JP2007063576A - 非鉄溶融金属用合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】 非鉄溶融金属と接触して使用される各種の耐溶損性合金に適用できるものについて、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れるとともに、高温下での繰り返し使用の際に変形を抑え、また被削性に優れる非鉄溶融金属用合金を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、Ni≦2.0%、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。また、前記非鉄溶融金属用合金に、質量%でCo≦5.0%、Cu≦2.0%、Al:0.001〜0.1%、W<0.2%、Nb≦10.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、Ni≦2.0%、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。また、前記非鉄溶融金属用合金に、質量%でCo≦5.0%、Cu≦2.0%、Al:0.001〜0.1%、W<0.2%、Nb≦10.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金等の非鉄溶融金属と接触して使用される耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れる合金に係り、詳しくは、高温下での繰り返し使用の際に変形することを防ぎ、また被削性を向上させた改良に関する。
近年、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの非鉄合金は、自動車製品、家電製品などの各種構成部材の製造に広く利用されている。これらの製品を製造する際、非鉄溶融金属溶湯と接触して用いられる部材、例えば、ダイカストスリーブ、ガス吹込み管、中子、ストーク、湯口部材、ラドル等は耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性が要求される。
この種の部材としては、SKD61に代表される熱間金型用合金鋼からなるものが一般的に用いられる。近年、生産性の向上や品質向上の観点から、さらなる耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性が要求されている。
そこで、これらの要求に応えるために、本出願人は既に特許文献1を提案した。特許文献1の非鉄溶融金属用合金は、質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn<0.2%、Ni:4.0〜10.0%、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%、Al:0.001〜0.1%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。また、加えてW<0.2%、Co≦5.0%、Nb≦10.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
特許文献1の非鉄溶融金属用合金は、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れるものの、次の問題があった。すなわち、アルミニウム合金製品の高性能化に伴い、アルミニウム合金の溶融金属は高温化し、約800℃に達することがある。このような高温下で使用する場合、特許文献1の非鉄溶融金属用合金は、そのAc1変態点が約650℃であるため、組織変態を起こす。このため、高温での繰り返しの使用において、変態により変形するおそれがあるという問題がある。
また、特許文献1の非鉄溶融金属用合金は、その基地がマルテンサイト変態しやすいため、硬くて切削加工し難い、すなわち被削性が良好でなく不十分であるという問題がある。
そこで、本発明の目的は、非鉄溶融金属と接触して使用される各種の耐溶損性合金に適用できるものについて、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れるとともに、高温下での繰り返し使用の際に変形を抑え、また被削性に優れる非鉄溶融金属用合金を提供することである。
本発明の非鉄溶融金属用合金は、質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、Ni≦2.0%、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。
また、前記非鉄溶融金属用合金に、質量%で、Co≦5.0%を含有することを特徴とする。また、前記非鉄溶融金属用合金に、質量%で、Cu≦2.0%を含有することを特徴とする。さらに加えて、前記非鉄溶融金属用合金に、質量%で、Al:0.001〜0.1%、W<0.2%、Nb≦10.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
また、前記非鉄溶融金属用合金の基地組織がフェライトを主体することを特徴とする。
次いで、本発明の非鉄溶融金属用合金の化学成分(質量%)について説明する。本発明の非鉄溶融金属用合金の化学成分は以下の範囲が望ましい。
C:1.0〜4.0%
