JP2006257507A - 非鉄溶融金属用合金 - Google Patents
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Abstract
【課題】 非鉄溶融金属と接触して使用される各種の耐溶損性合金に適用できるものについて、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れた非鉄溶融金属用合金を提供する。
【解決手段】 質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜5.0%、Ni:4.0%未満、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。また、前記非鉄溶融金属用合金に質量%でW<0.2%、Co≦5.0%、Nb≦10.0%、Al≦3.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
【解決手段】 質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜5.0%、Ni:4.0%未満、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。また、前記非鉄溶融金属用合金に質量%でW<0.2%、Co≦5.0%、Nb≦10.0%、Al≦3.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
【選択図】 なし
Description
本発明は、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金等の非鉄溶融金属と接触して使用される耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れた合金に関する。
近年、アルミニウム合金、マグネシウム合金などの非鉄合金は、自動車製品、家電製品などの各種構成部材の製造に広く利用されている。これらの製品を製造する際、非鉄溶融金属溶湯と接触して用いられる部材、例えば、ダイカストスリーブ、ガス吹込み管、中子、ストーク、湯口部材、ラドル等は耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性が要求される。
この種の部材としては、SKD61に代表される熱間金型用合金鋼からなるものが一般的に用いられる。近年、生産性の向上や品質向上の観点から、さらなる耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性が要求されている。
例えば、特許文献1には、化学成分が重量比でC:2.4〜3.8%、Si:0.2〜2.6%、Mn:0.1〜2.0%、P:0.05〜0.5%、S:0.005〜0.2%、残部Fe及び不純物元素を含み、炭化物と基地の金属組織を有する白銑系材料を用いて形成されてなることを特徴とする非鉄金属溶湯用部材が記載されている。前記白銑系材料は、さらに化学成分が重量比でNi:0.1〜4.0%、Cr:0.1〜2.5%、Mo:0.1〜2.0%、V:0.1〜2.0%の中の1種又は2種以上を含むことが記載されている。
しかしながら、特許文献1のような従来の非鉄金属溶湯用部材は、未だ耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性が十分とはいえなかった。
そこで、本発明の目的は、非鉄溶融金属と接触して使用される各種の耐溶損性合金に適用できるものについて、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れた非鉄溶融金属用合金を提供することである。
本発明の非鉄溶融金属用合金は、質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜5.0%、Ni:4.0%未満、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする。
また、前記非鉄溶融金属用合金に質量%でW<0.2%、Co≦5.0%、Nb≦10.0%、Al≦3.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする。
本発明の非鉄溶融金属用合金の化学成分(質量%)は以下の範囲が望ましい。
C:1.0〜4.0%
