JP3823347B2 - 高耐力、高延性鋳鉄及びその製造方法 - Google Patents
高耐力、高延性鋳鉄及びその製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は高耐力、高延性の鋳鉄及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
球状黒鉛鋳鉄は高い機械的強度や伸びを有しているため、種々の機械や自動車部品として広く使用されている。伸びを必要とする部品にはJISのFCD370材や450材等が使用され、機械的強度を必要とする部品には、JISのFCD600材等が使用されている。とくに自動車の懸架装置部品としては、かしめ加工や塑性加工の必要性が高まってきており、優れた耐力と伸び特性、または優れた耐力比と伸び特性を兼備したものが要求されている。
【0003】
球状黒鉛鋳鉄の強靱化を狙ったものとして、特公昭55ー9452号公報には、低Mn材でフェライト粒とパーライト粒との微細混合組織よりなる基地に黒鉛を晶出した組織を有するものが開示されている。
また、特開平3ー202418号公報には、JISのFCD400材等を用い、自動車部品の締結部のみを誘導加熱保持後、焼入れ、焼戻し処理し、硬さの低下を防ぐ技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、JISのFCD370材はほとんどが通常のフェライトの基地で伸びは17%以上、耐力は235N/mm2と規定されており、高延性を示すが、耐力比(耐力/引張強さ)は0.65〜0.70程度である。一方、FCD600材は通常のフェライトとパーライトの混合組織の基地で耐力は373N/mm2 以上、伸びは3%以上と規定されており、耐力比は0.63〜0.65程度である。何れの場合も耐力比は0.63〜0.70と不十分であった。
【0005】
また、上記特公昭55ー9452号公報に開示される球状黒鉛鋳鉄として、CuやNiを含有する例が示されている。しかしこの球状黒鉛鋳鉄は0.06又は0.07%の低Mn材を用い、パーライト基地のものを775〜790℃の狭い共析変態温度に加熱後空冷することにより、基地がパーライト粒とこのパーライト粒からフェライト化した粒との微細混合組織となるものである。耐力比は0.65と低く優れた耐力と伸び特性、または優れた耐力比と伸び特性を兼備するものではなく、熱処理加熱温度範囲も狭く管理する温度範囲が狭いという問題がある。また、特開平3ー202418号公報には、JISのFCD400材等の鋳造部品について部分的に硬度の低下を防ぐために、誘導加熱による局部熱処理が開示されているが、局部熱処理された部分は焼戻しマルテンサイト組織となり、他の部分は通常のフェライト基地組織となっており、鋳造部品全体について優れた耐力と伸び特性、または優れた耐力比と伸び特性を兼備していない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決し、高耐力と高延性を兼備した鋳鉄とその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者は上記の課題を解決するために種々検討し、鋳鉄の適正な組成と成分範囲を確認し、かつ適正な熱処理を施すことが必要であることを究明し本発明に想到した。
【0008】
即ち、上記目的を達成するための本第1の発明の高耐力、高延性鋳鉄は、重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出した組織であることを特徴とする。
【0009】
また、本第2の発明の高耐力、高延性鋳鉄は、重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Ni0.1〜3.0%、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出した組織であることを特徴とする。
【0010】
また、上記本第1の発明の組成と組織を有し、伸びが13%以上で耐力比が0.75以上であること、あるいは伸びが13%以上で耐力y(N/mm2) と伸びx(%)との関係が次式で表される相関式y≧ー(100/17)x+490を満足することを特徴とする。
【0011】
また、上記本第2の発明の組成と組織を有し、伸びが10%以上で耐力比が0.80以上であること、あるいは伸びが10%以上で、耐力y(N/mm2) と伸びx(%)との関係が次式で表される相関式y≧ー(100/17)x+530を満足することを特徴とする。