Cは、耐摩耗性、耐溶損性の向上のための炭化物の形成と、基地への固溶による焼入れ・焼戻し時の基地硬さの向上に必要である。Cは、耐摩耗性、耐溶損性の向上に寄与する硬質炭化物を生成する。Cが1.0%未満では耐摩耗性、耐溶損性を向上させるために有効な硬質炭化物の晶出が少なく、また基地に固溶するCが不足し、焼入れによっても十分な基地硬さが得られなくなる。一方、4.0%を超えると硬質炭化物が粗大化しその晶出量も過大となり、靭性が劣化しやすい。さらに、好ましいC含有量は、2.0〜3.5%である。
Cは、耐摩耗性、耐溶損性の向上のための炭化物の形成と、基地への固溶による焼入れ・焼戻し時の基地硬さの向上に必要である。Cは、耐摩耗性、耐溶損性の向上に寄与する硬質炭化物を生成する。Cが1.0%未満では耐摩耗性、耐溶損性を向上させるために有効な硬質炭化物の晶出が少なく、また基地に固溶するCが不足し、焼入れによっても十分な基地硬さが得られなくなる。一方、4.0%を超えると硬質炭化物が粗大化しその晶出量も過大となり、靭性が劣化しやすい。さらに、好ましいC含有量は、2.0〜3.5%である。
Si:0.2〜4.0%
Siの含有量は0.2〜4.0%が好ましい。Siは、脱酸剤として作用し、また硬質炭化物中に固溶してW、Moなどの元素を置換して含有されるため、W、Moなどの高価な元素の節減を図るために有効である。また、Siは、表面に緻密な酸化膜を形成し、耐酸化性の向上に有効である。Siが0.2%未満では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、4.0%を超えると脆化が生じやすい。より好ましいSiの含有量は、1.0〜3.0%である。1.0%以下では、基地がマルテントサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなる。3.0%を超えると、基地硬さが向上し、難削の傾向を呈するので、被削性を良好に確保するには、できるかぎり低く抑えるのが望ましい。
Siの含有量は0.2〜4.0%が好ましい。Siは、脱酸剤として作用し、また硬質炭化物中に固溶してW、Moなどの元素を置換して含有されるため、W、Moなどの高価な元素の節減を図るために有効である。また、Siは、表面に緻密な酸化膜を形成し、耐酸化性の向上に有効である。Siが0.2%未満では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、4.0%を超えると脆化が生じやすい。より好ましいSiの含有量は、1.0〜3.0%である。1.0%以下では、基地がマルテントサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなる。3.0%を超えると、基地硬さが向上し、難削の傾向を呈するので、被削性を良好に確保するには、できるかぎり低く抑えるのが望ましい。
Mn:0.1〜2.0%
Mnの含有量は0.1〜2.0%が好ましい。Mnは、Siと同様に脱酸作用がある。また、不純物であるSをMnSとして固定する作用がある。Mnが2.0%を超えると、基地がマルテンサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなるため、被切削性を良好に確保し難いので好ましくない。
Mnの含有量は0.1〜2.0%が好ましい。Mnは、Siと同様に脱酸作用がある。また、不純物であるSをMnSとして固定する作用がある。Mnが2.0%を超えると、基地がマルテンサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなるため、被切削性を良好に確保し難いので好ましくない。
Ni≦2.0%
Niの含有量は2.0%以下(無添加を含む)が好ましい。Niが2.0%を超えると、基地がマルテンサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなる。また、Ac1変態点が低下し、高温での繰り返しの使用において、組織変態による変形のおそれが高まるので好ましくない。より好ましいNiの含有量は、1.0%以下である。1.0%以下では、基地が実質的にフェライトになり、基地が軟らかくなる。また、基地がフェライトになると、基地の組織変態が起きなくなるため、高温の使用時において金属組織的に安定する。
Niの含有量は2.0%以下(無添加を含む)が好ましい。Niが2.0%を超えると、基地がマルテンサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなる。また、Ac1変態点が低下し、高温での繰り返しの使用において、組織変態による変形のおそれが高まるので好ましくない。より好ましいNiの含有量は、1.0%以下である。1.0%以下では、基地が実質的にフェライトになり、基地が軟らかくなる。また、基地がフェライトになると、基地の組織変態が起きなくなるため、高温の使用時において金属組織的に安定する。
Cr:10.0〜25.0%
Cr含有量は10.0〜25.0%が好ましい。Cr含有量が10.0%未満では、耐酸化性が低下する。また、十分なCr炭化物を晶出させることができないため、アルミニウム溶融金属に対する耐溶損性が劣化する。
Cr含有量は10.0〜25.0%が好ましい。Cr含有量が10.0%未満では、耐酸化性が低下する。また、十分なCr炭化物を晶出させることができないため、アルミニウム溶融金属に対する耐溶損性が劣化する。
Mo≦9.0%
Mo含有量は9.0%以下が好ましい。Moは基地を安定させるのに有効であり、Moを含有させる場合、その含有量が9.0%を超えると、硬質炭化物の晶出を不安定とさせ、しかも耐食性が劣化してしまう。
Mo含有量は9.0%以下が好ましい。Moは基地を安定させるのに有効であり、Moを含有させる場合、その含有量が9.0%を超えると、硬質炭化物の晶出を不安定とさせ、しかも耐食性が劣化してしまう。
V:4.0〜15.0%