Cは、耐摩耗性向上のための炭化物の形成と、基地への固溶による焼入れ・焼戻し時の基地硬さの向上に必要である。Cは、耐摩耗性の向上に寄与する硬質炭化物を生成する。Cが1.0%未満では耐摩耗性を向上させるために有効な硬質炭化物の晶出が少なく、また基地に固溶するCが不足し、焼入れによっても十分な基地硬さが得られなくなる。一方、4.0%を超えると硬質炭化物が粗大化しその晶出量も過大となり、靭性が劣化しやすい。
Cは、耐摩耗性向上のための炭化物の形成と、基地への固溶による焼入れ・焼戻し時の基地硬さの向上に必要である。Cは、耐摩耗性の向上に寄与する硬質炭化物を生成する。Cが1.0%未満では耐摩耗性を向上させるために有効な硬質炭化物の晶出が少なく、また基地に固溶するCが不足し、焼入れによっても十分な基地硬さが得られなくなる。一方、4.0%を超えると硬質炭化物が粗大化しその晶出量も過大となり、靭性が劣化しやすい。
Si:0.2〜4.0%
Siの含有量は0.2〜4.0%が好ましい。Siは、脱酸剤として作用し、また硬質炭化物中に固溶してW、Moなどの元素を置換して含有されるため、W、Moなどの高価な元素の節減を図るために有効である。Siが0.2%未満では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、4.0%を超えると脆化が生じやすい。
Siの含有量は0.2〜4.0%が好ましい。Siは、脱酸剤として作用し、また硬質炭化物中に固溶してW、Moなどの元素を置換して含有されるため、W、Moなどの高価な元素の節減を図るために有効である。Siが0.2%未満では脱酸効果が不足して鋳造欠陥を生じやすい。また、4.0%を超えると脆化が生じやすい。
Mn:0.1〜5.0%
Mnの含有量は0.1〜5.0%が好ましい。Mnは、Siと同様に脱酸作用がある。Mnが0.1%未満であるとこの脱酸作用が劣化する。Mnが5.0%を超えると、耐溶損性および耐酸化性が劣る。また、炭化物の偏析を起こして強度が劣化する。Mnの含有量は0.15〜5.0%が好ましく、さらに0.2〜5.0%がより望ましい。
Mnの含有量は0.1〜5.0%が好ましい。Mnは、Siと同様に脱酸作用がある。Mnが0.1%未満であるとこの脱酸作用が劣化する。Mnが5.0%を超えると、耐溶損性および耐酸化性が劣る。また、炭化物の偏析を起こして強度が劣化する。Mnの含有量は0.15〜5.0%が好ましく、さらに0.2〜5.0%がより望ましい。
Ni:4.0%未満
Niの含有量は4.0%未満が好ましい。含有量が4.0%以上では、金属組織中に軟らかいオーステナイト相が過剰に残留するため、材料が変形しやすくなったり、焼入れ硬さが低下する原因になる。
Niの含有量は4.0%未満が好ましい。含有量が4.0%以上では、金属組織中に軟らかいオーステナイト相が過剰に残留するため、材料が変形しやすくなったり、焼入れ硬さが低下する原因になる。
Cr:10.0〜25.0%
Cr含有量は10.0〜25.0%が好ましい。これは、含有量10.0%未満では、安定したオーステナイトを晶出させることができず、耐食性を低下させてしまい、一方、25.0%を超えると偏析を起こして強度を劣化させる原因となる。
Cr含有量は10.0〜25.0%が好ましい。これは、含有量10.0%未満では、安定したオーステナイトを晶出させることができず、耐食性を低下させてしまい、一方、25.0%を超えると偏析を起こして強度を劣化させる原因となる。
Mo≦9.0%
Mo含有量は9.0%以下が好ましい。Moは基地を安定させるのに有効であり、Moを含有させる場合、その含有量が9.0%を超えると、硬質炭化物の晶出を不
安定とさせ、しかも耐食性が劣化してしまう。
Mo含有量は9.0%以下が好ましい。Moは基地を安定させるのに有効であり、Moを含有させる場合、その含有量が9.0%を超えると、硬質炭化物の晶出を不
安定とさせ、しかも耐食性が劣化してしまう。
V:4.0〜15.0%
Vは、耐摩耗性の向上に最も寄与する硬質なMC系炭化物、M4C3系炭化物を形成する。Vが4.0%未満では炭化物の生成が少なく耐摩耗性が不足する。Vが15.0%を超えると、MC、M4C3系炭化物が凝固中に凝集偏析して脆性の劣化を引き起こすので好ましくない。より好ましいVの含有量は、8.0〜12.0%である。
Vは、耐摩耗性の向上に最も寄与する硬質なMC系炭化物、M4C3系炭化物を形成する。Vが4.0%未満では炭化物の生成が少なく耐摩耗性が不足する。Vが15.0%を超えると、MC、M4C3系炭化物が凝固中に凝集偏析して脆性の劣化を引き起こすので好ましくない。より好ましいVの含有量は、8.0〜12.0%である。
W <0.2%
Co≦5.0%
Nb≦10.0%