【0012】
また、上記鋳鉄であって、降伏現象を示すこと、黒鉛が鋳造時に晶出する黒鉛と熱処理時に晶出する微細2次黒鉛からなることを特徴とする。
【0013】
また、上記鋳鉄であって、より好ましい成分範囲として、Cuが0.85〜1.30%であること、Niが0.5〜1.5%であることを特徴とする。
【0014】
また、上記鋳鉄であって、より好ましい特性として、Cuのみを含有する場合、伸びが15%以上で耐力比が0.80以上であること、CuおよびNiを含有する場合、伸びが12%以上で耐力比がO.85以上であることを特徴とする。なお、本発明の鋳鉄としては、上記した組成と成分範囲からなり、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛を晶出した組織であるが、組織中に未分解のマルテンサイトから生じた炭化物が一部存在しても良い。
【0015】
また、本発明の高耐力、高延性鋳鉄の製造方法は、重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄素材をオーステナイト化温度領域に昇温した後に所定時間保ち、その後焼入れを行い、さらに640〜720℃で焼戻しを行って微細フェライト基地組織に黒鉛を析出することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の別の製造方法は、重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Ni0.1〜3.0%、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄素材をオーステナイト化温度領域に昇温した後に所定時間保ち、その後焼入れを行い、さらに640〜720℃で焼戻しを行って微細フェライト基地組織に黒鉛を析出することを特徴とする。
【0017】
また、上記本発明の製造方法は、オーステナイト化温度領域が790〜910℃であること、オーステナイト化温度領域で2つの所定温度に所定時間保つ2段加熱することを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の高耐力、高延性鋳鉄の組成と各成分範囲の限定理由について述べる。
【0019】
(1)C(炭素):3.0〜4.0%
Cは3.0%未満では黒鉛粒数が減少して共晶セメンタイト(チル)が晶出しやすく、また4.0%を越えるとキッシュ黒鉛が出やすくなりいずれも強度と伸びが低下するので、3.0〜4.0%とする。
【0020】
(2)Si(珪素):1.0〜3.0%
Siは1.0%未満では黒鉛化せずチルしやすくなり伸びが低下する。一方、Siが3.0%を越えると基地が脆くなり伸びが低下し、被削性も低下するので、1.0〜3.0%とする。
【0021】
(3)Mn(マンガン):0.2〜1.2%
Mnは炭化物形成元素であり1.2%を越えるとチルを出やすくし伸びが低下する。また、0.2%以下にするには使用原材料を厳選する必要があり、コスト高となることから、0.2〜1.2%とする。
【0022】
(4)P(リン):0.1%以下
Pは多量に含有すると基地中に固溶して組織を脆化させるので、0.1%以下とする。
【0023】
(5)S(硫黄):0.02%以下
Sは多量に含有すると黒鉛の球状化が阻害され強度が低下するので、0.02%以下とする。
【0024】
(6)Cu(銅):0.7〜1.5%、好ましくは、0.85〜1.30%
Cuは本発明の鋳鉄を構成する成分としては重要な元素であり、焼入れマルテンサイトのフェライト化にあたり、フェライトの再結晶化を阻止するため含有され、0.7%未満ではその効果が小さく必要とする耐力、耐力比が得られず、1.5%を越えて含有すると伸びが低下する。従って、Cuは0.7〜1.5%とし、より優れた耐力と伸びを兼備するために、好ましくは、0.85〜1.30%とする。
【0025】
(7)Mg(マグネシウム):0.015〜0.06%
Mgは黒鉛球状化剤として含有されるものであり、0.015%未満では黒鉛が球状化せず、一方、0.06%を越えて含有されると、チル発生の原因となるので0.015〜0.06%とする。
【0026】
(8)Ni(ニッケル):0.1〜3.0%、好ましくは、0.5〜1.5%