Vは、耐摩耗性、耐溶損性の向上に最も寄与する硬質なMC系炭化物、M4C3系炭化物を形成する。Vが4.0%未満では炭化物の生成が少なく耐摩耗性、耐溶損性が不足する。Vが15.0%を超えると、MC、M4C3系炭化物が凝固中に凝集偏析して脆性の劣化を引き起こすので好ましくない。より好ましいVの含有量は、8.0〜12.0%である。
Vは、耐摩耗性、耐溶損性の向上に最も寄与する硬質なMC系炭化物、M4C3系炭化物を形成する。Vが4.0%未満では炭化物の生成が少なく耐摩耗性、耐溶損性が不足する。Vが15.0%を超えると、MC、M4C3系炭化物が凝固中に凝集偏析して脆性の劣化を引き起こすので好ましくない。より好ましいVの含有量は、8.0〜12.0%である。
Co≦5.0%
Coは、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性を向上させる効果がある。溶融金属用部材の用途や目的に応じて適宜配合すればよい。5.0%を超えると、製造コストが高騰しやすく経済的に好ましくない。
Coは、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性を向上させる効果がある。溶融金属用部材の用途や目的に応じて適宜配合すればよい。5.0%を超えると、製造コストが高騰しやすく経済的に好ましくない。
Cu≦2.0%
Cuは、耐食性を向上させる効果がある。アルミニウム溶融金属用部材は、そのメンテナンス作業のために、酸洗いを施す場合がある。その際の酸に対する耐食性の向上に効果がある。2.0%を超えると、基地がマルテンサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなるため、被削性を良好に確保し難いので好ましくない。
Cuは、耐食性を向上させる効果がある。アルミニウム溶融金属用部材は、そのメンテナンス作業のために、酸洗いを施す場合がある。その際の酸に対する耐食性の向上に効果がある。2.0%を超えると、基地がマルテンサイト変態しやすくなり、硬度が上昇しやすくなるため、被削性を良好に確保し難いので好ましくない。
Al:0.001〜0.1%
Alは耐酸化性を向上させる効果がある。また、溶湯中のNおよびOと結合して酸窒化物を形成し、これらが溶湯中に懸濁されて核となり、硬質炭化物を粒状とし微細均一に晶出させる。硬質炭化物の形状を微細な粒状の粒にするとともに、金属組織中に均一に分散させるためには、Alを0.001%以上必要である。また、Alが0.1%を超えると、その効果が飽和する。
Alは耐酸化性を向上させる効果がある。また、溶湯中のNおよびOと結合して酸窒化物を形成し、これらが溶湯中に懸濁されて核となり、硬質炭化物を粒状とし微細均一に晶出させる。硬質炭化物の形状を微細な粒状の粒にするとともに、金属組織中に均一に分散させるためには、Alを0.001%以上必要である。また、Alが0.1%を超えると、その効果が飽和する。
W <0.2%
Nb≦10.0%
W、Nbは、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性を向上させる効果がある。溶融金属用部材の用途や目的に応じて適宜配合すればよい。Al、W、Nbは単独で配合しても効果はあるが、複数組み合わせて配合することにより、より優れた効果を得ることができる。
Nb≦10.0%
W、Nbは、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性を向上させる効果がある。溶融金属用部材の用途や目的に応じて適宜配合すればよい。Al、W、Nbは単独で配合しても効果はあるが、複数組み合わせて配合することにより、より優れた効果を得ることができる。
また、本発明の非鉄溶融金属用合金は、その熱伝導率が従来のSKD61鋼と比べ約10W/m・Kと小さいため、例えば本発明の合金を保温性が要求されるダイカストスリーブのライナ材に適用した場合、ライナ材からダイカストスリーブの外筒への熱の移動がほとんど無く、保温性が良好なものとなる。
本発明の非鉄溶融金属用合金は、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金等の非鉄溶融金属と接触して使用される部材に好適であり、具体的にはダイカストスリーブ、ガス吹込み管、中子、ストーク、湯口部材、ラドル、プランジャチップ、ヒーターチューブ、熱電対保護管、脱ガス用ロータ、鋳型、堰入れ子、ランスパイプ等の各種部材が挙げられる。
また、本発明の非鉄溶融金属用合金を用いた部材は、静置鋳造法、遠心鋳造法、肉盛法、焼結法など、公知の方法で製造できる。さらに、本発明の非鉄溶融金属用合金は、単体で用いるのみならず鋼等の基材の表面に被覆して用いても良い。
供試材として、表1に示すものを用意した。供試材No.1〜No.3は本発明例の非鉄溶融金属用合金材、供試材No.4は比較例の非鉄溶融金属用合金材(特許文献1の発明の技術範囲に該当するもの)、供試材No.5はSKD61鋼相当材である。
本発明例の供試材No.1および比較例の供試材No.4から、棒形状の試験片をそれぞれ採取した。この試験片を用いて、TMA(Thermomechanical Analysys)装置で、示差膨張方式による加熱時の膨張量を測定した。両試験片とも常温から850℃まで加熱し、2時間保持した後、20℃/分の冷却速度で冷却して測定を行った。
図1は横軸に温度、縦軸に膨張量をとったTMA線図を示す。図1において、図1(a)は本発明例の供試材No.1のTMA線図、図1(b)は比較例の供試材No.4のTMA線図である。