Al≦3.0%
W、Co、Nb、Alについては、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性等の目的に応じて適宜配合すればよい。これらは単独で配合しても効果はあるが、複数組み合わせて配合することにより、より優れた効果を得ることができる。
Co≦5.0%
Nb≦10.0%
Al≦3.0%
W、Co、Nb、Alについては、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性等の目的に応じて適宜配合すればよい。これらは単独で配合しても効果はあるが、複数組み合わせて配合することにより、より優れた効果を得ることができる。
また、本発明の非鉄溶融金属用合金は、その熱伝導率が従来のSKD61鋼と比べ11〜12W/m・Kと小さいため、例えば本発明の合金を保温性が要求されるダイカストスリーブのライナ材に適用した場合、ライナ材からダイカストスリーブの外筒への熱の移動がほとんど無く、保温性が良好なものとなる。
本発明の非鉄溶融金属用合金は、アルミニウム合金、亜鉛合金、マグネシウム合金等の非鉄溶融金属と接触して使用される部材に好適であり、具体的にはダイカストスリーブ、ガス吹込み管、中子、ストーク、湯口部材、ラドル、プランジャチップ、ヒーターチューブ、熱電対保護管、脱ガス用ロータ、鋳型、堰入れ子、ランスパイプ等の各種部材が挙げられる。
また、本発明の非鉄溶融金属用合金を用いた部材は、静置鋳造法、遠心鋳造法、肉盛法、焼結法など、公知の方法で製造できる。さらに、本発明の非鉄溶融金属用合金は、単体で用いるのみならず鋼等の基材の表面に被覆して用いても良い。
供試材として、表1に示すものを用意した。供試材No.1〜No.3は本発明の非鉄溶融金属用合金材、供試材No.4は比較材、供試材No.5はSKD61鋼相当材である。
これらの供試材No.1〜5より、それぞれ直径10mm、長さ100mmの丸棒形状の試験片を採取し、耐溶損性試験用の試験片とした。これらの試験片を用いて、アルミニウム合金溶湯に対する回転溶損試験を行い、耐溶損性を調べた。回転溶損実験は各試験片を先端から50mm、720℃に保持したアルミニウム合金(ADC12)溶湯へ浸漬させ、前記試験片を100rpmで回転させて、5時間経過後に溶損で減少した溶損率(重量減%)を測定した。
前記供試材No.1〜5より、直径10×長さ15mmの試験片を採取し、耐摩耗試験に供した。耐摩耗試験はアブレイシブ摩耗試験を適用し摩耗減量を測定した。アブレイシブ摩耗試験は、前記各試験片を150rpmで回転するSiC砥粒サンドペーパー(#400)に90Nの圧力で3分間押圧することで行った。評価は試験後の重量減を測定して行った。
また、前記供試材No.1〜5より、直径10×長さ10mmの試験片を採取し、耐酸化試験に供した。耐酸化試験は800℃大気雰囲気炉中にて48時間保持後の酸化増量を測定した。
さらに、前記供試材No.1〜5から、直径10mm×厚さ3mmの試験片を採取し、の熱伝導率測定試験に供した。熱伝導率はレーザーフラッシュ法JIS R1611に準拠して常温での比熱および熱拡散率を測定し熱伝導率を算出した。
前記の試験結果を表2に示す。表2より本発明の非鉄溶融金属用合金は、従来から使用されているSKD61に比べ、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性の各性能に関して格段に優れることが判った。
本発明の非鉄溶融金属用合金によれば、耐溶損性、耐摩耗性、耐酸化性および保温性に優れるので、ダイカストスリーブ、ガス吹込み管、中子、ストーク、湯口部材、ラドル等をはじめ、非鉄溶融金属と接触して使用される各種の非鉄溶融金属用合金に用いる部材が長期間安定して使用でき、生産効率を高めることができる。
Claims (2)
- 質量%で、C:1.0〜4.0%、Si:0.2〜4.0%、Mn:0.1〜5.0%、Ni:4.0%未満、Cr:10.0〜25.0%、Mo≦9.0%、V:4.0〜15.0%を含有し残部Feおよび不可避的不純物元素からなることを特徴とする非鉄溶融金属用合金。
- さらに、質量%でW<0.2%、Co≦5.0%、Nb≦10.0%、Al≦3.0%のうちいずれか一種以上を含有することを特徴とする請求項1に記載の非鉄溶融金属用合金。
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2005
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