Niは耐力や耐力比を向上する成分であり、その効果を発揮するためには0.1%以上の含有を必要とするが、3.0%を越えて含有されても効果は小さく、高価格となる。従って、Niは0.1〜3.0%とし、より優れた耐力と伸びを兼備するために、好ましくは、0.5〜1.5%とする。
【0027】
本発明の高耐力、高延性鋳鉄は、上記組成と成分範囲を有する鋳鉄素材が次に述べる適正な熱処理によって、微細フェライト基地組織に微細2次黒鉛が析出した組織となって得られるものである。
【0028】
本発明の高耐力、高延性鋳鉄の製造方法としては、上記組成と成分範囲を有する鋳鉄素材を、オーステナイト化温度領域に昇温してオーステナイト化した後に焼入れを行い、さらに焼戻し処理を行うものである。焼戻し温度が640℃未満では焼戻しマルテンサイトのセメンタイトの分解が十分でなく、伸びが不十分であり、710℃を越えるとフェライトが急激に粗大化する傾向を示し耐力が低下し、優れた耐力と伸びを兼備することができない。またSi含有量が少なく、かつ、Ni、Mnを多めに添加する場合にはオーステナイトが生じるため望ましくない。従って、上記組成と成分範囲を有し、微細フェライト基地組織に黒鉛を晶出または析出した組織として、優れた耐力と伸び、または優れた耐力比と伸びを兼備するために、焼戻し温度を640〜720℃とする。
【0029】
焼戻し後の基地組織を微細フェライトとし、微細2次黒鉛と通常サイズの黒鉛を晶出するためには、オーステナイト化温度領域として790〜910℃とする。焼入れ後のマルテンサイトの炭素濃度を低くし、焼戻し後の耐力および伸びを向上させるためには、オーステナイト化温度領域で2つの所定温度に加熱処理し、オーステナイト化温度領域内の低い温度に保持後焼入れを行う2段加熱オーステナイト化処理とすることもできる。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
本実施例に用いた鋳鉄素材の組成を比較例と共に、その最終化学成分(ただし、残部Feと不可避的不純物を除く)と、その鋳鉄素材の熱処理後の本発明鋳鉄の耐力、引張強さ、伸び、耐力比(耐力/引張強さ)の値を表1に示す。なお、熱処理としては、850℃に30分加熱後800℃まで冷却し800℃で30分保持後、油冷焼入れし、700℃に1時間焼戻し処理したものである。
【0031】
【表1】
【0032】
表1において、No.1はJISのFCD370相当材、No.2はFCD600相当材の比較例であり、No.3〜11は本発明の実施例である。FCD370相当材は伸びは26%と大きいが耐力は320N/mm2、耐力比はO.73と低い。
一方、FCD600相当材は耐力が420N/mm2と比較的高いが、耐力比が0.56と低く、伸びも9%と小さい。これに対し、No.3〜11の本実施例は、いずれも優れた耐力と伸び、または耐力比と伸びを兼備している。No.3〜7のCuを含有したものは、伸びが13%以上で耐力比が0.75以上であり、好ましいものでは伸びが15%以上で耐力比が0.80以上である。No.8〜11のCuとNiを含有したものは、伸びは若干低下するが耐力、耐力比は高くなる。伸びが10%以上で耐力比が0.80以上であり、好ましいものでは伸びが12%で耐力比が0.85以上である。
【0033】
図1および図2に、比較例と本発明でCu含有量を変えた場合の焼戻し後のミクロ組織を示す。図1の(a)はJISのFCD370相当材について、(b)は比較例としてCuを0.27%含有したもの、(c)は本発明でCuを0.75%含有したものの焼戻し後のミクロ組織を示す金属顕微鏡写真であり、倍率は400倍である。図2の(a)は本発明でCuを1.25%含有したものの焼戻し後のミクロ組織を示す倍率が400倍の金属顕微鏡写真であり、(b)はその拡大SEM写真で、倍率は4000倍である。本発明の熱処理として、850℃に30分加熱後冷却し800℃に30分保持後、油冷焼入れし、700℃に1時間焼戻し処理を施した。
【0034】
JISのFCD370相当材は、フェライトのサイズが約60〜65μm と大きく、CuをO.27%含有した鋳鉄でも、黒鉛の周りのフェライトが大きい。Cuを0.75および1.25%含有した本発明の鋳鉄では、約10μm という微細フェライト基地組織となり、鋳造時に晶出した黒鉛の他に熱処理時に晶出した約5〜10μm の微細2次黒鉛が分散した組織となっている。パーライトからフェライト化するものと相違し、本発明の如くマルテンサイトからフェライト化されたものは、焼戻し処理時に焼入れマルテンサイトから炭素が抜け、マルテンサイトのレンズ状の形状を痕跡として残す長形の微細フェライトになっていることが、図2(b)からわかる。