図1(b)において、比較例はNiの含有量が多過ぎるため、Ac1変態点が650℃程度と比較的低い。アルミニウム溶融金属が約800℃の高温に達する場合、使用中にオーステナイトに変態する。高温での繰り返しの使用において、高温域に達する度に、組織変態を起こし変形するおそれがあることがわかった。
また、高温での使用後に冷却していくと、さらにオーステナイトからマルテンサイトに変態(Ms変態点)する。なお、常温から850℃まで加熱し、2時間保持した後、0.5℃/分の冷却速度で除冷しても、同様にマルテンサイトに変態することがわかった。
この結果から、650℃を超える温度域から冷却を行うとマルテンサイト変態し、基地が硬化する。650℃以下の温度域では、基地の軟化は起きない。このため、基地はマルテンサイトで、合金硬さを低下させることができない。つまり、焼鈍ができないため、切削加工が難しくなる傾向を呈することがわかった。
一方、図1(a)において、本発明例はAc1変態点がなくなり、アルミニウム溶融金属が約800℃の高温に達する場合でも、使用中に変態することを抑えられることが確認できた。つまり、高温での繰り返しの使用において、高温域に達する度に、組織変態を起こし変形するおそれを防止できる。
また、本発明例は高温での使用後に冷却しても、マルテンサイトに変態することがなく、焼鈍ができることがわかった。
本発明は、Niの含有量をできるかぎり少なくすることにより、基地を実質的にフェライトにできたことが最大の特徴である。Niはオーステナイト安定化元素で、Niが少なくなることにより、フェライトが安定化したと考えられる。これにより、(1)Ac1変態点がなくなり、(2)マルテンサイト変態がなくなり、(3)基地のフェライト化により合金の硬さが低下し、被削性が向上でき得る。
次いで、これらの供試材No.1〜5より、それぞれ直径10mm、長さ100mmの丸棒形状の試験片を採取し、耐溶損性試験用の試験片とした。これらの試験片を用いて、アルミニウム合金溶湯に対する回転溶損試験を行い、耐溶損性を調べた。回転溶損試験は各試験片を先端から20mm、720℃に保持したアルミニウム合金(ADC12)溶湯へ浸漬させ、前記試験片を100rpmで回転させて、5時間経過後に溶損で減少した溶損減量(g/m2/min)を測定した。
また、前記供試材No.1〜5より、直径10×長さ15mmの試験片を採取し、耐摩耗試験に供した。耐摩耗試験はアブレイシブ摩耗試験を適用し摩耗減量を測定した。アブレイシブ摩耗試験は、前記各試験片を150rpmで回転するSiC砥粒サンドペーパー(#400)に90Nの圧力で3分間押圧することで行った。評価は試験後の重量減を測定して行った。
また、前記供試材No.1〜5より、縦7mm×横10mm×長さ11mmの試験片を採取し、耐酸化試験に供した。耐酸化試験は700℃、大気雰囲気炉中にて24時間保持後の酸化増量を測定した。
さらに、前記供試材No.1〜5から、直径10mm×厚さ3mmの試験片を採取し、の熱伝導率測定試験に供した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法JIS R1611に準拠して常温での比熱および熱拡散率を測定し熱伝導率を算出した。
前記の試験結果および硬さ(HRC)を表2に示す。表2より本発明例の非鉄溶融金属用合金は、比較例の供試材No.4に比べ、硬さが低いため被削性が良化しているのがわかる。また、従来から使用されているSKD61に比べ、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性の各性能に関して格段に優れることが判った。
本発明の非鉄溶融金属用合金によれば、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れるとともに、高温下での繰り返し使用の際に変形を抑え、また被削性に優れるので、ダイカストスリーブ、ガス吹込み管、中子、ストーク、湯口部材、ラドル等をはじめ、非鉄溶融金属と接触して使用される各種の非鉄溶融金属用合金に用いる部材が長期間安定して使用でき、生産効率を高めることができる。
Claims (5)
- 質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜2.0%、Ni≦2.0%、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする非鉄溶融金属用合金。
- さらに、質量%で、Co≦5.0%を含有することを特徴とする請求項1に記載の非鉄溶融金属用合金。
- さらに、質量%で、Cu≦2.0%を含有することを特徴とする請求項1または2に記載の非鉄溶融金属用合金。
- さらに、質量%で、Al:0.001〜0.1%、W<0.2%、Nb≦10.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非鉄溶融金属用合金。
- 前記合金の基地組織がフェライトを主体することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非鉄溶融金属用合金。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005247388A JP2007063576A (ja) | 2005-08-29 | 2005-08-29 | 非鉄溶融金属用合金 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
2005
- 2005-08-29 JP JP2005247388A patent/JP2007063576A/ja active Pending
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