材の斜線を施した部分から採取して、JIS Z 2241の方法に準拠して伸びを測定した。伸びは、10%以上を合格とした。
<ブリネル硬さ>
ブリネル硬さは、JIS Z 2243に準拠した方法により測定した。ブリネル硬さは、180〜300の範囲を合格とした。
ブリネル硬さは、JIS Z 2243に準拠した方法により測定した。ブリネル硬さは、180〜300の範囲を合格とした。
<パーライト面積率の測定>
パーライト組織の面積率(%)は、画像解析ソフトを用い、5視野の平均により測定した。
パーライト組織の面積率(%)は、画像解析ソフトを用い、5視野の平均により測定した。
<黒鉛粒数の測定>
黒鉛粒数は、観察画像を取り込み、画像解析システムにより2値化を行ない、黒鉛の個数を測定した。測定結果は5か所の観察箇所についての平均値とした。
黒鉛粒数は、観察画像を取り込み、画像解析システムにより2値化を行ない、黒鉛の個数を測定した。測定結果は5か所の観察箇所についての平均値とした。
<黒鉛球状化率の測定>
黒鉛球状化率は、JIS G 5502に準拠した方法により測定した。
黒鉛球状化率は、JIS G 5502に準拠した方法により測定した。
表1、表2では、従来材(引張強さ:600MPa、伸び10%)をベースとし、これの強度を向上させるために、Mn、Cu、Niを適宜添加して検討を行った。従来材にMn、Cuを添加した場合には、パーライト面積率が増加することで引張強さが向上したものの、伸び特性が低下した(比較例1、2)。また、従来材にNiを添加した場合も引張強さが向上するものの、伸び特性が低下した(比較例3)。
また、MnとCuの含有量を0.55〜0.65質量%と抑えつつ、Niの含有量を1.5〜2.0質量%の範囲内で検討した。その結果、実施例1、2において引張強さが700MPa以上、伸びが10%以上となり、強度と靭性がいずれも向上した。また、実施例1、2の耐力比は0.75以上であった。一方、比較例4(Ni:1.64質量%)では引張強さが700MPa未満となり、比較例5(Ni:1.93質量%)では伸びが10%未満となった。
本発明の球状黒鉛鋳鉄では、MnとCuの含有量を抑えることで基地組織におけるフェライト組織の割合を高くして優れた伸び特性を確保しつつも、所定量のNiを含むことで、強度を向上させることができる。このように、特に、Si、Mn、Cu、Niの含有量を規定することで、引張強度を高め、かつ伸びを向上させることが可能となる。
本発明の球状黒鉛鋳鉄は、優れた引張り強さと伸び特性とを両立しているので、幅広い機械部品に使用でき、特に、自動車の懸架装置部品などに好適に利用できる。
Claims (4)
- C:3.0〜4.0質量%、Si:4.0〜4.5質量%、Mn:0.20〜0.40質量%、Cu:0.20〜0.40質量%、Ni:1.65〜1.90質量%、Mg:0.02〜0.06質量%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成を有し、
MnとCuの合計の含有量が、0.50〜0.65質量%であることを特徴とする球状黒鉛鋳鉄。 - 引張り強さが700MPa以上であり、伸びが10%以上であることを特徴とする請求項1記載の球状黒鉛鋳鉄。
- 0.2%耐力が420MPa以上であり、耐力比(0.2%耐力/引張り強さ)が0.75〜0.80であることを特徴とする請求項2記載の球状黒鉛鋳鉄。
- 基地組織がパーライト組織とフェライト組織から構成され、該基地組織において、パーライト組織の面積率が2〜15%であり、フェライト組織の面積率が85〜98%であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の球状黒鉛鋳鉄。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2021141087A1 (ja) | 2020-01-09 | 2021-07-15 | 株式会社オリジン | 酸化物除去済部材の製造方法及び酸化物除去装置 |
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WO2021141087A1 (ja) | 2020-01-09 | 2021-07-15 | 株式会社オリジン | 酸化物除去済部材の製造方法及び酸化物除去装置 |
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