【0035】
表2に、No.4、6、9、10の本発明の実施例について、850℃に30分加熱後冷却し800℃に30分保持後、油冷焼入れし、焼戻し温度を700、675、650、600℃に変えた場合の耐力、引張強さ、伸び、耐力比の値を示す。
【0036】
【表2】
【0037】
表2より、優れた耐力および伸びの観点から焼戻し温度としては、640〜720℃が良いが、焼戻し温度が低くなると伸びが低下する傾向にあるので、好ましくは、665〜720℃である。720℃を上限としたのは表2中No.10(2.0%Ni添加)のオーステナイト変態開始温度が720℃、完了温度が743℃となるためである。
【0038】
表3に、Cuを1%含有する本発明の鋳鉄について、オーステナイト化温度の影響を調べた結果を示す。
【表3】
【0039】
表3より、オーステナイト化温度が850℃の場合は、焼戻し温度としては675℃でも700℃でも伸びが大きいが、オーステナイト化温度が900℃と高くなった場合には、伸びおよび耐力の観点より焼戻し温度としては675℃より700℃の方が良い。
【0040】
表1、表2および表3に示す耐力と伸びとの関係を図3に示す。図3には、JIS G5502に示されるFCD370、400、450、500、600、700、800材の下限値(図中×)とそれぞれ相当材の実測値(図中△)を合わせ表示する。図中黒三角▲1は表1のNo.1の比較例(FCD370相当材)を、黒三角▲2は表1のNo.2の比較例(FCD600相当材)の値を示し、白丸○はCu含有の本発明の実施例を、黒丸●は
CuとNiを含有する本発明の実施例の値を示している。
【0041】
図中黒三角▲1(耐力:320N/mm2、伸び:26%)と黒三角▲2(耐力:420N/mm2、伸び:9%)を結ぶ線は、耐力をyで、伸びをxで表すと次の相関式となる。
y=ー(100/17)x+473
本発明としては、優れた耐力と伸びの兼備した鋳鉄の提供を目的としており、Cuを含有するものでは、耐力としてはy≧ー(100/17)x+490以上の相関式を満足し、伸びが13%以上である図3の線ABCの右上の領域の値を有する高耐力、高延性鋳鉄である。
CuとNiを含有するものでは、より高い耐力と若干の伸びの低下を考慮し、耐力としてはy≧ー(100/17)x+530以上の相関式を満足し、伸びが10%以上である図3の線DEFの右上の領域の値を有する高耐力、高延性鋳鉄である。
【0042】
表1に示すNo.1と2の比較例であるJISのFCD370材およびFCD600材と、No.6の本発明の実施例について、応力ー歪曲線を図4に示す。図中に示すNo.は表1に示すNo.に対応し、その鋳鉄についての特性を示している。本発明の鋳鉄は、従来の球状黒鉛鋳鉄であるFCD370や600材と異なり、鋼に類似した降伏現象を示し、優れた耐力と伸び特性を兼備すると共に、耐塑性変形能は高いが、一度塑性変形を開始するとあまり加工硬化せず変形する。したがって、かしめ加工のように部分的な塑性加工を行う必要がある場合、例えば図5に示す自動車の懸架装置部品1の材料として本発明の材料を適用する場合には、懸架装置部品1のかしめ加工部2を誘導コイル3を用いた誘導加熱により部分加熱し、熱処理を施すことによって、熱処理部について耐塑性変形能は高いが、一度塑性変形を開始するとあまり加工硬化せず変形するという特性を備える様にすることができ、極めて有用となる。
【0043】
【発明の効果】
以上のように本発明の鋳鉄は、高耐力と高延性を兼備しており、機械的強度と共にかしめ加工や塑性加工の必要性が高まってきている自動車の懸架装置部品の材料として有用であり、このような優れた特性と組織を有する鋳鉄は、適正な組成と成分範囲を持つ鋳鉄素材をオーステナイト化処理後焼入し、640〜720℃で焼戻し処理する本発明の製造方法によって得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 比較例と本発明の一実施例の焼戻し後のミクロ組織を示す金属顕微鏡写真である。
【図2】本発明の他の実施例の焼戻し後のミクロ組織を示す金属顕微鏡およびその拡大SEM写真である。
【図3】 本発明の実施例と比較例の耐力と伸びとの関係を示す図である。
【図4】 本発明の実施例と比較例の応力ー歪曲線を示す図である。
【図5】 自動車の懸架装置部品に本発明の材料を適用する場合の部分熱処理の態様を示す図である。
Claims (16)
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出または析出した組織であることを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Ni0.1〜3.0%、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出または析出した組織であることを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出または析出した組織であり、伸びが13%以上で耐力比が0.75以上であることを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Ni0.1〜3.0%、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出または析出した組織であり、伸びが10%以上で耐力比が0.80以上であることを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出または析出した組織であり、伸びが13%以上で、耐力y(N/mm2) と伸びx(%)との関係が次式で表される相関式y≧ー(100/17)x+490を満足することを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Ni0.1〜3.0%、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄であって、焼入マルテンサイトを焼戻しした微細フェライト基地組織に黒鉛が晶出または析出した組織であり、伸びが10%以上で、耐力y(N/mm2) と伸びx(%)との関係が次式で表される相関式y≧ー(100/17)x+530を満足することを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄。
- 前記鋳鉄であって、降伏現象を示すことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄。
- 黒鉛が鋳造時に晶出する黒鉛と熱処理時に晶出する微細2次黒鉛からなることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比でCuが0.85〜1.30%である請求項1〜8のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比でNiが0.5〜1.5%である請求項2、4、6〜8のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄。
- 伸びが15%以上で耐力比が0.80以上である請求項3、5、7〜9のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄。
- 伸びが12%以上で耐力比が0.85以上である請求項4、6〜8、10のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄素材をオーステナイト化温度領域に昇温した後に所定時間保ち、その後焼入れを行い、さらに640〜710℃で焼戻しを行って微細フェライト基地組織に黒鉛を晶出することを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄の製造方法。
- 重量比で、C3.0〜4.0%、Si1.0〜3.0%、Mn0.2〜1.2%、P0.1%以下、S0.02%以下、Ni0.1〜3.0%、Cu0.7〜1.5%、Mg0.015〜0.06%を含み、残部Feと不可避的不純物の鋳鉄素材をオーステナイト化温度領域に昇温した後に所定時間保ち、その後焼入れを行い、さらに640〜720℃で焼戻しを行って微細フェライト基地組織に黒鉛を晶出することを特徴とする高耐力、高延性鋳鉄の製造方法。
- 前記オーステナイト化温度領域が790〜910である請求項13又は請求項14記載の高耐力、高延性鋳鉄の製造方法。
- 前記オーステナイト化温度領域で2つの所定温度に所定時間保つ2段加熱する請求項13〜15のいずれか1項に記載の高耐力、高延性鋳鉄の製造方法。
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